JP2025528772A - 抗ddr2ナノボディ及びその使用 - Google Patents
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Abstract
DDR2に結合するナノボディ及び当該ナノボディの様々な誘導体、そして、これらの抗体及び誘導体を含む医薬組成物並びにその医薬用途である。前記抗DDR2ナノボディは、高い結合活性を有し、DDR2の異常な発現が媒介する疾患(例えば、がん及び炎症性疾患)の診断、予防及び/又は治療に用いることができ、DDR2を発現する細胞に対するイメージング、例えば、生検ナビゲーション、術中ナビゲーションに用いることもできる。
Description
本発明は、抗DDR2抗体に関する。より具体的には、本発明は、DDR2に結合するナノボディ及び当該ナノボディの様々な誘導体に関する。本発明は、また、これらの抗体及び誘導体を含む医薬組成物並びにその医薬用途に関する。
ディスコイジンドメイン受容体2(discoidin domain receptor 2)は、細胞外マトリックスコラーゲンをそのリガンドとして利用する受容体チロシンキナーゼ(RTK)である。キナーゼ機能の他に、DDR2は、β1-インテグリンを活性化して細胞の接着を促進する。DDR2特有の機能は、細胞外マトリックスの調節にバランスがとれるように、細胞外マトリックスからの胞内へのシグナル伝達を媒介するとともに、細胞の成長、分化及び代謝の調節に関与することである。細胞外マトリックスコラーゲンによるDDR2の活性化は正常な発達及び組織の恒常性に欠かせないが、これらの受容体の損傷又は疾患後の異常な活性化は有害である。
細胞外マトリックスの調節におけるDDR2の役割は、そのシグナルの調節異常は侵襲及び転移を含む腫瘍形成につながる可能性があるということを示唆している。DDR2は、多くの侵襲性乳腺腫瘍サンプルの前縁で高度に発現されることが報告されている。ヒト卵巣がん又は肺がん隣接切片におけるインサイチュハイブリダイゼーションは、腫瘍周囲の間質細胞からDDR2が検出されることを示している。したがって、DDR2は多くのがん細胞(乳がん細胞など)の転移にとって非常に重要で、他の多くのがん(卵巣がん、肺がん、頭頸部がん、膵臓がんなど)の重要な標的でもあると考えられている。
また、DDR2は、炎症(例えば、骨関節炎、関節リウマチなどの関節炎)、線維症(肺線維症、肝硬変、腎線維症又は皮膚線維症など)の重要な標的であると考えられている。DDR2は、主に、腎臓、皮膚、肺、心臓及び結合組織の線維芽細胞、筋線維芽細胞、平滑筋細胞などの間質細胞で発現される。DDR2の異常な発現は、炎症、肝線維症、腎線維症、肺線維症、皮膚瘢痕、アテローム性動脈硬化など、様々な疾患の進行に関係していることが多くの証拠から示されている。マウス炎症モデルを用いた研究では、年老いたネズミの膝関節でDDR2の発現が上昇しているこが判明した。リウマチ性関節炎ラットモデルを用いた研究では、その滑膜細胞でDDR2の発現が上昇していることが判明した。
WO2019243431A1には、黒色腫細胞から誘導された異種移植モデルで、イマチニブを介するDDR2標的化は、BRAF阻害剤の抗腫瘍効果を増強させ、獲得薬剤耐性の発生を先送りにし、標的療法が誘発した腫瘍線維症を解消することができる、ということが開示されている。
したがって、DDR2を標的とする、高い親和性を有する抗体を開発することは、がん、炎症、線維症疾患などのイメージング、診断、予防及び治療にとって幅広い実用的意義があると考えられる。
第1態様において、本発明は、DDR2に結合するナノボディを提供し、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ前記CDR1、CDR2及びCDR3は、アミノ酸配列が配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16及び配列番号20であるいずれかのナノボディのCDR1、CDR2及びCDR3、若しくはそれぞれの等価変異体を含み、又はそれから選ばれる。
いくつかの実施形態では、前記CDR1、CDR1及びCDR3は、IMGT、Kabat、Chothia、Contact又はMartinのうちのいずれかの定義方式により定義される。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディは、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16、配列番号20及びそれぞれの等価変異体のうちのいずれかの配列を含み、又はそれから選ばれる。
別の態様において、本発明は、上記のいずれかの抗体をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを提供する。別の態様において、本発明は、また、前記ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。別の態様において、本発明は、また、前記ベクターを含む非ヒト宿主細胞を提供する。また、本発明は、本発明の抗体を生産する細胞株、及び、抗体生産細胞株を培養して抗体を製造する方法を提供する。
第2態様において、本発明は、抗原に結合できる細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体を提供し、前記抗原に結合できる細胞外ドメインは、第1態様に記載のいずれかのナノボディを含む。別の態様において、本発明は、前記キメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを提供する。別の態様において、本発明は、上記のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。別の態様において、本発明は、前記キメラ抗原受容体を発現する改変された免疫細胞を提供する。
第3態様において、本発明は、第1抗原に結合する第1結合部分と、第2抗原に結合する第2結合部分とを含む二重特異性抗体を提供し、前記第1結合部分は、第1態様に記載のいずれかのナノボディを含む。
第4態様において、本発明は、DDR2を標的とする抗体と、薬物と、前記ナノボディと前記薬物とを連結させるリンカーとを含む抗体薬物複合体を提供し、前記DDR2を標的とする抗体は、第1態様に記載のいずれかのナノボディを含み、又はそれである。
第5態様において、本発明は、(i)第1態様に記載のいずれかのナノボディを含み、又はそれであるDDR2を標的とする抗体と、(ii)DDR2陽性細胞における生存遺伝子の発現を阻害するsiRNAと、(iii)前記ナノボディと前記siRNAとの間に位置するリンカーとを含む、DDR2陽性細胞を標的とするsiRNA複合体を提供する。
第6態様において、本発明は、治療有効量の上記のいずれかの抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、免疫細胞及び/又は複合体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
第7態様において、本発明は、DDR2の異常な発現が媒介する疾患を治療及び/又は予防するための薬物の製造における上記のいずれかの抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、免疫細胞又は複合体の使用を提供する。
第8態様において、本発明は、DDR2の異常な発現が媒介する疾患を治療及び/又は予防するための上記のいずれかの抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、免疫細胞又は複合体を提供する。
第9態様において、本発明は、有効量の上記のいずれかの抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、免疫細胞又は複合体を対象に投与することを含む、DDR2の異常な発現が媒介する疾患を治療及び/又は予防する方法を提供する。
第10態様において、本発明は、第1態様に記載のいずれかのナノボディと、前記ナノボディに連結された検出可能な標識とを含むイメージング及び/又は診断用の試薬を提供する。
第11態様において、本発明は、対象におけるDDR2の異常な発現が媒介する疾患を診断するためのキットの製造における第10態様に記載のイメージング及び/又は診断用の試薬の使用を提供する。
第12態様において、本発明は、対象におけるDDR2の異常な発現が媒介する疾患を診断するための第10態様に記載のイメージング及び/又は診断用の試薬を提供する。
第13態様において、本発明は、有効量の第10態様に記載のイメージング及び/又は診断用の試薬を前記対象に投与することを含む、対象におけるDDR2の異常な発現が媒介する疾患の診断方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記方法は、有効量の第10態様に記載のイメージング及び/又は診断用の試薬を前記対象に投与することと、前記イメージング及び/又は診断用の試薬によって生成された信号を検出し、それを読み取ることと、前記信号の強度から、前記対象は、DDR2の異常な発現が媒介する疾患に罹患している又は罹患するリスクがあると決定することとを含む。
第14態様において、本発明は、対象におけるDDR2の異常な発現が媒介する疾患の治療方法を提供し、前記方法は、(a)有効量の上記のいずれかのイメージング及び/又は診断用の試薬を前記対象に投与することと、(b)前記イメージング及び/又は診断用の試薬によって生成された信号を検出し、それを読み取ることと、(c)前記信号が所定の閾値を超えるかどうかを判断し、且つ、当前記信号が所定の閾値を超える場合に、前記対象はDDR2の異常な発現が媒介する疾患に罹患していると決定することであって、好ましくは、前記閾値は、疾患に罹患していない対象に由来する中央値レベルであることと、(e)疾患に罹患していると決定された対象に、DDR2の活性及び/又は発現を低減させる療法、例えば、抗がん療法又は抗炎症療法(例えば、抗線維症療法)を投与することと、を含む。好ましい実施形態では、前記抗線維症療法は、ピルフェニドン及び/又はニンテダニブである。
上記の関連する態様において、前記DDR2の異常な発現が媒介する疾患は、がん及び炎症性疾患を含む。いくつかの実施形態では、前記がんは、黒色腫、乳がん、結腸がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、頭頸部がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、子宮がん、子宮頸がん、膀胱がん、胃がん、皮膚がんを含み、ただしそれらに限定されない。いくつかの実施形態では、前記炎症性疾患は、関節リウマチ、骨関節炎、皮膚瘢痕、アテローム性動脈硬化、網膜血管疾患、線維症疾患を含み、ただしそれらに限定されない。前記線維症疾患は、肺線維症(特に、特発性肺線維症)、肝線維症、肝硬変、皮膚線維症、腎線維症、膵線維症、全身性硬化症、心臓線維症、黄斑変性症を含み、ただしそれらに限定されない。
本発明の抗DDR2ナノボディは、高い結合活性を有し、DDR2の異常な発現が媒介する疾患(例えば、がん及び炎症性疾患)の診断、予防及び/又は治療に用いることができ、DDR2を発現する細胞に対するイメージング、例えば、生検ナビゲーション、術中ナビゲーションに用いることもできる。
本発明の他の態様及び利点は、本発明に関する以下の詳細な記述から明らかになると考えられる。
(定義)
本発明では、「約」とは、数値は当業者によって測定された具体的な値の許容される誤差範囲内にあることを指し、前記数値はどのように計測又は測定したか(即ち、計測システムの限界)にある程度依存している。例えば、当分野でのそれぞれの実施において「約」は、1以内又は1を超える標準偏差を意味してもよい。又は、「約」又は「実質的に…を含む」は、最大20%の範囲を意味してもよい。特に、生物学的システム又は過程にとっては、当該用語は最大1桁又は数値の最大5倍を意味してもよい。特に説明がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で具体的な値が出現している場合に、「約」又は「実質的に…を含む」は、その意味を当該具体的な値の許容される誤差範囲内にあると捉えるべきである。
本発明では、「約」とは、数値は当業者によって測定された具体的な値の許容される誤差範囲内にあることを指し、前記数値はどのように計測又は測定したか(即ち、計測システムの限界)にある程度依存している。例えば、当分野でのそれぞれの実施において「約」は、1以内又は1を超える標準偏差を意味してもよい。又は、「約」又は「実質的に…を含む」は、最大20%の範囲を意味してもよい。特に、生物学的システム又は過程にとっては、当該用語は最大1桁又は数値の最大5倍を意味してもよい。特に説明がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で具体的な値が出現している場合に、「約」又は「実質的に…を含む」は、その意味を当該具体的な値の許容される誤差範囲内にあると捉えるべきである。
本明細書で、1つ又は複数の要素又はステップを「含む」組成物又は方法として記述されるものは開放型であり、前記要素又はステップは必須であるが、前記組成物又は方法の範囲で他の要素又はステップを追加してもよいことを意味する。なお、1つ又は複数の要素又はステップを「含む」ものとして記述されるいかなる組成物又は方法でも、「実質的に前記要素又はステップからなる」対応する、より限定された組成物又は方法を記述するもので、前記組成物又は方法は前記必須な要素又はステップを含み、しかも前記組成物又は方法に本質的な影響を与えない基本的な及び新規な特徴のある追加の要素又はステップを含んでもよいことを意味する。
本明細書で使用される「抗体」という用語は、所望の生理活性を示す(例えば、リガンドのその受容体に対する結合を阻害すること、又はリガンドが誘導する受容体シグナル伝達を阻害することを通じて)抗体の任意の形態を指す。「抗体断片」及び「抗原結合断片」とは、一般的に、少なくとも親抗体の抗原結合領域又は可変領域の一部(例えば、1つ又は複数のCDR)を含む抗体の抗原結合断片及び抗体類似体を指す。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。またいくつかの実施形態では、抗体は、ポリクローナル抗体である。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体であって、少量で存在し得る天然変異体を除き、前記集団を構成する各抗体が同一であるものを指す。モノクローナル抗体は、非常に高い特異性を有し、単一の抗原部位を標的とすることができる。また、一般的に複数の異なる決定基(エピトープ)を標的とする複数種の異なる抗体を含む通常の(ポリクローナル)抗体調製物と違って、それぞれのモノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基だけを標的とする。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体の特性を表すもので、いかなる特定の方法でも前記抗体を製造する必要があるものと理解することはできない。例えば、本発明に用いるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ又は組み換えDNA法により製造してもよい。
モノクローナル抗体には、「キメラ」抗体、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、抗体は、より大きな生体分子、例えば、融合タンパク質又は抗体薬物複合体の一部を構成している。抗体断片は親抗体の少なくとも一部の結合特異性を保持している。一般的に、活性をモル表示で示す場合に、抗体断片は親の結合活性の少なくとも10%を保持している。好ましくは、抗体断片は、標的に対する親抗体の結合親和性の少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%又はそれ以上を保持している。
本明細書で使用される「重鎖抗体」という用語は、2つの定常領域(CH2及びCH3)と、1つのヒンジ領域と、1つの重鎖可変領域(VHH)とを含む、軽鎖を欠失し重鎖だけからなる抗体を指す。その例は、天然の重鎖抗体、天然に軽鎖を欠失している抗体、通常の4鎖抗体から誘導された重鎖抗体、人工抗体を含み、ただしそれらに限定されない。重鎖抗体は、例えば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカ、荷馬において産生された抗体など、ラクダ科(Camelidae)の生物種に由来してもよい。ラクダ科以外の他の生物種も、天然に軽鎖を欠失している重鎖抗体を産生することができ、このような重鎖抗体は、本発明の範囲内にある。
本明細書で使用される「ナノボディ(nanobody)」という用語は、重鎖抗体の可変領域をクローニングして得られる、重鎖可変領域だけからなる単一ドメイン抗体を指し、それはVHH(Variable domain of heavy chain of heavy chain antibody、重鎖抗体の重鎖可変ドメイン)又は単ドメイン抗体とも呼ばれ、最小の機能性抗原結合断片である。ナノボディは、IgG抗体に似ている高い特異性及び親和性を有する抗原を認識するが、サイズが小さい(15kD程度)であるため腫瘍組織をより良く通過することができる。また、ナノボディは、過酷なpH、熱変性、タンパク質の加水分解、溶媒及び洗剤に対する耐性がある。高い収率と高い溶解度で発現及び生産することが可能である。
本明細書で使用される「ヒト化抗体」という用語は、ヒト以外の哺乳動物の抗体から誘導されたCDRと、ヒト抗体のフレームワーク領域(FR)及び定常領域とを含む抗体を指す。
抗体又はポリペプチドの「等価変異体」とは、当該抗体又はポリペプチドのアミノ酸配列に対してある程度の相同性又は配列同一性を有する抗体又はポリペプチドを指す。いくつかの態様では、配列同一性は、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%である。いくつかの態様では、参照抗体又はポリペプチドに比べて、その等価変異体は、付加、欠失、置換、それらの組み合わせを1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ有する。いくつかの態様では、抗体又はポリペプチドの等価変異体は、参照配列の活性(例えば、エピトープ結合)又は構造(例えば、塩橋)を保持している。
本明細書で使用される配列の「変異体」という用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基で対象配列と異なるが目的分子の生理活性を保持させている配列を指す。
本明細書で使用される2つの配列間の「%同一性」という用語は、これらの配列が有する同一位置の数の関数(即ち、%相同性=同一位置数/位置の総数×100)を指し、ただし、ギャップ数及び各ギャップの長さは考慮され、前記ギャップは、2つの配列を最適に整列させる際に導入する。配列比較と2つの配列間の%同一性の決定は、数学的アルゴリズムで行ってもよい。
「保存的置換」とは、当業者に知られるアミノ酸置換を指し、このような置換を行っても一般的に目的分子の生理活性は変わらない。一般的には、ポリペプチドの非必須領域における単一のアミノ酸置換は実質的に生理活性を変えない又はそれを本質的に変えないことは、当業者の間で共通認識となっている。「変えない又は本質的に変えない」とは、同じ又は似ている方法で測定した場合、被比較対象に比べて、1つ又は複数の態様が、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下又は約1%以下相違していることを指す。
CDR3は、抗原の認識において他のCDRよりも重要な役割を果たすと一般的に考えらており、そのため置換を行う場合、本発明では、CDR3以外のCDRに対する保存的置換を行うことが好ましい。いくつかの実施形態では、CDR3は置換されない。好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質の加水分解感受性を低下させる置換、(2)酸化感受性を低下させる置換、(3)形成されたタンパク質複合体の結合親和性を変える置換、(4)これらの類似体の他の物理的及び化学的又は機能的特性を提供し又はそれを修飾する置換、を含み、ただしそれらに限定されない。類似体は、天然に存在するペプチド配列以外の様々な配列変異を含んでもよい。例えば、天然に存在する配列において(好ましくは、分子間接触を形成する領域以外のポリペプチド部分において)単一又は複数のアミノ酸の置換(好ましくは、保存的アミノ酸置換)を行ってもよい。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造特徴を本質的に変えないものとすべきである(例えば、アミノ酸置換は、親配列に存在するヘリックスを破壊する傾向があるもの、又は親配列の他の二次構造を破壊すると特性評価されたタイプでない方が妥当である)。
本発明の抗体又はその抗原結合断片の結合ドメインは、一般的に、分泌タンパク質のN末端に位置し15~30個のアミノ酸からなるシグナルペプチドを持ってもよいことが予想できよう。シグナルペプチド配列が合成されると、シグナル認識粒子(SRP)によって認識され、タンパク質合成は一時停止し又は緩和され、シグナル認識粒子がリボソームを小胞体に持っていくと、タンパク質合成は再開する。シグナルペプチドのガイドで、新しく合成されたタンパク質は小胞体腔に入るが、シグナルペプチド配列はシグナルペプチダーゼによって切り落とされる。また、オボアルブミは内部シグナルペプチドを含有しているように、新生ペプチド鎖のC末端に輸送停止配列が存在する場合、シグナルペプチダーゼによって切り落とされないことがある。その前駆体にも成熟型にもシグナルペプチダーゼによって切り落とされる過程がない。
本発明によれば、「結合」という用語は、特異的結合に関わることが好ましい。リガンドと受容体、抗体と抗原又は他の結合ペアが言及される場合、「特異的」結合とは、タンパク質及び/又は他の生化学試薬の不均一な集団において前記タンパク質の結合反応があるかどうかを決定することを指す。したがって、所定の条件では、特定のリガンド又は抗原が特定の受容体又は抗体に結合し、且つサンプルに存在する他のタンパク質には有意な量で結合しない。「特異的結合」とは、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、各ヒト標的分子の少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ又はそれ以上のアミノ酸と特異的に相互作用できることを指す。抗体の「特異的結合」は、主に、定性的パラメータ(結合エピトープ又は抗体結合位置)及び定量的パラメータ(結合親和性又は結合強度)の2つのパラメータで評価される。抗体の結合エピトープは、FACS法、エピトープマッピング法、質量分析法又はペプチドELISA法により測定してもよい。Biacore法及び/又はELISA法は、特定のエピトープに対する抗体の結合強度を測定することができる。一般的に、信号対雑音比は結合特異性の代表的な測定計算方法として用いられる。このような信号対雑音比において、信号は、目的エピトープに対する抗体の結合強度を表し、ノイズは、他の非目的エピトープに対する抗体の結合強度を表す。好ましくは、目的エピトープに対する信号対雑音比が約50である場合、被評価抗体は特異的方式で目的エピトープに結合し、つまり「特異的に結合」すると考えてよい。抗原結合タンパク質(抗体を含む)は親和定数(KD)の値から決定された高い結合親和性で抗原に結合すれば、抗原結合タンパク質(抗体を含む)は抗原に「特異的に結合」する。いくつかの実施形態では、前記親和定数KDは10-9Mより小さい。本明細書で使用される「KD」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の親和定数を指す。
本明細書で使用される「患者」又は「対象」という用語は、実験、診断、予防、美容及び/又は治療の目的で提供される抗体、その誘導体又は医薬組成物を投与され、又は投与されてもよい任意の生物体を指す。典型的な対象としては、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類動物及び/又はヒトなどの哺乳動物)が挙げられる。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、1種又は複数種の病症又は病状に罹患しており又は罹患しやすい。患者は、病症又は病状の1種又は複数種の症状を示しており、又は既に1種又は複数種の病症又は病状になっていると診断される場合がある。いくつかの実施形態では、患者は、この種の疾患、病症又は病状を診断及び/又は治療するための特定の療法を受けており、又はそれを受けたことがある。
本発明では、「治療」という用語は、対象における望ましくない生理学的変化又は病症の発生又は進行を阻止又は緩和する治療及び予防措置を指す。有利な又は期待される臨床効果は、症状の軽減、疾患の程度の低減、疾患の状態の安定化(即ち、悪化しないこと)、疾患の進行を先送りにし又は緩和すること、疾患の状態の軽減又は緩和、疾患の一部又は全体の治癒を含み、ただしそれらに限定されず、しかも前記効果は、検出可能かどうかは問わない。また、「治療」は、治療を受けない場合に比べて生存期間が延長していることを指してもよい。治療すべき対象には、当該疾患若しくは病症に罹患している対象、及び、当該疾患若しくは病症に罹患する可能性がある対象、又は当該疾患若しくは病症を予防する対象が含まれる。
本明細書で使用される「予防」という用語には、臨床的に有意な疾患進行の開始を予防若しくは緩和すること、又はリスクのある個体における前臨床的に有意な疾患段階の開始を予防若しくは緩和することが含まれる。これには疾患進行のリスクがあるヒト個体に対する予防的な治療が含まれる。
動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、臓器又は生物流体について「投与」、「治療」又は「予防」が言及される場合、外因性薬物、治療剤、診断剤又は組成物を動物、ヒト、被治療者、細胞、組織、臓器又は生物流体に接触させることを指す。「投与」及び「治療」は、例えば、治療方法、薬物動態学的方法、診断方法、研究方法、実験方法を指してもよい。細胞治療には、試薬を細胞に接触させること、試薬を流体に接触させることが含まれ、なお、前記流体が細胞に接触する。「投与」及び「治療」は、例えば、試薬、診断剤、結合組成物で、又は他の細胞によって細胞に行うインビトロ及びエクスビボ治療をも意味する。
本明細書で使用される「治療有効量」又は「有効量」という用語は、本発明の抗体又はその誘導体を単独で投与し又は別の治療剤との併用で細胞、組織又は被治療者に投与するとき、治療しようとする疾患又は病症を効果的に防止又は緩和する量を指す。治療有効用量とは、さらに、症状を緩和させるのに充分な量を指し、前記症状の緩和は、例えば、関連する医学的状態を治療、治癒、防止又は緩和すること、又は前記病症に対する治療率、治癒率、防止率又は緩和率を向上させることである。単独で投与する活性成分を個体に投与する場合に、治療有効量とは、当該単独な成分を指す。組み合わせとして投与する場合に、治療有効量とは、治療効果を生み出す活性成分の併用の量を指し、それは併用投与なのか、連続投与なのか、それとも同時投与なのかは問わない。治療有効量による症状の軽減は、一般的に少なくとも10%であり、一般的に少なくとも20%であり、好ましくは、少なくとも約30%であり、より好ましくは、少なくとも40%であり、最も好ましくは、少なくとも50%である。
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という用語には、組成物の活性成分と組み合わせる場合に当該成分に生理活性を保持させており且つ対象の免疫系に対する破壊的な反応を引き起こさない材料が含まれる。これらの担体は、安定剤、防腐剤、塩又は糖の複合体又は結晶などを含んでもよい。「薬学的に許容される」とは、人体に投与する場合にアレルギー反応又は似ているような望ましくない反応が生じない分子及び成分を指す。
本明細書で使用される「キメラ抗原受容体(CAR)」という用語は、抗原に結合できる細胞外ドメインと、誘導細胞外ドメインのポリペプチドとは異なるポリペプチドから誘導された膜貫通ドメインと、少なくとも1つの細胞内ドメインとを含む融合タンパク質を指す。「キメラ抗原受容体(CAR)」は「キメラ受容体」、「T-body」又は「キメラ免疫受容体(CIR)」と呼ばれることもある。「抗原に結合できる細胞外ドメイン」とは、特定の抗原に結合できる任意のオリゴペプチド又はポリペプチドを指す。「細胞内ドメイン」とは、細胞においてシグナルを伝達することで生物学的過程の活性化又は阻害につながるドメインとして機能するものとして知られている任意のオリゴペプチド又はポリペプチドを指す。
本明細書で使用される「抗体薬物複合体」又は「ADC」という用語は、治療活性物質又は活性医薬成分に共有結合している抗体であって、これにより治療活性物質又は活性医薬成分は抗体の結合標的を標的としてその薬理学的機能を示すことができるものを指す。治療活性物質又は活性医薬成分は、ADCが標的とする細胞を殺すことができる細胞毒素であってもよい。治療活性物質、活性医薬成分又は細胞毒素の共有結合は、非部位特異的な方式により、ペイロードをリシン若しくはシステイン残基に結合させる標準的な化学リンカーによって行ってもよく、又は、好ましくは、複合部位及び生成されたADCの薬物抗体比(DAR)の完全な制御を可能にする複合という部位特異的な方式により行ってもよい。
用語「siRNA」は、長さが20~25個のヌクレオチドの二本鎖RNAで、実質的に相補な2本の逆平行な核酸鎖を含む。この2つの核酸鎖は、標的RNAに対して、センス鎖及びアンチセンス鎖と命名される。siRNA部分は、転写後遺伝子サイレンシングという仕組み(ここで、RNA干渉又はRNAiと呼ばれる)で標的RNA(例えば、mRNA)の分解をトリガーする。一般的に、siRNA部分のそれぞれの鎖のヌクレオチドは殆どリボヌクレオチドであるが、2つの鎖のそれぞれ又は両方は、例えば、デオキシリボヌクレオチド及び/又は修飾されたヌクレオチドなど、1つ又は複数の非リボヌクレオチドをさらに含んでもよい。また、siRNA部分は、化学修飾を有するリボヌクレオチドを含んでもよく、複数のヌクレオチドでの本質的な修飾を含んでもよい。これらの修飾は、ここで開示されている又は当分野で知られている全てのタイプの修飾を含んでもよい。いかなるこのような修飾も、「siRNA」の定義の範囲に含まれることが意図される。
「生存遺伝子(survival genes)」という用語と、「必須遺伝子(essential genes)」は、特定の細胞の生存又は増殖に欠かせない遺伝子を指すように入れ替えて用いられ、これらの遺伝子に1つの機能的欠失があっても、当該細胞は致死的な表現型を生じて生存又は増殖できなくなる。典型的な生存遺伝子は、遺伝物質の転写、複製及び発現過程における重要なプロテアーゼをコードする遺伝子で、POLR2A(DNA-directed RNA polymerase II subunit RPB1、RNAポリメラーゼIIの最も大きなサブユニットで、mRNA前駆体及び多くの機能的な非コードRNAを合成することができ、二番目に大きなサブユニットとポリメラーゼ活性中心を形成する)、POLR2B(DNA-directed RNA polymerase II subunit RPB2、RNAポリメラーゼIIの二番目に大きなサブユニットで、最も大きなサブユニットとポリメラーゼ活性中心を形成する)、DKC1(H/ACA ribonucleoprotein complex subunit DKC1、リボ核タンパク質複合体サブユニット)、CENPE(Centromere-associated protein E、セントロメア関連タンパク質E)、eIF-3b(eukaryotic translation initiation factor 3 subunit b、真核生物転写開始因子3サブユニットb)などを含み、ただしそれらに限定されない。さらに、「DDR2陽性細胞における生存遺伝子」という用語は、DDR2陽性細胞の生存又は増殖に欠かせない遺伝子を指す。ヒト細胞における特定の遺伝子が必須遺伝子であるかどうかを決定する方法は、当分野で知られており、例えば、Wang T et al., Identification and characterization of essential genes in the human genome.Science 27 Nov 2015:Vol.350,Issue 6264,pp.1096-1101、又はVincent A.Blomen et al., Gene essentiality and synthetic lethality in haploid human cells.Science 27 Nov 2015:Vol.350,Issue 6264,pp.1092-1096を参照する。
(抗DDR2ナノボディ)
本発明では、ヒトDDR2細胞外セグメント(そのアミノ酸配列は、UniProtKB/Swiss-Prot:Q16832.2 aa22~aa399である)でアルパカを免疫することにより、ラクダ由来重鎖抗体を得て、さらに、対応するナノボディを得る。
本発明では、ヒトDDR2細胞外セグメント(そのアミノ酸配列は、UniProtKB/Swiss-Prot:Q16832.2 aa22~aa399である)でアルパカを免疫することにより、ラクダ由来重鎖抗体を得て、さらに、対応するナノボディを得る。
本発明の一態様では、本発明は、DDR2に結合するナノボディを提供し、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、前記CDR1、CDR2及びCDR3は、アミノ酸配列が配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16及び配列番号20であるいずれかのナノボディのCDR1、CDR2及びCDR3、若しくはそれぞれの等価変異体を含み、又はそれから選ばれる。
いくつかの実施形態では、前記CDR1、CDR1及びCDR3は、IMGT、Kabat、Chothia、Contact又はMartinのうちのいずれかの定義方式により定義される。いくつかの実施形態では、前記CDR1、CDR1及びCDR3は、IMGT定義方式により定義される。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディは、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16、配列番号20及びそれぞれの等価変異体のうちのいずれかの配列を含み、又はそれから選ばれる。
いくつかの実施形態では、前記CDR1、CDR2、CDR3のそれぞれの等価変異体とは、参照配列に比べて単一のアミノ酸の置換、欠失又は挿入を有しているものを指す。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディのそれぞれの等価変異体とは、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16及び配列番号20のいずれかの配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有し、且つ同じ又は等価なCDR1、CDR2及びCDR3を有するものを指す。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列を含み、CDR2は配列番号2に示される配列を含み、CDR3は配列番号3に示される配列を含み、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列を含み、CDR2は配列番号6に示される配列を含み、CDR3は配列番号7に示される配列を含み、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列を含み、CDR2は配列番号10に示される配列を含み、CDR3は配列番号11に示される配列を含み、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列を含み、CDR2は配列番号14に示される配列を含み、CDR3は配列番号15に示される配列を含み、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列を含み、CDR2は配列番号18に示される配列を含み、CDR3は配列番号19に示される配列を含む。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列を含み、CDR2は配列番号2に示される配列を含み、CDR3は配列番号3に示される配列を含み、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列を含み、CDR2は配列番号6に示される配列を含み、CDR3は配列番号7に示される配列を含み、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列を含み、CDR2は配列番号10に示される配列を含み、CDR3は配列番号11に示される配列を含み、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列を含み、CDR2は配列番号14に示される配列を含み、CDR3は配列番号15に示される配列を含み、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列を含み、CDR2は配列番号18に示される配列を含み、CDR3は配列番号19に示される配列を含む。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディは、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16及び配列番号20から選ばれるいずれかの配列を含む。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列であり、CDR2は配列番号2に示される配列であり、CDR3は配列番号3に示される配列であり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列であり、CDR2は配列番号6に示される配列であり、CDR3は配列番号7に示される配列であり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列であり、CDR2は配列番号10に示される配列であり、CDR3は配列番号11に示される配列であり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列であり、CDR2は配列番号14に示される配列であり、CDR3は配列番号15に示される配列であり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列であり、CDR2は配列番号18に示される配列であり、CDR3は配列番号19に示される配列である。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列であり、CDR2は配列番号2に示される配列であり、CDR3は配列番号3に示される配列であり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列であり、CDR2は配列番号6に示される配列であり、CDR3は配列番号7に示される配列であり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列であり、CDR2は配列番号10に示される配列であり、CDR3は配列番号11に示される配列であり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列であり、CDR2は配列番号14に示される配列であり、CDR3は配列番号15に示される配列であり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列であり、CDR2は配列番号18に示される配列であり、CDR3は配列番号19に示される配列である。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディは、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16及び配列番号20から選ばれるいずれかの配列である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の置換は、保存的置換である。
「保守的(アミノ酸)置換」とは、似ている側鎖を有するアミノ酸でアミノ酸残基を置換する置換を指す。似ている側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、当分野で定義されているもので、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。したがって、免疫グロブリンポリペプチドにおける非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸残基によって置換されることが好ましい。別の実施形態では、アミノ酸ストリングは、順番及び/又は構成が異なり構造が似ている側鎖ファミリーメンバーのストリングで置換してもよい。
また、本明細書で開示されている抗体は、それらのアミノ酸配列がその由来となる天然に存在する結合ポリペプチドと異なるように修飾されてもよいことが当業者に理解されたい。例えば、指定されたタンパク質に由来するポリペプチド又はアミノ酸配列は、開始配列に似ているものであってもよく、例えば、一定のパーセンテージ同一性を有し、例えば、それは60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%又はこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲で開始配列と同じものであってもよい。
いくつかの実施形態では、抗体は、アミノ酸配列、又は一般的に抗体に関係がない1つ若しくは複数の部分を含む。ここでは例示的な修飾をより詳細に記述している。例えば、本明細書で開示されている抗体は、柔軟なリンカー配列を含んでもよく、又は機能的部分(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、薬物、毒素又は標識)を付加するために修飾されてもよい。
本発明の抗体、その変異体又は誘導体は、修飾された誘導体、即ち、任意のタイプの分子と抗体の共有結合により、共有結合は抗体とエピトープの結合を阻止しないようにするものを含む。限定されたものではないが、抗体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導化、加水分解によるタンパク質の切断、細胞リガンド又は他のタンパク質との連結などにより修飾されてもよい。様々な化学的修飾のうちのいずれかは、特異的化学溶解、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成などを含み、ただしそれらに限定されない既知の技術で行ってもよい。また、抗体は、1つ又は複数の非古典的アミノ酸を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、抗体は、治療剤、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、免疫調整薬、薬剤又はPEGと複合してもよい。
抗体は、治療剤と複合又は融合してもよく、治療剤は、検出可能な標識(例えば、放射性標識)、免疫調節薬、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、光活性治療剤又は診断剤、細胞傷害剤(それらは薬物又は毒素であってもよい)、超音波増強剤、非放射性標識、その組み合わせ、当分野で知られているこの種の他の試薬を含んでもよい。
抗体は、化学発光化合物に結合させることで検出可能に標識してもよい。次に、化学反応の過程で発光が出現しているかどうかを検出することで、化学発光によって標識された抗原結合ポリペプチドの存在を決定する。特に有用な化学発光標識化合物の例は、ルミノール(luminol)、イソルミノール(isoluminol)、耐熱性アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジン塩、シュウ酸エステルである。
また、蛍光発光金属(例えば、152Eu又はランタノイド元素の他の金属)を用いて抗体を検出可能に標識してもよい。ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような金属キレート基を用いて、これらの金属を抗体に連結させてもよい。様々な部分を抗体に複合させる技術は、周知されているものである。
(ヒト化抗体)
本発明のいずれかの態様において、前記DDR2に結合するナノボディは、ヒト化抗体であることが好ましい。
本発明のいずれかの態様において、前記DDR2に結合するナノボディは、ヒト化抗体であることが好ましい。
ヒト化抗体は、非ヒト生物種抗体に由来する抗体分子で、非ヒト生物種に由来する1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)と、ヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク領域とを有する所望の抗原に結合する。一般的に、ヒトフレームワーク領域におけるフレームワーク残基は、抗原結合を変え、好ましくは改善するために、CDR供与体に由来する抗体の対応する残基によって置換される。これらのフレームワークの置換は、当分野で熟知されている方法により同定され、例えば、CDRとフレームワーク残基の相互作用をモデル化することにより、抗原結合及び配列比較にとって重要なフレームワーク残基を同定し、さらに特定の位置での不自然なフレームワーク残基を同定する。当分野で知られている様々な技術を用いて抗体をヒト化してもよく、これらの技術は、例えば、CDR移植、ベニヤ化(veneered)又は再表面化(resurfacing)、鎖シャッフリングなどである。
完全ヒト抗体は、ヒト患者の治療に特に理想的である。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用いるファージディスプレイ技術など、当分野で知られている様々な方法で製造してもよい。
また、機能的な内因性免疫グロブリンを発現できずヒト免疫グロブリン遺伝子を発現できる遺伝子で、マウスを改変してヒト抗体を産生してもよい。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体をランダムに又は相同組換えによりマウス胚性幹細胞に導入してもよい。又は、ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子の他に、ヒト可変領域、定常領域及び多様性領域をマウス胚性幹細胞に導入してもよい。相同組換えによりヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することで、マウス重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子をそれぞれに又は同時に機能を喪失させることができる。特に、JH領域のホモ接合性欠失は、内因性抗体の産生を阻止する。修飾された胚性幹細胞を増幅させ胞胚にマイクロインジェクションすることにより、キメラマウスを得る。次に、キメラマウスを育ててヒト抗体を発現するホモ接合体子孫を得る。遺伝子改変マウスに対して通常の方式を用いて、選定された抗原で免疫し、前記抗原は、例えば、所望の標的ポリペプチドの全体又は一部である。通常のハイブリドーマ技術を用いて、免疫された遺伝子改変マウスから抗原に対するモノクローナル抗体を得てもよい。遺伝子改変マウスに保有されているヒト免疫グロブリン遺伝子は、B細胞分化過程で再配置され、次に、クラススイッチ及び体細胞変異が起きる。したがって、このような技術を用いて、治療で有用なIgG抗体、IgA抗体、IgM抗体及びIgE抗体を産生することが可能である。
選定されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「ガイド選択」と呼ばれる技術で生成しもよい。当該方法において、マウス抗体などの非ヒトモノクローナル抗体を選択して、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択をガイドする。
通常の手順で(例えば、マウス抗体重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)所望のモノクローナル抗体をコードするDNAを簡単に分離し、それを配列決定してもよい。分離及びサブクローニングされたハイブリドーマ細胞は、この種のDNAの好ましい由来として用いられる。分離した後、DNAを発現ベクターに入れ、次に、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又は非免疫グロブリン産生骨髄腫細胞などの原核又は真核宿主細胞にそれをトランスフェクションしてもよい。より具体的には、分離されたDNAは、抗体を製造するために、定常領域及び可変領域配列をクローニングするために用いられてもよい。本質的に言えば、これは選定された細胞からRNAを抽出して、cDNAに変換し、Ig特異的プライマーを用いてPCR増幅させる必要がある。本明細書に記載されているように、所望の抗体を発現する形質転換細胞は、相対的に大量で成長できるため、免疫グロブリンの臨床供給及び商業的供給を実現できる。
また、通常の組換えDNA技術を用いて、本開示の抗原結合ポリペプチドの1つ又は複数のCDRをフレームワーク領域に挿入することができ、例えば、ヒトフレームワーク領域を挿入して非ヒト抗体をヒト化する。フレームワーク領域は、天然に存在する又は共通のフレームワーク領域であってもよく、且つヒトフレームワーク領域であることが好ましい。好ましくは、フレームワーク領域とCDRの組み合わせにより産生されたポリヌクレオチドは、所望のポリペプチド(例えば、LIGHT)の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する抗体をコードする。好ましくは、フレームワーク領域内において1つ又は複数のアミノ酸置換を行ってもよく、且つ好ましくは、アミノ酸置換は、抗体とその抗原の結合を向上させるものである。また、このような方法は、鎖内ジスルフィド結合に関与する1つ又は複数の可変領域のシステイン残基のアミノ酸置換又は欠失を行って、1つ又は複数の鎖内ジスルフィド結合を欠失している抗体分子を産生するために用いられてもよい。ポリヌクレオチドに対する他の改変は、本開示に含まれており、且つ当分野の技術範囲内にある。
ラクダ科抗体、特に、重鎖抗体及びナノボディ(VHH)について、本発明によれば、ポリペプチドをヒト化することは、1つ又は複数のラクダ科アミノ酸を、当該ポリペプチドにその典型的な特徴を喪失させることなく、ヒトコンセンサス配列から発見されたそれらのヒト対応物で置き換えることを含み、つまり、当該ヒト化は、得られたポリペプチドの抗原結合能力に有意な影響を与えない。このような方法は、技術者に周知されている。
一実施形態では、VHHの「ヒト化」とは、天然に存在するVHH配列のアミノ酸配列の(且つ具体的に言えば、フレームワーク配列の)1つ又は複数のアミノ酸残基をヒトの通常の4鎖抗体に由来するVHドメインの対応する位置にある1つ又は複数のアミノ酸残基に置き換えることを指す。これは当分野で知られているヒト化技術を用いて行ってもよい。いくつかの実施形態では、可能なヒト化置換又はヒト化置換の組み合わせは、例えば、VHHの配列と天然に存在するヒトVHドメインの配列を比較することにより、当分野で知られている方法で決定してもよい。いくつかの実施形態では、得られたヒト化VHHには依然として有利な機能的特性が保持されているように、前記ヒト化置換について選択する。一般的には、ヒト化の結果として、本願のVHHは、対応する天然に存在するVHHドメインに比べてより「ヒトに似ている」ものになるとともに、例えば、低下している免疫原性など、依然として有利な特性を保持している。各実施形態では、本願のヒト化VHHは、当分野で知られている任意の適切な方式で得てもよく、しかもこれにより天然に存在するVHHドメインを含むポリペプチドを出発物質として用いて得ていたポリペプチドに厳格的に限定されない。
各実施形態では、次の方式で「ヒト化」及び「ラクダ化」を行ってもよい。それぞれ、天然に存在するVHHドメイン又はVHドメインをコードするヌクレオチド配列を提供し、次に、当分野で知られている方式で前記ヌクレオチド配列の1つ又は複数のコドンを変更し、このような方式で新しいヌクレオチド配列は「ヒト化」又は「ラクダ化」VHHをそれぞれコードするようにする。次に、本願の所定のVHHを提供するために、当分野で知られている方式でこのような核酸を発現させてもよい。任意選択的に、それぞれ、天然に存在するVHHドメイン又はVHドメインのアミノ酸配列から、本願の所定のヒト化又はラクダ化VHHのアミノ酸配列をそれぞれ設計してもよく、次に、当分野で知られているペプチド合成技術を用いて最初から合成する。また、それぞれ、天然に存在するVHHドメイン又はVHドメインのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列から、所定のヒト化又はラクダ化VHHをコードするヌクレオチド配列をそれぞれ設計してもよく、次に、当分野で知られている核酸合成技術を用いて最初から合成し、その後、本願の所定のVHHを提供するために、当分野で知られている方式でこのように得た核酸を発現してもよい。天然に存在するVH配列又はVHH配列を出発物質として本願のVHH及び/又それをコードする核酸を得る他の適切な方法及び技術は、当分野で知られており、且つ、本願のVHH又はそれをコードするヌクレオチド配列若しくは核酸を提供するために、例えば、1種又は複数種の天然に存在するVH配列の1つ若しくは複数の部分(1つ若しくは複数のFR配列及び/若しくはCDR配列など)、1種若しくは複数種の天然に存在するVHH配列の1つ若しくは複数の部分(1つ若しくは複数のFR配列若しくはCDR配列など)及び/又は1つ若しくは複数の合成若しくは半合成配列を適切な方式で組み合わせることを含んでもよい。
さらに、本発明は、ヒト化されたDDR2に結合するナノボディを提供し、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
本発明の別の態様では、本発明は、上記のいずれかの態様の抗体をコードするポリヌクレオチドを含み、又はそれであるヌクレオチド配列を提供する。いくつかの実施形態では、前記ポリヌクレオチドは、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25及びそれぞれの等価変異体のいずれかの配列を含み、又はそれから選ばれる。
(キメラ抗原受容体(CAR))
キメラ抗原受容体(CAR、Chimeric Antigen Receptors) T細胞は、表面において特定の抗原を認識しシグナルを伝達することができるキメラ型受容体を発現するT細胞である。CAR T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)分子を発現することにより抗腫瘍において重要な役割を発揮する。CAR分子は、一般的に、細胞外セグメントと、膜貫通領域と、細胞内セグメントとを含み、そのうち、細胞外セグメントは、一般的に、抗体重鎖及び軽鎖可変領域を1つのペプチドセグメントによって連結させて形成された単鎖可変領域(ScFv)であり、細胞内セグメントは、様々なシグナル伝達分子の細胞内セグメントのキメラであり、膜貫通領域は、他の分子の膜貫通領域に由来する。一本鎖可変セグメント部分の遺伝子は、例えば、標的抗原を認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから分離されている。CAR分子を発現するT細胞は、腫瘍細胞上の主要組織適合性抗原I型の発現から独立するため、腫瘍細胞表面抗原を直接認識し、且つこれと同時にT細胞を活性化することで、CARを発現するT細胞は腫瘍細胞を効果的に殺傷することができる。簡単に言えば、CAR T細胞は、抗原-抗体認識の方式で腫瘍細胞表面の特定の分子を認識し、次に、その細胞内のシグナル伝達により活性化され、増殖し、細胞殺傷機能を発揮する。
キメラ抗原受容体(CAR、Chimeric Antigen Receptors) T細胞は、表面において特定の抗原を認識しシグナルを伝達することができるキメラ型受容体を発現するT細胞である。CAR T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)分子を発現することにより抗腫瘍において重要な役割を発揮する。CAR分子は、一般的に、細胞外セグメントと、膜貫通領域と、細胞内セグメントとを含み、そのうち、細胞外セグメントは、一般的に、抗体重鎖及び軽鎖可変領域を1つのペプチドセグメントによって連結させて形成された単鎖可変領域(ScFv)であり、細胞内セグメントは、様々なシグナル伝達分子の細胞内セグメントのキメラであり、膜貫通領域は、他の分子の膜貫通領域に由来する。一本鎖可変セグメント部分の遺伝子は、例えば、標的抗原を認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから分離されている。CAR分子を発現するT細胞は、腫瘍細胞上の主要組織適合性抗原I型の発現から独立するため、腫瘍細胞表面抗原を直接認識し、且つこれと同時にT細胞を活性化することで、CARを発現するT細胞は腫瘍細胞を効果的に殺傷することができる。簡単に言えば、CAR T細胞は、抗原-抗体認識の方式で腫瘍細胞表面の特定の分子を認識し、次に、その細胞内のシグナル伝達により活性化され、増殖し、細胞殺傷機能を発揮する。
さらに、本発明の別の態様では、本発明は、抗原に結合できる細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体を提供し、前記抗原に結合できる細胞外ドメインは、上記のいずれかのナノボディを含む。
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、例えば、T細胞受容体α又はβ鎖、CD3ζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、ICOS、CD154、Tlr4、FcγR I、FcγR II、FcγR III、FCER1又はCD36なる膜貫通ドメインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記膜貫通ドメインは、CD8α又はCD28を含む。いくつかの実施形態では、前記膜貫通ドメインは、Tlr4膜貫通領域を含む。
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、例えば、CD3ζ、CD28、4-1BB(又はCD137)、CD27及びOX40(又はCD134)なる細胞内シグナル伝達ドメインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記細胞内ドメインは、CD3ζ及びCD28、4-1BB(又はCD137)、CD27及びOX40(又はCD134)のうちの1種を含む。いくつかの実施形態では、前記細胞内ドメインは、CD3ζ及びCD28、4-1BB(又はCD137)、CD27及びOX40(又はCD134)のうちの2種を含む。いくつかの実施形態では、前記細胞内ドメインは、CD86細胞内機能領域、Tlr4 CSD領域(即ち、Tlr4細胞内Toll-インターロイキン1受容体(TIR)ドメイン)及びFcγR I細胞内機能領域のうちの1種又は複数種を含む。いくつかの実施形態では、前記細胞内ドメインは、Tlr4 CSD領域と、FcγR I細胞内機能領域とを含む。
さらに、本発明は、抗原に結合できる細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体を提供し、前記抗原に結合できる細胞外ドメインは、上記のいずれかのナノボディを含み、前記膜貫通ドメインは、Tlr4膜貫通領域を含み、前記細胞内ドメインは、Tlr4 CSD領域と、FcγR I細胞内機能領域とを含む。
さらに、本発明は、また、上記のキメラ抗原受容体のいずれかを発現する、改変された免疫細胞を提供する。
いくつかの実施形態では、前記免疫細胞は、T細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球から選ばれる。いくつかの実施形態では、前記T細胞は、細胞傷害性Tリンパ球、NKT細胞、ヘルパーT細胞、又は抑制性及び/若しくは制御性T細胞である。いくつかの実施形態では、前記マクロファージは、M1型マクロファージ又はM2型マクロファージである。
いくつかの実施形態では、本発明は、キメラ抗原受容体を発現するCAR-T細胞を提供し、前記キメラ抗原受容体の細胞外ドメインは、本明細書に記載のいずれかのナノボディを含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、キメラ抗原受容体を発現するCAR-T細胞を提供し、前記キメラ抗原受容体の細胞外ドメインは、本明細書に記載のいずれかのナノボディを含み、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
いくつかの実施形態では、本発明は、キメラ抗原受容体を発現するCAR-M細胞(マクロファージ)を提供し、前記キメラ抗原受容体の細胞外ドメインは、本明細書に記載のいずれかのナノボディを含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、キメラ抗原受容体を発現するCAR-M細胞を提供し、前記キメラ抗原受容体の細胞外ドメインは、本明細書に記載のいずれかのナノボディを含み、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディは、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16、配列番号20及びそれぞれの等価変異体のうちのいずれかの配列を含み、又はそれから選ばれる。
(二重特異性抗体)
二重特異性抗体(BsAb)は、異なる抗原又は異なる抗原部位を特異的に認識してそれに結合することができる2種の人工抗体を含有している。この2種の抗原が異なる細胞表面に位置するなら、このような二重特異性抗体は、この2種の抗原分子の間で橋をかけ、細胞間架橋を形成させて、細胞が指向性エフェクター機能を生じるよう媒介することができる。免疫療法に用いる二重特異性抗体は、2種の特異的な細胞受容体抗原結合部位を含有している人工抗体で、病的細胞(標的細胞)と機能細胞(免疫細胞)の間で橋をかけて、指向性を有する免疫応答を起こすことができる。BsAbによって免疫細胞(T細胞、NK細胞など)を媒介して腫瘍細胞を殺させることは、現在免疫療法の応用研究のホットスポットになっており、その作用機序は、BsAbは腫瘍関連抗原及び免疫エフェクター細胞上の標的分子に同時に結合することができ、免疫細胞を活性化させると同時に、腫瘍細胞に対する免疫エフェクター細胞の特異的殺傷を直接ガイドすることである。
二重特異性抗体(BsAb)は、異なる抗原又は異なる抗原部位を特異的に認識してそれに結合することができる2種の人工抗体を含有している。この2種の抗原が異なる細胞表面に位置するなら、このような二重特異性抗体は、この2種の抗原分子の間で橋をかけ、細胞間架橋を形成させて、細胞が指向性エフェクター機能を生じるよう媒介することができる。免疫療法に用いる二重特異性抗体は、2種の特異的な細胞受容体抗原結合部位を含有している人工抗体で、病的細胞(標的細胞)と機能細胞(免疫細胞)の間で橋をかけて、指向性を有する免疫応答を起こすことができる。BsAbによって免疫細胞(T細胞、NK細胞など)を媒介して腫瘍細胞を殺させることは、現在免疫療法の応用研究のホットスポットになっており、その作用機序は、BsAbは腫瘍関連抗原及び免疫エフェクター細胞上の標的分子に同時に結合することができ、免疫細胞を活性化させると同時に、腫瘍細胞に対する免疫エフェクター細胞の特異的殺傷を直接ガイドすることである。
さらに、本発明の別の態様では、本発明は、第1抗原に結合する第1結合部分と、第2抗原に結合する第2結合部分とを含む二重特異性抗体を提供し、前記第1結合部分は、上記のいずれかのナノボディを含む。
いくつかの実施形態では、前記二重特異性抗体が標的とする第2抗原は、免疫細胞表面の特定の抗原である。いくつかの実施形態では、前記第2抗原は、B細胞、T細胞、骨髄系細胞、形質細胞又は肥満細胞の抗原又はエピトープである。
いくつかの実施形態では、前記第2抗原は、CD3、CD4、CD8、CD20、CD19、CD21、CD23、CD46、CD80、HLA-DR、CD74、CD22、CD14、CD15、CD16、CD89、CD123、TCRγ/δ、NKp46及びKIRから選ばれる。
いくつかの実施形態では、前記第2抗原は、CD16aである。CD16a(FcγRIIIa)は、IgG Fcドメインの低親和性受容体で、抗体依存性細胞傷害(ADCC)に関与し、且つナチュラルキラー(NK)による標的細胞の溶解をトリガーすることに関与する。
いくつかの実施形態では、前記第2抗原は、CD89である。CD89は、免疫グロブリンα Fc受容体(Fc α RI)とも呼ばれる糖タンパク質で、好中球、単球、マクロファージ及び好酸球の表面で発現される効果的な細胞傷害性誘発分子である。
いくつかの実施形態では、前記第2抗原は、CD3である。CD3は、T細胞の表面だけに存在し、6つのペプチド鎖からなり、常にT細胞受容体(TCR)に緊密に結合して8つのペプチド鎖を含有するTCR-CD3複合体を形成させ、T細胞の抗原に対する認識及びシグナル伝達の両方に関与している。
いくつかの実施形態では、本発明は、第1抗原に結合する第1結合部分と、第2抗原に結合する第2結合部分とを含む二重特異性抗体を提供し、前記第1抗原はDDR2であり、且つ前記第1結合部分はナノボディを含み、且つ前記第2抗原はB細胞、T細胞、骨髄系細胞、形質細胞又は肥満細胞の抗原又はエピトープであり、好ましくは、T細胞表面抗原であり、好ましくは、CD3であり、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
いくつかの実施形態では、本発明は、第1抗原に結合する第1結合部分と、第2抗原に結合する第2結合部分とを含む二重特異性抗体を提供し、前記第1抗原はDDR2であり、且つ前記第1結合部分はナノボディを含み、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
且つ、前記第2抗原はDDR2であり、且つ前記第2結合部分はナノボディを含み、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
且つ、前記第2抗原はDDR2であり、且つ前記第2結合部分はナノボディを含み、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディは、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16、配列番号20及びそれぞれの等価変異体のうちのいずれかの配列を含み、又はそれから選ばれる。
いくつかの実施形態では、前記第1結合部分に含まれるナノボディと前記第2結合部分に含まれるナノボディは異なる。
いくつかの実施形態では、本発明は、第1抗原に結合する第1結合部分と、第2抗原に結合する第2結合部分とを含む二重特異性抗体を提供し、前記第1結合部分はナノボディを含み、前記ナノボディは、配列番号4の配列を含み、又はそれであり、且つ前記第2結合部分はナノボディを含み、前記ナノボディは、配列番号12の配列を含み、又はそれである。
いくつかの実施形態では、前記第1結合部分と前記第2結合部分はリンカーによって連結される。リンカーは、柔軟なリンカーであることが好ましく、これにより、エフェクター分子又はポリペプチドは単一の望ましくない立体配座に限定されなくなる。リンカーは、例えば、グリシン、アラニン、セリンなど、主に小さな側鎖を有するアミノ酸によって構成されることが好ましく、これにより前記柔軟性を提供する。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシンとセリンの重合体を含み、(GS)n、(GGS)n、(GGGS)n(配列番号26)及びその組み合わせを含み、ただしそれらに限定されず、ここで、nは1以上の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーの配列は、(GGGS)3(配列番号27)である。また、異なる抗体可変領域を連結させるために利用されている様々な柔軟なリンカーの設計など、他の異なるリンカーを利用してもよい。リンカーのサイズ及び配列構成は、コンピューターによるモデル化及び通常の技術により決定してもよい。
(抗体薬物複合体(ADC))
抗体薬物複合体(ADC)は、標的療法、特に、がんの治療に用いるために設計された効率的な新規バイオ医薬品である。ADCは、抗体(完全なmAb又は抗体断片)を不安定な結合をもたらすかもしれない安定的な化学リンカーによって、生物学的に活性な薬物又は細胞毒性化合物に連結させて構成される複雑な分子である。抗体独自の標的化能力と細胞傷害性薬物の細胞殺傷能力を組み合わせることで、抗体と抗原の発現により、健康な組織と病的組織とで抗体薬物複合体に対する高感度の区分を実現できる。これは、従来の化学療法剤に比べ、抗体薬物複合体は能動的に抗原発現細胞を標的とし、それを攻撃することで、抗原をわずかなだけ発現し又は発現しない健康な細胞に対する影響は非常に小さいことを意味している。
抗体薬物複合体(ADC)は、標的療法、特に、がんの治療に用いるために設計された効率的な新規バイオ医薬品である。ADCは、抗体(完全なmAb又は抗体断片)を不安定な結合をもたらすかもしれない安定的な化学リンカーによって、生物学的に活性な薬物又は細胞毒性化合物に連結させて構成される複雑な分子である。抗体独自の標的化能力と細胞傷害性薬物の細胞殺傷能力を組み合わせることで、抗体と抗原の発現により、健康な組織と病的組織とで抗体薬物複合体に対する高感度の区分を実現できる。これは、従来の化学療法剤に比べ、抗体薬物複合体は能動的に抗原発現細胞を標的とし、それを攻撃することで、抗原をわずかなだけ発現し又は発現しない健康な細胞に対する影響は非常に小さいことを意味している。
さらに、本発明の別の態様では、本発明は、DDR2を標的とする抗体と、薬物と、前記抗体と薬物とを連結させるリンカーとを含む抗体薬物複合体を提供し、前記DDR2を標的とする抗体は、本明細書に記載のいずれかのナノボディを含み、又はそれである。
いくつかの実施形態では、本発明の抗体に複合させる薬物は、細胞傷害剤、化学療法剤又は治療用放射性同位元素である。
いくつかの実施形態では、前記細胞傷害剤は、低分子量毒素、ペプチド毒素又はタンパク質毒素である。いくつかの実施形態では、前記毒素は、リシン、リシンA鎖、臭化エチジウム、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシン(anthracin)ジオン、ジフテリア毒素、緑膿菌エクソトキシンA、アブリン、アブリンA鎖、ボルケンシンA鎖、α-サルシナ、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、クルシン及びクロチンから選ばれる。
いくつかの実施形態では、前記化学療法剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン系抗生物質、代謝拮抗剤、微小管/有糸分裂阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、キナーゼ阻害剤、ペプチド系抗生物質、白金系抗腫瘍剤、トポイソメラーゼ阻害剤、DNAクロスリンク薬剤及び細胞傷害性抗生物質から選ばれる。
いくつかの実施形態では、前記治療用放射性同位元素は、Lu-177、Y-90、Ac-225、As-211、Bi-212、Bi-213、Cs-137、Cr-51、Co-60、Dy-165、Er-169、Fm-255、Au-198、Ho-166、I-125、I-131、Ir-192、Fe-59、Pb-212、Mo-99、Pd-103、P-32、K-42、Re-186、Re-188、Sm-153、Ra-223、Ru-106、Na-24、Sr-89、Tb-149、Th-227、Xe-133、Yb-169及びYb-177から選ばれる。
いくつかの実施形態では、本発明は、DDR2を標的とする抗体と、薬物(好ましくは、MMAE、カリケアミシン(calicheamicin)、IR700、SG3199、DM1、DXd、MMAF、PE-38、SN-38又はイットリウム90(yttrium-90))と、前記抗体と薬物とを連結させるリンカーとを含む抗体薬物複合体を提供し、前記抗体は、ナノボディを含み、又はそれであり、前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(siRNA複合体)
本発明の別の態様では、本発明は、(i)DDR2を標的とする抗体と、(ii)DDR2陽性細胞における生存遺伝子の発現を阻害するsiRNAと、(iii)前記ナノボディと前記siRNAとの間に位置するリンカーとを含む、DDR2陽性細胞を標的とするsiRNA複合体を提供し、前記DDR2を標的とする抗体は、本明細書に記載のいずれかのナノボディを含み、又はそれである。
本発明の別の態様では、本発明は、(i)DDR2を標的とする抗体と、(ii)DDR2陽性細胞における生存遺伝子の発現を阻害するsiRNAと、(iii)前記ナノボディと前記siRNAとの間に位置するリンカーとを含む、DDR2陽性細胞を標的とするsiRNA複合体を提供し、前記DDR2を標的とする抗体は、本明細書に記載のいずれかのナノボディを含み、又はそれである。
本開示のsiRNA複合体の薬理学的部分として、「DDR2陽性細胞における生存遺伝子の発現を阻害するsiRNA部分」は、1つの二本鎖RNA分子で、標的細胞に取り込まれると、RNAi機構により、特定の生存遺伝子のmRNAの分解を特異的に標的とすることにより、DDR2陽性細胞における生存遺伝子の発現を阻害する。
標的遺伝子に対してsiRNAを設計する方法は、当分野の通常技術である。例えば、オンライン設計サービスを提供するsiRNA設計サイトは複数ある(例えば、DSIR:http://biodev.extra.cea.fr/DSIR/DSIR.html、又は、siDirect version 2.0:http://sidirect2.rnai.jp/)。これらの設計サイトでは、標的遺伝子のmRNAから、当該標的遺伝子の異なる断片に対する複数の代表的なsiRNA配列を同時に得ることができる。これらの代表的なsiRNAを複数のオプション(例えば、熱力学、高次構造など)によって並べ替えてもよい。候補siRNA配列は、SNP部位を含有する又は非オープンリーディングフレーム断片に結合する配列を排除するよう、さらに(手動で又は自動で)スクリーニングされてもよい。いくつかの実施形態では、異なるオンライン設計サイトで重複する結果は候補siRNA配列として選択される。また、候補siRNA配列に対して、オフターゲット(off-target)予測ソフトウェアでオフターゲットの可能性が高いsiRNA配列を分析してもよい(http://rnai.cs.unm.edu/rnai/off-targetなど)。
いくつかの実施形態では、前記siRNA部分のsiRNA配列は、DDR2陽性細胞の生存遺伝子を標的とする。例えば、前記siRNA配列は、polr2a遺伝子、polr2b遺伝子、dkc1遺伝子、cenpe遺伝子、eif-3b遺伝子のうちの1つ又は複数の1つ又は複数の断片を標的とする。いくつかの実施形態では、siRNA配列が細胞に送達されると、RNAi経路によって標的遺伝子に結合することで、標的遺伝子の発現が阻害される。いくつかの実施形態では、標的遺伝子の発現阻害は、DDR2陽性細胞のアポトーシス、死及び/又は増殖阻害を起こす。いくつかの実施形態では、DDR2陽性細胞のアポトーシス、死及び/又は増殖阻害が疾患の治療又は治癒を媒介する。適切な生存遺伝子は、polr2a遺伝子、polr2b遺伝子、dkc1遺伝子、cenpe遺伝子、eif-3b遺伝子、survivin(サバイビン)遺伝子のうちの1つ又は複数を含み、ただしそれらに限定されない。生存遺伝子を標的とするsiRNA配列は、上記の方法で得てテストしてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明は、(i)DDR2を標的とする抗体と、(ii)DDR2陽性細胞における生存遺伝子の発現を阻害するsiRNAと、(iii)前記抗体と前記siRNAとの間に位置するリンカーとを含む、DDR2陽性細胞を標的とするsiRNA複合体を提供し、前記DDR2を標的とする抗体は、ナノボディを含み、又はそれであり、且つ前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいずれかのナノボディを含む抗体は、2つの完全な重鎖を含む抗体であってもよく、前記いずれかのナノボディは、それぞれの完全な重鎖の可変領域を構成し、それぞれの完全な重鎖は、重鎖定常領域(例えば、ヒト重鎖定常領域)をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいずれかのナノボディを含む抗体は、二価の前記ナノボディを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、前記重鎖定常領域のFc領域は変異される。いくつかの実施形態では、抗体媒介性細胞傷害(ADCC)を低下させるために、前記Fc領域を変異させる。例示的なFc領域変異は、L234A、L235A、G237A及びP329Gであってもよく、ここで、位置番号はEUインデックスによるものである。
(医薬組成物)
本発明の別の態様は、治療有効量の上記のいずれかの抗体、ヌクレオチド配列、ベクター、宿主細胞、免疫細胞又は複合体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
本発明の別の態様は、治療有効量の上記のいずれかの抗体、ヌクレオチド配列、ベクター、宿主細胞、免疫細胞又は複合体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
上記のいずれかの態様において、前記医薬組成物は、例えば、がん又は炎症性疾患(例えば、肺線維症、網膜血管疾患)など、DDR2の異常な発現が媒介する疾患を治療及び/又は予防するために用いられる。
医薬組成物又は無菌組成物を製造するために、薬物を薬学的に許容される担体又は賦形剤と混合する。生理学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤と混合することで、例えば、凍結乾燥粉末、懸濁液、水溶液又は懸濁剤の形態の製剤を製造してもよい。薬学的に許容される担体は、当分野で熟知されている。当分野では、有効成分を含む水性組成物の製造方法は知られている。一般的に、これらの組成物は、例えば、溶液又は懸濁液である液体など、注射剤又はスプレー剤として製造され、また、注射又はスプレーする前に溶液又は懸濁液として調製するのに適する固体の形態で製造されてもよい。
(イメージング及び/又は診断用の試薬)
本発明の別の態様では、本発明は、上記のいずれかのナノボディと、検出可能な標識とを含むイメージング及び/又は診断用の試薬を提供する。
本発明の別の態様では、本発明は、上記のいずれかのナノボディと、検出可能な標識とを含むイメージング及び/又は診断用の試薬を提供する。
さらに、本発明は、イメージング及び/又は診断用の試薬の製造における上記のいずれかのナノボディの使用を提供する。
さらに、本発明は、イメージング及び/又は診断用途で用いる上記のいずれかのナノボディを提供する。
上記のイメージング及び/又は診断用の試薬は、例えば、肺線維症イメージングや網膜新生血管イメージングなど、疾患の診断又は病巣イメージングに用いてもよい。当該試薬は、術中の画像ナビゲーション用現像試薬として用いられてもよく、例えば、病巣に対する光学イメージングにより、外科医の手術をガイドするナビゲーションを行うことで、病巣の精確な切除を実現する。
本発明のイメージング及び/又は診断用の試薬に含まれる検出可能な標識は、例えば、蛍光標識、化学発光標識、常磁性標識、放射性同位元素標識又は酵素標識であってもよい。
標識の選択は、検出の方式に依存している。例えば、蛍光標識(例えば、インドシアニングリーン(ICG)、希土類キレート化合物(例えば、ユウロピウムのキレート化合物))、フルオレセイン(fluorescein)型標識(例えば、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、5-カルボキシフルオレセイン、6-カルボキシフルオレセイン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン)、ローダミン型標識(例えば、ALEXA568(Invitrogen)、又は、ダンシルクロリド(dansyl chloride))、VIVOTAG 680 XLFLUOROCHROMETM(Perkin Elmer)、フィコエリスリン、7-ヒドロキシクマリン、リサミン(Lissamine)、シアニン、フィコエリスリン、テキサスレッド(Texas Red)、BODIPY(Invitrogen)又はその類似体は、光学的検出に好適である。
化学発光標識(例えば、ルミノール(luminol)、ルシフェラーゼ、ルシフェリン(luciferin)、エクオリン)を採用してもよい。このような診断及び検出は、本発明のナノボディを検出可能な物質に連結させることで行ってもよく、前記検出可能な物質は、様々な酵素を含み、ただしそれらに限定されず、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ又はアセチルコリンエステラーゼを含み、ただしそれらに限定されず、又はそれを補欠分子族複合体(prosthetic groupcomplexes)に連結させることで行ってもよく、前記補欠分子族複合体は、例えば、ストレプトアビジン-ビオチン、アビジン-ビオチンであり、ただしそれらに限定されない。
常磁性標識及び放射性同位元素標識を採用してもよく、陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography、PET)又は単一光子放射断層撮影(Single-PhotonEmission Computed Tomography、SPECT)で検出するものが好ましい。放射性標識は、ビスマス(213Bi)、炭素(11C、13C、14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co、60Co)、銅(64Cu)、ジスプロシウム(165Dy)、エルビウム(169Er)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ガリウム(68Ga、67Ga)、ゲルマニウム(68Ge)、金(198Au)、ホルミウム(166Ho)、水素(3H)、インジウム(111In、112In、113In、115In)、ヨウ素(121I、123I、125I、131I)、イリジウム(192Ir)、鉄(59Fe)、クリプトン(81mKr)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、窒素(13N、15N)、酸素(15O)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、カリウム(42K)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルビジウム(81Rb、82Rb)、ルテニウム(82Ru、97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、ナトリウム(24Na)、ストロンチウム(85Sr、89Sr、92Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Tl)、スズ(113Sn、117Sn)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb、177Yb)、イットリウム(90Y)、亜鉛(65Zn)を含み、ただしそれらに限定されず、様々な陽電子放出断層撮影用陽電子放出金属及び非放射性常磁性金属イオン、例えば、常磁性アルミニウム(Al)イオン、バリウム(Ba)イオン、カルシウム(Ca)イオン、セリウム(Ce)イオン、ジスプロシウム(Dy)イオン、エルビウム(Er)イオン、ユウロピウム(Eu)イオン、ガドリニウム(Gd)イオン、ホルミウム(Ho)イオン、イリジウム(Ir)イオン、リチウム(Li)イオン、マグネシウム(Mg)イオン、マンガン(Mn)イオン、モリブデン(M)イオン、ネオジム(Nd)イオン、オスミウム(Os)イオン、酸素(O)イオン、パラジウム(Pd)イオン、白金(Pt)イオン、ロジウム(Rh)イオン、ルテニウム(Ru)イオン、サマリウム(Sm)イオン、ナトリウム(Na)イオン、ストロンチウム(Sr)イオン、テルビウム(Tb)イオン、ツリウム(Tm)イオン、スズ(Sn)イオン、チタン(Ti)イオン、タングステン(W)イオン、ジルコニウム(Zi)イオン、特に、Co+2、CR+2、Cr+3、Cu+2、Fe+2、Fe+3、Ga+3、Mn+3、Ni+2、Ti+3、V+、V+4を使用してもよい。放射性標識アミノ酸及び関連するペプチド誘導体を調製する方法は、当分野で知られている。例えば、クロラミン-T法により放射性同位元素を複合させてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明は、上記のいずれかのナノボディと、前記ナノボディに連結された検出可能な標識とを含むイメージング及び/又は診断用の試薬を提供し、前記検出可能な標識は、蛍光標識である。いくつかの実施形態では、前記蛍光標識は、インドシアニングリーン(ICG)である。
いくつかの実施形態では、本発明は、上記のいずれかのナノボディと、前記ナノボディに連結された検出可能な標識とを含むイメージング及び/又は診断用の試薬を提供し、前記検出可能な標識は、蛍光標識であり、好ましくは、インドシアニングリーン(ICG)であり、且つ前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
いくつかの実施形態では、本発明は、上記のいずれかのナノボディと、前記ナノボディに連結された検出可能な標識とを含むイメージング及び/又は診断用の試薬を提供し、前記検出可能な標識は、放射性同位元素である。いくつかの実施形態では、前記放射性同位元素は、68Ga又は64Cuである。
いくつかの実施形態では、本発明は、上記のいずれかのナノボディと、前記ナノボディに連結された検出可能な標識とを含むイメージング及び/又は診断用の試薬を提供し、前記検出可能な標識は、放射性同位元素であり、好ましくは、68Ga又は64Cuであり、且つ前記ナノボディは、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、且つ、
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
(a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである。
いくつかの実施形態では、前記ナノボディは、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16、配列番号20及びそれぞれの等価変異体のうちのいずれかの配列を含み、又はそれから選ばれる。
(方法及び使用)
本発明の一態様は、DDR2の異常な発現が媒介する疾患を治療及び/又は予防する方法を提供し、前記方法は、有効量の上記のいずれかの抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、免疫細胞又は複合体を対象に投与することを含む。
本発明の一態様は、DDR2の異常な発現が媒介する疾患を治療及び/又は予防する方法を提供し、前記方法は、有効量の上記のいずれかの抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、免疫細胞又は複合体を対象に投与することを含む。
さらに、本発明の別の態様は、DDR2の異常な発現が媒介する疾患を治療及び/又は予防するための薬物の製造における上記のいずれかの抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、免疫細胞又は複合体の使用を提供する。
さらに、本発明の別の態様は、DDR2の異常な発現が媒介する疾患を治療及び/又は予防するための上記のいずれかの抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、免疫細胞又は複合体を提供する。
本発明の別の態様は、対象におけるDDR2の異常な発現が媒介する疾患の診断方法を提供し、前記方法は、有効量の上記のいずれかのイメージング及び/又は診断用の試薬を前記対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、有効量の上記のいずれかのイメージング及び/又は診断用の試薬を前記対象に投与することと、前記イメージング及び/又は診断用の試薬によって生成された信号を検出し、それを読み取ることと、前記信号の強度から、前記対象は、DDR2の異常な発現が媒介する疾患に罹患している又は罹患するリスクがあると決定することとを含む。いくつかの実施形態では、前記信号が所定の閾値を超えるかどうかを判断し、且つ、当前記信号が所定の閾値を超える場合に、前記対象はDDR2の異常な発現が媒介する疾患に罹患していると決定する。いくつかの実施形態では、前記閾値は、疾患に罹患していない対象に由来する中央値レベルである。
さらに、本発明の別の態様は、対象におけるDDR2の異常な発現が媒介する疾患を診断するためのキットの製造における上記のいずれかのイメージング及び/又は診断用の試薬の使用を提供する。
さらに、本発明の別の態様は、対象におけるDDR2の異常な発現が媒介する疾患を診断するための上記のいずれかのイメージング及び/又は診断用の試薬を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるDDR2の異常な発現が媒介する疾患の治療方法を提供し、前記方法は、(a)有効量の上記のいずれかのイメージング及び/又は診断用の試薬を前記対象に投与することと、(b)前記イメージング及び/又は診断用の試薬によって生成された信号を検出し、それを読み取ることと、(c)前記信号が所定の閾値を超えるかどうかを判断し、且つ、当前記信号が所定の閾値を超える場合に、前記対象はDDR2の異常な発現が媒介する疾患に罹患していると決定し、好ましくは、前記閾値は、疾患に罹患していない対象に由来する中央値レベルであることと、(e)疾患に罹患していると決定された対象に、DDR2の活性及び/又は発現を低減させる療法、例えば、抗がん療法又は抗炎症療法(例えば、抗線維症療法)を投与することとを含む。好ましい実施形態では、前記DDR2の異常な発現が媒介する疾患は、肺線維症であり、特に、特発性肺線維症である。好ましい実施形態では、前記抗線維症療法は、ピルフェニドン及び/又はニンテダニブである。
適切な投与経路は、非経口(例えば、筋肉内、静脈内又は皮下)投与及び経口投与を含む。他の一般的な投与方式は、気管内挿管経由、経口、吸入、局所、又は経皮、皮下、腹腔内、動脈内注射を含む。
当分野で知られている又は治療に影響を与えると思われる若しくは治療に影響すると想定されるパラメータ又は要因から、臨床医により適切な用量が測定される。一般的に、開始用量は、最適用量よりやや低いが、その後、任意の有害事項に対して必要な又は最適な作用効果が出るまで少しずつ増加させていく。重要な監視指標は、例えば、炎症症状又は生成された炎症性サイトカインのレベルの計測を含む。
(実施例)
実施例1:抗体スクリーニング
ヒトDDR2細胞外セグメント(UniProtKB/Swiss-Prot:Q16832.2 aa22~aa399)で免疫したアルパカから抗DDR2重鎖抗体をスクリーニングした。次に、抗体に対して配列決定を行い、そのVHH部分を確認し、5つのナノボディを得て、それぞれ、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3と命名し、配列はそれぞれ、上表に示されており、これを更なる特性評価及び実験に用いる。
実施例1:抗体スクリーニング
ヒトDDR2細胞外セグメント(UniProtKB/Swiss-Prot:Q16832.2 aa22~aa399)で免疫したアルパカから抗DDR2重鎖抗体をスクリーニングした。次に、抗体に対して配列決定を行い、そのVHH部分を確認し、5つのナノボディを得て、それぞれ、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3と命名し、配列はそれぞれ、上表に示されており、これを更なる特性評価及び実験に用いる。
実施例2:スクリーニングされた5つのDDR2ナノボディの発現及び精製
実験ステップは以下のとおりであった。
1.形質転換
1本分の100μLのBL21(DE3)コンピテントセルを取得して氷上に静置し、1μLのプラスミド(スクリーニングされた5つのDDR2ナノボディの発現ベクター)を加え、管の底部を軽く叩いて、氷上に25~30分間静置し、42℃で45秒間水浴した後、直ちに氷上に戻して2分間保持し、500μLの抗生物質不含LB培地を加え、37℃、250rpmで1時間処理した。3000rpmで1分間遠心分離し、100μLの上清を残し、ピペッティングして均一に混合させて、アンピシリンを含んでいるLB寒天培地プレート(LBA+)に塗布し、37℃のインキュベーターで一晩過ごした。
実験ステップは以下のとおりであった。
1.形質転換
1本分の100μLのBL21(DE3)コンピテントセルを取得して氷上に静置し、1μLのプラスミド(スクリーニングされた5つのDDR2ナノボディの発現ベクター)を加え、管の底部を軽く叩いて、氷上に25~30分間静置し、42℃で45秒間水浴した後、直ちに氷上に戻して2分間保持し、500μLの抗生物質不含LB培地を加え、37℃、250rpmで1時間処理した。3000rpmで1分間遠心分離し、100μLの上清を残し、ピペッティングして均一に混合させて、アンピシリンを含んでいるLB寒天培地プレート(LBA+)に塗布し、37℃のインキュベーターで一晩過ごした。
2.菌株の保存及び増幅
(1)保存
プレートから単クローンをピッキングして5~10mLのLBA+液体培地に加え、37℃、250rpmで一晩処理した。翌日、750μLの菌液を取得して250μLの80%LBグリセロールに加え、断片、ベクター、菌株名、日付を記載して、均一に混合させてから-20℃/-80℃で保存した(菌株をグリセロールに3~4か月保存した後、改めてプレートに塗布して活性化させ、菌株の保護を行う必要がある)。
(1)保存
プレートから単クローンをピッキングして5~10mLのLBA+液体培地に加え、37℃、250rpmで一晩処理した。翌日、750μLの菌液を取得して250μLの80%LBグリセロールに加え、断片、ベクター、菌株名、日付を記載して、均一に混合させてから-20℃/-80℃で保存した(菌株をグリセロールに3~4か月保存した後、改めてプレートに塗布して活性化させ、菌株の保護を行う必要がある)。
(2)増幅
1日目には、10μLのグリセロール入り菌株を取得して10mLのLBA+液体培地に加え(50mLの遠心管)、合計で15本であり、37℃、250rpmで一晩処理した。2LのLBA+液体培地を調製して、1瓶あたり250mLで8つの1Lの三角フラスコに分注し、121℃で16分間処理した。
1日目には、10μLのグリセロール入り菌株を取得して10mLのLBA+液体培地に加え(50mLの遠心管)、合計で15本であり、37℃、250rpmで一晩処理した。2LのLBA+液体培地を調製して、1瓶あたり250mLで8つの1Lの三角フラスコに分注し、121℃で16分間処理した。
2日目には、一晩増幅させた菌液を6%の比率で1Lの三角フラスコに接種し、これと同時に250μLの100mg/mL Ampを加え、37℃、250rpmで2~3時間処理し(OD値は0.8~1になる)、最終濃度1mMのIPTGを加えて誘導し、32℃、200rpmで5~6時間処理し、菌体を収集して(10000rpm、5分間)、-20℃で冷凍保存した。
3.タンパク質の抽出及び精製
(1)タンパク質抽出
-20℃の環境から菌体を取得して室温で解凍し、細菌溶解液で再懸濁し(500mLの菌体:50mLの溶解液)、超音波下で5分間破砕し(450~500W、動作7秒、停止3秒)、ホモジナイザーにおいて1000Paで10分間処理し、4℃、12000rpmで30分間処理して上清を残した。
(1)タンパク質抽出
-20℃の環境から菌体を取得して室温で解凍し、細菌溶解液で再懸濁し(500mLの菌体:50mLの溶解液)、超音波下で5分間破砕し(450~500W、動作7秒、停止3秒)、ホモジナイザーにおいて1000Paで10分間処理し、4℃、12000rpmで30分間処理して上清を残した。
(2)タンパク質の精製
200μLの磁気ビーズ(Genscript Biotech Corporation、L00776)を吸い出して1.5mLのEPチューブに加え、洗浄バッファー(Wash Buffer)で5~6回洗浄し(毎回1mLの洗浄液)、洗浄液を捨て、磁気ビーズを菌液上清に加え、4℃で、1時間ひっくり返しながら均一に混合させ、遠心管をマグネティックスタンドに置き、上清が清澄になった後、新しい遠心管に移し替え、200μLの新しい磁気ビーズを加え、4℃で、1時間ひっくり返しながら均一に混合させ、古いほうの磁気ビーズを洗浄バッファー(Wash Buffer)で5~6回洗浄した後、溶出バッファー(Elution Buffer)を加えて3回溶出し、1回は1mL、5分間であり、ひっくり返して均一に混合させて溶出した。最後に、全ての溶出液を収集して-20℃で冷凍保存した。
200μLの磁気ビーズ(Genscript Biotech Corporation、L00776)を吸い出して1.5mLのEPチューブに加え、洗浄バッファー(Wash Buffer)で5~6回洗浄し(毎回1mLの洗浄液)、洗浄液を捨て、磁気ビーズを菌液上清に加え、4℃で、1時間ひっくり返しながら均一に混合させ、遠心管をマグネティックスタンドに置き、上清が清澄になった後、新しい遠心管に移し替え、200μLの新しい磁気ビーズを加え、4℃で、1時間ひっくり返しながら均一に混合させ、古いほうの磁気ビーズを洗浄バッファー(Wash Buffer)で5~6回洗浄した後、溶出バッファー(Elution Buffer)を加えて3回溶出し、1回は1mL、5分間であり、ひっくり返して均一に混合させて溶出した。最後に、全ての溶出液を収集して-20℃で冷凍保存した。
4.タンパク質の濃縮及び培地交換
(1)超遠心フィルターから20%アルコールを注ぎ出し、二次蒸留水で3回洗い流し、15mLの二次蒸留水を加え、4℃、4000rpmで10~12分間処理し、内管と外管の二次蒸留水を注ぎ出し、溶出液を加え(添加量は内管の目盛りを超えない)、500μL程度になるまで濃縮した。
(1)超遠心フィルターから20%アルコールを注ぎ出し、二次蒸留水で3回洗い流し、15mLの二次蒸留水を加え、4℃、4000rpmで10~12分間処理し、内管と外管の二次蒸留水を注ぎ出し、溶出液を加え(添加量は内管の目盛りを超えない)、500μL程度になるまで濃縮した。
(2)4.5mLの濾過済みPBSを加え、4℃、4000rpmで30分間処理し、上記のステップを3回繰り返し、最後に、約500~700μLのPBS中のサンプルを吸い出して1.5mLのEPチューブに入れた。超遠心フィルターを洗浄して、20%エタノールを加えて内管を浸漬した。
(3)BCA法でタンパク質の濃度を測定した。
結果分析は次のとおりであった。発現及び精製された5つのDDR2ナノボディ(1A1、1A5、1A12、1B2、1B3)のSDS-PAGE結果は図1に示され、抗体タンパク質(円で示した)のサイズは約15KDで、予想通りのサイズで正しかった。
実施例3:DDR2ナノボディとDDR2抗原細胞外セグメントの結合のELISAによる初歩的な同定
実験ステップは以下のとおりであった。
Flagタグをナノボディ遺伝子コード配列に融合させ、Flagタグを有する5つの精製DDR2抗体、即ち、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3を発現し、次に、DDR2抗原細胞外セグメントで100ng/ウェルコーティング→ヤギ血清で一晩ブロック→PBSで3回リンス、抗DDR2(5つの精製DDR2抗体、抗体はいずれもFlagタグを含有している)200ng/ウェルで37℃、1時間→抗Flag(Sigma、F1804-200UG、1mg/mL)1:2500、37℃で1時間→HRP(G&M)1:5000、37℃ 30分間(西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗Flag抗体によるシグナル増幅、TMB発色)→37℃、30分間TMB発色→1M HClで停止にて実行し、これと同時にブランク対照を設けた。
実験ステップは以下のとおりであった。
Flagタグをナノボディ遺伝子コード配列に融合させ、Flagタグを有する5つの精製DDR2抗体、即ち、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3を発現し、次に、DDR2抗原細胞外セグメントで100ng/ウェルコーティング→ヤギ血清で一晩ブロック→PBSで3回リンス、抗DDR2(5つの精製DDR2抗体、抗体はいずれもFlagタグを含有している)200ng/ウェルで37℃、1時間→抗Flag(Sigma、F1804-200UG、1mg/mL)1:2500、37℃で1時間→HRP(G&M)1:5000、37℃ 30分間(西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗Flag抗体によるシグナル増幅、TMB発色)→37℃、30分間TMB発色→1M HClで停止にて実行し、これと同時にブランク対照を設けた。
結果分析は次のとおりであった。前のステップで正しいものと確認された5つの精製及び発現されたナノボディとDDR2抗原細胞外セグメント、及び陰性対照タンパク質であるウシ血清アルブミン(Bovine Serum Albumin、BSA)に対してELISA検証を行った。
DDR2抗原細胞外セグメントとの結合の分析結果は図2のAに示され、5つのナノボディ、即ち、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3は、いずれもDDR2抗原に対して結合活性を示すことができることが分かった。
陰性対照タンパク質であるウシ血清アルブミンとの結合の分析結果は図2のBに示され、5つのナノボディ、即ち、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3とBSAタンパク質の結合では、いずれも結合活性がないことが分かった。
したがって、5つのナノボディ、即ち、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3は、DDR2抗原に対して結合活性を有し、陰性対照タンパク質BSAに結合しないことが確認できた。
実施例4:DDR2ナノボディとDDR2抗原の結合のフローサイトメトリー同定
実験ステップは以下のとおりであった。
DDR2抗原を過剰発現するアデノウイルスでA549細胞を感染し、DDR2ナノボディ(Hisタグをナノボディ遺伝子コード配列に融合させて、Hisタグを有する5つの精製DDR2ナノボディを発現させた)を4℃で1時間インキュベートし、PBSで1回洗浄し、抗His-AF488を二次抗体として4℃で30分間インキュベートし、PBSで1回洗浄し、300gで5分間遠心分離して細胞を収集し、200μLで細胞を再懸濁した。ACEA NovoCyte新世代インテリジェントフローサイトメーターを用いてフローサイトメトリー測定を行った。
実験ステップは以下のとおりであった。
DDR2抗原を過剰発現するアデノウイルスでA549細胞を感染し、DDR2ナノボディ(Hisタグをナノボディ遺伝子コード配列に融合させて、Hisタグを有する5つの精製DDR2ナノボディを発現させた)を4℃で1時間インキュベートし、PBSで1回洗浄し、抗His-AF488を二次抗体として4℃で30分間インキュベートし、PBSで1回洗浄し、300gで5分間遠心分離して細胞を収集し、200μLで細胞を再懸濁した。ACEA NovoCyte新世代インテリジェントフローサイトメーターを用いてフローサイトメトリー測定を行った。
結果分析は次のとおりであった。DDR2抗原との結合の分析結果は図3に示され、5つのナノボディ、即ち、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3は、いずれもDDR2抗原に対して結合活性を示すことができることが分かった。
実施例5:DDR2ナノボディとDDR2抗原の結合の免疫蛍光同定
実験ステップは以下のとおりであった。
DDR2抗原を過剰発現する細胞を播種→4%パラホルムアルデヒドで一晩固定→5%スキムミルクで30分間ブロック→DDR2ナノボディを室温で2時間インキュベート→抗His AF488二次抗体→DAPI染色、蛍光顕微鏡で撮影。
実験ステップは以下のとおりであった。
DDR2抗原を過剰発現する細胞を播種→4%パラホルムアルデヒドで一晩固定→5%スキムミルクで30分間ブロック→DDR2ナノボディを室温で2時間インキュベート→抗His AF488二次抗体→DAPI染色、蛍光顕微鏡で撮影。
結果分析は次のとおりであった。DDR2抗原との結合の分析結果は図4に示され、5つのナノボディ、即ち、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3は、いずれもDDR2抗原に対して結合活性を示すことができることが分かった。
実施例6:DDR2抗原細胞外セグメントに対するDDR2ナノボディの親和性
実験ステップは以下のとおりであった。
精製された5つのDDR2ナノボディ、即ち、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3に対して、分子相互作用解析システムForteBioにおいて、バイオレイヤー干渉法(BLI)を用いて抗体の抗原に対する親和性を測定し、DDR2抗原細胞外セグメントタンパク質に対する被測ナノボディの親和性を解析した。
実験ステップは以下のとおりであった。
精製された5つのDDR2ナノボディ、即ち、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3に対して、分子相互作用解析システムForteBioにおいて、バイオレイヤー干渉法(BLI)を用いて抗体の抗原に対する親和性を測定し、DDR2抗原細胞外セグメントタンパク質に対する被測ナノボディの親和性を解析した。
実験材料は以下のとおりでああった。
抗体はPBS(pH 7.4)に溶解し、抗原はPBS(pH 7.4)に溶解し、センサーはNi-NTAであり、動力学バッファー(Kinetics Buffer)はPBST(PBS+0.02%Tween-20、pH 7.4)であり、再生バッファー(Regeneration Buffer)は10mM グリシン-HCl(pH 1.7)であり、リロードバッファー(Re-charged Buffer)は水中の10mM NiClであった。
抗体はPBS(pH 7.4)に溶解し、抗原はPBS(pH 7.4)に溶解し、センサーはNi-NTAであり、動力学バッファー(Kinetics Buffer)はPBST(PBS+0.02%Tween-20、pH 7.4)であり、再生バッファー(Regeneration Buffer)は10mM グリシン-HCl(pH 1.7)であり、リロードバッファー(Re-charged Buffer)は水中の10mM NiClであった。
操作ステップは以下のとおりであった。
a.動力学バッファー(kinetics buffer)においてプローブを10分間予湿潤した。
b.ベースライン1を設定する。バイオセンサーに対して、動力学バッファー(kinetics buffer)において180秒間ベースラインを設定した。
c.固定する。動力学バッファー(kinetics buffer)でHisタグ付きのDDR2抗原細胞外セグメントを20μg/mLに希釈し、4nMになるまでセンサーでそれを捕捉した(300秒)。
d.ベースライン2を設定する。バイオセンサーに対して、動力学バッファー(kinetics buffer)において60秒間ベースラインを設定した。
e.結合させる。動力学バッファー(kinetics buffer)で抗体溶液を一定の濃度に希釈し(100nMから3.125nMに2倍希釈した)、センサーを抗体溶液に入れて結合させた(600秒)。
f.解離する。動力学バッファー(kinetics buffer)においてセンサーを解離した(600秒)。
g.センサーの再生であった。10mM グリシン-HCl(pH 1.7)で、5秒間であった。
h.中和する。センサーを再生させた後、動力学バッファー(kinetics buffer)において5秒間中和した。
i.再生ステップg及び中和ステップhを繰り返す。合計で3回であった(30秒)。
j.ベースライン3を設定する。センサーを再生させた後、10mM NiClを加えて60秒間保持した。
a.動力学バッファー(kinetics buffer)においてプローブを10分間予湿潤した。
b.ベースライン1を設定する。バイオセンサーに対して、動力学バッファー(kinetics buffer)において180秒間ベースラインを設定した。
c.固定する。動力学バッファー(kinetics buffer)でHisタグ付きのDDR2抗原細胞外セグメントを20μg/mLに希釈し、4nMになるまでセンサーでそれを捕捉した(300秒)。
d.ベースライン2を設定する。バイオセンサーに対して、動力学バッファー(kinetics buffer)において60秒間ベースラインを設定した。
e.結合させる。動力学バッファー(kinetics buffer)で抗体溶液を一定の濃度に希釈し(100nMから3.125nMに2倍希釈した)、センサーを抗体溶液に入れて結合させた(600秒)。
f.解離する。動力学バッファー(kinetics buffer)においてセンサーを解離した(600秒)。
g.センサーの再生であった。10mM グリシン-HCl(pH 1.7)で、5秒間であった。
h.中和する。センサーを再生させた後、動力学バッファー(kinetics buffer)において5秒間中和した。
i.再生ステップg及び中和ステップhを繰り返す。合計で3回であった(30秒)。
j.ベースライン3を設定する。センサーを再生させた後、10mM NiClを加えて60秒間保持した。
薬物動態曲線を作成し、各関連パラメータを計算する。適切な濃度勾配の結合解離曲線を複数選択し、1:1結合(binding)モデルを採用して全ての曲線を当てはめし、適合度が最も良い3つの曲線を選んでグラフを作成して分析し、最終的に、親和性値、結合定数及び解離定数など重要なパラメータを得た。
結果分析は次のとおりであった。精製された5つのDDR2ナノボディ、即ち、1A1、1A5、1A12、1B2、1B3のDDR2抗原との結合の分析結果は、図5に示すとおりであった。
実施例7:DDR2ナノボディのインビトロイメージング結果
実験ステップは以下のとおりであった。
1.インドシアニングリーン(ICG)によるDDR2ナノボディ標識
Nb-DDR2を2mg/mLの濃度でPBSに溶解し、ボルテックスして均一に混合させた。
実験ステップは以下のとおりであった。
1.インドシアニングリーン(ICG)によるDDR2ナノボディ標識
Nb-DDR2を2mg/mLの濃度でPBSに溶解し、ボルテックスして均一に混合させた。
ICG-NHSを2mMの濃度でDMSOに溶解し、ボルテックスして均一に混合させた。
500μLの2mg/mL Nb-DDR2溶液を1.5mLの遠心管に移し替え、18μLの2mM ICG-NHS溶液をNb-DDR2溶液に9回に分けて加え、1回は2μLであり、毎回加える時に、いずれも数秒間ボルテックスして均一に混合させた。
混合溶液のpHを計測し、2M NaOH溶液でpHを8.5~9に調整した。
遠心管を振盪機に置いて60rpmで室温、2時間反応させた。
0.5mLの超遠心フィルターを用いて14000gで10分間複数回遠心分離し、反応していないICG-NHSを除去し、溶液を0.9%NaClと交換して、0.22μmメンブレンフィルターでタンパク質溶液を濾過した後、4℃で保存した。
2.マウス肺組織切片イメージング
正常マウスの新鮮な肺組織を厚さ300μmでスライスし、1つは無処理群対照とし、もう1つはブレオマイシンを加えて誘導し、さらにもう1つはmTGF-βサイトカインを加えて誘導し、いずれも72時間であった(2つの処理群では、いずれもDDR2の発現を促進できる)。次に、各群に対してICG標識DDR2ナノボディ1A12(1μg/サンプル)を加えて30分間染色した後、PBSで複数回洗い流して、非特異的な染色を取り除いた。次に、生体イメージング装置でイメージングし、イメージング結果は図6に示すとおりであった。
正常マウスの新鮮な肺組織を厚さ300μmでスライスし、1つは無処理群対照とし、もう1つはブレオマイシンを加えて誘導し、さらにもう1つはmTGF-βサイトカインを加えて誘導し、いずれも72時間であった(2つの処理群では、いずれもDDR2の発現を促進できる)。次に、各群に対してICG標識DDR2ナノボディ1A12(1μg/サンプル)を加えて30分間染色した後、PBSで複数回洗い流して、非特異的な染色を取り除いた。次に、生体イメージング装置でイメージングし、イメージング結果は図6に示すとおりであった。
結果分析は次のとおりであった。ICGで標識した精製DDR2ナノボディは、マウスのDDR2高発現組織に特異的に結合できるため、精確なインビトロイメージングに用いることができる。
3.特発性肺線維症(IPF)患者の肺組織切片イメージング
正常ドナー及び特発性肺線維症(IPF)患者の肺組織を使用し、IPF患者の肺組織はDDR2を高発現し、正常ドナー肺はDDR2を発現しないかごく少量を発現し、インビトロにて厚さ600μmでスライスし、正常群(Normal)を対照とし、IPF患者の肺組織切片を実験群とし、ICG標識DDR2ナノボディ1A12と染色した後、インビトロ生体イメージングを行い、結果は図7に示すとおりであった。
正常ドナー及び特発性肺線維症(IPF)患者の肺組織を使用し、IPF患者の肺組織はDDR2を高発現し、正常ドナー肺はDDR2を発現しないかごく少量を発現し、インビトロにて厚さ600μmでスライスし、正常群(Normal)を対照とし、IPF患者の肺組織切片を実験群とし、ICG標識DDR2ナノボディ1A12と染色した後、インビトロ生体イメージングを行い、結果は図7に示すとおりであった。
結果分析は次のとおりであった。ICGで標識した精製DDR2ナノボディは、ヒトのDDR2高発現組織に特異的に結合できるため、精確なインビトロイメージングに用いることができる。
4.ブタ及びウサギの肺組織切片イメージング
正常なブタ及びウサギの新鮮な肺組織を厚さ600μmでスライスし、1μg/mL、2μg/mL、4μg/mLの濃度でブレオマイシンを加えて肺組織のDDR2発現を誘導し、ブレオマイシンを加えていない肺組織をブランク対照とし、72時間誘導した後、2μgのICG標識DDR2ナノボディ1A12を加えて、37℃で1時間インキュベートし、PBSで組織切片を5回洗い流して、結合していないプローブを除去し、小動物用生体内イメージング装置を用いて近赤外イメージングを行い、結果は図8に示すとおりであった。
正常なブタ及びウサギの新鮮な肺組織を厚さ600μmでスライスし、1μg/mL、2μg/mL、4μg/mLの濃度でブレオマイシンを加えて肺組織のDDR2発現を誘導し、ブレオマイシンを加えていない肺組織をブランク対照とし、72時間誘導した後、2μgのICG標識DDR2ナノボディ1A12を加えて、37℃で1時間インキュベートし、PBSで組織切片を5回洗い流して、結合していないプローブを除去し、小動物用生体内イメージング装置を用いて近赤外イメージングを行い、結果は図8に示すとおりであった。
結果分析は次のとおりであった。ICG標識DDR2ナノボディは、ブタ及びウサギの肺組織で高発現されたDDR2を特異的に認識できるため、精確なインビトロイメージングに用いることができる。
5.網膜新生血管イメージング
血管平滑筋細胞は血管壁を構成する主成分で、DDR2を発現することができる。正常マウス及び酸素誘導病変マウスの網膜を採取し、スライドガラスに塗布した後、2μgのICG標識DDR2ナノボディ1A12を加えて室温で1時間インキュベートし、PBSで複数回洗い流して、結合していないプローブを除去し、小動物用生体内イメージング装置を用いて近赤外イメージングを行い、結果は図9に示すとおりであった。
血管平滑筋細胞は血管壁を構成する主成分で、DDR2を発現することができる。正常マウス及び酸素誘導病変マウスの網膜を採取し、スライドガラスに塗布した後、2μgのICG標識DDR2ナノボディ1A12を加えて室温で1時間インキュベートし、PBSで複数回洗い流して、結合していないプローブを除去し、小動物用生体内イメージング装置を用いて近赤外イメージングを行い、結果は図9に示すとおりであった。
結果分析は次のとおりであった。ICG標識DDR2ナノボディは、マウス網膜中のDDR2を特異的に認識して、網膜中の血管分布及び酸素誘導が引き起こす網膜血管疾患の状況を示すことができる。
実施例8:DDR2ナノボディのインビボイメージング結果
実験ステップは以下のとおりであった。
ブレオマイシンを1.7mg/kgの用量で、気管内挿管経由でC57マウスの肺に投与することにより、マウス肺線維症モデルを構築した。マウス肺線維症モデルでは、肺組織でDDR2が高発現され、1週間モデル化した後、75μgのICG標識1A12ナノボディを尾静脈より注射して、生体イメージングを行った。1番及び2番のマウスは肺線維症モデルで、3番のマウスはモデル化していない正常マウスであった。小動物用生体イメージング装置において、イメージングによるマウスの肺線維症の部位特定を行った。
実験ステップは以下のとおりであった。
ブレオマイシンを1.7mg/kgの用量で、気管内挿管経由でC57マウスの肺に投与することにより、マウス肺線維症モデルを構築した。マウス肺線維症モデルでは、肺組織でDDR2が高発現され、1週間モデル化した後、75μgのICG標識1A12ナノボディを尾静脈より注射して、生体イメージングを行った。1番及び2番のマウスは肺線維症モデルで、3番のマウスはモデル化していない正常マウスであった。小動物用生体イメージング装置において、イメージングによるマウスの肺線維症の部位特定を行った。
結果から明らかなように、本発明により提供される抗DDR2ナノボディは、図10に示すように、いずれもマウスの体内で肺線維症病巣の精確なイメージングを実現できるため、今後は早期肺線維症の精確なインビボ診断に用いることができる。
実施例9:コラーゲンが誘導したDDR2タンパク質のリン酸化に対するナノボディ1A12の阻害(機能検証)
実験ステップは以下のとおりであった。
DDR2抗原を過剰発現する293T細胞を6ウェルプレートに播種し、細胞が70~80%まで増殖した後、0.75%FBS培地と交換して細胞を飢餓状態にし、12時間後に新しい0.75%培地と交換して、異なる量のDDR2抗体1A12を加えてインキュベートし、2時間後にコラーゲンを加えて刺激し、12時間後に細胞を溶解して、タンパク質を収集してウエスタンブロットを行った。
実験ステップは以下のとおりであった。
DDR2抗原を過剰発現する293T細胞を6ウェルプレートに播種し、細胞が70~80%まで増殖した後、0.75%FBS培地と交換して細胞を飢餓状態にし、12時間後に新しい0.75%培地と交換して、異なる量のDDR2抗体1A12を加えてインキュベートし、2時間後にコラーゲンを加えて刺激し、12時間後に細胞を溶解して、タンパク質を収集してウエスタンブロットを行った。
実験結果は図11及び図12に示すとおりであった。結果から明らかなように、1A12は、コラーゲンが誘導したDDR2タンパク質のリン酸化を阻害することができ、しかも用量依存性を示している。
実施例10:抗DDR2ヘテロ二量体ナノボディ1A1~1A12のプラスミド酵素切断による同定
本実施例では、上記のナノボディ1A1及び1A12を含めヘテロ二量体ナノボディ1A1~1A12を構築しており、連結方式として、リンカー配列はGGGSGGGSGGGS(配列番号27)であり、連結部位は1A1配列のN末端と1A12のC末端との間であった。当該抗体に対し、特性評価及び実験を行った。
本実施例では、上記のナノボディ1A1及び1A12を含めヘテロ二量体ナノボディ1A1~1A12を構築しており、連結方式として、リンカー配列はGGGSGGGSGGGS(配列番号27)であり、連結部位は1A1配列のN末端と1A12のC末端との間であった。当該抗体に対し、特性評価及び実験を行った。
実験ステップは以下のとおりであった。
1. DDR2ナノボディ1A1~1A12を発現するグリセロール入り菌株に対して一晩軽く振盪し、翌日、プラスミドの小容量抽出を行い、500ngのプラスミドに対して、0.5μLのNcoI及びXhoI迅速制限酵素、1μLの10×バッファーを加え、二次蒸留水を補足して10μLの系とし、37℃で静置して30分間インキュベートした。
1. DDR2ナノボディ1A1~1A12を発現するグリセロール入り菌株に対して一晩軽く振盪し、翌日、プラスミドの小容量抽出を行い、500ngのプラスミドに対して、0.5μLのNcoI及びXhoI迅速制限酵素、1μLの10×バッファーを加え、二次蒸留水を補足して10μLの系とし、37℃で静置して30分間インキュベートした。
2. 0.3gのアガロースを秤量して三角フラスコに入れ、30mLのTAEバッファーを加え、三角フラスコを電子レンジに入れてアガロースが溶解するまで加熱し、液体アガロースゲルを65℃程度に冷却して臭化エチジウムを加え、均一になるまで充分に混合させ、型を固定して、コームをセットし、アガロース溶液を注入して、そのまま凝固させた。
3.サンプル及びDNAマーカーをウェルに加え、120Vで20分間電気泳動を実行し、アガロースゲルを取得して露光及び現像した。
結果は図13に示すとおりであった。結果から明らかなように、プラスミドの酵素切断サイズが正しかったため、目的プラスミドであった。
実施例11:抗DDR2ヘテロ二量体ナノボディ1A1~1A12の精製タンパク質に対するクマシーブリリアントブルー染色
実験ステップは以下のとおりであった。
2μgの精製後の抗DDR2ナノボディ1A1~1A12に対して、5×タンパク質ローディングバッファーを加え、煮沸して変性させ、SDS-PAGEゲルにロードして、220Vで1時間電気泳動し、電気泳動が終了した後、SDS-PAGEゲルを適量のクマシーブリリアントブルー染色液に入れ、振盪機において回転速度60rpmで30分間染色して、染色液を捨て、二次蒸留水と交換して2~3回洗浄し、白色光下で撮影した。
実験ステップは以下のとおりであった。
2μgの精製後の抗DDR2ナノボディ1A1~1A12に対して、5×タンパク質ローディングバッファーを加え、煮沸して変性させ、SDS-PAGEゲルにロードして、220Vで1時間電気泳動し、電気泳動が終了した後、SDS-PAGEゲルを適量のクマシーブリリアントブルー染色液に入れ、振盪機において回転速度60rpmで30分間染色して、染色液を捨て、二次蒸留水と交換して2~3回洗浄し、白色光下で撮影した。
結果は図14に示すとおりであった。結果から明らかなように、精製されたヘテロ二量体ナノボディ1A1~1A12は、サイズが正しく、しかも他の不純物バンドがなかった。
実施例12:抗DDR2ヘテロ二量体ナノボディ1A1~1A12のWB同定
実験ステップは以下のとおりであった。
2μgの精製後の抗DDR2ナノボディ1A1~1A12に対して、5×タンパク質ローディングバッファーを加え、煮沸して変性させ、SDS-PAGEゲルにロードして、220Vで1時間電気泳動し、電気泳動が終了した後、SDS-PAGEゲルを取得して転写し、転写条件は400mA、35分であり、5%スキムミルクで1時間ブロックし、抗His-HRPで室温下1時間インキュベートし、TBSTで3回洗浄し、ローディングして現像させた。
実験ステップは以下のとおりであった。
2μgの精製後の抗DDR2ナノボディ1A1~1A12に対して、5×タンパク質ローディングバッファーを加え、煮沸して変性させ、SDS-PAGEゲルにロードして、220Vで1時間電気泳動し、電気泳動が終了した後、SDS-PAGEゲルを取得して転写し、転写条件は400mA、35分であり、5%スキムミルクで1時間ブロックし、抗His-HRPで室温下1時間インキュベートし、TBSTで3回洗浄し、ローディングして現像させた。
結果は図15に示すとおりであった。結果から明らかなように、精製されたヘテロ二量体ナノボディ1A1~1A12は、サイズが正しかった。
実施例13:抗DDR2ヘテロ二量体ナノボディ1A1~1A12のDDR2抗原に対する結合活性のフローサイトメトリー同定
実験ステップは以下のとおりであった。
DDR2 293T及び293T細胞を消化し、1.5mLの遠心管に移し、1μgの抗DDR2ナノボディ1A1~1A12を加えて1時間インキュベートし、300gで5分間遠心分離して、上清を捨て、PBSを加えて、3回洗浄し、抗His-488二次抗体を加えて暗所で1時間インキュベートし、PBSで3回洗浄して、フローサイトメーターにローディングして測定した。
実験ステップは以下のとおりであった。
DDR2 293T及び293T細胞を消化し、1.5mLの遠心管に移し、1μgの抗DDR2ナノボディ1A1~1A12を加えて1時間インキュベートし、300gで5分間遠心分離して、上清を捨て、PBSを加えて、3回洗浄し、抗His-488二次抗体を加えて暗所で1時間インキュベートし、PBSで3回洗浄して、フローサイトメーターにローディングして測定した。
結果は図16に示すとおりであった。結果から明らかなように、精製されたヘテロ二量体ナノボディ1A1~1A12は、対応するDDR2抗原に結合する能力を有している。
実施例14:コラーゲンが誘導したDDR2タンパク質のリン酸化に対する抗DDR2ヘテロ二量体ナノボディ1A1~1A12の阻害(機能検証)
実験ステップは以下のとおりであった。
1. DDR2-293T細胞を6ウェルプレートに播種し、各群は1ウェルであり、細胞密度が85%になるまで待つ。
2.細胞を0.75%ウシ胎児血清培地と交換して12時間飢餓させ、同じ飢餓培地で異なる濃度の抗体1A1~1A12溶液を調製した。
3.飢餓培地から上清を捨て、異なる濃度の抗体培地と交換して2時間インキュベートした。
4.コラーゲンを加えて刺激し、コラーゲン濃度は30μg/mLであり、12時間刺激した後、細胞を溶解してタンパク質を抽出した。
5. WB実験により、各群の細胞のDDR2タンパク質に対するリン酸化レベルを測定した。
実験ステップは以下のとおりであった。
1. DDR2-293T細胞を6ウェルプレートに播種し、各群は1ウェルであり、細胞密度が85%になるまで待つ。
2.細胞を0.75%ウシ胎児血清培地と交換して12時間飢餓させ、同じ飢餓培地で異なる濃度の抗体1A1~1A12溶液を調製した。
3.飢餓培地から上清を捨て、異なる濃度の抗体培地と交換して2時間インキュベートした。
4.コラーゲンを加えて刺激し、コラーゲン濃度は30μg/mLであり、12時間刺激した後、細胞を溶解してタンパク質を抽出した。
5. WB実験により、各群の細胞のDDR2タンパク質に対するリン酸化レベルを測定した。
結果は図17に示すとおりであった。結果から明らかなように、ヘテロ二量体ナノボディ1A1~1A12は、DDR2抗原に結合すると抑制効果があった。
実施例15:キメラ抗原受容体
DDR2ナノボディ1A12配列でCAR分子ベクターを構築し(図18参照)、アデノウイルスをパッケージングして、マウス初代マクロファージを感染することで、αDDR2 CAR-M細胞を得て、これを以下の実験に用いる。
DDR2ナノボディ1A12配列でCAR分子ベクターを構築し(図18参照)、アデノウイルスをパッケージングして、マウス初代マクロファージを感染することで、αDDR2 CAR-M細胞を得て、これを以下の実験に用いる。
Empty-M(感染していないマクロファージ)、αDDR2 CAR-Mをそれぞれ、293T-DDR2細胞と1:1の比率で共培養し、FITC及びAPC二重陽性率を293T-DDR2の貪食率として統計し、結果を平均±標準誤差(Mean±SEM)で示す。結果は図19に示され、Empty-MとCAR-Mとでは統計学的有意差があった。1A12で構築したCAR-M細胞は、有意に高い比率でDDR2陽性293T細胞を貪食していることが分かった。
Empty-M、αDDR2 CAR-M各5×105個をブレオマイシンによる左肺モデル化マウスの尾静脈よりその体内に注射し、15日目にマウスの安楽死を実施し、左肺を摘出し、マクロファージを注射していない正常マウスを対照として、CD68免疫組織化学を実施した。結果は図20に示すとおりであった。CD68免疫組織化学の結果が次のことを示している。各群のマウスの肺切片ではいずれも茶色の微細顆粒が見られ、NC群及びBLM+Empty-M群では、肺組織切片内にCD68の弱陽性発現が見られ、主に気道周囲及び肺胞中隔内に分布しており、BLM+CAR-M群では、CD68の陽性発現が明らかに増強しており且つ均一に分布していた。これらの結果から、養子移入されたαDDR2 CAR-Mは、DDR2を高発現する領域、即ち、マウスの左肺に局在化できることが考えられる。1A12で構築したCAR-M細胞は、マウスのDDR2高発現組織に集中し、そこに局在していることが示された。
格子光シート超解像顕微鏡を用いて、293T-DDR2に対するαDDR2 CAR-Mの標的化貪食を検証した。αDDR2 CAR-Mは緑色蛍光を持っており、Dil(オレンジレッド色の蛍光染色液)で293T-DDR2を赤色に染め、両者を1:1の比率で混合した後、ローディングし、16時間連続撮影し、3分間ごとに1回撮影した。結果は図21に示すとおりであった。緑色(CAR-M)及び赤色(293T-DDR2)の細胞が見られ、なお、黄色の細胞は、緑色のCAR-Mが赤色の293T-DDR2を充分に貪食した後、293T-DDR2に乗っている赤色染色液がCAR-Mの内部に入ったことで形成されたものであると考えられ、1A12で構築されたCAR-M細胞は、DDR2陽性293T細胞を標的とし、それを効果的に貪食することができることが証明された。
各群のマウスに対して気管内に0.75mg/mL ブレオマイシン(BLM)を40μL滴下し、8日目にマイクロCT(Micro-CT)撮影をし、左肺モデル化に成功したマウスをスクリーニングし、その病変の程度に応じて群分けをし、10日目にそれぞれ、PBS、Empty-M、αDDR2 CAR-Mを尾静脈より注射し、26日目に再びマイクロCT撮影をして治療効果を評価し、28日目にマウスの安楽死を実施し、左肺を摘出して固定した。
図22に示すように、Aは、実験手順であり、Bは、BLMによるモデル化後、マウスに対して3日ごとに体重を量る体重変化図であり、Cは、各群のマウスのBLMによるモデル化当日からモデル化後28日目までの生存曲線図であり、Dは、各群のマウスのモデル化後、それぞれ、8日目、26日目に肺のマイクロCT撮影をして得られたCT 3D画像であった。
体重をみると、CAR-M群では、マウスの体重が減少してから上昇する傾向が見られ、28日目に元の体重レベルにほぼ回復しており、他2群では、体重の回復が見られていたが、元の体重まで回復できなかった。生存曲線をみると、CAR-M群では、死亡したマウスがなく、他2群では、いずれも死亡したマウスが出ており、PBS群はさらに深刻であった。CTをみると、CAR-M群ではマウスの肺病変が殆ど8日目のそれより回復しており、他2群では回復が明らかではなく、あるいは悪化した。要するに、対照に比べて、αDDR2 CAR-Mを注射されたマウスは、体重が有意により高く、生存率が有意に上昇しており(28日目まで死亡例は1つもなかった)、病変の程度はコントロールされており、有意な治療効果があった。
実施例16:核種(64Cu、68Gaなどの通常核種)によるナノボディ1A12の標識の手順
1. NOTAとの結合
(1)抗体溶液を12000gで遠心分離し、上清を取得して、抗体溶液に対して溶媒を0.1M 酢酸アンモニウム(pH=7)に置き換え、置き換えた後、ナノボディ1A12-cysの濃度は1.33mg/mLになり、置き換える前とその後、濃度を計測し、置き換えた後の濃度に準拠した。
1. NOTAとの結合
(1)抗体溶液を12000gで遠心分離し、上清を取得して、抗体溶液に対して溶媒を0.1M 酢酸アンモニウム(pH=7)に置き換え、置き換えた後、ナノボディ1A12-cysの濃度は1.33mg/mLになり、置き換える前とその後、濃度を計測し、置き換えた後の濃度に準拠した。
(2)50mM Mal-NOTA(DMSOで溶解)を使用し、抗体とMal-NOTAのモル量比を1:5とし、Mal-NOTAを、反応系容量の10%未満になるまでDMSOで希釈し(例えば、反応系が1mLであれば、Mal-NOTAを80~90μLに希釈し、振盪して均一に混合させることで、Mal-NOTAをDMSOに充分に溶解させた)、Mal-NOTA溶液を1回あたり10μLで、数回に分けて抗体溶液に加え、毎回加えた後、数十秒振盪して均一に混合させ、溶液のpHを7に調整し(反応溶媒は0.1M 酢酸アンモニウムであり、pHはほぼ調整しなくてよく、計測して確認すればよい)、振盪機に置いて室温で2時間反応させ、振盪機の回転速度は150rpmであった。
(3)反応が終了した後、抗体溶液を12000gで遠心分離し、上清を取得して、0.1M 酢酸アンモニウムで抗体溶液を精製して濃縮させ、100μgの抗体ごとに50~80μLに濃縮し、シールフィルムで密封して、-80℃の冷蔵庫で保存した。
2. 68Ga、64Cuなどの通常核種による標識
(1)68Ga、64Cu又は他の核種を前駆体溶液に加え(64Cuの場合はなるべく高い濃度とし、100μgの前駆体に対する投入の総放射能は約1.5mCiであり、最終の反応体積は150μL以下であった)、均一に混合させて、pHを4~5に調整した(一般的には、調整しなくても、均一に混合させた後、pHは4~5であった)。
(1)68Ga、64Cu又は他の核種を前駆体溶液に加え(64Cuの場合はなるべく高い濃度とし、100μgの前駆体に対する投入の総放射能は約1.5mCiであり、最終の反応体積は150μL以下であった)、均一に混合させて、pHを4~5に調整した(一般的には、調整しなくても、均一に混合させた後、pHは4~5であった)。
(2)振動式サーモスタットを保有していれば、振動式サーモスタットに置いて37℃で2時間反応させ、なければ、37℃で加熱して2時間反応させればよい(水浴鍋、オーブンなどで)。
(3)ペーパークロマトグラフィー用濾紙にサンプルをスポットして、展開液で展開させ、iTLCにより標識率を測定した(展開液はクエン酸ナトリウム)。
実施例17:核種68Gaで標識したナノボディ1A12のイメージング
実施例16に記載している手順で、68Ga標識ナノボディ1A12を調製した。
実施例16に記載している手順で、68Ga標識ナノボディ1A12を調製した。
ブレオマイシン(BLM)によるモデル化15日目のマウス(BLM-15d)、及び、対照用正常マウス(Ctrl)に対して、それぞれ、200μCi/匹で68Ga標識ナノボディ1A12を尾静脈より投与してPET-CTイメージングを行った。イメージングの結果は図23に示すとおりであった。結果は、BLMによるモデル化マウスは、正常マウスに比べ、明らかに肺に取り込まれていたことを示している。ナノボディに核種を結合させると、PET-CTイメージングで利用できることを示している。
好ましい実施形態と任意選択的な特徴で本発明を具体的に開示しているが、当業者は本明細書で開示されている発明に対して補正、改良及び変更を加えてもよく、これらの補正、改良及び変更は本発明の範囲内にあるものと見なされる、ということを理解されたい。ここで提供している材料、方法及び実施例は、好ましい実施形態の代表で例示的なもので、しかも本発明の範囲に対する制限とするものではない。
Claims (20)
- DDR2に結合するナノボディであって、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含み、前記CDR1、CDR2及びCDR3は、アミノ酸配列が配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16及び配列番号20であるいずれかのナノボディのCDR1、CDR2及びCDR3、若しくはそれぞれの等価変異体を含み、又はそれから選ばれる、ナノボディ。
- 前記CDR1、CDR1及びCDR3は、IMGT、Kabat、Chothia、Contact又はMartinのうちのいずれかの定義方式により定義される、請求項1に記載のナノボディ。
- (a)CDR1は配列番号1に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号2に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号3に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(b)CDR1は配列番号5に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号6に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号7に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(c)CDR1は配列番号9に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号10に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号11に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、
(d)CDR1は配列番号13に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号14に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号15に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、又は
(e)CDR1は配列番号17に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR2は配列番号18に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれであり、CDR3は配列番号19に示される配列若しくはその等価変異体を含み、又はそれである、請求項1に記載のナノボディ。 - 前記ナノボディは、ヒト化ナノボディである、請求項1に記載のナノボディ。
- 前記ナノボディは、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16、配列番号20及びそれぞれの等価変異体のうちのいずれかの配列を含み、又はそれから選ばれる、請求項1に記載のナノボディ。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載のナノボディをコードするポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチドは、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24及び配列番号25のいずれかの配列若しくはそれぞれの等価変異体を含み、又はそれから選ばれる、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
- 請求項6又は7に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
- 請求項8に記載のベクターを含む、非ヒト宿主細胞。
- 抗原に結合できる細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとを含み、前記抗原に結合できる細胞外ドメインは、請求項1~5のいずれか一項に記載のナノボディを含む、キメラ抗原受容体。
- 前記膜貫通ドメインは、Tlr4膜貫通領域を含み、前記細胞内ドメインは、Tlr4 CSD領域と、FcγR I細胞内機能領域とを含む、請求項10に記載のキメラ抗原受容体。
- 請求項10又は11に記載のキメラ抗原受容体を発現する、改変された免疫細胞。
- マクロファージである、請求項12に記載の免疫細胞。
- 第1抗原に結合する第1結合部分と、第2抗原に結合する第2結合部分とを含み、前記第1結合部分は、請求項1~5のいずれか一項に記載のナノボディを含む、二重特異性抗体。
- 前記第2結合部分は、請求項1~5のいずれか一項に記載のナノボディを含む、請求項14に記載の二重特異性抗体。
- 前記第1結合部分に含まれるナノボディと前記第2結合部分に含まれるナノボディは異なる、請求項15に記載の二重特異性抗体。
- DDR2を標的とする抗体と、薬物と、前記抗体と前記薬物とを連結させるリンカーとを含み、前記DDR2を標的とする抗体は、請求項1~5のいずれか一項に記載のナノボディを含み、又はそれである、抗体薬物複合体。
- (i)請求項1~5のいずれか一項に記載のナノボディを含み、又はそれであるDDR2を標的とする抗体と、(ii)DDR2陽性細胞における生存遺伝子の発現を阻害するsiRNAと、(iii)前記ナノボディと前記siRNAとの間に位置するリンカーとを含む、DDR2陽性細胞を標的とするsiRNA複合体。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載のナノボディと、前記ナノボディに連結された検出可能な標識とを含む、イメージング及び/又は診断用の試薬。
- 前記検出可能な標識は、蛍光標識又は放射性同位元素である、請求項19に記載の試薬。
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