JP5574622B2 - 紙葉類処理装置および紙葉類処理方法 - Google Patents

Description

この発明は、たとえば、住所情報と共に氏名などの宛先人情報が記載された郵便物などの紙葉類を区分処理する紙葉類処理装置および紙葉類処理方法に関する。

従来、区分装置では、紙葉類に記載されている住所情報を認識することにより紙葉類を区分処理する。転居などの移転があった住所情報の郵便物は、係員が宛先人の氏名情報などを基に、転出者宛か転入者宛かを判別している。また、郵便物が転出者宛であると判断した係員は、転出先の住所を手書きなどで記載したり、転居先の住所を印字したラベルを貼り付けたりしている。このような作業を自動化するため、近年、予め宛先情報データベースに移転者（転出者）に関する情報を登録しておき、宛先人が転出者か転入者かを文字認識処理により識別する区分システムが提案されている。

しかしながら、単に辞書の文字との類似度を算出する文字認識処理では、転出者の文字列と転入者の文字列とを誤認識する可能性がある。つまり、一般的な各文字の類似度だけに基づく文字認識処理だけでは、宛先人が転出者か転出者かを確実に判別することは容易ではない。このため、転居者宛の紙葉類を含む紙葉類に対する区分処理では、人間系による宛先情報の確実な確認の支援、あるいは、転出者及び転入者の識別精度向上などが課題となっている。

特開２００１−２５７１３号公報 特開２００７−３８０４０号公報

この発明の一形態は、特定の区分情報が記載されている紙葉類を確実に処理することができる紙葉類処理装置および紙葉類処理方法を提供することを目的とする。

この発明の一形態としての紙葉類処理装置は、住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理するものにおいて、住所が移転した転出者に関する情報を含む移転情報を記憶する記憶手段と、紙葉類の画像を読み取る読取手段と、前記読取手段により読取った紙葉類の画像における宛先情報を文字認識する認識手段と、前記認識手段による認識結果としての宛先情報と前記記憶手段に記憶している移転情報とを比較することにより当該紙葉類が転出者宛であるか否かを判定する判定手段と、この判定手段により当該紙葉類が転出者宛であると判定した場合、当該転出者に関する情報を付与したラベルを当該紙葉類における宛先情報の記載領域に基づいて決定した貼付け位置に貼り付け、当該紙葉類において上記ラベルと宛先情報の記載領域とが重ならない貼付け位置が存在しなければ、当該紙葉類へのラベルの貼付けを中止するラベル貼付手段とを有する。

この発明の一形態としての紙葉類処理方法は、住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理する紙葉類処理装置に用いられる方法であって、住所が移転した転出者に関する情報を含む移転情報を記憶手段に記憶しておき、紙葉類の画像を読み取り、前記読取った紙葉類の画像における宛先情報を文字認識し、前記文字認識による認識結果としての宛先情報と前記記憶手段に記憶している移転情報とを比較することにより当該紙葉類が転出者宛であるか否かを判定し、この判定により当該紙葉類が転出者宛であると判定した場合、当該転出者に関する情報を付与したラベルを当該紙葉類における宛先情報の記載領域に基づいて決定した貼付け位置に貼り付け、当該紙葉類において上記ラベルと宛先情報の記載領域とが重ならない貼付け位置が存在しなければ、当該紙葉類へのラベルの貼付けを中止する。

この発明の一形態によれば、特定の区分情報が付与されている紙葉類を確実に処理することができる紙葉類処理装置、および、紙葉類処理方法を提供できる。

図１は、紙葉類処理装置としての区分装置（区分システム）の構成例を概略的に示す図である。 図２は、第１の処理例の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。 図３（ａ）及び（ｂ）は、ラベルの貼付け位置の例を示す図である。 図４（ａ）及び（ｂ）は、図３（ａ）及び（ｂ）とは異なるラベルの貼付け位置の例を示す図である。 図５は、ある住所情報における転出者宛の郵便物と転入者宛の郵便物との割合の計時的な変化の例を示す図である。 図６は、第２の処理例に係る宛先情報の認識処理の流れを示すフローチャートである。 図７は、宛先人情報に対する認識結果の例を示す図である。 図８は、宛先情報データベースに登録される移転情報の例を示す図である。 図９は、第２の処理例としての宛先人の認識処理の流れを説明するためのフローチャートである。 図１０は、第３の処理例として、情報入力装置において移転情報の住所情報が打鍵入力された場合の表示例を示す図である。 図１１は、宛先情報データベースにおける移転情報の例を示す図である。 図１２は、第４の処理例に係る紙葉類の計数処理を含む紙葉類の区分処理の流れを説明するためのフローチャートである。 図１３は、第４の処理例に係る宛先情報データベースの調整処理の流れを説明するためのフローチャートである。

以下、この発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図１は、この発明の実施の形態に係る紙葉類処理装置としての区分装置（区分システム）１の構成例を概略的に示す図である。
区分装置１は、住所情報を含む宛先情報などの区分情報に基づいて、紙葉類あるいは物品等の配達物などを区分処理する。すなわち、区分装置１は、紙葉類処理装置として機能する。本実施の形態において、紙葉類処理装置としての区分装置１は、住所情報および宛先人情報を含む宛先情報に基づいて、紙葉類を地区ごとに区分したり、配達順に区分したりするものを想定して説明する。

なお、住所情報は、地域を示す情報（例えば、都道府県及び市町村名等）、地域内の地区を示す情報（例えば、街区等）、および、地区内における場所（居所）を示す情報（例えば、番地及び住居（部屋）番号等）などから構成され、宛先人情報は、宛先の人物を示す情報（例えば、人物名、社名あるいは法人名等）であるものとする。

次に、区分装置１の構成について説明する。
図１に示すように、区分装置１は、区分装置本体４、ビデオコーディングシステム（ＶＣＳ）部５および宛先情報データベース（宛先ＤＢ）６により構成される。
上記区分装置本体４は、図１に示すように、制御部１１、供給部１２、搬送部１３、スキャナ１４、バーコードリーダ（ＢＣＲ）１５、ラベル貼付部１６、ＩＤコード印字部１７、宛先コード印字部１８、区分部１９、および、集積部２０などを有している。

上記制御部１１は、区分装置本体４全体の制御を司るものである。上記制御部１１は、ＣＰＵ、各種メモリおよび各種インターフェースなどにより構成される。たとえば、上記制御部１１は、ＣＰＵがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより各部の制御などを実現している。また、上記制御部１１には、紙葉類の住所情報を判別するための判別部２１が設けられている。さらに、上記判別部２１は、画像から文字情報としての宛先情報を認識する文字認識部（オンラインＯＣＲ）２２を有する。

上記供給部１２は、オペレータによりセットされた区分対象となる紙葉類（例えば、郵便物）を１通づつ取出して、上記搬送部１３へ供給するものである。上記搬送部１３は、上記搬送路１３ａにより上記供給部１２で取出された紙葉類を後段の各部へ搬送するものである。
上記スキャナ１４は、上記搬送部１３による紙葉類の搬送方向に対して上記供給部１２の下流に設置される。上記スキャナ１４は、上記供給部１２にて取出されて上記搬送部１３により搬送路１３ａ上を搬送される紙葉類上の区分情報としての住所情報が記載されている面の画像を読取るものである。上記バーコードリーダ１５は、紙葉類上に印字されている住所コード、ＩＤコードなどのバーコード情報を読取るものである。

上記ラベル貼付部１６は、紙葉類にラベルを貼り付けるモジュールである。上記ラベル貼付部１６は、誤った宛先情報の紙葉類に対して正しい宛先情報をプリントしたラベルを貼り付ける。たとえば、上記ラベル貼付部１６は、転居により住所が変更された人物宛の紙葉類に対して、転居先（移転先）の住所情報を含む宛先情報をプリントしたラベルを貼り付ける。

上記ＩＤコード印字部１７は、バーコードが付与されていない紙葉類に対して当該紙葉類（あるいは上記スキャナ１４にて読み取った当該紙葉類の画像）を識別するための識別コードとしてのＩＤコードを印字するものである。上記宛先コード印字部１８は、当該紙葉類に記載されている宛先情報を示すバーコード情報（宛先コード）を印字するものである。上記宛先コード印字部１８では、例えば、上記判別部２１で判別した宛先情報あるいは上記情報入力装置３２にて入力された宛先情報に基づいて、宛先（区分先）を示す宛先コードを当該紙葉類に印字する。

上記区分部１９は、宛先情報に基づいて各紙葉類を区分するものである。上記集積部２０は、上記区分部１９により区分された紙葉類を集積するものである。上記集積部２０は、紙葉類を集積するための集積庫および複数の区分ポケット（図示しない）を有している。各区分ポケットには、宛先情報としての区分先に対応づけられている。つまり、宛先情報が確定した紙葉類は、当該宛先情報が示す区分先に対応づけられている区分ポケットに集積される。

上記集積部２０は、宛先情報が確定できなかった紙葉類を上記ＶＣＳ部５による処理対象となる紙葉類として集積するためのＶＣＳ用の集積庫（以下、ＶＣＳ集積庫と称する）を有する。宛先情報が確定できなかった紙葉類のうち上記ＶＣＳ部５による処理対象となる紙葉類は、上記集積部２０内のＶＣＳ集積庫に集積される。

また、上記集積部２０は、確定した宛先情報に対応づけられている区分ポケットが存在しない紙葉類を集積するための行先無し紙葉類の集積庫（以下、行先無し集積庫と称する）を有する。ここでは、上記宛先情報データベース６に登録されている住所情報には、何れかの区分ポケットが対応付けられているものとする。なお、移転先へ転送する紙葉類（転出者宛の紙葉類）については、移転先の住所情報に対応する区分ポケットに集積するようにしても良いし、専用の区分ポケット（転出者宛紙葉類用の区分ポケット）を設定するようにしても良い。

上記判別部２１は、各紙葉類の宛先情報に基づく区分先を判別するものである。上記判別部２１は、たとえば、上記スキャナ１４が読み取った紙葉類の画像から文字認識部２２により住所情報を認識し、認識した住所情報に基づいて各紙葉類の区分先を判別する。また、ＩＤコードが印字されている紙葉類については、そのＩＤコードに対応する住所情報を読み込み、その住所情報に基づいて当該紙葉類の区分先を判別する。なお、上記判別部２１は、予め操作員などにより設定される動作モードに応じて、紙葉類の画像から文字認識により認識した住所情報に区分先を判別したり、ＩＤコードに対応する住所情報に基づいて区分先をしたりするようにしても良い。

上記判別部２１は、文字認識部（オンラインＯＣＲ）２２を用いて宛先情報を認識する。上記文字認識部２２は、上記スキャナ１４により読取った紙葉類の画像から宛先情報としての文字情報を認識する。また、上記文字認識部２２では、宛先情報の記載領域を検出したり、宛先情報に含まれる住所情報と宛先人情報とをそれぞれ認識したりする機能を有する。上記判別部２１は、上記文字認識部２２による認識結果と上記宛先ＤＢ６に記憶されている情報とに基づいて紙葉類に付与されている宛先情報が判定する。たとえば、上記判別部２１では、上記文字認識部２２による認識結果としての住所情報と上記宛先ＤＢ６に記憶されている住所情報とが一致するか否かにより認識結果が住所情報として確からしいか否かを判断したり、認識結果の住所情報が移転情報の住所情報（転出者ありの住所情報）と合致するか否かを判断したりするようになっている。

また、上記判別部２１の文字認識部２２は、オンラインＯＣＲとして機能するため、区分装置本体４内における紙葉類の搬送時間に応じて文字認識（住所情報の認識処理）を行う処理時間（認識処理時間）が設定されている。つまり、上記文字認識部２２では、上記認識処理時間（たとえば、スキャナ１４を通過してから宛先コード印字部１８に至るまでの時間）内に住所情報としての文字情報の認識結果が得られるようなアルゴリズムにより構成されている。また、上記制御部１１は、上記文字認識部２２により住所情報が認識できなかった紙葉類の画像を情報蓄積分配部３１へ転送するようになっている。

上記宛先情報データベース（宛先ＤＢ）６には、宛先（区分先）として存在する宛先情報が記憶されている。すなわち、上記判別部２１は、上記宛先情報データベース６に記憶されている宛先情報に基づいて上記文字認識部２２による文字認識処理の結果が正しいか否かを判定する。また、上記宛先情報データベース６は、宛先の人物が変更された場合、あるいは、新たな宛先が設定された場合などに適宜更新される。

また、ある住所情報の人物が転居した場合、つまり、ある住所情報に対応する宛先人が変更された場合、上記宛先情報データベース６には、転出者の転出先の住所情報などを含む移転情報が宛先情報データベース６に記憶される。移転情報は、住所情報に対応づけられる。認識結果としての住所情報が移転情報の住所情報と合致する場合、宛先人が転出した宛先人（転出者）か新たに転入してきた宛先人（転入者）かが判定される。宛先情報の宛先人が転居済みの宛先人である場合、当該紙葉類の住所情報は、移転情報に基づいて転居先の住所情報に変更すべきであると判定される。

次に、ＶＣＳ（ビデオコーディングシステム）部５の構成について説明する。
上記ＶＣＳ部５は、図１に示すように、情報蓄積分配部３１および複数の情報入力装置（ビデオコーディングディスク：ＶＣＤ）３２（３２ａ、３２ｂ、…）などを有している。また、ＶＣＳ部５には、情報入力装置３２と並列に、上記文字認識部（オンラインＯＣＲ）２２とは異なるアルゴリズムで宛先情報としての文字認識を行うオフラインＯＣＲを設けても良い。
上記情報蓄積分配部３１は、上記区分装置本体４と各情報入力装置３２とのインターフェースとして機能する。なお、上記情報蓄積分配部３１は、図示しないサーバ装置を介して他の区分装置とのデータ通信を行ったり、宛先情報データベース６にアクセスしたりするようにしても良い。

上記情報蓄積分配部３１は、上記判別部２１により住所情報が認識できなかったと判定された紙葉類の画像などの情報（ビデオコーディング用の情報）を蓄積する。たとえば、上記情報蓄積分配部３１には、紙葉類に付与されたＩＤ情報（ＩＤコード）に対応づけて、当該紙葉類の画像と上記文字認識部２２による住所情報としての文字の認識結果が蓄積される。また、上記情報蓄積分配部３１は、ＩＤ情報に対応づけられた紙葉類の画像及び文字の認識結果などからなるビデオコーディング用の情報（以下、コーディングデータと称する）を１通分ごとに各情報入力装置３２へ分配するようになっている。

上記情報入力装置３２（３２ａ、３２ｂ、…）は、宛先情報を教示する教示装置として機能する。上記情報入力装置３２（３２ａ、３２ｂ、…）は、それぞれ上記情報蓄積分配部３１から配信される紙葉類の画像などを含むコーディングデータに基づいてオペレータが宛先情報を入力する装置である。また、１つの区分システムにおいて、上記情報蓄積分配部３１には、複数の情報入力装置３２が接続される。各情報入力装置３２では、処理状況などを上記情報蓄積分配部３１へ通知し、その通知した処理状況に応じて上記情報蓄積分配部３１から分配されるコーディングデータに基づいて住所情報の入力作業が行う。さらに、各情報入力装置３２でオペレータが入力した情報は、上記情報蓄積分配部３１に蓄積される。

また、各情報入力装置３２は、たとえば、制御部、記憶部、表示部及び操作部などを有するコンピュータにより構成される。各情報入力装置３２では、上記情報蓄積分配部３１から受信したコーディングデータにおける紙葉類の画像を表示部に表示し、紙葉類の画像を表示部に表示した状態においてオペレータによる住所情報などの入力を受け付ける。さらに、各情報入力装置３２では、オペレータにより住所情報として入力された入力情報を当該紙葉類のＩＤコードに対応づけた処理済みデータ（コーディングされた情報）として上記情報蓄積分配部３１へ転送するようになっている。

上記情報蓄積分配部３１は、上記情報入力装置３２で入力された情報などを蓄積する機能も有している。上記情報蓄積分配部３１に蓄積された上記情報入力装置３２で入力されたデータは、適宜上記区分装置本体４へ供給されるようになっている。これにより、上記区分装置本体４では、上記情報蓄積分配部３１に蓄積された上記ＶＣＳ部５による処理済みのデータ（ＩＤコードに対応する住所情報）に基づいて紙葉類を区分するようになっている。すなわち、上記情報入力装置３２により住所情報が入力された紙葉類については、上記区分装置本体４は、当該紙葉類に付与されているＩＤコードを読取り、そのＩＤコードに対応する紙葉類の住所情報（入力情報）を上記情報蓄積分配部３１から取得し、その取得した住所情報に基づいて区分する。

以下の実施の形態では、上記のように構成される区分装置において、転居などにより宛先情報が変更された宛先に対する区分処理が効率的に実施されるようにするための処理例について説明する。ここで、転居などにより宛先情報が変更された宛先に関する情報は、移転情報として管理されるものとする。以下に説明する形態では、移転情報は、宛先情報データベース６に記憶されるものとする。

まず、第１の処理例について説明する。
第１の処理例は、上記区分装置１が転居した宛先人宛の紙葉類に対して、移転情報に基づく当該宛先人の新たな住所情報を記載したラベルを貼り付ける処理である。ここで、移転情報には、該当する住所情報の他に、転出者に関する情報として転出者の氏名等の宛先人情報および転出先の住所情報を含み、転入者に関する情報として当該住所への転入者が存在する場合には転入者の氏名等の宛先人情報を含む。また、宛先人情報は、宛先情報に含まれる宛先人の氏名等の住所情報以外の情報であるものとする。

移転情報として登録されている住所情報が記載されている紙葉類は、オペレータが人手で処理したり、あるいは、文字認識結果として得られる宛先人情報に基づいて処理したりすることが考えられる。転出者（現在は当該住所でない者）宛か転入者（当該住所の現在の居住者）宛かは、紙葉類の記載されている宛先情報に含まれる宛先人情報によって判別される。すなわち、移転情報の紙葉類を文字認識結果に基づいて処理する場合、文字認識部２２は、宛先情報に含まれる宛先人情報が転出者か転入者かを判別する必要がある。文字認識により宛先人情報が転出者か転入者かを判別する場合、文字認識部２２は、宛先情報の文字認識結果に含まれる氏名等の宛先人情報が転出者と一致するか転入者と一致するかを判定する。転出者と判定した場合、区分装置１は、当該紙葉類に転出先の住所を記載したラベルを貼り付ける。

しかしながら、区分装置１に搭載される文字認識部（ＯＣＲ）２２による文字認識処理では、誤認識が発生する可能性がある。たとえば、宛先人情報として転入者の氏名が記載されている紙葉類に対しても、文字認識部２２は、宛先人情報が転出者の氏名であると判別してしまう可能性もある。また、紙葉類上の宛先情報が記載されている領域に転出者の宛先情報を記載したラベルを貼り付けてしまうと、元々紙葉類に記載されている宛先情報を人間が視認するこができない（誤認識であったことを人間が確認できない）。

すなわち、無作為にラベルを貼り付けたり、常に所定の位置にラベルを貼り付けたりすると、紙葉類に記載されている宛先情報が視認できない状態となることがある。このため、本区分装置１では、転出者用のラベルを貼る場合、当該紙葉類に記載されている宛先情報を隠さないように、ラベルを貼り付ける。これにより、配達員などの人物は、紙葉類に記載されている宛先情報を確実に確認することができる。

次に、上記のような第１の処理例の流れについて説明する。
図２は、第１の処理例の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
まず、区分装置１では、供給部１２にセットされた紙葉類が１つずつ取り出されて、搬送部１３により搬送される。スキャナ１４は、搬送部１３により搬送される紙葉類上の画像を読み取る（ステップＳ１１）。上記スキャナ１４により読み取った画像は、制御部１１内の文字認識部２２へ供給される。文字認識部２２は、スキャナ１４が読み取った画像から宛先情報としての文字情報を認識する文字認識処理を行う（ステップＳ１２）。ただし、バーコードが印字されている紙葉類については、バーコードリーダ１５によりバーコードが示す宛先情報を認識する。

上記文字認識処理において、文字認識部２２は、スキャナ１４により読み取った画像から宛先情報の記載領域らしい領域を検出（領域検出）する。この領域検出処理において、文字認識部２２は、当該紙葉類にラベルが貼り付けられているか否かも検出する。ラベルが貼り付けられている場合、文字認識部２２は、ラベル上の領域における文字領域を宛先情報の記載領域として検出する。

宛先情報の記載領域を検出すると、文字認識部２２は、検出した領域から文字列を検出（文字列検出）する。文字列を検出すると、文字認識部２２は、検出した文字列から各文字を検出（文字検出）する。各文字を検出すると、文字認識部２２は、検出した各文字と文字辞書（図示しない）に登録されている各文字との類似度を算出することにより、各文字が類似する文字（文字候補）を抽出する。文字候補としては、たとえば、類似度の順に所定数の文字候補が選出される。このような文字候補を選出すると、文字認識部２２は、各文字の文字候補の組合せからなる単語候補と宛先情報データベースに記憶されている宛先情報（住所情報、宛先人情報）に含まれる単語候補との類似度を算出することにより、文字認識結果としての宛先情報（住所情報および宛先人情報）を決定する。

なお、転出者宛以外の紙葉類は住所情報に従って区分する形態である場合、上記文字認識部２２による文字認識処理では、まず、宛先情報に含まれる住所情報のみを認識するようにしても良い。この場合、認識結果としての住所情報が移転情報の住所情報に合致すれば、上記文字認識部２２は、さらに、宛先情報に含まれる宛先人情報の認識処理を行うようにすれば良い。

上記文字認識部２２による宛先情報の認識結果が得られると、上記判別部２１は、得られた宛先情報が転出者宛の宛先情報であるかか否かを判定する（ステップＳ１３）。上記判別部２１は、認識結果の宛先情報と宛先ＤＢ６に登録されている移転情報とを比較することにより当該紙葉類が転出者宛か否かを判定する。たとえば、上記判別部２１は、認識結果としての宛先情報に含まれる住所情報が宛先ＤＢ６に登録されている移転情報の住所情報と合致するか否かを判定する。認識結果の住所情報と移転情報の住所情報とが合致する場合、上記判別部２１は、認識結果としての宛先情報に含まれる宛先人情報（例えば、宛先人の氏名）が宛先ＤＢ６に登録されている移転情報の転出者情報（例えば、転出者の氏名）と合致するか否かを判定する。認識結果の宛先人情報が転出者情報と合致する場合、上記判別部２１は、当該紙葉類が転出者宛であると判定する。

当該紙葉類が転出者宛でないと判定した場合（ステップＳ１３、ＮＯ）、上記判別部２１は、上記文字認識部２２により得られた文字認識結果としての宛先情報を当該紙葉類の宛先情報として決定する。当該紙葉類の宛先情報が決定すると、上記制御部１１は、決定した宛先情報に基づいて当該紙葉類を区分処理する。この場合、上記制御部１１は、当該紙葉類に宛先コード印字部１８により宛先情報を示す宛先コードを印字し、区分部１９により宛先情報の宛先情報に対応する集積部２０内の区分ポケットに集積する。なお、宛先情報が認識できなかった場合、上記制御部１１は、ＩＤコード印字部１７により当該紙葉類にＩＤコードを印字し、ＶＣＳ用の紙葉類として区分する。

当該紙葉類が転出者宛であると判定した場合（ステップＳ１３、ＹＥＳ）、上記制御部１１は、当該紙葉類に転出先の住所情報を含む転出者情報を印刷したラベルを貼り付ける処理を行う。まず、上記制御部１１は、当該紙葉類におけ宛先情報に記載領域と紙葉類に対する所定のラベル貼付け位置（標準貼付け位置）とが重なるか否かを判断する（ステップＳ１５）。この場合、制御部１１は、当該紙葉類における宛先情報の記載領域を示す情報として文字認識処理の領域検出で得られた処理結果を上記文字認識部２２から取得する。また、上記ステップＳ１５の処理は、ラベル貼付部１６が実行するようにしても良い。この場合、上記ラベル貼付部１６には、上記制御部１１を介して文字認識処理で得られた宛先情報の記載領域を示す情報を取得するようにすれば良い。

上記判断により宛先情報の記載領域と上記標準貼付け位置とが重ならないと判断した場合（ステップＳ１５、ＮＯ）、上記制御部１１は、上記ラベル貼付部１６により転出者情報を印刷したラベルを当該紙葉類における標準貼付け位置に貼り付ける（ステップＳ１６）。すなわち、上記制御部１１は、ラベルの貼付位置を示す情報としての標準貼付け位置を示す情報を、当該紙葉類の区分情報としての転出者情報とともにラベル貼付部１６へ供給する。上記ラベル貼付部１６は、図示しない収納部に収納している初期状態のラベルに転出者情報を印刷し、転出者情報を印刷したラベルを当該紙葉類における標準貼付け位置に貼り付ける。

転出者情報を印刷したラベルを紙葉類に貼り付けると、制御部１１は、当該紙葉類に貼り付けたラベルに印刷した転出者情報（転出先の住所）に基づいて当該紙葉類を区分する（ステップＳ１７）。たとえば、ラベルを貼付けた紙葉類は、転出先の住所情報に基づいて区分するようにしても良いし、ラベルを貼り付けた紙葉類用の所定の区分ポケットに集積するようにしても良い。このような区分処理の結果として、転出者情報を印刷したラベルを紙葉類に記載されている宛先情報とは重ならないように貼り付けた紙葉類は、転出先に対応する区分ポケットあるいは所定の区分ポケットに区分される。

宛先情報の記載領域と上記標準貼付け位置とが重なると判断した場合（ステップＳ１５、ＹＥＳ）、上記制御部１１は、上記標準貼付け位置とは異なる別のラベル貼付け位置を選定する（ステップＳ１８）。ここでは、宛先情報の記載領域と重ならないラベル貼付け位置を選定する。ラベル貼付け位置の選定方法は、種々の手法が適用できる。たとえば、予め設定した複数のラベル貼付け位置の候補から宛先情報の記載領域と重ならないものを選定するようにしても良いし、宛先情報の端部を基準としてラベルの貼付け位置が確保できるか否かを判定するようにしても良い。

当該紙葉類における宛先情報の記載領域と重ならないラベル貼付け位置を選定した場合（ステップＳ１９、ＹＥＳ）、上記制御部１１は、上記ラベル貼付部１６により当該紙葉類における選定したラベル貼付け位置に転出者情報を印刷したラベルを貼付ける（ステップＳ２０）。たとえば、上記制御部１１は、選出したラベルの貼付け位置を示す情報を、当該紙葉類の区分情報としての転出者情報とともにラベル貼付部１６へ供給する。上記ラベル貼付部１６は、図示しない収納部に収納している初期状態のラベルに転出者情報を印刷し、転出者情報を印刷したラベルを当該紙葉類における選出されたラベル貼付け位置に貼り付ける。

転出者情報を印刷したラベルを紙葉類に貼り付けると、上記制御部１１は、当該紙葉類に貼り付けたラベルに印刷した転出者情報（転出先の住所）に基づいて区分する区分処理を行う（ステップＳ１７）。この区分処理の結果として、転出者情報を印刷したラベルが紙葉類に記載されている宛先情報とは重ならないように貼り付けられた紙葉類は、転出先に対応する区分ポケットあるいは所定の区分ポケットに区分される。

また、当該紙葉類における宛先情報の記載領域と重ならないラベル貼付け位置が存在しないと判断した場合（ステップＳ１９、ＮＯ）、上記制御部１１は、当該紙葉類にはラベルの貼付けが不可であると判断する。当該紙葉類へのラベルの貼り付けが不可であると判断した場合、上記制御部１１は、当該紙葉類にラベルを貼り付けることなく、ラベル貼付けなしの転出者宛の紙葉類を集積する区分ポケットに当該紙葉類を区分する（ステップＳ２１）。

上記のように、第１の処理例では、宛先情報の記載領域と重なってしまうようなラベルの貼付けを不可とすることににより、紙葉類に記載されている宛先情報を確実に確認できる。言い換えれば、第１の処理例では、元々記載されている宛先情報が視認できる状態を確保できなければ、ラベルの貼付けは禁止される。このため、上記第１の処理例によれば、転出者宛の紙葉類を人間が確実に確認できる。

次に、上記第１の処理例によって選定されるラベル貼付け位置の例について説明する。

たとえば、図３及び図４は、ラベルの貼付け位置の例を示す図である。図３（ａ）は、横長の紙葉類における右側の領域に宛先情報が記載されている状態を示している。また、図３（ｂ）は、図３（ａ）に示す紙葉類における左側の領域にラベルを貼付けた状態を示している。図３（ｂ）に示すラベルの貼付け位置が標準貼付け位置であるとすれば、図３（ａ）に示すような紙葉類は、宛先情報の記載領域と標準貼付け位置とが重ならないため、標準貼付け位置にラベルが貼付けられる。

これに対して、図４（ａ）は、横長の紙葉類における左側の領域に宛先情報が記載されている状態を示している。また、図４（ｂ）は、図４（ａ）に示す紙葉類における右側の領域にラベルを貼付けた状態を示している。図３（ｂ）に示すラベルの貼付け位置が標準貼付け位置であるとすれば、図４（ａ）に示すような紙葉類では、図４（ｂ）に点線で示すように、宛先情報の記載領域と標準貼付け位置とが重なる。このため、図４（ａ）に示すような紙葉類に対しては、図４（ｂ）に示すように、標準貼付け位置以外のラベル貼付け位置として、紙葉類における右側の領域にラベル貼付け位置が選定される。

上記のような第１の処理例では、区分装置は、データベースに登録した転出者の情報に基づいて紙葉類に記載されている宛先情報が転出者宛か否かを判定し、紙葉類の宛先情報が転居者宛であると判定した場合には、転出先の情報を印字したラベルを宛先情報の記載領域に重ならないように紙葉類に貼り付ける。また、区分装置は、紙葉類における宛先情報の記載領域と重ならずにラベルを貼り付ける領域が無ければ、ラベルを貼付けずに紙葉類を所定の区分ポケットに区分する。上記のような第１の処理例によれば、転出者宛の紙葉類に元々記載されている宛先情報を人間が確実に視認できるようにできる。

次に、第２の処理例について説明する。
第２の処理例は、上述したような文字認識処理による転出者と転入者との識別精度を向上させるための処理である。上記第１の処理例のように、ＯＣＲによって得られた宛先情報に含まれる住所情報が転出者情報の住所情報と合致した場合、当該紙葉類が転出者宛か転入者宛かを判定するために、当該宛先情報に含まれる宛先人情報が転出者か転入者かを判別する必要がある。

たとえば、宛先情報に含まれる宛先人情報は、転出者情報に対する類似度と転入者情報に対する類似度とを比較することにより、何れかを選択することにより決定する。ただし、単純な文字認識では、宛先人情報を誤認識する可能性がある。宛先人情報の認識処理は、宛先人が転出者か転入者かを識別する処理である。従って、宛先人が転出者となる傾向と転入者となる傾向とを考慮すれば、宛先人情報の認識精度が向上すると考えられる。

図５は、ある住所情報における転出者宛の郵便物と転入者宛の郵便物との割合の計時変化例を示す図である。
図５に示すように、通常、転出者宛の郵便物は、時間が経過するにつれて減少し、転入者宛の郵便物は、時間経過に伴って増加する。また、一定期間を超えると、ほとんどが転入者宛の郵便物となり、転出者宛の郵便物は極めて少数になる。このような傾向を考慮した宛先人情報の識別処理を行えば、宛先人情報の認識精度が向上すると考えられる。すなわち、第２の処理例では、宛先人情報の認識処理において、宛先情報データベースに登録されている移転情報として転出者の住所情報が登録されてからの時間経過情報を認識結果に反映させる。これにより、第２の処理例では、転出者と転入者との間で誤読を低減させることができる。

次に、第２の処理例の流れを説明する。
図６は、第２の処理例に係る宛先情報の認識処理の流れを示すフローチャートである。
まず、制御部１１内の判別部２１には、スキャナ１４により読み取った紙葉類上の画像が入力される（ステップＳ３１）。紙葉類の画像が入力されると、判別部２１は、まず、文字認識部２２により宛先情報の認識処理を行う（ステップＳ３２〜Ｓ３６）。上記文字認識部２２では、まず、宛先情報の記載領域らしい文字領域候補を抽出する（ステップＳ３２）。文字認識部２２は、抽出した文字領域候補において文字行候補を抽出する（ステップＳ３３）。文字領域候補を抽出すると、文字認識部２２は、抽出した文字行候補から各文字の文字候補を抽出する（ステップＳ３４）。

文字候補を抽出すると、文字認識部２２は、抽出した各文字の文字候補に対して認識処理を行う（ステップＳ３５）。文字候補の認識処理では各文字の文字候補について類似度が得られる。これらの各文字の文字候補の認識結果を組み合わせることにより、宛先情報の候補が得られる。ここでは、まず、宛先情報に含まれる住所情報が認識対象となるものとする。宛先情報の候補（住所情報の候補）が得られると、文字認識部２２は、得られた住所情報の候補と宛先ＤＢ６に登録されている各住所情報とを照合する（ステップＳ３６）。これにより、文字認識部２２は、最も確からしい宛先情報としての住所情報を特定する。

最も確からしい住所情報が特定されると、判別部２１は、文字認識部２２により認識された住所情報が移転情報に含まれる住所情報と合致するか否かを確認する（ステップＳ３７）。文字認識部２２により認識した住所情報が移転情報の住所情報と合致しない場合（ステップＳ３７、ＮＯ）、判別部２１は、ステップＳ３６で得られた住所情報を当該紙葉類の宛先情報の認識結果として制御部１１に出力する（ステップＳ３８）。

また、文字認識部２２により認識した住所情報が移転情報の住所情報と合致するが確認された場合（ステップＳ３７、ＹＥＳ）、判別部２１は、文字認識部２２により紙葉類の画像から検出される宛先情報に含まれる宛先人情報の認識処理を行う（ステップＳ３９）。宛先人情報は、ステップＳ３６で得られた住所情報に続く文字情報として紙葉類に記載されている。このため、文字認識部２２は、住所情報に続く文字情報を認識することにより宛先人情報を認識する。また、移転情報に対する宛先人情報の認識処理では、宛先人が転出者か転入者かを判定する。この際、本第２の処理例では、移転情報の登録日時からの経過時間に応じて重み付けした認識結果により、宛先人情報を認識する。このような宛先人の認識処理については、後で詳細に説明する。

上記宛先人の認識処理により宛先人が転出者でないと認識した場合（ステップＳ４０、ＮＯ）、上記判別部２１は、ステップＳ３６で得られた住所情報を宛先情報の認識結果として制御部１１に出力する（ステップＳ３８）。また、上記宛先人の認識処理により宛先人が転出者であると認識した場合（ステップＳ４０、ＹＥＳ）、上記判別部２１は、移転情報に含まれる当該転出者の現在の住所情報を宛先情報の認識結果として制御部１１へ出力する（ステップＳ４１）。

上記のような処理によれば、転出前の住所情報が記載された転出者宛の紙葉類に関しては、宛先情報データベースから読み出した転出者の現在の住所情報（移転先の住所情報）を当該紙葉類の宛先情報として出力できる。

次に、第２の処理例としての宛先人の認識処理について説明する。
図７は、宛先人情報に対する認識結果の例を示す図である。また、図８（ａ）、（ｂ）は、宛先情報データベース６に登録される移転情報の例を示す図である。
図７に示す例では、１文字目を伏字として、移転情報に登録されている転出者が「×本太郎」であり、転入者が「×木太朗」であるものとする。図７に示す例において、２文字目は、第１候補が「木」で、第２候補が「本」である。３文字目は、第１候補が「太」で、第２候補が「犬」である。また、４文字目は、第１候補が「郎」で、第２候補が「朗」である。

ここで、各文字の第１候補を１０点とし、第２候補を５点とする。ただし、３文字目については、転出者も転入者も「犬」という文字を含まない。このため、３文字目は、第１候補の「太」であるものとする。なお、１文字目の伏字についても、１０点の第１候補であるものとする。すると、転出者の「×本太郎」の各文字に対する点数の合計は、１０＋１０＋１０＋５＝３５点であり、転入者の「×木太朗」の各文字に対する点数の合計も、１０＋５＋１０＋１０＝３５点である。

さらに、各文字に対する点数以外にも、転出者の「×本太郎」全体あるいは転入者の「×木太朗」全体に対しても、それぞれ加点点数が設定される。たとえば、図８（ａ）に示すように、転出者の「×本太郎」に対する加点点数が１０点である場合、転出者の「×本太郎」に対する点数の合計は、３５＋１０＝４５点となり、転入者の「×木太朗」に対する加点点数が１０点である場合、転入者の「×木太朗」に対する点数の合計も、３５＋１０＝４５点となる。

上記例のように、転出者の「×本太郎」に対する点数と転入者の「×木太朗」に対する点数とが同じである場合、各文字に対する認識結果から得られる合計点数が同じならば、転出者の「×本太郎」に対する総合評価値（合計点数）と転入者の「×木太朗」に対する総合評価値（合計点数）とは同じになる。逆に言えば、各文字に対する認識結果から得られる合計点数が同じであっても、転出者の「×本太郎」に対する点数と転入者の「×木太朗」に対する点数とが異なれば、「×本太郎」に対する総合評価値と「×木太朗」に対する総合評価値とには差がつくため、両者の総合評価値を比較することにより宛先人情報が転出者か転入者かを判別できる。

第２の処理例では、転出者の文字列（例えば、「×本太郎」）に対する加点点数と転入者の文字列（例えば、「×木太朗」）に対する加点点数とは、常に固定の点数でなく、転出者宛の紙葉類と転入者宛の紙葉類との割合に応じて変更されるものである。たとえば、紙葉類が郵便物であると想定すれば、転出者宛の紙葉類と転入者宛の紙葉類との割合は、図５に示すように時間経過に伴って変化する。図５に示す例では、時間経過に伴って、転出者宛の紙葉類が減少して転入者宛の紙葉類が増加する。このような場合、移転情報の登録時からの経過時間に応じて、転出者の文字列に対する加点点数を低くし、転入者の文字列に対する加点点数を高くするように変更する。

たとえば、移転情報の登録時から３ヶ月経過した場合、図８（ｂ）に示すように、転出者に対する加点点数を基準点としての１０点から２点減点し、かつ、転入者に対する加点点数を基準点としての１０点から２点加点するものとする。この場合、転出者の「×本太郎」に対する点数は８点となり、転入者の「×木太朗」に対する点数は１２点となる。この場合、転出者に対する総合評価値は３５＋８＝４３点となり、転入者に対する総合評価値は３５＋１２＝４８点となる。

すなわち、宛先人情報の各文字に対する認識結果から得られる合計点数が転出者も転入者も同じ点数である場合、移転情報が登録時から３ヶ月経過していれば、転入者の方が加点点数が高くなるため、宛先人情報が転入者であると判別される。このような判別結果は、単純な文字認識の結果だけに基づくものではなく、統計的に想定される転出者宛の紙葉類及び転入者宛の紙葉類の割合に応じて決定されるものである。つまり、第２の処理例によれば、各文字の類似度だけでなく、運用形態における傾向に応じた高精度な認識結果が得られることが期待できる。

次に、第２の処理例として宛先人の認識処理の流れを詳細に説明する。
図９は、宛先人の認識処理の流れを説明するためのフローチャートである。
上述したように、第２の処理例では、移転情報に含まれる転出者の文字列、および、転入者の文字列に対しては、それぞれ移転情報の登録時からの経過時間に応じた点数が設定される。以下に説明する第２の処理例では、転出者宛の紙葉類及び転入者宛の紙葉類の割合を示すモデル（ここでは、図５に示すようなグラフを想定する）に従って点数が決定されるものとする。

まず、図６に示すような処理において、住所情報の認識結果がある移転情報の住所情報と合致したことを想定する。この場合、判別部２１は、文字認識部２２により宛先人情報の各文字について、移転情報に含まれる転出者および転入者の各文字との類似度を示す点数を算出する（ステップＳ５０）。また、上記判別部２１は、図示しないクロック等により現在の日時を取得し、当該移転情報の登録日時からの経過時間を算出する（ステップＳ５１）。

上記登録日時からの経過時間を算出すると、上記判別部２１は、経過時間が転出者に関する情報の有効期間を超えているか否かを判断する（ステップＳ５２）。この転出者に関する情報の有効期間は、たとえば、一定の期間が設定されているものとする。このような有効期間は、転出者に対して元の住所で区分処理するサービスの提供期間であり、運用形態に応じて設定される。ただし、後述する第４の処理例のように、所定の有効期間を設定せずに、処理実績に応じて転出者に関する情報の有効性を設定するようにしても良い。この場合、上記ステップＳ５２の処理は省略される。

上記判断により登録日時からの経過時間が有効期間を越えていると判断した場合（ステップＳ５２、ＹＥＳ）、上記判別部２１は、当該紙葉類が転入者宛と判定して、当該転入者の住所情報（認識結果として得られている住所情報）を制御部１１に出力する（ステップＳ５９）。ただし、宛先人情報の各文字と転入者の各文字との類似度が低い場合（つまり、宛先人情報全体と転入者全体との類似度が低い場合）、当該紙葉類の宛先情報が認識不可として処理するため、上記判別部２１は、宛先情報が認識不可である旨を制御部１１へ出力するようにしても良い。

また、上記判断により登録日時からの経過時間が有効期間内であると判断した場合（ステップＳ５２、ＮＯ）、上記判別部２１は、算出した経過時間に基づいて転出者および転入者に対する加点点数を算出する（ステップＳ５３）。経過時間に対する転出者および転入者に対する加点点数は、予め設定されている演算モデルにより算出する。所定の演算モデルとしては、たとえば、経過時間に対応づけた転出者および転入者に対する加点点数を示すテーブル、あるいは、経過時間を代入することにより転出者および転入者に対する加点点数を計算する計算式などが考えられる。

転出者および転入者に対する加点点数を算出すると、判別部２１は、算出した加点点数を各文字に対する認識結果としての点数の合計点に加算する（ステップＳ５４）。つまり、判別部２１は、宛先人情報における各文字に対する転出者の各文字の点数（各文字ごとの類似度に相当する）を合計した値に転出者に対する加点点数を加算する。この加算した点数を転出者に対する総合評価値とする。また、判別部２１は、宛先人情報における各文字に対する転入者の各文字の点数（各文字ごとの類似度に相当する）を合計した値に転入者の加点点数を加算する。この加算した点数を転入者に対する総合評価値とする。

転出者および転入者に対する総合評価値を算出すると、判別部２１は、転出者および転入者に対する総合評価値の少なくとも何れか一方が所定の認識閾値以上か否かを判断する（ステップＳ５５）。この判断により転出者に対する総合評価値および転入者に対する総合評価値が共に所定の認識閾値未満である場合（ステップＳ５５、ＮＯ）、判別部２１は、宛先人情報が転出者でも転入者でもないと判別する。この場合、判別部２１は、宛先人情報が認識不可であった旨を制御部１１に出力する（ステップＳ５６）。この結果を受けた制御部１１では、当該紙葉類をリジェクトポケットに集積する処理を行う。

また、上記判断により転出者に対する総合評価値および転入者に対する総合評価値の少なくとも何れか一方が所定の認識閾値以上である場合（ステップＳ５５、ＹＥＳ）、判別部２１は、転出者に対する総合評価値が転入者に対する総合評価値よりも高いか否かを判断する（ステップＳ５７）。この判断により転出者に対する総合評価値が転入者に対する総合評価値よりも高いと判断した場合（ステップＳ５７、ＹＥＳ）、判別部２１は、宛先人情報が転出者であると判別する。この場合、判別部２１は、宛先人が転出者であることを示す情報と共に、当該転出者の現在の住所情報（転出先の住所情報）を制御部１１に出力する（ステップＳ５８）。この場合、制御部１１では、当該紙葉類を転出先の住所情報に基づいて区分処理する。

また、上記判断により転出者に対する総合評価値が転入者に対する総合評価値よりも高くないと判断した場合（つまり、転入者に対する総合評価値が転出者に対する総合評価値よりも高い、あるいは、転入者に対する総合評価値と転出者に対する総合評価値とが同じである場合）（ステップＳ５７、ＮＯ）、判別部２１は、宛先人情報が転入者であると判別する。この場合、判別部２１は、当該転入者の住所情報（認識結果として得られている住所情報）を制御部１１に出力する（ステップＳ５９）。この場合、制御部１１では、当該紙葉類を認識結果として得られた住所情報に基づいて区分処理する。なお、判別部２１は、必要に応じて、宛先人が転入者であると判定したことを示す情報も制御部１１に通知するようにしても良い。

次に、第３の処理例について説明する。
上述したように、区分装置本体４は、住所情報が判別できなかった紙葉類のスキャン画像をＶＣＳ部５へ送信する。また、区分装置本体４は、当該紙葉類にＩＤコードを付与してリジェクト用の区分ポケットに集積する。ＶＣＳ部５は、区分装置本体４から供給された紙葉類の画像を情報蓄積分配部３１に一時的に蓄積する。情報蓄積分配部３１は、蓄積した紙葉類の画像を各情報入力装置３２へ順次分配する。

各情報入力装置３２は、表示部に表示される紙葉類の画像を見て、人間（オペレータ）が宛先情報を打鍵入力する。一般には、情報入力装置３２では、区分処理のために必要な情報として、紙葉類の画像から宛先情報に含まれる住所情報を入力する。たとえば、郵便物の区分処理において、情報入力装置３２では、郵便物に付与されている郵便番号および街区番号のみを打鍵入力する運用形態が多い。

上記のように、オペレータは、上記情報入力装置３２において表示部に表示される紙葉類の画像に基づいて住所情報を入力する。このため、情報入力装置３２では、紙葉類に記載されている宛先情報が転出者宛であっても、当該紙葉類に記載されている住所情報（転入者の住所）が打鍵入力される。この状態でコーディング処理（打鍵入力）を完了してしまうと、転出者宛の紙葉類は、転出元の住所情報（転入者の住所情報）に基づいて処理されてしまう。

そこで、第３の処理例としては、情報入力装置３２は、オペレータが打鍵入力した住所情報が宛先ＤＢ６に登録されている移転情報の住所情報と合致するか確認する。打鍵入力した住所が移転情報の住所を合致する場合、情報入力装置３２は、警告メッセージを表示し、転出者か転入者かを選択を促す。これにより、オペレータは、打鍵入力した住所情報が移転情報であり、さらに、宛先人が転出者か転入者かを選択する必要があることを認識する。宛先人の選択が必要であると認識すると、オペレータは、情報入力装置３２において表示部に表示される紙葉類の画像に基づいて当該紙葉類の宛先人として転出者あるいは転入者の何れかを選択する。

上記警告メッセージは、打鍵入力した住所情報が移転情報であることをオペレータに注意を喚起するものであれば良い。たとえば、警告メッセージとしては、表示画面を点滅させたり、ビープ音を発生させたりすることが考えられる。

また、転出者と転入者との選択を促すため、情報入力装置３２は、表示部に移転情報として登録されている転出者の名称と転入者の名称とを選択可能な状態で表示する。これに対して、オペレータは、表示部に表示された転出者と転入者との何れかを選択する。ただし、宛先人が転出者でも転入者でもないと判断される場合、情報入力装置３２では、宛先人が不明あるいは宛先情報が無効である旨を打鍵入力するようにすれば良い。

オペレータが転出者を選択した場合、情報入力装置３２は、オペレータが打鍵入力した住所情報ではなく移転情報に含まれる転出者の住所情報（転出先の住所情報）と当該紙葉類が転出者宛の紙葉類であることを示す情報をコーディング処理の結果として出力する。オペレータが転入者を選択した場合、情報入力装置３２は、オペレータが打鍵入力した住所情報をコーディング処理の結果として出力する。

図１０は、情報入力装置３２において移転情報の住所情報が打鍵入力された場合の表示例を示す図である。
まず、オペレータが情報入力装置３２のキーボードで移転情報の住所情報を打鍵入力したものとする。情報入力装置３２は、住所情報の街区までが打鍵入力された時点で宛先ＤＢ６にアクセスし、打鍵入力された住所情報に合致する移転情報の住所情報が存在するか否か確認する。打鍵入力された住所情報と移転情報の住所情報とが合致した場合、情報入力装置３２は、図１０に示すような宛先人の選択を促す画面を表示部に表示する。

図１０に示す例では、表示部には、紙葉類の画像表示欄、入力結果の表示欄、警告メッセージ表示欄、および、宛先人（転出者および転入者）の選択欄が表示されている。紙葉類の画像表示欄には、スキャナ１４で読み取った紙葉類の画像が表示されている。入力結果の表示欄には、オペレータがキーボードを用いて打鍵入力した住所情報が表示される。警告メッセージ表示欄には、入力された住所情報が移転情報と合致する旨（転居者ありの住所である旨）の案内が表示される。

すなわち、入力結果の表示欄に表示されている住所情報が宛先ＤＢ６に登録されている移転情報の住所情報と合致した場合、上記のような転居者ありの住所である旨を示す警告メッセージ表示欄が表示される。また、宛先人の選択欄は、当該紙葉類に記載されている宛先人が転出者であるか転入者であるかを選択するための選択欄が表示される。図１０に示す表示例では、宛先人の表示欄には、転出者としての「×木○郎」と転入者としての「○芝×子」とが表示されている。宛先人の表示欄に表示されている転出者および転入者は、マウスあるいはキーボードにより選択指示が可能となっている。

図１０に示すような表示において、オペレータは、紙葉類の画像で宛先人の氏名を確認し、選択欄に表示されている人物から該当する人物をマウスあるいはキーボードで選択指示する。これにより、オペレータが打鍵入力した住所情報が移転情報と合致する場合、されに、オペレータに宛先人が転出者か転入者かを確認させることができる。また、オペレータが転出者を選択した場合には、当該移転情報に含まれる転出者の住所情報（転出先の住所情報）をコーディング処理の結果として出力する。この結果として、宛先人が転出者である場合であっても、現在の住所情報を得ることができる。

次に、第４の処理例について説明する。
上述したように、郵便物では、転出者宛の紙葉類は時間の経過とともに減っていく。一般的な運用形態では、郵便物は、所定の転送期間は転出者宛の紙葉類を転出先の住所へ転送する処理を行っている。この場合、上記転送期間が過ぎると、転出者宛の紙葉類に対する転送のための処理は打ち切られる。しかしながら、転出者宛の紙葉類の減り方は、宛先人ごとに差がある。すなわち、転出者宛の紙葉類の減り方が宛先人ごとに異なるのであれば、移転情報による転送処理を実行する転送期間も、宛先人ごとに適切な期間を設定するのが効率的であると考えられる。

そこで、第４の処理例では、宛先情報データベース（宛先ＤＢ）６に登録されている移転情報を適宜（定期的に）調整する。たとえば、第４の処理例では、各移転情報に対する転出者と転入者との判別結果を蓄積しておき、実際の判定結果における転出者と転入者との比率に応じて、各移転情報を調整する。ここでは、各移転情報の住所情報ごとに、転出者と判別した紙葉類の数と転入者と判別した紙葉類の数とをカウントするものとする。この場合、一定期間における転出者宛の紙葉類の通数が所定の閾値以下となった場合、操作員あるいは管理者に対して当該移転情報の削除を促したり、宛先ＤＢ６から自動的に削除したりする。これにより、実際の処理状況に応じた効率の良い宛先ＤＢ（移転情報）の管理が実現できる。

図１１は、宛先情報データベース６における移転情報の例を示す図である。
図１１に示す例では、各移転情報として、住所情報、居住者（転入者）の氏名、転出者（前の居住者）の氏名、転出日、転入者用カウンタ（転入者宛の郵便物数）、転出者用カウンタ（転出者宛の郵便物数）などが登録されている。ただし、図１１に示す例では、転出者に関する情報が登録されている移転情報としての宛先情報だけなく、転出者に関する情報が登録されていない宛先情報も示している。

居住者の氏名は、当該住所情報に現在居住している人物を示す情報である。当該宛先情報が移転情報である場合、居住者の氏名は、転入者（現在の居住者）の氏名である。転出者の氏名は、当該住所情報に以前居住していた人物を示す情報である。当該宛先情報が移転情報である場合、転出者の氏名は、登録されないため、転出者の氏名が登録されているか否かにより当該宛先情報が移転情報か否かを判別できる。転出日は、当該転出者が転出した日を示す情報である。

転入者用カウンタは、転入者宛の紙葉類の数を計数した値を示す。当該住所情報の紙葉類が転入者宛であると判別した場合、転入者用カウンタは、インクリメント（１加算）される。また、転出者用カウンタは、転出者宛の紙葉類の数を計数した値を示す。当該住所情報の紙葉類が転出者宛であると判別した場合、転出者用カウンタは、インクリメント（１加算）される。転入者用カウンタと転出者用カウンタは、ある期間における転入者宛の紙葉類の数あるいは転出者宛の紙葉類の数を計数するものである。このため、転入者用カウンタと転出者用カウンタは、ある期間ごとに初期化するようにしても良いし、所定期間（例えば１ヶ月）ごとに計数した値を保持しておくようにしても良い。

第４の処理例では、通常の紙葉類に対する区分処理において、図１１に示すような移転情報については、転入者宛の数と転出者宛の数とを転入者用カウンタおよび転出者用カウンタによりカウントする。これにより、各移転情報には、所定期間における転入者宛の数と転出者宛の数とを示す情報が登録される。

また、第４の処理例では、定期的に、各移転情報について転入者宛の数と転出者宛の数との比率に応じた調整を行う。たとえば、所定期間において転入者宛の数と転出者宛の数との比率が転出者の情報を削除するための基準値（閾値）以下となった場合、当該移転情報における転出者に関する情報を削除したり、当該転出者に関する情報を削除する旨の案内を報知したりする。なお、図１１に示す構成例では、転出者に関する情報を削除することは、当該移転情報を通常の宛先情報に変更することも意味している。

次に、第４の処理例の流れについて説明する。
図１２は、第４の処理例に係る紙葉類の計数処理を含む紙葉類の区分処理の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、区分装置本体４では、供給部１２から取り出された紙葉類の画像がスキャナ１４により読み取られる（ステップＳ６１）。上記スキャナ１４により読み取った画像は、制御部１１内の文字認識部２２へ供給される。上記文字認識部２２は、スキャナ１４が読み取った画像から宛先情報に含まれる住所情報を認識する文字認識処理を行う（ステップＳ６２）。ただし、バーコードが印字されている紙葉類については、バーコードリーダ１５によりバーコードが示す宛先情報を認識する。なお、住所情報の認識処理は、上記第１あるいは第２の処理例として説明した処理と同様な処理で実現可能である。

上記文字認識部２２による住所情報の認識結果が得られると、上記判別部２１は、認識結果としての住所情報が転出者が登録されている宛先情報（移転情報）の住所情報と合致するか否かを判定する（ステップＳ６３）。認識結果の住所情報と移転情報の住所情報とが合致する場合（ステップＳ６３、ＹＥＳ）、上記判別部２１は、文字認識部２２により紙葉類に記載されている宛先情報に含まれる宛先人情報（例えば、宛先人の氏名）を認識する処理を行う（ステップＳ６４）。この宛先人の認識処理では、紙葉類に記載されている宛先人が転出者か転入者かを判別する。なお、宛先人の認識処理は、上記第２の処理例で説明した処理と同様な処理で実現可能である。

当該紙葉類に記載されている宛先人が転出者であると認識した場合（ステップＳ６５、ＹＥＳ）、判別部２１は、当該移転情報における転出者用カウンタをカウントアップする（ステップＳ６６）。この場合、判別部２１は、当該転出者の転居先の住所情報を認識結果として制御部１１へ出力する。このような住所情報の認識結果を受けた制御部１１は、当該紙葉類を転出先の住所情報に基づいて区分処理する（ステップＳ６７）。

当該紙葉類に記載されている宛先人が転入者であると認識した場合（ステップＳ６５、ＮＯ）、判別部２１は、当該移転情報における転入者用カウンタをカウントアップする（ステップＳ６８）。この場合、判別部２１は、文字認識により得られた住所情報（当該転入者の住所）を認識結果として制御部１１へ出力する。このような住所情報の認識結果を受けた制御部１１は、当該紙葉類を転入者の住所情報に基づいて区分処理する（ステップＳ６９）。

以上のような第４の処理例の区分処理によれば、宛先情報データベース６における各移転情報には、転出者宛の数と転入者宛の数とが蓄積される。ここでは、各移転情報における所定期間内の転出者宛の数と転入者宛の数とが転出者用カウンタと転入者用カウンタとによりカウントアップされるものとする。上記宛先情報データベース６に登録されている移転情報は、上記のような転出者用カウンタの値及び転入者用カウンタの値に基づいて調整される。

図１３は、第４の処理例に係る宛先情報データベースの調整処理の流れを説明するためのフローチャートである。
区分装置本体４の制御部１１は、宛先情報データベース６に登録されている移転情報に対して定期的に調整を行う。移転情報の調整を行う場合、制御部１１は、調整処理の対象となる移転情報を宛先ＤＢ６から検索する（ステップＳ７１）。上記宛先ＤＢ６から調整処理の対象となる移転情報を検出した場合（ステップＳ７２、ＹＥＳ）、制御部１１は、当該移転情報における転入者宛の紙葉類数と転出者宛の紙葉類数との比率（以下、宛先人比率と称する）を算出する（ステップＳ７３）。上記比率は、所定期間における転入者用カウンタの値と転出者用カウンタの値とにより算出される。

上記宛先人比率を算出すると、制御部１１は、算出した宛先人比率が当該移転情報を削除すべきと判断する所定の削除基準値未満か否かを判断する（ステップＳ７４）。上記削除基準値は、運用形態に応じて設定されるが、たとえば、転入者宛の数に対して転出者宛の数が５分の１程度となる値を設定することが考えられる。また、上記宛先人比率に対する削除基準値の代りに転出者宛の数に対する閾値を設定するようにしても良い。この場合、所定期間において転出者宛の数が閾値未満であれば、当該移転情報を削除候補と判定する形態が実現可能である。

上記判断により比率が削除基準値未満であると判断した場合（ステップＳ７４、ＹＥＳ）、制御部１１は、当該移転情報あるいは当該転出者を示す情報を削除候補として図示しないメモリに記録する（ステップＳ７５）。当該移転情報を削除候補としてメモリに記録すると、制御部１１は、上記ステップＳ７１へ戻り、次の移転情報を宛先ＤＢ６から検索する処理を行う。また、上記判断により比率が削除基準値以上であると判断した場合（ステップＳ７４、ＹＥＳ）、制御部１１は、当該移転情報を削除対象とすることなく、上記ステップＳ７１へ戻り、次の移転情報を宛先ＤＢ６から検索する。

また、宛先ＤＢ６に比率が未確認の移転情報が存在しないと判断した場合、つまり、宛先ＤＢに登録されている全ての移転情報における宛先人比率を確認した場合（ステップＳ７２、ＮＯ）、制御部１１は、削除候補として記録した移転情報を削除する旨の案内を管理者あるいは操作員に報知する（ステップＳ７６）。移転情報を削除する旨の案内は、たとえば、図示しない操作パネル内の表示部に表示することにより、管理者あるいは操作員に報知する。このような案内が報知された場合、管理者あるいは操作員は、削除する移転情報を確認して当該移転情報を削除する旨の指示を行う。この管理者あるいは操作員からの削除指示に応じて、制御部１１は、当該移転情報を宛先ＤＢ６から削除する。

また、ステップＳ７６の処理として、制御部１１は、削除候補として記録した移転情報を宛先ＤＢ６から削除するようにしても良い。この場合、制御部１１は、さらに、削除した旨の案内を管理者あるいは操作員に報知するようにしても良い。なお、削除候補と判定した移転情報を自動的に宛先ＤＢ６から削除する運用形態であれば、制御部１１は、ステップＳ７４で、移転情報を削除候補と判定した時点で当該移転情報を削除するようにしても良い。

上記のような第１、第２、第３および第４の各処理例は、転出者宛の紙葉類に対する処理に関するものであるから、それぞれを組み合わせて実施することが可能である。
たとえば、第１の処理例は、転出者宛の紙葉類に対してラベルを貼り付ける処理である。すなわち、第１の処理例は、第２、第３及び第４の処理例と同様に、転出者宛の紙葉類に対する処理に関するものであるから、第２、第３あるいは第４の処理例と組み合わせて実施することは容易であり、かつ、それらを組み合わせることにより転出者宛の紙葉類を確実に処理という効果が得られると考えられる。

また、第２の処理例は、宛先情報に含まれる宛先人情報を識別する処理である。すなわち、第２の処理例は、第１、第３及び第４の処理例と同様に、転出者宛の紙葉類に対する処理に関するものであるから、第１、第３あるいは第４の処理例と組み合わせて実施することは容易であり、かつ、それらを組み合わせることにより転出者宛の紙葉類を確実に処理という効果が得られると考えられる。

また、第３の処理例は、宛先情報の住所情報が認識できなかった紙葉類に対する宛先情報を打鍵入力（コーディング）する処理に関する。すなわち、第３の処理例は、第１、第２及び第４の処理例と同様に、転出者宛の紙葉類に対する処理に関するものであるから、第１、第２あるいは第４の処理例と組み合わせて実施することは容易であり、かつ、それらを組み合わせることにより転出者宛の紙葉類を確実に処理という効果が得られると考えられる。

また、第４の処理例は、宛先情報データベースに登録される移転情報に対する削除などの更新（データベースの調整）に関する処理である。すなわち、第４の処理例は、第１、第２及び第３の処理例と同様に、転出者宛の紙葉類に対する処理に関するものであるから、第１、第２あるいは第３の処理例と組み合わせて実施することは容易であり、かつ、それらを組み合わせることにより転出者宛の紙葉類を確実に処理という効果が得られると考えられる。
以下、当初の特許請求の範囲の記載を付記する。
［１］
住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理する紙葉類処理装置において、
住所が移転した転出者に関する情報を含む移転情報を記憶する記憶手段と、
紙葉類の画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読取った紙葉類の画像における宛先情報を文字認識する認識手段と、
前記認識手段による認識結果としての宛先情報と前記記憶手段に記憶している移転情報とを比較することにより当該紙葉類が転出者宛であるか否かを判定する判定手段と、
この判定手段により当該紙葉類が転出者宛であると判定した場合、当該転出者に関する情報を付与したラベルを当該紙葉類における宛先情報の記載領域に基づいて決定した貼付け位置に貼り付けるラベル貼付手段と、
を有することを特徴とする紙葉類処理装置。
［２］
前記ラベル貼付手段は、当該紙葉類において上記ラベルと宛先情報の記載領域とが重ならない貼付け位置が存在しないと判定された場合、当該紙葉類へのラベルの貼付けを中止する、
ことを特徴とする前記［１］に記載の紙葉類処理装置。
［３］
さらに、前記ラベルの貼付けを中止した紙葉類を所定の区分口に集積する区分手段を有する、
ことを特徴とする前記［２］に記載の紙葉類処理装置。
［４］
住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理する紙葉類処理装置において、
転出者ありの住所情報と移転した転出者を示す情報と登録時を示す情報とを含む移転情報を記憶する記憶手段と、
紙葉類の画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読取った紙葉類の画像から宛先情報に含まれる住所情報を文字認識する住所認識手段と、
前記住所認識手段による認識結果としての住所情報が前記移転情報の住所情報と合致する場合、当当該紙葉類の宛先人が転出者か転入者かを該移転情報の登録時から経過時間に応じて重み付けして認識する宛先人認識手段と、
を有することを特徴とする紙葉類処理装置。
［５］
前記宛先人認識手段は、前記移転情報の登録時からの経過時間が長ければ長いほど、転出者よりも転入者と認識され易くする重み付けをして宛先人を認識する、
ことを特徴とする前記［４］に記載の紙葉類処理装置。
［６］
前記宛先人認識手段は、前記移転情報の登録時からの経過時間が所定の有効期間以上である場合、当該紙葉類の宛先人が転入者であると判定する、
ことを特徴とする前記［４］に記載の紙葉類処理装置。
［７］
住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理する紙葉類処理装置において、
住所が転出した転出者に関する情報を含む移転情報を記憶する記憶手段と、
紙葉類の画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読取った紙葉類の画像における宛先情報を認識する認識手段と、
前記認識手段により宛先情報が認識できなかった紙葉類の画像を表示した状態において宛先情報の打鍵入力を受け付ける情報入力手段と、を有し、
前記情報入力手段は、打鍵入力された宛先情報が前記記憶手段に記憶している移転情報と合致する場合、打鍵入力された宛先情報が移転情報に対応する旨の警告を報知する、
ことを特徴とする紙葉類処理装置。
［８］
前記情報入力手段は、打鍵入力された宛先情報が前記記憶手段に記憶されている移転情報と合致する場合、打鍵入力された宛先情報が移転情報に含まれる転出者を示す情報と転入者を示す情報とを表示する、
ことを特徴とする前記［７］に記載の紙葉類処理装置。
［９］
前記情報入力手段は、当該紙葉類の宛先人として転出者が選択された場合、当該紙葉類の宛先情報の住所情報を当該移転情報に含まれる転出者の転出先の住所情報とする、
ことを特徴とする前記［７］に記載の紙葉類処理装置。
［１０］
住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理する紙葉類処理装置において、
住所が移転した転出者に関する情報を含む移転情報を記憶する記憶手段と、
紙葉類の画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読取った紙葉類の画像における宛先情報を文字認識する認識手段と、
前記認識手段による認識結果としての宛先情報の住所情報と前記記憶手段に記憶している移転情報の住所情報とが合致する場合、当該紙葉類の宛先人が転出者か転入者かを判定する判定手段と、
前記判定手段により転出者を判定された数と転入者と判定された数とを当該移転情報に対応づけて記録する記録手段と、
前記記録手段により記録した転出者数と転入者数とを所定期間で各移転情報ごとに集計する集計手段と、
を有することを特徴とする紙葉類処理装置。
［１１］
さらに、前記集計手段により集計された転出者宛の紙葉類数と転入者宛の紙葉類数との割合が所定の基準値に達した場合に、転出者宛の紙葉類数と転入者宛の紙葉類数との割合が所定の基準値に達した旨を報知する報知手段を有する、
ことを特徴とする［１０］に記載の紙葉類処理装置。
［１２］
さらに、前記集計手段により集計された転出者宛の紙葉類数と転入者宛の紙葉類数との割合が所定の基準値に達した場合に、前記記憶手段に記憶されている移転情報としての当該転出者に関する情報を削除する、
ことを特徴とする［１０］に記載の紙葉類処理装置。
［１３］
住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理する紙葉類処理装置に用いられる紙葉類処理方法であって、
住所が移転した転出者に関する情報を含む移転情報を記憶手段に記憶しておき、
紙葉類の画像を読み取り、
前記読取った紙葉類の画像における宛先情報を文字認識し、
前記文字認識による認識結果としての宛先情報と前記記憶手段に記憶している移転情報とを比較することにより当該紙葉類が転出者宛であるか否かを判定し、
この判定により当該紙葉類が転出者宛であると判定した場合、当該転出者に関する情報を付与したラベルを当該紙葉類における宛先情報の記載領域に基づいて決定した貼付け位置に貼り付ける、
ことを特徴とする紙葉類処理方法。
［１４］
住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理する紙葉類処理装置に用いられる紙葉類処理方法であって、
転出者ありの住所情報と移転した転出者を示す情報と登録時を示す情報とを含む移転情報を記憶手段に記憶しておき、
紙葉類の画像を読み取り、
前記読取った紙葉類の画像から宛先情報に含まれる住所情報を文字認識処理により住所認識し、
前記住所認識による認識結果としての住所情報が前記記憶手段に記憶している移転情報の住所情報と合致する場合、当該紙葉類の宛先人が転出者か転入者かを当該移転情報の登録時からの経過時間に応じて重み付けした文字認識により宛先人を認識する、
ことを特徴とする紙葉類処理方法。
［１５］
住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理する紙葉類処理装置に用いられる紙葉類処理方法であって、
住所が転出した転出者に関する情報を含む移転情報を記憶手段に記憶しておき、
紙葉類の画像を読み取り、
前記読取った紙葉類の画像における宛先情報を文字認識し、
前記文字認識により宛先情報が認識できなかった紙葉類の画像を表示した状態において宛先情報の打鍵入力を受け付け、
打鍵入力された宛先情報が前記記憶手段に記憶している移転情報と合致する場合、打鍵入力された宛先情報が移転情報に対応する旨の警告を報知する、
ことを特徴とする紙葉類処理方法。
［１６］
住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理する紙葉類処理装置に用いられる紙葉類処理方法であって、
住所が移転した転出者に関する情報を含む移転情報を記憶手段に記憶しておき、
紙葉類の画像を読み取り、
前記読取った紙葉類の画像における宛先情報を文字認識し、
前記文字認識による認識結果としての宛先情報の住所情報と前記記憶手段に記憶している移転情報の住所情報とが合致する場合、当該紙葉類の宛先人が転出者か転入者かを判定し、
前記判定により転出者と判定した転出者数と転入者と判定された転入者数とを当該移転情報に対応づけて記録手段に記録し、
前記記録手段に記録した転出者数と転入者数とを所定期間で各移転情報ごとに集計する、
ことを特徴とする紙葉類処理方法。

１…区分装置(区分システム)、４…区分装置本体、５…ビデオコーディングシステム（ＶＣＳ）部、６…宛先情報データベース（宛先ＤＢ）（記憶手段）、１１…制御部、１４…スキャナ（読取手段）、１６…ラベル貼付部（ラベル貼付手段）、２１…判別部（判定手段）、２２…文字認識部（認識手段）、３１…情報蓄積分配部、３２…情報入力装置（情報入力手段）。

Claims (7)

1. 住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理する紙葉類処理装置において、
   住所が移転した転出者に関する情報を含む移転情報を記憶する記憶手段と、
   紙葉類の画像を読み取る読取手段と、
   前記読取手段により読取った紙葉類の画像における宛先情報を文字認識する認識手段と、
   前記認識手段による認識結果としての宛先情報と前記記憶手段に記憶している移転情報とを比較することにより当該紙葉類が転出者宛であるか否かを判定する判定手段と、
   この判定手段により当該紙葉類が転出者宛であると判定した場合、当該転出者に関する情報を付与したラベルを当該紙葉類における宛先情報の記載領域に基づいて決定した貼付け位置に貼り付け、当該紙葉類において上記ラベルと宛先情報の記載領域とが重ならない貼付け位置が存在しなければ、当該紙葉類へのラベルの貼付けを中止するラベル貼付手段と、
   を有することを特徴とする紙葉類処理装置。
2. さらに、前記ラベルの貼付けを中止した紙葉類を所定の区分口に集積する区分手段を有する、
   前記請求項１に記載の紙葉類処理装置。
3. さらに、前記認識手段により宛先情報が認識できなかった紙葉類の画像を表示した状態において宛先情報の打鍵入力を受け付ける情報入力手段を有し、
   前記情報入力手段は、打鍵入力された宛先情報が前記記憶手段に記憶している移転情報と合致する場合、打鍵入力された宛先情報が移転情報に対応する旨の警告を報知する、
   前記請求項１に記載の紙葉類処理装置。
4. 前記情報入力手段は、打鍵入力された宛先情報が前記記憶手段に記憶されている移転情報と合致する場合、打鍵入力された宛先情報が移転情報に含まれる転出者を示す情報と転入者を示す情報とを表示する、
   前記請求項３に記載の紙葉類処理装置。
5. 前記情報入力手段は、当該紙葉類の宛先人として転出者が選択された場合、当該紙葉類の宛先情報の住所情報を当該移転情報に含まれる転出者の転出先の住所情報とする、
   前記請求項３に記載の紙葉類処理装置。
6. 住所情報と宛先人情報とを含む宛先情報が記載されている紙葉類を処理する紙葉類処理装置に用いられる紙葉類処理方法であって、
   住所が移転した転出者に関する情報を含む移転情報を記憶手段に記憶しておき、
   紙葉類の画像を読み取り、
   前記読取った紙葉類の画像における宛先情報を文字認識し、
   前記文字認識による認識結果としての宛先情報と前記記憶手段に記憶している移転情報とを比較することにより当該紙葉類が転出者宛であるか否かを判定し、
   この判定により当該紙葉類が転出者宛であると判定した場合、当該転出者に関する情報を付与したラベルを当該紙葉類における宛先情報の記載領域に基づいて決定した貼付け位置に貼り付け、
   当該紙葉類において上記ラベルと宛先情報の記載領域とが重ならない貼付け位置が存在しなければ、当該紙葉類へのラベルの貼付けを中止する、
   ことを特徴とする紙葉類処理方法。
7. さらに、宛先情報が認識できなかった紙葉類の画像を表示した状態において宛先情報の打鍵入力を受け付け、
   打鍵入力された宛先情報が前記記憶手段に記憶している移転情報と合致する場合、打鍵入力された宛先情報が移転情報に対応する旨の警告を報知する、
   前記請求項６に記載の紙葉類処理方法。

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