[go: up one dir, main page]

JP3704758B2 - 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法 - Google Patents

1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3704758B2
JP3704758B2 JP20875295A JP20875295A JP3704758B2 JP 3704758 B2 JP3704758 B2 JP 3704758B2 JP 20875295 A JP20875295 A JP 20875295A JP 20875295 A JP20875295 A JP 20875295A JP 3704758 B2 JP3704758 B2 JP 3704758B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
reaction
noble metal
supported
tetrahydrofuran
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP20875295A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0959190A (ja
Inventor
晴彦 日下
浩悦 遠藤
裕子 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP20875295A priority Critical patent/JP3704758B2/ja
Publication of JPH0959190A publication Critical patent/JPH0959190A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3704758B2 publication Critical patent/JP3704758B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Furan Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マレイン酸類を原料として、接触水素化反応することにより1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランを製造する方法に関する。
1,4−ブタンジオールは、主にポリブチレンテレフタレートやポリウレタン等のプラスチック原料として使用されるほか、ピロリジン、アジピン酸等の製造中間体等として使用されている。また、テトラヒドロフランは、沸点が低く優れた溶解力をもつため溶媒として使用されるほか、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、テトラヒドロチオフェン等の原料として使用されている。
【0002】
【従来の技術】
従来、無水マレイン酸等の含酸素C4 炭化水素を水素化する方法は数多く報告されており、最も良く知られている方法として銅系の触媒を用いる方法がある。しかしながら、この方法では、マレイン酸等の有機カルボン酸を直接還元することができないため、カルボン酸を一旦エステルに転換後還元しなければならず、また、一般に200気圧以上の水素加圧下で反応を行うので、エネルギー的にも設備的にも不利な方法である。
【0003】
一方、マレイン酸等のカルボン酸を直接還元できる触媒もいくつか提案されており、例えば、特開昭63−218636号公報及び米国特許第4,659,686号明細書には、活性炭に担持したパラジウム−レニウム触媒を用いてマレイン酸水溶液からテトラヒドロフラン又はγ−ブチロラクトンを製造する方法が記載されている。しかしながら、前者に記載の方法では反応基質濃度が低く、米国特許明細書に記載の方法では、反応を行う際に150気圧以上の水素圧力が必要である。また、米国特許第4,827,001号明細書には、ルテニウム−鉄酸化物を触媒としてマレイン酸を直接還元する方法が提案されているが、この方法においては、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトンの選択率が十分でない。
【0004】
さらに、プロセスの見地から検討された特許もいくつか開示されており、例えば米国特許第5,196,602号明細書には、マレイン酸もしくはマレイン酸無水物を2段で水素化する方法において、後段の反応をRu−Co−Ni−Zn系触媒を用いて行う方法が記載されているが、実施例の結果では活性は低いレベルにとどまっている。また、特開平5−238971号公報には、コバルト含有触媒を用いて無水マレイン酸を2段で水素化する1,4−ブタンジオールの製法が開示されているが、反応が200〜350バールと非常な高圧を要するという欠点があった。
一方、特開平5−246915号公報には、カルボン酸類の水素化反応には、第VIII族の貴金属を多孔質炭素からなる担体に担持した触媒が高活性で優れた成績を示すこと、及び、第2金属成分として錫等を共存させると選択性が向上することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平5−246915号公報に担持型触媒として具体的に記載されているRu−Sn系触媒は無水マレイン酸類の水素化反応に使用すると、徐々にSnが溶出してくるという問題があり、工業的には触媒活性の長期安定性の点で改善が望まれている。
【0006】
このように、従来は、いずれの方法においても工業的に不十分であり、マレイン酸類を水素化し、高収率で目的物である1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランを得るためには、反応性を高めるために比較的高い水素圧下に反応を行う必要があった。
本発明は、反応活性の高い触媒を効率的に利用して、温和な条件下マレイン酸類を水素化し、高収率で且つ安定的に1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランを製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水素化触媒の存在下にマレイン酸類を2段で水素化して1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランを製造するに際し、第1段水素化工程にてマレイン酸類をC=C二重結合還元能を有する触媒の存在下に水素化反応に付し、第2段水素化工程にて、第1段水素化反応生成物を担持型貴金属−Sn系触媒の存在下に水素化反応に付すことを特徴とする1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の方法では、マレイン酸類(無水マレイン酸、マレイン酸、及びマレイン酸のエステル、又はこれらの混合物)を反応の原料とする。
第1段水素化工程は、マレイン酸類のC=C二重結合を還元する能力が有る公知の水素化触媒の存在下に行われる。例えば、担持型Pd系、Ru系、Pt系、Rh系触媒、Cu−クロマイト系触媒、Cu−Zn−Al酸化物系触媒等が使用される。これら触媒は、単独でも、複数組み合わせ用いても良い。中でも担持型Pd系触媒が好適に用いられる。担持型触媒の場合の担体は、水素化反応条件下で安定に存在できることを条件に自由に選択できる、例えば、活性炭、けいそう土、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の多孔質担体を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0009】
中でも特に活性の面から、活性炭担持型Pd触媒が好適に使用される。その場合のPd金属の担持量は、0.01重量%以上で有れば良く、担持量の上限はないが、経済性を考えると10重量%以下がよい。
使用される触媒の量は、回分反応の場合、マレイン酸類の反応原料100重量部に対し0.01〜100重量部であることが望ましいが、反応温度又は反応圧力等の諸条件に応じ、実用的な反応速度が得られる範囲内で任意に選ぶことができる。
【0010】
反応温度は、20℃〜250℃の範囲内、好適には、30℃〜200℃、更に好適には50℃〜180℃の範囲内である。反応圧力は、0.1MPa〜20MPaの範囲、好適には0.1MPa〜10MPaの範囲である。
反応方式は、液相懸濁反応又は固定床反応のいずれであってもよい。また反応は、無溶媒で行ってもよいし、必要に応じて、反応に悪影響を与えない種類の溶媒を使用してもよい。
【0011】
使用できる溶媒としては、特に制限されないが、具体的には、水;メタノール、エタノール、オクタノール、ドデカノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;その他、ヘキサン、シクロヘキサン、デカリン等の炭化水素類が挙げられる。
特に、マレイン酸類を、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、及び水から選ばれる少なくとも1種の溶媒に溶解すると、マレイン酸類の溶解度が高く、供給が行ない易くなり好ましい。その濃度は反応又は供給時の温度における飽和濃度以下であれば任意の濃度を選択できるが、生産性を考えると15重量%以上が好ましい。マレイン酸類の初期濃度は通常は約20〜60重量%程度である。
【0012】
第1段水素化工程においては、マレイン酸類のエチレン性二重結合(C=C)を水素化して、反応基質の酸性度を低下させる。マレイン酸類の変換率は90モル%以上、好ましくは95モル%であることが望ましい。
第2段水素化反応に用いる触媒中のSnの流出を防止するため反応基質の酸性度を十分に低下させる必要性を勘案すると、具体的には第2段水素化工程に供給される水素化反応処理物中の残留マレイン酸類の濃度を10重量%以下、好ましくは5重量%以下とすることが望ましい。
【0013】
マレイン酸類のC=C結合の水素化による酸性度の低下は、例えば、マレイン酸のpKaは、1.75と5.83であるのに対して、コハク酸では、4.00と5.24であり、水素化反応生成物中のマレイン酸類の残重量濃度10%以下とすることにより、第2段水素化工程への供給原料の酸性度を大幅に低下させることができる。第2段水素化工程の担持型Ru−Sn触媒は、マレイン酸に直接接すると、反応条件によってはその強い酸性により、Snが反応液中に溶出する危険がある。第1段水素化工程でマレイン酸類のC=C二重結合を水素化して酸性度を低下させておくことは非常に重要であり、それにより第2段水素化工程での触媒中のSnの溶出を完全に回避し、触媒の性能を十分引き出すことができる。
【0014】
第2段水素化工程は、第1工程で得られた水素化反応生成物を目的物である1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランまで変換するために、担持型貴金属−Sn系触媒、特にRu−Sn系触媒もしくはこれにPt及びRhから選ばれる少なくとも1種の金属を組み合わせて担持した触媒の存在下に行う。
第1段反応において溶媒を使用する場合、第2段水素化工程に供給される第1段水素化反応生成物の溶液は必要あれば濃縮してもよく、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上の生成物を含む溶液が用いられる。
【0015】
該担持型触媒の担体としては、活性炭、けいそう土、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の多孔質担体を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。該触媒の活性を十分に得るためには、担体が高表面積であると良いので、上記した中でも、特に活性炭、及びシリカがより好ましい。
なお、貴金属成分とSnの原料化合物としてはそれらの金属の硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸塩が一般的に使用されるが、酢酸等の有機酸塩、水酸化物、酸化物又は、一般に知られている有機金属化合物や錯塩も使用することもできる。
【0016】
担体に金属成分を担持する方法としては、浸漬法、イオン交換法、ゾル−ゲル法、など通常の調製法で採用されている方法はいずれも適用可能である。中でも特に簡便な浸漬法が好ましく採用される。浸漬法によるときは、通常、担持する金属の原料化合物を水等の該化合物を溶解可能な溶媒に溶解して、金属化合物の溶液とし、これに別途調製した多孔質担体を浸漬して担体に触媒成分を担持させる。
【0017】
担体に各金属成分を担持する順序については特に制限はなく、全ての金属成分を一度に同時に担持しても、各成分を個別に担持しても、また成分のいくつかを組み合わせて複数回にわたって担持してもよい。
しかし、まずRuとSnを先に担体に担持して乾燥、還元処理し、その後にPt及び/又はRhを追加して担体に担持すると反応活性をさらに高める事ができる。このPt及び/又はRhを後から担持する事による活性向上の理由は、詳しくは解っていないが、水素の活性化能もしくは水素化反応活性の高いPt及び/又はRhを後から担持することで、これらの金属が触媒表面に担持でき、この表面の金属が水素化反応において有効に機能しているためと推定している。
【0018】
貴金属成分及びSnの担持量はそれぞれ、担体に対して、通常0.5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。Pt及び/又はRhは、Ruに対して0.01〜10重量倍量共存させるのが活性向上の観点から好ましい。Snは、貴金属成分に対して、通常0.1〜5重量倍量共存させるのが、生成物の選択性向上の観点から好ましい。
【0019】
金属成分の溶液を浸漬担持した後には(複数回に亘って浸漬担持する場合にはその都度)、乾燥を行う。乾燥は、200℃以下の温度で、減圧下、もしくは空気や不活性ガス等の乾燥ガスを通気しながら行う。その後、必要に応じて焼成、還元処理を行う。
焼成処理は、通常100〜600℃の温度範囲で行われる。また、還元処理を行う場合には、公知の液相還元法、気相還元法が採用され、気相還元法の場合、通常100〜500℃の温度範囲、好ましくは200〜350℃の範囲で行われる。還元処理を行った後の触媒の構造の詳細は不明であるが、上記の還元条件では、貴金属成分は実質的に全てが金属に還元されると推定され、Snは、一部分が2価又は4価で残存すると推定される。
【0020】
回分反応の場合には、使用される触媒の量は、無水マレイン酸等の反応原料100重量部に対し0.1〜100重量部であることが望ましいが、反応温度又は反応圧力等の諸条件に応じ、実用的な反応速度が得られる範囲内で任意に選ぶことができる。
第2段水素化工程の反応条件に関して、温度は、通常130〜350℃、好ましくは160〜300℃、反応圧は、通常1〜30MPa、好ましくは5〜20MPaの条件が採用される。
【0021】
反応方式は、液相懸濁反応又は固定床反応のいずれであってもよい。
また反応は、無溶媒で行ってもよいし、必要に応じて、反応に悪影響を与えない種類の溶媒を使用してもよい。この際使用できる溶媒としては、特に制限されないが、具体的には、水;メタノール、エタノール、オクタノール、ドデカノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;その他、ヘキサン、シクロヘキサン、デカリン等の炭化水素類が挙げられる。
【0022】
また、第1段、第2段の各水素化工程は、上記構成を満たす限りにおいて各々の反応工程を複数の反応器で構成した多段階に分割して行っても良い。
なお、本発明による方法で製造した1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランは、蒸留等の公知の方法により分離精製される。また、この分離精製後に残る未反応原料又は反応中間体としてのγ−ブチロラクトン等は、反応原料として再使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。なお、以下において特に記載のないかぎり、「%」は「重量%」を示す。
【0024】
参考例1(第1水素化工程において使用可能な触媒の例)
エヌ・イー ケムキャット社製担持触媒(それぞれ300℃、2時間水素還元したもの)を用い、次記の条件で無水マレイン酸の水素化反応を行い、得られた値に基づきマレイン酸に0次の反応速度定数k及びマレイン酸が90モル%変換するのに要する反応時間を計算した結果を表1に示す。
(反応)無水マレイン酸3gを水7gに溶解し、触媒0.22gと共に70mlスピナー攪拌オートクレーブに仕込んだ。次に系内を水素で充分置換した後、室温下3MPaの水素を圧入し、80℃で1時間反応を行った。反応終了後、触媒をろ別してから、ろ液を液体クロマトグラフィーにより分析した。
【0025】
【表1】
Figure 0003704758
【0026】
参考例2(第2段水素化工程用触媒の調製例)
(1)5N−HCl水溶液3.61mlに、RuCl3 ・3H2 Oを1.578g、H2 PtCl6 ・6H2 Oを0.903g、SnCl2 ・2H2 Oを0. 950gを加えて溶解した後、この混合溶液に担体としてSiO2 (富士デヴィソン社製、スペシャルグレード12 比表面積679m2 /g、細孔容量0.37ml/g)を8.55gを加え良くかき混ぜ、含浸させた。このものを回転減圧乾燥器で60℃、25mmHg下で溶媒の水を除去した後、窒素雰囲気下150℃で2時間乾燥処理し、ついで水素雰囲気下、300℃で2時間還元処理して、6.1%Ru−3.4%Pt−5.0%Sn/SiO2 の触媒を調製した。
(2)上記した手順と同様の手法で、5.1%Ru−3.4%Pt−3.0%Sn/SiO2 の触媒を調製した。
【0027】
実施例1
<第1段水素化工程>
無水マレイン酸50gを水50gに溶解し、2%Pd/C(エヌ・イー ケムキャット社製)0.5gを200℃、2時間水素還元したものと共に200 ml誘導攪拌式オートクレーブに仕込んだ。次に系内を水素で充分置換した後、水素圧7MPa、80℃で1時間反応を行った。反応終了後、触媒をろ別してから、ろ液を液体クロマトグラフィーにより分析した。その結果、無水マレイン酸の転化率は100モル%で、コハク酸の選択率は99.6モル%、フマル酸の選択率は0.1モル%であった。
【0028】
<第2段水素化工程>
第1段水素化工程で得られた反応生成物に水を加えコハク酸濃度50重量%の水溶液を調製し、容量200mlのオートクレーブに、得られたコハク酸水溶液50gを入れ、更に参考例2(1)で調製した触媒4gを仕込み、攪拌しつつ2MPaの水素を圧入し、240℃まで昇温した。オートクレーブ内温を240℃に維持しつつ、水素を圧入して水素圧を7MPaまで高め、消費される分の水素を絶えず補いながらこの圧力保ち2時間反応を行った。反応終了後、反応生成物をガスクロマトグラフィで分析したところ、コハク酸の変換率は100モル%であり、対コハク酸収率としてTHFが67.8モル%、γ−ブチロラクトンが10.5モル%、1,4−ブタンジオールが4.6モル%で、また、対無水マレイン酸通算収率で夫々67.6モル%、10.5モル%、4.6モル%で得られた。なお、反応生成物の中には、副生成物として対コハク酸収率でプロパノールが3.0モル%、ブタノールが5.1モル%で、また、無水マレイン酸通算収率では夫々3.0モル%、5.1モル%含まれており、また気相部から、仕込んだコハク酸のCを基準として7.3%対コハク酸収率、無水マレイン酸通算収率では7.3モル%のガス成分(メタン、エタン、プロパン、ブタン)が検出された。
【0029】
実施例2
<第1段水素化工程>
無水マレイン酸15gを水35gに溶解し、5%Pd/C(エヌ・イー ケムキャット社製)0.2gを300℃、2時間水素還元したものと共に200ml誘導攪拌式オートクレーブに仕込んだ。次に系内を水素で充分置換した後、水素圧1MPa、80℃で1時間反応を行った。反応終了後、触媒をろ別してから、ろ液を液体クロマトグラフィーにより分析した。その結果、無水マレイン酸の転化率は100モル%で、コハク酸の選択率は100モル%であった。
【0030】
<第2段水素化工程>
容量200mlのオートクレーブに、第1段水素化工程で得られたコハク酸水溶液を50重量%水溶液に濃縮したもの50gを入れ、更に参考例2(1)で調製した触媒4gを加え、室温下攪拌しつつ2MPaの水素を圧入し、240℃まで昇温した。オートクレーブ内温を240℃に維持しつつ、水素を圧入して水素圧を7MPaまで高め、水素を反応器出口で30ノルマルリットル/時間で流通させ、この圧力で2時間反応を行った。この間、流通するH2 に同伴されてTHF等の軽沸成分が反応系から分離されて得られた。反応終了後、反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の変換率は100モル%であり、対コハク酸収率でTHFが84.1モル%、γ−ブチロラクトンが0.4モル%で得られた。また、反応生成物の中には、副生成物としてプロパノールが収率4.3モル%、ブタノールが収率3.9モル%で含まれており、また気相部から、仕込んだコハク酸のCを基準として8.2%のガス成分(メタン、エタン、プロパン、ブタン)が検出された。なお、これらの生成物の無水マレイン酸通算収率も同様であった。
【0031】
実施例3(金属成分溶出試験)
触媒の安定性を示す以下の金属成分溶出試験を行った。なお、この溶出試験は、水素雰囲気下で行うと、例えば、マレイン酸からコハク酸への反応が進行するなどして、適正な評価ができないため、窒素雰囲気下で行った。
【0032】
(1)無水マレイン酸4.5g、水10.5g、および参考例(2)で調製した触媒0.4gを70mlオートクレーブに仕込み、内部を窒素で置換した後、窒素1気圧で、240℃、1時間処理した。この処理液から触媒を除去した後、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)により処理液中に溶出した金属成分の量を定量したところ、RuとPtは検出限界以下(担持量の0.1重量%以下)であったが、Snは担持量の3.8重量%が溶出しており、この条件ではRu−Pt−Sn/SiO2 触媒は安定に存在できない事が判明した。
(2)無水マレイン酸を無水コハク酸に変えた以外は、上記(1)と同様の処理を行った。Ru、Pt、Sn全ての金属の溶出はICP−AESの検出限界以下であった。この結果から、コハク酸の存在下ではRu−Pt−Sn/SiO2 触媒は金属成分の溶出もなく安定に存在する事が判明した。
(3)無水マレイン酸10g、水10g、5%Pd/C(エヌ・イー ケムキャット社製)0.44gを70mlオートクレーブに仕込み、内部を窒素で置換した後、窒素1気圧で、80℃、1時間処理し、同様にして処理液中に溶出したPdの量を定量したところ、検出限界以下であり、<0.05ppmである事が分かった。
(4)上記(3)と同様にして、7時間処理を行ったが、Pdの溶出は認められなかった。
以上の結果より、本発明の方法が、触媒の安定性の維持に大きく寄与し、触媒を長期に渡って安定に使用する事ができると判断される。
【0033】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、無水マレイン酸、マレイン酸、無水コハク酸、コハク酸、γ−ブチロラクトン又はこれらの混合物を原料とし、接触水素化反応により比較的温和な反応条件下で、1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランを長期に亘り安定して高収率で製造することができ、その工業的利用価値は極めて大である。

Claims (10)

  1. 水素化触媒の存在下にマレイン酸類を2段で水素化して1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランを製造するに際し、第1段水素化工程にてマレイン酸類をC=C二重結合還元能を有する触媒の存在下に水素化反応に付し、第2段水素化工程にて第1段水素化反応生成物を担持型貴金属−Sn系触媒の存在下に水素化反応に付すことを特徴とする1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法。
  2. 第1段水素化工程の触媒が、担持型貴金属系触媒、Cu−クロマイト系触媒、Cu−Zn−Alを含む酸化物触媒の群から選ばれるものである請求項1に記載の方法。
  3. 担持型貴金属系触媒が、Pd、Ru、Pt及びRhの群から選ばれる貴金属を含有する担持型触媒である請求項2に記載の方法。
  4. 担持型貴金属系触媒が、Snを含有しないものである請求項3に記載の方法。
  5. 担持型貴金属系触媒が、Pd系触媒である請求項4に記載の方法。
  6. Pd系触媒がPd/C系触媒である請求項5に記載の方法。
  7. 担持型貴金属−Sn系触媒の貴金属が、Ru、Pt及びRhから選ばれるものである請求項1に記載の方法。
  8. 担持型貴金属−Sn系触媒が、Ru−Sn系触媒である請求項7に記載の方法。
  9. Ru−Sn系触媒が、更にPt及びRhから選ばれる少なくとも1種の金属を組み合わせて担持した触媒である請求項8に記載の方法。
  10. マレイン酸類を、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、及び水から選ばれる少なくとも1種の溶液として供給する請求項1に記載の方法。
JP20875295A 1995-08-16 1995-08-16 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法 Expired - Fee Related JP3704758B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20875295A JP3704758B2 (ja) 1995-08-16 1995-08-16 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20875295A JP3704758B2 (ja) 1995-08-16 1995-08-16 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0959190A JPH0959190A (ja) 1997-03-04
JP3704758B2 true JP3704758B2 (ja) 2005-10-12

Family

ID=16561499

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20875295A Expired - Fee Related JP3704758B2 (ja) 1995-08-16 1995-08-16 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3704758B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6008384A (en) * 1998-03-03 1999-12-28 E. I. Du Pont De Nemours And Company Method and Ru,Re,Sn/carbon catalyst for hydrogenation in aqueous solution
MY137467A (en) * 2000-08-29 2009-01-30 Innovene Usa Llc Two-stage process for the hydrogenation of maleic acid to 1,4-butanediol
FR2958642B1 (fr) * 2010-04-07 2012-07-06 Rhodia Operations Procede d'une preparation d'une lactone.

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0959190A (ja) 1997-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4472109B2 (ja) カルボン酸水添用触媒
JPH10306047A (ja) 1,6−ヘキサンジオールの製造方法
KR100417353B1 (ko) 푸란으로부터1,4-부탄디올및테트라히드로푸란을제조하는방법
JP2001046874A (ja) 水素化用触媒、及びこれを用いるカルボン酸類からのアルコール類の製造方法
JPH0513703B2 (ja)
JP3941981B2 (ja) マレイン酸を水素化して1,4−ブタンジオールとするための改善された触媒
JP3704758B2 (ja) 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法
JP3921877B2 (ja) 1,4−シクロヘキサンジメタノールの製造方法
JP2000007596A (ja) 1,4−シクロヘキサンジメタノールの製造方法
JP4354556B2 (ja) 1,4−ブタンジオールへのマレイン酸の水素化のための改良されたプロセス
JP3704728B2 (ja) 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法
JP3744023B2 (ja) 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法
JP4472108B2 (ja) カルボン酸水添触媒
CN114643066B (zh) 一种加氢催化剂及其制备方法和应用以及环己基甲酸的制备方法
US6464954B2 (en) Method for hydrogenating an anthraquinone compound
JP4476385B2 (ja) マレイン酸の1,4−ブタンジオールへの水素添加用改良触媒
JPH09118638A (ja) シクロオレフィンの製造方法
JP2001011000A (ja) 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法
JP3873389B2 (ja) 1,6−ヘキサンジオールの製造法
JP4014287B2 (ja) 3−アシロキシシクロヘキセンの製造方法
CN108014817B (zh) 丁二烯合成1,4-二乙酰氧基丁烷过程的催化剂
JPH1112207A (ja) 水性マレイン酸を水素化して1,4−ブタンジオールとするための改善された触媒
JP3915153B2 (ja) 3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールの製造方法
JP2005539078A (ja) 光学的に純粋な(S)−β−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの連続製造方法
JPH1160524A (ja) 1,6−ヘキサンジオールの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050705

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050718

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090805

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100805

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees