JP3633008B2 - チエノトリアゾロジアゼピン化合物 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は白血球接着阻害作用を有する新規チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
国際公開WO93/12117号により、細胞接着阻害作用を有するチエノトリアゾロジアゼピン化合物が知られている。また、特開平2−28181号公報、特開平3−223290号公報にはコレシストキニン(CCK)およびガストリンに対し拮抗作用を有するチエノジアゼピン化合物が開示されている。さらに、国際公開WO93/07129号には骨粗鬆症治療用途に用いられるチエノトリアゾロジアゼピン化合物が開示されている。
【0003】
種々の炎症・アレルギー性疾患においては、多形核白血球、マクロファージおよびリンパ球などのいわゆる炎症性細胞(広義の白血球)の浸潤がその病態に深く関与している。白血球浸潤のファースト・ステップとして、白血球が血管内皮細胞へ接着することが重要であると古くから考えられていたが、そのメカニズムに関しては不明であった。近年の分子生物学の進歩により、接着に関与する分子が次々に同定され、それらの機能的意義、すなわち、血管内皮細胞上に発現したある特定の接着分子と、それに特異的に結合する白血球上の接着分子を介して白血球接着が起こり、それに引き続いて炎症組織への白血球浸潤が起こるという現象が明らかにされた。血管内皮細胞への白血球接着に関与する分子としては、以下の組み合わせが特に重要であると考えられているが、種々の炎症・アレルギー性疾患における各々の接着分子の関与の程度などについては必ずしも明らかではない。
【0004】
【表1】
【0005】
これらの接着分子の中で、特にICAM−1およびLFA−1は細胞浸潤のみならず、リンパ球間の接着およびその活性化にも深く関与していることが明らかとなっている(たとえば、マクロファージ上のICAM−1にTリンパ球上のLFA−1が結合することによってTリンパ球が活性化される)。したがって、ICAM−1とLFA−1の結合を阻害する物質は、広義の免疫抑制作用を有することも期待できる。
【0006】
疾患との関連では、炎症性皮膚炎(接触性過敏症、光線過敏症など)および慢性関節リウマチなどにおいて、炎症部位でのICAM−1ならびにE−selectin発現の亢進が報告されている他、喘息においてもICAM−1、Mac−1などの関与が示唆されている。また、臓器移植後の拒絶反応においてもICAM−1などを介した細胞接着が重要な役割を果たしていることが報告されている。さらに、癌転移においても接着分子が関与していることが示されている。
【0007】
実験動物においても、種々の炎症モデル(遅延型過敏症、自己免疫性腎炎モデルなど)で接着分子の発現が亢進していること、ならびに抗ICAM−1抗体、抗LFA−1抗体が炎症反応(アジュバント関節炎、コラーゲン関節炎など)を抑制することが報告されている。また、サル喘息モデルでの好酸球活性化における接着分子の役割も明らかにされている。さらに、マウス異所性心移植モデルにおいても抗LFA−1および抗ICAM−1抗体の有効性が報告されており、ヒトの場合と同様に、移植片拒絶における接着分子の重要性が示唆されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
種々の炎症性疾患ならびにアレルギー性疾患に対する治療薬としては、様々なステロイド剤、非ステロイド性抗炎症剤および炎症・アレルギー関連メディエーター遊離抑制剤などが使用されている。これらの薬剤のうち、ステロイド剤ではしばしば重篤な副作用が発現すること、また他の薬剤においては必ずしも十分な治療効果が得られないことなどが問題となっていた。
【0009】
一方、近年になって、いくつかの炎症性疾患およびアレルギー性疾患の発症・進行に対し種々の細胞接着分子が深く関与していることが明らかになってきており、細胞接着阻害作用を有する化合物が優れた抗炎症薬または抗アレルギー薬となり得ることが期待されている。たとえば、プロシーティングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユー・エス・エー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.) 、第88巻(1991年)355〜359頁には、N−(フルオレニル−9−メトキシカルボニル)アミノ酸類が白血球接着を阻害することにより種々の動物炎症モデルにおける反応を抑制することが、また、アメリカン・フェデレーション・フォー・クリニカル・リサーチ・アニュアル・ミーティング(American Federation for Clinical Research Annual Meeting, 1991年5月6日)の抄録には同系化合物が白血球上の接着分子(CD18など)発現を抑制することにより血管内皮細胞への白血球接着が阻害されることなどが記載されている。
【0010】
しかし、上記文献をを含む種々の公知文献に記載された化合物では未だに十分な細胞接着阻害作用を得ることができず、さらに強力な阻害剤の開発が望まれている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、血管内皮細胞への白血球接着を強力に阻害する化合物の探索を目的として、ヒトさい帯静脈由来血管内皮細胞(human umbilical vein−derivedendothelial cells,HUVEC)とヒト白血病細胞株を用いた細胞接着のアッセイ系を確立し、上記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、一般式(I) で示されるチエノトリアゾロジアゼピン化合物が強い白血球接着阻害作用を有していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)一般式
【0013】
【化3】
【0014】
〔式中、Arはフェニル、ピリジル、チエニル、置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するフェニル、または置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキルおよび炭素数1〜6個のアルコキシから選ばれる1〜3個を有するピリジルまたはチエニルを示す。
【0015】
R1 ,R2 は同一または異なって水素、ハロゲン、炭素数1〜6個のアルキルまたは式
−(CH2 )m−CON(R6 )(R7 )
(式中、mは1〜6の整数を示す。R6 ,R7 は同一または異なって、水素、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数2〜7個のアルカノイルまたはシクロアルキルを示すか、またはR6 ,R7 は結合して隣接する窒素原子とともに環状アミンを形成する。)により表される基を示すか、またはR1 ,R2 は互いに結合して炭素数5〜7個の環を形成するかもしくは環中にN(R8 )(R8 は炭素数2〜7個のアルカノイルまたはシクロアルキルカルボニルを示す。)を有する5〜7員環を形成する基を示す。
【0016】
R3 は水素、ハロゲンまたは炭素数1〜6個のアルキルを示す。R4 ,R5 は一方が水素を示し、他方が式
【0017】
【化4】
【0018】
(式中、nは0または1〜6の整数を示す。Yは酸素原子または硫黄原子を示す。R9 は炭素数1〜6個のアルキルを示す。R10,R11は同一または異なって水素、炭素数1〜6個のアルキル、フェニル、ヘテロアリール、置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するフェニルまたは置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキルおよび炭素数1〜6個のアルコキシから選ばれる1〜3個を有するヘテロアリールを示す。R12は水素または炭素数1〜6個のアルキルを示す。Xはハロゲンを示す。R13は水素、炭素数1〜6個のアルキル、アラルキルまたは置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するアラルキルを示す。)により表される基を示すか、R 4 ,R 5 は共に前記(1)により表される基を示すか、またはR4 ,R5 は互いに結合し、環中にヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子またはN(R14)(R14は水素、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル、フェニルまたは置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するフェニルを示す。)を含んでいてもよく、さらに置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、水酸基、カルボキシル、アルコキシカルボニル、シアノ、アミノまたはモノまたはジ置換アミノから選ばれる1〜3個を有していてもよい窒素含有環を形成する基を示す。〕により表されるチエノトリアゾロジアゼピン化合物またはその医薬上許容される塩。
【0019】
本明細書において、ピリジルとは2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジルを示す。チエニルとは2−チエニル、3−チエニルを示す。ハロゲンとは塩素、臭素、フッ素、ヨウ素を示す。炭素数1〜6個のアルキルとはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第3級ブチル、ペンチル、第3級ペンチル、1−メチルブチル、ヘキシル、1−メチルペンチルなどを示し、炭素数1〜4個のアルキルが好ましく、メチルが特に好ましい。炭素数1〜6個のアルコキシとはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、第3級ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどを示し、炭素数1〜4個のアルコキシが好ましく、メトキシが特に好ましい。トリハロメチルとはトリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチルなどを示し、トリフルオロメチルが好ましい。炭素数2〜7個のアルカノイルとはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイルなどを示し、炭素数2〜5個のアルカノイルが好ましく、アセチル、プロピオニルが特に好ましい。シクロアルキルとはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを示し、シクロプロピル、シクロヘキシルが好ましい。シクロアルキルカルボニルとはシクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘプチルカルボニルなどを示し、シクロプロピルカルボニルが好ましい。ヘテロアリールとはピリジル(2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、チエニル(2−チエニル、3−チエニル)、フリル(2−フリル、3−フリル)などを示す。アラルキルとはベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチルなどを示し、ベンジルが好ましい。炭素数1〜6個のヒドロキシアルキルとはヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシルなどを示し、炭素数1〜4個のヒドロキシアルキルが好ましく、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチルが特に好ましい。アルコキシカルボニルとはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、第3級ブトキシカルボニルなどを示し、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルが好ましい。モノまたはジ置換アミノとはメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ジプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジブチルアミノなどを示し、メチルアミノ、ジメチルアミノが好ましい。
【0020】
R6 とR7 が結合して隣接する窒素原子とともに形成する環状アミンとは1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたは1−ピペラジニルを示し、ピペリジノ、モルホリノが好ましい。R1 ,R2 が互いに結合して形成する炭素数5〜7個の環または環中にN(R8 )(R8 は前記と同義)を有する5〜7員環とはシクロペンテン環、ピロリン環、ピラゾリン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、テトラヒドロピリジン環、シクロヘキサジエン環、ベンゼン環、シクロヘプテン環、シクロヘプタジエン環、シクロヘプタトリエン環などを示し、シクロヘキセン環、テトラヒドロピリジン環が好ましい。R4 ,R5 が互いに結合して形成する環中にヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子またはN(R14)(R14は前記と同義)を含んでいてもよい窒素含有環とは1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、4−R14−1−ピペラジニル、1−ピラゾリルなどを示し、これらは置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル(前記の通り)、炭素数1〜6個のアルコキシ(前記の通り)、水酸基、カルボキシル、アルコキシカルボニル(前記の通り)、シアノ、アミノまたはモノまたはジ置換アミノ(前記の通り)から選ばれる1〜3個を有していてもよい。
【0021】
Arの態様としてはフェニル、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルフェニル、2−ピリジル、3−ピリジル、2−チエニルなどが挙げられ、フェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニルが好ましい。
【0022】
R1 の態様としては水素、メチルが、R2 の態様としてはハロゲン、メチル、エチル、ヘキシル、2−(N−アセチルカルバモイル)エチル、2−(N−第3級ブチルカルバモイル)エチル、2−(N−シクロプロピルカルバモイル)エチル、2−モルホリノカルボニル、2−ピペリジノカルボニルエチルが挙げられ、R1 としては水素、メチル、R2 としてはメチル、2−モルホリノカルボニルエチルが好ましい。また、R1 とR2 が結合して形成される環としては、シクロヘキシル環またはN位にシクロプロピルカルボニルが置換したテトラヒドロピリジン環が好ましい。
【0023】
R3 の態様としてはメチル、ブチル、ヘキシルなどが挙げられ、メチルが好ましい。
【0024】
R4 ,R5 の態様としてはR4 が水素を示し、R5 が前記(1)〜(6)の基であるか、R4 ,R5 が共に前記(1)であるものが挙げられ、R4 が水素を示し、R5 が前記(1)を示し、nが2、Yが酸素原子であるものが好ましい。または、R4 ,R5 が結合して形成される環の態様としてはモルホリノ、ピペリジノ、4−ヒドロキシピペリジノ、4−ジメチルアミノピペリジノ、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル、4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル、2−カルボキシ−1−ピロリジニル、2−エトキシカルボニル−1−ピロリジニルなどが挙げられ、モノホリノ、ピペリジノ、4−ヒドロキシピペリジノが好ましい。
【0025】
一般式(I)の化合物の医薬上許容されうる塩としては無機酸または有機酸との酸付加塩、および無機塩基、有機塩基またはアミノ酸との塩があげられ、本発明の目的からするとそれら塩は実質的に無毒性のものが望ましい。また、水和物(1/2水和物、1水和物、3/2水和物等)やその他の溶媒和物も包含される。さらに、一般式(I)の化合物は少なくとも1個のキラルな炭素原子を有していることから、それに基づくラセミ体、光学活性体またはジアステレオマーなどはすべて本発明に包含されるものである。
【0026】
一般式(I)の化合物は、たとえば下記化5に示す方法によって製造することができる。
【0027】
【化5】
【0028】
方法1の反応は、一般式(II)の化合物と1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)を反応を阻害しない適当な溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)中、−20℃から溶媒の沸点、好ましくは室温で2時間から5時間反応させてカルバモイルイミダゾール誘導体とし、次いで一般式(III)のアミンを−20℃から溶媒の沸点、好ましくは室温で反応させることにより進行する。
【0029】
方法2の反応は、一般式(II)の化合物とトリホスゲンを適当な溶媒(トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、4−ジメチルアミノピリジンなど)の存在下、本反応を阻害しない適当な溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)中、−20℃から溶媒の沸点で1時間から24時間反応させて、イソシアネート誘導体とし、次いで一般式(III)のアミンを−20℃から溶媒の沸点で1時間から24時間反応させることにより進行する。
【0030】
方法3の反応は、一般式(II)の化合物と4−ニトロフェニルクロロホルメートを適当な塩基(トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、4−ジメチルアミノピリジンなど)の存在下、本反応を阻害しない適当な溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)中、−20℃から溶媒の沸点で1時間から24時間反応させて活性カルバメート体とし、次いで一般式(III)のアミンを−20℃から溶媒の沸点で1時間から24時間反応させることにより進行する。
【0031】
このようにして得られた一般式(I)の化合物は再結晶、カラムクロマトグラフィーなどのそれ自体公知の方法により、反応混合物から分離、精製することができる。一般式(I)の化合物は常法により無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)、有機酸(酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アスコルビン酸など)、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アンモニウムなど)、有機塩基(メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、キニーネ、グアニジン、シンコニンなど)またはアミノ酸(リジン、オルニチン、アルギニン、アラニンなど)と処理することにより医薬上許容される塩とすることができる。
【0032】
本発明化合物中、キラルな炭素原子を有する場合には、通常ラセミ体として得られる。ラセミ体は常法により光学異性体に分割することができる。そのような光学異性体は光学活性な出発物質を使用することによっても製造することができる。個々のジアステレオマーは分別結晶またはクロマトグラフィーによって精製できる。
【0033】
本発明の一般式(I)に包含される化合物を例示すると、以下の表の通りである。表中、Clは塩素を、Etはエチルを、Meはメチルを、MeOはメトキシを、Phはフェニルを示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【作用】
実験例1:ヒト組織球性白血病細胞株U937のCD11b発現に対する作用
白血球系細胞の表面に発現する接着分子の一つであるMac−1のα鎖を構成するCD11b抗原の発現に対する作用を検討した。U937細胞を、牛胎児血清を20%含むRPMI1640培地に浮遊させた後、フォルボール−12,13−ジブチレイト(PDB、10ng/ml)および試験化合物とともに96ウェル濾過用プレートに添加した(30000細胞/ウェル)。37℃、5%二酸化炭素存在下で3日間培養した後、RPMI1640培地にて1回洗浄し、ラット抗ヒトCD11bモノクローナル抗体(2μg/ml)を添加した。氷冷下で1時間放置した後、2回洗浄し、パーオキシダーゼ標識抗ラットイムノグロブリン抗体(1μg/ml)を添加した。氷冷下で1時間放置した後、3回洗浄し、パーオキシダーゼ用発色基質(オルトフェニレンジアミン)を添加した。室温で15分間放置した後、96ウェルプレート用吸光度計を用いて490nmの吸光度を測定し、CD11b抗原発現の指標とした。
【0039】
PDB添加時の発現量を100%、非添加時の発現量を0%として算出した50%抑制濃度(IC50値、μM)を以下の表6に示す。
【0040】
【0041】
上記の表6のように、化合物A,BおよびCはU937細胞のCD11b発現を強力に抑制した。なお、化合物Aは実施例1の化合物、化合物Bは実施例5の化合物、化合物Cは実施例13の化合物を示す。
【0042】
実験例2:オキサゾロン誘発マウス耳浮腫に対する作用
体毛を除去したマウス腹部にオキサゾロン溶液(アセトン中50mg/ml)を50μl塗布することによって感作した後、7日目にマウス右耳の表裏に5μlずつオキサゾロンを塗布した。24時間後に左右の耳を直径6mmのパンチャーを用いてくり抜き、その重量を直示天秤にて測定した。処置耳(右耳)の重量から未処置耳(左耳)の重量を差し引いた値を浮腫の指標とした。試験化合物Aは0.5%メチルセルロース溶液に懸濁し、感作後0〜8日目に経口投与した(0.1ml/体重10g)。結果を表7に示す。
【0043】
【0044】
上記の表7のように、化合物Aはマウス耳浮腫を用量依存的に抑制し、in vivo においても細胞接着を阻害することによって炎症部位への白血球浸潤を抑制することが示唆された。
【0045】
本発明の医薬は、血管内皮細胞への白血球接着反応がその発症・進行に関与する種々の炎症性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫性疾患、関節リウマチならびに臓器移植時の拒絶反応を予防または治療するために、さらに、腫瘍細胞の転移を予防するために使用される。
【0046】
本発明の医薬を製するにあたって、一般式(I)の化合物は治療上有効な量が含有されているのが好ましく、通常0.1〜50mg程度でよい。当該医薬はこれら有効成分の他に、医薬上許容されうる担体、賦形剤、希釈剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤などと混合して錠剤、散剤、カプセル剤、注射剤、坐剤、点滴剤などとすることにより経口的または非経口的に安全に患者に投与することができる。投与量は、通常1日当たり成人に対し、経口投与で5〜100mg、静脈投与で1〜50mg程度である。
【0047】
【実施例】
以下、原料調製例、実施例、製剤処方例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されものではない。
【0048】
原料調製例1
炭酸ジエチル150mlに4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン12gおよび水素化ナトリウム2.4gを加え加熱する。100℃前後で水素ガスの発泡が始まり、反応液は徐々に紫色を呈してくる。1時間還流した後、20℃に冷却し、O−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン8gを加え、2時間攪拌する。反応後、氷水にあけ、炭酸ジエチル層を分取し、2回水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。炭酸ジエチルを減圧下に留去して得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加え析出する結晶を濾取し、エチル (6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)カルボキシレート11gを得た。
【0049】
エタノール250mlおよび水80mlの混合液にエチル (6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)カルボキシレート11gを溶解し、水酸化バリウム8水和物8.4gを加え、室温で24時間攪拌する。減圧下に溶媒を留去して、水100mlを加え、1規定塩酸にてpH2に調整し20分間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム水溶液にて中和し、クロロホルムにて2回抽出する。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下に留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付す。溶媒留去後、得られた残渣をジイソプロピルエーテルから結晶化させ、濾取し、6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン7gを得た。
【0050】
原料調製例2
原料調製例1と同様にして、2,3,9−トリメチル−4−フェニル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンから6−アミノ−2,3,9−トリメチル−4−フェニル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンを得た。
【0051】
原料調製例3
原料調製例1と同様にして、4−(2−クロロフェニル)−9−メチル−2−(2−モルホリノカルボニルエチル)−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンから6−アミノ−4−(2−クロロフェニル)−9−メチル−2−(2−モルホリノカルボニルエチル)−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンを得た。
【0052】
原料調製例4
原料調製例1と同様にして、6−(2−クロロフェニル)−3−シクロプロピルカルボニル−11−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−8H−ピリド〔4’,3’:4,5〕チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンから8−アミノ−5−(2−クロロフェニル)−3−シクロプロピルカルボニル−11−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−8H−ピリド〔4’,3’:4,5〕チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンを得た。
【0053】
実施例1
クロロホルム40mlに6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン6gを溶解し、1,1’−カルボニルジイミダゾール4.1gを加え室温で2時間攪拌したのち、氷冷下エタノールアミン1.3mlを加え室温で6時間撹拌した。反応液を0.3規定塩酸次いで水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し得られた残査にジイソプロピルエーテルを加え結晶とし、メタノール−水にて再結晶を行うと、融点240〜242℃(分解)のN−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’−(2−ヒドロキシエチル)ウレア3.5gを得た。
【0054】
実施例2
実施例1と同様にして、6−アミノ−2,3,9−トリメチル−4−フェニル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンとエタノールアミンから融点227〜228℃のN−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2,3,9−トリメチル−4−フェニル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)ウレアを得た。
【0055】
実施例3
実施例1と同様にして、6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンと4−アミノ−1−ブタノールから融点223〜226℃のN−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’−(4−ヒドロキシブチル)ウレアを得た。
【0056】
実施例4
実施例1と同様にして、6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンと6−アミノ−1−ヘキサノールから融点237〜238℃のN−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’−(6−ヒドロキシヘキシル)ウレアを得た。
【0057】
実施例1と同様にして、次の化合物が得られる。
(5) N−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)モルホリン−4−カルボキサミド、融点167〜170℃
【0058】
(6) N−(2,3,9−トリメチル−4−フェニル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)モルホリン−4−カルボキサミド、融点247〜248℃
【0059】
(7) エチル N−(3―(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)ウレイド)アセテート、融点233〜235℃
【0060】
(8) N−(4―(4―クロロフェニル)―2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド、融点232〜236℃
【0061】
(9) N−(2―クロロエチル)―N’―(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)ウレア、融点247〜251℃(分解)
【0062】
(10) N−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’,N’−(ビス(2−ヒドロキシエチル))ウレア、融点172〜175℃
【0063】
(11) N−(4−(2―クロロフェニル)−9−メチル−2―(2―モルホリニルカルボニルエチル)―6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’―(2―ヒドロキシエチル)ウレア、
【0064】
(12) N−(6―(2―クロロフェニル)―3―シクロプロピルカルボニル―11―メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−8H−ピリド〔4’,3’:4,5〕チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−8−イル)−N’−(2−ヒドロキシエチル)ウレア、
【0065】
(13) N−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ウレア、融点272〜274℃
【0066】
(14) N−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキサミド、融点202〜207℃
【0067】
(15) N−(1−ベンジル−4−ピペリジル)−N’−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)ウレア、融点247〜250℃
実施例1と同様にして前記の表2〜表5に示す化合物が得られる。
【0068】
製剤処方例1
実施例1の化合物0.5部、乳糖25部、結晶セルロース35部およびコーンスターチ3部とをよく混和したのち、コーンスターチ2部で製した結合剤とよく練合した。この練合物を16メッシュで篩過し、オーブン中50℃で乾燥後、24メッシュで篩過した。ここに得た練合粉体とコーンスターチ8部、結晶セルロース11部およびタルク9部とをよく混合したのち、圧搾打錠して1錠当たり有効成分0.5mg含有の錠剤を得る。
【0069】
製剤処方例2
実施例1の化合物1.0mgと塩化ナトリウム9.0mgを注射用水にて溶解し、濾過して発熱物質を除去し、濾液を無菌下にアンプルに移し、殺菌後、溶融密封することにより有効成分1.0mg含有注射剤を得る。
【0070】
【発明の効果】
上記明細書、特に実験例から明らかなように、本発明のチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、白血球上のCD11b発現を抑制することによって血管内皮細胞への白血球接着を阻害する作用を有しており、またin vivo における白血球浸潤をも抑制する。この作用により、本化合物が、細胞接着がその発症・進行に関与する種々の炎症性疾患、アレルギー性疾患、関節リウマチ等に対する治療薬または予防薬として有用であると期待される。また、自己免疫性疾患ならびに臓器移植時の拒絶反応を予防または治療するために、さらに、腫瘍細胞の転移を予防するためにも使用できる。
【産業上の利用分野】
本発明は白血球接着阻害作用を有する新規チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
国際公開WO93/12117号により、細胞接着阻害作用を有するチエノトリアゾロジアゼピン化合物が知られている。また、特開平2−28181号公報、特開平3−223290号公報にはコレシストキニン(CCK)およびガストリンに対し拮抗作用を有するチエノジアゼピン化合物が開示されている。さらに、国際公開WO93/07129号には骨粗鬆症治療用途に用いられるチエノトリアゾロジアゼピン化合物が開示されている。
【0003】
種々の炎症・アレルギー性疾患においては、多形核白血球、マクロファージおよびリンパ球などのいわゆる炎症性細胞(広義の白血球)の浸潤がその病態に深く関与している。白血球浸潤のファースト・ステップとして、白血球が血管内皮細胞へ接着することが重要であると古くから考えられていたが、そのメカニズムに関しては不明であった。近年の分子生物学の進歩により、接着に関与する分子が次々に同定され、それらの機能的意義、すなわち、血管内皮細胞上に発現したある特定の接着分子と、それに特異的に結合する白血球上の接着分子を介して白血球接着が起こり、それに引き続いて炎症組織への白血球浸潤が起こるという現象が明らかにされた。血管内皮細胞への白血球接着に関与する分子としては、以下の組み合わせが特に重要であると考えられているが、種々の炎症・アレルギー性疾患における各々の接着分子の関与の程度などについては必ずしも明らかではない。
【0004】
【表1】
【0005】
これらの接着分子の中で、特にICAM−1およびLFA−1は細胞浸潤のみならず、リンパ球間の接着およびその活性化にも深く関与していることが明らかとなっている(たとえば、マクロファージ上のICAM−1にTリンパ球上のLFA−1が結合することによってTリンパ球が活性化される)。したがって、ICAM−1とLFA−1の結合を阻害する物質は、広義の免疫抑制作用を有することも期待できる。
【0006】
疾患との関連では、炎症性皮膚炎(接触性過敏症、光線過敏症など)および慢性関節リウマチなどにおいて、炎症部位でのICAM−1ならびにE−selectin発現の亢進が報告されている他、喘息においてもICAM−1、Mac−1などの関与が示唆されている。また、臓器移植後の拒絶反応においてもICAM−1などを介した細胞接着が重要な役割を果たしていることが報告されている。さらに、癌転移においても接着分子が関与していることが示されている。
【0007】
実験動物においても、種々の炎症モデル(遅延型過敏症、自己免疫性腎炎モデルなど)で接着分子の発現が亢進していること、ならびに抗ICAM−1抗体、抗LFA−1抗体が炎症反応(アジュバント関節炎、コラーゲン関節炎など)を抑制することが報告されている。また、サル喘息モデルでの好酸球活性化における接着分子の役割も明らかにされている。さらに、マウス異所性心移植モデルにおいても抗LFA−1および抗ICAM−1抗体の有効性が報告されており、ヒトの場合と同様に、移植片拒絶における接着分子の重要性が示唆されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
種々の炎症性疾患ならびにアレルギー性疾患に対する治療薬としては、様々なステロイド剤、非ステロイド性抗炎症剤および炎症・アレルギー関連メディエーター遊離抑制剤などが使用されている。これらの薬剤のうち、ステロイド剤ではしばしば重篤な副作用が発現すること、また他の薬剤においては必ずしも十分な治療効果が得られないことなどが問題となっていた。
【0009】
一方、近年になって、いくつかの炎症性疾患およびアレルギー性疾患の発症・進行に対し種々の細胞接着分子が深く関与していることが明らかになってきており、細胞接着阻害作用を有する化合物が優れた抗炎症薬または抗アレルギー薬となり得ることが期待されている。たとえば、プロシーティングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユー・エス・エー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.) 、第88巻(1991年)355〜359頁には、N−(フルオレニル−9−メトキシカルボニル)アミノ酸類が白血球接着を阻害することにより種々の動物炎症モデルにおける反応を抑制することが、また、アメリカン・フェデレーション・フォー・クリニカル・リサーチ・アニュアル・ミーティング(American Federation for Clinical Research Annual Meeting, 1991年5月6日)の抄録には同系化合物が白血球上の接着分子(CD18など)発現を抑制することにより血管内皮細胞への白血球接着が阻害されることなどが記載されている。
【0010】
しかし、上記文献をを含む種々の公知文献に記載された化合物では未だに十分な細胞接着阻害作用を得ることができず、さらに強力な阻害剤の開発が望まれている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、血管内皮細胞への白血球接着を強力に阻害する化合物の探索を目的として、ヒトさい帯静脈由来血管内皮細胞(human umbilical vein−derivedendothelial cells,HUVEC)とヒト白血病細胞株を用いた細胞接着のアッセイ系を確立し、上記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、一般式(I) で示されるチエノトリアゾロジアゼピン化合物が強い白血球接着阻害作用を有していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)一般式
【0013】
【化3】
【0014】
〔式中、Arはフェニル、ピリジル、チエニル、置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するフェニル、または置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキルおよび炭素数1〜6個のアルコキシから選ばれる1〜3個を有するピリジルまたはチエニルを示す。
【0015】
R1 ,R2 は同一または異なって水素、ハロゲン、炭素数1〜6個のアルキルまたは式
−(CH2 )m−CON(R6 )(R7 )
(式中、mは1〜6の整数を示す。R6 ,R7 は同一または異なって、水素、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数2〜7個のアルカノイルまたはシクロアルキルを示すか、またはR6 ,R7 は結合して隣接する窒素原子とともに環状アミンを形成する。)により表される基を示すか、またはR1 ,R2 は互いに結合して炭素数5〜7個の環を形成するかもしくは環中にN(R8 )(R8 は炭素数2〜7個のアルカノイルまたはシクロアルキルカルボニルを示す。)を有する5〜7員環を形成する基を示す。
【0016】
R3 は水素、ハロゲンまたは炭素数1〜6個のアルキルを示す。R4 ,R5 は一方が水素を示し、他方が式
【0017】
【化4】
【0018】
(式中、nは0または1〜6の整数を示す。Yは酸素原子または硫黄原子を示す。R9 は炭素数1〜6個のアルキルを示す。R10,R11は同一または異なって水素、炭素数1〜6個のアルキル、フェニル、ヘテロアリール、置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するフェニルまたは置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキルおよび炭素数1〜6個のアルコキシから選ばれる1〜3個を有するヘテロアリールを示す。R12は水素または炭素数1〜6個のアルキルを示す。Xはハロゲンを示す。R13は水素、炭素数1〜6個のアルキル、アラルキルまたは置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するアラルキルを示す。)により表される基を示すか、R 4 ,R 5 は共に前記(1)により表される基を示すか、またはR4 ,R5 は互いに結合し、環中にヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子またはN(R14)(R14は水素、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル、フェニルまたは置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するフェニルを示す。)を含んでいてもよく、さらに置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、水酸基、カルボキシル、アルコキシカルボニル、シアノ、アミノまたはモノまたはジ置換アミノから選ばれる1〜3個を有していてもよい窒素含有環を形成する基を示す。〕により表されるチエノトリアゾロジアゼピン化合物またはその医薬上許容される塩。
【0019】
本明細書において、ピリジルとは2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジルを示す。チエニルとは2−チエニル、3−チエニルを示す。ハロゲンとは塩素、臭素、フッ素、ヨウ素を示す。炭素数1〜6個のアルキルとはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第3級ブチル、ペンチル、第3級ペンチル、1−メチルブチル、ヘキシル、1−メチルペンチルなどを示し、炭素数1〜4個のアルキルが好ましく、メチルが特に好ましい。炭素数1〜6個のアルコキシとはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、第3級ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどを示し、炭素数1〜4個のアルコキシが好ましく、メトキシが特に好ましい。トリハロメチルとはトリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチルなどを示し、トリフルオロメチルが好ましい。炭素数2〜7個のアルカノイルとはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイルなどを示し、炭素数2〜5個のアルカノイルが好ましく、アセチル、プロピオニルが特に好ましい。シクロアルキルとはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを示し、シクロプロピル、シクロヘキシルが好ましい。シクロアルキルカルボニルとはシクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘプチルカルボニルなどを示し、シクロプロピルカルボニルが好ましい。ヘテロアリールとはピリジル(2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、チエニル(2−チエニル、3−チエニル)、フリル(2−フリル、3−フリル)などを示す。アラルキルとはベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチルなどを示し、ベンジルが好ましい。炭素数1〜6個のヒドロキシアルキルとはヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシルなどを示し、炭素数1〜4個のヒドロキシアルキルが好ましく、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチルが特に好ましい。アルコキシカルボニルとはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、第3級ブトキシカルボニルなどを示し、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルが好ましい。モノまたはジ置換アミノとはメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ジプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジブチルアミノなどを示し、メチルアミノ、ジメチルアミノが好ましい。
【0020】
R6 とR7 が結合して隣接する窒素原子とともに形成する環状アミンとは1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたは1−ピペラジニルを示し、ピペリジノ、モルホリノが好ましい。R1 ,R2 が互いに結合して形成する炭素数5〜7個の環または環中にN(R8 )(R8 は前記と同義)を有する5〜7員環とはシクロペンテン環、ピロリン環、ピラゾリン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、テトラヒドロピリジン環、シクロヘキサジエン環、ベンゼン環、シクロヘプテン環、シクロヘプタジエン環、シクロヘプタトリエン環などを示し、シクロヘキセン環、テトラヒドロピリジン環が好ましい。R4 ,R5 が互いに結合して形成する環中にヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子またはN(R14)(R14は前記と同義)を含んでいてもよい窒素含有環とは1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、4−R14−1−ピペラジニル、1−ピラゾリルなどを示し、これらは置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル(前記の通り)、炭素数1〜6個のアルコキシ(前記の通り)、水酸基、カルボキシル、アルコキシカルボニル(前記の通り)、シアノ、アミノまたはモノまたはジ置換アミノ(前記の通り)から選ばれる1〜3個を有していてもよい。
【0021】
Arの態様としてはフェニル、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルフェニル、2−ピリジル、3−ピリジル、2−チエニルなどが挙げられ、フェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニルが好ましい。
【0022】
R1 の態様としては水素、メチルが、R2 の態様としてはハロゲン、メチル、エチル、ヘキシル、2−(N−アセチルカルバモイル)エチル、2−(N−第3級ブチルカルバモイル)エチル、2−(N−シクロプロピルカルバモイル)エチル、2−モルホリノカルボニル、2−ピペリジノカルボニルエチルが挙げられ、R1 としては水素、メチル、R2 としてはメチル、2−モルホリノカルボニルエチルが好ましい。また、R1 とR2 が結合して形成される環としては、シクロヘキシル環またはN位にシクロプロピルカルボニルが置換したテトラヒドロピリジン環が好ましい。
【0023】
R3 の態様としてはメチル、ブチル、ヘキシルなどが挙げられ、メチルが好ましい。
【0024】
R4 ,R5 の態様としてはR4 が水素を示し、R5 が前記(1)〜(6)の基であるか、R4 ,R5 が共に前記(1)であるものが挙げられ、R4 が水素を示し、R5 が前記(1)を示し、nが2、Yが酸素原子であるものが好ましい。または、R4 ,R5 が結合して形成される環の態様としてはモルホリノ、ピペリジノ、4−ヒドロキシピペリジノ、4−ジメチルアミノピペリジノ、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル、4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル、2−カルボキシ−1−ピロリジニル、2−エトキシカルボニル−1−ピロリジニルなどが挙げられ、モノホリノ、ピペリジノ、4−ヒドロキシピペリジノが好ましい。
【0025】
一般式(I)の化合物の医薬上許容されうる塩としては無機酸または有機酸との酸付加塩、および無機塩基、有機塩基またはアミノ酸との塩があげられ、本発明の目的からするとそれら塩は実質的に無毒性のものが望ましい。また、水和物(1/2水和物、1水和物、3/2水和物等)やその他の溶媒和物も包含される。さらに、一般式(I)の化合物は少なくとも1個のキラルな炭素原子を有していることから、それに基づくラセミ体、光学活性体またはジアステレオマーなどはすべて本発明に包含されるものである。
【0026】
一般式(I)の化合物は、たとえば下記化5に示す方法によって製造することができる。
【0027】
【化5】
【0028】
方法1の反応は、一般式(II)の化合物と1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)を反応を阻害しない適当な溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)中、−20℃から溶媒の沸点、好ましくは室温で2時間から5時間反応させてカルバモイルイミダゾール誘導体とし、次いで一般式(III)のアミンを−20℃から溶媒の沸点、好ましくは室温で反応させることにより進行する。
【0029】
方法2の反応は、一般式(II)の化合物とトリホスゲンを適当な溶媒(トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、4−ジメチルアミノピリジンなど)の存在下、本反応を阻害しない適当な溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)中、−20℃から溶媒の沸点で1時間から24時間反応させて、イソシアネート誘導体とし、次いで一般式(III)のアミンを−20℃から溶媒の沸点で1時間から24時間反応させることにより進行する。
【0030】
方法3の反応は、一般式(II)の化合物と4−ニトロフェニルクロロホルメートを適当な塩基(トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、4−ジメチルアミノピリジンなど)の存在下、本反応を阻害しない適当な溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)中、−20℃から溶媒の沸点で1時間から24時間反応させて活性カルバメート体とし、次いで一般式(III)のアミンを−20℃から溶媒の沸点で1時間から24時間反応させることにより進行する。
【0031】
このようにして得られた一般式(I)の化合物は再結晶、カラムクロマトグラフィーなどのそれ自体公知の方法により、反応混合物から分離、精製することができる。一般式(I)の化合物は常法により無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)、有機酸(酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アスコルビン酸など)、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アンモニウムなど)、有機塩基(メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、キニーネ、グアニジン、シンコニンなど)またはアミノ酸(リジン、オルニチン、アルギニン、アラニンなど)と処理することにより医薬上許容される塩とすることができる。
【0032】
本発明化合物中、キラルな炭素原子を有する場合には、通常ラセミ体として得られる。ラセミ体は常法により光学異性体に分割することができる。そのような光学異性体は光学活性な出発物質を使用することによっても製造することができる。個々のジアステレオマーは分別結晶またはクロマトグラフィーによって精製できる。
【0033】
本発明の一般式(I)に包含される化合物を例示すると、以下の表の通りである。表中、Clは塩素を、Etはエチルを、Meはメチルを、MeOはメトキシを、Phはフェニルを示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【作用】
実験例1:ヒト組織球性白血病細胞株U937のCD11b発現に対する作用
白血球系細胞の表面に発現する接着分子の一つであるMac−1のα鎖を構成するCD11b抗原の発現に対する作用を検討した。U937細胞を、牛胎児血清を20%含むRPMI1640培地に浮遊させた後、フォルボール−12,13−ジブチレイト(PDB、10ng/ml)および試験化合物とともに96ウェル濾過用プレートに添加した(30000細胞/ウェル)。37℃、5%二酸化炭素存在下で3日間培養した後、RPMI1640培地にて1回洗浄し、ラット抗ヒトCD11bモノクローナル抗体(2μg/ml)を添加した。氷冷下で1時間放置した後、2回洗浄し、パーオキシダーゼ標識抗ラットイムノグロブリン抗体(1μg/ml)を添加した。氷冷下で1時間放置した後、3回洗浄し、パーオキシダーゼ用発色基質(オルトフェニレンジアミン)を添加した。室温で15分間放置した後、96ウェルプレート用吸光度計を用いて490nmの吸光度を測定し、CD11b抗原発現の指標とした。
【0039】
PDB添加時の発現量を100%、非添加時の発現量を0%として算出した50%抑制濃度(IC50値、μM)を以下の表6に示す。
【0040】
【0041】
上記の表6のように、化合物A,BおよびCはU937細胞のCD11b発現を強力に抑制した。なお、化合物Aは実施例1の化合物、化合物Bは実施例5の化合物、化合物Cは実施例13の化合物を示す。
【0042】
実験例2:オキサゾロン誘発マウス耳浮腫に対する作用
体毛を除去したマウス腹部にオキサゾロン溶液(アセトン中50mg/ml)を50μl塗布することによって感作した後、7日目にマウス右耳の表裏に5μlずつオキサゾロンを塗布した。24時間後に左右の耳を直径6mmのパンチャーを用いてくり抜き、その重量を直示天秤にて測定した。処置耳(右耳)の重量から未処置耳(左耳)の重量を差し引いた値を浮腫の指標とした。試験化合物Aは0.5%メチルセルロース溶液に懸濁し、感作後0〜8日目に経口投与した(0.1ml/体重10g)。結果を表7に示す。
【0043】
【0044】
上記の表7のように、化合物Aはマウス耳浮腫を用量依存的に抑制し、in vivo においても細胞接着を阻害することによって炎症部位への白血球浸潤を抑制することが示唆された。
【0045】
本発明の医薬は、血管内皮細胞への白血球接着反応がその発症・進行に関与する種々の炎症性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫性疾患、関節リウマチならびに臓器移植時の拒絶反応を予防または治療するために、さらに、腫瘍細胞の転移を予防するために使用される。
【0046】
本発明の医薬を製するにあたって、一般式(I)の化合物は治療上有効な量が含有されているのが好ましく、通常0.1〜50mg程度でよい。当該医薬はこれら有効成分の他に、医薬上許容されうる担体、賦形剤、希釈剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤などと混合して錠剤、散剤、カプセル剤、注射剤、坐剤、点滴剤などとすることにより経口的または非経口的に安全に患者に投与することができる。投与量は、通常1日当たり成人に対し、経口投与で5〜100mg、静脈投与で1〜50mg程度である。
【0047】
【実施例】
以下、原料調製例、実施例、製剤処方例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されものではない。
【0048】
原料調製例1
炭酸ジエチル150mlに4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン12gおよび水素化ナトリウム2.4gを加え加熱する。100℃前後で水素ガスの発泡が始まり、反応液は徐々に紫色を呈してくる。1時間還流した後、20℃に冷却し、O−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン8gを加え、2時間攪拌する。反応後、氷水にあけ、炭酸ジエチル層を分取し、2回水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。炭酸ジエチルを減圧下に留去して得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加え析出する結晶を濾取し、エチル (6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)カルボキシレート11gを得た。
【0049】
エタノール250mlおよび水80mlの混合液にエチル (6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)カルボキシレート11gを溶解し、水酸化バリウム8水和物8.4gを加え、室温で24時間攪拌する。減圧下に溶媒を留去して、水100mlを加え、1規定塩酸にてpH2に調整し20分間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム水溶液にて中和し、クロロホルムにて2回抽出する。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下に留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付す。溶媒留去後、得られた残渣をジイソプロピルエーテルから結晶化させ、濾取し、6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン7gを得た。
【0050】
原料調製例2
原料調製例1と同様にして、2,3,9−トリメチル−4−フェニル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンから6−アミノ−2,3,9−トリメチル−4−フェニル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンを得た。
【0051】
原料調製例3
原料調製例1と同様にして、4−(2−クロロフェニル)−9−メチル−2−(2−モルホリノカルボニルエチル)−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンから6−アミノ−4−(2−クロロフェニル)−9−メチル−2−(2−モルホリノカルボニルエチル)−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンを得た。
【0052】
原料調製例4
原料調製例1と同様にして、6−(2−クロロフェニル)−3−シクロプロピルカルボニル−11−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−8H−ピリド〔4’,3’:4,5〕チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンから8−アミノ−5−(2−クロロフェニル)−3−シクロプロピルカルボニル−11−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−8H−ピリド〔4’,3’:4,5〕チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンを得た。
【0053】
実施例1
クロロホルム40mlに6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン6gを溶解し、1,1’−カルボニルジイミダゾール4.1gを加え室温で2時間攪拌したのち、氷冷下エタノールアミン1.3mlを加え室温で6時間撹拌した。反応液を0.3規定塩酸次いで水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し得られた残査にジイソプロピルエーテルを加え結晶とし、メタノール−水にて再結晶を行うと、融点240〜242℃(分解)のN−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’−(2−ヒドロキシエチル)ウレア3.5gを得た。
【0054】
実施例2
実施例1と同様にして、6−アミノ−2,3,9−トリメチル−4−フェニル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンとエタノールアミンから融点227〜228℃のN−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2,3,9−トリメチル−4−フェニル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)ウレアを得た。
【0055】
実施例3
実施例1と同様にして、6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンと4−アミノ−1−ブタノールから融点223〜226℃のN−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’−(4−ヒドロキシブチル)ウレアを得た。
【0056】
実施例4
実施例1と同様にして、6−アミノ−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピンと6−アミノ−1−ヘキサノールから融点237〜238℃のN−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’−(6−ヒドロキシヘキシル)ウレアを得た。
【0057】
実施例1と同様にして、次の化合物が得られる。
(5) N−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)モルホリン−4−カルボキサミド、融点167〜170℃
【0058】
(6) N−(2,3,9−トリメチル−4−フェニル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)モルホリン−4−カルボキサミド、融点247〜248℃
【0059】
(7) エチル N−(3―(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)ウレイド)アセテート、融点233〜235℃
【0060】
(8) N−(4―(4―クロロフェニル)―2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド、融点232〜236℃
【0061】
(9) N−(2―クロロエチル)―N’―(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)ウレア、融点247〜251℃(分解)
【0062】
(10) N−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’,N’−(ビス(2−ヒドロキシエチル))ウレア、融点172〜175℃
【0063】
(11) N−(4−(2―クロロフェニル)−9−メチル−2―(2―モルホリニルカルボニルエチル)―6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’―(2―ヒドロキシエチル)ウレア、
【0064】
(12) N−(6―(2―クロロフェニル)―3―シクロプロピルカルボニル―11―メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−8H−ピリド〔4’,3’:4,5〕チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−8−イル)−N’−(2−ヒドロキシエチル)ウレア、
【0065】
(13) N−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ウレア、融点272〜274℃
【0066】
(14) N−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキサミド、融点202〜207℃
【0067】
(15) N−(1−ベンジル−4−ピペリジル)−N’−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ〔3,2−f〕〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕〔1,4〕ジアゼピン−6−イル)ウレア、融点247〜250℃
実施例1と同様にして前記の表2〜表5に示す化合物が得られる。
【0068】
製剤処方例1
実施例1の化合物0.5部、乳糖25部、結晶セルロース35部およびコーンスターチ3部とをよく混和したのち、コーンスターチ2部で製した結合剤とよく練合した。この練合物を16メッシュで篩過し、オーブン中50℃で乾燥後、24メッシュで篩過した。ここに得た練合粉体とコーンスターチ8部、結晶セルロース11部およびタルク9部とをよく混合したのち、圧搾打錠して1錠当たり有効成分0.5mg含有の錠剤を得る。
【0069】
製剤処方例2
実施例1の化合物1.0mgと塩化ナトリウム9.0mgを注射用水にて溶解し、濾過して発熱物質を除去し、濾液を無菌下にアンプルに移し、殺菌後、溶融密封することにより有効成分1.0mg含有注射剤を得る。
【0070】
【発明の効果】
上記明細書、特に実験例から明らかなように、本発明のチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、白血球上のCD11b発現を抑制することによって血管内皮細胞への白血球接着を阻害する作用を有しており、またin vivo における白血球浸潤をも抑制する。この作用により、本化合物が、細胞接着がその発症・進行に関与する種々の炎症性疾患、アレルギー性疾患、関節リウマチ等に対する治療薬または予防薬として有用であると期待される。また、自己免疫性疾患ならびに臓器移植時の拒絶反応を予防または治療するために、さらに、腫瘍細胞の転移を予防するためにも使用できる。
Claims (1)
- 一般式
〔式中、Arはフェニル、ピリジル、チエニル、置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するフェニル、または置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキルおよび炭素数1〜6個のアルコキシから選ばれる1〜3個を有するピリジルまたはチエニルを示す。R1 ,R2 は同一または異なって水素、ハロゲン、炭素数1〜6個のアルキルまたは式
−(CH2 )m−CON(R6 )(R7 )
(式中、mは1〜6の整数を示す。R6 ,R7 は同一または異なって、水素、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数2〜7個のアルカノイルまたはシクロアルキルを示すか、またはR6 ,R7 は結合して隣接する窒素原子とともに環状アミンを形成する。)により表される基を示すか、またはR1 ,R2 は互いに結合して炭素数5〜7個の環を形成するかもしくは環中にN(R8 )(R8 は炭素数2〜7個のアルカノイルまたはシクロアルキルカルボニルを示す。)を有する5〜7員環を形成する基を示す。R3 は水素、ハロゲンまたは炭素数1〜6個のアルキルを示す。R4 ,R5 は一方が水素を示し、他方が式
(式中、nは0または1〜6の整数を示す。Yは酸素原子または硫黄原子を示す。R9 は炭素数1〜6個のアルキルを示す。R10,R11は同一または異なって水素、炭素数1〜6個のアルキル、フェニル、ヘテロアリール、置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するフェニルまたは置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキルおよび炭素数1〜6個のアルコキシから選ばれる1〜3個を有するヘテロアリールを示す。R12は水素または炭素数1〜6個のアルキルを示す。Xはハロゲンを示す。R13は水素、炭素数1〜6個のアルキル、アラルキルまたは置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するアラルキルを示す。)により表される基を示すか、R 4 ,R 5 は共に前記(1)により表される基を示すか、またはR4 ,R5 は互いに結合し、環中にヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子またはN(R14)(R14は水素、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル、フェニルまたは置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、シアノ、アミノおよびトリハロメチルから選ばれる1〜3個を有するフェニルを示す。)を含んでいてもよく、さらに置換基としてハロゲン、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数1〜6個のアルコキシ、水酸基、カルボキシル、アルコキシカルボニル、シアノ、アミノまたはモノまたはジ置換アミノから選ばれる1〜3個を有していてもよい窒素含有環を形成する基を示す。〕により表されるチエノトリアゾロジアゼピン化合物またはその医薬上許容される塩。
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