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JP4620197B2 - バインダーレスゼオライト成型体およびその製造方法 - Google Patents

バインダーレスゼオライト成型体およびその製造方法 Download PDF

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JP4620197B2
JP4620197B2 JP17485299A JP17485299A JP4620197B2 JP 4620197 B2 JP4620197 B2 JP 4620197B2 JP 17485299 A JP17485299 A JP 17485299A JP 17485299 A JP17485299 A JP 17485299A JP 4620197 B2 JP4620197 B2 JP 4620197B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ZSM5型バインダーレスゼオライト成型体、およびバインダーレスゼオライト成型体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ZSM5型ゼオライトは、米国特許3,702,886号明細書で初めて開示された酸素10員環細孔を有する結晶性アルミノシリケートに代表される結晶性メタロシリケートである。ゼオライト結晶骨格を構成する金属成分(以下T原子と呼ぶことがある)が、ケイ素とアルミニウムとからなる結晶性アルミノシリケートは、主にその酸性質を制御する目的で結晶格子内Al3+カチオンを他の金属イオンで置換することが広く行われており、一般に、同構造のアルミニウムを含まないシリカライトやアルミニウムが他の金属イオンに置換された結晶性メタロシリケートを含めてZSM5型ゼオライトと言われている。
【0003】
これらZSM5型ゼオライトを合成する方法としては、従来、テンプレート剤としてテトラn−プロピルアンモニウムイオンを用いた水性反応スラリーを原料としたいわゆる水熱合成法が知られている。
【0004】
しかしながら、従来の水熱反応法では加熱時に原料成分の一部は水に溶解するため、結晶へ転化する成分の割合は必然的に低下するだけでなく、アルカリ成分が希釈されるため結晶化時間が非常に長くなる。このような緩慢な結晶化の方法では、大型の結晶が成長しやすく、しかもケイ素(Si)以外の異質な金属成分(M)は結晶格子外に排除されやすいため、水性スラリー中でのSi/M(Mは、ケイ素以外のT原子を表す)の原子比と、合成されたZSM5型ゼオライトでのSi/Mの原子比とが必ずしも一致しないこと、また工業的には、水性スラリーを加熱するため生成結晶の重量に対して比較的大きな容積の密閉容器を必要とすること、高価なテンプレート剤を多量に使用する必要があること、さらには多量の廃液の発生、ゼオライト粉体のロ過、焼成工程が煩雑である等の問題点を有している。
【0005】
また、従来ゼオライト成型体を製造する場合には、ゼオライト単独での成型性が悪いため、まず水熱合成法によってゼオライト粉体を合成した後、無機バインダーを使用して成型する必要があった。この方法では、使用用途に悪影響を及ぼさないバインダーを選択する必要があり、また充分な強度を得るためには多量の無機バインダーを必要とするため成型体中のゼオライト含有率が低くなるだけでなく、バインダー内に埋没したゼオライトの有効利用ができなくなるという問題点がある。
【0006】
そこで、実質的にバインダーを含まないゼオライト成型体を製造する方法がいくつか提案されており、例えば、特開昭59−162952(TSZ型アルミノシリケート)、特開昭61−72620(MOR型アルミノシリケート)や特開昭62−138320(FAU型アルミノシリケート)などの、数種の結晶型バインダーレスアルミノシリケート成型体が知られている。これらの方法は、あらかじめ合成したゼオライト粉体を二次原料として用い、これを粘土系鉱物あるいはシリカアルミナ等の無機バインダーで成型したものをアルカリ溶液と反応させることによってバインダーをゼオライトに転化させるため、実質的に二度の水熱合成を必要とする。このため、工程が長くなる点や、廃液量が増大する等の点で問題がある。
【0007】
さらに、該結晶骨格を構成する金属成分が実質的にケイ素のみからなるバインダーレスシリカライト成型体や、アルミニウム以外の他のT原子からなるバインダーレス結晶性メタロシリケート成型体を合成する方法は知られていなかった。
【0008】
以上のように、シリカライトや酸性質制御に有用なAl以外のT原子を有する結晶性メタロシリケートなどの、実質的にバインダーを含まないZSM5型バインダーレスゼオライト成型体およびその簡便で効率的な製法は知られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、結晶骨格を構成するT原子が実質的にケイ素のみからなるZSM5型バインダーレスゼオライト成型体、または結晶骨格を構成するT原子が、ケイ素と、鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛およびガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素とからなるZSM5型バインダーレスゼオライト成型体を提供することにある。
【0010】
また本発明の他の目的は、バインダーを使用しないゼオライト成型体の簡便で効率良い製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはZSM5型バインダーレスゼオライト成型体について鋭意検討した結果、例えば、シリカ成型体にアルキル基の炭素数が1〜5であるテトラアルキルアンモニウム成分およびアルカリ金属成分を担持させた後に、特定の条件で飽和水蒸気と接触させる方法により、シリカ成型体の形状を保ったまま全量のシリカを結晶化させ、本質的にバインダーを含有しないZSM5型バインダーレスゼオライト成型体が簡便に収率良く製造できること、また他の金属成分を併せて担持させた後、前記方法により、該金属成分をT原子として取り込んだ本質的にバインダーを含有しないZSM5型バインダーレスメタロシリケート成型体が簡便に効率良く製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、バインダーレスゼオライト成型体であって、該ゼオライトがZSM5型結晶構造を有し、該結晶骨格を構成する金属成分が、実質的にケイ素のみからなるバインダーレスゼオライト成型体(A)に関する。
【0013】
また本発明の他の発明は、バインダーレスゼオライト成型体であって、該ゼオライトがZSM5型結晶構造を有し、該結晶骨格を構成する金属成分が、ケイ素と、鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛およびガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素とからなり、該金属元素のケイ素に対する組成比(原子比)が、0.0001〜0.5の範囲であることを特徴とするバインダーレスゼオライト成型体(B)に関する。
【0014】
前記バインダーレスゼオライト成型体は、例えば、BET法による窒素吸着測定から求めた比表面積が300m2/g〜550m2/gであるバインダーレスゼオライト成型体である。
【0015】
前記バインダーレスゼオライト成型体は、例えば、水銀圧入法により求めた細孔径が6nm以上の細孔を有し、該細孔の表面積が2m2/g〜150m2/gであって、かつ前記細孔の細孔容積が0.15ml/g〜1.5ml/gであるバインダーレスゼオライト成型体である。
【0016】
本発明の他の発明は、下記式(1)
Si1(SDA)x1 y2 z ・・・(1)
(式中、SDAはアルキル基の炭素数が1〜5のテトラアルキルアンモニウム、M1はアルカリ金属、M2は鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛およびガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表し、xは0.001〜1、yは0.0001〜1、zは0〜0.5の範囲を表わす。)
で表されるゼオライト前駆体を、120〜240℃の飽和水蒸気と接触させることを特徴とするバインダーレスゼオライト成型体の製造方法に関する。
【0017】
前記ゼオライト前駆体は、アルキル基の炭素数が1〜5であるテトラアルキルアンモニウム成分とアルカリ金属成分と、所望により、鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛およびガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の成分とを含む原料物質を、シリカ成型体に担持してなるゼオライト前駆体であるあることが好ましいものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0019】
本発明のバインダーレスゼオライト成型体の製造方法に用いられるゼオライト前駆体は、下記式(1)
Si1(SDA)x1 y2 z ・・・(1)
(式中、SDAはアルキル基の炭素数が1〜5のテトラアルキルアンモニウム、M1はアルカリ金属、M2は鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウムからなる群から選ばれる1以上の元素を表し、xは0.001〜1、yは0.0001〜1、zは0〜0.5の範囲を表わす。)
で表わされる組成であれば特に限定されない。さらに前記式(1)において、xが0.002〜1、yが0.0001〜1、zが0〜0.5の範囲の組成であることが好ましく、さらに前記式(1)において、xが0.003〜0.8、yが0.0002〜0.5、zが0〜0.3の範囲の組成であることがさらに好ましい。
【0020】
前記ゼオライト前駆体の調製方法としては特に限定されないが、アルキル基の炭素数が1〜5のテトラアルキルアンモニウム成分とアルカリ金属成分と、所望に応じて担持する鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウムからなる群から選ばれる1以上の成分とを含む原料物質を、シリカ成型体に担持する方法が好適である。
【0021】
前記シリカ成型体に、前記テトラアルキルアンモニウム成分とアルカリ金属成分を担持した場合には、ケイ素のみのT原子からなるバインダーレスZSM5型シリカライト成型体を製造することができ、該二つの成分に加えて鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウムからなる群から選ばれる1以上の成分を担持した場合には、これがT原子として取り込まれたバインダーレスZSM5型結晶性メタロシリケート成型体を製造することができる。
【0022】
前記シリカ成型体としては、特に限定されるものではなく、市販品を使用することができる。シリカ成型体は比表面積の比較的大きい成型体が好適に用いられ、通常BET法による窒素吸着測定から求めた比表面積が、例えば5m2/g〜800m2/g、好ましくは20m2/g〜600m2/gの範囲の物が用いられる。比表面積が小さすぎると結晶化に長時間を必要とし、また結晶化度が悪くなる場合があるからである。
【0023】
また前記シリカ成型体は、例えば、水銀圧入法により求めた細孔径が6nm以上の細孔を有し、該細孔による表面積と細孔容積は、それぞれ5m2/g〜800m2/g、0.1ml/g〜1.5ml/gであり、好ましくは20m2/g〜600m2/g、0.2ml/g〜1.3ml/gの範囲である。
【0024】
また前記テトラアルキルアンモニウム成分としては、テトラエチルアンモニウム、テトラn−プロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、テトラn−ペンチルアンモニウム、トリエチルn−プロピルアンモニウム、トリn−プロピルメチルアンモニウム、トリn−ブチルメチルアンモニウムなどのハロゲン化物、水酸化物などを例示することができるが、テトラn−プロピルアンモニウムイオンを含有する化合物を用いることが好ましく、通常はテトラn−プロピルアンモニウムヒドロキシドが用いられる。テトラn−プロピルアンモニウム塩を用いることにより、ZSM5型アルミノシリケートを効率よく合成することができる。
【0025】
前記アルカリ金属成分としてはリチウム、ナトリウム、カリウムなどを例示することができ、それらの水酸化物やハロゲン化物あるいはシリカ担体及び/又は金属塩化合物中のアルカリ成分を用いることもできる。
【0026】
ZSM5型バインダーレス結晶性メタロシリケート成型体を合成する場合には、シリカ担体上にテトラアルキルアンモニウム成分およびアルカリ金属成分と併せて、T原子となる金属の塩を担持する。これら金属塩としては、鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウムなどの硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、オキソ酸塩、水酸化物などを例示することができ、これらの水溶液の形で使用することが好ましい。これら金属成分は、結晶化の際にゼオライト骨格内に取り込まれることによってバインダーレスメタロシリケートに転化する。
【0027】
前記シリカ成型体に、アルキル基の炭素数が1〜5のテトラアルキルアンモニウム成分とアルカリ金属成分と、所望に応じて担持する鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウムからなる群から選ばれる1以上の成分とを含む原料物質を担持する方法は、特に限定されるものではないが、シリカ成型体内に前記原料物質を均質に担持することが望ましいため、通常、水溶液を含浸した後に乾燥することによってなされる。一例を挙げれば、所定量の各成分を均一な水溶液とし、シリカ成型体の吸水量に見合う水溶液量となるように調製して含浸する。このとき、各成分は同時に担持しても良いし、各成分毎あるいは均一な混合溶液を数回に分割して担持しても良く、分割して担持する場合には、担持する順番は生成物に何ら影響を与えない。
【0028】
また水溶液を含浸した後の乾燥温度は特に限定されないが、テトラアルキルアンモニウム塩の分解が少なく、効率的で含水量が抑えられる点で、好ましくは20℃〜120℃、より好ましくは50℃〜120℃で実施される。前記前駆体の含水量としては、結晶化の際に担持成分が溶出せず、収率が良い点で、30%以下、さらには20%〜0.1%の範囲が好ましい。
【0029】
また、乾燥する方法は特に限定されず、減圧、常圧何れの条件でも実施することができる。常圧での空気気流下で乾燥することが簡便なため好ましい。
【0030】
本発明の製法は、前記ゼオライト前駆体を、飽和水蒸気と接触させることを特徴とする。
【0031】
前記飽和水蒸気の温度は、特に限定されず、結晶化速度が速く、含有するテトラアルキルアンモニウム成分の分解が少なく結晶化度の高いZSM5型バインダーレスゼオライト成型体が得られる点で、120〜240℃の範囲が好ましく、130℃〜220℃がさらに好ましい。
【0032】
前記飽和水蒸気との接触時間は短時間で良く、通常は2〜50時間、好ましくは3〜35時間の範囲である。結晶化時間が短すぎると結晶化度が低下し、長すぎると他のゼオライトとの混晶になる場合がある。
【0033】
前記ゼオライト前駆体を飽和水蒸気と接触させて加熱する方法および装置は特に限定されるものではない。例えば、耐圧容器の中空に前駆体を設置し容器下部に反応温度と容器の容積によって定まる飽和水蒸気量に相当する水を封入したのち、恒温槽内で加熱することによって実施することができるが、実施態様はこれに限定されない。この前駆体を容器内に入れ、その外側に水を入れた密閉容器を用いてもよいし、あるいは移動床式反応器によって連続的に合成することもできる。
【0034】
本発明の製法を用いることにより、前記ゼオライト前駆体を、水中に分散させて水熱反応させることなく、飽和水蒸気と接触させることによって結晶化を行なうことができ、ほぼ全量のシリカと所望に応じて担持された前記金属成分とをT原子とするZSM5型ゼオライトに転化させることができる。これにより原料であるシリカ成型体がその形状を保ったまま全量がゼオライトに転化するため、生成するゼオライトには本質的にバインダーが含まれず、簡便にZSM5型バインダーレスゼオライト成型体が製造できると推察される。
【0035】
本発明の製法では、バインダーを使用しないため、本発明による製法で合成されたZSM5型ゼオライト成型体は、ゼオライトの含有率がほぼ100%の、極めて高い結晶化度を有している。適当な前駆体の組成比、結晶化温度ならびに結晶化時間を前記条件内から選択することによって、成型体の結晶化度を制御することができ、例えば95%以上、好ましくは98%以上である。結晶化度によって圧壊強度を制御することができる。
【0036】
また本発明の製法では、シリカ成型体を常法により、球状、シリンダー型、リング型などの任意の形状に成型した後、本発明による方法でゼオライトに転化することにより、球状、シリンダー型、リング型などの任意の形状のバインダーレスゼオライト成型体を製造することができる。原料としたシリカ担体自体がゼオライトにそのままの形状で転化するため、シリカ成型体の形状を保ったバインダーレスゼオライト成型体が得られるのである。
【0037】
また本発明の製法では、原料シリカ成型体の外観を保持しているだけでなく、圧壊強度やマクロ細孔分布等も反映する。このため、原料に使用するシリカ成型体の物性を常法により制御することによって、容易にバインダーレスゼオライト成型体の物性を制御することができる。
【0038】
本発明のバインダーレスゼオライト成型体(A)は、
(1)ゼオライトがZSM5型結晶構造を有すること、
(2)結晶骨格を構成する金属成分が、実質的にケイ素のみからなる
ことを特徴とする。
【0039】
また本発明のバインダーレスゼオライト成型体(B)は、
(1)ゼオライトがZSM5型結晶構造を有すること、
(2)結晶骨格を構成する金属成分が、ケイ素と、鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛およびガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素ととからなること、および
(3)ゼオライト結晶構造を構成するケイ素と前記金属との組成比(原子比)が、ケイ素1に対して、前記金属が0.0001〜0.5の範囲であることを特徴とする。
【0040】
本発明の成型体中のゼオライトは、ZSM5型結晶構造を有する。これは、粉末X線回折測定等で確認できる。ZSM5型ゼオライトの構造は、T原子を中心として4個の酸素原子が頂点に配位したTO4四面体が、3次元的に結合することによりゼオライト結晶骨格を形成している。このため、T原子がケイ素のみからなるシリカライトは電気的に中性であるため固体酸性は発現しない。Si4+を他の原子価金属に置換すると、TO4陰イオンを電気的に中和するために結晶内にプロトン等の陽イオンが存在し、これにより固体酸性が発現することが良く知られている。T原子として導入する元素の量と種類によって、発現する固体酸性の酸量及び酸強度を制御することができる。固体酸性は、アンモニアの昇温脱離(TPD)法等により評価することができる。
【0041】
本発明の成型体(A)は、ケイ素以外のT原子を導入されていないゼオライト成型体であり、例えば、ZSM5型バインダーレスシリカライト成型体が挙げられる。
【0042】
また本発明の成型体(B)は、該成型体中のゼオライト結晶構造を構成する金属成分の組成比(原子比)が、ケイ素1に対して、鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウムからなる群から選ばれる1以上の元素が0.0001〜0.5の範囲、好ましくは0.003〜0.3の範囲であることを特徴とする。
【0043】
また本発明の成型体は、例えば、BET法による窒素吸着測定から求めた比表面積は300m2/g〜550m2/gであり、好ましくは315m2/g〜500m2/gの範囲である。
【0044】
また本発明の成型体は、例えば、水銀圧入法により求めた細孔径が6nm以上の二次細孔を有し、該細孔による表面積と細孔容積は、それぞれ2m2/g〜150m2/g、0.15ml/g〜1.5ml/gであり、好ましくは4m2/g〜100m2/g、0.2ml/g〜1.3ml/gの範囲である。
【0045】
本発明の成型体は、例えば、前記のバインダーレスゼオライト成型体の製造方法により、簡便に効率よく製造できる。
【0046】
本発明の成型体の形状としては、球状、シリンダー型、リング型などを例示することができるが、特に限定されない。
【0047】
本発明の成型体は、形状や大きさ、マクロ細孔分布等を容易に制御可能なため、種々の化学プロセスにおいて、吸着剤や化学反応用の触媒、あるいは触媒担体として利用することができ、アルキル化反応触媒、異性化反応触媒、クラッキング反応触媒、ベックマン転位反応触媒、水和反応触媒、アルコール付加反応触媒、液安法アルカノールアミン類合成触媒等に好適に用いられる。
【0048】
【実施例】
以下の実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何等限定されるものではない。
【0049】
実施例1.
0.2mol/l濃度の水酸化ナトリウム水溶液9.84mlを10重量%濃度の水酸化テトラn−プロピル(TPA−OHと略記する)水溶液26.70gに溶解させて、蒸留水で全量を33mlとした。120℃で1昼夜乾燥させたシリカビーズ(富士シリシア化学製「キャリアクトQ−50」,10〜20メッシュ)23.67gに、前記水溶液33mlを1時間含浸させて、シリカビーズ上に水酸化ナトリウムとTPAOHを担持した。組成比は、Si1Na0.005TPA0.03である。
【0050】
これを蒸発皿上に移し、100℃湯浴上で乾燥させた後、80℃オーブンで窒素気流下5時間乾燥させた。得られた前駆体をテフロンカップに入れ、容積100mlのジャケット付きテフロンるつぼの中空に設置した。るつぼ容器の底に1.00gの蒸留水を入れ、180℃で8時間加熱した。るつぼを室温まで冷却後取り出した生成物をカラムに充填し、蒸留水500mlで水洗後、120℃で5時間乾燥した。得られた白色固体を空気気流中540℃で3.5時間焼成して過剰の有機成分を除くことにより、白色の生成物23.87gを得た。これを生成物Aとする。
【0051】
生成物Aの形状は、原料として用いたシリカビーズの外観を保持して10〜20メッシュサイズのビーズであった。生成物Aを粉砕した後に粉末X線回折測定した結果、図1に示すとおりZSM5型シリカライトであった。
【0052】
77Kにおける窒素のBET3点法(P/P0=0.01,0.03,0.06)による比表面積は、350m2/gであり、また、水銀圧入法で細孔分布を測定した結果、図2に示した細孔分布曲線を与え、6nm以上の全マクロ細孔容積は1.10ml/gであり、同マクロ細孔の表面積は15m2/gであった。
【0053】
実施例2.
0.2mol/l濃度の水酸化ナトリウム水溶液の代わりに4mol/l濃度の水酸化ナトリウム水溶液3.28mlを使用して担持組成比をSi1Na0.03TPA0.03にした以外は実施例1と同様にして、白色の生成物23.98gを得た。これを生成物Bとする。
【0054】
生成物Bの形状は、原料として用いたシリカビーズの外観を保持して10〜20メッシュサイズのビーズであった。生成物Bを粉砕した後に粉末X線回折測定した結果、図1と本質的に同じ回折パターンを与え、ZSM5型シリカライトであった。
【0055】
77Kにおける窒素のBET3点法(P/P0=0.01,0.03,0.06)による比表面積は、370m2/gであり、また、水銀圧入法で細孔分布を測定した結果、6nm以上の全マクロ細孔容積は0.92ml/gであり、同マクロ細孔の表面積は5.6m2/gであった。
【0056】
実施例3.
硝酸鉄(III)九水和物4.75gを蒸留水に溶解させて30mlとした水溶液を、120℃で1昼夜乾燥させたシリカビーズ(富士シリシア化学製「キャリアクトQ−50」,10〜20メッシュ)21.18gに1時間含浸させた。120℃で一昼夜乾燥した後、引き続いて1mol/l濃度のTPAOH水溶液21.75gと4mol/l濃度の水酸化ナトリウム水溶液3.9mlとの混合溶液(蒸留水で薄めて全量を30mlとした)を1時間含浸してシリカビーズ上に水酸化アルミニウムとTPAOHと硝酸鉄を担持させた。組成比はSi1Na0.05TPA0.07Fe0.03である。
【0057】
これを実施例1と同様にして、淡褐色の生成物22.98gを得た。これを生成物Cとする。
【0058】
生成物Cの形状は、原料として用いたシリカビーズの外観を保持して10〜20メッシュサイズのビーズであった。生成物Cを粉砕した後に粉末X線回折測定した結果、図1と本質的に同じであり、ZSM5型フェリシリケートであった。
【0059】
77Kにおける窒素のBET3点法(P/P0=0.01,0.03,0.06)による比表面積は、465m2/gであり、また、水銀圧入法で細孔分布を測定した結果、6nm以上の全マクロ細孔容積は0.78ml/gであり、同マクロ細孔の表面積は18m2/gであった。
【0060】
比較例
水酸化ナトリウムを使用せずに担持後の組成比がSi1Na0TPA0.03とした以外は実施例1と同様にした実験を行なった。生成物の粉末X線回折測定の結果、ゼオライトは全く生成しておらず、アモルファスであった。
【0061】
【発明の効果】
本発明のZSM5型バインダーレスゼオライト成型体は、本質的にバインダーを含有しないため成型体中のゼオライト含有率が極めて高く、なおかつ無機バインダー内にゼオライトが埋没することがない。このためゼオライトを効率的に利用でき、また無機バインダー等の不純物に起因する悪影響がない特徴がある。
【0062】
本発明の方法によれば、成型されている前駆体と飽和水蒸気とを接触させて結晶化を行なうため、簡便にバインダーレスZSM5型ゼオライト成型体を製造することができる。
【0063】
また本発明の方法によれば、結晶化に要する時間が短時間であり、なおかつ原料成分が水中に溶出することがないので、金属成分が結晶格子内に効率よく取り込まれ、この結果、原料仕込み組成とほぼ一致した組成を持つZSM5型結晶性メタロシリケートを収率良く製造することができる。
【0064】
また本発明の方法によれば、製造されるバインダーレスZSM5型ゼオライト成型体は、原料シリカ成型体の性質をそのまま反映するため、二次細孔構造などの物性を制御しやすい。また、高価なテトラアルキルアンモニウムの使用量を低減でき、なおかつ廃液がほとんど発生しないため、回収、廃液処理の必要がなく経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 生成物AのCuKαX線回折図を示す。
【図2】 水銀圧入法による生成物Aの細孔分布曲線を示す。

Claims (4)

  1. アルキル基の炭素数が1〜5であるテトラアルキルアンモニウム成分と、アルカリ金属成分と、鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛およびガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の成分とを含む原料物質をシリカ成型体に担持してなるゼオライト前駆体は、下記式(1)
    Si(SDA) ・・・(1)
    (式中、SDAはアルキル基の炭素数が1〜5のテトラアルキルアンモニウム、Mはアルカリ金属、Mは鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛およびガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表し、xは0.001〜1、yは0.0001〜1、zは0超0.5以下の範囲を表わす。)で表され、
    当該ゼオライト前駆体を飽和水蒸気に接触させることにより、シリカ成型体がその形状を保ったまま全量がゼオライトに転化し、かつ前記鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛およびガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の成分が骨格内に取り込まれることを特徴とするZSM5型のバインダーレスゼオライト成型体の製造方法。
  2. バインダーレスゼオライト成型体の製造方法であって、該ゼオライトがZSM5型結晶構造を有し、該結晶骨格を構成する金属成分が、ケイ素と、鉄、ホウ素、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛およびガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素とからなり、該金属元素のケイ素に対する組成比(原子比)が、0.0001〜0.5の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. BET法による窒素吸着測定から求めた前記バインダーレスゼオライト成型体の比表面積が300m/g〜550m/gである請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記バインダーレスゼオライト成型体は、水銀圧入法により求めた細孔径が6nm以上の細孔を有し、細孔の表面積が2m/g〜150m/gであって、かつ前記細孔の細孔容積が0.15ml/g〜1.5ml/gである請求項2または3に記載の製造方法。
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