JP3262646B2 - パルプの漂白方法 - Google Patents
パルプの漂白方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パルプの漂白方法に関
し、特に、有害物質を生成せず、しかも高い白色度のパ
ルプを得ることのできるパルプの漂白方法に関する。
し、特に、有害物質を生成せず、しかも高い白色度のパ
ルプを得ることのできるパルプの漂白方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、パルプの漂白には、通常、塩素や
二酸化塩素等のような塩素系薬品が使用されているが、
これらの塩素系薬品を用いて漂白した場合には、有害な
塩素系有機化合物(ダイオキシン等)が副成されること
が近年明らかになってきた。そのため、これらの有害物
質の生成量を低減させることを目的として、パルプの漂
白に用いる塩素系薬品の使用量を減少させたり、塩素系
薬品を代替する各種の方法が提案されている。
二酸化塩素等のような塩素系薬品が使用されているが、
これらの塩素系薬品を用いて漂白した場合には、有害な
塩素系有機化合物(ダイオキシン等)が副成されること
が近年明らかになってきた。そのため、これらの有害物
質の生成量を低減させることを目的として、パルプの漂
白に用いる塩素系薬品の使用量を減少させたり、塩素系
薬品を代替する各種の方法が提案されている。
【0003】これらの中でも、微生物又は酵素によりパ
ルプの漂白を行う技術は、バイオブリーチングと呼ば
れ、有力な手段の一つとされている。このバイオブリー
チングとして、例えば、特開平3−40887号公報に
は、未漂白クラフトパルプにキシラナーゼ及びリグニン
分解酵素を別々に、あるいは組み合わせて多段的に使用
する方法が開示されている。この場合には、リグノセル
ロース材料が酵素的に脱リグニンされる(特開平3−4
0887号公報)。
ルプの漂白を行う技術は、バイオブリーチングと呼ば
れ、有力な手段の一つとされている。このバイオブリー
チングとして、例えば、特開平3−40887号公報に
は、未漂白クラフトパルプにキシラナーゼ及びリグニン
分解酵素を別々に、あるいは組み合わせて多段的に使用
する方法が開示されている。この場合には、リグノセル
ロース材料が酵素的に脱リグニンされる(特開平3−4
0887号公報)。
【0004】しかしながら、この方法は、白色腐朽菌の
一種であるファネロケーテ・クリソスポリウム(Phaner
ocheate chrysosporium )から生産される酵素濃縮物と
添加物とを加えてパルプを処理した後、水酸化ナトリウ
ム洗浄及び水洗工程を内容とする1段処理を3回繰り返
すという、繁雑な工程によらなければならないという欠
点があるのみならず、このような複雑な漂白工程の後、
更に酢酸溶液による追加洗浄工程を設ける必要もある
上、得られたパルプの白色度は70%程度に過ぎないと
いう欠点もあった。
一種であるファネロケーテ・クリソスポリウム(Phaner
ocheate chrysosporium )から生産される酵素濃縮物と
添加物とを加えてパルプを処理した後、水酸化ナトリウ
ム洗浄及び水洗工程を内容とする1段処理を3回繰り返
すという、繁雑な工程によらなければならないという欠
点があるのみならず、このような複雑な漂白工程の後、
更に酢酸溶液による追加洗浄工程を設ける必要もある
上、得られたパルプの白色度は70%程度に過ぎないと
いう欠点もあった。
【0005】一方、クラフトパルプのような化学パルプ
の漂白においては、最終白色度を、全漂白パルプと呼ば
れる80%以上とすることが好ましい。従って、前記の
バイオブリーチングを利用してこのような全漂白パルプ
を得るためには、更に何らかの化学漂白工程を加えなけ
ればならず、漂白工程が繁雑となると共に、漂白排水問
題を完全に解決することもできない。また、酸素漂白パ
ルプを先ず微生物で処理し、次いで非塩素系薬品で処理
して全漂白パルプを得るという、微生物処理によるクラ
フトパルプの漂白方法も提案されている(特開平04−
240287号公報)。
の漂白においては、最終白色度を、全漂白パルプと呼ば
れる80%以上とすることが好ましい。従って、前記の
バイオブリーチングを利用してこのような全漂白パルプ
を得るためには、更に何らかの化学漂白工程を加えなけ
ればならず、漂白工程が繁雑となると共に、漂白排水問
題を完全に解決することもできない。また、酸素漂白パ
ルプを先ず微生物で処理し、次いで非塩素系薬品で処理
して全漂白パルプを得るという、微生物処理によるクラ
フトパルプの漂白方法も提案されている(特開平04−
240287号公報)。
【0006】しかしながら、この方法では、反応に選択
性のない過酸化水素を用いるために、漂白作用は十分で
あっても、セルロース自体に対して損傷を与えることか
ら、紙質の低下を招くという欠点があった。従って、従
来のリグノセルロース材料の酵素的脱リグニン方法にお
いては、過酸化水素などの化学漂白薬品の補助なしに
は、十分な白色レベルを得ることが困難である上、紙質
の低下を招かない良質のパルプを得ることはできなかっ
た。
性のない過酸化水素を用いるために、漂白作用は十分で
あっても、セルロース自体に対して損傷を与えることか
ら、紙質の低下を招くという欠点があった。従って、従
来のリグノセルロース材料の酵素的脱リグニン方法にお
いては、過酸化水素などの化学漂白薬品の補助なしに
は、十分な白色レベルを得ることが困難である上、紙質
の低下を招かない良質のパルプを得ることはできなかっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、バイオブリーチングのみで、十分な漂白度を有する
と共に、紙質の低下を招くことのない良質のパルプを得
るために鋭意検討した結果、未漂白パルプを漂白性能を
有する微生物で処理するに際して、予めキシラナーゼな
どの酵素で処理することにより、良好な結果を得ること
ができることを見い出し、本発明に到達した。従って、
本発明の目的は、有害物質を生成させることなく、高い
漂白度のパルプを製造する方法を提供することにある。
は、バイオブリーチングのみで、十分な漂白度を有する
と共に、紙質の低下を招くことのない良質のパルプを得
るために鋭意検討した結果、未漂白パルプを漂白性能を
有する微生物で処理するに際して、予めキシラナーゼな
どの酵素で処理することにより、良好な結果を得ること
ができることを見い出し、本発明に到達した。従って、
本発明の目的は、有害物質を生成させることなく、高い
漂白度のパルプを製造する方法を提供することにある。
【0008】
【問題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
少なくとも、パルプを酵素で処理する第一工程、及び、
得られた酵素処理パルプをパルプ漂白能力を有する微生
物であるSKB−207株、SKB−11株、及びそれ
らの培養物の何れかを用いて処理する第二工程からなる
ことを特徴とするパルプの漂白方法によって達成され
た。以下、本発明を詳細に説明する。
少なくとも、パルプを酵素で処理する第一工程、及び、
得られた酵素処理パルプをパルプ漂白能力を有する微生
物であるSKB−207株、SKB−11株、及びそれ
らの培養物の何れかを用いて処理する第二工程からなる
ことを特徴とするパルプの漂白方法によって達成され
た。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明の第一工程である酵素処理工程で使
用するパルプとしては、一般に未漂白のクラフトパルプ
が用いられるが、このクラフトパルプをさらに酸素・ア
ルカリ処理したパルプ(以下、酸素漂白パルプという)
も用いることができる。また、微生物によるパルプ処理
の前に予め使用する酵素としては、市販のキシラナー
ゼ、キシラナーゼ活性を有するセルラーゼ製剤、ヘミセ
ルラーゼ、あるいはキシラナーゼ生産菌を培養して得ら
れる培養液等を使用することができる。
用するパルプとしては、一般に未漂白のクラフトパルプ
が用いられるが、このクラフトパルプをさらに酸素・ア
ルカリ処理したパルプ(以下、酸素漂白パルプという)
も用いることができる。また、微生物によるパルプ処理
の前に予め使用する酵素としては、市販のキシラナー
ゼ、キシラナーゼ活性を有するセルラーゼ製剤、ヘミセ
ルラーゼ、あるいはキシラナーゼ生産菌を培養して得ら
れる培養液等を使用することができる。
【0010】未漂白パルプに対する酵素量は、絶乾パル
プ1g当たり0.1〜50単位を使用することが好まし
い。ここで酵素量の1単位とは、酵素がキシランから、
1分間に1マイクロモルの還元糖を生成させるに要する
酵素量をいう。パルプの酵素処理における反応時間は、
0.5〜18時間の範囲であることが好ましい。反応時
間を0.5時間未満とするためには大量の酵素が必要と
なるので生産コストが上昇し、18時間を超えるようで
はパルプの生産性が低すぎて工業的に行うには適さな
い。従って、酵素の使用量と反応時間は、酵素のコスト
とパルプの生産性の関係から求められる。
プ1g当たり0.1〜50単位を使用することが好まし
い。ここで酵素量の1単位とは、酵素がキシランから、
1分間に1マイクロモルの還元糖を生成させるに要する
酵素量をいう。パルプの酵素処理における反応時間は、
0.5〜18時間の範囲であることが好ましい。反応時
間を0.5時間未満とするためには大量の酵素が必要と
なるので生産コストが上昇し、18時間を超えるようで
はパルプの生産性が低すぎて工業的に行うには適さな
い。従って、酵素の使用量と反応時間は、酵素のコスト
とパルプの生産性の関係から求められる。
【0011】酵素処理における反応温度及びpHは酵素
の種類により異なるが、通常、酵素活性の低下を考慮す
ると、60℃以下でpH3〜9の範囲であることが望ま
しい。また、本発明においては必要に応じて上記の酵素
処理の後、更にアルカリ溶液を用いて、パルプ中に残存
するリグニン、あるいは糖変性物の着色性成分等を抽出
する工程を設けることもできる。
の種類により異なるが、通常、酵素活性の低下を考慮す
ると、60℃以下でpH3〜9の範囲であることが望ま
しい。また、本発明においては必要に応じて上記の酵素
処理の後、更にアルカリ溶液を用いて、パルプ中に残存
するリグニン、あるいは糖変性物の着色性成分等を抽出
する工程を設けることもできる。
【0012】上記のアルカリ抽出に使用することのでき
るアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等が挙げられる。また、このアルカリ抽出における反
応時間は10〜120分の範囲であることが好ましい。
アルカリ抽出時におけるパルプ濃度は0.1〜15重量
%の範囲であることが望ましい。アルカリの添加量は、
対パルプ当たり0.2〜2重量%の範囲内であることが
好ましく、反応温度は20〜70℃の範囲内であること
が好ましい。
るアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等が挙げられる。また、このアルカリ抽出における反
応時間は10〜120分の範囲であることが好ましい。
アルカリ抽出時におけるパルプ濃度は0.1〜15重量
%の範囲であることが望ましい。アルカリの添加量は、
対パルプ当たり0.2〜2重量%の範囲内であることが
好ましく、反応温度は20〜70℃の範囲内であること
が好ましい。
【0013】更に、本発明においては、上記アルカリ抽
出工程後に水洗工程を設けることもできる。この水洗工
程は、パルプ濃度が0.1〜10重量%の範囲となるよ
うにパルプを水又は熱水中に分散し、次いでパルプのろ
過を行うものである。次に、本発明の第二工程である、
酵素で処理されたパルプをパルプ漂白能力を有する微生
物で処理する工程について説明する。
出工程後に水洗工程を設けることもできる。この水洗工
程は、パルプ濃度が0.1〜10重量%の範囲となるよ
うにパルプを水又は熱水中に分散し、次いでパルプのろ
過を行うものである。次に、本発明の第二工程である、
酵素で処理されたパルプをパルプ漂白能力を有する微生
物で処理する工程について説明する。
【0014】本発明に使用するパルプ漂白能力を有する
微生物としては、本発明者等が分離選択したSKB−1
11株、又はSKB−207株等を使用する。なお、S
KB−111株及びSKB−207株は、以下のような
菌学的性質を有するものであり、工業技術院生命工学工
業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託されている
(寄記第13353号及び13354号)。
微生物としては、本発明者等が分離選択したSKB−1
11株、又はSKB−207株等を使用する。なお、S
KB−111株及びSKB−207株は、以下のような
菌学的性質を有するものであり、工業技術院生命工学工
業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託されている
(寄記第13353号及び13354号)。
【0015】A.SKB−207株の菌学的性質 (1)培地における生育状況 培地の種類 生育状況 麦芽エキス寒天培地 +++ ポテト煎汁・デキストロース培地 +++ ツアベック寒天培地 +++ サブロー寒天培地 +++ 合成ムコール寒天培地 +++ YpSs寒天培地 +++ (培養条件:30℃、3日間、生育状況:微弱+,中等
++,旺盛+++)
++,旺盛+++)
【0016】(2)生理・生態学的性質 生育の範囲は、pH3〜9の範囲である。pHが2以下
及び10以上では生育しない。最適pHの範囲は4〜8
である(ポテト煎汁・デキストロース培地、30℃、3
日間培養)。生育温度範囲は、24〜37℃の範囲であ
る。特に、45℃以上では、生育しない(ポテト煎汁・
デキストロース寒天培地、pH5.6、4日間培養)。
フェノールオキシダーゼ反応は、微弱あるいは陰性であ
る(30℃・3日間培養)。菌叢の特徴は、白色で薄い
フェルト状である(ポテト煎汁・デキストロース寒天培
地、pH5.6、4日間培養)。
及び10以上では生育しない。最適pHの範囲は4〜8
である(ポテト煎汁・デキストロース培地、30℃、3
日間培養)。生育温度範囲は、24〜37℃の範囲であ
る。特に、45℃以上では、生育しない(ポテト煎汁・
デキストロース寒天培地、pH5.6、4日間培養)。
フェノールオキシダーゼ反応は、微弱あるいは陰性であ
る(30℃・3日間培養)。菌叢の特徴は、白色で薄い
フェルト状である(ポテト煎汁・デキストロース寒天培
地、pH5.6、4日間培養)。
【0017】B.SKB−111株の菌学的性質 (1)培地における生育状況 培地の種類 生育状況 麦芽エキス寒天培地 +++ ポテト煎汁・デキストロース培地 +++ ツアベック寒天培地 ++ サブロー寒天培地 ++ 合成ムコール寒天培地 +++ YpSs寒天培地 +++ (培養条件:30℃、5日間、生育状況:微弱+,中等
++,旺盛+++)
++,旺盛+++)
【0018】(2)生理・生態学的性質 生育の範囲は、pH3〜9の範囲である。pH2以下及
び10以上では生育しない。最適pHの範囲は、5〜7
である(ポテト煎汁・デキストロース培地、30℃、4
日間培養)。生育温度範囲は、24〜37℃の範囲であ
る。特に、45℃以上では生育しない(ポテト煎汁・デ
キストロース寒天培地、pH5.6、4日間培養)。フ
ェノールオキシダーゼ反応は、陽性である(30℃・3
日間培養)。菌叢の特徴は、白色で薄いフェルト状であ
る(ポテト煎汁・デキストロース寒天培地、pH5.
6、4日間培養)。
び10以上では生育しない。最適pHの範囲は、5〜7
である(ポテト煎汁・デキストロース培地、30℃、4
日間培養)。生育温度範囲は、24〜37℃の範囲であ
る。特に、45℃以上では生育しない(ポテト煎汁・デ
キストロース寒天培地、pH5.6、4日間培養)。フ
ェノールオキシダーゼ反応は、陽性である(30℃・3
日間培養)。菌叢の特徴は、白色で薄いフェルト状であ
る(ポテト煎汁・デキストロース寒天培地、pH5.
6、4日間培養)。
【0019】本発明における酵素処理パルプの微生物処
理方法は、基本的には、酵素処理されたパルプにパルプ
漂白能力を有する微生物であるSKB−111株又はS
KB−207株、又はそれらの培養物を添加して培養す
れば良い。培養時のpH及び温度は用いる微生物の種類
により異なり、使用した微生物又はその培養物が、パル
プに添加されたときに漂白活性を示す条件であれば特に
限定されないが、通常、pH4〜7で20〜50℃の範
囲内である。また、培養期間は培養条件により異なる
が、通常、2〜20日程度である。パルプ漂白工程にお
ける微生物の培養に際しては、パルプ濃度を0.5〜3
0%程度とし、かつ好気的な条件で行うことが望まし
い。
理方法は、基本的には、酵素処理されたパルプにパルプ
漂白能力を有する微生物であるSKB−111株又はS
KB−207株、又はそれらの培養物を添加して培養す
れば良い。培養時のpH及び温度は用いる微生物の種類
により異なり、使用した微生物又はその培養物が、パル
プに添加されたときに漂白活性を示す条件であれば特に
限定されないが、通常、pH4〜7で20〜50℃の範
囲内である。また、培養期間は培養条件により異なる
が、通常、2〜20日程度である。パルプ漂白工程にお
ける微生物の培養に際しては、パルプ濃度を0.5〜3
0%程度とし、かつ好気的な条件で行うことが望まし
い。
【0020】
【発明の効果】以上の如く、本発明によるパルプの漂白
方法によれば、過酸化水素などの化学漂白薬品の補助な
しに十分な白色度レベルを得ることができるのみなら
ず、紙質を低下させることのないパルプを得ることがで
きる上、塩素系薬品を使用しないので、ダイオキシン等
の有害物質を生成することがなく、環境破壊を起こすこ
ともない。
方法によれば、過酸化水素などの化学漂白薬品の補助な
しに十分な白色度レベルを得ることができるのみなら
ず、紙質を低下させることのないパルプを得ることがで
きる上、塩素系薬品を使用しないので、ダイオキシン等
の有害物質を生成することがなく、環境破壊を起こすこ
ともない。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明はこれによって限定されるものではな
い。尚、特にことわりのない限り、%は重量%を意味す
る。
明するが、本発明はこれによって限定されるものではな
い。尚、特にことわりのない限り、%は重量%を意味す
る。
【0022】実施例1. (1)第一工程:酵素処理パルプの調製 酸素漂白クラフトパルプ(日本製紙株式会社製)に、酢
酸緩衝液、及び対パルプあたり0.33%のキシラナー
ゼ(新日本化学工業株式会社製、商品名:スミチーム
X)を加えて、パルプ濃度が10%の混合物を調製し
た。得られた混合物を50℃にて3時間反応させた後十
分な量の水で水洗した。次いで、対パルプあたり1%の
水酸化ナトリウム及び水を加えてパルプ濃度を10%に
調整し、70℃で1.5時間反応させた後十分な量の水
で水洗した。
酸緩衝液、及び対パルプあたり0.33%のキシラナー
ゼ(新日本化学工業株式会社製、商品名:スミチーム
X)を加えて、パルプ濃度が10%の混合物を調製し
た。得られた混合物を50℃にて3時間反応させた後十
分な量の水で水洗した。次いで、対パルプあたり1%の
水酸化ナトリウム及び水を加えてパルプ濃度を10%に
調整し、70℃で1.5時間反応させた後十分な量の水
で水洗した。
【0023】(2)第二工程:酵素処理パルプの微生物
処理 SKB−207株を、ポテト煎汁0.4%及びグルコー
ス2%を含んだポテトデキストロースブロース液体培地
(DIFCO社製)で1週間静置培養し、生成した菌体マッ
トを、ワーリングブレンダーで粉砕して菌体懸濁液を調
製した。次に、得られた菌体懸濁液を、最終的にパルプ
濃度が20%になるように、予め120℃で15分間加
熱殺菌したキシラナーゼ処理パルプ4gに加え、30℃
で7日間放置した。その後、水500mlを加えてミキ
サーで解繊した後、手抄シートを作製し、その白色度を
ハンター白色度計を用いて測定した(JIS:P−81
23)ところ、パルプの白色度は、81.4%であっ
た。
処理 SKB−207株を、ポテト煎汁0.4%及びグルコー
ス2%を含んだポテトデキストロースブロース液体培地
(DIFCO社製)で1週間静置培養し、生成した菌体マッ
トを、ワーリングブレンダーで粉砕して菌体懸濁液を調
製した。次に、得られた菌体懸濁液を、最終的にパルプ
濃度が20%になるように、予め120℃で15分間加
熱殺菌したキシラナーゼ処理パルプ4gに加え、30℃
で7日間放置した。その後、水500mlを加えてミキ
サーで解繊した後、手抄シートを作製し、その白色度を
ハンター白色度計を用いて測定した(JIS:P−81
23)ところ、パルプの白色度は、81.4%であっ
た。
【0024】実施例2.実施例1で使用したSKB−2
07株の代わりに、SKB−111株を使用した他は、
実施例1と全く同様な方法でキシラナーゼ処理パルプを
微生物処理して手抄きシートを作製し、その白色度を測
定した。得られたパルプの白色度は、80.9%であっ
た。
07株の代わりに、SKB−111株を使用した他は、
実施例1と全く同様な方法でキシラナーゼ処理パルプを
微生物処理して手抄きシートを作製し、その白色度を測
定した。得られたパルプの白色度は、80.9%であっ
た。
【0025】比較例1.実施例1で使用した酵素漂白ク
ラフトパルプを、夫々ファネロケーテ・クリソスポリウ
ム(Phanerocheate Chrysosporium )、SKB−111
株及びSKB−207株で微生物処理した他は、実施例
1における第2工程と全く同様の方法で微生物処理した
後、手抄きシートを作製し、同様に白色度を測定した。
得られたパルプの白色度は、それぞれ67.2%、7
7.5%及び77.9%であった。
ラフトパルプを、夫々ファネロケーテ・クリソスポリウ
ム(Phanerocheate Chrysosporium )、SKB−111
株及びSKB−207株で微生物処理した他は、実施例
1における第2工程と全く同様の方法で微生物処理した
後、手抄きシートを作製し、同様に白色度を測定した。
得られたパルプの白色度は、それぞれ67.2%、7
7.5%及び77.9%であった。
【0026】比較例2.実施例1で使用したSKB−2
07株に代え、ファネロケーテ・クリソスポリウム(Ph
anerocheate Chrysosporium )を使用した他は、実施例
1と全く同様な方法でキシラナーゼ処理パルプを微生物
処理した後、同様の方法で手抄きシートを作製し、同様
に白色度を測定した。得られたパルプの白色度は、7
0.5%であった。
07株に代え、ファネロケーテ・クリソスポリウム(Ph
anerocheate Chrysosporium )を使用した他は、実施例
1と全く同様な方法でキシラナーゼ処理パルプを微生物
処理した後、同様の方法で手抄きシートを作製し、同様
に白色度を測定した。得られたパルプの白色度は、7
0.5%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 宏 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製 紙株式会社生物科学研究所 内 (72)発明者 吉岡 英敏 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製 紙株式会社生物科学研究所 内 (72)発明者 村上 邦睦 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製 紙株式会社生物科学研究所 内 (56)参考文献 特開 平4−245988(JP,A) 特開 平4−240287(JP,A) 特開 平6−327463(JP,A) 特開 平6−327465(JP,A) 特開 平2−264087(JP,A) 特開 平3−40887(JP,A) 特公 平3−32996(JP,B2) 特許2757106(JP,B2) 特表 平2−500990(JP,A) TAPPI Journal,1989年 5月号,217−220 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21C 9/00 - 9/18 C12S 3/08 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)
Claims (2)
- 【請求項1】 パルプを酵素で処理する第一工程、及
び、得られた酵素処理パルプをパルプ漂白能力を有する
微生物である、SKB−207株、SKB−11株及び
それらの培養物の何れかを用いて処理する第二工程から
なることを特徴とするパルプの漂白方法。 - 【請求項2】 酵素がキシラナーゼである請求項1に記
載のパルプの漂白方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19298993A JP3262646B2 (ja) | 1993-07-09 | 1993-07-09 | パルプの漂白方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19298993A JP3262646B2 (ja) | 1993-07-09 | 1993-07-09 | パルプの漂白方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0726485A JPH0726485A (ja) | 1995-01-27 |
| JP3262646B2 true JP3262646B2 (ja) | 2002-03-04 |
Family
ID=16300382
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP19298993A Expired - Fee Related JP3262646B2 (ja) | 1993-07-09 | 1993-07-09 | パルプの漂白方法 |
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Patent Citations (1)
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Non-Patent Citations (1)
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| TAPPI Journal,1989年5月号,217−220 |
Also Published As
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