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JP5194310B2 - 内接歯車式ポンプ用ロータ - Google Patents

内接歯車式ポンプ用ロータ Download PDF

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JP5194310B2
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Description

この発明は、歯数差が1枚のインナーロータとアウターロータを偏心させて組み合わせた内接歯車式ポンプ用ロータ、及びそのロータを用いた内接歯車式ポンプに関する。
内接歯車式ポンプは、車のエンジンの潤滑用や自動変速機(AT)用のオイルポンプなどとして利用されている。この内接歯車式ポンプは、この発明の一実施形態を示す図1に示すように、通常、歯数がn(自然数)のインナーロータ2と歯数が(n+1)のアウターロータ3を偏心させて組み合わせてロータ1とし、そのロータ1を吸入ポート7と吐出ポート8を有するポンプハウジング5のロータ室6に収納した構成である。
このとき、アウターロータ3の歯形は、例えば、インナーロータ2の歯形を決定した後、図5に示すように、そのインナーロータ2をその中心Oがアウターロータ3の中心Ooを中心とする直径(2e+t)の円S上を1周公転させ、その間にインナーロータ2が1/n回自転し、このインナーロータ2の公転と自転の繰り返しにより形成された歯形曲線群の包絡線を描いて決定した前記包絡線とする。
ここに、
e:インナーロータの中心とアウターロータの中心の偏心量
t:チップクリアランス
n:インナーロータの歯数
この内接歯車式ポンプ9に採用するポンプ用ロータ1の中に、トロコイド曲線を用いてロータ1の歯形を創成したもの(特許文献1参照)や、サイクロイド曲線でロータの歯形を創成したものがある。
そのトロコイド曲線を用いた歯形は、基礎円、転円、軌跡円、偏心量の値が1つの歯形に対してそれぞれ1つ設定される。その歯形を有するポンプは、吐出量を増加させるためには、歯丈を高くすればよいが、歯丈を高くする目的でインナーロータ2とアウターロータ3の偏心量eを大きくすると、歯幅が狭くなりすぎたり、歯形の設計自体が不可能になったりする。従って、偏心量eが規制され、そのために歯丈も制限されて吐出量を増加させる要求に応えるのが難しい。
また、同じ歯丈でも歯数を増やすと吐出量を増やすことが可能になる。しかし、歯数を増やすとロータ1の径寸法が大きくなってしまい、ロータ1の外径寸法を変えずに吐出量を増加させるという要求に応えるのが難しい。
サイクロイド曲線を用いた歯形も、同様に、基礎円の直径と基礎円上を滑らずに転がって創成するため、外転円と内転円の直径によってロータ1の歯数が決まる。また、そのロータ1の歯丈は、外転円と内転円の直径によって決まるため、ポンプの吐出量は基礎円と転円の直径に依存するものになる。そのために、歯丈や歯数の設定に関する自由度が低く、ポンプの吐出量を増加させる要求に応えるのが難しい。
さらに、内接歯車式ポンプは、歯数を増加させるほどインナーロータ2が1回転する間のポンプ室(ポンピングチャンバ)4からの吐出回数が多くなるため、吐出圧の脈動が小さくなる。しかし、上述のように、トロコイド曲線又サイクロイド曲線の歯形からなる従来の内接歯車式ポンプは、吐出量を満足させながら歯数を増加させるとロータサイズが大きくなるため、歯数を増加させることも制限される。
特開昭61−201892号公報 WO2010/016473A1号公報
このような状況下、本願発明者らは、上記外転円と内転円に相当する創成円を、特定の条件下において移動自転させることによって、歯先、歯底の創成円の径方向移動量を変更することで歯丈を任意に変化させることができる歯形形成方法を考えた(特許文献2)。この歯丈を任意に変化し得ることは、歯丈を増大させることで、インナーロータ2とアウターロータ3の歯間に形成されるポンプ室4の容積が大きくなってポンプの吐出量を増大させ得る(特許文献2段落0022〜同0023参照)。
また、インナーロータ2とアウターロータ3の噛み合い点Gがそのインナーロータ2の回転中心Oとアウターロータ3の回転中心Oを結ぶ偏心軸Pに対し、常時、その両ロータ2、3の回転方向後方に位置する(図1等参照)と、小径(歯底径)の寸法、歯数が同じサイクロイド歯形等のインナーロータ2に対し、その歯丈が高くなることを発見した。この歯丈が高くなれば、吐出量が増加する。
しかし、その歯丈が高くなった分、ロータ1の回転に伴う振動が大きくなる傾向となった。近年、自動車の清廉化が進み、上記エンジンの潤滑用や自動変速機(AT)用のオイルポンプにおいても例外でない。
この発明は、吐出量を増加させつつ、内接歯車式オイルポンプのさらなる清廉化を図ることを課題とする。
図1に示す内接歯車式ポンプ9のポンプ作用時、両ロータ2、3が噛み合い点Gを介して回転している瞬間時、アウターロータ3はその噛み合い点Gでもって揺動自在に支持されていると見ることができる。
この揺動自在に支持されていることは、アウターロータ3は噛み合い点Gを支点として揺動(振動)してインナーロータに衝突する(歯同士が衝突する)恐れがあることであり、このため、その歯間隙間Tが小さい(狭い)程、その衝撃力は小さいこととなる。すなわち、内接歯車式オイルポンプは清廉化することとなる。
また、このポンプ作用時、吐出ポート8側ではポンプ室4は正圧であるため、両ロータ2、3の歯間間隙Tは広がる方向に力が加わり、歯間の衝突は生じにくい。一方、吸入ポート7側はポンプ室4が負圧であるため、両ロータ2、3の歯間間隙Tは狭める方向に力が加わり、歯間の衝突は生じ易く、その狭める方向はロータの回転方向後方に向かってである。このため、偏心軸Pより吸入側ポート7側の歯間隙間Tが小さい(狭い)ことが好ましいこととなる。
以上から、偏心軸Pより吸入ポート側の歯間間隙最少部位Tが、インナーロータ2の回転中心Oと噛み合い点Gを結ぶ直線Qに対して、常時、その両ロータ2、3の回転方向後方に位置すれば、吸入側ポート7側において、仮に、その歯間間隙最少部位Tで歯同士の衝突が生じてもその衝撃力は小さくなる。すなわち、この構成の内接歯車式オイルポンプは清廉化することとなる。
この考えの下、上記課題を達成するために、この発明は、歯数がnのインナーロータ2、歯数が(n+1)のアウターロータ3を偏心させて組み合わせた内接歯車式ポンプ用ロータ1において、インナーロータ2とアウターロータ3の噛み合い点Gが、インナーロータ2の回転中心Oとアウターロータ3の回転中心Oを結ぶ偏心軸Pに対し、常時、その両ロータ2、3の回転方向後方に位置するとともに、インナーロータ2の回転中心Oと噛み合い点Gを結ぶ直線Qに対して両ロータ2、3の偏心軸Pより吸入ポート7側の歯間隙間最小部位Tが、常時、その両ロータ2、3の回転方向後方に位置する構成を採用したのである。
この噛み合い点G及び両ロータの吸入ポート7側の歯間隙間最小部Tが、常時、偏心軸P又はインナーロータ2の回転中心Oと噛み合い点Gを結ぶ直線Qに対しその両ロータ2、3の回転方向後方に位置するようになし得る歯形としては、上記特許文献2に記載の、歯丈や歯形が任意等の歯形設計の自由度が高いことが好ましい。このため、上記の構成の内接歯車式ポンプ用のロータ1において、図2a、図2bで示す、下記の構成等を採用することが好ましい。

下記の条件(1)〜(3)を満たして創成円B、Cを移動させ、その間にインナーロータ中心Oと同心である基準円A上の基準点Jと重なる前記創成円B、C上の点jが描く軌跡曲線を基準円中心Oから歯先頂点T又は歯底頂点Tに至る直線L、Lに対して対称形状に描いて歯形の歯先曲線2a、歯底曲線2bの少なくとも一方とする構成を採用する。
−創成円B、Cの移動条件(1)〜(3)−
(1)前記創成円B、C上の点jが前記基準円A上の基準点Jに重なるように創成円B、Cを配置したときにその創成円中心pa、pbが位置決めされる移動始点Spa、Spbから、創成円B、C上の点jが歯先頂点T又は歯底頂点Tに位置するように創成円B、Cを配置したときにその創成円中心pa、pbが位置決めされる移動終点Lpa、Lpbまでの創成円中心移動曲線AC、AC上を創成円中心pa、pbが移動し、かつ、創成円B、Cがその創成円の移動方向と同方向に一定角速度で自転する。
この条件(1)によって、創成円B、Cの中心pa、pbが創成円中心移動曲線AC、AC上を移動することにより、その創成円上の点jが歯形を描き、かつ、その創成円B、Cが一定角速度で自転することによって、その点jは、弧状の軌跡を描くこととなる。
(2)前記創成円中心移動曲線AC、ACは、前記インナーロータ中心Oから創成円中心pa、pbまでの基準円径方向の距離を、前記移動始点Spa、Spbから移動終点Lpa、Lpbまで、前記歯先曲線2aにあってはその距離を増加変化させ、又は前記歯底曲線2bにあってはその距離を減少変化させる。
この「歯先曲線2aにあってはその距離を増加変化させ、又は前記歯底曲線2bにあってはその距離を減少変化させる。」条件によって、創成円中心移動曲線AC、ACは、歯先側にあっては創成円の移動方向に対し外側に徐々に移動する傾斜曲線(図2aにおいて右上がり)となり、歯底側にあっては、創成円の移動方向に対し内側に徐々に移動する傾斜曲線(図2aにおいて左上がり)となって、それに伴い、上記点jの描く弧状の軌跡(歯形曲線)が創成円の移動方向に対し斜めとなる(歯先側にあっては外側に向かい、歯底にあっては内側に向かう)。
(3)歯先頂点T又は歯底頂点Tは、前記基準円Aの径方向において、創成円Bの移動始点Spaと基準円中心Oの距離Rに移動始点時の創成円Bの半径を足した長さを超えて基準円中心Oから離れている、又は、創成円Cの移動始点Spbと基準円中心Oの距離rに移動始点時の創成円Cの半径を引いた長さを超えて基準円中心Oに近づいている。
この条件によって、創成円径より高い歯丈となって、基礎円上を転動する転円のサイクロイド曲線歯形より、歯丈が高くなる。
上記創成円B、Cは、それぞれの直径Bd、Cdを一定に保って創成円の中心が移動始点から移動終点へ移動する円と、それぞれの直径Bd、Cdを縮めながら創成円の中心が移動始点から移動終点へ移動する円の2通りが考えられる。これ等の創成円は、ポンプの要求性能を考慮して適当な方を選ぶことができる。創成円B、Cの直径Bd、Cdを縮めながら移動させれば、歯形設計の自由度が増す。
また、創成円B、Cの中心の移動始点Spa、Spbは基準円中心Oから基準点Jに至る直線Lにあったり、その直線Lに対して創成円B、Cの移動方向前方に位置したりすることができる。その前方に位置させると、歯先曲線2a又は歯底曲線2bの始点接線が歯先T又は歯底T側に傾き、歯形(歯先・歯底曲線)2a、2bの初期(歯先部と歯底部の分岐点Jから歯先T及び歯底Tに向かう最初の部分)が寝ることとなって、その初期の歯間間隔が大きくなる。この歯間間隔が大きくなることは、脈動が小さくなるとともに、吸入特性が向上する。
創成円B、Cの移動終点Lpa、Lpbは、直線L、L上にあることが好ましいが、直線L、Lに対して創成円B、Cの移動方向前後方に位置させることもできる。
この内接歯車式ポンプ用ロータにおいて、インナーロータ中心Oと創成円中心pa、pbとの間の距離の変化率ΔR’が移動終点Lpa、Lpbにおいて0である曲線AC、AC上を前記創成円中心pa、pbが移動すると好ましい。
また、前記曲線AC、ACが正弦関数を利用した曲線であると好ましい。例えば、創成円中心移動曲線AC、AC上を創成円中心pa、pbが移動始点Spa、Spbから基準円Aの径方向において移動した移動量ΔRが、以下の式を満たす曲線である。
ΔR=R×sin((π/2)×(m/S))
ここにおいて、R:(インナーロータ中心Oから創成円中心paの移動終点Lpaまでの距離)−(インナーロータ中心Oから創成円中心paの移動始点Spaまでの距離)、又は(インナーロータ中心Oから創成円中心pbの移動始点Spbまでの距離)−(インナーロータ中心Oから創成円中心pbの移動終点Lpbまでの距離)であって、以下、「創成円の径方向移動距離」又は単に「移動距離」と言う。S:ステップ数、m=0→Sであり、そのステップ数Sは、前記移動始点Spa、Spb、インナーロータ中心Oおよび移動終点Lpa、Lpbで作られる創成円移動角度θ又はθを等間隔に分割した数を言う。
歯先頂点Tは、基準円A上の基準点Jとインナーロータ中心とを結ぶ直線Lから一定角度θ回転した位置の直線L上に設定され、歯底頂点Tは、直線Lから一定角度θ回転した位置の直線L上に設定される。その一定角度θ、θは、歯数や歯先部、歯底部の設置領域の比率などを考慮して設定される。
歯先創成円Bや歯底創成円Cが、移動中に径が変化する円である場合、上記特許文献2と同様に、それらの創成円の移動始点における直径Bdmax、Cdmaxは、目標歯丈を考慮して設定される。両創成円の移動始点から移動終点に至る間の直径変化量をそれぞれΔBd、ΔCdとすると、歯丈を決定する歯先高さと歯底深さは下式で求まる。
歯先高さ=R+(Bd/2)+{(Bd−ΔBd)/2}
歯底深さ=R+(Cd/2)+{(Cd−ΔCd)/2}
この2つの式において、R、Bd、ΔBd、Cd、ΔCdはいずれも任意に設定できる数値である。そして、移動量ΔRの変化率ΔR’を考慮してこれらの値を種々変化させたいくつかの歯形モデルを作製し、その中から最適なモデルを選ぶなどの方法により、R、Bd、ΔBd、Cd、ΔCdの適正値を見出すことができる。
創成円B、Cの直径は、移動終点Lpa、Lpbでの直径が移動始点Spa、Spbでの直径に対して0.2倍以上かつ1倍以下が適当である。
上記の構成の内接歯車式ポンプ用ロータにおけるアウターロータの歯形は、従来周知の手段でもって創成することができるが、例えば、図5に示す、インナーロータ2の中心Oがアウターロータ3の中心Oを中心とする直径(2e+t)の円S上を1周公転し、その間にインナーロータ2が(1/n)回自転し、このインナーロータ2の公転と自転により形成された歯形曲線群の包絡線を描き、この包絡線と同一又はそれより外側に描かれる歯形としたものを採用することができる。
このようなポンプ用ロータは、当然なこととして、従来と同様に、ポンプハウジングに設けられたロータ室に収納して内接歯車式ポンプを構成することができる。
この発明においては、以上の構成を採用することによって、歯丈が高くなって吐出量が増加しても、両ロータ2、3の歯同士の衝突力が小さくなって、吐出量が多くて振動の小さい内接歯車式ポンプを得ることができる。
この発明の内接歯車式ポンプの一実施形態のハウジングのカバーを外した状態にして示す端面図 一定径の創成円を用いてインナーロータの歯形を創成する方法の解説図 一定径の創成円の中心の移動状態を示すイメージ図 同実施形態の作用説明図 同実施形態の作用説明図 同実施形態の作用説明図 同実施形態の作用説明図 同実施形態の作用説明図 同実施形態の作用説明図 同実施形態の作用説明図 同実施形態の作用説明図 同実施形態の作用説明図 同実施形態の作用説明図 従来例の作用説明図 アウターロータの歯形の形成方法を示す図
図1乃至図3jにこの発明の一実施形態を示し、この実施形態は、特許文献2に記載の歯形創成法によって、各々が鉄系焼結合金で形成された歯数8枚のインナーロータ2と歯数9枚のアウターロータ3を製造し、その両者2、3を組み合わせて内接歯車式オイルポンプ用ロータ1とし、そのロータ1を吸入ポート7と吐出ポート8を有するポンプハウジング5のロータ室6に収納して内接歯車式ポンプ9を構成したものである。
すなわち、図2a、図2bに示すように、インナーロータ2は、その歯形が、インナーロータと同心の基準円Aと、円周上の点jが基準円AとY軸の交点である基準点Jを通過する創成円B及び/もしくは歯底創成円Cを用いて創成する。その歯形は、下記条件に基づいて創成した歯先と歯底を組み合わせたものとし、基準円Aは、インナーロータ中心から歯先と歯底の境界点までを半径とする円であり、この円上から前記点jが移動を開始する。
図2aにおいて、歯先創成円Bの直径をBd、
インナーロータ中心Oと前記基準点Jを結ぶ直線をL
インナーロータの中心Oと歯先頂点Tを結ぶ直線をL
前記歯先創成円Bの中心の移動始点Spaと、インナーロータ中心Oおよび前記歯先頂点Tの3点で作られる角度∠SpaO(直線LからLまでの回転角)をθとする。
前記歯先創成円Bの中心paが、移動始点Spa(前記点jが前記基準点Jに重なる位置での歯先創成円Bの中心位置であり、図2aではその移動始点Spaが直線L上にある)から、前記直線L側に向って移動終点Lpa(これは直線L上にある)まで角度θの範囲で移動する。このとき、前記歯先創成円Bの中心paの周方向の角速度は一定である。
この間に前記歯先創成円Bの中心paは、基準円Aの径方向に距離R移動する。
この歯先創成円Bの中心paが、移動始点Spaから移動終点Lpaに至る間に、歯先創成円Bは角度θ自転し、創成円上の点jが基準点Jから歯先頂点Tに到達する。この間に前記点jが移動した軌跡によってインナーロータの歯先2aの歯形の半分が描かれる(図2bも同時参照)。
この際の、歯先創成円Bの自転の方向と、角度θの移動方向は同一である。つまり、自転の方向が右回りであれば、歯先創成円Bの移動の方向も右回りである。
このようにして描いた歯形曲線を、直線Lに対して反転する(直線Lを中心にして対称形状にする)ことにより、インナーロータの歯先曲線が出来上がる。
歯底曲線も同様にして描くことができる。直径Cdの歯底創成円Cを歯先創成円Bが回転する方向とは逆方向に一定角速度で自転させながら歯底創成円Cの中心pbを移動始点Spbから移動終点Lpbに向けて角度θの範囲で移動させる。このときの、歯底創成円Cの円周の一点jが前記基準点Jから直線L上に設定された歯底頂点Tに到達するまでに移動した軌跡によってインナーロータの歯底の歯形の半分が描かれる。このようにして描いた歯底曲線を、直線Lに対して反転する(直線Lを中心にして対称形状にする)ことにより、インナーロータの歯底曲線が出来上がる。
アウターロータ3の歯形は、以上のようにして作製したインナーロータ2でもって、図5に示す、インナーロータ2の中心Oがアウターロータ3の中心Oを中心とする直径(2e+t)の円S上を1周公転し、その間にインナーロータ2が(1/n)回自転し、このインナーロータ2の公転と自転により形成された歯形曲線群の包絡線を描き、この包絡線からなるものとした。
以上の方法での歯形創成による実施形態の内接歯車式ポンプ9は、図3(a)〜図3(j)に示すように、インナーロータ2とアウターロータ3の噛み合い点Gがインナーロータ2の回転中心Oとアウターロータ3の回転中心Oを結ぶ偏心軸Pに対し、常時、その両ロータ2、3の回転方向(図示矢印方向)後方に位置するようにするとともに、両ロータ2、3の偏心軸Pより吸入ポート7側の歯間隙間最小部位Tがインナーロータ2の回転中心Oと前記噛み合い点Gを結ぶ直線Qに対して、常時、その両ロータ2、3の回転方向後方に位置する。図3(a)〜図3(j)はインナーロータ2を5度又は2.5度間隔で順々に回転させた状態を示す。
この歯形創成に基づく図3(a)〜図3(j)に示す実施例と同図4に示す比較例を、下記の諸元でもって作製した。
「実施例」
アウターロータ歯数:9
インナーロータ歯数:8
ロータ幅:10mm
アウターロータ外径:φ60mm
アウターロータ歯先径(大径:Loo):φ51.94mm
アウターロータ歯底径(小径:Los):φ38.34mm
インナーロータ歯先径(大径:Lo):φ45.08mm
インナーロータ歯底径(小径:Ls):φ31.04mm
偏心量e:3.4mm
基準円Aの直径Ad:φ35.50mm
創成円Bの始点径Bdmax:φ2.22mm
創成円Bの終点径Bdmin:φ2.22mm
創成円Bの径変化量Δr:0mm
創成円Bの中心移動距離R:2.58mm
創成円Bの中心移動量ΔR:2.58×sin(π/2×m/S)
創成円Cの始点径Bdmax:φ2.22mm
創成円Cの終点径Bdmin:φ2.22mm
創成円Cの径変化量Δr:0mm
創成円Cの中心移動距離R:0mm
創成円Cの中心移動量ΔR:0mm
θ:11.25°
θ:11.25°
ステップ数S:30
「比較例」
アウターロータ歯数:9
インナーロータ歯数:8
ロータ幅:10mm
アウターロータ外径:φ60mm
アウターロータ歯先径(大径:Loo):φ51.92mm
アウターロータ歯底径(小径:Los):φ38.32mm
インナーロータ歯先径(大径:Lo):φ45.08mm
インナーロータ歯底径(小径:Ls):φ31.48mm
偏心量e:3.4mm
基準円Aの直径Ad:φ37.0mm
創成円Bの始点径Bdmax:φ2.31mm
創成円Bの終点径Bdmin:φ2.3mm
創成円Bの径変化量Δr:0.01×sin(π/2×m/S)mm
創成円Bの中心移動距離R:2.75mm
創成円Bの中心移動量ΔR:2.75×sin(π/2×m/S)mm
創成円Cの始点径Bdmax:φ2.31mm
創成円Cの終点径Bdmin:φ2.3mm
創成円Cの径変化量Δr:0.01×sin(π/2×m/S)mm
創成円Cの中心移動距離R:1.06mm
創成円Cの中心移動量ΔR:1.06×sin(π/2×m/S)mm
θ:11.25°
θ:11.25°
ステップ数S:30
上記の仕様のインナーロータ2とアウターロータ3を組み合わせた内接歯車式ポンプ用ロータ1をポンプハウジング5に組み込んで内接歯車式ポンプを構成した。そして、下記試験条件での各ポンプの吐出量及びその駆動時のポンプハウジング5の振動を比較した。その結果を以下の表1に示す。
「試験条件」
油種:ATF
油温:80度
吐出圧:0.5MPa
回転数:2000rpm
Figure 0005194310
図4の比較例は図3(j)のインナーロータ2の回転位置に対応し、この両図の対比から、後者は偏心軸Pより吸入ポート7側の歯間隙間最少部位Tがインナーローラ2の回転中心Oと噛み合い点Gを結ぶ直線Qに対して両ロータ2、3の回転方向後方に位置しているのに対し、前者は回転方向前方に位置していることが理解でき、上記試験結果から、実施例は、比較例に対し、吐出量のみならず、振動においても優れていることが理解できる。
なお、上記実施形態においては、歯先創成円Bや歯底創成円Cが自己の直径Bd、Cdを一定に保ちながら移動始点Spa、Spbから移動終点Lpa、Lpbに移動し、その間の前記点jの軌跡によってインナーロータ2の歯先2aの歯形の半分を描いたが、歯形創成方法は、これらに限定されるものではない。例えば、特許文献2記載の歯先創成円Bや歯底創成円Cがその直径を変化させながら移動始点Spa、Spbから移動終点Lpa、Lpbに移動し、その間に前記点jが移動した軌跡によりインナーロータの歯先や歯底の歯形の半分を描く方法を採用することもできる。
また、創成円B、Cの移動始点Spa、Spbを基準円中心Oから基準点Jに至る直線Lに対して創成円B、Cの移動方向前方に位置させたものとすることができる。
さらに、特願2009−163702号に記載の「楕円の組み合わせによる」歯形創成方法などを採用し得る。すなわち、例えば、歯数差が一枚のインナーロータとアウターロータを偏心配置にして組み合わせて構成される内接歯車ポンプ用ロータにおいて、複数の楕円を、隣り合う楕円が互いに接触又は部分的に重なるように組み合わせて各楕円の曲線の一部を連続的に連ならせ、その連続的に連なった曲線でインナーロータの歯形を創成する方法等も採用することができる。
また、アウターロータ3の歯形は、上述のインナーロータ2の公転と自転により形成された歯形曲線群の包絡線に限られるものではない。インナーロータ2とアウターロータ3が干渉せずに回転するためのアウターロータ3の最小歯形線が前記包絡線であり、その包絡線より外側に描かれる歯形とする等、アウターロータ3とし得るものであれば、いずれの手段による歯形であっても良い。
1 ポンプ用ロータ
2 インナーロータ
3 アウターロータ
4 ポンプ室
5 ポンプハウジング
6 ロータ室
7 吸入ポート
8 吐出ポート
9 内接歯車式ポンプ
e インナーロータとアウターロータの偏心量
t チップクリアランス
n インナーロータの歯数
インナーロータ中心
アウターロータ中心
S 2e+tの直径を持つ円
o インナーロータ大径
s インナーロータ小径

Claims (3)

  1. 歯数がnのインナーロータ(2)と歯数が(n+1)のアウターロータ(3)を、偏心させて組み合わせた内接歯車式ポンプ用ロータにおいて、
    上記インナーロータ(2)とアウターロータ(3)の噛み合い点(G)が、前記インナーロータ(2)の回転中心(O)とアウターロータ(3)の回転中心(O)を結ぶ偏心軸(P)に対し、常時、その両ロータ(2、3)の回転方向後方に位置するとともに、前記インナーロータ(2)の回転中心(O)と前記噛み合い点(G)を結ぶ直線(Q)に対して両ロータ(2、3)の偏心軸(P)より吸入ポート(7)側の歯間隙間最小部位(T)が、常時、その両ロータ(2、3)の回転方向後方に位置することを特徴とする内接歯車式ポンプ用ロータ。
  2. 上記アウターロータ(3)は、インナーロータ(2)の中心(O)がアウターロータ(3)の中心(O)を中心とする直径(2e+t)の円(S)上を1周公転し、その間にインナーロータ(2)が(1/n)回自転し、このインナーロータ(2)の公転と自転により形成された歯形曲線群の包絡線を描き、この包絡線と同一又はそれより外側に描かれる歯形としたものであることを特徴とする請求項1に記載の内接歯車式ポンプ用ロータ。
    ここに、
    e:インナーロータ(2)の中心(O)とアウターロータ(3)の中心(O)の
    偏心量
    t:チップクリアランス
  3. 請求項1又は2に記載のポンプ用ロータ(1)を、ポンプハウジング(5)に設けられたロータ室(6)に収納して構成される内接歯車式ポンプ。
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