JP4218340B2 - 高分子化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子化合物の製造方法に関する。本発明によって製造された高分子化合物は、高分子発光素子(高分子LED)などの電子機器に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
主鎖に芳香環を有する高分子化合物は、電子素子用として種々検討されており、例えば、高分子量の発光材料(高分子蛍光体)として用いられるものとして、ポリアリーレン系〔ポリフルオレン(非特許文献1等);ポリパラフェニレン誘導体(非特許文献2等)の高分子化合物、ポリアリーレンビニレン系(非特許文献3等)の高分子化合物が知られている。
これらの高分子化合物の特性の改良等のため、該高分子化合物の芳香環側鎖への置換基の導入が種々検討されている。
芳香環側鎖に置換基を有する高分子化合物を製造するためには、該置換基を有する単量体を合成し、該単量体を重合するのが通常の製造方法であった。
【0003】
【非特許文献1】
ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn.J.Appl.Phys.)第30巻、L1941頁(1991年)
【非特許文献2】
アドバンスト・マテリアルズ(Adv.Mater.)第4巻、36頁(1992年)
【非特許文献3】
WO98/27136号公開明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の製造方法では、芳香環側鎖に複雑な構造の置換基を有する高分子化合物を製造するためには、芳香環側鎖に複雑な置換基を有する単量体の製造が必要であり、その製造が煩雑であった。また、置換基の種類によっては、該単量体の重合が困難な場合があった。
本発明の目的は、主鎖に芳香族環を有し、該芳香環の側鎖に複雑な構造の置換基を有する高分子化合物を簡便に製造しうる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、反応活性基X1、X2、およびYを有する下記一般式(1)で示される単量体を、X1およびX2が互いに反応して結合を生成する条件下で重合させて反応活性基Yを有する重合体を製造し、該反応活性基Yを有する重合体と,反応活性基Yと反応して結合を生成する反応活性基Zを有する化合物とを反応させることにより、主鎖に芳香環を有し、該芳香環の側鎖に複雑な構造の置換基を有する高分子化合物を簡便に製造しうることを見出し本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、下記工程(A)及び(B)を含む高分子化合物の製造方法に係るものである。
工程(A):一般式(1)
X1−Ar1−X2 (1)
〔ここに、X1およびX2はそれぞれ独立に、互いに反応して結合を生成しうる反応活性基を示す。Ar1は、アリーレン基、2価の複素環基または2価の芳香族アミン基を示す。該Ar1は少なくとも1個の反応活性基Yを有する。該反応活性基Yは、実質的にX1およびX2と反応しない反応活性基である。〕
で示される1種類以上の単量体を、X1およびX2が互いに反応して結合を生成する条件下で重合させて、反応活性基Yを有する重合体を製造する工程。
工程(B):工程(A)で製造された反応活性基Yを有する重合体と,反応活性基Yと反応して結合を生成する反応活性基Zを有する化合物とを反応させる工程。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法における工程(A)は、上記一般式(1)で示される1種類以上の単量体を、X1およびX2が互いに反応して結合を生成する条件下で重合させて、反応活性基Yを有する重合体を製造する工程である。
【0008】
本発明で用いる式(1)の単量体において、Ar1は、アリーレン基、2価の複素環基または2価の芳香族アミン基を示す。該Ar1は、少なくとも一個の反応活性基Yを有する。該反応活性基Yは、実質的にX1およびX2と反応しない反応活性基である。該Ar1は、反応活性基Y以外に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、シアノ基等の置換基を有していてもよい。
【0009】
アリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた残りの原子団であり、炭素数は、通常6〜60程度である。炭素数には置換基の炭素数は含まない。ここに芳香族炭化水素には縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものが含まれる。
アリーレン基としては、フェニレン基(例えば、下図の式1〜3)、ナフタレンジイル基(下図の式4〜13)、アントラセニレン基(下図の式14〜19)、ビフェニレン基(下図の式20〜25)、トリフェニレン基(下図の式26〜28)、縮合環化合物基(下図の式29〜38)、スチルベン−ジイル(下図AからD)、ジスチルベン−ジイル(下図E,F)などが例示される。
中でもフェニレン基、ビフェニレン基、フルオレンージイル基(下図の式36〜38)、スチルベン−ジイル(下図AからD)、ジスチルベン−ジイル(下図E,F)が好ましい。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度である。炭素数には置換基の炭素数は含まない。
ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素などのヘテロ原子を環内に含むものをいい、例えば以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として、窒素を含む基;ピリジンージイル基(下図の式39〜44)、ジアザフェニレン基(下図の式45〜48)、キノリンジイル基(下図の式49〜63)、キノキサリンジイル基(下図の式64〜68)、アクリジンジイル基(下図の式69〜72)、ビピリジルジイル基(下図の式73〜75)、フェナントロリンジイル基(下図の式76〜78)など。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(下図の式79〜93)。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基:(下図の式94〜98)が挙げられる。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素環基:(下図の式99〜108)が挙げられる。
ヘテロ原子として硫黄などを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基:(下図の式109〜110)が挙げられる。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基:(下図の式111〜117)が挙げられる。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
2価の芳香族アミン基とは、芳香族アミンから水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度であり、炭素数には置換基の炭素数は含まない。2価の芳香族アミン基としては、例えば、下記一般式(2)で示される基が挙げられる。
【0027】
−Ar3−N(Ar4)−Ar5− (2)
ここで、Ar3およびAr5はそれぞれ独立にアリーレン基、一般式(3)で表される基、または一般式(4)で表される基である。Ar4は、アリール基、一般式(5)で表される基または一般式(6)で表される基を示す。また、Ar3とAr4の間、Ar4とAr5の間、またはAr3とAr5の間に環を形成していてもよい。
【0028】
式中、Ar6およびAr7は、それぞれ独立にアリーレン基を示す。R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。lは0または1である。
【0029】
式中、Ar8およびAr9は、それぞれ独立に、アリーレン基を示す。Ar10は、置換基を有してもよいアリール基である。また、Ar8とAr10の間、Ar8とAr9の間、またはAr9とAr10の間に環を形成していてもよい。
【0030】
式中、Ar11は、アリーレン基を示す。R7およびR8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基であり、また、Ar11とR7の間、Ar11とR8の間、またはR7とR8の間に環を形成していてもよい。
【0031】
(6)
式中、Ar12は、アリーレン基を示す。Ar13は、アリール基を示す。R9およびR10は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基であり、pは0または1である。
【0032】
上記式(3)のAr6、Ar7、式(4)のAr8、Ar9、式(5)のAr11、式(6)のAr12は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、シアノ基等の置換基を有していてもよい。
また上記式(2)のAr4、上記式(4)のAr10、上記式(6)のAr13はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、シアノ基等の置換基を有していてもよい。
【0033】
また上記式(3)、(5)、(6)において、R5〜R10はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環化基またはシアノ基を示す。
【0034】
2価の芳香族アミン基として、具体的には以下の基が例示される。
【0035】
式(1)の単量体におけるAr1は、上記のアリーレン基、2価の複素環基または2価の芳香族アミン基であり、少なくとも1個の反応活性基Yを有するものである。Ar1においては、上記式1〜121中のRは、それぞれ独立に、反応活性基Y、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基またはシアノ基を示し、1つ以上は反応活性基Yである。上記の例において、1つの構造式中に複数のRを有しているが、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
アルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、 i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基などが挙げられ、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
【0037】
アルコキシ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、 i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、 i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基などが挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
【0038】
アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、 i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、 i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基などが挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0039】
アルキルシリル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜60程度であり、具体的には、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、 i−プロピルシリル基、ブチルシリル基、i−ブチルシリル基、t−ブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、シクロヘキシルシリル基、ヘプチルシリル基、オクチルシリル基、2−エチルヘキシルシリル基、ノニルシリル基、デシルシリル基、3,7−ジメチルオクチルシリル基、ラウリルシリル基、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、 i−プロピルジメチルシリル基、ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基などが挙げられ、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、2−エチルヘキシルシリル基、デシルシリル基、3,7−ジメチルオクチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基が好ましい。
【0040】
アルキルアミノ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、モノアルキルアミノ基でもジアルキルアミノ基でもよく、炭素数は通常1〜40程度であり、具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、 i−プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、 i−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基などが挙げられ、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基が好ましい。
【0041】
アリール基は、炭素数は通常6〜60程度であり、具体的には、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが例示され、 C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
【0042】
アリールオキシ基は、炭素数は通常6〜60程度であり、具体的には、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが例示され、 C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
【0043】
アリールアルキル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0044】
アリールアルコキシ基は、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0045】
アリールアミノ基は、炭素数は通常6〜60程度であり、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基などが例示され、C1〜C12アルキルフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基が好ましい。
【0046】
アリールアルケニル基としては、炭素数は通常8〜60程度であり、具体的には、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基が好ましい。
【0047】
アリールアルキニル基としては、炭素数は通常8〜60程度であり、具体的には、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0048】
1価の複素環基は、炭素数は通常4〜60程度であり、具体的には、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基などが例示され、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいう。
【0049】
本発明の方法により製造される高分子化合物の溶媒への溶解性を高めるためには、Rを含めた繰り返し単位の形状の対称性が少ないことが好ましく、Rのうちの1つ以上に環状または分岐のあるアルキル鎖が含まれることが好ましい。また、複数のRが連結して環を形成していてもよい。 Rの例のうち、アルキル鎖を含む置換基においては、それらは直鎖、分岐または環状のいずれかまたはそれらの組み合わせであってもよい。直鎖でない場合、例えば、イソアミル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロヘキシル基、4−C1〜C12アルキルシクロヘキシル基などが例示される。Rがアルキル鎖を含む基の場合は、該アルキル鎖は、ヘテロ原子を含む基で中断されていてもよい。ここに、ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが例示される。ヘテロ原子を含む基としては、例えば、以下の基が挙げられる。
【0050】
【0051】
ここで、R’としては、例えば、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜60のアリール基、炭素数4〜60の1価の複素環基が挙げられる。
【0052】
次に上記式(1)の単量体における反応活性基X1、X2およびYについて説明する。
式(1)の単量体における反応活性基X1およびX2はそれぞれ独立に、互いに反応して結合を生成しうる反応活性基を示す。反応活性X1およびX2はX1同士、X2同士、またはX1とX2の間で互いに反応して結合を生成しうるものであれば特に限定されず、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、−B(OR11)2(ここに、R11は、水素原子またはアルキル基である。)、アシル基、−CHR12−P(=O)(OR13)2(ここに、R12は、水素原子またはアルキル基である。R13は、アルキル基またはアリール基である。)で表される基、−CHR14−P+(R15)3X-(ここに、R14は、水素原子またはアルキル基である。R15は、アルキル基またはアリール基である。Xは、ハロゲン原子である。)で表される基、水酸基またはアミノ基等があげられる。
【0053】
上記式(1)におけるX1、X2において、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、よう素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましく、臭素原子が特に好ましい。
アルキルスルホニルオキシ基は、フッ素原子で置換されていてもよく、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
アリールスルホニルオキシ基はアルキル基で置換されていてもよく、フェニルスルホニルオキシ基、トリルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0054】
−B(OR11)2で示される基において、R11は、水素原子またはアルキル基である。アルキル基としては、炭素数は、通常1〜20程度であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などが挙げられる。また、アルキル基どうしは、つながって環を形成していてもよい。
【0055】
−B(OR11)2で示される基として、具体的には、
が挙げられ、
が好ましい。
【0056】
アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、ベンジルカルボニル基などが挙げられ、ホルミル基、ベンゾイル基が好ましい。
【0057】
−CHR12−P(=O)(OR13)2で表される基において、R12は、水素原子またはアルキル基であり、R13は、アルキル基またはアリール基である。
R12におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などが好ましい。R13におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基が好ましい。
−CHR12−P(=O)(OR13)2で表される基としては、ジメトキシホスホニルメチル基、ジエトキシホスホニルメチル基、ジブトキシホスホニルメチル基、1−(ジメトキシホスホニル)エチル基、1−(ジエトキシホスホニル)エチル基などが例示される。
【0058】
−CHR14−P+(R15)3X-で表される基において、R14は、水素原子またはアルキル基である。R15は、アルキル基またはアリール基である。Xは、ハロゲン原子である。
R14におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などが好ましい。R15におけるアルキル基としては、メチル基、エチル、プロピル基、ブチル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基が好ましい。Xとしては、塩素原子、臭素原子が好ましい。
−CHR14−P+(R15)3X-で表される基としては、
などが例示される。
【0059】
反応活性基X1、X2で、互いに反応して結合を生成する組み合わせとしては、例えば、下表1の組み合わせが挙げられる。
【0060】
【表1】
【0061】
反応活性基Yとしては、工程(A)で、X1およびX2が互いに反応して結合を生成する条件で実質的にX1およびX2と反応しないものであればよく、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、−B(OR11)2(ここに、R11は、水素原子またはアルキル基である。)、アシル基、−CHR12−P(=O)(OR13)2(ここに、R12は、水素原子またはアルキル基である。R13は、アルキル基またはアリール基である。)で表される基、−CHR14−P(R15)3 +X-(ここに、R14は、水素原子またはアルキル基である。R15は、アルキル基またはアリール基である。Xは、ハロゲン原子である。)で表される基、水酸基、アミノ基等があげられる。
反応活性基Yとしては、合成の容易さからは、ホルミル基、−CHR12−P(=O)(OR13)2、ハロゲン原子が好ましい。
【0062】
反応活性基X1、X2と反応活性基Yとの組み合わせとしては、例えば上表1に記載の組み合わせが挙げられる。
【0063】
中でも、上記X1およびX2が、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、または−B(OR11)2の場合は、上記反応活性基Yは、アシル基または−CHR12−P(=O)(OR13)2で表される基、水酸基またはアミノ基が好ましく、アシル基または−CHR12−P(=O)(OR13)2で表される基がより好ましい。
また、上記X1およびX2がそれぞれ独立にアシル基、−CHR12−P(=O)(OR13)2または−CHR14−P+(R15)3X-の場合は、上記反応活性基Yは、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、−B(OR11)2であることが好ましい。
【0064】
反応活性基Yを有する重合体を合成する反応方法(X1およびX2が互いに反応して結合を生成する条件)は、合成の際に反応活性基Yを反応分解しない反応方法であれば特に限定されず、例えば、上記表1に記載したものが挙げられる。
好ましくは、Wittig反応、Horner−Wadsworth−Emmons反応、McMurry反応、Suzuki反応、Ni(0)を用いた反応等があげられる。
【0065】
工程(A)においては、上記一般式(1)の単量体に加えて、さらに他の単量体を用いてもよい。他の単量体としては、(1)の単量体と反応して重合可能なものを適宜選択できるが、下記一般式(7)
X3−Ar14−X4 (7)
の単量体を用いることが好ましい。式(7)の単量体は2種類以上用いてもよい。 これにより、 反応活性基Yを有する重合体として、Ar1と、Ar14からなる共重合体を得ることができる。
【0066】
上記式(7)における反応活性基X3、X4は、それぞれ独立に、互いに反応して結合を生成しうる反応活性基を示す。X3、X4は、X1、X2と同様の反応活性基であり、好ましい反応活性基Yの組み合わせも、X1、X2と同様である。
本発明の式(7)の単量体において、Ar14はアリーレン基、2価の複素環基または2価の芳香族アミン基を示す。但し該Ar14は反応活性基Yを有しない。Ar14の具体例としては前記Ar1の具体例と同じ構造のもので、反応活性基Yを有しないものがあげられる。該Ar14は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、シアノ基等の置換基を有していてもよい。
【0067】
中でも、一般式(1)および(7)で示される単量体のX1、X2、X3およびX4のうち、1つ以上が−B(OR11)2 で表される基であり、1つ以上がハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基であり、一般式(1)および(7)で示される単量体をPd(0)触媒の存在下反応させることが好ましい。
また、一般式(1)および(7)で示される単量体のX1、X2、X3およびX4がハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、またはアリールスルホニルオキシ基であり、一般式(1)および(7)で示される単量体をNi(0)の存在下で反応させることが好ましい。
【0068】
本発明の工程(A)で製造される反応活性基Yを有する重合体は、典型的には、重合度が4以上であり、好ましくは5〜50000、さらに好ましくは10〜10000である。
【0069】
また、式(1)の単量体において、反応活性基Yのかわりに、反応活性基Yを保護基にて保護した基Y’を有する単量体を重合させて、基Y’を有する重合体を製造し、該重合体を脱保護して反応活性基Yを有する重合体を製造することもできる。
【0070】
次に本発明の製造方法における工程(B)について説明する。
本発明の製造方法における工程(B)は、上記工程(A)で製造された反応活性基Yを有する重合体と、該反応活性基Yと反応して結合を生成する反応活性基Zを有する化合物とを反応させる工程である。
【0071】
反応活性基Zは反応活性基Yと反応して結合を生成するものであれば特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、−B(OR11)2、アシル基、−CHR12−P(=O)(OR13)2で表される基、または−CHR14−P+(R15)3X-で表される基等があげられる。反応活性基YとZとの組み合わせ、反応方法については、例えば、下記表2に示されるものが挙げられる。
【0072】
【表2】
【0073】
反応活性基YとZの反応に用いる反応方法としては、 Wittig反応による反応、Horner−Wadsworth−Emmons法による反応、Knoevenagel反応による反応、Suzukiカップリング反応により反応する方法が、構造制御がしやすいので好ましい。
【0074】
本発明の製造方法においては、反応活性基YとZとが反応することによって、生成する結合の種類は特に限定されず、共有結合、イオン結合、配位結合が挙げられる。イオン結合の例としては例えば、反応活性基Yを有する重合体が反応活性基Yとして、カルボキシル基、スルホン酸基、りん酸残基等を有する場合には、該基と有機アミンがイオン結合により結合して塩を生成しうる。また、配位結合の例としては、金属錯体の生成による方法が例示される。例えば、反応活性基Yを有する重合体が反応活性基Yとして、配位子となる基を有する場合には、該基と金属化合物が配位結合により結合し得る。
共有結合としては、直接結合、単結合、二重結合、三重結合、エステル結合、アミド結合等が挙げられ、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、アリール−アリール直接結合などが好ましく、炭素−炭素二重結合がより好ましい。
また反応活性基Yと反応活性基Zとが反応して生成する結合により共役系が延長されることが好ましい。
【0075】
反応活性基Zを有する化合物とは、芳香族炭化水素化合物、複素環化合物、芳香族アミン化合物等の芳香族化合物であって、1つ以上の反応活性基Zを有するものである。反応活性基Zを有する化合物としては、下記式(9)または(10)で示される化合物が好ましい。
Z−(Ar18)m−Z (9)
〔ここで、Ar18は、アリーレン基、2価の複素環基または2価の芳香族アミン基を示す。mは、1以上の整数である。Ar18が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
Ar19−Z (10)
〔ここで、Ar19は、アリ−ル基、1価の複素環基または1価の芳香族アミン基を示す。〕
【0076】
前記式(9)において、Ar18は、アリ−ル基、1価の複素環基または1価の芳香族アミン基を示し、中でもフェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレンジイル基、フルオレンージイル基、スチルベン−ジイル、ジスチルベン−ジイル、ピリジンージイル基、キノリンジイル基(上図の式49〜63)、キノキサリンジイル基、ビピリジルジイル基(上図の式73〜75)、フェナントロリンジイル基、上図の式79〜90、94〜97、116〜117の複素環基、上図の式118〜119の芳香族アミン基などが好ましい。mは、1以上の整数であり、5000以下が好ましい。
【0077】
前記式(10)においてAr19は、アリール基、1価の複素環基または1価の芳香族アミン基である。該Ar19は、反応活性基Zのほかに、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基などがあげられる。
ここで、アリール基とは、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団であり、炭素数は通常6〜60程度である。炭素数には置換基の炭素数は含まない。ここに芳香族炭化水素とは、芳香族化合物の母体となる炭化水素であって、ベンゼン環を含む炭化水素をいい、縮合環をもつもの、2個以上の独立したベンゼン環または縮合環が直接又はビニレン等の基を介して結合したものが含まれる。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ピレニル基、フルオレニル基などが例示される。中でもフェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基が好ましい。
【0078】
また、1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常2〜60程度である。
1価の複素環基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として、窒素を含む1価の複素環基;ピリジニル基、ジアザフェニル基、キノリニル基、キノキサリニル基、アクリジニル基、ビピリジニル基、フェナントロリンーイル基など。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(上図の式、79〜93で示された環を有する基)、
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基(上図の式、94〜98で示された環を有する基)ヘテロ原子として、けい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素環基(上図の式、99〜108で示された環を有する基)。
ヘテロ原子として硫黄などを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基(上図の式、109〜110で示された環を有する基)。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基(上図の式、111〜117で示された環を有する基)。
中でも、ピリジニル基、キノリニル基、キノキサリニル基、ビピリジニル基、フェナントロリンーイル基、ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基、(上図の式、79〜93で示された環を有する基)、
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基(上図の式、94〜98で示された環を有する基)
ヘテロ原子として硫黄などを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基(上図の式、109〜110で示された環を有する基)。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基(上図の式、111〜117で示された環を有する基)が好ましい。
【0079】
また、1価の芳香族アミン基とは、芳香族アミンから水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度であり、炭素数には置換基の炭素数は含まない。例えば、前記式(2)で示される芳香族環を有するアミン化合物で、具体的には、上図の式118〜121で示された芳香族環を有するアミン化合物が例示される。上図の式118〜119で示された芳香族環を有するアミン化合物が好ましい。
【0080】
本発明の工程(B)で生成した重合体が反応活性基を有する場合には該重合体をさらに該反応活性基と反応する反応活性基を有する化合物と反応させてもよい。
【0081】
本発明の製造方法において、式(1)の単量体等の反応活性基を有する化合物は、一括混合して反応させてもよいし、必要に応じ、分割して混合してもよい。これらの反応活性基を有する化合物を、必要に応じ、有機溶媒に溶解し、例えばアルカリや適当な触媒を用い、有機溶媒の融点以上沸点以下で、反応させることができる。有機溶媒としては、用いる化合物や反応によっても異なるが、一般に副反応を抑制するために、用いる溶媒は十分に脱酸素処理を施し、不活性雰囲気化で反応を進行させることが好ましい。また、同様に脱水処理を行うことが好ましい。(但し、Suzukiカップリング反応のような水との2相系での反応の場合にはその限りではない。)反応させるために適宜アルカリや適当な触媒を添加する。これらは用いる反応に応じて選択すればよい。該アルカリまたは触媒は、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。アルカリまたは触媒を混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素などの不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリまたは触媒の溶液を添加するか、逆にアルカリまたは触媒の溶液に反応液をゆっくりと添加する方法が例示される。
【0082】
より具体的に、反応条件について述べる。
Wittig反応、Horner反応、Knoevengel反応などの場合は、化合物の官能基に対して当量以上、好ましくは1〜3当量のアルカリを用いて反応させる。アルカリとしては、特に限定されないが、例えば、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、ナトリウムエチラート、リチウムメチラートなどの金属アルコラートや、水素化ナトリウムなどのハイドライド試薬、ナトリウムアミド等のアミド類等を用いることができる。溶媒としては、 N、N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン等が用いられる。反応の温度は、通常は室温から150℃程度で反応を進行させることができる。反応時間は、例えば、5分間〜40時間であるが、十分に重合が進行する時間であればよく、また反応が終了した後に長時間放置する必要はないので、好ましくは10分間〜24時間である。反応の際の濃度は、希薄すぎると反応の効率が悪く、濃すぎると反応の制御が難しくなるので、約0.01wt%〜溶解する最大濃度の範囲で適宜選択すればよく、通常は、0.1wt%〜30wt%の範囲である。Wittig反応については、“オルガニック リアクションズ(Organic Reactions)”,第14巻,270−490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年等に記載されている。また、Knoevenagel,Wittig,脱ハロゲン化水素反応については、マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Makromol.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)に記載されている。
【0083】
Heck反応の場合は、パラジウム触媒を用い、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、モノマーを反応させる。N、N−ジメチルホルムアミドやN−メチルピロリドンなどの比較的沸点の高い溶媒を用い、反応温度は、80〜160℃程度、反応時間は、1時間から100時間程度である。Heck反応については、例えば、ポリマー(Polymer),第39巻,5241−5244頁(1998年)に記載されている。
【0084】
Suzuki反応の場合は、触媒として、例えばパラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類などを用い、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム等の無機塩基、トリエチルアミン等の有機塩基、フッ化セシウムなどの無機塩をモノマーに対して当量以上、好ましくは1〜10当量加えて反応させる。無機塩を水溶液として、2相系で反応させてもよい。溶媒としては、 N、N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどが例示される。溶媒にもよるが50〜160℃程度の温度が好適に用いられる。溶媒の沸点近くまで昇温し、環流させてもよい。反応時間は1時間から200時間程度である。
Suzuki反応については、例えば、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)等に記載されている。
【0085】
ゼロ価ニッケル錯体を用いた場合について説明する。ニッケル錯体としては、ゼロ価ニッケルをそのまま使う方法と、ニッケル塩を還元剤の存在下で反応させ、系内でゼロ価ニッケルを生成させ、反応させる方法がある。
ゼロ価ニッケル錯体としては、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケルなどが例示され、中でも、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)が、汎用性で安価という観点で好ましい。
また、中性配位子を添加することが、収率向上の観点から好ましい。
ここに、中性配位子とは、アニオンやカチオンを有していない配位子であり、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、メチレンビスオキサゾリン、N,N‘−テトラメチルエチレンジアミン等の含窒素配位子;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェノキシホスフィン等の第三ホスフィン配位子などが例示され、汎用性、安価の点で含窒素配位子が好ましく、2,2’−ビピリジルが高反応性、高収率の点で特に好ましい。 特に、重合体の収率向上の点から、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を含む系に中性配位子として2,2’−ビピリジルを加えた系が好ましい。系内でゼロ価ニッケルを反応させる方法においては、ニッケル塩として塩化ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。還元剤としては、亜鉛,水素化ナトリウム,ヒドラジンおよびその誘導体、リチウムアルミニウムハイドライドなどが上げられ、必要に応じて添加物として、よう化アンモニウム、よう化リチウム、よう化カリウム等が用いられる。
重合溶媒としては、重合を阻害しないものであれば特に限定されず、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒などが挙げられる。
ここに芳香族炭化水素系溶媒とは、芳香族炭化水素化合物からなる溶媒であり、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ブチルベンゼン、ナフタリン、テトラリン、等が挙げられ、トルエン、キシレン、テトラリン、テトラメチルベンゼンが好ましい。
また、エーテル系溶媒とは、酸素原子で炭化水素基が結合した化合物からなる溶媒であり、例えば、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等が挙げられ、高分子化合物に対する良溶媒である、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが好ましい。これらは混合して用いても良い。
例えば、重合反応は、通常アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下、テトラヒドロフラン溶媒中、60℃の温度で、ゼロ価のニッケル錯体、中性配位子の存在下行われる。
重合時間は、通常0.5〜100時間程度であるが、製造コストの点から、10時間以内が好ましい。
重合温度は、通常0〜200℃程度であるが、高収率、低加熱費の点から、20〜100℃が好ましい。
ニッケル触媒を用いる場合については、例えばプログレッシブ ポリマー サイエンス(Prog.Polym.Sci.),第17巻,1153−1205頁,1992年、に記載されている。
【0086】
反応終了後、そのまま次に反応に用いてもよいが、反応終了後、重合体を、必要に応じ、酸洗浄、アルカリ洗浄、中和、水洗浄、有機溶媒洗浄、再沈殿、遠心分離、抽出、カラムクロマトグラフィーなどの慣用の分離操作、精製操作、乾燥その他の操作に供してもよい。次の反応の収率向上の観点から、分離操作、精製操作、乾燥を行うほうが好ましい。
【0087】
本発明の製造方法の工程(A)で製造される反応活性基Yを有する重合体は、典型的には、ポリスチレン換算重量平均分子量が、103〜108であり、好ましくは、5x103〜5x107であり、ポリスチレン換算数平均分子量が、103〜107であり、好ましくは、2x103〜5x106である
【0088】
本発明の製造方法の工程(A)で製造される反応活性基Yを有する重合体は、式(1)で示される繰り返し単位−Ar1−の合計が全繰り返し単位の0.5モル%以上100モル%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、2モル%以上100モル%以下である。
【0089】
本発明の製造方法の工程(A)で製造される反応活性基Yを有する重合体は、式(1)で示される繰り返し単位−Ar1−および式(7)で示される繰り返し単位−Ar14−の合計が該重合体が有する全繰り返し単位の50モル%以上であり、かつ式(1)で示される繰り返し単位−Ar1−および式(7)で示される繰り返し単位−Ar14−の合計に対して、式(1)で示される繰り返し単位−Ar1− が、2モル%以上90モル%以下であることが好ましい。
【0090】
また、本発明の製造方法の工程(A)で製造される反応活性基Yを有する重合体は、式(1)で示される繰り返し単位−Ar1−および式(7)で示される繰り返し単位−Ar14−以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。また、繰り返し単位が、ビニレンや非共役部分で連結されていてもよいし、繰り返し単位にそれらのビニレンや非共役部分が含まれていてもよい。上記非共役部分を含む結合構造としては、以下に示すもの、以下に示すものとビニレン基を組み合わせたもの、および以下に示すもののうち2つ以上を組み合わせたものなどが例示される。ここで、Rは前記のものと同じ置換基から選ばれる基であり、Arは炭素数6〜60個の炭化水素基を示す。
【0091】
【0092】
また、本発明の製造方法の工程(A)で製造される反応活性基Yを有する重合体は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーも含まれる。
【0093】
本発明の製造方法の工程(A)で製造される反応活性基Yを有する重合体の反応活性基Yは、工程(B)の反応活性基Xと反応するものであれば特に限定されないが、つくりやすさから考えると、アシル基、−CHR12−P(=O)(OR13)2、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、−B(OR11)2で表される基、または−CHR14−P+(R15)3X-で表される基、水酸基またはアミノ基であることが好ましい。アシル基、−CHR12−P(=O)(OR13)2、ハロゲン原子が、より好ましい。
【0094】
本発明の製造方法で製造される高分子化合物は、通常固体状態で蛍光を有し、典型的には、ポリスチレン換算重量平均分子量が、103〜108であり、好ましくは、5x103〜5x107であり、ポリスチレン換算数平均分子量が、103〜107であり、好ましくは、2x103〜5x106である
【0095】
また、本発明の製造方法で製造される高分子化合物は、蛍光特性や電荷輸送特性を損なわない範囲で、繰り返し単位が、ビニレンや非共役部分で連結されていてもよいし、繰り返し単位にそれらのビニレンや非共役部分が含まれていてもよい。上記非共役部分を含む結合構造としては、以下に示すもの、以下に示すものとビニレン基を組み合わせたもの、および以下に示すもののうち2つ以上を組み合わせたものなどが例示される。ここで、Rは前記のものと同じ置換基から選ばれる基であり、Arは炭素数6〜60個の炭化水素基を示す。
【0096】
【0097】
また、本発明の製造方法で製造される高分子化合物は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。蛍光の量子収率の高い高分子蛍光体を得る観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーも含まれる。
【0098】
本発明の製造方法で得られる高分子化合物を高分子LEDの発光材料(高分子蛍光体)として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、分離、精製を十分行い、未反応モノマー、副生成物、触媒残渣などを十分除いておくことが好ましい。乾燥の際には、残存する溶媒が十分に除去される条件であればよい。高分子化合物の変質を防止するために、不活性な雰囲気で遮光して乾燥することが好ましい。また、高分子化合物が熱的に変質しない温度で乾燥することが好ましい。
【0099】
また、本発明の方法で製造された高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていてもよい。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、また、例えば、ビニレン基を介してアリール基または複素環基と結合している構造であってもよい。具体的には、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基等が例示される。
該高分子化合物に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、デカリン、n−ブチルベンゼン、ジオキサンなどが例示される。高分子化合物の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0100】
本発明の方法で製造された高分子化合物は、高分子発光素子(高分子LED)に好適に用いることができる。
高分子LEDの構造としては、少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に発光層を有しており、本発明の製造方法で得られた高分子化合物が、該発光層中に含まれる。
【0101】
高分子LEDとしては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた高分子LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED等が挙げられる。
【0102】
例えば、具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0103】
ここで、発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。
発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
【0104】
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
【0105】
さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
【0106】
電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
【0107】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5S/cm以上103S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5S/cm以上102S/cm以下がより好ましく、10-5S/cm以上101S/cm以下がさらに好ましい。
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10-5S/cm以上103S/cm以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
【0108】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0109】
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
【0110】
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
【0111】
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
【0112】
高分子LED作成の際に、本発明の製造方法で得られた、これらの有機溶媒可溶性の高分子化合物を用いることにより、溶液から成膜する場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去するだけでよく、また電荷輸送材料や発光材料を混合した場合においても同様な手法が適用でき、製造上非常に有利である。溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0113】
発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0114】
高分子LEDにおいては、発光層に本発明の製造方法で得られた上記高分子化合物以外の発光材料を混合して使用してもよい。また、本願発明の高分子LEDにおいては、上記高分子化合物以外の発光材料を含む発光層が、上記高分子化合物▲7▼を含む発光層と積層されていてもよい。
該発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などを用いることができる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
【0115】
高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0116】
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合またはラジカル重合によって得られる。
【0117】
ポリシランもしくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
【0118】
ポリシロキサンもしくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖または主鎖に有するものが例示される。
【0119】
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0120】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0121】
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0122】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
【0123】
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0124】
高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。
【0125】
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0126】
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0127】
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
【0128】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料および/または高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0129】
溶液または溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0130】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリシロキサンなどが例示される。
【0131】
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0132】
高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。
【0133】
高分子LEDにおいて、陽極側が透明または半透明であることが好ましいが、該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0134】
高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、およびそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0135】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。
【0136】
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にダメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
【0137】
高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【0138】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、重量平均分子量、数平均分子量については、クロロホルムを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算の平均分子量を求めた。
【0139】
実施例1
<工程(A)>
2,5−ジブロモ−3−(ブロモメチル)ベンゼンと亜りん酸トリエチルとを反応させて得たホスホン酸エステル0.29g(0.75ミリモル)と1,4−ジブロム−2−メトキシー5−イソアミルオキシベンゼン1.9g(5.3ミリモル)と2,2’−ビピリジル2.2g(14ミリモル)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)160mlを加えた。次に、この溶液に、ゼロ価ニッケル錯体{ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)}4.0g(14ミリモル)を室温で加えて、約10分間攪拌した後、60℃で3時間反応させた。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。次に、この重合液を冷却した後、メタノール100ml/イオン交換水200ml混合溶液を加え、約1時間攪拌した。次に、この重合液をろ過して、沈殿物を回収し、減圧乾燥した後、この沈殿物をトルエンに溶解させた。次に、この溶液をろ過して、不溶物を除去した後、この溶液をメタノール中に注ぎ込んだ。再沈により生成した沈殿をろ過し、回収した。この沈殿をエタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.2gを得た。得られた重合体を、重合体1と呼ぶ。重合体1のポリスチレン換算重量平均分子量は、7.6x104であり、数平均分子量は、3.2x104であった。
仕込み単量体から予想される重合体1の構造に含まれる単位は以下のとおりである。
【0140】
<工程(B):高分子化合物1の合成>
上記重合体1を0.2gと4−n−ヘキシルオキシベンズアルデヒド0.1g(0.5ミリモル)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)50mlを加えた。次に、この溶液に、あらかじめカリウムーtert.−ブトキシド0.1gを、アルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)5mlに溶解した溶液を、室温で、およそ5分間かけて滴下した。引き続き室温で2時間反応させた。
反応後、酢酸を加え中和した後、この溶液をメタノール中にそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿をエタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.15gを得た。
得られた重合体を高分子化合物1と呼ぶ。
高分子化合物1のポリスチレン換算重量平均分子量は、8.0x104であり、数平均分子量は、3.2x104であった。
仕込み単量体から予想される高分子化合物1の構造に含まれる単位は以下のとおりである。
【0141】
実施例2
<工程(A)>
9,9−ジオクチルー2,7−ジブロモフルオレン2.1g(3.8ミリモル)と9,9−ジイソアミルー2,7−ジブロモフルオレン0.7g(1.5ミリモル)と4−{N,N−ビス(4−ブロモフェニル)アミノ}ベンズアルデヒド0.93g(2.2ミリモル)と2,2’―ビピリジル2.75g(17.6ミリモル)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)200mlを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を5.0g(18.2ミリモル)加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。反応後、この溶液を冷却した後、メタノール150ml/イオン交換水150ml混合溶液をそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を乾燥した後、トルエンに溶解した。この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、この溶液をメタノール中にそそぎ込み、再沈して、生成した沈殿を回収した。この沈殿を減圧乾燥して、重合体1.1gを得た。この重合体を重合体2と呼ぶ.得られた重合体2のポリスチレン換算重量平均分子量は、4.3x105であり、数平均分子量は、8.9x104であった。
仕込み単量体から予想される重合体2の構造に含まれる単位は以下のとおりである。
【0142】
<工程(B):高分子化合物2の合成>
4−t−ブチルベンジルクロライドと亜りん酸トリエチルとを反応させて得たホスホン酸エステル0.3g(1.1ミリモル)と実施例2で得られた重合体2(0.3g)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)50mlを加えた。次に、この溶液に、あらかじめカリウムーtert.−ブトキシド0.3gを、アルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)5mlに溶解した溶液を、室温で、およそ5分間かけて滴下した後、引き続き室温で2時間反応させた。
反応後、酢酸を加え中和した後、この溶液をメタノール中にそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿をエタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体を得た。次に、この重合体をトルエンに溶解した。この溶液をシリカゲルカラムを通し、精製した後、この溶液をメタノール中ににそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿をエタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.15gを得た。 得られた重合体を高分子化合物2と呼ぶ。
高分子化合物2のポリスチレン換算重量平均分子量は、3.4x105であり、数平均分子量は、1.3x105であった。
仕込み単量体から予想される高分子化合物2の構造に含まれる単位は以下のとおりである。
【0143】
【0144】
実施例3
<工程(A)>
9,9−ジオクチルー2,7−ジブロモフルオレン2.7g(4.9ミリモル)と9,9−ジイソアミルー2,7−ジブロモフルオレン0.87g(1.9ミリモル)と4−{N,N−ビス(4−ブロモフェニル)アミノ}ベンズアルデヒド0.31g(0.7ミリモル)と2,2’―ビピリジル2.75g(17.6ミリモル)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)200mlを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を5.0g(18.2ミリモル)加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。反応後、この溶液を冷却した後、メタノール150ml/イオン交換水150ml混合溶液をそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を乾燥した後、トルエンに溶解した。この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、この溶液をメタノール中にそそぎ込み、再沈して、生成した沈殿を回収した。この沈殿を減圧乾燥して、重合体1.3gを得た。この重合体を重合体3と呼ぶ。得られた重合体3のポリスチレン換算重量平均分子量は、2.2x105であり、数平均分子量は、9.9x104であった。
仕込み単量体から予想される重合体3の構造に含まれる単位は以下のとおりである。
【0145】
【0146】
<重合体4の合成>
4−ブロモー3−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)ベンジルクロライドと亜りん酸トリエチルとを反応させて得たホスホン酸エステル1.4g(3.0ミリモル)とN,N‘−ジフェニルーN,N’−ジ(3−メチルー4−ブロムフェニル)ベンジジン9.13g(13.5ミリモル)と2,2’―ビピリジル5.5g(35.2ミリモル)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)400mlを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を10.0g(36.4ミリモル)加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で6時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。反応後、この溶液を冷却した後、メタノール300ml/イオン交換水300ml混合溶液をそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を乾燥した後、トルエンに溶解した。この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、この溶液をメタノール中にそそぎ込み、再沈して、生成した沈殿を回収した。この沈殿を減圧乾燥して、重合体4.0gを得た。この重合体を重合体4と呼ぶ.
得られた重合体4のポリスチレン換算重量平均分子量は、1.0x104であり、数平均分子量は、6.3x103であった。
仕込み単量体から予想される重合体4の構造は以下のとおりである。(ただし、tは、零以上の整数を示す。
【0147】
<工程(B):高分子化合物3の合成>
上記重合体3を0.3gと、重合体4を0.2gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)50mlを加えた。次に、この溶液に、あらかじめカリウムーtert.−ブトキシド0.1gを、アルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)5mlに溶解した溶液を、室温で、およそ5分間かけて滴下した後、引き続き室温で2時間反応させた。
反応後、酢酸を加え中和した後、この溶液をメタノール中にそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿をエタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.5gを得た。
得られた重合体を高分子化合物3と呼ぶ。
仕込み単量体から予想される高分子化合物3の構造に含まれる単位は以下のとおりである。
【0148】
【0149】
【0150】
実施例4
<工程(A)>
9、9−ジオクチルフルオレン−2、7−ビス(エチレンボロネート)1.3g(2.4ミリモル)と4−{N,N−ビス(4−ブロモフェニル)アミノ}ベンズアルデヒド1.0g(2.4ミリモル)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したトルエン40mlを加えた。次に、あらかじめ、不活性雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム52mgを、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したトルエン4.0gに溶解した溶液を1ml加え、室温で約10分間攪拌した。次に、この溶液に、あらかじめ、アルゴンガスでバブリングして、脱気した、20%テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液10mlを加えた後、100℃で3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、この溶液を室温まで冷却した後、分離した有機層を回収し、メタノール中に注ぎ込み、約1時間攪拌した。次に、析出した沈殿を濾別した。得られた沈殿をエタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体1.1gを得た。この重合体を重合体5と呼ぶ。
得られた重合体5のポリスチレン換算重量平均分子量は、6.3x104であり、数平均分子量は、2.3x104であった。
仕込み単量体から予想される重合体5の構造に含まれる単位は以下のとおりである。
【0151】
<工程(B):高分子化合物4の合成>
上記重合体5を0.64gと2,5−ジ(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−4−ブロモベンジルクロライドと亜りん酸トリエチルとを反応させて得たホスホン酸エステル0.68g(1ミリモル)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)50mlを加えた。次に、この溶液に、あらかじめカリウムーtert.−ブトキシド0.34gを、アルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)5mlに溶解した溶液を、室温で、およそ5分間かけて滴下した後、引き続き室温で1時間反応させた。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、酢酸を加え中和した後、この溶液をメタノール中にそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿をメタノール/イオン交換水混合溶媒で洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.5を得た。得られた重合体を高分子化合物4と呼ぶ。
得られた高分子化合物4のポリスチレン換算重量平均分子量は、7.4x104であり、数平均分子量は、3.8x104であった。
仕込み単量体から予想される高分子化合物4の構造に含まれる単位は以下のとおりである。
【0152】
実施例5
<工程(A):高分子化合物5の合成>
前記重合体3を0.5gと2,5−ジ(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−4−ブロモベンジルクロライドと亜りん酸トリエチルとを反応させて得たホスホン酸エステル0.27g(0.4ミリモル)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)50mlを加えた。次に、この溶液に、あらかじめカリウムーtert.−ブトキシド0.17gを、アルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)5mlに溶解した溶液を、室温で、およそ5分間かけて滴下した後、引き続き室温で1時間反応させた。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、酢酸を加え中和した後、この溶液をメタノール中にそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿をメタノール/イオン交換水混合溶媒で洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.5を得た。得られた重合体を高分子化合物5と呼ぶ。
得られた高分子化合物5のポリスチレン換算重量平均分子量は、2.4x105であり、数平均分子量は、1.1x105であった。
仕込み単量体から予想される高分子化合物5の構造に含まれる単位は以下のとおりである。
【0153】
実施例6
<高分子化合物6の合成>
実施例5で得られた高分子化合物5を0.2gと4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニルボロニックアシッド0.1g(0.35ミリモル)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したトルエン40mlを加えた。次に、あらかじめ、不活性雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム52mgを、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したトルエン4.0gに溶解した溶液を1ml加え、室温で約10分間攪拌した。次に、この溶液に、あらかじめ脱気した、20%テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液5mlを加えた後、100℃で2時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、この溶液を室温まで冷却した後、メタノール/イオン交換水混合溶液を加え、約1時間攪拌した後、静置した。次に、分離した有機層を回収し、メタノール中に注ぎ込み、約1時間攪拌した。次に、析出した沈殿を濾別した。得られた沈殿を希塩酸/エタノール混合溶媒で洗浄した後、希アンモニア水/エタノール混合溶液で洗浄、次に、エタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.1gを得た。得られた重合体を高分子化合物6と呼ぶ。
仕込み単量体から予想される高分子化合物6の構造に含まれる単位は以下のとおりである。
【0154】
実施例7
<工程(B)高分子化合物7の合成>
前記重合体2を0.2gと2−クロロ−5−(クロロメチル)ピリジンと亜りん酸トリエチルとを反応させて得たホスホン酸エステル0.2g(0.76ミリモル)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)40gを加えた。次に、この溶液に、あらかじめカリウムーtert.−ブトキシド0.1gを、アルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)2mlに溶解した溶液を、室温で、およそ5分間かけて滴下した後、引き続き室温で2時間反応させた。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、この溶液にメタノールをそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿をエタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.12gを得た。得られた重合体を高分子化合物7と呼ぶ。
仕込み単量体から予想される高分子化合物7の構造に含まれる単位は以下のとおりである。
【0155】
参考例1
<蛍光特性>
高分子化合物1〜7の0.2wt%クロロホルム溶液を石英上にスピンコートして高分子化合物の薄膜をそれぞれ作成した。これらの薄膜の蛍光スペクトルとを、蛍光分光光度計(日立製作所850)を用いて測定した。いずれも強い蛍光を有しており、それぞれ以下の表3に示す蛍光ピーク波長を示した。
なお、蛍光強度の算出には、350nmで励起した時の蛍光スペクトルを用いた。横軸に波数をとってプロットした蛍光スペクトルの面積を、350nmでの吸光度で割ることにより、蛍光強度の相対値を求めた。
【0156】
【表3】
【0157】
参考例2
<素子の作成および評価>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、Baytron)を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で120℃で10分間乾燥した。次に、高分子化合物1の1.5wt%トルエン溶液を用いてスピンコートにより約100nmの厚みで成膜した。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、フッ化リチウムを0.4nm、陰極として、カルシウムを25nm、次いでアルミニウムを40nm蒸着して、高分子LEDを作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜8×10-6Torrであった。得られた素子に電圧を引加することにより、高分子化合物1からのEL発光が得られた。EL発光の強度は電流密度にほぼ比例していた。
【0158】
参考例3
<素子の作成および評価>
高分子化合物1の代わりに高分子化合物2を用いた以外は、参考例2と同様にして、高分子LEDを作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜8×10-6Torrであった。得られた素子に電圧を引加することにより、高分子化合物2からのEL発光が得られた。EL発光の強度は電流密度にほぼ比例していた。
【0159】
参考例4
<素子の作成および評価>
高分子化合物1の代わりに高分子化合物6を用いた以外は、参考例2と同様にして、高分子LEDを作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜8×10-6Torrであった。得られた素子に電圧を引加することにより、高分子化合物6からのEL発光が得られた。EL発光の強度は電流密度にほぼ比例していた。
【0160】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、主鎖に芳香族環を有し、該芳香環の側鎖に複雑な構造の置換基を有する高分子化合物を簡便に製造しうる。また、本発明の製造方法により製造された高分子化合物は、高分子LED用発光材料や電荷輸送材料、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜用材料などとして用いることができる。
Claims (13)
- 下記工程(A)及び工程(B)を含むことを特徴とする高分子化合物の製造方法
。
工程(A):一般式(1)
X1−Ar1−X2 (1)
〔ここで、X1およびX2はそれぞれ独立に、互いに反応して結合を生成しうる反応活性基を示し、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、−B(OR 11 ) 2 (ここに、R 11 は、水素原子またはアルキル基である。またアルキル基どうしはつながって環を形成していてもよい)〕、アシル基、−CHR 12 −P(=O)(OR 13 ) 2 (ここに、R 12 は、水素原子またはアルキル基である。R 13 は、アルキル基またはアリール基である。)で表される基、−CHR 14 −P + (R 15 ) 3 X - (ここに、R 14 は、水素原子またはアルキル基である。R 15 は、アルキル基またはアリール基である。Xは、ハロゲン原子である。)で表される基、ハロメチル基、シアノメチル基およびビニル基からなる群から選ばれる。
Ar1は、アリーレン基、2価の複素環基または2価の芳香族アミン基を示す。該Ar1は少なくとも1個の反応活性基Yを有する。該反応活性基Yは、実質的にX1およびX2と反応しない反応活性基であり、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、−B(OR 11 ) 2 (ここに、R 11 は、水素原子またはアルキル基である。またアルキル基どうしはつながって環を形成していてもよい)、アシル基、−CHR 12 −P(=O)(OR 13 ) 2 (ここに、R 12 は、水素原子またはアルキル基である。R 13 は、アルキル基またはアリール基である。)で表される基、−CHR 14 −P(R 15 ) 3 + X - (ここに、R 14 は、水素原子またはアルキル基である。R 15 は、アルキル基またはアリール基である。Xは、ハロゲン原子である。)で表される基、シアノメチル基およびビニル基からなる群から選ばれる。〕
で示される1種類以上の単量体を、X1およびX2が互いに反応して結合を生成する条件下で重合させて、反応活性基Yを有する重合体を製造する工程。
工程(B):工程(A)で製造された反応活性基Yを有する重合体と,反応活性基Yと反応して結合を生成する反応活性基Z〔ここで反応活性基Zは、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、−B(OR 11 ) 2 、アシル基、−CHR 12 −P(=O)(OR 13 ) 2 で表される基、または−CHR 14 −P + (R 15 ) 3 X - で表される基、ビニル基またはシアノメチル基である〕
を有する化合物とを反応させる工程。 - 工程(A)において、単量体として、さらに
一般式(7)
X3−Ar14−X4 (7)
〔ここで、Ar14は、アリーレン基、2価の複素環基または2価の芳香族アミン
基を示す。該Ar14は反応活性基Yは有しない。X3およびX4は、それぞれ独立
に、互いに反応して結合を生成しうる反応活性基を示し、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、−B(OR 11 ) 2 (ここに、R 11 は、水素原子またはアルキル基である。またアルキル基どうしはつながって環を形成していてもよい)、アシル基、−CHR 12 −P(=O)(OR 13 ) 2 (ここに、R 12 は、水素原子またはアルキル基である。R 13 は、アルキル基またはアリール基である。)で表される基、−CHR 14 −P + (R 15 ) 3 X - (ここに、R 14 は、水素原子またはアルキル基である。R 15 は、アルキル基またはアリール基である。Xは、ハロゲン原子である。)で表される基、ハロメチル基、シアノメチル基およびビニル基からなる群から選ばれる。〕
で示される単量体を用いて重合させることを特徴とする請求項1記載の高分子化合物の製造方法。 - 2価の芳香族アミン基が一般式(2)で示される基であることを特徴とする請求項1または2記載の高分子化合物の製造方法。
−Ar3−N(Ar4)−Ar5− (2)
〔ここで、Ar3およびAr5はそれぞれ独立にアリーレン基、一般式(3)で表される基または一般式(4)で表される基である。Ar4は、アリール基、一般式(5)で表される基または一般式(6)で表される基を示す。
(式中、Ar6およびAr7は、それぞれ独立にアリーレン基を示す。R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。lは0または1である。)
(式中、Ar8およびAr9は、それぞれ独立に、アリーレン基を示す。Ar10は、アリール基を示す。)
(式中、Ar11は、アリーレン基を示す。R7およびR8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。)
(6)
(式中、Ar12は、アリーレン基を示す。Ar13は、アリール基を示す。R9およびR10は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。pは0または1である。)〕 - 反応活性基Yと反応活性基Zとが反応して生成する結合が炭素−炭素2重結合であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子化合物の製造方法。
- 反応活性基Yおよび反応活性基Zのいずれか一方がアシル基であり、他方が−CHR 12 −P(=O)(OR 13 ) 2 (ここで、R 12 は、水素原子またはアルキル基である。R 13 は、アルキル基またはアリール基である。)で表される基であり、 Horner-Wadsworth-Emmons 反応によって、または、
反応活性基Yおよび反応活性基Zのいずれか一方がアシル基であり、他方が−CHR 14 −P(R 15 ) 3 + X - (ここに、R 14 は、水素原子またはアルキル基である。R 15 は、アルキル基またはアリール基である。Xは、ハロゲン原子である。)で表される基であり、 Wittig 反応によって、または、
反応活性基Yおよび反応活性基Zのいずれか一方がアシル基であり、他方がシアノメチル基であり、 Knoevenagel 反応によって、または、
反応活性基Yおよび反応活性基Zのいずれか一方がハロゲン原子であり、他方がビニル基であり、 Heck 反応によって、または、反応活性基Yおよび反応活性基Zのいずれもがアシル基であり、 McMurry 反応によって、炭素−炭素2重結合を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子化合物の製造方法。 - 反応活性基Yおよび反応活性基Zのいずれか一方がハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基であり、他方が、−B(OR 11 ) 2 (ここに、R 11 は、水素原子またはアルキル基である。またアルキル基どうしはつながって環を形成していてもよい)であり、鈴木(カップリング)反応によって、または、
反応活性基Yおよび反応活性基Zのいずれもがハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基であり、Ni(0)を用いたアリール ― アリールのカップリング反応(山本反応)によって、直接結合を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子化合物の製造方法。 - 反応活性基Zを有する化合物が、下記式(9)で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高分子化合物の製造方法。
Z−(Ar18)m−Z (9)
〔ここで、Ar18は、アリーレン基、2価の複素環基または2価の芳香族アミン基を示す。mは1以上の整数である。Ar18が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Zは、前記と同じ意味を表す。〕 - 反応活性基Zを有する化合物が、下記式(10)で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高分子化合物の製造方法。
Ar19−Z (10)
〔ここで、Ar19は、アリ−ル基、1価の複素環基または1価の芳香族アミン基を示す。Zは前記と同じ意味を表す。〕 - 式(1)および(7)で示される単量体のX1、X2、X3およびX4がそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、または−B(OR11)2(ここで、R11は、水素原子またはアルキル基である。またアルキル基どうしはつながって環を形成していてもよい))で示される基であり、反応活性基Yが、アシル基、または−CHR12−P(=O)(OR13)2(ここで、R12は、水素原子またはアルキル基である。R13は、アルキル基またはアリール基である。)で表される基であることを特徴とする請求項2記載の高分子化合物の製造方法。
- 反応活性基Zが、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、−B(OR11)2、アシル基、−CHR12−P(=O)(OR13)2で表される基、または−CHR14−P+(R15)3X-で表される基であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子化合物の製造方法。
- X1、X2、X3およびX4のうち、1つ以上が−B(OR11)2(ここに、R11は水素原子またはアルキル基である。またアルキル基どうしはつながって環を形成していてもよい) で表される基であり、1つ以上がハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基である、一般式(1)および(7)で示される単量体をPd(0)触媒の存在下に反応させることを特徴とする請求項2記載の高分子化合物の製造方法。
- X1、X2、X3およびX4がそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、またはアリールスルホニルオキシ基である、一般式(1)および(7)で示される単量体をNi(0)の存在下で反応させることを特徴とする請求項2記載の高分子化合物の製造方法。
- 請求項1または2記載の高分子化合物の製造方法の工程(A)によって得られ、−CHR 12 −P(=O)(OR 13 ) 2 、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、−B(OR 11 ) 2 で表される基、および−CHR 14 −P + (R 15 ) 3 X - で表される基からなる群から選ばれる反応活性基Yを有する高分子化合物。
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