JP5210562B2 - 表面の耐擦傷性に優れた成形品 - Google Patents
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Description
中でも、プロピレン系ブロック共重合体は、耐衝撃性と剛性のバランスに優れている特長を有していることより、前記成形用材料に幅広く使用されているが、反面、傷が付き易いという欠点も指摘されている。
即ち、プロピレン系ブロック共重合体を用いて、洗濯機や冷蔵庫等の大型家電製品の外板部品、インパネなどの自動車の内装部品、バンパーなどの自動車外装部品、玩具などの日用品、コンテナなどの工業用品、デザート容器などの食品容器、飲料ボトルのキャップ、医療用部品を成形した場合に、表面の耐擦傷性が低いことにより、他の物品との接触等により表面に傷が付き、それが目に付く事により著しく商品価値が低下するのである。
また、同様に飲料キャップには、主にキャップの内側にシール材(ライナー)を貼り付けたツーピースキャップ、ライナーを使用せずシールするワンピースキャップがあり、これらから添加剤や材質成分が溶出すると、内容物の味や風味が損なわれ、著しく商品の価値が低下したり、人体に対して好ましくない影響が出る危険性がある。
さらに、医療用部品には、ディスポーザブルシリンジ及びその部品、カテーテル・チューブ、輸液バッグ、血液バッグ、真空採血管、手術用不織布、血液用フィルター、血液回路などのディスポーザブル器具や、人工肺、人工肛門などの人工臓器類の部品、ダイアライザー、プレフィルドシリンジ、キット製剤、薬剤容器、試験管、縫合糸、湿布基材、歯科用材料の部品、整形外科用材料の部品、コンタクトレンズのケース、PTP、SP・分包、Pバイアル、目薬容器、薬液容器、液体の長期保存容器、キャップなどがあり、これらから添加剤や材質成分が溶出したり、析出が起こると、著しく商品価値が低下するばかりか、人体に対して悪影響を及ぼすことにもつながる。従って、成形品からの添加剤等の溶出は極力すくなくする必要がある。
以下に、プロピレン系ブロック共重合体、プロピレン樹脂組成物、成形品等について詳細に説明する。
本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体は、結晶性プロピレン重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分との反応混合物であり、結晶性プロピレン重合体成分を重合した後、連続してプロピレン・エチレンランダム共重合体成分を重合させて得られる。結晶性プロピレン重合体成分およびプロピレン・エチレンランダム共重合体成分は、おのおの単段で重合してもよく、多段で重合してもよい。
このようなプロピレン系ブロック共重合体は、効果を損なわない範囲で、二種以上の結晶性プロピレン重合体成分や二種以上のプロピレン・エチレンランダム共重合体成分から構成されていてもよい。
結晶性プロピレン重合体成分は、プロピレンを単独重合することにより得られるものであるが、結晶性を失わない程度にごく少量、例えば0.5重量%以下の炭素数2および4〜20から選ばれる1種以上のコモノマーを共重合させてもよい。
結晶性プロピレン重合体成分がプロピレン系ブロック共重合体中に占める割合は、特に限定されないが、70〜98重量%であり、好ましくは75〜95重量%、より好ましくは75〜93重量%である。結晶性プロピレン重合体成分が70重量%未満では、十分な剛性が得られず、逆に98重量%を超えると十分な耐衝撃性が得られなくなる恐れがある。
なお、各成分の分析方法は後述する。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率は、プロントデカップリング法により13C−NMR測定を行い、結晶性プロピレン重合体成分中のmmmm成分の重量割合を求める値である。
プロピレン・エチレンランダム共重合体成分は、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体からなるものであり、効果を損なわない範囲で、他のα−オレフィンを含んでも良い。他のα−オレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィンがあげられ、例えば、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を例示できる。
プロピレン・エチレンランダム共重合体成分中のエチレンの割合は、特に限定されないが、得られる成形品の剛性、表面硬度および耐衝撃性に大きな影響を及ぼすファクターであるため、エチレンの割合は、20〜80重量%が望ましく、好ましくは30〜70重量%であり、さらに好ましくは40〜60重量%である。
なお、エチレンの割合の分析方法は後述する。
本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体は、JIS K−7210−1995に準拠して得られるMFRが1.5〜100g/10分の範囲のものであり、好ましくは2〜60g/10分の範囲のものである。MFRが100g/10分を超えると耐衝撃性が低下するなど物性バランスが悪くなり不都合である。一方、1.5g/10分を大きく下まわると成形加工性が低下するため不都合である。
[η]F=(100−Wc)/100×[η]homo+Wc/100×[η]copoly
(式中、[η]Fはプロピレン系ブロック共重合体の固有粘度を表す。また、Wcはプロピレン系ブロック共重合体におけるプロピレン・エチレンランダム共重合体成分の比率(重量%)を表す。)
[η]copoly/[η]homoの値が大きくなるほど、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分の平均分子量が、結晶性プロピレン重合体成分の平均分子量に比べ、大きくなってゆくことを意味し、表面硬度が高くなり易い。[η]copoly/[η]homoが2.8を超えると、表面硬度が高過ぎて、成形品の表面が傷付けられる際、表層部で応力集中の緩和がおこらず、傷の溝部は凹凸が激しいものとなり、目立ちやすく、耐擦傷性が著しく低下する恐れがある。[η]copoly/[η]homoは、2.4以下が好ましく、2.0以下が特に好ましい。
反面、[η]copoly/[η]homoの値が小さくなり、1に近づくほど、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分の平均分子量が、結晶性プロピレン重合体成分の平均分子量と同程度に近づいてゆくことを意味し、表面硬度が低くなり易い。表面硬度が低下すると、成形品が傷付けられる時、その応力を緩和できるため、傷によってできる溝の深さの凹凸が少なくなり、傷が目立たなくなることにより、耐擦傷性において良好な結果が得られる。しかし、[η]copoly/[η]homoが1.0未満であると、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分の平均分子量の著しい低下による耐衝撃性が悪化する。[η]copoly/[η]homoは、1.2以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。
なお、物性の分析方法は後述する。
本発明で用いるプロピレン系ブロック共重合体中のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(以下ゴム成分ということがある。)の構成割合(Wc)、及びゴム成分中のエチレン含量、固有粘度[η]homo、[η]copolyは、下記の装置、条件を用い、下記の手順で測定する値である。
(i)クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1mL/分
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定当たりの積算回数:15回
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には以下の数値を用いる。
(i)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
K=0.000138、α=0.70
(ii)プロピレン系ブロック共重合体のサンプル測定時
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、FT−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレンラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体中のプロピレン・エチレンランダム共重合体成分の構成割合(Wc)は、下記式(I)で理論上は定義され、以下のような手順で求められる。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100 …(I)
式(I)中、W40、W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100は、W40、W100に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100は、各フラクションに含まれるプロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含有量(単位:重量%)である。A40、A100、B40、B100の求め方は後述する。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100 …(II)
つまり、(II)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は結晶性を持たないプロピレン・エチレンランダム共重合体成分含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は結晶性を持つプロピレン・エチレンランダム共重合体成分含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1および2の平均エチレン含有量A40、A100は、次のようにして求める。
微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40となる。また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和がフラクション1の平均エチレン含有量A40となる。フラクション2の平均エチレン含有量A100も同様に求める。
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体におけるプロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含有量は、上述で説明した値を用い、次式から求められる。
プロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含有量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/Wc
但し、Wcは先に求めたプロピレン・エチレンランダム共重合体成分の構成割合(重量%)である。
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体における結晶性プロピレン重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分の固有粘度である[η]homo、[η]copolyは、ウベローデ型粘度計を用いてデカリンを溶媒として温度135℃で測定する。
まず、結晶性プロピレン重合体成分の重合終了後、一部を重合槽よりサンプリングし、固有粘度[η]homoを測定する。次に、結晶性プロピレン重合体成分を重合した後、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を重合して得られた最終重合物(F)の固有粘度[η]Fを測定する。[η]copolyは、以下の関係から求める。
[η]F=(100−Wc)/100×[η]homo+Wc/100×[η]copoly
本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体は、結晶性プロピレン重合体成分を重合した後、連続してプロピレン・エチレンランダム共重合体成分を重合させて得られる。結晶性プロピレン重合体成分およびプロピレン・エチレンランダム共重合体成分は、おのおの単段で重合してもよく、多段で重合してもよい。
チーグラー・ナッタ触媒は、チタン化合物として有機アルミニウム等で還元して得られた三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物を電子供与性化合物で処理し更に活性化したもの(例えば、特開昭47−34478号、特開昭58−23806号、特開昭63−146906号等の公報に記載)、塩化マグネシウム等の担体に四塩化チタンを担持させることにより得られるいわゆる担持型触媒(例えば、特開昭58−157808号、特開昭58−83006号、特開昭58−5310号、特開昭61−218606号等の公報に記載)等が含まれる。これらの触媒は、特に制限なく公知の触媒が使用可能である。
引き続いて、後段重合工程で、プロピレン、エチレンと水素を供給して、前記触媒(前段で結晶性プロピレン重合体成分の重合に用いた触媒)の存在下に、温度50〜150℃、好ましくは50〜80℃、プロピレン及びα−オレフィンの分圧各0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.0MPaの条件で、プロピレンとエチレンのランダム共重合を行い、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造し、最終的な生成物として、プロピレン系ブロック共重合体を得る。
プロピレン・エチレンランダム共重合体成分には、本発明の効果を損なわない範囲で他のα−オレフィンが共重合されていても構わない。
さらに、連続重合により得られるプロピレン系ブロック共重合体粒子に流動性を付与したり、射出成形に用いる際に、ゴムの分散不良に起因するゲル発生を防止する目的で、活性水素含有化合物を、触媒の固体成分中の中心金属原子(チーグラーナッタ触媒の場合はチタン原子)に対して10〜1000倍モルで、かつ、触媒の有機アルミニウム化合物に対して1〜5倍モルの範囲で添加することが好ましい。該活性水素含有化合物を添加する時期は、結晶性プロピレン重合体成分の重合直後、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分の重合開始前、又は重合途中が好ましい。
活性水素含有化合物としては、例えば、水、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、カルボン酸類、酸アミド類、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
本発明で用いられるプロピレン樹脂組成物は、上記のプロピレン系ブロック共重合体成分を主成分し、従来、プロピレン系ブロック共重合体成分に配合される他の樹脂や添加剤、例えば、造核剤、滑剤、酸化防止剤、中和剤、光安定剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、充填剤、顔料および染料などによって構成される。以下に配合される添加剤等、およびプロピレン樹脂組成物の物性について説明する。
(i)造核剤
本発明で用いられるプロピレン樹脂組成物には、造核剤が配合されていることが望ましく、中でも、低臭気で低溶出性である下記一般式(1)〜(3)で表される少なくとも1種の造核剤が配合されていることが好ましい。
この様な造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、旭電化工業(株)社製の商品名NA−11を挙げることができる。
該有機アルカリ金属塩とは、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート及びアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも一種の有機アルカリ金属塩を示すことができる。
該有機アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
この様な造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、メリケン(株)社製の商品名ハイパフォームHPN68Lを挙げることができる。ハイパフォームHPN68Lの造核剤成分を一般式(4)に示す。一般式(4)において、Metalは、ナトリウムである。尚、Metalは1価または3価の金属を指し、その中でも1価が好ましく、特に好ましいMetalは、ナトリウムである。また、3価金属の場合は水酸基を含むアルミニウム金属も可能である。
本発明においては、一般式(1)〜(3)で表される造核剤の他に、臭気や溶出性の効果を大きく阻害しない範囲で他の造核剤を、プロピレン樹脂組成物中に、0.01〜0.4重量%の範囲内で併用させることができる。
他の造核剤としては、ソルビトール系造核剤、カルボン酸塩系造核剤およびタルクなど公知の造核剤を挙げることができる。
本発明においては、耐傷付き性を向上させる目的で、滑剤を添加することができる。具体的には、高級脂肪酸アマイドのオレイン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エルカ酸アマイドや、脂肪族アルコール、ワックス、シリコーンなどが挙げられる。滑剤は、プロピレン樹脂組成物中に、1重量%以下の範囲で配合することが望ましく、0.005〜0.95重量%が良く、更に0.03〜0.8重量%が良い。1重量%以上を配合すると、成形品から滑剤が溶出し、内容物の味や風味が損なわれ、著しく商品の価値が低下したり、用途によっては人体に対して好ましくない影響が出る危険性がある。また、PL自主基準に適合しなくなる恐れもある。
このような点から、析出しやすい滑剤は添加しない方が望ましいが、金型離型性の向上や金型離型時の傷付き防止、また製品を勘合させる場合に、成形品が滑り性を有していることが効果的であるため、0.005重量%以上の量で配合されていることが望ましい。滑剤の配合量が0.005重量%未満であると、耐傷付き性が著しく低下する。
本発明において、PL自主基準に適合し、臭気や溶出性の効果を大きく阻害しない範囲で着色を目的とした顔料や染料、また、顔料などを分散させる為の脂肪酸金属塩等の分散剤やワックスなどを添加する事ができる。尚、顔料などをマスターバッチとし、それを添加する事も可能であるが、顔料や染料などは、配合しないことが望ましい。
本発明で用いられるプロピレン樹脂組成物には、上述した成分に加えてポリプロピレン用の安定剤として使用されている酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を配合することができる。
本発明で用いられるプロピレン樹脂組成物は、PL自主基準に適合するものである。この自主基準に不適合であると、得られる成形品を用いた場合、内容物等に対して味や臭気が悪くなり、商品価値を著しく低下させたり、もしくは人体に対して悪影響を及ぼしたりする場合がある。
この自主基準は、食品関係における基準であるが、医療メーカーにおいても、例えば、液状の飲み薬の容器などの用途を考えた場合に、この自主基準に適合しているかを参考にし、採用するかを判断しているのが実情である。
ここで、PL自主基準(ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準 第4版 2001年5月発行)とは、ポリオレフィン等衛生協議会の合成樹脂製の器具又は容器包装の一般規格である材質試験および溶出試験のことで、材質試験では、カドニウム及び鉛が100μg/g以下の含有量であり、溶出試験では、重金属の溶出量が1μg/ml以下であり、過マンガン酸カリウム消費量が10μg/ml以下であり、これらがすべて基準値内であると適合と判定される。
RH/σyを3.3以下に調整するには、プロピレン系ブロック共重合体のプロピレン・エチレンランダム共重合体成分量を変動させたり、[η]copoly/[η]homoの値を変動させることにより調整する方法がある。
本発明で用いられるプロピレン樹脂組成物は、プロピレン系ブロック共重合体および必要に応じて造核剤や滑剤等の添加剤を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で190〜260℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
本発明の成形品は、上記のポリプロピレン組成物を用い、ポリプロピレンの成形に一般的に用いられる射出成形もしくは圧縮成形等によって得ることができる。
射出成形は、公知の射出成形機を用い、一般に多数個取りの金型を用いて行われる。
圧縮成形は、一般的に溶融した樹脂を適量用いて、プレス金型により成形する方法で、特開平4−235009号公報、特開平4−239609号公報に記載されている様な方法が一例として挙げられる。
射出成形において射出速度を速くしたり、圧縮成形においてプレス速度を速くする方が、得られる成形品の表面硬度を低下させ易いので好ましい。これは、プロピレン系ブロック共重合体中に、島状に分散されているプロピレン・エチレンランダム共重合体成分が、表層付近で層状に分散しやすくなる為である。通常、表面硬度が低下すると、成形品が傷付けられる時、傷の溝の深さは深くなるが、その応力を緩和できるため、傷によってできる溝の深さの凹凸が少なくなり、傷が目立たなくなる。この低硬度層の厚みは、100μm程度であり、この厚みを超える深さの傷に対しては、応力の緩和が起こり難くなり、傷の溝部の凹凸が目立ち易くなる。これに対しては、[η]copoly/[η]homoが小さいものを用い、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分の量を増やすことにより、低硬度層の厚みを厚くし、対応することが可能である。
食品用成形品としては、射出成形によって得られる食品容器が挙げられ、具体的には、プリン、ゼリー、ヨーグルト、焼きプリン、あんみつ、ケーキなどのデザート容器、豆腐、たまご豆腐、茶碗むし、マーガリンなどの各種食品容器、味噌汁、たまごスープ、なめこ汁、野菜スープなどのスープ容器、ジュース類、炭酸水、自然水などの各種飲料水用のコップなどを例示することができる。
飲料用成形品としては、圧縮成形又は射出成形によって得られる飲料キャップが挙げられ、具体的には、主にキャップの内側にシール材(ライナー)を貼り付けたツーピースキャップ、ライナーを使用せずシールするワンピースキャップなどを例示することができる。
医療用成形品としては、射出成形して得られる医療用部品が挙げられ、具体的には、ディスポーザブルシリンジ及びその部品、カテーテル・チューブ、輸液バッグ、血液バッグ、真空採血管、手術用不織布、血液用フィルター、血液回路などのディスポーザブル器具や、人工肺、人工肛門などの人工臓器類の部品、ダイアライザー、プレフィルドシリンジ、キット製剤、薬剤容器、試験管、縫合糸、湿布基材、歯科用材料の部品、整形外科用材料の部品、コンタクトレンズのケース、PTP、SP・分包、Pバイアル、目薬容器、薬液容器、液体の長期保存容器、キャップなどを例示することができる。
(1)MFR:JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて230℃の温度で測定した。
(2)降伏強度:JIS K−7113−1981に準拠し、23℃において2号試験片を用いて測定した。この値が大きい程、剛性に優れることを意味する。
(3)ロックウェル硬度:JIS K−7202−1982に準拠し、測定した。
(4)アイゾット衝撃強度:JIS K−7110−1984に準拠し、23℃において測定した。
(5)プロピレン系ブロック共重合体の物性:前述の方法により測定した。
(6)傷付き性試験:成形温度220℃、金型温度40℃にて12cm×12cm×2mmの平板を射出成形機により成形し、その平板及び引っ掻き試験機(HEIDON社 トライボギアTYPE18L)を用い室温にて傷付き性試験を実施した。
先端にR加工(先端R:0.05(mm))を施した円錐型のサファイア製引き掻き針の先端を平板状の試験片に垂直に接触させ固定荷重(80gf)をかける。平板状の試験片を積載した移動台を一定の速度(600mm/min)で移動することにより、試験片表面に接触した引き掻き針を直線状に滑らせ、試験片表面に引掻き傷をつける。共焦点レーザー顕微鏡(キーエンス社 VK9700)を用い、形成された傷底の表面形状を計測し、ISO法に従って傷底の表面粗さ(Ra)を計算し、傷付き性の判断指標とした。Raが小さいと出来た傷の溝の中の凹凸が少なく、光の乱反射が少なくなり、傷は目立ちにくくなり、逆にRaが大きいと、凹凸が多く、光が乱反射し、傷が目立ちやすくなるため、Raの数値が小さい方が擦傷性に優れることを意味する。擦傷性の点からは、Raが4.0以下であることが好ましく、3.0以下がより好ましい。
(7)ポリオレフィン等衛生協議会の合成樹脂製の器具又は容器包装の一般規格である材質試験および溶出試験(PL自主基準:ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準 第4版 2001年5月発行)
ポリオレフィン等衛生協議会に基づく、衛生試験法として、材質試験と溶出試験がある。この試験は、器具・容器包装における実際の使用条件下で食品中に溶出する物質が、食品を汚染して人の健康に影響を及ぼさないか、あるいは影響を及ぼさない使用条件を評価確認し、安全が確認できる条件(使用量、食品用途、使用温度等)の範囲で使用を認めるための基準とするものである。この試験に合格することが、食品用途での適性を判断するに最適な基準となる。
材質試験では、カドニウム及び鉛が100μg/g以下の含有量であり、溶出試験では、重金属の溶出量が1μg/ml以下であり、過マンガン酸カリウム消費量が10μg/ml以下であり、これらがすべて基準値内であると適合と判定され、1つでも範囲外にあると不適合となる。
(1)プロピレン系ブロック共重合体
下記製造例1〜5によって得られたプロピレン系ブロック共重合体(BPP1〜5)を使用した。
(i)固体触媒成分(a)の製造 窒素置換した内容積50リットルの撹拌機付槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20リットルを導入し、次いで、塩化マグネシウム10モルとテトラブトキシチタン20モルとを導入して95℃で2時間反応させた後、温度を40℃に下げ、メチルヒドロポリシロキサン(粘度20センチストークス)12リットルを導入して更に3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン5リットルを導入し、次いで、上記で合成した固体成分をマグネシウム原子換算で3モル導入した。ついで、n−ヘプタン2.5リットルに、四塩化珪素5モルを混合して30℃、30分間かけて導入して、温度を70℃に上げ、3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
さらに、引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン2.5リットルを導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して90℃、30分間で導入し、95℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、室温下四塩化チタン2リットルを追加し、100℃に昇温した後2時間反応した。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化珪素0.6リットル、n−ヘプタン8リットルを導入し90℃で1時間反応し、n−ヘプタンで十分洗浄し、固体成分を得た。この固体成分中にはチタンが1.30重量%含まれていた。
次に、窒素置換した前記撹拌機付槽にn−ヘプタン8リットル、上記で得た固体成分を400gと、t−ブチル−メチル−ジメトキシシラン0.27モル、ビニルトリメチルシラン0.27モルを導入し、30℃で1時間接触させた。次いで15℃に冷却し、n−ヘプタンに希釈したトリエチルアルミニウム1.5モルを15℃条件下30分かけて導入、導入後30℃に昇温し2時間反応させ、反応液を取り出し、n−ヘプタンで洗浄して固体触媒成分(a)390gを得た。
得られた固体触媒成分(a)中には、チタンが1.22重量%含まれていた。
更に、n−ヘプタンを6リットル、n−ヘプタンに希釈したトリイソブチルアルミニウム1モルを15℃条件下30分かけて導入し、次いでプロピレンを20℃を越えないように制御しつつ約0.4kg/時間で1時間導入して予備重合した。その結果、固体1g当たり0.9gのプロピレンが重合したポリプロピレン含有の固体触媒成分(a)が得られた。
(ii)プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度75℃、プロピレン分圧18kg/cm2(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.013となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(a)として、上記記載の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した(前段重合工程)。
重合温度80℃で、圧力2.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.62となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.035となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.1倍モルになるように供給した。第2反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的にベッセルに抜き出し、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た(後段重合工程)。得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体を(BPP1)とした。BPP1の物性を以下に示す。
BPP1:MFR=10g/10min、[η]copoly/[η]homo=2.28/1.44=1.58、エチレン含有量:7.2wt%、エチレン−プロピレンランダム共重合部が15.8wt%であるエチレン−プロピレンブロック共重合体
製造例1で使用した触媒並び重合方法を用い、上記前段重合工程における水素/プロピレンのモル比で0.0145、後段重合工程における水素/プロピレンのモル比で0.034、エチルアルコールをトリエチルアルミニウムに対して1.7倍モルになるように変更した以外は、製造例1に準じて行いプロピレン−エチレンブロック共重合体(BPP2)を製造した。BPP2の物性を以下に示す。
BPP2:MFR=10g/10min、[η]copoly/[η]homo=2.33/1.37=1.70、エチレン含有量:9.9wt%、エチレン・プロピレンランダム共重合部が22.4wt%であるプロピレン−エチレンブロック共重合体
製造例1で使用した触媒並び重合方法を用い、上記前段重合工程における水素/プロピレンのモル比で0.013、後段重合工程における水素/プロピレンのモル比で0.029、エチルアルコールをトリエチルアルミニウムに対して2.3倍モルになるように変更した以外は、に変更した以外は、製造例1に準じて行いプロピレン−エチレンブロック共重合体(BPP3)を製造した。BPP3の物性を以下に示す。
BPP3:MFR=10g/10min、[η]copoly/[η]homo=2.37/1.42=1.67、エチレン含有量:5.8wt%、エチレン・プロピレンランダム共重合部が13.4wt%であるエチレン−プロピレンブロック共重合体
製造例1で使用した触媒並び重合方法を用い、上記前段重合工程における水素/プロピレンのモル比を0.013、後段重合工程における水素/プロピレンのモル比で0.013、エチルアルコールをトリエチルアルミニウムに対して2.3倍モルになるように変更した以外は、に変更した以外は、製造例1に準じて行いプロピレン−エチレンブロック共重合体(BPP4)を製造した。BPP4の物性を以下に示す。
BPP4:MFR=10g/10min、[η]copoly/[η]homo=4.00/1.38=2.90、エチレン含有量:6.3wt%、エチレン・プロピレンランダム共重合部が13.6wt%であるプロピレン−エチレンブロック共重合体
製造例1で使用した触媒並び重合方法を用い、上記前段重合工程における水素/プロピレンのモル比を0.026、後段重合工程における水素/プロピレンのモル比で0.020、エチルアルコールをトリエチルアルミニウムに対して2.1倍モルになるように変更した以外は、に変更した以外は、製造例1に準じて行いプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP5)を製造した。BPP5の物性を以下に示す。
BPP5:MFR=25g/10min、[η]copoly/[η]homo=2.87/1.19=2.41、エチレン含有量:7.2wt%、エチレン・プロピレンランダム共重合部が16.4wt%であるプロピレン−エチレンブロック共重合体
NA−11:有機リン酸金属塩化合物系核剤(旭電化工業(株)製)
(i)IRGANOX1010:ヒンダートフェノール系酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)
(ii)IRGAFOS168:リン系酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)
(iii)ステアリン酸カルシウム:中和剤(堺化学工業製)
(iv)エルカ酸アミド:滑剤
(v)パーヘキサ25B:日本油脂(株)製の過酸化物(2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン)
プロピレン系ブロック共重合体(BPP1)を99.85重量%、IRGANOX1010を0.05重量%、IRGAFOS168を0.05重量%およびステアリン酸カルシウムを0.05重量%を配合し、ヘンシェルミキサーを用いてブレンドした後、200℃に設定した押出機を用いて溶融混練しペレット化したプロピレン樹脂組成物を得た。得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度220℃、及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作成し、この試験片から、物性を測定した。その結果を表1に示す。
プロピレン系ブロック共重合体としてBPP2を使った以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。また、傷付き性試験後のサンプル表面の拡大写真を図1に示す。
プロピレン系ブロック共重合体(BPP3)を99.05重量%、IRGANOX1010を0.05重量%、IRGAFOS168を0.05重量%、ステアリン酸カルシウムを0.05重量%、およびエルカ酸アミド0.80重量%を配合し、ヘンシェルミキサーを用いてブレンドした後、200℃に設定した押出機を用いて溶融混練しペレット化したプロピレン樹脂組成物を得た。得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度220℃、及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作成し、この試験片から、物性を測定した。その結果を表1に示す。
プロピレン系ブロック共重合体としてBPP1を使った以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表1に示す。
プロピレン系ブロック共重合体としてBPP2を使った以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表1に示す。
プロピレン系ブロック共重合体(BPP1)を99.725重量%、IRGANOX1010を0.05重量%、IRGAFOS168を0.05重量%、ステアリン酸カルシウムを0.05重量%、NA−11を0.10重量%およびパーヘキサ25Bを0.025重量%を配合し、ヘンシェルキミサーを用いてブレンドした後、200℃に設定した押出機を用いて溶融混練しペレット化したプロピレン樹脂組成物を得た。得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度220℃、及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作成し、この試験片から、物性を測定した。その結果を表1に示す。
プロピレン系ブロック共重合体(BPP2)を99.75重量%、IRGANOX1010を0.05重量%、IRGAFOS168を0.05重量%、ステアリン酸カルシウムを0.05重量%およびNA−11を0.10重量%を配合し、ヘンシェルミキサーを用いてブレンドした後、200℃に設定した押出機を用いて溶融混練しペレット化したプロピレン樹脂組成物を得た。得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度220℃、及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作成し、この試験片から、物性を測定した。その結果を表1に示す。
プロピレン系ブロック共重合体としてBPP4を使った以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。また、傷付き性試験後のサンプル表面の拡大写真を図2に示す。
プロピレン系ブロック共重合体としてBPP5を使った以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
エルカ酸アミド1.10重量%を配合した以外は、比較例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
実施例3〜5では、スリップ剤であるエルカ酸アミドを0.8重量%添加する事でよりRaが低下し、この量での使用であればPL自主基準にも適合し得ることが判る。
実施例6、7では、造核剤であるNA−11を0.1重量%添加する事で剛性と耐衝撃性のバランスに優れた成形品を得ることができ、耐擦傷性に関してもこの範囲内であれば同様の効果が得られる事が判る。実施例6においては、さらに過酸化物を0.025重量%添加することで、成形性に影響するMFRを大きくし、成形性を向上させているが、耐擦傷性に関してこの範囲内であれば問題ない事が判る。
一方、比較例1、2では、RH/σyが範囲外であり、また、比較例1では、さらに[η]copoly/[η]homo、が範囲外であるため、Raが大きく、傷が目立ちやすい事が判る。
比較例1のプロピレン樹脂組成物はRH/σy=3.42であり、Raが大きく、比較例2はMFR=25g/10minのプロピレン樹脂組成物であり、RH/σy=3.49であり、Raが大きい事が判る。
比較例3は、比較例1に滑剤を添加したものであるが、比較例1に対し、RH/σyおよびRaが若干向上しているものの、PL自主基準には不適合となるものであった。
2 傷の凹凸(深さ)を示すチャート
Claims (7)
- 結晶性プロピレン重合体成分を重合した後、連続してプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体であって、結晶性プロピレン重合体成分の固有粘度[η]homoとプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の固有粘度[η]copolyとの比である[η]copoly/[η]homoが1.0〜2.8であり、JIS K−7210−1995に準拠して測定されるMFRが1.5〜100g/10分であるプロピレン系ブロック共重合体を主成分とし、JIS K−7113−1981に準拠して測定される降伏強度(σy)が20〜30MPaであり、JIS K−7202−1982に準拠して測定されるロックウェル硬度(RH)が50〜90Rスケールで、降伏強度とロックウェル硬度の比であるRH/σyが3.3以下であり、ポリオレフィン等衛生協議会の合成樹脂製の器具又は容器包装の一般規格である材質試験および溶出試験に合格するプロピレン樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする表面の耐擦傷性に優れた成形品。
- プロピレン樹脂組成物に、下記式(1)〜(3)で表される少なくとも1種からなる造核剤が、0.01〜0.4重量%配合されていることを特徴とする請求項1に記載の成形品。
(ただし、R1は直接結合、硫黄又は炭素数1〜9のアルキレン基又はアルキリデン基であり、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、MはNaであり、nはMの価数である。)
(ただし、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、Mは周期律表第III族または第IV族の金属原子を示し、XはMが周期律表第III族の金属原子を示す場合には、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を示す場合には、O=又は(HO)2−を示す。)
(式中、M1およびM2は、同一または異なって、カルシウム、ストロンチウム、リチウムおよび一塩基性アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属カチオンであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、同一または異なって、水素、C1−C9アルキル(ここで、いずれか2つのビシナル(隣接炭素に結合)またはジェミナル(同一炭素に結合)アルキル基は、一緒になって6個までの炭素原子を有する炭化水素環を形成してもよい)、ヒドロキシ、C1−C9アルコキシ、C1−C9アルキレンオキシ、アミンおよびC1−C9アルキルアミン、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素および沃素)並びにフェニルからなる群からそれぞれ選択される。) - プロピレン樹脂組成物に、滑剤が1重量%以下配合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形品。
- 成形品が、食品用成形品、飲料用成形品および医療用成形品のいずれかより選ばれる成形品であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形品。
- 食品用成形品が、射出成形によって得られる食品容器であることを特徴とする請求項4に記載の成形品。
- 飲料用成形品が、圧縮成形又は射出成形によって得られる飲料キャップであることを特徴とする請求項4に記載の成形品。
- 医療用成形品が、射出成形して得られる医療用部品であることを特徴とする請求項4に記載の成形品。
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