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JP2025509569A - 有機化合物 - Google Patents

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JP2025509569A JP2024554790A JP2024554790A JP2025509569A JP 2025509569 A JP2025509569 A JP 2025509569A JP 2024554790 A JP2024554790 A JP 2024554790A JP 2024554790 A JP2024554790 A JP 2024554790A JP 2025509569 A JP2025509569 A JP 2025509569A
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スナイダー,グレッチェン
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Abstract

本発明は、本明細書に記載されている遊離、固体、医薬として許容できる塩および/または実質的に純粋な形態の、置換ヘテロ環縮合ガンマ-カルボリンの特定の鏡像異性体、その医薬組成物と、5-HT2A受容体、ならびにドーパミンDおよびD受容体シグナル伝達系に関連する経路に関連する疾患の処置に使用する方法に関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2022年3月14日に出願された米国仮出願第63/269,304号の優先権および利益を主張する国際出願であり、その内容は、参照によりその全体が本明細書によって組み込まれる。
本発明は、本明細書に記載されている遊離、固体、医薬として許容できる塩および/または実質的に純粋な形態の、特定の置換ヘテロ環縮合ガンマ-カルボリン、その医薬組成物と、5-HT2A受容体、セロトニン輸送体(SERT)、ドーパミンDおよび/もしくはD受容体シグナル伝達系に関連する経路、ならびに/またはμ-オピオイド受容体に関連する疾患、例えば不安、精神病、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、疼痛に関連する状態[頭部疼痛、神経障害性疼痛を含む、また、急性鎮痛薬(acute analgesic)として]、線維筋痛、慢性疲労、社会恐怖症、胃腸障害、例として胃腸管運動の機能不全および肥満;鬱病および気分障害、例として精神病またはパーキンソン病に関連するもの;精神病、例として鬱病に関連する統合失調症;双極性障害;薬物依存、例としてオピオイド依存およびアルコール依存、薬物離脱症状;強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)および関連障害;ならびに他の精神医学的および神経学的状態のような疾患または障害の処置に使用する方法と、他の作用剤との組合せに関する。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、治療抵抗性鬱病、コカイン依存および/またはアンフェタミン依存、オピオイド使用障害、ならびにオピオイド離脱の症状を含み得る。
置換ヘテロ環縮合ガンマ-カルボリンは、中枢神経系障害の処置における、5-HT受容体、特に5-HT2A受容体のアゴニストまたはアンタゴニストであることが公知である。これらの化合物は、米国特許第6,548,493号、第7,238,690号、第6,552,017号、第6,713,471号、第7,183,282号、米国再発行特許第39,680号および米国再発行特許第39,679号で、5-HT2A受容体調節に関連する障害、例えば肥満、不安、鬱病、精神病、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、頭部疼痛に関連する状態、社会恐怖症、胃腸障害、例として胃腸管運動の機能不全および肥満の処置に有用な新規化合物として開示されている。米国特許第8,309,722号および米国特許第7,081,455号も、置換ヘテロ環縮合ガンマ-カルボリンを作る方法、ならびにこれらのガンマ-カルボリンの、中枢神経系障害、例えば嗜癖行動および睡眠障害の制御および防止に有用なセロトニンアゴニストおよびアンタゴニストとしての使用を開示する。
特定の縮合ヘテロ環ガンマカルボリンの1つ、4-((6bR,10aS)-3-メチル-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3-デ]キノキサリン-8(7H)-イル)-1-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノンは、今般ルマテペロンとして公知であり、多彩な神経障害を処置するために、例えばU.S.8,598,119、U.S.11,053,245、U.S.11,124,514およびU.S.9,956,227で開示される。この化合物は、強力なセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト、ドーパミン受容体D1およびD2調節因子、ならびにセロトニン輸送体(SERT)アンタゴニストである。最近の証拠に基づくこの化合物についての新たな指示から、この化合物は、US2021/060009で開示されているケタミンのものと同様の手法で、mTOR1シグナル伝達によるNMDA受容体アンタゴニズムを通しても部分的に作動し得ることが示され、その内容は、参照によりその全体が本明細書によって組み込まれる。
U.S.10,245,260および10,799,500は、セロトニン受容体阻害、SERT阻害、ドーパミン受容体調節およびミュー-オピエート受容体バイアスアゴニズムの強力な組合せを呈示することが想定外に見出された新規な縮合ヘテロ環ガンマカルボリンを開示し、その内容は、参照によりその全体が本明細書によって組み込まれる。
以下に示されている式Aの化合物は、これらの特許で、ならびにUS2021/0145829で開示される。この化合物は、強力なセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニストおよびミュー-オピエート受容体部分アゴニストまたはバイアスアゴニストである。この化合物は、ドーパミン受容体、詳細にはドーパミンD1受容体とも相互作用するが、弱いSERTアンタゴニズム活性しか有さない。
式Aの化合物は、そのD1受容体活性を経由し、mTOR経路を通してNMDAおよびAMPA媒介シグナル伝達も向上させ得るとも考えられる。式Aの化合物は、したがって中枢神経系障害の処置または予防に有用である。
上の化合物の鏡像異性体は、以下の式Bであり、WO2020/132474およびUS2022/0056031で開示される。
式Aの化合物の鏡像異性体である式Bの化合物が、SERT活性を有さず、D1受容体結合およびセロトニン受容体阻害は中等度に強く、ミュー受容体活性は弱いだけに過ぎないことを意外にも見出した。これを大局的な視点から見るために、式Aおよび式Bの化合物の結合親和性は、以下のように定性的に比較され得る:
したがって、式Aの化合物は、5-HT2A受容体およびミュー受容体に対して同様の効力を有するが、D1およびD2受容体結合が著しく弱く、SERT結合がほとんどない。式Aの化合物と対照的に、式Bの化合物は、5-HT2A受容体、続いてD1受容体できわめて活性であり、D2受容体親和性が弱く、ミュー受容体活性が最小限であり、SERT活性がない。薬理活性化合物の鏡像異性体が、異なるまたは反対の活性を有する、例えば一方の鏡像異性体が活性でもう一方の鏡像異性体が非活性なのは周知であるが、式Bの化合物が、その鏡像異性体である式Aの化合物と同様の活性を、D1およびD2受容体でのみ有し得、さらに5-HT2A、SERTおよびミュー-オピエート受容体でまったく異なる相対的活性を有し得ることは想定外かつ予測不可能である。さらに、式Bの化合物の薬理学的プロファイルも、ある程度同様の構造を有し、ルマテペロンとしても公知の4-((6bR,10aS)-3-メチル-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3-デ]キノキサリン-8(7H)-イル)-1-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノンとはまったく想定外に異なる。
さらに新たな、かつ想定外の進展で、中心架橋にわたるトランス-立体化学を有する式AおよびBの化合物のジアステレオ異性体は、両方のシス-立体異性体と比較して、想定外に独特な活性を有することが発見されている。式AおよびBの化合物とは異なり、本開示の式Iの化合物は、セロトニン5-HT2A受容体活性を有さず、SERT活性も有さないが、ミュー-オピエート受容体結合およびドーパミンD1受容体結合がきわめて強く、D2受容体結合が中等度である。
この想定外の活性プロファイルにより、ミューおよびD1受容体において相対的に向上し、D2受容体活性が弱く、かつ5-HT2AおよびSERT活性がない、この薬理学的活性に基づき、疾患を処置するための新たな手段が得られる。例えば、これらの化合物は、式AまたはBの化合物と、別の抗鬱剤(例えばSERT阻害剤または5-HT2A阻害剤)の相加作用が望ましくないおそれがある場合、有用になり得る。
第1の態様では、本開示は、遊離または塩形態(例えば医薬として許容できる塩形態)の、式I
の、6b-10a環縮合にわたってトランス-立体化学を有する化合物(化合物I)に関する。式Iの化合物は、遊離または塩形態(例えば医薬として許容できる塩形態)の、以下のジアステレオ異性体の両方、式IAおよびIBの化合物、ならびにそれらのいずれかの組合せ(ラセミ体、50:50の組合せを含む)を包含すると理解される。
本開示は、以下を含む、遊離または塩形態(例えば医薬として許容できる塩形態)の、例えば単離または精製された遊離または塩形態(例えば医薬として許容できる塩形態)の、式Iの化合物のさらなる模範的な実施形態を提供する。
1.1 化合物が遊離形態(遊離塩基形態)である、化合物I。
1.2 化合物が塩形態である、化合物I。
1.3 化合物が、医薬として許容できる塩形態である、化合物I。
1.4 化合物が、酸付加塩形態、例えば塩酸またはトルエンスルホン酸付加塩形態の、化合物I。
1.5 固体形態の、例えば結晶形態の、化合物Iまたは1.1~1.4のいずれか。
1.6 化合物が、式1Aの化合物であり、例えば、式1Bの化合物を含まないか、または実質的に含まない、化合物Iまたは1.1~1.5のいずれか。
1.7 化合物が、式1Bの化合物であり、例えば、式1Aの化合物を含まないか、または実質的に含まない、合物Iまたは1.1~1.5のいずれか
1.8 「実質的に含まない」が、化合物が実質的に含まない異性体を10wt.%未満、または8wt.%未満、または6wt.%未満、または5wt.%未満、または4wt.%未満、または3wt.%未満、または2wt.%未満、または1wt.%未満有することを意味する、化合物1.6または1.7。
1.9 異性体間の比において優勢の異性体が(the ratio between the isomers in favor of the dominant isomer is)、重量で少なくとも90:10、または92:8、または94:6、または95:5、または96:4、または97:3、または98:2、または99:1、または99:1超である、化合物1.6または1.7。
1.10 化合物Iが、式IAおよびIBの化合物の混合物である、化合物Iまたは1.1~1.5のいずれか。
1.11 化合物Iが、ラセミ体、例えば式IAの化合物対式1Bの化合物が50:50モル比である、化合物1.10。
1.12 化合物Iが、モル過剰の式1Aの化合物、例えば、式Iの化合物の合計量から測定して(すなわち、式1Aおよび1Bの化合物以外のいかなる化合物も考慮に入れない)少なくとも55mol%、または少なくとも60mol%、または少なくとも65mol%、または少なくとも70mol%、または少なくとも75mol%、または少なくとも80mol%、または少なくとも85mol%、または少なくとも90mol%、または少なくとも95mol%の式1Aの化合物を有する、化合物1.10。
1.13 化合物Iが、モル過剰の式1Bの化合物、例えば、式Iの化合物の合計量から測定して(すなわち、式1Aおよび1Bの化合物以外のいかなる化合物も考慮に入れない)少なくとも55mol%、または少なくとも60mol%、または少なくとも65mol%、または少なくとも70mol%、または少なくとも75mol%、または少なくとも80mol%、または少なくとも85mol%、または少なくとも90mol%、または少なくとも95mol%の式1Bの化合物を有する、化合物1.10。
1.14 化合物Iが、式1Aの化合物の実質的に純粋な、例えば、式Iの化合物の合計量から測定して(すなわち、式1Aおよび1Bの化合物以外のいかなる化合物も考慮に入れない)5mol%以下の式1Bの化合物、例えば、4mol%以下、または3mol%以下、または2mol%以下、または1mol%以下、または0.5mol%以下、または0.25mol%以下、または0.15mol%以下、または0.1mol%以下、または0.05mol%以下、または0.01mol%以下の式1Bの化合物を有する、ジアステレオ異性体である、化合物Iまたは1.1~1.5のいずれか。
1.15 化合物Iが、式1Bの化合物の実質的に純粋な、例えば、式Iの化合物の合計量から測定して(すなわち、式1Aおよび1Bの化合物以外のいかなる化合物も考慮に入れない)5mol%以下の式1Aの化合物、例えば、4mol%以下、または3mol%以下、または2mol%以下、または1mol%以下、または0.5mol%以下、または0.25mol%以下、または0.15mol%以下、または0.1mol%以下、または0.05mol%以下、または0.01mol%以下の式1Aの化合物を有するジアステレオ異性体である、化合物Iまたは1.1~1.5のいずれか。
1.16 化合物が、不斉合成プロセスを使用して調製される、化合物1.6~1.9、または1.14もしくは1.15のいずれか。
1.17 化合物が、鏡像異性体分離ステップ(複数可)、例えば、キラルクロマトグラフィーまたはジアステレオ異性体分割を含む合成プロセスを使用して調製される、化合物Iまたは1.1~1.16のいずれか。
1.18 化合物が、式Aの化合物のいずれも実質的に含まない(free of any of the Compounds of Formula A)、例えば(e.g., .g.,)化合物の合計重量に対して測定して5wt.%以下の式Aの化合物、例えば、4wt.%以下、または3wt.%以下、または2wt.%以下、または1wt.%以下、または0.5wt.%以下、または0.25wt.%以下、または0.15wt.%以下、または0.1wt.%以下、または0.05wt.%以下、または0.01wt.%以下の式Aの化合物を有する、化合物Iまたは1.1~1.17のいずれか。
1.19 化合物が、式Bの化合物のいずれかを実質的に含まない(free of any of the Compounds of Formula B)、例えば、化合物の合計重量に対して測定して5wt.%以下の式Bの化合物、例えば、4wt.%以下、または3wt.%以下、または2wt.%以下、または1wt.%以下、または0.5wt.%以下、または0.25wt.%以下、または0.15wt.%以下、または0.1wt.%以下、または0.05wt.%以下、または0.01wt.%以下の式Bの化合物を有する、化合物Iまたは1.1~1.18のいずれか。
1.20 化合物が、実質的に純粋な形態、例えば、式Iのいずれかの化合物以外に存在するすべての化合物または不純物に対して少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%純粋な形態である、化合物Iまたは1.1~1.19のいずれか。
本明細書で以下に使用されている、「本発明の化合物」は、式Iまたは1.1~1.20のいずれかの化合物を指す。
第2の態様では、本開示は、例えば医薬として許容できる希釈剤または担体と混和した式Iまたは1.1~1.20の化合物のいずれか1つによる化合物を含む医薬組成物(医薬組成物I)を提供する。特定の実施形態では、式Iまたは1.1~1.20のいずれかの化合物は、医薬として許容できる塩形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、例えば胃腸吸収(すなわち、胃ならびに/または大腸および小腸を通した吸収)のための錠剤またはカプセル剤の形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口経粘膜組成物、例えば経口溶解錠剤、ウエハ剤(wafer)、フィルム剤、ゲル剤または噴霧剤である。例えば組成物は、急速溶解性舌下またはバッカル錠剤、ウエハ剤、フィルム剤またはゲル剤であり得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、鼻腔内または肺内投与(例えばエーロゾル剤、ミスト剤または吸入のための散剤として)のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、静脈内、髄腔内、筋肉内、皮下または腹腔内注入のために製剤化される。特に、筋肉内または皮下注入用の医薬組成物は、例えば本発明の化合物を血流および体組織中に持続または遅延放出する、長時間作用性注入用組成物またはデポー組成物の形態であり得る。あるいは、特に静脈内、髄腔内、腹腔内または皮下注入のために製剤化されるときは、組成物は、例えば用量の大半または全体を体液中に即時放出する、即時作用性組成物であり得る。
さらなる実施形態では、本開示の医薬組成物は、持続または遅延放出製剤(医薬組成物1-A)、例えばデポー製剤のためのものである。いくつかの実施形態では、式Iまたは1.1~1.20のいずれかの化合物は、好ましくは、医薬として許容できる希釈剤または担体と混和した、遊離または医薬として許容できる塩形態で、化合物を持続または遅延放出する注入用デポーの形態で提供される。
特定の実施形態では、医薬組成物1-Aは、遊離塩基または医薬として許容できる塩形態の、結晶形態であってもよい化合物Iまたは1.1~1.16のいずれか1つによる化合物を含み、化合物は、微小粒子またはナノ粒子、例えば0.5から100ミクロン、例として5~30ミクロン、10~20ミクロン、20~100ミクロン、20~50ミクロンまたは30~50ミクロンの体積基準粒径(例えば直径またはDv50)を有する粒子または結晶の大きさにすり潰されているか、または化合物は、その大きさに結晶化されている。そのような粒子または結晶は、好適な医薬として許容できる希釈剤または担体、例えば水と組み合わせて、注入のためのデポー製剤を形成できる。例えばデポー製剤は、4から6週間の処置に好適な薬物の投与量で、筋肉内または皮下注入のために製剤化され得る。いくつかの実施形態では、粒子または結晶は、0.1から5m/g、例えば0.5から3.3m/gまたは0.8から1.2m/gの表面積を有する。
別の実施形態では、本開示は、医薬組成物Iであり、式I以下の化合物が、ポリマーマトリックスである医薬組成物I-Bを提供する。一実施形態では、本開示の化合物は、ポリマーマトリックス内に分散または溶解している。さらなる実施形態では、ポリマーマトリックスは、デポー製剤に使用される標準的なポリマー、例えば、ヒドロキシ脂肪酸およびその誘導体のポリエステルから選択されるポリマー、またはアルキルアルファ-シアノアクリレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリオルト-カーボネート、ポリアミノ酸、ヒアルロン酸エステルおよびそれらの混合物のポリマーを含む。さらなる実施形態では、ポリマーは、ポリラクチド、ポリd,l-ラクチド、ポリグリコリド、PLGA 50:50、PLGA 85:15およびPLGA 90:10ポリマーからなる群から選択される。別の実施形態では、ポリマーは、ポリ(グリコール酸)、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-乳酸、先述のもののコポリマー、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸-カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸-カプロラクトン)、ポリ無水物、ならびにアルブミン、カゼインおよびワックスを含む天然ポリマー、例えば、グリセロールモノ-およびジステアレートから選択される(selected form)。好ましい実施形態では、ポリマーマトリックスは、ポリ(d,l-ラクチド-co-グリコリド)、例えば50:50から90:10モル比を有するPLGAを含む。いくつかの実施形態では、PLGAは、溶媒担体、例えば水性溶媒、水性エマルションまたは非水性有機溶媒(好ましくは医薬として許容できる有機溶媒)と混和される。好適な有機溶媒は、注入に使用される量に応じて、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、グリコフロール、ソルケタール、グリセロールホルメート、アセトン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジグリム、ジメチルイソソルビド、乳酸エチル、またはそれらの混合物を含み得る。
医薬組成物I-Bは、持続または遅延放出に特に有用であり、ポリマーマトリックスが分解されると、本開示の化合物は放出される。これらの組成物は、最大180日、例えば約14から約30日、約180日かけた本開示の化合物の制御放出および/または徐放のために製剤化され得る(例えばデポー組成物として)。例えばポリマーマトリックスは、本開示の化合物を約30、約60または約90日かけて分解および放出し得る。別の例では、ポリマーマトリックスは、本開示の化合物を約120または約180日かけて分解および放出し得る。
さらに別の実施形態では、医薬組成物IまたはI-AもしくはI-Bは、注入による投与のために、例えば滅菌水溶液または滅菌非水性溶液として製剤化され得る。
別の実施形態では、本開示は、以上に記載されている本発明の化合物を含む医薬組成物(医薬組成物I-C)を、US2001/0036472およびUS2009/0202631に記載されており、その出願の各々の内容は、参照によりその全体が組み込まれる浸透圧制御放出経口デリバリー系(OROS)で提供する。したがって、一実施形態では、本開示は、(a)医薬として許容できる希釈剤または担体と混和してもよい、遊離または医薬として許容できる塩形態の本発明の化合物を含有するゼラチンカプセル;(b)ゼラチンカプセル上に重ね合わされ、カプセルの外側から順に:(i)バリア層、(ii)膨張性層および(iii)半透過性層を含む多層壁、ならびに(c)および壁を通して形成されるか、または形成可能なオリフィスを含む医薬組成物またはデバイス(医薬組成物P.1)を提供する。
別の実施形態では、本発明は、医薬として許容できる希釈剤または担体と混和してもよい、液体、遊離または医薬として許容できる塩形態の本発明の化合物を含有するゼラチンカプセルを含み、ゼラチンカプセルが複合壁に囲まれており、複合壁が、ゼラチンカプセルの外面に接触するバリア層、バリア層に接触する膨張性層、膨張性層を包含する半透過性層、および壁に形成されるかまたは形成可能な出口オリフィスを含む、医薬組成物を提供する(医薬組成物P.2)。
さらに別の実施形態では、本発明は、医薬として許容できる希釈剤または担体と混和してもよい、液体、遊離または医薬として許容できる塩形態の本発明の化合物を含有するゼラチンカプセルを含み、ゼラチンカプセルが、複合壁に囲まれており、複合壁が、ゼラチンカプセルの外面に接触するバリア層、バリア層に接触する膨張性層、膨張性層を包含する半透過性層、および壁に形成されるかまたは形成可能な出口オリフィスを含み、バリア層が、膨張性層と出口オリフィスにおける環境との間にシールを形成する組成物(医薬組成物P.3)を提供する。
さらに別の実施形態では、本発明は、医薬として許容できる希釈剤または担体と混和してもよい、液体、遊離または医薬として許容できる塩形態の本発明の化合物を含有するゼラチンカプセルを含み、ゼラチンカプセルが、ゼラチンカプセルの外面に接触するバリア層、バリア層の一部に接触する膨張性層、少なくとも膨張性層を包含する半透過性層、および、ゼラチンカプセルの外面から使用環境へと伸びる剤形で形成されるかまたは形成可能な出口オリフィスに囲まれている、組成物(医薬組成物P.4)を提供する。膨張性層は、1つまたは複数の個別の箇所、例えばゼラチンカプセルの向かい合う側または末端に位置する2つの箇所に形成され得る。
特定の実施形態では、浸透圧-制御放出経口デリバリー系(すなわち、組成物P.1~P.4)における本発明の化合物は、液体製剤中にあり、この製剤は、ニートの液体活性剤、液剤、懸濁液剤、エマルション剤または自己乳化組成物中の液体活性剤などであり得る。
ゼラチンカプセル、バリア層、膨張性層、半透過性層;およびオリフィスの特性を含む浸透圧-制御放出経口デリバリー系組成物についてのさらなる情報は、US2001/0036472で見出すことができ、その内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
本発明の化合物または本開示の医薬組成物のための他の浸透圧-制御放出経口デリバリー系は、US2009/0202631で見出すことができ、その内容は、参照によりその全体が組み込まれる。したがって、別の実施形態では、本発明は、以下を含む組成物またはデバイスを提供する(a)2つ以上の層、前記2つ以上の層は、第1の層および第2の層を含み、前記第1の層は、医薬として許容できる希釈剤または担体と混和してもよい、遊離または医薬として許容できる塩形態の本発明の化合物を含み、前記第2の層は、ポリマーを含む;(b)前記2つ以上の層を取り巻く外壁;および(c)前記外壁中のオリフィス(医薬組成物P.5)。
医薬組成物P.5は、好ましくは3層のコアを取り巻く半透過性膜を利用し:これらの実施形態では、第1の層は、第1の薬物層といわれ、少量の薬物(例えば本発明の化合物)および浸透圧剤、例えば塩を含有し、第2の薬物層といわれる中間層は、より多量の薬物、賦形剤を含有し、塩は含有せず;プッシュ層といわれる第3の層は、浸透圧剤を含有し、薬物を含有しない(医薬組成物P.6)。少なくとも1つのオリフィスは、カプセル型錠剤の第1の薬物層末端上の膜を通して穿孔される。
医薬組成物P.5またはP.6は、区画を画定し、内部保護サブコート、そこに形成されるかまたは形成可能な少なくとも1つの流出口オリフィス、および半透過性である膜の少なくとも一部を取り巻く膜;流出口オリフィスから離れた区画内に位置し、膜の半透過性部分と流体連結する膨張性層;流出口オリフィスに隣接して位置する第1の薬物層;ならびに、第1の薬物層と膨張性層との間における区画内に位置し、遊離または医薬として許容できるその塩の本発明の化合物を含む第2の薬物層を含み得る(医薬組成物P.7)。第1の薬物層および第2の薬物層の相対粘度に応じて、異なる放出プロファイルが得られる。各層での最適な粘度を特定することは必須である。本発明では、粘度は、塩、塩化ナトリウムを添加することにより調節される。コアからのデリバリープロファイルは、薬物層の各々の重量、処方および厚さによって決まる。
特定の実施形態では、本発明は、第1の薬物層が塩を含み、第2の薬物層が塩を含有しない医薬組成物P.7を提供する。医薬組成物P.5~P.7は、膜と薬物層との間における流動促進層を含んでもよいことがある。
医薬組成物P.1~P.7は、一般的に浸透圧-制御放出経口デリバリー系組成物といわれる。
第3の態様では、本発明は、中枢神経系障害を処置または予防するための方法(方法1)であって、それを必要とする患者に、本発明の化合物、または本発明の化合物を含む医薬組成物、例えば、医薬組成物I、I-A、I-B、I-C、またはP.1~P.7のいずれかを投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、方法1は、以下を投与することを含む
1.1 遊離形態の化合物Iまたは1.1~1.20のいずれか
1.2 医薬として許容できる塩形態の、化合物Iまたは1.1~1.20のいずれか
1.3 酸付加塩形態の化合物Iまたは1.1~1.20のいずれか
1.4 医薬組成物I
1.5 医薬組成物I-A、I-BまたはI-Cのいずれか
1.6 医薬組成物P.1からP.7のいずれか、または
1.7 以上に記載されている、いずれかの浸透圧制御放出経口デリバリー系組成物。
物質使用障害および物質誘発障害は、DSMの第5版(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、DSM-5)により定義される物質関連障害の2つのカテゴリーである。物質使用障害は、結果として問題を被るにもかかわらず、個人がとり続けた物質の使用から生じた症状のパターンである。物質誘発障害は、物質の使用により(by use if the substance)誘発される障害である。物質誘発障害は、中毒、離脱、物質誘発精神障害を含み、これには、物質誘発精神病、物質誘発双極性および関連障害、物質誘発鬱病性障害、物質誘発不安障害、物質誘発強迫性および関連障害、物質誘発睡眠障害、物質誘発性機能不全、物質誘発せん妄および物質誘発神経認知障害が含まれる。
DSM-5は、物質使用障害を軽度、中等度または重度と分類するための参考文献を含む。本明細書で開示されている方法のいくつかの実施形態では、物質使用障害は、軽度の物質使用障害、中等度の物質使用障害または重度の物質使用障害から選択される。いくつかの実施形態では、物質使用障害は、軽度の物質使用障害である。いくつかの実施形態では、物質使用障害は、中等度の物質使用障害である。いくつかの実施形態では、物質使用障害は、重度の物質使用障害である。
不安および鬱病は、物質使用または物質乱用の処置を受けた患者において非常に広まっている併存障害である。物質乱用障害に一般的な処置は、部分オピオイドアゴニストであるブプレノルフィンと、オピオイドアンタゴニストであるナロキソンの組合せであるが、これらの薬物のどちらも、不安または鬱病に対していかなる著しい効果も有さないので、第3の薬物、例えばベンゾジアゼピン類の抗不安またはSSRI抗鬱薬も処方されなければならない共通した結果に至る。これは、処置レジメンおよび服薬遵守をより困難にする。対照的に、本開示の化合物は、セロトニンアンタゴニズムおよびドーパミン調節と共にオピオイドアンタゴニズムを提供する。これにより、不安および/または鬱病が付随する物質使用または乱用障害を有する患者の処置に、著しい向上が生じる。
本発明の化合物は、抗不安薬を用いて患者を処置する必要性を緩和する抗不安性を有し得、前記患者は併存不安に罹患している。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、例えば不安の症状に罹患した、または併存障害として、もしくは後遺障害としての不安と診断された患者における、物質嗜癖、物質使用障害および/もしくは物質誘発障害、または物質乱用障害を処置するための方法であって、抗不安薬、例えばベンゾジアゼピンのさらなる投与を含まない、方法を提供する。ベンゾジアゼピンは、GABA-調節化合物である。
本発明の化合物は、疼痛の処置に特に有効かつ有用であり得、患者は、胃腸障害および/または肺障害に罹患している。旧来からのオピオイド鎮痛薬は、2つの主な副作用:胃腸障害(悪心、嘔吐および便秘を含む)および呼吸抑制の問題がある。オピオイドを長期間の疼痛処置のためにとっている患者の90から95%は、重篤な便秘を発症し、下剤および/または浣腸の長期間使用が要求される。より強いオピオイド、例えばモルヒネ、オキシコドンおよびヒドロモルフォンは、他のオピオイドより重度の便秘を生成する。呼吸抑制は、とりわけ患者が、処方されたオピオイド鎮痛薬と他の合法または違法呼吸器抑制剤(アルコールを含む)を組み合わせた(意図的にまたは不注意に)場合、死亡の危険性を生じるため、オピオイド処置の最も重篤な有害作用である。疼痛処置、とりわけ慢性的疼痛処置を必要とする患者は、したがって、既存の胃腸または肺障害に罹患している場合、特に有害作用の危険性がある。旧来からのオピオイド鎮痛薬とは異なり、本発明の化合物は、著しい有害胃腸効果なしで、また著しい呼吸抑制なしで、鎮痛軽減を提供する。したがって、そのような化合物は、こうした既存のGIおよび肺障害を有し、疼痛処置を必要とする患者に、改善された安全性および効能をもたらし得る。さらなる実施形態では、本発明の化合物は、旧来からのオピオイド剤と組み合わせられて、旧来からのオピオイド剤に関する用量節約効果を伴う改善された疼痛制御(および付随する有害作用の危険性の低下)を得ることができる。
いくつかの実施形態では、疼痛は、帯状疱疹後神経痛によって引き起こされる。帯状疱疹後神経痛(PHN)は、水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化によって引き起こされる末梢神経へのダメージにより発生する神経障害性疼痛である。
いくつかの実施形態では、疼痛は、線維筋痛によって引き起こされ、例えば疼痛は、線維筋痛の症状である。線維筋痛は、不確定な原因または起源の複合症候群である。これは、疼痛処理障害、特に中枢神経系内の疼痛シグナルの処理として分類される。したがって、これは、中枢神経障害性疼痛症候群のようなものであり、「中枢性感作」の例と考えられることが多い。線維筋痛は、異痛を含むことが多い慢性の広範な疼痛により顕著である。米国では、線維筋痛の管理にはプレガバリンおよびデュロキセチンのみが承認されており、既存の鎮痛薬は一般的に無効となっている。
オピオイド鎮痛薬または乱用の高い危険性を伴う他の薬物で別途処置され得るニューロパチーに罹患している患者では、物質使用障害もしくは物質乱用障害に罹患している場合、あるいは、オピオイド嗜癖、オピオイド離脱もしくはオピオイド過量投与の先例、または物質乱用またはアルコール乱用の先例がある場合、そのような処置が禁忌となることがある。したがって、とりわけそのような患者では、代替の非嗜癖処置法、例えば本明細書に記載されている方法の必要性がある。
本明細書で以下に記載されている方法のいくつかの実施形態では、本発明の化合物を含む医薬組成物は、約14日から、約30から約180日かけた、好ましくは約30、約60または約90日の期間かけた、本発明の化合物の制御放出および/または徐放のために投与され得る。制御放出および/または徐放は、特に、服薬レジーム(medication regimes)に対するノンコンプライアンスまたはノンアドヒアランスが一般的に発生する抗精神病薬治療に対して、早計な治療の中止を避けるのに特に有用である。
本明細書で以下に記載されている方法のいくつかの実施形態では、本発明の化合物を含む医薬組成物は、時間をかけた、本発明の化合物の制御放出および/または徐放のために投与される本開示のデポー組成物であり得る。
第3の態様のさらなる実施形態では、本開示は、方法が、以下のようにさらに記載されている通りである、方法1または方法1.1~1.7のいずれかを提供する。
1.8 中枢神経系障害が、セロトニン5-HT2A受容体、ドーパミンD1受容体および/もしくはD2受容体系、ならびに/またはセロトニン再取込み輸送体(SERT)経路、ならびに/またはミュー-オピオイド受容体経路に関与する障害である、方法1または方法1.1~1.7のいずれか。
1.9 中枢神経系障害が、肥満、不安[全般性不安(general anxiety)、社交不安およびパニック障害を含む]、鬱病(例えば難治性鬱病およびMDD)、精神病(認知症に関連する精神病、例えば進行したパーキンソン病における幻覚または偏執性妄想を含む)、統合失調症、睡眠障害(特に統合失調症、ならびに他の精神および神経疾患に関連する睡眠障害)、性障害、片頭痛、頭部疼痛、特発性疼痛、慢性的疼痛(例えば24時間に及ぶ他の病気の処置を要求する患者における、例えば中等度からやや重度の慢性的疼痛)、神経障害性疼痛、歯痛、線維筋痛を含む疼痛および疼痛に関連する状態、慢性疲労、広場恐怖症、社会恐怖症、認知症における激越(例えばアルツハイマー病における激越)、自閉症および関連自閉症性障害における激越、胃腸障害、例えば胃腸管運動および認知症の機能不全、例えばアルツハイマー病またはパーキンソン病の認知症;気分障害;薬物依存、例えばオピオイド依存および/またはアルコール依存、ならびに薬物またはアルコール依存(例えばオピオイド依存)からの離脱;オピオイド過量投与;薬物依存に関連する併存症、例えば鬱病、不安および精神病;過食性障害と;強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)および関連障害;あるいはオピオイド使用障害(OUD)またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される障害である、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.10 中枢神経系障害が、以下:(i)鬱病に罹患した患者における精神病、例えば統合失調症;(2)精神病、例えば統合失調症に罹患した患者における鬱病;(3)精神病および/または薬物依存、例えば統合失調症またはパーキンソン病に関連する気分障害;(4)精神病、例えば統合失調症またはパーキンソン病に関連する睡眠障害;ならびに(5)患者が不安または不安障害の残存症状に罹患している場合であってもよく、鬱病が治療抵抗性鬱病である場合であってもよい、物質嗜癖、物質使用障害および/または物質誘発障害から選択される障害である、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.11 中枢神経系障害が、精神病、例えば統合失調症であり、前記患者が、鬱病に罹患した患者である、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.12 中枢神経系障害が鬱病であり、前記患者が、精神病、例えば統合失調症またはパーキンソン病に罹患した患者である、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.13 前記障害が、いずれかの前記障害を伴っていてもよい薬物依存障害であり、例えば前記障害が、オピオイド依存、コカイン依存、アンフェタミン依存、アルコール依存、またはいずれかの薬物もしくはアルコール依存からの離脱(例えばオピオイド、コカインまたはアンフェタミン依存からの離脱)であり、または前記障害が、オピオイド使用障害またはオピオイド過量投与であり、または方法が、オピオイド嗜癖再発を処置もしくは防止するための(例えばオピオイド嗜癖の解毒および維持処置、またはオピオイド嗜癖の再発防止のための)方法である、方法1または1.1~1.8のいずれか。
1.14 前記患者が、併存症、例えば不安、鬱病もしくは精神病、または不安もしくは不安障害の残存症状、および/または気分変化(例えば鬱病)にも罹患しており、さらに患者がオピオイド過量投与に罹患している場合であってもよい、方法1.13。
1.15 中枢神経系障害が、強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)、全般性不安障害、社交不安障害、パニック障害、広場恐怖症、強迫性ギャンブル障害、強迫性摂食障害、身体醜形障害、心気症、病的グルーミング障害(pathological grooming disorder)、窃盗癖、放火癖、注意欠陥多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、衝動制御障害および関連障害およびそれらの組合せから選択される障害である、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.16 中枢神経系障害が、強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)、社交不安障害、パニック障害、広場恐怖症、強迫性ギャンブル障害、強迫性摂食障害、身体醜形障害および衝動制御障害から選択される、方法1またはいずれか1つの方法1.1~1.8。
1.17 中枢神経系障害が強迫性障害(OCD)または強迫性パーソナリティ障害(OCPD)である、方法1または方法1.1~1.8のいずれか1つ。
1.18 中枢神経系障害が、疼痛障害、例えば疼痛に関連する状態、例として頭部疼痛、特発性疼痛、神経障害性疼痛、慢性的疼痛(例えば24時間に及ぶ他の病気の処置を要求する患者における例えば中等度からやや重度の慢性的疼痛)、線維筋痛、歯痛、外傷痛または慢性疲労である、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.19 中枢神経系障害が、オピオイド使用障害、オピオイド離脱またはオピオイド依存であり、かつ/または方法が、離脱誘発症状(例えば胃腸症状、例として下痢、不安、鬱病、疼痛、睡眠障害またはそれらの任意の組合せ)からの軽減をきたす、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.20 中枢神経系障害が、慢性的疼痛および/または神経障害性疼痛である、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.21 疼痛が、末梢ニューロパチー(例えば単ニューロパチー、神経叢障害、神経根症または多発ニューロパチー)によって引き起こされるか、または、中枢ニューロパチー[例えば求心路遮断痛または交感神経依存性疼痛、例えば複合性局所疼痛症候群(CRPS)]によって引き起こされる、方法1.20。
1.22 疼痛が、慢性的疼痛である、方法1.20~1.21のいずれか。
1.23 疼痛が、神経障害性疼痛である、方法1.20~1.21のいずれか。
1.24 疼痛が、慢性神経障害性疼痛である、方法1.22または1.23。
1.25 疼痛が、単ニューロパチー(例えば単発性単ニューロパチー)、例えば限局性単ニューロパチー、圧迫性単ニューロパチーまたは絞扼性単ニューロパチー(例えば手根管症候群)によって引き起こされる、方法1.20~1.24のいずれか。
1.26 疼痛が、神経根症によって引き起こされ、例えば脊椎円板ヘルニア(herniated spinal disk)によって引き起こされるか、または糖尿病性虚血によって引き起こされる、方法1.20~1.24のいずれか。
1.27 疼痛が、神経叢障害、例えば、神経圧迫、例として神経腫、腫瘍または椎間板ヘルニアによる神経圧迫によって引き起こされる神経叢障害によって引き起こされる、方法1.20~1.24のいずれか。
1.28 疼痛が、多発性単ニューロパチーまたは多発ニューロパチー、例えば糖尿病性多発ニューロパチーによって引き起こされる、方法1.20~1.24のいずれか。
1.29 疼痛が、中枢神経障害性疼痛症候群、例えば求心路遮断痛または複合性局所疼痛症候群(CRPS)によって、または線維筋痛によって引き起こされる、方法1.20~1.24のいずれか。
1.30 疼痛が、帯状疱疹後神経痛(PHN)によって、または線維筋痛によって引き起こされる、方法1.20~1.24のいずれか。
1.31 疼痛が、薬物誘導性神経毒性[例えばドキソルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、インターフェロンアルファ、白金化学療法剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン)またはビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビンまたはビンポセチン)または抗レトロウイルスヌクレオシド(例えばジダノシン、スタブジン、ザルシタビン)による]によって引き起こされる、方法1.20~1.24のいずれか。
1.32 ニューロパチーが、軸索ニューロパチー(すなわち軸索障害)である、方法1.20~1.31のいずれか。
1.33 患者が、線維筋痛、糖尿病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症または後天性免疫不全症候群(AIDS)または癌を有する、方法1.20~1.32のいずれか。
1.34 患者が、抗レトロウイルスヌクレオシド、白金系抗悪性腫瘍薬またはビンカアルカロイド抗悪性腫瘍薬との並行処置を受けているか、またはそれらを用いて過去に処置を受けた、方法1.20~1.32のいずれか。
1.35 疼痛が、異痛および/または痛覚過敏に関連する、方法1.20~1.34のいずれか。
1.36 患者は、不安(全般性不安、社交不安およびパニック障害を含む)、鬱病(例えば難治性鬱病およびMDD)、精神病(認知症に関連する精神病、例えば進行したパーキンソン病における幻覚または偏執性妄想を含む)、統合失調症、片頭痛、物質乱用障害、物質使用障害、オピエート使用障害または他の薬物依存、例えば刺激薬依存および/またはアルコール依存にも罹患している、方法1.20~1.35のいずれか。
1.37 中枢神経系障害が、睡眠障害である、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.38 睡眠障害が、睡眠維持障害、頻繁な覚醒および爽快感のない覚醒(waking up feeling unrefreshed)から選択される、方法1.37。
1.39 睡眠障害が、ジスキネジアに罹患したか、またはその危険性がある患者、例えば、例としてレボドパおよびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO-B阻害剤)、ドーパミンアゴニストおよび抗コリン薬から選択されるドーパミン作動薬を受けた、例えばレボドパを受けた患者におけるものである、方法1.37。
1.40 患者が、パーキンソン病にも罹患している、方法1.37~1.39のいずれか。
1.41 前記障害が、睡眠障害であり、前記患者が、鬱病に罹患している、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.42 前記障害が、睡眠障害であり、前記患者が、精神病、例えば統合失調症に罹患している、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.43 前記障害が、睡眠障害であり、前記患者が、パーキンソン病に罹患している、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.44 前記障害が、睡眠障害であり、前記患者が、鬱病および精神病、例えば統合失調症および/またはパーキンソン病に罹患している、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.45 例えばドーパミン作動薬、例えばレボドパおよびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO-B阻害剤)、ドーパミンアゴニストおよび抗コリン薬から選択される薬物、例としてレボドパを受けた患者において、障害がジスキネジアである、方法1または方法1.1~1.8のいずれか。
1.46 患者が、方法1.1~1.45で挙げられている障害のいずれかの組合せに罹患している、方法1または1.1~1.46のいずれか。
1.47 方法が、方法1.1~1.45で挙げられている障害のいずれかの組合せを処置または予防するための方法である、方法1または1.1~1.46のいずれか。
1.48 患者が、既存または併存胃腸障害および/または肺障害に罹患している、方法1または1.1~1.47のいずれか。
1.49 既存または併存障害が、過敏性腸症候群、骨盤底障害、憩室炎、炎症性腸疾患、結腸または結腸直腸癌、セリアック病、非セリアックグルテン過敏症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸困難、肺炎、鬱血性心不全、間質性肺疾患、気胸、気管支炎、肺塞栓症および外傷性胸部損傷[例えば胸骨または肋骨骨折(broken sternum or ribs)、肋間筋挫傷(bruised intercostal muscles)]からなる群から選択される、方法1.48。
1.50 患者が、物質使用障害または物質乱用障害、例えばオピオイド使用障害(OUD)と診断されている、方法1.1~1.49のいずれか。
1.51 前記患者が、オピエートまたはオピオイド薬物、例えばモルヒネ、コデイン、テバイン、オリパビン、ジプロピオン酸モルヒネ(morphine dipropionate)、ジニコチン酸モルヒネ(morphine dinicotinate)、ジヒドロコデイン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、オキシモルホン、フェンタニル、アルファ-メチルフェンタニル、アルフェンタニル、トレファンチニル(trefantinil)、ブリフェンタニル、レミフェンタニル、オクフェンタニル、スフェンタニル、カルフェンタニル、メペリジン、プロジン、プロメドール、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メタドン、ジフェノキシレート、デゾシン、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、レボメトルファン、トラマドール、タペンタドールおよびアニレリジンまたはそれらの任意の組合せによる、以前の物質使用または物質乱用の病歴を有する、方法1.1~1.50のいずれか。
1.52 前記患者が、オピエート依存、コカイン依存、アンフェタミン依存、および/もしくはアルコール依存であるか、またはそうと診断されているか、あるいは薬物またはアルコール依存(例えばオピエート、コカインまたはアンフェタミン依存)からの離脱に罹患している、方法1または1.1~1.51のいずれか。
1.53 前記患者が、以前にオピエートまたはオピオイド過量投与に罹患している、方法1または1.1~1.52のいずれか
1.54 患者が、非麻酔性鎮痛薬ならびに/もしくはオピエートおよびオピオイド薬物の副作用に応答しないか、または耐容性を示すことができない、あるいはオピエートまたはオピオイド薬物の使用が、前記患者において、例えば以前の物質乱用のため、または物質乱用の可能性が高いため禁忌であり、例えばオピエートおよびオピオイド薬物が、例えばモルヒネ、コデイン、テバイン、オリパビン、ジプロピオン酸モルヒネ、ジニコチン酸モルヒネ、ジヒドロコデイン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、オキシモルホン、フェンタニル、アルファ-メチルフェンタニル、アルフェンタニル、トレファンチニル、ブリフェンタニル、レミフェンタニル、オクフェンタニル、スフェンタニル、カルフェンタニル、メペリジン、プロジン、プロメドール、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メタドン、ジフェノキシレート、デゾシン、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、レボメトルファン、トラマドール、タペンタドールおよびアニレリジンまたはそれらの任意の組合せを含む、方法1または1.1~1.53のいずれか。
1.55 前記患者が、従来の抗精神病薬、例えばクロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドンの副作用に耐容性を示すことが不可能である、方法1または方法1.1~1.54のいずれか。
1.56 前記患者が、非麻酔性鎮痛薬ならびに/またはオピオイドおよびオピオイド薬物の副作用に耐容性を示すことが不可能であるか、またはオピオイド薬物の使用が、前記患者において、例えば以前の物質乱用のため、もしくは物質乱用の可能性が高いため禁忌であり、例えばオピオイドおよびオピオイド薬物が、例えばモルヒネ、コデイン、テバイン、オリパビン、ジプロピオン酸モルヒネ、ジニコチン酸モルヒネ、ジヒドロコデイン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、オキシモルホン、フェンタニル、アルファ-メチルフェンタニル、アルフェンタニル、トレファンチニル、ブリフェンタニル、レミフェンタニル、オクフェンタニル、スフェンタニル、カルフェンタニル、メペリジン、プロジン、プロメドール、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メタドン、ジフェノキシレート、デゾシン、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、レボメトルファン、トラマドール、タペンタドールおよびアニレリジンまたはそれらの任意の組合せを含む、方法1または方法1.1~1.55のいずれか。
1.57 前記患者が、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)、例えばシタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリンを用いた処置からの副作用に応答しないか、またはそれに耐容性を示すことができない、方法1または方法1.1~1.56のいずれか。
1.58 前記患者が、セロトニン-ノルエピネフリン再取込み阻害剤(SNRI)、例えばベンラファキシン、シブトラミン、デュロキセチン、アトモキセチン、デスベンラファキシン、ミルナシプランおよびレボミルナシプランを用いた処置からの副作用に応答しないか、またはそれに耐容性を示すことができない、方法1または方法1.1~1.57のいずれか。
1.59 前記患者が、抗精神病剤、例えばクロミプラミン、リスペリドン、クエチアピンおよびオランザピンを用いた処置からの副作用に応答しないか、またはそれに耐容性を示すことができない、方法1または方法1.1~1.58のいずれか。
1.60 前記患者が、以前に別の疼痛軽減薬(pain-relieving medication)で処置されており、患者が、前記薬物に十分に応答せず、例えば患者の疼痛が、十分に弱まらなかったか、または患者が、継続的処置を妨げる副作用に罹患していた、方法1または方法1.1~1.59のいずれか。
1.61 患者が、前記他の疼痛軽減薬への嗜癖を発症したか、またはそれを発症する危険性があった、方法1.60。
1.62 前記他の疼痛軽減薬が、非オピエート鎮痛薬(例えば非ステロイド性抗炎症薬、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、オキサプロジン、メクロフェナメート、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、ケトロラック、ジクロフェナク、スリンダク、エトドラク、トルメチン、ナブメトン、ピロキシカム、アセトアミノフェン、アスピリン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ)、オピエート鎮痛薬(例えばモルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシモルホン、ブプレノルフィン、フェンタニル、レボルファノール、メペリジン、ナルブフィン、ペンタゾシン、トラマドール、メタドン)および局所麻酔薬(例えばベンゾカイン、リドカイン、プロカイン、ブピバカイン、テトラカイン)、または他の薬物(例えば三環系抗鬱薬または抗痙攣薬、例としてアミトリプチリン、デシプラミン、デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチン、バルプロエート(valproate)、カルバマゼピン、フェニトイン)から選択される、方法1.60または1.61。
1.63 有効量が、化合物の遊離塩基の当量として測定して、1mg~1000mg、好ましくは2.5mg~50mg、または長時間作用性の製剤では25mg~1500mg、例えば50mgから500mg、または250mgから1000mg、または250mgから750mg、または75mgから300mgである、先述の方法のいずれか。
1.64 有効量が、化合物の遊離塩基の当量として測定して、1日につき1mg~100mg、好ましくは1日につき2.5mg~50mgである、先述の方法のいずれか。
1.65 本発明の化合物の有効量が、化合物の遊離塩基の当量として測定して、1mg~1000mg、例えば2.5mg~50mg、または長時間作用性の製剤では、25mg~1500mg、例えば50mgから500mg、または250mgから1000mg、または250mgから750mg、または75mgから300mgである、先述の方法のいずれか。
1.66 本発明の化合物の有効量が、化合物の遊離塩基の当量として測定して、1日につき1mg~100mg、例えば1日につき2.5mg~50mgである、先述の方法のいずれか。
1.67 本発明の化合物の有効量が、化合物の遊離塩基の当量として測定して、1日につき1mg~5mg、好ましくは2.5~5mgである、先述の方法のいずれか。
1.68 本発明の化合物の有効量が、化合物の遊離塩基の当量として測定して、1日につき2.5mgまたは5mgである、先述の方法のいずれか。
1.69 式Iの化合物が、医薬として許容できる希釈剤または担体と混和した、式Iの化合物を含む医薬組成物の形態で投与される、方法1または1.1~1.68のいずれか。
1.70 式Iの化合物が、医薬として許容できる希釈剤または担体と混和した、医薬として許容できる塩形態である、方法1.69。
1.71 医薬組成物が、例えば本明細書に記載されている医薬組成物1-Aによる徐放性または遅延放出製剤である、方法1.69または1.70。
1.72 医薬組成物が、例えば本明細書に記載されている医薬組成物1-Bによるポリマーマトリックス中の式Iの化合物を含む、方法1.69、1.70または1.71。
1.73 医薬組成物が、例えば本明細書に記載されている医薬組成物1-CまたはP.1からP.7のいずれかによる浸透圧制御放出経口デリバリー系として製剤化される、方法1.69~1.72のいずれか。
1.74 医薬組成物が、錠剤またはカプセル剤の形態である、方法1.69~1.72のいずれか。
1.75 医薬組成物が、経口、舌下またはバッカル投与のために製剤化される、方法1.69~1.72のいずれか。
1.76 医薬組成物が、急速溶解性経口錠剤(例えば急速溶解性舌下錠)である、方法1.69~1.72のいずれか。
1.77 医薬組成物が、鼻腔内または肺内投与(例えば吸入用のエーロゾル剤、ミスト剤または散剤として)のために製剤化される、方法1.69~1.72のいずれか。
1.78 医薬組成物が、注入による投与のために、例えば滅菌水溶液として製剤化される、方法1.69~1.72のいずれか。
1.79 医薬組成物が、静脈内、髄腔内、筋肉内、皮下または腹腔内注入のために製剤化される、方法1.78。
1.80 方法が、1つまたは複数の他の治療剤の並行投与をさらに含み、例えば一斉に、別々にまたは順次に投与される、方法1または1.1~1.79のいずれか。
1.81 1つまたは複数の追加の治療剤が、オピエートまたはオピオイド剤、例えばオピオイドアゴニストまたは部分オピオイドアゴニスト、例として、混合アゴニスト/アンタゴニスト(例えば部分ミュー-アゴニスト活性(partial mu-agonist activity)およびカッパ-アンタゴニスト活性を有する作用剤)を含むミュー-アゴニストもしくは部分アゴニスト、またはカッパ-アゴニストもしくは部分アゴニストを含む、方法1.80。
1.82 追加のオピエートまたはオピオイド剤が、モルヒネ、コデイン、テバイン、オリパビン、ジプロピオン酸モルヒネ、ジニコチン酸モルヒネ、ジヒドロコデイン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、オキシモルホン、フェンタニル、アルファ-メチルフェンタニル、アルフェンタニル、トレファンチニル、ブリフェンタニル、レミフェンタニル、オクフェンタニル、スフェンタニル、カルフェンタニル、メペリジン、プロジン、プロメドール、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メタドン、ジフェノキシレート、デゾシン、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、レボメトルファン、トラマドール、タペンタドールおよびアニレリジンまたはそれらの任意の組合せからなる群から選択される、方法1.80。
1.83 追加のオピエートまたはオピオイド剤が、ブプレノルフィンであり、前記方法が、抗不安、例えばGABA化合物またはベンゾジアゼピンを用いた同時処置を含まなくてもよい、方法1.80。
1.84 追加のオピエートまたはオピオイド剤が、オピオイド受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト、例えばナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、メタドン、ナロルフィン、レバロルファン、サミドルファン、ナロデイン、シプロジムまたはノルビナルトルフィミンから選択される完全オピオイドアンタゴニストである、方法1.80。
1.85 追加の治療剤が、NMDA受容体アンタゴニストであり、例えば一斉に、別々にまたは順次に投与される、方法1.80~1.84のいずれか。
1.86 NMDA受容体アンタゴニストが、ケタミン(例えばS-ケタミンおよび/またはR-ケタミン)、ヒドロキシノルケタミン、メマンチン、デキストロメトルファン、デキストロアロルファン(dextroallorphan)、デキストロルファン、アマンタジンおよびアグマチンまたはそれらの任意の組合せからなる群から選択される、方法1.85。
1.87 追加の治療剤が、GABA受容体活性を調節する化合物、GABA-B受容体アゴニスト、5-HT受容体調節因子、5-HT1A受容体アゴニスト、5-HT2A受容体アンタゴニスト、5-HT2A受容体インバースアゴニスト、メラトニン受容体アゴニスト、イオンチャネル調節因子、イオンチャネル遮断薬、SARI(セロトニン-2受容体アンタゴニスト/再取込み阻害剤)、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3受容体アゴニスト、H3受容体アンタゴニスト、ノルアドレナリン作動性受容体アゴニスト、ノルアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、ガラニン受容体アゴニスト、CRH受容体アンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモン受容体アゴニスト、エストロゲン、エストロゲン受容体アゴニスト、ニューロキニン-1薬、抗鬱薬、オピオイド受容体アゴニスト、部分オピオイド受容体アゴニスト(partial opioid receptor agonists)、オピオイド受容体アンタゴニスト、オピオイド受容体インバースアゴニスト、痛覚(nociception)/オルファニン受容体アゴニスト、典型的な抗精神病剤、非定型抗精神病剤、セロトニンHT6受容体アンタゴニストおよびmGluR-2、-3または-5受容体アゴニストまたはアンタゴニストから選択される、方法1.80~1.86のいずれか。
1.88 追加の治療剤が、GABA活性を調節する(例えば活性を向上させ、GABA伝達を促進する)化合物である、方法1.80~1.87のいずれか。
1.89 追加の治療剤が、ドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インディプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアガビン、EVT 201(Evotec Pharmaceuticals)およびエスタゾラムからなる群から選択されるGABA化合物である、方法1.88。
1.90 追加の治療剤が、ピマバンセリン、ケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン、プルバンセリン、MDL 100907(Sanofi-Aventis, France)、HY 10275(Eli Lilly)、APD 125(Arena Pharmaceuticals, San Diego, CA)およびAVE8488(Sanofi-Aventis, France)から選択されてもよい5-HT2A受容体アンタゴニストである、方法1.80~1.89のいずれか。

1.91 追加の治療剤が、メラトニン、ラメルテオン(ROZEREM(登録商標)、Takeda Pharmaceuticals, Japan)、VEC- 162(Vanda Pharmaceuticals, Rockville, MD)、PD-6735(Phase II Discovery)およびアゴメラチンの1つまたは複数からなる群から選択されてもよいメラトニン受容体アゴニストである、方法1.80~1.90のいずれか。
1.92 追加の治療剤が、ラモトリギン、ガバペンチンおよびプレガバリンから選択されてもよいイオンチャネル遮断薬である、方法1.80~1.91のいずれか。
1.93 追加の治療剤が、オレキシン、SB-334867-a(GlaxoSmithKline, UK)およびGW649868(GlaxoSmithKline)からなる群から選択されてもよいオレキシン受容体アンタゴニストである、方法1.80~1.92のいずれか。
1.94 追加の治療剤が、1つまたは複数のOrg 50081(Organon-Netherlands)、リタンセリン、ネファゾドン、セルゾーンおよびトラゾドンからなる群から選択されてもよいセロトニン-2受容体アンタゴニスト/再取込み阻害剤(SARI)である、方法1.80~1.93のいずれか。
1.95 追加の治療剤が、レピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロンおよびMN-305(MediciNova, San Diego, CA)の1つまたは複数からなる群から選択されてもよい5-HT1Aアゴニストである、方法1.80~1.94のいずれか。
1.96 追加の治療剤が、ニューロキニン-1薬であり、薬物がカソピタントであってもよい、方法1.80~1.95のいずれか。
1.97 追加の治療剤が、抗精神病剤であり、抗精神病剤が、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンからなる群から選択されてもよい、方法1.80~1.96のいずれか。
1.98 追加の治療剤が抗鬱剤であり、抗鬱剤が、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミンおよびベンラファキシンから選択されてもよい、方法1.80~1.97のいずれか。
1.99 追加の治療剤が、非定型抗精神病剤であり、作用剤が、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンからなる群から選択されてもよい、方法1.80~1.98のいずれか。
1.100 追加の治療剤が、非定型刺激薬であり、モダフィニル、アドラフィニルおよびアルモダフィニルから選択されてもよい、方法1.80~1.99のいずれか。
1.101 追加の治療剤が、L-ドーパ、コカレルドーパ(co-careldopa)、デュオドーパ、スタレボ、シンメトレル、ベンズトロピン、ビペリデン、ブロモクリプチン、エンタカポン、ペルゴリド、プラミペキソール、プロシクリジン、ロピニロール、セレギリンおよびトルカポンから選択されてもよい抗パーキンソン病剤であり、方法1.80~1.100のいずれか。
1.102 いずれか1つまたは複数の追加の治療剤が、患者に単一の医薬組成物、例えば以上に記載されているデポー組成物として投与される、方法1.80~1.101のいずれか。
1.103 いずれか1つまたは複数の追加の治療剤が、別の医薬組成物として患者に投与される、例えば一方が以上に記載されているデポー組成物であり、もう一方がそうではない(例えば経口剤形)、方法1.80~1.102のいずれか。
上で記されているように、本発明の化合物は、バイアスミュー-オピオイド受容体リガンドとしてのその能力のため、特に有用であり得る。細胞型に応じて、または同一の細胞型内でさえも、活性化されたミューオピオイド受容体の細胞内ドメインは、阻害Gタンパク質またはベータ-アレスチンと相互作用し得る。非バイアスアゴニストのミュー-オピオイド受容体への結合により、G-タンパク質シグナル伝達およびベータ-アレスチンシグナル伝達の両方のほぼ等しい活性化が生じる。
対照的に、バイアスアゴニストがミューオピオイド受容体に結合する場合、受容体の細胞内ドメインが、ベータ-アレスチンの代わりにGタンパク質と相互作用するようにバイアスをかけて結合する。したがって、本発明の化合物は、ミュー-オピオイド受容体のG-タンパク質共役シグナル伝達の部分または完全アゴニストとして作用し得るが、受容体のベータ-アレスチンシグナル伝達のアンタゴニストとしてではない。これは、旧来からのオピオイドアゴニスト、例えば、G-タンパク質シグナル伝達およびベータ-アレスチンシグナル伝達経路の両方を強く活性化する傾向があるモルヒネおよびフェンタニルとは対照的である。そのような薬物によるベータ-アレスチンシグナル伝達の活性化は、ミュー-オピオイド受容体アゴニストの鎮痛および麻酔効果が、G-タンパク質シグナル伝達経路により媒介されるのに対し、典型的にはオピオイド薬物により媒介される胃腸機能不全、嗜癖および呼吸抑制効果を媒介すると考えられる。
さらに、バイアスアゴニストがベータ-アレスチン経路に拮抗するため、オピオイドによって引き起こされる呼吸抑制を無効化することで、これらは、オピオイド過量投与の処置に一般的に有用であることが公知である。しかし有益なことに、これらはそうする一方で、疼痛の軽減ももたらす。バイアスベータ-アレスチンアンタゴニストは、最も重度のオピオイド有害作用を阻害するため、オピオイド過量投与の処置に有用と予想されるが、疼痛軽減ももたらす。
米国は現在、1990年代末に始まり、過量処方された処方オピオイド(overprescribed prescription opioids)(例えばPurdue PharmaによりOxyContinとして販売されているオキシコドン)、安く輸入された違法ヘロインの組合せに、ならびに合法および違法フェンタニルの組合せより勢いづけられている広範なオピオイド乱用蔓延の真っ只中にいる。ヘロインおよびオキシコドン(コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシモルホンおよびいくつかの他の薬物と共に)は、モルヒネの天然または半合成類似体であるが、フェンタニルは、筆頭の、かつ最も著名な新しい分類の合成オピオイドである。天然および半合成オピオイドとは異なり、フェンタニルおよびフェンタニル類似体は、モルヒネの完全な古典的五環式核の骨格を有さない。その代わり、フェンタニルおよびフェンタニル類似体は、共通の4-アミノフェニル(ピペリジン)核を共有する。最も一般的なフェンタニル類似体は、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニルおよびカルフェンタニルである。
フェンタニルおよびその類似体は、強いミュー-オピオイド受容体結合、高い脂溶性またはその両方のため、モルヒネおよびヘロインの両方より実質的に強力である。モルヒネおよびヘロインと比較して、これらの薬物は、より高い脂溶性のため血液-脳バリアの通過がよりはるかに早くなり、その結果比較できる受容体結合についてもより強力になる。フェンタニルは、一般的にヘロインより約50倍強力、モルヒネより100倍強力と考えられる(一部の出典は、モルヒネより150倍強力と指し示している)。スフェンタニルは、フェンタニルおよびカルフェンタニルより5から10倍強力、フェンタニルより約100倍強力(ひいてはモルヒネより10,000倍強力)と考えられる。
きわめて高い効力および広範に安価に入手可能なことで、アンフェタミン、ヘロインおよび他のストリートドラッグに、様々な、かつ予測不可能な量のフェンタニルの混ぜ物をすることはますます一般的になりつつある。この結果として、また他の傾向として、フェンタニルは、米国においてオピオイド過量投与の、また、とりわけオピオイド-関連死の主原因になりつつある。2016年までに、フェンタニルは、オピオイドによる死亡の原因の少なくとも50%であり、2017年および2018年には死亡の70%超に上昇した。Torralva & Janowsky, J. Pharmacol. Exp. Ther. 371:453-475 (2019)を参照されたい。実際に、アンフェタミン過量投与の割合は、ここ数年間で実質的に増加しており、主にアンフェタミンにフェンタニルの混ぜ物をすることで推進されている。わずか5年の期間で、アンフェタミンによる死亡は4倍増加し、主にフェンタニルの混ぜ物をすることにつながる。
ヒトへの使用については、3つのフェンタニル類似体しか承認されておらず(スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル)、一方、獣医学的使用については1つ(カルフェンタニル)のみが承認されている。それにも関わらず、これらの、および多くの他の新規な合成フェンタニル類似体が、アンフェタミン、ヘロイン、コカイン、アルプラゾラム(Xanax)およびヒドロコドン/パラセタモール(Norco)を含めてストリートドラッグにおいて混ぜ物として見出されている。Armenian et al., Neuropharmacology (2017)を参照されたい。2013年まで、U.Sのヘロイン供給へのフェンタニルまたはフェンタニル類似体の混入は散発的発生しかなかったが、それ以来、そのような化合物が北米に幅広く浸透し、ヘロインおよびコカインの両方で混入している。フェンタニル入りのヘロインおよびコカインでの死亡は、2012年から2014年で倍増した。路上で購入される偽造XanaxおよびNorcoは、2015~2016年にCaliforniaで2回の大発生を引き起こした。非オピオイド薬物にフェンタニルおよびフェンタニル類似体の混ぜ物をすることは、そのような薬物の使用者はオピオイドナイーブである(したがって確立された薬物耐性をほとんど有さないか、または有さない)ことが多いため特に厄介であり、ひいては著しく悪い臨床転帰を示す。標準的なフェンタニル類似体がより広まったことについて(医学設定および法医学設定の両方で)試験すると、違法製造者は、新規な合成フェンタニル誘導体に切り替えて検出を回避し始め、今日、多数のそのような違法化合物が公知であり、闇市場にて中国およびその他の製造者から入手できる。少なくとも21種の合成オピオイド化合物が、今日ではU.S.麻薬取締局により目録に載せられている。
その高い効力および高い脂溶性のため、フェンタニル-誘発過量投与は、モルヒネ、ヘロインまたはオキシコドン過量投与よりも処置がはるかに困難である。フェンタニルは、並外れて急速な作用発現を示し、このため、ミュー-受容体アンタゴニスト(例えばナロキソンまたはナルトレキソン)の処置による無効化は、外来患者の設定[EMSの応答時間、または重度の呼吸抑制を発症する時間よりも長いことが多い監視(police)]では困難になる。より多用量のミュー-受容体アンタゴニストも、フェンタニル過量投与の無効化に必要とされ、安全に投与され得るミュー-オピオイドアンタゴニストの速度および用量には限界がある。モルヒネは、ピーク効果の80%に達するのに平均19分かかるが、フェンタニルは、はるかに急速に重度の呼吸抑制を生じる。
しかし、フェンタニルおよびその類似体がさらなる作用機序を有し、この作用機序が、進行中のオピオイド蔓延においてきわめて重要になりつつあることは、さらに気がかりである。すべてのオピオイドが、まだ完全に明らかではない理由で、脳でのベータ-アレスチンシグナル伝達経路のミュー-オピオイド受容体活性化により呼吸抑制を引き起こすが、フェンタニルおよびその類似体は、急速な声帯閉鎖(喉頭痙攣)ならびに胸壁および横隔膜における重度の筋固縮の組合せも引き起こし得る。これは、フェンタニルおよびフェンタニル類似体の静脈内、経皮または吸入投与に起因し得る。モルヒネ、ヘロイン、または古典的なモルヒネ骨格を有する他のいずれのオピオイドもこの性質を有さない。この重度の胸壁固縮は、フェンタニル-誘発呼吸器筋固縮(FIRMR)(または単にフェンタニル-誘発筋固縮、FIMR)といわれており、FIRMRおよび喉頭痙攣の組合せは、臨床的にはウッデンチェスト症候群(wooden chest syndrome)(WCS)として公知である。WCSは、フェンタニル、フェンタニル類似体もしくはヘロイン、またはフェンタニルもしくはその類似体が入った他の薬物の注入のわずか1~2分以内に発症し得る。WCSは、わずか50マイクログラムの静脈内フェンタニルの後に実証されている。
WCSにおける死亡の主な原因は、声門構造および上気道の閉鎖によって引き起こされる換気の機械的妨害によるとみられる。喉頭痙攣は、声門開口部(glottic opening)の不随意閉鎖または閉塞と定義され、これは、喉頭の内在筋により制御される。これらの筋肉は、交感神経(アドレナリン作動性)の、および副交感神経(コリン作動性)の神経線維の両方により神経支配され、これらの筋肉の最終的活動は、したがって交感神経および副交感神経入力のバランスにより決定される。
FIRMRおよびWCSは、外科麻酔界では長い間公知であった(外科麻酔では、治療的用量範囲内で一般的に発生するため)が、これらの状態は、第一対応者(first responder)または救急医療界では周知されていない。これは、薬物乱用者の急死に至ることが多いが、薬物乱用者を処置する者がフェンタニルのこうした効果に気付かないためである(フェンタニルを中に有する何らかのものをとった患者の知識不足によっても複雑になることが多い)。多数の目撃者および生存者による過量投与の説明では、薬物の注入直後に、チアノーゼ、意識の消失、重度の筋固縮および発作様行動(seizure like behavior)のきわめて急速な発症が報告されている。急速に死亡に至るのは、通常はモルヒネ、ヘロインおよびオキシコドン過量投与に関連する呼吸抑制とはまったく異なる。実際に、フェンタニルまたはフェンタニル類似体過量投与での呼吸の機械的不全は、通常、薬物投与後2分未満で発症し、中枢媒介呼吸抑制(centrally-mediated respiratory depression)の前に提示される(呼吸機構における50%下落は発症するのに7~9分かかる)。
より一層気がかりなことに、オピオイド過量投与の標準的な第1選択治療薬であるナロキソン、ナルトレキソンおよびナルメフェンが、これらのフェンタニル-誘発効果の無効化において有効ではない。重度の胸壁固縮は、心肺蘇生における胸部圧迫の有効性も損なう。結果として、ヘロイン-関連過量投与での救急治療室来診対死亡の比が、約10:1と報告されている一方、フェンタニル-関連過量投与では比はわずか1:1である。
オピオイド過量投与で投与される静脈内ナロキソンの標準的な用量は、0.4から2mgであり、追加用量は2から3分間隔で最大10mgまでである。しかし、第一対応者により幅広く使用される鼻腔内ナロキソンは、4mgの最大合計用量しか推奨されていない。例えばWilliams et al., Prehospital Emergency Care 23(6):749-63 (2019)を参照されたい。しかしある研究では、モルヒネによる上気道への効果は、0.1mg/kg(例えば70-kgのヒトで7mg)の用量のナロキソンにより完全にブロックされ得るが、フェンタニルによる上気道への効果を完全にブロックするには、0.8から1.6mg/kg(70-kgのヒトで56から112mg)のナロキソンが必要とされることが見出された。2006年におけるフェンタニル過量投与の発生を調査した研究では、病院の緊急治療室で0.4から12mgのナロキソンが患者に投与され、0.4mg用量には15%の患者しか応答せず、患者26名のうち6名が、呼吸抑制を無効化するのに少なくとも6mgを必要としたことが報告された。フェンタニルで汚染された偽造ヒドロコドン/パラセタモールを過量投与された患者18名を調査した別の研究では、0.4から8mgのナロキソンの静脈内ボーラス注入が必要とされ、患者のうち4名が、26~40時間続くナロキソン注射を必要とした。
しかし残念ながら、高用量のナロキソンは、活発なオピオイド使用者ではわずか0.4mgのナロキソン(70kgの成人で0.0057mg/kg)の急速注入により、喉頭痙攣、肺水腫、血行動態不安定および心不整脈(いずれもカテコールアミンの放出による)に至ることが一般的なため、治療用途に実用的ではない。高用量ナロキソン処置はしたがって、この分野ではとりわけ禁忌である。したがってこの分野では、さらなる医学的および薬理学的裏付けはないが、フェンタニル-誘発過量投与が致命的になる前に、それを無効化するためにナロキソンを使用することは、不可能ではないにせよ、通常かなり困難である。
WCSが、単にミュー-オピオイド受容体アゴニズムの結果ではないことは、他の有力なミュー-オピオイドアゴニスト(例えばモルヒネ)はWCSを引き起こさないので、また、有力なミュー-オピオイドアンタゴニスト(例えばナロキソン)は、通常の用量範囲でWCSを無効化しないので、明らかである。したがって、フェンタニルおよびその類似体が、他の神経伝達物質系に関与するいくつかの他の機構によりWCSを引き起こすに違いない。
インビトロ研究、および様々な動物モデルの両方から証拠があり、これは、フェンタニルが、脳の青斑核(LC)領域におけるノルアドレナリン作動活性、および場合によりコリン作動活性の刺激を経由してこうした効果を発揮することを指し示す。理論に束縛されないが、LCでは、フェンタニルが、ミュー-オピオイド受容体のアゴニストとして作用し、LCニューロンの生じた過分極は、遠心性の、具体的には、胸壁および腹部で終端する脊髄の運動ニューロンに接続する青斑核脊髄線維、ならびに上頸および中頸神経節を経由して迷走神経に寄与する喉頭部の神経線維における、ノルアドレナリン作動性ニューロンの活動を生じさせると考えられている。これらの喉頭部の神経線維は、喉頭の内在筋を直接神経支配する。
アルファ1-アドレナリン受容体の役割は、特に動物実験により指し示されており、これにより、フェンタニルの10分前に静脈内投与される選択的アルファ1-アドレナリン作動性アンタゴニストであるプラゾシンは、FIMRの発現を阻害し、同一の結果が、脳のLC領域の消失(ablation)でも発生することが実証される。他の研究は、レベルL3の脊髄におけるプラゾシンの髄腔内投与も、FIMRを阻害するが、ヨヒンビン、アルファ2-アドレナリン作動性アンタゴニストの投与は阻害しないことを示す。フェンタニル自体はアルファ1-アドレナリン受容体のアンタゴニストであるが、弱く、アルファ1Bおよびアルファ1A受容体に選択性を有する(アルファ1D受容体ではない)という、動物での証拠もいくつかある。残念ながら、これらの研究は、動物研究に使用される対応するヒト用量が、ヒトにおいては致死的低血圧を生じるため、オピオイド過量投与の処置におけるアルファ1-アドレナレジック(adreneregic)アンタゴニストの有益な使用を直接予測しない。
WCSの病因においてGABA介在ニューロンによる中間的役割についての証拠も増えつつある。GABA介在ニューロンは、脳全体における阻害ネットワークの一部であり、これらは特にLCにおいて豊富である。LCは、脊髄の運動ニューロンのノルアドレナリン作動性活動を経由して、胴体における基底骨格筋の緊張の維持に対して応答するが、LCのシナプス前終末からのノルエピネフリン放出は、GABA遠心性シグナル伝達により阻害される。GABA介在ニューロンの阻害は、したがって、LCノルアドレナリン作動活性の増加により、骨格筋緊張の増加を生じる。理論に束縛されないが、フェンタニルは、GABA介在ニューロン上のミュー-オピオイド受容体に結合し、また、これによりGABA介在ニューロンの求心路の阻害が生じ、LC交感神経ニューロン上の阻害の解除を生じると考えられている。
LCニューロンには、ムスカリンおよびニコチン性アセチルコリン受容体も多いという証拠も存在する。LCは、他の脳領域、例えば橋網様体からのコリン作動性入力を受け、これらの隣接する領域におけるフェンタニル-誘発ミュー-受容体アゴニズムは、アセチルコリン放出を刺激し得、このため、LCによるノルエピネフリン放出のさらなる刺激が生じると考えられている。フェンタニルがM3ムスカリン受容体アンタゴニストとして直接作用し、これにより喉頭部の内在筋において副交感神経性緊張の阻害が生じ得、これらの筋肉の交感神経活性化から生じる痙攣がさらに増加するいくつかの証拠もある。
NMDAおよび非NMDAグルタメート受容体活性も、WCSの病因に結び付けられている。
WCSの病因における、これらの他の神経伝達物質(例えばノルエピネフリン、アセチルコリン、GABA)の中間的役割のため、WCSのミュー-オピオイドアンタゴニスト処置に対する応答不全のさらなる理由は、これらの間接的フェンタニル-刺激効果が開始すると(ミュー-受容体アゴニズムにより)、ミュー-受容体アンタゴニズムしか、既に動いている効果を無効化できないということであり得る。
最後に、モルヒネではなくフェンタニルは、ノルエピネフリン再取込み阻害剤としていくつかの活性を有するという証拠も存在する。この効果が、ナロキソンにより拮抗しないことは、様々な神経細胞株で示されており、ミュー-受容体アゴニズムの間接的効果ではないことが指し示される。したがって、フェンタニルが、LCにおけるニューロンに対して直接的効果を発揮し、FIMRおよびWCSに関与する筋肉の活動過剰を刺激することも可能である。
したがって、急性フェンタニル過量投与またはフェンタニル類似体過量投与の効果を無効化するのに特に向いている治療剤必要性が依然としてある。フェンタニル類似体は、本明細書でさらに説明されている化合物スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ならびにこれらの化合物の誘導体を含むが、それらに限定されない。フェンタニルおよびフェンタニル類似体は、本明細書ではまとめて「F/FA」と言及される。
理論に束縛されないが、本発明の化合物は、その強力な5-HT2A、Dおよびミューオピオイド調節活性のため、およびとりわけ、そのバイアスミュー-オピオイド受容体活性のため、F/FA過量投与、とりわけ呼吸抑制、胸壁固縮および喉頭痙攣の症状を無効化するのに想定外に有効になり得ると考えられている。これは特に、これらの化合物のミュー-受容体アンタゴニストとしての活性のため、ベータ-アレスチンシグナル伝達を経由すると考えられている。アルファ1-アドレナリン作動性アンタゴニストとして、間接的NMDAおよびAMPAアンタゴニストとして、および潜在的には、GABA発現ニューロンに対する間接的効果のためのこれらの化合物の活性とも考えられる。これらの性質は非常に特有であり、オピオイド過量投与処置およびオピオイドアゴニズムの外科的無効化の両方に使用される旧来からのミュー-オピオイド受容体アンタゴニスト、例えばナロキソンとは共通していない。
本明細書で開示されている化合物は、オピオイド休止またはオピオイドアンタゴニスト処置であり得る手法において、オピオイド離脱症状を誘導しないため、急性の過量投与および慢性オピオイド嗜癖の処置にも非常に有益である。オピオイド離脱症候群は、嗜癖患者に対してきわめて重度であり得、頻拍、悪心、嘔吐、下痢、極度の不安、レストレスレッグス、筋痛および大量の発汗のような症状を含み得る。これらの離脱症状は、体がオピオイドの存在に適応した結果であり、これにより耐性および物理的依存が生じた。重度のケースでは、オピオイド乱用の突然の休止またはオピオイドアンタゴニストでの処置により、数週間または数カ月続く離脱症状が生じ得る。オピオイドアンタゴニスト、例えばナロキソンまたはナルトレキソンのとりわけ高用量での投与は、とりわけF/FAの急性過量投与に罹患している患者において、急性離脱効果を誘発させるおそれがある。より弱いオピオイドアゴニスト、例えばヘロイン、アンタゴニストの過量投与に罹患している患者では、処置は、そのような離脱症候群を避けるかまたは最小化するために、少ない反復投与を使用して実施され得る。しかし、急性F/FA過量投与では、そのような少用量のアンタゴニストは無効であり、ひいては過量投与を無効化するチャンスが一切ないために、旧来からのアンタゴニスト処置で重度の離脱を避けるのは不可能なことが多い。
第3の態様のさらなる実施形態では、本開示は、方法1のさらなる実施形態を提供し、方法は、以下の1つまたは複数のための方法であって(方法1-A):
(a)F/FA過量投与を処置または無効化すること、
(b)F/FA-誘発呼吸抑制を処置または無効化すること、
(c)F/FA-誘発筋固縮を処置または無効化すること、
(d)F/A-誘発喉頭痙攣を処置または無効化すること、
(e)中枢神経系における(例えば青斑核における)F/FAのミュー-オピオイド受容体への結合を無効化または阻害すること、
(f)中枢神経系における(例えば青斑核における)F/FA-誘発ベータ-アレスチンシグナル伝達を阻害すること、
(g)F/FA過量投与による死亡を防止すること、ならびに
(h)麻酔回復(例えば手術後)
それを必要とする患者に、有効量の本発明の化合物、または本発明の化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、方法である。
方法1のこの態様のさらなる模範的な実施形態は、以下を含む:
1.104 方法が方法1-Aである、方法1または1.1~1.103のいずれか。
1.105 患者の意識がない、方法1-Aまたは1.104。
1.106 患者が、急性F/FA過量投与に罹患している疑いがある、方法1-Aまたは1.104または1.105。
1.107 患者が胸壁固縮を実証する、方法1-Aまたは方法1.104~1.106のいずれか。
1.108 患者が喉頭痙攣を実証する、方法1-Aまたは方法1.104~1.107のいずれか。
1.109 患者が、ウッデンチェスト症候群(WCS)と診断されるか、またはそれを疑われるか、またはそれを有する、方法1-Aまたは方法1.104~1.08のいずれか。
1.110 患者が、フェンタニル-誘発筋固縮(FIMR)またはフェンタニル-誘発呼吸器筋固縮(FIRMR)と診断されるか、またはそれを疑われるか、またはそれを有する、方法1-Aまたは方法1.104~1.08のいずれか(前記FIMRまたはFIRMRは、フェンタニルによって、またはフェンタニル類似体によって引き起こされる)。
1.111 患者が、病院以外の、または緊急診療所以外の設定にある、方法1-Aまたは方法1.104~1.110のいずれか。
1.112 患者が、オピオイド使用障害に罹患している疑いがあるか、またはオピオイド使用障害の病歴を有する、方法1-Aまたは方法1.104~1.111のいずれか。
1.113 患者が、オピオイドナイーブの使用者(naive opioid user)である疑いがある、方法1-Aまたは方法1.104~1.112のいずれか。
1.114 患者が、F/FAで汚染されたか、またはそれが混和された合法または違法薬物(例えばモルヒネ、ヘロイン、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、ヒドロモルフォン、マリファナもしくは大麻製品、テトラヒドロカンナビノール、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチレンジオキシメタンフェタミン、アルプラゾラムまたは他の違法または合法薬物)を過量投与されたか、または過量投与された疑いがある、方法1-Aまたは方法1.104~1.113のいずれか。
1.115 F/FAが、全身麻酔(例えば手術麻酔)であるか、またはそれとして投与される、方法1-Aまたは方法1.104~1.114のいずれか。
1.116 全身麻酔が、吸入麻酔薬(例えばイソフルラン、セボフルラン、デスフルラン、亜酸化窒素、ハロタン、メトキシフルラン)、別のオピオイドアゴニスト(例えばモルヒネ、オキシコドン)、鎮静剤もしくは睡眠薬(例えばプロポフォール、ミダゾラム、ケタミン、エトミデート)または筋弛緩剤[例えばアトラクリウム、ミバクリウム、パンクロニウム、ロクロニウム、ベクロニウム、シストラクリウム(cistracurium)、サクシニルコリン]の1つまたは複数をさらに含むかまたはそれからなる(comprises or comprised)、方法1.115。
1.117 患者が、例えば持続性呼吸抑制のため、麻酔から生じる困難を有する、方法1.115または1.116。
1.118 患者が、いずれかの経路(例えば鼻腔内、静脈内、皮下または筋肉内)により投与されるミュー-オピオイドアンタゴニスト(例えばナロキソンまたはナルトレキソン、例えば0.1から4mg)の単回投与に応答していないか、または十分に応答していない(例えば呼吸抑制の兆候または症状に関して)、方法1-Aまたは方法1.104~1.117のいずれか。
1.119 患者が、いずれかの経路(例えば鼻腔内、静脈内、皮下または筋肉内)により投与されるミュー-オピオイドアンタゴニスト(例えばナロキソンまたはナルトレキソン、例えば合計0.4から20mg)の複数回投与に応答していないか、または十分に応答していない(例えば呼吸抑制の兆候または症状に関して)、方法1-Aまたは方法1.104~1.117のいずれか。
1.120 患者が、いずれかの経路により投与されるミュー-オピオイドアンタゴニスト(例えばナロキソンまたはナルトレキソン、例えば鼻腔内、静脈内、皮下または筋肉内)の単回投与または複数回投与の後に、呼吸抑制の再発を被った、方法1-Aまたは方法1.104~1.119のいずれか。
1.121 患者が、いずれかの経路により投与されるミュー-オピオイドアンタゴニスト(例えばナロキソンまたはナルトレキソン、例えば鼻腔内、静脈内、皮下または筋肉内)の単回投与または複数回投与の後に、1つまたは複数のオピオイド離脱症状または他の有害事象(例えば激越、好戦性、喉頭痙攣、肺水腫、血行動態不安定または心不整脈)を被った、方法1-Aまたは方法1.104~1.120のいずれか。
1.122 前記ミュー-オピオイドアンタゴニストが、ナロキソン、ナルトレキソンまたはナルメフェンである、方法1.118~1.121のいずれか。
1.123 前記ミュー-オピオイドアンタゴニストが、ナロキソンである、方法1.118~1.121のいずれか。
1.124 患者が、少なくとも1回用量のナロキソンを投与され、かつ1つまたは複数のオピオイド離脱症状または有害事象に罹患しており、その結果ナロキソンのさらなる投与が禁忌である、方法1-Aまたは1.104~1.123のいずれか。
1.125 ナロキソンの使用が何らかの理由で禁忌である、方法1-Aまたは1.104~1.124のいずれか。
1.126 前記患者が、オピオイド過量投与に以前に罹患した、方法1-Aまたは1.104~1.125のいずれか。
1.127 前記患者が、毒物学的またはフォレンジック方法によりF/FA過量投与に罹患していると確認される(例えば患者の血液において、または患者の薬物もしくは薬物器具においてF/FAの存在を確認することにより)、方法1-Aまたは1.104~1.126のいずれか。
1.128 式Iの化合物の有効量が、呼吸停止、呼吸抑制、骨格筋痙攣、胸壁固縮、喉頭痙攣、縮瞳、心停止、徐脈または意識消失の1つまたは複数を無効化するのに有効な量である、方法1-Aまたは1.104~1.127のいずれか。
1.129 本発明の化合物の有効量が、0.1mg~200mg、例えば1~200mg、もしくは10~150mg、もしくは25~100mg、もしくは50~100mg、もしくは75~100mg、もしくは25~75mg、もしくは25~50mg、もしくは1~50mg、もしくは1~25mg、0.1から50mg、2.5mg~50mg、または長時間作用性の製剤では、25mg~1500mg、例えば50mgから500mg、もしくは250mgから1000mg、もしくは250mgから750mgもしくは75mgから300mgである、方法1-Aまたは1.104~1.128のいずれか。
1.130 有効量が、単回投与として投与される、方法1.129。
1.131 有効量が、2回以上の投与で30分未満(例えば20分未満、または15分未満、または10分未満)かけて投与される、方法1.129。
1.132 有効量の本発明の化合物が、鼻腔内投与(例えば吸入用のエーロゾル剤、ミスト剤または散剤として)により投与される、方法1-Aまたは1.104~1.131のいずれか。
1.133 有効量の本発明の化合物が、例えば、急速溶解性経口錠剤(例えば急速溶解性舌下錠)により、口腔粘膜を通過して投与される、方法1-Aまたは1.104~1.131のいずれか。
1.134 有効量の本発明の化合物が、注入(例えば静脈内、筋肉内、髄腔内、腹腔内または皮下注入)により投与される、方法1-Aまたは1.104~1.131のいずれか。
1.135 方法が、他のいずれかのオピオイドアンタゴニスト(例えばナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、メタドン、ナロルフィン、レバロルファン、サミドルファン、ナロデイン、シプロジムまたはノルビナルトルフィミン)の並行投与を含まない、方法1-Aまたは1.104~1.134のいずれか。
1.136 方法が、RがHである式Iの化合物、および同一の式Iの化合物のプロドラッグ(すなわち、Rは、以上に記載されているように、-C(O)-O-C(R)(R)(R)、-C(O)-O-CH-O-C(R)(R)(R)または-C(R)(R)-O-C(O)-Rである)の両方を含む医薬組成物を投与することを含む、方法1-Aまたは1.104~1.135のいずれか。
1.137 本発明の化合物が、過量投与に対する唯一の薬理学的処置である(例えば支持的インターベンション、例として酸素投与、心肺蘇生、胸部圧迫および流体投与を除く)、方法1-Aまたは1.104~1.136のいずれか。
1.138 方法が、F/FA過量投与を処置または無効化するための方法である、方法1-Aまたは1.104~1.137のいずれか。
1.139 方法が、F/FA-誘発呼吸抑制を処置または無効化するための方法である、方法1-Aまたは1.104~1.138のいずれか。
1.140 方法が、F/FA-誘発筋固縮を処置または無効化するための方法である、方法1-Aまたは1.104~1.139のいずれか。
1.141 方法が、F/A-誘発喉頭痙攣を処置または無効化するための方法である、方法1-Aまたは1.104~1.140のいずれか。
1.142 方法が、中枢神経系における(例えば青斑核における)F/FAのミュー-オピオイド受容体への結合を無効化または阻害するための方法である、方法1-Aまたは1.104~1.141のいずれか。
1.143 方法が、中枢神経系における(例えば青斑核における)F/FA-誘発ベータ-アレスチンシグナル伝達を阻害するための方法である、方法1-Aまたは1.104~1.142のいずれか。
1.144 方法が、F/FA過量投与による死亡を防止するための方法である、方法1-Aまたは1.104~1.143のいずれか。
1.145 方法が、麻酔回復(例えば手術後の、例えば麻酔覚醒)のための方法である、方法1-Aまたは1.104~1.144のいずれか。
1.146 F/FAが、本明細書全体で開示されているいずれかのF/FAである、方法1-Aまたは1.104~1.145のいずれか。
1.147 F/FAが、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、チアフェンタニル、ロフェンタニル、オクフェンタニル、トレファンチニルおよびブリフェンタニルから選択される、方法1-Aまたは1.104~1.146のいずれか。
1.148 F/FAが、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニルおよびカルフェンタニルから選択される、方法1-Aまたは1.104~1.147のいずれか。
1.149 F/FAがフェンタニルである、方法1-Aまたは1.104~1.148のいずれか。
1.150 方法が、患者において誘発される離脱、例えば頻拍、悪心、嘔吐、下痢、極度の不安、レストレスレッグス、筋痛および大量の発汗から選択される離脱症状を引き起こさない、方法1-Aまたは1.104~1.149のいずれか。
1.151 F/FAの供給源が、F/FAの混ぜ物をされる別の違法薬物、例えばコカイン、ヘロイン、オキシコドン、アンフェタミン、メタンフェタミンまたはマリファナである、方法1-Aまたは1.104~1.150のいずれか。
1.152 方法が、
(a)薬物過量投与を処置または無効化する、
(b)薬物誘導性呼吸抑制を処置または無効化する、
(c)薬物誘導性筋固縮を処置または無効化する、
(d)薬物誘導性喉頭痙攣を処置または無効化するか、または
(e)薬物過量投与による死亡を防止する
方法であって、薬物が、F/FAの混ぜ物をされた違法薬物である、方法1-Aまたは1.104~1.150のいずれか。
1.153 違法薬物が、ヘロイン、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン、オキシコドンまたはマリファナである、方法1.152。
1.154 過量投与、呼吸抑制、筋固縮、喉頭痙攣および/または死亡の危険性が、主にまたはもっぱら、違法薬物におけるF/FAの混ぜ物による(例えばF/FAの混ぜ物がなければ、前記違法薬物は、前記過量投与、呼吸抑制、筋固縮、喉頭痙攣および/または死亡の危険性を引き起こさない)、方法1.152または1.153。
本開示の化合物(すなわち、本発明の化合物)および本開示の医薬組成物は、第2の治療剤と組み合わせて、特に、個々の作用剤が単剤療法として使用される場合より低い投与量で使用されて、従来の単剤療法で一般的に発生する望ましくない副作用を引き起こさずに、合わせた作用剤の治療活性を向上させることができる。したがって、本開示の化合物は、本明細書で上に記載されている他の治療剤、例えばオピエート、オピオイド、鎮痛薬、抗鬱薬、抗精神病薬(anti-psychotic)、他の睡眠剤、および/またはパーキンソン病もしくは気分障害を処置するのに使用する作用剤(agents use to treat)と一斉に、順次にまたは同時に投与され得る。
本開示の化合物が、1つまたは複数の第2の治療剤と共に投与される方法1以下の実施形態のいずれかでは、1つまたは複数の第2の治療剤は、本開示の化合物を含む医薬組成物の一部として投与され得る。あるいは、1つまたは複数の第2の治療剤は、本開示の化合物の投与と、一斉に、順次にまたは別々に投与される別の医薬組成物(例えば丸剤、錠剤、カプセル剤および注入剤)中で投与され得る。
本開示のいくつかのさらなる実施形態では、本開示の医薬組成物は、第2の治療剤と組み合わせて、特に個々の作用剤が単剤療法として使用される場合より低い投与量で使用されて、望ましくない副作用を引き起こさずに、合わせた作用剤の治療活性を向上させることができ、第2の治療剤は、オピオイドアンタゴニストまたはインバースアゴニスト(例えばナロキソン)である。本開示の化合物は、そのようなオピオイドアンタゴニストまたはオピオイドインバースアゴニストと、一斉に、順次にまたは同時に投与され得る。
第4の態様では、本開示は、方法1または方法1.1~1.154のいずれかに従って使用するための医薬の製造における、本発明の化合物の使用を提供する。別の実施形態では、本開示は、方法1または方法1.1~1.154のいずれかに従って疾患または障害の処置に使用するための、本発明の化合物を提供する。
詳細な説明
式Aの化合物および関連化合物は、多彩で有用な医薬的性質を有することが示されており、その各々は、本開示の化合物の多くで共通していると予想される。そのような性質、およびそのような治療薬の効能を裏付けるデータは、例えば米国特許第10,245,260号、米国特許第11,376,249号、米国特許出願公開第2021/0093634号、国際公開第2021/154519号、米国特許出願公開第2022/0088014号、国際公開第2020/206391号、米国特許出願公開第2022/0184072号、米国仮出願第63/262,732号およびPCT/US2022/078177で開示されており、その各々の内容は、参照によりその全体が本明細書によって組み込まれる。
例えば、式Aの化合物は、中等度のD受容体およびSERTアンタゴニズムと共に、強力な5-HT2A、Dおよびミューオピオイド受容体アンタゴニズムを有する。さらに、そのような化合物は、「バイアス」ミューオピオイド受容体リガンドとして作動し得ることが想定外に見出されている。これは、化合物がミューオピオイド受容体に結合する場合、化合物は、G-タンパク質共役シグナル伝達を経由する部分ミューアゴニストとして作動し得るが、ベータ-アレスチンシグナル伝達を経由するミューアンタゴニストとして作用する可能性があることを意味する。これは、G-タンパク質シグナル伝達およびベータ-アレスチンシグナル伝達の両方を強く活性化する傾向がある旧来からのオピオイドアゴニストであるモルヒネおよびフェンタニルとは対照的である。そのような薬物によるベータ-アレスチンシグナル伝達の活性化は、典型的にはオピオイド薬物により媒介される胃腸機能不全および呼吸器抑制を媒介すると考えられる。本発明の化合物は、したがって、重度の胃腸および呼吸器の副作用を既存のオピオイド鎮痛薬よりも少なくして、疼痛緩和を生じると予想される。この効果は、バイアスミューアゴニストであるオリセリジンの前臨床研究、ならびに第II相および第III相の臨床トライアルで示されている。オリセリジンは、モルヒネと比較してベータ-アレスチング(beta-arresting)シグナル伝達を低下させ、G-タンパク質共役シグナル伝達を経由してバイアスミューアゴニズムを生じると示されており、これは、モルヒネと比較して呼吸器副作用を低下させ鎮痛を生じる能力につながっている。さらに、これらの化合物は、ベータ-アレスチン経路に拮抗するため、疼痛軽減ももたらしつつも、最も重度のオピオイド有害作用を阻害するので、オピオイド過量投与の処置に有用と予想される。さらに、これらの化合物は、セロトニン作動活性による睡眠維持効果も有する。慢性的疼痛に罹患している多くの人々は、疼痛による睡眠困難を示すので、これらの化合物は、セロトニン作動およびオピオイド受容体活性の相乗効果のため、そのような患者の睡眠を一晩中助けることができる。
したがって、ある実施形態では、本開示の化合物は、単体で、またはオピオイドアンタゴニストまたはインバースアゴニスト(例えばナロキソンまたはナルトレキソン)と共に、オピオイド使用障害(OUD)、オピオイド過量投与またはオピオイド離脱を処置する方法に使用され得る。本開示の化合物は、薬物離脱(例えば気分および不安障害、睡眠障害)に関連する不快気分および精神医学的併存症を和らげる強い能力を示すと予想され、これは、強力な鎮痛ももたらすが、有害作用(例えばGI効果および肺抑制)、および他のオピオイド処置(例えばオキシコドン、メタドンまたはブプレノルフィン)で見られる乱用の可能性を伴わない。これらの化合物の特有の薬理学的プロファイルは、有害な薬物-相互作用(例えばアルコール)の危険性も和らげるはずである。これらの化合物は、したがってオピオイド使用障害およびオピオイド離脱に関連する症状の処置に特に向いている。ミュー受容体活性に対する化合物の直接的効果に加えて、セロトニン作動性経路に対する化合物の効果により、抗鬱、睡眠維持および抗不安効果が生じる。鬱病および不安は、第一にオピオイドの使用に感受性がある患者を導く重要な要因であるため、本開示の化合物は、オピオイド使用を促進する精神医学的併存症を低下させると同時に、オピオイド離脱の症状の両方を低下させ、二面的方略が軽減の危険性を低下させる。これらの化合物により得られる睡眠維持は、OUD処置を受けた患者のクオリティオブライフをさらに改善する。
別途指定がなければ、または文脈から明らかであれば、本明細書で使用されている以下の用語は、以下の意味を有する。
「オピエート」および「オピオイド」という用語は異なり、「オピエート」は、ケシ(opium poppy)に由来する天然生成物、例えばモルヒネ、コデインおよびヘロインを指すが、「オピオイド」は、これらの天然化合物、ならびにその半合成および合成誘導体、例えばフェンタニルおよびその類似体を指すことが理解される。
本明細書で使用されている「アルキル」は、別途指し示されない限り、例えば長さが炭素原子1から21個の飽和または不飽和炭化水部分であり、そのようないずれかのアルキルは、特に指定がない限り、直鎖または分岐(例えばn-ブチルまたはtert-ブチル)であり得、好ましくは直鎖である。例えば「C21アルキル」は、1から21個の炭素原子を有するアルキルを表す。一実施形態では、アルキルは、1つまたは複数のヒドロキシまたはC1~22アルコキシ(例えばエトキシ)基で適宜置換されている。別の実施形態では、アルキルは、1から21個の炭素原子を含有し、好ましくは直鎖であり、飽和または不飽和であってもよく、例えばRが、1から21個の炭素原子、好ましくは6~15個の炭素原子、16~21個の炭素原子を含有するアルキル鎖であるいくつかの実施形態では、例えばその結果、それが付着している-C(O)-と共に、例えば式Iの化合物から切断される場合、天然または非天然、飽和または不飽和脂肪酸の残基を形成する。
「医薬として許容できる希釈剤または担体」という用語は、医薬品に有用である、また、アレルゲン性、発熱物質性または病原性である、また、疾病を潜在的に引き起こすまたは促進することが公知である物質を含まない希釈剤および担体を意味することが意図される。医薬として許容できる希釈剤または担体は、したがって体液、例えば(such as example)血液、尿、脊髄液、唾液、ならびにそれらの構成成分、例として血液細胞および循環タンパク質を排除する。好適な医薬として許容できる希釈剤および担体は、医薬製剤に関するいくつかの周知の専門書、例えばAnderson, Philip O.; Knoben, James E.; Troutman, William G, eds., Handbook of Clinical Drug Data, Tenth Edition, McGraw-Hill, 2002; Pratt and Taylor, eds., Principles of Drug Action, Third Edition, Churchill Livingston, New York, 1990; Katzung, ed., Basic and Clinical Pharmacology, Ninth Edition, McGraw Hill, 20037ybg; Goodman and Gilman, eds., The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition, McGraw Hill, 2001; Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Ed., Lippincott Williams & Wilkins., 2000; and Martindale, The Extra Pharmacopoeia, Thirty-Second Edition (The Pharmaceutical Press, London, 1999)のいずれかで見出され得、それらのすべては、本明細書の参照により全体が組み込まれる。
化合物に対する「精製される」、「精製した形態で」または「単離および精製した形態で」という用語は、合成プロセスから(例えば反応混合物から)、または天然供給源、またはそれらの組合せから単離された後の、前記化合物の物理的状態を指す。したがって、化合物について「精製される」、「精製した形態で」または「単離および精製した形態で」という用語は、本明細書に記載されているか、または当業者に周知の標準的な分析技術による特徴付けを可能にするのに十分な純度で、本明細書に記載されているか、または当業者に周知の精製プロセス(例えばクロマトグラフィー、再結晶化、LC-MSおよびLC-MS/MS技術)から得られた後の、前記化合物の物理的状態を指す。
特に指示がない限り、本開示の化合物、例えば、化合物Iまたは1.1~1.20(まとめて本発明の化合物)は、遊離塩基形態または塩形態、例えば医薬として許容できる塩形態で、例として酸付加塩として存在し得る。十分に塩基性である本発明の化合物の酸-付加塩、例えば無機または有機酸、例として塩酸またはトルエンスルホン酸との酸-付加塩。さらに、十分に酸性である本発明の化合物の塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウムもしくはカリウム塩、または生理学的に許容できるカチオンが得られる有機塩基との塩である。特定の実施形態では、本発明の化合物の塩は、トルエンスルホン酸付加塩である。
本発明の化合物は、医薬品としての使用が意図され、したがって医薬として許容できる塩が好ましい。医薬的使用に好適ではない塩は、例えば本発明の遊離化合物の単離または精製に有用であり得、ひいては本開示の化合物の範囲内にやはり含まれる。
本発明の化合物は、純粋、または実質的に純粋な鏡像異性体形態、例えば、70%超の鏡像異性体過剰率(「ee」)、好ましくは80%超のee、より好ましくは90%超のee、最も好ましくは95%超のeeであってよい。本開示の化合物は、式Iの化合物の鏡像異性体を一定量含む混合物、ならびにそのジアステレオ異性体混合物を包含すると理解されるべきである。前記異性体の精製および前記異性体混合物の分離は、当業界で公知の標準的技術(例えばカラムクロマトグラフィー、分取TLC、分取HPLC、擬似移動床)により達成され得る。
本開示の化合物が、その安定および不安定な同位体を包含することも意図される。安定な同位体は、同種の豊富な核種(すなわち元素)と比較して、1個の追加の中性子を含有する非放射性同位体である。そのような同位体を含む化合物の活性は保たれ、そのような化合物は、非同位体類似体の薬物動態を測定する有用性も有すると予想される。例えば、本開示の化合物上におけるある位置での水素原子は、ジュウテリウム(非放射性である安定な同位体)で置き換えられ得る。公知の安定な同位体の例は、ジュウテリウム(HまたはD)、13C、15N、18Oを含むが、それらに限定されない。あるいは、同種の豊富な核種(すなわち元素)と比較して、追加の中性子を含有する放射性同位体である不安定な同位体、例えば123I、131I、125I、11C、18Fは、I、CおよびFの対応する豊富な種に置き換わり得る。本発明の化合物の有用な同位体の別の例は、11C同位体である。これらの放射性同位体は、本発明の化合物の放射性画像化および/または薬物動態学的研究に有用である。さらに、分布する天然の同位体を有する原子の、より重い同位体での置換により、これらの置換が代謝の起こりやすい部位(metabolically liable sites)でなされる場合、薬物動態速度に望ましい変化が生じ得る。例えば水素の代わりにジュウテリウム(H)を組み込むと、水素の位置が酵素または代謝活性の部位である場合、代謝分解が遅くなり得る。
本開示の化合物は、例えば本発明の化合物を本明細書で以前に記載されているポリマーマトリックス中に分散させる、溶解するか、またはカプセル化することにより、デポー製剤として含まれ得、その結果化合物は、ポリマーが経時的に分解するにつれて継続して放出される。ポリマーマトリックスからの本発明の化合物の放出により、例えば医薬デポー組成物から、医薬デポーが投与される対象、例えば温血動物、例としてヒトに、化合物が制御放出および/または遅延放出および/または徐放される。したがって、医薬デポーは、本発明の化合物を、特定の疾患または医学的状態の処置に有効な濃度で、ある持続時間、例えば14~180日、好ましくは約30、約60または約90日かけて対象に送達する。
本発明の組成物(例えば本発明のデポー組成物)中のポリマーマトリックスに有用なポリマーは、ヒドロキシ脂肪酸およびその誘導体のポリエステル、または他の作用剤、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ-ベータ.-ヒドロキシ酪酸、イプシロン.-カプロ-ラクトン開環ポリマー、乳酸-グリコール酸コポリマー、2-ヒドロキシ酪酸-グリコール酸コポリマー、ポリ乳酸-ポリエチレングリコールコポリマーもしくはポリグリコール酸-ポリエチレングリコールコポリマー)、アルキルアルファ-シアノアクリレート(例えばポリ(ブチル2-シアノアクリレート))、ポリアルキレンオキサレート(例えばポリトリメチレンオキサレートまたはポリテトラメチレンオキサレート)、ポリオルトエステル、ポリカーボネート(例えばポリエチレンカーボネートまたはポリエチレン-プロピレンカーボネート)、ポリオルト-カーボネート、ポリアミノ酸(例えばポリ-ガンマ.-L-アラニン、ポリ-.ガンマ.-ベンジル-L-グルタミン酸またはポリ-y-メチル-L-グルタミン酸)、ヒアルロン酸エステルなどのポリマーを含み得、これらのポリマーの1つまたは複数が使用され得る。
ポリマーがコポリマーである場合、これらは、ランダム、ブロックおよび/またはグラフトコポリマーのいずれかであり得る。上のアルファ-ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸およびヒドロキシトリカルボン酸が、その分子に光学活性を有する場合、D-異性体、L-異性体および/またはDL-異性体のいずれか1つが使用され得る。とりわけ、アルファ-ヒドロキシカルボン酸ポリマー(好ましくは乳酸-グリコール酸ポリマー)、そのエステル、ポリ-アルファ-シアノアクリル酸エステルなどが使用され得、乳酸-グリコール酸コポリマー(ポリ(ラクチド-アルファ-グリコリド)またはポリ(乳酸-co-グリコール酸)ともいわれ、以下PLGAといわれる)が好ましい。したがって、一態様では、ポリマーマトリックスに有用なポリマーはPLGAである。本明細書で使用されているPLGAという用語は、乳酸(ポリラクチド、ポリ(乳酸)またはPLAともいわれる)のポリマーを含む。最も好ましくは、ポリマーは、生分解性ポリ(d,l-ラクチド-co-グリコリド)ポリマーである。
好ましい実施形態では、本発明のポリマーマトリックスは、生体適合性かつ生分解性ポリマー材料である。「生体適合性がある」という用語は、毒性ではなく、発癌性ではなく、体組織に炎症を著しく誘導しないポリマー材料と定義される。マトリックス材料は生分解性であるべきであり、ポリマー材料は、体内プロセスにより、体に容易に排出可能な生成物に分解すべきであり、体に蓄積すべきではない。ポリマーマトリックスが体と生体適合性があるという点で、生分解の生成物も体と生体適合性があるべきである。ポリマーマトリックス材料の詳細な有用な例は、ポリ(グリコール酸)、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-乳酸、先述のコポリマー、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸-カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸-カプロラクトン)、ポリ無水物、ならびにアルブミン、カゼインおよびワックス、例えばグリセロールモノ-およびジステアレートを含む天然ポリマーを含む。本発明の実践における使用に好ましいポリマーは、dl(ポリラクチド-co-グリコリド)である。そのようなコポリマーにおけるラクチド対グリコリドのモル比は、約75:25から50:50の範囲であることが好ましい。
有用なPLGAポリマーは、約5,000から500,000ダルトン、好ましくは約150,000ダルトンの重量-平均分子量を有し得る。達成される分解の速度に応じて、異なる分子量のポリマーを使用してよい。薬物放出の拡散機構について、ポリマーは、薬物のすべてがポリマーマトリックスから放出されるまで無傷のままで、次いで分解するべきである。薬物は、ポリマー賦形剤が生体侵食する(bioerodes)につれて、ポリマーマトリックスからも放出され得る。
PLGAは、従来の方法のいずれかにより調製してよく、または市販であってよい。例えばPLGAは、環状ラクチド、グリコリドなどから、好適な触媒を用いた開環重合により生成され得る(欧州特許第0058481号B2;Effects of polymerization variables on PLGA properties:molecular weight, composition and chain structureを参照されたい)。
PLGAは、生物学的条件下で(例えば水、および温血動物、例としてヒトの組織で見出される生体酵素の存在下で)、加水分解性かつ酵素的に切断可能なエステル結合が崩壊して、乳酸およびグリコール酸を形成することでの、固体ポリマー組成物全体の分解によって生分解性であると考えられている。乳酸およびグリコール酸のどちらも水溶性で非毒性の、通常の代謝の生成物であり、これはさらに生分解して、二酸化炭素および水を形成し得る。言い換えれば、PLGAは、例えば温血動物、例としてヒトの体内における水の存在下で、そのエステル基の加水分解によって分解して、乳酸およびグリコール酸を生成し、酸性の微気候を作り出すと考えられている。乳酸およびグリコール酸は、通常の生理学的条件下での温血動物、例としてヒトの体内における様々な代謝経路の副生成物であり、ひいては十分な耐容性を示し、最小限の全身毒性しか生成しない。
別の実施形態では、本発明に有用なポリマーマトリックスは、ポリエステルの構造が星状である星型ポリマーを含み得る。これらのポリエステルは、酸残基鎖に囲まれている中心部分として単一のポリオール残基を有する。ポリオール部分は、例えばグルコース、または例えばマンニトールであり得る。これらのエステルは公知であり、英国特許第2,145,422号および米国特許第5,538,739号に記載されており、その内容は、参照により組み込まれる。
星型ポリマーは、ポリヒドロキシ化合物、例えばポリオール、例としてグルコースまたはマンニトールを開始剤として使用して調製され得る。ポリオールは、少なくとも3個のヒドロキシ基を含有し、最大約20,000ダルトンの分子量を有し、ポリラクチドまたはco-ポリラクチド鎖を含有するポリオールのヒドロキシ基の少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、例えば平均として3個がエステル基の形態である。分岐ポリエステル、例えばポリ(d,l-ラクチド-co-グリコリド)は、直鎖状ポリラクチド鎖のレイ(rays)を有する中心グルコース部分を有する。
以上に記載されている本発明のデポー組成物(本発明の化合物をポリマーマトリックス中に有する長時間作用性の注入用組成物)は、ポリマーを、本発明の化合物が分散しているか、もしくはカプセル化されている微小粒子もしくはナノ粒子の形態で、または液体形態で含み得る。「微小粒子」は、本発明の化合物を溶液または固体形態で含有し、そのような化合物が、粒子のマトリックスとしての機能を果たすポリマー内に分散しているか、または溶解している固体粒子を意味する。ポリマー材料の適切な選択により、生じた微小粒子が拡散放出性および生分解放出性の両方を呈する微小粒子製剤を作ることができる。
ポリマーが微小粒子の形態である場合、微小粒子は、いずれかの適切な方法を使用して、例えば溶媒蒸発または溶媒抽出法により調製され得る。例えば溶媒蒸発法では、本発明の化合物およびポリマーは、揮発性有機溶媒(例えばケトン、例としてアセトン、ハロゲン化炭化水素、例としてクロロホルムまたは塩化メチレン、ハロゲン化芳香族炭化水素、環状エーテル、例としてジオキサン、エステル、例として酢酸エチル、ニトリル、例としてアセトニトリル、またはアルコール、例としてエタノール)に溶解され得、好適なエマルション安定剤(例えばポリビニルアルコール、PVA)を含有する水性相中に分散され得る。有機溶媒を、カプセル化された本発明の化合物を有する微小粒子を得るために次いで蒸発させる。溶媒抽出法では、本発明の化合物およびポリマーは、極性溶媒(例えばアセトニトリル、ジクロロメタン、メタノール、酢酸エチルまたはギ酸メチル)に溶解され、次いで水性相(例えば水/PVA溶液)中に分散され得る。エマルションは、カプセル化された本発明の化合物を有する微小粒子を得るために生成される。噴霧乾燥は、微小粒子を調製するための代替製造技術である。
本発明の微小粒子を調製するための別の方法は、米国特許第4,389,330号および米国特許第4,530,840号のどちらにも記載されている。
本発明の微小粒子は、微小粒子を、注入用組成物における使用に許容できる大きさの範囲で生成することが可能である、いずれかの方法により調製され得る。調製の好ましい一方法は、米国特許第4,389,330号に記載されているものである。この方法では、活性剤が、適切な溶媒中に溶解または分散される。作用剤を含有する媒体に、ポリマーマトリックス材料が、望ましい活性剤の負荷量を有する生成物を得る活性成分に相対的な量で添加される。微小粒子生成物の原料のすべては、溶媒媒体中で一緒にブレンドされてもよい。
本発明の化合物、および本発明の実践に用いられ得るポリマーマトリックス材料を含むそのような組成物を作るための溶媒は、有機溶媒、例えばアセトン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロホルム、塩化メチレンなど;芳香族炭化水素化合物;ハロゲン化芳香族炭化水素化合物;環状エーテル;アルコール、例えばベンジルアルコール;酢酸エチルを含む。一実施形態では、本発明の実践に使用するための溶媒は、ベンジルアルコールおよび酢酸エチルの混合物であり得る。本発明に有用な微小粒子の調製についてのさらなる情報は、米国特許出願公開第2008/0069885号で見出すことができ、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
微小粒子に組み込まれる本開示の化合物の量は、通常約1wt.%から約90wt.%、好ましくは30から50wt.%、より好ましくは35から40wt.%の範囲である。重量%は、微小粒子の合計重量に対する本開示の化合物の部分を意味する。
医薬デポー組成物は、医薬として許容できる希釈剤または担体、例えば水混和性希釈剤または担体を含み得る。
浸透圧-制御放出経口デリバリー系組成物の詳細は、EP1 539 115[米国特許公開(U.S. Pub.)第2009/0202631号]およびWO2000/35419(US2001/0036472)で見出すことができ、その各々の内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
「治療有効量」は、疾患または障害に罹患した対象に投与される場合、処置が意図されている時間をかけて、疾患または障害の低下、軽減または退縮を引き起こすのに有効である本発明の化合物(例えば医薬デポーに含有される)のある量である。
本発明の実践に用いられる投与量は、例えば処置される特定の疾患または状態、使用される特定の本発明の化合物、投与の様式および望ましい治療に応じてもちろん変動する。特に指示がない限り、投与するための本発明の化合物(遊離塩基としてまたは塩形態としてのどちらかで投与される)の量は、遊離塩基形態の本発明の化合物の量を指すか、またはそれに基づく(すなわち、量の計算は遊離塩基量に基づく)。
本発明の化合物は、経口、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)または経皮を含むいずれかの満足できる経路により投与され得る。ある実施形態では、例えばデポー製剤中の本発明の化合物は、好ましくは、例えば注入、例として筋肉内または皮下注入により非経口投与される。
一般に、本明細書で開示されている処置する方法、または以上に記載されている本発明の化合物の使用について満足できる結果は、上で明記されているように、1日1回約1mgから100mg程度、経口投与で、好ましくは1日1回2.5mg~50mg、例えば2.5mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mgまたは50mgの投与量で、好ましくは経口投与により得られると指し示される。
いくつかの疾患処置では、特に睡眠障害処置について、1日1回、好ましくは経口投与によるより少ない用量、例えば約2.5mg~5mg、例として2.5mg、3mg、4mgまたは5mgの、遊離または医薬として許容できる塩形態の本発明の化合物は、満足できる。
第2の治療剤の同時投与を伴う処置の方法について満足できる結果は、1日1回100mg未満、好ましくは50mg未満、例えば40mg未満、30mg未満、20mg未満、10mg未満、5mg未満、2.5mg未満の用量で得られる。
デポー組成物がより長い作用持続時間を達成するために使用される、本明細書で開示されている障害の処置について、投与量は、より短い作用の組成物と比較してより高くなり、例えば1~100mgより高く、例えば25mg、50mg、100mg、500mg、1,000mgまたは1000mg超である。本開示の化合物の作用持続時間は、ポリマー組成物の操作、すなわちポリマー:薬物比および微小粒子の大きさにより制御され得る。本発明の組成物がデポー組成物である場合、注入による投与が好ましい。
本開示の化合物の医薬として許容できる塩は、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から、従来の化学的方法により合成され得る。一般的に、そのような塩は、これらの化合物の遊離塩基形態を、化学量論量の適切な酸と、水中、または有機溶媒中、またはこの2つの混合物中で反応させることにより調製され得、一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。これらの塩、例えば非晶質または結晶形態のトルエンスルホン酸塩を調製するためのさらなる詳細は、U.S.8,309,722、8.648,077、9,199,995および9,586,960で見出すことができる。
本開示の化合物を含む医薬組成物は、従来の希釈剤または賦形剤(例はゴマ油を含むが、それに限定されない)およびガレノス製剤分野で公知の技術を使用して調製され得る。したがって、経口剤形は、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁液剤などを含み得る。
「並行に」という用語は、治療用途を指す場合、2つ以上の活性剤が、同一の時間もしくは異なる時間のどちらで付与されるかを問わず、または同一の投与の経路もしくは異なる経路のどちらで付与されるかを問わず、疾患または障害を処置するためのレジメンの一部として、2つ以上の活性成分の患者への投与を意味する。2つ以上の活性成分の並行投与は、同日の異なる時間、または異なる日付、または異なる回数であり得る。
「一斉に」という用語は、治療用途を指す場合、同一の投与経路による、2つ以上の活性成分の投与またはほぼ同時の投与を意味する。
「別々に」という用語は、治療用途を指す場合、異なる投与経路による、2つ以上の活性成分の、同時またはほぼ同時の投与を意味する。
本発明の化合物を作る方法
以下に記載されている合成スキームに使用される中間体の合成を含む、式Aの化合物およびその合成方法は、例えばU.S.10,245,260およびUS2022/0041600およびUS2022/0064166で開示されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書によって組み込まれる。本開示の化合物は、式Iの化合物、またはその合成中間体の反対の鏡像異性体が単離および精製される、同様の手順を使用して調製され得る。
同様の縮合ガンマ-カルボリンの合成は、例えばU.S.8,309,722、U.S.8,993,572、US2017/0183350、WO2018/126140およびWO2018/126143で開示されており、その各々の内容は、参照によりその全体が組み込まれる。本開示の化合物は、同様の手順を使用して調製され得る。
本発明の化合物のジアステレオ異性体の単離または精製は、当業界で公知の従来の方法、例えばカラム精製、分取薄層クロマトグラフィー、分取HPLC、結晶化、粉砕、擬似移動床により達成され得る。
本開示の化合物の塩は、米国特許第6,548,493号、米国特許第7,238,690号、米国特許第6,552,017号、米国特許第6,713,471号、米国特許第7,183,282号、米国特許第8,648,077号、米国特許第9,199,995号、米国特許第9,586,860号、米国再発行特許第39680号および米国再発行特許第39679号に記載されているものと同様に調製され得、その各々の内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
実施例1
trans-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3-デ]キノキサリン-2(3H)-オン(ラセミ混合物)の合成
実施例1の化合物は、以下のスキームに従って調製され得る。
ステップA:(4aR,9bR)-2-ベンジル-6-ブロモ-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール(2)。THF(10mL)中の2-ベンジル-6-ブロモ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール(5.50g、16mmol)の懸濁液に、ボラン(THF中1.0M、150mL)を室温にてゆっくり添加する。生じた溶液を40℃に加熱し、週末にかけて撹拌する。室温に冷却した後で、反応混合物を濃縮し、HCl(6N、37mL)を添加する。混合物を100℃に加熱し、0.5h撹拌し、次いで室温に冷却する。水(45mL)を添加し、沈殿物を濾取する。濾液を塩基性化し、濃縮する。残渣を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH(10:1:0.1v/v/v)]の勾配を使用してカラムクロマトグラフィーで精製する。ラセミ表題化合物(化合物2)を白色泡状物(1.56g、収率28%)として得る。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.34 (d, J = 5.8 Hz, 4H), 7.28 (dt, J = 5.9, 2.2 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 8.2, 1.1 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 6.56 (dd, J = 8.1, 7.2 Hz, 1H), 5.77 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 3.65 (s, 2H), 3.49 - 3.37 (m, 2H), 3.01 - 2.89 (m, 1H), 2.85 - 2.69 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 2.16 - 2.05 (m, 1H), 2.05 - 1.98 (m, 1H), 1.86 - 1.66 (m, 1H). HRMS (ESI) m/z C18H20BrN2 [M+H]+の計算値: 343.0804; 実測値: 343.0828.
ステップB:2-((4aR,9bR)-2-ベンジル-6-ブロモ-1,2,3,4,4a,9b-ヘキサヒドロ-5H-ピリド[4,3-b]インドール-5-イル)アセトアミド(3)。トルエン(4mL)中の化合物2(0.420g、1.22mmol)の脱気した懸濁液に、0℃にてリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(トルエン中1.0M、4mL)を添加し、混合物を0.5h撹拌する。クロロアセトアミド(0.112g、1.22mmol)を添加し、混合物を室温にて終夜撹拌する。反応混合物をメタノール(5mL)でクエンチし、濃縮する。残渣をジクロロメタン(100mL)中で懸濁し、水(20mL)で洗浄し、次いでMgSOで脱水する。ジクロロメタン相を分離し、蒸発乾固させる。残渣を、酢酸エチル中の0~50%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH(10:1:0.1v/v/v)]の勾配を使用してカラムクロマトグラフィーで精製する。ラセミ表題化合物(化合物3)を白色固体(0.340g、収率69%)として得る。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.49 (s, 2H), 7.32 (m, 4H), 7.29 - 7.22 (m, 1H), 6.99 - 6.93 (m, 2H), 6.58 (m, 1H), 4.18 - 3.86 (m, 2H), 3.73 - 3.52 (m, 2H), 3.46 (m, 1H), 3.42 (m, 1H), 3.04 - 2.92 (m, 1H), 2.75 (m, 1H), 2.15 (t, J = 10.5 Hz, 1H), 2.11 - 2.00 (m, 1H), 1.95 (m, 1H), 1.66 (dd, J = 11.7, 4.0 Hz, 1H). HRMS (ESI) m/z C20H23BrN3O [M+H]+の計算値: 400.1019; 実測値: 400.1041.
ステップC:(6bR,10aR)-8-ベンジル-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3-デ]キノキサリン-2(3H)-オン(4)。ジオキサン(10mL)中のラセミ化合物3(0.92g、2.3mmol)、KCO(0.69g、5.1mmol)およびCuI(0.11g、0.58mmol)の混合物を、アルゴンで5minバブリングする。この混合物にN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(0.20mL)を添加し、生じた懸濁液を100℃にて48h撹拌する。混合物を室温に冷却し、シリカゲルパッド上に注いで濾過する。濾過ケーキを酢酸エチル/メタノール/7N NH(20:1:0.1 v/v/v)(200mL)ですすぐ。濾液を濃縮乾固して、表題化合物(化合物4)を白色固体(0.157g、収率21%)として得る。この粗生成物を次の反応に、さらなる精製なしで直接使用した。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.35 (s, 1H), 7.35 (d, J = 5.5 Hz, 4H), 7.27 (m, 1H), 6.86 - 6.64 (m, 2H), 6.60 (dt, J = 7.6, 1.1 Hz, 1H), 3.78 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 3.70 - 3.54 (m, 2H), 3.51 - 3.41 (m, 1H), 2.98 (dt, J = 11.8, 3.3 Hz, 1H), 2.84 (m, 1H), 2.51 (m, 2H), 2.30 - 2.09 (m, 2H), 2.04 (dd, J = 11.8, 3.1 Hz, 1H), 1.80 - 1.61 (m, 1H). HRMS (ESI) m/z C20H22N3O [M+H]+の計算値: 320.1757; 実測値: 320.1745.
ステップD:(6bR,10aR)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3-デ]キノキサリン-2(3H)-オン(5)。Pd/C(0.011g)を、メタノール(45mL)中のラセミ化合物4(0.050g、0.16mmol)の溶液(45mL)に添加する。混合物を水素で脱気し、水素雰囲気下で終夜撹拌する。溶媒を除去し、残渣を、酢酸エチル中の0~100%混合溶媒[メタノール/7N NH(10:1:0.1v/v)]の勾配を使用して、カラムクロマトグラフィーで精製する。表題化合物(化合物5)を白色固体(0.021g、収率57%)として得る。MS (ESI) m/z 230.1 [M+H]
ステップE:(6bR,10aR)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3-デ]キノキサリン-2(3H)-オン(6)。DMF(3.0mL)中のラセミ化合物5(0.021g、0.09mmol)、1-(3-クロロプロポキシ)-4-フルオロベンゼン(25μL、0.14mmol)およびKI(0.023g、0.14mmol)の混合物をアルゴンで3minバブリングし、次いでDIPEA(25μL、0.14mmol)を添加する。生じた混合物を76℃に加熱し、この温度にて2h撹拌する。溶媒を除去し、残渣を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH(10:1:0.1v/v/v)]の勾配を使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製する。表題生成物を白色固体(0.0035g、収率10%)として得る。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.37 (s, 1H), 7.11 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 7.00-6.91 (m, 2H), 6.79 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 6.70 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 6.60 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.00 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.79 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 3.53 (dd, J = 10.6, 3.4 Hz, 1H), 3.05 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 2.86-2.71 (m, 1H), 2.58 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.18 - 2.00 (m, 3H), 1.92 (p, J = 6.7 Hz, 2H), 1.69 (dd, J = 11.6, 4.0 Hz, 1H). HRMS (ESI) m/z C22H25FN3O2 [M+H]+の計算値: 382.1925; 実測値: 382.1942.
実施例2
受容体結合プロファイル
受容体結合は、実施例1ならびに式AおよびBの化合物で判定される。以下の文献の手順が使用され、これらの参考文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:5-HT2A: Bryant, H.U. et al. (1996), Life Sci., 15:1259-1268; D2: Hall, D.A. and Strange, P.G. (1997), Brit. J. Pharmacol., 121:731-736; D1: Zhou, Q.Y. et al. (1990), Nature, 347:76-80; SERT: Park, Y.M. et al. (1999), Anal. Biochem., 269:94-104; Mu opiate receptor: Wang, J.B. et al. (1994), FEBS Lett., 338:217-222。
一般に、試験化合物の存在下で得られる対照の特異的結合のパーセント、
および対照の特異的結合のパーセント阻害として表現される。
IC50値(対照の特異的結合の最大阻害の半分を引き起こす濃度)およびHill係数(nH)が、Hill方程式
(式中、Y=特異的結合、A=曲線の左漸近線、D=曲線の右漸近線、C=化合物濃度、C50=IC50およびnH=傾斜係数)のカーブフィッティング(Hill equation curve fitting)を使用し、平均反復値を用いて生成された競合曲線の非線形回帰分析により判定される。この分析は、社内ソフトウェアを使用して行い、Windows(登録商標)用商用ソフトウェアSigmaPlot(登録商標)4.0[(C)1997年、SPSS Inc.による]により生成されるデータとの比較により有効となった。阻害定数(Ki)は、Cheng Prusoff方程式:
(式中、L=アッセイにおける放射性リガンドの濃度、およびK=受容体に対する放射性リガンドの親和性)を使用して計算した。スキャッチャードプロットを使用してKを判定した。
以下の受容体親和性の結果が得られる。
これらの受容体結合研究から、実施例1の化合物(式Iの化合物)の、そのジアステレオ異性体、式AおよびBの化合物との比較で想定外に異なる薬理学的プロファイルが実証される。
先述の例は模範に過ぎず、いかなる形でも本開示の範囲を限定することを意味しない。

Claims (12)

  1. 遊離または塩形態(例えば医薬として許容できる塩形態)の、例えば単離または精製された遊離または塩形態(例えば医薬として許容できる塩形態)の、式I
    の、6b-10a環縮合にわたってトランス-立体化学を有する化合物。
  2. 化合物Iが遊離または塩形態(例えば医薬として許容できる塩形態)の、式IAおよびIB:
    の化合物の混合物である、請求項1に記載の化合物。
  3. 化合物Iが、ラセミ体、例えば、式IAの化合物対式1Bの化合物が50:50モル比である、請求項1に記載の化合物。
  4. 化合物Iが、モル過剰の式1Aの化合物、例えば、式Iの化合物の合計量から測定して(すなわち、式1Aおよび1Bの化合物以外のいかなる化合物も考慮に入れない)少なくとも55mol%、または少なくとも60mol%、または少なくとも65mol%、または少なくとも70mol%、または少なくとも75mol%、または少なくとも80mol%、または少なくとも85mol%、または少なくとも90mol%、または少なくとも95mol%の式1Aの化合物を有する、請求項1に記載の化合物。
  5. 化合物Iが、モル過剰の式1Bの化合物、例えば、式Iの化合物の合計量から測定して(すなわち、式1Aおよび1Bの化合物以外のいかなる化合物も考慮に入れない)少なくとも55mol%、または少なくとも60mol%、または少なくとも65mol%、または少なくとも70mol%、または少なくとも75mol%、または少なくとも80mol%、または少なくとも85mol%、または少なくとも90mol%、または少なくとも95mol%の式1Bの化合物を有する、請求項1に記載の化合物。
  6. 化合物が、式Aの化合物のいずれも実質的に含まない、例えば、化合物の合計重量に対して測定して5wt.%以下の式Aの化合物、例えば、4wt.%以下、もしくは3wt.%以下、もしくは2wt.%以下、もしくは1wt.%以下、もしくは0.5wt.%以下、もしくは0.25wt.%以下、もしくは0.15wt.%以下、もしくは0.1wt.%以下、もしくは0.05wt.%以下、もしくは0.01wt.%以下の式Aの化合物を有し、かつ/または化合物が、式Bの化合物のいずれも実質的に含まない、例えば、化合物の合計重量に対して測定して5wt.%以下の式Bの化合物、例えば、4wt.%以下、もしくは3wt.%以下、もしくは2wt.%以下、もしくは1wt.%以下、もしくは0.5wt.%以下、もしくは0.25wt.%以下、もしくは0.15wt.%以下、もしくは0.1wt.%以下、もしくは0.05wt.%以下、もしくは0.01wt.%以下の式Bの化合物を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. 化合物が、実質的に純粋な形態、例えば、式Iのいずれかの化合物以外に存在するすべての化合物または不純物に対して少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%純粋な形態である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. 塩の形態の、例えば、医薬として許容できる塩の形態の、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. 遊離または医薬として許容できる塩形態(例えば医薬として許容できる塩形態)の、医薬として許容できる希釈剤または担体と混和した、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
  10. 中枢神経系障害を処置または予防するための方法であって、それを必要とする患者に、遊離または医薬として許容できる塩形態の、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物、または請求項9に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
  11. 前記障害が、セロトニン5-HT2A受容体、ドーパミンD1受容体および/もしくはD2受容体系、ならびに/またはセロトニン再取込み輸送体(SERT)経路、ならびに/またはミュー-オピオイド受容体経路に関与する障害である中枢神経系障害である、請求項10に記載の方法。
  12. 中枢神経系障害を処置または予防するための医薬の製造における、遊離または医薬として許容できる塩形態の、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物、または請求項9に記載の医薬組成物の使用。
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