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JP3319285B2 - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法

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JP3319285B2
JP3319285B2 JP14256696A JP14256696A JP3319285B2 JP 3319285 B2 JP3319285 B2 JP 3319285B2 JP 14256696 A JP14256696 A JP 14256696A JP 14256696 A JP14256696 A JP 14256696A JP 3319285 B2 JP3319285 B2 JP 3319285B2
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Japan
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plasma
sample
pulse
gas
processing chamber
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JP14256696A
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哲徳 加治
徹 大坪
秀之 数見
克哉 渡辺
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマ処理装置お
よびプラズマ処理方法に係り、特に半導体製造工程にお
ける微細なパターンを形成するのに好適なプラズマ処理
装置およびプラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平6−267900号公報では、高
周波停止時間を10マイクロ秒、繰り返し周波数を10
kHz以上でON−OFFパルス変調された高周波電源
を用い、解離反応やイオン温度を制御し、エッチングを
高精度化することが記載されている。この公報では、N
2ガスプラズマでのパルス停止時間とプラズマ密度特性
が記載されており、パルスの停止時間であるインタ−バ
ル時間は、パルス密度を低下させないことも考慮し、1
0マイクロ秒以下が最適であることが記載されている。 ま
た、一方、CHF3プラズマでパルス停止時間を10マイ
クロ秒に固定した状態でパルス幅を低下させると、好まし
くないFラジカルと好ましいCF2ラジカルとの比:F
/CF2が低下し、酸化膜エッチングにおいて下地シリ
コンとの選択比が改善される。しかし、この例では、パ
ルスの停止時間を10マイクロ秒以上にすると、プラズマ密
度が低下し、それとともにエッチング速度が低下するた
め、好ましくないことが示されている。
【0003】また、プラズマを用い、半導体のエッチン
グ処理や成膜処理等を行う技術分野において、被処理物
(例えば半導体ウェハ基板、以下試料と略する。)を配
置する試料台に対して、プラズマ中のイオンを加速する
ためのバイアス用高周波電源と、静電吸着力によって試
料を試料台に保持させる静電吸着膜とを備えた処理装置
として、USP5,320,982号明細書等に記載の
ものがある。
【0004】このUSP5,320,982号明細書記
載の装置は、マイクロ波でプラズマを発生させ、静電吸
着力によって試料を試料台に保持させると共に試料と試
料台との間に伝熱ガスを介在させて試料の温度制御を行
いながら、正弦波出力の高周波電源をバイアス電源とし
て、該電源を試料台に接続して試料に入射するイオンエ
ネルギーを制御するものである。
【0005】また、特開昭62−280378号公報で
は、プラズマー電極間の電界強度を一定化するパルス状
のイオン制御バイアス波形を発生させ試料台に印加する
ことにより、試料に入射するイオンエネルギーの分布幅
を狭くでき、エッチングの加工寸法精度や被処理膜と下
地材とのエッチング速度比を数倍に上げることが可能と
なることが記載されている。
【0006】また、特開平6−61182号公報では、
電子サイクロトロン共鳴を利用してプラズマを発生さ
せ、試料に、パルスデューティが0.1%程度以上の幅
のパルスバイアスを印加し、ノッチの発生を防止するこ
とが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図1にアルゴンガスを
比較的高いガス圧力(1 Torr)で直流放電を発生させ
た時の、電子のエネルギ−分布(以下EEDFと略す)
を実線で、またマックスウエル分布を点線で示す。通常
のガスを電離させるさせるためには、15電子ボルト
(以下eVと略す)程度以上の電子エネルギ−を必要と
している。一方、半導体のプラズマ処理に使われるガス
の解離には10eV程度以下の電子エネルギ−で十分な
場合がほとんどである。従って、ガスの解離のみを考え
れば、15eV以上の高エネルギ−の電子は不要であ
り、解離を必要以上に進めすぎて、細かすぎるラジカ
ル、分子あるいは原子にまで解離させるため悪影響の方
が大きい。上記図1の実線で示すように、ガス圧力の高
い領域では、電子とガスとの衝突が頻繁に生じるため、
15eV程度以上の高エネルギ−の電子の数は、少な
い。このため上記の悪影響は、比較的低く押さえること
が出来る。しかし、半導体製造工程における、近年のパ
タ−ンの高精細化に対応するには、処理圧力は、50mT
orr程度以下にする必要がでてきた。この低圧力領域で
は、EEDFは、図1の点線で示したマックスウエル分
布に近づき、15eV程度以上の高エネルギ−の電子の
数が増え、電離が盛んとなりイオンが増加しプラズマ密
度も増えるが、上記の悪影響が、特に酸化膜エッチング
処理で顕著になってきている。この傾向は、処理の高速
化をはかるため、高電力を注入し高密度プラズマにて試
料を処理するときに、更に顕著となっている。
【0008】すなわち、低圧力−高密度−過剰解離の防
止の3つを総て満たすプラズマは、得られていないのが
現状である。
【0009】前記従来例で述べた特開平−267900
号公報では、停止時間が10マイクロ秒以下でかつ繰返し周
波数10kHz以上でON−OFFされた高周波電界を
印加することにより、過剰解離を防いでいるが、まだ不
十分である。この方法では、過剰解離の防止を十分に行
おうとすると、停止時間を10マイクロ秒以上にする必要が
あるが、停止時間の増大とともに、処理速度が大幅に低
下し実用的ではなくなる大きな欠点がある。
【0010】また、特開昭62−280378号公報や
特開平6−61182号公報に記載のパルスバイアス電
源方式は、試料台電極と試料との間に静電吸着用誘電体
層を使用して試料にパルスバイアスを印加する場合の検
討がなされておらず、静電吸着方式にそのまま適用する
と静電吸着膜の両端間に発生する電圧の変化によりイオ
ンエネルギー分布が広がるため、試料に十分な温度制御
を行いながら、必要とする微細パターンの処理に対処す
ることができない欠点があった。
【0011】また、USP5,320,982号明細書
に記載された従来の正弦波出力バイアス電源方式では、
周波数が高くなると、シース部のインピーダンスがプラ
ズマ自身のインピーダンスに近づくか、それ以下になる
ため、バイアス電源により不要なプラズマが生じイオン
の加速に有効に使われなくなって、プラズマ分布の悪化
やプラズマで発生する粒子種の変化をきたしたりバイア
ス電源によるイオンエネルギーの制御性が失われる等の
欠点があった。
【0012】本発明の目的は、このよううな従来技術の
問題点を解決するためになされたもので、イオン、ラジ
カルの生成量や質を制御し、試料の静電吸着により温度
制御性を改善し、必要とする微細パターンの処理を精度
良く高速で安定して行うプラズマ処理装置及びプラズマ
処理方法を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、イオンとラジカル生
成の量や質を制御し、狭いイオンエネルギー分布を得て
高速で安定して制御性良くプラズマ処理の選択性等を向
上できるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供
することにある。
【0014】本発明の他の目的は、イオンとラジカル生
成の量や質を制御し、比較的低いガス圧下において試料
を処理することにより、微細パターンの精密な加工が容
易で、かつ、プラズマ処理の選択比や速度等を向上させ
た、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供する
ことにある。
【0015】本発明の他の目的は、イオンとラジカル生
成の量や質を制御し、試料中の絶縁膜(例えばSiO2,
SiN,BPSG等)に対するプラズマ処理の選択性
や速度等を向上させたプラズマ処理装置及びプラズマ処
理方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の一つは、プラズ
マ中に比較的微量存在する準安定原子の種類や数により
プラズマの生成特性が大きく変化する性質を有効に活用
し、イオンとラジカルの量と質をかなり独立に制御して
いる。つまり、準安定原子を生成するためには、8〜2
0eVのかなり高いエネルギ−を必要とするが、準安定
原子が存在している状態では5eV程度以下の低いエネ
ルギ−で容易に電離が起きる。準安定原子を生成する場
所あるいはタイミングと、準安定原子が多数存在する状
態で比較的低エネルギ−のプラズマを生成する場所ある
いはタイミングとを異ならせ別々に設定することによ
り、イオンとラジカルの量と質の制御性を大幅に改善す
ることができる。
【0017】すなわち、瞬時電力の大きい高周波源で強
いプラズマを発生させる第一のプラズマ生成手段により
多くの準安定原子を発生させ、その準安定原子を真空処
理室内に存在させた状態で、瞬時電力の小さい高周波源
で比較的弱いプラズマを発生させる第二のプラズマ生成
手段によりイオンと過剰に解離していないラジカルを発
生させる。
【0018】このよう構成することにより、50mTo
rr程度以下の低いガス圧で高密度のプラズマにおいて
も、図1の実線で示したものと類似もしくはさらに電子
温度が低く、15eV以上の高エネルギ−の電子が大幅
に少ないEEDFを得ることができる。
【0019】すなわち、従来のプラズマでは達せられな
かった、低ガス圧−高密度−過剰解離の防止が可能とな
った。ここで、イオンの数は、主に第一のプラズマ生成
手段による準安定原子の数で決定され、一方、ラジカル
の数や質は、第二のプラズマ生成手段により主に決定さ
れる。第一のプラズマを生成する場所は、第二のプラズ
マを生成する場所と異なる場合と、第二のプラズマを生
成する場所と同じ場所だがプラズマを発生させるタイミ
ングが異なる場合と、いずれの場合も本発明を適用する
ことができる。
【0020】上記により生成されたイオンやラジカルを
用い高性能の処理性能を得るには、更に、試料に入射す
るイオンのエネルギ−を所定の大きさでかつエネルギ−
の分布幅を狭くする必要がある。このためには、パルス
状のバイアス電圧を試料台に印加するのが好ましい。ま
た、試料の温度制御性を改善するには、試料を試料台に
静電気にて吸着し、数ミクロンから数十ミクロンの厚さで数Torr
から数十Torrのガス層を通して熱の伝導を行う様に構成
する。
【0021】本発明の特徴は、真空処理室と、該真空処
理室内で処理される試料を配置するための試料台と、プ
ラズマ生成手段とを有するプラズマ処理装置であって、
前記試料を静電吸着力によって前記試料台に保持する静
電吸着手段と、前記試料にバイアス電圧を印加するバイ
アス印加手段と、前記真空処理室の内もしくは外にプラ
ズマを発生させる第一のプラズマ生成手段と、前記真空
処理室内にプラズマを発生させる第二のプラズマ生成手
段とを具備し、イオンとラジカル生成の量や質を制御し
ていることにある。
【0022】本発明の特徴は、真空処理室と、該真空処
理室内で処理される試料を配置するための試料台と、プ
ラズマ生成手段とを有するプラズマ処理装置であって、
前記試料を静電吸着力によって前記試料台に保持する静
電吸着手段と、前記試料にバイアス電圧を印加するバイ
アス印加手段と、前記真空処理室の内もしくは外にプラ
ズマを発生させる第一のプラズマ生成手段と、前記真空
処理室内にプラズマを発生させる第二のプラズマ生成手
段とを具備し、前記第一のプラズマ生成手段の瞬時電力
が、前記第2のプラズマ生成手段の瞬時電力の2倍以上
かつ100倍以下に設定し、イオンとラジカル生成の量
や質を制御していることにある。
【0023】本発明の他の特徴は、真空処理室と、該真
空処理室内で処理される試料を配置するための試料台
と、前記真空処理室の内もしくは外にプラズマを発生さ
せる第一のプラズマ生成手段と、前記真空処理室内にプ
ラズマを発生させる第二のプラズマ生成手段と、前記試
料を静電吸着力によって前記試料台に保持する静電吸着
手段と、前記試料にパルスバイアス電圧を印加するパル
スバイアス印加手段とを備え、イオンとラジカル生成の
量や質を制御していることにある。
【0024】本発明の他の特徴は、真空処理室と、該真
空処理室内で処理される試料を配置するための試料台
と、前記真空処理室の内もしくは外にプラズマを発生さ
せる第一のプラズマ生成手段と、前記真空処理室内にプ
ラズマを発生させる第二のプラズマ生成手段と、前記試
料を静電吸着力によって前記試料台に保持する静電吸着
手段と、前記試料にパルスバイアス電圧を印加するパル
スバイアス印加手段とを備え、イオンとラジカル生成の
量や質をに制御し、前記プラズマ生成源として10MHz
〜500MHzの高周波電圧を印加するとともに、前記真
空処理室を5mTorr〜50mTorrに減圧するように構成し
たことにある。
【0025】本発明の他の特徴は、真空処理室と、該真
空処理室で処理される試料を配置するための試料台と、
前記真空処理室の内もしくは外にプラズマを発生させる
第一のプラズマ生成手段と、前記真空処理室内にプラズ
マを発生させる第二のプラズマ生成手段と、前記試料を
静電吸着力によって前記試料台に保持する静電吸着手段
と、前記試料にパルスバイアス電圧を印加するパルスバ
イアス印加手段とを備え、前記パルスバイアス電圧の印
加に伴い前記静電吸着手段の静電吸着容量に対応して発
生する電圧の変化を抑制する電圧抑制手段とを設け、イ
オンとラジカル生成の量や質を制御していることにあ
る。
【0026】本発明の他の特徴は、真空処理室と、該真
空処理室で処理される試料を配置するための試料台と、
前記真空処理室の内もしくは外にプラズマを発生させる
第一のプラズマ生成手段と、前記真空処理室内にプラズ
マを発生させる第二のプラズマ生成手段と、前記試料を
静電吸着力によって前記試料台に保持する静電吸着手段
と、一方の電極に試料が配置される一対の対向する電極
と、該試料のエッチング時に前記一方の電極に、250
V〜800Vのパルス振幅と0.05〜0.4のデュー
ティ比を有するパルスバイアス電圧を印加するパルスバ
イアス印加手段とを備え、イオンとラジカルの量や質を
独立に制御し、前記試料中の絶縁膜(例えばSiO2,
SiN,BPSG等)を前記プラズマを用いて処理する
ことにある。
【0027】本発明の他の特徴は、真空処理室内に設置
された試料台に試料を配置するステップと、該配置され
た試料を静電吸着力によって前記電極に保持するステッ
プと、ガスを導入するステップと、該導入されたガスを
プラズマ化する第一のプラズマ化のステップと、少なく
とも該プラズマ化されたガスを含んで前記試料が配置さ
れた雰囲気にてさらにプラズマ化する第二のプラズマ化
のステップと、、前記プラズマにより前記試料をエッチ
ングするステップと、該エッチング時に、試料台の電極
にバイアス電圧を印加するステップからなり、イオンと
ラジカル生成の量や質を制御し反応の高選択化を図ると
ともに、処理の異方性と処理の高速化を兼備したプラズ
マ処理方法にある。
【0028】本発明の他の特徴は、前記第一のプラズマ
化のステップの供給電力の瞬時値が、前記第二のプラズ
マ化のステップの供給電力の瞬時値の2倍以上でかつ1
00倍以下に設定し、イオンとラジカル生成の量や質を
制御し反応の高選択化を図るとともに、処理の異方性と
処理の高速化を兼備したプラズマ処理方法にある。
【0029】本発明の他の特徴は、真空処理室に設けら
れた対向する一対の電極の一方に試料を配置するステッ
プと、該試料を静電吸着力によって前記電極に保持する
ステップと、ガスを導入するステップと、該導入された
ガスをプラズマ化する第一のプラズマ化のステップと、
少なくとも該プラズマ化されたガスを含んで前記試料が
配置された雰囲気にて10MHz〜500MHzの高周波電
圧を印加しさらにプラズマ化する第二のプラズマ化のス
テップと、、前記プラズマにより前記試料をエッチング
するステップと、該エッチング時に、試料台の電極にバ
イアス電圧を印加するステップと、前記雰囲気を、5mT
orr〜50mTorrに減圧排気するステップとからなり、イ
オンとラジカル生成の量や質を制御し反応の高選択化を
図るとともに、処理の異方性と処理の高速化を兼備した
プラズマ処理方法にある。
【0030】本発明の他の特徴は、対向する電極の一方
の電極に試料を配置するステップと、該配置された試料
を静電吸着力によって前記電極に保持するするステップ
と、ガスを導入するステップと、該導入されたガスをプ
ラズマ化する第一のプラズマ化のステップと、少なくと
も該プラズマ化されたガスを含んで前記試料が配置され
た雰囲気にてさらにプラズマ化する第二のプラズマ化の
ステップと、、前記プラズマにより前記試料をエッチン
グするステップと、該エッチング時に、試料台の電極に
バイアス電圧を印加するステップからなり、該エッチン
グ時に前記試料台電極に、250V〜800Vのパルス
振幅と0.05〜0.4のデューティ比を有するパルス
バイアス電圧を印加するステップからなり、イオンとラ
ジカル生成の量や質を制御し、前記試料中の絶縁膜(例
えばSiO2, SiN,BPSG等)をプラズマ処理す
ることにある。
【0031】本発明の他の特徴は、前記プラズマ処理装
置において、第一のプラズマ化手段と、第二のプラズマ
化手段とを、パルス変調された一つの高周波電源のそれ
ぞれ高出力のタイミング部分と低出力のタイミング部分
とに対応させて、イオンとラジカル生成の量や質を制御
し反応の高精度化を図るとともに、処理の異方性と処理
の高速化を兼備したプラズマ処理装置にある。
【0032】本発明によれば、イオンとラジカル生成の
量や質を制御し反応の高精度化を図るとともに、静電吸
着用誘電体層を有する静電吸着手段を備えた試料台に所
定の特性のパルス状バイアス電源を印加することによ
り、試料の温度制御性を十分に行ないつつ、必要とする
微細パターンの処理を異方性よく高速に安定して行うこ
とが出来る。
【0033】さらに、イオンとラジカル生成の量や質を
制御し、狭いイオンエネルギー分布を得て、安定して制
御性良くプラズマ処理の選択性等を向上させることがで
きる。
【0034】また、本発明によれば、イオンとラジカル
生成の量や質を制御し、パルスバイアス電圧の印加に伴
い静電吸着手段の静電吸着容量に対応して発生する電圧
の変化を抑制する電圧抑制手段として、パルス一周期中
の静電吸着により誘電体層の両端に加わる電圧変化が、
パルスバイアス電圧の大きさの1/2以下となるように
構成する。具体的には、下部電極の表面に設けられた誘
電体の静電チャック膜の膜厚を薄くしたり、誘電体を比
誘電率の大きい材料とする。あるいはまた、パルスバイ
アス電圧の周期を短くして誘電体層の両端に加わる電圧
の上昇を抑制する方法を採用しても良い。
【0035】また、本発明によれば、イオンとラジカル
生成の量や質を制御し、試料のエッチング時に前記一方
の電極に、250V〜800Vのパルス振幅と0.05
〜0.4のデューティ比を有するパルスバイアス電圧を
印加することにより、試料中の絶縁膜(例えばSiO2,
SiN,BPSG等)に対するプラズマ処理の選択性
等を向上させることができる。
【0036】さらに、本発明の他の特徴によれば、イオ
ンとラジカル生成の量や質を制御し、プラズマ発生用の
高周波電源として、10MHz〜500MHzの高周波電圧
を用い、処理室内のガス圧力を、5mTorr〜50mTorrの
低圧としている。これにより、安定したプラズマが得ら
れる。また、このような高周波電圧を用いることにより
ガスプラズマの電離がよくなり、試料加工時の選択比制
御が良くなるとともに、比較的低いイオンエネルギで高
速の処理が得られるため、試料が受けるダメ−ジも低く
押さえる事が出来る。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を説明す
る。まず図2に、本発明を対向する電極型のプラズマエ
ッチング装置へ適用した第一の実施例を示す。
【0038】図2において、真空容器としての処理室1
0は、上部電極12と下部電極15とから成る一対の対
向する電極を備えている。平行平板電極12,15の間
隙は、10mm〜50mm程度とするのが望ましい。上部電
極12には、高周波エネルギーを供給する高周波電源1
6が、高周波電源変調信号源161を介して接続されて
いる。上部電極12の下側表面には、シリコン、カーボ
ンもしくはSiCからなるフッ素や酸素の除去板として
の上部電極カバー30が設けられている。また、上部電
極12の上部にはガスを所望の分布に拡散するガス拡散
板32を備えたガス導入室34が設けられている。処理
室10には、ガス供給部36からガス導入室34のガス
拡散板32、上部電極12及び上部電極カバー30に設
けられた孔38を介して、試料のエッチング等の処理に
必要なガスが供給される。外室11は、外室にバルブ1
4を介して接続された真空ポンプ18により真空排気さ
れ、処理室10が試料の処理圧力に調整される。処理室
10の周囲には放電止じ込め用リング37が設けられて
いる。
【0039】なお、本発明における平行平板電極12,
15は、相対向する一対の電極があれば良く、プラズマ
生成特性等の要求から平行平板電極12,15が凹面あ
るいは凸面を持つものであっても良い。
【0040】試料40を保持する下部電極15は、2極
式の静電チャック20を備えた構成となっている。すな
わち、下部電極15は、外側の第1下部電極15Aと、
その内側上方に絶縁体21を介して配置された第2下部
電極15Bによって構成され、第1、第2両下部電極の
上表面に静電吸着用誘電体層(以下、静電吸着膜と略称
する)22が設けられている。第1、第2両下部電極間
には、高周波成分カット用のコイル24A,24Bを介
して直流電源23が接続されており、第2下部電極15
B側が正になるようにして両下部電極間に直流電圧を印
加する。これにより、静電吸着膜22を介して試料40
と両下部電極間に作用するクーロン力により、試料40
が下部電極15上に吸着、保持される。静電吸着膜22
としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化アルミニウ
ムにチタン酸化物を混合したものなどの誘電体を使用す
ることができる。また、電源23としては、数100V
の直流電源を用いる。
【0041】また、下部電極15(15A,15B)に
は、20V〜800Vの正のパルスバイアスを供給する
パルスバイアス電源17が、DC成分をカットするブロ
ッキングコンデンサ19A,19Bを介してそれぞれ接
続されている。
【0042】エッチング処理を行う場合、処理の対象物
である試料40は、処理室10の下部電極15の上に載
置され、静電チャック20により吸着される。一方、ガ
ス供給部36からガス導入室34を介して、試料40の
エッチング処理に必要なガスが処理室10に供給され
る。外室11は真空ポンプ18により真空排気され、処
理室10が試料の処理圧力、例えば5mTorr〜50mTorr
になるように減圧排気される。次に、高周波電源16よ
り10MHz〜500MHz、望ましくは30MHz〜200
MHzの高周波電力を出力して、処理室10の処理ガスを
プラズマ化する。他方、下部電極15に、パルスバイア
ス電源17から電圧20V〜800Vで周期が0.1μ
s〜10μs、好ましくは、0.2μs〜5μsでパルス幅
が0.05μs〜0.5μsの正のパルスバイアスを印
加し、試料に入射する電子やイオンのエネルギ−を制御
して試料40に対する所定のエッチング処理を行う。
【0043】なお、高周波電源16は、高周波電源変調
信号源161により、パルス幅1〜50μs、パルス周
期20μs〜1ms、パルスデュティ比(パルス幅/パ
ルス周期)として1/3〜1/50でパルス変調されて
おり、パルス幅部分の瞬時電力をその他のタイミング部
分の瞬時電力の2倍〜100倍の強さで加え、パルス幅
の部分で準安定原子を効率良く生成させる。一方前記の
その他のタイミング部分では、前記準安定原子の存在の
もとに比較的低い瞬時電力の高周波電力を印加し電離の
促進を図り高密度のプラズマを得るとともに、15eV
以上の高いエネルギ−の電子の生成を押さえて処理ガス
の過剰解離を阻止し、プラズマ処理に望ましい比較的低
い10eV程度以下の電子エネルギ−での解離を促進さ
せる。なお、瞬時電力の大きいパルス幅部分においては
高いエネルギ−の電子が発生するが、高いエネルギ−の
電子は、数μsで消滅するため、パルスデュティ比を1
/3以下、好ましくは1/5以下の低い値にし、パルス
周期を20μs以上することによりその影響は小さくな
る。また、準安定原子は、その寿命が長く、衝突による
消滅を考慮しても、数十μs〜数百μsの期間は存在を
続ける。前記のその他のタイミング部分では、この準安
定原子の存在により5eV程度以下の比較的低いエネル
ギ−の電子によっても効率良く電離が起きるので、高密
度のプラズマが高エネルギ−電子の存在なしで維持され
る。上記のその他のタイミング部分の瞬時電力を変化さ
せることにより、表面反応を起こすラジカルの数と解離
の程度を制御する。一方、上記パルス幅部分の瞬時電力
を変化することにより、主にイオンの数を制御する。好
ましくは、パルス幅部分の瞬時電力としては、その他の
タイミング部分の瞬時電力の2倍〜100倍、好ましく
はの5倍〜20倍程度の強さで加え、パルス幅の部分で
準安定原子を効率良く生成させるとともに、その他のタ
イミング部分における過剰解離の防止と必要なラジカル
の数の確保を行う。
【0044】エッチングガスは、ガス拡散板32で所望
の分布にされた後、上部電極12及び上部電極カバー3
0に明けられた孔38を通して処理室10に注入され
る。
【0045】また上部電極カバー30には、カーボンや
シリコンあるいはこれらを含有するものを用い、フッ素
や酸素成分を除去してレジストやシリコン等の下地との
選択比を向上させる。
【0046】絶縁膜(たとえばSiO2,BPSG等)
をエッチング処理する場合のガス種の例としては、希ガ
ス:200ccm,C4F8: 10ccm ,ガス圧:2
0mTorrで、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、キ
セノン等)の準安定原子を活用し、希ガス自身の電離を
促進する場合や;希ガス1:200ccm,希ガス2:
20ccm,C4F8:10ccm、ガス圧20mTorr
で、希ガス1(ヘリウム、ネオン、等)の準安定原子を
活用してそのエネルギ−準位より低い電離準位を持つ希
ガス2(アルゴン、クリプトン、キセノン等)の電離を
促進する場合等がある。このようにして、高エネルギ−
の電子を少なくすることにより、C4F8は過剰の解離
が防止され、絶縁膜処理に好都合のCF2を多量に生成
できる。希ガスとC4F8ガスとの比を変更することに
より、イオンとラジカルとの量の比を変化することがで
きる。選択性等の特性をさらに改善するために、水素成
分を含むガス(CHF3,CH2F2,CH3F,CH4,CH3OH等)を加え
たりしてもよい。
【0047】処理室10の周囲は、放電止じ込め用リン
グ37によってプラズマを試料40の周辺に極在化させ
ることにり、プラズマ密度の向上を図ると共に、放電止
じ込め用リング37より外の部分への不要なデポ物の付
着を最小とさせる。
【0048】なお、放電止じ込め用リング37として
は、石英等の絶縁体を用いるのがよい。但し、カーボン
やシリコンあるいはSiC等の半導体や導電材を用い、
高周波電源に接続しイオンによるスパッタを生じさせる
と、リング37へのデポ付着を低減すると共にフッ素や
酸素の除去効果も持たせることができる。
【0049】なお、試料40の周辺の絶縁体13上に、
カーボンやシリコンあるいはこれらを含有するサセプタ
カバー39を設けると、フッ素や酸素を除去出来るの
で、選択比の向上に役立つ。
【0050】また、直流電源23の電位により、誘電体
の静電吸着膜22を挟んで下部電極15(15A,15
B)と試料40を介してして静電吸着回路が形成され
る。この状態で試料40は静電気力により下部電極15
に係止、保持される。静電気力により係止された試料4
0の裏面には、ヘリウム、窒素、アルゴン等の冷却ガス
が供給される。冷却ガスは、下部電極15の凹部に充填
されるが、その圧力は、数トールから数10トールの範
囲とする。なお、静電吸着力は、ギャップが設けられた
凹部の間では、ほとんどゼロであり、下部電極15の凸
部においてのみ静電吸着力が発生しているとみなせる。
しかし、後で述べるように、直流電源23に電圧を適切
に設定して、冷却ガスの圧力に十分耐えることのできる
吸着力を設定することができるので、冷却ガスにより試
料40が動いたり飛ばされたりすることはない。
【0051】試料の微細加工性を向上させるには、プラ
ズマ発生用高周波電源16としてより高い周波数のもの
を用い、低ガス圧領域での放電の安定化を計るのがよ
い。本発明では、処理室10における試料の処理圧力を
5mTorr〜50mTorrとしている。処理室10内のガス圧
力を50mTorr以下の低圧にすることにより、シース中
でのイオンの衝突が少なくなるので、試料40の処理に
際して、イオンの方向性が増し垂直な微細加工が可能に
なった。なお、5mTorr以下では、同じ処理速度を得る
には、排気装置や高周波電源が大型化すると共に、電子
温度の上昇による必要以上の解離が生じ、特性が劣化す
る傾向がある。
【0052】一般に、平行平板電極を用いたプラズマ発
生用の電源の周波数と安定的に放電が行われる最低のガ
ス圧力との間には、電源の周波数が高くなるほど、電極
間距離が大きくなるほど、安定放電最低ガス圧が低下す
るという関係がある。周囲の壁や放電閉込めリング37
へのデポ等の悪影響を避け、上部電極カバー30やサセ
プタカバー39や試料中のレジスト等によるフッ素や酸
素を除去する効果を有効に機能させるために、最高ガス
圧50mTorr時の平均自由工程の30倍以下に対応し
て、電極間距離を50mm程度以下とするのが望ましい。
また、電極間距離として、最高ガス圧(50mTorr)時
の平均自由工程の2〜4倍(3mm〜6mm)程度以上でな
いと、安定な放電が困難となる。
【0053】図2に示す本発明の一実施例では、プラズ
マ発生用高周波電源16として、10MHz〜500MH
z、望ましくは30MHz〜200MHzの高周波電力を用
いるため、処理室内のガス圧力を、5mTorr〜50mTorr
の低圧にしても、安定したプラズマが得られ、微細加工
性を向上させることができる。また、このような高周波
電力を用いることによりガスプラズマの解離が良くな
り、試料加工時の選択比制御が良くなる。
【0054】ところで、静電吸着膜22は、イオンに対
するパルスバイアスの作用を阻害する様に作用する。本
発明では、パルスバイアスの印加に伴い静電吸着膜22
の両端間に発生する電圧の上昇を抑制し、パルスバイア
スの効果を高めるために、電圧抑制手段を設けたことに
1つの特徴がある。
【0055】電圧抑制手段の一例としては、パルスバイ
アスの印加に伴い静電吸着膜の両端間に生ずるバイアス
電圧の一周期中の電圧の変化(VCM)が、パルスバイア
ス電圧の大きさ(Vp)の1/2以下となるように構成す
るのが良い。具体的には、下部電極15の表面に設けら
れた誘電体からなる静電吸着膜の膜厚を薄くしたり、誘
電体を誘電率の大きい材料とすることにより、誘電体の
静電容量を増す方法がある。
【0056】あるいはまた、他の電圧抑制手段として、
パルスバイアス電圧の周期を短くして電圧VCMの上昇を
抑制する方法もある。さらに、静電吸着回路とパルスバ
イアス電圧印加回路を別な位置、例えば試料が配置保持
される電極とは別の対向する電極、あるいは別に設けた
第三の電極に、分離して設ける方法も考えられる。
【0057】次に、本発明における電圧抑制手段により
もたらされるべき、パルスバイアス一周期中の静電吸着
膜の両端間に生じる電圧の変化(VCM)とパルスバイア
ス電圧の関係について、図3〜図9を用いて詳細に述べ
る。
【0058】まず、本発明のパルスバイアス電源17に
おいて使用する望ましい出力波形の例を図3に示す。図
中、パルス振幅:vp ,パルス周期:T0 ,正方向パル
ス幅:T1 とする。
【0059】図3(A)の波形をブロッキングコンデン
サ,静電吸着用誘電体層(以下、静電吸着膜と略称す
る)を経由して試料に印加した時、別の電源によりプラ
ズマを発生させた状態での定常状態での試料表面の電位
波形を図3(B)に示す。
【0060】 ただし、波形の直流成分電圧 :VDC プラズマのフローティングポテンシャル:Vf 静電吸着膜の両端間に生じる電圧の一周期中の最大電
圧:VCM とする。
【0061】図3(B)中、Vf より正電圧となってい
る(I)なる部分は、主に電子電流のみを引き込んでい
る部分であり、Vf より負の部分は、イオン電流を引き
込んでいる部分,Vf の部分は、電子とイオンとがつり
あっている部分(Vf は通常数V〜十数V)である。
【0062】なお、図3(A)および今後の説明では、
ブロッキングコンデンサの容量や試料表面近辺の絶縁体
による容量は静電吸着膜による容量(以下静電吸着容量
と略称する)に比べて十分大きいと仮定している。
【0063】VCMの値は次の式(数1)で表わされる。
【0064】
【数1】
【0065】 但し、q:(T0−T1)期間に試料に流入するイオン電流密度(平均値) c:単位面積当りの静電吸着容量(平均値) ii :イオン電流密度, εr :静電吸着膜の比誘電率 d:静電吸着膜の膜厚 ε0 :真空中の誘電率(定数) K:静電吸着膜の電極被覆率(≦1) 図4及び図5に、パルスデューティ比:(T1/T0)は
一定のままT0 を変化させた時の試料表面の電位波形と
イオンエネルギーの確率分布を示す。但し、T01
02:T03:T04:T05=16:8:4:2:1とす
る。
【0066】図4の(1)に示す様に、パルス周期T0
が大きすぎると、試料表面の電位波形は矩形波から大き
くはずれ、三角波になり、イオンエネルギーは図5に示
すように、低い方から高い方まで一定の分布となり好ま
しくない。
【0067】図4の(2)〜(5)に示す様に、パルス
周期T0 を小さくするにつれて、(VCM/vp )は1よ
りも小さな値となり、イオンエネルギー分布も狭くなっ
てゆく。
【0068】図4,図5においてT0=T01,TO02
03,T04,T05は、(VCM/vp )=1,0.63,
0.31,0.16,0.08に対応している。
【0069】次に、パルスのオフ(T0−T1)期間と、
静電吸着膜の両端間に生じる電圧の一周期中の最大電圧
CMの関係を図6に示す。
【0070】静電吸着膜として、厚み0.3mmの酸化チ
タン含有アルミナ(εr=10)を用いて電極の約50
%を被膜(K=0.5 )した場合、イオン電流密度ii
=5mA/cm2 の中密度プラズマ中でのVCMの値の変化
を図6の太線(標準条件の線)で示す。
【0071】図6から明らかなように、パルスのオフ
(T0−T1)期間が大きくなるにつれ、静電吸着膜の両
端間に生じる電圧VCMはそれに比例して大きな値とな
り、通常使用されるパルス電圧vp 以上になってしま
う。
【0072】例えば、プラズマエッチング装置において
は、ダメージ,下地やマスクとの選択性,形状等により
通常、 ゲートエッチングでは 20volt ≦ vp ≦100volt メタルエッチングでは 50volt ≦ vp ≦200volt 酸化膜エッチングでは 250volt ≦ vp ≦800volt に制限される。
【0073】後述の(VCM/vp )≦0.5の条件を満
たそうとすると標準状態では、(T0−T1)の上限は次
のようになる。
【0074】ゲートエッチングでは (T0−T1)≦
0.15μs メタルエッチングでは (T0−T1)≦0.35μs 酸化膜エッチングでは (T0−T1)≦1.2μs ところで、T0が0.1μs に近くなると、イオンシー
スのインピーダンスがプラズマのインピーダンスに近づ
くかそれ以下となるため、不要なプラズマの発生を生じ
ると共に、バイアス電源がイオンの加速に有効に使われ
なくなってくる。このため、バイアス電源によるイオン
エネルギーの制御性が悪化するため、T0は、0.1μ
s以上、好ましくは0.2μs以上が良い。
【0075】従って、vp を低くおさえられるゲートエ
ッチャ等においては、静電吸着膜の材料を比誘電率が1
0〜100と高いもの、(例えばTa23でεr =2
5)に変えたり、絶縁耐圧を低下させず膜厚を薄く、例
えば10μm〜400μm、望ましくは10μm〜10
0μmにしたりする必要がある。
【0076】図6には、単位面積当りの静電容量cを、
それぞれ2.5倍、5倍、10倍に増加させた時のVCM
の値も併記した。静電吸着膜の改善を行っても現状では
静電容量cを数倍にする改善が限度とみられ、VCM≦3
00 volt、c≦10c0とすると、0.1μs≦(T0
1)≦10μsとなる。
【0077】イオンの加速によりプラズマ処理に有効な
部分は(T0−T1)の部分であり、パルスデューティ
(T1/T0)としてはできるだけ小さい方が好ましい。
【0078】時間平均も加味した、プラズマ処理の効率
として(VDC/vp)で見積ったのが、図7である。(T
1/T0)を小さくし、(VDC/vp)を大きくするのが
好ましい。
【0079】プラズマ処理の効率として0.5≦(VDC
/vp)を仮定し、後述の条件、(VCM/vp )≦0.5
を入れると、パルスデューディは、(T1/T0)≦0.
4程度となる。
【0080】なお、パルスデューディ(T1/T0)は小
さいほどイオンエネルギーの制御に有効であるが、必要
以上に小さくするとパルス幅T1が0.05μs程度の
小さい値となり、数十MHzの周波数成分を多く含むよう
になり、後述するような、プラズマ発生用高周波成分と
の分離も難しくなる。図7に示すように、0≦(T1
0)≦0.05間での(VDC/vp)の低下はわずかで
あり、(T1/T0)として0.05以上で特に問題は生
じない。
【0081】ここで図8に、ゲートエッチングの例とし
て、塩素ガス10mTをプラズマ化した時のシリコンと下
地の塩化膜とのエッチングレートESiおよびESiO
2のイオンエネルギー依存性を示す。シリコンのエッチ
ングレートESiは低イオンエネルギーでは一定値にな
る。イオンエネルギーが10V程度以上では、イオンエ
ネルギーの増加に従って、ESiも増加する。一方下地
となる酸化膜のエッチングレートESiO2は、イオン
エネルギーが20V程度以下では0であり、20V程度
を越えると、イオンエネルギーと共にESiO2は増加
する。
【0082】その結果、イオンエネルギーが20V程度
以下では下地との選択比ESi/ESiO2が∞となる
領域が存在する。イオンエネルギーが20V程度以上で
は、下地との選択比ESi/ESiO2は、イオンエネ
ルギーの増加と共に急速に低下する。
【0083】図9は、絶縁膜の一種である酸化膜(Si
2 ,BPSG,HISO等)のエッチングの例とし
て、C4F8ガス10mTをプラズマ化した時の、酸化膜
とシリコンとのエチングレートESiO2および、ES
iのイオンエネルギー分布を示すものである。
【0084】酸化膜のエッチングレートESiO2は、
低イオンエネルギーでは負の値となり、デポを生じる。
イオンエネルギーが400V付近にてESiO2が急速
に正に立ち上がり、その後は、徐々に増加する。一方下
地となるシリコンのエッチングレートESiは、ESi
2よりイオンエネルギーの高い所で(−)(エッチン
グ)から(+)(エッチング)となり徐々に増加する。
【0085】この結果、ESiO2が(−)から(+)に変
化する付近にて、下地との選択比ESiO2/ESiが
∞ となり、それ以上でESiO2/ESiはイオンエネ
ルギーの増加と共に急速に低下する。
【0086】図8、図9で、実際のプロセスへの適用に
対しては、ESiやESiO2の値や、ESi/ESi
2や、ESiO2/ESiの値の大きさを考慮して、バ
イアス電源を調整してイオンエネルギーを適正値にす
る。
【0087】また、ジャストエッチング(下地膜が現わ
れるまでのエッチング)まではエッチングレートの大き
さを優先し、ジャストエッチ後は選択比の大きさを優先
してイオンエネルギーをジャストエッチの前後に変更す
れば、更に良い特性が得られる。多層膜をエッチングす
るとき場合等においては、ジャストエッチング迄におい
てもイオンエネルギ−値を変化させ各タイミングにおい
て最適値に設定すれば、特性の改善がはかれる。
【0088】ところで図8、図9に示した特性は、イオ
ンのエネルギー分布が狭い部分に限定された時の特性で
ある。イオンのエネルギー分布が広い場合の各エッチン
グレートはその時間平均値となるため、最適値に設定す
ることが出来ず、選択比は大幅に低下してしまう。
【0089】実験によると、(VDC/vp)は0.3以
下程度であれば、イオンエネルギーの広がりは±15%
程度以下となり、図8や図9の特性でも高い選択比が得
られた。また、(VDC/vp)≦0.5であれば、従来
の正弦波バイアス法に比べて選択比等の改善が図れた。
【0090】このように、静電吸着膜の両端間に生じる
パルス電圧の一周期中の電圧変化(VCM)を抑える電圧抑
制手段として、VCMが、パルスバイアス電圧の大きさv
pの1/2以下となるように構成するのが良く、具体的
には、下部電極15の表面に設けられた誘電体の静電チ
ャック膜22の膜厚を薄くしたり、誘電体を誘電率の大
きい材料とすることにより、誘電体の容量を増すことが
できる。あるいは、パルスバイアス電圧の周期を、0.
1μs〜10μs、好ましくは0.2μs〜5μs(繰
り返し周波数:0.2MHz〜5MHzに対応)と短くし、パ
ルスデューディ(T1/T0)を、0.05≦(T1
0)≦=0.4として静電吸着膜の両端の電圧変化を
抑制する。
【0091】あるいはまた、上記誘電体の静電吸着膜の
膜厚と、誘電体の比誘電率及びパルスバイアス電圧の周
期の幾つかを組み合わせて、静電吸着膜の両端間に生じ
る電圧VCMの変化が上記した(VCM/vp )≦0.5の
条件を満たすようにしても良い。
【0092】次に、図2の真空処理室を、酸化膜膜(例
えばSiO2, SiN,BPSG等)のエッチングに用
いた他の実施例について述べる。
【0093】ガス19としては、C4F8:1〜5%,
Ar:90〜95%,O2:0〜5% もしくは、C4F8:1〜5%,Ar:70〜90%,
2:0〜5%,CO:10〜20%,の組成のものを
用いる。プラズマ発生用高周波電源16としては、従来
よりも高い周波数、例えば40MHzのものを用い、1
0mTorr〜30mTorrの低ガス圧領域での放電の安定化を
計る。
【0094】また、プラズマ源用高周波電源の変調周期
は、通常、パルスバイアスの周期に比べ長くなる。そこ
で、プラズマ源用高周波電源の変調周期をパルスバイア
スの周期の整数倍にし、2つの間の位相を最適化するこ
とにより、選択比の改善ができた。
【0095】一方、パルスバイアス電圧の印加によっ
て、プラズマ中のイオンを試料に加速、垂直入射させる
ことにより、イオンエネルギーの制御を行う。パルスバ
イアス電源17として、例えば、パルス周期:T=0.
65μs、パルス幅:T1=0.15μs、パルス振
幅:Vp=600Vの電源を用いることにより、イオン
エネルギーの分布幅は±15%以下になり、下地のSi
やSiNとの選択比として20〜50の特性の良いプラ
ズマ処理が可能になった。
【0096】次に、図10により本発明の他の実施例を
説明する。この実施例は、図2に示した平行平板電極型
のプラズマエッチング装置と同様な構成であるが、試料
40を保持する下部電極15は、単極式の静電チャック
20を備えた構成となっている。すなわち、下部電極1
5の上表面に静電吸着用誘電体層22が設けられ、下部
電極15には、高周波成分カット用のコイル24を介し
て直流電源23のプラス側が接続されている。また、2
0V〜800Vの正のパルスバイアスを供給するパルス
バイアス電源17が、ブロッキングコンデンサ19を介
して接続されている。
【0097】処理の対象物である試料40は、下部電極
15の上に載置され、静電チャック20、すなわち直流
電源23による正電荷とプラズマから供給される負電荷
により静電吸着膜22の両端間に生じるクーロン力によ
り吸着される。
【0098】この装置の作用は、図2に示した平行平板
電極型のプラズマエッチング装置と同様であり、エッチ
ング処理を行う場合、処理を行なうべき試料40を試料
台15に載置し、静電力で保持し、ガス供給系36から
処理室10に処理ガスを所定の流量で導入しながら、他
方真空ポンプ18により真空排気することにより、処理
室10の圧力を試料の処理圧力、5mTorr〜50mTorrに
減圧排気する。次に、10MHz〜500MHz、好ましく
は30MHz〜200MHzの高周波電源16の出力は高周
波電源変調信号源161によりレベル変調し、平行平板
電極12,15間に印加してプラズマを発生させる。一
方、下部電極15に、パルスバイアス電源17から20
V〜800V、周期が0.1μs〜10μs好ましくは
0.2μs〜5μsの正のパルスバイアス電圧を印加し、
処理室10内のプラズマを制御して試料40にエッチン
グ処理を行う。
【0099】高周波電源16は、高周波電源変調信号源
161により、パルス幅1〜50μs、パルス周期40
μs〜10ms、パルスデュティ比(パルス幅/パルス
周期)として1/5〜1/50でパルス変調されてお
り、パルス幅部分の瞬時電力をその他のタイミング部分
の瞬時電力の2倍〜100倍の強さで加え、パルス幅の
部分で準安定原子を効率良く生成させる。一方前記のそ
の他のタイミング部分では、前記準安定原子の存在のも
とに比較的低い瞬時電力の高周波電力を印加し電離の促
進を図り高密度のプラズマを得るとともに、15eV以
上の高いエネルギ−の電子の生成を押さえて処理ガスの
過剰解離を阻止し、プラズマ処理に望ましい比較的低い
10eV程度以下の電子エネルギ−での解離を促進させ
る。その結果イオンとラジカルの量と質を所望の値に制
御することが出来る。また、パルスバイアス電圧の印加
によって、プラズマ中のイオンもしくはイオン及び及び
電子を試料に加速、垂直入射させることにより、高精度
の形状制御あるいは選択比制御を行う。高周波電源1
6、高周波電源変調信号源161、パルスバイアス電源
17及び静電吸着膜22に必要な特性は図2の実施例と
同様であり、詳細は省略する。
【0100】以上述べた本発明の他の実施例において、
パルスバイアス電源の出力とプラズマ発生用電源の出力
との間に干渉が生ずる可能性も考えられる。そこで、以
下、この対策についてのべる。
【0101】まず、パルス幅:T1,パルス周期:T0
無限大の立上り/立下り速度をもつ理想的な矩形パルス
においては、図11に示す様に、f≦3f0(f0=(1
/T1))の周波数範囲に70〜80%程度の電力が含ま
れる。実際に印加される波形は、立上り/立下り速度が
有限となるため、電力の収束性は更に改善され、f≦3
0の周波数範囲に90%程度以上の電力が含まれる様
にできる。
【0102】3f0 なる高い周波数成分をもつパルスバ
イアスを試料面内に均一に印加される様にするために
は、試料にほぼ平行な対向電極を設け、次式数2で求ま
る3f0に対して、f≦3f0 なる範囲の周波数成分を
接地することが望ましい。
【0103】
【数2】
【0104】図2に示した平行平板電極プラズマエッチ
ング装置に関して、上記パルスバイアス電源出力とプラ
ズマ発生用電源出力との干渉の対策を行った実施例を図
12に示す。この平行平板電極プラズマエッチング装置
において、試料40と対向する上部電極12には、プラ
ズマ発生用高周波電源16が接続される。この上部電極
12をパルスバイアスの接地レベルにするには、プラズ
マ発生用高周波電源16の周波数f1 を上記の3f0
り大きくし、かつ、f≦f1 付近でのインピーダンスが
大きく、他の周波数ではインピーダンスが低い、バンド
エリミネータ141を上部電極12と接試レベルとの間
に接続する。
【0105】一方、f=f1 付近でのインピーダンスが
低く、他の周波数はインピーダンスが高いバンドパスフ
ィルタ142を、試料台15と接地レベル間に設置す
る。このような構成を用いれば、パルスバイアス電源1
7の出力とプラズマ発生用電源16出力との間の干渉
を、問題のないレベルに抑え、試料40に良好なバイア
スを加えることができる。
【0106】図13は本発明を、外部エネルギー供給放
電方式のうち、誘導結合型放電方式でかつ、無磁場タイ
プのプラズマエッチング装置へ適用した例である。52
は平面コイル、54は平面コイルに10MHz〜250MH
zの高周波電圧を印加する高周波電源であり、高周波電
源変調信号源161により、パルス幅1〜50μs、パ
ルス周期20μs〜10ms、パルスデュティ比(パル
ス幅/パルス周期)として1/3〜1/50でパルス変
調されており、パルス幅部分の瞬時電力をその他のタイ
ミング部分の瞬時電力の2倍〜100倍の強さで加え、
パルス幅の部分で準安定原子を効率良く生成させる。一
方前記のその他のタイミング部分では、前記準安定原子
の存在のもとに比較的低い瞬時電力の高周波電力を印加
し電離の促進を図り高密度のプラズマを得るとともに、
15eV以上の高いエネルギ−の電子の生成を押さえて
処理ガスの過剰解離を阻止し、プラズマ処理に望ましい
比較的低い10eV程度以下の電子エネルギ−での解離
を促進させる。その結果イオンとラジカルの量と質を所
望の値に制御することが出来る。。
【0107】誘導結合型放電方式は図10に示した平行
平板型に比べ、低い周波数でかつ低圧での安定なプラズ
マ発生が可能になる。真空容器としての処理室10は、
静電吸着膜22の上に試料40が載置される試料台15
を備えている。
【0108】エッチング処理を行う場合、処理を行なう
べき試料40を試料台15に載置し、静電力で保持し、
ガス供給系(図示せず)から処理室10に処理ガスを所
定の流量で導入しながら、他方真空ポンプにより真空排
気することにより、処理室10の圧力を5mTorr〜50m
Torrに減圧排気する。次に、高周波電源54よりレベル
変調された13.56MHzの高周波電圧出力し処理室1
0にプラズマを発生させる。このプラズマを用いて試料
40をエッチング処理する。他方、エッチング時には、
下部電極15に、周期が0.1μs〜10μs好ましくは
0.2μs〜5μsのパルスバイアス電圧を印加する。パ
ルスバイアス電圧の振幅は、膜種により範囲が異なるこ
とは図2の実施例で述べたとおりである。このパルスバ
イアス電圧の印加によって、プラズマ中のイオンを試料
に加速、垂直入射させることにより、高精度の形状制御
あるいは選択比制御を行う。これにより、試料のレジス
トマスクパターンが極微細なものであっても、高精度の
エッチング処理を行うことができる。
【0109】図14は、図13に示した誘導結合型放電
方式無磁場タイプのプラズマエッチング装置において、
誘導電高周波出力の処理室側10に、隙間55を有する
ファラデーシールド板53と、0.5mm〜5mmの薄いシ
ールド板保護用絶縁板54を設置しており、そのファラ
デーシールド板53を接地する。ファラデーシールド板
53の設置によって、コイルとプラズマ間の容量成分が
少なくなり、図13におけるコイル52下の石英板や図
14のシールド板保護用絶縁板54を叩くイオンのエネ
ルギーを低下することが出来、石英板や絶縁板の損傷を
少なくすると共に、プラズマ中への異物の混入を防ぐこ
とが出来る。
【0110】また、ファラデーシールド板53は、パル
スバイアス電源17の接地電極の役目も兼ねるため、試
料40とファラデーシールド板53との間に均一にパル
スバイアスを印加することが出来る。図14の例では、
平行平板型の上部電極や試料台15に設置するフィルタ
は不要である。
【0111】次に、図15に示した本発明の他の実施例
により、従来の欠点を改善し、イオンとラジカル生成の
量と質を制御し、極微細なプラズマ処理を可能とするプ
ラズマエッチング装置の他の実施例について述べる。
【0112】すなわち、試料を設置している真空処理室
の上流側で真空処理室とは別の場所に第一のプラズマ生
成を行う場所を設定し、そこで生成した準安定原子を真
空処理室に注入し、真空処理室にて第二のプラズマを生
成する構成としている。図2に示した平行平板プラズマ
エッチング装置に加えて、イオン・ラジカル源用ガス供
給部60と、準安定原子発生用プラズマ発生室62を備
えている。また上部電極12には、準安定原子を含むガ
スを真空処理室に導入するル−トのほかに、イオン・ラ
ジカル源用ガス供給部に繋がっている導入ル−トを設け
ている。
【0113】この実施例の特徴は、次の通りである。
【0114】 準安定原子発生用ガス供給部36から
供給されたガスを準安定原子発生用プラズマ発生室62
にて高周波電力を印加してプラズマ化し、あらかじめ所
望の準安定原子を所望量発生させ処理室10に流入させ
る。準安定原子発生用プラズマ発生室62は、効率良く
準安定原子を発生させるために、室内の圧力は、数百mT
orr〜数十Torrの高い圧力に設定する。
【0115】 他方、イオン・ラジカル源用ガス供給
部60からのガスを処理室10に流入させる。
【0116】 プラズマ発生用電源16で比較的低電
力の高周波を出力し、処理室10にプラズマを発生させ
る。準安定原子の注入により、5eV程度以下の低エネ
ルギ−の電子でもイオンを効率良く生成させることがで
きるため、低電子温度(6eV程度以下、好ましくは4
eV程度以下)で、かつ15eV程度以上の高エネルギ
−電子が大幅に少ないプラズマが得られる。このため、
ラジカル源用ガスは過剰な解離を生じさせることなく、
必要な量と質を確保出来る。一方イオンの量は、準安定
原子発生用プラズマ発生室62にて発生する準安定原子
の量と、イオン・ラジカル源用ガス供給部60からのイ
オン源用ガスにて制御することができる。
【0117】このようにしてイオンとラジカル生成の質
や量を制御できる様になるため、極微細なプラズマ処理
においても良好な性能が得られる。ラジカル源用ガスと
しては、CHF3、CH2F2,C4F8あるいはCF
4などのフルオロカ−ボンガスに、必要に応じてC,H
を含むガス(C2H4,CH4,CH3OHなど)を混
ぜてもちいる。準安定原子発生用ガスとしては、1種類
ないしは2種類の希ガスをべ−スにしたものを用いる。
イオン源用ガスとしては、下記の性質を持つ希ガス等を
用いることにより、効率良くイオンを生成できる。
【0118】前記準安定原子のエネルギ−凖位に対し、
イオン源用ガスの電離凖位が低いもの。もしくは、イオ
ン源用ガスの電離凖位の方が高いが、その差が小さい
(5eV程度以下)ものが用いられる。
【0119】尚、性能的には低下するがイオン源用ガス
として特に追加せず、上記準安定原子発生用ガスやラジ
カル源用ガスで代用することもできる。
【0120】次に、図16にイオンとラジカル生成の質
や量を制御する本発明の他の実施例を示す。図15と基
本的考えは、同じであるが、図15において、準安定原
子発生用プラズマ室62と真空処理室10との間の距離
が長く、この間での準安定原子の減衰が大きい場合の対
策として実施する例である。41はマイクロ波の発振源
としてのマグネトロン、42はマイクロ波の導波管であ
り、43は第一のプラズマ生成室45を真空封じして、
マイクロ波を通過させるための石英板であり、44はガ
ス分散用の石英板である。第一のプラズマ生成室45で
は、数100mTorrから数10Torrのガス圧で
前記マイクロ波によりプラズマを発生させ、準安定原子
を発生させる。図16では、図15に比較し準安定原子
の発生場所と真空処理室間の距離を短く出来るため、高
い密度で準安定原子を真空処理室に注入することがで
き、真空処理室10におけるイオンの量を増加できる。
処理室10は5〜50mTorrの圧力に保ち、20MH
z以上の高周波電源16により、5eV好ましくは3e
V以下で10の10乗から11乗台/cm3の高密度低
電子温度プラズマを発生させ、解離エネルギ−として8
eV以上を必要とするCF2の解離を避けつつ、イオン
源用ガスの電離を進行させる。この結果、試料40の表
面上では、バイアス電源17により数100Vで加速さ
れたイオンの入射でアシストされた下記反応が主に進行
する。
【0121】 SiO2+2CF2 → SiF4 ↑+2CO ↑ なお、下地材料となるSiやSiNは、CF2ではエッ
チングされないため、高選択比の酸化膜エッチングが可
能となった。
【0122】また、CF2の一部解離によるFの増加
は、シリコン、カ−ボンもしくはSiC等からなる上部
電極カバ−30により減少させている。
【0123】上で述べたように、ラジカル源用ガスとイ
オン源用ガスとを調節することにより、処理室10内で
のイオンとラジカルとの比率をほぼ独立に制御でき、試
料40の表面での反応を所望のものにコントロ−ルする
ことが容易になった。
【0124】本発明の、静電吸着回路とパルスバイアス
電圧印加回路を備えたプラズマ処理装置は、エッチング
ガスに代えてCVDガスを導入する等の変更を加えるこ
とにより、以上述べたエッチング処理に限らずCVD装
置等のプラズマ処理装置にも適用できる。
【0125】
【発明の効果】本発明によれば、イオンとラジカル生成
の質や量を制御できるため、被処理物に適した処理条件
を構築出来る。
【0126】また本発明のバイアスを印加することによ
り、被処理物に入射するイオンにたいし、そのエネルギ
ー分布が狭い状態で制御性良くイオンを加速でき、プラ
ズマ処理の選択性と処理速度等を向上させたプラズマ処
理装置及びプラズマ処理方法を提供することができる。
【0127】また、静電吸着用誘電体層を有する試料台
を使用する場合において、イオンとラジカル生成の量や
質を制御し、制御性良く狭いイオンエネルギー分布を得
るとともに、被処理物の温度を所定温度に制御し表面反
応の均一化高性能化が得られ、プラズマ処理の選択性と
処理速度等を向上させたプラズマ処理装置及びプラズマ
処理方法を提供することができる。
【0128】また、イオンとラジカル生成の量や質を制
御することにより、プラズマ処理装置の処理室内の圧力
を低くして、微細パターンの精密な加工が容易で、ま
た、微細加工時の選択比等も向上させたプラズマ処理装
置及びプラズマ処理方法を提供することができる。
【0129】また、イオンとラジカル生成の量や質を制
御することにより、試料中の絶縁膜(例えばSiO2,
SiN,BPSG等)に対するプラズマ処理の選択性等
を、処理速度を低下することなく、向上させたプラズマ
処理装置及びプラズマ処理方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子エネルギ−分布の違いを説明する図であ
る。
【図2】本発明の一実施例になる平行平板電極型のプラ
ズマエッチング装置の縦断面図である。
【図3】本発明のパルスバイアス電源において使用する
望ましい出力波形の例を示す図である。
【図4】パルスデューティ比:(T1/T0)は一定のま
まT0 を変化させた時の試料表面の電位波形とイオンエ
ネルギーの確率分布を示す図である。
【図5】パルスデューティ比を一定のまま、T0 を変化
させた時の試料表面の電位波形とイオンエネルギーの確
率分布を示す図である。
【図6】パルスのオフ(T0−T1)期間と、静電吸着膜
の両端間に生じる電圧の一周期中の最大電圧VCMの関係
を示す図である。
【図7】パルスデューティ比と(VDC/vp )の関係を
示す図である。
【図8】塩素ガス5mTをプラズマ化した時のシリコンと
塩化膜とのエッチングレートESiおよびESiO2
イオンエネルギー依存性を示す図である。
【図9】酸化膜のエッチングの例としてCF4ガス5mT
をプラズマ化した時の、酸化膜とシリコンとのエチング
レートESiO2および、ESiのイオンエネルギー分
布を示す図である。
【図10】本発明の他の実施例になる平行平板電極型の
プラズマエッチング装置の縦断面図である。
【図11】パルスバイアス電源の周波数と累積電力の関
係を示した図である。
【図12】図1に示した平行平板電極プラズマエッチン
グ装置を改良した他の実施例の縦断面図である。
【図13】本発明を、外部エネルギー供給放電方式のう
ち、誘導結合型放電方式でかつ、無磁場タイプのプラズ
マエッチング装置へ適用した例の縦断面図である。
【図14】本発明の他の実施例になる、プラズマエッチ
ング装置の縦断面図である。
【図15】本発明の他の実施例になる、平行平板プラズ
マエッチング装置の縦断面図である。
【図16】本発明をマイクロ波+平行平板プラズマ処理
装置に適用した装置の一部を縦断面した正面図である。
【符号の説明】 10…処理室、12…上部電極、15…下部電極、16
…高周波電源、17…パルスバイアス電源、20…静電
チャック、22…静電吸着膜、23…直流電源、40…
試料、41…マイクロ波発振源、42…導波管、43…
石英板、44…ガス分散用の石英板、45…第一のプラ
ズマ生成室、161…高周波電源変調信号源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 克哉 山口県下松市大字東豊井794番地 株式 会社 日立製作所 笠戸工場内 (56)参考文献 特開 平6−252097(JP,A) 特開 平2−77123(JP,A) 特開 平6−338476(JP,A) 特開 昭60−50923(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/3065 C23C 16/507

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空処理室と、前記真空処理室内で処理さ
    れる試料を配置するための試料台と、前記試料を静電吸
    着力によって前記試料台に保持する静電吸着手段と、前
    記試料にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段
    と、前記真空処理室内に準安定原子を発生させる第一の
    プラズマと前記準安定原子が存在する状態でイオン及び
    ラジカルを発生させる第二のプラズマを生成するパルス
    変調された一つの高周波電源とを具備し、前記一つの高
    周波電源は、パルス幅1μs〜50μs,パルス周期2
    0μs〜1ms,パルスデューティ比1/3〜1/50
    の範囲でパルス変調され、かつ、第一のプラズマ生成時
    の電力は第二のプラズマ生成時の2倍〜100倍の強さ
    であることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 【請求項2】 真空処理室内に設置された試料台に試料を
    配置するステップと、前記配置された試料を静電吸着力
    によって前記試料台に保持するステップと、ガスを導入
    するステップと、前記導入されたガスをパルス変調され
    た高周波電源でプラズマ化し準安定原子を発生させる第
    一のプラズマ化ステップと、前記準安定原子が存在する
    状態で前記第一のプラズマ化ステップより低い電力とな
    るパルスに変調された前記高周波電源でプラズマ化しイ
    オン及びラジカルを発生させる第二のプラズマ化ステッ
    プと、前記第一及び第二のプラズマにより前記試料をエ
    ッチングするステップと、前記エッチング時に、前記試
    料にバイアス電圧を印加するステップとを有し、前記パ
    ルス変調された高周波電源は、パルス幅1μs〜50μ
    s,パルス周期20μs〜1ms,パルスデューティ比
    1/3〜1/50の範囲でパルス変調し、かつ、第一の
    プラズマ化ステップ時の電力は第二のプラズマ化ステッ
    プ時の2倍〜100倍の強さの電力を用いることを特徴
    とするプラズマ処理方法。
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