以下、図面を参照して本発明の実施形態による通信システム及び通信機器装置について詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態による通信システム及び通信機器装置の概略構成を示す図である。図1に示す通り、本実施形態の通信システムは、ネットワーク網Nに接続された基地局Bを含んで構成され、通信機器装置としての携帯電話機10,20は基地局Bを介して無線通信により通信を行う。
尚、図1においては図示を簡略化しているが、基地局Bは互いに所定の距離(例えば、数キロメートル)離間して複数設けられており、各々の基地局BはネットワークNを介して相互に接続されている。また、図1においては、1つの基地局Bを介して携帯電話機10,20が無線通信により通信を行う様子を図示しているが、携帯電話機10,20が大きく離れて位置している場合(例えば、数キロメートル以上離間している場合)には、ネットワークNに接続された基地局Bの少なくとも2つ(例えば、携帯電話機10に最近接する基地局と携帯電話機20に最近接する基地局)を介して通信を行う。
また、携帯電話機10,20は、基地局Bとの間での無線通信による通信以外に、周辺(数メートル〜数十メートル程度)に電波(質問電波)を発信するとともに、他の携帯電話機から発信された質問電波を受信したときに自機に割り当てられたID(識別子)情報を発信する。また、周辺に位置する携帯電話機から発信されるその携帯電話機に割り当てられたID情報を受信する。ここで、ID情報とは、携帯電話機10,20にそれぞれ予め割り当てられており、携帯電話機毎に一意に定まる固有情報である。
図1に示した領域Rは、携帯電話機10から発信される質問電波を受信可能な領域であり、携帯電話機10の周辺に位置する携帯電話機のID情報を受信可能な領域(以下、ID情報受信可能領域という)である。図1に示す通り、ID情報受信可能領域R内に携帯電話機10以外の携帯電話機(携帯電話機20)が位置している場合には、携帯電話機10が質問電波を発信すると、携帯電話機20のID情報を受信することができる。携帯電話機10が発信する質問電波の出力を変化させることで、このID情報受信可能領域Rの大きさを可変することができる。尚、ID情報受信可能領域Rを可変することができる範囲は、例えば数メートルを単位として十数メートル程度の範囲である。また、質問電波を受信した携帯電話機は、発信するID情報が質問電波を発信した携帯電話機で確実に受信されるようにID情報を発信する。
尚、図1においては、携帯電話機10が周辺の携帯電話機のID情報を受信可能なID情報受信可能領域Rを実線で図示しているが、他の携帯電話機(例えば、携帯電話機20)についても同様のID情報受信可能領域R′が破線で図示されるように設定される。他の携帯電話機(例えば、携帯電話機20)のID情報受信可能領域内に携帯電話機10が位置している場合に、携帯電話機10が他の携帯電話機からの質問電波を受信すると、携帯電話機10は自機に割り当てられているID情報を発信する。
次に、携帯電話機10,20の構成について説明する。図2は、携帯電話機10の要部構成を示すブロック図である。尚、携帯電話機10と携帯電話機20とは同様の構成であるため、ここでは携帯電話機10の構成についてのみ説明し、携帯電話機20の構成については説明を省略する。図2に示す通り、携帯電話機10は、アンテナ11、無線通信部12、制御部13、音声入出力部14、記憶部15、操作部16、表示部17、アンテナ18、及びRFID(Radio Frequency-IDentification:電波方式認識)部19等を含んで構成される。
アンテナ11は、基地局Bからの電波を受信するとともに、基地局Bに向けて電波を送信する。無線通信部12はアンテナ11で受信された受信信号の検波、復調、周波数変換等を行って音声信号等の通信信号を制御部13に出力するとともに、制御部13から出力される音声信号等の通信信号の変調、周波数変換等を行って送信信号をアンテナ11に出力する。
制御部13は、無線通信部12から出力される音声信号に対して所定の処理を施して音声入出力部15に出力するとともに、音声入出力部14から出力される音声信号に対して所定の処理を施して無線通信部12に出力する。また、制御部13は、詳細は後述するが、RFID部19から出力される信号に基づいて他の携帯電話機が周辺に位置するか否かを判断し、周辺に位置すると判断した場合には、基地局Bと携帯電話機10との間で行われる通信を規制する。更に、制御部13は、RFID部19を介した携帯電話機10のID情報の発信、表示部17の表示内容の制御等の各種制御を行う。
音声入出力部14は、スピーカ部及びマイクロフォン部を含んで構成され、制御部13から出力される音声信号をスピーカー部に出力して音声に変換するとともに、マイクロフォン部で変換された音声信号を制御部13に出力する。記憶部15は、携帯電話機10に割り当てられたID情報、受信したメール、相手の電話番号及びメールアドレスからなるアドレス帳のデータ等を記憶する。尚、この記憶部15は、取り外し不可能なメインメモリと取り外し可能な外部メモリとから構成されるのが好適である。
操作部16は、通話キー、終話キー、テンキー、ソフトキー等の各種の操作キーを含んで構成され、ユーザによる操作内容に応じた信号を制御部13に出力する。表示部17は、液晶表示装置、有機EL表示装置等の表示装置を含んで構成され、制御部13から出力される信号に基づいた表示を行う。例えば、ユーザが発信を行う場合には、ユーザが操作部16を操作して入力した発信先の電話番号が表示部17に表示され、着信があった場合には着信番号が表示部17に表示され、メールの内容等が表示される。更に、制御部13が、携帯電話機10の周辺に他の携帯電話機が位置するか否かの判断を行った場合には、その判断結果が表示部17に表示される。
アンテナ18は、携帯電話機10の周辺に質問電波を発信するとともに、周辺に位置する他の携帯電話機からこの質問電波に対する応答として発信されたID情報を受信してRFID部19に出力する。また、アンテナ18は、他の携帯電話機からの質問電波を受信してRFID部19に出力するとともに、この質問電波に対する応答としてRFID部19からID情報が出力された場合には、このID情報を電波に乗せて発信する。RFID部19は、制御部13の制御の下で、質問電波の発信・受信、ID情報の発信・受信を行う。
次に、上記構成における本発明の通信システム及び通信機器装置の動作について説明する。本実施形態の通信システム及び通信機器装置は、発信時又は着信時に、発信先の相手方の携帯電話機が周辺に位置するか否か、又は自機に発信した携帯電話機が周辺に位置するか否かを判断する動作を行う。この動作は、1人(1つの通信機器装置)を相手として発信する場合の動作、着信があった場合の動作、及び複数人(複数の通信機器装置)を相手として発信する場合の動作に大別される。以下、これらの各場合の動作について順に説明する。
〔1人を相手として発信する場合の動作〕
図3は携帯電話機を用いて1人の相手に発信する場合に行われる処理を示すフローチャートであり、図4は1人の相手への発信時における携帯電話機の表示部の表示内容の遷移を示す図である。尚、以下の説明では、図1に示す通り携帯電話機10を用いて携帯電話機20に発信する場合を例に挙げて説明する。また、携帯電話機10の周辺(数メートル〜数十メートル程度)には、携帯電話機20が位置しているとする。
ユーザが携帯電話機10の操作部16に設けられたテンキーを操作して携帯電話機20の電話番号を入力し、又はアドレス帳の機能を利用して携帯電話機20のユーザ(電話番号)を特定すると、図4(a)に示す通り、携帯電話機10の表示部17には携帯電話機20のユーザ名「UserA」及び発信ボタンB1が表示される。次に、ユーザが操作部16に設けられた通話キーを押圧し、又はソフトキー等を操作して発信ボタンB1を押圧すると、通常は携帯電話機10から基地局Bへの発信動作が行われる訳であるが、本実施形態では発信動作が一時的に規制される。
発信動作が一時的に規制されている状態で、制御部13は、発信先の電話番号をキーとして記憶部15を検索し、その電話番号に対応するID情報(通信機器固有情報)を取得する(ステップS11)。尚、ここで取得されるID情報を、便宜上「ID情報A」という。ID情報Aを取得すると、制御部13は、RFID部19を制御して、アンテナ18を介して質問電波を周辺に発信し、携帯電話機10の周辺に位置する携帯電話機(周辺通信機器装置)のID情報(周辺機器固有情報)を受信する(ステップS12)。
尚、携帯電話機10の周辺には複数の携帯電話機20以外に他の携帯電話機が位置することもあるため、複数のID情報が受信されることがある。このため、ここで受信されるID情報を、便宜上「ID情報B群」という。ステップS12の処理が行われている最中は、図4(b)に示す通り、携帯電話機20からのID情報を受信している旨を示す「UserA 受信中」なる表示が表示部17においてなされる。
ステップS12の処理が終了すると、制御部13は、ステップS11で取得したID情報Aが、ステップS12で受信したID情報B群に含まれるか否かを判断する(ステップS13)。この判断結果が「NO」である場合(ID情報AがID情報B群に含まれない場合(携帯電話機20のID情報が受信されなかった場合を含む))には、ユーザへID情報Aが見つからなかった旨を通知する(ステップS14)。例えば、図4(d)に示す通り、表示部17にID情報の受信結果として「UserAは見つかりませんでした」なる表示を行う。
かかる表示を一定時間(例えば、数秒)行うと、制御部13は、ステップS11の前に一時的に規制した発信動作を自動的に解除し、発信動作を開始する(ステップS15)。発信動作が行われると、携帯電話機10の表示部17には、例えば図4(f)に示す通り、「UserAを呼出中…」なる表示がなされる。発信動作が行われた後は、従来の携帯電話機と同様の処理(通話処理、切断処理等の処理)が行われる。尚、発信処理及び通話処理の終了後に、発信先のID情報が受信されたか否かの結果を発信履歴に追加しても良い。
一方、ステップS13の判断結果が「YES」の場合、即ち携帯電話機10の周辺(ID情報受信可能領域R)に携帯電話機20が位置しており、携帯電話機20のID情報を受信している場合には、制御部13はユーザへID情報Aが見つかった旨を通知する(ステップS16)。例えば、図4(c)に示す通り、表示部17にID情報の受信結果として「UserAは見つかりました」なる表示を行い、通信相手である携帯電話機20が周辺に位置することを報知する。また、かかる表示とともに、その相手への発信を行うか否かを確認する旨の「発信しますか?」なる表示と、「はい」ボタンB2及び「いいえ」ボタンB3とが表示される。
かかる表示を行うと、制御部13は、ユーザによって「はい」ボタンB2及び「いいえ」ボタンB3の何れが押圧されたか否か、つまりID情報Aを持つ携帯電話機20に発信を行うか否かを判断する(ステップS17)。ユーザによって「はい」ボタンB2が押圧されると、ステップS17の判断結果は「YES」となり、制御部13は、ステップS11の前に一時的に規制した発信動作を自動的に解除し、発信動作を開始する(ステップS15)。
発信動作が行われると、携帯電話機10の表示部17には、例えば図4(f)に示す通り、「UserAを呼出中…」なる表示がなされる。発信動作が行われた後は、従来の携帯電話機と同様の処理(通話処理、切断処理等の処理)が行われる。尚、発信処理及び通話処理の終了後に、発信先のID情報が受信されたか否かの結果を発信履歴に追加しても良い。一方、ユーザによって「いいえ」ボタンB3が押圧されると、一時的に規制した発信動作が停止されて、携帯電話機10の表示部17には、図4(e)に示す通り、通常の待ち受け画面が表示される。
このように、ステップS13の判断結果が「YES」となり、携帯電話機10と携帯電話機20とが互いに周辺に位置している場合には、ステップS11の前に行われた発信動作の一時的な規制が継続されることとなり、携帯電話機10から周辺に位置する携帯電話機20への発信が規制され、ステップS13の判断結果が「NO」となり、携帯電話機10と携帯電話機20とが互いに周辺に位置していない場合には、ステップS11の前に行われた発信動作の一時的な規制が解除されて、携帯電話機10から周辺に位置する携帯電話機20への発信が許可される。
そして、携帯電話機10と携帯電話機20とが互いに周辺に位置しており、携帯電話機10から周辺に位置する携帯電話機20への発信が規制される場合には、携帯電話機10の表示部17に「発信しますか?」との表示がなされることにより、携帯電話機10の使用者へ発信規制(通信規制)が行われていることが報知される。また、携帯電話機10の表示部17に「発信しますか?」との表示がなされて、発信規制が行われる際に、「はい」ボタンB2又は「いいえ」ボタンB3の何れかを押圧することによって、発信規制(通信規制)を行う(継続する)のか否かを選択可能に構成されている。
〔着信があった場合の動作〕
図5は携帯電話機への着信時に行われる処理を示すフローチャートであり、図6は着信時における携帯電話機の表示部の表示内容の遷移を示す図である。尚、以下の説明では、図1に示す通り携帯電話機20から携帯電話機10への着信がある場合を例に挙げて説明する。また、携帯電話機10の周辺(数メートル〜数十メートル程度)には、携帯電話機20が位置しているとする。
携帯電話機20から携帯電話機10への着信がある前は、携帯電話機10の表示部17には、図6(a)に示す通り、通常の待ち受け画面が表示されている。携帯電話機20から携帯電話機10へ着信があると、携帯電話機10の制御部13は、着信元(携帯電話機20)の電話番号を取得する(ステップS21)。次いで、ステップS21で取得した電話番号をキーとして記憶部15を検索し、その電話番号に対応するID情報を取得する(ステップS22)。尚、ここで取得されるID情報を、便宜上「ID情報A」という。
ID情報Aを取得すると、制御部13は、RFID部19を制御して、アンテナ18を介して質問電波を周辺に発信し、携帯電話機10の周辺に位置する携帯電話機のID情報を受信する(ステップS23)。この処理を行っている最中においては、携帯電話機10の表示部17には、図6(b)に示す通り、携帯電話機20のユーザ(UserA)からの着信があった旨を示す「UserAから着信中」なる表示が行われるとともに、周辺に位置する携帯電話機からID情報を受信中である旨を示す「ID情報検索中」なる表示が行われる。尚、携帯電話機10の周辺には複数の携帯電話機20以外に他の携帯電話機が位置することもあるため、複数のID情報が受信されることがある。このため、ここで受信されるID情報を、便宜上「ID情報B群」という。
ステップS23の処理が終了すると、制御部13は、ステップS22で取得したID情報Aが、ステップS23で受信したID情報B群に含まれるか否かを判断する(ステップS24)。この判断結果が「NO」である場合(ID情報AがID情報B群に含まれない場合(携帯電話機20のID情報が受信されなかった場合を含む))には、ユーザへID情報Aが見つからなかった旨を通知する(ステップS25)。例えば、図6(d)に示す通り、表示部17に「UserAから着信中」なる表示とともに、ID情報の受信結果として「UserAは見つかりませんでした」なる表示を行う。更に、これらの表示とともに、相手からの着信への応答を行うか否かを指示するための、「応答」ボタンB4及び「応答しない」ボタンB5とが表示される。
かかる表示を行うと、制御部13は、ユーザによって「応答」ボタンB4及び「応答しない」ボタンB5の何れが押圧されたか否か、つまり着信に応答するか否かを判断する(ステップS26)。ユーザによって「応答」ボタンB4が押圧されると、ステップS26の判断結果は「YES」となり、制御部13は、図6(f)に示す通り「UserAと通話中」なる表示を表示部17に行うとともに、通話動作を開始する制御を行う。一方、ユーザによって「応答しない」ボタンB5が押圧されると、制御部13は、着信に応答せず又は着信を切って、図6(e)に示す通り表示部に通常の待ち受け画面を表示する。尚、着信処理又は通話処理の終了後に、発信先のID情報が受信されたか否かの結果を着信履歴に追加しても良い。
他方、ステップS24の判断結果が「YES」である場合には、ユーザへID情報Aが見つかった旨を通知する(ステップS27)。例えば、図6(c)に示す通り、表示部17に「UserAから着信中」なる表示とともに、ID情報の受信結果として「UserAは見つかりました」なる表示を行い、通信相手である携帯電話機20が周辺に位置することを報知する。更に、これらの表示とともに、相手からの着信への応答を行うか否かを指示するための、「応答」ボタンB4及び「応答しない」ボタンB5とが表示される。
かかる表示を行うと、制御部13は、ユーザによって「応答」ボタンB4及び「応答しない」ボタンB5の何れが押圧されたか否か、つまり着信に応答するか否かを判断する(ステップS26)。ユーザによって「応答」ボタンB4が押圧されると、ステップS26の判断結果は「YES」となり、制御部13は、図6(f)に示す通り「UserAと通話中」なる表示を表示部17に行うとともに、通話動作を開始する制御を行う。一方、ユーザによって「応答しない」ボタンB5が押圧されると、制御部13は、着信に応答せず又は着信を切って、図6(e)に示す通り表示部に通常の待ち受け画面を表示する。尚、着信処理又は通話処理の終了後に、発信先のID情報が受信されたか否かの結果を着信履歴に追加しても良い。
〔複数人を相手として発信する場合の動作〕
図7は携帯電話機を用いて複数人を相手として発信する場合に行われる処理を示すフローチャートであり、図8は複数人を相手とした発信時における携帯電話機の表示部の表示内容の遷移を示す図である。尚、以下の説明では、図1に示す携帯電話機10を用いて不図示の複数の携帯電話機に発信する場合を例に挙げて説明する
ユーザが携帯電話機10の操作部16に設けられたテンキーを操作して通話相手の携帯電話機の電話番号を複数入力し、又はアドレス帳の機能を利用して通話相手を複数特定すると、図8(a)に示す通り、携帯電話機10の表示部17にはユーザによって特定された複数のユーザ名(ここでは、「UserA」〜「UserE」)及び発信ボタンB6が表示される。次に、ユーザが操作部16に設けられた通話キーを押圧し、又はソフトキー等を操作して発信ボタンB6を押圧すると発信動作が一時的に規制される。
発信動作が一時的に規制されている状態で、制御部13は、発信先の電話番号をキーとして記憶部15を検索し、発信する複数の電話番号に対応するID情報を取得する(ステップS31)。尚、ここで取得される複数のID情報を、便宜上「ID情報A群」という。ID情報A群を取得すると、制御部13は、〔1人を相手として発信する場合の動作〕と同様に、RFID部19を制御して、アンテナ18を介して質問電波を周辺に発信し、携帯電話機10の周辺に位置する携帯電話機のID情報を受信する(ステップS32)。尚、ここで受信されるID情報を、便宜上「ID情報B群」という。
ステップS32の処理が行われている最中は、図8(b)に示す通り、ユーザにより特定された複数の相手の各々が所持する携帯電話機からのID情報を受信している旨を示す「UserA 受信中」〜「UserE 受信中」なる表示が表示部17においてなされる。ステップS32の処理が終了すると、制御部13は、ステップS31で取得したID情報A群が、ステップS32で受信したID情報B群に全て含まれるか否かを判断する(ステップS33)。この判断結果が「NO」である場合(ID情報A群のうちID情報B群に含まれないものがある場合)には、ユーザへID情報A群の検索結果の一覧が通知される(ステップS34)。
例えば、「UserA」〜「UserE」のうちの「UserB」,「UserD」が所持する携帯電話機からのID情報のみを受信できなかった場合には、図8(d)に示す通り、表示部17にID情報A群の検索結果の一覧として、「UserB は見つかりませんでした」,「UserD は見つかりませんでした」と表示される。一方、ID情報が受信された「UserA」,「UserC」,「UserE」に対しては、「UserA は見つかりました」,「UserC は見つかりました」,「UserE は見つかりました」なる表示がそれぞれなされる。検索結果の一覧を表示する場合には、図8(d)に示す通り、ID情報A群のうちのID情報B群に含まれないもの(「UserB」,「UserD」)と、含まれるもの(「UserA」,「UserC」,「UserE」)とをそれぞれまとめて表示し、ID情報A群のうちのID情報B群に含まれないものを含まれるものよりも優先して先に(表示部17の上方)に表示することが望ましい。
以上の表示がなされると、制御部13は、ID情報B群に含まれていないID情報A群(図8に示す例では、「UserB」,「UserD」)に対して優先的に発信可能とする制御を行う(ステップS35)。例えば、図8(f)に示す通り、「〜は見つかりませんでした」なる表示がなされている部分の少なくとも何れか1つをハイライト表示又は反転表示し、「〜は見つかりませんでした」なる表示がなされている部分のみを選択可能とする制御を行う。これにより、「〜は見つかりませんでした」なる表示がなされている部分に表示されているユーザへの発信が許可されることになる。尚、ここでは、「〜は見つかりませんでした」なる表示がなされている部分のみを選択可能とする場合を例に挙げて説明するが、「〜は見つかりました」なる表示がなされている部分の選択も可能としても良い。
ユーザが操作部16を操作して「〜は見つかりませんでした」なる表示がなされている部分の何れか1つを選択すると、選択されたユーザに対する発信動作が行われる。発信動作が行われると、携帯電話機10の表示部17には、例えば図8(h)に示す通り「呼出中」なる表示がなされる。そして、選択した相手が電話にでると携帯電話機10と相手が所持する携帯電話とが通話中になる(ステップS36)。
通話が行われている最中は、現在通話中の相手との通話が終了したか否かが判断される(ステップS37)。この判断結果が「NO」である場合には通話が継続される(ステップS36)。一方、ステップS37の判断結果が「YES」である場合には、制御部13は、ID情報A群を更新する処理を行う(ステップS38)。具体的には、ステップS36で通話を行ったユーザが所持する携帯電話機のID情報をID情報A群から除外する処理を行う。次に、携帯電話機10の制御部13は、ID情報A群にID情報が含まれるか否かを判断する(ステップS39)。この判断結果が「NO」の場合には一連の処理は終了する。一方、ステップS39の判断結果が「YES」の場合には、処理はステップS32に戻り、再び携帯電話機10の周辺に位置する携帯電話機のID情報を受信する処理が行われる。
他方、ステップS33の判断結果が「YES」の場合、即ちステップS31で取得したID情報A群がステップS32で受信したID情報B群に全て含まれる場合には、ユーザへID情報A群の検索結果の一覧が通知される(ステップS40)。このときには、例えば図8(c)に示す通り、表示部17にID情報A群の検索結果の一覧として、「UserA は見つかりました」〜「UserE は見つかりました」が表示され、更に、検索された相手への発信を行うか否かを確認する旨の「発信しますか?」なる表示と、「はい」ボタンB7及び「いいえ」ボタンB8とが表示される。
かかる表示がなされている状態で、制御部13は、ユーザによって「はい」ボタンB7及び「いいえ」の何れが押圧されたか否か、即ちID情報A群の何れかに発信するか否かを判断する(ステップS41)。ユーザによって「はい」ボタンB7が押圧されると、ステップS41の判断結果は「YES」となり、制御部13は、図8(e)に示す通り、携帯電話機10の表示部17に対して「はい」ボタンB7及び「いいえ」ボタンB8を消去させるとともに「発信開始」ボタンB9を表示させ、更に「〜は見つかりました」なる表示がなされている部分の少なくとも何れか1つをハイライト表示又は反転表示させる制御を行う。これにより、「UserA」〜「UserE」のうちの何れかを選択して発信可能な状態になる。
図8(e)に示す表示がなされている状態で、ユーザが操作部16を操作して「〜は見つかりました」なる表示がなされている部分の少なくとも何れか1つを選択すると、選択されたユーザに対する発信動作が行われる。発信動作が行われると、携帯電話機10の表示部17には、例えば図8(h)に示す通り「呼出中」なる表示がなされる。そして、選択した相手が電話にでると携帯電話機10と相手が所持する携帯電話とが通話中になる(ステップS36)。
携帯電話機10の表示部17に、図8(c)に示す表示がなされている状態で、ユーザによって「いいえ」ボタンB8が押圧されると、ステップS41の判断結果は「NO」となる。これにより、一時的に規制した発信動作が停止されて、携帯電話機10の表示部17には、図8(g)に示す通り、通常の待ち受け画面が表示され、一連の処理が終了する。
以上説明した通り、1人の相手に発信する場合及び複数人を相手として発信する場合の何れも、ユーザが通話キーを操作すると一時的に発信動作が停止されて周辺に相手の携帯電話機が位置するか否かが検索され、周辺に位置すると判断された場合にはその携帯電話機へ発信するか否かを選択可能としている。このため、例えば、相手の携帯電話機が近くに位置していると判断された場合には、ユーザの選択により発信動作を停止させることができ、これにより通信システムのリソースの無駄な消費及び通信コストの浪費を抑えることができる。また、複数人を相手として発信する場合には、検索されなかった相手の携帯電話機へ優先的に発信可能としているため、効率的に連絡をとることができる。
また、着信があった場合には、着信元(携帯電話機20)が周辺に位置するか否かを判断し、この判断結果に基づいてユーザが着信に応答するか否かを選択可能としている。これにより、相手の携帯電話機が近くに位置していると判断された場合には、ユーザが着信に応答しないことで着信が規制されて通信システムのリソースの無駄な消費及び通信コストの浪費を抑えることができる。
以上、本発明の実施形態による通信システム及び通信機器装置の動作について説明したが、次に周辺に位置する携帯電話機のID情報を受信することにより、周辺の携帯電話機を検索する動作(以下、ID情報受信動作という)について詳細に説明する。尚、ID情報受信動作は、図3中のステップS12、図5中のステップS23、図7中のステップS32で行われる動作である。ID情報受信動作は、検索範囲を固定して検索する動作(固定動作)と、検索範囲を可変して検索する動作(自動動作)とに大別される。固定動作では質問電波の電波強度が固定され、自動動作では質問電波の電波強度が可変される。以下、これらの各動作についてそれぞれ説明する。
図9は、ID情報受信動作の詳細を示すフローチャートである。尚、上述した通り、ID情報受信動作は、図3中のステップS12、図5中のステップS23、図7中のステップS32で行われる動作であるが、以下の説明では発信時に行われるID情報受信動作、即ち図3中のステップS12、図7中のステップS32で行われるID情報受信動作を例に挙げて説明する。
図9に示すフローチャートは、ユーザが固定動作を選択した場合と、自動動作を選択した場合とに大別される。ユーザにより固定動作を行う旨が予め設定されている場合には、制御部13は固定動作を選択する(ステップS51)。そして、固定動作のための各種初期設定を行う(ステップS52)。ここで行われる初期設定は、例えば検索範囲の設定(質問電波の電波強度の設定)、ID情報を受信する受信時間等である。これらは予めユーザによって設定されており、ステップS52ではユーザの設定内容を初期値とする処理が行われる。
以上の初期設定が終了すると、制御部13はRFID部19を制御してアンテナ18から質問電波を発信させるとともに、受信時間のカウントを開始する(ステップS53)。次に、制御部13は、受信時間のカウント値がステップS52で設定した受信時間を越えているか否かを判断する(ステップS54)。この判断結果が「NO」の場合には、受信したID情報に発信先の相手が含まれるときには、その発信先の相手の情報を更新する(ステップS55)。例えば、その発信先の相手の情報をID情報が受信された旨が含まれる情報に更新する。一方、ステップS54の判断結果が「YES」である場合には、制御部13はID情報受信処理を終了する。
他方、ユーザにより自動動作を行う旨が予め設定されている場合には、制御部13は自動動作を選択する(ステップS61)。そして、自動動作のための各種初期設定を行う(ステップS62)。ここで行われる初期設定は、例えば検索範囲の設定(質問電波の最大電波強度Smaxの設定、発信強度を可変させる刻み値d)、ID情報を受信する受信時間等である。これらは予めユーザによって設定されており、ステップS62ではユーザの設定内容を初期値とする処理が行われる。
以上の初期設定が終了すると、制御部13はRFID部19を制御してアンテナ18から質問電波を発信させるとともに、受信時間のカウントを開始する(ステップS63)。尚、質問電波の発信強度Ssendの初期値は最大強度Smaxに設定されているものとする。次に、制御部13は、受信時間のカウント値がステップS62で設定した受信時間を越えているか否かを判断する(ステップS64)。この判断結果が「NO」の場合には、発信する質問電波の電波強度Ssendが「0」よりも大であるか否かを判断する(ステップS65)。
ステップS65の判断結果が「YES」の場合には、周辺の携帯電話機からID情報を受信する(ステップS66)。次に、制御部13は、ステップS66で受信したID情報に発信先の携帯電話機のID情報が含まれるか否かを判断する(ステップS67)。この判断結果が「YES」の場合には、ID情報の発信先の相手の情報を更新する(ステップS68)。例えば、その発信先の相手の情報をID情報が受信された旨が含まれる情報に更新する。次いで、制御部13は、発信する質問電波の電波強度を更新する制御を行う(ステップS69)。具体的には、質問電波の発信強度Ssendを、現在の質問電波の発信強度Ssendから刻み値dを減算した強度に更新する。以上の処理が終了すると、ステップS64に戻る。
一方、ステップS65における判断結果が「NO」の場合(発信する質問電波の電波強度Ssendが「0」以下である場合)、又はステップS67の判断結果が「NO」の場合(ステップS66で受信したID情報に発信先の携帯電話機のID情報が含まれていない場合)には、発信する質問電波の電波強度を初期化する(ステップS70)。具体的には、発信する質問電波の電波強度Ssendを最大強度Smaxに設定する。この処理が終了すると、ステップS66の処理に進む。他方、ステップS64の判断結果が「YES」の場合、つまり受信時間のカウント値がステップS62で設定した受信時間を越えている場合には、ID情報受信動作処理は終了する。
次に、図9に示したフローチャートのうちの自動動作の具体例について説明する。図10は、自動動作の第1例を説明するための図である。いま、図1中の携帯電話機10が図10(a)中において符号Aが付された星印の位置に配置されているとする。また、携帯電話機10の周囲であって、図10(a)中の符号B〜Fが付された星印の位置に発信先の他の5つの携帯電話が配置されているとする。ここで、携帯電話機10の質問電波の電波強度は、図10(b)に示す通りS1,S2,S3(S1<S2<S3)の範囲で変化し、各々の電波強度S1,S2,S3での検索範囲は、図10(a)中において符号s1,s2,s3を付した円で示す範囲であるとする。
図9に示したフローチャートの自動動作が開始されると、ステップS62において携帯電話機10の質問電波の電波強度が最大強度Smax(S3)に設定され、ステップS66において図10(a)中の符号s3を付した検索範囲内が検索される(図10(b)中の時刻t0〜t1)。この検索により、図10(a)中において符号Aが付された星印の位置にある携帯電話機10は、符号s3が付された検索範囲内に位置する携帯電話機からのID情報を受信する。つまり、符号B,D,E,Fが付された星印の位置にある携帯電話機からのID情報を受信し、符号Cが付された星印の位置にある携帯電話機からのID情報は受信できない。
これらのID情報を受信すると、ステップS67,S68の処理を順に経て、ステップS69において携帯電話機10の質問電波の電波強度はS2に設定される。この設定後、ステップS64,S65を順に経てステップS66において図10(a)中の符号s2を付した検索範囲内が検索される(図10(b)中の時刻t1〜t2)。この検索により、図10(a)中において符号Aが付された星印の位置にある携帯電話機10は、符号s2が付された検索範囲内に位置する携帯電話機、即ち符号B,E,Fが付された星印の位置にある携帯電話機からのID情報を受信する。以上の検索結果から、携帯電話機10の制御部13は、符号Dが付された携帯電話機は、符号s3を付した検索範囲内であって符号s2を付した検索範囲外に位置していると判断することができる。
以上の処理が終了すると、再度ステップS69において携帯電話機10の質問電波の電波強度が更新されてS1に設定される。そして、ステップS66において図10(a)中の符号s1を付した検索範囲内が検索される(図10(b)中の時刻t2〜t3)。この検索により、図10(a)中において符号Aが付された星印の位置にある携帯電話機10は、符号s1が付された検索範囲内に位置する携帯電話機、即ち符号Eが付された星印の位置にある携帯電話機のみからのID情報を受信する。以上の検索結果から、携帯電話機10の制御部13は、符号D,Fが付された携帯電話機は、符号s2を付した検索範囲内であって符号s1を付した検索範囲外に位置し、符号Eが付された携帯電話機は、符号s1を付した検索範囲内に位置していると判断することができる。
次いで、ステップS69において携帯電話機10の質問電波の電波強度が更新されるが、質問電波の強度は「0」以下になる。これにより、ステップS65の判断結果が「NO」となって、ステップS70において発信する質問電波の電波強度が初期化され、その後ステップS66で符号s3が付された検索範囲内が検索される(図10(b)中の時刻t3〜t4)。以上の処理は、指定された受信時間を越えるまで(ステップS64の判断結果が「YES」になるまで)行われる。以上の処理によって、図10(c)に示す通り、発信先の携帯電話機がどの程度の距離範囲に位置しているかを示すテーブルを得ることができる。尚、テーブルの順番は、ID情報を受信できなかったものを最上位に配置し、次に距離が遠い順に並べる。
図11は、自動動作の第2例を説明するための図である。図11においても図10と同様に、図1中の携帯電話機10が図11(a)中において符号Aが付された星印の位置に配置されているとする。また、携帯電話機10の周囲であって、図11(a)中の符号B〜Fが付された星印の位置に発信先の他の5つの携帯電話が配置されているとする。更に、携帯電話機10の質問電波の電波強度は、図11(b)に示す通りS1,S2,S3(S1<S2<S3)の範囲で変化し、各々の電波強度S1,S2,S3での検索範囲は、図11(a)中において符号s1,s2,s3を付した円で示す範囲であるとする。
図9に示したフローチャートの自動動作が開始されると、ステップS62において携帯電話機10の質問電波の電波強度が最大強度Smax(S3)に設定され、ステップS66において図11(a)中の符号s3を付した検索範囲内が検索される(図11(b)中の時刻t0〜t1)。この検索により、図11(a)中において符号Aが付された星印の位置にある携帯電話機10は、符号s3が付された検索範囲内に位置する携帯電話機からのID情報を受信する。つまり、符号D,E,Fが付された星印の位置にある携帯電話機からのID情報を受信し、符号B,Cが付された星印の位置にある携帯電話機からのID情報は受信できない。
これらのID情報を受信すると、ステップS67,S68の処理を順に経て、ステップS69において携帯電話機10の質問電波の電波強度はS2に設定される。この設定後、ステップS64,S65を順に経てステップS66において図11(a)中の符号s2を付した検索範囲内が検索される(図11(b)中の時刻t1〜t2)。図11(a)に示す通り、符号s2が付された検索範囲内には他の携帯電話機が位置していないため、携帯電話機10はID情報を受信できない。以上の処理により、携帯電話機10の制御部13は、制御部13は、符号D,E,Fが付された携帯電話機は、符号s3を付した検索範囲内であって符号s3を付した検索範囲外に位置し、符号B,Cが付された携帯電話機は、符号s3を付した検索範囲外に位置していると判断することができる。
ステップS66においてID情報が受信されなかったため、ステップS67の判断結果は「NO」となる。これにより、ステップS70において発信する質問電波の電波強度が初期化され、その後ステップS66で符号s3が付された検索範囲内が検索される(図11(b)中の時刻t2〜t3)。以下、発信する質問電波の強度信号をS3又はS2に設定したID受信動作が、指定された受信時間を越えるまで(ステップS64の判断結果が「YES」になるまで)行われる。以上の処理によって、図11(c)に示す通り、発信先の携帯電話機がどの程度の距離範囲に位置しているかを示すテーブルを得ることができる。尚、テーブルの順番は、ID情報を受信できなかったものを最上位に配置し、次に距離が遠い順に並べる。
図12は、自動動作の第3例を説明するための図である。図12においても図10,図11と同様に、図1中の携帯電話機10が図12(a)中において符号Aが付された星印の位置に配置されているとする。また、携帯電話機10の周囲であって、図12(a)中の符号B〜Fが付された星印の位置に発信先の他の5つの携帯電話が配置されているとする。更に、携帯電話機10の質問電波の電波強度は、図12(b)に示す通りS1,S2,S3(S1<S2<S3)の範囲で変化し、各々の電波強度S1,S2,S3での検索範囲は、図12(a)中において符号s1,s2,s3を付した円で示す範囲であるとする。
図9に示したフローチャートの自動動作が開始されると、ステップS62において携帯電話機10の質問電波の電波強度が最大強度Smax(S3)に設定され、ステップS66において図12(a)中の符号s3を付した検索範囲内が検索される(図12(b)中の時刻t0〜t1)。この検索により、図12(a)中において符号Aが付された星印の位置にある携帯電話機10は、符号s3が付された検索範囲内に位置する携帯電話機からのID情報を受信する。
しかしながら、図12(a)に示す例では他の携帯電話機の何れも符号s3が付された検索範囲内に位置していないため、ID情報が受信できない。このため、ステップS67の判断結果は「NO」となり、以後はステップS70,S66,S67の処理が指定された受信時間を越えるまで(ステップS64の判断結果が「YES」になるまで)行われる。以上の処理によって、図12(c)に示す通り、発信先の携帯電話機の全てが圏外にあることを示すテーブルを得ることができる。
以上説明した、自動動作においては、他の携帯電話機が検索されたか否かのみならず、携帯電話機10と他の携帯電話機との大まかな距離を得ることができる。このため。図8(c),(d)に示すID受信結果を携帯電話機10の表示部17に表示する場合には、その携帯電話機毎の距離が分かる表示とすることが望ましい。図13は、携帯電話機毎の距離を示す表示例を示す図である。
まず、図13(a)に示した通り、携帯電話機10のユーザが、「UserA」〜「UserE」を相手として選択し、操作部16の通話ボタン又は図8(a)に示す「発信」ボタンB6を押圧すると、図7中のステップS32で自動動作が行われる。この自動受信の結果、図13(b)に示す通りの検索結果が得られたとする。このときの検索結果としては、図13(c)に示す通り、「遠くで見つかった」、「近くで見つかった」、「かなり近くで見つかった」なる表現で発信先の携帯電話機との間の距離を表示するのが望ましい。このように、通信相手である携帯電話機が周辺に位置するか否かを報知するだけでなく、当該携帯電話機の位置情報を報知するようにしている。
以上、本発明の実施形態による通信システム及び通信機器装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上述した実施形態においては、ID情報の受信を行って周辺に携帯電話機が位置するか否かを判断していたが、GPS(Global Positioning System)から得られる情報を用いて各携帯電話機の位置を判断し、通信が行われる携帯電話機間の距離を検出したり、位置情報を報知しても良い。
また、上記の実施形態ではID情報の受信を行った携帯電話機が、周辺に発信先の携帯電話機が位置している場合に、自ら発信動作を規制する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、通信を行う複数の携帯電話機が互いに周辺に位置するか否かを判断する機能、互いに周辺に位置すると判断された場合に、これらの間の通信を規制する機能、更には携帯電話機間の距離を検出する機能等の各種機能を基地局B又はネットワークNに接続されたサーバ装置に設け、これらが携帯電話機間の通信を規制しても良い。
また、発信時又は着信時において、通信が規制される場合には、通信規制が行われる旨を携帯電話機の表示部に表示し、又は音声で報知してユーザに知らせることが好適である。尚、現在の携帯電話機は、通話以外にメールの送受信が可能なものが多いが、通信の規制は通話に対してのみ行っても良く、又はメールの送受信も含めて通信全般に対して行うなど、通信機器装置間での通信を種別して、種別された通信に応じて通信規制を制御するようにしても良い。また、本発明は携帯電話機に限られることなく、PHS(Personal Handyphone System)、自動車電話機、その他の通信機器装置にも適用することができる。
また、上記の実施形態では、発信時又は着信時において通信を行う複数の携帯電話機が互いに周辺に位置するか否かを判断する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、発信時や着信時だけでなく、通話中にも互いに周辺に位置するか否かを判断し、通信を規制するようにしても良い。