JP4299950B2 - 圧痕形成機構および硬さ試験機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧子により試料表面に荷重を負荷して圧痕を形成させることに基づいて試料の材料特性を評価する試験機に用いられる圧痕形成機構、及びこの圧痕形成機構を備えた硬さ試験機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧子により試料表面に荷重を負荷して圧痕を形成させることに基づいて、試料の材料特性を評価する試験機として硬さ試験が知られている。
この従来の硬さ試験機における荷重負荷機構としては、例えば、図8に示したものが知られている。
図8に示す硬さ試験機100は、いわゆるロックウェル硬さ試験機といわれるもので、おもり101と、荷重アーム102と、カム103と、荷重軸104と、圧子軸105と、圧子106などからなる圧痕形成機構110を備えている。
この圧痕形成機構110によれば、所定のおもり101が前記荷重アーム102の先端に吊され、カム103の回転によって荷重アーム102が下がり、荷重軸104に所定の荷重が作用する。そして、この荷重軸104に作用した荷重は、圧子軸105を介して圧子106に伝達され、この圧子106が下方に移動することにより、試料台107に載置された試料に圧痕が形成されるようになっている。
【0003】
ここで、上記硬さ試験機100に代表される、おもりによる荷重負荷制御では、圧痕形成中の荷重が設定値通りに試料に作用しているかどうかを確認することが出来ないという問題点があった。
また、おもりで試料に力を加えるため、ダンパー等により力の負荷速度を遅くしないと、目標以上の力が発生するという、いわゆるオーバーシュートが発生する。また、ダンパーを用いたとしても小さなオーバーシュートを消すことは困難であるという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、電気的に荷重負荷制御を行い、試料に加重を与える方法が考えられる。この電気的荷重負荷制御の場合、荷重アームは制御の都合上、剛性の高いものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、剛性の高い荷重アームを有する硬さ試験機においては、手動により試料を圧子と接触させる瞬間に試料に衝撃(ステップ状の力)が加わり易く、初試験力を越えた力が容易に試料に加えられる場合がある。
このような場合、試料の硬さ試験を適切に行えないという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、剛性の高い荷重アームを有する圧痕形成機構および硬さ試験機において圧子と試料を接触させる際の衝撃を緩和し、容易かつ正確に試料に初試験力を与えることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、例えば、図1〜5に示すように、試料表面に、圧子(3)により圧痕を形成させることに基づいて試料の材料特性を測定する試験機に用いられる圧痕形成機構(10)であって、
前記試料と前記圧子を接触させる際に、前記圧子と前記試料の一方を他方と同方向に移動制御する衝撃緩和手段(65:荷重アーム作動制御部、61:サーボモータ)を備え、
接触時の力積を減少することによって、前記試料と前記圧子の間に生じる衝撃を緩和することを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、衝撃緩和手段を備えたため、前記試料と前記圧子の接触時に、前記圧子が前記試料に与える力積を減少することができる。即ち、前記圧子と前記試料が接触する際の衝撃が緩和されるため、接触時に初試験力を越えてしまうという問題を解消できる。
【0009】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の圧痕形成機構において、
前記衝撃緩和手段は、
前記試料が前記圧子に接触された場合に、前記圧子の基準位置からの変位に応じて、前記試料に与える所定の荷重を算出する荷重制御手段(65:荷重アーム作動制御部)と、
前記荷重制御手段により算出された所定の荷重を前記試料に与えるように、前記圧子を前記試料と同方向に移動させる移動手段(61:サーボモータ)と、
を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、荷重制御手段と移動手段を備えたため、前記試料に圧子の基準位置からの変位に応じた荷重が与えられ、前記試料を手動により移動させる作業員は、従来と同様にハンドル等を操作するだけで、より適切に、試料に所定荷重を与えられる。
【0011】
請求項3記載の発明は、
請求項1または2記載の圧痕形成機構において、
前記衝撃緩和手段は、
前記圧子と前記試料の距離を検出する距離検出手段をさらに備え、
前記圧子と前記試料が所定距離接近した場合に、前記圧子と前記試料の一方を他方と同方向に所定速度で移動制御し、接触時の力積を減少することを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、距離検出手段を備えたため、前記試料と前記圧子が接触する直前に、一方を他方と同方向に移動させることができ、前記試料と前記圧子の接触の瞬間に、更に衝撃を緩和できる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載された圧痕形成機構を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3の何れかに記載の圧痕形成機構を備えたため、前記試料と前記圧子を接触させる際に、容易に初試験力を越えないように接触できるため、作業効率が向上する。また、接触時に初試験力を越えることがないため、硬さ試験の結果に対する信頼性が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明に係る圧痕形成機構、及び硬さ試験機の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る硬さ試験機の要部構成を示す側面図であり、図2は、本発明の荷重アーム移動制御部の要部構成を示すブロック図であり、図3は、本発明に係る硬さ算出機構部の要部構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示す硬さ試験機1は、試験機本体2と、前記試験機本体2に回動自在に支持され、自由端部に圧子3が取り付けられる荷重アーム4と、前記圧子3の下方の試験機本体2に設けられ、試料sを載置する試料台5と、前記荷重アーム4の下方に設けられ、前記荷重アーム4の自由端側を回動させ、試料表面に圧痕を形成させるための押圧力を作用させる力を付与する荷重アーム作動部6と、前記荷重アーム作動部6が作動した際に発生した力を前記荷重アーム4に伝達する板ばね7などにより構成された圧痕形成機構部10を備えるともに、前記圧子3によって形成された圧痕の深さを測定するアーム位置センサ8と、このアーム位置センサ8による測定に基づいて硬さを算出する硬さ算出部9(図3参照)などにより構成された硬さ算出機構部20を備えている。また、図示しないが、設定荷重を入力する荷重入力部も備えている。
【0017】
前記試験機本体2は、その内部に前記荷重アーム作動部6と、荷重アーム作動部6の駆動源となる電装部21などを備えている。
前記荷重アーム4は、試験機本体2に十字ばね或いは転がり軸受等により回動自在に支持されるとともに、自由端部には圧子3が着脱自在に取り付けられている。また、この荷重アーム4は、前記板ばね7と一体化されている。そして、荷重アーム4は、初期状態において、水平より所定量、下方向に回動された位置でサーボモータ61によって維持されている。
前記板ばね7と前記荷重アーム4との間には、長手方向に沿って溝部7aが設けられ、圧子3側のその先端は開口している。
【0018】
試料台5は、その下面に角ネジ51が設けられ、この角ネジ51によって前記試験機本体2に上下動可能に取り付けられている。更に、試料sと圧子3が接触した際に自動的に試料台5が停止するオートブレーキ機構52も備えている。
前記荷重アーム作動部6は、移動手段としてのサーボモータ61と、ボールねじ62と、前記ボールねじ62の先端部に取り付けられ、前記板ばね7に固定される固定治具63と、を備えている。従って、前記サーボモータ61が駆動して前記ボールねじ62が上下動することにより、前記板ばね7と一体化された荷重アーム4が回動するようになっている。
前記固定治具63は、前記荷重アーム4と荷重アーム作動部6を接続するもので、荷重アーム4の回動運動と板ばね7の変形による板ばね7の軸と荷重アーム作動部6の軸のミスアラインメントを吸収する機能を有し、例えば、薄い板、ピアノ線等の線材、或いはナイフエッジと十字ばねの組み合わせ、ユニバーサルジョイント等を単独或いは併用して構成されている。
【0019】
この荷重アーム4の作動制御は、前記荷重アーム4と前記板ばね7とに取り付けられ、ばね変形量を測定するばね変位量センサ64と、このばね変位量センサ64により測定したばね変形量を入力し、該ばね変形量に基づいて前記ボールねじ62の作動制御を行う荷重制御手段としての荷重アーム作動制御部65と、により行われる。
ばね変位量センサ64は、例えば、ガラススケールを光学的に読み取る変位センサユニット(リニアスケール)からなり、前記ボールねじ62の下方向への作動によって、板ばね7と荷重アーム4の溝部7aの開き量からばね変位量を測定し、当該ばね変位量信号をA/D変換した後、荷重アーム作動制御部65に出力する。
前記荷重アーム作動制御部65は、図2に示すように、サーボゲイン演算回路651、自動荷重演算回路652、荷重制御回路653、サーボゲイン演算回路654、目標位置演算回路655、荷重アーム位置制御回路656、D/A変換器657、サーボモータ駆動回路658、などを具備している。
【0020】
サーボゲイン演算回路651は、作業員が圧子3と試料sを接触させ、初試験力を与える際に、A/D変換されたばね変位量信号と、アーム位置信号とが入力される。そして、サーボゲイン演算回路651は、圧子3と試料sの接触時から、ばねにより徐々に荷重が加えられる状態をシミュレーションする制御、即ち、圧子3に試料sを接触させた後、基準位置からの変位に応じて徐々に圧子3から試料sに荷重が加わるように荷重アーム4の回動を制御(以下、ばね制御と言う。)するための値を算出する。
【0021】
また、サーボゲイン演算回路651は、試料sに試験力を加える過程において、A/D変換されたばね変位量信号と、アーム位置信号とが入力され、荷重の変化量と試料の変形量の変化からばね定数を算出して初期サーボゲイン(Gain)を決定する。
さらに、サーボゲイン演算回路651は、所定回数のフィードバックステップの間にエラー(Err)の変化がない場合にはサーボゲインを増加させ、また、サーボゲインが所定値以上となったら、もとに戻す制御を行う。決定されたサーボゲインは、荷重制御回路652に出力される。
なお、サーボゲイン演算回路651には、演算結果を記憶するメモリ(図示省略)が設けられている。
【0022】
自動荷重演算回路652は、アーム位置信号が入力され、ばね制御において試料に与える目標荷重を演算した結果あるいは予め設定された目標荷重を目標荷重信号として荷重制御回路653に出力する。
【0023】
荷重制御回路653は、A/D変換されたばね変位量信号と、自動荷重演算回路652から出力された目標荷重信号(サーボモータ指令データ)とを比較し、差分にあたる荷重制御信号にサーボゲイン演算回路651で算出したサーボゲインを付加してD/A変換器657に出力する。
【0024】
サーボゲイン演算回路654は、作業員が圧子3と試料sを接触させ、初試験力を与える際に、A/D変換されたばね変位量信号と、アーム位置信号とが入力され、ばね制御を行うための値を算出しする。
目標位置演算回路655は、ばね変位量信号が入力され、ばね制御において荷重アーム4の目標位置を算出した結果あるいは予め設定された目標位置を目標位置信号として荷重アーム位置制御回路656に出力する。
荷重アーム位置制御回路656は、アーム位置センサからのアーム位置信号を入力し、このアーム位置信号と、目標位置信号とを比較し、差分にあたる位置制御信号にサーボゲインを付加してD/A変換器657に出力する。
D/A変換器657は、荷重制御信号、位置制御信号をD/A変換してサーボモータ駆動回路658に出力する。
サーボモータ駆動回路658は、D/A変換された荷重制御信号、位置制御信号を入力し、微分要素と積分要素を加味して電流増幅器658aで増幅した後、サーボモータ61に出力する。
【0025】
前記アーム位置センサ8は、前記ばね変位量センサ64と同様に、例えば、ガラススケールを光学的に読み取る変位センサユニット(リニアスケール)からなり、荷重アーム4の上下方向の移動量を測定する。
前記硬さ算出部9は、図3に示すように、増幅器91、A/D変換器92、演算回路93、出力回路94などを具備している。
【0026】
増幅器91は、アーム位置センサ8により測定されたアーム位置信号を増幅し、A/D変換器92に出力する。A/D変換器92は増幅されたアーム位置信号をA/D変換して演算回路93に出力する。
演算回路93は、A/D変換されたアーム位置信号を内蔵された演算プログラムに従って演算して硬さを算出して出力回路94に出力する。出力回路94は、算出された硬さデータを所定の出力形式のデータに加工して硬さ試験機1に接続された出力装置11に出力する。ここで、出力装置11は、例えば、硬さデータを画面表示する表示装置、或いは硬さデータを紙に印字して出力する印刷装置等である。
【0027】
そして、サーボモータ駆動回路658によって増幅された荷重制御信号又はアーム位置制御信号がサーボモータ61に出力され、この荷重制御信号又はアーム位置制御信号に基づいてサーボモータ61が駆動する。そして、このサーボモータ61の駆動によりボールねじ62が回転し、上方に作動する。その際、ボールねじ62に取り付けられた板ばね7と、これと一体化された荷重アーム4が上方に軸回転しながら、荷重アーム4の自由端に取り付けられた圧子3が、作業員によって上昇された試料sと接触する。
このとき、板ばね7と荷重アーム4との間の溝部7aの開き量がばね変位量信号としてばね変位量センサ64によって計測され、このばね変位量信号が増幅されて、サーボゲイン演算回路651に出力される。
【0028】
次に、上記硬さ試験機によるオートブレーキ制御動作について図4に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、オートブレーキ処理が開始されると、ステップS1で荷重アーム4の初期化がなされる。即ち、中立位置を検出し、中立位置から所定量下方に荷重アーム4が回動する。
次いで、ステップS2では、ばね変位量センサ64、アーム位置センサ8がリセットされ、荷重アーム4の制御を行うように初期設定がなされる。
次いで、ステップS3では、作業員により上昇された試料sが圧子3に接触した場合、ばね制御を開始する。
次いで、ステップS4では、現状態でのばね変位量センサ64、アーム位置センサ8の読み取り値を入力する。
次いで、ステップS5では、荷重アーム位置制御回路656により、(1)式に基づいてエラー(Err)を生成し、
Err=Gain×アーム位置 (1)
当該エラーに基づくアーム位置制御信号をD/A変換した後、サーボモータ駆動回路658を介してサーボモータ61に出力する。
【0029】
次に、ステップS6では、荷重アーム4の変位に伴い、ばね制御に基づく荷重に目標荷重を設定する。
次いで、ステップS7では、アーム位置センサ8で検出された位置が水平より所定量下方の位置(以下、オートブレーキ位置と言う。)であるか否かが判別され、オートブレーキ位置であると判別された場合には、ステップS8に移行してオートブレーキを作動(on)させ、ブレーキがかかった時点での力で力制御への切り替えが行われた(ステップS9)後、ステップS10に移行する。一方、ステップS5で、ばね変位量センサ64で検出された位置が所定位置でないと判別された場合には、ステップS10にそのまま移行する。ここで、荷重アーム4の所定位置は、当該位置から荷重アーム4に初試験力を与えた場合、試験力が適切な精度範囲となるような位置である。
【0030】
ステップS10では、ばね変位量センサ64で検出された力値が精度チェックを行う力か否かが判別される。具体的には、力値が初期試験力の所定の割合よりも大きいか否かが判別され、大きいと判別された場合には、ステップS11に移行するが、小さいと判別された場合には、ステップS12に移行する。
ステップS11に移行した場合、ここでは、荷重アーム4の位置が試験力精度を保証できる範囲内か否か判別する。即ち、荷重アームの水平位置からのずれが予め設定された試験力精度範囲以内かどうか判別する。そして、荷重アームの位置が試験力精度範囲内にない場合には、ステップS13に移行してサーボモータ61が停止して処理が停止する。
【0031】
一方、荷重アーム4の位置が予め設定された試験力精度範囲以内にある場合には、ステップS14で初試験力まで力を加えた後、ステップS15で試験力まで加え、所定の時間経過後、ステップS16で再び初試験力まで力を戻し、ステップS17で硬さ値算出した後、当該硬さ値の表示を行う。
また、ステップS10の結果、ステップS12に移行した場合、ここではオートブレーキが作動中か否かが判別される。そして、オートブレーキ作動中でないと判別された場合には、ステップS4に移行し、ステップS4以降の処理が再び行われる。一方、オートブレーキが作動中であると判別された場合には、ステップS18に移行する。
ステップS18では、ブレーキ保持時間以内か否かが判別され、ブレーキ保持時間以内でないと判別された場合には、ステップS4に移行してステップS4以降の処理が再び行われる。一方、ブレーキ保持時間以内であると判別された場合には、ブレーキがオフされ(ステップS19)、目標荷重を初期荷重に設定された(ステップS20)後、ステップS4に移行し、ステップS4移行の処理が再び行われる。
【0032】
ここで、ばね制御における荷重アーム4の動作について、図6を参照して説明する。
図6は、ばね制御における荷重アーム4の位置と試料sに加えられる荷重の関係を示す図である。この図6において、実線は試料sに与えられる荷重を示し、点線は、荷重アーム4の位置を示している。
【0033】
図6において、初めに荷重アーム4は、所定位置(水平より所定量下方の位置)に維持され、圧子3に試料sは接触していない(時刻t0)。そして、試料sが上昇され圧子3と接触する(時刻t1)と、荷重アーム4は、圧子3を試料sと接触させた状態で上方に回動する。このとき、荷重アーム4が所定位置から変位するに従って、圧子3から試料sに与えられる荷重が増加する(時刻t1→t2)。そして、ステップS7において、荷重アーム4の位置が、オートブレーキ位置に達したと判別された場合、オートブレーキが作動され(時刻t2)、このときの荷重を維持するように荷重アーム4が動作する。そして、ステップS9、ステップS11およびステップS14を経て、荷重アーム4が再び回動し(時刻t3)、水平位置において、試料sに初試験力が与えられる(時刻t4)。
【0034】
以上のばね制御を行った場合、従来の荷重アーム4を固定させた状態で試料sと接触させる方法に比べ、圧子3と試料sの接触時の衝撃が緩和され、接触時に初試験力を越えてしまうという問題が解消され、例えば、スーパーフィッシャル型硬さ試験機のように、小さな試験力を試料に与える硬さ試験の場合、特に有効である。図7は、圧子と試料が接触する場合の試料に与えられる荷重を示す図であり、(a)は、従来の硬さ試験機の場合、(b)は、硬さ試験機1の場合を示す図である。図7(a)において、圧子と試料が接触した瞬間(時刻t1)には、試料に衝撃が与えられ、初試験力付近に達している。一方、図7(b)において、圧子3と試料sが接触した瞬間(時刻t1)には、試料sに衝撃が与えられず、徐々に試料sに荷重が与えられている。
【0035】
次に、上記硬さ試験機による試験荷重制御動作について図5に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、電源投入されると、ステップS21で、各変数の初期化がなされる。具体的には、サーボゲイン(Gain)、エラー(Err)、アーム位置(DIFP)、荷重 (DIFF)等のそれぞれの値が初期化される。荷重入力部(図示省略)に目標荷重を入力する。
次いで、ステップS22で、現状態のばね変位量(荷重)センサ64およびアーム位置センサ8の値がサーボゲイン演算回路651に入力され、この値がサーボゲイン演算回路651に内蔵されたメモリ(図示省略)に記憶される(ステップS23)。これは、次回のルーチンの荷重制御に使用するためである。
【0036】
次いで、ステップS24で、初期サーボゲイン決定のため、予め設定された予備試験荷重を試料に印加する。そして、そのときのアーム位置がサーボゲイン演算回路651に入力されると、(2)式により初期サーボゲインが決定される。
Gain=A×(DIFF−荷重値)/(DIFP−アーム位置) (2)
ここで、A:任意の定数である。
次いで、ステップS25では、エラー、即ち、実荷重値と目標荷重値の差が(3)式によって算出される。
Err=Gain×荷重値−TargetF (3)
そして、ステップS26では、エラーが残ったままか否かが判別される。即ち、前回のフィードバックルーチンで求めた比較用エラー(Err1)と今回のエラー(Err )との差分が「0」か否か判別し、「0」の場合には、ステップS27に移行するが、「0」でない場合には、そのままステップS28に移行する。
ここで、エラーが残った否かを判別する場合、所定回数(例えば、5回)のフィードバックルーチンでエラーの差分が連続して「0」となった場合に、エラーが残っていると判別してもよい。また、サーボゲインは、段階的に上げるようにしてもよい。
【0037】
ステップS27では、サーボゲインを所定値上げる処理を行った後、ステップS28に移行する。
次いで、ステップS28では、サーボゲインが許容上限値を越えたか否かを判別し、許容上限値を越えた場合には、ステップS29に移行して、サーボゲインを所定値下げる処理を行った後、ステップS30に移行する。一方、許容上限値を越えていない場合には、そのままステップS30に移行する。
【0038】
次いで、ステップS30では、試験力を保持中か否かが判別され、試験力を保持中と判別された場合には、ステップS31に移行するが、試験力保持中ではないと判別された場合には、ステップS32に移行する。
ステップS32に移行した場合には、目標の試験力になったか否かが判別され、目標の試験力となっていない場合には、ステップS22に戻って再び処理を繰り返して行うが、目標の試験力となった場合には、ステップS33でタイマーをスタートした後、ステップS22に戻って、ステップS22移行の処理を続行する。
一方、ステップS30の判別の結果、ステップS31に移行した場合、タイマーが保持時間となったか否かが判別され、保持時間となっていない場合には、ステップS22に戻って処理を続行するが、保持時間となった場合には、試験荷重負荷、保持を終了する。
【0039】
そして、前記試験荷重制御動作終了後、圧痕の押込み深さがアーム位置信号としてアーム位置センサ8によって測定され、このアーム位置信号は、増幅器91により増幅され、A/D変換器92によりA/D変換され、演算回路93に出力される。
次いで、演算回路93により、A/D変換されたアーム位置信号は内蔵された演算プログラムに従って演算されて硬さが算出される。算出された硬さデータは、出力回路94を介して所定の出力装置11から出力される。
【0040】
以上説明した本発明に係る圧痕形成機構10およびこの硬さ試験機1によれば、圧子3と試料sを接触させる際、接触の瞬間から荷重アーム4のばね制御を行う。即ち、圧子3に試料sを接触させた後、基準位置からの変位に応じて徐々に圧子3から試料sに荷重が加わるように荷重アーム4の回動を制御する。
【0041】
したがって、圧子3に試料sを接触させる際に、試料sに衝撃を与えることなく、徐々に荷重を与えることができ、接触の瞬間に初試験力を越えた荷重を与えてしまうという問題が解消される。
【0042】
また、荷重アーム4のばね制御に係る動作をサーボモータ61等によって制御するため、種々のばね定数の動作をシミュレートすることができ、実際にばね等の弾性体を用いる場合に比べ、試料sの硬度等、諸条件に応じた適切なばね定数を容易に実現できる。
【0043】
さらに、作業員は、試料台5を上昇させ、圧子3と試料sを接触させる際のハンドル等の操作を従来と同様の感覚で行うだけで、より適切な作業成果を上げることができるため、実質的な操作性の向上が実現できる。
【0044】
なお、上記実施の形態においては、ばね制御を開始するタイミングを圧子3と試料sが接触した瞬間としたが、圧子3と試料sの距離を検出する距離検出手段(距離センサ等)を備え、圧子3と試料sが所定距離接近した時点で、荷重アーム4を適当な速度で回動させることとしてもよい。この場合、圧子3と試料sが接触した瞬間に生じる衝撃を更に緩和することが可能となる。
【0045】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、衝撃緩和手段を備えたため、前記試料と前記圧子の接触時に、前記圧子が前記試料に与える力積を減少することができる。即ち、前記圧子と前記試料が接触する際の衝撃が緩和されるため、接触時に初試験力を越えてしまうという問題を解消できる。
【0046】
請求項2記載の発明によれば、荷重制御手段と移動手段を備えたため、前記試料に圧子の基準位置からの変位に応じた荷重が与えられ、前記試料を手動により移動させる作業員は、従来と同様にハンドル等を操作するだけで、より適切に、試料に所定荷重を与えられる。
【0047】
請求項3記載の発明によれば、距離検出手段を備えたため、前記試料と前記圧子が接触する直前に、一方を他方と同方向に移動させることができ、前記試料と前記圧子の接触の瞬間に、更に衝撃を緩和できる。
【0048】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3の何れかに記載の圧痕形成機構を備えたため、前記試料と前記圧子を接触させる際に、容易に初試験力を越えないように接触できるため、作業効率が向上する。また、接触時に初試験力を越えることがないため、硬さ試験の結果に対する信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硬さ試験機の要部構成を示す側面図である。
【図2】本発明の荷重アーム移動制御部の要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る硬さ算出機構部の要部構成を示すブロック図である。
【図4】オートブレーキ制御動作を示すフローチャートである。
【図5】試験荷重制御動作を示すフローチャートである。
【図6】ばね制御における荷重アーム4の動作を説明する図である。
【図7】圧子と試料が接触する場合の試料に与えられる荷重を示す図であり、(a)は、従来の硬さ試験機の場合、(b)は、硬さ試験機1の場合を示す図である。
【図8】従来の硬さ試験機の要部構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 硬さ試験機
2 本体部
3 圧子
4 荷重アーム
5 試料台
6 荷重アーム作動部
7 板ばね
8 アーム位置センサ
9 硬さ算出部
10 圧痕形成機構部
11 硬さ算出機構部
61 サーボモータ
62 ボールねじ
64 ばね変位量センサ
65 荷重アーム作動制御部
s 試料
Claims (4)
- 試料表面に、圧子により圧痕を形成させることに基づいて試料の材料特性を測定する試験機に用いられる圧痕形成機構であって、
前記試料と前記圧子を接触させる際に、前記圧子と前記試料の一方を他方と同方向に移動制御する衝撃緩和手段を備え、
接触時の力積を減少することによって、前記試料と前記圧子の間に生じる衝撃を緩和することを特徴とする圧痕形成機構。 - 前記衝撃緩和手段は、
前記試料が前記圧子に接触された場合に、前記圧子の基準位置からの変位に応じて、前記試料に与える所定の荷重を算出する荷重制御手段と、
前記荷重制御手段により算出された所定の荷重を前記試料に与えるように、前記圧子を前記試料と同方向に移動させる移動手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の圧痕形成機構。 - 前記衝撃緩和手段は、
前記圧子と前記試料の距離を検出する距離検出手段をさらに備え、
前記圧子と前記試料が所定距離接近した場合に、前記圧子と前記試料の一方を他方と同方向に所定速度で移動制御し、接触時の力積を減少することを特徴とする請求項1または2記載の圧痕形成機構。 - 請求項1〜3の何れかに記載の圧痕形成機構を備えたことを特徴とする硬さ試験機。
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