JP3396527B2 - 分割可能な多孔質繊維、細分化多孔質繊維、及びこれを用いた繊維シート - Google Patents
分割可能な多孔質繊維、細分化多孔質繊維、及びこれを用いた繊維シートInfo
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- JP3396527B2 JP3396527B2 JP34968493A JP34968493A JP3396527B2 JP 3396527 B2 JP3396527 B2 JP 3396527B2 JP 34968493 A JP34968493 A JP 34968493A JP 34968493 A JP34968493 A JP 34968493A JP 3396527 B2 JP3396527 B2 JP 3396527B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は分割可能な多孔質繊維、
細分化多孔質繊維、及びこれを用いた繊維シートに関す
る。
細分化多孔質繊維、及びこれを用いた繊維シートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】多孔質繊維はその多孔性により、各種物
質の吸着性や保持性に優れているばかりでなく、軽量で
あるため、様々な用途に使用することができる。この多
孔質繊維は結晶性高分子を紡糸した繊維を、延伸により
多孔化したり、抽出可能な樹脂成分が分散した繊維か
ら、抽出可能な樹脂成分を抽出することにより得ること
ができる。しかしながら、このような方法で得られる多
孔質繊維はある程度の吸着性や保持性はあるものの、各
種物質の吸着性や保持性により優れた多孔質繊維が待ち
望まれていた。
質の吸着性や保持性に優れているばかりでなく、軽量で
あるため、様々な用途に使用することができる。この多
孔質繊維は結晶性高分子を紡糸した繊維を、延伸により
多孔化したり、抽出可能な樹脂成分が分散した繊維か
ら、抽出可能な樹脂成分を抽出することにより得ること
ができる。しかしながら、このような方法で得られる多
孔質繊維はある程度の吸着性や保持性はあるものの、各
種物質の吸着性や保持性により優れた多孔質繊維が待ち
望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は空孔率が高
く、各種物質の吸着性や保持性に優れた多孔質繊維を提
供することを目的とする。
く、各種物質の吸着性や保持性に優れた多孔質繊維を提
供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の分割可能な多孔
質繊維は、多孔質樹脂部分と、繊維表面に一部分露出し
た分割用樹脂部分とからなり、この分割可能な多孔質繊
維を分割すると、細分化多孔質繊維が得られるため、各
種物質の吸着性や保持性に優れている。また、分割用樹
脂部分が多孔質であると、各種物質の吸着性や保持性に
より優れている。
質繊維は、多孔質樹脂部分と、繊維表面に一部分露出し
た分割用樹脂部分とからなり、この分割可能な多孔質繊
維を分割すると、細分化多孔質繊維が得られるため、各
種物質の吸着性や保持性に優れている。また、分割用樹
脂部分が多孔質であると、各種物質の吸着性や保持性に
より優れている。
【0005】また、上記細分化多孔質繊維を含む繊維シ
ートは、各種物質の吸着性や保持性に優れている。
ートは、各種物質の吸着性や保持性に優れている。
【0006】
【作用】本発明の分割可能な多孔質繊維(以下、単に
「多孔質繊維」ということがある)は、多孔質樹脂部分
と、繊維表面に一部分露出した分割用樹脂部分とからな
り、この多孔質繊維を分割すると、繊維表面からつなが
る空孔を形成した細分化多孔質繊維が得られ、空孔全体
を有効に利用できるため、各種物質の吸着性や保持性に
優れたものである。なお、この分割用樹脂部分も多孔質
であれば、分割用樹脂部分の空孔も利用できるため、各
種物質の吸着性や保持性により優れている。
「多孔質繊維」ということがある)は、多孔質樹脂部分
と、繊維表面に一部分露出した分割用樹脂部分とからな
り、この多孔質繊維を分割すると、繊維表面からつなが
る空孔を形成した細分化多孔質繊維が得られ、空孔全体
を有効に利用できるため、各種物質の吸着性や保持性に
優れたものである。なお、この分割用樹脂部分も多孔質
であれば、分割用樹脂部分の空孔も利用できるため、各
種物質の吸着性や保持性により優れている。
【0007】本発明の多孔質樹脂部分は、空孔を形成し
た部分で、多孔質繊維中、95重量%以下の比率で存在
するのが好ましい。95重量%を越えると、繊維強度が
低下し、しかも多孔質繊維の分割が生じにくくなるため
である。より好ましくは、80重量%以下である。
た部分で、多孔質繊維中、95重量%以下の比率で存在
するのが好ましい。95重量%を越えると、繊維強度が
低下し、しかも多孔質繊維の分割が生じにくくなるため
である。より好ましくは、80重量%以下である。
【0008】なお、分割用樹脂部分が非多孔質である場
合、多孔質樹脂部分は50重量%以上であるのが好まし
い。これは、50重量%未満であると、分割用樹脂部分
が多くなるため、空孔の割合が小さくなり、各種物質の
吸着性や保持性が悪くなるためである。
合、多孔質樹脂部分は50重量%以上であるのが好まし
い。これは、50重量%未満であると、分割用樹脂部分
が多くなるため、空孔の割合が小さくなり、各種物質の
吸着性や保持性が悪くなるためである。
【0009】このような多孔質樹脂部分は、例えば、結
晶性樹脂からなる場合には、延伸する際に形成でき、抽
出可能な樹脂を分散させた樹脂からなる場合には、紡糸
した後に抽出可能な樹脂を抽出することにより形成する
ことができる。
晶性樹脂からなる場合には、延伸する際に形成でき、抽
出可能な樹脂を分散させた樹脂からなる場合には、紡糸
した後に抽出可能な樹脂を抽出することにより形成する
ことができる。
【0010】前者の結晶性樹脂としては、例えば、ポリ
エステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリス
チレン系、ポリアセタール系、ポリカーボネート系、ポ
リウレタン系などの樹脂を用いることができる。これら
の中でも、配向結晶化しやすいので多孔化しやすい、ポ
リオレフィン系高分子、より具体的には、高密度ポリエ
チレン、低密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプ
ロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン
−ジエン共重合体などの変性ポリプロピレン、ポリメチ
ルペンテンなどを好適に使用できる。
エステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリス
チレン系、ポリアセタール系、ポリカーボネート系、ポ
リウレタン系などの樹脂を用いることができる。これら
の中でも、配向結晶化しやすいので多孔化しやすい、ポ
リオレフィン系高分子、より具体的には、高密度ポリエ
チレン、低密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプ
ロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン
−ジエン共重合体などの変性ポリプロピレン、ポリメチ
ルペンテンなどを好適に使用できる。
【0011】後者の多孔質樹脂部分を構成する樹脂に抽
出可能な樹脂を分散させた場合には、多孔質樹脂部分を
構成する樹脂として、上記と同様の結晶性樹脂及び他の
樹脂も使用することができる。他方、抽出可能な樹脂と
しては、例えば、6ナイロンや66ナイロンなどのポリ
アミド系、ポリスチレン系、スルホキシイソフタル酸と
エチレングリコールとの共重合体などのポリエステル
系、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリカプロラ
クトンを使用できる。
出可能な樹脂を分散させた場合には、多孔質樹脂部分を
構成する樹脂として、上記と同様の結晶性樹脂及び他の
樹脂も使用することができる。他方、抽出可能な樹脂と
しては、例えば、6ナイロンや66ナイロンなどのポリ
アミド系、ポリスチレン系、スルホキシイソフタル酸と
エチレングリコールとの共重合体などのポリエステル
系、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリカプロラ
クトンを使用できる。
【0012】この多孔質樹脂部分を構成する樹脂と、抽
出可能な樹脂との組み合わせとしては、ポリオレフィン
/ポリアミド、ポリオレフィン/ポリスチレン、ポリオ
レフィン/ポリ乳酸などの組み合わせは、抽出可能な樹
脂を抽出しやすく、好適に使用できる。
出可能な樹脂との組み合わせとしては、ポリオレフィン
/ポリアミド、ポリオレフィン/ポリスチレン、ポリオ
レフィン/ポリ乳酸などの組み合わせは、抽出可能な樹
脂を抽出しやすく、好適に使用できる。
【0013】本発明の分割用樹脂部分は、多孔質繊維か
ら剥離する部分で、剥離することにより多孔質繊維を細
分化したり、多孔質繊維内部の空孔を表面に露出させ
て、各種物質の吸着性や保持性を向上させる。この分割
用樹脂部分は、多孔質繊維中、5重量%以上の比率で存
在するのが好ましい。5重量%未満であると、繊維強度
が低下し、しかも多孔質繊維の分割が生じにくいためで
ある。より好ましくは20重量%以上である。
ら剥離する部分で、剥離することにより多孔質繊維を細
分化したり、多孔質繊維内部の空孔を表面に露出させ
て、各種物質の吸着性や保持性を向上させる。この分割
用樹脂部分は、多孔質繊維中、5重量%以上の比率で存
在するのが好ましい。5重量%未満であると、繊維強度
が低下し、しかも多孔質繊維の分割が生じにくいためで
ある。より好ましくは20重量%以上である。
【0014】なお、分割用樹脂部分が非多孔質である場
合には、50重量%以下であるのが好ましい。50重量
%を越えると、分割用樹脂部分が多くなるために、多孔
質樹脂部分の割合が低くなり、各種物質の吸着性や保持
性が悪くなるためである。
合には、50重量%以下であるのが好ましい。50重量
%を越えると、分割用樹脂部分が多くなるために、多孔
質樹脂部分の割合が低くなり、各種物質の吸着性や保持
性が悪くなるためである。
【0015】この分割用樹脂部分の構成樹脂は、多孔質
樹脂部分の構成樹脂と同様に、結晶性樹脂からなる場合
には、延伸する際に多孔化したり、抽出可能な樹脂を分
散して紡糸した後、抽出可能な樹脂を抽出することによ
り多孔化できる。分割用樹脂部分を構成する樹脂及び抽
出可能な樹脂は、多孔質樹脂部分に使用できる構成樹脂
及び抽出可能な樹脂と同様のものが使用できる。
樹脂部分の構成樹脂と同様に、結晶性樹脂からなる場合
には、延伸する際に多孔化したり、抽出可能な樹脂を分
散して紡糸した後、抽出可能な樹脂を抽出することによ
り多孔化できる。分割用樹脂部分を構成する樹脂及び抽
出可能な樹脂は、多孔質樹脂部分に使用できる構成樹脂
及び抽出可能な樹脂と同様のものが使用できる。
【0016】なお、多孔質用樹脂部分を構成する樹脂と
分割用樹脂部分を構成する樹脂とが、同じであると、分
割して、細分化多孔質繊維を得ることが困難になるの
で、相溶性のあまり良くない樹脂同士、つまり、臨界表
面張力の異なる樹脂同士を組み合わせるのが好ましい。
より具体的には、臨界表面張力の差が2dyne/cm以上の
樹脂同士を組み合わせる。
分割用樹脂部分を構成する樹脂とが、同じであると、分
割して、細分化多孔質繊維を得ることが困難になるの
で、相溶性のあまり良くない樹脂同士、つまり、臨界表
面張力の異なる樹脂同士を組み合わせるのが好ましい。
より具体的には、臨界表面張力の差が2dyne/cm以上の
樹脂同士を組み合わせる。
【0017】本発明の多孔質繊維3は、多孔質樹脂部分
1と、繊維表面に一部分露出した分割用樹脂部分2とか
らなる。この状態を分割用樹脂部分2が非多孔質の場合
の図1〜図4をもとに説明する。
1と、繊維表面に一部分露出した分割用樹脂部分2とか
らなる。この状態を分割用樹脂部分2が非多孔質の場合
の図1〜図4をもとに説明する。
【0018】図1は、分割用樹脂部分2が繊維軸から放
射状に伸びて、多孔質樹脂部分1を8つに分割している
状態を表す断面図である。このように、分割用樹脂部分
2が多孔質樹脂部分1を分割して繊維表面に一部露出し
ているため、多孔質繊維が容易に分割でき、多孔質繊維
内部の空孔を、繊維表面からつながる空孔とした細分化
多孔質繊維となるため、空孔を有効に利用でき、各種物
質の吸着性や保持性に優れている。なお、図1では分割
用樹脂部分2が多孔質樹脂部分1を8つに分割している
が、2つ以上、より好ましくは3つ以上に分割していれ
ば良く、特に限定するものではない。
射状に伸びて、多孔質樹脂部分1を8つに分割している
状態を表す断面図である。このように、分割用樹脂部分
2が多孔質樹脂部分1を分割して繊維表面に一部露出し
ているため、多孔質繊維が容易に分割でき、多孔質繊維
内部の空孔を、繊維表面からつながる空孔とした細分化
多孔質繊維となるため、空孔を有効に利用でき、各種物
質の吸着性や保持性に優れている。なお、図1では分割
用樹脂部分2が多孔質樹脂部分1を8つに分割している
が、2つ以上、より好ましくは3つ以上に分割していれ
ば良く、特に限定するものではない。
【0019】図2は、繊維断面形状が三角形の場合であ
り、このように、繊維断面形状は円形である必要はな
く、多角形、楕円形、長円形などでもよく、特に限定す
るものではない。
り、このように、繊維断面形状は円形である必要はな
く、多角形、楕円形、長円形などでもよく、特に限定す
るものではない。
【0020】図3は、多孔質樹脂部分1が分割用樹脂部
分2によって、一部覆われた状態であるが、芯鞘型複合
繊維のように、完全に覆われていなければ、容易に分割
することができ、分割用樹脂部分2が多孔質の場合は勿
論のこと、非多孔質の場合であっても、多孔質樹脂部分
1の表面積が広くなるので、各種物質の吸着性や保持性
により優れている。
分2によって、一部覆われた状態であるが、芯鞘型複合
繊維のように、完全に覆われていなければ、容易に分割
することができ、分割用樹脂部分2が多孔質の場合は勿
論のこと、非多孔質の場合であっても、多孔質樹脂部分
1の表面積が広くなるので、各種物質の吸着性や保持性
により優れている。
【0021】図4は、分割用樹脂部分2が多孔質樹脂部
分1を平行に分割した状態を表す断面図であり、このよ
うに、分割用樹脂部分2が繊維軸から放射状に伸びてい
る必要はない。
分1を平行に分割した状態を表す断面図であり、このよ
うに、分割用樹脂部分2が繊維軸から放射状に伸びてい
る必要はない。
【0022】このような多孔質繊維の繊度は0.5〜5
デニールであるのが好ましい。0.5デニール未満であ
ると、多孔質繊維を使用して、不織布、織物などの繊維
シートを形成しにくく、5デニールを越えると、多孔質
繊維を分割して、細分化しても、多孔質繊維全体の空孔
を十分に利用しにくいためである。なお、多孔質繊維を
カード機により開繊し、繊維ウエブを形成し、不織布を
製造する場合には、開繊しやすいように、1デニール以
上であるのが好ましい。
デニールであるのが好ましい。0.5デニール未満であ
ると、多孔質繊維を使用して、不織布、織物などの繊維
シートを形成しにくく、5デニールを越えると、多孔質
繊維を分割して、細分化しても、多孔質繊維全体の空孔
を十分に利用しにくいためである。なお、多孔質繊維を
カード機により開繊し、繊維ウエブを形成し、不織布を
製造する場合には、開繊しやすいように、1デニール以
上であるのが好ましい。
【0023】このような多孔質繊維は、常法の複合紡糸
法によって得ることができる。例えば、繊維断面形状が
図1の多孔質繊維を得る場合、図5に示すような横断面
を有する内部オリフィス6を用いて、溝4の部分から分
割用樹脂部分を構成する樹脂を押し出すと共に、小孔5
から多孔質樹脂部分を構成する樹脂を押し出して、これ
ら押し出した樹脂を複合し、円形の紡糸オリフィスを通
して紡出した後、例えば、延伸又は分散した抽出可能な
樹脂を抽出することにより得ることができる。なお、延
伸によって多孔化する方法は、一般的に、繊維内部には
空孔を生じさせやすいものの、繊維表面は空孔を生じさ
せにくいが、本発明の多孔質繊維は分割することによ
り、繊維内部の空孔を表面に露出した細分化多孔質繊維
を得ることができるので、各種物質の吸着性や保持性に
優れている。
法によって得ることができる。例えば、繊維断面形状が
図1の多孔質繊維を得る場合、図5に示すような横断面
を有する内部オリフィス6を用いて、溝4の部分から分
割用樹脂部分を構成する樹脂を押し出すと共に、小孔5
から多孔質樹脂部分を構成する樹脂を押し出して、これ
ら押し出した樹脂を複合し、円形の紡糸オリフィスを通
して紡出した後、例えば、延伸又は分散した抽出可能な
樹脂を抽出することにより得ることができる。なお、延
伸によって多孔化する方法は、一般的に、繊維内部には
空孔を生じさせやすいものの、繊維表面は空孔を生じさ
せにくいが、本発明の多孔質繊維は分割することによ
り、繊維内部の空孔を表面に露出した細分化多孔質繊維
を得ることができるので、各種物質の吸着性や保持性に
優れている。
【0024】本発明の細分化多孔質繊維は、多孔質繊維
を分割することにより得ることができるが、この分割方
法としては、例えば、水流やニードルなどの機械的な分
割や、多孔質樹脂部分及び/又は分割用樹脂部分を溶媒
によって膨潤又は収縮させて分割する化学的な分割など
がある。これらの中でも、製造上取り扱いやすい、水流
による分割方法が好適に使用できる。
を分割することにより得ることができるが、この分割方
法としては、例えば、水流やニードルなどの機械的な分
割や、多孔質樹脂部分及び/又は分割用樹脂部分を溶媒
によって膨潤又は収縮させて分割する化学的な分割など
がある。これらの中でも、製造上取り扱いやすい、水流
による分割方法が好適に使用できる。
【0025】この水流により分割する場合、水圧は10
Kg/cm2〜200Kg/cm2であるのが好ましい。10Kg/cm2
未満であると、多孔質繊維の分割が不十分になりやす
く、逆に、200Kg/cm2を越えると、水圧に繊維が耐え
られず、破損しやすいためである。より好ましくは、3
0Kg/cm2〜150Kg/cm2である。
Kg/cm2〜200Kg/cm2であるのが好ましい。10Kg/cm2
未満であると、多孔質繊維の分割が不十分になりやす
く、逆に、200Kg/cm2を越えると、水圧に繊維が耐え
られず、破損しやすいためである。より好ましくは、3
0Kg/cm2〜150Kg/cm2である。
【0026】なお、この分割処理は多孔質繊維を含む織
物、編物、不織布などの繊維シートを形成した後に行な
った方が、より効率的で、取り扱いやすい。これらの中
でも不織布は多種多様のものを形成できるため、好適な
実施態様である。この不織布としては、例えば、カード
法、エアレイ法などの乾式法や湿式法により得た繊維ウ
エブを、水流やニードルなどによる絡合処理や、多孔質
繊維又は熱融着性繊維の熱融着性を利用した熱融着処理
や、バインダーによる接着処理などによって得ることが
できるが、分割と同時に絡合することができ、しかも細
分化多孔質繊維の空孔を塞がない、水流やニードルなど
による絡合処理が特に好ましい。
物、編物、不織布などの繊維シートを形成した後に行な
った方が、より効率的で、取り扱いやすい。これらの中
でも不織布は多種多様のものを形成できるため、好適な
実施態様である。この不織布としては、例えば、カード
法、エアレイ法などの乾式法や湿式法により得た繊維ウ
エブを、水流やニードルなどによる絡合処理や、多孔質
繊維又は熱融着性繊維の熱融着性を利用した熱融着処理
や、バインダーによる接着処理などによって得ることが
できるが、分割と同時に絡合することができ、しかも細
分化多孔質繊維の空孔を塞がない、水流やニードルなど
による絡合処理が特に好ましい。
【0027】このようにして得られる細分化多孔質繊維
を含む繊維シートは、空孔率が高く、各種物質の吸着性
や保持性に優れているため、中入綿、電池用セパレー
タ、各種フィルタ、各種マスク、内装材、各種ワイパー
などの様々な用途に、好適に使用できる。
を含む繊維シートは、空孔率が高く、各種物質の吸着性
や保持性に優れているため、中入綿、電池用セパレー
タ、各種フィルタ、各種マスク、内装材、各種ワイパー
などの様々な用途に、好適に使用できる。
【0028】以下に実施例を記載するが、以下の実施例
に限定されるものではない。なお、樹脂成分の溶融粘度
は、270℃、シェアレート103S-1におけるもので、フロ
ーテスター(島津製作所製、フローテスターCFT-500)
で、直径1.0mm、長さ10.0mmのノズルを用いて測定し
た。また、空孔率は水銀圧入法(ポロシメーター:CARL
OERBA社製)により測定した。
に限定されるものではない。なお、樹脂成分の溶融粘度
は、270℃、シェアレート103S-1におけるもので、フロ
ーテスター(島津製作所製、フローテスターCFT-500)
で、直径1.0mm、長さ10.0mmのノズルを用いて測定し
た。また、空孔率は水銀圧入法(ポロシメーター:CARL
OERBA社製)により測定した。
【0029】
(実施例1)溶融粘度450ポイズ、臨界表面張力29dyn
e/cmのポリプロピレン樹脂(多孔質樹脂部分)と、溶融
粘度150ポイズ、臨界表面張力31dyne/cmのポリエチレ
ン樹脂(分割用樹脂部分)とを8:2の重量比率で、別
々に溶融させた後、図5に示すような、8つの小孔5を
溝4で8分割した横断面をもつ、270℃に加熱された内
部オリフィス6の小孔5からポリプロピレン樹脂融液
を、他方、溝4からポリエチレン樹脂融液を押し出した
後、これら融液を複合し、円形断面の紡糸オリフィスか
ら紡出した後、速度500m/分で巻き取り、ポリプロピ
レン樹脂成分が、中心から放射状に伸びるポリエチレン
樹脂成分により8分割された、断面円形の複合繊維を得
た。この複合繊維を、140℃で30分間熱処理し、次いで8
0℃で2倍に延伸し、145℃で30分間熱セットして、多孔
化したポリプロピレン樹脂成分が、中心から放射状に伸
びる多孔化したポリエチレン樹脂成分により8分割され
た、図1に示すような断面形状を有する、繊度2デニー
ルの多孔質繊維を得た。
e/cmのポリプロピレン樹脂(多孔質樹脂部分)と、溶融
粘度150ポイズ、臨界表面張力31dyne/cmのポリエチレ
ン樹脂(分割用樹脂部分)とを8:2の重量比率で、別
々に溶融させた後、図5に示すような、8つの小孔5を
溝4で8分割した横断面をもつ、270℃に加熱された内
部オリフィス6の小孔5からポリプロピレン樹脂融液
を、他方、溝4からポリエチレン樹脂融液を押し出した
後、これら融液を複合し、円形断面の紡糸オリフィスか
ら紡出した後、速度500m/分で巻き取り、ポリプロピ
レン樹脂成分が、中心から放射状に伸びるポリエチレン
樹脂成分により8分割された、断面円形の複合繊維を得
た。この複合繊維を、140℃で30分間熱処理し、次いで8
0℃で2倍に延伸し、145℃で30分間熱セットして、多孔
化したポリプロピレン樹脂成分が、中心から放射状に伸
びる多孔化したポリエチレン樹脂成分により8分割され
た、図1に示すような断面形状を有する、繊度2デニー
ルの多孔質繊維を得た。
【0030】この多孔質繊維をカーディングして繊維ウ
エブを形成した後、水圧100Kg/cm2の水流により処理し
て、分割させると同時に絡合させ、細分化多孔質繊維か
らなる不織布を得た。この細分化多孔質繊維を走査型電
子顕微鏡により観察したところ、繊維表面からつながっ
た空孔を有していることが確認された。また、空孔率は
43%であった。
エブを形成した後、水圧100Kg/cm2の水流により処理し
て、分割させると同時に絡合させ、細分化多孔質繊維か
らなる不織布を得た。この細分化多孔質繊維を走査型電
子顕微鏡により観察したところ、繊維表面からつながっ
た空孔を有していることが確認された。また、空孔率は
43%であった。
【0031】(実施例2)分割用樹脂部分の樹脂とし
て、溶融粘度300ポイズ、臨界表面張力46dyne/cmの6
−ナイロンを使用した以外は、実施例1と同様にして、
多孔化したポリプロピレン樹脂成分が、中心から放射状
に伸びる6−ナイロン樹脂成分(非多孔)により8分割
された、図1に示すような断面形状を有する、繊度2デ
ニールの多孔質繊維を得た。この多孔質繊維を実施例1
と同様にして不織布を得た。この細分化多孔質繊維を走
査型電子顕微鏡により観察したところ、ポリプロピレン
繊維は表面からつながった空孔を有していることが確認
された。また、空孔率は38%であった。
て、溶融粘度300ポイズ、臨界表面張力46dyne/cmの6
−ナイロンを使用した以外は、実施例1と同様にして、
多孔化したポリプロピレン樹脂成分が、中心から放射状
に伸びる6−ナイロン樹脂成分(非多孔)により8分割
された、図1に示すような断面形状を有する、繊度2デ
ニールの多孔質繊維を得た。この多孔質繊維を実施例1
と同様にして不織布を得た。この細分化多孔質繊維を走
査型電子顕微鏡により観察したところ、ポリプロピレン
繊維は表面からつながった空孔を有していることが確認
された。また、空孔率は38%であった。
【0032】(比較例)実施例1と同じポリプロピレン
樹脂のみを使用し、実施例1と同じ条件で紡糸した後、
延伸して、多孔化したポリプロピレン繊維を得た。この
多孔化したポリプロピレン繊維を使用し、実施例1と同
様にして不織布を得た。このポリプロピレン繊維を走査
型電子顕微鏡により観察したところ、繊維内部には空孔
が生じているものの、繊維表面からつながる空孔の存在
しないものであった。また、空孔率は8%であった。
樹脂のみを使用し、実施例1と同じ条件で紡糸した後、
延伸して、多孔化したポリプロピレン繊維を得た。この
多孔化したポリプロピレン繊維を使用し、実施例1と同
様にして不織布を得た。このポリプロピレン繊維を走査
型電子顕微鏡により観察したところ、繊維内部には空孔
が生じているものの、繊維表面からつながる空孔の存在
しないものであった。また、空孔率は8%であった。
【0033】
【発明の効果】本発明の分割可能な多孔質繊維を分割す
ると、繊維表面からつながる空孔を形成した細分化多孔
質繊維が得られ、空孔を有効に利用できるため、各種物
質の吸着性や保持性に優れたものである。なお、この分
割用樹脂部分も多孔質であれば、各種物質の吸着性や保
持性により優れている。
ると、繊維表面からつながる空孔を形成した細分化多孔
質繊維が得られ、空孔を有効に利用できるため、各種物
質の吸着性や保持性に優れたものである。なお、この分
割用樹脂部分も多孔質であれば、各種物質の吸着性や保
持性により優れている。
【0034】このような細分化多孔質繊維を含む繊維シ
ートは、各種物質の吸着性や保持性に優れたものであ
る。
ートは、各種物質の吸着性や保持性に優れたものであ
る。
【図1】 本発明の分割可能な多孔質繊維の断面図
【図2】 本発明の他の分割可能な多孔質繊維の断面図
【図3】 本発明の他の分割可能な多孔質繊維の断面図
【図4】 本発明の他の分割可能な多孔質繊維の断面図
【図5】 図1の分割可能な多孔質繊維を紡糸する際に
使用できる内部オリフィス
使用できる内部オリフィス
1 多孔質樹脂部分
2 分割用樹脂部分
3 分割可能な多孔質繊維
4 溝
5 小孔
6 内部オリフィス
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
D01F 6/00 - 9/04
D01F 8/00 - 8/18
D01D 5/30
D04H 1/42
Claims (4)
- 【請求項1】 多孔質樹脂部分と、繊維表面に一部分露
出した分割用樹脂部分とからなることを特徴とする分割
可能な多孔質繊維。 - 【請求項2】 分割用樹脂部分が多孔質であることを特
徴とする、請求項1記載の分割可能な多孔質繊維。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の分割可能な
多孔質繊維が分割して、繊維表面からつながる空孔を形
成していることを特徴とする細分化多孔質繊維。 - 【請求項4】 請求項3記載の細分化多孔質繊維を含む
ことを特徴とする繊維シート。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP34968493A JP3396527B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 分割可能な多孔質繊維、細分化多孔質繊維、及びこれを用いた繊維シート |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP34968493A JP3396527B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 分割可能な多孔質繊維、細分化多孔質繊維、及びこれを用いた繊維シート |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07197322A JPH07197322A (ja) | 1995-08-01 |
| JP3396527B2 true JP3396527B2 (ja) | 2003-04-14 |
Family
ID=18405409
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP34968493A Expired - Fee Related JP3396527B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 分割可能な多孔質繊維、細分化多孔質繊維、及びこれを用いた繊維シート |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3396527B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6506327B2 (en) | 1997-11-05 | 2003-01-14 | Pedex & Co. Gmbh | Process of making monofilaments |
| DE19841974A1 (de) | 1998-09-14 | 2000-03-23 | Braun Gmbh | Borste für eine Zahnbürste, insbesondere für eine elektrische Zahnbürste, sowie Verfahren zu deren Herstellung |
-
1993
- 1993-12-28 JP JP34968493A patent/JP3396527B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH07197322A (ja) | 1995-08-01 |
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