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JP6202304B2 - アーク発生防止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高電圧の電力系統を遮断、投入、切り替えを安全かつ確実に行うために、高電圧電源のオン・オフを行う高電圧遮断器に配備されるアーク発生防止装置に関する。
基幹電力系統に、大規模ソーラー発電システムや風力発電システムからの再生可能エネルギー利用や電力融通を可能とする長距離送電を含むスマートグリッド構想を導入するためには、高電圧直流電力を自在に扱うことのできる小型で超高耐圧の電力変換装置が必要となる。このような新しい電力システムにおいて、機器の保守や故障の場合だけでなく、再生可能エネルギーの変動などにより、電力供給源の電圧が異常に変動した場合にも、電力供給源と負荷側との間に設けた遮断機を遮断し、負荷側を保護することが必要となる。
また、電力網の一部が故障した場合等には、複数の遮断機や、遮断機を組み合わせた切替器(以下、こうした遮断器、切替器、開閉器を含め「遮断器」と総称する。)を作動させて、故障箇所をバイパスする電力網を形成し、送電を確保することが必要となる。
従来、基幹電力系統のような高電圧システムでは、超高電圧の電力線の遮断、切り替えを行う際には、機械的にオン・オフされるスイッチを備えたガス遮断器や真空遮断器等を利用することが一般的である。しかし、遮断器の接点を導通あるいは切断しようとすると、強力なアークが発生して、溶着などにより作動が円滑に行われず、接点が早期に破損するなどの問題が生じ危険である。特にスマートグリッドで求められる直流送電では、こうした遮断器、あるいは遮断器を伴った切替器の設計が困難である。
ガス遮断器では、接点に不活性ガスを吹き付けることでアークを消弧することができるが、根本的にアークの発生を抑制できるわけではなく、やはり接点電極の消耗が激しく、スマートグリッドで想定されるような頻繁なオン・オフを行うことができない。このため、ガス遮断器や真空遮断器を大容量化せざるを得ず、専用の遮断機室等、多額の設備投資やスペースの確保が必要となる。
この問題を解決するため、特許文献1には、真空遮断器からなる高速機械スイッチをバイパスするように、光導電素子からなるスイッチング素子を設け、この光導電素子に照射光源からの光を照射することにより、高速機械スイッチをバイパスするように電流を流すことができ、この状態でオフすることにより、アークを発生させずに発電機と電力ネットワーク間を切断することが記載されている。光導電素子の光電子放出により、最小アーク電圧あるいは最小アーク電流以下で機械スイッチをオフすることができれば、アーク発生を抑制することが可能になる。
特許第4532735号公報
Technical Tidbits ブラッシュウエルマン ジャパン ひとくち技術情報 VOL.4 No.10 接点のアーク放電 2002年10月
しかし、特許文献1のものでは、例えば、超高電圧の電力線をスイッチングする場合、所望のバイパス電流を発生させるために、光導電素子に膨大な出力の照射光源を照射することが必要となる。このため、アーク発生を防止するのに必要なバイパス電流を確保するためには、照射光源に供給する電力を増大させなければならず、応答の悪化や、消費エネルギーの増大、照射光源の巨大化による電流バイパス装置の超大型化、高コスト化を招くという問題がある。また、光電素子自体に高電圧が負荷されるため、沿面放電を避けるためにも小型化は困難である。
そこで、本発明では、ダイヤモンドPN接合ダイオード電子源(PIN接合ダイオード電子源を含む。)を用いることで、消費電力を低減するとともに、低コスト、小型で、必要なバイパス電流を確保することを可能としたアーク発生防止装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明のアーク発生防止装置は、高電圧遮断器を介して高電圧電源と負荷を接続する電力線に設けられ、高電圧遮断器をバイパスするバイパス回路と、バイパス回路に設けられ、ダイヤモンドPN接合ダイオードを電子放出源として用いた真空パワースイッチと、真空パワースイッチ内に設けられ、ダイヤモンドPN接合ダイオードに順方向に印加するダイオード電源のオン・オフスイッチとからなり、高電圧遮断器のオン・オフに先立って、オン・オフスイッチをオンとし、バイパス回路に、ダイヤモンドPN接合ダイオードからの電子放出に伴う電子放出電流を流すことで、高電圧遮断器の接点間電圧が最小アーク電圧より低下した段階で、高電圧遮断器のオン・オフを行えるようにすることにより、高電圧遮断器のオン・オフに伴って発生するアークを防止するようにした。
本発明によれば、高電圧遮断器のオン・オフに先立って、真空パワースイッチをオンとし、高電圧遮断器をバイパスするバイパス回路に、ダイヤモンドPN接合ダイオードあるいはPIN接合ダイオード電子源からの電子放出に伴う電流を流す。これにより、高電圧遮断器のオン・オフ時、接点が離れる際に急激に増大する接点間電圧や、あるいは接点が接近する際に急激に増大する接点間電流を瞬時に低減させ、アークの発生を確実に抑止することができる。
しかも、ダイヤモンドPN接合ダイオードあるいはPIN接合ダイオードを用いた真空パワースイッチは、コンパクトでありながら、耐電圧性、電力伝達効率がきわめて高い素子自体の特質を備えているので、例えば、超高電圧の電力系統に配置される遮断器、切替器のコンパクト化、低コスト化を実現するとともに、耐久性、信頼性を高めることができる。
図1は、ダイヤモンドPN接合ダイオードを用いた真空パワースイッチの特性を調べるための実験装置の概略図を示す。 図2は、ダイヤモンドPN接合ダイオードのオン・オフに伴って発生する真空パワースイッチの電子放出電流IAと、陽極間との電圧VAの関係を示す図である。 図3は、ダイオード電源の電圧に対する電子放出電流IAと電子放出効率αの関係を示す図である。 図4は、アーク放電が発生する際の接点間電圧と接点間電流の推移を示す図である。 図5は、本発明の実施例1を示す図である。 図6は、機械式スイッチの接点間電圧と電子放出電流の関係を示す図である。 図7は、実施例1における接点間電圧と接点間電流の推移を示す図である。 図8は、従来の機械式スイッチにおける接点間電圧と接点間電流の推移を示す図である。 図9は、本発明の実施例2を示す図である。
本発明者らは、真空中に高効率かつ低電圧で大電流を流すための理想的な電子放出源として、ダイヤモンドPN接合ダイオード電子源を用いた真空パワースイッチを開発している(2012年12月10日 (独)産業技術総合研究所、(独)物質・材料研究機構 共同発表)。この真空パワースイッチは、ダイヤモンドの表面を水素原子で覆うと、外の真空よりもダイヤモンド中の自由電子のエネルギー位置が高くなり、真空中に自由に電子が飛び出すことができる、負の電子親和力を有する面となることを利用したものである。
水素で覆ったダイヤモンドは、水素原子と炭素原子の強い共有結合で安定化しており、大気中でも安定していて、真空中では800℃の高温まで安定している。このように、水素で覆ったダイヤモンドPN接合ダイオードをオンすると電子放出が発生する。
ただし、ダイヤモンドの誘電率は他の半導体材料に比べ小さいため、室温で動き回れる電子の量が少なく室温動作で流れる電流はわずかである。一方、ダイヤモンド中では、電子と正孔は室温では自由励起子として結合した状態で安定であり、不純物の少ない結晶品質の高いi層で長寿命となり、高密度になりやすい。そして、水素終端ダイヤモンド表面からは、この自由励起子に起因した電子放出が高効率で得られる。このため、ホウ素を添加したp層とリンを高濃度に添加したn+層との間に、不純物の混入を極力低くした真性形の層(i層)を入れたPIN接合形のダイヤモンドPN接合ダイオードを電子放出源とした。ただし、「PN接合」には、「PIN接合」が含まれているとする。
本発明はこうしたダイヤモンドPN接合ダイオードの優れた特性を活かし、高電圧の電力線をスイッチングするための遮断器の小型化、低コスト化、耐久性、信頼性の向上を実現するもので、図1に、実験装置の概略図を示す。
真空室を備える真空パワースイッチ1の内部では、ダイヤモンドPN接合ダイオード2の真上から約100μm離したところに、陽極3が配置されている。
また、ダイオード電源4のプラス側が、ダイヤモンドPN接合ダイオード2のp層側端子に、マイナス側がn+層側端子に接続されている。ダイオード電源4のプラス側と、ダイヤモンドPN接合ダイオード2のp層側との間には、スイッチ5が設けられている。ここで、p層側端子がスイッチ5を介してアースに接続されているが、n+層側端子がアースに接続されても動作する。
陽極3は、200MΩの負荷6を介して、10kVの高圧直流電源7に接続されている。本実験例では、ダイヤモンドPN接合ダイオード2の電流容量を決める面積としては、陽極3に対向する面が1.9×10-3平方センチメートル(約0.44mm角)のものを使用している。
このような構成によれば、スイッチ5をオンにしたとき、ダイヤモンドPN接合ダイオード2にダイオード電源4が印加され、p層側端子とほぼ同電位のi層から陽極に向けて、電子が放出されることになる。この電子の放出により、高圧直流電源7から、負荷6を介して、アース側に流れる電子放出電流IAが発生する。
スイッチ5のオン、オフに伴って、発生する電子放出電流IAと、ダイヤモンドPN接合ダイオード2−陽極3間の電圧VAの関係を図2に示す。
この結果から分かるように、スイッチ5をオフからオンに切り替えた瞬間に、ダイヤモンドPN接合ダイオード2のp層側端子とn+層側端子の間に、ダイオード電源4が印加され、負荷6を介して、電子放出電流IAが発生し、ダイヤモンドPN接合ダイオード2−陽極3間の電圧VAが、IA=48μAの動作点に従って9.8kVから160Vまで低下する。
このとき、ダイヤモンドPN接合ダイオード2への入力電力は、ダイオード電圧23.6V、ダイオード順方向電流IG=7mA、駆動時間0.5秒の積で、82.6mWであるのに対し、負荷への出力電力は、負荷電圧9.64kV、電流48μA、駆動時間0.5秒の積で、231mWとなり、231/(82.6+231)=73.7%の電力伝達効率が得られた。
一方、スイッチ5をオンからオフに切り替えると、約0.3秒経過後に、電流IAが0Aとなり、電圧VAは、9.8kVに復帰する。
このように、ダイヤモンドPN接合ダイオード2は、陽極3に対向する面積が1.9×10-3平方センチメートル程度の微小な素子でも、スイッチ5がオフしているときは、陽極4に印加される10kVに対し、ほぼ電気的に絶縁した状態を維持することができる。
なお、0.3秒の時定数は、回路の時定数で決まっており、PN接合ダイオードによる電子放出電流のオン・オフの速さは1ms未満であることが観測されている。
図3は、ダイオード電源4の電圧(横軸)に対し、電子放出電流IA(左側の縦軸)と、電子放出効率α(IA/IG)の関係を示す。測定では、無負荷の状態で陽極電圧(高圧電源電圧)は100Vに固定した。
この結果から分かるように、ダイヤモンドPN接合ダイオード2に、30Vの順方向の電圧を印加したとき、IAは345μA、IGは40mAとなり、電子放出効率α(IA/IG)は、0.86%となる。
以上から、ダイヤモンドPN接合ダイオード2の電流容量を決める面積として、面積(Smesa=1.9×10-3平方センチメートル)としたとき、最大で、180mA/cm2の電流密度が得られることが分かる。したがって、10cm四方のように、ダイヤモンドPN接合ダイオード2を用いれば、18Aの電子放出電流IAが得られることができる。
このように、ダイヤモンドPN接合ダイオードを用いた真空パワースイッチは、スイッチ5のオフ時には、10kVという高電圧に対しても高い絶縁性を示す一方、オン時には、IA−VA特性はVA=0からIAが立ち上がるので、ほぼ抵抗が0になり、負荷に流れる電流を電子放出に伴う電流で抑制でき、しかも、オン時の消費電力が低く、高いオン・オフ耐久性を有している。
さらに、真空中の電子は、固体中と比較してほぼ10倍の速度、すなわち、光速に近い速度まで追随可能であるから、固体素子よりも急激な電圧変動に瞬時に追随することができる。
そこで、本発明では、この特性を活かし、ダイヤモンドPN接合ダイオードを、特に高電圧の遮断、切り替えを行う真空遮断器などの機械式スイッチをバイパスするスイッチング素子として利用する。
これにより、小型、低コスト、低消費電力で、高電圧遮断器として用いる機械式スイッチのオン・オフ時に発生するアークを確実に防止することができる。
まず、アーク放電の発生メカニズムと、発生条件について分析する。
アーク放電は直流、交流を問わず、接点を持つあらゆる機械式開閉器や遮断器でオン時にもオフ時にも生じる。そのメカニズムは、依然詳細まで解明されていないが、図4に示すように、アーク放電が持続するのは、最小アーク電圧以上の電圧が接点間に生じ、かつ最小アーク電流以上の電流が流れる場合である。
したがって、いずれか一方の条件を回避できれば、アークは持続しないから、保守すべき機械式開閉器や遮断器に並列に、これらの機械式開閉器や遮断器に流れる電流を能動的にバイパスさせ、しかも、遮断器の接点間の接触が、不十分あるいは接触していない場合でも、それによって、遮断器が高電圧電力線のスイッチング等を行う際に接点間に生じる電位差(電圧)を最小アーク電圧以下にすることによって、アーク発生を防止できる。
この観点で、図4の接点オフの場合にアークが点弧する際の接点間電圧Vと接点間電流Iの時間発展をみてみると、接点間電流Iは接点オフ開始前にI0で、最小アーク電流より大きい(I0>Iarc)。
接点オフ開始により、接点間は徐々に接触面積が少なくなり、I0は小さい領域に集中するため、接触抵抗が増大する。供給電源から高圧電圧の供給が継続している場合、接触抵抗の増大によりVが上昇する一方、I0が回路の慣性のために維持される。これが正帰還的に時間発展すると、残存する接触部分ではジュール熱が集中し、ついには電極金属材料の蒸発に発展する。この瞬間に、大量の電子と正イオンが発生し、高いVと微小な接触間距離で発生する高電界によって加速され、電極材料のさらなる蒸発とイオン化が放電持続条件を満たしながら雪崩的に進行するため、最終的にアーク点弧に至る。
一方、図1に示すように、ダイヤモンドPN接合ダイオード2をオンし、十分な電子放出電流が得られる状態にあるとき、陽極電圧が低い場合では、電子放出が担う真空パワースイッチを経由して流れる電流は低いレベルである。しかし、機械式開閉器や遮断器のオン・オフ作動に伴い、接点間の接触状態が臨界的な状態となり、陽極電圧が急激に上昇する場合には、真空パワースイッチにおいて、真空中の電子が固体中の十倍速い光速に近い速度で追随できるため、最小アーク電圧よりも小さい範囲で陽極電圧の極端な上昇を抑制し、かつ遮断器が担うべき十分な電流レベルが確保することができる。
こうしたダイヤモンドPN接合ダイオードの特性を利用したアーク発生防止装置の実施例を図面とともに説明する。
[実施例1]
図5に示すように、直流の電力供給源と負荷側との間には、2個の接点を備えた真空遮断器など、高電圧電源のオン・オフを行う機械式スイッチ8が設けられている。この機械式スイッチ8をバイパスする回路中に、ダイヤモンドPN接合ダイオードを利用した真空パワースイッチ1からなるアーク発生防止装置が設けられている。
具体的には、発電量1.8MW(定格電圧100kV、定格電流18A)クラスの風力発電機を電力供給源とした場合、真空パワースイッチ1に使用するダイヤモンドPN接合ダイオード2としては、耐圧100kV以上で、スイッチ5をオンしたとき、ダイオード電源4の印加により、IA=18Aの電子放出電流を確保する必要があり、このため、本実施例では、10cm四方のダイヤモンドPN接合ダイオード2を用いた。
機械式スイッチ8のオン・オフは、次のような手順で行う。
最初に電力供給源と負荷を遮断するため、機械式スイッチ8をオフする場合について述べる。
まず、機械式スイッチ8の接点をオフする前に、ダイヤ真空パワースイッチ1内に設けられたスイッチ5をオンすることにより、ダイヤモンドPN接合ダイオード2にダイオード電源4からの電圧を印加してダイオード電流IGを流す。
図6は、陽極3の電圧、すなわち、機械式スイッチ8の接点間電圧と電子放出電流の関係を示したものであり、スイッチ5がオフの場合には、陽極3に高電圧が印加されても電子放出電流IAは、ほぼ0を維持している。
一方、スイッチ5がオンとなり、ダイヤモンドPN接合ダイオード2に順方向のダイオード電流IGが流れたときは、接点間電圧Vの上昇と同時に低い電圧から放出電流が増大する。この放出電流特性は、ダイヤモンドPN接合ダイオード2に順方向に印加するダイオード電源4の電圧(その結果決まるダイオード電流IG)に依存する。
そこで、オン時に機械スイッチ8を流れる全電流値をI、電子放出電流値をIA、負荷側に流れる全電流をI0としたとき、I0=I+IAの関係を満たしながら、機械式スイッチ8の接点間電圧VがVarcより低電圧のVXで、IA=I0となるよう、ダイオード電源4のダイヤPN接合ダイオード2に印加する電圧VGによってダイヤPNダイオード2に流す電流IG=IGXと定める。
この実施例では、図6に示される接点間電圧がVarcよりも十分小さいVXのとき、電子放出電流値IAがI0となるよう選定されている。
これにより、機械式スイッチ8のオフに伴い、接点間電圧Vが上昇しても、機械式スイッチ8のオフ動作開始前に、ダイヤモンドPN接合ダイオード2にダイオード電源4の電圧VGを印加しておくことで、Varcより遙かに低電圧の接点間電圧VXで、電子放出電流IAがほぼI0となり、Iをほぼ0Aとすることができるので、機械式スイッチ8が完全にオフに到るまで、アークの発生を確実に防止することができる。
もちろん、必ずしもIをほぼ0Aまで低下させる必要はなく、最小アーク電流Iarc未満として、アーク発生の条件を解消するよう選定すればよい。
このように、機械式スイッチ8がオフする過程全体において、バイパス回路の導通により、負荷側と電力供給側が電気的に導通し続け18A程度の電流が流れ続ける。
これに対し、図4で示したように、バイパス回路がないと、機械式スイッチ8の両接点間の電圧Vは急激に増加し、最小アーク電圧でアーク点弧条件に到達する。
バイパス回路に、ダイヤモンドPN接合ダイオード2を備えた真空パワースイッチ1を設け、機械式スイッチ8がオフするのに先だってダイオード電源4の出力を印加することにより、電子放出電流IAにより、両接点間を流れる全電流I0に相当する電流を担うのに十分なだけの電子が準備できる。しかも、ダイヤモンドPN接合ダイオード2は、電子放出応答性が極めて高いため、機械式スイッチ8がオフする全過程において、

全電流(I0)=機械スイッチ8を流れる電流(I)+バイパス電流(IA)

を満たしながら、Iを急激に減少させることができる。
このため、機械スイッチ8のオフ動作による接触抵抗の急激な増大が発生しても、Vの上昇を確実に抑制することができる。
このように、最終的にV=VX<Varcが満たされるように、能動的に、バイパス電流として電子放出電流値IA=I0となるようにIGを制御することにより、機械スイッチ8の接点が完全に離れても、アーク点弧には至らない。
その後、スイッチ5を再びオフすれば、以後、真空パワースイッチ1による電力消費を0にできる。オン・オフ動作時の一連の手順に沿った機械式スイッチ8の接点間電圧V、接点間電流Iの時間発展の概要を図7にまとめる。
一方、対比のため、真空パワースイッチを用いない従来の場合のオン・オフ動作時の一連の手順に沿った機械式スイッチ8の接点間電圧V、接点間電流Iの時間発展の概要を図8に示す。
電力供給源(電圧VE)と負荷を時間t0で接続するため、時間t1で、機械式スイッチ(機械SW)8のオンを開始する直前の時間t0で真空パワースイッチ1内のスイッチ(真空SW)5をオンにして、ダイオード電源4から電圧VGを印加する。このとき、真空パワースイッチは図6の動作点(VX,I0)で動作しており、機械式スイッチ8の接点間電圧はVXとなる。また、電力供給源と負荷は接続状態となり、定格電流I0が流れ、負荷に(VE−VX)の電圧が供給される。
ここで、VXはVEに比べて十分小さく、許容されるVEの変動内であるよう選定できる。
従来であれば、時間t1で機械式スイッチ8をオンすると、図8に示すように、時間t1からt2にかけて接点の接続に伴い、接点間電圧、電流ともにアーク点弧条件を満たしてしまう危険なタイミングがあり、アーク点弧が避けられない。
一方、本発明では図7に示すように、時間t1からt2にかけて接点の接続が進行するタイミングで、接点を流れる電流Iは増大して、最大アーク電流Iarcを超えるタイミングがあったとしても、接点間電圧はすでに最小アーク(点弧)電圧Varcよりも十分小さいVXまで下がっているため、アーク点弧は確実に回避できる。これにより、溶着を生じる強力なアークの発生を確実に防止できる。
その後、機械式スイッチ8のオン動作が完全に終了した時間t2以降の時間t3の段階で、真空パワースイッチ1内のスイッチ5をオフすることにより、ダイオード電源4から電力供給を停止することで、機械式スイッチ8のオン工程が完了する。
次に、機械式スイッチ8をオフする場合は以下のとおりである。電力供給源と負荷を遮断するため、時間t1 で、機械式スイッチ8のオフを開始する場合、その直前の時間t0 で真空パワースイッチ1内のスイッチ5をオン(IG=0からIG=IGX)にして、ダイオード電源4から電圧VGを印加する。このとき、機械式スイッチ8の接点間の抵抗を0とすれば、端子間電圧は0のままであるので、図6の動作点(0,0)付近の状態となり、I=I0,IA=0のままである。
この状態で、機械式スイッチ8をオフすると、接点の解離に伴い接点間の接触面積が減少して接触抵抗が急激に増大するが、真空パワースイッチはすでにオンしており、図6の動作点(0,0)から(VX,I0)まで円滑に素早く移行できる。つまり、これに伴い電子放出電流IAが急激に増大し、機械スイッチ8を流れる全電流値Iは、I0=I+IAの関係を満たしながら急激に減少する。つまり、機械式スイッチ8の接点間の接触抵抗が急激に増大しても、機械式スイッチ8の接点間電圧は、真空パワースイッチの陽極電圧VXを維持する。
従来であれば、時間t1 で機械式スイッチ8をオフすると、図8に示すように、時間t1 からt2 にかけて機械式スイッチ8の接点の開放に伴い、接点間電圧、電流ともにアーク点弧条件を満たしてしまう危険なタイミングがあり、アーク点弧が避けられない。
一方、本発明では図7に示すように、時間t1 からt2 にかけて機械式スイッチ8の接点の開放が進行するタイミングで、接点を流れる電流Iは減少しつつも、最大アーク電流Iarcを超えるタイミングがあるが、接点間電圧は最小アーク(点弧)電圧Varcよりも十分小さいVXまで下がったままであるため、アーク点弧は確実に回避できる。これにより、遮断器の遮断動作に逆らう強力なアークの発生を確実に防止できる。
その後、機械式スイッチ8のオフ動作が完全に終了した時間t2 以降の時間t3 の段階で、真空パワースイッチ1内のスイッチ5をオフすることにより、ダイオード電源4から電力供給を停止することで、機械式スイッチ8のオフ工程が完了する。
なお、真空パワースイッチ1内のオン・オフでは、機械的接点がもともとないため、アークが点弧することはない。
以上のシーケンスを実現するため、例えば、高電圧の電力線をスイッチングする場合、真空パワースイッチ1に例えばプッシュボタンを設け、このプッシュボタンから指令により、真空パワースイッチ1内のスイッチ5に対するオン・オフ指令、機械式スイッチ8をオン・オフするアクチュエータへの作動指令を、自動的にしかも時系列的に送出するよう、シーケンス制御を行う制御装置を設けるのが好適である。
その際、スイッチ5に対するオン・オフ指令遅延回路を設けることにより、ダイオード電流IGの上昇特性、下降特性を変更することで、例えば、ダイヤモンドPN接合ダイオード2による電子放出電流の立ち上がり速度、立ち下がり速度を低下させ、負荷に対する電圧変動を抑制し、負荷に与える衝撃を一層低減することも可能である。
以上の動作は、既存の真空遮断器と同様、マイコンや電力系統網内の異常検知器等を用いた自動シーケンス動作が可能である。
なお、本実施例では、10cm四方のダイヤモンドPN接合ダイオード2を1個設けたが、電力供給源の定格電圧、定格電流に応じて、ダイヤモンドPN接合ダイオード2の面積、すなわち容量を選択することができる。また、例えば、1cm四方のダイヤモンドPN接合ダイオード2を所用数だけ並列接続して、電力供給源の定格電流に対応させるようにしてもよい。
[実施例2]
実施例1は、直流の電力供給源を前提としたが、実施例2は、交流の電力供給源を前提とする。図9において、電力供給源は交流式発電機であり、本実施例では、真空パワースイッチ1A、1Bを逆向きに取り付ける。
真空パワースイッチ1A、1Bは、ともに、順方向にのみ電子放出電流IAを出力することから、位相に応じて、それぞれ実施例1の真空パワースイッチ1と同様の作用を奏する。
以上説明したように、本発明によれば、例えば、発電量1.8MW程度の電力供給源とした場合でも、真空パワースイッチに使用するダイヤモンドPN接合ダイオードとして、10cm四方のダイヤモンドPN接合ダイオード2を用いることで、消費電力を低減するとともに、低コスト、小型で、必要なバイパス電流を確保することができる。しかも、ダイヤモンドPN接合ダイオードは、耐電圧性、電力伝達効率がきわめて高いとして素子自体の特質を備えているので、例えば、超高電圧の電力系統に配置される遮断器、切替器等として広く採用されることが期待できる。
1 真空パワースイッチ
2 ダイヤモンドPN接合ダイオード
3 陽極
4 ダイオード電源
5 スイッチ
6 負荷
7 高圧直流電源
8 機械式スイッチ(高電圧遮断器)

Claims (3)

  1. 高電圧遮断器を介して高電圧電源と負荷を接続する電力線に設けられ、前記高電圧遮断器をバイパスするバイパス回路と、
    前記バイパス回路に設けられ、ダイヤモンドPN接合ダイオードを電子放出源として用いた真空パワースイッチと、
    前記真空パワースイッチ内に設けられ、前記ダイヤモンドPN接合ダイオードに順方向に印加するダイオード電源のオン・オフスイッチとからなり、
    前記高電圧遮断器のオン・オフに先立って、前記オン・オフスイッチをオンとし、前記バイパス回路に、前記ダイヤモンドPN接合ダイオードからの電子放出に伴う電子放出電流を流すことで、前記高電圧遮断器の接点間電圧が最小アーク電圧より低下した段階で、前記高電圧遮断器のオン・オフを行えるようにすることにより、前記高電圧遮断器のオン・オフに伴って発生するアークを防止するようにしたことを特徴とする高電圧遮断器用アーク発生防止装置。
  2. 前記電子放出電流の電流値が、前記高電圧遮断器がオンしているときに前記高電圧電源から前記負荷に流れる電流値となるよう、前記ダイヤモンドPN接合ダイオードの電流容量を定めたことを特徴とする請求項1に記載の高電圧遮断器用アーク発生防止装置。
  3. 前記高電圧遮断器を作動させるアクチュエータを設け、前記真空パワースイッチの操作により、前記アクチュエータ及び前記オン・オフスイッチを、シーケンス制御によりオン・オフ制御する制御装置を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高電圧遮断器用アーク発生防止装置。
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