JP3824754B2

JP3824754B2 - Method for producing shape memory alloy cast member

Info

Publication number: JP3824754B2
Application number: JP27106997A
Authority: JP
Inventors: 真人浅井; 賢悟水戸瀬; 人士浜中; 隆之米山; 寿土居
Original assignee: Furukawa Electric Co Ltd
Current assignee: Furukawa Electric Co Ltd
Priority date: 1997-10-03
Filing date: 1997-10-03
Publication date: 2006-09-20
Anticipated expiration: 2017-10-03
Also published as: JPH11106880A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、形状記憶合金製の精密鋳造部材の製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
形状記憶合金は、超弾性、形状回復性などの諸特性に優れ、センサー、スイッチ、クリップ、ソケット等の産業用機器部材に使用されている。また、歯科医療用部材として、例えば、欠損した歯を補う治療法の一つの補綴で用いる部分義歯床用のクラスプなどの材質として形状記憶合金を用いることが提案されている。
【０００３】
クラスプとは、図１の説明図（（イ）上面図、（ロ）側面図）に示すように、隣の歯を挟んで義歯を支持する部材である。義歯は、クラスプ１の先端を広げて歯２に取り付けることによって装着され、形状記憶合金製のクラスプではその後体温で温められることによってクラスプ２が閉じて、固定される。
ところで、クラスプのサイズは、取り付け位置での歯の太さによって決まる。クラスプの取り付け位置は、義歯を装着したときにクラスプが目立たないようにできるだけ歯の根元に近い方が好ましいが、クラスプを歯に取り付ける時にはその先端が歯の豊隆部よりも大きく広げられる。そのため、クラスプは歯の豊隆部３とクラスプの取り付け位置の歯の太さとの差（アンダーカット）を許容する歪み量を有していなければならない。したがって、クラスプの取り付け位置はこのアンダーカット量とクラスプの有する許容歪み量との兼ね合いによって決まり、クラスプの有する許容歪み量が小さい場合には歯の豊隆部に近いところにクラスプを取り付けざるを得ない。従来のクラスプ用合金としてはＣｏＣｒ合金、ＡｕＡｇＰｄ合金が使用されているがこれらの合金よりも、形状記憶合金は許容歪み量が大きいために、形状記憶合金のクラスプは、その取り付け位置をより歯頚部に近く設定することができ好ましい。
その他、形状記憶合金のクラスプは、義歯の着脱を繰り返しても歯を挟んで義歯本体を支持する力の低下が極めて小さい、また、与えられた歪みに対する発生力が一定であるために、着脱の際に大きな力を必要としないなどの点で従来より用いられてきた合金に比べて優れている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
形状記憶合金は、その優れた形状記憶特性、超弾性のために有用な各種部材となり得、線材などに加工されて広く利用されている。ところが、形状記憶合金の鋳造品は、鋳造状態で利用する場合、形状記憶熱処理前に材料に塑性歪みを付与できないことから、許容歪み量の大きな超弾性を有する部材を得るために極めて厳密に工程を制御しなければならず、安定した製造が困難であった。
【０００５】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、許容歪み量の大きな超弾性と適度な保持力を有する鋳造部材を安定して製造する方法を提供するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明においては、リン酸塩系鋳型材からなる鋳型に拘束されたままの状態で形状記憶熱処理を施す工程を含む形状記憶合金鋳造部材の製造方法が提供される。前記形状記憶合金は、Ｔｉ４８〜５２ａｔ％、残部Ｎｉと不可避的不純物とからなるＴｉＮｉ合金、Ｔｉ４８〜５２ａｔ％、Ｐｄ３〜３０ａｔ％、残部Ｎｉと不可避的不純物とからなるＴｉＰｄＮｉ合金、または、Ｔｉ４８〜５２ａｔ％、Ｃｕ３〜１５ａｔ％、残部Ｎｉと不可避的不純物とからなるＴｉＣｕＮｉ合金とする。また、ＴｉＮｉ合金、ＴｉＰｄＮｉ合金、または、ＴｉＣｕＮｉ合金は、それぞれの合金組成成分の一部を、全体で２ａｔ％以下の以下に述べるような金属と置換したものとしてもよい。ＴｉＮｉ合金においては、ＴｉおよびまたはＮｉの一部を、Ｃｒ、Ｆｅ、Ｃｏ、Ｖ、Ｍｎ、Ｍｏ、Ｂ、Ｃｕ、Ｎｂからなる群の少なくとも１種で置換した合金を用いることができる。前記ＴｉＰｄＮｉ合金において、合金組成の一部を、２ａｔ％以下の、Ｃｒ、Ｆｅ、Ｃｏ、Ｖ、Ｍｎ、Ｍｏ、Ｂ、Ｃｕからなる群の少なくとも１種で置換した合金を用いることができる。前記ＴｉＣｕＮｉ合金において、合金組成の一部を、２ａｔ％以下の、Ｃｒ、Ｆｅ、Ｃｏ、Ｖ、Ｍｎ、Ｍｏ、Ｂからなる群の少なくとも１種で置換した合金を用いることができる。リン酸塩系鋳型材からなる鋳型に拘束されたままの状態で形状記憶熱処理を施す際の温度条件としては、３００〜６５０℃、かつ、形状記憶合金の熱収縮量が鋳型材の熱収縮量よりも小さい温度で行うとよい。
【０００７】
【発明の実施の形態】
鋳造部材の製造工程中に、合金に形状記憶熱処理を施す際に鋳型に拘束されたままの状態で熱処理を施すことによって、安定して、超弾性効果を有する鋳造部材を製造することができる。その原理は明らかではないが、合金を鋳型に鋳込んだ状態で冷却、熱処理などの熱変化が起こると、合金と鋳型材との熱収縮量が異なることによって鋳型中の合金は鋳型より応力を受ける。そのストレスが、鋳造材に超弾性を発現させるのに寄与していると推定される。
鋳造部材の形状記憶熱処理は、合金が鋳型に鋳込まれた後、室温にまで温度が下がる前に行うようにし、鋳造後、続けてただちに熱処理を行うようにするとよい。室温にまで温度が下がってから熱処理を施すと、超弾性の発現が不安定になったり、超弾性が発現しないことがある。
【０００８】
鋳型に拘束されたままの状態で形状記憶熱処理を施す際の温度条件としては、３００〜６５０℃、かつ、形状記憶合金の熱収縮量が鋳型材の熱収縮量よりも小さいことを満足する温度で行うようにする。３００℃未満では、超弾性の発現を促す歪みを十分に与えることができず、６５０℃を越えると合金の再結晶化や過剰析出等の現象によって超弾性を示さなくなる。
本発明において熱収縮量とは、ある温度での物体の長さ（ｌ）の、室温での長さ（ｌ₀）に対する変化量を室温での長さを基準として表したものである。したがって、ある温度での熱収縮量は、（｛（ｌ−ｌ₀）／ｌ₀｝×１００（％））で表せる。
【０００９】
図３に、温度を変化させたときのＴｉＮｉ合金鋳造材と、鋳型として使用されるｌ₀リン酸系鋳型材の熱収縮量を示す。図３に示すように、１０００℃から室温にまで温度変化させると、リン酸系鋳型材では１０００〜５００℃までほぼ一定の収縮量を保っているのに対して、ＴｉＮｉ系合金材は温度の低下にともなってほぼ一様に収縮量が減少している。形状記憶処理は、３００〜６５０℃で、形状記憶合金の熱収縮量が鋳型材の熱収縮量よりも小さいことを満足する温度で行うことが好ましいので、図３のような熱収縮挙動を示すＴｉＮｉ合金と、リン酸系鋳型材では、３００〜６５０℃の範囲の温度で熱処理を行うことができる。
【００１０】
熱処理時間は温度によって異なり、３００℃ならば１５〜１５０分、６５０℃ならば０．２５〜６０分程度が適当である。この範囲で、所望の応力レベルとなる処理条件を選択すればよい。
【００１１】
鋳型として用いられる材料としては、リン酸系以外にシリカ系、マグネシア系、アルミナ系、ジルコニア系、カルシア系などがあるが、いずれの鋳型材料を用いた場合でも、その熱収縮量と、使用する合金の熱収縮量を勘案して熱処理温度や時間が設定される。
【００１２】
また、本発明の製造方法の中で行う熱処理に際しては、特別な処理雰囲気を必要とせず、大気下で十分に必要な特性を有する鋳造部材を得ることができる。
【００１３】
本発明の形状記憶合金鋳造部材の製造方法においては、形状記憶合金の組成として、Ｔｉ４８〜５２ａｔ％、残部Ｎｉと不可避的不純物とからなるＴｉＮｉ合金とするとよい。
Ｔｉが４８ａｔ％未満では、ＴｉＮｉ系の介在物に起因すると推定される応力誘起マルテンサイト変態の応力が増大して、その結果合金が硬化し、マルテンサイト変態を生じる前に破断することがある。また、Ｔｉが５２ａｔ％を越えると、Ｔｉ系酸化物の介在物を生じやすくなって得られる鋳造部材が脆くなり、強度が低下する。
【００１４】
上記ＴｉＮｉ合金は、ＴｉおよびまたはＮｉの一部を、２ａｔ％以下の範囲でＣｒ、Ｆｅ、Ｃｏ、Ｖ、Ｍｎ、Ｍｏ、Ｂ、Ｃｕ、Ｎｂからなる群の少なくとも１種の元素で置換することによって、超弾性特性を損なわずにマルテンサイト変態点の制御が可能である。特にＮｂを微量含有した鋳造部材は、温度ヒステリシスを大きくすることができ、それ故、部材保管時の温度管理が容易であるという点で好ましく、部材使用時の作業性の向上が期待できる。
【００１５】
また、形状記憶合金の組成として、ＴｉＮｉ合金にＰｄを加えた、Ｔｉ４８〜５２ａｔ％、Ｐｄ３〜３０ａｔ％、残部Ｎｉと不可避的不純物とからなるＴｉＰｄＮｉ合金とすると、より安定して、超弾性を有する精密な鋳造部材を得ることができる。Ｐｄを含有する形状記憶合金は応力レベルや許容歪み量の制御が難しいが、本発明の製造方法によれば応力ヒステリシスを減少させたり、高温での動作を可能にするなど、応力レベルや許容歪み量を制御しやすい。
【００１６】
上記ＴｉＰｄＮｉ合金は、合金組成の一部を、２ａｔ％以下の範囲で、Ｃｒ、Ｆｅ、Ｃｏ、Ｖ、Ｍｎ、Ｍｏ、Ｂ、Ｃｕからなる群の少なくとも１種の元素で置換することによって、超弾性特性を損なわずに所望のマルテンサイト変態点への制御が可能である。
【００１７】
例えば、形状記憶合金の組成として、Ｔｉ４８〜５２ａｔ％、Ｃｕ３〜１５ａｔ％、残部Ｎｉと不可避的不純物とからなるＴｉＣｕＮｉ合金とするとよい。Ｃｕが添加されていると、マルテンサイト相、母相間の相変態の繰り返しによる疲労を抑制し、応力ヒステリシスを小さくすることが可能である。
【００１８】
上記ＴｉＣｕＮｉ合金は、Ｔｉ、ＣｕおよびＮｉのいずれか１種以上を、２ａｔ％以下の範囲で、Ｃｒ、Ｆｅ、Ｃｏ、Ｖ、Ｍｎ、Ｍｏ、Ｂからなる群の少なくとも１種の元素で置換することによって、より安定して、超弾性を有する精密な鋳造部材を得ることができる。本発明の製造方法によれば応力ヒステリシスを減少させたり、高温での動作を可能にするなど、超弾性特性を損なわずにマルテンサイト変態点の制御が可能である。
【００１９】
本発明の製造方法によれば、良好な超弾性、形状記憶特性を有する形状記憶合金の鋳造部材を安定して製造することができる。例えば、歯科医療部材の部分義歯床用のクラスプを本発明方法により製造すれば、得られたクラスプは、その良好な回復力によりアンダーカットを大きく取ることが可能であるため、取り付け位置を歯頚部に近い低い位置に設定することができ好ましい。また、本発明方法では、歯を掴んで保持する力を制御することが容易であるため、適度な保持力を有するクラスプを安定して作製することができる。
【００２０】
【実施例】
本発明の実施例を以下に説明する。
【００２１】
図２に示す引っ張り試験片を作製するために、シリカ−リン酸塩系鋳型材を用いてワックスパターンを作製し、乾燥、脱ワックス、焼成を行い、一方端が開いた引っ張り試験片作製用の鋳型を作製した。鋳造用合金としては、
（合金１）Ｔｉ４９．１５ａｔ％−Ｎｉ合金
（合金２）Ｔｉ５０．０ａｔ％−Ｐｄ７．５ａｔ％−Ｎｉ合金
（合金３）Ｔｉ５０．０ａｔ％−Ｃｕ１０．０ａｔ％−Ｎｉ合金
（合金４）Ｔｉ４９．１５ａｔ％−Ｆｅ０．４ａｔ％−Ｎｉ合金
（合金５）Ｔｉ４９．２ａｔ％−Ｎｂ０．４ａｔ％−Ｎｉ合金
（合金６）Ｔｉ５０．０ａｔ％−Ｐｄ６．０ａｔ％−Ｖ０．６ａｔ％−Ｎｉ合金
（合金７）Ｔｉ５２．０ａｔ％−Ｃｕ７．５ａｔ％−Ｃｒ０．５ａｔ％−Ｎｉ合金
（合金８）Ｔｉ４７．７％−Ｎｉ合金
を用いた。
【００２２】
（実施例１〜７）（比較例１〜４）
鋳型を真空精密鋳造機にセットし、溶解銅ハース上に６０ｇのボタン状合金原料を置いて、１×１０^-4Ｔｏｒｒまで真空排気した後アーク溶解した。合金原料が完全に溶けた後、ハースを傾けて溶湯を鋳型に落として鋳造を行った。鋳造終了後、ただちに鋳型を鋳造機より取り出し、表１に示す温度に設定された熱処理炉中に入れ、表１に示す条件で熱処理を行った。熱処理終了後、サンドブラストにより鋳型を除去して、ダイヤモンドカッターで湯道とバリを取り除き、砥石、バフで表面研磨して、図２に示す形状の実施例１〜７および比較例１〜４の引っ張り試験用鋳造部材を作製した。
なお、比較例２では鋳型から鋳造部材を取り出してから熱処理を行った。
【００２３】
得られた引っ張り試験用鋳造部材に、歪み量３％まで伸びを与えた後、除荷し、どの程度まで歪みが回復するかを測定した。試験温度は３７℃、ｎ＝１０とした。
回復率（％）を（回復歪み量／３％歪み量）×１００として求めた。結果を表１に示す。また、試験後の試料の形状についても併せて表１に示す。
【００２４】
【表１】

* 比較例２鋳型から取り出してから熱処理した
【００２５】
表１より明らかなように、本発明による鋳造部材は、良好な回復力を示している。それに対して、熱処理を行わなかったり、鋳型から取り出した後に熱処理を施した比較例１、２では良好な回復力が得られず、比較例２では試料形状がゆがんでしまっていた。また、熱処理条件が不適当である比較例３、４では、試料が歪みを与える試験中に破断したり、回復力が低下したりした。
【００２６】
（実施例８、９）
（合金Ａ）Ｔｉ５０．３ａｔ％−Ｐｄ２０．０ａｔ％−Ｎｉａｔ％合金、（合金Ｂ）Ｔｉ５０．０３ａｔ％−Ｎｉ合金を用いて、熱処理条件を４５０℃、３０分とした以外は、上記と同様の製造方法で図２に示す実施例８と実施例９の引っ張り試験用鋳造部材を作製した。
実施例８の鋳造部材を１００℃に保った状態で歪み量３％の伸びを与え、その後除荷したところ、約２％の歪みが残留した。１５０℃に昇温したところ残留していた歪みは完全に回復した。
実施例９の鋳造部材を３７℃に保った状態で歪み量３％の伸びを与え、その後除荷したところ、約２％の歪みが残留した。１００℃に昇温したところ残留していた歪みは完全に回復した。
（比較例５）
（合金Ａ）を用い熱処理しないで作製した引っ張り試験用鋳造部材について、同様に歪みを与える試験を行ったところ、昇温しても歪みが完全に回復しなかった。
【００２７】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、許容歪み量の大きな超弾性と適度な保持力を有する鋳造部材を安定して製造することができる。また、本発明の製造方法は、歯科医療用部材、センサー、スイッチ、クリップ、ソケット等の産業機器部材の形状記憶合金鋳造材の製造に好適に用いることができる。例えば、部分義歯床用のクラスプに適用すれば、繰り返して着脱しても保持力の低下が極めて抑制された優れたものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】部分義歯床用のクラスプの使用状況を説明するための説明図、（イ）は側面図、（ロ）は上面図。
【図２】引っ張り試験用鋳造部材の説明図。
【図３】ＴｉＮｉ合金とリン酸系鋳型材の熱収縮量の変化を表すグラフ。
【符号の説明】
１部分義歯床用のクラスプ
２歯
３豊隆部[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for manufacturing a precision cast member made of a shape memory alloy.
[0002]
[Prior art]
Shape memory alloys are excellent in various properties such as superelasticity and shape recoverability, and are used in industrial equipment members such as sensors, switches, clips and sockets. As a member for dentistry, it has been proposed to use a shape memory alloy as a material such as a clasp for a partial denture base used in one prosthesis of a treatment method for repairing a missing tooth.
[0003]
A clasp is a member which supports a denture on both sides of adjacent teeth, as shown in the explanatory views of FIG. 1 ((A) top view, (B) side view). The denture is mounted by expanding the tip of the clasp 1 and attaching it to the tooth 2. In the clasp made of shape memory alloy, the clasp 2 is then closed and fixed by being heated at body temperature.
By the way, the size of the clasp is determined by the thickness of the tooth at the attachment position. The attachment position of the clasp is preferably as close to the root of the tooth as possible so that the clasp is not conspicuous when the denture is attached. However, when the clasp is attached to the tooth, the tip of the clasp is wider than the ridge of the tooth. Therefore, the clasp must have a distortion amount that allows a difference (undercut) between the tooth ridge 3 and the tooth thickness at the clasp attachment position. Therefore, the clasp attachment position is determined by the balance between the undercut amount and the allowable distortion amount of the clasp. If the allowable distortion amount of the clasp is small, the clasp must be attached near the tooth ridge. . CoCr alloy and AuAgPd alloy are used as conventional clasp alloys. However, since shape memory alloys have a larger allowable strain than these alloys, the shape memory alloy clasps have a higher attachment position in the neck region. It can be set close to and is preferable.
In addition, the shape memory alloy clasp has a very small drop in the force to support the denture body even when the denture is repeatedly attached and detached, and the generated force against a given strain is constant. It is superior to the conventionally used alloys in that a large force is not required.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
Shape memory alloys can be useful members for their excellent shape memory characteristics and superelasticity, and are widely used after being processed into wires. However, when a shape memory alloy casting is used in a cast state, since it cannot impart plastic strain to the material before shape memory heat treatment, a very strict process is performed to obtain a member having superelasticity with a large allowable strain amount. Therefore, stable production was difficult.
[0005]
The present invention has been made to solve such a problem, and provides a method for stably producing a cast member having a superelasticity having a large allowable strain amount and an appropriate holding force.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
That is, in the present invention, there is provided a method for producing a shape memory alloy cast member including a step of performing a shape memory heat treatment while being restrained by a mold made of a phosphate-based mold material . The shape memory alloy is Ti48-52at%, TiNi alloy composed of the balance Ni and unavoidable impurities, Ti48-52at%, Pd3-30at%, TiPdNi alloy composed of the balance Ni and unavoidable impurities, or Ti48-52at. %, Cu3 to 15 at%, the balance being Ni and an inevitable impurity TiCuNi alloy. Further, in the TiNi alloy, TiPdNi alloy, or TiCuNi alloy, a part of each alloy composition component may be replaced with a metal as described below of 2 at% or less as a whole. In the TiNi alloy, an alloy in which a part of Ti and / or Ni is substituted with at least one selected from the group consisting of Cr, Fe, Co, V, Mn, Mo, B, Cu, and Nb can be used. In the TiPdNi alloy, it is possible to use an alloy in which a part of the alloy composition is substituted by at least one member selected from the group consisting of Cr, Fe, Co, V, Mn, Mo, B, and Cu at 2 at% or less. In the TiCuNi alloy, an alloy in which a part of the alloy composition is substituted with at least one member selected from the group consisting of Cr, Fe, Co, V, Mn, Mo, and B of 2 at% or less can be used. As the temperature condition when the shape memory heat treatment is performed in a state of being constrained to a mold made of a phosphate mold material, the heat shrinkage amount of the shape memory alloy is 300 to 650 ° C. It is better to carry out at a lower temperature.
[0007]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
During the manufacturing process of the cast member, when the shape memory heat treatment is performed on the alloy, the cast member having a superelastic effect can be stably manufactured by performing the heat treatment while being restrained by the mold. The principle is not clear, but if a thermal change such as cooling or heat treatment occurs while the alloy is cast in the mold, the alloy in the mold will receive more stress than the mold due to the difference in thermal shrinkage between the alloy and the mold material. receive. It is estimated that the stress contributes to making the cast material exhibit superelasticity.
The shape memory heat treatment of the cast member may be performed after the alloy is cast into the mold and before the temperature is lowered to room temperature, and the heat treatment may be performed immediately after casting. When heat treatment is performed after the temperature has dropped to room temperature, the expression of superelasticity may become unstable or the superelasticity may not be expressed.
[0008]
The temperature condition when performing shape memory heat treatment while being constrained to the mold is 300 to 650 ° C., and the temperature satisfying that the amount of heat shrinkage of the shape memory alloy is smaller than the amount of heat shrinkage of the mold material To do. If it is less than 300 ° C., the strain that promotes the development of superelasticity cannot be given sufficiently, and if it exceeds 650 ° C., it does not exhibit superelasticity due to phenomena such as recrystallization of the alloy and excessive precipitation.
In the present invention, the amount of heat shrinkage is the amount of change of the length (l) of an object at a certain temperature with respect to the length (l ₀ ) at room temperature, based on the length at room temperature. Therefore, the amount of heat shrinkage at a certain temperature can be expressed by ({(l−l ₀ ) / l ₀ } × 100 (%)).
[0009]
FIG. 3 shows the amount of thermal shrinkage of the TiNi alloy cast material when the temperature is changed and the ₁₀ phosphoric acid-based mold material used as a mold. As shown in FIG. 3, when the temperature is changed from 1000 ° C. to room temperature, the phosphoric acid template material maintains a substantially constant shrinkage amount from 1000 to 500 ° C., whereas the TiNi alloy material has a temperature of The amount of shrinkage decreases almost uniformly with the decrease. The shape memory treatment is preferably performed at 300 to 650 ° C. at a temperature satisfying that the amount of heat shrinkage of the shape memory alloy is smaller than the amount of heat shrinkage of the mold material. With the TiNi alloy and the phosphoric acid template material, heat treatment can be performed at a temperature in the range of 300 to 650 ° C.
[0010]
The heat treatment time varies depending on the temperature, and is suitably 15 to 150 minutes at 300 ° C and about 0.25 to 60 minutes at 650 ° C. In this range, a processing condition that provides a desired stress level may be selected.
[0011]
Materials used as molds include silica, magnesia, alumina, zirconia, calcia, etc. in addition to phosphoric acid. The heat treatment temperature and time are set in consideration of the heat shrinkage of the alloy.
[0012]
Further, in the heat treatment performed in the production method of the present invention, a special processing atmosphere is not required, and a cast member having sufficiently necessary characteristics in the air can be obtained.
[0013]
In the method for producing a shape memory alloy cast member of the present invention, the composition of the shape memory alloy is preferably a TiNi alloy comprising Ti 48 to 52 at%, the balance Ni and unavoidable impurities.
When Ti is less than 48 at%, the stress of stress-induced martensitic transformation estimated to be caused by TiNi inclusions increases, and as a result, the alloy hardens and may break before martensitic transformation occurs. On the other hand, when Ti exceeds 52 at%, Ti-based oxide inclusions are likely to be produced, and the resulting cast member becomes brittle and the strength is lowered.
[0014]
In the TiNi alloy, a part of Ti and / or Ni is replaced with at least one element of the group consisting of Cr, Fe, Co, V, Mn, Mo, B, Cu, and Nb within a range of 2 at% or less. Thus, the martensitic transformation point can be controlled without impairing the superelastic characteristics. In particular, a cast member containing a small amount of Nb is preferable in that the temperature hysteresis can be increased, and therefore, temperature management at the time of storing the member is easy, and improvement in workability when using the member can be expected.
[0015]
Further, as a shape memory alloy composition, TiPdNi alloy composed of TiNi alloy with Pd added to Ti48-52at%, Pd3-30at%, balance Ni and inevitable impurities is more stable and has super elasticity. A precise cast member can be obtained. Shape memory alloys containing Pd are difficult to control the stress level and the allowable strain amount. However, according to the manufacturing method of the present invention, the stress level and the allowable strain can be reduced by reducing the stress hysteresis and enabling the operation at a high temperature. Easy to control the amount.
[0016]
The TiPdNi alloy can be obtained by substituting a part of the alloy composition with at least one element of the group consisting of Cr, Fe, Co, V, Mn, Mo, B, and Cu within a range of 2 at% or less. Control to the desired martensitic transformation point is possible without impairing the elastic properties.
[0017]
For example, the composition of the shape memory alloy may be a TiCuNi alloy composed of Ti 48 to 52 at%, Cu 3 to 15 at%, the balance Ni and inevitable impurities. When Cu is added, it is possible to suppress fatigue due to repeated phase transformation between the martensite phase and the matrix phase, and to reduce stress hysteresis.
[0018]
The TiCuNi alloy replaces at least one of Ti, Cu, and Ni with at least one element of the group consisting of Cr, Fe, Co, V, Mn, Mo, and B within a range of 2 at% or less. As a result, a precise cast member having superelasticity can be obtained more stably. According to the manufacturing method of the present invention, it is possible to control the martensitic transformation point without deteriorating superelastic characteristics, such as reducing stress hysteresis or enabling operation at high temperature.
[0019]
According to the production method of the present invention, a cast member of shape memory alloy having good superelasticity and shape memory characteristics can be produced stably. For example, if a clasp for a partial denture base of a dental medical member is manufactured by the method of the present invention, the obtained clasp can take a large undercut by its good recovery force. It is preferable that it can be set at a low position close to. Moreover, in the method of the present invention, it is easy to control the force for grasping and holding the teeth, so that a clasp having an appropriate holding force can be stably produced.
[0020]
【Example】
Examples of the present invention will be described below.
[0021]
In order to produce the tensile test piece shown in FIG. 2, a wax pattern is produced using a silica-phosphate-based template material, dried, dewaxed, and fired. A mold was prepared. As an alloy for casting,
(Alloy 1) Ti 49.15 at% -Ni alloy (Alloy 2) Ti 50.0 at% -Pd 7.5 at% -Ni alloy (Alloy 3) Ti 50.0 at% -Cu 10.0 at% -Ni alloy (Alloy 4) Ti 49.15 at % -Fe 0.4 at% -Ni alloy (alloy 5) Ti 49.2 at% -Nb 0.4 at% -Ni alloy (alloy 6) Ti 50.0 at% -Pd 6.0 at% -V 0.6 at% -Ni alloy (alloy 7) Ti 52.0 at% -Cu 7.5 at% -Cr 0.5 at% -Ni alloy (Alloy 8) A Ti 47.7% -Ni alloy was used.
[0022]
(Examples 1-7) (Comparative Examples 1-4)
The mold was set in a vacuum precision casting machine, 60 g of the button-shaped alloy raw material was placed on the molten copper hearth, evacuated to 1 × 10 ⁻⁴ Torr, and then melted by arc. After the alloy material was completely melted, casting was performed by tilting the hearth and dropping the molten metal into the mold. Immediately after the completion of casting, the mold was taken out of the casting machine, placed in a heat treatment furnace set to the temperature shown in Table 1, and heat-treated under the conditions shown in Table 1. After completion of the heat treatment, the mold is removed by sand blasting, runners and burrs are removed with a diamond cutter, and the surface is polished with a grindstone and a buff, and the pulls of Examples 1 to 7 and Comparative Examples 1 to 4 having the shapes shown in FIG. A test cast member was prepared.
In Comparative Example 2, heat treatment was performed after the cast member was taken out of the mold.
[0023]
The obtained cast member for tensile test was stretched to a strain amount of 3%, then unloaded and measured to what extent the strain recovered. The test temperature was 37 ° C. and n = 10.
The recovery rate (%) was determined as (recovery strain / 3% strain) × 100. The results are shown in Table 1. Table 1 also shows the shape of the sample after the test.
[0024]
[Table 1]

* Comparative Example 2 Heat treated after removing from mold
As is apparent from Table 1, the cast member according to the present invention exhibits a good recovery force. On the other hand, in Comparative Examples 1 and 2 in which heat treatment was not performed or heat treatment was performed after taking out from the mold, a good recovery force was not obtained, and in Comparative Example 2, the sample shape was distorted. Further, in Comparative Examples 3 and 4 where the heat treatment conditions were inappropriate, the sample broke during the test that gave distortion, or the recovery force decreased.
[0026]
(Examples 8 and 9)
(Alloy A) Ti50.3at% -Pd20.0at% -Niat% alloy, (Alloy B) Ti50.03at% -Ni alloy, except that the heat treatment conditions were 450 ° C. for 30 minutes. Cast members for tensile tests of Example 8 and Example 9 shown in FIG.
When the cast member of Example 8 was kept at 100 ° C. and given an elongation of 3% strain and then unloaded, about 2% strain remained. When the temperature was raised to 150 ° C., the remaining strain was completely recovered.
When the cast member of Example 9 was kept at 37 ° C. and given an elongation of 3% strain and then unloaded, a strain of about 2% remained. When the temperature was raised to 100 ° C., the remaining strain was completely recovered.
(Comparative Example 5)
The cast member for tensile test prepared without using heat treatment using (Alloy A) was similarly subjected to a test to give strain, and the strain was not completely recovered even when the temperature was raised.
[0027]
【The invention's effect】
According to the manufacturing method of the present invention, it is possible to stably manufacture a cast member having a superelasticity with a large allowable strain amount and an appropriate holding force. Moreover, the manufacturing method of this invention can be used suitably for manufacture of the shape memory alloy casting material of industrial equipment members, such as a member for dentistry, a sensor, a switch, a clip, and a socket. For example, when it is applied to a clasp for a partial denture base, an excellent product in which a decrease in holding force is extremely suppressed even when repeatedly attached and detached can be obtained.
[Brief description of the drawings]
BRIEF DESCRIPTION OF DRAWINGS FIG. 1 is an explanatory diagram for explaining a use situation of a clasp for a partial denture base, (A) is a side view, and (B) is a top view.
FIG. 2 is an explanatory view of a cast member for a tensile test.
FIG. 3 is a graph showing changes in the amount of thermal shrinkage between a TiNi alloy and a phosphoric acid template material.
[Explanation of symbols]
1 Clasp for partial denture base 2 Teeth 3

Claims

A method for producing a TiNi shape memory alloy cast member comprising 48 to 52 at% of Ti, the balance Ni and unavoidable impurities, including a step of performing shape memory heat treatment while being constrained by a mold made of a phosphate mold material .

In the TiNi alloy, a part of Ti and or Ni, the following 2at%, Cr, Fe, Co , V, Mn, Mo, B, Cu, in claim 1 which is substituted with at least one of the group consisting of Nb The manufacturing method of the shape memory alloy casting member of description.

TiPdNi shape memory alloy casting comprising 48 to 52 at% Ti, 3 to 30 at% Pd, remaining Ni and inevitable impurities, including a step of performing shape memory heat treatment while being constrained to a mold made of a phosphate-based mold material Manufacturing method of member.

The shape memory according to claim 3 , wherein in the TiPdNi alloy, a part of the alloy composition is replaced with at least one member selected from the group consisting of Cr, Fe, Co, V, Mn, Mo, B, and Cu of 2 at% or less. A method for producing an alloy cast member.

TiCuNi shape memory alloy casting consisting of Ti48-52at%, Cu3-15at%, balance Ni and inevitable impurities, including a step of performing shape memory heat treatment while being constrained to a mold made of phosphate-based mold material Manufacturing method of member.

6. The shape memory alloy casting according to claim 5 , wherein in the TiCuNi alloy, a part of the alloy composition is replaced with at least one member selected from the group consisting of Cr, Fe, Co, V, Mn, Mo, and B of 2 at% or less. Manufacturing method of member.

The shape memory heat treatment is performed at a temperature satisfying that the shape memory alloy is 300 to 650 ° C. and the amount of heat shrinkage of the shape memory alloy is smaller than the amount of heat shrinkage of the mold material. Of manufacturing a shape memory alloy cast member.