以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
以下、本実施形態の発光装置について図1〜図3を参照しながら説明する。
本実施形態の発光装置1は、LEDチップ10と、LEDチップ10が搭載された実装基板20と、実装基板20におけるLEDチップ10の実装面側でLEDチップ10を囲む枠体40と、枠体40の内側に透明樹脂材料を充填して形成されてLEDチップ10および当該LEDチップ10に接続されたボンディングワイヤ14,14を封止し且つ弾性を有する封止部50と、封止部50に重ねて配置されるレンズなり封止部50を透過したLEDチップ10からの放射光の配光を制御する光学部材60と、LEDチップ10から放射された光によって励起されてLEDチップ10の発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体を透明材料とともに成形した成形品であって、光学部材60の光出射面60b側に光学部材60を覆い光出射面60bおよび枠体40との間に空気層80が形成される形で配設されるドーム状の保護カバー70とを備えている。
なお発光装置1は、例えば照明器具の光源として用いるものであり、例えば、シリカやアルミナなどのフィラーからなる充填材を含有し加熱時に低粘度化する樹脂シート(例えば溶融シリカを高充填したエポキシ樹脂シートのような有機グリーンシート)により形成される絶縁層90を介して金属(例えば、Al、Cuなどの熱伝導率の高い金属)製の器具本体100に実装することで、LEDチップ10から器具本体100までの熱抵抗が小さくなって、放熱性が向上する。従って、LEDチップ10のジャンクション温度の温度上昇を抑制でき、入力電力を大きくできるから、光出力の高出力化を図ることができる。
実装基板20は、LEDチップ10が搭載される金属板21(伝熱板)と、金属板21におけるLEDチップ10の非搭載部位に積層されたガラスエポキシ基板のような絶縁性基材22aからなる配線基板22とで構成される。絶縁性基材22aにおける金属板21と反対側の表面には、LEDチップ10の図示しない両電極(アノード電極およびカソード電極)にそれぞれ電気的に接続される一対のリードパターン23が形成される。また絶縁性基材22aにおいてLEDチップ10に対応する部位に窓孔24が設けられており、窓孔24から露出する金属板21の表面に後述のサブマウント部材30を介してLEDチップ10が搭載されているので、LEDチップ10で発生した熱は絶縁性基材22aを介さずに金属板21に伝熱できるようになっている。ここにおいて、金属板21の材料としてはCuWを採用しているが、熱伝導率の比較的高い金属材料であればよく、CuWに限らず、Alなどを採用してもよい。なお、金属板21と絶縁性基材22aとは、絶縁性を有するシート状の接着フィルムからなる固着材25により固着されている。また、各リードパターン23は、Ni膜とAu膜との積層膜により構成されており、平面視において枠体40よりも内側の部位がインナーリード部(ボンディング電極)23a,23aとなり、保護カバー70に覆われていない部位がアウターリード部(接続用電極)23b,23bとなっている。
LEDチップ10は、青色光を放射するGaN系青色LEDチップであり、結晶成長用基板としてサファイア基板に比べて格子定数や結晶構造がGaNに近く且つ導電性を有するn形のSiC基板からなる導電性基板11を用いており、導電性基板11の主表面側にGaN系化合物半導体材料により形成されて例えばダブルへテロ構造を有する積層構造部からなる発光部12がエピタキシャル成長法(例えば、MOVPE法など)により成長され、導電性基板11の裏面に図示しないカソード側の電極であるカソード電極(n電極)が形成され、発光部12の表面(導電性基板11の主表面側の最表面)に図示しないアノード側の電極であるアノード電極(p電極)が形成されている。要するに、LEDチップ10は、一表面側にアノード電極が形成されるとともに他表面側にカソード電極が形成されている。上記カソード電極および上記アノード電極は、Ni膜とAu膜との積層膜により構成してあるが、上記カソード電極および上記アノード電極の材料は特に限定するものではなく、良好なオーミック特性が得られる材料であればよく、例えば、Alなどを採用してもよい。なお、本実施形態では、LEDチップ10の発光部12が導電性基板11よりも金属板21から離れた側となるように金属板21に搭載されているが、LEDチップ10の発光部12が導電性基板11よりも金属板21に近い側となるように金属板21に搭載するようにしてもよい。光取り出し効率を考えた場合には、発光部12を金属板21から離れた側に配置することが望ましいが、本実施形態では導電性基板11と発光部12とが同程度の屈折率を有しているので、発光部12を金属板21に近い側に配置しても光の取り出し損失が大きくなりすぎることはない。
またLEDチップ10は、LEDチップ10のチップサイズよりも大きなサイズの矩形板状に形成されて、LEDチップ10と金属板21との線膨張率の差に起因してLEDチップ10に働く応力を緩和するサブマウント部材30を介して金属板21に搭載されている。サブマウント部材30は、上記応力を緩和する機能だけでなく、LEDチップ10で発生した熱を金属板21においてLEDチップ10のチップサイズよりも広い範囲に伝熱させる熱伝導機能を有している。サブマウント部材30の材料としては、導体又は半導体の何れかであって、線膨張率がLEDチップ10の線膨張率と略同じで熱伝導率が比較的高い材料を用いている。ここにおいて、線膨張率が略同じとは、LEDチップ10の線膨張率を中心値とした場合に±3×10−6/Kの範囲内である場合を言い、本実施形態ではLEDチップ10の材料であるSiC(線膨張率4.2×10−6/K)の線膨張率に比較的近い線膨張率を有するSi(線膨張率2.6×10−6/K、熱伝導率168W/m・K)を用いている。
なお、サブマウント部材30の材料をSiのような半導体材料に限定する趣旨のものではなく、線膨張率がLEDチップ10の材料に比較的近く且つ熱伝導率が比較的高い導体材料又は半導体材料を選定すれば良い。また本実施形態では、導電性基板11を下側(サブマウント部材30側)にしてLEDチップ10がサブマウント部材30に実装されているので、サブマウント部材30の材料として、導電性基板11の材料であるSiCの線膨張率と略同じ材料を用いているが、発光部12を下側(サブマウント部材30側)にしてLEDチップ10がサブマウント部材30に実装された場合には、サブマウント部材30の材料として、発光部12の材料と線膨張率が略同じ材料を用いれば良い。
ここにおいて、本実施形態ではLEDチップ10として発光色が青色の青色LEDチップを採用し、導電性基板11としてSiC基板を採用しているが、SiC基板の代わりにGaN基板を用いてもよく、SiC基板やGaN基板を用いた場合には結晶成長用基板として絶縁体であるサファイア基板を用いている場合に比べて、結晶成長用基板の熱伝導率が高く結晶成長用基板の熱抵抗を小さくできる。またLEDチップ10の発光色も青色に限らず、例えば赤色や緑色などでもよい。すなわちLEDチップ10の発光部12の材料はGaN系化合物半導体材料に限らず、LEDチップ10の発光色に応じて、GaAs系化合物半導体材料やGaP系化合物半導体材料などを採用してもよい。また、導電性基板11もSiC基板に限らず、発光部12の材料に応じて、例えば、GaAs基板、GsP基板などから適宜選択すればよい。ここで、LEDチップ10(つまり導電性基板11)の材料としてGaN(線膨張率5.59×10−6/K)やGaAs(線膨張率5.9×10−6/K)を用いる場合には、これらの材料の線膨張率に比較的近い線膨張率を有するCuW(線膨張率6.4×10−6/K、熱伝導率168W/m・K)をサブマウント部材30の材料として用いれば良いし、LEDチップ10の材料としてGaP(線膨張率4.65×10−6/K)を用いる場合には、線膨張率が比較的近いW(線膨張率4.5×10−6/K、熱伝導率178W/m・K)をサブマウント部材30の材料として用いれば良い。
また、サブマウント部材30の表面(金属板21と反対側の面)にはLEDチップ10が実装され、サブマウント部材30の表面においてLEDチップ10の非実装部位には金属細線(例えば、金細線、アルミニウム細線など)からなるボンディングワイヤ14の一端を接続するとともに、ボンディングワイヤ14の他端を一方のリードパターン23に接続することで、LEDチップ10のカソード電極が、サブマウント部材30およびボンディングワイヤ14を介して一方のリードパターン23に電気的に接続される。またLEDチップ10のアノード電極はボンディングワイヤ14を介して他方のリードパターン23と電気的に接続されている。なお、LEDチップ10とサブマウント部材30とは、例えば、SnPb、AuSn、SnAgCuなどの半田や、銀ペーストなどを用いて接合すればよいが、AuSn、SnAgCuなどの鉛フリー半田を用いて接合することが好ましい。なお、サブマウント部材30におけるLEDチップ10側の表面には、LEDチップ10から放射された光を反射する反射膜(例えばNi膜とAg膜との積層膜からなる)を形成しても良い。
上述の封止部50の透明樹脂材料としては、シリコーン樹脂を用いているが、シリコーン樹脂に限らず、アクリル樹脂などを用いてもよい。
これに対して、枠体40は、円筒状の形状であって、例えばシリコーンのような透光性材料により形成されている。要するに、本実施形態では、封止部50の材料である封止樹脂と同等の線膨張率を有する透光性材料により枠体40を形成してある。ここに、本実施形態では、枠体40を実装基板20に固着した後で枠体40の内側に上記封止樹脂を充填(ポッティング)して熱硬化させることで封止部50を形成してある。なお、封止部50の封止樹脂としてシリコーン樹脂に代えてアクリル樹脂を用いている場合には、枠体40の透光性材料としてアクリル樹脂を採用することが望ましい。
光学部材60は、封止部50側の光入射面60aおよび光出射面60bそれぞれが凸曲面状に形成された両凸レンズにより構成されている。ここにおいて、光学部材60は、シリコーン樹脂の成形品により構成してあり、封止部50と屈折率が同じ値となっているが、光学部材60はシリコーンの成形品に限らず、例えば、アクリル樹脂の成形品により構成してもよい。
ところで、光学部材60は、光出射面60bが、光入射面60aから入射した光を光出射面60bと上述の空気層80との境界で全反射させない凸曲面状に形成されている。ここで、光学部材60は、当該光学部材60の光軸がLEDチップ10の厚み方向に沿った発光部12の中心線上に位置するように配置されている。なお、LEDチップ10の側面から放射された光は封止部50および空気層80を伝搬して保護カバー70まで到達し、保護カバー70の蛍光体を励起したり、蛍光体には衝突せずに保護カバー70を透過したりする。
保護カバー70は、シリコーンのような透明材料とLEDチップ10から放射された青色光によって励起されてブロードな黄色系の光を放射する粒子状の黄色蛍光体とを混合した混合物の成形品により構成されている(つまり、保護カバー70は透光性材料と蛍光体とで形成される。)。したがって、本実施形態の発光装置は、LEDチップ10から放射された青色光と黄色蛍光体から放射された光とが保護カバー70の外面70bを通して放射されることとなり、白色光を得ることができる。なお、保護カバー70の材料として用いる透明材料はシリコーンに限らず、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ガラス、有機成分と無機成分とがnmレベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料などを採用してもよい。また、保護カバー70の材料として用いる透明材料に混合する蛍光体も黄色蛍光体に限らず、例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを混合しても白色光を得ることができる。本実施形態の保護カバー70は発光部分を保護する機能と色変換の機能とを備えているが、保護カバー70に必ずしも色変換の機能を持たせる必要はなく、単なる保護のみの目的に用いても良い。この場合には蛍光体が不要となり、透光性材料のみで保護カバー70が形成される。
ここで、保護カバー70は、内面70aが光学部材60の光出射面60bに沿った形状に形成されている。したがって、光学部材60の光出射面60bの位置によらず法線方向における光出射面60bと保護カバー70の内面70aとの間の距離が略一定値となっている。なお、保護カバー70は、位置によらず法線方向に沿った肉厚が一様となるように成形されている。保護カバー70は、実装基板20側の端縁(開口部の周縁)を実装基板20に対して、例えば接着剤(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)を用いて接着すればよい。また保護カバー70と光学部材60との間に空気層80が形成されており、この空気層80が断熱層として機能するので、保護カバー70の蛍光体で発生した熱がLEDチップ10へ伝熱されるのを抑制することができる。
以上説明したように本実施形態の発光装置1では、金属板21におけるLEDチップ10の搭載部位に、導体材料又は半導体材料の何れかであって、LEDチップ10の材料と線膨張率が略同じ材料で形成されたサブマウント部材30を設けてある。すなわち金属板21とLEDチップ10との間に、LEDチップ10の材料と線膨張率が略同じ材料で形成されたサブマウント部材30を配置しているので、熱膨張率の差に起因してLEDチップ10に加わる応力を低減できる。またサブマウント部材30の材料としては熱伝導率の良好な材料を用いているので、LEDチップ10の放熱性を向上させることができる。さらに、LEDチップ10における実装基板20側の表面にアノード電極又はカソード電極の内の一方が形成され、サブマウント部材30が導体又は半導体の何れかで形成されているので、LEDチップ10の一方の電極をサブマウント部材30に電気的に接続するとともに、サブマウント部材30とリードパターン23との間をボンディングワイヤ14を介して電気的に接続することによって、LEDチップ10とリードパターン23との間を電気的に接続することができ、サブマウント部材30そのものを電路の一部として利用できるから、サブマウント部材30の表面に電極パターンを形成する必要が無く、コストダウンを図ることができる。またサブマウント部材30の厚みは、絶縁性基材22aよりも厚めに形成されているので、サブマウント部材30に搭載されたLEDチップ10が、絶縁性基材22aの表面よりも上方に位置することになり、LEDチップ10から側方に照射された光が絶縁性基材22aに遮光されてケラレが発生するのを防止でき、光取り出し効率が向上するという利点がある。
なお、本各実施形態では、サブマウント部材30にLEDチップ10を1つだけ実装しているが、それぞれ実装基板20側(サブマウント部材30側)の一表面にアノード電極又はカソード電極の内の一方が形成されるとともに、他表面にアノード電極又はカソード電極の内の他方が形成された複数個のLEDチップをサブマウント部材30に搭載し、さらにサブマウント部材30をボンディングワイヤ14を介してリードパターン23に電気的に接続することにより、一方の電極をサブマウント部材30及びボンディングワイヤ14を介してリードパターン23に電気的に接続するとともに、各LEDチップ10の他表面に形成された電極をボンディングワイヤ14を介して直接リードパターン23に電気的に接続することによって、1つのサブマウント部材30に複数個のLEDチップ10を実装するようにしても良い。またサブマウント部材30に複数個のLEDチップ10を実装する場合、異なる波長の光をそれぞれ照射する複数種類のLEDチップ10を実装すれば、複数種類のLEDチップ10からの照射光を混色することによって、所望の発光色を得ることができる。なお、この場合には保護カバー70に色変換の機能を持たせる必要はなく、保護カバー70を透光性材料のみで形成し、単なる保護のみの目的で保護カバー70を用いても良い。
(実施形態2)
以下、本実施形態の発光装置1を図4〜図8に基づいて説明する。
本実施形態の発光装置1の基本構成は実施形態1と略同じであって、図4及び図5に示すように光学部材60と枠体40とが同一の透光性材料(例えばシリコーンなど)により一体成形されている点などが相違している。なお実施形態1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
また、本実施形態における絶縁性基材22aは、金属板21側とは反対の表面に、リードパターン23,23とリードパターン23,23が形成されていない部位とを覆う白色系の樹脂からなるレジスト層26(図4および図6参照)が積層されている。したがって、LEDチップ10の側面から放射され、レジスト層26の表面に入射した光がレジスト層26の表面で反射されるので、LEDチップ10から放射された光が絶縁性基材22aにおける金属板21と反対側の表面(図4の上面)を通して吸収されるのを防止することができ、外部への光取り出し効率を向上させて、光出力の向上を図ることができる。
なお、レジスト層26には、絶縁性基材22aの窓孔24の近傍において各リードパターン23,23のインナーリード部23a,23aを露出させる円形状の開口部26aが形成されるとともに、絶縁性基材22aの周部において各リードパターン23,23のアウターリード部23b,23bをそれぞれ露出させる円形状の開口部26b,26bが形成されている。
また本実施形態における光学部材60は、封止部50側の光入射面60aが平面状に形成されるとともに、光出射面60bが凸曲面状に形成されており、平凸レンズ状に形成されている。
ここにおいて、光学部材60と枠体40とは上述のように同一の透光性材料(例えばシリコーンなど)により一体成形されており(換言すれば光学部材60と枠体40とが連続一体に形成されており)、封止部50と屈折率および線膨張率が略同じ値に形成されている。なお光学部材60および枠体40の透光性材料は、封止部50の封止材料と同等の線膨張率を有する材料を用いるのが好ましい。また光学部材60と枠体40とは、封止部50の封止材料の屈折率および弾性率を下回らない透光性材料により一体成形すれば良く、例えば封止部50の封止樹脂がアクリル樹脂である場合には、光学部材60と枠体40とをアクリル樹脂により一体成形しても良い。
また、本実施形態の発光装置1では、LEDチップ10が、実装基板20の最表面(レジスト層26の表面)を含む平面から、当該平面の法線方向において離間した位置に配置されており、光学部材60と枠体40とで構成されるレンズブロックにおいて光学部材60と枠体40とで囲まれた空間がLEDチップ10を収納する収納凹部を構成している(図4参照)。
ところで、本実施形態の発光装置1の製造方法としては、図7に示すように、LEDチップ10とボンディングワイヤ14,14とを電気的に接続した後、光学部材60と枠体40とで囲まれる空間(つまり上記の収納凹部)に封止部50となる透明な液状の封止樹脂材料(例えばシリコーン樹脂)50cを注入し、枠体40を実装基板20側にして上記収納凹部内にLEDチップ10が収納される形で光学部材60と枠体40とを実装基板20に配置し、封止樹脂材料50cを硬化させることによって封止部50を形成する方法が考えられる。しかしながら、このような製造方法では製造過程において封止部50にボイドが発生する可能性があるため、以下のような製造方法で製造することが好ましい。
すなわち、発光装置1を製造するにあたって、図8に示すように実装基板20にLEDチップ10を搭載してLEDチップ10とボンディングワイヤ14,14とを電気的に接続した後、LEDチップ10およびボンディングワイヤ14,14を封止部50の一部となる透明な液状の第1の封止樹脂材料(例えばシリコーン樹脂)50aにより覆うとともに、光学部材60と枠体40とで囲まれる空間(収納凹部)に、第1の封止樹脂材料50aと同一の透明な液状の材料からなり、封止部50の他の部分となる第2の封止樹脂材料(例えばシリコーン樹脂)50bを注入し、枠体40を実装基板20側にして上記収納凹部内にLEDチップ10が収納される形で光学部材60と枠体40とを実装基板20に配置して、第1および第2の封止樹脂材料50a,50bを接触させ、両封止樹脂材料50a,50bを硬化させることによって封止部50を形成するのである。このような製造方法によれば、製造過程で封止部50にボイドが発生しにくくなり、信頼性が高く且つ光出力が大きな発光装置1を提供することができる。
ここで、第2の封止樹脂材料50bを収納凹部内に注入する前に、第1の封止樹脂材料50aを硬化させておけば、第1の封止樹脂材料50aの粘度が低下し上記収納凹部内に閉じ込められたボイド(気泡)が抜けやすくなるという利点がある。なお本実施形態では、実装基板20のレジスト層26に形成した円形状の開口部26aの内径を保護カバー70の開口部(実装基板20と接触する端縁)の外径よりもやや大きな寸法に設定してあり、第1の封止樹脂材料50aをポッティングした際に開口部26aの内周面近傍まで流れ込んだ第1の封止樹脂材料50aを、保護カバー70と実装基板20とを接合する接着剤として利用している。
以上説明したように本実施形態の発光装置1では、光学部材60と枠体40とが同一の透光性材料により一体成形されているので、光学部材60と枠体40とが別部品で構成されている場合に比べて部品点数を少なくできるとともに、光学部材60とLEDチップ10との位置合わせが容易にできるので、LEDチップ10と光学部材60との光軸のずれに起因した光出力の低下を抑制することができる。
(実施形態3)
以下、本実施形態の発光装置を図9および図10に基づいて説明する。
本実施形態の発光装置1の基本構成は実施形態2と略同じであって、図9に示すようにレジスト層26に設けた開口部26aの内径を、保護カバー70の開口部(実装基板20と接触する端縁)の内径よりもやや小さい寸法に設定してあり、保護カバー70における実装基板20側の端縁とレジスト層26における開口部26aの周部とを全周に亘って接着剤からなる接合部75により接合している点が相違する。なお実施形態2と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
この発光装置1の製造にあたっては、実施形態2と同様、図10に示すように実装基板20にLEDチップ10を搭載してLEDチップ10とボンディングワイヤ14,14とを電気的に接続した後、LEDチップ10およびボンディングワイヤ14,14を封止部50の一部となる透明な液状の第1の封止樹脂材料(例えばシリコーン樹脂)50aにより覆うとともに、光学部材60と枠体40とで囲まれる空間(収納凹部)に、第1の封止樹脂材料50aと同一の透明な液状の材料からなり封止部50の他の部分となる第2の封止樹脂材料(例えばシリコーン樹脂)50bを注入し、枠体40を実装基板20側にして上記収納凹部内にLEDチップ10が収納される形で光学部材60と枠体40とを実装基板20に配置して、第1および第2の封止樹脂材料50a,50bを接触させ、両封止樹脂材料50a,50bを硬化させることによって封止部50を形成するのである。このような製造方法によれば、実施形態2で説明したのと同様に、製造過程で封止部50にボイドが発生しにくくなり、信頼性が高く且つ光出力が大きな発光装置1を提供することができる。
ここにおいて、本実施形態の発光装置1の製造にあたっては、レジスト層26により、保護カバー70の接合部位まで第1の封止樹脂材料50aが流れ込むのを防止しており、保護カバー70の実装基板20側の端縁と実装基板20とを接着剤により接合しているので、保護カバー70と実装基板20との間に介在する接合部75の厚みの制御が容易になるとともに、保護カバー70と実装基板20との接合の信頼性が向上する。なお、接合部75を構成する接着剤としては、保護カバー70と同じ材料を用いるのが望ましい。
(実施形態4)
以下、本実施形態の発光装置を図11〜図14に基づいて説明するが、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施形態の発光装置1は、図11に示すように実施形態2で説明した枠体40を備えておらず、LEDチップ10から放射された光の配光を制御する光学部材60がドーム状(半球状)に形成されて、実装基板20との間にLEDチップ10を収納する形で実装基板20の一表面側に配設されている。また、LEDチップ10およびボンディングワイヤ14,14を封止する封止部50は、光学部材60と実装基板20とで囲まれた空間に透光性を有する封止樹脂材料(例えばシリコーン樹脂)を充実することによって形成されており、保護カバー70が、実装基板20の上記一表面側において光学部材60を覆い、光学部材60の光出射面60bとの間に空気層80が形成されるようにして配設されている。
また本実施形態では、実装基板20における配線基板22として、ポリイミドフィルムからなる絶縁性基材22aの一表面側に給電用の一対のリードパターン23,23が形成されたフレキシブルプリント配線板を採用している。
ここにおいて各リードパターン23,23は、図12に示すように絶縁性基材22aの外周形状の半分よりもやや小さな外周形状に形成されている。またレジスト層26は、配線基板22の窓孔24の近傍において各リードパターン23,23の1箇所が矩形状に露出し、配線基板22の周部において各リードパターン23,23の1箇所が円形状に露出するようにパターニングされており、各リードパターン23において、窓孔24の近傍で露出する矩形状の部位(窓孔24の対向する2辺の略中央部)が、ボンディングワイヤ14の接続されるインナーリード部23aとなり、配線基板22の周部において露出する円形状の部位がアウターリード部23bとなっている。
また本実施形態ではLEDチップ10として、実装基板20側(つまりサブマウント部材30側)の一表面に図示しないカソード側の電極であるカソード電極(n電極)が形成され、他表面に図示しないアノード側の電極であるアノード電極(p電極)が形成されたものを用いており、カソード電極は導体又は半導体からなるサブマウント部材30に電気的に接続されている。そして、LEDチップ10のアノード電極と一方のリードパターン23のインナーリード部23aをボンディングワイヤ14を介して電気的に接続するともに、サブマウント部材30と他方のリードパターン23のインナーリード部23aをボンディングワイヤ14を介して電気的に接続してある。ここで、2つのアウターリード部23b,23bのうち、LEDチップ10のアノード電極に電気的に接続されるアウターリード部23b(図13中右側のアウターリード部23b)には「+」の表示が形成され、カソード電極に電気的に接続されるアウターリード部23b(図13中左側のアウターリード部23b)には「−」の表示が形成されているので、発光装置1における両アウターリード部23b,23bの極性を視覚的に判別でき、誤接続を防止することができる。
ところで、本実施形態では配線基板22に設けた窓孔24は矩形状であり、図12に示すように矩形状の窓孔24の対向2辺の中央部近傍にインナーリード部23aが設けられているが、窓孔24の対向2辺の端部付近にインナーリード部23aを設けても良く、ボンディングワイヤ14の全長を長くするで、封止部50の膨張、収縮に起因したボンディングワイヤ14の断線が起こりにくくなって、信頼性が向上する。
なお本実施形態で用いるLEDチップ10は、結晶成長用基板として6H−SiC基板を用いた青色LEDチップであり、実施形態1と同様に、サブマウント部材30の材料としてSiのような半導体材料を用いているが、サブマウント部材30の材料としては、線膨張率がLEDチップ10の材料に比較的近く且つ熱伝導率が比較的高い導体材料又は半導体材料を採用すれば良い。
また本実施形態における発光装置1では、サブマウント部材30の厚み寸法を、当該サブマウント部材30の表面が配線基板22のレジスト層26の表面よりも金属板21から離れるような寸法に形成してあり、LEDチップ10から側方に放射された光が配線基板22の窓孔24内周面を通して配線基板22に吸収されるのを防止することができる。なお、サブマウント部材30におけるLEDチップ10が接合される側の表面においてLEDチップ10の接合部位の周部に、LEDチップ10から放射された光を反射する反射膜を形成しても良く、LEDチップ10から側方に放射された光がサブマウント部材30に吸収されるのを防止して、外部への光取り出し効率をさらに向上させることができる。
一方、光学部材60は、実施形態2と同様に、透光性材料(例えばシリコーンなど)により形成されているが、実施形態2では平凸レンズ形状に形成されているのに対して、本実施形態ではドーム状(半球状)に形成されている。ここにおいて、光学部材60は、光出射面60bが、光入射面60aから入射した光を光出射面60bと空気層80との界面で全反射させないような凸曲面に形成されており、LEDチップ10と光軸が一致するように配置されている。したがって、LEDチップ10から放射され、光学部材60の光入射面60aに入射した光が、光出射面60bと空気層80との界面で全反射されることなく保護カバー70まで到達しやすくなり、全光束を高めることができる。なおLEDチップ10の側面から放射された光は、封止部50、光学部材60および空気層80を伝搬して保護カバー70まで到達し、保護カバー70の蛍光体を励起したり、蛍光体に衝突せずに保護カバー70を透過したりする。また光学部材60は、位置によらず法線方向に沿って肉厚が一様となるように形成されている。なお、本実施形態では封止部50の材料としてシリコーン樹脂を採用しており、光学部材60をシリコーンの成型品により構成しているので、光学部材60と封止部50との屈折率差および線膨張率差を小さくすることができるが、封止部50の材料がアクリル樹脂の場合には、光学部材60もアクリル樹脂により形成するのが好ましい。
また保護カバー70は、内面70aが光学部材60の光出射面60bに沿った形状に形成されており、光出射面60bの位置によらず、法線方向において光出射面60bと保護カバー70の内面70aとの距離が略一定値となっている。
このような発光装置1を製造するに当たっては、例えばLEDチップ10のアノード電極と一方のリードパターン23の間、サブマウント部材30と他方のリードパターン23の間をそれぞれボンディングワイヤ14,14を介して電気的に接続した後、図13に示すようにディスペンサ400のノズル401の先端部を配線基板22の窓孔24に連続して形成されている樹脂注入孔28に合わせてサブマウント部材30と配線基板22との隙間に、封止部50の一部となる透明な液状の封止樹脂(例えばシリコーン樹脂)を注入してから硬化させる。その後、ドーム状の光学部材60の内側に上記封止部50の残部となる透明な液状の封止樹脂(例えばシリコーン樹脂)を注入してから、光学部材60を実装基板20における所定位置に配置して封止樹脂を硬化させることにより、封止部50を形成するのと同時に光学部材60を実装基板20に固着し、その後保護カバー70を実装基板20に固着するのである。このような製造方法によれば、製造過程において封止部50に気泡(ボイド)が発生しにくくなり、ボイドに起因したボンディングワイヤ14への応力集中を抑制して、信頼性を高めることができる。
なお、上記のような製造方法を採用する場合でも、製造過程において封止部50に気泡(ボイド)が発生する可能性があるので、光学部材60に液状の封止樹脂を多めに注入することが好ましい。
しかしながら、光学部材60に封止樹脂を多めに注入すると、光学部材60を実装基板20の所定位置に配置する際に、光学部材60に注入された液状の封止樹脂の一部が光学部材60と実装基板20とで囲まれる空間から外側に溢れ出て、レジスト層26の表面に広がってしまい、溢れ出た封止樹脂が硬化してできた不要部によって光が吸収されたり、不要部の凹凸によって光が乱反射されたりして、発光装置1全体として光の取り出し効率が低下する可能性がある。
そこで、本実施形態の発光装置1では、図11および図13に示すように実装基板20の上記一表面において光学部材60の開口部の端縁に重なるリング状の部位と、保護カバー70の開口部の端縁に重なるリング状の部位との間に、光学部材60と実装基板20とで囲まれる空間から溢れ出た封止樹脂を溜める複数の樹脂溜め用穴27を光学部材60の外周方向に離間して形成してある。したがって、光学部材60に注入された液状の封止樹脂の一部が光学部材60と実装基板20とで囲まれる空間から外側に溢れ出たとしても、溢れ出た封止樹脂を樹脂溜め用穴27に溜めることによって、実装基板20の一表面において光学部材60と保護カバー70との間の部位に溢れ出た封止樹脂が硬化して不要部が形成されることはなく、不要部による光の吸収や不要部の凹凸による光の乱反射に起因して光取り出し効率が低下するのを抑制でき、光出力の高出力化を図ることができる。
ここで、各樹脂溜め用穴27は、配線基板22に形成した貫通孔27aと、金属板21において貫通孔27aに対応する部位に形成された凹部27bとで構成されており(図11参照)、配線基板22(つまり絶縁性基材22a)の厚みを薄くしたとしても、金属板21の厚みを十分大きくとることで樹脂溜め用穴27の深さ寸法を大きくでき、その結果樹脂溜め用穴27に溜めることが可能な封止樹脂の量を多くすることができる。しかも、樹脂溜め用穴27内で硬化した封止樹脂が、LEDチップ10から保護カバー70への熱伝達を阻止する断熱部として機能することとなり、LEDチップ10の発熱に伴う保護カバー70の温度上昇を抑制でき、LEDチップ10の発熱に起因した蛍光体の発光効率の低下を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、実装基板20の上記一表面において光学部材60の開口部の端縁に重なるリング状の部位と、保護カバー70の開口部の端縁に重なるリング状の部位との間に配置されて、各樹脂溜め用穴27を覆うリング状の光吸収防止用基板140を備えている(図11及び図14参照)。この光吸収防止用基板140は、実装基板20側とは反対側の表面にLEDチップ10や保護カバー70などからの光を反射する白色系のレジスト層が形成されているので、各樹脂溜め用穴27内に溜まって硬化した封止樹脂からなる樹脂部によって上記の光が吸収されるのを防止することができる。なお光吸収防止用基板140は、光学部材60を実装基板20の所定位置に配置する際に溢れ出た封止樹脂が各樹脂溜め用穴27内に充填された後で、実装基板20の上記一表面側に載置すれば良く、その後で封止樹脂を硬化させる際に封止樹脂により実装基板20に固着されることになる。ここで、リング状の光吸収防止用基板140には、図12及び図14に示すように各樹脂溜め用穴27の微少領域を露出させる複数の切欠部142が形成されているので、樹脂溜め用穴27内の封止樹脂を硬化させる際に空気が抜けやすく、ボイドの発生を抑制することができる。
ここにおいて、本実施形態における発光装置1では、複数の樹脂溜め用穴27が光学部材60の外周方向に離間して複数設けられているので、実装基板20の上記一表面において光学部材60の端縁に重なる部位と、保護カバー70の端縁に重なる部位との間の距離を短くしながらも、実装基板20の上記一表面上に封止樹脂からなる不要部が形成されるのを抑制することができ、またリードパターン23,23が樹脂溜め用穴27によって分離されるのを防止することができるから、LEDチップ10への給電路の低抵抗化を図ることができる。
なお、上述の各実施形態ではLEDチップ10として発光色が青色の青色LEDチップを採用しており、結晶成長用基板である導電性基板11としてSiC基板を採用しているが、SiC基板の代わりにGaN基板を用いても良く、SiC基板やGaN基板を用いた場合には、結晶成長用基板として絶縁体であるサファイア基板を用いた場合に比べて、結晶成長用基板の熱伝導率が高く、結晶成長用基板の熱抵抗を小さくできる。またLEDチップ10の発光色も青色に限らず、例えば赤色や緑色などでもよい。すなわちLEDチップ10の発光部12の材料はGaN系化合物半導体材料に限らず、LEDチップ10の発光色に応じて、GaAs系化合物半導体材料やGaP系化合物半導体材料などを採用してもよく、発光部12の材料に応じて結晶成長用基板の材料を適宜選択すればよい。
また、上述の各実施形態では、サブマウント部材30にLEDチップ10が1つしか実装されていないが、サブマウント部材30に複数個のLEDチップ10を実装しても良い。サブマウント部材30に複数個のLEDチップ10を実装する場合、異なる波長の光をそれぞれ照射する複数種類のLEDチップ10を実装すれば、複数種類のLEDチップ10からの照射光を混色することによって、所望の発光色を得ることができる。この場合には保護カバー70に色変換の機能を持たせる必要はなく、保護カバー70を透光性材料のみで形成し、単なる保護のみの目的で保護カバー70を用いても良い。
なお、本発明の精神と範囲に反することなしに、広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は、特定の実施形態に制約されるものではない。