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JP3751986B2 - 医薬組成物 - Google Patents

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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、人間用又は動物用の新規な医薬に関するものであり、さらに詳しく言えば、各種疾患の予防・治療に有用な生体防御物質を生体内の臓器・組織・細胞から産生・誘導させることを目的とする薬剤に関する。
【0002】
【背景技術】
各種疾患の予防・治療に関しては、各疾患における炎症等の症状の防護が疾患の増悪化、長期化を防ぐのに有効であるところ、これまでに、活性酸素などのラジカルやNOなどの作用を消去する生体物質や薬剤の研究・開発が進められており、一部では、そのような目的による薬剤の投与が患者に行われている。近年の血液学的研究により、血清中のβグロブリン分画に属する鉄結合性の分子量81,000の糖蛋白質トランスフェリン(transferrin,Tf)が、血清中に0.2〜0.36g/dl存在し、細胞増殖に必要であり、抗炎症作用もあり、細菌の繁殖に必要な鉄を奪い、その発育を抑制することにより感染防御効果も有し、各種血液疾患、自己免疫疾患、ネフローゼ等腎疾患、肝硬変等肝疾患、悪性腫瘍などの疾患で減少することが知られている。そして、このものは、生体防御上、重要な生体物質であることが明らかにされてきているが、ヒト型トランスフェリンを遺伝子工学的に大量に製造し、それをトランスフェリン欠乏症患者やトランスフェリン生産能の落ちた患者に投与することについては、まだ実現の域に達しておらず、トランスフェリン供給の方策が検討されることが望まれてきた。
【0003】
かかる情況から、本発明者は生体内で主として肝臓で生産され、その他に脾臓、骨髄、回腸、乳腺、睾丸、卵巣、リンパ節、リンパ球、マクロファージなどで少量生産されるトランスフェリンの生産量を増強することを誘導する物質を探索することを企図した。
【0004】
【発明の開示】
本発明者らは、このような目的に適合するような物質を、生体に本来存在し、生体防御能を有する物質の中に求め、安全性の高い天然由来の各種ペプチド類につき、生体内でのトランスフェリン生産能を誘導し、トランスフェリン欠乏疾患を予防、治療する物質を鋭意探索した結果、血清胸腺因子(Facteur thymique serique:FTS)として知られるノナペプチドおよびその誘導体又はそれらの塩類又はそれら各化合物と金属との結合物をマウス、ラット、モルモット、ホヤ等に投与すると、トランスフェリンの生産が増強・誘導されることを見出した。
【0005】
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、生体内でのトランスフェリンの生産を誘導し、生体の生体防御効果を高め、トランスフェリンの欠乏する各種疾患の予防、治療に好適な薬剤を提供するものである。
FTSノナペプチドが、生体に必須な生体防御物質トランスフェリンの生産を増強・誘導しうるという事実・知見は、本発明者らによって初めて見出されたことであり、従来技術からは全く予期し得ないことである。
【0006】
本発明は、下記のアミノ酸配列:
pGlu−Ala−Lys−Ser−Gln−Gly−Gly−Ser−Asn
を有するノナペプチド又は、そのC末端のアスパラギンのカルボキシル基におけるエステル、アミド又はそれら各化合物の薬学的に許容し得る塩又はそれら各化合物と金属との結合物を有効成分として含有することを特徴とする、臓器・組織・細胞からの生体防御物質の生産・誘導による各種疾患の予防・治療用薬剤を提供するものである。
【0007】
本発明において使用される前記のノナペプチドは公知物質であって、通常ペプチド合成に慣用されている液相又は固相におけるペプチド合成法例えば、特開昭54−16425号公報、USP4,301,065記載の方法により、困難なく製造することができる。あるいはまた、このノナペプチドは、遣伝子工学的方法、細胞工学的方法によっても調製することができる。
【0008】
本発明において使用される前記のノナペプチドのC末端のアスパラギンのカルボキシル基におけるエステルは、薬学的に許容し得るカルボン酸のエステル類であり、その例としては、
【0009】
メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−ブチルエステル、n−ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ネオペンチルエステル、tert−ペンチルエステル、n−ヘキシルエステル、sec−ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、sec−オクチルエステル、tert−オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、ノナデシルエステル、エイコシルエステル、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル、シクロヘプチルエステル、シクロオクチルエステル、アリルエステル、イソプロペニルエステル、ベンジルエステル、
【0010】
o−、m−、又はp−クロルベンジルエステル、o−、m−、又はp−フルオルベンジルエステル、o−、m−、又はp−ブロムベンシルエステル、o−、m−、又はp−ヨードベンジルエステル、o−、m−、又はp−メチルベンジルエステル、o−、m−、又はp−エチルベンジルエステル、o−、m−、又はp−イソプロピルベンジルエステル、シンナミルエステル、アミノエチルエステル、o−、m−、又はp−アミノベンジルエステル、o−、m−、又はp−ニトロベンジルエステル、
【0011】
o−、m−、又はp−メトキシベンジルエステル、o−、m−、又はp−エトキシベンジルエステル、o−、m−、又はp−アミノフエネチルエステル、α−フルフリルエステル、α−チエニルメチルエステル、α−ピリジルメチルエステル、α−ピリジルエチルエステル、ピペリジノメチルエステル、α−ピペリジルメチルエステル、モルホリノエチルエステル、α−モルホリニルメチルエステルなどがあげられる。
【0012】
また、本発明において使用される前記のノナペプチドのC末端のアスパラギンのカルボキシル基におけるアミドは、薬学的に許容し得るカルボン酸のアミド類であり、その例としては、
【0013】
アミド、メチルアミド、エチルアミド、プロピルアミド、イソプロピルアミド、n−ブチルアミド、イソブチルアミド、tert−ブチルアミド、n−ペンチルアミド、イソペンチルアミド、ネオペンチルアミド、tert−ペンチルアミド、n−ヘキシルアミド、sec−ヘキシルアミド、ヘプチルアミド、オクチルアミド、sec−オクチルアミド、tert−オクチルアミド、ノニルアミド、デシルアミド、ウンデシルアミド、ドデシルアミド、トリデシルアミド、テトラデシルアミド、ヘキサデシルアミド、オクタデシルアミド、ノナデシルアミド、エイコシルアミド、シクロペンチルアミド、シクロヘキシルアミド、シクロヘプチルアミド、シクロオクチルアミド、アリルアミド、イソプロペニルアミド、ベンジルアミド、
【0014】
o−、m−、又はp−クロルベンジルアミド、o−、m−、又はp−フルオルベンジルアミド、o−、m−、又はp−ブロムベンジルアミド、o−、m−、又はp−ヨードベンジルアミド、o−、m−、又はp−メチルベンジルアミド、o−、m−、又はp−エチルベンジルアミド、o−、m−、又はp−イソプロピルベンジルアミド、シンナミルアミド、アミノエチルアミド、o−、m−、又はp−アミノベンジルアミド、o−、m−、又はp−ニトロベンジルアミド、o−、m−、又はp−メトキシベンジルアミド、o−、m−、又はp−エトキシベンジルアミド、
【0015】
o−、m−、又はp−アミノフエネチルアミド、α−フルフリルアミド、α−チエニルメチルアミド、α−ピリジルメチルアミド、α−ピリジルエチルアミド、ピペリジノメチルアミド、α−ピペリジルメチルアミド、モルホリノエチルアミド、α−モルホリニルメチルアミド、メトキシカルボニル−(α−メルカプトメチル)メチルアミド、エトキシカルボニル−(α−メルカプトメチル)メチルアミドなどがあげられる。
【0016】
また、前述の薬学的に許容し得る塩としては、前記のノナペプチドのアミノ基における酸付加塩およびカルボキシル基における塩基塩があげられる。酸付加塩としては、有機酸又は無機酸との各塩があげられ、それらの例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、フマル酸、りんご酸、マレイン酸、しゅう酸、ナフトエ酸などのカルボン酸との塩、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸との塩、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸との塩、があげられる。
【0017】
上記の塩基塩としては、無機塩基との塩すなわち、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、あるいは有機塩基との塩すなわち、アミンとの塩があげられ、それらの例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、エタノールアミン塩、トリス塩、ジシクロヘキシルアミン塩などがあげられる。
【0018】
前記の各化合物と金属との結合物における金属としては亜鉛、鉄、マグネシウム、コバルト、ニッケル、クロム、金、ゲルマニウム、ガリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、銅、マンガン、セレンなどの1価、2価、3価又は4価の金属が例示される。
【0019】
本発明に係わる生体内でのトランスフェリン生産を誘導し、生体の生体防御効果を高め、トランスフェリンの欠乏する各種疾患の予防・治療を目的とする予防・治療剤は、その剤型に応じて通常慣用の製剤手段を用いて調製される。すなわち、上記のノナペプチドならびにそのエステル又はアミド誘導体もしくはそれらの塩類又はそれら各化合物と金属との結合物から選ばれた有効成分物質を、適宜、薬学的に許容し得る担体、賦形剤、希釈剤などを用いて、適当な剤形に調製する。剤形は外用、経口投与、非経口投与等々の投与経路に適した種種の剤形とすることができる。
【0020】
本発明に係わる生体内でのトランスフェリンの生産を増強・誘導することにより、トランスフェリン欠乏症、炎症など各種の症状、各種疾患を予防・治療することを目的とする予防・治療剤のトランスフェリン誘導効果は下記の如き試験により確認されている。
【0021】
すなわち、マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、モルモット等哺乳動物あるいは原索動物ホヤ類に、FTSノナペプチドを単回、あるいは頻回投与し、血清中あるいは体液中のタンパク質、更に哺乳類の肝臓等臓器抽出物中のタンパク質を解析したところ、トランスフェリンの生産が対照の生食投与群の哺乳動物やホヤ類のそれに比較して、増強・誘導されることが明らかにされた。
【0022】
本発明に係わる薬剤における有効成分物質の毒性を検討するため、マウスに対し、有効成分物質ノナペプチド100mg/kgを連日14日間皮下投与したが外見的に何ら異常は見られなかった。また、ラットに対し、有効成分物質30mg/kg連日21日間、皮下投与したが、外見的にも血清生化学的にも、また病理解剖を行った結果でも、何ら異常は見られなかった。このように、本発明に係わる薬剤は、きわめて毒性の少ない安全な薬剤であり、長期間投与することが可能である。
【0023】
本発明に係わる薬剤を投与することができる対象動物としては、例えばヒト及びウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコなどの家畜、ライオン、ゾウ、キリン、クマ、ゴリラ、サル、チンパンジーなどの動物園等で飼育されている哺乳類動物、マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、モルモットほか各種の実験動物、ニワトリ、七面鳥などの家禽類、ペット用の鳥類、爬虫類、両棲類、魚類などがあげられる。
【0024】
その投与量はこれら動物の体重1kgあたり通常、0.1μg〜500mg/日で、これらは、例えば、1日1回〜6回に分割投与してもよく、また投与対象者の年齢、病状などにより適宜投与量を増減することができる。その投与経路は特に限定されないが、静脈内、筋肉内、皮内、皮下に注射投与することもできる。また軟膏剤を調製することにより、眼部、口腔内、鼻腔内、皮膚などに塗布することができ、坐薬やゼリー剤、点眼剤、点鼻剤、鼻口腔吸収剤、エアロゾル剤、噴霧剤、経口剤などとして投与することもできる。有効成分物質の生体内での急速な分解あるいは不活性化を阻止するために、有効成分物質を適当な製剤成分、たとえば、アルコール性、レシチンなどの油性、脂肪性の生理的に無害な固体または液体材料あるいはそれらの懸濁物リポソームなどを用いて製剤とし長時間活性が持続する製剤とすることもできる。
【0025】
本発明に係わる薬剤は、他の薬剤、たとえば免疫賦活剤等のbiological response modifierや各種の、生体防御能を有する合成医薬や化学療法剤などとともに生体に投与することができ、また、これらを製剤中に添加し、合剤として投与し、臨床効果を高めることができる。
【0026】
以下に実施例および実験例を記載し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら各例によって限定されるものではない。
以下の実施例、実験例においては、前記のノナペプチドを便宜上、FTSと略記する。
【0027】
【実施例】
実施例1 注射用バイアル製剤
FTS・CHCOOH・2HO(三井製薬工業社製)1mgを蒸留水に溶解し、除菌濾過し、バイアル内に充填し、凍結乾燥した。
【0028】
実施例2 注射用アンプル製剤
FTS・CHCOOH・2HO(三井製薬工業社製)5mgを生理食塩水に溶解し、除菌濾過し、アンプル内に充填した。
【0029】
実施例3 皮下注射用注射剤
FTS・CHCOOH・2HO(三井製薬工業社製)を単位投与量あたり2mgを2%カルボキシメチルセルロースPBS(リン酸緩衝生理食塩水)溶液中に懸濁し、大豆ホスフアチドからなるLipomal(Huhtamaki Oy/Leiras Pharmaceuticals社製)あるいは静脈用水中油型乳濁液であるIntralipid(Cutter Laboratories社製)と混合した。Lipomalを用いる場合は、FTS溶液PBS溶液とLipomalは等量ずつ混ぜ合わせた。Intralipidを用いる場合は、FTS溶解PBS溶液2.5ml、Tween 80(Sigma Chemicals社製)0.1ml及びIntralipid 4.6mlを混ぜ合わせた。
【0030】
実施例4 リポソーム製剤
リポソーム製剤には、電荷の異なる3種類があり、それらが、更に構造上から、4種類に分類される。
電荷は中性、陽性、陰性の3種であり、構造的には多重層リポソーム(MLV、multilamellar vesicle)、小さな一枚膜リポソーム(SUV、small unilamellar vesicle)、および大きな一枚膜リポソーム(LUV、large unilamellar vesicle)、更にLUVに近似の構造を有しながら数枚膜のもの(REV、reverse−phase evaporation vesicle)の4種類が知られている。
【0031】
▲1▼ FTS封入中性電荷リポソーム
ホスフアチジルコリン類、スフインゴミエリン等のリン脂質、およびコレステロールのクロロホルム溶液をモル比2:1、4:1、あるいは1:1となるように混合し、一旦溶媒を減圧留去したものに、脂質量に対し1/100〜1/1000当量のFTSのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)溶液を添加し、Vortex mixerにて十分混和すると、MLVが得られた。
【0032】
更に、リン脂質の相転移温度(Tc)以上で超音波処理することによりSUVが得られた。
得られたSUVに塩化カルシウム水溶液を加え、37℃で1時間インキュベートして融合させた後、EDTAを添加し、37℃で30分間インキュベートしてCa++を除くと、LUVが得られた。
【0033】
REVは以下の通りにして調製される。すなわち脂質のクロロホルム溶液から溶媒を減圧留去した後、ジエチルエーテルを適当量加えて充分に溶解したものに、FTSのPBS溶液を加え、超音波処理すると均一な単相の溶液となった。得られた溶液を室温にて減圧濃縮した後、PBS溶液を加え、Vortex mixerにて充分に混和すると、REVが得られた。
【0034】
▲2▼ FTS封入陽性電荷リポソーム
脂質の構成成分が異なるだけで、調製方法は上記中性電荷リポソームの場合と同様である。
ホスフアチジルコリン類、スフインゴミエリン等のリン脂質、コレステロール、およびステアリルアミン等の陽性電荷の高級脂肪族アミンをモル比で7:2:1又は4:1:1で混合して、脂質成分とし、同様の方法でFTSを封入した。
【0035】
▲3▼ FTS封入陰性電荷リポソーム
ホスフアチジルコリン類、スフインゴミエリン等のリン脂質、コレステロールおよびジセチルホスフエート、スルフアチド等の陰性電荷の高級脂肪族エステル等をモル比で7:2:1又は4:1:1で混合して、脂質成分とし、同様の方法でFTSを封入した。
【0036】
実施例5 軟膏剤
FTS・CHCOOH・2HO(三井製薬工業社製)2mgを精製水に溶解した。次に白色ワセリン25g、ステアリルアルコール20g、HCO−604gおよびモノステアリン酸グリセリン1gをとり、混和して予め調製したプロピレングリコール12g、パラオキシ安息香酸メチル0.1g、パラオキシ安息香酸プロピル0.1gの水溶液(FTS含有)を加えて充分に混和し、乳液とした後、冷却して固化するまで混和操作を続けて調製した。
【0037】
実施例6 坐剤
FTS・CHCOOH・2HO(三井製薬工業社製)10mgを予め加温したハードファットに分散し、全量を2gとした。
【0038】
実施例7 経鼻用カプセル剤
FTS 0.05mgを無菌条件下で29.95mgのミグリオル812中性油(ダイナマイトノーベル社製)に溶解した。この溶液を常用の単位投与用投与器に充填し、これを使用前に駆動カプセルに装着した。
【0039】
実施例8 点鼻剤
蒸留水に以下の量のリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、塩化ナトリウム及びEDTA−ジナトリウム塩を室温にて溶解した。この溶液にFTSを溶解し、メンブランフィルターにより濾過した。
【0040】
FTS・CHCOOH・2HO 0.10mg
リン酸一水素ナトリウム・2HO 0.30mg
リン酸二水素ナトリウム・12HO 10.10mg
塩化ベンザルコニウム 0.10mg
エチレンジアミン四酢酸−ジナトリウム塩(EDTA) 0.50mg
塩化ナトリウム 4.50mg
蒸留水 987.60mg
pH値 5.0±0.3
【0041】
実施例9 経鼻用スプレー製剤
FTS・CHCOOH・2HO(三井製薬工業社製)2mgをヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースに懸濁し、噴霧製剤機にてスプレー用剤とした。
以下に、本発明の薬剤に関する薬理実験、毒性実験の例を掲げる。
【0042】
【実験例】
実験例1
マボヤの被嚢を介して体腔内にFTSを300μg/個体、1日1回、7日間、連続投与した。投与前、投与後各日の体液を採取し、遠心分離後の上清をプラズマ画分として得、陰イオン交換HPLCと2次元電気泳動による蛋白質量の変動を追跡した。コントロールとして、Herbst人工海水を対照群のマボヤに同様に投与した。プラズマ蛋白質を解析したところ、FTSにより56KDa蛋白質が増加することが明らかになった。
【0043】
この蛋白質を逆相HPLCにより精製し、N末端アミノ酸配列を決定、更にエンドペプチダーゼによりこの蛋白質を加水分解し、得られた各ペプチド断片のN末端アミノ酸配列を決定し、ホモロジー検索を行った。検索の結果、この蛋白質はヒトトランスフェリン(MacGillivray,R.T.A.et al;Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,79(8),2504〜2508(1982))と相同性が高い物質であることが明らかにされた。
【0044】
たとえば、ヒトトランスフェリンN末端より1番から20番のアミノ酸配列がVPDKTVRWCA VSEHEATKCQであるのに対し、ホヤでは、TNDSQQRWCC KSQAELDKXQであった。またヒトトランスフェリンの383番から400番のアミノ酸配列がNGEADAMS LDGGFVYIAGであるのに対し、ホヤではNGEADLMF LDGGDIYRSEであった。またヒトトランスフェリンの457番から467番のアミノ酸配列がTAGWNIPMGLLであるのに対し、ホヤではTSGWNTPIGWIであった。更にヒトトランスフェリンの506から525番のアミノ酸配列がCEPNN KEGYYGYTGA FRCLVであるのに対し、ホヤではCDRDN DEQYYGYAGAFRCLKであった。
【0045】
実験例2
6週令および1年令C3H/HeNマウスにFTS物質50μgを1日1回、7日間連続投与した。投与前、投与後各日の血液を採取し、遠心分離後の上清をプラズマ画分として得、実験例1と同様に解析したところ、FTS投与により80kDaトランスフェリン蛋白質が増加することが明らかにされた。また肝臓等の臓器をホモジナイズし、mRNA、タンパク質の同定を行ったところ、トランスフェリンの生産の増強・誘導がFTS投与後のマウスに顕著に見られた。
【0046】
実験例3 毒性試験
ddy系5週令雄性マウス1群5匹に、FTS50mg/kg及び100mg/kgをそれぞれ連日14日間、皮下投与したが、何ら毒性は見られなかった。
【0047】
実験例4 毒性試験
5週令のウイスターラット1群10匹に、FTS30mg/kgを連日21日間、皮下投与したが、何ら毒性は見られなかった。
【0048】
以上述べたように、本発明に係わる薬剤は、生体に投与しトランスフェリンの生産を増強・誘導することが明らかにされた点で画期的なものである。また、本発明において使用するノナペプチドは動物由来のペプチドであり、天然物質でもあるので、類似のアミノ酸配列を持つ他のFTS類縁体と異なり、生体においても全く無害であり、抗原性、アナフラキシーショックなどの問題も存在せず、安全性については問題は全く存在しない。

Claims (1)

  1. 下記のアミノ酸配列:pGlu−Ala−Lys−Ser−Gln−Gly−Gly−Ser−Asnを有するノナペプチド又はその薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有することを特徴とする、臓器・組織・細胞からのトランスフェリンの生産・誘導用薬剤。
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