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JP5120804B2 - 多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒及びその製造方法 - Google Patents

多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒及びその製造方法に関する。
酸化セリウム(CeO)の触媒への応用例としては、CO・炭化水素の酸化触媒、エチルベンゼンの脱水素触媒、自動車排ガス浄化用触媒の助触媒、等が挙げられる。この中でも、自動車排ガス浄化用触媒への適用については、酸化セリウムは以下に述べるような機能により、触媒成分として必要不可欠のものである。まずは酸化セリウムの有する酸素貯蔵・放出機能である。酸化セリウムは、CeO⇔CeO2−x+x/2Oの式に従って、酸素不足時には酸素を放出し、一方で酸素過剰時には酸素を貯蔵する役割を果たし、触媒表面に於ける酸素濃度を調節して、ウィンドウ幅(CO、HC、NOの三成分同時除去率80%以上の空燃比率)を広げる。もう一つは、水性ガスシフト反応(CO+HO⇔CO+H)を促進し、燃料リッチ領域ではCOをHOでCOに酸化すると同時に、生成するHでNOを還元除去する役割を果たす。
酸化セリウムは、単独では耐熱性に乏しいため、アルミナのような高比表面積で耐熱性の高い担体に担持したうえで用いられる。これまでに従来の含浸法などによりCeO−Al触媒が調製されてきたが、酸化セリウムとアルミナの均一性を高めるために、近年、金属アルコキシドを用いたゾルゲル法により、同触媒が調製されてきた(非特許文献1〜3参照)。このゾルゲル法で調製されたCeO−Alキセロゲル触媒では、従来の含浸法により調製された同触媒に比べて、高い耐久性と高い酸素貯蔵能力を示し、自動車排ガス浄化用触媒などの性能を助触媒の立場から向上させている。
しかしながら、近年の地球規模での環境保全意識の高まりが小さくない契機として、日本のみならず世界各国で自動車の排出ガス規制や燃費規制が一段と厳しさを増している。また、最近の自動車の高速性能向上と共に、内蔵する触媒に要求される耐久性や性能もますます高くなっている。現在のグローバルな車社会の現状に鑑みて、この問題に対する真剣な取り組みが必要不可欠であり、より高性能な酸化セリウム触媒、即ち耐久性が高く、高温に曝されても酸素貯蔵能力劣化が小さいものが求められている。特に、自動車排ガス触媒では、担持された貴金属粒子を高分散状態で保持する必要があるため、助触媒としての酸化セリウムには、ガスとの相互作用を高く保ち、高温に曝されても容易に焼結せず、且つ高い酸素貯蔵能力を示す、等のパフォーマンスが求められている。
金属アルコキシドを用いる触媒調製、上野晃史・水上富士夫・袖澤利昭(編)、(1993)p152 羽田政明、水嶋生智、角田範義、上野晃史、日本化学会誌(1997)p169 M.Haneda,T.Mizushima,N.Kakuta,A.Ueno,Y.Sato,S.Matsuura,K.Kasahara,and M.Sato,Bull.Chem.Soc.Jpn.,66(1993)p1279.
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐久性に優れているとともに、高温に曝されても、高い酸素貯蔵能力を有することができる多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒及びその製造方法を提供することにある。
即ち、本発明によれば、主組成がアルミナ(Al2)で構成され、且つ酸化セリウム(CeO2)が分散された多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒であって、エチレングリコール、カテコール、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸のうちのいずれか1つであるキレート剤により保護されたセリウムイオンを含むベーマイトゾルをゲル化し、得られたゲル化物を凍結乾燥することにより得られた多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒が提供される。
このとき、上記多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒は、前記酸化セリウムの添加量が1〜50質量%であることが好ましい。
また、本発明によれば、主組成がアルミナ(Al2)で構成され、且つ酸化セリウム(CeO2)が分散された多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法であって、アルミナ源からベーマイトゾルを作製する工程(1)と、セリウムイオンに、水と、エチレングリコール、カテコール、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、のうちのいずれか1つであるキレート剤を加えて、セリウムイオンがキレート保護されたセリウム水溶液を作製する工程(2)と、
前記セリウム水溶液を、解こうした前記ベーマイトゾルに加え、ゲル化反応によりゲル化物を作製する工程(3)と、
前記工程(3)で得られたゲル化物を凍結乾燥する工程(4)と、
から構成される多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法が提供される。
また、工程(2)のセリウムイオンとキレート剤とのモル比率は、1:1〜1:2であることが好ましい。
尚、本発明の製造方法では、ゲル化物をトラップ部冷却温度が−80℃以下、且つ乾燥完了時の真空度が10Pa以下で凍結乾燥することが好ましく、また、ゲル化物が凍結乾燥後、大気雰囲気下及び/又は水素雰囲気下で焼成されることが好ましい。
本発明の多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒及びその製造方法は、ガスとの相互作用を高く保ちつつ、耐久性に優れているとともに、高温に曝されても、容易に焼結せず、高い酸素貯蔵能力を有することができる。
以下、多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒及びその製造方法について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明に係る多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒は、主組成がアルミナ(Al2)で構成され、且つ酸化セリウム(CeO2)が分散された多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒であり、エチレングリコール、カテコール、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸のうちのいずれか1つであるキレート剤により保護されたセリウムイオンを含むベーマイトゾルをゲル化し、得られたゲル化物を凍結乾燥することにより得られたものである。
これにより、本発明の多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒は、高温酸化雰囲気で、酸化セリウム粒子のシンタリングを抑制し、酸化セリウムを微粒子のまま高分散した状態で存在させることができるため、ガスとの相互作用を高く保ちつつ、耐久性に優れているとともに、高温に曝されても、容易に焼結せず、高い酸素貯蔵能力を有することができる。
尚、本発明の多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒は、酸化セリウムの添加量が1〜50質量%(より好ましくは、2〜40質量%)であることが好ましい。これは、少なすぎると、酸素貯蔵能を発現せず、多すぎると、アルミナの耐熱性が低下するからである。
次に、本発明に係る多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法は、アルミナ源からベーマイトゾルを作製する工程(1)と、セリウムイオンに、水と、エチレングリコール、カテコール、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、のうちのいずれか1つであるキレート剤を加えて、セリウムイオンがキレート保護されたセリウム水溶液を作製する工程(2)と、得られたセリウム水溶液を、解こうしたベーマイトゾルに加え、ゲル化反応によりゲル化物を作製する工程(3)と、工程(3)で得られたゲル化物を凍結乾燥する工程(4)と、から構成されていることにある。
本発明に係る多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法の主な特徴は、セリウムイオンに、水と、エチレングリコール、カテコール、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、のうちのいずれか1つであるキレート剤を加えて、セリウムイオンがキレート保護されたセリウム水溶液を作製し、得られたセリウム水溶液を、解こう(解膠)したベーマイトゾルに加え、ゲル化反応によりゲル化物を作製することにある。
これにより、本発明の製造方法では、従来の含浸法などにより調製されたCeO−Al触媒やCeO−Alキセロゲル触媒と比較して、ゲル化物を作製する際に、使用するキレート剤を、エチレングリコール、カテコール、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、のうちのいずれか1つに特定することにより、セリウムイオンがキレート保護された状態にすることができるため、酸化セリウム(CeO)が均一に高分散された多孔質酸化セリウム−アルミナ系(CeO−Al)クリオゲル触媒を得ることができとともに、例えば、自動車排ガス浄化用触媒の助触媒として必要不可欠な、ガスとの相互作用を高く保ちつつ、より高い耐久性と酸素貯蔵能力を付与できることを新たに見出した。
また、本発明の製造方法では、工程(2)のセリウムイオンとキレート剤とのモル比率は、1:1〜1:2(より好ましくは、1:1.2〜1:1.8)であることが好ましい。これは、セリウムイオンをキレート保護しながら、工程(3)でゲル化物を作製することができるとともに、工程(4)で凍結乾燥も良好に行うことにより、酸化セリウム(CeO)が均一に高分散された多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒を得ることができるからである。
一方、工程(2)のセリウムイオンとキレート剤とのモル比率が1:2を超過する場合(即ち、工程(2)でキレート剤の添加量が多すぎる場合)、例えば、室温で液体のキレート剤であるエチレングリコールを用いた場合、エチレングリコールの融点が水よりも低いため、工程(4)で乾燥前に凍結させておいたエチレングリコールが凍結乾燥中に溶解してしまい、適切な凍結乾燥ができないため、得られた触媒の酸素貯蔵能力が低下してしまう。また、工程(2)のセリウムイオンとキレート剤とのモル比率が1:1未満である場合(即ち、工程(2)でキレート剤の添加量が少なすぎる場合)、セリウムイオンがキレート保護された状態にすることができないため、酸化セリウム(CeO)が均一に高分散された多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒を得ることができない。
尚、本発明の製造方法(工程1)は、ベーマイトゾル(アルミナゾル)の酸の解こう(解膠)プロセスにおいて、ベーマイトに対し硝酸を0.08〜0.22(酸/ベーマイトのモル比)、より好ましくは、0.12〜0.20の割合で添加することが好ましい。これより少ないと、酸による解こう(解膠)が十分進行せず、一方、これより多いと、pHの低下により、セリウムイオンがキレート保護されたセリウム水溶液を投入する前に、ベーマイトゾル(アルミナゾル)がゲル化してしまう。
更に、本発明の製造方法では、工程(4)でゲル化物をトラップ部冷却温度が−80℃以下、且つ乾燥完了時の真空度が10Pa以下で凍結乾燥することが重要である。これは、トラップ部冷却温度が−80℃を超過する場合、湿潤ゲルの凍結乾燥が不完全となり、乾燥収縮による微構造の破壊が発生するためである。また、真空度は、真空に近ければ近いほど良いが、乾燥完了時の真空度が10Paを超過すると、凍結乾燥が完了しておらず、乾燥収縮による微構造の破壊が発生してしまう。
更に詳細には、上記凍結乾燥は、初めに、ゲル化物(ウエットゲル)を、−80℃以下で冷却し、ゲル化物(ウエットゲル)の凍結を確認した後、真空に引き、トラップ部冷却温度を−80℃以下にて、所定の保持時間で保持することが好ましい。このとき、上記保持時間は、対象となるゲル化物(ウエットゲル)の大きさ、密度や形状によって様々であるが、少なくとも真空度が10Pa以下になる保持時間が望ましい。また、ゲル化物(ウエットゲル)の初期冷却には、フリーザーを用いてもよいが、ドライアイス−エタノールや液体窒素等の冷媒で、できるだけ瞬間冷却する方が、凍結時間の短縮及びゲル化物(ウエットゲル)の凍結時における構造破壊を抑制することができるため好ましい。
即ち、本発明の製造方法では、ゾルゲル法により調製した酸化セリウム−アルミナ系の湿潤ゲルを、通常の自然乾燥でなく、凍結乾燥することにより、従来では実現できなかった酸化セリウム(CeO)が均一に高分散された多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒を製造することを可能とした。
ここで凍結乾燥とは、含水ゲルを凍結させ、水蒸気圧以下に減圧することによって水を昇華させる方法であり(図1の(s)→(a)→(b)→(g)を参照)、食品工業界などでは広く利用されている簡便で低コスト、且つ気-液平衡線を跨がない乾燥法であるため、湿潤ゲルに対して気液界面の界面張力による構造破壊を起こすことなく高気孔率の乾燥体を得ることができるものである。
尚、気-液平衡線を跨がない乾燥法には、他にも超臨界乾燥が挙げられるが、この乾燥方法では、有機溶媒を利用したオートクレーブ中での高温・高圧を必要とするプロセスであり(図1の(s)→(a’)→(b’)→(c’)→(g)を参照)、コスト・環境負荷・安全性の観点から実用化が難しい。また、湿潤ゲル中の液相を純粋な有機溶媒に置換する工程が必要となり、その際活性金属種の流出も懸念される。更に、ゲルが高温高圧下の超臨界状態に曝された状態では、セリウムイオンなど金属種の流出も懸念されるばかりか、貴金属イオンなどは還元を受けて貴金属黒が析出し、最終的に微粒子が得られにくい、という問題もある。以上の理由から、本発明の製造方法では、超臨界乾燥よりも凍結乾燥の方が、実用化に向け、より好ましい乾燥方法であると言える。
本発明を実施例に基づいて、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
(実施例1〜6:多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法)
フラスコに蒸留水20mlと攪拌子を入れ、86℃で蒸留水を過熱し還流する。アルミニウムブトキシド7.5mlを蒸留水に加え、白濁したベーマイトを得る。その後1M硝酸5mlを加え、オイルバス86℃中にて1時間以上激しく攪拌すると、透明なベーマイトゾルが得られた。
一方で、硝酸セリウム(セリウムイオン源)0.921gに蒸留水1mlとキレート剤(エチレングリコール、カテコール、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、のうちのいずれか一つ)を加えて攪拌し、86℃中で30分程放置する。セリウムイオンとキレート剤のモル比率は1:1.5とした。このキレート保護されたセリウム水溶液を、解こう(解膠)したベーマイトゾルに加え攪拌、そのままオイルバス86℃中にて一晩放置し、無色透明な混合均一湿潤ゲル(ゲル化物)をそれぞれ得た。
それぞれ得られた湿潤ゲル(ゲル化物)をビーカーにそれぞれ移し、凍結乾燥機で一晩、減圧乾燥(トラップ部冷却温度:−80℃以下、且つ乾燥完了時の真空度:10Pa以下)して多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル(凍結乾燥ゲル)をそれぞれ得た。
尚、上記凍結乾燥機には、EYELA社製 FDU−810を用いた。この凍結乾燥機は、トラップ部冷却温度−80℃を維持可能で、凍結ゲルを収容したサンプルルームの大きさは、φ230mm、H=200mmであった。また、サンプルルーム内を真空に引くために使用した真空ポンプには、ULVAC社製 GCD−051Xを用いた。この真空ポンプのカタログ上の真空到達度は、6.7×10−2Paであった。
それぞれ得られた多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル(凍結乾燥ゲル)を、アルミナルツボにそれぞれ収め、電気炉で大気雰囲気下、500℃、1時間焼成を行うことにより、エチレングリコールをキレート剤として作製した多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒(実施例1)、カテコールをキレート剤として作製した多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒(実施例2)、マロン酸をキレート剤として作製した多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒(実施例3)、コハク酸をキレート剤として作製した多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒(実施例4)、グルタル酸をキレート剤として作製した多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒(実施例5)、アジピン酸をキレート剤として作製した多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒(実施例6)を、それぞれ作製した。このとき、各触媒の酸化セリウムの添加量は、20質量%であった。
(比較例1〜3)
尚、比較のため、キレート剤を用いずに作製した酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒(比較例2)、セリウムイオンとエチレングリコールのモル比率を1:25のエチレングリコール大過剰の比率で作製した酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒(比較例3)、セリウムイオンとエチレングリコールのモル比率を1:1.5の比率で作製した湿潤ゲル(ゲル化物)を、通常の自然乾燥により溶媒を除去して作製した酸化セリウム−アルミナ系キセロゲル触媒(比較例1)を、アルミナルツボにそれぞれ収め、電気炉で大気雰囲気下、500℃、1時間焼成を行うことにより、それぞれ作製した。このとき、各触媒の酸化セリウムの添加量は、20質量%であった。
(評価・測定)
触媒は、更に空気中900℃で1時間酸化耐久、あるいは水素雰囲気下900℃で1時間還元耐久を実施してから、下記の各種評価・測定を行った。
(1)触媒(実施例1及び比較例1)の表面積や細孔容積、平均細孔径は、液体窒素温度でのN吸着測定法により算出した。その結果を表1に示す。
(2)触媒(実施例1及び比較例1)における酸化セリウム粒子の耐久性は、X線実験により、CeO(111)相のXRDピークの半値幅から評価した。その結果を図2に示す。
(3)触媒(実施例1及び比較例1)上のCeOの還元挙動については、温度プログラム還元法により調査した。500℃仮焼後の触媒に5%水素−窒素ガスを一定流量で流通し、触媒の温度を毎分5℃の速度で1000℃まで上昇させた。この間の水素の消費を、TCDガスクロマトグラフィのシグナルにより観察した。その結果を図3に示す。
(4)900℃酸化耐久後の触媒(実施例1〜6、比較例1〜3)の酸素貯蔵能力を次の実験から見積もった。まず1%酸素を含むO−He混合ガス:1mlをヘリウムキャリア中で7−8回触媒にパルス導入して触媒表面を酸素で飽和させた。その後、1%酸素を含むO−He混合ガス:1mlと、2%水素を含むH−N混合ガス:1mlを、交互に触媒へ6−7回ずつパルス導入し、定常状態になったときの酸素の消費量を「酸素貯蔵能力」と定義して、[O(mmol)/CeO(mol)]の比で算出した(パルス法による酸素貯蔵能力の測定)。その結果を表2に示す。
Figure 0005120804
Figure 0005120804
(考察1:N吸着による表面積測定)
表1に示すように、作製されたクリオゲル触媒(実施例1)は、900℃酸化耐久後、あるいは900℃還元耐久後のいずれにおいても、キセロゲル触媒(比較例1)に比べてほぼ同等の表面積、細孔容積、平均細孔径、を有していた。この両者の比較から、ゲルの凍結乾燥による表面積等の物性低下は発生していないことが判明した。
(考察2:XRDによるCeOの耐久性評価)
図2は、XRDにより評価したクリオゲル触媒(実施例1)とキセロゲル触媒(比較例1)中に存在するCeO粒子の耐久性評価の結果である。500℃仮焼後と、更なる900℃酸化耐久後の両者において、酸化セリウムのピークが観察されている。実施例1と比較例1を比較すると、いずれのケースにおいても、実施例1の方がよりブロードなピークを示している。シェラーの式に従ってこのピークの半値幅から酸化セリウム(セリア)の結晶子径を求めたところ、900℃酸化後において、実施例1では3.7nm、比較例1では5.5nmの値を示し、クリオゲル触媒(実施例1)において、より小さいCeO粒子が存在していることが示唆された。このことは、クリオゲル触媒(実施例1)の方がキセロゲル触媒(比較例1)に比べて、高温酸化雰囲気で、CeO粒子のシンタリングがより抑制されていることを示しており、酸化セリウムの耐久性はクリオゲル触媒(実施例1)の方が高いことが判明した。即ち、この両者の比較から、ゲルの凍結乾燥により、酸化セリウムの耐熱性が向上することが確認された。一方で、900℃で還元したサンプルでは、実施例1、比較例1ともに酸化セリウムのピークが認めらなかった。これは、酸化セリウムの不定比化合物(CeO2−x)が、微粒子のまま高分散した状態で存在していることを示唆してと考えられるからである。
(考察3:温度プログラム還元法による水素の消費)
図3は、500℃仮焼後の実施例1および比較例1の試料における、酸化セリウム内の酸素の放出のし易さを、温度プログラム還元法により、比較したものである。横軸は温度、縦軸は水素の消費を示している。これらプロファイルより、実施例1においてより低温側で水素の消費、すなわちCeO+xH→CeO2−x+xHOの反応が進行していることが判明した。ピーク同士で比較すると100℃以上の差である。このことは、実施例1の試料の方が比較例1の試料に比べてより酸素を放出しやすい、ということを意味しており、即ち、湿潤ゲル(ゲル化物)の凍結乾燥により、酸素貯蔵・放出能力が大幅に向上したことを確認した。
(考察4:パルス法による酸素貯蔵能力の測定)
表2は、実施例1〜6および比較例1〜3の各試料を、900℃酸化焼成した後の、300〜500℃における酸素貯蔵能力を示すものである。900℃酸素雰囲気下の耐久後においては、クリオゲル触媒(実施例1)がキセロゲル触媒(比較例1)に比べてより高い酸素貯蔵能力を有していることが判明した。これは、酸化セリウムの酸化雰囲気における耐久性が、クリオゲル触媒の方がキセロゲル触媒よりも高く、その結果として酸素貯蔵能力が向上した、と考えられるからである。即ち、ゲルの凍結乾燥は、ゲルの自然乾燥に比べ、酸素貯蔵能力を向上させることを確認した。
一方、このクリオゲル触媒を、エチレングリコール等のキレート剤を用いずに作製したとき、酸素貯蔵能力はほとんど認められなかった(比較例2)。これは、セリウムイオンがアルミナゲル内部に取り込まれてしまい、表面に存在する酸化セリウムの量が減少したため、と考えられる。尚、こうしたケースは、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリシン、グリコール酸、のうちのいずれか一つをセリウムイオンに対するキレート剤として用いても、同様に認められた。即ち、これらのキレート剤は、セリウムイオンに対しキレート保護効果をほとんど示さないことを意味しており、比較例2と同様、得られた触媒には、酸素貯蔵能力がほとんど認められなかった。
また、エチレングリコールをセリウムイオンに対して25倍モルの大過剰を使用して作製されたクリオゲル触媒(比較例3)では、酸素貯蔵能力が、比較例1のキセロゲル触媒レベルにまで低下した。これは、エチレングリコールの融点が水に比べて低く、凍結したエチレングリコールが凍結乾燥中に溶解して、凍結乾燥が失敗したからであると考えられる。従って、液体のキレート剤を用いる場合は、その使用量を出来るだけ少なくすることが重要であり、好ましくは、セリウムイオンに対して1〜2倍、より好ましくは、1.2〜1.8倍に抑えることが重要である。
更に、室温で固体のキレート剤である、カテコール、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、のうちのいずれか一つを、セリウムイオンに対するキレート剤として用いた場合の結果も表2に示した(実施例2〜6)。その結果、実施例1同様、高い酸素貯蔵能力を有していることが判明した。
本発明の多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒及びその製造方法は、例えば、自動車排ガス浄化用触媒の助触媒の製造に好適に用いることができる。
凍結乾燥:(s)→(a)→(b)→(g)、と超臨界乾燥:(s)→(a’)→(b’)→(c’)→(g)、のルート図である。 X線回折測定による酸化セリウムの耐久性評価を示すグラフである。 温度プログラム還元法による酸化セリウムの還元挙動を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 主組成がアルミナ(Al2)で構成され、且つ酸化セリウム(CeO2)が分散された、酸素貯蔵・放出機能及び水性ガスシフト反応を促進する機能を有する多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒であって、
    テコール、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸のうちのいずれか1つであるキレート剤により保護されたセリウムイオンを含むベーマイトゾルをゲル化し、得られたゲル化物を凍結乾燥することにより得られた多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒。
  2. 主組成がアルミナ(Al 2 )で構成され、且つ酸化セリウム(CeO 2 )が分散された、酸素貯蔵・放出機能及び水性ガスシフト反応を促進する機能を有する多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒であって、
    セリウムイオンに、水と、エチレングリコールであるキレート剤を、セリウムイオンとキレート剤とのモル比率が1:1〜1:2となるように加えて得られた、キレート剤により保護されたセリウムイオンを含むベーマイトゾルをゲル化し、得られたゲル化物を凍結乾燥することにより得られた多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒。
  3. 前記酸化セリウムの添加量が、1〜50質量%である請求項1又は2に記載の多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒。
  4. 主組成がアルミナ(Al2)で構成され、且つ酸化セリウム(CeO2)が分散された多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法であって、
    アルミナ源からベーマイトゾルを作製する工程(1)と、
    セリウムイオンに、水と、カテコール、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、のうちのいずれか1つであるキレート剤を加えて、セリウムイオンがキレート保護されたセリウム水溶液を作製する工程(2)と、
    前記セリウム水溶液を、解こうした前記ベーマイトゾルに加え、ゲル化反応によりゲル化物を作製する工程(3)と、
    前記工程(3)で得られたゲル化物を凍結乾燥する工程(4)と、
    から構成される多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法。
  5. 主組成がアルミナ(Al 2 )で構成され、且つ酸化セリウム(CeO 2 )が分散された多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法であって、
    アルミナ源からベーマイトゾルを作製する工程(1)と、
    セリウムイオンに、水と、エチレングリコールであるキレート剤を、セリウムイオンとキレート剤とのモル比率が1:1〜1:2となるように加えて、セリウムイオンがキレート保護されたセリウム水溶液を作製する工程(2)と、
    前記セリウム水溶液を、解こうした前記ベーマイトゾルに加え、ゲル化反応によりゲル化物を作製する工程(3)と、
    前記工程(3)で得られたゲル化物を凍結乾燥する工程(4)と、
    から構成される多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法。
  6. 前記ゲル化物を、トラップ部冷却温度が−80℃以下、且つ乾燥完了時の真空度が10Pa以下で凍結乾燥する請求項4又は5に記載の多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法。
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