JP3240968B2 - コンクリート又はモルタルの劣化防止用混和剤 - Google Patents
コンクリート又はモルタルの劣化防止用混和剤Info
- Publication number
- JP3240968B2 JP3240968B2 JP20872497A JP20872497A JP3240968B2 JP 3240968 B2 JP3240968 B2 JP 3240968B2 JP 20872497 A JP20872497 A JP 20872497A JP 20872497 A JP20872497 A JP 20872497A JP 3240968 B2 JP3240968 B2 JP 3240968B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- concrete
- group
- admixture
- metal
- phthalocyanine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B2103/00—Function or property of ingredients for mortars, concrete or artificial stone
- C04B2103/60—Agents for protection against chemical, physical or biological attack
- C04B2103/67—Biocides
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B2111/00—Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
- C04B2111/20—Resistance against chemical, physical or biological attack
- C04B2111/2092—Resistance against biological degradation
Landscapes
- Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硫黄酸化細菌の生
育阻害作用を有するフタロシアニン化合物を含有するこ
とにより、硫黄酸化細菌の生成する硫酸によるコンクリ
ート又はモルタルの劣化を防止することを特徴とするコ
ンクリート又はモルタル用混和剤に関する。
育阻害作用を有するフタロシアニン化合物を含有するこ
とにより、硫黄酸化細菌の生成する硫酸によるコンクリ
ート又はモルタルの劣化を防止することを特徴とするコ
ンクリート又はモルタル用混和剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、わが国の下水道施設等において、
コンクリート構造物の劣化の事例が数多く報告されてい
る。しかも、これらの劣化はわが国に限られたものでは
なく、アメリカ合衆国、エジプト、南アフリカ共和国、
オーストラリアなどでも報告されている。下水道施設等
の建設には多額の費用を要しているので、これらの施設
を長期に渡って効果的に機能させるには、コンクリート
の劣化を防止するための適切な処置を講ずることが重要
である。
コンクリート構造物の劣化の事例が数多く報告されてい
る。しかも、これらの劣化はわが国に限られたものでは
なく、アメリカ合衆国、エジプト、南アフリカ共和国、
オーストラリアなどでも報告されている。下水道施設等
の建設には多額の費用を要しているので、これらの施設
を長期に渡って効果的に機能させるには、コンクリート
の劣化を防止するための適切な処置を講ずることが重要
である。
【0003】コンクリートの劣化サイクルには、2種類
の微生物、すなわち、硫酸塩還元細菌及びチオバチルス
(Thiobacillus)属等の硫黄酸化細菌が関与しているこ
とが知られている。これらの微生物によるコンクリート
の劣化過程では、まず、下水中に存在する硫酸塩が、嫌
気的条件下で硫酸塩還元細菌により還元され、硫化水素
が発生する。次いで、この硫化水素がコンクリート壁面
に付着した水に吸着され、好気的条件下で硫黄酸化細菌
により酸化されて、硫酸が生成する。コンクリートに含
まれたカルシウムは、生成した硫酸によって硫酸カルシ
ウム(石膏)に変化し、これによりコンクリートが膨張
・脆弱化して劣化する。
の微生物、すなわち、硫酸塩還元細菌及びチオバチルス
(Thiobacillus)属等の硫黄酸化細菌が関与しているこ
とが知られている。これらの微生物によるコンクリート
の劣化過程では、まず、下水中に存在する硫酸塩が、嫌
気的条件下で硫酸塩還元細菌により還元され、硫化水素
が発生する。次いで、この硫化水素がコンクリート壁面
に付着した水に吸着され、好気的条件下で硫黄酸化細菌
により酸化されて、硫酸が生成する。コンクリートに含
まれたカルシウムは、生成した硫酸によって硫酸カルシ
ウム(石膏)に変化し、これによりコンクリートが膨張
・脆弱化して劣化する。
【0004】上記の2種類の微生物のうち、硫黄酸化細
菌がコンクリートやモルタルの劣化の主な原因であると
考えられており、硫黄酸化細菌による硫化水素から硫酸
への変化を防止するための種々の防止方法が提案されて
いる。例えば、硫黄酸化細菌の生育は種々の金属イオン
で阻害されることが知られており、水に難溶性で且つ硫
酸に可溶性である銅、ニッケル、スズ、鉛等の金属、又
はこれらの金属の酸化物をコンクリートに含有させコン
クリートの劣化を防ぐ方法が、特開平4−149053
号公報に示されている。この方法では、前記金属及び/
又は金属酸化物から、硫黄酸化細菌が発生された硫酸に
よって金属イオンが溶出し、これにより硫黄酸化細菌が
防菌及び/又は殺菌される。しかし、この方法は、硫酸
に対する溶解性が高い金属及び/又は金属酸化物を使用
するため、長期に渡ってコンクリートの劣化を防止する
には、金属等の使用量が多くなる等の欠点を有してい
る。また、下水中にニッケル、スズ、鉛等の重金属イオ
ンが溶出するため、これらの金属及び/又は金属酸化物
を多量に使用する場合は、水質汚染の可能性がある。
菌がコンクリートやモルタルの劣化の主な原因であると
考えられており、硫黄酸化細菌による硫化水素から硫酸
への変化を防止するための種々の防止方法が提案されて
いる。例えば、硫黄酸化細菌の生育は種々の金属イオン
で阻害されることが知られており、水に難溶性で且つ硫
酸に可溶性である銅、ニッケル、スズ、鉛等の金属、又
はこれらの金属の酸化物をコンクリートに含有させコン
クリートの劣化を防ぐ方法が、特開平4−149053
号公報に示されている。この方法では、前記金属及び/
又は金属酸化物から、硫黄酸化細菌が発生された硫酸に
よって金属イオンが溶出し、これにより硫黄酸化細菌が
防菌及び/又は殺菌される。しかし、この方法は、硫酸
に対する溶解性が高い金属及び/又は金属酸化物を使用
するため、長期に渡ってコンクリートの劣化を防止する
には、金属等の使用量が多くなる等の欠点を有してい
る。また、下水中にニッケル、スズ、鉛等の重金属イオ
ンが溶出するため、これらの金属及び/又は金属酸化物
を多量に使用する場合は、水質汚染の可能性がある。
【0005】更に、特開平6−16460号公報及び特
開平6−16461号公報には、ニケロセン及びニッケ
ルジメチルグリオキシムといった金属錯体をコンクリー
トに含有させて劣化を防ぐ方法が示されている。しか
し、これらの金属錯体は発ガン性を有しており、安全性
の面で問題がある。
開平6−16461号公報には、ニケロセン及びニッケ
ルジメチルグリオキシムといった金属錯体をコンクリー
トに含有させて劣化を防ぐ方法が示されている。しか
し、これらの金属錯体は発ガン性を有しており、安全性
の面で問題がある。
【0006】一方、コンクリートやモルタルには、耐凍
結融解性の改善、単位水量の減少、ワーカビリティーの
改善、分離やブリーディングの減少、さらには耐久性や
強度の増大を目的にして混和剤と呼ばれる薬剤が添加さ
れる。混和剤は、その用途に応じてAE剤、減水剤、A
E減水剤、高性能減水剤、流動化剤、高流動コンクリー
ト用減水剤、増粘剤などに分類される。
結融解性の改善、単位水量の減少、ワーカビリティーの
改善、分離やブリーディングの減少、さらには耐久性や
強度の増大を目的にして混和剤と呼ばれる薬剤が添加さ
れる。混和剤は、その用途に応じてAE剤、減水剤、A
E減水剤、高性能減水剤、流動化剤、高流動コンクリー
ト用減水剤、増粘剤などに分類される。
【0007】AE剤は、コンクリート中に多数の独立微
細空気泡を発生させることにより、ワーカビリティー、
耐凍結融解性などを改善するために用いられる混和剤で
ある。AE剤の効果は界面活性剤の起泡作用によるもの
であり、化学構造によりカルボン酸塩類、アルキル硫
酸、アルキルスルホン酸等に分類される。減水剤は、コ
ンクリート中のセメント粒子を分散させることにより、
ワーカビリティーを向上させ、所定のコンシステンシー
及び強度を得るのに必要な単位水量及び単位セメント量
を減少させるために用いられる混和剤であり、AE減水
剤は、AE剤及び減水剤の効果を併せもつ混和剤であ
る。減水剤やAE減水剤は、化学的成分組成から、リグ
ニンスルホン酸塩もしくはその誘導体を主成分とするも
の、オキシ有機酸塩を主成分とするもの、等に分類され
る。
細空気泡を発生させることにより、ワーカビリティー、
耐凍結融解性などを改善するために用いられる混和剤で
ある。AE剤の効果は界面活性剤の起泡作用によるもの
であり、化学構造によりカルボン酸塩類、アルキル硫
酸、アルキルスルホン酸等に分類される。減水剤は、コ
ンクリート中のセメント粒子を分散させることにより、
ワーカビリティーを向上させ、所定のコンシステンシー
及び強度を得るのに必要な単位水量及び単位セメント量
を減少させるために用いられる混和剤であり、AE減水
剤は、AE剤及び減水剤の効果を併せもつ混和剤であ
る。減水剤やAE減水剤は、化学的成分組成から、リグ
ニンスルホン酸塩もしくはその誘導体を主成分とするも
の、オキシ有機酸塩を主成分とするもの、等に分類され
る。
【0008】高性能減水剤は、コンクリートに混和して
所定の単位水量を12〜15%減少する混和剤であり、
ナフタリンスルホン酸ホルムアルデヒド高縮合物ナトリ
ウム塩(ナフタリン系)やメラミンスルホン酸ホルマリ
ン高縮合物ナトリウム塩(メラミン系)を主成分とする
混和剤が主流である。流動化剤は、あらかじめ練り混ぜ
られたコンクリートに添加し、これを撹拌、練り混ぜる
ことによって流動性を増大させるために用いられる混和
剤である。
所定の単位水量を12〜15%減少する混和剤であり、
ナフタリンスルホン酸ホルムアルデヒド高縮合物ナトリ
ウム塩(ナフタリン系)やメラミンスルホン酸ホルマリ
ン高縮合物ナトリウム塩(メラミン系)を主成分とする
混和剤が主流である。流動化剤は、あらかじめ練り混ぜ
られたコンクリートに添加し、これを撹拌、練り混ぜる
ことによって流動性を増大させるために用いられる混和
剤である。
【0009】高流動コンクリート用減水剤(高性能AE
減水剤)は、超高強度コンクリート、ハイパフォーマン
スコンクリート、フローイングコンクリートなどに用い
られる混和剤である。コンクリートに添加されて、大幅
な単位水量の低減と、流動性の増大をもたらす。高流動
コンクリート用減水剤は、主成分によって、ポリカルボ
ン酸系、ナフタリン系、アミノスルホン酸系、メラミン
系、メタクリル酸系等に分類される。高流動コンクリー
ト減水剤の使用の際には、材料の分離防止のために増粘
剤が添加され、増粘剤はその主成分により、セルロース
系、アクリル系、バイオポリマー系等に分類される。
減水剤)は、超高強度コンクリート、ハイパフォーマン
スコンクリート、フローイングコンクリートなどに用い
られる混和剤である。コンクリートに添加されて、大幅
な単位水量の低減と、流動性の増大をもたらす。高流動
コンクリート用減水剤は、主成分によって、ポリカルボ
ン酸系、ナフタリン系、アミノスルホン酸系、メラミン
系、メタクリル酸系等に分類される。高流動コンクリー
ト減水剤の使用の際には、材料の分離防止のために増粘
剤が添加され、増粘剤はその主成分により、セルロース
系、アクリル系、バイオポリマー系等に分類される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、硫黄酸化細
菌の作用で生成する硫酸によるコンクリート又はモルタ
ルの劣化を効果的に且つ長期間に渡って防止することが
できる、コンクリート又はモルタルの劣化防止用混和剤
の提供を目的とする。
菌の作用で生成する硫酸によるコンクリート又はモルタ
ルの劣化を効果的に且つ長期間に渡って防止することが
できる、コンクリート又はモルタルの劣化防止用混和剤
の提供を目的とする。
【0011】本発明者は、コンクリートやモルタルの劣
化の主な原因である硫黄酸化細菌の生育を阻害する方法
を開発するために鋭意研究を重ねた結果、フタロシアニ
ン化合物に硫黄酸化細菌の生育阻害作用が認められた。
また、フタロシアニン化合物は、上記のコンクリート又
はモルタル用混和剤に容易に分散し、さらに、フタロシ
アニン化合物を分散させた混和剤を用いて調製したコン
クリート又はモルタルが、硫黄酸化細菌による劣化に対
して強い抵抗性があることが認められ本発明に至った。
化の主な原因である硫黄酸化細菌の生育を阻害する方法
を開発するために鋭意研究を重ねた結果、フタロシアニ
ン化合物に硫黄酸化細菌の生育阻害作用が認められた。
また、フタロシアニン化合物は、上記のコンクリート又
はモルタル用混和剤に容易に分散し、さらに、フタロシ
アニン化合物を分散させた混和剤を用いて調製したコン
クリート又はモルタルが、硫黄酸化細菌による劣化に対
して強い抵抗性があることが認められ本発明に至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、AE剤、
減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、流動化剤、高流動
コンクリート用減水剤、増粘剤から選ばれる少なくとも
1種と、フタロシアニン化合物とからなるコンクリート
又はモルタルの劣化防止用混和剤を提供する。
減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、流動化剤、高流動
コンクリート用減水剤、増粘剤から選ばれる少なくとも
1種と、フタロシアニン化合物とからなるコンクリート
又はモルタルの劣化防止用混和剤を提供する。
【0013】更に本発明は、フタロシアニン化合物が、
金属フタロシアニンもしくはその誘導体であることを特
徴とする上記コンクリート又はモルタルの劣化防止用混
和剤を提供する。
金属フタロシアニンもしくはその誘導体であることを特
徴とする上記コンクリート又はモルタルの劣化防止用混
和剤を提供する。
【0014】更に本発明は、金属フタロシアニンもしく
はその誘導体の金属原子が、クロム、鉄、コバルト、ニ
ッケル、モリブデン、パラジウム、スズ、タングステ
ン、及び白金からなる群より選ばれた少なくとも1種で
あることを特徴とする上記コンクリート又はモルタルの
劣化防止用混和剤を提供する。
はその誘導体の金属原子が、クロム、鉄、コバルト、ニ
ッケル、モリブデン、パラジウム、スズ、タングステ
ン、及び白金からなる群より選ばれた少なくとも1種で
あることを特徴とする上記コンクリート又はモルタルの
劣化防止用混和剤を提供する。
【0015】更に本発明は、金属フタロシアニンもしく
はその誘導体の金属原子が、リチウム、ナトリウム、カ
リウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カルシ
ウム、マンガン、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、
ジルコニウム、銀、カドミウム、インジウム、水銀、及
び鉛からなる群より選ばれた少なくとも1種であること
を特徴とする上記コンクリート又はモルタルの劣化防止
用混和剤を提供する。
はその誘導体の金属原子が、リチウム、ナトリウム、カ
リウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カルシ
ウム、マンガン、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、
ジルコニウム、銀、カドミウム、インジウム、水銀、及
び鉛からなる群より選ばれた少なくとも1種であること
を特徴とする上記コンクリート又はモルタルの劣化防止
用混和剤を提供する。
【0016】更に本発明は、金属フタロシアニンもしく
はその誘導体の金属原子が、希土類原子であることを特
徴とする上記コンクリート又はモルタル劣化防止用混和
剤を提供する。
はその誘導体の金属原子が、希土類原子であることを特
徴とする上記コンクリート又はモルタル劣化防止用混和
剤を提供する。
【0017】更に本発明は、フタロシアニン化合物が、
下記の一般式(1)で示される金属フタロシアニンもし
くはその誘導体であることを特徴とする上記コンクリー
ト又はモルタルの劣化防止用混和剤を提供する。 MXn Pc (1) (式中、Mは金属原子、Xは酸素原子、ハロゲン原子も
しくは水酸基、Pcはフタロシアニン骨格、nは1〜5
の整数をそれぞれ示す。)
下記の一般式(1)で示される金属フタロシアニンもし
くはその誘導体であることを特徴とする上記コンクリー
ト又はモルタルの劣化防止用混和剤を提供する。 MXn Pc (1) (式中、Mは金属原子、Xは酸素原子、ハロゲン原子も
しくは水酸基、Pcはフタロシアニン骨格、nは1〜5
の整数をそれぞれ示す。)
【0018】更に本発明は、金属原子の価数が3〜7で
あることを特徴とする上記コンクリート又はモルタルの
劣化防止用混和剤を提供する。
あることを特徴とする上記コンクリート又はモルタルの
劣化防止用混和剤を提供する。
【0019】更に本発明は、金属原子が、チタン、バナ
ジウム、クロム、モリブデン、タングステン、ガリウ
ム、インジウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群
より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする上
記コンクリート又はモルタルの劣化防止用混和剤を提供
する。
ジウム、クロム、モリブデン、タングステン、ガリウ
ム、インジウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群
より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする上
記コンクリート又はモルタルの劣化防止用混和剤を提供
する。
【0020】更に本発明は、フタロシアニン化合物が無
金属フタロシアニンもしくはその誘導体であることを特
徴とする上記コンクリート又はモルタルの劣化防止用混
和剤を提供する。
金属フタロシアニンもしくはその誘導体であることを特
徴とする上記コンクリート又はモルタルの劣化防止用混
和剤を提供する。
【0021】本発明の劣化防止用混和剤をコンクリート
又はモルタルに用いれば、下水中などに存在して繁殖す
る硫黄酸化細菌の生育を阻害することにより、コンクリ
ート劣化のサイクルを切断することができ、これにより
効果的且つ長期間に渡って、下水道施設等で使用される
コンクリートやモルタルの劣化を防止することができ
る。
又はモルタルに用いれば、下水中などに存在して繁殖す
る硫黄酸化細菌の生育を阻害することにより、コンクリ
ート劣化のサイクルを切断することができ、これにより
効果的且つ長期間に渡って、下水道施設等で使用される
コンクリートやモルタルの劣化を防止することができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるフタロシアニ
ン化合物とは、フタロシアニン骨格を有する化合物を示
す。本発明に使用される金属フタロシアニンとは、置換
基を有していないフタロシアニン骨格に金属原子が配位
した化合物であり、その誘導体とは、金属フタロシアニ
ン分子中のベンゼン環に水素原子以外の置換原子もしく
は置換基を有する化合物である。また、本発明に使用さ
れる無金属フタロシアニンとは、置換基を有していない
フタロシアニン骨格の中心に2個の水素原子が配位した
化合物であり、その誘導体とは、無金属フタロシアニン
分子中のベンゼン環に水素原子以外の置換原子もしくは
置換基を有する化合物である。本発明では、水に溶解し
ない金属フタロシアニンもしくはその誘導体を用いるこ
とが望ましい。
ン化合物とは、フタロシアニン骨格を有する化合物を示
す。本発明に使用される金属フタロシアニンとは、置換
基を有していないフタロシアニン骨格に金属原子が配位
した化合物であり、その誘導体とは、金属フタロシアニ
ン分子中のベンゼン環に水素原子以外の置換原子もしく
は置換基を有する化合物である。また、本発明に使用さ
れる無金属フタロシアニンとは、置換基を有していない
フタロシアニン骨格の中心に2個の水素原子が配位した
化合物であり、その誘導体とは、無金属フタロシアニン
分子中のベンゼン環に水素原子以外の置換原子もしくは
置換基を有する化合物である。本発明では、水に溶解し
ない金属フタロシアニンもしくはその誘導体を用いるこ
とが望ましい。
【0023】上記の金属フタロシアニンの金属原子とし
ては、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ
素、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニ
ウム、モリブデン、パラジウム、銀、カドミウム、イン
ジウム、スズ、タングステン、白金、水銀、鉛、及び希
土類元素の少なくとも1種であることが望ましい。な
お、希土類元素には、スカンジウム、イットリウム、ラ
ンタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチ
ウム、サマリウム、ユーロビウム、ガドリウム、テルビ
ウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリ
ウム、イッテルビウム、及びルテチウムの金属原子が含
まれる。
ては、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ
素、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニ
ウム、モリブデン、パラジウム、銀、カドミウム、イン
ジウム、スズ、タングステン、白金、水銀、鉛、及び希
土類元素の少なくとも1種であることが望ましい。な
お、希土類元素には、スカンジウム、イットリウム、ラ
ンタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチ
ウム、サマリウム、ユーロビウム、ガドリウム、テルビ
ウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリ
ウム、イッテルビウム、及びルテチウムの金属原子が含
まれる。
【0024】本発明においては、下記の一般式(1)で
示される金属フタロシアニンを用いることも可能であ
る。 MXn Pc (1) (式中、Mは金属原子、Xは酸素原子、ハロゲン原子も
しくは水酸基、Pcはフタロシアニン骨格、nは1〜5
の整数をそれぞれ示す。) 一般式(1)で示される金属フタロシアニンは、置換基
を有していないフタロシアニン骨格Pcに、Mで示され
る金属原子が配位し、さらに軸方向にXで示される酸素
原子、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子も
しくは水酸基が1〜5個配位した化合物である。
示される金属フタロシアニンを用いることも可能であ
る。 MXn Pc (1) (式中、Mは金属原子、Xは酸素原子、ハロゲン原子も
しくは水酸基、Pcはフタロシアニン骨格、nは1〜5
の整数をそれぞれ示す。) 一般式(1)で示される金属フタロシアニンは、置換基
を有していないフタロシアニン骨格Pcに、Mで示され
る金属原子が配位し、さらに軸方向にXで示される酸素
原子、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子も
しくは水酸基が1〜5個配位した化合物である。
【0025】本発明において、金属フタロシアニンが一
般式(1)で示される構造を有するには、金属原子の価
数が3〜7であることが必要である。本発明では、この
ような価数をとることができる金属原子であれば、いず
れの金属原子を用いることも可能であるが、特に、チタ
ン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、
ガリウム、インジウム、ケイ素、及びゲルマニウムの少
なくとも1種であることが望ましい。
般式(1)で示される構造を有するには、金属原子の価
数が3〜7であることが必要である。本発明では、この
ような価数をとることができる金属原子であれば、いず
れの金属原子を用いることも可能であるが、特に、チタ
ン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、
ガリウム、インジウム、ケイ素、及びゲルマニウムの少
なくとも1種であることが望ましい。
【0026】上記金属フタロシアニン誘導体及び無金属
フタロシアニン誘導体の水素原子以外の置換原子又は置
換基の具体例として、以下のものを挙げることができ
る。すなわち、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲ
ン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、
トリクロロメチル基、トリフロロメチル基、シクロプロ
ピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエ
ニル基、2−シクロペンテン−1−イル基、2,4−シ
クロペンタジエン−1−イリデニル基等の置換もしくは
未置換のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポ
キシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、ter
t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ
基、ステアリルオキシ基、トリフロロメトキシ基等の置
換もしくは未置換のアルコキシ基、メチルチオ基、エチ
ルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、sec−ブ
チルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ
基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基
等の置換もしくは未置換のチオアルコキシ基、ニトロ
基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、エステ
ル基、水酸基、スルホン酸基、ビニル基、メチルアミノ
基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミ
ノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等のアル
キル基置換アミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルア
ミノ基等の炭素環式芳香族アミノ基、ビス(アセトオキ
シメチル)アミノ基、ビス(アセトオキシエチル)アミ
ノ基、ビス(アセトオキシプロピル)アミノ基、ビス
(アセトオキシブチル)アミノ基、ジベンジルアミノ基
等のモノまたはジ置換アミノ基、フェノキシ基、p−t
ert−ブチルフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ
基等の置換もしくは未置換のアリールオキシ基、フェニ
ルチオ基、3−フルオロフェニルチオ基等の置換もしく
は未置換のアリールチオ基、フェニル基、ビフェニル
基、トリフェニル基、テトラフェニル基、3−ニトロフ
ェニル基、4−メチルチオフェニル基、3,5−ジシア
ノフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリ
ル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、
ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニ
ル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレ
ニル基、フルオレニル基、アントリル基、アントラキノ
ニル基、3−メチルアントリル基、フェナントリル基、
トリフェニレン基、ピレニル基、クリセニル基、2−エ
チル−1−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、
6−クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセ
ニル基、テトラフェニレン基、ヘキサフェニル基、ヘキ
サセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチ
レニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラン
トレニル基、オバレニル基等の置換もしくは未置換の芳
香族環基等である。
フタロシアニン誘導体の水素原子以外の置換原子又は置
換基の具体例として、以下のものを挙げることができ
る。すなわち、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲ
ン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、
トリクロロメチル基、トリフロロメチル基、シクロプロ
ピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエ
ニル基、2−シクロペンテン−1−イル基、2,4−シ
クロペンタジエン−1−イリデニル基等の置換もしくは
未置換のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポ
キシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、ter
t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ
基、ステアリルオキシ基、トリフロロメトキシ基等の置
換もしくは未置換のアルコキシ基、メチルチオ基、エチ
ルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、sec−ブ
チルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ
基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基
等の置換もしくは未置換のチオアルコキシ基、ニトロ
基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、エステ
ル基、水酸基、スルホン酸基、ビニル基、メチルアミノ
基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミ
ノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等のアル
キル基置換アミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルア
ミノ基等の炭素環式芳香族アミノ基、ビス(アセトオキ
シメチル)アミノ基、ビス(アセトオキシエチル)アミ
ノ基、ビス(アセトオキシプロピル)アミノ基、ビス
(アセトオキシブチル)アミノ基、ジベンジルアミノ基
等のモノまたはジ置換アミノ基、フェノキシ基、p−t
ert−ブチルフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ
基等の置換もしくは未置換のアリールオキシ基、フェニ
ルチオ基、3−フルオロフェニルチオ基等の置換もしく
は未置換のアリールチオ基、フェニル基、ビフェニル
基、トリフェニル基、テトラフェニル基、3−ニトロフ
ェニル基、4−メチルチオフェニル基、3,5−ジシア
ノフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリ
ル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、
ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニ
ル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレ
ニル基、フルオレニル基、アントリル基、アントラキノ
ニル基、3−メチルアントリル基、フェナントリル基、
トリフェニレン基、ピレニル基、クリセニル基、2−エ
チル−1−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、
6−クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセ
ニル基、テトラフェニレン基、ヘキサフェニル基、ヘキ
サセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチ
レニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラン
トレニル基、オバレニル基等の置換もしくは未置換の芳
香族環基等である。
【0027】本発明において、金属フタロシアニン誘導
体及び無金属フタロシアニン誘導体としては、前述の金
属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンの分子中の
ベンゼン環の1〜8個の水素原子が、ハロゲン原子、炭
素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、水酸
基、スルホン酸基で置換された誘導体であることが望ま
しい。また、これらのフタロシアニン化合物は、単独で
用いても、2種類以上を併用して用いてもよい。
体及び無金属フタロシアニン誘導体としては、前述の金
属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンの分子中の
ベンゼン環の1〜8個の水素原子が、ハロゲン原子、炭
素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、水酸
基、スルホン酸基で置換された誘導体であることが望ま
しい。また、これらのフタロシアニン化合物は、単独で
用いても、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0028】本発明のコンクリート又はモルタルの劣化
防止用混和剤は、これらのフタロシアニン化合物と、前
述のAE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、流動
化剤、高流動コンクリート用減水剤、増粘剤などの混和
剤を混合することにより得られる。本発明において、フ
タロシアニン化合物の混和剤への添加量は、混和剤のコ
ンクリート又はモルタルへの添加量にもよるが、混和剤
100重量部に対してフタロシアニン化合物5〜500
重量部であることが好ましく、10〜100重量部であ
ることがより好ましい。
防止用混和剤は、これらのフタロシアニン化合物と、前
述のAE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、流動
化剤、高流動コンクリート用減水剤、増粘剤などの混和
剤を混合することにより得られる。本発明において、フ
タロシアニン化合物の混和剤への添加量は、混和剤のコ
ンクリート又はモルタルへの添加量にもよるが、混和剤
100重量部に対してフタロシアニン化合物5〜500
重量部であることが好ましく、10〜100重量部であ
ることがより好ましい。
【0029】本発明において、フタロシアニン化合物は
混和剤に均一に分散されていることが望ましい。フタロ
シアニン化合物を混和剤に均一分散させるには、公知の
種々な粉砕機又は分散機を用いることができる。具体的
には、せん断応力により分散させる3本ロールミル、2
本ロールミル、ガラスビーズやジルコニアビーズ、メノ
ー球などのメディアとの衝突による衝撃力により分散さ
せるボールミル、アトライター、サンドミル、コボール
ミル、バスケットミル、振動ミル、ペイントコンディシ
ョナー、また、せん断応力、キャビテーション、衝突
力、ポテンシャルコアなどを発生させるような回転羽根
により分散させるディスパーサー、ホモジナイザー、ク
レアミックス(R)などの装置を用いることができる。
さらに、ニーダー、エクストルーダー、ジェットミル、
超音波分散機等も使用可能である。本発明のコンクリー
ト又はモルタルの劣化防止用混和剤中において、フタロ
シアニン化合物の平均粒子径は0.001〜100μm
であることが好ましく、0.01〜10μmであること
がより好ましい。
混和剤に均一に分散されていることが望ましい。フタロ
シアニン化合物を混和剤に均一分散させるには、公知の
種々な粉砕機又は分散機を用いることができる。具体的
には、せん断応力により分散させる3本ロールミル、2
本ロールミル、ガラスビーズやジルコニアビーズ、メノ
ー球などのメディアとの衝突による衝撃力により分散さ
せるボールミル、アトライター、サンドミル、コボール
ミル、バスケットミル、振動ミル、ペイントコンディシ
ョナー、また、せん断応力、キャビテーション、衝突
力、ポテンシャルコアなどを発生させるような回転羽根
により分散させるディスパーサー、ホモジナイザー、ク
レアミックス(R)などの装置を用いることができる。
さらに、ニーダー、エクストルーダー、ジェットミル、
超音波分散機等も使用可能である。本発明のコンクリー
ト又はモルタルの劣化防止用混和剤中において、フタロ
シアニン化合物の平均粒子径は0.001〜100μm
であることが好ましく、0.01〜10μmであること
がより好ましい。
【0030】本発明のコンクリート又はモルタルの劣化
防止用混和剤を用いてコンクリート又はモルタルを調製
する場合、コンクリート又はモルタル中のセメント成分
100重量部に対して、フタロシアニン化合物の添加量
が0.001〜30重量部、より好ましくは0.01〜
5重量部となるように混和剤を添加することが望まし
い。フタロシアニン化合物のセメント成分に対する添加
量が0.001重量部未満の場合は、硫黄酸化細菌に対
する生育阻害作用を長時間持続させることが困難であ
る。一方、添加量が30重量部を越えても、硫黄酸化細
菌に対する生育阻害作用のさらなる向上は期待できず、
コスト高になり好ましくない。さらに、コンクリート又
はモルタルの強度も著しく低下する。
防止用混和剤を用いてコンクリート又はモルタルを調製
する場合、コンクリート又はモルタル中のセメント成分
100重量部に対して、フタロシアニン化合物の添加量
が0.001〜30重量部、より好ましくは0.01〜
5重量部となるように混和剤を添加することが望まし
い。フタロシアニン化合物のセメント成分に対する添加
量が0.001重量部未満の場合は、硫黄酸化細菌に対
する生育阻害作用を長時間持続させることが困難であ
る。一方、添加量が30重量部を越えても、硫黄酸化細
菌に対する生育阻害作用のさらなる向上は期待できず、
コスト高になり好ましくない。さらに、コンクリート又
はモルタルの強度も著しく低下する。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により詳細
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0032】(実施例1〜8)表1に示したフタロシア
ニン化合物10重量部を、リグニンスルホン酸系の減水
剤90重量部に添加し、振動ミルを用いて分散させ、劣
化防止用混和剤を得た。普通ポルトランドセメント、粗
骨材(砕石)、細骨材(川砂)、及び水からなるコンク
リート組成物に、上記の混和剤をセメント重量に対して
1.0%となるよう添加し、コンクリートミキサーを用
いて充分に練り混ぜた。JISに定める「コンクリート
のスランプ試験方法」に基づき、スランプを測定した
後、これを型枠に入れて成形後、28日間標準養生を行
い、コンクリート供試体を得た。コンクリート供試体調
製時の水セメント比、細骨材比、スランプ、及び養生後
の圧縮強度を表2に示した。
ニン化合物10重量部を、リグニンスルホン酸系の減水
剤90重量部に添加し、振動ミルを用いて分散させ、劣
化防止用混和剤を得た。普通ポルトランドセメント、粗
骨材(砕石)、細骨材(川砂)、及び水からなるコンク
リート組成物に、上記の混和剤をセメント重量に対して
1.0%となるよう添加し、コンクリートミキサーを用
いて充分に練り混ぜた。JISに定める「コンクリート
のスランプ試験方法」に基づき、スランプを測定した
後、これを型枠に入れて成形後、28日間標準養生を行
い、コンクリート供試体を得た。コンクリート供試体調
製時の水セメント比、細骨材比、スランプ、及び養生後
の圧縮強度を表2に示した。
【0033】(比較例1)普通ポルトランドセメント、
粗骨材(砕石)、細骨材(川砂)、及び水からなるコン
クリート組成物に、上記のリグニンスルホン酸系の減水
剤をセメント重量に対して1.0%となるよう添加し、
コンクリートミキサーを用いて充分に練り混ぜた。JI
Sに定める「コンクリートのスランプ試験方法」に基づ
き、スランプを測定した後、これを型枠に入れて成形
後、28日間標準養生を行い、コンクリート供試体を得
た。コンクリート供試体調製時の水セメント比、細骨材
比、スランプ、及び養生後の圧縮強度を表2に示した。
粗骨材(砕石)、細骨材(川砂)、及び水からなるコン
クリート組成物に、上記のリグニンスルホン酸系の減水
剤をセメント重量に対して1.0%となるよう添加し、
コンクリートミキサーを用いて充分に練り混ぜた。JI
Sに定める「コンクリートのスランプ試験方法」に基づ
き、スランプを測定した後、これを型枠に入れて成形
後、28日間標準養生を行い、コンクリート供試体を得
た。コンクリート供試体調製時の水セメント比、細骨材
比、スランプ、及び養生後の圧縮強度を表2に示した。
【0034】(実施例9〜16)表1に示したフタロシ
アニン化合物10重量部を、メラミン系の高性能減水剤
90重量部に添加し、振動ミルを用いて分散させ、劣化
防止用混和剤を得た。普通ポルトランドセメント、粗骨
材(砕石)、細骨材(川砂)、及び水からなるコンクリ
ート組成物に、上記の混和剤をセメント重量に対して
1.0%となるよう添加し、コンクリートミキサーを用
いて充分に練り混ぜた。JISに定める「コンクリート
のスランプ試験方法」に基づき、スランプを測定した
後、これを型枠に入れて成形後、28日間標準養生を行
い、コンクリート供試体を得た。コンクリート供試体調
製時の水セメント比、細骨材比、スランプ、及び養生後
の圧縮強度を表2に示した。
アニン化合物10重量部を、メラミン系の高性能減水剤
90重量部に添加し、振動ミルを用いて分散させ、劣化
防止用混和剤を得た。普通ポルトランドセメント、粗骨
材(砕石)、細骨材(川砂)、及び水からなるコンクリ
ート組成物に、上記の混和剤をセメント重量に対して
1.0%となるよう添加し、コンクリートミキサーを用
いて充分に練り混ぜた。JISに定める「コンクリート
のスランプ試験方法」に基づき、スランプを測定した
後、これを型枠に入れて成形後、28日間標準養生を行
い、コンクリート供試体を得た。コンクリート供試体調
製時の水セメント比、細骨材比、スランプ、及び養生後
の圧縮強度を表2に示した。
【0035】(比較例2)普通ポルトランドセメント、
粗骨材(砕石)、細骨材(川砂)、及び水からなるコン
クリート組成物に、上記のメラミン系の高性能減水剤を
セメント重量に対して1.0%となるよう添加し、コン
クリートミキサーを用いて充分に練り混ぜた。JISに
定める「コンクリートのスランプ試験方法」に基づき、
スランプを測定した後、これを型枠に入れて成形後、2
8日間標準養生を行い、コンクリート供試体を得た。コ
ンクリート供試体調製時の水セメント比、細骨材比、ス
ランプ、及び養生後の圧縮強度を表2に示した。
粗骨材(砕石)、細骨材(川砂)、及び水からなるコン
クリート組成物に、上記のメラミン系の高性能減水剤を
セメント重量に対して1.0%となるよう添加し、コン
クリートミキサーを用いて充分に練り混ぜた。JISに
定める「コンクリートのスランプ試験方法」に基づき、
スランプを測定した後、これを型枠に入れて成形後、2
8日間標準養生を行い、コンクリート供試体を得た。コ
ンクリート供試体調製時の水セメント比、細骨材比、ス
ランプ、及び養生後の圧縮強度を表2に示した。
【0036】(実施例17〜24)表1に示したフタロ
シアニン化合物10重量部を、ポリカルボン酸系の高流
動コンクリート用減水剤90重量部に添加し、振動ミル
を用いて分散させ、劣化防止用混和剤を得た。普通ポル
トランドセメント、粗骨材(砕石)、細骨材(川砂)、
及び水からなるコンクリート組成物に、上記の混和剤を
セメント重量に対して1.0%となるよう添加し、コン
クリートミキサーを用いて充分に練り混ぜた。JISに
定める「コンクリートのスランプ試験方法」に基づき、
スランプを測定した後、これを型枠に入れて成形後、2
8日間標準養生を行い、コンクリート供試体を得た。コ
ンクリート供試体調製時の水セメント比、細骨材比、ス
ランプ、及び養生後の圧縮強度を表2に示した。
シアニン化合物10重量部を、ポリカルボン酸系の高流
動コンクリート用減水剤90重量部に添加し、振動ミル
を用いて分散させ、劣化防止用混和剤を得た。普通ポル
トランドセメント、粗骨材(砕石)、細骨材(川砂)、
及び水からなるコンクリート組成物に、上記の混和剤を
セメント重量に対して1.0%となるよう添加し、コン
クリートミキサーを用いて充分に練り混ぜた。JISに
定める「コンクリートのスランプ試験方法」に基づき、
スランプを測定した後、これを型枠に入れて成形後、2
8日間標準養生を行い、コンクリート供試体を得た。コ
ンクリート供試体調製時の水セメント比、細骨材比、ス
ランプ、及び養生後の圧縮強度を表2に示した。
【0037】(比較例3)普通ポルトランドセメント、
粗骨材(砕石)、細骨材(川砂)、及び水からなるコン
クリート組成物に、上記のポリカルボン酸系の高流動コ
ンクリート用減水剤をセメント重量に対して1.0%と
なるよう添加し、コンクリートミキサーを用いて充分に
練り混ぜた。JISに定める「コンクリートのスランプ
試験方法」に基づき、スランプを測定した後、これを型
枠に入れて成形後、28日間標準養生を行い、コンクリ
ート供試体を得た。コンクリート供試体調製時の水セメ
ント比、細骨材比、スランプ、及び養生後の圧縮強度を
表2に示した。
粗骨材(砕石)、細骨材(川砂)、及び水からなるコン
クリート組成物に、上記のポリカルボン酸系の高流動コ
ンクリート用減水剤をセメント重量に対して1.0%と
なるよう添加し、コンクリートミキサーを用いて充分に
練り混ぜた。JISに定める「コンクリートのスランプ
試験方法」に基づき、スランプを測定した後、これを型
枠に入れて成形後、28日間標準養生を行い、コンクリ
ート供試体を得た。コンクリート供試体調製時の水セメ
ント比、細骨材比、スランプ、及び養生後の圧縮強度を
表2に示した。
【0038】 表1 ────────────────────────────────── 実施例 フタロシアニン化合物 ────────────────────────────────── 1, 9,17 NiPc 2,10,18 MoPc 3,11,19 SnPc 4,12,20 NiPc/WPc(重量比8:2) 5,13,21 NiPc−Cl4 6,14,22 WOPc 7,15,23 Al(OH)Pc 8,16,24 H2 Pc ────────────────────────────────── ※フタロシアニン化合物において、NiPc、MoP
c、SnPc、WPcは、それぞれ、金属原子がニッケ
ル、モリブデン、スズ、タングステンである金属フタロ
シアニンを表し、H2 Pcは無金属フタロシアニンを表
す。また、WOPc、Al(OH)Pcは、前述の一般
式(1)において、金属原子Mがタングステンあるいは
アルミニウムで、Xが酸素原子あるいは水酸基である金
属フタロシアニンを表す。更に、Clは置換原子が塩素
原子であることを表す。
c、SnPc、WPcは、それぞれ、金属原子がニッケ
ル、モリブデン、スズ、タングステンである金属フタロ
シアニンを表し、H2 Pcは無金属フタロシアニンを表
す。また、WOPc、Al(OH)Pcは、前述の一般
式(1)において、金属原子Mがタングステンあるいは
アルミニウムで、Xが酸素原子あるいは水酸基である金
属フタロシアニンを表す。更に、Clは置換原子が塩素
原子であることを表す。
【0039】実施例及び比較例で得られたコンクリート
供試体を、下水処理場の汚泥施設の壁内に曝し、9ヶ月
間汚泥に暴露して硫黄酸化細菌の付着状況及び供試体の
石膏化状況を、以下のようにして評価した。その結果
を、表3に示した。
供試体を、下水処理場の汚泥施設の壁内に曝し、9ヶ月
間汚泥に暴露して硫黄酸化細菌の付着状況及び供試体の
石膏化状況を、以下のようにして評価した。その結果
を、表3に示した。
【0040】(硫黄酸化細菌の付着状況)コンクリート
供試体の表面を、歯磨き用のブラシを用いて、滅菌した
水道水(オートクレーブで20分間滅菌)50mlで洗
浄し、その洗浄液を超音波破砕した後、希釈した。これ
を、酵母エキスを添加しゲランガムで固化させた固体O
NM培地(今井・和民・片桐、“硫黄細菌の生化学的研
究(第2報)菌の生育条件について”、醗酵工学、42
巻、762頁、1964年)を用いて、培養温度30℃
で11日間培養し、生じたコロニーを計数した。この値
から、洗浄液1ml当たりの硫黄酸化細菌の数(cel
l/ml)を求め、以下に示す評価基準から硫黄酸化細
菌の付着状況を評価した。
供試体の表面を、歯磨き用のブラシを用いて、滅菌した
水道水(オートクレーブで20分間滅菌)50mlで洗
浄し、その洗浄液を超音波破砕した後、希釈した。これ
を、酵母エキスを添加しゲランガムで固化させた固体O
NM培地(今井・和民・片桐、“硫黄細菌の生化学的研
究(第2報)菌の生育条件について”、醗酵工学、42
巻、762頁、1964年)を用いて、培養温度30℃
で11日間培養し、生じたコロニーを計数した。この値
から、洗浄液1ml当たりの硫黄酸化細菌の数(cel
l/ml)を求め、以下に示す評価基準から硫黄酸化細
菌の付着状況を評価した。
【0041】(石膏化状況)コンクリート供試体の表面
を10gサンプリングし、X線回折装置を用いて硫酸カ
ルシウムの量を測定した。この値から、供試体表面のカ
ルシウムのうち硫酸による腐食生成物である硫酸カルシ
ウムに変化した割合(%)を求め、以下に示す評価基準
から供試体の石膏化状況を評価した。
を10gサンプリングし、X線回折装置を用いて硫酸カ
ルシウムの量を測定した。この値から、供試体表面のカ
ルシウムのうち硫酸による腐食生成物である硫酸カルシ
ウムに変化した割合(%)を求め、以下に示す評価基準
から供試体の石膏化状況を評価した。
【0042】硫黄酸化細菌の付着状況の評価基準 評価 1:106 cell/ml以上 評価 2:104 〜106 cell/ml 評価 3:102 〜104 cell/ml 評価 4:102 cell/ml未満 評価 5:付着は全く認められず
【0043】供試体の石膏化状況の評価基準 評価 1:80%以上 評価 2:50〜80% 評価 3:30〜50% 評価 4:1〜30% 評価 5:石膏化は全く認められず
【0044】 表2 ────────────────────────────────── 実施例及び比較例 水セメント比 細骨材比 スランプ 圧縮強度 (%) (%) (cm) (N/mm2 ) ────────────────────────────────── 実施例1 37.3 38.5 9.0 69.0 実施例2 37.3 38.5 9.1 69.8 実施例3 37.3 38.5 9.4 67.5 実施例4 37.3 38.5 8.9 70.1 実施例5 37.3 38.5 9.4 67.0 実施例6 37.3 38.5 9.5 67.2 実施例7 37.3 38.5 9.3 68.2 実施例8 37.3 38.5 9.0 69.3 比較例1 37.3 38.5 9.2 68.6 実施例9 36.0 40.0 7.8 67.8 実施例10 36.0 40.0 7.9 67.6 実施例11 36.0 40.0 8.2 66.5 実施例12 36.0 40.0 7.7 68.9 実施例13 36.0 40.0 8.2 65.8 実施例14 36.0 40.0 8.3 66.0 実施例15 36.0 40.0 8.1 67.0 実施例16 36.0 40.0 7.8 68.1 比較例2 36.0 40.0 8.0 67.4 実施例17 35.0 42.8 17.8 73.8 実施例18 35.0 42.8 17.9 73.6 実施例19 35.0 42.8 18.2 72.5 実施例20 35.0 42.8 17.7 74.9 実施例21 35.0 42.8 18.2 71.8 実施例22 35.0 42.8 18.3 72.0 実施例23 35.0 42.8 18.1 73.0 実施例24 35.0 42.8 17.8 74.1 比較例3 35.0 42.8 18.0 73.4 ──────────────────────────────────
【0045】 表3 ────────────────────────────────── 実施例及び比較例 硫黄酸化細菌の付着状況 石膏化状況 ────────────────────────────────── 実施例1 評価 4 評価 4 実施例2 評価 4 評価 4 実施例3 評価 4 評価 4 実施例4 評価 5 評価 5 実施例5 評価 4 評価 5 実施例6 評価 5 評価 5 実施例7 評価 5 評価 5 実施例8 評価 5 評価 5 比較例1 評価 1 評価 1 実施例9 評価 4 評価 5 実施例10 評価 4 評価 4 実施例11 評価 4 評価 5 実施例12 評価 4 評価 4 実施例13 評価 4 評価 4 実施例14 評価 5 評価 5 実施例15 評価 5 評価 5 実施例16 評価 5 評価 5 比較例2 評価 1 評価 1 実施例17 評価 5 評価 5 実施例18 評価 5 評価 5 実施例19 評価 5 評価 5 実施例20 評価 5 評価 5 実施例21 評価 5 評価 5 実施例22 評価 5 評価 5 実施例23 評価 5 評価 5 実施例24 評価 5 評価 5 比較例3 評価 1 評価 2 ──────────────────────────────────
【0046】表2に示した結果から、フタロシアニン化
合物を混合・分散して得られた本発明のコンクリート又
はモルタルの劣化防止用混和剤は、コンクリートのスラ
ンプや圧縮強度にほとんど影響を与えないことが示され
た。また、表3に示した結果から、本発明のコンクリー
ト又はモルタルの劣化防止用混和剤を含有するコンクリ
ート供試体では、硫黄酸化細菌の付着状況、石膏化状況
とも評価4〜5であったが、劣化防止用混和剤を含有し
ないコンクリート供試体では、硫黄酸化細菌の付着が著
しく、表面は石膏化して劣化が進んでいた。このことか
ら、本発明のコンクリート又はモルタルの劣化防止用混
和剤は、コンクリート又はモルタルの劣化防止に有効で
あることが認められた。
合物を混合・分散して得られた本発明のコンクリート又
はモルタルの劣化防止用混和剤は、コンクリートのスラ
ンプや圧縮強度にほとんど影響を与えないことが示され
た。また、表3に示した結果から、本発明のコンクリー
ト又はモルタルの劣化防止用混和剤を含有するコンクリ
ート供試体では、硫黄酸化細菌の付着状況、石膏化状況
とも評価4〜5であったが、劣化防止用混和剤を含有し
ないコンクリート供試体では、硫黄酸化細菌の付着が著
しく、表面は石膏化して劣化が進んでいた。このことか
ら、本発明のコンクリート又はモルタルの劣化防止用混
和剤は、コンクリート又はモルタルの劣化防止に有効で
あることが認められた。
【0047】
【発明の効果】下水や土壌中に存在し、且つコンクリー
ト又はモルタルの劣化の原因となる硫黄酸化細菌の体内
には、スルフィドオキシダーゼ、サルファジオキシダー
ゼ等の硫黄の酸化還元に関与するいくつかの酵素が存在
し、これらの相互作用で硫酸が生成する(小泉,“イオ
ウ酸化細菌の生理生態と生物工学”,用水と廃水,31
巻,307頁,1989年)。また、硫黄酸化細菌は、
硫黄粒子等の固体物質を基質にすることができるという
生態学的な特徴を有している。このため、コンクリート
又はモルタルに含有されたフタロシアニン化合物も、硫
黄酸化細菌の菌体内に容易に取り込まれる。硫黄酸化細
菌の菌体内に取り込まれたこれらの物質は、硫黄酸化細
菌の菌体内の酵素反応を阻害することによって、硫黄酸
化細菌の生育を阻害する。また、フタロシアニン化合物
は、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、流動
化剤、高流動コンクリート用減水剤、増粘剤等の混和剤
に容易に分散するため、混和剤中でフタロシアニン化合
物が凝集・沈澱することなく、これらが均一に分散した
コンクリート又はモルタルを調製することが可能であ
る。さらに、本発明のコンクリート又はモルタルの劣化
防止用混和剤を用いることにより、前述の金属及び/又
は金属酸化物の有する硫酸への易溶解性に起因する問題
(効果の持続性の低下や水質汚染の可能性)を解決する
ことも可能である。したがって、本発明のコンクリート
又はモルタルの劣化防止用混和剤は、水質を汚染するこ
となく、少量でコンクリート又はモルタルの劣化を長期
に渡って防止することができるので、コンクリート又は
モルタルが使用される下水道施設の構造物、ヒューム管
やボックスカルバート等のコンクリート二次製品など、
幅広い用途に利用される。
ト又はモルタルの劣化の原因となる硫黄酸化細菌の体内
には、スルフィドオキシダーゼ、サルファジオキシダー
ゼ等の硫黄の酸化還元に関与するいくつかの酵素が存在
し、これらの相互作用で硫酸が生成する(小泉,“イオ
ウ酸化細菌の生理生態と生物工学”,用水と廃水,31
巻,307頁,1989年)。また、硫黄酸化細菌は、
硫黄粒子等の固体物質を基質にすることができるという
生態学的な特徴を有している。このため、コンクリート
又はモルタルに含有されたフタロシアニン化合物も、硫
黄酸化細菌の菌体内に容易に取り込まれる。硫黄酸化細
菌の菌体内に取り込まれたこれらの物質は、硫黄酸化細
菌の菌体内の酵素反応を阻害することによって、硫黄酸
化細菌の生育を阻害する。また、フタロシアニン化合物
は、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、流動
化剤、高流動コンクリート用減水剤、増粘剤等の混和剤
に容易に分散するため、混和剤中でフタロシアニン化合
物が凝集・沈澱することなく、これらが均一に分散した
コンクリート又はモルタルを調製することが可能であ
る。さらに、本発明のコンクリート又はモルタルの劣化
防止用混和剤を用いることにより、前述の金属及び/又
は金属酸化物の有する硫酸への易溶解性に起因する問題
(効果の持続性の低下や水質汚染の可能性)を解決する
ことも可能である。したがって、本発明のコンクリート
又はモルタルの劣化防止用混和剤は、水質を汚染するこ
となく、少量でコンクリート又はモルタルの劣化を長期
に渡って防止することができるので、コンクリート又は
モルタルが使用される下水道施設の構造物、ヒューム管
やボックスカルバート等のコンクリート二次製品など、
幅広い用途に利用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−221349(JP,A) 特開 平10−114560(JP,A) 国際公開97/30005(WO,A1) 国際公開99/3349(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 22/00 - 24/42 C04B 103:67
Claims (9)
- 【請求項1】 AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減
水剤、流動化剤、高流動コンクリート用減水剤、増粘剤
から選ばれる少なくとも1種と、フタロシアニン化合物
とからなるコンクリート又はモルタルの劣化防止用混和
剤。 - 【請求項2】 フタロシアニン化合物が、金属フタロシ
アニンもしくはその誘導体であることを特徴とする請求
項1記載のコンクリート又はモルタルの劣化防止用混和
剤。 - 【請求項3】 金属フタロシアニンもしくはその誘導体
の金属原子が、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、モリ
ブデン、パラジウム、スズ、タングステン、及び白金か
らなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴
とする請求項2記載のコンクリート又はモルタルの劣化
防止用混和剤。 - 【請求項4】 金属フタロシアニンもしくはその誘導体
の金属原子が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグ
ネシウム、アルミニウム、ケイ素、カルシウム、マンガ
ン、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウ
ム、銀、カドミウム、インジウム、水銀、及び鉛からな
る群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とす
る請求項2記載のコンクリート又はモルタルの劣化防止
用混和剤。 - 【請求項5】 金属フタロシアニンもしくはその誘導体
の金属原子が、希土類原子であることを特徴とする請求
項2記載のコンクリート又はモルタル劣化防止用混和
剤。 - 【請求項6】 フタロシアニン化合物が、下記の一般式
(1)で示される金属フタロシアニンもしくはその誘導
体であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート
又はモルタルの劣化防止用混和剤。 MXn Pc (1) (式中、Mは金属原子、Xは酸素原子、ハロゲン原子も
しくは水酸基、Pcはフタロシアニン骨格、nは1〜5
の整数をそれぞれ示す。) - 【請求項7】 金属原子の価数が3〜7であることを特
徴とする請求項6記載のコンクリート又はモルタルの劣
化防止用混和剤。 - 【請求項8】 金属原子が、チタン、バナジウム、クロ
ム、モリブデン、タングステン、ガリウム、インジウ
ム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群より選ばれた
少なくとも1種であることを特徴とする請求項6又は7
いずれか記載のコンクリート又はモルタルの劣化防止用
混和剤。 - 【請求項9】 フタロシアニン化合物が無金属フタロシ
アニンもしくはその誘導体であることを特徴とする請求
項1記載のコンクリート又はモルタルの劣化防止用混和
剤。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20872497A JP3240968B2 (ja) | 1997-08-04 | 1997-08-04 | コンクリート又はモルタルの劣化防止用混和剤 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20872497A JP3240968B2 (ja) | 1997-08-04 | 1997-08-04 | コンクリート又はモルタルの劣化防止用混和剤 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1149542A JPH1149542A (ja) | 1999-02-23 |
| JP3240968B2 true JP3240968B2 (ja) | 2001-12-25 |
Family
ID=16561042
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP20872497A Expired - Fee Related JP3240968B2 (ja) | 1997-08-04 | 1997-08-04 | コンクリート又はモルタルの劣化防止用混和剤 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3240968B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN111153625B (zh) * | 2020-02-18 | 2021-08-06 | 广东汇强外加剂有限公司 | 一种负载纳米银的防腐抗菌型聚羧酸减水剂及其制备方法 |
Citations (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1997030005A1 (fr) | 1996-02-13 | 1997-08-21 | Toyo Ink Manufacturing Co., Ltd. | Agent preventif de deterioration destine au beton et au mortier et procede prevenant leur deterioration |
-
1997
- 1997-08-04 JP JP20872497A patent/JP3240968B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1997030005A1 (fr) | 1996-02-13 | 1997-08-21 | Toyo Ink Manufacturing Co., Ltd. | Agent preventif de deterioration destine au beton et au mortier et procede prevenant leur deterioration |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH1149542A (ja) | 1999-02-23 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| CN100509688C (zh) | C100高性能混凝土及其配制方法 | |
| JP3209429B2 (ja) | コンクリート又はモルタル用劣化防止剤、及びコンクリート又はモルタルの劣化防止方法 | |
| JP4251505B2 (ja) | 水硬性セメント組成物用の多目的混合物 | |
| JP3240968B2 (ja) | コンクリート又はモルタルの劣化防止用混和剤 | |
| JP2003261860A (ja) | レオロジー改質剤 | |
| BR112021008404B1 (pt) | Composição cimentícia de geopolímero, argamassa e concreto | |
| CN106747062A (zh) | 一种防微生物腐蚀的混凝土 | |
| CN103922637B (zh) | 高性能c80混凝土用减水剂及其制备方法和使用方法 | |
| KR102110294B1 (ko) | 콘크리트용 화학 혼화제 | |
| AU725092B2 (en) | Thiobacillus thiooxidans growth inhibitor, cement composition, and cement structure | |
| JPH11156839A (ja) | 耐腐食性ヒューム管の製造方法 | |
| JPH11189449A (ja) | コンクリート又はモルタル用腐食防止剤、及びコンクリート又はモルタルの腐食防止方法 | |
| JPH10316461A (ja) | コンクリート又はモルタル用劣化防止剤、及びコンクリート又はモルタルの劣化防止方法 | |
| JPH10316462A (ja) | コンクリート又はモルタル用劣化防止剤、及びコンクリート又はモルタルの劣化防止方法 | |
| KR100879140B1 (ko) | 폐기물로부터 제조된 콘크리트 혼화제 및 이의 제조방법 | |
| JPH1164585A (ja) | 放射性廃棄物固化体用腐食防止剤、及び放射性廃棄物固化体の腐食防止方法 | |
| JP2004331459A (ja) | 耐硫酸性セメント組成物および耐硫酸性セメント硬化物 | |
| JPH11116306A (ja) | セメント混和材及びそれを含有したセメント組成物 | |
| JP4407941B2 (ja) | 水硬性組成物 | |
| JPS623060A (ja) | セメント添加剤 | |
| JPH1179920A (ja) | コンクリート用抗菌剤 | |
| JPH10167787A (ja) | コンクリート又はモルタル用劣化防止剤、それを含有するコンクリート、モルタル | |
| JPS6144744A (ja) | 水硬性セメント用混和剤 | |
| JP4124996B2 (ja) | セメント系pcグラウト組成物 | |
| JP2006181759A (ja) | 減水剤の使用方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |