JP4528894B2 - 生体適合性を高めるための表面処理 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、表面に酸化物または水酸化物を有するステントまたは他の金属、ガラスまたはセラミック物品を処理して、表面の生体適合性および/または物理的特性を高める方法に関する。
【0002】
EP−A−0433011は、1980年代半ばから後半以来、バルーン血管形成術またはアテローム切除術の後に起こる再狭窄を防止するための治療として、動脈ステントが多く利用されていることを開示している。頻繁に起こってきた(まだ起こり続けている)問題としては、バルーン拡張またはアテローム切除術でのプラーク切除部位において組織が過剰に成長し(内膜過形成)、動脈が再狭窄してしまうという問題があった。この問題に対する1つの可能な解決策として(US−A−4768507)、ステントを抗血栓形成性の面で被覆して、血小板フィブリンの沈殿を低減することがあった。抗血栓形成性の面により、急性の血栓性動脈閉塞を防止し、抗凝血剤治療の必要を低減することはできるものの、内膜過形成による再狭窄を低減するという緊急課題はまだ残さたままである。
【0003】
放射線治療によって、悪性腫瘍中の迅速に成長する癌細胞の増殖を低減できることはよく知られており、EP−A−0433011は、動脈特許(artery patent)の管腔を維持しているために、動脈内に挿入可能かつ配置可能な管状構造物を含み、放射性の材料を含むか、もしくは放射性の材料からなるステントを提供することによって、この特性を利用している。EP−A−0566245において、フィブリンを含む管腔内ステントは、脈管損傷部位における再狭窄の発生を低減することができ、脈管損傷部位への薬物の局所投与のためのマトリックスとしても機能することが報告されている。EP−A−0701802は、(a)略円筒状のステント本体と、(b)ステント本体上の接着層中のポリマーと治療用物質との固体組成物と、(c)接着層内の組成物上のフィブリンとを含む薬剤溶出脈管内ステントを開示している。
【0004】
US−A−5356433は、生物活性剤と金属表面との間に疑似共有結合を形成させることによるステントまたは他の医療機器の処理を開示している。一例として、タンタル製のステントを、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシランのエタノール溶液で下地処理して、110℃で硬化させることによって、ステント表面上の酸化タンタルの層と、シランのケイ素との間に結合を形成させる。次に、1,3−エチルジメチル−アミノプロピルカルボジイミドハイドロクロライド(EDC)を用いて、ヘパリンをアミノ基に結合させる。第2の例においては、アミノ官能性ポリマーシランである、トリメチルシリルプロピル置換ポリエチレンジアミンのエタノール溶液を、タンタルステントの表面に結合させ、110℃で硬化させた後、EDCを用いてヘパリンを被膜に結合させている。他の例では、ステンレス鋼ワイヤ、白金タングステンワイヤおよびアミノプロピルトリエトキシシランを下地処理剤として用いている。しかしながら、下地処理は加熱しながら行う必要があった。
【0005】
本願発明者は、後述するように、金属表面への共有結合が記載された条件下では形成されないことを実験的に見いだした。このことは、エタノール中に必然的に存在する水が、メトキシ基とケイ素との間の結合を加水分解すること、ならびにトリメトキシシラン基と表面酸化物の間の反応が、上記条件では存在しない触媒を必要とすることに起因すると考えられる。
【0006】
米国特許第6,013,855号(United State Surgical)は、複数のヒドロキシル基またはオキシド基が結合した物品の表面に親水性のポリマーを結合させる方法を開示している。この方法は、表面をシラン化親水性ポリマー、例えば、アルコールと水の95:5溶液に溶解した(RO)3SiR’(−尿素結合−)PVAに暴露することを伴う。PVAの代替として、デキストランなどの天然のポリマーを用いることもできる。US−A−5356433に関して上述したように、水性アルコール溶媒を用いると、物品表面との共有結合が形成されないはずである。また、ポリマーとシランとを物品表面との反応に先立って結合するということは、表面に結合されるポリマーの量の調節が難しいことを意味する。これは、表面上のオキシドおよびヒドロキシル基への接近が特に容易ではなく、これらの基にシラン化ポリマーを結合させることが難しいからである。
【0007】
米国特許第6,248,127号(Medtronic AVE,Inc.)は、ヘパリンなどの生体適合性分子を結合させることのできるイソシアネート官能性を有するシランを含む生体適合性被膜を開示している。随意で、シランとイソシアネート基との間に有機鎖などの結合基が存在していてもよい。被膜は、単一層として与えることができ、下地処理剤は必要でない。
【0008】
米国特許第6,387,450号(Medtronic AVE,Inc.)は、水を含む溶媒中に、ヒアルロン酸またはその塩と、ブロックポリイソシアネートとを含む被覆組成物に関する。
【0009】
米国特許第5,053,048号(Cordis Corporation)は、アミノシランまたはアミノシロキサンと、アミノシランではないシランとの共重合体を含む血栓形成耐性被膜を開示している。この混合物は、基板の表面上に三次元のマトリックスを形成し、ヘパリンなどの血栓形成耐性の生物活性物質が該被膜を介して基板に結合される。被膜を高湿度で乾燥させることから、共存する水がアルコキシ/ケイ素結合の加水分解を引き起こすと考えられている。また、この反応は、表面オキシド/ヒドロキシド基とアルコキシシランとの間の共有結合形成を促進するためのいかなる触媒も共存させずに行われる。
【0010】
本願出願人は、以前にWO98/55162において、表面に酸化物または水酸化物を有するステントまたは他の金属、ガラスまたはセラミック製物品を、表面の生体適合性および/または物理的特性を高めるために処理する方法を開示しており、該方法は、機能性分子によって前記表面を下地処理する工程であって、前記機能性分子のそれぞれは、前記表面の酸化物または水酸化物との反応によって少なくとも1つの第1の共有結合を形成することのできる少なくとも1つのアルコキシシラン基と、フリーラジカル重合に参加することのできる少なくとも1つの他の基とを有し、下地処理は前記表面を非プロトン性溶媒中で前記機能性分子および前記第1の共有結合を形成するための酸触媒と接触させることによって実施する下地処理工程と、前記鎖に親水性を与える少なくとも1つの重合性モノマーのフリーラジカル重合によって、機能性分子の前記他の基に共有結合した鎖を形成する工程とを含む。
【0011】
本発明は、従来よりも使用が簡単で、フリーラジカル重合を必要としない、ステントまたは他の酸化物で被覆した移植可能物品上に抗血栓形成性および/または抗再狭窄層を形成するためのより簡単な方法を提供することを目的とする。
【0012】
上記課題は、本発明にしたがって、表面に酸化物または水酸化物を有する物品の処理方法によって取り組むが、該処理方法は、アルコキシシラン分子が前記表面の酸化物または水酸化物と反応して共有結合を形成するように、酸触媒の存在下、非プロトン性有機溶媒中、前記表面をアルコキシシランと接触させることにより前記表面を下地処理する工程であって、アルコキシシランは随意で1つ以上のアミノ、ヒドロキシル、カルボン酸または酸無水物基を含む工程と、前記アルコキシシランを介して前記下地処理した表面にポリマーを結合させる工程とを含む。
【0013】
本発明に従って処理すべき物品は、ステンレス鋼またはニタノールからなるものであってよい。物品は冠状動脈ステント(血管内プロテーゼ)、末梢ステント、生物材料と共に用いられる熱交換器、血管形成術において用いられるガイドワイヤ、人工心臓弁であってもよく、生物材料または他の医療機器の保存および/または移送のための装置も用いられる。ステントは、次のいずれのタイプのものであってもよい。コイルスプリングステント、熱形状記憶合金ステント、自己拡張式鋼製スパイラルステント、自己拡張式ステンレス鋼網状ステント、または内部指状コイルを含むバルーン拡張ステント。
【0014】
下地処理に先立って、物品の表面を洗浄して、油分および他の汚染物質を取り除いておくべきである。適切な洗浄方法には、超音波処理しながら水性アルカリ、例えばNaOHで処理し、続いて水でリンスして乾燥機で乾燥させることが含まれる。
【0015】
下地処理工程は、物品を例えばトルエンなどの非プロトン性有機溶媒中、非プロトン性溶媒と混和し溶解しうる通常は有機酸である酸触媒、例えば氷酢酸などの触媒の存在下、物品をアルコキシシランと接触させた後、新鮮な非プロトン性有機溶媒でリンスして、未反応の材料を除去した後、例えば約50〜55℃の高い温度において、好ましくは真空乾燥を行うことを含む。乾燥後、非プロトン性有機溶媒、続いて水混和性の有機溶媒、最後に脱イオン水を用いてさらなる洗浄を行う。真ん中の溶媒は、アルコキシシランの加水分解副産物の除去を助ける。低温を用いることが、特にニタノールの安定性と構造にとって重要である。ニタノールは、自己拡張性ステントのために用いられ、構造の変化を受けやすく、55℃よりもはるかに高温に加熱された場合には特性の悪化に繋がる。下地処理工程の目的は、金属の酸化物膜上に、機能付与剤の被膜ではなく単層を作成することである。
【0016】
使用する下地処理剤としては、例えば、式(RO)3Si(R1X)のアルコキシシランが含まれる。式中、Rは、メチルまたはエチルを表し、R1は、1つ以上のメチレン基が−NH−または−O−によって置換されていてもよいC2〜C10アルキル、C2〜C10シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル、C2〜C10アラルキルまたは単環式または二環式アリールを表し、Xは、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、または酸無水物を表す。好ましくは、R1が、1つ以上のメチレン基が随意で−NH−によって置換されているC2〜C10アルキルを表し、Xが−NH2を表し、適当な下地処理剤の例は、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−エチレンジアミンである。
【0017】
アルコキシシランの残りの反応基のポリマー材料との反応、または次の工程における「架橋」は、架橋中間体を介した間接的なものであっても、直接的なものであってもよい。
【0018】
間接的反応においては、例えば、ヒドロキシまたはアミノ末端アルコキシシランを、脂肪族または芳香族ジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネートの形態の架橋中間体と反応させて、第1のイソシアネート基がヒドロキシまたはアミノ官能基と共有結合を形成し、第2のイソシアネート基が遊離状態にあって、次工程のポリマー架橋のヒドロキシまたはアミノ基との結合に利用できるようにすることもできる。このような反応は、機能化物品を非プロトン性有機溶媒中でジイソシアネートと接触させることによって容易に行うことができる。このことにより、まず第1に、次工程で結合させる「架橋」ポリマーのアミノまたはヒドロキシル基と共有結合を容易に形成する反応性の高いイソシアネート基を有する付加物が得られるという利点、第2に、付加物の形成と架橋ポリマーとの反応がともに、穏和な条件下で実施できるという利点、第3に、金属表面の酸化物に結合されたケイ素を、下地処理剤のアミノまたは他の官能基と架橋し、例えば、アルキレンの鎖によって提供される間隔保持枝(spacer arms)をさらに伸長できるという利点が得られる。
【0019】
例えばヘパリンの場合のように、架橋ポリマーそのものが生物活性をもつ比較的大きな分子で有る場合には、間隔保持枝(spacer arms)が伸びると、ヘパリンまたは他の大きな分子の利用性が向上し、その生物有効性も高まる。反応性の末端基を有する他の架橋中間体、例えば、オキシド結合したアルコキシシランのある範囲の末端基、ならびに目的とする架橋ポリマーの広範な基と反応するジエポキシ化合物を用いてもよい。間接的反応におけるさらなる可能性としては、例えば、塩化チオニルとの反応によって末端アミノを末端イソシアネートに変換することによって、末端基を活性化することが挙げられる。
【0020】
直接的反応においては、アルコキシシランの末端基に対して、架橋ポリマーの利用可能な基との縮合、例えばアミドまたはエステル形成反応を行ってもよい。このように、ヒドロキシまたはアミノ末端を有するアルコキシシランは、利用可能なカルボニル基を有する架橋ポリマー、例えばカルボキシメチルセルロースと反応させてもよい。これに対応して、カルボキシルまたは酸無水物を末端とするアルコキシシランを、所望の架橋ポリマーのヒドロキシル基と反応させてもよい。
【0021】
少なくともオリゴマーである架橋性ポリマーの機能は、まず第1にアルコキシシランの反応性基と共有結合可能な部位を、直接もしくは上述のような中間基を介して提供することであり、また、後で付加する生物活性材料に対する結合部位を提供することでもある。架橋ポリマーの各分子は、アルコキシシランに比べて相当に大きく、複数の結合部位を有しているため、架橋ポリマーを用いることで、比較的大量の生物活性材料をある程度安定にステントに結合させて、例えば、生理的流体中にゆっくりとしか放出されず、体内の原位置における持続放出性を有するようにすることができる。
【0022】
炭水化物は、本発明において使用するのに適したポリマーであり、多糖オリゴマーおよびポリマーを含んでいてもよい。化学的に修飾されたセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)は、適切な材料であり、例えば分子量5000〜1,000,000、好ましくは150,000〜500,000で用いることができる。カルボキシメチルセルロースの水溶液は粘度が高いために、比較的希薄な溶液が用いられ、例えば、機能化ステントは、0.05重量%のCMCナトリウム塩の溶液中で回転させることができる。我々は、強い結合が達成され、例えば室温で72時間の長時間洗浄しても、水溶性の高い材料であるカルボキシメチルセルロースは、ステントまたは他の機能化された酸化物被覆材料上に残っていることを見いだした。CMCは、体内では徐々に加水分解されるため、これに連結された任意の生物活性材料を放出する性質を本質的に持つという利点がある。他の多糖類、例えばデキストランや天然の存在する多糖類も用いることができる。
【0023】
使用できる材料の1つとしてヘパリンがあるが、ヘパリンは、異種の構造をもつ多糖から成り、約6000〜30000ダルトン(原子質量単位)の分子量を有する天然に存在する物質である。ヘパリンは、アンチトロンビン(III)と複合体を形成して、この活性を強力に高めることによって凝固系の活性を抑制することにより、無制約の凝固を防止する。ヘパリン分子のおよそ3つに1つが、アンチトロンビンが高い親和性で結合する高度に特異的な構造の配列を含んでいる。特異的配列に結合すると、凝固酵素は、ヘパリンが存在しないときと比べて、桁違いに高い比率で阻害される。このように、ヘパリン分子は、それ自体は阻害剤ではないものの、抗凝固プロセスの間に消費されることなく天然の制御機構に対する触媒として作用する。ヘパリンの触媒的性質は、生物活性面を作成するためには望ましい性質である。というのも、固定化したヘパリンは血液に暴露する間に機能的に使い果たされることはなく、安定で活性な触媒として表面上に残るからである。多糖および抗凝固剤として作用するだけでなく、ヘパリンは、小さい生物活性分子を結合するための部位も提供する。
【0024】
−OH−や−COOHなどの利用可能な反応性基を有する他の非炭水化物ポリマー、例えば、分子量が2000以上のポリアクリル酸ナトリウム塩やポリビニルアルコール等も用いることができる。高度に分岐したポリマーも用いることができ(Anders Hultらの、Adv.Polymer Sc.、第143巻(1999年)1〜34頁を参照)、末端基は、基質の酸化物層に付着されたアルコキシシランと反応できるように選ばれている。
【0025】
様々な生物活性材料を、架橋ポリマーに結合させることができる。そうした材料は、活性部位を介して架橋ポリマーに共有結合またはイオン結合された第2のポリマーを含んでいてもよい。第2のポリマーは、それ自体が、共有結合またはイオン結合によって架橋ポリマーに結合された小さい分子性活性化合物と同一であっても異なってもよい生物活性化合物を担持していてもよい。例えば、架橋ポリマー自体が抗血栓形成性を有しない場合には、該架橋ポリマーに抗凝固剤または抗血小板剤でありうる抗血栓形成剤を結合させてもよい。
【0026】
適切な抗凝固剤としては、ヘパリンおよびヒルジンが含まれるが、抗血小板剤としてはプロスタグランジンまたはそのアナログも用いることができる。このように、ヘパリンは、最初にアルコキシシランで機能化され、次にカルボキシセルロースまたは他の炭水化物である架橋ポリマーが結合されたステントまたは他の移植可能な機器に結合させることができる。ヘパリンは、例えば我々のWO98/55162に記載されるような修飾された形態であってもよいし、炭水化物または他の架橋ポリマーに、例えば、最初に架橋ポリマー上の部位と反応させ、次にヘパリンまたは誘導体上の部位と反応させるジエポキシまたはジイソシアネートリンカーを用いて結合させてもよい。
【0027】
また、架橋ポリマーに結合させ得るものとしては、平滑細胞の増殖および再狭窄を阻害する化合物、例えば、ミトキサントロンまたはその薬学的に許容される塩、パクリタキセル(タキソール)またはそのアナログ、例えばドセタキセル(タキソテール)、臨床試験の対象となっているQuanam薬物溶出ステントにおいても用いられているタキサン(C.Herdegら、Semin.Intervent.Cardiol.、1998年、第3巻、197〜199頁も参照のこと)、ラパマイシンまたはアクチノマイシンD等が挙げられる。ヘパリンまたはヒルジンなどの抗凝固剤と平滑細胞増殖の阻害剤との両方を結合させることにより、短期および長期の両方において非常に良好な反応を与えると予想される。
【0028】
抗増殖剤として放射性標識材料を使用することもできる。基質を生物活性材料の溶液と単に接触させて、生物活性化合物とポリマーとの間の親和性によって、基質上に活性化合物の所望の沈殿をもたらすようにすることで結合を達成することができる。この構成の利点は、生物活性化合物を、該化合物を必要とする部位への局所送達および徐放のために利用できることにある。
【0029】
本発明を以下の実施例においてさらに説明する。
【実施例1】
【0030】
1.洗浄
ホルダに載せた市販のステンレス鋼ステントを、0.1MのNaOH水溶液を入れた容器に入れた。これを超音波槽(UltrawaveU50、英国カーディフのUltrawave Limited社製)中に置き、15分間超音波処理し、脱イオン水中で簡単にリンスした後、新鮮な脱イオン水中でさらに15分間超音波処理した。最後に脱イオン水で簡単にリンスした後、試料を乾燥機中、130℃で60時間乾燥させて、乾燥雰囲気中で冷却させた。
【0031】
2.機能化
冷却した試料をオーバーヘッド攪拌機に取り付けたスピンドルホルダ上に置き、これを、メスシリンダに190gのトルエンを入れて10滴の氷酢酸を落とした溶液中に浸漬した。窒素ラインおよびパラフィルム(薄い透明の自己粘着性フィルム)カバーをシリンダに取り付けて、トルエン溶液の上方に窒素の層を与えた。攪拌機でスピンドルを低速で回転させながら、9.5mLのN(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−エチレンジアミン(TMSPEA)(Sigma Aldrich Chemical Co)を窒素ラインを介して注射器でトルエン溶液に注入した後、撹拌を15分間続けた。窒素ラインとパラフィルムカバーを除去した後、トルエン反応溶液をトルエンに置き換え、試料をこの溶液中で15分間回転させて過剰な試薬を除去し、50℃で24時間、真空(0.9bar)乾燥した。次にオーバーヘッド攪拌機を用いて、試料を溶媒中、ホルダ上で回転させながら、それぞれ15分間ずつ、トルエン、メタノールおよび脱イオン水の一連の溶媒でさらにリンスした。
【0032】
3.カルボキシメチルセルロースの結合
ブラノース7H3 SXF(カルボキシメチルセルロース、英国サリー、サットンのHoneywill&Stein Ltd)を脱イオン水に溶解した0.5重量%溶液150gからなる反応溶液Aを調製し、これに0.045gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(Sigma Aldrich Chemical Co)を撹拌しながら添加した。この溶液を1M HClでpH5〜6にまで酸性化した。酸性化後、溶液をpHを監視しながら30分間撹拌したままにして、使用可能状態にした。
【0033】
まだスピンドル上にある機能化で得た試料を、オーバーヘッド攪拌機に取り付け、反応溶液A中に浸漬した後、試料ホルダを約4時間回転させた。試料を攪拌機で回転さながら、またリンス水を15分ごとに変えながら脱イオン水で1時間リンスした後、試料を排出させた。
【0034】
4.ミトキサントロンの結合と放出
ミトキサントロン(Sigma Aldrich Chemical Co)を脱イオン水に溶解して0.01%溶液を調製した。試料をそれぞれ4mLの溶液に浸漬し、Spiramix(Denley Spiramix 5)上で17時間まで回転させておいた(試料は、Jencons PLCより供給されるポリプロピレンで清浄化した100×16mm、R.B中に入れた)。上記時間後、ミトキサントロンが水中に除去されている形跡が無くなるまで脱イオン水でリンスした。次に、透明な試験管に、4mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)をピペットで入れ、試料を添加した。試料をSpiramix上、この溶液中で1時間放置した後、分光光度計によって660nmにおける吸光度を記録した。溶液を適当な試験管に戻し、滴下ピペットから1M塩酸を5滴加えた。試料をSpiramix上で回転させながら10分間放置した後、吸光度の読みとり値を記録した。1時間後あるいはそれ以上後に、さらに読み取りを行って、ミトキサントロンの完全放出に対する値を得た。放出溶液に対して660nmにおいて記録された吸光度は、各試料を被覆するカルボキシメチルセルロースに結合されたミトキサントロンの量の指標を与える。ミトキサントロン溶液の既知濃度を、660nmにおける溶液の吸光度に対してプロットした較正曲線を用いることにより、放出溶液のミトキサントロン濃度を決定し、これから、各機器に結合したミトキサントロンの量を決定した。リン酸緩衝生理食塩溶液中での1時間放出における660nmにおける吸光度は0.09であり、ミトキサントロンの完全放出に対する吸光度は0.17であった。これは、ステントに約31マイクログラムのミトキサントロンが結合していることと等しい。上記の結果から、ミトキサントロンの大部分は、生理的条件下でゆっくりと放出しやすいように、ステントに緊密に結合されていること、および再狭窄に繋がる細胞成長を遅延または阻害するのに有効な量の化合物を適用することができることが分かった。
【実施例2】
【0035】
第2段階まで(第2段階も含む)については実施例1に記載のようにして市販のステンレス鋼ステントを準備し、下記のようにポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩と結合させた。
【0036】
ポリ(アクリル酸)の結合
反応溶液Bは、150gの0.5重量%のポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩(GPCによる平均分子量2,000未満、ナトリウム含量0.6%、Sigma Aldrich Chemical Coにより60%の水溶液として提供)水溶液を調製することにより、準備した。溶液のpHは、0.1MのNaOH水溶液を添加することにより、5〜6の間に調整した。次に、0.21gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(Sigma Aldrich Chemical Co)を溶液に添加し、溶液を30分間放置して、使用可能状態にした。
【0037】
まだスピンドル上にあるTMSPEAで機能化した試料を、オーバーヘッド攪拌機に取り付け、反応容器B中に浸漬し、試料ホルダを約4時間回転させた。試料を1時間回転させながら脱イオン水でリンスした。リンス水は15分毎に交換した。リンス後の試料を排出させた。
【0038】
次に試料を実施例1の項目4のように処理したところ、5滴の1M HClを滴下した4mLのリン酸緩衝生理食塩溶液中で10分間放出させたときの660nmでの吸光度が0.037となった。この吸光度は、ステントに結合されたミトキサントロン7マイクログラムに相当する。上記の結果から、ポリアクリル酸は、カルボキシメチルセルロースの代替として使用可能であること、また有用な量のミトキサントロンまたは他の有用な材料をポリアクリル酸に結合させ得ることが実証された。
【実施例3】
【0039】
ステンレス鋼熱交換チューブを、実施例1の第2段階まで(第2段階含む)に記載したようにして準備し、下記のようにヘパリンと結合させた。
【0040】
ヘパリンの結合
反応溶液Cは、0.9gのヘパリン(ヘパリンナトリウム、USP/EP/JP凍結乾燥、Celsus Laboratories Inc,米国シンシナティ)を149.1gの脱イオン水に溶解することによって調製した。この溶液に、0.045gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(Sigma Aldrich Chemical Co)を加えた後、溶液を撹拌して添加された材料を溶解し、溶液のpHを1M HClで5〜6に調整した。pHを監視しながら溶液を30分間放置して、使用可能状態にした。
【0041】
まだスピンドル上にあるTMSPEAで機能化した試料を、オーバーヘッド攪拌機に取り付け、反応容器C中に浸漬し、試料ホルダを約4時間回転させた。試料を攪拌機を用いて1時間回転させながら脱イオン水でリンスした。リンス水は15分毎に交換した。リンス後の試料を排出させ、実施例1の項目4に記載のように処理して、下記のような放出値を得た。完全放出値は、ヘパリンで被覆した機器に結合したミトキサントロン31〜36マイクログラムに相当する。
【0042】
【表1】
【0043】
上記の実施例は、機能化された機器へのヘパリンの結合を実証するものである。
【実施例4】
【0044】
模擬ステントであるステンレス鋼熱交換チューブは、カルボキシメチルセルロース結合段階までは実施例1と同様にして準備し、その後、3つの濃度のブラノース7H3SXFを調製し(ブラノース7H3SXFの0.1重量%,0.05重量%および0.025重量%の溶液をそれぞれ150mLの体積で調製)、これに0.03%の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライドを添加し、それぞれ実施例1に記載のようにして酸性化した。それ以後は実施例1と同様の手順を行った。放出溶液の660nmにおける吸光度を測定し、較正グラフから、対応するミトキサントロンの結合量を決定した。値を下記の表に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
上記の結果から、ステントへ結合可能な活性化合物の量を相応して減らすことなく、粘度が低く、したがって、ステントの編目または他の隙間を均一に通過できるような良好な物理的特性を有する比較的低い濃度で、CMCを使用できることが判明した。
【実施例5】
【0047】
各処理(洗浄、機能化、およびカルボキシメチルセルロースの結合)後の試料を保持するステンレス鋼熱交換チューブに対して実施例1を繰り返した。これらの試料はいずれも、実施例1の項目4に記載のようにミトキサントロンで染色し、PBS中で1時間ミトキサントロンを放出させ、希塩酸を加えて10分間放出させ、UV/Vis分光光度計での吸光度を読み取った(下記の表を参照)。最終放出値は、較正図を用いて各機器あたりのミトキサントロンの量に変換した。下記の表の結果から、カルボキシメチルセルロースで処理した機器に対しては、薬物取り込みの有意な増加が見られることがわかる。
【0048】
【表3】
【0049】
上記の結果は、機能化とCMC結合処理の両方を行わない限り、活性材料は最小量しか結合しないことを示している。
【実施例6】
【0050】
試料(ステンレス鋼熱交換チューブ)を、ヘパリンの結合段階まで実施例3のようにして(機能化において反応時間を実施例1で使用した15分間ではなく、30分間とした以外)調製した。ヘパリンの結合は、下記の表に詳細に示すように、4つの異なるレベルの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(EDC)で実施した。
【0051】
実施例6のための反応溶液Cの組成
【表4】
【0052】
各反応は、実施例3の一般的な方法を用いて行い、ミトキサントロンの取り込みと放出を実施した。放出溶液の吸光度を用いて各機器に取り込まれたミトキサントロンの量を、下記の表に示すように決定した。
【0053】
【表5】
【0054】
上記の結果から、結合された機器によって取り込まれたミトキサントロンの量は、調べた範囲のEDC/ヘパリン比に対しては比較的鈍感であることが示された。
【0055】
TMSPEA機能化チューブを、反応の有効性を確認できるように、本実施例のプロセスの段階2の後で維持しておいた。これには、エオシンYナトリウム塩の溶液を用いて試料表面上のTMSPEAのアミン基と結合させて被覆率を可視化し、エオシンYの放出とその光度定量を用いて結合量を決定した。
【0056】
エオシンYの結合
試料を試験管(100×16mmのR.B.チューブ、清澄化ポリプロピレン、JanconsPLC)に入れ、約4〜6mLのエオシンYナトリウム塩の0.4%水溶液(Sigma Aldrich Chemical Co)中、Spiramix(Senley Spiramix5)上で約1時間回転させた後、洗浄液中に着色が見えなくなるまで脱イオン水で試料を何度かリンスした。目視では、チューブ比較的均一であり、中程度の桃色に着色していた。
【0057】
リンスが終了したところで、試料を50mLの試験管に入れ、4mLの0.1M NaOHをピペットで加え、試験管をSpiramix上に置いて、5分間未満回転させた。20mLの脱イオン水を溶液中にピペットで加え、得られた溶液の517nmにおける吸光度を分光光度計を用いて記録した。既知量のエオシンYナトリウム塩に対する吸光度読み取り値の較正グラフを用いることにより、上記吸光度値を試料に結合したエオシンYの量に変換した。放出溶液に対する吸光度読み取り値は、517nmにおいて0.83であり、これは205μgのエオシンYに相当する。
【0058】
上記の結果から、機能化工程は意図した通りに働いており、エオシンまたは機器に結合すべき他の材料によって、機器(ステントまたはチューブ)が均一に被覆されていることが分かった。
【実施例7】
【0059】
実施例6の反応溶液1において用いた組成物の結合段階において、市販のステントと、ヘパリン/EDC溶液を用いて実施例3を繰り返した。放出されたステントには、9マイクログラムのミトキサントロンが結合していた。チューブおよびステントが実用的に等価であることが確認された。
【試験例8】
【0060】
6つの試料(Polystanより市販されているステンレス鋼熱交換チューブ)を実施例1の項目1に記載のようにして洗浄した。試料を98gの(95%(v/v))エタノールに溶解した2mLのTMSPEA溶液中に洗浄し、磁気従動子を用いて3分間撹拌した。試料を取り出し、110℃の乾燥機中に10分間置いた。試料を乾燥機から取り出し、3つの試料を保存し、残りの3つの試料については、それぞれの溶媒中で試料を回転させるためにオーバーヘッド攪拌機に取り付けた適当なホルダを用いて、最初に(95%(v/v))エタノールで15分間リンスした後、脱イオン水で15分間リンスした。試料をエオシンYナトリウム塩を用いて処理し、後述するように表面に存在するあらゆるアミン官能基を着色させた。
【0061】
エオシンYの結合
6つの試料すべてを試験管に入れ(100×16mmのR.B.チューブ、清澄化ポリプロピレン、JanconsPLC)に入れ、約4〜6mLのエオシンYナトリウムエンの0.4%水溶液(Sigma Aldrich Chemical Co)中、Spiramix(Senley Spiramix5)上で約1時間回転させた。その後、洗浄液中に着色が見えなくなるまで脱イオン水で試料を何度かリンスした。
【0062】
リンスが終了したところで、エタノールでリンスしたものと、リンスしていないものからなる2組の試料を50mLの試験管に入れ、4mLの0.1M NaOHをピペットで加え、試験管をSpiramix上に置いて、5分間未満回転させた。20mLの脱イオン水を溶液中にピペットで加え、得られた溶液の517nmにおける吸光度をJenway6305UV/Vis分光光度計を用いて記録した。既知量のエオシンYナトリウム塩に対する吸光度読み取り値の較正グラフを用いることにより、上記記録値を試料に結合したエオシンYの量に変換した。残りの試料を目視検査したところ、エタノールでリンスした試料は、弱い着色の少数のパッチを有したパッチ状の着色を見せ、リンスしていない試料は、金属状に着色のパッチを有していた。
【0063】
【表6】
【0064】
リンスしていないチューブの値は、実施例6で見られたものと類似していたが、目に見えるパッチ状であった。米国特許第5356433号の実施例1の下地処理を説明することを目的とした上記の結果から、これらの条件下では有用な結合が得られず、明らかに結合している大多数の材料はゆるく結合しており、簡単なリンスによって除去されることが示された。
【実施例9】
【0065】
前述のものの代わりに、高分子量ポリアクリル酸塩(ポリアクリル酸、ナトリウム塩、平均分子量約30,000、Sigma Aldrich Chemical Co)を用い、また試料機器として熱交換チューブを用いて、実施例3を繰り返した。
【0066】
実施例3のようにミトキサントロンを完全に放出させた後、放出溶液に対して得られた660nmにおける吸光度の読み取り値は0.33であった。これは薬物60マイクログラムに相当する。このことから、様々なポリ(アクリル酸)の分子量を、有用な薬物結合レベルを得るためにプロセス中で用いることができることがわかる。
【実施例10】
【0067】
実施例1の項目1および2における方法に従って、市販のステンレス鋼ステントを洗浄した。
【0068】
次に以下のようにしてポリマー(DK01)を調製した。
DK01の合成方法
【表7】
1.PDMSBAP(5.00g)の無水トルエン(63.5g)溶液を調製した。
2.PPGTDI(1.00g)の無水トルエン(63.5g)溶液を調製した。
3.PPGTDIの溶液を、窒素の層の下、撹拌しながらPDMSBAPの溶液にゆっくりと加えた。
4.反応混合物を90分間混合させた後、(3−アミノプロピル)−トリメトキシシラン(0.75g)を添加した。
5.反応溶液をさらに1時間混合した。
DK01を生産するための反応を図1に示す。
【0069】
下地処理した表面の処理方法
乾燥させたステントを「DK01」ポリマーとコルヒチン(生物活性物質)の溶液(溶液A)中に浸漬し、ゆっくりと取り出し、溶液の均一な被膜を与えた。試料を最初に風乾してから、75℃の乾燥機中に21時間置いた。
【0070】
溶液A:0.20gのコルヒチン(Sigma−Aldrich Chemical Coより提供)を、2−プロパノール(Sigma−Aldrich Chemical Coより提供)中に溶解し、10.09gの溶液を得た。この溶液に、10.11gのDK01a溶液(トルエン中、5%)を添加し、混合溶液を得た。
【0071】
次に試料を脱イオン水中に30秒間浸漬し、過剰な水をティッシュで吸い取り、試料を50℃で30分間乾燥させた。
【0072】
図2は、基板表面上で起こっていると考えられることを模式的に示した図である。硬化の結果、ポリマーの反応性官能基は、機能化表面および分子上の他の官能基とも反応する。
【0073】
理論に制約されることを望むことなく、下地処理された表面上の未反応のトリメトキシシリル基は、加水分解してヒドロキシル基を与えると考えられる。そしてこれらが、該基と反応するポリマーDK01のトリメトキシシリル末端基に対する部位を提供する。好適さの低い代替として、ポリマーDK01は、下地処理されていない表面上のぶら下がったヒドロキシル基またはオキシド基と反応できるようである。
【0074】
薬物放出特性の試験方法
4mLのリン酸緩衝生理食塩溶液(Sigma−Aldrich Chemical Coによって供給される錠剤から、200mLの脱イオン水中に1錠を溶解して調製)を含むチューブ内にステントを入れ、回転により激しく撹拌した。生理食塩溶液を間隔をおいてサンプリングし、UV/Vis分光光度計を用いて350nmでの吸光度を監視することにより、コルヒチン含量を判定した。様々なコルヒチン濃度(4〜99マイクログラム)の溶液を、該溶液の350nmにおける吸光度に対してプロットした較正プロットを作成して、試料の放出吸光度を、ステントあたりの薬物放出値(マイクログラム)に変換した。放出時間に対して、放出されたコルヒチンをプロットしたグラフが図3に示されている。これより、DK01ポリマーは、コルヒチンの装填と持続放出に適した材料であることが実証された。
【実施例11】
【0075】
実施例1の項目1および2の方法に従って、市販のステンレス鋼ステントを洗浄し、機能化した。
【0076】
ポリマー(DK05)を下記のようにして調製した。
DK05の合成手順
【表8】
1.全てのガラス製品は使用前に完全に乾燥させておいた。
2.ビス(3−アミノプロピル)終結ポリ(ジメチルシロキサン)(17.5g)のトルエン(69mL)溶液を平底フラスコ中で調製し、窒素でパージした。溶液をポリマーが完全に溶解するまで混合した。
3.トリレンジイソシアネート終結ポリ(プロピレングリコール)(3.5g)のトルエン(69mL)溶液を平底フラスコ中で調製し、窒素でパージした。溶液をポリマーが完全に溶解するまで混合した。
4.三つ口フラスコに滴下漏斗と、磁気スターラーバーとを装備し、窒素を供給し、窒素出口にはグリセロールを充填したドレッセル瓶を装備した。
5.ビス(3−アミノプロピル)終結ポリ(ジメチルシロキサン)の溶液をフラスコに加え、トリレンジイソシアネート終結ポリ(プロピレングリコール)の溶液を滴下漏斗に加えた。
6.トリレンジイソシアネート終結ポリ(プロピレングリコール)の溶液を、ビス(3−アミノプロピル)終結ポリ(ジメチルシロキサン)の溶液にゆっくりと加え、さらに90分間混合し続けた。
7.得られたポリマー溶液をサバシール(Subaseal)を装備した平底フラスコ中、窒素雰囲気下で保存した。
DK05を生成するための反応を図4に示した。
【0077】
下地処理した表面の処理手順
DK05で表面を被覆し、反応性の末端基が機能化表面およびポリマー骨格内の基とも反応するように硬化させた。薬物は、ポリマーを薬物溶液で膨潤させ、被膜内に薬物が残るように溶媒を除去することによって装填した。このプロセスは図5に模式的に示されており、プロセスの詳細については以下に述べる。
【0078】
乾燥させた、機能化ステントをDK05の15%(重量%)トルエン溶液中に浸漬し、均一な被膜を与えるようにゆっくりと取り出した。試料をまず風乾してから、75℃の乾燥機中で24時間減圧下(−0.8mBar)乾燥させた。
【0079】
次に、2−プロパノールの3つのアリコート中に3×10分間浸漬し、2−プロパノール:脱イオン水(1:1(体積比))の3つのアリコート中に3×10分間浸漬することにより、ステントをリンスした。その後、ステントを75℃で24時間、減圧下(−0.8mBar)で乾燥させた。
【0080】
ポリマーで被覆したステントを、トルエン:2−プロパノール(1:1(体積比))に溶解した1%コルヒチン溶液中に、2時間未満の間置き、風乾させてから、75℃の乾燥機中で24時間、減圧(−0.8mBar)乾燥させた。その後ステントを脱イオン水中で1分間リンスし、75℃で2時間、減圧(−0.8mBar)乾燥させた。
【0081】
理論に制約されることを望むことなく、ポリマーのイソシアネート末端基は、下地処理層のアミン基と反応し、ポリマーを表面に共有結合させると考えられる。このことは、ポリマー構造全体ではなくポリマーの末端基を示した図6に示されている。
【0082】
下地処理層へのポリマーの繋留は、図7に示すようにポリマーの一方の末端基または両方の末端基が表面と反応できるために起こると考えられる。
【0083】
ステントを被覆したところで、被膜を75℃で24時間未満硬化させる。この硬化工程の間、イソシアネート末端基は、ポリマー鎖内の尿素基と反応し、これによりビウレット基を介しての架橋が起こる。このことを図8に示す。
【0084】
薬物放出の試験手順
(a)溶媒の個性の影響
1.8本のステンレス鋼熱交換チューブを前述のようにして機能化した。
2.チューブを、THFに溶解した5%DK05溶液中に浸漬し、75℃で一晩真空乾燥させた。
3.翌日、チューブをトルエン(15分間)、2−プロパノール(15分間)、脱イオン水(15分間)、2−プロパノール(5分間)でリンスした。チューブは室温で一晩乾燥させた。
4.被覆済みチューブのうちの4本を、2−プロパノールに溶解した1%コルヒチン溶液中に浸漬し、残りの4本は、2−プロパノール:トルエン(1:1)に溶解した1%コルヒチン溶液中に2時間浸漬した。
5.チューブを50℃で一晩乾燥させた後、脱イオン水中に30秒間浸漬し、50℃で2〜3時間再度乾燥させた。
6.各チューブを4mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中に入れ、激しく撹拌した。
7.PBS溶液をUV/VIS分光光度計を用いて間隔をおいて分析した。354nmにおける溶液の吸光度を測定し、この吸光度を、較正曲線を用いてチューブあたりに放出された薬物に変換した。チューブあたりに放出された薬物を、時間に対してプロットした結果を図9のグラフに示す。
【0085】
(b)生物活性物質の濃度の影響
1.8本のステンレス鋼熱交換チューブを前述のようにして機能化した。
2.チューブを、THFに溶解した5%DK05溶液中に浸漬し、75℃で一晩真空乾燥させた。
3.翌日、チューブをトルエン(15分間)、2−プロパノール(15分間)、脱イオン水(15分間)、2−プロパノール(5分間)でリンスした。チューブは50℃で2時間乾燥させた。
4.被覆済みチューブのうちの4本を、2−プロパノール:トルエン(1:1)に溶解した1%コルヒチン溶液中に浸漬し、残りの4本は、2−プロパノール:トルエン(1:1)に溶解した2%コルヒチン溶液中浸漬した。チューブは溶液中に2時間放置し、75℃で一晩真空乾燥させた。
5.チューブを脱イオン水中に1分間浸漬し、75℃で2.5時間真空乾燥させた。
6.各チューブを4mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中に入れ、激しく撹拌した。
7.PBS溶液をUV/VIS分光光度計を用いて間隔をおいて分析した。354nmにおける溶液の吸光度を測定し、この吸光度を、較正曲線を用いてチューブあたりに放出された薬物に変換した。チューブあたりに放出された薬物を、時間に対してプロットした結果を図10のグラフに示す。
【0086】
(c)被覆層の数の影響
1.8本のステンレス鋼熱交換チューブを前述のようにして機能化した。
2.チューブを、THFに溶解した5%DK05溶液中に浸漬し、75℃で2時間真空乾燥させた。
3.4本のチューブには、この段階でさらに追加の被膜を与え、全てのチューブは75℃で一晩真空乾燥させた。
4.翌日、チューブをトルエン(15分間)、2−プロパノール(15分間)、脱イオン水(15分間)、2−プロパノール(5分間)でリンスした。チューブは75℃で2時間真空乾燥させた。
5.次にチューブを2−プロパノール:トルエン(1:1)に溶解した1%コルヒチン溶液中に90分間浸漬した後、75℃で一晩真空乾燥させた。
6.チューブを脱イオン水中に1分間浸漬し、75℃で2.5時間真空乾燥させた。
7.各チューブを4mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中に入れ、激しく撹拌した。
8.PBS溶液をUV/VIS分光光度計を用いて間隔をおいて分析した。354nmにおける溶液の吸光度を測定し、この吸光度を、較正曲線を用いてチューブあたりに放出された薬物に変換した。チューブあたりに放出された薬物を、時間に対してプロットした結果を図11のグラフに示す。
【実施例12】
【0087】
ポリマー(DK08)は以下のようにして調製した。
DK08の合成手順
【表9】
1.(ビニルブチラール−ビニルアルコール−ビニルアセテート)共重合体(20g)を、三つ口丸底フラスコ中、50℃で一晩乾燥させた。
2.THF(172mL)をポリマーに加え、数時間の間溶解させた。
3.三つ口フラスコに温度計と、オーバーヘッド撹拌棒と、窒素供給機と、窒素出口にグリセロールで充填したドレッセル瓶とを装備した。フラスコを加熱マントル中に置いた。
4.窒素パージしながら溶液を撹拌しつつ、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート(7.2g)を加えた。
5.溶液を30〜40℃で1.5時間加熱した後、16時間は加熱を止め、その後、30〜40℃で6時間加熱した。
6.その後溶液を窒素下で保存した。
【0088】
(ビニルブチラール−ビニルアルコール−ビニルアセテート)共重合体は、ビニルアルコール単位のヒドロキシル基を3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートと反応させることによって修飾した。これにより、ポリマーにはぶら下がったトリエトキシシラン基が生まれ、この基が、表面上の任意のヒドロキシル基と反応できるか、あるいは他のポリマー鎖上の他のトリエトキシシラン基と架橋できるのである。反応スキームと考えられるものを図12に示した。
【0089】
生物活性物質は、被覆前にポリマーに混合することができる。これにより、ポリマーの表面上に生物活性物質を混合した乾燥被膜が得られる。ポリマー/生物活性物質被膜を水性媒体中に浸漬すると、生物活性物質は、被膜内に拡散し、生物活性物質を溶解して浸出させる水性媒体によって浸出される。
【実施例13】
【0090】
この系は、反応性の基がポリマー上にではなく表面上に存在しているという点で、上記他のものとは異なっている。薬物はポリマーに装填され、被覆は、ポリマーのヒドロキシル基と反応する表面上のトリエトキシシリル基を介した共有結合によって金属に繋留される。ポリマーが不活性であるので、ポリマーが被覆中に薬物と反応するという危険性はない。
【0091】
DK09の合成手順
1.ステンレス鋼板を2−プロパノール中で15分間、次に脱イオン水中で15分間超音波処理した後、130℃で一晩乾燥させた。
2.板を実施例2のようにして機能化した。
3.機能化した鋼上のアミノ基を3−(トリエトキシシリル)イソシアネートのイソシアノ基と反応させて、尿素結合を形成し、表面上にトリエトキシシリル基を作成した。このことは、ステンレス鋼板を、無水トルエン(219mL)に溶解した3−(トリエトキシシリル)イソシアネート(9mL)の溶液に加えることによって実施した。板をこの溶液に窒素層下で15分間、浸漬した。
4.その後、無水トルエン中で15分間板をリンスした後、デシケータ中で一晩真空保存した。
5.次に、1mgのラパマイシンを含む、2−ブタノンに溶解した(ビニルブチラール−ビニルアルコール−ビニルアセテート)共重合体の15重量%溶液10g中で板を浸漬被覆した。
6.板を75℃で一晩減圧乾燥した。
7.20mgの被膜をステンレス鋼板に加えたところ、13μgの薬物の存在が確認された。
【0092】
反応スキームと考えられるものを図13に示した。
【0093】
2−プロパノール中でステンレス鋼シートから被膜を剥がすことによって薬物が存在することが分かったが、リン酸緩衝生理食塩溶液中では被膜から薬物は全く放出されなかっった。
【実施例14】
【0094】
金属表面を実施例13のようにして処理するが、さらに親水性ポリマー(ポリ(エチレングリコール))の被膜を追加した。
【0095】
1.約6〜8mmの幅のステンレス鋼条片を、IPA中で15分間超音波洗浄した後、130℃で30分間乾燥させた。
2.板を実施例2のようにして機能化した。
3.機能化鋼上のアミノ基を、3−(トリエトキシシリル)イソシアネートのイソシアノ基と反応させて、尿素結合を形成し、表面上にトリエトキシシリル基を与えた。このことは、ステンレス鋼板に、無水トルエン(219mL)に溶解した3−(トリエトキシシリル)イソシアネート(9mL)の溶液に加えることによって実施した。板をこの溶液に窒素層下で15分間、浸漬した。
4.その後、無水トルエン中で15分間板をリンスした後、デシケータ中で一晩真空保存した。
5.2−ブタノンに溶解した(ビニルブチラール−ビニルアルコール−ビニルアセテート)共重合体の20%(重量%)溶液(溶液A)と、2−ブタノンに溶解したポリ(エチレングリコール)の10%(重量%)溶液(溶液B)とを調製した。
6.溶液Aと溶液B(4:1(重量比))からなる調合剤(溶液C)を調製し、30分間混合した。最終溶液は、15%(重量%)の濃度を有していた。
7.コルヒチン(30mg)を溶液C(2g)に添加し、5分間超音波処理して、溶液Dを得た。
8.機能化条片を溶液Dに浸漬し、均一な被膜を与えるように一定速度で取り出した。
9.被覆された条片を約15〜30秒間ホットプレート上に保持して、蒸発冷却を防いだ。
10.条片を30分間風乾させた。
11.条片を50℃の乾燥機中に1時間置いた。
12.条片を50℃、−800mBarの真空乾燥機中に1時間置いた。
13.各条片は水を一度交換しながら、脱イオン水で1分間リンスした。
14.4mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中に条片を入れ、スピロミックス上におき、100時間にわたって350nmでの吸光度を測定することにより、コルヒチンを放出させた。
15.この期間の終了時に、試料を超音波処理しながら2−プロパノール中に10分間おき、残りの薬物を放出させた。
典型的な条片のPBS溶液中での放出特性を図14に示した。2−プロパノール中での超音波処理後に放出された薬物の総量は、コルヒチン320μgであった。
【0096】
(ビニルブチラール−ビニルアルコール−ビニルアセテート)共重合体とコルヒチンから成り、ポリ(エチレングリコール)を含まない被覆は、リン酸緩衝生理食塩溶液中に薬物を放出しないことが分かっている。2−プロパノール中でステンレス鋼シートから被覆を剥がすことにより、薬物が被覆中に存在することが示された。ポリ(エチレングリコール)を加えることにより、被覆の親水性が高まり、被覆の薬物放出能を高めた。このことは、被覆の親水性/疎水性比の制御の仕方によって、薬物の放出動態を制御可能であることを実証している。
【実施例15】
【0097】
本実施例では、実施例6のように機能化層をエオシンY染色することにより、THFを実施例1の機能化工程2に適した非プロトン性溶媒として使用することを示す。
【0098】
洗浄
ステンレス鋼チューブを適当なホルダ上に置き、2−プロパノールを含む容器中に入れた。容器を超音波槽に入れ(英国カーディフのUltrawave Limitedによって供給されるUltrawaveU50)、15分間超音波処理した。試料を乾燥機中、130℃で16時間乾燥させた。
【0099】
機能化
機能化溶液として、トルエンの代わりに190gのテトラヒドロフラン(HPLCグレード、Sigam Aldrich Chemical Coより供給)を用いたことを除いては、試料を実施例1の項目2のように機能化し、機能化後には乾燥機中、50℃で24時間乾燥を行った。
【0100】
エオシンY染色
50℃で2時間乾燥させた後、試料をエオシンY溶液で染色して目視検査し、実施例6のエオシンYの結合の項に詳述したようにして放出させた。
放出溶液に対する吸光度の読み取り値は、517nmにおいて0.19であった。
このことは、テトラヒドロフランの非プロトン性機能化溶媒としての用途を実証している。
【図面の簡単な説明】
【0101】
(原文に記載なし)
Claims (41)
- 表面に酸化物または水酸化物を有する物品の処理方法であって、
酸触媒の存在下、非プロトン性有機溶媒中で、前記表面をアルコキシシランと接触させ、1つ以上のアミノ、ヒドロキシル、カルボン酸または酸無水物の基を含むアルコキシシラン分子を前記表面の酸化物または水酸化物と反応させて共有結合を形成することにより前記表面を下地処理する工程と、
前記アルコキシシランを介して、前記下地処理した表面に対しポリマーを共有結合させる工程とを含む方法。 - 表面を、式(RO)3Si(R1X)で表されるアルコキシシランによって下地処理する請求項1に記載の方法。
ここに、式中、Rは、メチル、エチルまたはプロピルを表し、R1は、1つ以上のメチレン基が−NH−または−O−、C2〜C10のシクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキル、C2〜C10のアラルキルまたは単環式もしくは二環式アリールによって置換されていてもよいC2〜C10のアルキルを表し、Xは、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、または酸無水物を表す。 - アルコキシシランは、R1が、1つ以上のメチレン基が任意で−NH−によって置換されているC2〜C10のアルキルを表し、XがNH2を表す化合物である、請求項2に記載の方法。
- アルコキシシランは、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−エチレンジアミンまたはN−(トリエトキシシリル)−エチレンジアミンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ポリマーは、2つのイソシアネート基を含むものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- イソシアネート基は、ポリマーのいずれか一方の末端にある、請求項5に記載の方法。
- 前記ポリマーは、1モルのジアミンと、2モルのジイソシアネートとの反応生成物であり、各アミン基がイソシアネート基と反応して尿素結合を形成しているものである、請求項5または6に記載の方法。
- 前記ジアミンは、下記の式Aのポリマーである、請求項7に記載の方法。
式A : H2N−(CH2)m−Si(R2)2−O−[Si(R2)2−O]n−Si(R2)2−(CH2)mNH2
ここに、式中、R2は、1〜30個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、ポリアルキレンオキシ基、またはハライド基を表し、
mは1〜12の数であり、
nは1〜5,000の数である。 - 前記イソシアネートは、下記の式Bのポリマーである、請求項7または8に記載の方法。
式B : OCN−R3−NHCO2−[CHR4CH2−O]p−CONH−R3−NCO
ここに、式中、R3は、1〜12個の炭素原子を有するアルキルまたはシクロアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基を表し、
R4は、水素、メチル、エチルまたはプロピルを表し、
pは1〜200,000の数である。 - R3はアルキルフェニルである、請求項9に記載の方法。
- 前記ポリマーは、少なくとも1つのペンダントアルコキシシラン基を含むものである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記ポリマーは、それぞれポリマーの各末端に1つずつ、2つのアルコキシシラン基を有するものである請求項12に記載の方法。
- 前記ポリマーは、ジイソシアネートと、式(RO)3Si(R1)NH2の分子との反応生成物である、請求項13に記載の方法。
ここに、式中、RおよびR1は請求項2において定義した通りである。 - 前記イソシアネートは、1モルのジアミンと2モルのジイソシアネートとの反応生成物であり、各アミン基がイソシアネート基と反応して尿素結合を形成しているものである、請求項14に記載の方法。
- 前記ジアミンは、請求項8で定義した式Aのポリマーであり、前記ジイソシアネートは、請求項9または10で定義した式Bのポリマーである、請求項15に記載の方法。
- Rはメチルであり、R1はプロピルである、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ポリマーは、
式C : NCO−R5−Si(OR6)3
(式中、R5は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表し、R6はメチルまたはエチルを表す)の分子と、
式D : H3C−(R7)x−(CHOHCH2)y−(CH2CHOCOR8)z−CH3
(式中、R7およびR8は、1〜6個の炭素原子からなるアルキルもしくはシクロアルキル、またはアリールまたはアルキルアリールを独立に表し、R7およびR8の1つ以上の炭素原子がO,SまたはN原子によって置換されていてもよく、x,yおよびzは1〜200,000の独立の数である)のポリマーとの反応生成物であり、式Cのイソシアネート基が式Dのヒドロキシル基と反応してウレタンを形成しているものである、請求項12に記載の方法。 - R5はプロピルであり、R6はエチルである、請求項18に記載の方法。
- R7は2−プロピル−4−メチル−1,3−ジオキサンを表し、R8はメチルを表す、請求項18または19に記載の方法。
- 式Dは、ビニルブチラール、ビニルアルコールおよびビニルアセテートのコポリマーである、請求項18に記載の方法。
- 前記ポリマーは、炭水化物、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、高度に分岐したポリマー、抗凝固剤、または抗増殖剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ポリマーはセルロース系である、請求項22に記載の方法。
- アルコキシシランはアミノ基を有し、ポリマーはカルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
- 前記ポリマーはヘパリンである、請求項22に記載の方法。
- 抗増殖剤はミトキサントロン、タキソール、放射性同位体でラベルされた材料である、請求項22に記載の方法。
- (a)アミノ基を有する前記アルコキシシランとの接触によって表面に下地処理をなし、
(b)下地処理された表面を、イソシアネート基およびペンダントアルコキシシラン基を有する分子と反応させ、イソシアネート基と前記アミノ基とを反応させて尿素結合を形成し、
(c)少なくとも1つのペンダントヒドロキシル基を有するポリマーを、ヒドロキシル基と前記ペンダントアルコキシシラン基との反応によって表面に共有結合させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 - 表面にアミノ基を有する物品の処理方法であって、この方法は、
(a)表面を、イソシアネート基およびペンダントアルコキシシラン基を有する分子と反応させ、イソシアネート基と前記アミノ基とを反応させて尿素結合を形成する工程と、
(b)少なくとも1つのペンダントヒドロキシル基を有するポリマーを、ヒドロキシル基と前記ペンダントアルコキシシラン基との間の反応によって表面に共有結合させる工程とを含む方法。 - イソシアネート基およびペンダントアルコキシシラン基を有する分子は、請求項18または19で定義した式Cのものである、請求項27または28に記載の方法。
- 少なくとも1つのペンダントヒドロキシル基を有するポリマーは、請求項18,20または21に定義した式Dのものである、請求項27〜29のいずれか1項に記載の方法。
- 表面にアミノ基を有する物品の処理方法であって、この方法は、
前記表面にポリマーを共有結合させる工程を含み、このポリマーは請求項5〜11のいずれか1項に定義したポリマーである、方法。 - 表面に酸化物または水酸化物を有する物品の処理方法であって、この方法は、
ポリマーを前記表面に共有結合させる工程を含み、
該ポリマーは、請求項12〜21のいずれか1項で定義した前記ポリマーであることを特徴とする方法。 - 生物活性化合物は、前記下地処理された表面に結合される前に、前記ポリマーと混合される、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ポリマーが表面に結合された後に、前記ポリマー内の官能基の間で架橋が形成される、請求項33に記載の方法。
- 前記ポリマーが表面に結合された後に、前記ポリマー内の官能基の間で架橋が形成され、次に、生物活性物質をポリマー被膜に取り込むために、ポリマー被膜が、生物活性化合物の溶液中で膨潤される、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
- 生物活性物質の放出特性は、表面被覆内に、親水性部分、疎水性部分、コポリマー部分、またはそれらの組み合わせを取り入れることによって制御される、請求項33〜35のいずれか1項に記載の方法。
- 前記生物活性物質は、抗増殖剤、免疫抑制剤、抗分裂剤、抗炎症剤、金属プロテアーゼ阻害剤、NOドナー、エストラジオール類、抗硬化症剤、遺伝子、細胞、アンチセンス薬、抗腫瘍薬、抗トロンビン薬、または遊走阻害剤である、請求項33〜36のいずれか1項に記載の方法。
- 前記生物活性物質は、コルヒチン、ラパマイシン、またはミトキサントロンである、請求項33〜36のいずれか1項に記載の方法。
- 物品は、ステンレス鋼またはニタノールからなる、請求項1〜38のいずれか1項に記載の方法。
- 物品は、冠状動脈ステントまたは末梢ステントである、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜40のいずれか1項に記載の処理方法を用いる、物品の製造方法。
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