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JP5000463B2 - 油脂含有乳化組成物及びその製造方法、並びに油脂含有乳化組成物を含有する食品 - Google Patents

油脂含有乳化組成物及びその製造方法、並びに油脂含有乳化組成物を含有する食品 Download PDF

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Description

本発明は、透明感を有しかつ風味がよい油脂含有乳化組成物及びその製造方法、並びに油脂含有乳化組成物を含有する食品に関する。
マヨネーズ等の乳化食品は、水相原料の風味と油脂原料の風味とが合わさったまろやかな風味と、乳化によるなめらかな口当たりのよい食感とを有する人気食品である。一方、前記乳化食品は、水相中に分散する油脂粒子が光を散乱するため、一般に、白濁した白い色調を有するという性質を有する。
近年、嗜好の多様化に伴って、様々な新しいメニュー及び加工食品の開発が行われており、メニュー及び加工食品の外観を引き立て、かつ風味を向上させるために使用することができる、透明感を有しかつ風味が良好な乳化食品が求められている。
油脂を含有する乳化組成物に透明感を付与する方法としては、例えば、水相と油相の屈折率を一致させる方法が特開平11−18709号公報(特許文献1)に提案されている。また、乳化剤として非イオン性界面活性剤及びリゾレシチンを用いる脂溶性物質含有液剤が特開平7−17860号公報(特許文献2)に提案されている。しかしながら、これらの方法はいずれも、透明感を付与するために使用される乳化剤の種類や配合等に制約があるため、風味が劣るという問題があった。
特開平11−18709号公報 特開平7−17860号公報
本発明は、透明感を有しかつ風味が良好な油脂含有乳化組成物及びその製造方法、並びに油脂含有乳化組成物を含有する食品を提供する。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、卵黄、卵白及び動物性蛋白から選ばれる1種又は2種以上の成分及び多価アルコールを含む混合液と油脂とを50℃以上で乳化処理するならば、意外にも、透明感を有しかつ風味がよい油脂含有乳化組成物が得られること、並びに、前記油脂含有乳化組成物を用いた水中油型乳化飲食品が油脂の分散性が優れていることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
本発明の一態様に係る油脂含有乳化組成物は、
卵黄、卵白及び動物性蛋白から選ばれる1種又は2種以上の成分を含み、積分球式光電光度法を用いた濁度測定により得られた全光線透過率が40%以上である。
上記油脂含有乳化組成物において、前記成分の含有量が固形分換算で0.1質量%以上であることができる。ここで、「前記成分の含有量」は、前記成分が卵黄、卵白及び動物性蛋白から選ばれる2種以上の成分からなる場合、前記2種以上の成分の合計の含有量を意味する。
上記油脂含有乳化組成物において、多価アルコールをさらに含むことができる。この場合、前記成分の含有量と前記多価アルコールの含有量との比率が、固形分換算で前記成分100質量部に対して多価アルコールが1質量部以上であることができる。
上記油脂含有乳化組成物において、脂溶性成分をさらに含むことができる。
本発明の一態様に係る食品は、上記油脂含有乳化組成物を含有する。
本発明の一態様に係る水中油型乳化飲食品は、上記油脂含有乳化組成物が配合され、前記油脂含有乳化組成物の油脂が油滴として分散していることができる。
本発明の一態様に係る油脂含有乳化組成物の製造方法は、
卵黄、卵白、及び動物性蛋白から選ばれる1種又は2種以上の成分及び多価アルコールを含む混合液と油脂とを50℃以上で乳化処理することを含む。
本発明の一態様に係る油脂含有乳化組成物の製造方法は、
卵黄、卵白、及び動物性蛋白から選ばれる1種又は2種以上の成分及び多価アルコールを含む混合液と油脂とを乳化処理する際の温度を調整することにより、得られる油脂含有乳化組成物の透明度を調整することを含む。
上記油脂含有乳化組成物の製造方法において、前記乳化処理により、積分球式光電光度法を用いた濁度測定により得られた全光線透過率が40%以上である油脂含有乳化組成物を得ることができる。
上記油脂含有乳化組成物の製造方法において、前記混合液の前記成分と多価アルコールとの混合比率が、固形分換算で前記成分の合計量100質量部に対して多価アルコールが1質量部以上であることができる。
上記油脂含有乳化組成物は、透明感を有しかつ風味が良好である。したがって、白濁した白い色調の一般的な乳化食品では得られなかった、まったく新しい外観及び風味のメニューや加工食品を得ることができる。これにより、食品産業の新たな市場形成が期待できる。また、上記油脂含有乳化組成物は食品由来の前記成分を含むため、安全性が高い。
上記水中油型乳化飲食品は、油脂の分散性に優れている。より具体的には、上記油脂含有乳化組成物を水系媒体と軽く混合するだけで、風味を損なうことなく、水系媒体中での油脂の分散性に優れた水中油型油脂含有乳化飲食品を容易に得ることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る油脂含有乳化組成物及びその製造方法、並びに油脂含有乳化組成物を含む食品について説明する。
1.油脂含有乳化組成物及びその製造方法、並びに油脂含有乳化組成物を含有する食品
1.1.油脂含有乳化組成物
本発明において、油脂含有乳化組成物とは、少なくとも油脂と水を含み、これらが略均一に混合されて乳化状態となっている組成物である。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は、卵黄、卵白、及び動物性蛋白から選ばれる1種又は2種以上の成分(以下、「特定成分」ともいう。)を含む。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は、特定成分を含むことにより、風味がよいものとなる。本実施形態に係る油脂含有乳化組成物において、特定成分は乳化材として機能することができる。
また、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は多価アルコールを含むことができる。この場合、多価アルコールは乳化材として機能することができる。
なお、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物においては、卵黄等の特定成分及び多価アルコール以外の乳化材を実質的に含まなくてもよい。ここで、「特定成分及び多価アルコール以外の乳化材を実質的に含まない」とは、特定成分及び多価アルコール以外の乳化材の含有量が0.01質量%以下であることをいう。特定成分及び多価アルコール以外の乳化材とは、例えば、食品用乳化材として一般的に使用されている物質(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、水添レシチン)が挙げられる。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は、特定成分及び多価アルコール以外の乳化材を実質的に含まないことにより、風味が良好である。
特定成分として使用可能な卵黄としては特に制限は無く、例えば、鶏卵を割卵し卵白液と分離して得られた生卵黄をはじめ、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA1、ホスフォリパーゼA2、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は、卵黄を含むことにより、風味が特によいものとなる。本実施形態に係る油脂含有乳化組成物において、卵黄は乳化材として良好に機能することができる。
特定成分として使用可能な卵白としては、特に制限は無く、例えば、鶏卵を割卵し卵黄液と分離して得られた生卵白をはじめ、当該生卵白に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、プロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。
また、特定成分として、卵黄と卵白との混合物を用いてもよい。この場合、上記混合物は、鶏卵を割卵して得られる全卵、卵黄と卵白とを任意の割合で混合したもの、あるいはこれらに上記処理を施したもの等であってもよい。
特定成分として使用可能な動物性蛋白としては、卵や乳等の動物性の蛋白含有原料の構成成分から蛋白以外の成分を除去したものをいい、蛋白が90質量%以上含まれるものをいう。例えば、卵蛋白としては脱脂卵等が、乳蛋白としては、ホエー蛋白、カゼイン及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの1種以上を使用することができる。
なお、特定成分には、溶解度が増したりして使い易い点から、卵黄、卵白及び動物性蛋白から選ばれる1種又は2種以上の成分の部分分解物が含まれるものとする。このような部分分解物としては、具体的には、特定成分を酵素あるいは酸等を用いて部分的に分解することにより得られる水溶性蛋白質の部分分解物が挙げられる。前記蛋白質の部分分解物としては、あまり分解しすぎたりすると乳化力が低下したりすることから、その平均分子量が好ましくは500〜50,000、より好ましくは500〜10,000程度のものが好ましい。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は、より透明度の高い油脂含有乳化組成物が得られ易いことから、特定成分として卵黄又は乳蛋白を含むことがより好ましい。
特定成分の含有量は、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物に対して固形分換算で好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.1〜15質量%であり、更に好ましくは0.5〜10質量%である。特定成分の含有量が0.1質量%より少ないと、風味の点から好ましくなく、また、該組成物において油の分離が生じ易い。一方、特定成分の含有量が15質量%より多いと、透明感を有する油脂含有乳化組成物が得られ難い傾向がある。
特定成分を乳化材として含むマヨネーズ等の一般的な乳化食品は、水相中に分散した油脂粒子等が光を散乱するため、白濁した白い色調を有する。これに対して、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は透明感を有する。すなわち、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は、積分球式光電光度法を用いた濁度測定により得られた全光線透過率が40%以上(通常40〜98%)、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
本発明において、積分球式光電光度法を用いた濁度測定により得られる、サンプルの全光線透過率は、清水の全光線透過率に対する値である。すなわち、全光線透過率は、サンプルに全光線を照射した時の透過率であり、対照である清水の透過率を100%とした場合のサンプルの透過率(%)を示す。したがって、積分球式光電光度法を用いた濁度測定により得られた、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物の全光線透過率は、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物の透明度を示す指標であり、全光線透過率の値が高いほど、透明度が高いことを意味する。
具体的には、後述する試験例に示すように、サンプルの全光線透過率が40%以上である場合、透明感を有し半透明であり、サンプルの全光線透過率が大きいほど透明度が高い。一方、サンプルの全光線透過率が40%未満であると、白濁した白い色調である。
積分球式光電光度法を用いた濁度測定によるサンプルの全光線透過率の測定は、粒子に光を照射した場合の散乱光の強度と透過光の強度との比から、サンプルの全光線透過率を求めることにより行われ、JIS K 0101に準じて行うことができる。例えば、濁度測定器(型名「WA 2000N」、日本電色工業(株)製)を用いて、積分球式光電光度法を用いた濁度測定により、サンプルの全光線透過率を得ることができる。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物において使用可能な多価アルコールは、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコールのことであり、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロースなどの単糖類、シュークロース、マルトース、ラクトース、トレハロースなどの二糖類、オリゴ糖、デキストリン、マルトトリオース、サイクロデキストリンなどの多糖類、キシリトール、マルチトール、イノシトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スレイトール、ラクチトール、マンニトール、還元デキストリンなどの糖アルコールの他、グリセリン等のポリグリセリンを挙げることができ、このうち、直鎖の糖アルコールやグリセリン等のポリグリセリンが好ましく、炭素数3〜6の糖アルコールまたはポリグリセリンがより好ましい。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物における多価アルコールの含有量は、固形分換算で好ましくは10〜70質量%、好ましくは15〜60質量%である。本実施形態に係る油脂含有乳化組成物における多価アルコールの含有量が10質量%より少ない場合または70質量%より多い場合、透明感を有する油脂含有乳化組成物が得られ難い傾向がある。また、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物において、特定成分及び多価アルコールの含有比率は、固形分換算で特定成分100質量部に対して多価アルコールが1質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物で用いる油脂は特に制限は無く、ヤシ油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、ゴマ油、エゴマ油、魚油、卵黄油等の動植物油又はこれらの精製油(サラダ油)、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的処理や酵素的処理等を施して得られる油脂等が挙げられる。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物における油脂の含有量は、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは10〜80質量%、更に好ましくは30〜80質量%である。本実施形態に係る油脂含有乳化組成物における油脂の含有量が1質量%より少ない場合、風味やなめらかな口当たりの点から好ましくなく、一方、80質量%より多い場合、透明感のある油脂含有乳化組成物が得られ難い傾向がある。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は食品由来の特定成分を含むため、安全性が高く、例えば、食品由来の特定成分、油脂、及び糖アルコールを含む場合、安全性が特に高い。
また、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は、前記油脂の他に種々の脂溶性成分を含有させることができる。本実施形態に係る油脂含有乳化組成物が脂溶性成分を含有する場合、水系媒体と混合するだけで風味を損なわずに、脂溶性成分を含む油脂を水中油型の油滴として、水系媒体中に良好に分散させることができる。したがって、例えば、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物を、脂溶性成分が乳化しにくい液状の水中油型乳化飲食品に用いることにより、脂溶性成分を油脂とともに水系媒体中に良好に分散させることができる。
脂溶性成分は、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物100質量部に対して1質量部以上含まれることが好ましく、5〜50質量部含まれることがより好ましい。
脂溶性成分としては、例えば、トコフェロール類等の脂溶性抗酸化剤、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等の脂溶性ビタミン、α−カロチン、β−カロチン、アスタキサンチン、リコピン、ルテイン等のカロチノイド、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸、コエンザイムQ10、ポリフェノール類、ステロール類、ステロールエステル類、ハーブ類等の脂溶性抽出物、脂溶性香料、脂溶性着色料等が挙げられる。
1.2.油脂含有乳化組成物の製造
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は、特定成分及び多価アルコールを含む混合液と油脂とを50℃以上で乳化処理することにより製造することができる。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物の製造においては、まず、上述の特定成分及び多価アルコールを攪拌混合して混合液を製造する。攪拌混合に用いる装置は、特に制限は無く、攪拌タンクやミキサー等の他、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモゲナイザー等の均質機を用い、全体が均一になるまで行うとよい。なお、後述のように、本発明においては、加温した状態で前記混合液と油脂を乳化処理するが、前記特定成分と多価アルコールとを混合して混合液を得る前に、特定成分のみを加温して蛋白成分等を熱変性させてしまうと乳化物が得られなくなる。したがって、混合に用いる前記特定成分及び多価アルコールは、品温が蛋白成分の熱変性温度以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下としておくことが好ましい。
上記混合液における特定成分及び多価アルコールの混合比率は、固形分換算で特定成分100質量部に対して多価アルコールが好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。上記混合液における特定成分及び多価アルコールの混合比率は、特定成分に対する多価アルコールの混合比率が1質量部未満であると、加温により蛋白成分等が変性して乳化物が得られないとなる場合がある。また、上記混合液における特定成分及び多価アルコールの混合比率は、固形分換算で特定成分100質量部に対して多価アルコールは通常1〜1000質量部、好ましくは10〜500質量部である。
特に、特定成分が卵黄である場合、上記混合液における卵黄及び多価アルコールの混合比率は、卵黄に対する多価アルコールの混合比率が1質量部未満であると、後述するように、加温した状態で油脂と乳化処理する際に卵黄が熱変性する場合がある。したがって、前記混合液の卵黄及び多価アルコールの混合比率は、加温する温度にもよるが、固形分換算で卵黄100質量部に対して多価アルコールが好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。
また、前記混合液の水分含量は、該混合液の0.1質量%未満または70質量%以上であると、油脂と乳化して透明感のある油脂含有乳化組成物が得られ難いことから、前記混合液の水分含量は、好ましくは0.1〜70質量%であり、より好ましくは1〜50質量%である。前記混合液の水分含量が0.1〜70質量%となるように水分含量を調整するには、用いる卵黄や多価アルコールの水分含量を調製したり、清水を加えたりすればよい。
次に、前記混合液に油脂を叙々に加えて乳化処理し、前記混合液中に油脂を融解又は分散させて略均一に混合された状態となるようにすればよいが、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物の製造においては、当該乳化処理を好ましくは50℃以上(例えば50〜95℃)、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上(例えば70〜90℃)で行う。このように加温した状態で乳化処理することにより、透明感のある油脂含有乳化組成物が得られる。なお、温度が高すぎると卵黄が熱変性し易いことから、前記乳化処理は、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下で行うことが好ましい。
加温した状態で乳化処理する方法は、特に制限は無く、例えば、常法により、加温装置を有するジャケット付きタンク等に入れた状態でホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモゲナイザー等の均質機を用いて、あるいは、予め加温した前記混合液と油脂とをこれら均質機を用いて乳化処理すればよい。
以上のように加温した状態で乳化処理した後、冷却装置の付いた配管に流す等して冷却することにより、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物が得られる。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物の製造方法によれば、特定成分及び多価アルコールを含む混合液と油脂とを50℃以上で乳化処理することにより、得られる油脂含有乳化組成物に煮えが生じることなく、透明度が高くかつ風味が良好な油脂含有乳化組成物を得ることができる。
また、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物の製造においては、特定成分及び多価アルコールを含む混合液と油脂とを乳化処理する際の温度を調整することにより、得られる油脂含有乳化組成物の透明度を調整することができる。すなわち、特定成分及び多価アルコールを含む混合液と油脂とを所定の温度にて乳化処理することにより、所望の透明度を有する油脂含有乳化組成物を得ることができる。
なお、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で上述の原料以外の各種原料を適宜選択し含有させることができる。例えば、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、醤油、味噌等の各種調味料、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉等の澱粉、湿熱処理澱粉、化工澱粉等の増粘材、アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、香辛料等が挙げられる。
1.3.油脂含有乳化組成物を含有する食品
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は、透明感を有することから、種々の食品に用いることで、白濁した白い色調の一般的な乳化組成物を用いた場合に比べて、当該食品の外観(例えば色調)が保持された好ましい外観の食品を得ることができる。したがって、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は例えば、食品の外観を改善するために使用することができる。しかも、風味がよいことから、一般的な乳化組成物を用いた場合と同様の好ましい風味が得られる。
本実施形態に係る油脂含有乳化組成物を含有する食品としては、特に制限はないが、例えば、ポテトサラダ、タマゴサラダ等のサラダ、調理ソース、スープ等のソース類等の調理食品が挙げられる。更に、乳化組成物をコク味付与等の品質改良剤として用いる魚肉加工食品や畜肉加工食品等が挙げられる。また、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物は例えば、食品の色彩を映えさせるために使用することができる。なお、前記食品中における油脂含有乳化組成物の含有量は通常1質量%以上であり、3〜98質量%であることが好ましい。
1.4.水中油型乳化飲食品
1.4.1.構成成分および具体例
本発明の一実施形態は、水系媒体中での分散性に優れた本実施形態に係る油脂含有乳化組成物が配合され、前記油脂含有乳化組成物の油脂が油滴として分散している水中油型乳化飲食品である。
本実施形態に係る水中油型乳化飲食品に配合する油脂含有乳化組成物は、脂溶性成分を含有するものであってもよい。脂溶性成分を含有する本実施形態に係る油脂含有乳化組成物を水系媒体と混合させると、風味を損なわずに、脂溶性成分を含む油脂を水中油型の油滴として、水系媒体中に容易に分散させることができるため、油脂の分散性に優れた飲食品を得ることができる。
本実施形態に係る水中油型乳化飲食品に含まれる食品としては、特に制限はないが、例えば、マヨネーズやサラダクリーム等の半固体状ドレッシング、サウザンドレッシングやフレンチドレッシング等の乳化液状ドレッシング、中華ドレッシング等の分離液状ドレッシング、青じそドレッシング等のノンオイルドレッシング、カルボナーラソース、デミグラスソース等のソース類、コーンスープ、コンソメスープ、ラーメンスープ、味噌汁等のスープ類、カスタードクリーム、オムレツ、茶碗蒸し、プリン等の卵加工食品、アイスクリーム、ソフトクリーム、アイスキャンディー等の冷菓、ゼリー、ババロアおよびヨーグルト等のデザート類、煮物等の惣菜類、おかゆ等が挙げられる。
また、本実施形態に係る水中油型乳化飲食品に含まれる飲料としては、特に制限はないが、例えば、オレンジジュース等の果汁飲料もしくは果肉飲料、トマトジュース等の野菜ジュース、コーラ等の清涼飲料、緑茶、ウーロン茶、麦茶、紅茶等の茶飲料、牛乳等の乳飲料、乳酸菌飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、ワイン等のアルコール飲料、栄養ドリンク、スポーツ飲料、高栄養濃厚流動食等の経口流動食等が挙げられる。
1.4.2.作用効果
本実施形態に係る水中油型乳化飲食品の作用効果について述べる前に、一般的な水中油型乳化飲食品について説明する。
(i)一般的な水中油型乳化飲食品
水中油型乳化飲食品を製造するにあたり、油性成分を水系媒体中に分散させる一般的な方法としては、水系媒体および油性成分に乳化材を加えて撹拌混合して乳化させる方法が一般的である。この方法は、例えば、卵黄を乳化材として用いたマヨネーズ等のように食品製造の方法として広く行われているが、油滴が微粒子状に分散した安定した乳化状態とするためには、ホモミキサー等の大掛かりな乳化設備が必要となる。
その他の方法としては、乳化剤を含む多価アルコール中に油相を可溶化、あるいは、微粒子状に分散させて、いわゆる多価アルコール中油型乳化組成物を調製し、これを更に水と混合することにより、水中油型の乳化物を得る方法が知られている。この方法としては、例えば、特公昭63−61050号公報には、平均重合度が3以上のポリグリセリンと炭素数8以上の脂肪酸とのエステルであって、HLB9以上の親水性ポリグリセリン高級脂肪酸エステルを乳化剤とした多価アルコール中油型乳化組成物が、特開昭62−95132号公報には、リゾレシチンを乳化剤として用いた多価アルコール中油型乳化組成物が提案されている。また、特開2000−102356号公報には、D相乳化物を含有する鶏卵を用いた水中油型の乳化組成物、つまり、リゾレシチンやモノステアリン酸デカグリセリン等の界面活性剤と糖アルコールまたは液糖の混合液であるD相組成物に油脂を混合したD相乳化組成物を含有する鶏卵が提案されている。
これら提案の方法によれば、大掛かりな乳化設備を使用することなく油滴が微粒子状に分散した水中油型乳化物が得られるものの、使用する乳化剤の種類に制約があり、風味が劣るという問題があった。また、コストや安全性の点からは、できるだけ加工工程の少ない食品素材を原料とした製品であることが望まれる。
(ii)本実施形態に係る水中油型乳化飲食品
これに対して、本実施形態に係る水中油型乳化飲食品によれば、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物が配合され、前記油脂含有乳化組成物の油脂が油滴として水系媒体中に分散していることにより、良好な風味を有し、かつ、油脂の分散性に優れている。すなわち、本実施形態に係る水中油型乳化飲食品を製造する際に、大掛かりな乳化設備を使用することなく、本実施形態に係る油脂含有乳化組成物と水系媒体とを混合するだけで、油性成分を水系媒体中に微粒子状に容易に分散させることができる。
しかも、本実施形態に係る水中油型乳化飲食品は、乳化材として特定成分を含む本実施形態に係る油脂含有乳化組成物が配合されているため、風味を損なうことなく油性成分を水系媒体中に微粒子状に分散できる。
また、本実施形態に係る水中油型乳化飲食品は、脂溶性成分を含む液状の水中油型乳化飲食品であることができる。一般に、水中油型乳化飲食品が脂溶性成分を含む液状の水中油型乳化飲食品である場合、脂溶性成分が乳化しにくい。これに対して、本実施形態に係る水中油型乳化飲食品は油脂の分散性に優れているため、液状の水中油型乳化飲食品であっても、乳化しにくい脂溶性成分を油脂とともに水系媒体中に良好に分散させることができる。
更に、従来の特殊な乳化剤を使用する方法に比べて、加工工程の少ない蛋白質をそのまま乳化材として使用できることから、コストや安全性の点からも好ましい。
このように、本実施形態に係る水中油型乳化飲食品によれば、風味や設備等の点から制約の少ない新たな油性成分の水系媒体への分散状態を達成できる。
2.実施例
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
2.1.実施例1
まず、本実施例の油脂含有乳化組成物を製造するために、表1に示す配合原料を用意した。次に、品温30℃の液卵黄及びソルビトールを容器に入れ、TKホモミキサーで攪拌混合(速度:5000rpm)して均一に混合した。次に、この容器を70℃の恒温水槽に入れて、TKホモミキサーで更に攪拌混合しながら、目標の70℃に達するまで恒温槽で加温した。続いて、品温が70℃に達温した混合液を、TKホモミキサーで攪拌混合(速度:5000rpm)しながら、20分間かけて菜種油を少量ずつ投入し、更に、菜種油を投入後5分間、攪拌混合を続けて乳化処理して均一な状態とした。乳化処理後、耐熱性パウチに充填密封した後、5℃の冷却水槽に浸漬して冷却し、実施例1の油脂含有乳化組成物を得た。
得られた油脂含有乳化組成物は透明感のある外観であった。また、得られた油脂含有乳化組成物を厚さ5mmの石英セルに入れ、清水を対照として濁度測定器(型名「WA 2000N」、日本電色工業(株)製)を用いて測定された全光線透過率は62.2%であった。
Figure 0005000463
2.2.試験例1
実施例1において乳化処理する際の加温温度を表2に示す温度に変えた他は、実施例1と同様にして試験例1の油脂含有乳化組成物を得た。そして、それぞれ得られた油脂含有乳化組成物について、実施例1と同様にして全光線透過率を測定した。また、それぞれ得られた油脂含有乳化組成物の外観を目視にて評価した。結果を下記表2に示す。表2によれば、乳化処理時の温度が高いほど透明度が高くなること、並びに、50℃以上で乳化処理を行うことにより、積分球式光電光度法を用いた濁度測定により得られた全光線透過率が40%以上である油脂含有乳化組成物が得られることが確認された。また、乳化処理する際の温度を調整することにより、所望の透明度を有する油脂含有乳化組成物を得られることが確認された。
Figure 0005000463
2.3.比較例1
実施例1において、液卵黄に代えてリゾレシチン0.5質量%を用い、その減少分はソルビトールの配合量を増やして補正した他は実施例1と同様にして、比較例1の油脂含有乳化組成物を得た。
2.4.試験例2
実施例1及び比較例1で得られた油脂含有乳化組成物を食して風味を評価した。結果を下記表3に示す。表3によれば、液卵黄を用いた場合(実施例1)、風味が良好であるのに対して、リゾレシチンを用いた場合(比較例1)、風味が劣ることがわかる。
Figure 0005000463
2.5.実施例2
実施例1において、特定成分として液卵黄の代わりに下記表4に示す成分を配合した他は実施例1と同様にして、油脂含有乳化組成物を得た。この際、各成分の配合量は、固形分換算で実施例1と同じになるようにし、これによる増減は、ソルビトールの配合量を調整した。また、それぞれ得られた油脂含有乳化組成物について、目視による外観の評価及び風味の評価を行った。結果を下記表4に示す。
さらに、それぞれ得られた油脂含有乳化組成物について、乳化処理する際の加温温度を80℃にした以外は実施例1と同様の方法にて、全光線透過率、目視による外観の評価及び風味の評価を行った。その結果を表4に併せて示す。
Figure 0005000463
表4の結果から、実施例2によれば、特定成分(卵黄、卵白、動物性蛋白)及び多価アルコールを含む混合液と油脂とを50℃以上で乳化処理することにより、透明感を有し、良好な風味を有する油脂含有乳化組成物を得ることができることが理解できる。
一方、大豆蛋白(比較例2)や小麦蛋白(比較例3)等の植物性蛋白及び多価アルコールを含む混合液と油脂とを50℃以上で乳化処理を行った場合、得られる油脂含有乳化組成物の透明感が低いことがわかる。
また、実施例2の油脂含有乳化組成物は、特定成分を含み、積分球式光電光度法を用いた濁度測定により得られた全光線透過率が40%以上であるため、透明感を有し、良好な風味を有することが理解できる。また、表4に示される特定成分のうち、高い透明感を有する点から、卵黄及び動物性蛋白が好ましいことがわかり、良好な風味を有する点から、卵黄および乳蛋白が好ましいことがわかる。特に卵黄はコクがあって大変好ましい風味であった。
2.6.実施例3
実施例1において、ソルビトールに代えてグリセリンを用いた他は実施例1と同様にして、実施例3の油脂含有乳化組成物を得た。実施例3の油脂含有乳化組成物について、実施例1と同様の方法にて全光線透過率を測定した。
その結果、実施例3の油脂含有乳化組成物の全光線透過率は54.1%であり、透明感のある外観であった。
2.7.実施例4
下記表5に示す配合の原料を用いた他は実施例1と同様にして、実施例4のマヨネーズ風味の油脂含有乳化組成物を得た。つまり、まず、液卵黄、ソルビトール、食酢、グルタミン酸ナトリウム、からし粉及び食塩を容器に入れ、TKホモミキサーで攪拌混合(速度:5000rpm)して均一に混合し、これを実施例1と同様にして70℃に加温しながら、菜種油を加えて乳化処理して、実施例4のマヨネーズ風味の油脂含有乳化組成物を得た。実施例4の油脂含有乳化組成物について、実施例1と同様の方法にて全光線透過率を測定した。
その結果、実施例4のマヨネーズ風味の油脂含有乳化組成物の全光線透過率は49.6%であり、透明感のある外観であった。
Figure 0005000463
2.8.実施例5
下記表6に示す配合により、実施例4のマヨネーズ風味の油脂含有乳化組成物と乾燥たらことを混合して、実施例5のたらこマヨネーズ風味の調理ソースを製造した。また、一般的なマヨネーズ(植物油脂70質量%、液卵黄15質量%、食酢12質量%、調味、香辛料3質量%から常法により調製したもの、全光線透過率3.9%)を用いて同様に、比較例4のたらこマヨネーズ風味の調理ソースを製造した。
次に、実施例5および比較例4の調理ソースについて、それぞれ外観を評価し、更に、赤さの指標であるa値を測色色差計(型名「ZE 2000」、日本電色工業(株)製)を測定した。結果を下記表7に示す。
Figure 0005000463
Figure 0005000463
表7によれば、実施例4のマヨネーズ風味の油脂含有乳化組成物を用いた実施例5のたらこマヨネーズ風味の調理ソースは、一般的なマヨネーズを用いた比較例4の調理ソースに比べて、赤い色調が強く、たらこ色の鮮やかな色調であることがわかる。
2.9.実施例6
実施例4のマヨネーズ風味の油脂含有乳化組成物を用いて、下記表8に示す配合にて常法により実施例6のポテトサラダを製造した。また、対照として、一般的なマヨネーズ(植物油脂70質量%、液卵黄15質量%、食酢12質量%、調味、香辛料3質量%から常法により調製したもの、全光線透過率3.9%)を用いて同様に、比較例5のポテトサラダを製造した。
その結果、実施例4のマヨネーズ風味の油脂含有乳化組成物を用いた実施例6のポテトサラダは、一般的なマヨネーズを用いた比較例5のポテトサラダに比べて、にんじん、きゅうり等の色が鮮やかで素材の色が生かされた色鮮やかな外観であった。
Figure 0005000463
下記表9に示す配合の原料を用いた他は実施例1と同様にして、実施例7の卵黄油を含む油脂含有乳化組成物を得た。つまり、まず、液卵黄及びソルビトールを容器に入れ、TKホモミキサーで攪拌混合(速度:5000rpm)して均一に混合し、これを実施例1と同様にして70℃に加温しながら、予め混合した菜種油及び卵黄油を加えて乳化処理して、実施例7の卵黄油を含む油脂含有乳化組成物を得た。実施例7の油脂含有乳化組成物について、実施例1と同様の方法にて全光線透過率を測定した。
その結果、実施例7の卵黄油を含む油脂含有乳化組成物の全光線透過率は55.6%であり、透明感のある外観であった。
Figure 0005000463
2.11.実施例8
下記表10に示す配合の原料を用いた他は実施例1と同様にして、実施例8の脂溶性成分(エイコサペンタエン酸)を含む油脂含有乳化組成物を得た。つまり、まず、液卵黄及びソルビトールを容器に入れ、TKホモミキサーで攪拌混合(速度:5000rpm)して均一に混合し、これを実施例1と同様にして70℃に加温しながら、予め混合した菜種油及びエイコサペンタエン酸を加えて乳化処理して、実施例8のエイコサペンタエン酸を含む油脂含有乳化組成物を得た。実施例8の油脂含有乳化組成物について、実施例1と同様の方法にて全光線透過率を測定した。
その結果、実施例8のエイコサペンタエン酸を含む油脂含有乳化組成物の全光線透過率は52.6%であり、透明感のある外観であった。
Figure 0005000463
2.12.実施例9
実施例1の油脂含有乳化組成物を用いて、下記表11に示す配合にて実施例9の水中油型乳化飲食品(コールスロー風乳化ドレッシング)を製造した。つまり、まず、清水、食酢、グルタミン酸ナトリウム及び食塩をボールに入れ、スプーンで撹拌して均一に混合した後、これに油脂含有乳化組成物を加えて更に撹拌して、実施例9のコールスロー風乳化ドレッシングを得た。
得られた実施例9のコールスロー風乳化ドレッシングは、油滴が微粒子状に分散して白濁した乳化物となった。
Figure 0005000463
2.13.実施例10
実施例7の卵黄油を含む油脂含有乳化組成物を用いて、下記表12に示す配合にて実施例10の水中油型乳化飲食品(中華風スープ)を製造した。つまり、まず、清水、鶏がらスープの素(粉末品)及び食塩を鍋に入れ、加熱しながらおたまで均一に混合して品温80℃とした後、これに油脂含有乳化組成物を加えて更に撹拌して、実施例10の中華風スープを得た。
得られた実施例10の中華風スープは、油滴が微粒子状に分散しており油の分離は見られなかった。
Figure 0005000463
2.14.実施例11
実施例8のエイコサペンタエン酸を含む油脂含有乳化組成物を用いて、下記表13に示す配合にて実施例11の乳酸菌飲料を製造した。つまり、ヨーグルト(ドリンクタイプ)をコップに入れ、これに油脂含有乳化組成物を加えてスプーンで撹拌して、実施例11の乳酸菌飲料を得た。
実施例11の乳酸菌飲料は、油滴が微粒子状に分散しており油の分離は見られなかった。
Figure 0005000463
2.15.試験例3
試験例1において乳化処理温度がそれぞれ30℃及び70℃で得られた油脂含有乳化組成物について、以下の方法で清水への分散のし易さを評価した。
つまり、100mLのビーカーに45gのイオン交換水を入れ、スターラーでゆるやかに撹拌しながら、それぞれ各5gの試料を投入し、塊状の資料が分散して見えなくなるまでの時間を測定した。更に、得られた分散液の外観を目視にて評価した。結果を下記表14に示す。
表14によれば、乳化処理時の温度が高く透明度の高い本発明品の油脂含有乳化組成物(乳化処理温度が70℃で得られた油脂含有乳化組成物)は、乳化処理時の温度が低く白濁した比較品の油脂含有乳化組成物(乳化処理温度が30℃で得られた油脂含有乳化組成物)に比べて、油滴が短時間で水中に分散して乳化液が得られること、また、得られた乳化液は均一に油滴が分散していることが確認された。
Figure 0005000463
2.16.比較例6
実施例7において、液卵黄に代えてリゾレシチン0.5質量%を用い、その減少分はソルビトールの配合量を増やして補正した他は実施例7と同様にして、比較例6の油脂含有乳化組成物を得た。
2.17.比較例7
実施例10において、実施例7の油脂含有乳化組成物に代えて比較例6の油脂含有乳化組成物を用いた他は実施例10と同様にして、比較例7の水中油型乳化飲食品(中華風スープ)を得た。
2.18.試験例4
実施例10及び比較例7で得られた中華風スープを食して卵黄油の風味を評価した。結果を下記表15に示す。表15によれば、液卵黄を用いた油脂含有乳化組成物に卵黄油を含有させた場合(実施例10)、卵黄油の風味が強く良好であるのに対して、リゾレシチンを用いた油脂含有乳化組成物に卵黄油を含有させた場合(比較例7)、卵黄油の風味が弱く劣ることがわかる。
Figure 0005000463

Claims (10)

  1. 油脂の含有量が30〜80質量%であり、
    卵黄、卵白及び動物性蛋白から選ばれる1種又は2種以上の成分と多価アルコールとを含み、積分球式光電光度法を用いた濁度測定により得られた全光線透過率が40%以上であり、
    前記成分および前記多価アルコール以外の乳化材の含有量が0.01質量%以下である油脂含有乳化組成物。
  2. 前記成分及び前記多価アルコールを含む混合液と前記油脂とを乳化処理して得られ、
    前記混合液の水分含量が0.1〜50質量%である請求項1に記載の油脂含有乳化組成物。
  3. 前記成分の含有量が固形分換算で0.1〜15質量%である請求項1または2に記載の油脂含有乳化組成物。
  4. 前記多価アルコールの含有量が10〜70質量%である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の油脂含有乳化組成物。
  5. 前記成分の含有量と前記多価アルコールの含有量との比率が、固形分換算で前記成分100質量部に対して前記多価アルコールが1質量部以上である請求項1ないしのいずれか1項に記載の油脂含有乳化組成物。
  6. 脂溶性成分をさらに含む、請求項1ないしのいずれかに記載の油脂含有乳化組成物。
  7. 請求項1ないしのいずれかに記載の油脂含有乳化組成物を含有する食品。
  8. 請求項1ないしのいずれかに記載の油脂含有乳化組成物が配合され、前記油脂含有乳化組成物の油脂が油滴として分散している水中油型乳化飲食品。
  9. 前記成分及び前記多価アルコールを含む混合液と前記油脂とを50℃以上で乳化処理することを含む、請求項1に記載の油脂含有乳化組成物の製造方法。
  10. 前記混合液の前記成分と前記多価アルコールとの混合比率が、固形分換算で前記成分の合計量100質量部に対して前記多価アルコールが1質量部以上である請求項に記載の油脂含有乳化組成物の製造方法。
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