JP4472893B2 - におい測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、においを測定する方法に関し、特に、呼気等の水分と揮発性のにおい成分を多く含む気体のにおい(例えば口臭)を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
におい測定装置は基本的にガスセンサであり、測定対象である気体試料に含まれる各種成分を定量的に測定するものである。このようなにおい測定装置のセンサとしては、金属酸化物半導体や導電性高分子の抵抗値変化を利用するもの、水晶振動子上に、脂質膜若しくは有機膜に感応物質を取り込んだ膜を付着し、その振動周波数の変化を利用するもの、更に、SAWデバイス上に前記感応膜を付着して表面弾性波の変化を利用するもの等、種々のタイプのものが考案されている。
【0003】
いずれのタイプのものであれ、ガスセンサは目的とする成分を吸着して測定を行うものであるが、ガスセンサに吸着されるのはにおい成分ばかりではなく、多くの場合、水分も吸着される。従って、におい測定装置として用いる場合は、従来、予め測定対象気体から水分を除去した後、ガスセンサに送り込むようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、口臭の測定にはガスクロマトグラフ(以下、「GC」と呼ぶ)と官能試験が併用されてきた。官能試験は口臭物質を総合して評価することができるという特長を有するが、測定精度及び定量化に問題がある。一方、GCによる測定では臭いを定量化することができるという利点はあるが、口臭の場合、従来より測定成分が専ら硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(CH3SH)、硫化ジメチル((CH3)2S)の3種類の揮発性硫化物(以下、「VSC」と呼ぶ)に限られていたため、総合的な口臭評価に近づき難いという問題がある。
【0005】
特に口臭の強い呼気中にはVSCが多く含まれると言われているが、上記の通り、従来のにおい測定装置では予め水分を除去することが前提となっているため、水分除去過程でVSCの一部が同時に除去されてしまい、感度が低くなるという問題もあった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、口臭等、水分と揮発性成分の含有量が多い気体であっても、高い再現性でもって官能試験結果に近い測定結果を与えることのできるにおい測定方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明に係るにおい測定方法は、所定の水分捕集容量を有するにおい成分捕集材と、気体試料を該におい成分捕集材に通過させる試料導入手段と、前記におい成分捕集材を加熱する加熱手段と、前記におい成分捕集材に乾燥不活性ガスを送給する手段と、該不活性ガスの送給により前記におい成分捕集材から離脱した成分を測定する分析部と、を備えるにおい測定装置を用いたにおい測定方法であって、
水分及びにおい成分を含む気体試料を測定する際に、該気体試料の所定量を前記におい成分捕集材に通過させた後、前記加熱手段による前記におい成分捕集材の加熱を行うことなく乾燥不活性ガスを該におい成分捕集材に送給することにより該気体試料を該におい成分捕集材から離脱させて分析部に送り、該分析部で測定を行うことを特徴とする。
【0008】
なお、ここで使用する「不活性ガス」は、においセンサに対して不活性であればよいのであり、アルゴンガスやヘリウムガス等の狭い意味での不活性ガスの他、窒素ガスも含む。場合によっては(においセンサの種類によっては)、メタンガス等を使用することもできる。
【0009】
【発明の実施の形態及び効果】
本発明に係るにおい測定方法では、試料をにおい成分捕集材に担持させた後、それを加熱することなく、乾燥した不活性ガスにより高速でにおいセンサの方に送り出す。これにより、試料に含まれるにおい成分はほぼ全てがにおいセンサに送られ、測定されることとなる。ここで、水分も同時ににおいセンサに送られることとなるが、におい成分捕集材に通過させる気体試料の量を、そこに含まれる水分量がにおい成分捕集材の捕集可能な水分量(これをにおい成分捕集材の水分捕集容量と呼ぶ)以上となるようにしておくことにより、におい成分捕集材の担持する水分量は一定値(水分捕集容量)となる。従って、においセンサの測定可能な量をそれ以上としておくことにより、においセンサは目的とするにおい成分の測定も可能であるし、水分による影響も容易に補正することができる。
【0010】
本発明に係るにおい測定方法の測定対象は気体に限らない。試料が水溶液である場合、或いは試料が水分を多く含む固体である場合に、それらを加熱(又は水溶液の場合はバブリング)することにより生成される気体試料も水分を多く含むものとなるが、本発明に係るにおい測定方法ではこれらも分析対象とすることができる。
【0011】
なお、本発明に係る方法において用いる分析部では、通常のにおい測定装置で用いられている前記の金属酸化物半導体センサ、導電性高分子膜センサ等を用いることができる。
【0012】
このような本発明に係るにおい測定方法は、特に口臭の測定に適したものである。すなわち、口臭の強い呼気には揮発性硫化物(VSC)が多く含まれており、これを従来の方法で測定すると、水分除去時に口臭としての寄与度が大きいにおい成分も同時に除去されてしまい、官能試験の結果と整合しないことが多かった。それに対し本発明に係る方法では揮発性のにおい成分も逃すことなく分析することができるため、その解析方法により、官能試験の結果と十分対応した測定結果を出すことができるようになる。
【0013】
【実施例】
本発明に係るにおい測定方法の効果を確認するため、呼気を試料として、本方法による測定の結果をガスクロマトグラフによる測定の結果及び官能評価の結果と比較した。
【0014】
まず、本発明に係る方法を実施するために用いた装置の構成と測定方法を説明する。図1は本実施例のにおい測定装置のガス流路を中心とする構成図である。図1において、純窒素ガス(N2)を充填した窒素ガス容器10のガス出口に設けられた定圧バルブ11の出口側の流路は、それぞれマスフローコントローラ等の第1、第2流量制御部13、16及び不純物を除去するためのモレキュラシーブフィルタ14、17を備えた第1窒素ガス流路12と第2窒素ガス流路15の2本の流路に分岐される。除塵用のPTFEメンブレンフィルタ19を介して試料吸入口18に接続された試料流路と第1窒素ガス流路12とは、三方バルブ20により選択的に六方バルブ(6ポート2ポジションバルブ)21のポートaに接続される。また、第2窒素ガス流路15は六方バルブ21のポートdに接続されている。六方バルブ21のポートcとポートfとの間には、加熱用のヒータ23が設けられた捕集管22が接続されている。この捕集管22には、測定対象のにおい成分に応じて、例えば活性炭系吸着剤やその他の適宜の捕集材が充填されている。
【0015】
六方バルブ21のポートbは、三方バルブ24によって、ポンプ25及び流量計26を通過する流路又は通過しない流路に選択的に接続され、いずれも排気口27に連なる。六方バルブ21のポートeは、複数(本例では6個)のにおいセンサ29を設置したフローセル28に接続され、その下流側出口は排気口30に接続されている。においセンサ29は、種々のにおい成分に対してそれぞれ検出感度の相違する特性を有する、金属酸化物半導体を感応膜に利用したにおいセンサである。六方バルブ21及びフローセル28は恒温槽36の内部に設置されており、恒温槽36は温度調節部37により所定温度となるように制御されている。
【0016】
タンク33にはポンプ32により空気吸入口31から吸入された空気が圧縮して貯蔵されている。タンク33は、第3流量制御部34と不純物を除去するための活性炭フィルタ35とを介して、フローセル28の入口に接続されている。これにより、フローセル28に流れ込む試料に適宜量の空気を混合することができるようになっている。なお、空気の代わりに純酸素ガスを混入する構成としてもよい。純酸素ガスを用いれば、空気と比較して混合する体積を遥かに減らすことができるので、におい成分が希釈される割合が小さく、においセンサ29による検出の感度の向上に有利である。
【0017】
6個のにおいセンサ29の検出信号は、それぞれ信号処理部40に入力される。信号処理部40は、各においセンサ29毎にアナログ検出値をデジタル値に変換するA/D変換部41と、におい分別処理部42と、臭気指数算出部43とを含んでいる。におい分別処理部42及び臭気指数算出部43は、例えばパーソナルコンピュータ上で所定のソフトウエアを実行させることにより、その機能を実現することができる。信号処理部40において算出された臭気指数は表示部39に表示される。また、制御部38は、所定のプログラムに従って後述のように、三方バルブ20、24、六方バルブ21、ポンプ25、32、ヒータ23、温度調節部37、信号処理部40等を制御する。
【0018】
なお、本実施例では、においセンサ29として金属酸化物半導体センサを用いているが、これに限るものではなく、導電性高分子を利用したセンサを用いてもよい。その場合、フローセル28に空気又は酸素を供給する必要はないから、図1に示した構成において、フローセル28に流入するガスに空気を混合するための構成要素は省くことができる。
【0019】
次に、上記におい測定装置により口臭を測定する方法を説明する。ここでは、下記の3種の条件で測定を行うこととした。
(a)通常条件…前記従来の測定方法である。
(1)捕集材を低温(40℃)に加熱する。
(2)試料を捕集管22内の捕集材で捕集した後、捕集材をドライパージ(乾燥)する。
(3)捕集管22をフローセルに接続し、捕集材に窒素ガスを流してにおい成分をフローセル28に送り、においセンサ29で測定を行う。
【0020】
(b)トップノート条件…本発明に係る方法である。
(1)捕集材を低温(40℃)に加熱する。
(2)試料を捕集材で捕集する。ドライパージは行わない。
(3)捕集材を加熱することなく、捕集管22をフローセル28に接続する。
(4)捕集材に窒素ガスを高速で流してにおい成分をフローセル28に送り、においセンサ29で測定を行う。
【0021】
(c)ディープノート条件
(1)捕集材を急速に高温(100℃以上)に加熱する。
(2)試料を捕集材で捕集した後、捕集材をドライパージ(乾燥)する。
(3)捕集管22をフローセル28に接続し、捕集材に窒素ガスを流してにおい成分をフローセル28に送り、においセンサ29で測定を行う。
【0022】
以下にまず、通常条件及びディープノート条件の場合の口臭の測定方法を説明する。
【0023】
(i)呼気の採取
被検者の呼気は次のような条件で採取する。被検者は30秒間、口を閉じた状態で鼻だけで呼吸をし、その後、所定容量のにおい袋に口から息を吹き込む。この際の呼気の量は、その水分量の合計が捕集管22内の捕集材の水分捕集容量以上となるようにする。呼気を充満させたにおい袋は、試料吸入口18に取り付ける。
【0024】
(ii)試料の捕集
先に捕集材を、通常条件では40℃に、ディープノート条件では例えば100℃に加熱しておく。制御部38は、試料吸入口18と六方バルブ21のポートaとが接続されるように三方バルブ20を切り替えるとともに、六方バルブ21のポートbがポンプ25に接続されるように三方バルブ24を切り替える。また、図1の破線で示す接続状態となるように六方バルブ21を切り替え、ポンプ25を作動させる。すると、におい袋中の呼気試料は試料吸入口18から吸引され、メンブレンフィルタ19にて塵芥等の比較的大きな固形浮遊物が除去され、三方バルブ20及び六方バルブ21を介して捕集管22に導入され(図1中の左から右方向)、更に、六方バルブ21、三方バルブ24、ポンプ25、流量計26を通って排気口27から排出される。このときヒータ23による加熱は行わない。
【0025】
試料が捕集管22を通過する際、試料に含まれるにおい成分及び水分は捕集管22内の吸着剤(捕集材)に吸着される。この吸引の際、制御部38は、流量計26による検出値が所定の一定値となるようにポンプ25の吸引力を制御し、試料の流通時間が所定値になるようにしている。
【0026】
(iii)捕集管内のガスの置換
上記流通時間が経過すると、制御部38は三方バルブ20を切り替えて第1窒素ガス流路12を六方バルブ21のポートaに接続するとともに、三方バルブ24を切り替えて六方バルブ21のポートbを直接排出口27に接続する。すると、試料に代わって、窒素ガス容器10より供給された窒素ガスが、第1窒素ガス流路12−三方バルブ20−六方バルブ21−捕集管22−六方バルブ21−三方バルブ24を通り、排出口27から排出される。これにより、捕集管22を含む流路内部に残っている試料ガスは、窒素ガスにより外部へ押し出される。このとき、ヒータ23による加熱は行われないので、先に吸着剤に吸着されたにおい成分はそのまま残る。その一方、窒素ガスは極めて乾燥しているので、吸着特性の弱い水や流路内壁に付着している水分はその大部分が窒素ガス中に揮散して外部に運び去られ、これにより一定程度までの除湿が達成される。
【0027】
(iv)においセンサへの試料の導入
その後制御部38は、六方バルブ21を図1に実線で示す接続状態に切り替える。すると、第2窒素ガス流路15−六方バルブ21−捕集管22−六方バルブ21−フローセル28−排気口30という流路が形成される。この状態でヒータ23に通電し、捕集管22を急速に(例えば10℃/秒程度の温度上昇速度で)加熱する。この際の加熱は、通常条件の場合220℃まで上昇させられる。これにより、捕集管22内の吸着剤に吸着していたにおい成分は吸着剤から離脱し、それ以前とは逆方向(図1中で右から左方向)に流通する窒素ガスに乗ってフローセル28まで運ばれる。
【0028】
タンク33に貯蔵されている空気は、第3流量制御部34により適宜の流量に調節され、活性炭フィルタ35により測定の外乱となる不所望の成分が除去された後に、フローセル28に流入する測定ガスに混入される。空気には酸素ガスが含まれているから、フローセル28にはにおい成分とともに酸素ガスが流入し、金属酸化物半導体から成る感応膜に酸素ガス分子が吸着され、におい成分の分子との間で酸化還元反応を生じる。これにより、においセンサ29の導電性が変化し、その電極間の電気抵抗が変化する。この抵抗変化による検出信号が信号処理部40に送られる。
【0029】
こうした測定の期間中、六方バルブ21、フローセル28とこれらの間を連結する流路は、温度調節部37により室温よりもやや高い一定温度(例えば40℃程度)に維持される。これにより、周囲温度の変動によるにおいセンサ29の受ける影響を軽減するとともに、高沸点化合物が流路内壁等に付着して検出感度の安定性が損なわれることを防止することができる。
【0030】
(v)においセンサの清浄化
上述のように捕集管22の吸着剤に吸着されているにおい成分を十分に離脱させたならば、制御部38は、六方バルブ21を再び図1に破線で示す接続状態に切り替え、温度調節部37により恒温槽36の温度を所定温度まで上昇させる。これにより、フローセル28には清浄な窒素ガスが流通する。においセンサ29の温度が上昇すると、その感応膜に吸着されていたにおい成分やその他の不純物が離脱し易くなり、窒素ガスに乗って排気口30から排出される。その結果、においセンサ29の感応膜は回復し、再びにおい成分を検出可能な状態に戻る。
【0031】
以上説明したのは通常条件及びディープノート条件の場合であるが、トップノート条件の場合は、上記の(iii)「捕集管内のガスの置換」のプロセスが省略される。すなわち、捕集管22内の試料(呼気)の水分はそのまま保持されるが、水分について破過を起こしているため、一定量となる。また、(iv)「においセンサへの試料の導入」のプロセスにおいて、試料をフローセル28に送り出す際、ヒータ23による加熱は行われず、窒素ガスのみによりにおい成分と水分を含む試料を吸着剤から離脱させる。
【0032】
においセンサ29により測定された各成分の測定値はA/D変換器41を介してにおい分別処理部42及び臭気指数算出部43に送られる。これらを含む信号処理部40において行われる処理を図2のフローチャートを参照して説明する。
【0033】
まず、上述のようにして導入された試料を測定し、6個のにおいセンサ29からの6チャンネルの検出出力を取得する(ステップS1)。6個のにおいセンサ29はそれぞれ異なる選択性や応答特性を有しているので、例えば、或るにおい成分に対して或るにおいセンサからは大きな検出出力が得られ、他のにおいセンサからは全く検出出力が得られないということがあり得る。
【0034】
図3は、各においセンサ(チャンネル)の検出出力の分布を示すレーダーグラフの一例である。一般的に、すべてのセンサの出力が増加した場合、同一のにおいの質で強度が増大したものと考えられ、センサ出力の比率が変われば、その質が変化したものと判定される。このような複数のにおいの範疇とその代表的(典型的)なレーダーグラフのパターンを実験により求め、信号処理部40のにおい分別処理部42に内蔵したメモリに記憶させておく。
【0035】
試料測定時には、におい分別処理部42はA/D変換部41によりデジタル信号に変換された6チャンネルの検出出力を受け取り、上述したようなレーダーグラフを作成し、記憶されているパターンの何れと最も類似しているかを調べる。そして、その結果により、試料のにおいの範疇を決定する(ステップS2)。なお、口臭等、試料が或る種類のにおいに限られていることが明らかな場合、このにおいの範疇の決定は省略することもできる。
【0036】
そのあと、臭気指数算出部43は、においの範疇の分別結果と6チャンネルの検出出力とを用いて、次式により臭気指数Pを算出する(ステップS3)。
P=a・S1+b・S2+c・S3+d・S4+e・S5+f・S6+g
但し、Snは第n(n=1〜6)チャンネルの検出出力、a〜gは係数である。
【0037】
上記計算式の中の係数a〜gはにおいの範疇毎に異なる値を使用するものであるが、試料が口臭に限られている場合、これらには一定値を用いる。なお、係数a〜gはにおいの範疇毎に予め実験により求められ、臭気指数算出部43に内蔵したメモリに記憶されている。算出された臭気指数Pは表示部39に表示される(ステップS4)。
以上が図1のにおい測定装置による口臭の測定方法である。
【0038】
ガスクロマトグラフ(GC)による測定は、次のような条件で行った。被検者に30秒間、口を閉じた状態で鼻だけで呼吸をしてもらい、その後、口腔内の空気をガスタイトシリンジにて10ml採取する。測定物質は硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(MESH)及び硫化ジメチル(DMS)の3種類のVSCとした。これらの測定濃度を対数変換後、他の方法との比較データとして使用した。対数変換を行ったのは、予備実験により、対数変換しなかった場合と比較して官能評価値との相関が相対的に高いことが明らかになったためである。
【0039】
官能試験は次のような条件で行った。被検者の呼気の採取は、前記のにおい測定装置の場合と同様、30秒間口を閉じた状態で鼻だけで呼吸をした後、所定容量のにおい袋に口から息を吹き込むことにより行った。採取した試料を4名のパネラーが0〜5の数値で評価し、1つの試料についての4名の評価値の平均値をその試料の官能評価値値とした。
【0040】
41名の被検者の呼気試料に対してこれら3種(におい測定装置の3種の試験方法を含めると5種)の試験をそれぞれ行い、それらの結果を対比した。図4は、GCによる結果と官能評価の結果とを対比したグラフである。横軸は各試料の官能評価値(4名の平均値)であり、縦軸は、H2S、MESH、DMSの3種のVSC成分の測定結果から回帰式を算出し、その式を用いて各試料の官能評価予測値を算出した結果である。両者の相関係数は0.401とそう高くなく、特に官能評価値が高くなるにつれてGC予測値がばらつく傾向を見せている。
【0041】
図5はにおい測定装置による結果と官能評価の結果とを対比したグラフである。横軸は各試料の官能評価値(4名の平均値)であり、縦軸はにおい測定装置のトップノート条件による測定結果から同様に作成した予測式による各試料の官能評価を予測した値である。こちらの方は、相関係数が0.718とかなり高い相関を示している。すなわち、本発明に係る方法(トップノート条件)による口臭の測定が、官能評価の値と比較的良く一致することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するために用いたにおい測定装置の構成図。
【図2】 上記におい測定装置により臭気指数を算出する手順を示すフローチャート。
【図3】 上記におい測定装置の各においセンサ(チャンネル)の検出出力の分布を示すレーダーグラフの一例。
【図4】 ガスクロマトグラフによる官能評価予測値と実際の官能評価の結果とを対比したグラフ。
【図5】 におい測定装置(トップノート条件)で試料を測定した結果を用いて算出した官能評価予測値と実際の官能評価の結果とを対比したグラフ。
【符号の説明】
11…定圧バルブ
12…第1窒素ガス流路
13…第1流量制御部
14…モレキュラシーブフィルタ
15…第2窒素ガス流路
16…第2流量制御部
17…モレキュラシーブフィルタ
18…試料吸入口
19…メンブレンフィルタ
22…捕集管
23…ヒータ
28…フローセル
29…においセンサ
Claims (3)
- 所定の水分捕集容量を有するにおい成分捕集材と、気体試料を該におい成分捕集材に通過させる試料導入手段と、前記におい成分捕集材を加熱する加熱手段と、前記におい成分捕集材に乾燥不活性ガスを送給する手段と、該不活性ガスの送給により前記におい成分捕集材から離脱した成分を測定する分析部と、を備えるにおい測定装置を用いたにおい測定方法であって、
水分及びにおい成分を含む気体試料を測定する際に、該気体試料の所定量を前記におい成分捕集材に通過させた後、前記加熱手段による前記におい成分捕集材の加熱を行うことなく乾燥不活性ガスを該におい成分捕集材に送給することにより該気体試料を該におい成分捕集材から離脱させて分析部に送り、該分析部で測定を行うことを特徴とするにおい測定方法。 - 請求項1に記載のにおい測定方法であって、水分及びにおい成分を含む前記気体試料は呼気であり、該呼気中の口臭を測定することを特徴とするにおい測定方法。
- 請求項1又は2に記載のにおい測定方法であって、前記におい成分捕集材に通過させる気体試料の量を、そこに含まれる水分量が該におい成分捕集材の水分捕集容量以上となるようにすることを特徴とするにおい測定方法。
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