以下、図面を参照しながら本発明の情報記録媒体、およびその関連する装置、方法の詳細について説明する。
まず、図1を参照して本発明の情報記録処理装置の構成の構成および処理について説明する。なお、ここで説明する情報記録処理装置は、いわゆるマスターディスクといわれるディスク原盤の製造装置としてのマスタリング装置を含み、さらに、一般ユーザの利用可能なDVDあるいはBlu−Rayディスク等の情報記録媒体の記録再生装置やPC等の情報記録媒体ドライブを備えた装置として適用可能な装置である。すなわち、マスターディスクのみならず、書き込み可能(Recordable)、再書き込み可能(Rewritable)な様々な情報記録媒体に対してデータ記録処理を実行する情報処理装置も含むものである。
図1を参照して、本発明に係る情報記録処理装置の構成、および処理について説明する。図1に示す情報記録処理装置は、ディスク(情報記録媒体)150に対して、コンテンツ情報と、例えばコピープロテクション情報(CP Data)を含む付加情報からなるメインデータ101と、メインデータ101に対する暗号処理鍵としての暗号鍵(コピープロテクションキー(CP Key))102を記録する構成をもつ。
メインデータ101に含まれるコンテンツ情報、付加情報(コピープロテクション情報)は、暗号鍵(コピープロテクションキー(CP Key))102に基づいて暗号化されたデータ、あるいは、暗号鍵(コピープロテクションキー(CP Key))102に基づいて生成される暗号鍵によって暗号化されてディスク150に格納される。
メインデータ101に含まれる付加情報は、コンテンツの暗号処理に適用する鍵情報、再生制御情報などのコピープロテクション情報を含み、漏洩を防止すべき情報を含むデータが含まれる。例えば暗号化コンテンツの再生に必要となる鍵情報を暗号化して格納した暗号鍵ブロックとしてのEKB(有効化キーブロック:(Enabling Key Block))が格納される。
EKBは、有効なライセンスを持つユーザの情報処理装置に格納された例えばデバイスキーに基づく処理によってのみ、コンテンツの復号に必要な暗号鍵を取得することを可能とした暗号鍵データブロックである。これはいわゆる階層型木構造に従った情報配信方式に従って、有効なコンテンツ利用ライセンスを持つユーザデバイス(情報処理装置)においてのみ鍵取得を可能とし、無効化(リボーク処理)されたユーザデバイスによる暗号鍵の取得を阻止可能とした暗号鍵ブロックとして設定される。
なお、EKBは、付加情報を構成するデータの一例であり、本発明における付加情報は、EKBに限らず、その他の暗号鍵情報、暗号鍵生成情報、コンテンツ再生制御情報、ライセンス情報など、秘密情報としてディスクに格納する情報であればよく、付加データの構成データは限定されない。
図1において、処理ブロック111〜116は、メインデータの処理を実行するメインデータ処理系列に属する処理ブロックであり、ブロック121〜125は、暗号鍵の処理を実行する暗号鍵処理系列に属する処理ブロックである。まず、メインデータの処理について説明する。
メインデータ101、すなわち、コンテンツ情報、および付加情報は、まず、暗号処理部111において暗号鍵(コピープロテクションキー)102によって暗号化される。暗号かされたメインデータは、EDC符号化部112において、略2kバイトのユニット(セクタ)に分割され、略2kバイトの情報に対して記録情報に誤りがないかどうかをチェックするための、エラー検出コード(EDC:Error Detection Code)を付加する。
図2にEDCを付加したセクタデータ構成を示す。1セクタは2048バイトのデータ部161と、4バイトのEDC(Error Detection Code)部162によって構成される。
図1に示すEDC符号化部112においてEDCを付加されたデータは、スクランブル処理部113において、変調後の信号パターンをランダムにするためのデータのスクランブル処理が実行される。スクランブルされた情報は、ECCブロック生成部114において、スクランブルデータに対するエラー訂正情報(ECC)をエンコードするとともにアドレス情報を付加したECCブロックとして設定される。
次に、エラー訂正情報、およびアドレス情報を付加されたECCブロックデータは、メインデータ変調処理部115において、同期情報を付加するとともに、ディスクの記録再生チャンネルにあった記録再生帯域信号にするための変調処理が実行される。さらに、変調データの[0]または[1]の値に応じてパルスの正負を反転させたNRZI(Non Return to Zero Inverted)信号に変換され、これが記録信号としてLD(レーザ・ダイオード)ドライバ116に出力される。
LD(レーザ・ダイオード)ドライバ116は、NRZI信号に基づいて光学ピックアップ(OP)130のLD(レーザ・ダイオード)131を変調し、変調されたレーザ光は対物レンズ(obj lens)133を介してディスク150上に集光され、コンテンツ情報、および付加情報を含むメインデータ101の暗号化データが記録される。
次に、コンテンツ情報、および付加情報(コピープロテクション情報)からなるメインデータ101を暗号化するために適用される暗号鍵(コピープロテクションキー)102の記録処理について説明する。
暗号鍵(コピープロテクションキー)102は、ECCブロック生成部(CP ECC)121において、暗号鍵データに対するエラー訂正情報(ECC)がエンコードされ、暗号鍵データにECCを設定したECCブロックが生成される。次に、スクランブル処理部(CP Scramble)122においてスクランブル処理が実行される。
スクランブル処理部(CP Scramble)122は、シード生成部(seed generator)117から入力するシード(seed)を適用して乱数を発生し、生成した乱数を適用して入力したECCブロック生成部(CP ECC)121から入力する暗号鍵データのスクランブル処理を実行する。
スクランブル処理された暗号鍵データは、さらに、ビット位置変換部123に入力され、やはりシード生成部(seed generator)117から入力するシード(seed)に基づいて生成する乱数を適用したビット位置変換処理が実行される。
シード生成部(seed generator)117、スクランブル処理部(CP Scramble)122、およびビット位置変換部123の各処理の詳細について、図3以下を参照して説明する。
図3は、図1に示すメインデータの処理系列に属するEDC符号化部112と、暗号鍵102の処理系列に属するECCブロック生成部121、スクランブル処理部122、ビット位置変換部123、さらに、シード生成部117を示している。
シード生成部117は、メインデータの処理系列に属するEDC符号化部112において、メインデータに対応するエラー検出コードとして設定されたEDCビット情報を入力して、EDCビット情報に基づく演算処理により、暗号鍵102の処理系列に属するECCブロック生成部121、スクランブル処理部122に出力するシード情報を生成する。
メインデータの処理系列に属するEDC符号化部112では、コンテンツおよび付加情報の各々について、先に図2を参照して説明したように、2048バイトのデータ部と、4バイトのEDC(Error Detection Code)部によって構成されるセクタデータを生成する。
シード生成部117は、EDC符号化部112において設定するエラー検出コードとしてのEDCを入力し、EDCの構成ビット情報に基づく演算処理を実行してシードを生成する。
図3に示すように、シード生成部117に構成された演算部161において、EDCを入力とした演算処理が実行され、所定ビット数のシード情報を生成して出力する。演算を実行する関数としては例えば、拡大体GF(28)上における演算処理などが適用される。
例えば、シード生成部117の演算部161は、エラー検出コードとしてのEDCを入力とした演算処理により、n+mビットのシード情報を生成し、その一部(nビット)を、シードAとして、暗号鍵処理系列に属するスクランブル処理部122に出力し、残りのmビットを、シードBとしてビット位置変換部123に出力する。
次に、図4を参照して、暗号鍵102の処理系列に属するスクランブル処理部122において実行するシード情報を適用したスクランブル処理について説明する。
スクランブル処理部122は、暗号鍵102の処理系列のECCブロック生成部121からECCブロックとして設定された暗号鍵データを入力するとともに、図3を参照して説明したように、シード生成部117がメインデータのエラー検出情報(EDC)に基づいて生成したシード情報(シードA)を入力する。
図4に示すように、スクランブル処理部122は、スクランブル処理部122内に構成された乱数生成器171にシードAを入力し、シードAに基づく乱数を生成する。例えば、シードAの値を初期値として乱数生成器171に設定し、システムクロックごとに乱数を発生する。乱数生成器171は、例えば線形フィードバックシフトレジスタ(LFSR)などによって構成されるものや、擬似乱数生成器などによって構成されるものが適用可能である。
乱数生成器171がシードAに基づいて生成した乱数は、ECCブロック生成部121から入力する暗号鍵データ(コピープロテクションキーデータ)と排他論理和部172において排他論理和演算が実行されて、スクランブルデータが生成される。生成されたスクランブルデータは、暗号鍵処理系列の次の処理段であるビット位置変換部123に入力される。
ビット位置変換部123は、スクランブル処理部122から入力する暗号鍵データのスクランブルデータに対するシード情報(シードB)を適用したビット位置変換処理を実行する。
図5を参照して、ビット位置変換部123において実行するシード情報(シードB)を適用したビット位置変換処理について説明する。
ビット位置変換部123は、ビット位置変換部123内の乱数生成器181に、シードBを入力し、シードBに基づく乱数を生成する。例えばシードBの値を初期値として乱数生成器181に設定し、システムクロックごとに乱数を発生する。乱数生成器181としては、スクランブル処理部122と同様、例えば線形フィードバックシフトレジスタ(LFSR)などによって構成されるものや、擬似乱数生成器などによって構成されるものが適用可能である。
一方、スクランブル処理部122から入力する暗号鍵データ(コピープロテクションキーデータ)は、その構成ビットが、RAM182のデータ格納領域に順次格納される。乱数生成器181がシードBに基づいて生成した乱数は、RAM182に対する読み出しアドレスデータとしてRAM182に入力される。
この乱数に基づいて発生されるアドレスに従って、RAM182に格納されたスクランブル暗号鍵データ(コピープロテクションキーデータ)の構成ビットが読み出されてシリアル出力される。
例えば、スクランブル処理部122から入力する暗号鍵データ(コピープロテクションキーデータ)のスクランブルデータが128ビットデータである場合、スクランブル処理部122から入力する128ビットスクランブルデータは、その第1番目のビットがRAM182のアドレス[001]のメモリ位置に格納され、第2ビットがアドレス[002]のメモリ位置に格納され、第3ビットがアドレス[003]のメモリ位置、以下、第128ビットまで、順次、RAM182のメモリ位置に格納される。
一方、乱数生成器181は、メインデータのエラー検出情報(EDC)に基づいて生成したシードBに基づいて、アドレスデータ1〜128をランダムにRAM182に出力する。例えば乱数生成器181は、RAM182に対して、[125]、[003]、[084]、・・・といったアドレスを出力する。
RAM182は、乱数生成器181から入力するアドレスを、データ読み出しアドレスとして適用し、まず、メモリ位置[125]の位置に格納されたビット情報を読み出し、次に、メモリ位置[003]の位置に格納されたビット情報を読み出し、次に、メモリ位置[084]の位置に格納されたビット情報を読み出す。これらの処理を実行し、RAM182に格納されたスクランブル暗号鍵データの構成ビットの位置の入れ替えが実行され、ビット位置変換データが出力される。
ビット位置変換部123から出力されたビット位置変換データは、暗号鍵処理系列に属する次の処理部であるCP変調処理部124に入力される。
図1に戻り、暗号鍵102の記録処理の説明を続ける。CP変調処理部124は、ビット位置変換部123から出力された暗号鍵データに対する変調処理を実行し、ピット信号と異なる物理的記録信号、例えばディスクのウォッブル(wobble)記録再生チャンネルにあった記録再生帯域信号にする変調処理を実行する。ウォッブル(wobble)信号についての詳細は後段で説明する。
CP変調処理部124において変調されたデータは、NRZI変換された後、EO(Electro−Optic=電気光学素子)ドライバ125に出力され、NRZIデータに基づく光学ピックアップ130のEO(Electro−Optic=電気光学素子)の変調処理によりレーザ光を偏光し、ディスク150に暗号鍵102データに基づくピット信号と異なる物理的記録信号、例えばウォッブル(wobble)信号を記録する。
ウォッブル(wobble)信号の記録処理について、図6を参照して説明する。コンテンツ情報、およびコピープロテクション情報を含む付加情報からなるメインデータは、ピット201によるスペース、マークの長さで記録される。
一方、コピープロテクションキー等の暗号鍵102データは、ウォッブル(wobble)記録、すなわち、メインデータを記録するピット系列の振れを制御することによって記録する。
図6(A)に示すウォッブル(wobble)記録信号221は、メインデータを記録するピット系列が、図に示す上段から下段に移動する振れ(H→L)を発生させている。このウォッブル(wobble)記録信号221が暗号鍵データの記録ビット[1]に対応する。
また、図6(B)に示すウォッブル(wobble)記録信号222は、メインデータを記録するピット系列が、図に示す下段から上段に移動する振れ(L→H)を発生させている。このウォッブル(wobble)記録信号222が暗号鍵データの記録ビット[0]に対応する。
なお、ウォッブル(wobble)記録信号において1ビットは、ピット信号として記録されるメインデータの68T(Tはピット信号の1チャンネル長)の長さにおける記録ピットの振れの状態に対応し、ピット情報として記録されるメインデータの68T毎に、暗号鍵データの構成1ビットが読み取られることになる。
このように、コンテンツ情報、およびコピープロテクション情報を含む付加情報からなるメインデータをピット情報として記録し、暗号鍵をウォッブル(wobble)記録信号として記録することにより、メインデータと、暗号鍵を重畳してディスクに記録することが可能となりデータ読み取りにおいては、これらの複数情報(メインデータと暗号鍵)を並列に読み取ることが可能となる。
なお、ここでは、一例として暗号鍵をウォッブル(wobble)記録信号として記録する構成について説明したが、暗号鍵は、ウォッブル(wobble)記録信号に限らず、ピット信号と異なる物理的記録信号であれば、様々な態様での記録方式の採用が可能である。例えば、ROMディスクにおいてのみ記録可能なピット幅の変化やピット形状そのものの変化、または溝の深さの変化などに基づく記録方式を適用してもよい。
上述した記録処理によって生成されるディスクの構成について、図7を参照して説明する。なお、前述したように、図1に示す情報記録処理装置は、いわゆるマスターディスクといわれるディスク原盤の製造装置としてのマスタリング装置を含み、さらに、一般ユーザの利用可能なDVDあるいはBlu−Rayディスク等の情報記録媒体の記録再生装置やPC等の情報記録媒体ドライブを備えた装置として適用可能な装置である。すなわち、マスターディスクのみならず、書き込み可能(Recordable)、再書き込み可能(Rewritable)な様々な情報記録媒体に対してデータ記録処理を実行する情報処理装置も含むものであり、図7は、上述のメインデータおよび暗号鍵データの記録処理によって生成されるマスターディスク、またはマスターディスクに基づくスタンピング処理によって生成される一般ユーザの利用可能なDVDあるいはBlu−Rayディスク等の情報記録媒を示す図である。
情報記録媒体310は、コンテンツを格納したデータ領域311と、コピープロテクション情報やコンテンツ再生制御情報などの付加情報を格納したリードイン領域312、ディスクのデータ領域外周部に設定されたリードアウト領域313によって構成される。
リードイン領域の情報は、通常のデータ再生処理においては読み取りのできない領域であり、特定のコンテンツ再生プログラムの実行において実行されるコンテンツ暗号鍵取得ステップや再生制御情報の取得ステップなど、特定の処理ステップにおいてのみ読み取りが可能となる。
このリードイン領域には、コンテンツの暗号鍵としてのコンテンツ鍵あるいはコンテンツ鍵の生成に必要なデータ、再生制御情報などのコピープロテクション情報等からなる付加情報が格納されており、この付加情報は、先に説明した暗号鍵102(図1参照)によって暗号化されたデータとして記録されている。この記録データはピットデータとして記録され、一方、暗号鍵は付加データの記録ピットに対応して設定されるウォッブル(wobble)記録信号として記録されている。すなわち付加データおよび付加データの暗号鍵はディスクに重畳して記録されている。
図8にリードイン領域の記録信号の例を示す。(A)がピット情報として記録された、再生制御情報などのコピープロテクション情報等からなる付加情報である。(B)が(A)の記録ピットの振れによって記録されるウォッブル(wobble)記録信号からなる暗号鍵情報である。
ピット情報からなる付加情報は、ウォッブル(wobble)記録信号から取得可能な暗号鍵によって暗号化されたデータである。
情報再生処理装置は、リードイン領域に重畳して記録されたピット情報からなる付加情報と、ピット信号と異なる物理的記録信号、例えばウォッブル(wobble)記録信号からなる暗号鍵データとを並列に読み取ることが可能であり、読み取ったウォッブル(wobble)記録信号に基づいて暗号鍵を取得し、取得した暗号鍵に基づいて、ピット情報の読み取りによって取得した暗号化付加データの復号を行ない、付加データを取得する。
なお、ここでは、付加データおよび暗号鍵データをリードイン領域に格納する例を説明したが、データ領域に付加データおよび暗号鍵データを格納する構成としてもよい。
次に、図9を参照して、本発明の情報記録処理装置において実行するメインデータのEDCを適用して取得するシードに基づく暗号鍵のデータ処理シーケンスについて説明する。
ステップS101において、メインデータのエラー訂正コード(EDC)を取得する。メインデータは、コンテンツあるいは付加データであり、ディスクにピット情報として記録されるデータである。
ステップS102において、取得したメインデータのエラー訂正コード(EDC)に基づいてシード(シードA,シードB)を生成する。この処理は、先に図3を参照して説明したように、シード生成部117において、EDCに基づく演算を実行してシードを生成する処理である。
次にステップS103において、シードAに基づいて乱数を生成し、生成乱数により、暗号鍵データのスクランブルを実行する。この処理は、先に図4を参照して説明したように、スクランブル処理部122において実行する処理である。
次にステップS104において、シードBに基づいて乱数を生成し、生成乱数により、暗号鍵データのビット位置変換を実行する。この処理は、先に図5を参照して説明したように、ビット位置変換部123において実行する処理である。
次にステップS105において、スクランブル処理およびビット位置変換処理のなされた暗号鍵データに対する変調処理が実行され、その後、ウォッブル信号としてディスクに記録される。
次に、上述の記録データを格納した情報記録媒体(図7参照)を再生する情報再生処理装置の処理、構成について、図10を参照して説明する。
図10に示す情報再生処理装置は、ディスク500から、コンテンツを読み取り、またコピープロテクション情報等から構成される付加情報を読み取る処理を実行する。コンテンツおよび付加情報はメインデータ501としてピット信号によって記録され、また暗号鍵(コピープロテクションキー)502による暗号化データとして記録されている。従って、メインデータの再生処理に際しては、暗号鍵(コピープロテクションキー)502を適用した復号処理が必要となる。
まず、ディスク500に格納されたコンテンツ情報、およびコピープロテクション情報等からなる付加情報によって構成されるメインデータ501の再生シーケンスを説明する。
メインデータは、ディスク500にピット信号として記録されており、光学ピックアップ510によってディスク500から読み取られる。読み取られた信号は変調復号部(変調DEC)511において、復調処理が実行される。
次に、エラー訂正処理部(ECC)512において、ECCに基づくエラー訂正処理、アドレス情報の取得が実行される。次に、デスクランブル部513において、スクランブルの解除処理、すなわち、データ記録時に変調信号がランダムになるようにスクランブルされていた情報に対して、デスクランブル処理が行なわれ、スクランブルが解除される。
さらに、誤り検出部(EDC)514において、デスクランブルされた情報に対して、2kBセクタ単位に設定されたエラー検出コード(EDC)により、データエラーの有無が検証され、エラー訂正が実行される。その後、復号処理部515において、ディスク500から読み取られたデータ(ウォッブル(wobble)信号)に基づいて生成した暗号鍵(コピープロテクションキー)502を適用した復号処理が行なわれてメインデータ501が生成され出力される。
次に、暗号鍵(コピープロテクションキー)502のディスク500からの読み取り、生成処理ついて説明する。暗号鍵(コピープロテクションキー)は、ディスク500から、ピット信号と異なる物理的記録信号、例えばウォッブル(wobble)信号として、プッシュプル信号として光学ピックアップ(OP)510によって読み取られる。
読み取られたウォッブル(wobble)信号は、CP変調復号部(CP変調DEC)521において、復調処理が実行される。復調された信号は、次にビット位置変換部522においてビット位置変換処理が実行される。
ビット位置変換部522は、シード情報生成部517から、メインデータのエラー検出コード(EDC)に基づいて生成したシードを入力し、シードに基づいて乱数を生成し、生成した乱数に基づいて、ビット位置変換を実行する。
シード情報生成部517は、先に図1を参照して説明した情報記録再生処理装置におけるシード生成部117と同様の構成であり、メインデータのエラー検出コード(EDC)を入力して演算処理を実行し、ビット位置変換部522に出力するシード(シードB)と、デスクランブル部523に出力するシード(シードA)を生成する。
ビット位置変換部522では、シード情報生成部517からシードBを入力し、シードBに基づいて生成する乱数を適用して、先に図5を参照して説明した記録処理に際して実行するビット位置変換処理と逆のアルゴリズムを実行し、ビット位置変換処理前のビット位置を持つデータを生成する。
ビット位置変換部522における処理によって生成された元のビット位置を持つデータは、次に、デスクランブル部523に入力され、スクランブル解除処理が実行される。
デスクランブル部523は、シード情報生成部517からシードAを入力し、シードAに基づいて生成する乱数を適用して、先に図4を参照して説明した記録処理におけるスクランブル処理と逆のアルゴリズムを実行してスクランブル解除を行い、スクランブル処理前のデータを生成する。
デスクランブル部523において、スクランブルの解除されたデータは、CPエラー訂正処理部(CP ECC)524に入力され、ECCに基づくエラー訂正処理がなされ、暗号鍵(コピープロテクションキー)502を取得する。
この処理によって取得した暗号鍵(コピープロテクションキー)502を適用して、復号処理部515において、付加データを含むメインデータの復号処理が実行されてメインデータ501が出力される。
例えばコピープロテクション情報を含む付加データの暗号鍵は、コピープロテクション情報を含む付加データのピットに対応するウォッブル(wobble)信号として記録されており、ピット信号読み取りと、ウォッブル(wobble)信号読み取りを並列に実行することが可能であり、図10に示すブロック511〜515において実行するメインデータを対象とした処理と、ブロック521〜524において実行する暗号鍵を対象とした処理とを並列に実行し、効率的なデータの読み取り、復号、再生が可能となる。
次に、図11を参照して、ディスクからの暗号鍵の読み取り、生成処理シーケンスについて説明する。ステップS201において、ディスクからウォッブル信号を読み取り、復調処理を実行する。ステップS202において、メインデータのエラー訂正コード(EDC)を取得し、取得したメインデータのエラー訂正コード(EDC)に基づいてシード(シードA,シードB)を生成する。この処理は、先に図3を参照して説明したと同様の処理であり、シード生成部517において、EDCに基づく演算を実行してシードを生成する処理である。
次にステップS203において、シードBに基づいて乱数を生成し、生成乱数により、暗号鍵データのビット位置変換を実行する。この処理は、先に図5を参照して説明したデータ記録処理に際して実行するビット位置変換処理と逆のアルゴリズムを実行し、ビット位置変換処理前のビット位置を持つデータを生成する処理である。
次にステップS204において、シードAに基づいて乱数を生成し、生成乱数により、暗号鍵データのスクランブルを実行する。この処理は、先に図4を参照して説明したデータ記録処理に際して実行するスクランブル処理と逆のアルゴリズムを実行し、スクランブル処理前のデータを生成する処理である。
次にステップS205において、ECCに基づくエラー訂正処理がなされ、暗号鍵(コピープロテクションキー)が取得される。この暗号鍵(コピープロテクションキー)を適用して、付加データを含むメインデータの復号処理が実行される。
次に図12を参照して、情報記録媒体の再生処理デバイスとしての、例えばDVDドライブ、あるいはBlu−Rayドライブを持つ情報記録再生処理装置の構成について説明する。
ディスク600は、上述したデータ、すなわち暗号化されたメインデータがピット信号として記録され、暗号鍵データがウォッブル(wobble)信号として記録されたディスク、DVDやBlu−Rayディスクである。
記録再生信号入出力部(OP)611は、レーザ・ダイオードを含む光学系、再生アンプ、2軸アクチュエータ等から構成され、ディスク600上の信号の読み取りを実行する。なお、図12に示す装置は、記録処理も可能な装置構成をもつ。
ウォッブル(Wobble)信号処理回路612は、ディスク600から取得されるウォッブル(Wobble)信号を取得して、読み取り信号の復調処理などを実行する。
暗号鍵デコーダ(CPキーDEC)616は、記録再生信号処理部(RW回路)615からタイミング信号を入力するとともに、変復調ECC処理回路617から入力するメインデータのエラー検出コード(EDC)データに基づいてシード(シードA,シードB)を生成し、生成したシードに基づいて乱数を生成し、生成乱数を適用したビット位置変換、デスクランブル処理を実行するとともに、ECCに基づくエラー訂正を実行し暗号鍵(コピープロテクションキー)を生成する。
記録再生信号処理部(RW回路)615は、ディスク600に対するデータ記録時には、記録補償を行い、ディスク600からのデータ再生時には、PLL等により2値化データ再生を行う。変復調ECC処理回路617は、記録再生データの変復調処理を実行し、エラー訂正エンコード、デコード、エラー訂正処理を実行し、さらにアドレス情報の再生を実行する。なお、変復調ECC処理回路617は、メインデータの各セクタデータに設定されたエラー検出コード(EDC)を抽出し、暗号鍵デコーダ(CPキーDEC)616に対して出力する。
復号処理部618は、暗号鍵デコーダ(CPキーDEC)616がディスク600から読み取られたウォッブル(Wobble)信号に基づいて生成した暗号鍵(コピープロテクションキー)を適用して、暗号化されたメインデータ、例えば暗号化付加データとしての暗号化コピープロテクション情報の復号処理、暗号化コンテンツの復号処理を実行し、復号結果をコンテンツ再生処理を実行するAVシステム620に出力する。
サーボ信号制御回路613は、2軸アクチュエータのサーボ、および、光学ピックアップヘッドのシーク制御を行う。スピンドル制御回路614は、ディスク600を回転させるスピンドルモーターの制御を行う。システム制御部(Syscon)619は、AVシステム620と通信を行うとともに、各処理ブロックの制御を行う。
ディスク600にウォッブル(Wobble)信号として記録されている暗号鍵(コピープロテクションキー)を取得し、メインデータ、例えば付加情報としてのコピープロテクション情報を再生する場合の処理について説明する。
まず、AVシステム620より、付加情報再生コマンドがシステム制御部619に送られる。システム制御部619は、変復調回路617よりアドレス情報を取得し、サーボ信号制御回路613に、ピックアップをシークさせ、光学ピックアップヘッドを所望のアドレス位置のデータ読み取りが可能となるように移動させる。
設定位置からの光学ピックアップヘッドの読み取り信号は、ウォッブル信号処理回路612に出力され、ウォッブル信号処理回路612において、読み取られたウォッブル信号の復調がなされ、復調信号が、暗号鍵デコーダ616に入力される。
暗号鍵デコーダ616は、記録再生信号処理部615からタイミング信号を得て、さらに、変復調ECC処理回路617からピット信号として記録された付加情報に設定されたエラー検出コード(EDC)を入力し、EDCデータを適用して生成するシードに基づく乱数によるビット情報位置並び換え、デスクランブル、さらにエラー訂正を行い、暗号鍵(コピープロテクションキー)を得る。
一方、暗号鍵(コピープロテクションキー)データと重畳記録されているコピープロテクション情報等の付加情報は、記録再生信号処理部615においてPLL回路を適用したデータ処理等により同時に再生される。再生データは変復調ECC処理回路617において復調され、復調されたビットストリームがECCに基づいてエラー訂正デコードされる。
さらに、暗号鍵デコーダ616がウォッブル信号に基づいて生成した暗号鍵を適用した暗号化付加データの復号処理が、復号処理部618において実行され、復号結果がAVシステム620に出力される。
メインデータとしての付加情報が記録されたピット信号位置(例えばリードイン領域)には、その付加情報の暗号鍵データがウォッブル信号として記録されているので、別々にアクセスすることなく暗号化付加データの読み取り、暗号鍵のディスクからの読み取りを並列に実行することが可能であり、各読み取りデータの復調、エラー訂正などの処理について並列処理を実行することで、生成暗号鍵による暗号化メインデータの復号処理までの処理時間が短縮され、効率的なデータ読み取り、再生が可能となる。
次に、ディスク600に格納された暗号化コンテンツの再生処理について説明する。
まず、AVシステム620より、コンテンツ再生コマンドがシステム制御部619に送られる。システム制御部619は、変復調回路617よりアドレス情報を取得し、取得したアドレス情報に従って、サーボ信号制御回路613にピックアップのシークを実行させ、光学ピックアップを所望のアドレス位置に移動させる。
さらに、光学ピックアップから再生信号を得て、記録再生信号処理部615においてPLL等により再生データを得る。再生データは変復調ECC処理回路617において復調処理、エラー訂正処理が実行される。
次に、復号処理部618において、ディスク600から読み取られた暗号化コンテンツの復号処理が実行される。復号処理には、暗号鍵デコーダ616がウォッブル信号に基づいて生成した暗号鍵が適用される。
復号処理部618における復号処理結果としてのコンテンツ、例えば、画像/音声再生ビットストリームがAVシステム620に出力される。
なお、情報記録媒体に格納される付加情報は、ウォッブル(Wobble)信号として記録された暗号鍵によって暗号化されたデータであり、コンテンツもまた暗号化データとして記録されている。コンテンツは、ウォッブル(Wobble)信号として記録された暗号鍵、または、この暗号鍵に基づいて生成されるコンテンツキーによって暗号化されている。
従って、コンテンツがコンテンツキーによって暗号化されている場合は、ウォッブル(Wobble)信号として記録された暗号鍵を適用したコンテンツキー生成処理を実行して、コンテンキーに基づいて暗号化コンテンツの復号処理を実行する。
付加情報には、上述のコンテンツキーを取得するために必要な情報、例えば前述したEKBが含まれる場合がある。付加情報には、暗号化コンテンツの復号処理に適用する鍵データ、鍵生成情報、コンテンツ再生制御情報、コンテンツコピー制御情報、その他コンテンツの属性情報などが含まれる。
付加情報は、暗号化データとして、前述したように例えばディスクのリードイン領域にピット信号として記録され、付加情報の暗号化に適用した鍵としての暗号鍵データは、ピット情報に対応する位置のウォッブル(Wobble)信号として記録される。
従って、付加情報再生に際しては、暗号化付加情報とその暗号化に適用した暗号鍵のディスクからの読み取りを並列に実行することが可能であり、各読み取りデータの復調、エラー訂正などの処理を並列に実行し、暗号鍵生成、生成した暗号鍵に基づく付加情報の復号、再生を効率的に行なうことが可能となる。
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
なお、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
例えば、プログラムは記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことができる。あるいは、プログラムはフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。