JP3862278B2 - グルタメートゲートを具えた塩化物チャンネルをコードするdna - Google Patents
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Description
グルタミン酸依存性塩素イオンチャンネル(glutamate-gated chloride channel)もしくはH受容体は節足動物の神経及び筋肉において同定され(C. Lingle及びE. Marder, Brain Res. 212, pp.481−488, 1981; B. G. Horseman, C. Seymour, I. Bermudez及びD. J. Beadle, Neurosci. Lett. 85, pp.65−70, 1988; K. A. Wafford及びD. B. Sattelle, J. Exp. Bio. 144, pp.449−462, 1989; T. J. Lea及びP. N. R. Usherwood, Comp. Gen. Pharmacol. 4, pp.333−350, 973; S. G. Cul−Candy, J. Physiol. 255, pp.449−464, 1976)、土壌線虫のCaenorhabditis elegansからクローン化されている(D. F. Cully, D. K. Vassilatis, K. K. Liu, P. S. Paress, L. H. T. Van der Ploeg, J. M. Schaeffer及びJ. P. Arena, Nature 371, pp.707−711, 1994)。このチャンネルは、広く用いられているアベルメクチンクラスの駆虫薬及び殺虫薬化合物の重要な標的である。アベルメクチンは、元来放線菌のStreptomyces avermitilisから単離された大環状ラクトン類である。半合成アベルメクチン誘導体のイベルメクチン(22,23−ジヒドロ−アベルメクチンB1a)は世界中で、ヒト及び動物の寄生蠕虫及び有害昆虫の処理に用いられている。およそ15年前に発見されたアベルメクチンは今でも、受容者に対して僅かな毒性しか示さない最も強力な広スペクトルエンデクトサイド(endectocides)である。アベルメクチンは線虫(J. M. Schaeffer及びH. W. Haines, Biochem. Pharm. 38, pp.2329−2338, 1989; D. F. Cully及びP. S. Paress, Molecular Pharm. 40, pp.326−332, 1991)及び昆虫(S. P. Rohrer, P. T. Meinke, E. C. Hayes, H. Mrozik及びJ. M. Schaeffer, Proc. Natl. Acad. Sci. 89, pp.4168−4172, 1992)の膜の高親和性部位と実質的に不可逆的に相互作用し、線虫(R. J. Martin及びA. J. Pennington, Br. J. Pharmacol. 98, pp.747−756, 1989)、節足動物(R. H. Scott及びI. R. Duce, Pestic. Sci. 16, pp.599−604, 1985; I. R. Duce及びR. H. Scott, Brit. J. Pharmacol. 85, pp.395−401, 1985)及び甲殻類(F. Zufall, C. Franke及びH. Hatt, J. Exp. Biol. 142, pp.191−205, 1989)において膜塩素イオン透過性の上昇を惹起する。アベルメクチンはC. elegans由来のグルタミン酸依存性塩素イオンチャンネルを直接活性化し(J. P. Arena, K. K. Liu, P. S. Paress及びD. F. Cully, Mol. Pharmacol. 40, pp.368−374, 1991; J. P. Arena, K. K. Liu, P. S. Paress, J. M. Schaeffer及びD. F. Cully, Mol. Brain Res. 15, pp.339−348, 1992; D. F. Cully, D. K. Vassilatis, K. K. Liu, P. S. Paress, L. H. T. Van der Ploeg, J. M. Schaeffer及びJ. P. Arena, Nature 371, pp.707−711, 1994)、またイナゴの筋肉においてグルタミン酸依存性塩素イオンチャンネルの電流を直接活性化または増強する(R. H. Scott及びI. R. Duce, Pestic. Sci. 16, pp.599−604, 1985; E. Aydar, L. Harding, D. J. Beadle及びI. Bermudez, “Proceedings of the British Pharmacological Society,” p.24, 1993)ことが判明している。
発明の概要
節足動物におけるアベルメクチン作用の標的をクローン化し、かつ特性解明したが、これはリガンド依存性チャンネルのうちのグルタミン酸依存性塩素イオンチャンネル類の新規な一員である。逆転写PCR法を用いて、ショウジョウバエグルタミン酸及びアベルメクチン感受性塩素イオンチャンネルをコードする機能性DNA分子を単離した。このDNA分子から得られるタンパク質の電気生理学的特性及び構造特性を、アミノ酸及びヌクレオチド配列同様開示する。本発明の組み換えタンパク質はチャンネルの調節因子の同定に有用である。本発明の方法で同定した調節因子は、殺虫薬、外部寄生虫駆除薬、内部寄生虫駆除薬、ダニ駆除薬及び駆虫薬を含めた治療薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
図1はDros GluClのヌクレオチド配列を示す説明図である。
図2はDros GluClのアミノ酸配列を示す説明図である。
図3はアフリカツメガエル卵母細胞において発現されたDros GluClの電気生理学的特性の説明図である。
図4は化合物1の構造を示す説明図である。
図5はDros GluClの系統発生学的分類分析の説明図である。
詳細な説明
本発明は、節足動物のグルタミン酸及びアベルメクチン感受性塩素イオンチャンネル(GluCl)産生細胞から単離した、GluClをコードするDNAに係わる。本明細書中に用いた記号GluClは、グルタミン酸またはアベルメクチンによってゲート(gate)されるアニオンチャンネルとして特異的に機能し得るタンパク質を意味する。
Dros GluClのアミノ酸配列はこれまで知られておらず、Dros GluClをコードするヌクレオチド配列も未知であった。本発明は、グルタミン酸依存性塩素イオンチャンネルの節足動物からのクローニングを初めて報告するものである。Dros GluClは、以前にクローン化されたC. elegans GluClα及びGluClβ(D. F. Cully, D. K. Vassilatis, K. K. Liu, P. S. Paress, L. H. T. Van der Ploeg, J. M. Schaeffer及びJ. P. Arena, 上掲誌)と関連付けられる。C. elegansチャンネルとは異なり、Dros GluClはアベルメクチンまたはグルタミン酸による直接活性化のためにただ1種のポリペプチドしか要しない。加えて、Dros GluClは、米国特許第5,399,582号に詳述された該特許の主題である殺虫薬の化合物1(図5)によって直接活性化される。アベルメクチンに対して感受性であるショウジョウバエ関連生物はいずれも上述のグルタミン酸及びアベルメクチン感受性チャンネルを有すると予測される。GluClを産生し得るショウジョウバエ細胞には、アベルメクチンに対して感受性である生物から単離した筋肉または神経細胞が非限定的に含まれる。アベルメクチン感受性動物は多様であり、節足動物門及び線形動物門に属する無脊椎動物が含まれる。
GluCl cDNAの単離に用いるのに他の細胞及び細胞系が適当である場合も有る。適当な細胞は、細胞抽出物においてGluCl活性に関しスクリーニングを行なうことにより選択し得る。GluCl活性は、放射性標識したイベルメクチンもしくは放射性標識した化合物1、またはその誘導体を用いる結合アッセイを行なう(Cully及びParess,上掲誌; Rohrer等,上掲誌)か、またはグルタミン酸、化合物1もしくはアベルメクチン感受性である塩素イオンチャンネルを直接電気生理学的に測定する(R. J. Martin及びA. J. Pennington, Br. J. Pharmacol. 98, pp.747−756, 1989; R. H. Scott及びI. R. Duce, Pestic. Sci. 16, pp.599−604, 1985; I. R. Duce及びR. H. Scott, Brit. J. Pharmacol. 85, pp.395−401, 1985; F. Zufall, C. Franke及びH. Hatt, J. Exp. Biol. 142, pp.191−205, 1989)ことによってモニターし得る。このアッセイにおいてGluCl活性を示す細胞はGluCl DNAまたはRNAの単離に適し得る。
GluCl DNAの分子クローン化には、当業者に公知である様々な操作のうちの任意のものを用い得る。前記操作には、適当な発現ベクター系においてGluCl含有DNAライブラリーを構築した後にGluCl遺伝子を直接機能性発現させることが非限定的に含まれる。バクテリオファージまたはプラスミドシャトルベクター中に構築したGluCl含有DNAライブラリーを、GluClタンパク質のアミノ酸配列から設計して標識したオリゴヌクレオチドプローブでスクリーニングするのも一法である。更に、バクテリオファージまたはプラスミドシャトルベクター中に構築したGluCl含有DNAライブラリーを、GluClタンパク質をコードする部分的cDNAでスクリーニングすることから成る方法も有る。前記部分的cDNAは、精製したGluClタンパク質のアミノ酸配列から設計した縮重オリゴヌクレオチドプライマーを用いて行なうGluCl DNA断片の特異的PCR増幅によって得られる。
更に別の方法では、GluCl産生細胞からRNAを単離し、このRNAをin vitroまたはin vivo翻訳系を介してタンパク質に翻訳する。前記RNAをペプチドまたはタンパク質に翻訳することによって、例えば抗GluCl抗体との免疫反応性やGluClタンパク質の生物活性によって同定し得るGluClタンパク質の少なくとも一部を調製できる。この方法ではGluCl産生細胞から単離したRNAのプールを、GluClタンパク質の少なくとも一部をコードするRNAの存在について分析する。更に、RNAプールを分画して、非GluCl RNAからGluCl RNAを精製し得る。この方法で調製したペプチドまたはタンパク質を分析してアミノ酸配列を求め、得られた配列を用いてGluCl cDNA調製のためのプライマーを得ることができ、または翻訳に用いるRNAを分析してGluClをコードするヌクレオチド配列を得、GluCl cDNA調製のためのプローブを作製し得る。この方法は当業者に公知であり、例えばJ. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniatis, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual,” Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989中に見出され得る。
他の種類のライブラリー、並びに他の細胞または細胞種から構築したライブラリーもGluClコーディングDNAの単離に有用であり得ることは、当業者にはただちに明らかである。他の種類のライブラリーには、他の細胞に由来するcDNAライブラリー、並びにYAC(酵母人工染色体)を含有するゲノムDNAライブラリー、及びコスミドライブラリーが非限定的に含まれる。
GluCl活性を有する細胞または細胞系から適当なcDNAライブラリーを調製し得ることは、当業者にはただちに明らかである。GluCl cDNAを単離するべくcDNAライブラリーを調製するのに用いる細胞または細胞系は、最初にアベルメクチン及びグルタミン酸感受性塩素イオンチャンネルの電気生理学的測定かまたはグルタミン酸もしくはアベルメクチンリガンド結合アッセイを用いて細胞に関連するGluCl活性を測定することによって選択し得る。
cDNAライブラリーの調製は、当業者に良く知られた標準的な技術で可能である。良く知られたcDNAライブラリー構築技術は、例えばJ. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniatis, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual,” Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989中に見出され得る。
GluClをコードするDNAが適当なゲノムDNAライブラリーからも単離できることも、当業者にはただちに明らかである。ゲノムDNAライブラリーの構築は、当業者に良く知られた標準的な技術で可能である。良く知られたゲノムDNAライブラリー構築技術は、J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniatis, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual,” Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989中に見出され得る。
GluCl遺伝子を上述の方法でクローン化するのにGluClのアミノ酸配列が必要な場合が有る。このアミノ酸配列を得るには、GluClタンパク質を精製してその部分アミノ酸配列を自動配列決定装置で決定し得る。全アミノ酸配列を決定する必要は無く、GluClタンパク質の、6〜8個のアミノ酸から成る二つの領域の直線状配列を決定して、これを部分GluCl DNA断片のPCR増幅のためのプライマー作製に用いる。
適当なアミノ酸配列を同定したら、該配列をコードし得るDNA配列を合成する。遺伝暗号は縮重するので、或る特定のアミノ酸をコードするのに2種以上のコドンが用いられる場合が有り、従ってアミノ酸配列は一組の類似DNAオリゴヌクレオチドのうちのいずれかによってコードされ得る。GluCl配列と同等であるのは一組のDNAオリゴヌクレオチドのうちのただ一つのみであるが、このDNAオリゴヌクレオチドは適当な条件下であれば、ミスマッチを有するDNAオリゴヌクレオチドが存在してもGluCl DNAとハイブリダイズし得る。ミスマッチを有するDNAオリゴヌクレオチドでもなお十分にGluCl DNAとハイブリダイズして、GluClコーディングDNAの同定及び単離を可能にし得る。このような方法で単離したDNAを用いて、無脊椎動物及び脊椎動物ソースから得た様々な細胞種に由来するDNAライブラリーをスクリーニングし、相同遺伝子を単離することができる。
精製された生物活性GluClは幾つかの異なる物理的形態を有し得る。GluClは完全長の新生(nascent)ポリペプチドもしくはプロセシングを受けていないポリペプチドとして、または部分的にプロセシングを受けたポリペプチドか、もしくはプロセシングを受けたポリペプチド同士の組み合わせとして存在し得る。完全長新生GluClポリペプチドは特異的なタンパク質分解性切断事象によって翻訳後修飾され得、前記事象は完全長新生ポリペプチドのフラグメントを生成させる。フラグメント、またはフラグメント同士の物理的会合体はGluClに関連する完全な生物活性を有し得る(グルタミン酸、アベルメクチンまたは化合物1感受性チャンネル)。しかし、GluCl活性の程度は個々のGluClフラグメント及び物理的に会合したGluClポリペプチドフラグメント間で様々となり得る。
本明細書に開示した方法で得られるクローン化GluCl DNAは、適当なプロモーター及び他の適当な転写調節要素を有する発現ベクター中への分子クローニングし、組み換えGluClを産生させるために原核または真核宿主細胞内に移入することにより発現させ得る。このような操作に用いられる技術はJ. Sambrook等,上掲書に詳述されており、かつ当業者に良く知られている。
本明細書では「発現ベクター」を、適当な宿主における遺伝子のクローン化コピーの転写及びそのmRNAの翻訳に必要なDNA配列と定義する。このようなベクターは、大腸菌を含めた細菌、藍藻類、植物細胞、昆虫細胞、酵母細胞を含めた真菌細胞、及び動物細胞などの様々な宿主において真核生物遺伝子を発現させるのに用い得る。
特別に設計されたベクターは、細菌−酵母、細菌−動物細胞、細菌−真菌細胞、または細菌−無脊椎動物細胞などの宿主間でのDNAのシャトル化を可能にする。適当に構築された発現ベクターは、宿主細胞における自律複製のための複製開始点と、選択マーカーと、限られた数の有用な制限酵素部位と、潜在的高コピー数領域と、活性なプロモーターとを有する。プロモーターとはRNAポリメラーゼを、DNAに結合してRNA合成を開始するように導くDNA配列のことである。強いプロモーターは、mRNAの合成開始を高い頻度で惹起するプロモーターである。発現ベクターには、クローニングベクター、改変クローニングベクター、特別に設計されたプラスミドまたはウイルスが非限定的に含まれ得る。
哺乳動物細胞における組み換えGluClの発現には様々な哺乳動物発現ベクターを用い得る。組み換えGluCl発現に適し得る市販の哺乳動物発現ベクターには、pMAMneo(Clontech)、pcDNA3(Invitrogen)、pMC1neo(Stratagene)、pXT1(Stratagene)、pSG5(Stratagene)、EBO−pSV2−neo(ATCC 37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC 37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC 37224)、pRSVgpt(ATCC 37199)、pRSVneo(ATCC 37198)、pSV2−dhfr(ATCC 37146)、pUCTag(ATCC 37460)及びlZD35(ATCC 37565)が非限定的に含まれる。
細菌細胞における組み換えGluClの発現には様々な細菌発現ベクターを用い得る。組み換えGluCl発現に適し得る市販の細菌発現ベクターにはpETベクター(Novagen)及びpQEベクター(Qiagen)が非限定的に含まれる。
酵母などの真菌細胞における組み換えGluClの発現には様々な真菌細胞発現ベクターを用い得る。組み換えGluCl発現に適し得る市販の真菌細胞発現ベクターにはpYES2(Invitrogen)及びPichia発現ベクター(Invitrogen)が非限定的に含まれる。
昆虫細胞における組み換えGluClの発現には様々な昆虫細胞発現ベクターを用い得る。組み換えGluCl発現に適し得る市販の昆虫細胞発現ベクターにはpBlueBacII(Invitrogen)が非限定的に含まれる。
GluClをコードするDNAを、組み換え宿主細胞における発現のための発現ベクター中へクローン化することも可能である。組み換え宿主細胞は原核細胞であっても真核細胞であってもよく、大腸菌などの細菌、酵母などの真菌細胞、ヒト、ウシ、ブタ、サル及び齧歯類起源の細胞系を非限定的に含む哺乳動物細胞、並びにショウジョウバエ及びカイコ由来の細胞系を非限定的に含む昆虫細胞が非限定的に含まれる。適当であり得る市販の哺乳動物種由来細胞系には、CV−1(ATCC CCL 70)、COS−1(ATCC CRL 1650)、COS−7(ATCC CRL 1651)、CHO−K1(ATCC CCL 61)、3T3(ATCC CCL 92)、NIH/3T3(ATCC CRL 1658)、HeLa(ATCC CCL 2)、C1271(ATCC CRL 1616)、BS−C−1(ATCC CCL 26)、MRC−5(ATCC CCL 171)、L細胞及びHEK−293(ATCC CRL 1573)が非限定的に含まれる。
発現ベクターの宿主細胞内への導入は、形質転換、トランスフェクション、プロトプラスト融合、リボフェクション及びエレクトロポレーションを非限定的に含む幾つかの技術のうちのいずれかによって行ない得る。発現ベクター保有細胞をクローン化により増殖させ、個々の細胞を分析してGluClタンパク質を産生するかどうか確認する。GluClを発現させる宿主細胞クローンは、抗GluCl抗体との免疫反応性、及び宿主細胞関連のGluCl活性の存在を非限定的に含む幾つかの手段によって同定し得る。
GluCl DNAの発現は、in vitroで調製した合成mRNAを用いても実現可能である。合成mRNA、またはGluCl産生細胞から単離したmRNAは、小麦胚抽出物及び網状赤血球抽出物を非限定的に含む様々な無細胞系において効率的に翻訳され得、またカエル卵母細胞内へのマイクロインジェクションを非限定的に含む細胞ベースの系においても効率的に翻訳され得るが、好ましいのはカエル卵母細胞内へのマイクロインジェクションである。
最適レベルのGluCl活性及び/またはGluClタンパク質をもたらす(一つ以上の)GluCl DNA配列を確認するべく、GluClタンパク質をコードするGluCl cDNAの完全長読み取り枠(最初のメチオニンの最初のヌクレオチドから最初の終結コドンの前に位置する最後のヌクレオチドまでに対応)を非限定的に含むGluCl DNA分子を構築し得、構築物はGluClタンパク質をコードするcDNAの一部を含む。いずれの構築物も、GluCl cDNAの5′または3′非翻訳領域を含まないかまたはその全部もしくは一部を含むように設計可能である。このような構築物を適当な宿主細胞内に単独で導入し、かつ組み合わせても導入することによってGluCl活性及びタンパク質発現レベルの測定が可能となる。経過的(transient)アッセイにおいて最適発現をもたらすGluCl DNAカセットを確認したらそのGluCl DNA構築物を、哺乳動物細胞、バキュロウイルス感染昆虫細胞、大腸菌及び酵母S. cerevisiaeを非限定的に含む宿主細胞における発現のための様々な発現ベクターに移入する。
次の方法によって、宿主細胞トランスフェクト体及びマイクロインジェクションを行なった卵母細胞をGluClチャンネル活性のレベルとGluClタンパク質のレベルとの両方についてアッセイし得る。組み換え宿主細胞の場合、アッセイはGluCl DNAを含む1種の、または場合によっては2種以上のプラスミドでの同時トランスフェクションを含む。卵母細胞の場合は、アッセイは1種以上のGluClタンパク質をコードする合成RNAまたはDNAの注入を含む。発現を可能にする適当な時間の経過後、細胞タンパク質を例えば35S−メチオニンで24時間代謝標識し、その後細胞溶解物及び細胞培養上清を回収し、これらにおいてGluClタンパク質に対するポリクローナル抗体で免疫沈降を生起させる。
GluCl活性を検出する他の方法の一つに、GluCl cDNAでトランスフェクトした全細胞またはGluCl mRNAを注入した卵母細胞において直接GluCl活性を測定することが有る。GluCl活性は、GluCl DNAを発現させる宿主細胞の特異的リガンド結合特性及び電気生理学的特性によって測定する。GluClが発現される組み換え宿主細胞では、パッチ電圧固定技術を用いて塩素イオンチャンネル活性を測定し、かつGluClタンパク質を定量し得る。卵母細胞では、パッチクランプ技術並びに二電極電圧固定技術を用いて塩素イオンチャンネル活性を測定し、かつGluClタンパク質を定量し得る。
宿主細胞のGluClタンパク質レベルは、免疫アフィニティー及び/またはリガンドアフィニティー技術で測定する。細胞膜への放射性グルタミン酸またはイベルメクチン結合の量を測定することにより、GluCl発現細胞を発現されたGluCl分子の数についてアッセイし得る。GluCl特異的なアフィニティービーズまたはGluCl特異的な抗体を用いれば、例えば35S−メチオニンで標識したかまたは標識していないGluClタンパク質が単離できる。標識したGluClタンパク質はSDS−PAGEで分析する。標識していないGluClタンパク質は、GluCl特異的な抗体を用いるウェスタンブロッティング、ELISAまたはRIAアッセイによって検出する。
遺伝暗号は縮重するので、或る特定のアミノ酸をコードするのに2種以上のコドンが用いられる場合が有り、従ってアミノ酸配列は一組の類似DNAオリゴヌクレオチドのうちのいずれかによってコードされ得る。GluCl配列と同等であるのは一組のDNAオリゴヌクレオチドのうちのただ一つのみであるが、このDNAオリゴヌクレオチドは適当な条件下であれば、ミスマッチを有するDNAオリゴヌクレオチドが存在してもGluCl DNAとハイブリダイズし得る。別の条件下ではミスマッチを有するDNAオリゴヌクレオチドでもGluCl DNAとハイブリダイズして、GluClコーディングDNAの同定及び単離を可能にし得る。
特定の生物に由来するGluClコーディングDNAを用いて他の生物に由来するGluClの相同体を単離及び精製することが可能である。そのためには、第一のGluCl DNAを適当なハイブリダイゼーション条件下に、GluClの相同体をコードするDNAを含有する試料と混合する。ハイブリダイズさせたDNA複合体を単離し、この複合体から相同体DNAをコードするDNAを精製する。
特定のアミノ酸をコードする様々なコドンに相当量の重複が存在することが知られている。従って本発明は、同じアミノ酸の究極的な翻訳をコードする代替コドンを含むDNA配列にも係わる。本明細書の趣旨に副って、1個以上の置換コドンを含む配列を縮重変異体(degenerate variation)と定義する。DNA配列または翻訳されたタンパク質において生起する、発現されたタンパク質の最終的な物理特性を実質的に変更しない突然変異も本発明の範囲内に含まれる。例えば、ロイシンがバリンに、リシンがアルギニンに、またはグルタミンがアスパラギンに置換されてもポリペプチドの機能に変化は生じない。
或るペプチドをコードするDNA配列が天然ペプチドのものとは異なる特性を有するペプチドをコードするように改変され得ることが知られている。DNA配列を改変する方法には、位置特異的突然変異誘発が非限定的に含まれる。変更される特性の例には、酵素の基質に対する親和性や受容体のリガンドに対する親和性の変化が非限定的に含まれる。
本明細書中、GluClの「機能性誘導体」とは、GluClの生物活性と実質的に同様の(機能上または構造上の)生物活性を有する化合物のことである。「機能性誘導体」という語は、GluClの「フラグメント」、「変異体」、「縮重変異体」、「類似体」及び「相同体」、または「化学誘導体」を包含するものとする。「フラグメント」という語は、GluClの任意のポリペプチドサブセットを意味する。「変異体」という語は、完全なGluCl分子またはそのフラグメントと実質的に同様の構造及び機能を有する分子を意味する。GluCl分子と実質的に同様の構造を有するか、または同様の生物活性を有する分子をGluClと「実質的に同様」とする。従って、実質的に同様の活性を有する二つの分子は、一方の分子の構造が他方において見出されなくても、あるいはまた両者のアミノ酸配列が同等でなくても変異体であると看做される。「類似体」という語は、完全なGluCl分子またはそのフラグメントと実質的に同様の機能を有する分子を意味する。
組み換え宿主細胞におけるGluCl発現後、GluClタンパク質を回収してその活性形態とし得る。幾つかのGluCl精製操作が利用可能で、かつ使用に適する。天然ソースからのGluCl精製に関して先に述べたように、塩分画、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイト吸着クロマトグラフィー及び疎水性相互作用クロマトグラフィーを様々に組み合わせてかまたは単独で適用することにより、組み換えGluClを細胞溶解物及び抽出物または馴らし培地から精製し得る。
加えて、完全長新生GluClまたはGluClもしくはGluClタンパク質のポリペプチドフラグメントに対して特異的であるモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いて製造した免疫アフィニティーカラムを用いれば、組み換えGluClを他の細胞タンパク質から分離することができる。
GluClに対する単一特異性抗体を、GluClに対して反応性である抗体を含有する哺乳動物抗血清から精製するか、またはKohler及びMilstein, Nature 256, pp.495−497, 1975の技術を用いてGluClに対して反応性であるモノクローナル抗体として調製する。本明細書中に用いた「単一特異性抗体」という語は、GluClに対して均一の(homogenous)結合特性を有する単抗体種または多抗体種を意味する。本明細書中に用いた「均一の結合」という語は抗体種の、先に述べたGluClに関連する能力のような、特定の抗原またはエピトープと結合する能力を意味する。GluCl特異的な抗体は、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ウマ等のような動物、好ましくはウサギを、免疫アジュバントを伴ったかまたは伴わない適当な濃度のGluClで免疫すると産生される。
初回免疫の前に免疫前(preimmune)血清を採集する。各動物に約0.1〜約1000mgのGluClを、許容可能な免疫アジュバントと共に与える。前記許容可能なアジュバントには、フロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント、ミョウバン沈降物、Corynebacterium parvum含有油中水型乳濁液及びtRNAが非限定的に含まれる。初回免疫は、好ましくはフロイントの完全アジュバント中に存在させたGluClを多数の部位において皮下(SC)投与するか、腹腔内(IP)投与するか、またはこれらの経路の両方から投与することにより行なう。各動物から規則的な間隔で、好ましくは週1回採血(bleed)して抗体力価を測定する。初回免疫後、動物に追加免疫注射を行なってもよく、また行なわなくてもよい。追加免疫注射を行なう動物には通常、フロイントの不完全アジュバント中に存在させた等量の抗原を同じ経路で投与する。追加免疫注射は最大力価が得られるまで約3週間置きに行なう。各追加免疫の約7日後に、またはただ1回の免疫後約1週間置きに動物から採血し、血清を採集し、アリコートを約−20℃で貯蔵する。
GluClと反応するモノクローナル抗体(mAb)は、近交系マウス、好ましくはBalb/cをGluClで免疫することによって調製する。等量の先に述べた許容可能なアジュバント中に存在させた約0.5mlの緩衝液または食塩液中の約0.1〜約10mg、好ましくは約1mgのGluClでマウスをIPまたはSC経路で免疫する。アジュバントはフロイントの完全アジュバントが好ましい。第0日にマウスに初回免疫を施し、このマウスを約3〜約30週間放置する。このように免疫したマウスに、リン酸緩衝食塩液どの緩衝液中の約0.1〜約10mgのGluClを用いる追加免疫を1回以上、静脈内(IV)経路から施す。抗体陽性マウス由来のリンパ球、好ましくは脾臓リンパ球を、免疫したマウスから脾臓を当業者に知られた標準的な操作で摘出することによって得る。安定なハイブリドーマの形成を可能にする条件下に脾臓リンパ球を適当な融合相手、好ましくはミエローマ細胞と混合することによってハイブリドーマ細胞を作製する。上記融合相手にはマウスミエローマのP3/NS1/Ag4−1、MPC−11、S−194及びSp 2/0が非限定的に含まれ得、なかでもSp 2/0が好ましい。抗体産生細胞とミエローマ細胞とは分子量が約1000のポリエチレングリコール中で約30〜約50%の濃度で融合させる。融合ハイブリドーマ細胞は当業者に知られた操作により、ヒポキサンチン、チミジン及びアミノプテリンを補充したダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)中での増殖によって選択する。第14日、第18日及び第21日ごろに増殖陽性ウェルから上清を回収し、この上清を抗体産生に関して、抗原としてGluClを用いる固相ラジオイムノアッセイ(SPIRA)などのイムノアッセイによってスクリーニングする。培養液もオクタロニー沈降アッセイで試験し、mAbのイソタイプを決定する。抗体陽性ウェルから得たハイブリドーマ細胞を、MacPherson, “Soft Agar Techniques,” Tissue Culture Methods and Applications, Kruse及びPaterson編, Academic Press, 1973に記載された軟寒天技術などの技術によってクローン化する。
マウス1匹当たり約0.5mlのプリスタン(pristane)で感作したBalb/cマウスに前記感作の約4日後に約2×106〜約6×106個のハイブリドーマ細胞を注射することにより、モノクローナル抗体のin vivo産生を実現する。細胞伝達の約8〜12日後に腹水を採集し、当業者に知られた技術でモノクローナル抗体を精製する。
抗GluCl mAbのin vitro産生は、約2%のウシ胎児血清を含有するDMEM中でハイブリドーマを増殖させ、それによって十分な量の特異的mAbを得ることにより行なう。mAbは当業者に知られた技術で精製する。
腹水またはハイブリドーマ培養液の抗体力価を、沈降、受動凝集、酵素結合イムノソルベント抗体(ELISA)技術及びラジオイムノアッセイ(RIA)技術を非限定的に含む様々な血清学的または免疫学的アッセイによって測定する。体液または組織及び細胞抽出物においてGluClの存在を検出するのにも同様のアッセイを用いる。
単一特異性抗体を産生させる上述の方法を、GluClポリペプチドフラグメントまたは完全長新生GluClポリペプチドに特異的な抗体の産生に用い得ることは当業者には直ちに明らかである。特に、ただ1種のGluClタンパク質のみ、または完全に機能するグルタミン酸、化合物1もしくはアベルメクチン感受性塩素イオンチャンネルのみに特異的である単一特異性抗体を産生させ得ることは当業者には直ちに明らかである。
抗体がアガロースゲルビーズ支持体と共有結合するようにN−ヒドロキシスクシンイミドエステルで活性化したゲル支持体であるAffigel−10(Biorad)に抗体を添加することにより、GluCl抗体アフィニティーカラムを作製する。次に、スペーサーアームが介在するアミド結合によって抗体とゲルとを結合させる。その後、残存する活性化エステルを1MエタノールアミンHCl(pH8)で反応停止させる。カラムを水、次いで0.23MグリシンHCl(pH2.6)で洗浄して、結合しなかった抗体や生体外タンパク質を除去する。次に、カラムをリン酸緩衝食塩液(pH7.3)中で平衡させ、このカラムにGluClまたはGluClタンパク質フラグメントを含有する細胞培養上清または細胞抽出物をゆっくり通す。その後、カラムを光学密度(A280)が低下してバックグラウンドに達するまでリン酸緩衝食塩液で洗浄してから、タンパク質を0.23MグリシンHCl(pH2.6)で溶離する。このように精製したGluClタンパク質をリン酸緩衝食塩液に対して透析する。
アフリカツメガエル卵母細胞において同価同義(homomeric)チャンネルとして、またはGluCl類に属する他のチャンネルを伴った異価同義(heteromeric)チャンネルとして発現されるとグルタミン酸またはアベルメクチンによって直接活性化されるタンパク質をコードする、pGluClと呼称するDNAクローンを同定する。グルタミン酸依存性塩素イオンチャンネルは無脊椎動物においてのみ報告されていて、昆虫の筋肉及びニューロン体細胞並びに甲殻類の筋肉中に見出され、卵母細胞において昆虫の筋肉ポリ(A)+RNAから発現され(C. Lingle及びE. Marder, Brain Res. 212, pp.481−488, 1981; B. G. Horseman, C. Seymour, I. Bermudez及びD. J. Beadle, Neurosci. Lett. 85, pp.65−70, 1988; K. A. Wafford及びD. B. Sattelle, J. Exp. Biol. 144, pp.449−462, 1989; T. J. Lea及びP. N. R. Usherwood, Comp. Gen. Pharmacol. 4, pp.333−350, 1973; S. G. Cull−Candy, J. Physiol. 255, pp.449−464, 1976; S. P. Fraser等, Mol. Brain Res. 8, pp.331−341, 1990)、また土壌線虫のC. elegansからクローン化されている(D. F. Cully, D. K. Vassilatis, K. K. Liu, P. S. Paress, L. H. T. Van der Ploeg, J. M. Schaeffer及びJ. P. Arena)。「H(過分極)受容体」という語は、イナゴの筋肉のグルタミン酸依存性塩素イオンチャンネルを該筋肉の興奮性D(脱分極)グルタミン酸受容体と区別するのに用いてある(T. J. Lea及びP. N. R. Usherwood, Comp. Gen. Pharmacol. 4, pp.333−350, 1973; S. G. Cull−Candy, J. Physiol. 255, pp.449−464, 1976)。Dros GluCl RNAを注入された卵母細胞と同様に、節足動物のH受容体はイボテネートによって特徴的に活性化され、ピクロトキシンによって低い親和性でしか遮断されず、かつGABAによっては活性化されない(C. Lingle及びE. Marder, Brain Res. 212, pp.481−488, 1981; K. A. Wafford及びD. B. Sattelle, J. Exp. Biol. 144, pp.449−462, 1989; S. G. Cull−Candy, J. Physiol. 255, pp.449−464, 1976; T. J. Lea及びP. N. R. Usherwood, Comp. Gen. Pharmacol. 4, pp.351−363, 1973)。イナゴの筋肉のH受容体は、C. elegansポリ(A)+RNAから発現されるグルタミン酸依存性塩素イオンチャンネルと同様にアベルメクチンによって直接活性化される(R. H. Scott及びI. R. Duce, Pestic. Sci. 16, pp.599−604, 1985; J. P. Arena, K. K. Liu, P. S. Paress, J. M. Schaeffer及びD. F. Cully, Mol. Brain Res. 15, pp.339−348, 1992)。加えて、イナゴのニューロン体細胞に存在するグルタミン酸依存性塩素イオンチャンネルはアベルメクチンによって強化され、かつ直接活性化される(E. Aydar, L. Harding, D. J. Beadle及びI. Bermudez, “Proceedings of the British Pharmacological Society,” p.24, 1993)。従って、Dros GluClは節足動物のH受容体との間に関連性を有すると考えられる。このチャンネルはショウジョウバエにおいてアベルメクチン及び化合物1の標的である。
系統発生学的分析が示唆するところでは、Dros GluClはリガンドゲートを具えた塩素イオンチャンネルの、グリシンα及びβ、Lymζ並びにDros rdlタンパク質と関連し得るユニークなサブクラスを成すC. elegans GluClα及びGluClβチャンネルとも関連付けられる。これらのタンパク質は系統発生学的には関連性を有するが、異なるリガンドに応答し、薬理学的に区別される(V. Schmieden, G. Grenningloh, P. R. Schofield及びH. Betz, EMBO Journal 8, pp.695−700, 1989; R. H. Ffrench−Constant, T. A. Rocheleau, J. C. Steichen及びA. E. Chalmers, Nature 363, pp.449−451, 1993; G. Grenningloh等, Neuron 4, pp.963−970, 1990; M. L. Hutton, R. J. Harvey, F. G. P. Earley, E. A. Barnard及びM. G. Darlison, FEBS Letters 326, pp.112−116, 1993)。アベルメクチンはリガンド依存性塩素イオンチャンネル類に属する他の塩素イオンチャンネルと相互作用することが報告されている。アベルメクチンは、線虫及び昆虫ではGABA感受性電流を遮断し、一方ザリガニでは多伝達物質(グルタミン酸、アセチルコリン、GABA)依存性の塩素イオンチャンネルを直接活性化する(R. J. Martin及びA. J. Pennington, Br. J. Phramacol. 98, pp.747−756, 1989; F. Zufall, C. Franke及びH. Hatt, J. Exp. Biol. 142, pp.191−205, 1989; L. Holden−Dye及びR. J. Walker, Parasitology 101, pp.265−271, 1990; I. Bermudez, C. A. Hawkins, A. M. Taylor及びD. J. Beadle, Journal of Receptor Research 11, pp.221−232, 1991)。ニワトリのヒナの脳GABAa受容体を発現させる卵母細胞では、アベルメクチンはGABA応答を増強する(E. sigel及びR. Baur, Mol. Pharmacol. 32, pp.749−752, 1987)。加えて、アベルメクチンはストリキニーネが哺乳動物のグリシン受容体に結合するのを抑制する(D. Graham, F. Pfeiffer及びH. Betz, Neurosci. Letters 29, pp.173−176, 1982)。しかし、GluClタンパク質はリガンド依存性塩素イオンチャンネル類に属する塩素イオンチャンネルのうちでグルタミン酸及びイボテネートに関しユニークな薬理特性を示す唯一のものであり、従ってリガンド依存性イオンチャンネル類の新規なサブクラスを成す。
本発明は、GluClをコードするDNAまたはRNAの発現及びGluClタンパク質の機能をin vivoで調節する化合物をスクリーニングする方法にも係わる。上記のような活性を調節する化合物は、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質、または非タンパク性有機分子であり得る。これらの化合物は、GluClをコードするDNAもしくはRNAの発現、またはGluClタンパク質の機能を促進または抑制して調節し得る。GluClをコードするDNAもしくはRNAの発現、またはGluClタンパク質の機能を調節する化合物は様々なアッセイによって検出できる。前記アッセイは、発現または機能に変化が有るかどうかを確認する単純な「はい/いいえ」アッセイであり得る。試験試料の発現または機能を標準試料の発現または機能レベルと比較することによってアッセイを定量的に行なうことも可能である。本発明の方法で同定される調節因子は、治療薬、殺虫薬及び駆虫薬として有用である。
GluCl DNA、GluClに対する抗体、またはGluClタンパク質を含むキットを作製し得る。このようなキットは、GluCl DNAとハイブリダイズするDNAの検出、または試料におけるGluClタンパク質またはペプチドフラグメントの存在の検出に用いられる。このようなキットを用いての特性解明は、法医学的分析及び疫学研究を非限定的に含む様々な目的のために有用である。
本発明のDNA分子、RNA分子、組み換えタンパク質及び抗体は、GluCl DNA、GluCl RNAまたはGluClタンパク質のレベルに関するスクリーニング及び測定に用い得る。本発明の組み換えタンパク質、DNA分子、RNA分子及び抗体は、GluClの検出及び型分類に適したキットの作製に役立つ。前記キットは、少なくとも1個の容器を厳重に固定して保持するのに適した仕切り付きの支持器(carrier)を含む。この支持器はGluClの検出に適した組み換えGluClタンパク質または抗GluCl抗体などの試薬も保持する。支持器は、標識した抗原または酵素基質等といったものを検出する手段も具備し得る。
GluClコーディングDNA配列と相補的であるヌクレオチド配列をアンチセンス療法用に合成し得る。得られるアンチセンス分子はDNA、ホスホロチオエートやメチルホスホネートといった安定なDNA誘導体、RNA、2′−O−アルキルRNAなどの安定なRNA誘導体、または他のGluClアンチセンスオリゴヌクレオチド模擬体(mimetics)である。GluClアンチセンス分子は、マイクロインジェクション、リポソーム封入、またはアンチセンス配列を含むベクターからの発現によって細胞内に導入し得る。GluClアンチセンス療法は、GluCl活性の低下が有益である疾患の治療に特に有用であり得る。
GluClを標的臓器の細胞内に導入するのにGluCl DNAを用い得る。GluCl遺伝子はウイルスベクター中に連結することができ、前記ベクターは受容宿主細胞に感染することによってGluCl DNAの移入を媒介する。適当なウイルスベクターに、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス等が含まれる。あるいは他の場合には、リガンド−DNA結合体またはアデノウイルス−リガンド−DNA結合体を用いる受容体媒介型標的指向性DNA移入、リポフェクション、膜融合または直接マイクロインジェクションを含めた、ウイルスベクターを用いない(non−viral)技術によってGluCl DNAを細胞内に移入し得る。これらの操作とその改良型とは、ex vivo並びにin vivo GluCl遺伝子療法に適している。GluCl遺伝子療法は、GluCl活性を高めることが有益である場合に特に有用であり得る。
GluCl DNA、GluCl RNAもしくはGluClタンパク質、またはGluCl受容体活性調節因子を含有する、医薬に有用な組成物を、医薬に許容可能なキャリヤの混合によるような公知方法に従って調製し得る。前記キャリヤや調製方法の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences中に見出され得る。有効な投与に適した、医薬に許容可能な組成物を調製するべく、組成物には有効量の上記タンパク質、DNA、RNAまたは調節因子を含有させる。
本発明の治療または診断用組成物は、GluCl関連活性の調節が指示される障害の治療または診断に十分な量で個体に投与する。有効量は、個体の状態、体重、性別及び年齢などの様々な要因に従って変化し得る。上記以外の要因に、投与モードが含まれる。本発明の医薬組成物は、皮下、局所的、経口及び筋肉内などの様々な経路で個体に投与し得る。
「化学誘導体」という語は、通常は基本分子の一部でない付加的な化学的部分を有する分子を意味する。前記部分によって、基本分子の溶解度、半減期、吸収性等を改善し得る。あるいは他の場合には、上記部分によって基本分子の望ましくない副作用を抑制したり、基本分子の毒性を低下させたりする。このような部分の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesなどの様々な文献に記載されている。
本明細書に開示した方法によって同定した化合物は、潜在的な毒性を最小限に留めつつGluCl受容体もしくはその活性を最適に抑制するべく常用試験によって規定した適当な用量で単独に用い得る。
本発明の方法は、本発明の新規な治療方法で用いるのに適した局所用、経口用、全身用及び非経口用医薬組成物の提供も目的とする。GluCl受容体の調節に用いる、活性成分として本発明により同定した化合物を含有する組成物は、通常の投与用賦形剤を用いてきわめて様々な治療投与形態として投与し得る。例えば、上記化合物は錠剤、カプセル剤(それぞれ時限放出製剤及び徐放製剤を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤及び乳濁液剤などの経口投与形態で、または注射によって投与し得る。上記化合物はまた、静脈内形態(ボーラスと注入との両方)、腹腔内形態、皮下形態、閉塞を伴うかもしくは伴わない局所形態、または筋肉内形態でも投与可能であり、用いられる形態はいずれも医薬の分野において当業者に良く知られている。有効であるが有毒でない量の所望化合物をGluCl調節剤として用い得る。
化合物の1日当たりの用量は、患者1人につき0.001mgから1,000mgまでの広い範囲にわたって様々となり得る。経口投与用組成物は好ましくは、治療するべき患者への投与量を症状に応じて調節できるように、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0及び50. 0mgの活性成分を含有する刻み目の入ったまたは刻み目のない錠剤の形態で提供する。通常、有効量の薬物を1日当たり体重1kgにつき約0.0001〜約100mgの投与レベルで供給する。所望の作用が得られるように配合する場合は、GluCl受容体調節因子の用量を調節する。他方、配合する様々な薬物の用量を独立に最適化して組み合わせ、それによっていずれの薬物を単独使用した場合よりも病因が減少する相乗的な成果を挙げることも可能である。
本発明の方法において活性である化合物は、1日分の用量をただ1回で投与するか、または1日2回、3回もしくは4回に分けて投与すると有利である。そのうえ、本発明の方法において活性である化合物は、適当な鼻腔内用賦形剤の局所使用を介して鼻腔内形態で投与したり、当業者に良く知られた経皮投与用皮膚パッチの形態を用いて経皮経路から投与したりできる。経皮送達系の形態での投与では当然ながら、用量は投与方式全体を通して断続的にではなく連続的に投与される。
2種以上の活性物質を別個の投与製剤中に存在させて用いる組み合わせ治療では前記活性物質を同時に投与し得、または各活性物質を別々にずらした時点に投与し得る。
本発明の方法において活性である化合物の投与方式は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別及び病状; 治療するべき状態の重篤度; 投与経路; 患者の腎及び肝機能; 並びに用いる特定の化合物を含めた様々な要因に従って選択する。通常の医師または獣医師であれば、状態の進行を予防し、打ち消し、または阻止するのに必要な薬物の有効量を容易に決定及び処方し得る。毒性を伴わない効力をもたらす範囲内の薬物濃度を達成するのに最適の精度の実現には、標的部位に対する薬物の有効性の動力学に基づく投与方式が必要である。このような方式では、薬物の分布、平衡及び排除が考慮される。
本発明の方法では該方法において活性である化合物が活性成分を構成し得、この化合物は典型的には、所期の投与形態、即ち経口用の錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤等のために適宜選択された、通常の調剤法で実際に用いられる適当な医薬用稀釈剤、賦形剤またはキャリヤ(本明細書中ではまとめて「キャリヤ」物質と呼称)と混合して投与される。
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態で経口投与する場合は活性薬物成分をエタノール、グリセロール、水等といった、無毒で医薬に許容可能な経口用不活性キャリヤと組み合わせ得る。そのうえ、所望または必要であれば、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤も混合物に添加し得る。適当な結合剤には、澱粉、ゼラチン、グルコースまたはβ−ラクトースといった天然糖、コーン甘味剤、アラビアゴム、トラガカントゴムまたはアルギン酸ナトリウムといった天然及び合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、蝋等が非限定的に含まれる。上記投与形態に用いられる滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が非限定的に含まれる。崩壊剤には、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴム等が非限定的に含まれる。
液体形態の場合は活性薬物成分を、適宜香味付けした合成及び天然ゴム、例えばトラガカントゴム、アラビアゴム、メチルセルロース等といった懸濁化剤または分散剤中に加え得る。用い得る他の分散剤にグリセリン等が含まれる。非経口投与の場合は滅菌懸濁液剤及び溶液剤が望ましい。静脈内投与が望ましい場合には、通常適当な防腐剤を含有する等張製剤を用いる。
活性薬物成分を含有する局所用製剤は、例えばアルコール、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンA及びE油、鉱油、PPG2プロピオン酸ミリスチル等の当業者に良く知られた様々なキャリヤ物質と混合して、例えばアルコール性溶液剤、局所用清浄剤、清浄化クリーム剤、皮膚用ゲル剤、皮膚用ローション剤、及びクリーム剤またはゲル剤状のシャンプー剤とし得る。
本発明の方法において活性である化合物は、小さな単ラメラ小胞、大きな単ラメラ小胞、及び多重ラメラ小胞などのリポソーム送達系の形態でも投与できる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンといった様々なリン脂質から形成可能である。
本発明の方法において活性である化合物は、化合物分子を結合させる個別キャリヤとしてモノクローナル抗体を用いることによっても送達し得る。本発明の方法において活性である化合物は標的指向性薬物キャリヤとしての可溶性ポリマーと結合させることもできる。前記ポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシ−プロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンが含まれ得る。更に、本発明の方法において活性である化合物は薬物の制御放出に有用な生分解性ポリマー類、例えばポリ乳酸、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーに結合させることも可能である。
本発明の方法において活性である化合物は、ヒト、動物及び植物において多くの寄生虫症を引き起こす内部及び外部寄生虫、特に蠕虫及び節足動物に対する寄生虫駆除薬として有用である。
寄生虫症は内部寄生虫または外部寄生虫によって引き起こされ得る。内部寄生虫とは、宿主の体内で(胃、肺、心臓、腸等のような)臓器内にか、または単に皮下に棲息する寄生虫のことである。外部寄生虫とは、宿主の外表面上に棲息するが栄養は宿主から摂取する寄生虫のことである。
通常蠕虫病と呼称される内部寄生虫症は、宿主が蠕虫として知られている寄生虫に感染することによって引き起こされる。蠕虫病は、ブタ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ヤギ、イヌ、ネコ及び家禽などの家畜の感染に起因して、普遍的でかつ重大な世界規模の経済問題である。上記感染の多くは、世界中の様々な動物種において疾患の原因となる、線虫と呼称される寄生虫群によって引き起こされる。線虫が原因の疾患はしばしば重症で、感染動物を死亡させかねない。先に挙げた動物に感染する線虫で最も一般的なものは、捻転胃虫、毛様線虫、Ostertagia属、Nematodirus属、Cooperia属、カイチュウ、Bunostomum属、Oesophagostomum属、Chabertia属、鞭虫、円虫、Trichonema属、Dictyocaulus属、毛細線虫、Heterakis属、犬回虫、Ascaridia属、ウマギョウチュウ、ズビニ鉤虫、極東鉤虫、Toxascaris属及び馬回虫である。多くの寄生虫が種特異的(ただ1種の宿主にのみ感染)であり、またほとんどの寄生虫は動物体内に好ましい感染部位を有する。即ち、捻転胃虫及びOstertagia属は主として胃に感染し、一方Nematodirus属及びCooperia属は大抵腸を冒す。別の寄生虫は心臓、眼、肺、血管等に好んで棲息し、更に別の寄生虫は皮下寄生虫である。蠕虫病は、衰弱、体重減少、貧血、腸傷害、栄養不良、及び他の臓器の障害を招く恐れが有る。これらの疾患は、治療せずに放置すれば動物を死亡させかねない。
外部寄生虫であるマダニ類(ticks)、その他のダニ類(mites)、シラミ、サシバエ、ツノサシバエ、クロバエ科及びニクバエ科のハエ(blow flies)、ノミ、並びにTenophalides属、Ixodes属、Psoroptes属、Lucilia属及びHemotobia属のような他の吸血昆虫(biting insects)などの節足動物が引き起こす疾患も重大な問題である。上記のような寄生虫による感染及び侵襲は血液の減少、皮膚病変をもたらし、また正常な摂食習慣を妨げ、即ち体重減少を惹起しかねない。上記のような寄生虫への感染によって、致命的となりかねない脳炎、アナプラズマ症、豚痘等の重症疾患が伝播する恐れも有る。本明細書に開示した方法において活性である化合物は上述の感染及び侵襲を予防及び治療するのに有用である。
動物は幾つかの寄生虫種に同時に感染する場合が有り、なぜなら1種の寄生虫への感染によって動物は衰弱し、第二の寄生虫種により感染しやすくなり得るからである。即ち、寄生虫症の治療では広範な活性を有する化合物が特に有利である。本発明の化合物は上述のような寄生虫に対する活性を有し、加えてイヌの犬糸状虫、齧歯類のNematospiroides属及びSyphacia属、吸血昆虫、並びにウシのHypoderma属種及びウマのウマバエなどの体内移行性双翅類幼虫に対しても活性である。
本明細書に開示した方法において活性である化合物は、ヒトにおいて寄生虫症を引き起こす内部及び外部寄生虫に対しても有用である。ヒトが感染する内部寄生虫の例には、ズビニ鉤虫、アメリカ鉤虫、カイチュウ、糞線虫、旋毛虫、毛細線虫、鞭虫、ギョウチュウ等の胃腸寄生虫が含まれる。ヒトが感染する内部寄生虫は血中に、または他の臓器においても見出される。そのような寄生虫の例には、フィラリア寄生虫の糸状虫、Brugia属、Onchocerca属等、並びに腸外期の腸寄生虫のStrongylides属及び旋毛虫が有る。ヒトに寄生する外部寄生虫にはマダニ類、ノミ、マダニ類以外のダニ類、シラミ等の節足動物が含まれ、これらの寄生虫への感染は家畜の場合同様、重症で致命的ですらある疾患の伝播を招きかねない。本発明の活性化合物は上記のような内部及び外部寄生虫に対して活性であり、しかもヒトを悩ます吸血昆虫その他の双翅類害虫に対しても活性である。
本明細書に開示した方法において活性である化合物は、Blatella属種(ゴキブリ)、Tineola属種(イガ)、Attagenus属種(ヒメマルカツオブシムシ)、Musca domestica(イエバエ)といった通常の家庭内害虫、及びSolenopsis Invicta[トフシアリの一種(imported fire ant)]に対しても有用である。
本明細書に開示した方法において活性である化合物は更に、アブラムシ(Acyrthiosiphon属種)、イナゴ、ハダニ及びワタミハナゾウムシなどの農業害虫に対して、またTribolium属種及びゴミムシダマシなどの貯蔵穀物を傷める有害昆虫、並びに植物組織上に棲息する未成熟期の昆虫に対しても有用である。本発明の化合物は、農業の分野で重要であり得る、土壌線虫及びMeloidogyne属種などの植物寄生虫の防除のための殺線虫剤としても有用である。
動物において寄生虫駆除薬として用いる場合は本発明の化合物を、経口でかもしくは注射によって体内に投与するか、またはドレンチ液剤(liquid drench)もしくはシャンプー剤として局所投与し得る。
経口投与の場合、本明細書に開示した方法において活性である化合物はカプセル剤、錠剤またはボーラスの形態で投与し得、あるいはまた飼料に混入し得る。カプセル剤、錠剤及びボーラスは、澱粉、タルク、ステアリン酸マグネシウムまたはリン酸二カルシウムといった適当なキャリヤ賦形剤と組み合わせられた活性成分から成る。これらの単位投与形態は、活性成分を稀釈剤、充填剤、崩壊剤及び/または結合剤を含めた適当な微粉状不活性成分と、均一混合物が得られるように十分混合することによって調製する。不活性成分とは、本発明の化合物と反応せず、かつ治療する動物に対して有毒でない成分のことである。適当な不活性成分に、澱粉、ラクトース、タルク、ステアリン酸マグネシウム、植物性のゴム質及び油等が含まれる。上記製剤は、治療するべき動物種の大きさ及びタイプ並びに感染の種類及び重篤度などの多くの要因に応じて様々に変化し得る量の活性及び不活性成分を含有し得る。活性成分を飼料への添加物として投与することも、単に本発明の化合物を飼料と混合するか、または本発明の化合物を飼料の表面に適用することによって可能である。あるいはまた、活性成分を不活性キャリヤと混合してもよく、このようにして得られた組成物は飼料と混合し、または直接動物に与える。適当な不活性キャリヤに、コーンミール、シトラス(citrus)ミール、発酵残留物、大豆粗粒(grits)、乾燥穀粒等が含まれる。活性成分を上記のような不活性キャリヤと、粉砕、攪拌、磨砕またはタンブリングによって十分に混合し、それによって0.001〜5重量%の活性成分を含有する最終組成物を得る。
あるいは他の場合には、本明細書に開示した方法において活性である化合物を、不活性液体キャリヤに溶解した活性成分から成る製剤の注射によって非経口投与する。注射は、筋肉内、反芻胃内(intraruminal)、気管内または皮下注射とし得る。注射用製剤は、適当な不活性液体キャリヤと混合された活性成分から成る。許容可能な液体キャリヤに、落花生油、綿実油、胡麻油等といった植物油及びソルケタール、グリセロール、ホルマール等といった有機溶媒が含まれる。代替物として、水性の非経口用製剤を用いることも可能である。液体キャリヤとして好ましいのは植物油である。注射用製剤は、最終製剤が0.005〜10重量%の活性成分を含有するようにして活性成分を液体キャリヤ中に溶解または懸濁させることによって調製する。
本明細書に開示した方法において活性である化合物の局所適用は、水性の溶液剤、分散液剤または懸濁液剤状の、本発明の化合物を含有するドレンチ液剤またはシャンプー剤を用いることによって可能となる。前記のような製剤は通常、ベントナイトなどの懸濁化剤、湿潤剤または類似の賦形剤を含有し、かつ普通は消泡剤も含有する。0.001〜1重量%の活性成分を含有する製剤が許容可能である。好ましい製剤は、0.01〜1重量%の活性化合物を含有するものである。
本明細書に開示した方法において活性である化合物は主として、ウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ヤギ、ブタ及び家禽などの家畜の蠕虫病を治療及び/または予防するのに用いる寄生虫駆除薬として有用である。この化合物は、上記のような家畜のマダニ類、その他のダニ類、シラミ、ノミ等といった外部寄生虫への感染を予防及び治療するのにも有用である。この化合物はヒトの寄生虫感染の治療にも有効である。そのような感染の治療では上記化合物を個別に、または別の上記化合物とかもしくは関連性の無い他の寄生虫駆除薬と組み合わせて用い得る。最良の結果を得るのに必要な化合物用量は、動物の種及び大きさ、感染の種類及び重篤度、投与方法並びに用いる化合物などの幾つかの要因によって左右される。本発明の化合物は通常、動物の体重1kg当たり0.0005〜10mgの投与レベルで一度に、または数日置きに数回に分けて経口投与すると良い結果をもたらす。普通、いずれか1種の本発明の化合物の一回投与によって優れた防除を達成できるが、再感染に対処したり、異例に耐性である寄生虫種を防除したりする場合は反復投与を行ない得る。上述のような化合物を動物に投与する技術は獣医学分野の当業者に公知である。
本明細書に開示した方法において活性である化合物は、作物を圃場において、または貯蔵中に傷める農業害虫への対処にも用い得る。この化合物は、成長中の植物、または収穫した作物に対して噴霧剤、散布剤、乳濁液剤等を用いる場合に適用する。本発明の化合物を前記のように適用する技術は農業分野の当業者に公知である。
本発明を、以下の実施例によって非限定的に詳述する。
実施例1
ショウジョウバエRNA単離
キイロショウジョウバエのOregon R系統の頭部からポリ(A)+RNAを調製した。上記頭部を液体N2中で急速冷凍し、液体N2中に沈めたままで乳鉢及び乳棒で粉砕した。粉末状の凍結ショウジョウバエ組織を、4Mチオシアン酸グアニジニウムと、5mMクエン酸ナトリウム(pH7.0)と、0.1M β−メルカプトエタノールとを含有する溶液に添加し(溶液10ml当たり組織1g)、これをポリトロンホモジナイザーで混合した。1分間ホモジナイズした後、0.5%ナトリウムサルコシルを添加して十分に混合し、溶液を10,000rpmで10分間遠心した。上清を5.7M CsClクッション上に重層させ、33,000rpmで18時間遠心した。RNAペレットを70%エタノールで洗浄し、H2O中に再懸濁させ、4:1のクロロホルム:イソブタノールで抽出し、エタノールで沈澱させた。オリゴ(dT)−セルロースカラム上での精製ラウンドを2回行なってポリ(A)+RNAを単離した。
実施例2
ショウジョウバエGluCl PCR生成物のクローニング及び特性解明
DNAオリゴヌクレオチドプライマー
5′TGGGT(AGCT)(TA)(CG)(AGCT)TT(CT)TGGTT-3′
(配列番号1; プライマー1)及び
5′GC(TGCA)CC(TGA)ATCCA(TGCA)AC(GA)TC(TGA)AT-3′
(配列番号2; プライマー2)を低ストリンジェンシーPCR反応に用いてショウジョウバエGluCl遺伝子配列を増幅した。上記オリゴヌクレオチドは、C. elegans GluClα遺伝子のM1及びM3ドメインに存在するアミノ酸配列をコードする(Cully等,上掲誌)。ショウジョウバエポリ(A)+RNA(H2O 17μl中に1μg)を65℃で3分間加熱してから氷上に置いた。氷上に、3μlのRNアシン(RNasin)(40単位/μl)、8μlの5倍RT緩衝液(250mMトリス−HCl、pH8.3、375mM KCl、15mM MgCl2、BRL)、4μlの0.1M DTT、4μlの20mM dNTP、2μlの20μMプライマー2オリゴヌクレオチド、及び0.5μlの200単位/μlのモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素を添加した。反応混合物を42℃で90分間インキュベートし、その後65℃で10分間加熱することによって反応を停止させた。得られた第1鎖(first strand)cDNAを次のようにしてポリメラーゼ連鎖反応に用いた。Taq反応緩衝液(1.5mM MgCl2、50mM KCl、10mMトリス−HCl、pH8.3、400μM dNTP)中の2.5単位のAmpliTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer Cetus)を含有する反応混合物50μl中で3μlのcDNAを1.2μMの各プライマー(DNA配列1及び2)及び20μCiの32P−dCTPと共にインキュベートした。反応混合物のインキュベーションは、94℃(1分間)、37℃(2分間)、72℃(3分間)のサイクルを25回実施するようにプログラムしたPerkin Elmer Cetusサーモサイクラーで行なった。反応混合物を1μgのtRNA、1/10体積部の3M酢酸ナトリウム及び2体積部の100%エタノールと混合し、−20℃で16時間インキュベートし、11,000×gで30分間遠心し、70%エタノールで洗浄した。ペレットを脱水して3μlのH2O及び3μlの停止溶液(95%ホルムアミド、20mM EDTA、0.05%ブロモフェノールブルー、0.05%キシレンシアノールFF)中に再懸濁させ、70℃で2分間加熱し、6%アクリルアミドゲル−尿素配列決定ゲル(Maniatis)上でキシレンシアノールマーカーがゲル(40cm)の底部に達するまで電気泳動させた。対照DNAを配列決定し(USB Sequenase Version 2.0 DNA配列決定キット)、サイズマーカーとしてゲル上を移動させた。ゲルを取り出し、10%メタノール、7%酢酸に15分間浸漬し、Whatman 3mm濾紙に移し、乾燥し、X線フィルムに対して曝露した。152塩基の領域に対応するゲルを切り取り、400μlのH2Oに22℃で2時間浸漬した。溶離したDNA(30μl)を、Taq反応緩衝液、1.0μMの各プライマー(DNA配列1及び2)及び5単位のTaqポリメラーゼを含有するPCR反応混合物100μl中に鋳型として用いた。サーモサイクラーは先に述べたのと同様にプログラムした。このようにして得られたPCR反応生成物の30μlアリコートを、同等の第二のPCR反応のための鋳型として用いた。
反応混合物から152bpのPCR増幅DNA断片を、1/10体積部の3M酢酸ナトリウム及び2体積部の100%エタノールを用いて−20℃で16時間沈澱させ、11,000×gで30分間遠心し、70%エタノールで洗浄した。ペレットを脱水して10μlのTE(pH8.0のトリス−HCl、1mM EDTA)中に再懸濁させ、4% NuSieve TAE(40mMトリス−HCl、pH8.0、20mM酢酸ナトリウム、2mM EDTA)アガロースゲル(FMC BioProducts)上で電気泳動させた。DNA断片をゲルから切り取り、QIAEXゲル抽出キット(Qiagen, Inc.)を用いて精製した。精製したDNA断片を、TAクローニングシステム(Invitogen Corp.)を用いてpCRベクター中に連結した。連結DNAを、先に述べたのと同様に1/10体積部の3M酢酸ナトリウム及び2体積部の100%エタノールを用いて沈澱させ、−20℃でインキュベートし、遠心し、洗浄し、2μlの水中に再懸濁させた。DNAの1μlアリコートで40μlのINVαF′エレクトロコンピテント細胞(Invitogen Corp.)を、2.5kV、キャパシタンス25μF及び抵抗200ΩのGene−Pulser(BioRad)を用いるエレクトロポレーションによって形質転換し、その後1mlのSOC培地(J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniatis, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual,” Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)を添加し、細胞を37℃で1時間インキュベートした。形質転換細胞を、50μg/mlのアンピシリン及び40μg/mlのX−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含有するLB寒天プレート上に播種し、37℃で18時間インキュベートした。白色のコロニーを取り出し、そのうちの、約152塩基対の挿入部分を有するベクターをそれぞれ保持する10のコロニーにおいて、USB Sequenase Version 2.0 DNA配列決定キットを用いて配列決定を行なった。完全長cDNAクローンを同定するプローブとしてクローンpPCR−2を選択した。pPCR−2のDNA配列は配列番号4の配列であり、この配列は予測されるアミノ酸配列
WVTFWLDQGAVPARVSLGVTTLLTMATQTSGINASLPPVSYTKAIDVWIG
(配列番号3)を有するペプチドをコードする。
実施例3
Dros GluCl cDNAの単離及び同定
ショウジョウバエのOregon R系統の頭部からcDNAライブラリーを、ファージミド(phagemid)クローニングベクター(Stratagene)中に作製した。このライブラリーで大腸菌BB4細胞をトランスフェクトし、この細胞をNZY培地(J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniatis, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual,” Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)上に播種し、37℃で18時間インキュベートした。得られたプラークをDurulose膜(Stratagene)に移した。膜をプレハイブリダイゼーション溶液(50%ホルムアミド、2倍Denhardts試薬、5倍SSPE、0.1% SDS、100μg/mlニシン精子一本鎖DNA)中で42℃で16時間プレハイブリダイズさせ、その後ランダムプライミング式DNA標識キット(Boehringer−Mannheim)を用いてランダムプライミングにより32P−dCTPで標識したクローンpPCR−2のEcoRI挿入断片を2×107cpm含有する50mlのハイブリダイゼーション溶液(10%のデキストラン硫酸を含有するプレハイブリダイゼーション溶液)中で42℃で65時間ハイブリダイズさせた。膜をX線フィルムに対して曝露した。36個の陽性ファージクローンを同定し、これらをStratageneプロトコルによるようなin vivo切り出しによってプラスミドに変換した。或るクローン即ちpDros GluClは3958塩基の挿入部分を有することが判明した。Dros GluCl cDNAの配列を図1に示す。
実施例4
Dros GluClチャンネルの一次構造
pDros GluClはそのヌクレオチド配列から、約1518塩基対から成るただ一つの大型の読み取り枠を有することが判明した。このcDNAは約254ヌクレオチドから成る5′非翻訳延長部分と、約2186ヌクレオチドから成る3′非翻訳領域とを有する。最初の枠内メチオニン(塩基405)が、終結コドンTAA(塩基1773)において終わる読み取り枠の開始コドンとして指示された。予測されるGluClタンパク質(図2)は約52,344Daの推定分子質量(Mr)を有する。このタンパク質は疎水性アミノ末端残基を、アミノ酸23辺りで始まる成熟タンパク質をもたらすシグナル切断部位を強力に予兆する配列で有する。
予測されるDros GluClタンパク質をヌクレオチド及びタンパク質データベースと突き合わせたところ、C. elegans GluClα、GluClβ、並びにグリシン及びGABAA受容体と関連することが判明した。前記チャンネル類において見出される大型NH2末端細胞外ドメイン及び四つの疎水性膜貫通ドメインM1〜M4などの保存モチーフがDros GluCl配列中にも見出された。Dros GluClタンパク質は、リガンドゲートを具えた塩素イオンチャンネル総ての細胞外ドメインに存在する保存システイン残基を有していた。更に2個のシステイン残基(アミノ酸356及び367)が存在したが、これらはグリシン依存性塩素イオンチャンネル並びにC. elegansのGluClα及びGluClβにおいても見出される。Dros GluClタンパク質は、推定膜貫通領域M3とM4との間に位置するプロテインキナーゼCリン酸化部位に関して二つの強いコンセンサス配列を有していた。GABAA受容体タンパク質のM3とM4との間の細胞内ドメインにも類似のリン酸化部位が存在し、この部位はチャンネル調節に関与すると考えられる(N. J. Leidenheimer, S. J. McQuilkin, L. D. Hahner, P. Whiting及びR. A. Harris, Mol. Pharm. 41, pp.1116−1123, 1992; S. Kellenberger, P. Malherbe及びE. sigel, J. Biol. Chem. 267, pp.24660−25663, 1992)。上記GluClタンパク質は先に挙げた細胞外ドメイン内に、GABAA及びグリシン受容体配列中に見出される推定N連結グリコシル化部位を有していた。
完全なDros GluClタンパク質配列、C. elegans GluClα及びGluClβタンパク質、GABAA及びグリシン受容体タンパク質、並びに関連する無脊椎動物タンパク質配列に関して系統発生学的分析を行なった(図5)。上記タンパク質類が進化によってそれぞれに分かれる様子を、GABAAα及びγタンパク質をその他のタンパク質から分かれさせた2本の大枝への分岐によって示した。前記大枝は更に小枝に分岐しており、これらの小枝によってタンパク質は、GABAAα、β、γ、δ、ρ、並びにグリシンα及びβなどの各サブクラスに分類される。
Dros GluClタンパク質はC. elegans GluClα及びGluClβ、グリシンα及びβ、Lymζ並びにDros rdlタンパク質と系統発生学的的に関連するが、これらのタンパク質は薬理学的にはGluClタンパク質と区別される一つのグループを成す。アフリカツメガエル卵母細胞における発現研究によれば、機能性同価同義塩素イオンチャンネルはグリシンに対して感受性であるグリシンαタンパク質(V. Schmieden, G. Grenningloh, P. R. Schofield及びH. Betz, EMBO Journal 8, pp.695−700, 1989)及びGABAに対して感受性であるDros rdlタンパク質(R. H. Ffrench−Constant, T. A. Rocheleau, J. C. Steichen及びA. E. Chalmers, Nature 363, pp.449−451, 1993)によって形成される。同価同義グリシンβチャンネルは非常に低効率で形成され(G. Grenningloh等, Neuron 4, pp.963−970, 1990)、またLymζタンパク質は機能性同価同義チャンネルを形成しない(M. L. Hutton, R. J. Harvey, F. G. P. Earley, E. A. Barnard及びM. G. Darlison, FEBS letters 326, pp.112−116, 1993)。
実施例5
アフリカツメガエル卵母細胞におけるDros GluClタンパク質の発現
クローンpDros GluClを制限エンドヌクレアーゼSalIでの消化によって直鎖状にした。40mMトリス−HCl(pH7.5)と、6mM MgCl2と、2mMスペルミジンと、10mM NaClと、10mM DTTと、0.05mg/mlウシ血清アルブミンと、2単位/μl RNアシンと、各800μMのATP、CTP及びUTPと、200μM GTPと、800μM m7G(5′)ppp(5′)Gと、5μCi 32P−CTPと、50単位のT3RNAポリメラーゼとを含有する最終体積50μlの反応混合物中で0.5μgの上記プラスミドからin vitro RNAを合成した。反応混合物を37℃で3時間インキュベートし、その後20単位のRNアーゼ無含有DNアーゼを加えて更に15分間インキュベートし、フェノール、フェノール:クロロホルム、クロロホルムで抽出した。1/10体積部の3M酢酸ナトリウム及び2.5体積部の100%エタノールを用いてRNAを沈澱させ、これを−20℃で16時間貯蔵し、70%エタノールで洗浄し、1mg/mlの濃度で水中に再懸濁させてアフリカツメガエル卵母細胞内に注入した。
アフリカツメガエル卵母細胞の調製と該細胞内へのRNA注入は、これまでに文献に記載されていて当業者に公知である標準的な方法を用いて行なった(J. P. Arena, K. K. Liu, P. S. Paress及びD. F. Cully, Mol. Pharmacol. 40, pp.368−374, 1991; J. P. Arena, K. K. Liu, P. S. Paress, J. M. Schaeffer及びD. F. Cully, Mol. Brain Res. 15, pp.339−348, 1992)。成体の雌アフリカツメガエルに0.17%トリカイン(tricaine)メタンスルホネートで麻酔を掛け、外科手術により卵巣を取り出して、82.5mM NaClと、2mM KClと、1mM MgCl2と、1.8mM CaCl2と、5mM HEPESとから成る混合物(NaOHでpH7.5に調節; OR−2)を収容した皿に入れた。卵巣葉を切開(break open)し、数回濯ぎ、0.2%のコラゲナーゼ(Sigma; 1A型)を含有するOR−2中で2〜5時間穏やかに振盪した。約50%の卵胞層を除去したところで第V期及び第VI期卵母細胞を選択し、注入前に24〜48時間、86mM NaClと、2mM KClと、1mM MgCl2と、1.8mM CaCl2と、5mM HEPESと、2.5mMピルビン酸Naと、0.5mMテオフィリンと、0.1mMゲンタマイシンとから成る培地(NaOHでpH7.5に調節; ND−96)中に置いた。卵母細胞に50nlのDros GluCl RNA(0.01〜1mg/ml)を注入した。対照卵母細胞には50nlの水を注入した。卵母細胞をND−96中で2〜10日間インキュベートしてから記録を取った。インキュベーション及びコラゲナーゼ消化は18℃で行なった。
記録は、115mM NaClと、2mM KClと、1mM MgCl2と、1.8mM CaCl2と、10mM HEPESとから成る標準的なカエル食塩液(NaOHでpH7.5に調節)中で室温において取った。卵母細胞を、標準的な二微小電極増幅器(Dagan 8500またはTEV−200, Minneapolis, MN)を用いて電圧固定した。ピペットに3M KClを満たし、その抵抗を0.5〜3.0MΩとした。プレキシグラス製の記録室(容量200μl)には常に10ml/分での灌流を行なった。記録室をAg/AgCl電極で接地した。TL−1インターフェースを具備したPCLAMP(Axon Instruments, Foster City, CA)を用いてデータを取得及び解析した。固定(holding)電位−80mVにおける膜電流を記録した。薬物感受性電流の強さを、薬物存在下に得られるピーク電流から−80mVにおける固定電流を減算することによって測定した。データを30Hzにおいて濾波し、16.6Hzにおいて標本化した。電流/電圧関係(I/V)及び逆転電位(Erev)を、−110〜+80mVの電圧範囲にわたる1〜3秒電圧ランプを用いて測定した。前記ランプに関しては、データを0.3〜3kHzにおいてフィルターし、160Hzにおいてサンプリングした。薬物無含有溶液中の電流を薬物存在下での電流から減算して、薬物感受性電流/電圧関係を求めた。
Dros GluClタンパク質を発現させる卵母細胞は、急速に活性となり、かつ急速に脱感受性(desensitizing)となるグルタミン酸感受性電流を示した(図3)。グルタミン酸に関するEC50は30μMで、その際Hill係数は1.3であった。脱感受性となる速度はグルタミン酸の濃度によって左右され、グルタミン酸濃度が高いほど早く脱感受性となった。
IVMPO4も、Dros GluCl発現卵母細胞において直接電流を活性化した(図3)。IVMPO4による電流の活性化は、浴からIVMPO4を洗浄した後10分もの間不可逆的であった。電流は1μM IVMPO4によって最大限に活性化され、10nMでは最強電流の20〜40%まで活性化された。
米国特許第5,399,582号に詳述されている殺虫薬の化合物1(図4)も膜電流を直接活性化した(図3)。化合物1によって発生した電流はゆっくり変化する可逆性を有し、基線値まで完全に戻るのに10分掛かった。
Dros GluClは、グルタミン酸類似体のイボテネート(100μMにおいて最大限に活性化)及び関連アミノ酸のアスパラギン酸(1mMにおいて最大限の8%活性化)によっても可逆的に活性化された。Dros GluCl RNAを注入された卵母細胞は、1mM以上の濃度で試験したGABA、グリシン、カイネート、ヒスタミン及びN−メチル−D−アスパラギン酸に対して非感受性であった。IVMPO4によって発生した電流は、リガンド依存性塩素イオンチャンネルの遮断薬であるピクロトキシンによって弱く遮断された(500μMにおいて13%遮断)。
実施例6
Dros GluCl cDNAの大腸菌発現ベクター中へのクローニング
pETシリーズ(Novagen)を非限定的に含む大腸菌発現ベクター中にGluCl発現カセットを移入し、その後大腸菌に組み換えDros GluClタンパク質を産生させる。pETベクターはDros GluCl発現を、厳密に調節されたバクテリオファージT7プロモーターの制御下に置く。上述のように作製した構築物を、誘導性lacプロモーターによって駆動されるT7 RNAポリメラーゼ遺伝子の染色体コピーを有する大腸菌宿主内に移入し、次に適当なlac基質(IPTG)を培養物に添加するとDros GluClの発現が誘導される。発現されたDros GluClのレベルを、先に述べたアッセイによって測定する。
Dros GluClに対応する読み取り枠全体をコードするcDNAをpET[16]11aのNdeI部位に挿入する。正の向きの構築物を配列解析により同定して、発現宿主株BL21の形質転換に用いる。次に、形質転換体を、Dros GluClタンパク質産生のための培養物への接種に用いる。培養物は、その組成が当業者に公知であるM9またはZB培地中で増殖させ得る。OD600=1.5まで増殖させた後、1mM IPTGを用いてDros GluClの発現を37℃で3時間誘導する。
実施例7
哺乳動物細胞系におけるDros GluClの発現
Dros GluCl cDNAを哺乳動物発現ベクターpMAMneo及びpcDNA3中へサブクローン化した。pMAMneoを制限エンドヌクレアーゼNheIで消化し、かつKlenow酵素で処理して5′突出部分を満たした。次に、DNAをSalIで消化して、1個の平滑末端と1個のSalI部位とを有する直鎖状ベクターを創出し、これを仔ウシ腸アルカリホスファターゼで処理して自己連結を防止した。ベクターを0.7%アガロースゲル上でゲル精製した。pDros GluClをSmaI及びSalIで消化してベクターから挿入部分を取り出し、次いで0.7%アガロースゲル上を移動させて挿入部分を精製した。上記cDNAを含む挿入部分を精製したpMAMneoベクターに連結し、組換え体を選択し、これを用いて哺乳動物L細胞をCaPO4沈澱によってトランスフェクトした。
pcDNA3をNotIで消化し、かつKlenow酵素で処理して5′突出部分を満たした。次に、DNAをBamHIで消化して、1個の平滑末端と1個のBamHI部位とを有する直鎖状ベクターを創出し、これを仔ウシ腸アルカリホスファターゼで処理して自己連結を防止した。pDros GluClをSalIで消化し、かつKlenow酵素で処理して5′突出部分を満たした。次に、DNAをBamHIで消化して、pcDNA3ベクターと相容性である、1個の平滑末端と1個のBamHI部位とを有するcDNA断片を創出した。ベクターと挿入部分との両方を0.7%アガロースゲル上でゲル精製し、その後両者を連結した。組換え体を選択し、これを用いて哺乳動物L細胞をCaPO4沈澱によってトランスフェクトした。
安定な細胞クローンを、G418の存在下での増殖によって選択した。G418耐性の単一クローンを単離したところ、無傷のDros GluCl遺伝子を有することが判明した。Dros GluCl cDNAを有するクローンを、GluClタンパク質に特異的な抗体を用いる免疫沈降法、ウェスタンブロッティング及び螢光抗体法などの免疫学的技術を用いて発現に関して分析する。抗体は、Dros GluCl配列から予測したアミノ酸配列に基づき合成したペプチドを接種したウサギから得る。発現の分析は、パッチクランプ式の電気生理学的技術、アニオン流動アッセイ、並びに3H−イベルメクチン及び3H−グルタミン酸結合アッセイを用いても行なう。
Dros GluClを安定に、または一時的に発現させる細胞を用いて、アベルメクチン、グルタミン酸、化合物1感受性塩素イオンチャンネルの発現、及びリガンド結合活性について試験する。上記細胞を用いて上記以外の化合物を同定し、かつ当該化合物が有する、アベルメクチン、グルタミン酸、化合物1感受性塩素イオンチャンネルを調節し、阻害し、または活性化する能力、及び結合に関してアベルメクチン、グルタミン酸、化合物1と競合する能力を調べる。上記細胞を用いて、GluCl活性を調節する上記以外の化合物をアニオン流動アッセイで同定及び試験する。
プロモーターに対して正の向きを有するDros GluCl cDNAを含むカセットをプロモーターの3′に位置する適当な制限部位に連結し、制限部位マッピング及び/または配列決定によって同定する。このようにして得られたcDNA発現ベクターを線維芽細胞である宿主細胞、例えばCOS−7(ATCC# CRL1651)、及びCV−1 tat(Sackevitz等, Science 238, p.1575, 1987)、293,L(ATCC# CRL6362)内に、エレクトロポレーションや化学的操作(カチオン性リポソーム、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム)を非限定的に含む標準的な方法で導入する。トランスフェクトした細胞及び細胞培養上清を回収し、先に述べたようにしてDros GluCl発現に関し分析し得る。
哺乳動物移行(transient)発現に用いられるベクターは総て、Dros GluClを発現させる安定な細胞系の樹立に用いることができる。発現ベクター中へクローン化した、改変していないDros GluCl cDNA構築物は宿主細胞を、DrosGluClタンパク質を産生するようにプログラムすると予測される。加えて、Dros GluCl cDNA構築物を分泌タンパク質のシグナル配列をコードするDNAに連結すれば、Dros GluClは分泌タンパク質として細胞外で発現される。トランスフェクション宿主細胞には、CV−1−P(Sackevitz等, Science 238, p.1575, 1987)、tk−L(Wigler等, Cell 11, p.223, 1977)、NS/0、及びdHFr−CHO(Kaufman及びSharp, J. Mol. Biol. 159, p.601, 1982)が非限定的に含まれる。
Dros GluCl cDNAを含む任意のベクターと、G418、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ; ヒグロマイシン、ヒグロマイシン−Bホスホトランスフェラーゼ; APRT、キサンチンーグアニンホスホリボシルトランスフェラーゼを非限定的に含む薬物選択プラスミドとで同時トランスフェクションを行なえば、安定にトランスフェクトされたクローンを選択することができる。Dros GluClのレベルは本明細書中に述べたアッセイで測定する。
GluCl cDNA構築物を、可能な最高レベルのDros GluClを合成する哺乳動物細胞クローンの作製に用いられる、増幅可能な薬物耐性マーカーを有するベクター中にも連結する。このようにして得られた構築物を細胞内に導入した後、プラスミドを有するクローンを適当な物質を用いて選択し、前記物質の用量を徐々に増やしながら選択することによって高コピー数のプラスミドを有する過剰発現クローンを単離する。
組み換えDros GluClの発現は、哺乳動物宿主細胞を完全長Dros GluCl cDNAでトランスフェクトすることによって実現できる。
実施例8
Dros GluCl cDNAの、昆虫細胞における発現に用いられるバキュロウイルス発現ベクター中へのクローニング
AcNPVウイルスのゲノムに由来するバキュロウイルスベクターを、昆虫細胞のSf9系(ATCC# CRL1711)においてcDNAの高レベル発現を実現するように設計する。Dros GluCl cDNAを発現させる組み換えバキュロウイルスを、次の標準的な方法(InVitrogen Maxbac Manual)で作成する。Dros GluCl cDNA構築物を、pAC360及びBlueBacベクター(InVitrogen)を含めた様々なバキュロウイルス移入ベクター中のポリヘドリン遺伝子中に連結する。バキュロウイルス移入ベクターと直鎖状AcNPVゲノムDNA(P. A. Kitts, Nuc. Acid. Res. 18, p.5667, 1990)とでSf9細胞を同時トランスフェクトした後に相同組み換えを行なうことによって組み換えバキュロウイルスを発生させる。組み換えpAC360ウイルスは感染細胞内に封入体が存在しないことによって同定し、組み換えpBlueBacウイルスはβ−ガラクトシダーゼ発現に基づいて同定する(M. .D. Summers及びG. E. Smith, Texas Agriculture Exp. Station Bulletin, No.1555)。プラーク精製後、Dros GluCl発現を本明細書中に述べたアッセイによって測定する。
Dros GluClに対応する読み取り枠全体をコードするcDNAをpBlueBacIIのBamHI部位に挿入する。正の向きの構築物を配列解析により同定して、直鎖状AcNPV野生型(mild type)DNAの存在下にSf9細胞をトランスフェクトするのに用いる。
真正の活性Dros GluClは感染細胞の細胞質中に見出される。感染細胞から活性Dros GluClを、低張溶解または洗浄剤溶解によって抽出する。
実施例9
Dros GluCl cDNAの酵母発現ベクター中へのクローニング
最適のDros GluCl cDNAシストロンを、異種タンパク質の細胞内または細胞外発現を導くように設計した発現ベクターに挿入し、その後酵母S. cerevisiaeに組み換えDros GluClを産生させる。細胞内発現のためには、EmBLyex4等のようなベクターをDros GluClシストロンに連結する(U. Rinas等, Biotechnology 8, pp.543−545, 1990; B. Horowitz等, J. Biol. Chem. 265, pp.4189−4192, 1989)。細胞外発現のためにはDros GluClシストロンを、Dros GluClタンパク質のNH2末端に分泌シグナル(酵母または哺乳動物ペプチド)を融合させる酵母発現ベクター中に連結する(M. A. Jacobson, Gene 85, pp.511−516, 1989; L. Riett及びN. Bellon, Biochem. 28, pp.2941−2949, 1989)。
上記のようなベクターには、ヒト血清アルブミンシグナルをcDNA発現物と融合させるpAVE1>6(O. Steep, Biotechnology 8, pp.42−46, 1990)、及びヒトリゾチームシグナルをcDNA発現物と融合させるベクターpL8PL(Y. Yamamoto, Biochem. 28, pp.2728−2732)が非限定的に含まれる。加えて、ベクターpVEPを用いてDros GluClを酵母において、ユビキチンと結合した融合タンパク質として発現させる(D. J. Ecker, J. Biol. Chem. 264, pp.7715−7719, 1989; E. A. Sabin, Biotechnology 7, pp.705−709, 1989; D. P. McDonnell, Mol. Cell Biol. 9, pp.5517−5523, 1989)。発現されたDros GluClを本明細書中に述べたアッセイによって測定する。
実施例10
組み換えDros GluClの精製
遺伝的組み換えによって産生されたDros GluClは、抗体アフィニティークロマトグラフィーによって精製可能である。
抗体がアガロースゲルビーズ支持体と共有結合するようにN−ヒドロキシスクシンイミドエステルで予め活性化したゲル支持体であるAffigel−10(Biorad)に抗Dros GluCl抗体を添加することにより、Dros GluCl抗体アフィニティーカラムを作製する。次に、スペーサーアームが介在するアミド結合によって抗体とゲルとを結合させる。その後、残存する活性化エステルを1MエタノールアミンHCl(pH8)で反応停止させる。カラムを水、次いで0.23MグリシンHCl(pH2.6)で洗浄して、結合しなかった抗体や生体外タンパク質を除去する。次に、カラムを洗浄剤などの適当な膜溶解剤と混合したリン酸緩衝食塩液(pH7.3)中で平衡させ、このカラムに、可溶化されたDros GluClを含有する細胞培養上清または細胞抽出物をゆっくり通す。その後、カラムを洗浄剤と混合したリン酸緩衝食塩液で、光学密度(A280)が低下してバックグラウンドに達するまで洗浄してからタンパク質を、洗浄剤と混合した0.23MグリシンHCl(pH2.6)で溶離する。このように精製したDros GluClタンパク質をリン酸緩衝食塩液に対して透析する。
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:17
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:2
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:3
配列の長さ:50
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
配列
配列番号:4
配列の長さ:152
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:5
配列の長さ:3958
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:6
配列の長さ:456
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
Claims (12)
- グルタミン酸依存性アニオンチャンネルとして機能するショウジョウバエアベルメクチン及び/またはグルタミン酸結合タンパク質をコードする精製DNA分子であって、前記タンパク質が配列番号6に示したアミノ酸配列からなる精製DNA分子。
- 配列番号5に示したヌクレオチド配列からなる、請求項1に記載の精製DNA分子。
- 請求項1または2に記載のDNA分子を含む、組み換え宿主細胞におけるショウジョウバエアベルメクチン及び/またはグルタミン酸結合タンパク質を発現する発現ベクター。
- 請求項3に記載の発現ベクターを保有し、組み換えショウジョウバエアベルメクチン及び/またはグルタミン酸結合タンパク質を発現させる宿主細胞。
- ゲノムDNAであることを特徴とする請求項1または2に記載の精製DNA分子。
- ショウジョウバエアベルメクチン及び/またはグルタミン酸結合タンパク質を発現させる方法であって、
(a)請求項3に記載の発現ベクターを適当な宿主細胞にトランスフェクトするステップ、及び
(b)宿主細胞を前記発現ベクターからのショウジョウバエアベルメクチン及び/またはグルタミン酸結合タンパク質の発現に適する条件下に培養するステップを含む方法。 - ショウジョウバエアベルメクチン及び/またはグルタミン酸結合タンパク質として、及びグルタミン酸依存性アニオンチャンネルとして機能し、かつ配列番号6に示したアミノ酸配列からなる実質的に純粋な形態のタンパク質。
- グルタミン酸依存性アニオンチャンネルとして機能し、かつ配列番号6に示したアミノ酸配列からなるショウジョウバエアベルメクチン及び/またはグルタミン酸結合タンパク質と免疫反応する単一特異性抗体。
- アベルメクチン及び/またはグルタミン酸結合タンパク質活性を調節する化合物を同定する方法であって、
(a)ショウジョウバエアベルメクチン及び/またはグルタミン酸結合タンパク質活性の調節因子を、請求項6の方法により発現されたアベルメクチン及び/またはグルタミン酸結合組換えタンパク質と組み合わせるステップ、及び
(b)調節因子がタンパク質に及ぼす作用を測定するステップ
を含む方法。 - 調節因子がタンパク質に及ぼす作用が、グルタミン酸依存性アニオンチャンネルのリガンドの結合の抑制または促進であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
- 調節因子がタンパク質に及ぼす作用が、グルタミン酸依存性アニオンチャンネルを介してのアニオン流動の刺激または抑制であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
- アニオン流動が膜塩素イオン流動であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
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