JP3976218B2 - 暗号システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば暗号化技術に用いられるカオス発生装置を備える暗号システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報化の進展に伴い、情報のセキュリティに対する要求が増大しており、情報を受信者に正確に伝えるとともに、受信者以外には情報が読み取られないようにする安全な暗号技術が求められている。現在実用化されている暗号技術として、DES(Data Encryption Standard)暗号などの共通鍵暗号、RSA(Rivest, Shamir, Adelmanの3人によって考案された) 暗号などの公開鍵暗号などがある。しかしこれらは安全性、処理速度の点で問題点が多い。近年これらの暗号技術に比べて安全強度が高く、暗号化、復号化の処理速度が速いカオス暗号方法が提案されている。
【0003】
カオスとは、簡単な規則から複雑で不規則に変化するものであり、カオス暗号は、このような不規則な振る舞いをするカオス関数を用いて暗号化するものである。つまり、カオス関数は、簡単な数式で表されるにもかかわらず、予測不可能な不規則な値を時系列的に導出する関数である。したがって、このカオス関数からのカオス時系列を用いて情報を暗号化することによって、解読不可能に暗号化することができる。
【0004】
たとえば、まず、あらかじめ定めるカオス関数に初期値を設定し、出力される値を「1」または「0」のデジタル信号に順次変換して一連のデジタルカオス時系列を生成する。そして、送信する一連のデジタル情報を、生成したデジタルカオス時系列を用いて論理演算を施し、順次暗号化する。受信側でも同様に、同一のカオス関数と初期値とからデジタルカオス時系列を生成し、受信した暗号を、デジタルカオス時系列で順次復号化する。
【0005】
カオスの特徴の1つに、初期値鋭敏性がある。これはカオス写像に与える初期値にわずかな違いがあっても、出力値が大きく異なることである。つまり、初期値がわずかでも異なると生成されるカオス時系列が大きく異なる。したがって、初期値を鍵として暗号化することで、第3者による暗号の解読が非常に困難となる。
【0006】
前述したDES暗号や、RSA暗号では、複雑な演算処理を行うことによって暗号化するので、暗号化、復号化の処理速度が遅いといった問題を有するが、カオス暗号では、簡単なカオス関数から生成したカオス時系列で順次暗号化、または復号化するので、処理速度を非常に速くすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、カオスには初期値鋭敏性という性質があり、初期値のわずかの違いによって生成されるカオス時系列が異なり、これによって第三者による解読が困難となるが、このことは逆に、鍵とする初期値が暗号化する側と復号化する側とでわずかでも異なると、正確に復号できないといった問題を生じる。
【0008】
次に、初期値変化によるカオス時系列の変化について説明する。
よく知られたカオス写像として、ロジスティック写像
Xn+1 = αXn(1−Xn) …(1)
がある。このロジスティック写像において、α=4
Xn+1 = 4Xn(1−Xn) …(2)
の場合は、厳密なカオス解
Xn = sin2(c2n) …(3)
が得られる。この式(3)に順次n(n=1, 2,3…)を与えることによってカオス時系列が得られる。
【0009】
次に、カオス時系列を倍精度(丸め誤差ε=10-15)で計算したときの変化を調べるために、上記(3)式の初期値X0として0.1と、0.100000000000001とを与えたときのカオス時系列を図4に示す。この図4から分かるように、約n=45回目で丸め誤差の影響が図上ですら分かる程度(10-2)に現れる。これは、式(1)の繰り返し計算を用いた場合でも同様である。
【0010】
このようにカオス写像の式(1)を用いたカオス暗号化方法では、誤差ε=10-15程度の非常に小さい丸め誤差であってもこれが集積され、数十回の繰返し計算で誤差が急増し、忠実なカオスの再現は不可能と考えられている。また、このような誤差は、電子回路の精度や外部からのノイズとして生じ、誤差を0とすることは不可能である。
【0011】
このような現状から、カオス暗号化技術の実用化は不可能といわれている。
本発明の目的は、誤差を集積させず、忠実にカオス時系列を再現することができるカオス発生装置を備える暗号システムを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の関数fと、周期Tを持つ第2の関数gとの合成関数であるカオス関数g(f(n))を有し、
f(n)=c2n
g(f(n))=sin2(f(n))
であり、ここでnは正の整数であり、
このカオス関数g(f(n))のnを順次変化させることによって、ロジスティック写像Xn+1=4Xn(1−Xn)の一意の値Xnを時系列的に導出するカオス発生装置であって、
c=L/M・π≠p/2q・π(ここでL,M,p,qは正の整数であり、Mは3以上の素数であり、L/Mは有理数であり、πは円周率を近似した値として用いる)とし、
第n+1回目の値Xn+1を導出するのに、
Ln =L・2n
Ln+1=(2Ln)mod(M)
とするとき、
Xn+1=sin2(Ln +1/M・π)
を導出するカオス発生装置を備える一対の暗号装置を有し、
一方の暗号装置で、コンピュータによって、カオス発生装置から導出したカオス時系列をデジタル化してデジタルカオス時系列を生成し、送信する一連のデジタル情報を、前記デジタルカオス時系列を用いて論理演算を施し、順次、暗号化し、
他方の暗号装置のカオス発生装置で、コンピュータによって、前記一方の暗号装置のカオス発生装置で導出したカオス時系列と同じカオス時系列を導出し、暗号化されたデジタル情報を復号化することを特徴とする暗号システムである。
【0013】
本発明は、L=1、
M=2s+1
(ここでs=1,2,…)
であることを特徴とする。
【0014】
第1の関数fは、前述した式(3)の例では、f=c2nとなる。また、周期関数である第2の関数gは、式(3)の例では、g=sin2(f(n))となり、これらの合成関数であるカオス関数が
Xn = sin2(c2n) …(3)
となる。前述したように、この(3)式はカオス写像
Xn+1 = 4Xn(1−Xn) …(2)
の厳密解である。したがって合成関数であるカオス関数Xn=g(f(n))にn=1,2,3…と順次的に与えることによってX1,X2,X3…とカオス時系列を導出することができる。このとき、まず第1の関数fにnを与えてf(n)を算出し、この算出した値f(n)を第2の関数gに与えてXnを算出する。つまり、f(n)にn=1,2,3…と与えて算出したf(1),f(2),f(3)…を算出し、これを順次第2の関数gに与えることによってX1,X2,X3…が導出される。
【0015】
ここで、第1の関数fが、f(n)=cknの場合、第n回のfの値はf(n)=cknであるので、第(n+1)回のfの値f(n+1)は、f(n+1)=k×f(n)となる。このようにして、第n回の第1の関数fの値f(n)と、第1の関数fとから第(n+1)回の第1の関数fの値f(n+1)が得られる。
【0016】
ここで、第2の関数gは周期関数であるので、第2の関数に与える2つの値がちょうど周期Tだけ離れている場合は算出されるXnが同じ値となる。このことから、第2の関数に与える第1の関数の値f(n)を、周期Tで割った余りrを第2の関数gに与えた場合のXnと、第1の関数の値f(n)を直接第2の関数gに与えた場合のXnとは同じ値となる。
【0017】
本発明はこの周期関数gの性質と、前述したf(n)から、f(n+1)を算出する方法とを利用する。つまり、第(n+1)回のXn+1を算出するのに、第n回の第1の関数fの値f(n)と第1の関数fとから第(n+1)回のfの値f(n+1)を算出し、この値f(n+1)を、第2の関数gの周期Tで除し、その余りrを第2の関数gに与えてXn+1を算出する。このようにして毎回前回の値を用いて順次Xnを算出する。
【0018】
ここで、たとえば初期値に誤差εが含まれる場合について検討する。第n回の第1の関数f(n)とfとから第(n+1)回の値f(n+1)を算出するとき、誤差が増加する。たとえば、f(n)=cknの場合、第n回の値f(n)をk倍(kは整数)して第(n+1)回の値f(n+1)を算出するので、前回の値に誤差εが含まれる場合、誤差εがk倍される。
【0019】
前述したように、本発明では、第(n+1)回のfの値f(n+1)を第2の関数の周期Tで割り算した余りrを第2の関数gに与えてXn+1を算出する。f(n+1)の値k(ckn)が周期Tより大きくなった場合、f(n+1)を周期Tで除し、その余りrのみが第2の関数gに与えられるので、誤差が集積されると言ったことが防がれる。
【0020】
したがって、電子回路の精度やノイズなどによって誤差が生じたとしても、この誤差が集積されず、忠実にカオス時系列を導出することが可能となる。
【0021】
本発明は、前記カオス関数によって生成したカオス時系列で、デジタル情報を暗号化するとき、カオス関数のnに関する周期Nが、暗号化するデジタル情報よりも長いことを特徴とする。
【0022】
上記(3)式に示すようなカオス関数では、nに関する周期Nが存在する。つまり、相い異なる2つのnから得られるXnが同じ値となる場合があり、この場合、その後のカオス時系列Xnの値も同じとなる。このようなカオス関数で暗号化すると、同じカオス時系列を繰返し用いることになり、安全性が低下するといった問題を有する。しかしながら、本発明では、カオス関数の周期Nが、暗号化する情報量より大きくなるように選ぶので、1回の暗号化の過程で、同じカオス時系列を複数回用いることがなく、実質、完全なカオスで暗号化することと同等とすることができる。
【0024】
本発明は、前記デジタル情報は、文章、画像または音声をデジタル信号に変換したものであることを特徴とする。
【0025】
文章や画像は、容易にデジタル情報に変換でき、このデジタル情報に、カオス時系列を演算処理することによって暗号化することができる。
【0026】
デジタル情報を暗号化して送受信する場合、予め送信側と受信側とでカオス関数を共通に持つ。そして、送信側で、前記カオス関数に初期値を与えてカオス時系列を生成し、これを用いてデジタル情報を暗号化する。そして暗号化した情報と、初期値とを送信する。
【0027】
受信側では、共通に持つカオス関数と受信した初期値とから同じカオス時系列を生成し、この生成したカオス時系列から、受信した暗号を復号する。
【0028】
回路の精度や送受信時のノイズによって鍵として送る初期値に誤差が含まれる場合があるが、前述した本発明のカオス生成アルゴリズムを用いることによって、カオス時系列を生成するときに誤差が集積されるといったことが防がれる。これによって、初期値に誤差が含まれる場合であっても、送信側と同じカオス時系列を受信側で忠実に再現することができ、暗号化した情報を正確に復元することが可能である。
【0029】
このように、本発明のカオス発生装置は、文章や画像などの情報を暗号化または復号化する装置として特に好適に用いられる。また、たとえば、第1の関数fがf(n)=cknの場合、鍵とする初期値は係数cとする。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態のカオス発生装置を用いる暗号システム1の構成を示すブロック図である。暗号システム1は、たとえば集積回路によって実現されるカオス発生装置2,3を含む一対の暗号装置4,5から構成される。
【0035】
たとえば文章または画像などのデジタル情報を送る場合、一方の暗号装置4で、ある鍵を用いて情報を暗号化し、暗号化した情報を他方の暗号装置5に送信する。暗号化に用いた鍵は、暗号とともに送信するか、別途に渡す。他方の暗号装置5は、渡された鍵を用いて受信した暗号を復号する。
【0036】
つぎに、図1を参照し、暗号化方法に関してさらに詳しく説明する。暗号装置4では平文10を暗号化する。平文10は、文章を「1」または「0」からなるデジタル情報で表したデジタル情報である。カオス発生装置2は、カオス関数を有し、このカオス関数に初期値を設定することによって、まずカオス時系列Xn(X1,X2,X3…)を生成する。そしてそれをデジタル化してデジタルカオス時系列を出力する場合、生成されるカオス時系列Xnは図2に示すように、カオス関数(3)の場合は、0<Xn<1の範囲の値である。したがって、生成されたカオス時系列Xnをデジタルカオス時系列Xnに変換するには、たとえばカオス発生装置2に基準値A(0<A<1)を設定し、Xnが設定された基準値Aより大きい場合を「1」とし、基準値A以下の場合を「0」とすることで、デジタルカオス時系列が生成される。
【0037】
このようにしてカオス発生装置から出力されるカオス時系列と、平文10とを演算器11に入力し、ここで順に演算処理を行い暗号文12を生成する。本実施形態では、演算器11は排他的論理和の演算処理を行い、平文10とカオス時系列Xnとの排他的論理和をとって暗号文12を作成する。作成された暗号文12が、たとえば公衆電話回線を介して送信されるか、またはフロッピーディスクなどの記録媒体を介して他方の暗号装置5に渡される。
【0038】
他方の暗号装置5も、一方の暗号装置4のカオス発生装置2が持つカオス関数と同じカオス関数、および基準値Aを有し、一方の暗号装置4から渡された鍵を用いて、一方の暗号装置4と同じカオス時系列Xnを生成することができる。したがって、受信した暗号文12と生成したカオス時系列Xnを演算器13に入力し、ここで暗号文12とカオス時系列Xnとの排他的論理和をとることで復号され、平文10が得られる。
【0039】
上述した実施形態では、演算器11が排他的論理和の演算を行うように構成したが、これに限らず、たとえば暗号化側では演算器11で加算し、復号化側では演算器13で減算して、暗号を復号するようにしてもよい。
【0040】
また、カオス発生装置に設定する基準値Aも鍵とし、暗号化、復号化ごとに基準値Aを変更するように構成してもよい。また、カオス関数は1つでなく、カオス発生装置2,3それぞれに複数のカオス関数を設定しておき、暗号化するごとに、カオス関数を変更し、どのカオス関数を用いるかを鍵とともに渡すようにしてもよい。
【0041】
つぎに、カオス発生装置2,3におけるカオス時系列Xnの生成アルゴリズムについて説明する。
【0042】
本発明ではカオス関数を第1の関数fと周期Tを有する第2の関数gとの合成関数g(f(n))とし、第1の関数fはf(n)=ckn(nは正の整数、kは素数、cは無理数)とする。本実施形態では、カオス関数は前述した(3)式、
Xn = sin2(c2n) …(3)
とする。したがって、第1の関数fはf(n)=c2nとなり、第2の関数は
g(n)=sin2(f(n))となる。前述したように、(3)式は、カオス写像であるロジスティック写像
Xn+1 = 4Xn(1−Xn) …(2)
の厳密解である。
【0043】
次に、(3)式で表すカオス関数による本発明のカオス時系列生成アルゴリズムについて説明する。ここで(3)式の係数cを
c = L/M・π≠p/2q・π …(4)
(L,M,p,qは正の整数)
とする。まず、(3)式において係数cを決定することによって(3)式のカオス関数が決定される。つぎに、n=0を決定された(3)式に与えることによって、まずX0が算出され、その後は、つぎに説明するカオス時系列生成アルゴリズムにしたがって順次X1,X2,X3…を算出する。
【0044】
カオス時系列生成アルゴリズムは、第(n+1)回目のXn+1を算出するのに、第n回目の第1の関数fの値f(n)と第1の関数からf(n+1)を求め、これを第2の関数gの周期Tで割った余りrを第2の関数gに与えて算出する。ここで第n回目の第1の関数f(n)はf(n)=L/M・π・2nであるので、f(n+1)=2・L/M・π・2nとなる。また、第2の関数gの周期Tはπであるのでf(n+1)をπで割った余りrは、
r = (2・L/M・π・2n)mod(π) …(5)
となる。したがってこの(5)式と第2の関数gからXn+1は、
Xn+1 = sin2{(2・L/M・π・2n)mod(π)} …(6)
となる。
したがって(6)式は、
Xn+1 = sin2(Ln+1/M・π) …(7)
Ln+1 =(2Ln)mod(M) …(8)
となる。
【0045】
このようにして、本発明のカオス時系列生成アルゴリズムでは、Xn+1を算出するのに、第n回目の第1の関数fの値f(n)と第1の関数fとからf(n+1)を算出し、これを周期Tで割った余りrを第2の関数gに与えてXn+1を算出するので、前述したように、誤差が集積されることがない。これによって、復号化側でも、暗号化に用いたカオス時系列を忠実に再現することができる。
【0046】
(3)式で表されるカオス関数にはnに関する周期Nが存在し、この周期Nは係数cに依存する。前述したように、係数cは、
c=L/M・π≠p/2q・π …(4)
(L,M,p,qは正の整数)
である。ここで、LとMとを互いに割り切れない整数に選ぶことによって、周期Nを大きくすることができる。なお、L/Mは有理数であるけれども、πが無理数であるので、cは無理数となる。
【0047】
たとえば図2は、c=2049/20011・πとしたときのカオス時系列を示す図であり、このときX0=XNとなるNは10005である。つまり周期Nが10005となる。このように周期Nが非常に大きく、暗号化するデジタル情報よりも長い場合には、1回の暗号化で同じカオス時系列が繰り返されることなく、実質、完全なカオスで暗号化を行うことができる。
【0048】
次に、係数cと周期Nとの関係について説明する。図3は、
L=1,M=2s+1
(s=1,2,…)
とおいて、Mを大きくした場合の式(3)の周期Nの計算結果を示す図である。図3では、M<500までの計算結果のみを示しているが、Mが大きくなるにつれて、
N=(M―1)/2 …(9)
の関係で、周期Nを大きくすることができることが分かる。このことから、Mを適宜選ぶことによって、暗号化する情報に応じた充分な長さのカオス時系列を生成することが可能であるといえる。ただし、Mは3以上の素数(3,5,7,11,13,17,…)である必要があることがコンピュータによる計算で確認されている。
【0049】
大きな周期Nを計算すると、1回で数時間かかり、たとえば前述のようにL=1とし、M=200000000077,200000000093(共に素数)などは式(10)によりそれぞれ周期N、
N=100000000038,100000000046
が得られる。このような大きな周期Nは、現実に暗号化を行うレベルでは無限の周期とみなすことができる。つまり、これ以上大きな周期Nの場合は、計算時間が急増し、N≒1015の場合には、計算に約数ヶ月要する。
【0050】
上述した実施形態では、第1の関数fをf=c2nとし、周期関数である第2の関数gをg=sin2(f(n))とし、これらの合成関数
Xn=sin2(c2n) …(3)
をカオス関数とした。
【0051】
また、このような技術は文章の暗号化に限らず、デジタル化した音声情報や、デジタル画像の暗号化にも適用することができる。またデジタル画像の暗号化技術を用いれば、電子透かし技術に適用することも可能である。たとえば、
Xm=cos(c2m) …(11)
Xn=sin(c2n) …(12)
(m,n=0,1,2,3,…)
とすれば、2次元(平面)のカオスを実現することができ、セキュリティシステムに適用することができる。
【0052】
その他、本発明のカオス発生装置は、カオス制御などに適用することができる。
【0053】
また、本発明のカオス生成アルゴリズムで生成したカオス時系列は、擬似乱数としても用いることができるので、たとえば乱数を必要とするコンピュータゲームなどに適用することも可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカオス発生装置を備える暗号システムは、誤差を集積させることなくカオスを発生させることができるので、カオス時系列を忠実に再現することができる。これによって、カオス暗号技術の実用化が可能となる。
【0055】
暗号化するデジタル情報として、デジタル化された文章またはデジタル音声・画像に適用することができる。また、生成されたカオスを擬似乱数として用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカオス発生装置を用いた暗号システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】c=(2049/20011)πとしたときの計算結果を示す図である。
【図3】Mを増加させたときの周期Nを示す図である。
【図4】丸め誤差が集積される従来の写像によるカオスの計算結果を示す図である。
【符号の説明】
1 暗号システム
2,3 カオス発生装置
4,5 暗号装置
Claims (4)
- 第1の関数fと、周期Tを持つ第2の関数gとの合成関数であるカオス関数g(f(n))を有し、
f(n)=c2n
g(f(n))=sin2(f(n))
であり、ここでnは正の整数であり、
このカオス関数g(f(n))のnを順次変化させることによって、ロジスティック写像Xn+1=4Xn(1−Xn)の一意の値Xnを時系列的に導出するカオス発生装置であって、
c=L/M・π≠p/2q・π(ここでL,M,p,qは正の整数であり、Mは3以上の素数であり、L/Mは有理数であり、πは円周率を近似した値として用いる)とし、
第n+1回目の値Xn+1を導出するのに、
Ln =L・2n
Ln+1=(2Ln)mod(M)
とするとき、
Xn+1=sin2(Ln+1/M・π)
を導出するカオス発生装置を備える一対の暗号装置を有し、
一方の暗号装置で、コンピュータによって、カオス発生装置から導出したカオス時系列をデジタル化してデジタルカオス時系列を生成し、送信する一連のデジタル情報を、前記デジタルカオス時系列を用いて論理演算を施し、順次、暗号化し、
他方の暗号装置のカオス発生装置で、コンピュータによって、前記一方の暗号装置のカオス発生装置で導出したカオス時系列と同じカオス時系列を導出し、暗号化されたデジタル情報を復号化することを特徴とする暗号システム。 - L=1、
M=2s+1
(ここでs=1,2,…)
であることを特徴とする請求項1記載の暗号システム。 - 前記カオス関数によって生成したカオス時系列で、デジタル情報を暗号化するとき、カオス関数のnに関する周期Nが、暗号化するデジタル情報の2進桁数よりも長いことを特徴とする請求項1または2に記載の暗号システム。
- 前記デジタル情報は、文章、画像または音声をデジタル信号に変換したものであることを特徴とする請求項1〜3のうちの1つに記載の暗号システム。
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