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JP6469287B1 - 中空糸細胞培養装置,細胞培養方法,培養上清の製造方法 - Google Patents

中空糸細胞培養装置,細胞培養方法,培養上清の製造方法 Download PDF

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JP6469287B1 JP2018119267A JP2018119267A JP6469287B1 JP 6469287 B1 JP6469287 B1 JP 6469287B1 JP 2018119267 A JP2018119267 A JP 2018119267A JP 2018119267 A JP2018119267 A JP 2018119267A JP 6469287 B1 JP6469287 B1 JP 6469287B1
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Abstract

【課題】培養上清が医薬品となることを想定した際の高い頑健性を有し、効率的で生産コストを下げた大量製造に活用可能な、培養装置の提供。
【解決手段】フィルターハウジング1と,その内部に存在する中空糸3であって,ポアサイズが5nm以上1μm以下であり,細胞導入部5により内部に細胞が導入されるものと,中空糸3の第1の末端4aと,フィルターハウジング1を密閉するための第1のエンドキャップ6aと,フィルターハウジングの内部に培養液を導入するための培養液導入部7と,フィルターハウジングの内部を経た培養液を排出するための培養液排出部9と,を有する,培養上清を製造するための中空糸細胞培養装置。
【選択図】図1

Description

本発明は, 中空糸細胞培養装置及びその装置を用いた細胞培養方法,培養上清の製造方法に関する。
特開2017−176043号公報には,中空糸を用いた細胞培養方法が記載されている。この出願では,中空糸の中に間葉系幹細胞を播種した上で,中空糸の中に細胞及び培養液を循環させ,細胞から分泌される生理活性を有する有用成分を,中空糸内に高濃度に留めて,中空糸内から培養上清を回収する。この文献において,中空糸の外側を流れる培養液中に,中空糸内における細胞からの分泌物が流出することを可能なかぎり制限することが意図されている。
特開2017−176043号公報
本発明は,培養上清が医薬品となることを想定した際の高い頑健性を有し,効率的で生産コストを下げた大量製造に活用可能な技術を提供することを目的とする。
本明細書に記載される解決手段は,基本的には,中空糸内で細胞を培養し,中空糸の外側に培養液を循環させることで,安定的に細胞を培養でき,しかも培養上済を容易に回収でき,これにより高い品質の細胞や培養上清を安価かつ大量に得ることができるという知見に基づく。
本明細書において開示される装置は,培養上清を製造するための中空糸細胞培養装置である。そして,この装置は,
フィルターハウジング1と,
フィルターハウジングの内部に存在する中空糸3であって,ポアサイズが5nm以上1μm以下であり,中空糸3の第1及び第2の末端4a,4bはフィルターハウジング1の第1及び第2の端部1a,1bと接続されたものであり,中空糸3は細胞導入部5により内部に細胞が導入されるものと,
中空糸3の第1の末端4aと,フィルターハウジング1を密閉するための第1のエンドキャップ6aと,
フィルターハウジング1と接続され,フィルターハウジングの内部に培養液を導入するための培養液導入部7であって,フィルターハウジングの内部に培養液を供給するための培養液供給路8と接続されるものと,
フィルターハウジング1と接続され,フィルターハウジングの内部を経た培養液を排出するための培養液排出部9であって,フィルターハウジングの内部の培養液を排出するための培養排出路10と接続されるものと,を有する,中空糸細胞培養装置である。
この装置は,培養液供給路(8)と,
培養液供給路(8)に設けられ,培養液導入部(7)を介してフィルターハウジング(1)内に培養液を送るための送液装置(11)をさらに有する,装置であることが好ましい。
この装置は,中空糸(3)が,内腔を円形にした際の直径が,0.1mm以上1.6mm以下であるものが好ましい。
この装置は,細胞導入部(5)をさらに有し,
細胞導入部(5)は,第1のエンドキャップ(6a)を連結する中空糸(3)に対応した部位に接続され,細胞が中空糸フィルターの内腔に導入される,装置であることが好ましい。
この装置は,細胞導入部5をさらに有し,
細胞導入部5は,第1のエンドキャップ6aを連結する中空糸フィルターに対応した部位に設けられた空間体積を持つ円筒状の容積部であり,円筒状の容積部の一方の末端には,ガスケットを有した押し子が挿入され,円筒状の容積部のもう一方の末端は中空糸フィルターに連結され,押し子を中空糸フィルターの方向に押し込むことにより,細胞が中空糸フィルターの内腔に導入される,装置であることが好ましい。
この装置は,中空糸3の第2の末端4bと,フィルターハウジング1を密閉するための第2のエンドキャップ6bをさらに有する,装置であることが好ましい。
この装置を用いて培養上清を製造できる。この製造方法は,
中空糸3の内部に,細胞導入部5を介して細胞を導入する細胞導入工程と,
培養液導入部7を介してフィルターハウジング内部に,培養液を供給する培養液供給工程と,
培養液排出部9から,フィルターハウジング内部の培養液を,排出する培養液排出工程と,中空糸3の内部で細胞を培養する工程と,
培養液排出工程により得られた排出液から培養上清を回収する培養上清回収工程と,
を含む,培養上清の製造方法である。
本発明によれば, 培養上清が医薬品となることを想定した際の高い頑健性を有し,効率的で生産コストを下げた大量製造に活用可能な技術を提供できる。
中空糸の内腔に細胞を密閉し,その内腔の培養液の移動は,中空糸フィルターを介した,中空糸外部との拡散によるものが主であることを特徴とする本発明は,間葉系幹細胞のように,お互いの細胞が強固に凝集する細胞において,大きな効果を生じる。これまでの中空糸培養法により,長期間にわたり間葉系幹細胞を培養することを考えた場合,中空糸の内腔に播種された間葉系幹細胞は,容易に凝集体を構成し,そこで増殖が可能な培養条件を提供されると,中空糸の内腔を塞ぐ形で循環する培養液を遮断してしまう。たとえ複数本ある中空糸のうちの全体が細胞で閉塞しない場合においても,塞栓した中空糸とそうでない中空糸とでは,培養条件や細胞の性状,品質は同等であるとすることは難しく,均一で頑健な製造方法として,医薬品開発等に採用することは,リスクが予想される。また,中空糸内腔を細胞で遮蔽されないほどの太い中空糸を使用した場合には,細胞増殖後には,細胞凝集塊の深層部で栄養枯渇により細胞死が生じる恐れがある。
また,業界としてこれまで,中空糸フィルターを用いた細胞培養において,細胞が存在する側の培養液を循環させる方式しか存在しなかった理由は,中空糸の内腔で細胞からの産生物の効率的な回収には,フィルターを介して反対側の空間の培養液ではなく,細胞が存在する側の空間の培養液として回収する必要があり,細胞が中空糸の内腔に存在する場合には,中空糸の外側には効率的な分泌成分の回収が困難であると考えられていたためである。
本発明者は,既法にとらわれない柔軟な発想により,適切な内径の中空糸の内腔を細胞で閉塞させ,中空糸内腔における培養液の積極的な送液を行わない方式を開発した。それに代わって,中空糸外部の培養液を適切に交換・循環させることにより,中空糸内部の細胞を,長期間健全に維持することに成功し,かつ,十分な生物活性を有する培養上清を,その期間持続的に,中空糸外部で回収可能であることを見出した。
これにより,高い頑健性を有し,製造コストの低減が可能な培養上清製造方法を完成させ,且つその製造方法は,数百から数千リットルの培養スケールにスケールアップ可能な技術として提供可能となった。
図1は,培養装置の構成例を示す概念図である。 図2は,ヘルールの例を示す概念図である。 図3は,細胞導入部の例を示す概念図である。 図4は,中空糸内腔から取り出した細胞を示す図面に代わる写真である。 図5は,ELISA法を用いて測定されたTIMP2タンパク質(図5(a)及びHGFタンパク質(図5(b)の定量分析の結果を示す図面に代わるグラフである。 図6は,dsDNAの定量分析の結果を示す図面に代わるグラフである。 図7は,グルコースの定量分析の結果を示す図面に代わるグラフである。
本明細書に開示される第1の側面は, 培養上清を製造するための中空糸細胞培養装置に関する。この装置は,基本的には,中空糸内で細胞(例えば幹細胞)を培養し,中空糸の外側に培養液を循環させることで,安定的に細胞を培養でき,しかも培養上清を容易に回収できるというものである。この装置を,中空糸フィルターモジュールともよぶ。
図1は,培養装置の構成例を示す概念図である。図1に示されるように,この装置は, フィルターハウジング1と,フィルターハウジングの内部に存在する中空糸3と,第1のエンドキャップ6aと,培養液導入部7と,培養液排出部9とを有する。
フィルターハウジング1は,中空糸を収容し,内部に培養液を循環させるための筐体である。公知の中空糸フィルタにおけるハウジングを,フィルターハウジングとして用いることができる。フィルターハウジングの大きさは,得ようとする上清の量に応じて適宜調整すればよい。
中空糸(3)は,フィルターハウジングの内部に存在する中空糸(内部に空隙を有するフィルター)である。中空糸のポアサイズ(公称ポアサイズ)の例は5nm以上1μm以下である。中空糸3は,例えば,内腔を円形にした際の直径の例が,0.1mm以上1.6mm以下である。中空糸フィルターモジュールを構成する中空糸について,中空糸内腔の直径の例は0.02mmから1 .6mmの範囲で選択され,0.1mm以上1.6mm以下でもよいし,0.1mm以上0.5mm以下でもよい。中空糸素材としては,ポリエーテルスルホン(PES),セルロースアセテート(CE),ポリスルフォン(PS),ポリビニルピロリドン(PVDF)ポリアクリルニトリル(PAN)など,親水性を有し,タンパク質吸着が少ない素材から選択されることが好適であるが,フィルターとしての特性を有し,かつ,ガンマ線滅菌,オートクレーブ滅菌,酸化エチレンガス滅菌等のいずれかの滅菌工程において,フィルターとしての実質的性能を損なうことなく耐性を示すものであれば,素材が限定されることはない。また,中空糸膜の公称孔径の例は,5nm(3kDaに相当)から1μmまでの限外濾過膜または精密濾過膜であり,好適には0.1μmから0.65μmの範囲の精密濾過膜であり,目的とする培養上清中の回収成分の分子量や立体構造,疎水的,イオン的相互作用等の結果としての,実際の透過率に応じて,任意に選択され得る。また,中空糸の長径側の管長は,20cmから100cmが扱いやすく好適であるが,その他の本発明を構成する中空糸細胞培養装置を設計する上で許容される範囲において,限定されるものではない。
中空糸3の第1及び第2の末端4a,4bはフィルターハウジング1の第1及び第2の端部1a,1bと接続されたものであることが好ましい。ただし,それぞれ同側の中空糸3の第1及び第2の末端4a,4bとフィルターハウジング1の第1及び第2の端部1a,1bを,エンドキャップ6a,bで閉塞させた後は,中空糸3の内腔とフィルターハウジング1の内部空間は,空間的つながりをもたないように構成されることが好ましい。
中空糸3は細胞導入部5によりその内部に細胞が導入されるものである。細胞の例は幹細胞である。幹細胞の例は,間葉系幹細胞である。細胞の種類は特に限定されるものではない。細胞外に目的成分を分泌または産生する細胞種であり,その目的成分の回収を目的とする用途であれば良い。とりわけ本発明の効果を享受できる好適な細胞は接着性の細胞であり,さらに好適には,間葉系幹細胞が選択される。間葉系幹細胞は,ヒト,イヌ,ウマ,ネコ,ブタ,マウス,ラット,などから分離・培養されたものが使用される。間葉系幹細胞が分離される組織としては,臍帯,臍帯血,骨髄,羊膜,胎盤,歯髄,脂肪,軟骨,月経血,母乳,などが挙げられ,その由来組織や動物種は特に限定されるものではない。また,間葉系幹細胞は,不死化細胞株樹立のためや,長期培養に耐えうる細胞特性の付与,または培養上清の効果性向上のために,遺伝子導入や遺伝子改変が行われたものを用いても良い。
培養液について,その組成や種類には特に限定を受けない。従前のフラスコ等による接着培養法と同様の培養液を使用してもよい。間葉系幹細胞を例とした場合,10%血清含有αMEM培地で増殖されることが一般的である。さらに優れた細胞増殖と工程短縮のため,各社から販売される培地や,独自処方の培地を用いても良い。また,培養上清の産業的な価値が,治療用途や化粧品原料といった生体に用いる剤であることを鑑みた際に,培養液の組成が,ヒトや動物由来成分を使用しないものであることが望ましい(例:細胞培養キットProcul AD(登録商標);ロート製薬)。また,間葉系幹細胞は種々の刺激によってその作用を増強する技術が報告されており,より効果的な治療効果を有する細胞と培養上清を調製する上で,それらの技術を活用した培養液を使用することもできる。このように,間葉系幹細胞を増殖するための培地は,様々な選択肢が存在し,組織の由来と生物種に適合した性能の培地を選定し,実施者が求める機能を有する細胞および培養上清を調製可能な,任意の培養液を使用すれば良い。
また,培養上清の製造方法によっては,培養上清の回収段階で,細胞増殖を目的としない,基本培地に近い培養液で維持する方法が報告されている。この理由としては,細胞増殖を血清含有培地で行った場合において,血清等の持ち込みを可能な限り排除する目的が挙げられる。
中空糸内に播種した細胞が,中空糸の内部で不均等な凝集体を形成する可能性を回避したい場合には,培養液にセルロース系水溶性高分子のメチルセルロース(MC)やカルボキシメチルセルロース(CMC),その他セルロース誘導体,またはその他の水溶性高分子のポリエチレングリコール(PEG),ポリビニルピロリドン(PVP),またはアルギン酸ナトリウム等及びそのゲル化剤を使用して,培養液の粘度を上昇させる手法を用いても良い。その場合のそれら水溶性高分子の濃度は,既報を参考に設定することができる。これにより,中空糸内の細胞培養空間において,均一サイズのスフェロイド形成と,それらの均一な空間配置が可能となる。
第1のエンドキャップ6aは,中空糸3の第1の末端4aと,フィルターハウジング末端1aを密閉するためのものである。エンドキャップは,中空糸フィルターモジュールの両末端を密閉するために使用される。細胞や培養液の移動が,中空糸の両末端の開口部を通じて生じないように,中空糸末端4a,bを密閉することが好ましい。そのために,中空糸末端4a,bに接触するエンドキャップとして,円板状のシリコンガスケットが最も好適であり,その外側に,ヘルール接続用クランプ等で,中空糸フィルターモジュールに固定するための樹脂製パーツが付属しても良い。エンドキャップは中空糸フィルターモジュール1本あたり2つ用意され,1つは中空糸内腔への細胞導入前に装着されることが好ましい。もう1つは,細胞を導入した後に,細胞導入側の密閉のために装着される。細胞を導入した後に装着するエンドキャップは4a,エンドキャップとしての機能も併せ持つよう構成された,細胞導入部5で代替しても良い。いずれの側のエンドキャップについても,細胞導入後の培養上清回収のための培養期間中に,開封されないことが好ましい。
細胞導入部5の例は,第1のエンドキャップ6aの中空糸3に対応した部位に設けられたヘルール接続ポートを有しており,ヘルール接続ポートを介して,細胞が中空糸フィルターの内腔に導入されるものである。細胞導入部5の別の例は,第1のエンドキャップ6aが連結されるフィルターハウジング末端1a及び中空糸末端4aに対応した部位に設けられた,空間体積を持つ円筒状の容積部であり,円筒状の容積部の一方の末端には,ガスケットを有した押し子が挿入され,円筒状の容積部のもう一方の末端は中空糸3に連結され,押し子を中空糸3の方向に押し込むことにより,細胞が中空糸3の内腔に導入される,装置であることが好ましい。
細胞導入部5は,中空糸内腔に細胞を均一に導入するための要素として使用される。その形態は,用いる中空糸フィルターモジュールのサイズや導入細胞懸濁液量によって適宣選択される。
例えば,医薬品製造などの産業化段階等においては,中空糸フィルターモジュール1本あたり,数リットル以上の細胞懸濁液が導入されることが想定される。その場合,中空糸フィルターモジュール末端のヘルール接続ポート形状に対応した,ヘルール接続ポートを有するチュービングを別途用意し,その反対側に,細胞懸濁液を含むプロセスバックや容器を接続し,ペリスタティックポンプの駆動送液により,細胞をヘルール接続ポート側へ送液できる。図2は,ヘルールの例を示す概念図である。図2は日東金属工業株式会社のウェブサイトより引用したものである。ヘルールを介して,細胞導入部5とフィルターハウジング末端1a及び中空糸末端4aは連結され,中空糸フィルター内部に無菌的に細胞を導入できる。そして,細胞を中空糸内に導入した後には,中空糸フィルターを密封できる。ヘルール接続は,サニタリー配管やサニタリー継手ともよばれる。ヘルール接続は,例えばヘルール,ガスケット,及びクランプバンドを用いて達成できる。ヘルールは接続部に溝があり、十字形状(又はOリング形状)のガスケットを間に挟んでクランプバンドで締め付けて固定する。
また,小スケール培養段階においては,フィルターハウジング末端1a,1bをオスまたはメス型のルアーロック形状のポートとし,ルアーロック形状の先端を有する市販の注射等(例:ニプロシリンジロックタイプ,医療機器届出番号27B1X00045000033:ニプロ)などを,細胞導入部として使用することもできる。
さらには,細胞導入部と前述のエンドキャップの目的を1つにした部品としても選択することが可能である。図3は,細胞導入部の例を示す概念図である。注射等のような構造を有する細胞導入部5は,フィルターハウジング末端1a,1bの接続形式に合わせた接続ポートを有しても良く,より好適には,両方にヘルール接続ポートが選択される。また別の方式によっては,中空糸フィルターモジュールと細胞導入部5が,それらの製造時にあらかじめ連結されていても良い。図3の例では,細胞導入部5の内部に細胞懸濁液を封入しておく。そして,ヘルール接続などを用いて,フィルターハウジング末端1aと接続する。そして,ピストン押子を押すことで,中空糸3内部に細胞の懸濁液を注入する。このようにして,細胞を中空糸内に導入できる。細胞を中空糸内に注入した後は,ガスケットが中空糸末端4aを密封する。この細胞導入部5はその他,外筒,ガスケット,押子,ロック機構から少なくとも構成される。これを用いると,ガスケットにより中空糸内腔に細胞が押し出された時点で,細胞導入側の中空糸末端4aはガスケットで密閉され,ロック機構により,ガスケットはその位置で固定することとなる。これにより,細胞導入後に細胞導入側のフィルターハウジング末端1aを開封する必要がないため,汚染リスクを低減できる。また,細胞導入側のフィルターハウジング末端1aと中空糸末端4aの閉塞のため,専用のエンドキャップ6aを用いても良い。
培養液導入部7は,フィルターハウジング1と接続されている。培養液導入部7は,フィルターハウジング1と一体に成形されたものであってもよい。そして,培養液導入部7は,フィルターハウジング1の内部に培養液を導入するための要素である。一方,培養液導入部7は,中空糸3の内部に接続されているものではなく,中空糸の周囲に存在するフィルターハウジング内部の領域に,培養液を導入するためのものである。そして,培養液導入部7は,フィルターハウジングの内部に培養液を供給するための培養液供給路8と接続される。培養液供給路8は,フィルターハウジング1の外に存在する。これにより培養液がフィルターハウジング1の外からフィルターハウジング内に導入される。培養液供給路8は,例えば,培養液を収容した培養液タンクと接続されており,培養液が供給される。
すなわち,この装置は,フィルターハウジング1内に培養液を導入するための流路培養液供給路8と,中空糸フィルターハウジング外に培養液を排出するための流路培養液排出路10を含むことが好ましい。これらは,中空糸フィルターモジュールの培養液導入部7及び培養液排出部9に接続される。チューブの素材としては,シリコン系,熱可塑性エストラマー系,ポリ塩化ビニル系などが好適な素材として選択される。しかしながら,必ずしもこれらに限定されるものではなく,細胞培養の結果に悪影響を与えず,素材の滅菌処理が可能であり,目的物や成分の変性や意図しない吸着がなく,それらの溶出物に細胞毒性・刺激性・発がん性・発熱性等の毒性が無ければ,任意に選択可能である。
なお, 送液装置11をさらに有するものが好ましい。送液装置11は,培養液供給路8に設けられても良いし,培養液排出路10に設けられても良い。送液装置11は,培養液導入部7を介してフィルターハウジング1内に培養液を送り,培養液排出部9を介して培養液を排出するための要素である。送液装置11の例は,ポンプである。フィルターハウジング1内への培養液の供給または循環方法は,いかなる製造スケールにおいても活用可能な方法として,ペリスタティックポンプによる駆動が好適であるが,培養スケールが大きい場合には,シングルユースポンプヘッドとポンプドライバ部から構成される,浮遊型マグネットポンプ(例:PuraLev:LEVITRONIX社)も理想的な送液方法として採用されうる。しかしながら,送液の駆動方式としては,これらに限定されることなく,選択することができる。
培養液貯液容器は,例えば,フィルターハウジング1内に培養液を導入するための培養液供給路8と接続される。培養液貯液容器の形状の例は,円筒型のボトル形状であっても良いし,スピナーフラスコ形状であっても良いし,2Dプロセスバック形状であっても良いし,3Dプロセスバック形状であっても良いし,大規模培養スケールの場合には,ステンレスタンク容器であっても良いフィルターハウジング1内を通して培養液を還流させる場合には,フィルターハウジング1内の培養液を排出するための培養液排出路10も接続されることが好ましい。この装置は,培養状態をモニタリングするための,培養液のサンプリングポートを有しており,また,温度,pH,溶存酸素濃度,溶存二酸化炭素濃度などの各種センターを有しているものが好ましい。また,還流しない培養方式の場合は,フィルターハウジング1内に導入するための培養液を入れる培養液貯液容器の他に,フィルターハウジング1内から培養液を排出された培養液を入れるための,もう1つの培養液貯液容器を有するものが好ましい。
培養液排出部9は,フィルターハウジング1と接続されている。培養液排出部9は,フィルターハウジング1と一体に成形されたものでもよい。培養液排出部9は,フィルターハウジングの内部を経た培養液を排出するための要素である。培養液排出部9は,中空糸の内部と接続されているものではなく,中空糸の周囲に存在するフィルターハウジング内部の領域から培養液を排出するためのものである。培養液排出部9は,フィルターハウジングの内部の培養液を排出するための培養排出路10と接続される。培養排出路10は,フィルターハウジング1の外に存在する。これにより培養液がフィルターハウジング1の外に排出される。
フィルターハウジング,ハウジグ端末接続部,中空糸固定材料,シール材,流路形成ポートといった各要素については,既存の技術や製品を参考に設計することができる。例えば,ハウジング末端接続部については,汎用性の高いヘルールサニタリー接続に対応した設計が好適である。これらについては,その形状や設計は自由に選択することができる。また,それらの素材についてであるが,バイオテクノロジー関連分野で従来使用される,一般的な素材から選択することが好適であるが,必ずしもこれらに限定されるものではなく,細胞培養の結果に悪影響を与えず,素材の滅菌処理が可能であり,目的物や成分の変性や意図しない吸着がなく,それらの溶出物に細胞毒性・刺激性・発がん性・発熱性等の毒性ければ,任意に選択可能である。例えば中空糸をフィルターハウジング末端で束ねて固定するための中空糸固定材料としては,ウレタン樹脂やエポキシ樹脂が許容される。また,各部品を接合し完全な密閉を形成するために使用するシール材には,シリコン素材が好適である。フィルターハウジングには,強靭で剛性が高く,透明であり,様々な薬品への耐性に優れるポリサルフォンなどを選択することが推奨される。流路形成ポートについても,同様にポリサルフォンや,ポリプロピレンなどから選択することができる。
細胞を増殖または維持するために,30℃から42℃の範囲で培養液を制御するための装置が好ましい。より好適には,多くの場合37℃が選択される。細胞が存在する中空糸フィルターモジュールが目的温度に制御されていれば,その温度制御様式は問わない。具体的には,本発明の装置全体を恒温装置のチャンバー内に設置することでも良いし,加温の為に,ジャケットタイプの加温装置で制御しても良い。または,フィルターモジュール1へ培地を送液する側の流路および流路形成ポート付近で加温し,フィルターモジュール1に培養液が送液される直前で,至適温度に到達するように制御することに加え,フィルターモジュール1も至適温度に保つ機構を有し,さらにフィルターモジュール1から培養液が排出される側の流路形成ポートと流路は4から10℃に冷却し,培養液貯液容器も4から10℃に冷却し,長期培養における培地成分や細胞分泌成分の変性や分解を抑制する手法を講じても良い。
この装置を用いて培養上清を製造できる。この製造方法は,
中空糸3の内部に,細胞導入部5を介して細胞を導入する細胞導入工程と,
培養液導入部7を介してフィルターハウジング1内部に,培養液を供給する培養液供給工程と,
培養液排出部9から,フィルターハウジング1内部の培養液を,排出する培養液排出工程と,
中空糸3内部で細胞を培養する工程と,
培養液排出工程により得られた排出液から培養上清を回収する培養上清回収工程と,
を含む,培養上清の製造方法である。
<播種細胞の調製>
中空糸3内への播種に必要となる細胞の調製において,上述の培養液と細胞を用いる。播種する細胞は,通常の接着平面培養で調製された,剥離剤で容易に分散可能な細胞が好適であるが,その他にも,マイクロキャリアーを用いた培養や,スフェロイド培養で調製された細胞を用いても良く,中空糸フィルターの内孔に入るサイズの大きさであれば,細胞を剥離せず接着したままのマイクロキャリアーを含んでも良いし,または細胞が凝集体を形成していても良い。
<装置の組立>
少なくとも,フィルターハウジング1,その内部に配置される中空糸3,フィルターハウジング末端4a,4b,培養液導入部7,培養液排出部9,から構成される中空糸フィルターモジュールに,エンドキャップ6a,6bガスケットやシール材を含む場合有りを中空糸フィルターハウジング末端4a,4bに装着し,さらに培養液供給路8,培養液排出路10をそれぞれ培養液導入部7,培養液排出部9と接続する。ここでこれらの構成品を構成品1とする。構成品1の素材が許容する方法の滅菌方法によって,滅菌処理を施すことが好ましい。
また,上述した中空糸に細胞を導入するための細胞導入部5についても,これが滅菌済み製品ではなく,滅菌処理が必要である場合には,素材が許容する方法の滅菌原理によって,滅菌処理を施すことが好ましい。
ただし,本発明は,ここに示される代表例に限定されるものではなく,既存のバイオプロセス技術を用いることで,実施者の目的に応じた最適な装置の接続様式を選択することができる。例えば,培養液の流路を形成するチューブ等の接続については,バイオ産業で多用される既存の無菌接続技術を利用する場合や,培養液貯液容器としてステンレス容器を組込む場合等においては,それらに応じた装置の接続様式を取り得る。また,本技術を実施する際の,製造スケール,施設要件,無菌操作に関する全体プラン,使用する容器や送液ライン等の要件に応じて,一般的なバイオテクノロジー応用医薬品等の製造で使用される技術等を,実施者が採用することで設計すれば良い。
<細胞の導入>
次に,『構成品1』を,無菌操作区域ISO class 5,または実質的に無菌的な操作が可能である管理区域において,エンドキャップ6aガスケットやシール材を含む場合有りを外し,そこに細胞導入部5を接続する。その後,播種用に調製した細胞懸濁液を細胞導入部に入れる。細胞懸濁液は,培養液であることが望ましいが,培養に悪影響を与えない範囲において許容される溶液または増粘剤,ゲル化剤であれば特に限定されない。培養が小スケールで細胞導入部5がシリンジである場合は,プランジャーを外して外筒に細胞懸濁液を入れ,その後プランジャーを装着し,プランジャーを押し込むことで,細胞懸濁液を中空糸内へと導入する。この時,中空糸の反対側のフィルターハウジング末端1bと中空糸末端4bはエンドキャップ6bガスケットやシール材を含む場合有りで密閉されているが,中空糸3内部の体積を超える細胞懸濁液の溶液部分は,中空糸3の膜を通じて,中空糸内腔からフィルターハウジング1の内部へと排出される。中空糸の膜は細胞を通過させない孔径であるため,細胞は培養液循環流路に排出されることなく,完全に中空糸内腔に保持される。なお,中空糸内腔での細胞分布の偏りが生じることを避けるために,中空糸内部に気体を注入することは極力避けることが望ましい。さらに,細胞の凝集体形成を抑制する目的において,細胞懸濁液にセルロース系水溶性高分子のメチルセルロースMCやカルボキシメチルセルロースCMC,その他セルロース誘導体,またはその他の水溶性高分子のポリエチレングリコールPEG,ポリビニルピロリドンPVP,またはアルギン酸ナトリウム等やそのゲル化剤を添加して,培養液の粘度を上昇させる手法を用いても良い。
また,中空糸内腔に導入する細胞数の範囲について,代表例として間葉系幹細胞の場合を例示すると,中空糸フィルターモジュールを構成する中空糸の合計内腔体積1 cm3当たり, 1×104個から5×107個の範囲で選択可能であり,より好ましくは1×105個から5×106個の範囲が選択され,さらに好ましくは5×105個から1×106個の範囲が選択される。
次に,細胞導入部5を取り外し,フィルターハウジング末端1aと中空糸末端4aにエンドキャップ6aガスケットやシール材を含む場合有りを装着することにより,中空糸3内部およびフィルターハウジング1内部を密閉する。これを構成品2とする。密閉した後は,中空糸フィルターモジュールを水平に維持し,中空糸内部の細胞の偏りを避けることを基本とする。
<培養の開始>
培養液を無菌的に注入した培養液貯液容器に,培養液供給路8を接続する。培養液を循環式とする場合,培養液排出路10も同じ培養液貯液容器に接続する。循環式としない場合には,培養液供給路8が接続された培養液貯液容器とは別の培養液貯液容器に培養液排出路10を接続する。これを構成品3とする。
細胞を増殖または維持するためには,細胞の種類や目的の違いによって,30℃から42℃の範囲で中空糸フィルターモジュールを制御するための装置が必要となり,より好適には,多くの場合37℃が選択される。また,培養液のpH制御を炭酸水素ナトリウムと二酸化炭素系で行う場合には,二酸化炭素濃度の制御も必要となる。代表的な例としては,培養液注入後の構成品3を,用いる細胞に至適な温度と二酸化炭素濃度に維持された二酸化炭素インキュベーターに入れる。この場合,二酸化炭素がシリコン素材の培養液流路8,10から培養液に浸透し,pHが制御される。しかしながら,細胞が存在する中空糸フィルターモジュール部が,目的温度と目的pHに制御されていれば,その制御様式は問わない。具体的には,本発明の装置全体を恒温装置のチャンバー内に設置することでも良いし,加温の為に,ジャケットタイプの加温装置で制御しても良い。または,中空糸フィルターモジュールへ培地を送液する側の培養液供給路8および培養液導入部7付近で加温し,中空糸フィルターモジュールに培養液が送液される直前で,至適温度に到達するように制御することに加え,中空糸フィルターモジュールも至適温度に保つ機構を有し,さらに中空糸フィルターモジュールから培養液が排出される側の培養液排出部9と培養液排出路10は4から10℃に冷却し,培養液貯液容器も4から10℃に冷却し,長期培養における培地成分や細胞分泌成分の変性や分解を抑制する手法を講じても良い。
その後,培養液流路8,10のいずれかまたはその両方の培養液流路に,ペリスタティックポンプ等を装着し,それを駆動することで培養液の循環を開始する。しかしながら上述の通り,培養液の循環形式は,既存の技術を選択することで特に限定されるものではない。また,培養液の送液条件は,間欠的でも良いし,連続的でも良い。また,間欠的である場合,そのオンとオフのインターバルの間隔は,一連の培養期間中に任意に変更しても良いし,一定でも良い。また,単位時間あたりの送液量については,用いる細胞,培養液,中空糸フィルターの種類,中空糸フィルターモジュールのスケール,培養上清に回収する目的成分,などの様々な変動要素に応じて,至適な送液速度を決定することができる。
間葉系幹細胞を例にすると,中空糸フィルターモジュールを構成する中空糸の合計内腔体積1 cm3当たり,1時間あたりの送液量は,1 mLから10,000 mLの範囲で選択可能であり,より好ましくは10 mLから1,000 mLの範囲が選択され,さらに好ましくは50 mLから500 mLの範囲が選択される。なお,培養装置に充填される培養液の液量は,間葉系幹細胞を例にすると,中空糸の合計内腔体積1 cm3当たり,0.01 mLから300 mLの範囲で選択可能であり,より好ましくは0.2 mLから30 mLの範囲が選択され,さらに好ましくは1 mLから5 mLの範囲が選択される。培養初期の細胞数が少ない段階では培養液量を少なくし,増殖後の細胞数が多い段階では培養液量を多くすることも,培養液の節約につながり任意に選択すれば良い。
<培地交換>
中空糸内腔に細胞を導入し,細胞が増殖期にある培地交換については,用いる細胞と培養液の種類等によって決定することになる。間葉系幹細胞で例示すると,約4日に1回の培地全交換回分培養を基本とすることが望ましい。しかしながら,本発明を実施するにおいてはこれに限定されるものではなく,細胞数が増加するまでは,培養液貯液容器の半交換で対応することも可能な範囲である。また,培養液のコントロールとして,流加培養や連続培養の技術を用いることによっても,本発明は良好に実施できる。細胞が死滅することなく維持できる任意の範囲において,実施者が設定すれば良い。
<培養環境のモニタリング>
非破壊的に細胞の増殖度合いを評価する方法としては,培養装置の培養液循環流路等に設けた無菌的サンプリングポートから分取した培養上清を測定することで実施できる。測定項目の例として,培養上清中の目的産生物質の単位時間当たりの産生量,グルコース消費量,pH,溶存酸素濃度,溶存二酸化炭素濃度,または乳酸濃度などがその指標となる。あらかじめ中空糸内腔における細胞増殖度合いとこれらの数値の相関性を評価しておくことで,中空糸内腔の細胞増殖度合いを評価することができる。測定項目によっては,培養上清の流路に設置した非接触型センサーによる連続的な測定を行っても良い。
また,細胞の死滅度合いをモニタリングする方法としては,同培養上清中の二本鎖DNA(dsDNA)濃度,乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)濃度等を定量することなどで評価可能である。あらかじめ中空糸内腔における細胞の死滅度合いと,これらの数値の相関性を評価しておくことにより,中空糸内腔の細胞増殖度合いを評価することができる。
これらの方法により,目的産生物を高濃度で含有する培養上清回収の開始の時期や,細胞の健全性および同質性に限界を迎える回収中止までの期間を知ることができる。
<培養上清の調製と回収>
細胞が増殖し,期待する量の目的成分の分泌を確認できる時期に,培養上清の調製と回収を開始する。例えば培養液が循環式の場合において,中空糸ハウジング内を循環していた培養上清を回収するタイミングとして,間葉系幹細胞を例にすると,培養上清の調製に回分培養を採用する場合,培養上清回収直前の培地交換から1日から10日後の回収が好ましく,さらに好ましくは2日から8日後であり,最も至適には3日から5日目が好適である。また,本発明の絶大な効果として強調される点として,中空糸内腔に細胞を導入した後,非常に長期間に渡って培養上清の回収を継続できる点であり,その期間において,任意に必要分の培養上清を回収すれば良い。間葉系幹細胞の場合,フラスコによる平面接着培養においては,コンフルエントに到達した後,健全な状態での細胞の維持は数日間が限界であることと対象的に,本発明によると,中空糸の中で通常50日間以上,健全に維持することができる。
また,細胞は中空糸内腔にのみ存在しており,本発明以前の当分野の技術的常識としては,細胞の分泌物を含む培養上清を回収するための実質的に取り得る方法としては,中空糸膜で隔てて細胞が存在する側の培養液を循環させるなどして,同側の培養液を培養上清として回収する方法であった(特許文献1)。一方,本発明においては,細胞が密閉され積極的な循環の無い中空糸内腔から,中空糸膜を介した中空糸外部への拡散により,中空糸外部から培養上清を回収する。なお,回分培養以外にも,流加培養またはパーフュージョン培養等による連続培養で培養上清を得ても良い。
[実施例1]
1.脂肪組織由来間葉系幹細胞(AD−MSC)の中空糸培養と培養上清の調製
1.1.細胞調製方法
(1)初代培養(P0)
AD−MSCを用いた再生医療を受ける患者より,投与用細胞の調製に必要な原料となる皮下脂肪組織を分取した後の余剰組織について,研究用利用用途の同意取得の後に皮下脂肪の提供を受け,初代培養に供した。皮下脂肪組織は遠心分離(400×gで5分間)に供し,上から順に脂質画分,脂肪組織画分,および水性画分の3層に分離した。中層の脂肪組織画分を残して,上層と下層を破棄した。残した脂肪組織画分に対して,組織重量当たり4倍量の0.15%コラゲナーゼ酵素溶液を添加し,37℃で1時間浸透させ,酵素処理を行った。脂肪組織が分散された後, 遠心分離(400×gで5分間)に供し,間葉系幹細胞を含む間質血管細胞画分として,沈殿画分を30 mLのPBS(-)溶液で懸濁した。その後,セルストレーナー(70μm径)に懸濁液を通液し,通液画分を再度遠心分離(400×gで5分間)に供し,セルストレーナーに捕捉された組織残渣等は破棄した。沈殿画分を6 mLの無血清培養液(Procul AD; ロート製薬)で懸濁し,T-25フラスコ(CellBIND(登録商標); Corning)に全量を播種し,インキュベーター内(37℃,5% CO2)に静置して初代培養を開始した。
(2)継代培養(P0→P1)
3日に1回の頻度で培地全交換を実施し,上澄みは破棄して,フラスコ底面上で増殖する細胞を選択的に増殖した。播種から11日目に,T-25フラスコでセミコンフルエントまで増殖した細胞に対して,2 mLの酵素溶液(TrypLE Select(登録商標);Thermo Fisher Scientific)を添加し剥離した(37℃,5分間静置)。細胞をPBS(-)で希釈し,遠心分離(400×gで5分間)に供した。沈殿した細胞を培養液で懸濁し,トリパンブルー染色法による細胞数計測を行った結果,1.2×106個の生細胞が回収できたため,その全量をT-150フラスコ(CellBIND(登録商標); Corning)2枚に24mLの無血清培養液で全量を播種し(4,000個/cm2),インキュベーター内(37℃,5% CO2)に静置して継代培養を行った。
3日に1回の頻度で培地全交換を実施し,上澄みは破棄して,フラスコ底面上で増殖する細胞を選択的に増殖した。播種から4日目にセミコンフルエントまで増殖した細胞に対して,6 mLの酵素溶液(TrypLE Select(登録商標);Thermo Fisher Scientific)を添加して剥離した(37℃,5分間静置)。細胞をPBS(-)で希釈し,遠心分離(400×gで5分間)に供した。沈殿した細胞を無血清培養液で懸濁し,トリパンブルー染色法による細胞数計測を行った結果,生存率が98.7%であり,生細胞数を9.8×106個回収したことを確認し,培養開始まで4℃で保管した。
1.2.中空糸培養(P2)
(1)装置の組立
フィルターハウジング末端1a,1bがサニタリー接続ポート形状であり,培養液導入部と培養液排出部にはルアーロックコネクトを有する中空糸フィルターモジュール(PES MidiKros TCモジュール/0.2μm分画サイズ,フィルター膜面積290 cm2,全長44cm;T04-P20U-05-N;スペクトラムラボラトリーズ)を使用した。ヘルールサニタリー接続ポートを有し,かつシリコンガスケットとシリコンシール材を含むエンドキャップ6bを,フィルターハウジング末端1bと中空糸末端4bを閉塞するように,クランプを締めて密閉した。
さらに,ヘルールサニタリー接続とホース口を有する細胞導入部の一部(Pro-Connex 3/4”サニタリーフィッティング;ACPX-SM4-06N;スペクトラムラボラトリーズ)のホース口には,3cmのシリコンチューブを装着し,ホース口の反対側にはルアーロックポートを装着し,これらを結束バンドで固定した。さらに,ルアーロックにはルアーロックコネクト用の密閉栓を装着し,細胞導入部(5)とした。
次に,フィルターハウジング末端1aに,上述の細胞導入部5を,シリコンガスケット装着したヘルールサニタリー接続ポートでクランプを締めて装着した。
さらに,中空糸フィルターモジュールの培養液導入部7と培養液排出部9に,ルアーロックコネクトを介して,それぞれ50cmシリコンチューブの培養液導入部8と培養液排出路10を装着した。培養液導入部8と培養液排出路10の解放側末端には,メス型CPCカップリングとそのキャップ(オス型)を装着して密封した。これらを高温加圧蒸気滅菌(121℃/20分間)にて滅菌処理を行い,構成品1を用意した。
(2)培養液と細胞の導入
安全キャビネット内において,2Dプロセスバック(FLEXBOY BAG 500 mL MPC MALE COUPLERS;ザルトリウスス・テディムジャパン)に培養液(Procul AD; ロート製薬)を350mL充填し,同プロセスバックの2箇所のCPC接続ポートに,滅菌処理を行った上記の構成品1の培養液供給路8と培養液排出路10のCPCカップリングを接続し,中空糸フィルターモジュールと培養液貯液容器の密閉型循環経路を形成した。
次に,細胞導入部5のルアーロックコネクトの栓を外し,プランジャーを外した20mL容量の注射筒(ニプロシリンジロックタイプ,医療機器届出番号27B1X00045000033:ニプロ)を,ルアーロックコネクトでフィルターハウジング末端(1a)に接続し,15mLに調製した細胞懸濁液を注射筒に全量導入した(9.0×106個)。プランジャーを注射筒に装着して,細胞導入側を上向きに中空糸フィルターモジュールを縦にして,約10秒かけてプランジャーを押し込み,中空糸内腔を満たすように細胞懸濁液の導入を完了した。この時,中空糸内腔へ空気が入らないように操作した。計算により導き出される中空糸フィルター内腔の総体積が約15cmであるため,細胞播種密度は約6.0×105個/cmであった。次に,クランプを外して細胞導入装置を取り外し,むき出しになったフィルターハウジング末端1aに,ヘルールサニタリー接続ポートを有し,かつシリコンガスケットとシリコンシール材を含むエンドキャップ6aを,フィルターハウジング末端1aと中空糸末端4aを閉塞するように,クランプを締めて密閉した。直ちに中空糸フィルターモジュールの長軸方向を水平に置き,これにより,中空糸3内腔への細胞の導入と封入を完了し,構成品2を完成した。
(3)培養液の循環開始
構成品2を,二酸化炭素インキュベーターに入れた(37℃,5%二酸化炭素濃度)。培養液(Procul AD; ロート製薬)は重炭酸緩衝系であるため,ガス交換は培養液供給路及び培養液排出路のシリコンチューブを介して行った。培養液供給路8の1カ所にペリスタティックポンプを装着し,それを駆動することで,中空糸フィルターハウジング内に通じる流路の培養液の循環を開始した。送液速度は約30mL/時間とし,ポンプの駆動は連続駆動とした。これは,中空糸内腔の体積1cmあたり2mL/時間となるように設定したものである。
(4)培養液の交換と培養上清
中空糸培養の開始から12日目まで,3日から4日に1回の培養液の半交換を実施した。その後は3日から4日に1回の全交換とした。また,培養上清の評価のために,培養開始日(Day0),培養開始後4日(Day4),培養開始後7日(Day7),培養開始後11日(Day11),培養開始後14日(Day14),培養開始後18日(Day18),培養開始後21日(Day21),培養開始後25日(Day25),培養開始後28日(Day28),培養開始後32日(Day32),培養開始後35日(Day35),培養開始後39日(Day39),培養開始後42日(Day42),培養開始後46日(Day46),培養開始後50日(Day50),時点の培養上清を3mLずつ,培養液が入るプロセスバックのサンプリングポートからシリンジを用いて分取し,Day50の時点で,培養を終了した。分取した培養上清は,0.2μmのPESシリンジフィルター(25 mm GD/Xシリンジフィルター(PES 0.2 μm 滅菌済);6896-2502;GEヘルスケア・ジャパン)でろ過し,解析に使用するまで−28℃で冷凍保管とした。
(5)細胞の確認
培養終了後,装置を分解し,中空糸フィルターモジュールのハウジング内部に,細胞剥離酵素溶液TrypLE Select(Thermo Fisher Scientific)を充填した。37℃で30分間酵素処理を行ない,中空糸膜と細胞の接着を緩めた後,中空糸内腔の細胞塊を取り出し,位相差顕微鏡でその細胞塊の観察を行った。図4は,中空糸内腔から取り出した細胞を示す図面に代わる写真である。
[実施例2]
1.脂肪組織由来間葉系幹細胞(AD−MSC)の平面接着培養と培養上清の調製
1.1.細胞調製方法
(1)初代培養(P0)
上記実施例1で調製し,中空糸フィルターに播種したAD−MSC(P1継代細胞)の残余分について,8×10個をT−150フラスコ1枚(CellBIND;コーニングインターナショナル)に播種した。この時,培養液(Procul AD;ロート製薬)の液量は24mLとした。播種から4日後,セミコンフルエントに到達した段階で培養上清を回収した。その後も,3日から4日に1回の培養液の全交換を行い,培養液の交換時点である培養開始後7日(Day7),培養開始後11日(Day11),培養開始後14日(Day14)に,培地交換前に培養上清を回収した。これらの培養上清を0.2μmのPESシリンジフィルター(25 mm GD/Xシリンジフィルター(PES 0.2 μm 滅菌済);6896-2502;GEヘルスケア・ジャパン)でろ過し,解析に使用するまで-28℃で冷凍保管とした。
[実施例3]
1.培養上清の解析
1.1.ELISA法による定量(TIMP2)
間葉系幹細胞由来の培養上清には多様なタンパク質が含有され,少なくともそれらの一部が薬理作用を発揮すると考えられている。中でも,Metalloproteinase(MMP)の内因性阻害剤であるTissue Inhibitor of Metalloproteinase(TIMP)ファミリーと,成長因子であるHepatocyte Growth Factor(HGF)については,間葉系幹細胞の培養上清中に高濃度で含有することが知られる因子である。
間葉系幹細胞の培養上清には,鎮痛作用の存在が報告されているが(Sci. Rep. 2017 Aug 29;7(1):9904.Therapeutic effect of human adipose-derived stem cells and their secretome in experimental diabetic pain)。 TIMP2もまた,同様の治療効果性が報告されている(Nat. Med.2008 Mar;14(3): 331-6. Distinct roles of matrix metalloproteases in the early- and late-phase development of neuropathic pain.)。また,間葉系幹細胞由来の培養上清は,多発性硬化症に対して治療効果が報告されているが,その有効性因子としてHGFが同定されている(Nat. Neurosci.2012 Jun;15(6):862-70. Hepatocyte growth factor mediates mesenchymal stem cell induced recovery in multiple sclerosis models.)。そのため,培養上清の有効性指標となる代表的な分泌因子としてTIMP2とHGFを選択し,それらの含有量の評価として,市販のELISAキット(Human TIMP2 ELISA Kit;ab188395;abcam,及び,Human HGF ELISA Kit;ab100534)を用いて,プロトコール記載の方法により,実施例1及び実施例2で調製した上清のTIMP2及びHGFの定量試験を行った。
平面接着培養で調製された従来法の培養上清と,本発明により調製した培養上清に含まれるTIMP2タンパク質及びHGFタンパク質の定量結果を表1,表2及び図5に示す。図5は,ELISA法を用いて測定されたTIMP2タンパク質(図5(a)及びHGFタンパク質(図5(b)の定量分析の結果を示す図面に代わるグラフである。Dayは培養日数を示す。
Figure 0006469287
Figure 0006469287
平面接着培養においては,過剰増殖に伴う細胞劣化により,TIMP2の分泌量はDay7の159.5 ng/mLを上限に濃度低下を示し,1週間を超える長期培養においては,回収される培養上清の品質低下が示唆された。一方,本発明による中空糸内腔に細胞を密閉し,培養液は中空糸外を流す新規な方式の中空糸培養においては,Day32に最大の分泌量である201.5 ng/mLに到達し,150 ng/mL以上の濃度で回収された期間は,Day21からDay50と非常に長期間となった。同様に,もう1つの指標としたHGFタンパク質に関しては,Day7の5,794 pg/mLを上限に濃度低下を示し,1週間を超える長期培養においては,回収される培養上清の品質低下が示唆された。一方,本発明による中空糸内腔に細胞を密閉し,培養液は中空糸外を流す新規な方式の中空糸培養においては,Day35に最大の分泌量である7,391 pg/mLに到達し,5,000 pg/mL以上の濃度で回収された期間は,Day21からDay50と非常に長期間となった。
このように,本発明によって,有効性因子を高濃度に含有する培養上清を,長期間継続回収可能とすることにより,培養上清の生産効率を産業化レベルに引き上げることを初めて実現した。
1.2.二本鎖DNA(dsDNA)定量
長期間の培養過程における細胞の健全性と細胞障害性を評価するために,細胞死により細胞外の培養液中に分泌されるdsDNA濃度を定量した。dsDNA定量には市販のキットをマニュアルに準じて使用した(QuantiFluor(登録商標) dsDNA System;Promega)。その結果を表3及び図6に示す。
Figure 0006469287
図6は,dsDNAの定量分析の結果を示す図面に代わるグラフである。T-150フラスコの平面接着培養においては,Day7以降顕著なdsDNA濃度の上昇を認め,細胞が過増殖により細胞死に至ることが示唆された。一方,本発明の中空糸培養による培養上清においては,Day50までの培養期間中に顕著なdsDNA濃度の上昇を認めなかったことにより,中空糸内の密閉空間で凝集体として増殖した間葉系幹細胞は,長期間の培養においても細胞の健全性を維持していることが確認された。
1.3.グルコース定量
細胞の主要なエネルギー源であるグルコースを,長期間の培養過程における培養液中の濃度変化を評価するために定量した。グルコース定量には市販のキットをマニュアルに準じて使用した(Glucose Colorimetric Assay Kit2;BioVision)。その結果を表4及び図7に示す。
Figure 0006469287
図7は,グルコースの定量分析の結果を示す図面に代わるグラフである。本発明の中空糸培養による培養上清において,Day50までの培養期間中,グルコースが完全に枯渇することはないものの,Day18以降は1 nmol/μL以下と低濃度で維持された。
本発明の産業上の利用用途は,医薬品や化粧品原料としての,培養上清の製造である。本発明の技術を活用することで,従来の接着培養方法による培養上清の製造と比較して,製造区域床面積の削減,製造要員の削減,製造単位あたりの製造規模の増大などが達成できる。これらにより,培養上清の製造原価の低減と製品価格の抑制,そして,最適で有効な製法開発の手段を与えるものである。

Claims (7)

  1. 培養上清を製造するための中空糸細胞培養装置用の中空糸フィルターモジュールであって,
    フィルターハウジング(1)と,
    前記フィルターハウジングの内部に存在する中空糸(3)であって,ポアサイズが5nm以上1μm以下であり,内腔を円形にした際の直径が,0.1mm以上1.6mm以下であり,前記中空糸(3)の第1及び第2の末端(4a,4b)は前記フィルターハウジング(1)の第1及び第2の端部(1a,1b)と接続されたものであり,前記中空糸(3)は細胞導入部(5)により内部に細胞が導入されるものと,
    前記細胞導入部(5)により前記中空糸(1)の内部に前記幹細胞が導入された後に,前記中空糸フィルターモジュールに装着されるための第1のエンドキャップ(6a)であって,前記幹細胞や培養液の移動が前記中空糸(3)の第1の末端(4a)の開口部を通じて生じないように,前記中空糸(3)の第1の末端(4a)と,前記フィルターハウジング(1)を密閉するための第1のエンドキャップ(6a)と,
    前記フィルターハウジング(1)と接続され,前記フィルターハウジングの内部に培養液を導入するための培養液導入部(7)であって,前記フィルターハウジングの内部に培養液を供給するための培養液供給路(8)と接続されるものと,
    前記フィルターハウジング(1)と接続され,前記フィルターハウジングの内部を経た培養上清を含む培養液を排出するための培養液排出部(9)であって,前記フィルターハウジングの内部の培養上清を含む培養液を排出するための培養排出路(10)と接続されるものと,
    前記幹細胞や培養液の移動が前記中空糸(3)の第2の末端(4b)の開口部を通じて生じないように,前記中空糸(3)の第2の末端(4b)と,前記フィルターハウジング(1)を密閉した第2のエンドキャップ(6b)を有し
    前記中空糸(3)の第1の末端(4a)及び前記中空糸(3)の第2の末端(4b)からは前記培養液が流入されず
    前記中空糸細胞培養装置は,前記中空糸(3)の内腔を前記幹細胞で閉塞させ,前記中空糸(3)外部に循環する培養液を前記中空糸(3)内部と交換させ,前記幹細胞により生じる培養上清を前記中空糸(3)外部へ移動させ,これにより,前記培養液排出部(9)から培養上清を含む培養液を排出させることができる,
    中空糸フィルターモジュール
  2. 請求項1に記載の中空糸細胞培養装置用の中空糸フィルターモジュールであって, 前記ポアサイズが0.1μm以上0.65μm以下である,中空糸フィルターモジュール
  3. 請求項1に記載の中空糸細胞培養装置用の中空糸フィルターモジュールであって,
    前記幹細胞は,間葉系幹細胞である,中空糸フィルターモジュール
  4. 請求項1に記載の中空糸細胞培養装置用の中空糸フィルターモジュールであって,
    前記細胞導入部(5)をさらに有し,
    前記細胞導入部(5)は,第1のエンドキャップ(6a)を連結する中空糸フィルターに対応した部位に設けられた空間体積を持つ円筒状の容積部であり,円筒状の容積部の一方の末端には,ガスケットを有した押し子が挿入され,円筒状の容積部のもう一方の末端は中空糸フィルターに連結され,押し子を中空糸フィルターの方向に押し込むことにより,細胞が中空糸フィルターの内腔に導入される,中空糸フィルターモジュール
  5. 請求項1に記載の中空糸細胞培養装置用の中空糸フィルターモジュールを含む培養上清を製造するための中空糸細胞培養装置であって,
    前記培養液導入部(7)に接続され,前記培養液導入部(7)に培養液を導入するための培養液供給路(8)と,
    前記培養液排出部(9)と接続され,前記培養液排出部(9)から排出される前記養上清を含む培養液を回収するための培養排出路(10)と,
    を含み,
    前記中空糸(3)の内腔を前記幹細胞で閉塞させ,前記中空糸(3)外部に循環する培養液を前記中空糸(3)内部と交換させ,前記幹細胞により生じる培養上清を前記中空糸(3)外部へ移動させ,これにより,前記培養液排出部(9)から培養上清を含む培養液を排出させ,前記培養上清を回収する,
    中空糸細胞培養装置。
  6. 請求項5に記載の中空糸細胞培養装置であって,前記培養液供給路(8)に設けられ,前記培養液導入部(7)を介して前記フィルターハウジング(1)内に培養液を送るための送液装置(11)をさらに有する,装置。
  7. 請求項5の装置を用いた培養上清の製造方法であって,
    前記中空糸(3)の内部に,前記細胞導入部(5)を介して間葉系幹細胞を導入する細胞導入工程と,
    前記細胞導入工程の後に,前記間葉系幹細胞や培養液の移動が前記中空糸(3)の第1の末端(4a)の開口部を通じて生じないように,第1のエンドキャップ(6a)を用いて前記中空糸(3)の第1の末端(4a)と,前記フィルターハウジング(1)を密閉する工程と,
    前記培養液導入部(7)を介して前記フィルターハウジング内部に,前記培養液を供給する培養液供給工程と,
    前記培養液排出部(9)から,前記フィルターハウジング内部の培養液を,排出する培養液排出工程と,
    前記培養液供給工程及び前記培養液排出工程を継続し,前記培養液導入部(7)を介して前記フィルターハウジング内部に前記培養液を供給し,前記フィルターハウジング内部の培養液を,排出しつつ,前記中空糸(3)の第1の末端(4a)及び前記中空糸(3)の第2の末端(4b)からは前記培養液が流入されない状態で,前記中空糸(3)の内部で前記間葉系幹細胞を培養する工程と,
    前記培養液排出工程により得られた排出液から培養上清を回収する培養上清回収工程と,
    を含む,間葉系幹細胞の培養上清の製造方法。
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