JP4074732B2 - 反射防止膜および画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防汚層、保護層を有する反射防止膜およびそれを用いた画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置に設けられている。
反射防止膜としては、金属酸化物の透明薄膜を積層させた多層膜が従来から普通に用いられている。複数の透明薄膜を用いるのは、様々な波長の光の反射を防止するためである。金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法により形成されている。金属酸化物の透明薄膜は、反射防止膜として優れた光学的性質を有しているが、蒸着による形成方法は、生産性が低く大量生産に適していない。蒸着法に代えて、透明支持体上に光学的機能層を塗布により形成して反射防止膜を製造する方法も提案されている。
【0003】
反射防止機能のためには、透明支持体の屈折率よりも低い屈折率を有する層(低屈折率層)を設ける必要がある。透明支持体上に複数の光学的機能層を設ける場合、低屈折率層は透明支持体から最も遠い側に設けられる。塗布層の屈折率を低下させるためには、低屈折率層内に空隙を導入する方法が有効である。空気の屈折率は1.00であって、空隙中に空気を含む層は、非常に低い屈折率を有する。低屈折率層に微粒子を含ませ、微粒子間または微粒子内に空隙を形成する方法が提案されている。
特公昭60−59250号公報は、微細空孔と微粒子状無機物とを有する反射防止層を開示している。反射防止層は、塗布により形成される。微細空孔は、層の塗布後に活性化ガス処理を行ない、ガスが層から離脱することによって形成される。
【0004】
特開平2−245702号公報は、二種類以上の超微粒子(例えば、MgF2とSiO2)を混在させて、膜厚方向にその混合比を変化させた反射防止膜を開示している。混合比を変化させることにより屈折率を変化させ、高屈折率層と低屈折率層を設けた反射防止膜と同様の光学的性質を得ている。超微粒子は、エチルシリケートの熱分解で生じたSiO2により接着している。エチルシリケートの熱分解では、エチル部分の燃焼によって、二酸化炭素と水蒸気も発生する。同公報の第1図に示されているように、二酸化炭素と水蒸気が層から離脱することにより、超微粒子の間に間隙が生じている。
特開平7−48527号公報は、多孔質シリカよりなる無機微粉末とバインダーとを含有する反射防止膜を開示している。
特開平9−288201号公報は、含フッ素ポリマーからなる微粒子を二個以上積み重ねることにより、微粒子間に空隙を形成した低屈折率層を有する反射防止膜を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
空隙を有する低屈折率層は、空隙中の空気によって非常に低い屈折率が得られるとの特徴がある。しかしながら、このような低屈折率層は、膜強度が弱く、傷がつきやすいという問題が生じる。また、上記の低屈折率層は、その空隙の中に、指紋、マジック等の汚れが入り込み、汚れがとれにくいという問題が生じる。反射防止膜において低屈折率層は通常、透明支持体から最も遠い側、すなわち反射防止膜の表面側に設けられることが多く、上記の問題を解決する必要がある。基材表面を汚れから保護し、耐傷性を向上させるために、含フッ素化合物や含シリコーン化合物等を含む素材を表面側に設ける対策が、反射防止膜の技術分野に限らず一般に、良く知られている。しかし、空隙を有する低屈折率層の上に、これらの層を設けようとすると、これらの防汚性素材が低屈折率層の空隙に浸入して、低屈折率層の空隙率が低下する問題が生じた。低屈折率層の空隙率が低下すれば、低屈折率層の屈折率は上昇してしまい、反射防止性能が悪化する。
本発明の目的は、低屈折率層の屈折率を上昇させることなく、低屈折率層の表面が汚れから保護され、かつ耐傷性も改善されている反射防止膜を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(8)の反射防止膜および下記(9)の画像表示装置により達成された。
(1) 透明支持体、および透明支持体よりも低い屈折率と3乃至50体積%の空隙率とを有する低屈折率層が積層されている反射防止膜であって、該低屈折率層の上に該低屈折率層の空隙の開口部を塞ぐ重量平均分子量2万以上のポリマーからなるポリマー層が積層され、さらにその上に含フッ素化合物、含ケイ素化合物および炭素数4以上の長鎖アルキル基含有化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物が含まれるオーバーコート層が積層されていることを特徴とする反射防止膜。
(2) 低屈折率層が微粒子を含み、微粒子間または微粒子内に空隙が形成されている(1)に記載の反射防止膜。
(3) ポリマー層の厚みが3nm以上30nm以下、屈折率が1.35〜1.80であることを特徴とする(1)または(2)に記載の反射防止膜。
(4) ポリマー層に粒径10nm以上のポリマー微粒子が含まれる(1)〜(3)のいずれかに記載の反射防止膜。
(5) オーバーコート層中に含フッ素化合物が含まれることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の反射防止膜。
【0007】
(6) ポリマー層に架橋性成分を含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の反射防止膜。
(7) ポリマー層がポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリ塩化ビニリデン及びその誘導体から選ばれるポリマーであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の反射防止膜。
(8) 透明支持体の屈折率より高い屈折率を有する高屈折率層が、該透明支持体と該低屈折率層との間に設けられていることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の反射防止膜。
(9) 画像表面上に、透明支持体および透明支持体よりも低い屈折率と3乃至50体積%の空隙率とを有する低屈折率層がこの順に積層されている反射防止膜であって、該低屈折率層の上に該低屈折率層の空隙の開口部を塞ぐ重量平均分子量2万以上のポリマーからなるポリマー層、さらにその上に防汚性付与のためのオーバーコート層がさらに積層されていることを特徴とする画像表示装置。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の反射防止膜の基本的な構成を図面を引用しながら説明する。
図1は、反射防止膜の主な層構成を示す断面模式図である。
図1の(a)に示す態様は、透明支持体(1)、低屈折率層(2)、ポリマー層(3)、そしてオーバーコート層(4)の順序の層構成を有する。透明支持体(1)と低屈折率層(2)は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率
図1の(b)に示す態様は、透明支持体(1)、ハードコート層(5)、低屈折率層(2)、ポリマー層(3)、そしてオーバーコート層(4)の順序の層構成を有する。透明支持体(1)と低屈折率層(2)は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率
図1の(c)に示す態様は、透明支持体(1)、ハードコート層(5)、高屈折率層(6)、低屈折率層(2)、ポリマー層(3)、そしてオーバーコート層(4)の順序の層構成を有する。透明支持体(1)、高屈折率層(6)および低屈折率層(2)は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率<高屈折率層の屈折率
図1の(c)のように、高屈折率層6と低屈折率層2とを有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、高屈折率層が下記式(I)、低屈折率層が下記式(II)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0009】
【数1】
【0010】
式中、mは正の整数(一般に1、2または3)であり、n1は高屈折率層の屈折率であり、そして、d1は高屈折率層の膜厚(nm)である。
【0011】
【数2】
【0012】
式中、nは正の奇数(一般に1)であり、n2は低屈折率層の屈折率であり、そして、d2は低屈折率層の膜厚(nm)である。
【0013】
図1の(d)に示す態様は、透明支持体(1)、ハードコート層(5)、中屈折率層(7)、高屈折率層(6)、低屈折率層(2)、ポリマー層(3)、そしてオーバーコート層(4)の順序の層構成を有する。透明支持体(1)、中屈折率層(7)、高屈折率層(6)および低屈折率層(2)は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率<中屈折率層の屈折率<高屈折率層の屈折率
図1の(d)のように、中屈折率層7、高屈折率層6と低屈折率層2とを有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記式(III)、高屈折率層が下記式(IV)、低屈折率層が下記式(V)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0014】
【数3】
【0015】
式中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、n3は中屈折率層の屈折率であり、そして、d3は中屈折率層の膜厚(nm)である。
【0016】
【数4】
【0017】
式中、jは正の整数(一般に1、2または3)であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そして、d4は高屈折率層の膜厚(nm)である。
【0018】
【数5】
【0019】
式中、kは正の奇数(一般に1)であり、n5は低屈折率層の屈折率であり、そして、d5は低屈折率層の膜厚(nm)である。
【0020】
図2は、本発明の好ましい態様における低屈折率層とポリマー層、オーバーコート層の断面模式図である。
図2に示す低屈折率層(2)は、微粒子(21)およびバインダー(22)を含む。そして、微粒子(21)間に空隙(23)が形成されている。空隙は、微粒子の内部に存在していてもよい。この低屈折率層の上にポリマー層(3)が設けられている。このポリマー層は、粒径が10nm以上のポリマーの微粒子を用いる、分子量が20000以上のポリマーを用いる等の手段により低屈折率層の空隙を維持したまま層を形成することができる。このポリマー層(3)により、低屈折率層(2)の空隙(23)の開口部が塞がれるため、ポリマー層(3)の形成後に上にオーバーコート層(4)を設けた時、防汚層成分が空隙に拡散せず、空隙が維持されていると推定される。
【0021】
[透明支持体]
透明支持体としては、プラスチックフイルムを用いることが好ましい。プラスチックフイルムを形成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。上記の内、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4乃至1.7であることが好ましい。
【0022】
[ハードコート層]
透明支持体に耐傷性を付与するために、ハードコート層を支持体表面に設けることが好ましい。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。架橋しているポリマーを含むハードコート層は、多官能モノマーと重合開始剤を含む塗布液を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーを重合させることにより形成できる。ハードコート層に用いる化合物は、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
【0023】
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーは、塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させる必要がある。
上記の多官能モノマーの重合反応の内、光重合開始剤を用いることは特に好ましい。光重合開始剤の例には、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類が含まれる。光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンが含まれる。
【0024】
光重合開始剤は、多官能モノマー100重量部に対して、0.1乃至15重量部の範囲で使用することが好ましく、1乃至10重量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
光重合反応は、ハードコート層の塗布および乾燥後、紫外線照射により実施することが好ましい。
【0025】
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明において架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋基を有する化合物は塗布後熱などによって架橋させる必要がある。
【0026】
更にハードコート層には、屈折率の調節や膜の硬化強度を高めるために無機の微粒子を添加しても良い。無機の微粒子としては平均粒子サイズが0.5μm以下のものが好ましく、0.2μm以下のものが特に好ましい。
無機微粒子としては二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化錫粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、タルク、カオリンおよび硫酸カルシウム粒子があげられ、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子が特に好ましい。これらの微粒子は、塗布液中での安定性、膜強度の強化のために、表面処理されていることも好ましい。
無機微粒子の添加量は、ハードコート層の全重量の10乃至90重量%であることが好ましく、20乃至80重量%であると更に好ましく、30乃至60重量%が特に好ましい。
ハードコート層の厚さは1乃至15μmであることが好ましい。また、ハードコート層の屈折率は1.4乃至1.8であることが好ましい。
【0027】
[高屈折率層および中屈折率層]
図1の(c)に示すように、透明支持体と低屈折率層との間に、高屈折率層を設けてもよい。また、図1の(d)に示すように、透明支持体と高屈折率層との間に中屈折率層を設けてもよい。
高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、透明支持体の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.70であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層の厚さは、5nm乃至100μmであることが好ましく、10nm乃至10μmであることがさらに好ましく、30nm乃至1μmであることが最も好ましい。
高屈折率層および中屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
高屈折率層および中屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
高屈折率層および中屈折率層は、無機微粒子とポリマーとを含むことが好ましい。
【0028】
高屈折率層および中屈折率層に用いる無機微粒子は、屈折率が1.80乃至2.80であることが好ましく、1.90乃至2.80であることがさらに好ましい。
無機微粒子の一次粒子の重量平均径は、1乃至150nmであることが好ましく、1乃至100nmであることがさらに好ましく、1乃至80nmであることが最も好ましい。
塗布層中の無機微粒子の重量平均径は、1乃至200nmであるることが好ましく、5乃至150nmであることがより好ましく、10乃至100nmであることがさらに好ましく、10乃至80nmであることが最も好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
無機微粒子の比表面積は、10乃至400m2/gであることが好ましく、20乃至200m2/gであることがさらに好ましく、30乃至150m2/gであることが最も好ましい。
【0029】
無機微粒子は、金属の酸化物または硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または硫化物の例には、二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび硫化亜鉛が含まれる。酸化チタン、酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物または硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、PおよびSが含まれる。
無機微粒子を表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウムおよび酸化鉄が含まれる。アルミナおよびシリカが好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。以上を組み合わせて処理されていても構わない。
無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
二種類以上の無機微粒子を高屈折率層および中屈折率層内で併用してもよい。
【0030】
高屈折率層および中屈折率層中の無機微粒子の割合は、5乃至65体積%である。無機微粒子の割合は、10乃至60体積%であることが好ましく、20乃至55体積%であることがさらに好ましい。
無機微粒子は、分散物の状態で高屈折率層および中屈折率層の形成に使用する。高屈折率層および中屈折率層の無機微粒子の分散媒体は、沸点が60乃至170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。
無機微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散できる。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散基の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
【0031】
高屈折率層、及び中屈折率層は架橋しているアニオン性基を有するポリマーをバインダーとして用いることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。アニオン性基は、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。架橋構造は、ポリマーに皮膜形成能を付与して皮膜を強化する機能を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
【0032】
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例には、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)が含まれる。スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は、二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)する。架橋構造は、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
ポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2乃至96重量%であることが好ましく、4乃至94重量%であることがさらに好ましく、6乃至92重量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。
コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4乃至98重量%であることが好ましく、6乃至96重量%であることがさらに好ましく、8乃至94重量%であることが最も好ましい。
【0033】
ポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。
ポリマーには、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。
ベンゼン環は、高屈折率層の屈折率を高くする機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1乃至12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
ポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.06乃至32重量%であることが好ましく、0.08乃至30重量%であることがさらに好ましく、0.1乃至28重量%であることが最も好ましい。
【0034】
ベンゼン環を有する繰り返し単位では、ベンゼン環は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。ベンゼン環は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。ベンゼン環は、置換基(例、アルキル基、ヒドロキシ、ハロゲン原子)を有していてもよい。ベンゼン環とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
ポリマーが、ベンゼン環を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、2乃至98重量%であることが好ましく、4乃至96重量%であることがさらに好ましく、6乃至94重量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、高屈折率層、及び中屈折率層の塗布液(前述した無機微粒子の分散液)にモノマーとして添加し、層の塗布と同時または塗布後に、重合反応によって形成することが好ましい。アニオン性基を有するモノマーは、塗布液中で無機微粒子の分散剤として機能する。アニオン性基を有するモノマーの無機微粒子に対する使用量は、1乃至50重量%の範囲であることが好ましく、5乃至40重量%の範囲であることが好ましく、10乃至30重量%であることが最も好ましい。また、アミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーは、塗布液中で分散助剤として機能する。アミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーのアニオン性基を有するモノマーに対する使用量は、3乃至33重量%であることが好ましい。層の塗布と同時または塗布後に、重合反応によってポリマーを形成すれば、層の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能させることができる。
アニオン性基を有するモノマー、およびアミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーは市販のモノマーを用いてもよい。
好ましく用いられる市販のアニオン性基を有するモノマーとしては、KAYAMAR PM-21 、PM-2(日本化薬(株)製)、Antox MS-60、MS-2N、MS-NH4(日本乳化剤(株)製)、アロニックス M-5000、M-6000、M-8000シリーズ(東亞合成化学工業(株)製)、ビスコート#2000シリーズ(大阪有機化学工業(株)製)、ニューフロンティアGX-8289(第一工業製薬(株)製)、NKエステル CB-1、A-SA(新中村化学工業(株)製)、AR-100、MR-100、MR-200(第八化学工業(株)製)などがあげられる。
また、好ましく用いられる市販のアミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーとしてはDMAA(大阪有機化学工業(株)製)、DMAEA,DMAPAA(興人(株)製)、ブレンマーQA(日本油脂(株)製)、ニューフロンティアC−1615(第一工業製薬(株)製)などがあげられる。
【0035】
ポリマーの重合反応は、光重合反応または熱重合反応を用いることができる。光重合反応が好ましい。
重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ましい。例えば、前述した熱重合開始剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
【0036】
市販の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に加えて、重合促進剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促進剤の添加量は、モノマーの全量の0.2乃至10重量%の範囲であることが好ましい。
塗布液(モノマーを含む無機微粒子の分散液)を加熱して、モノマー(またはオリゴマー)の重合を促進してもよい。また、塗布後の光重合反応の後に加熱して、形成されたポリマーの熱硬化反応を追加処理してもよい。
アニオン性基を有するポリマーは、架橋しているため分子量の規定は困難である。
高屈折率層中の架橋しているアニオン性基を有するポリマーの割合は、35乃至95体積%である。好ましくは40乃至90体積%、更に好ましくは45乃至80体積%である。
中屈折率層および高屈折率層には、比較的屈折率が高いポリマーを用いることも好ましい。屈折率が高いポリマーの例には、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタンが含まれる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応によりポリマーを形成してもよい。
被膜形成能を有する有機金属化合物から、高屈折率層または中屈折率層を形成してもよい。有機金属化合物は、適当な媒体に分散できるか、あるいは液状であることが好ましい。有機金属化合物の例には、金属アルコレート(例、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−I−プロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−sec-ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−I−プロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモントリブトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラ−I−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−sec-ブトキシド、ジルコニウムテトラ−tert−ブトキシド)、キレート化合物(例、ジ−イソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−ブトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−エトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ビスアセチルアセトンジルコニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−I−プロポキシドモノメチルアセトアセテート、トリ−n−ブトキシドジルコニウムモノエチルアセトアセテート)、有機酸塩(例、炭酸ジルコニールアンモニウム)およびジルコニウムを主成分とする活性無機ポリマーが含まれる。
【0037】
[低屈折率層]
低屈折率層の屈折率は、1.20乃至1.55であることが好ましく、1.30乃至1.55であることがさらに好ましい。
低屈折率層の厚さは、50乃至400nmであることが好ましく、50乃至200nmであることがさらに好ましい。
低屈折率層は、ポリマー層、オーバーコート層の形成前に空隙を有する層として形成し、ポリマー層、オーバーコート層を塗布した後に、3乃至50体積%の空隙率を有する層とする。オーバーコート層の形成前の低屈折率層の空隙率は、5乃至35体積%であることがさらに好ましい。低屈折率層の空隙は、微粒子を用いて微粒子間または微粒子内のミクロボイドとして形成することができる。
微粒子の平均粒径は、0.5乃至200mmであることが好ましく、1乃至100nmであることがより好ましく、3乃至70nmであることがさらに好ましく、5乃至40nmの範囲であることが最も好ましい。微粒子の粒径は、なるべく均一(単分散)であることが好ましい。
無機微粒子あるいは有機微粒子を低屈折率層に用いることができる。
【0038】
無機微粒子は、非晶質であることが好ましい。
無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物または金属ハロゲン化物からなることがさらに好ましく、金属酸化物または金属フッ化物からなることが最も好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNiが好ましく、Mg、Ca、BおよびSiがさらに好ましい。二種類の金属を含む無機化合物を用いてもよい。
特に好ましい無機化合物は、二酸化ケイ素、すなわちシリカである。
【0039】
無機微粒子内ミクロボイドは、例えば、粒子を形成するシリカの分子を架橋させることにより形成することができる。シリカの分子を架橋させると体積が縮小し、粒子が多孔質になる。
ミクロボイドを有する(多孔質)無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53−112732号、特公昭57−9051号の各公報記載)または析出法(APPLIED OPTICS、27、3356頁(1988)記載)により、分散物として直接合成することができる。また、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に粉砕して分散物を得ることもできる。市販の多孔質無機微粒子(例えば、二酸化ケイ素ゾル)を用いてもよい。
ミクロボイドを有する無機微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)およびケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)が好ましい。
【0040】
有機微粒子も、非晶質であることが好ましい。
有機微粒子は、モノマーの重合反応(例えば乳化重合法)により合成されるポリマー微粒子であることが好ましい。有機微粒子のポリマーはフッ素原子を含むことが好ましい。ポリマー中のフッ素原子の割合は、35乃至80重量%であることが好ましく、45乃至75重量%であることがさらに好ましい。
含フッ素ポリマーを合成するために用いるフッ素原子を含むモノマーの例には、フルオロオレフィン類(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、アクリル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステル類およびフッ素化ビニルエーテル類が含まれる。フッ素原子を含むモノマーとフッ素原子を含まないモノマーとのコポリマーを用いてもよい。フッ素原子を含まないモノマーの例には、オレフィン類(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル類(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、スチレン類(例、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル類(例、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル類(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル)、アクリルアミド類(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド類およびアクリルニトリル類が含まれる。
【0041】
有機微粒子内ミクロボイドは、例えば、粒子を形成するポリマーを架橋させることにより形成することができる。ポリマーを架橋させると体積が縮小し、粒子が多孔質になる。粒子を形成するポリマーを架橋させるためには、ポリマーを合成するためのモノマーの20モル%以上を多官能モノマーとすることが好ましい。多官能モノマーの割合は、30乃至80モル%であることがさらに好ましく、35乃至50モル%であることが最も好ましい。
多官能モノマーの例には、ジエン類(例、ブタジエン、ペンタジエン)、多価アルコールとアクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、多価アルコールとメタクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジメタクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート)、ジビニル化合物(例、ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルベンゼン)、ジビニルスルホン、ビスアクリルアミド類(例、メチレンビスアクリルアミド)およびビスメタクリルアミド類が含まれる。
【0042】
粒子間のミクロボイドは、微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより形成することができる。なお、粒径が等しい(完全な単分散の)球状微粒子を最密充填すると、26体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。粒径が等しい球状微粒子を単純立方充填すると、48体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。実際の低屈折率層では、微粒子の粒径の分布や粒子内ミクロボイドが存在するため、空隙率は上記の理論値からかなり変動する。
空隙率を増加させると、低屈折率層の屈折率が低下する。微粒子を積み重ねてミクロボイドを形成と、微粒子の粒径を調整することで、粒子間ミクロボイドの大きさも適度の(光を散乱せず、低屈折率層の強度に問題が生じない)値に容易に調節できる。さらに、微粒子の粒径を均一にすることで、粒子間ミクロボイドの大きさも均一である光学的に均一な低屈折率層を得ることができる。これにより、低屈折率層は微視的にはミクロボイド含有多孔質膜であるが、光学的あるいは巨視的には均一な膜にすることができる。
【0043】
ミクロボイドを形成することにより、低屈折率層の巨視的屈折率は、低屈折率層を構成する成分の屈折率の和よりも低い値になる。層の屈折率は、層の構成要素の体積当りの屈折率の和になる。微粒子やポリマーのような低屈折率層の構成成分の屈折率は1よりも大きな値であるのに対して、空気の屈折率は1.00である。そのため、ミクロボイドを形成することによって、屈折率が非常に低い低屈折率層を得ることができる。
粒子間ミクロボイドは、微粒子およびポリマーによって低屈折率層内で閉じていることが好ましい。空隙を閉じると、オーバーコート層の形成後も空隙が低屈折率層内に残存する。閉じている空隙には、低屈折率層表面に開かれた開口と比較して、低屈折率層表面での光の散乱が少ないとの利点もある。
【0044】
低屈折率層は、5乃至50重量%の量のポリマーを含むことが好ましい。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10乃至30重量%であることが好ましい。
ポリマーで微粒子を接着するためには、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェルを形成するか、あるいは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用することが好ましい。
(1)の表面処理剤に結合させるポリマーは、(2)のシェルポリマーまたは(3)のバインダーポリマーであることが好ましい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布液の調製前に、微粒子の周囲に重合反応により形成することが好ましい。(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。(1)〜(3)を二種類または三種類組み合わせて、実施することが好ましく、(1)と(3)の二種類の組み合わせ、または(1)〜(3)の三種類の組み合わせで実施することが特に好ましい。
(1)表面処理、(2)シェルおよび(3)バインダーについて、順次説明する。
【0045】
(1)表面処理
微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を実施して、ポリマーとの親和性を改善することが好ましい。表面処理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処理に分類できる。化学的表面処理のみ、または物理的表面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子が二酸化ケイ素からなる場合は、シランカップリング剤による表面処理が特に有効に実施できる。
具体的なシランカップリング剤の例には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびβ−シアノエチルトリエトキシシランが含まれる。
【0046】
また、ケイ素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが含まれる。
【0047】
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ケイ素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
【0048】
二種類以上のカップリング剤を併用してもよい。
上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリングを用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec-ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)およびその加水分解物が含まれる。
カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施できる。表面処理反応を促進するため、無機酸(例、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの塩(例、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
【0049】
(2)シェル
シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を主鎖または側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子を側鎖に含むポリマーがさらに好ましい。ポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルが好ましく、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸またはポリメタクリル酸とのエステルが最も好ましい。
シェルポリマーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるため、シェルポリマーは35乃至80重量%のフッ素原子を含むことが好ましく、45乃至75重量%のフッ素原子を含むことがさらに好ましい。
フッ素原子を含むポリマーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例には、フルオロオレフィン(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素置換アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが含まれる。
【0050】
シェルを形成するポリマーは、フッ素原子を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。
フッ素原子を含まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの例には、オレフィン(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート)、スチレンおよびその誘導体(例、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミドおよびアクリロニトリルが含まれる。
【0051】
後述する(3)のバインダーポリマーを併用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入して、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋により化学的に結合させてもよい。
シェルポリマーは、結晶性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。ただし、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されない(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バインダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成することが望ましい。
微粒子の周囲にポリマーシェルを形成して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微粒子中に無機微粒子からなるコアが5乃至90体積%含まれていることが好ましく、15乃至80体積%含まれていることがさらに好ましい。
ポリマーシェルは、ラジカル重合法により形成することが好ましい。ラジカル重合法については、大津隆行・木下雅悦共著、高分子合成の実験法、化学同人(1972)および大津隆行、講座重合反応論1ラジカル重合(I)、化学同人(1971)に記載がある。ラジカル重合法は、具体的には、乳化重合法または分散重合により実施することが好ましい。乳化重合については、室井宗一、高分子ラテックスの化学、高分子刊行会(1970)に記載がある。分散重合法については、Barrett, Keih E.J.、Dispersion Polymerization in Organic Media、JOHN WILLEY & SONS(1975)に記載がある。
【0052】
乳化重合法に使用する熱重合開始剤の例には、無機過酸化物(例、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム)、アゾニトリル化合物(例、アゾビスシアノ吉草酸ナトリウム)、アゾアミジン化合物(例、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)塩酸塩)、環状アゾアミジン化合物(例、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩)、アゾアミド化合物(例、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド)が含まれる。無機過酸化物が好ましく、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウムが特に好ましい。
分散重合法に使用する熱重合開始剤の例には、アゾ化合物(例、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート)および有機過酸化物(例、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオクトエート)が含まれる。
【0053】
分散重合法では、表面処理された微粒子にポリマー分散剤を加え、モノマーと重合開始剤を溶解し、生成するポリマーは不溶である重合媒体中で重合反応を実施することが好ましい。
重合媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、2−メトキシ−1−プロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ネオペンタノール、シクロヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール)、メチルエチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチルが含まれる。水、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールが好ましい。二種類以上の重合媒体を併用してもよい。
乳化重合法または分散重合法において、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤の例には、ハロゲン化炭化水素(例、四塩化炭素、四臭化炭素、二臭化酢酸エチル、三臭化酢酸エチル、二臭化エチルベンゼン、二臭化エタン、二塩化エタン)、炭化水素(例、ベンゼン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン)、チオエーテル(例、ジアゾチオエーテル)、メルカプタン(例、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、チオグリセロール),ジスルフィド(例、ジイソプロピルザントゲンジスルフィド)、チオグリコール酸およびその誘導体(例、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸メトキシブチル、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート))が含まれる。
二種類以上のコアシェル微粒子を併用してもよい。また、シェルのない無機微粒子とコアシェル粒子とを併用してもよい。
【0054】
(3)バインダー
バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。
【0055】
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。
また、本発明において架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。
バインダーポリマーの重合反応および架橋反応に使用する重合開始剤は、(2)シェルポリマーの合成に用いる熱重合開始剤よりも、光重合開始剤の方が好ましい。光重合開始剤の例には、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
【0056】
前記(2)のシェルポリマーと併用する場合、バインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)は、シェルポリマーのTgよりも低いことが好ましい。バインダーポリマーのTgとシェルポリマーのTgとの温度差は、5℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがさらに好ましい。
バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に重合反応(必要ならばさらに架橋反応)により形成することが好ましい。
低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
【0057】
[ポリマー層]
本発明の空隙を有する低屈折率層上に設けるポリマー層は、低屈折率層の上に塗布して形成する。本発明では、ポリマー層の材料は低屈折率層の空隙を占有する割合が小さいほど好ましく、ポリマー層の材料が低屈折率層の空隙を占有している割合は、50体積%未満であることが好ましく、40体積%未満であることがより好ましく、30体積%未満であることがさらに好ましく、20体積%未満であることが最も好ましい。このようなポリマー層を用いることにより、低屈折率層の空隙率を3乃至50体積%に保存することができる。
低屈折率層の空隙を残してポリマー層を形成するためには、様々な手段が採用できる。例えば、前述したように低屈折率層の空隙を微粒子とバインダーポリマーで閉じた状態で形成すれば、ポリマー層を塗布により形成しても低屈折率層の空隙が残存する。また、ポリマー層の塗布液が低屈折率層の空隙に浸入しないように塗布液の粘度を高くしてもよい。特に好ましい方法は、ポリマーを、粒径10nm以上の微粒子として付与する方法か、あるいは重量平均分子量2万以上のポリマーを含む層を塗布する方法である。これらの方法の内、重量平均分子量2万以上のポリマーを含む塗布液を塗布する方法が最も好ましい。
ポリマー層の化合物を、微粒子として付与する方法は、低屈折率層の空隙の開口サイズより大きい粒子として付与するため、低屈折率層の内部の空隙には拡散せず、低屈折率層表面の開口部を塞ぐような形でオーバーコート層を付与できる。この微粒子のサイズとしては、粒径10nm以上とすることが好ましい。より好ましい粒径は10nm以上100nm以下、更に好ましくは15nm以上70nm以下、特に好ましくは20nm以上50nm以下である。これらのポリマー微粒子は、ポリマー化合物を含有した溶液の乳化・析出等による方法、ポリマーの乳化重合等によるラテックス化、等により得ることができる。また、市販のポリマー微粒子、ラテックス等も使用できる。また、これらのポリマー微粒子により付与された層は付与後の加熱等により、融着させて、連続層とすることがより好ましい。
【0058】
重量平均分子量2万以上のポリマーを含む層を付与する方法は、ポリマー溶液を空隙を有する低屈折率層上に付与する時、ポリマーの分子量が大きくなると、低屈折率層の内部の空隙中に拡散しなくなることを利用している。ポリマー層に含まれるポリマーの重量平均分子量としては、2万以上が好ましく、より好ましくは4万以上200万以下、特に好ましくは5万以上100万以下である。
本発明のポリマー層は、その上層に防汚性を付与するためのオーバーコート層を塗布したとき、そのオーバーコート層の素材が低屈折率層に拡散しないようにする機能、表面の膜強度を付与するための機能を持たせるために付与している。これらの機能を持たせるためには、ポリマー層の膜厚は3nm以上あることが好ましい。また、このポリマー層は、空隙を有する低屈折率層に比べると、屈折率が高いため、厚くなると、低屈折率層による反射防止性を損なう。したがって、ポリマー層の厚さは30nm以下が好ましい。膜厚としてより好ましくは5nm以上25nm以下、特に好ましくは8nm以上20nm以下である。また、ポリマー層の屈折率は1.35以上1.80以下が好ましく、より好ましくは1.40以上1.70以下である。
本発明のポリマー層に用いられるポリマーとしては、特に制限はないが、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体、ポリオルガノシロキサン(例、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン)類等、また、各種アルコキシシランをゾル−ゲル法の手法により重合させたもの等を挙げることができる。
【0059】
本発明のポリマー層に用いるポリマーは、各種素材、特に油分等に対するバリアー性を持たせることが好ましい。これは、防汚層となるオーバーコート層を設ける時、そのオーバーコートの素材が低屈折率層に拡散することを防ぐ、また、防汚層塗布後に、指紋や、マジック等の油溶性の成分が付着したとき、その成分が低屈折率層の空隙に拡散することを抑えることができる。このようなバリアー性を付与するためにはポリマーを架橋する方法、バリアー性の高いポリマーを用いることによって可能である。
ポリマーを架橋するためには架橋性基をポリマー中に導入する、ポリマーと反応できるような架橋性成分を添加する等の手段を用いることができる。架橋性官能基の例には、アクリロイル、メタクリロイル、アリル、イソシアナート、エポキシ、アルコキシシリル、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール、および活性メチレン基等があげられる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明において架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。また、油分、気体、液体等に対しバリアー性の高いポリマーとしては、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体、ポリ塩化ビニリデンもしくはその誘導体等が一般に知られている。特にポリビニルアルコールもしくはその誘導体は耐油性が高く、指紋の付着耐性等の点で好ましい。
【0060】
[オーバーコート層]
防汚性を付与するためのオーバーコート層は、前記のポリマー層上に塗布によって付与することができる。
オーバーコート層に用いることのできる素材としては、一般に防汚性コーティングとして知られている、含フッ素化合物、含ケイ素化合物、炭素数4以上の長鎖アルキル基含有化合物を用いることができる。 含フッ素化合物としては、含フッ素界面活性剤、含フッ素ポリマー、含フッ素エーテルや含フッ素シラン化合物が好ましく用いられる。含ケイ素化合物としては、ポリジメチルシロキサン等、各種のシリコーン誘導体等が含まれる。炭素数4以上の長鎖アルキル基含有化合物としては、各種の長鎖アルキル基を持つ界面活性剤等が含まれる。これらの内、含フッ素化合物が特に好ましい。
含フッ素化合物としては、含フッ素界面活性剤、含フッ素ポリマー、含フッ素エーテルや含フッ素シラン化合物が好ましく用いられる。
【0061】
含フッ素界面活性剤としては、親水性部がアニオン性、カチオン性、ノニオン性、および両性のいずれでも良い。含フッ素界面活性剤では、疎水性部を構成する炭化水素の水素原子の一部または全部がフッ素原子により置換されている。
含フッ素ポリマーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を有するモノマーを重合して形成されたポリマーにおいて、モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類、パーフルオロポリエーテルおよびその誘導体等であり、これらの中から一つまたは複数のモノマーを任意の比率で組み合わせて共重合により目的のポリマーを得ることができる。また、上記含フッ素モノマーと、フッ素原子を含有しないモノマーとの共重合体を含フッ素ポリマーとして用いてもよい。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。また、含フッ素ポリマー中に、滑り性付与のため、ポリオルガノシロキサンを導入することも好ましい。これは、例えば末端にアクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、スチリル基等を持つポリオルガノシロキサンと上記のモノマーとの重合によって得られる。
フッ素ポリマーとしては、市販されている素材を使用することもできる。市販されているフッ素ポリマーの例としては、サイトップ(旭硝子)、テフロンAF(デュポン)、ポリフッ化ビニリデン、ルミフロン(旭硝子)、オプスター(JSR)、等があげられる。
【0062】
含フッ素エーテルは、一般に潤滑剤として使用されている化合物である。含フッ素エーテルの例には、パーフルオロポリエーテルおよびその誘導体が含まれる。具体的には、デュポン(株)のクライトックス、ダイキンのデムナム、アウジモント社のフォンブリン等が上げられる。また、これらのパーフルオロポリエーテルの末端にカルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、エチレン性不飽和基(アクリロイル、メタクリロイル、アリル、ビニルエーテル等)、を持つことも好ましい。
含フッ素シラン化合物の例には、パーフルオロアルキル基を含むシラン化合物、例えば(ヘプタデカフルオロ−1,2,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、市販品としてKBM−7803,KP−801M(以上信越化学)等が上げられる。
【0063】
オーバーコート層に用いる含フッ素化合物は、フッ素原子を35乃至80重量%の範囲で含むことが好ましく、45乃至75重量%の範囲で含むことがさらに好ましい。
以上のオーバーコート層に用いられるフッ素化合物のうち、架橋性基を有する含フッ素ポリマー、もしくはパーフルオロポリエーテルを用いることが好ましい。
架橋性含フッ素ポリマーの架橋性基は含フッ素ポリマーに側鎖として導入することが好ましい。側鎖として導入する方法としては、反応性基を持つモノマーを、含フッ素ポリマーを合成する時に共重合する方法や、含フッ素ポリマーの側鎖と反応し、かつ、ポリマー間の架橋を行うことのできる2官能以上の反応基を持つ化合物を含フッ素ポリマーと共存させる方法が好ましい。架橋性基は、光(好ましくは紫外線)、電子ビーム(EB)等の放射線照射、あるいは加熱により反応して含フッ素ポリマーを架橋させる官能基であることが好ましい。架橋性基の例には、アクリロイル、メタクリロイル、アリル、イソシアナート、エポキシ、アルコキシシリル、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール、および活性メチレン基等があげられる。
架橋性フッ素ポリマーとして、市販品を用いてもよい。
含フッ素ポリマーの架橋反応(光照射、電子ビーム照射や加熱)は、オーバーコート層の形成後に実施することが好ましい。
パーフルオロポリエーテルは、防汚性に関して、特に良好な性能を示すため好ましい。パーフルオロポリエーテルにさらに官能基を導入して、基材と反応、固定できるようにすることはさらに好ましい。
オーバーコート層の厚さは、50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
【0064】
[反射防止膜]
反射防止膜の各層またはその塗布液には、前述した成分(無機微粒子、ポリマー、分散媒体、重合開始剤、重合促進剤)以外に、重合禁止剤、レベリング剤、増粘剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、帯電防止剤や接着付与剤を添加してもよい。
反射防止膜の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)により、塗布により形成することができる。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
反射防止膜の反射率は低いほど好ましい。具体的には450乃至650nmの波長領域での平均反射率が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.7%以下であることが最も好ましい。反射防止膜のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。反射防止膜の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0065】
反射防止膜には、以上述べた以外の層を設けてもよい。例えば、透明支持体の上には、ハードコート層に加えて、接着層、シールド層、滑り層や帯電防止層を設けてもよい。シールド層は電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。これらの凹凸は、反射防止膜のいずれかの層(好ましくはハードコート層)に粒子(粒径:0.1乃至15μm)を添加する等の手段により付与できる。
反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3乃至30%であることが好ましく、5乃至20%であることがさらに好ましく、7乃至20%であることが最も好ましい。
反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用する。反射防止膜の透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。
【0066】
図3は反射防止膜を画像表示装置に適用する様々な態様を示す断面模式図である。図3(a)は、反射防止膜をPDP、ELD、CRTに適用する好ましい態様である。反射防止膜は、透明支持体(13)を粘着剤層(イ)を介して画像表示装置の画像表示面に接着する。
図3(b)、(c)及び(d)は、反射防止膜をLCDに適用する好ましい態様である。図3(b)では、反射防止膜は透明支持体(13)が粘着剤層(イ)を介して偏光板保護膜(ロ−1)に接着しており、もう一方の偏光板保護膜(ロ−2)を粘着剤層(イ)を介して画像表示装置の画像表示面に接着する。
図3(c)では、反射防止膜は透明支持体(13)が粘着剤層(イ)を介して偏光板(ハ)に接着しており、偏光板保護膜(ロ−2)を粘着剤層(イ)を介して画像表示装置の画像表示面に接着する。
図3(d)では、反射防止膜は透明支持体(13)が直接偏光板(ハ)に接着しており、偏光板保護膜(ロ−2)側を粘着剤層(イ)を介して画像表示装置の画像表示面に接着する。
粘着剤層(イ)には、粒子,染料などの添加剤を添加してもよい。
【0067】
【実施例】
[実施例1]
(ハードコート層用塗布液の調製)
JSR社製ハードコート素材デソライトZ7503のMEK溶液(固形分濃度72%、シリカ含量38%)625gを、375gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50重量%の混合溶媒に溶解した。混合物を撹拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層の塗布液を調製した。
【0068】
(二酸化チタン分散物の調製)
二酸化チタン(一次粒子重量平均粒径:50nm、屈折率:2.70)30重量部、アニオン性ジアクリレートモノマー(PM21、日本化薬(株)製)4.5重量部、カチオン性メタクリレートモノマー(DMAEA、興人(株)製)0.3重量部およびメチルエチルケトン65.2重量部を、サンドグラインダーにより分散し、二酸化チタン分散物を調製した。
【0069】
(中屈折率層用塗布液の調製)
シクロヘキサノン151.9gおよびメチルエチルケトン37.0gに、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.14gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.04gを溶解した。さらに、上記の二酸化チタン分散物6.1gおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.4gを加え、室温で30分間攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、中屈折率層用塗布液を調製した。
【0070】
(高屈折率層用塗布液の調製)
シクロヘキサノン1152.8gおよびメチルエチルケトン37.2gに、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.06gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02gを溶解した。さらに、上記の二酸化チタン分散物13.13gおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)0.76gを加え、室温で30分間攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、高屈折率層用塗布液を調製した。
【0071】
(低屈折率層用塗布液の調製)
平均粒径15nmのシリカ微粒子のメタノール分散液(メタノールシリカゾル、日産化学(株)製)200gにシランカップリング剤(KBM−503、信越シリコーン(株)製)3gおよび0.1N塩酸2gを加え、室温で5時間撹拌した後、3日間室温で放置して、シランカップリング処理したシリカ微粒子の分散物を調製した。
分散物35.04gに、イソプロピルアルコール58.35gおよびジアセトンアルコール39.34gを加えた。また、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)1.02gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.51gを772.85gのイソプロピルアルコールに溶解した溶液を加え、さらに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)25.6gを加えて溶解した。得られた溶液67.23gを、上記分散液、イソプロピルアルコールおよびジアセトンアルコールの混合液に添加した。混合物を20分間室温で撹拌し、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
【0072】
(ポリマー層用塗布液1−1の調製)
市販のPMMA(重量平均分子量(Mw)60000)をメチルイソブチルケトンに濃度1%になるよう溶解し、ポリマー層用の塗布液を調製した。
(ポリマー層用塗布液1−2の調製)
ポリマー層用塗布液1−2として、日本純薬製ジュリマーET−410(自己乳化型アクリルラテックス)の1%水溶液を調製した。この時ラテックスの粒径をコールターカウンターで測定したところ、20nmであった。
(オーバーコート層用塗布液1の調製)
デュポン社製パーフルオロポリエーテル、クライトックスGPL107を、フッ素系溶剤バートレルXFに溶解し、オーバーコート用塗布液を調製した。
【0073】
(反射防止膜の作成)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)に、上記のハードコート層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmのハードコート層を形成した。
その上に、上記中屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、60℃で乾燥の後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.72,厚さ0.081μm)を形成した。
その上に、上記高屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、60℃で乾燥の後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.92,厚さ:0.053μm)を形成した。
その上に、上記低屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、60℃で乾燥の後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、低屈折率層(屈折率1.40,厚さ0.070μm)を形成した。形成した低屈折率層の空隙率は16体積%であった。
その上に、上記ポリマー層用塗布液1−1,1−2をバーコーターを用いて#3バーで塗布し、120℃で5分乾燥した。その後、オーバーコート用塗布液を塗布量が15nmになるよう調製しながら塗布し、120℃で5分乾燥し反射防止膜を形成した。
【0074】
(反射防止膜の評価)
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。
(1)平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの平均反射率を用いた。
(2)低屈折率層の屈折率
反射率の測定結果から計算して、低屈折率層の屈折率をフィッティングにより求めた。
(3)表面接触角
反射防止膜を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿したあと、水に対する接触角を測定した。
【0075】
(4)指紋付着性評価
サンプル表面に指紋を付着させてから、それをベンコットン(旭化成(株)製)で拭き取ったときの状態を観察して、以下のように指紋付着性を評価した。
簡単に指紋が拭き取れる A
しっかり擦れば指紋が拭き取れる B
指紋の一部が拭き取れずに残る C
指紋がほとんど拭き取れない D
(5)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する2Hおよび3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重にてn=5行い、3/5以上傷が認められない硬度を測定した。
【0076】
(6)スチールウール擦り
#0000のスチールウールを用い、10円玉の面積に400gの荷重をかけ、十往復した時の傷の程度で評価した。
○:傷が全く付かない。
△:少し傷がつくが、見えにくい。
×:かなり傷がつく。
(7)動摩擦係数測定
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。
【0077】
[比較例1]
ポリマー溶液1−1においてポリマーを低分子量のPMMA(Mw=10000)にしたポリマー溶液1−3を調整し、1−1と同様に反射防止膜を形成した。
[比較例2,3]
比較例2として、ポリマー層を塗布せず、OC層を塗布したサンプルを作製した。また、比較例3として、ポリマー層、オーバーコート層共塗布しないサンプルを用いた。
実施例、比較例について、評価した結果を表1に示す。本発明のサンプルは、低屈折率層の屈折率が低く、良好な平均反射率を示す。また、指紋付着性、スチールウールでの傷も、良好である。
【0078】
【表1】
【0079】
[実施例2]
(ポリマー層用塗布液2−1の調製)
メチルメタクリレートと、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを1対1の割合でラジカル共重合したポリマーを調製した。このポリマーの重量平均分子量は6万であった。
この共重合ポリマーをメチルイソブチルケトンに濃度1%になるように希釈し、反応触媒としてトリエチルアミンをポリマー固形分に対し約1%加え、ポリマー層用の塗布液を調製した。
(ポリマー層用塗布液2−2の調製)
クラレポバールPVA−120(ケン化度98.5%、重合度約2000)を水に溶かしたのち、水/メタノール=7/3の比率になるよう1%濃度に希釈し、ポリマー固形分に対し約1%のグルタルアルデヒドを加え、ポリマー層用の塗布液を調製した。
(ポリマー層用塗布液2−3の調製)
サランラテックスL108(旭化成(株)製ポリ塩化ビニリデンラテックス、粒径0.12μm)の1%水溶液を調製し、ポリマー層用塗布溶液とした。
(オーバーコート層用塗布液2の調製)
熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7214、日本合成ゴム(株)製)をメチルイソブチルケトンに溶解して、0.3重量%溶液を調製した。
(反射防止膜の作成)
実施例1で作成した低屈折率層の上に、上記ポリマー層用塗布液2−1〜2−3をバーコーターを用いて#3バーで塗布し、120℃で5分乾燥した。その後、オーバーコート用塗布液を塗布量が10nmになるよう調製しながら塗布し、120℃で30分乾燥し反射防止膜を形成した。
また、比較例4として、上記ポリマー層用塗布液2−2をバーコーターを用いて#3バーで塗布し、120℃で30分乾燥したサンプルも作成した。
得られた反射防止膜について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
本発明のサンプル2−1〜2−3は、低屈折率層の屈折率が低く、良好な反射率をしめす。また、指紋付着性、強度共良好な性能を示す。それに対してオーバーコート層を付与していない比較例4は指紋付着性が劣る。
【0082】
[実施例3]
(オーバーコート層用塗布液3−1の調製)
ポリジメチルシロキサンKF−96H(信越化学株)製)をメチルイソブチルケトンに溶解して、0.1重量%溶液を調製した。
(オーバーコート層用塗布液3−2の調製)
含フッ素シランカップリング剤(KP−801M、信越化学(株)製)をフッ素系溶剤(フロリナートFC−77、3M社製)に溶解して、0.15重量%溶液を調製した。
(オーバーコート層用塗布液3−3の調製)
両末端イソシアネート化パーフルオロポリエーテルFOMBLIN Z−DISOC(アウジモント(株)製)をフッ素系溶剤(フロリナートFC−77、3M社製)に溶解して、0.15重量%溶液を調製した。
(オーバーコート層用塗布液3−4の調製)
下記に示した構造を持つフッ素含有ポリマーを合成した。
【0083】
【化1】
【0084】
このフッ素ポリマーの分子量は数平均分子量で4万、重量平均分子量で7万であった。
このポリマーをメチルイソブチルケトンに溶解して、0.1重量%溶液を調整した。さらに硬化触媒として、p−トルエンスルホン酸をポリマー固形分の1%となるように添加しオーバーコート層用塗布液を作成した。
(オーバーコート層用塗布液3−5の調製)
熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7214、日本合成ゴム(株)製)をメチルイソブチルケトンに溶解して、0.1重量%溶液を調製した。
【0085】
(反射防止膜の作成)
実施例1で作成した低屈折率層の上に、実施例2で用いたポリマー層用塗布液2−2をバーコーターを用いて#3バーで塗布し、120℃で5分乾燥した。その後、オーバーコート用塗布液を塗布量が5nmになるよう調製しながら塗布し、120℃で30分乾燥し反射防止膜を形成した。
得られた反射防止膜について、実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】
本発明のサンプル3−1から3−5は、低屈折率層の屈折率低く、良好な反射率を示す。また、防汚性も良好な性能を示す。特にフッ素系の素材を用いた3−2〜3−5は防汚性が良好である。
【0088】
【発明の効果】
本発明者の研究の結果、空隙を有する低屈折率層の上にポリマー層を設け、さらにその上にオーバーコート層として防汚性付与のための素材を含む層を設けることにより、低屈折率層の空隙を3乃至50体積%に保持し、かつ防汚性、膜強度を付与することが可能であることが判明した。
以上の結果、本発明の反射防止膜では、低屈折率層の屈折率を上昇させることなく、低屈折率層の表面が汚れから保護され、耐傷性も改善されている。このような反射防止膜を用いることで、画像表示装置の画像表示面における光の反射を有効に防止することができる。
【0089】
【図面の簡単な説明】
【図1】反射防止膜の主な層構成を示す断面模式図である。
【図2】本発明の好ましい態様における低屈折率層、ポリマー層とオーバーコート層の断面模式図である。
【図3】反射防止膜を画像表示装置に適用する様々な態様を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 透明支持体
2 低屈折率層
3 ポリマー層
4 オーバーコート層
5 ハードコート層
6 高屈折率層
7 中屈折率層
11 高屈折率層
12 低屈折率層
13 透明支持体
14 ハードコート層
15 中屈折率層
16 オーバーコート層
21 微粒子
22 バインダー
23 空隙
イ 粘着剤層
ロ−1 偏光板保護膜
ロ−2 偏光板保護膜
ハ 偏光板
Claims (8)
- 透明支持体、および透明支持体よりも低い屈折率と3乃至50体積%の空隙率とを有する低屈折率層が積層されている反射防止膜であって、該低屈折率層の上に該低屈折率層の空隙の開口部を塞ぐ重量平均分子量2万以上のポリマーからなるポリマー層が積層され、さらにその上に含フッ素化合物、含ケイ素化合物および炭素数4以上の長鎖アルキル基含有化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物が含まれるオーバーコート層が積層されていることを特徴とする反射防止膜。
- 低屈折率層が微粒子を含み、微粒子間または微粒子内に空隙が形成されている請求項1に記載の反射防止膜。
- ポリマー層の厚みが3nm以上30nm以下、屈折率が1.35〜1.80であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止膜。
- オーバーコート層中に含フッ素化合物が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止膜。
- ポリマー層に架橋性成分を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止膜。
- ポリマー層がポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリ塩化ビニリデン及びその誘導体から選ばれるポリマーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止膜。
- 透明支持体の屈折率より高い屈折率を有する高屈折率層が、該透明支持体と該低屈折率層との間に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止膜。
- 画像表面上に、透明支持体および透明支持体よりも低い屈折率と3乃至50体積%の空隙率とを有する低屈折率層がこの順に積層されている反射防止膜であって、該低屈折率層の上に該低屈折率層の空隙の開口部を塞ぐ重量平均分子量2万以上のポリマーからなるポリマー層、さらにその上に防汚性付与のためのオーバーコート層がさらに積層されていることを特徴とする画像表示装置。
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