以下、図面を参照して本発明を適用した一実施形態を詳細に説明する。
図2は、本発明を適用したデータ入力装置の構成の一例を示したブロック図である。この装置は、例えば携帯端末や電子ペーパーなどの携帯機器であり、入力部201、通知部202、データ記憶部203、データ処理部204、および表示部205を備える。表示部205および入力部201は、タッチパネルにより実現する。データ処理部204は、データ入力処理の全体を制御する処理手段であり、後述する初期化処理241(図5)、入力処理242(図6)、および画面遷移処理243(図3−1)などを実行する。データ記憶部203は、入力候補となるデータおよびそのデータに対応するボタンやその配置や大きさなどを格納する記憶手段である。通知部202は、タッチパネル上に表示されている入力ボタンに触れたこと、入力ボタンを選択したこと、または、入力を確定したことを入力者に通知するために、音声、光の点滅、機器の振動、電気刺激、その他の通知手段による通知動作を実行する。
図2のブロック図に従って、各ブロックの機能について説明する。最初に入力者は、携帯端末や電子ペーパーなどの携帯機器を持っている状態で、例えば片手の親指で、該携帯機器のタッチパネル(表示部205、かつ、入力部201)上の入力ボタン群を配置したい領域を指示する。この初期化処理については図5などで詳述するが、簡単に言うと、タッチパネル上で入力ボタン群を配置したい領域を、対角線上をなぞるようにして(左上隅から右下隅もしくはその逆方向、または右上隅から左下隅もしくはその逆方向に指でなぞる)長方形の形に指定するものである。これにより指定した領域が、図2の入力候補ボタン表示域252、かつ、入力部201である。
データ処理部204は、入力者による上記入力候補ボタン表示域252の指定操作を検出し、データ記憶部203からボタンの配置および入力候補のデータを読み出し、入力者が指示した入力候補ボタン表示域252に入力候補のボタン群が適切に配置されるように、その位置とボタンの大きさを調整して表示する。例えば長方形の領域の縦の長さを縦に配置するボタンの数で割った長さを1つのボタンの縦の長さとし、長方形の領域の横の長さを横に配置するボタンの数で割った長さを1つのボタンの横の長さとして、ボタンの大きさを調整して表示する。なお、どのような入力候補のボタン群が表示されるかについては、後に詳述する。
上記の初期化処理で入力者が指示した入力候補ボタン表示域252の大きさが狭く(例えば、タッチパネル自体が小さい場合や、タッチパネルは大きいが入力者が狭い範囲を指定した場合など)、表示すべきボタン群(後述する図3−2の305)全体を縮小して表示するとボタンが小さくなり過ぎて選択しづらくなってしまう場合、表示するボタンの数を減らして、表示部205で入力候補のボタン群を表示して、ボタンの選択およびスライド操作をし易くする。なお、入力候補ボタン表示域252の大きさが狭いかどうか判断する方法は、例えば、予め、入力者が入力候補ボタン表示機の縦の長さや横の長さに関する閾値を設定し、その閾値よりも小さく領域が指定された場合は、狭いと判断するようにする。また、入力候補ボタン表示域252の大きさが狭くない場合、入力者は明示的に狭い場合に表示させる入力候補のボタン群を表示することを指定出来るようにもする。これについては図3−5などで後述する。
このような携帯機器では、機器自体を片手で握って持つ場合も少なくない。そのため、その片手の親指はタッチパネル上に常に触れていることになる。親指を離すと機器自体を落としてしまうからである。本発明は、そのような携帯機器、すなわち片手の親指が常にタッチパネル上に触れており、その親指をタッチパネル上でスライドさせながらデータ入力するような携帯機器に適用して好適なものであるので、以下ではそのような携帯機器を前提として説明する。ただし、本発明はそのような携帯機器以外にも適用可能である。例えば、機器自体は左手で持ち、右手でタッチパネル上での操作を行うような機器でもよい。指の代りにスタイラスペンなどで操作するものでもよい。
以下、本実施形態における入力者による入力の基本操作を説明する。タッチパネル上に入力ボタン群が表示されるので、入力者は、指をタッチパネル上でスライドさせながら、入力したいデータのボタンに触れる。ボタンに触れると、音声を発するか、ボタンが光って点滅するか、微弱な振動または電気刺激を指に流すなどすることにより、入力者にボタンに触れていることを通知する。
また、入力者がタッチパネル上の指を滑らせて移動したとき、本システムでは、タッチパネル上に表示されている入力ボタン群全体または入力候補となるボタンを、指先の移動方向と逆の方向に移動する。これにより、短いストロークで入力出来るように入力を支援する。
データを選択するとは、入力したいデータに繋がる入力候補となるデータを選ぶこと(要するに、表示されている入力ボタン群の中から1つを選ぶこと)である。選択されたデータは、それがそのまま入力データ(後述する入力が確定されたデータ)になるとは限らない。データを選択するには、規定時間以上、選択したいデータのボタンに触れる操作(長押し)を行う。説明の便宜のため、以下では「データを選択する」の代りに「ボタンを選択する」という表現も使うものとする。
データを確定するとは、入力データを選ぶことである。確定されたデータは、即、入力データとなり、入力データ表示画面251に表示される。確定されたデータは、選択されたデータの性質も持つ。データを確定するには、(1)規定時間以上、確定したいボタンに触れる(長押しする)、(2)確定ボタンに規定時間以上触れる(長押しする)、(3)入力したいボタン上で、指をレ点を描くように短い間隔で動かす(レ点操作という)、の何れかの操作を行うものとする。説明の便宜のため、以下では「データを確定する」の代りに「ボタンを確定する」という表現も使うものとする。なお、詳しくは後述するが、(1)のように確定したいボタンを長押しした場合、そのボタンが終端データのときはそのボタンが確定されるが、そのボタンが終端データでないときはそのボタンが選択される。(2)の確定ボタンの長押しの場合は、その前に選択されているボタンが確定される。(3)のレ点操作の場合は、そのレ点操作が為されたボタンが確定される。
なお、他の態様として、タッチパネルを押下圧力の変化を検出できる感圧式のものとし、該タッチパネル上の選択・確定したいボタンを押下することで選択・確定するようにしてもよい。また、機器に該機器の空間的な位置変化を検出する空間位置検出手段を設け、機器を傾けたり振ったりする操作を検出し、検出した位置変化に応じて入力データの選択・確定を行うようにしてもよい。
次に、図3−1〜図3−5を参照して、入力処理における画面遷移の規則について説明する。図3−1は、入力処理の画面遷移を表すフローチャートである。入力処理の画面は、一定の規則に従って、第1階層301、第2階層302、および第3階層303の順で表示される。なお、第1階層301や第2階層302の画面において入力された文字が確定された場合は、それ以降の階層の画面は表示されず、再び第1階層の画面に戻る。
入力者により文字入力の開始が指示されたとき(なお、前提として、図5で後述する初期化処理により入力候補ボタン表示域252が指定されているものとする)、最初に、指定された入力候補ボタン表示域252に、第1階層画面の入力ボタン群305が表示される。図3−2に、第1階層画面の入力ボタン群305を示す。この入力ボタン群305は、五十音の行(子音、すなわち「あ」、「か」、「さ」、…、「わ」)を指定するための各子音ボタン、空白文字(スペース)「SP」ボタン、句点「。」ボタン、読点「、」ボタン、長音符号「ー」ボタン、ひらがなとカタカタの切り替えボタン、一文字消去し戻る(バックスペース)「BS」ボタン、一文字戻るボタン、改行ボタン、および終了ボタンを備える。なお、「あ」ボタンを子音ボタンと呼ぶのは厳密には正しくないが、ここでは説明の便宜のためそのように呼ぶものとする。網掛けで図示したSP、句点「。」、読点「、」、長音符号「ー」、ひら/カタ切替、BS、一文字戻る、改行、および終了は、終端データである。終端データとは、選択すると、即、その入力が確定されるデータである。
なお、図3−2の第1階層画面305では、BS、「あ」、「は」、およびSPのボタンの上部に4つの触れても無意味なボタンの領域が設けられ、終了、「な」、「わ」、およびひら/カナ切替の下部にも4つの触れても無意味なボタンの領域が設けられている。これは、「あ」や「は」や「な」や「わ」が選択されたときに表示される第2階層画面(後述)がこれら無意味なボタンの領域にまで広がる大きさを持つからである。
図3−2の第1階層画面において、入力者が子音ボタンのうちの何れか1つを選択(長押し)した場合、ステップ301から302に進み、選択した子音に応じた第2階層画面の入力ボタン群306が表示される。図3−3は、第2階層の入力画面形式の基本形を示す。この基本形306では、選択された子音に応じた五十音の段の文字ボタン(「子音+a」〜「子音+o」)の他、濁音または小文字のボタン、破裂音ボタン、確定ボタン、およびキャンセルボタンが表示される。濁音や小文字、破裂音、確定、およびキャンセルは、終端データである。また、濁音や小文字や破裂音を持たない子音については、それらのボタンは表示されず、空白ボタンが表示される。なお、「わ」行や「や」行などは例外的な行であるので、図3−3の形式から若干変形された形式になっているが、これらについては後に詳述する。
第2階層の画面で、入力者が「子音+a」〜「子音+o」の何れかの文字ボタンを選択(長押し)した場合、ステップ302から303に進み、選択された文字(第1階層で子音が選択され、第2階層で母音が選択されたことになる)に応じた第3階層画面の入力ボタン群307が表示される。図3−4は、第3階層の入力画面形式の基本形を示す。この基本形307では、選択された文字の他、濁音または小文字のボタン、破裂音ボタン、確定ボタン、およびキャンセルボタンが表示される。濁音や小文字、破裂音、確定、およびキャンセルは、終端データである。また、第3階層画面の中央の文字はこの時点で選択されている文字であるが、この文字のボタンも終端データである。これ以降の階層はないからである。濁音や小文字や破裂音を持たない子音については、それらのボタンは表示されず、空白ボタンが表示される。なお、「つ」は濁音と小文字を持ち破裂音は持たない文字であるので、例外的に、濁音または小文字のボタンの位置に「づ」を表示し、破裂音ボタンの位置に「っ」を表示するものとする。
図3−2の第1階層画面で、「あ」〜「わ」の子音ボタン上でレ点操作を行ったとき、または、終端データのボタン上でレ点操作もしくは長押しを行ったときは、ステップ301から304に進み当該データが確定される。確定されたのが文字データ(SP、句点、読点、および長音を含む)であるときは、その文字が入力データ表示画面251に表示される。確定されたのが制御データ(BSボタン、一字戻るボタン、改行ボタン、ひら/カナ切替ボタン、終了ボタン)であるときは、その確定された制御データに応じた制御動作を行う。特に、終了ボタンが選択されたときには、第1階層画面が画面上から消去されデータ入力が終了する。
図3−3の第2階層画面で、「子音+a」〜「子音+o」の文字ボタン上でレ点操作を行ったとき、または、終端データのボタン上でレ点操作もしくは長押しを行ったときは、ステップ302から304に進み当該データが確定される。確定されたのが文字データ(濁点、小文字、および破裂音を含む)であるときは、その文字が入力データ表示画面251に表示される。確定されたのがキャンセルボタンのときは、当該第2階層画面を消去してステップ302から301に戻る。確定されたのが確定ボタンのときは、選択されている文字データを確定する。なお、この時点では第1階層画面で選択された文字すなわち第2階層画面の中央の文字ボタンが選択状態にあるから、この文字が確定されることになる。「子音+a」〜「子音+o」の文字ボタンを長押しすると、データが確定されずに第3階層画面に進むからである。
図3−4の第3階層画面内の任意のボタン上で長押しまたはレ点操作を行ったときは、ステップ303から304に進み当該データが確定される。確定されたのが文字データ(濁点、小文字、および破裂音を含む)であるときは、その文字が入力データ表示画面251に表示される。確定されたのがキャンセルボタンのときは、当該第3階層画面を消去してステップ303から302に戻る。確定されたのが確定ボタンのときは、選択されている文字データを確定する。なお、この時点では第2階層画面で選択された文字すなわち第3階層画面の中央の文字ボタンが選択状態にあるから、この文字が確定されることになる。
図4−1は、図3−2の第1階層画面305で「あ」ボタンが長押しされたときに表示される第2階層画面401を示す。図4−2は、図4−1の第2階層画面401で「い」ボタンが長押しされたときに表示される第3階層画面402を示す。第2階層画面401で「う」「え」「お」の何れかのボタンが長押しされたときに表示される画面も同様のものである。図4−3は、図3−2の第1階層画面305で「か」ボタンが長押しされたときに表示される第2階層画面403を示す。第1階層画面305で「さ」または「た」ボタンが長押しされたときに表示される画面も同様のものである。図4−4は、図4−3の第2階層画面403で「き」ボタンが長押しされたときに表示される第3階層画面404を示す。第2階層画面で「く」「け」「こ」「し」「す」「せ」「そ」「ち」「つ」「て」または「と」の何れかのボタンが長押しされたときに表示される画面も同様のものである。図4−5は、図3−2の第1階層画面305で「な」ボタンが長押しされたときに表示される第2階層画面405を示す。第1階層画面305で「ま」または「ら」ボタンが長押しされたときに表示される画面も同様のものである。図4−6は、図3−2の第1階層画面305で「は」ボタンが長押しされたときに表示される第2階層画面406を示す。図4−7は、図4−6の第2階層画面406で「ひ」ボタンが長押しされたときに表示される第3階層画面407を示す。第2階層画面406で「ふ」「へ」または「ほ」の何れかのボタンが長押しされたときに表示される画面も同様のものである。図4−8は、第2階層画面で「つ」ボタンが長押しされたときに表示される第3階層画面408を示す。第2階層画面で「ウ」ボタンが長押しされたときに表示される画面も同様のものである。図4−9は、図3−2の第1階層画面305で「や」ボタンが長押しされたときに表示される第2階層画面409を示す。図4−10は、図3−2の第1階層画面305で「わ」ボタンが長押しされたときに表示される第2階層画面409を示す。
また、第2階層画面や第3階層画面が表示されている際に、瞬間的に指などをタッチパネルから離したことを入力部201が検知した場合には、データ処理部204は自動的にキャンセルボタンが確定されたものとして、現在の階層の画面を消去して、1階層分前の階層の入力候補ボタンの画面を表示する。
なお、図4−1〜図4−10の画面例では、図4−8の「ウ」以外は全てひらがなの例をあげたが、カタカナの画面例は各ひらがなをカタカナに変えたものである。図3−2の第1階層画面305で「ひら/カナ切替」ボタンを選択すると、ひらがなの各文字がカタカナになっている第1階層画面が表示され、以降はひらがなの場合で説明したのと同様な手順でカタカナを入力できるようになっている。
図4−1〜図4−10で例示した第2階層画面および第3階層画面から分かるように、現在選択されている文字(中央に表示されている)の小文字、濁音、および破裂音のボタンは、当該選択されているボタンの左下側または下側に隣接させて表示する。また、確定ボタンは現在選択されているボタンの左側に隣接させ、キャンセルボタンは左上側に隣接させて表示する。さらに、第2階層画面では、現在選択されている中央の「あ」段のボタンに対し、「い」段のボタンは上側、「う」段のボタンは右上側、「え」段のボタンは右側、「お」段のボタンは右下側に、それぞれ隣接させて表示する。以上のように、一定の配置規則に基づきボタンの配置を統一してある。
第1階層画面で「あ」〜「わ」の何れかのボタンを長押ししたときに表示される第2階層画面は、第1階層で長押ししたボタンの位置に第2階層の中央のボタンが重なるような位置関係で表示されるものとする。例えば、図3−2の第1階層画面305の「あ」ボタンが長押しされたとき、図4−1の第2階層画面401は、第1階層画面305の「あ」ボタンの位置に第2階層画面401の中央の「あ」ボタンが重なるような位置関係で表示される。第2階層から第3階層に移行する場合も同様である。例えば、図4−1の第2階層画面401の「い」ボタンが長押しされたとき、図4−2の第3階層画面402は、第2階層画面401の「い」ボタンの位置に第3階層画面402の中央の「い」ボタンが重なるような位置関係で表示される。
なお、上記の各階層のボタン配置は、一定の配置規則に基づき配置が統一されていれば、他の配置であっても良い。
以上のように、本実施形態では、各階層の画面のボタンの配置が一定の配置規則に基づき統一してあり、さらに第1階層から第2階層に移行したり、第2階層から第3階層に移行する場合も、新たに表示される階層の画面は、前の階層で長押しして選択したボタンの位置に新たな階層の中央のボタンが配置されるように表示されるので、入力者はこれらのルールを把握すれば画面を見ることなく入力が行える。また、触れている指を画面上でスライドさせると、その指の移動方向と逆の方向に各階層のボタン群の画面または入力候補のボタンが移動するので、指の移動距離が短く入力しやすい。
図3−5は、初期化処理において入力者が示した領域が狭く、上述したボタン群全体を縮小して表示するとボタンが小さくなり過ぎて選択しづらくなる場合の表示例を示す。図3−2で説明した第1階層画面を狭い領域に表示するため、該領域に第1階層画面305の表示可能な左上隅の上下2個ずつを並べた4つのボタンを表示するとともに、その上下左右方向にボタンがある場合はそのことを示すための小さいボタン領域を表示する。例えば、図3−5の画面308では、「あ」、「か」、BS、および一字戻るの各ボタンが表示され、右側には「は」や「ま」のボタンがあることを示す縦長のボタン領域321が、下側には「さ」や「た」や「な」のボタンがあることを示す横長のボタン領域322が、右下側には「や」のボタンがあることを示す小さなボタン領域323が、表示されている。例えば、指で領域321に触れると、図3−2の「あ」、「か」、「は」、および「ま」の各ボタンが表示され、右側にはSPや句点のボタンがあることを示す縦長のボタン領域が、左側にはBSや一字戻るのボタンがあることを示す縦長のボタン領域が、下側には「さ」や「や」のボタンがあることを示す横長のボタン領域が、右下側には読点のボタンがあることを示す小さなボタン領域が、左下側には改行のボタンがあることを示す小さなボタン領域が、表示される。以下同様であり、表示可能な4つのボタンを表示し、その上下左右、右上、右下、左上、左下にボタンがあればそのことを示す領域を表示し、ボタンがあることを示す領域に指を触れるとその方向のボタンが近い順番に新たに一文字ずつスライドして表示されるようにする。例えば、図3−5のボタン322を長押しした場合、図3−6のボタン群が表示され、以下、同様にボタンがスライドして表示される。なお、表示可能なボタンの端に来た場合は、小さいボタン領域を表示せず、それ以上スライドして表示しない。
図3−7は、狭い領域に第2階層画面を表示する場合の表示例を示す。図3−3で説明した第2階層画面の中央の「子音+a」ボタンは大き目で表示し、その上下左右、右上、右下、左上、左下のボタンは小さく表示する。小さく表示されたボタンに触れると、そのボタンが大きく表示され回りのボタンが小さく表示される。例えば、図3−7のボタン328を長押しした場合、図3−8のボタン群が表示される。
図3−5〜図3−8のような表示の場合も、指の移動方向と逆の方向にボタン群全体を移動させる。なお、選択・確定の操作方法は変わらない。
次に、フローチャートを参照して、本実施形態の入力装置における処理手順を説明する。
図5(a)は、入力者が入力操作を開始する際の初期化処理を示すフローチャートであり、主として図2のデータ処理部204の処理手順を示す。本処理は、入力者により日本語入力を行うことを明示的に指示する所定の操作が行われたとき(例えば、別途表示されている日本語入力の開始を指示するボタンをオン操作したときなど)に開始される処理である。
まず、入力ボタン群を配置したい領域の位置を入力者が指定する操作(図2で説明した該領域の対角線上をなぞる操作)を行ったかどうか判定する(ステップ501〜503)。図5(b)にその操作例を示す。入力者は、本装置を落とさないようにホールドしている指で、画面上を位置511から512(または512から511でもよい)なぞり、領域513を指定する。この領域513が、図2の入力候補ボタン表示域252であり、ここに図3や図4で説明した各階層のボタン群が表示される。
ステップ501で入力者が初期位置511または512に触れたかどうかの判定を行い、NOであれば再度判定を繰り返す。入力者が初期位置に触れた場合、ステップ502で入力者の指の動きを検出し、入力者の指の動いているかどうかおよび動いている方向を検知して、ステップ503で、入力者の指が止まっているかどうかの判定を行い、NOであれば再度、ステップ502を繰り返す。もし、YESであれば、最後に指が止まっていた位置を終端位置として、ステップ504へ進む。次に、ステップ504で、入力者の指定した初期位置と終端位置をそれぞれ対角に持つ長方形の領域を入力ボタン表示領域の位置とサイズとして決定し、ステップ505で、図3−2で説明した第1階層画面の入力ボタン群305をその領域に表示する。
なお、ステップ505の表示は、ステップ504で決定された領域の位置とサイズに基づいて、データ処理部204が入力ボタン群の表示位置やボタンの大きさやボタンの数を決定して、表示するものである。例えば、指定された領域513が充分に大きい領域であれば、図3−2の第1階層画面の入力ボタン群305の各ボタンの大きさとして予め決められている所定の大きさ(人が指で触れるのに充分大きいボタン)を適用し、入力ボタン群305の全体をその領域に表示する。少し小さめの領域が指定された場合は、入力ボタン群305の全体をその領域に表示するように各ボタンの大きさを調整し、各ボタンの大きさが所定の閾値より小さくなければ(すなわち、各ボタンの大きさが、人が指で触れるボタンとしては小さ過ぎるのでなければ)、その調整した各ボタンの大きさを適用して入力ボタン群305の全体をその領域に表示する。さらに小さめの領域が指定された場合は、入力ボタン群305の全体をその領域に表示しようとすると各ボタンの大きさが前記所定の閾値より小さくなって人が触れるには小さ過ぎるボタンになってしまうから、表示するボタンの数を調整して、図3−5の第1階層画面の入力ボタン群308を表示する。第2階層や第3階層のボタン群を表示する場合も同様であり、指定された領域513の位置とサイズに基づいて、データ処理部204が入力ボタン群の表示位置やボタンの大きさやボタンの数を決定して表示する。
図6は、入力者の入力データを読み取る処理を示す。この処理は、図5の初期化処理の後に起動される。まず入力ボタン群の表示処理を実行する(ステップ601)。どの階層画面の入力ボタン群を表示するかは、図3−1で説明した流れで決定される。最初に表示されるのは図3−2の第1階層画面305、または、図3−5の第1階層画面308である。次に入力者がレ点操作を実行したか判定する(ステップ602)。レ点操作を実行した場合は、レ点操作対象ボタンのデータを確定データとして処理を終了する(ステップ610)。ステップ602において、入力者がレ点操作を実行していなければ、入力者がボタンの長押し操作を実行したか判定する(ステップ603)。具体的には、同一位置での指の停止時間が当初規定してある閾値以上であれば、長押し操作を実行したと判定され、閾値以下であれば、長押し操作を実行していないと判定する。長押しを実行していなければ、指が停止しているかどうか判定する(ステップ604)。具体的には、指の移動量(現在位置と前回位置の差分)が0であれば、停止していると判定し、0でなければ、停止していないと判定する。停止していれば、指の停止時間に前回判定までに過ぎた時間を加算し、ステップ602に戻る。停止していなければ、指の移動量にもとづき、指の移動方向と逆方向に入力ボタン群を移動させて再表示(ステップ606)した後、ステップ602に戻る。指の移動と逆方向に入力ボタン群を移動させることによって、入力者が目的とするボタンまでの指の移動距離を短くすることができ、入力効率の向上に寄与する。
ステップ603において長押し操作を実行していれば、その対象ボタンが確定ボタンか判定し(ステップ607)、確定ボタンであれば現在表示されている入力画面のボタン群の中央ボタンのデータを確定データとして処理を終了する(ステップ610)。例えば、図4−7の画面で入力者が確定ボタンを長押しした場合、中央ボタンのデータ「は」が確定データとなる。ステップ607において長押しされたのが確定ボタンでなければ、選択データ(ステップ603の長押し操作対象ボタンのデータ)が終端データか判定する(ステップ608)。終端データであれば、選択データを確定データとして処理を終了する(ステップ610)。選択データが終端データでなければ、選択データに基づいて次の入力画面のボタン群を取得し(ステップ609)、ステップ601に戻る。どの階層の入力ボタン群を表示するかは、図3−1で説明した流れで決定される。
ステップ610の後は、再びステップ601に戻って第1階層画面からのデータ入力を継続する。ただし、ステップ610で終了ボタンの入力が確定されたときには、第1階層画面を消去してデータ入力を終了するものとする。
例として、図7−1〜図7−5を参照して「そば」と入力する場合の操作例を説明する。図7−1は、タッチパネルに表示された第1階層の入力ボタン群701(左図)と入力データ表示画面711(右上図)の例である。入力を開始した直後なので、入力データ表示画面711には何もデータが表示されていない。まず、「そ」を入力するために、入力者は入力ボタン群701の「さ」を長押しして選択する。すると、「さ」に応じた第2階層の入力候補ボタン群702が表示される。第2階層の入力候補ボタン群702の表示位置は、そのボタン群702の中央の「さ」ボタンが、長押しした第1階層の入力ボタン群701の「さ」と重なるような位置関係で表示されるので、入力者は長押しした指を動かすことなく第2階層の入力候補ボタン群702の中央の「さ」ボタンに触れている状態となる。次に、入力者は「そ」に向かって指をスライドして動かす。この指先の動きに応じて、入力ボタン群702の全体が指先の動きと逆方向に動き、選択をし易くする。図7−2は、入力ボタン群702が動く様子を示している。
入力者が入力ボタン群702で「そ」を長押しして選択すると、「そ」に応じた第3階層の入力候補ボタン群703が表示される。第3階層の入力候補ボタン群703の表示位置は、そのボタン群703の中央の「そ」ボタンが、長押しした第2階層の入力ボタン群702の「そ」と重なるような位置関係で表示されるので、入力者は長押しした指を動かすことなく第3階層の入力候補ボタン群703の中央の「そ」ボタンに触れている状態となる。次に、入力者は「そ」を確定するために、左側の確定ボタンに向かって指をスライドして動かす。この指先の動きに応じて、入力ボタン群703が指先の動きと逆方向に動き、選択をし易くする。図7−3は、入力ボタン群703が動く様子を示している。確定ボタンが長押しされて選択されると、「そ」が入力データとして確定され、入力データ表示画面731に「そ」と表示される。1文字の入力が確定したので、画面は第1階層画面に戻る。
次に「ば」を入力するために、入力者は入力ボタン群704の「は」を長押しして選択する。「は」に応じた入力候補ボタン群705が「は」の周囲に隣接して表示される。入力者は、「ば」に向かって指をスライドして動かす。この指先の動きに応じて、入力ボタン群705が指先の動きと逆方向に動き、選択をし易くする。「ば」は終端データであるため、選択されると、即、「ば」が入力データとして確定され、入力データ表示画面751に「そば」と表示される。
なお、データを選択・確定するための長押しの時間は、ユーザが任意に設定できるようになっている。