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JP4299527B2 - 増殖性臓器疾患、慢性関節炎症性疾患、肥厚性瘢痕またはケロイド予防・治療剤 - Google Patents

増殖性臓器疾患、慢性関節炎症性疾患、肥厚性瘢痕またはケロイド予防・治療剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エリスロポエチン受容体拮抗物質を含有する増殖性臓器疾患、慢性関節炎症性疾患、ならびに肥厚性瘢痕またはケロイド予防・治療剤などに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、組織または臓器における癌および増殖性病変等の増殖性臓器疾患に対する治療手段として、外科的切除、放射線照射、抗癌剤投与、またはそれらを併用する方法が用いられている。しかし、癌の診断技術の格段の進歩と比較すれば、癌そのものの生物学的特徴についての基礎的で詳細な研究は遅れをとっている。そのため、抜本的治療手段は確立していないのが現状である。
【0003】
エリスロポエチンは、血球の増殖と分化に関与し、他のサイトカインとは異なり血球では産生されず、腎臓または肝臓で産生され血液中に放出される。エリスロポエチンは赤血球前駆細胞のうち赤芽球バースト形成細胞(BFU-E) と赤芽コロニー形成細胞(CFU-E) に作用し、その分化と増殖を促進し、赤血球の産生を誘導していると考えられている(Krantz S.B., Blood, Vol.77, pp419-434 (1991))。エリスロポエチンが前駆細胞の細胞膜に存在するエリスロポエチン受容体と結合すると、シグナルが細胞核内に伝達され、赤血球の分化、即ちグロビンmRNAの細胞内集積、ヘモグロビンの産生、赤血球の分化が起こるとされている(D'Andrea A.D. et al., Cell, Vol.57, pp277-285 (1989))。しかし、そのメカニズムの詳細についてはまだ解明されておらず、今後解決すべき点が多い。
【0004】
エリスロポエチンが赤芽球に関する部位以外の組織でその遺伝子を発現している部位として、着床直後の胚体(Yasuda Y. et al., Develop. Growth Differ.,Vol.35, pp711-722 (1993))、ヒト、サル、およびマウスの脳(Marti H.H. et al., Eur.J.Neu.Sci., Vol.8, pp666-676 (1996))およびマウス子宮内膜(Yasuda Y. et al., J. Biol. Chem., Vol.273, pp25381-25387 (1998))が知られている。また、本発明者らは、エリスロポエチン受容体遺伝子が赤芽球系以外にマウス脱落膜(Yasuda Y. et al., Develop. Growth Differ., Vol.35, pp711-722 (1993))およびマウス子宮内膜血管内皮細胞(Yasuda Y. et al., J. Biol. Chem., Vol.273, pp25381-25387 (1998)に発現していることを見出した。これらの血球系以外の部位におけるエリスロポエチンあるいはエリスロポエチン受容体遺伝子の機能については、明らかにされていないのが現状である。
【0005】
脱落膜は、子宮内膜に胚が着床すると着床部位の内膜が脱落膜変化を起こし、胚を取り囲む。脱落膜にエリスロポエチン受容体遺伝子が発現し、エリスロポエチンは発現していないことより、エリスロポエチン受容体は脱落膜で産生され、血流中のエリスロポエチンと結合してエリスロポエチンシグナルを伝達していると考えられる。正常なヒト子宮内膜について検索したところ、エリスロポエチン遺伝子の発現は現時点の技術では認められるものと認められないものがあった。しかし、エリスロポエチンおよびエリスロポエチン受容体の蛋白質レベルでの発現は全例に認められた。従って、ヒト正常子宮内膜では、脱落膜と同様にエリスロポエチンは血液中から取り込まれる場合と極低濃度で自分泌している場合もあり、子宮の正常生理機能に関与していることが考えられる。一方、子宮頸部癌、体部癌、子宮筋腫、卵巣癌、卵巣嚢腫にはエリスロポエチンmRNAが発現していることをRT-PCRおよびサザンブロット法で認めた。また、これらの癌組織内の血管内皮細胞にエリスロポエチン受容体が発現していた。これらの組織検索で癌細胞にエリスロポエチンおよびエリスロポエチン受容体蛋白質、さらに増殖性核抗原が存在していることが明らかになった。従って、エリスロポエチンは癌細胞の増殖に係わっていることが推測された。
また、特定のドメインにおいてエリスロポエチン受容体に結合する物質が慢性関節リウマチの治療に利用され得るとの記載がある(WO00/66632号公報)。
【0006】
本発明者らはこれまでに、エリスロポエチン抗体、エリスロポエチン受容体蛋白質などのエリスロポエチン拮抗物質(エリスロポエチン拮抗物質とはエリスロポエチンに結合性を有する物質)が癌細胞増殖抑制効果および介在毛細血管障害効果を有することを見出している(特開平10-101574号公報、 British Journal of Cancer, Vol.84, pp836-843 (2001))。
【0007】
【特許文献1】
WO00/66632号公報
【特許文献2】
特開平10-101574号公報
【非特許文献1】
Krantz S.B., Blood, Vol.77, pp419-434 (1991)
【非特許文献2】
D'Andrea A.D. et al., Cell, Vol.57, pp277-285 (1989)
【非特許文献3】
Yasuda Y. et al., Develop. Growth Differ.,Vol.35, pp711-722 (1993)
【非特許文献4】
Marti H.H. et al., Eur.J.Neu.Sci., Vol.8, pp666-676 (1996)
【非特許文献5】
Yasuda Y. et al., J. Biol. Chem., Vol.273, pp25381-25387 (1998)
【非特許文献6】
British Journal of Cancer, Vol.84, pp836-843 (2001)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのエリスロポエチン拮抗物質はいずれも蛋白質であり、同様の作用機序(エリスロポエチンシグナルの遮断)によって癌細胞増殖抑制効果および癌組織内血管増殖効果を同時に有するペプチドなどの低分子化合物は全く知られていない。本発明は、ペプチドなどの低分子化合物を有効成分として含有する、優れた増殖性臓器疾患、慢性関節炎症性疾患、ならびに肥厚性瘢痕またはケロイド予防・治療剤などを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、エリスロポエチン受容体拮抗作用を有するペプチドなどの低分子化合物が、予想外にも優れた癌細胞および介在血管増殖抑制作用を有することを見出した。本発明者は、これらの知見に基づいてさらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
〔1〕エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩を含有してなる増殖性臓器疾患、慢性関節炎症性疾患、肥厚性瘢痕またはケロイド予防・治療剤;
〔2〕エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩が低分子性エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩である前記〔1〕記載の剤;
〔3〕エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩が低分子ペプチド性エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩である前記〔1〕記載の剤;
〔4〕エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩がエリスロポエチンミメティックペプチドまたはその塩である前記〔1〕記載の剤;
〔5〕エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩がエリスロポエチンミメティックペプチド9またはその塩である前記〔1〕記載の剤;
〔6〕エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩が配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドまたはそれらの塩である前記〔1〕記載の剤;
〔7〕エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩が抗エリスロポエチン受容体抗体またはその塩である前記〔1〕記載の剤;
〔8〕増殖性臓器疾患が癌または腫瘍である前記〔1〕記載の剤;
〔9〕慢性関節炎症性疾患が関節リウマチ、リウマチ類縁疾患、膠原病による関節炎、または腱鞘炎である、前記〔1〕記載の剤;
〔10〕エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩を含有してなる血管増殖抑制剤;
〔11〕哺乳動物に、エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩の有効量を投与することを特徴とする増殖性臓器疾患、慢性関節炎症性疾患、肥厚性瘢痕またはケロイドの予防・治療方法;
〔12〕哺乳動物に、エリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩の有効量と他の抗癌剤またはその塩の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする増殖性臓器疾患の予防・治療方法;
〔13〕増殖性臓器疾患、慢性関節炎症性疾患、肥厚性瘢痕またはケロイド予防・治療剤を製造するためのエリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩の使用などに関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の増殖性臓器疾患、慢性関節炎症性疾患、肥厚性瘢痕またはケロイド予防・治療剤(以下、「本発明の剤」と略記する)に用いられるエリスロポエチン受容体拮抗物質としては、ヒトエリスロポエチン受容体へのエリスロポエチンの結合を競合的または非競合的に阻害することによりエリスロポエチン受容体からのシグナル伝達を遮断する物質、或いはヒトエリスロポエチン受容体へのエリスロポエチンの結合を阻害することなくエリスロポエチン受容体からのシグナル伝達を遮断する物質(例えば、JAK2キナーゼを阻害する物質など)であれば特に限定されない。例えば抗エリスロポエチン受容体抗体などが挙げられる。
エリスロポエチン受容体拮抗物質としては、なかでも、分子量が約200〜5000である低分子化合物が好ましく、とりわけ、分子量が約300〜3000である低分子化合物が好ましい。また、エリスロポエチン受容体拮抗物質はペプチド性でも非ペプチド性でもよいが、ペプチド性のものが好ましく、なかでも、低分子ペプチド性のものが好ましい。
【0012】
本発明で用いられる低分子ペプチドとしては、例えば、少なくとも5個以上、好ましくは5〜30個程度、特に好ましくは15〜25個程度のアミノ酸残基からなるペプチドなどが挙げられる。
本発明で用いられるエリスロポエチンミメティックペプチド(EMP)としては、リガンドが受容体と結合する程度の強さでヒトエリスロポエチン受容体と結合することによりエリスロポエチン受容体からのシグナル伝達を遮断するペプチド、或いはヒトエリスロポエチン受容体に結合することなくエリスロポエチン受容体からのシグナル伝達を遮断するペプチド(例えば、JAK2キナーゼの阻害するペプチドなど)であれば特に限定されないが、例えばバイオケミストリー(Biochemistry)37,3699,1998に記載されたエリスロポエチンミメティックペプチド(EMP)が挙げられ、中でもEMP6、EMP7、EMP9、EMP12、EMP22、EMP23、EMP24、EMP25、EMP33、EMP39が好ましく、そのなかでもEMP9が特に好ましい。
より具体的には、エリスロポエチン受容体拮抗物質としては、例えば、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドなどが用いられ、これらペプチドは哺乳動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サル、ヒトなど)の細胞[例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、横紋筋細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例えば、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球など)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、もしくは間質細胞、またはこれらの細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン化細胞など]もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組識[例えば、脳、脳の各部位(例えば、嗅球、扁桃核、大脳基底核、海馬、視床、視床下部、間脳大脳皮質、延髄、小脳など)脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例えば、大腸、小腸など)、血管、心臓、胸腺、脾臓、舌下腺、耳下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋およびこれらの組織に存在する結合組織など]または血球系の細胞もしくはその培養細胞株などに由来するペプチド、合成ペプチド、組換え型ペプチドの何れであってもよい。
【0013】
配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドとは、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するペプチドなどが挙げられる。
また、エリスロポエチン受容体拮抗物質としては、例えば、配列番号:1で表されるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1から7個程度、より好ましくは1から5個程度、さらに好ましくは1から3個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1から7個程度、より好ましくは1から5個程度、さらに好ましくは1から3個)のアミノ酸が付加または挿入されたアミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1から7個程度、より好ましくは1から5個程度、さらに好ましくは1から3個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するペプチドなども用いられる。
ここで用いられる他のアミノ酸は天然型または非天然型のいずれであってもよい。
【0014】
エリスロポエチン受容体拮抗物質は、ペプチド表記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する低分子ペプチドをはじめとするエリスロポエチン受容体拮抗物質は、C末端が通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−COO)であるが、C末端がアミド(−CONH)またはエステル(−COOR)であってもよい。
ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチル、α−ナフチルメチルなどのC6−12アリール−C1−2アルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチルエステルなどが用いられる。
エリスロポエチン受容体拮抗物質がC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明の低分子ペプチドに含まれる。この場合のエステルとしては、例えば、前記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、エリスロポエチン受容体拮抗物質には、分子内のアミノ酸の側鎖上にある、例えば、OH、COOH、NH、SHなどが適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
エリスロポエチン受容体拮抗物質の具体例としては、配列番号:1で表されるアミノ酸配列からなるエリスロポエチンミメティックペプチド9(EMP9)が好ましく用いられる。
【0015】
エリスロポエチン受容体拮抗物質の塩としては、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸など)との塩などが用いられる。また、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムまたはアンモニウムなど)との塩、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジンなど)との塩なども用いられる。
【0016】
本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩のプロドラッグとしては、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応によりエリスロポエチン受容体拮抗物質に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こしてエリスロポエチン受容体拮抗物質に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こしてエリスロポエチン受容体拮抗物質に変化する化合物などが用いられる。
具体的には、本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩のプロドラッグとしては、本発明の剤に含有される低分子ペプチドのアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例えば、本発明の剤に含有される低分子ペプチドのアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等);本発明の剤に含有される低分子ペプチドの水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、本発明の剤に含有される低分子ペプチドの水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);本発明の剤に含有される低分子ペプチドのカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、本発明の剤に含有される低分子ペプチドのカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等);等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって本発明の剤に含有される低分子ペプチドから製造することができる。
また、本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件でエリスロポエチン受容体拮抗物質に変化するものであってもよい。
【0017】
本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩は、(1)前述した哺乳動物の細胞または組織から自体公知の方法によっても製造することもできるし、(2)ペプチド合成法に準じて製造することもできるし、(3)本発明の剤に含有される低分子ペプチドをコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。
〔哺乳動物の細胞または組織から製造する方法〕
ヒトや哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや哺乳動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行い、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組合せることにより単離精製することができる。
【0018】
〔ペプチド合成法に準じて製造する方法〕
本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩あるいはそのアミド体は、自体公知のペプチドの合成法に従って、あるいはエリスロポエチンを適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。
ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによってもよい。すなわち、本発明の剤に含有される低分子ペプチドを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的の低分子ペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の▲1▼から▲5▼に記載された方法が挙げられる。
▲1▼M.BodanszkyおよびM.A.Ondetti、ペプチド シンセシス(Peptide Synthesis),Interscience Publishers,New York(1966年)
▲2▼SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide),Academic Press,New York(1965年)
▲3▼泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株)(1975年)
▲4▼矢島治明および榊原俊平、生化学実験講座1、タンパク質の化学IV、205、(1977年)
▲5▼矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店
【0019】
より具体的には、本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩あるいはそのアミド体の合成には、通常市販のペプチド合成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニルヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2' ,4’−ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とする低分子ペプチドの配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂から低分子ペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的の低分子ペプチドまたはそれらのアミド体を取得する。
前記した保護アミノ酸の縮合に関しては、ペプチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、N,N' −ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N' −(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt、HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するか、または、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行った後に樹脂に添加することができる。
【0020】
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、ペプチド縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。
反応温度は、ペプチド結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃から50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5から4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行うことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化することができる。
【0021】
原料のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、tert−ペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。
カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、アラルキルエステル化、(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、tert−ブトキシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護することができる。
セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、tert−ブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl−Bzl、2−ニトロベンジル、Br−Z、tert−ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル[アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、HOBt)とのエステル]などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられる。
【0022】
保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また、液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。前記酸処理による脱離反応は、一般に約−20℃から40℃の温度で行われるが、酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタンジチオール、1,2−エタンジチオールなどのようなカチオン補足剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は前記1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。
【0023】
目的とする低分子ペプチドのアミド体を得る別の方法としては、例えば、まず、カルボキシル末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いた部分ペプチドとC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去した部分ペプチドとを製造し、この両部分ペプチドを前記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については前記と同様である。縮合により得られた保護ペプチドを精製した後、前記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗低分子ペプチドを得ることができる。この粗低分子ペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の低分子ペプチドのアミド体を得ることができる。
低分子ペプチドのエステル体を得るには、例えば、カルボキシル末端アミノ酸のα―カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、低分子ペプチドのアミド体と同様にして、所望の低分子ペプチドのエステル体を得ることができる。
また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、再結晶などを組合せて目的の低分子ペプチドを単離精製することができる。前記方法で得られる低分子ペプチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
より具体的には、本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩はバイオケミストリー(Biochemistry)37,3699,1998に記載された方法で製造される。
【0024】
本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質またはその塩は抗エリスロポエチン受容体抗体またはその塩であってもよい。
このエリスロポエチン受容体またはその塩に対する抗体は、エリスロポエチン受容体またはその塩を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。
エリスロポエチン受容体またはその塩(以下エリスロポエチン受容体等ともいう)に対する抗体は、エリスロポエチン受容体を抗原として用い、公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクローナル抗体産生細胞の作製
エリスロポエチン受容体等は、哺乳動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化エリスロポエチン受容体等と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁(1975年)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。骨髄腫細胞としては、例えば、NS-1、P3U1、SP2/0などが挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくは、PEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で約1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、エリスロポエチン受容体等の抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したエリスロポエチン受容体等を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM-101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、前記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
(b)モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができる。例えば、免疫抗原(エリスロポエチン受容体等の抗原)とキャリアー蛋白タンパク質との複合体をつくり、前記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物からエリスロポエチン受容体等に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。
哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白タンパク質との複合体に関し、キャリアー蛋白タンパク質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。
ポリクローナル抗体は、前記の方法で免疫された哺乳動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、前記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、前記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0025】
本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質もしくはその塩またはそのプロドラッグは、腫瘍増殖抑制作用などを有しているので、本発明の剤は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対して、増殖性臓器疾患(例えば、原発性、転移性または再発性の、乳癌、前立腺癌、膵癌、胃癌、肺癌、大腸癌(結腸癌、直腸癌、肛門癌)、食道癌、十二指腸癌、頭頚部癌(舌癌、咽頭癌、喉頭癌)、脳腫瘍、神経鞘腫、非小細胞肺癌、肺小細胞癌、肝臓癌、腎臓癌、胆管癌、子宮癌(子宮体癌、子宮頸癌)、卵巣癌、膀胱癌、皮膚癌、血管腫、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、甲状腺癌、骨腫瘍、血管腫、血管線維腫、網膜肉腫、陰茎癌、小児固形癌、カポジ肉腫、AIDSに起因するカポジ肉腫、上顎洞腫瘍、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、子宮筋腫、骨芽細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、癌性の中皮腫瘍、白血病などの腫瘍など)、関節リウマチ、リウマチ類縁疾患、膠原病による関節炎、または腱鞘炎などの慢性関節炎症性疾患、肥厚性瘢痕、ケロイド、肺線維症などの間質性増殖疾患などの予防・治療剤として有用である。
本発明の剤は、毒性が低く、安全である。
【0026】
本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質もしくはその塩またはそのプロドラッグは、毒性が低く、医薬製剤の製造法で一般的に用いられている自体公知の手段に従って、そのままあるいは薬理学的に許容される担体と混合して、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等の医薬製剤として、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈、皮下、筋肉内、経鼻、経膣、経口腔粘膜、経肺粘膜、点眼投与等)に安全に投与することができる。
本発明の剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤および無痛化剤等が挙げられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
等張化剤としては、例えばブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えばパラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。投与に当たっては、前記の注射用組成物を慣用の水性希釈剤中で溶解し、液剤として用いることができる。水性希釈剤としてはぶどう糖水溶液、生理食塩水、リンゲル液、栄養補給剤液などが含まれる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや非ヒト哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
【0027】
注射剤にリン酸またはその塩が含まれる場合、その注射剤中のリン酸ナトリウムあるいはリン酸カリウムの濃度は約0.1mMないし500mMであり、約1mMないし100mMのときが好ましい。
無菌製剤にするには、製造全工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等が挙げられるが、特に限定されない。
【0028】
本発明の剤において、エリスロポエチン受容体拮抗物質もしくはその塩またはそのプロドラッグの含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体に対して約0.1〜100重量%、好ましくは約10〜99.9重量%、さらに好ましくは約20〜90重量%程度である。
本発明の剤において、エリスロポエチン受容体拮抗物質もしくはその塩またはそのプロドラッグ以外の成分の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体に対して約10〜99.9重量%、好ましくは約20〜90重量%程度である。
本発明の剤の投与量は、エリスロポエチン受容体拮抗物質もしくはその塩またはそのプロドラッグの種類、投与ルート、症状、患者の年令などによっても異なるが、例えば、増殖性臓器疾患を治療する目的で静注など非経口的に投与する場合、1日当たり体重1kgあたりエリスロポエチン受容体拮抗物質として約0.005〜50mg,好ましくは約0.05〜10mg、さらに好ましくは約0.2〜4mgを1〜3回に分割投与できる。
【0029】
本発明の剤は、エリスロポエチン受容体拮抗物質もしくはその塩またはそのプロドラッグ以外に、適宜、他の医薬と適量配合して、または適量併用して使用することもできる。
このような併用薬としては、例えば、増殖性臓器疾患の治療に供することのできる種々の抗癌剤が挙げられる。具体的には、免疫抑制作用の低い医薬、例えば、内分泌療法薬(LH−RHアゴニストおよびアンタゴニスト、性ホルモンアンタゴニスト、性ホルモン合成阻害薬など)、癌に選択的なチロシンキナーゼなどの遺伝子産物(EGF受容体、HER2/erb−2、HER3/erb−3、HER4/erb−4、PDGF受容体、VEGF受容体など)を標的とした医薬、化学療法剤、さらには癌ワクチン療法薬などが挙げられる。
癌ワクチン療法薬としては、(1)腫瘍抗原またはそれに類する腫瘍細胞由来のタンパク質、その断片ペプチドまたはこれらを含む融合タンパク質、(2)これらタンパク質またはペプチドをコードし、生体内で発現しうるDNA断片やそれを含有するリポソーム、(3)そのDNA断片を含むウイルスまたはプラスミドなどが挙げられる。
癌ワクチン療法薬として用いることのできる腫瘍細胞由来のタンパク質としては、例えば、メラノーマ関連抗原(例、MAGE−1、MAGE−3、MART−1、gp100、チロシンキナーゼなど)、前立腺特異抗原(PSA)、HER2タンパク質、MUC−1ムチン、hCG、ガストリン、熱ショックタンパク質、ヒトパピローマウイルスのE7タンパク質、癌胎児性抗原(CEA)、変異Ras蛋白などが挙げられる。
このように本発明の剤は単剤として使用しても優れた増殖性臓器疾患予防・治療作用を示すが、1または2種以上を組み合わせて用いてもよく、さらに他の1または2以上の抗癌剤と併用(多剤併用)することによって、その効果をより一層増強させることができる。その他、併用による利点として、互いの薬剤の使用量を削減することが可能となり、これによって副作用が軽減し、癌患者のクオリティー・オブ・ライフ:Quality of Life(例えば、Performance Stasisや疼痛の軽減、浮腫の抑制、食欲増進、体重増加など)を改善することにも大きく貢献することが挙げられる。
【0030】
本発明の剤に併用し得る併用薬を以下に具体的に例示する。
該「内分泌療法薬」としては、例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、アリルエストレノール、ゲストリノン、メパルトリシン、ラロキシフェン、オルメロキフェン、レボルメロキシフェン、抗エストロゲン(例、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェンなど)、ピル製剤、メピチオスタン、テストロラクトン、アミノグルテチイミド、LH−RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリンなど)、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、スルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害薬(例、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタンなど)、抗アンドロゲン(例、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミドなど)、5α-レダクターゼ阻害薬(例、フィナステリド、エプリステリドなど)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロンなど)、アンドロゲン合成阻害薬(例、アビラテロンなど)、レチノイドおよびレチノイドの代謝を遅らせる薬剤(例、リアロゾールなど)などが挙げられる。
【0031】
該「化学療法剤」としては、例えばアルキル化剤、代謝拮抗剤、抗癌性抗生物質、植物由来抗癌剤などが挙げられる。
「アルキル化剤」としては、例えば、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロフォスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、トシル酸インプロスルファン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、フォテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミド、トレオスルファン、トロフォスファミド、ジノスタチンスチマラマー、カルボコン、アドゼレシン、システムスチン、ビゼレシンなどが挙げられる。
「代謝拮抗剤」としては、例えば、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスファート、塩酸アンシタビン、5−FU系薬剤(例、フルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフールなど)、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォリネイトカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドキシウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチンなどが挙げられる。
「抗癌性抗生物質」としては、例えば、アクチノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルチノスタチン、ミスラマイシン、ザルコマイシン、カルチノフィリン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシンなどが挙げられる。
「植物由来抗癌剤」としては、例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタクセル、ビノレルビンなどが挙げられる。
【0032】
該「免疫療法剤(BRM)」としては、例えば、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、リンホトキシン、BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾールなどが挙げられる。
該「細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤」における、「細胞増殖因子」としては、細胞の増殖を促進する物質であればどのようなものでもよく、通常、分子量が20,000以下のペプチドで、受容体との結合により低濃度で作用が発揮される因子が挙げられ、具体的には、(1)EGF(epidermal growth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、EGF、ハレグリン(HER2リガンド)など〕、(2)インシュリンまたはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、インシュリン、IGF(insulin-like growth factor)−1、IGF−2など〕、(3)FGF(fibroblast growth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、酸性FGF、塩基性FGF、KGF(keratinocyte growth factor)、 FGF-10など〕、(4)その他の細胞増殖因子〔例、CSF(colony stimulating factor)、IL−2(interleukin-2)、NGF(nerve growth factor)、PDGF(platelet-derived growth factor)、TGFβ(transforming growth factorβ)、HGF(hepatocyte growth factor)、VEGF(vascular endothelial growth factor)など〕などが挙げられる。
該「細胞増殖因子の受容体」としては、前記の細胞増殖因子と結合能を有する受容体であればいかなるものであってもよく、具体的には、EGF受容体、ハレグリン受容体(HER2)、インシュリン受容体−1、インシュリン受容体−2、 IGF受容体、FGF受容体−1またはFGF受容体−2などが挙げられる。
該「細胞増殖因子の作用を阻害する薬剤」としては、ハーセプチン(HER2レセプター抗体)などが挙げられる。
前記の薬剤の他に、L−アスパラギナーゼ、アセグラトン、塩酸プロカルバジン、プロトポルフィリン・コバルト錯塩、水銀ヘマトポルフィリン・ナトリウム、トポイソメラーゼI阻害薬(例、イリノテカン、トポテカンなど)、トポイソメラーゼII阻害薬(例えば、ソブゾキサンなど)、リアーゼ阻害薬、エンドセリン拮抗薬(例、ABT−627など)、分化誘導剤(例、レチノイド、ビタミンD類など)、血管新生阻害薬、α−ブロッカー(例、塩酸タムスロシンなど)、インスリン抵抗性改善薬(例、塩酸ピオグリタゾン、(マレイン酸)ロシグリタゾン、GI−262570、JTT−501、MCC−555、YM−440、KRP−297、CS−011、FK−614、WO99/58510に記載の化合物(例えば(E)−4−[4−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンジルオキシイミノ]−4−フェニル酪酸など)など)、アンジオテンシンII拮抗薬(例、ロサルタン、エプロサルタン、カンデサルタン シレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、オルメサルタンおよびこれらの活性代謝物(カンデサルタンなど)など)、癌抗原、DNA、レクチン、糖質、脂質なども用いることができる。
また、これら併用薬の塩としては、先に述べたエリスロポエチン受容体拮抗物質の塩と同様のものが用いられる。
【0033】
本発明の剤と併用薬との併用に際しては、本発明の剤と併用薬の投与時期は限定されず、本発明の剤と併用薬とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
本発明の剤と併用薬の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明の剤と併用薬とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明の剤と併用薬とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明の剤と併用薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明の剤と併用薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明の剤と併用薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明の剤と併用薬とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の剤→併用薬の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。以下、これらの投与形態をまとめて、本発明の併用剤と略記する。
【0034】
本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、本発明の剤または(および)前記併用薬を自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物とすることができる。
本発明の併用剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、前記した本発明の医薬組成物に使用されるものと同様のものを使用することができる。
本発明の剤および併用薬とを同時に製剤化して単剤として使用する場合、本発明の併用剤におけるエリスロポエチン受容体拮抗物質もしくはその塩またはそのプロドラッグの含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体に対して約0.1〜100重量%、好ましくは約10〜99.9重量%、さらに好ましくは約20〜90重量%程度である。
また、本発明の併用剤における併用薬の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体に対して約0.1〜100重量%、好ましくは約10〜99.9重量%、さらに好ましくは約20〜90重量%程度である。
本発明の併用剤において、エリスロポエチン受容体拮抗物質もしくはその塩またはそのプロドラッグおよび併用薬以外の成分の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体に対して約10〜99.9重量%、好ましくは約20〜90重量%程度である。
本発明の併用剤におけるエリスロポエチン受容体拮抗物質もしくはその塩またはそのプロドラッグと併用薬との配合比は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択することができる。
本発明の併用剤の投与量は、エリスロポエチン受容体拮抗物質もしくはその塩またはそのプロドラッグおよび併用薬の種類、投与ルート、症状、患者の年令などによっても異なるが、例えば、癌を治療する目的で経口的に投与する場合、1日当たり体重1kgあたりエリスロポエチン受容体拮抗物質もしくはその塩またはそのプロドラッグおよび併用薬として約0.005〜50mg,好ましくは約0.05〜10mg、さらに好ましくは約0.2〜4mgを1〜3回に分割投与できる。
【0035】
本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質および併用薬物をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
本発明の剤に含有されるエリスロポエチン受容体拮抗物質と併用薬をそれぞれ別々に製剤化して併用投与するに際しては、本発明の剤と併用薬を含有する医薬組成物とを同時期に投与してもよいが、併用薬を含有する医薬組成物を先に投与した後、本発明の剤を投与してもよいし、本発明の剤を先に投与し、その後で併用薬を含有する医薬組成物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬を含有する医薬組成物を先に投与する場合、併用薬を含有する医薬組成物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内に本発明の剤を投与する方法が挙げられる。本発明の剤を先に投与する場合、本発明の剤を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬を含有する医薬組成物を投与する方法が挙げられる。
本発明の剤は、単独でまたは前記のように併用薬と併用投与することに併せて、非薬剤療法から成る群から選ばれる1〜3種とを組み合わせることにより、より効果的に疾病を予防・治療することができる。非薬剤療法としては、例えば、手術、放射線療法、遺伝子療法、温熱療法、凍結療法、レーザー灼熱療法などが挙げられ、これらを2種以上組み合わせることもできる。
例えば、本発明の剤または前記の併用剤を手術等の前または後に、あるいはこれら2、3種を組み合わせた治療前または後に使用することによって、耐性発現の阻止、無病期(Disease-Free Survival)の延長、癌転移あるいは再発の抑制、延命などの効果が得られる。
また、本発明の剤または前記の併用剤による治療と、支持療法〔(i)各種感染病の併発に対する抗生物質(例えば、パンスポリンなどのβ−ラクタム系、クラリスロマイシンなどのマクロライド系など)の投与、(ii)栄養障害改善のための高カロリー輸液、アミノ酸製剤、総合ビタミン剤の投与、(iii)疼痛緩和のためのモルヒネ投与、(iv)悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、白血球減少、血小板減少、ヘモグロビン濃度低下、脱毛、肝障害、腎障害、DIC、発熱などのような副作用を改善する薬剤の投与および(v)癌の多剤耐性を抑制するための薬剤の投与など〕を組み合わせることもできる。
前記の処置を施す前または施した後に、本発明の剤または前記の併用剤を経口投与(徐放性を含む)、静脈内投与(bolus、infusion、包接体を含む)、皮下および筋注(bolus、infusion、徐放性を含む)、経皮、腫瘍内および近位投与によって投与するのが好ましい。
手術等の前に本発明の剤または前記の併用剤を投与する場合の時期としては、例えば、手術等の約30分〜24時間前に1回投与することもできるし、あるいは手術等の約3ヶ月〜6ヶ月前に1〜3サイクルに分けて投与することもできる。このように、手術等の前に本発明の剤または前記の併用剤を投与することにより、例えば癌組織を縮小させることができるので、手術等がしやすくなる。
手術等の後に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与する場合の時期としては、手術等の約30分〜24時間後に、例えば数週間〜3ヶ月単位で反復投与することができる。このように、手術等の後に本発明の剤または前記の併用剤を投与することにより、手術等の効果を高めることができる。
【0036】
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
Gly :グリシン
Ala :アラニン
Leu :ロイシン
Val :バリン
Pro :プロリン
Ser :セリン
Cys :システイン
Thr :トレオニン
Tyr :チロシン
His :ヒスチジン
Trp :トリプトファン
Gln :グルタミン
Lys :リジン
Phe :フェニルアラニン
本願明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
EMP9のアミノ酸配列を示す。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例、参考例および試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
実施例1
1. EMP9の調製
公知の方法で合成されたEMP9を生理的食塩水に溶解した。溶液には最終濃度0.25%となるようにエバンスブルーを加え着色した。
2. 異種移植
5週齢のヌードマウス(Balb/c Jcl-nu、日本クレア)を購入し、1週間無菌飼育室で馴化飼育を行ったものを使用した。悪性黒色腫細胞株(P39、Utsumi and Elkind、1993)の 5X106個を 0.1ml の培養液に浮遊させたものを肩甲骨間の皮下に注入した。腫瘍形成は2-3週間で外表から認められ、その後、腫瘍の長径X短径X高さを週に2回測定した。6X7X7mm の大きさになるまで観察し、その後投与を開始した。投与後も同様に計測した。
3. 投与方法
EMP9の 0.5 mg/ml の溶液を 0.1ml づつ1時間間隔で4回腹腔内投与し、24時間後、48時間後に同様に 0.1ml づつ4回投与し、最初の投与から7日後に腫瘍を摘出した。
4. 投与による腫瘍の変化の解析
摘出した腫瘍を Zamboni 固定液で固定あるいは液体窒素で凍結した。Zamboni固定液で固定したものは数個の組織塊に分け、それぞれの塊より集めて、複数個包埋して、その組織切片を作成した。PCNA抗体で増殖細胞を、CD31抗体で血管内皮細胞を染色し、核染色としてヘマトキシリンを用いた。それぞれの切片標本を200倍率下で検鏡した。1区画(17.6 x 10-3 mm2)の面積の20区画の細胞数(4,500個以上)を数えた。下式より細胞増殖率を算出し、〔表1〕に表示した。また、100区画内の血管数を数え、1区画(13.1 x 10-2 mm2)内の平均数を算出し、〔表1〕に表示した。統計処理は、細胞増殖率はChi-square test、血管数はStudent's t-test により行い、生理的食塩水投与群とEMP9投与群の間には有意差が認められた(p<0.05)。
増殖率(%)=(増殖細胞数/生存細胞数)x100
【0038】
【表1】
Figure 0004299527
〔表1〕の結果から、EMP9は優れた腫瘍増殖抑制および新生血管増殖抑制の両作用を有することが分かる。
【0039】
実施例2
(1)EMP9 10.0g
(2)乳糖 60.0g
(3)コーンスターチ 35.0g
(4)ゼラチン 3.0g
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0g
EMP9 10.0gと乳糖60.0gおよびコーンスターチ35.0gの混合物を10重量%ゼラチン水溶液30ml(ゼラチンとして3.0g)を用い、1mmメッシュの篩を通して顆粒化した後、40℃で乾燥し再び篩過した。得られた顆粒をステアリン酸マグネシウム2.0gと混合し、圧縮した。得られた中心錠を、蔗糖、二酸化チタン、タルクおよびアラビアゴムの水懸濁液による糖衣でコーティングした。コーティングが施された錠剤をミツロウで艶出して1000錠のコート錠を得た。
【0040】
実施例3
(1)EMP9 10.0g
(2)乳糖 70.0g
(3)コーンスターチ 50.0g
(4)可溶性デンプン 7.0g
(5)ステアリン酸マグネシウム 3.0g
EMP9 10.0gとステアリン酸マグネシウム3.0gを可溶性デンプンの水溶液70ml(可溶性デンプンとして7.0g)で顆粒化した後、乾燥し、乳糖70.0gおよびコーンスターチ50.0gと混合した。混合物を圧縮して1000錠の錠剤を得た。
【0041】
参考例1
(1)酢酸リュープロレリン 10.0mg
(2)乳糖 70.0mg
(3)コーンスターチ 50.0mg
(4)可溶化デンプン 7.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
酢酸リュープロレリン10.0mgとステアリン酸マグネシウム3.0mgを可溶化デンプンの水溶液0.07ml(可溶化デンプンとして7.0mg)で顆粒化後、乾燥し、乳糖70.0mgおよびコーンスターチ50.0mgを混合する。混合物を圧縮し錠剤を得る。
【0042】
製剤例1
実施例1または2で得られた製剤と参考例1で得られた製剤とを組み合わせる。
【0043】
【発明の効果】
エリスロポエチン受容体拮抗物質またはそのプロドラッグは、優れた腫瘍増殖抑制作用および新生血管増殖抑制作用を有しており、増殖性臓器疾患、慢性関節炎症性疾患、肥厚性瘢痕またはケロイドの予防・治療剤として有用であり、特に血管増殖を伴う固形腫瘍に効果がある。
【0044】
【配列表】
Figure 0004299527
Figure 0004299527

Claims (1)

  1. エリスロポエチンミメティックペプチド9を含有してなる癌もしくは腫瘍、関節リウマチ、膠原病による関節炎、腱鞘炎、肥厚性瘢痕またはケロイド予防・治療剤。
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