本発明について具体的に説明する。
[1.発光層形成用組成物]
本発明の発光層形成用組成物は、有機電界発光素子の発光層を塗布形成するための発光層形成用組成物である。該組成物は、第1成分として一般式(A)で表される化合物を含む少なくとも1種のホスト材料と、第2成分として少なくとも1種のドーパント材料と、第3成分として沸点180℃以上のベンゼン誘導体を含む少なくとも1種の溶媒とを含有する。
[1−1:第1成分である一般式(A)で表される化合物]
式(A)におけるQはそれぞれ独立して水素または直鎖及び分枝鎖のいずれでもよい炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
上記アルキルとしてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチルおよびt−ブチルがあげられる。好ましいQとしては水素、メチル、エチル、イソプロピルまたはt−ブチルであり、より好ましくは水素またはメチルであり、さらに好ましくは水素である。
式(A)におけるL1およびL2はそれぞれ独立して炭素数6〜14のアリーレンであって、前記アリーレンにおける少なくとも1つの水素は炭素数6〜12のアリールで置換されていてもよい。
上記アリーレンとしては、好ましくは炭素数6〜12のアリーレンであり、より好ましくは炭素数6〜10のアリーレンである。具体的なアリーレンとしては、(1,4−、1,3−または1,2−)フェニレン、ナフチレン(例えば1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、2,4−、2,6−または2,7−ナフチレン)、アセナフチレニレン、フルオレニレン(例えば2,7−フルオレニレン)、フェナレニレン、フェナントレニレンなどがあげられる。これらの中でも特に1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレンまたは2,7−ナフチレンが好ましい。
上記アリーレンに置換してもよいアリールとしては、好ましくは炭素数6〜10のアリールである。具体的なアリールとしては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチルなどがあげられる。これらの中でも特にフェニルが好ましい。
L1が複数の場合、L1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、L2が複数の場合、L2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。なお、後述するように、E1およびE2が共に式(FG)で表される基である場合、−(L1)m−および−(L2)m−は互いに異なる構造である。
mおよびnは、式(A)の化合物中のアリーレン基L1またはL2の数を表し、それぞれ独立して0〜4の整数であって、m+nは2〜5である。mおよびnは、それぞれ独立して0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1がさらに好ましい。m+nは2〜4が好ましく、2または3がより好ましい。なお、mおよびnの数は独立して決定できない場合もあり、m+nの最小値は2であるため、例えばmが0の場合は本来0〜4の整数から選択されるnが0となることはできず、実質的には2〜4の整数から選択され、下限値が制限される。同様にm+nの最大値は5であるため、mまたはnの上限値も一方の数値によってその上限が制限される。上述したmまたはnの好ましい数値範囲もまた同様に下限値や上限値が一方の数値によって制限される場合がある。
E1およびE2はそれぞれ独立して水素または上記式(FG)で表される基であり、式(FG)中のRはそれぞれ独立して水素または炭素数1または2のアルキルであり、*はL1およびL2との結合位置を示し、E1およびE2の少なくとも一方は式(FG)で表される基である。
Rである炭素数1または2のアルキルの具体例としては、メチル、エチルがあげられる。これらの中でもメチルがより好ましい。
分子の溶解性を改善するには、1)極性基の導入により、化合物−溶媒間の相互作用を強める、2)化合物間の相互作用小さくする、3)塩形・結晶形・粒子状態などを変える、などの方法がある。有機EL素子に関して言えば、1)素子駆動時に電圧を印加するため、分子に極性基を付与すると素子の特性が変化する場合もある。また、2)有機EL素子の特性は分子間の相互作用からも影響を受けており、分子間の相互作用の変化は素子特性に影響する場合もあるため、分子間の相互作用を利用するには非常に精密な分子設計が必要となる。さらには、3)有機EL素子では化合物の精製に昇華を用いる場合も多いため、結晶系等を制御することも基本的には難しい。
溶解性のみの観点から言えば、分子間の相互作用を妨げる置換位置により大きな置換基を導入すれば溶解性を上げることができる。置換位置については、フェニルのo位(オルト位)への導入が最も分子内および分子間の相互作用を妨げることができ、m位(メタ位)、p位(パラ位)の順序で相互作用は小さくなると考えられる。
しかし、o位への置換は、例え小さな置換基を導入したとしても、分子間相互作用のみならず分子自身の構造や軌道まで影響を及ぼし素子特性を変化させる場合がある。一方、p位では分子自身の構造には変化は与えにくいが、大きな置換基を用いなければ溶解性を変えることはできず、大きな置換基を用いた場合は、溶解性は改善されるが素子特性をも変化させる可能性がある。
したがって、素子特性に変化を与えず分子間の相互作用を妨げ溶解性を改善するには、フェニルのm位への小さな置換基の導入が適当である。目的が達成される範囲でフェニルのm位へ導入される置換基を選ぶことができ、例えば、炭素数1または2のアルキルがあげられ、分子内の相互作用や分子自身への影響という観点からメチル基が最も適当である。
次いで、m位にメチルまたはエチルを有するフェニル基の置換位置について述べる。溶解性のみの観点からいえば、m位にメチルまたはエチルを有するフェニル基は、分子内で最も平面性の高い構造のより近くに置換される場合に溶解性の改善の効果が大きく、平面性の高い構造から遠ざかるにつれ溶解性の改善の効果は小さくなると考えられる。分子間の相互作用に大きな寄与をしている構造の近くに、m位にメチルまたはエチルを有するフェニル基があることによって、分子間の相互作用を減ずる効果が大きいためであると考えられる。この「分子内で最も平面性の高い構造」とは、一般式(A)で表される化合物における例えばアントラセン骨格があげられるが、式(A)で表される化合物中には他の置換基も存在しうるため、これに限定されない。さらに、化合物の分子軌道の観点からいえば、HOMOまたは/およびLUMOの局在する構造から遠く離れた部位に、m位にメチルまたはエチルを有するフェニル基が置換される方が分子軌道への影響は小さい。この「HOMOまたは/およびLUMOの局在する構造」とは、一般式(A)で表される化合物における例えばアントラセン骨格があげられるが、式(A)で表される化合物中には他の置換基も存在しうるため、これに限定されない。
化合物の特性を大きく変化させずに溶解性を改善したい場合は、HOMOまたは/およびLUMOの局在する構造から離れた部位にm位にメチルまたはエチルを有するフェニル基があればよい。一方、溶解性を大きく改善したい場合は、平面性の高い構造に近接してメチルまたはエチルを有するフェニル基があればよい。
E1およびE2の少なくとも一方は式(FG)で表される基であって、E1およびE2の両方が式(FG)で表される基でもよいが、いずれか一方が式(FG)で表される基であることが好ましい。
式(FG)におけるRは水素の場合があるが、全てのRが水素になることはなく、式(A)中に含まれる少なくとも1つのRは炭素数1または2のアルキルである。
式(FG)で表される基としては、下記式(FG’)で表される、メタモノR置換フェニル基が好ましい。式(FG’)におけるRは炭素数1または2のアルキルであり、好ましくはメチルである。
式(A)の化合物としては、例えば下記式(A−11)、式(A−12)または式(A−13)で表される化合物があげられる。これらの化合物は、上記式(A)におけるE1が式(FG’)の基、E2が水素、mが0、アントラセンに結合する1つのL2がフェニレン基またはナフチレン基になった構造を有する。したがって、アリーレン基L2の数を表すnは「n−1」になっている。
各式中、Rは炭素数1または2のアルキルであり、L2およびnは上記式(A)における定義と同じである。
上記式(A−11)で表される化合物の中でも下記式(A-11.3)または式(A-11.4)で表される化合物が好ましく、上記式(A−12)で表される化合物の中でも下記式(A-12.4)で表される化合物が好ましく、上記式(A−13)で表される化合物の中でも下記式(A-13.6)または式(A-13.7)で表される化合物が好ましい。
また、式(A)の化合物としては、例えば下記式(A−21)、式(A−22)または式(A−23)で表される化合物があげられる。これらの化合物は、上記式(A)におけるE1が水素、E2が式(FG’)の基、アントラセンに結合する1つのL2がフェニレン基またはナフチレン基になった構造を有する。したがって、アリーレン基L2の数を表すnは「n−1」になっている。
各式中、Rは炭素数1または2のアルキルであり、L1、L2、mおよびnは上記式(A)における定義と同じである。
上記式(A−21)で表される化合物の中でも下記式(A-21.3.1)、式(A-21.3.2)、式(A-21.3.3)、式(A-21.4.1)、式(A-21.4.2)または式(A-21.4.3)で表される化合物が好ましく、上記式(A−22)で表される化合物の中でも下記式(A-22.4.1)、式(A-22.4.2)または式(A-22.4.3)で表される化合物が好ましく、上記式(A−23)で表される化合物の中でも下記式(A-23.6.1)、式(A-23.6.2)、式(A-23.6.3)、式(A-23.7.1)、式(A-23.7.2)または式(A-23.7.3)で表される化合物が好ましい。
式(A)で表される化合物の具体例としては以下のものがあげられる。
一般式(A)で表されるアントラセン誘導体の合成方法
一般式(A)で表される機能性官能基団を有するアントラセン誘導体は、公知の方法によりハロゲン化アリール誘導体とアントラセン誘導体ボロン酸を出発原料として、またはハロゲン化アリールボロン酸誘導体とハロゲン化アントラセンを出発物質として、鈴木・宮浦カップリング、熊田・玉尾・コリューカップリング、根岸カップリング、ハロゲン化反応、またはホウ酸化反応を適宜組み合わせて合成することができる。
鈴木−宮浦カップリングにおけるハロゲン化物とボロン酸誘導体は、その反応性官能基は適宜入れ替わってもよく、熊田・玉尾・コリューカップリングや根岸カップリングにおいても同様にそれらの反応に関わる官能基は入れ替わっていてもよい。またGrignard試薬に変換する場合には金属マグネシウムとイソプロピルグリニア試薬は適宜入れ替えてもよい。ボロン酸エステルはそのまま使用してもよく、あるいは酸で加水分解してボロン酸として使用してもよい。ボロン酸エステルとして用いる場合には、そのエステル部分のアルキル基は例示した以外のアルキル基も用いることができる。
反応で用いられるパラジウム触媒の具体例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):Pd(PPh3)4、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド:PdCl2(PPh3)2、酢酸パラジウム(II):Pd(OAc)2、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0):Pd2(dba)3、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体:Pd2(dba)3・CHCl3、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0):Pd(dba)2、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0):Pd(t−Bu3P)2、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II):Pd(dppf)Cl2、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(1:1):Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2、PdCl2{P(t−Bu)2−(p−NMe2−Ph)}2:(A−taPhos)2PdCl2、パラジウム ビス(ジベンジリデン)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、PdCl2[P(t−Bu)2−(p−NMe2−Ph)]2:(A−taPhos)2PdCl2(Pd−132:商標;ジョンソン・マッセイ社製)があげられる。
また、反応を促進させるため、場合によりこれらのパラジウム化合物にホスフィン化合物を加えてもよい。そのホスフィン化合物の具体例としては、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、または2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルがあげられる。
反応で用いられる塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸三カリウム、またはフッ化カリウムがあげられる。
また、反応で用いられる溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、アニソール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、シクロペンチルメチルエーテルまたはイソプロピルアルコールがあげられる。これらの溶媒は適宜選択でき、単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。
[1−2:第2成分であるドーパント材料]
第2成分であるドーパント材料としては、本発明の目的から外れない限りにおいて、発光層に用いられるドーパント材料として一般に公知のものを使用できるが、特に以下に説明する、一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)、(1J)または(1K)で表されるベンゾフルオレン化合物(アリールアミノ基が置換した縮合芳香族化合物)、一般式(2A)、(2B)または(2C)で表される、アリール基が置換したアントラセン誘導体、アリールアミノ基が置換したスチルベン誘導体、ならびに、ホウ素原子および窒素原子もしくは酸素原子を有する多環芳香族化合物が好ましい。
[1−2(1):一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物]
(式(1A)中、
Ar1及びAr2は、置換されていてもよいアリールであり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル又は置換されていてもよいアリールであり、R1及びR2のうちの少なくとも1つは置換されていてもよいアリールであり、そして、
式(1A)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
一般式(1A)のAr1,Ar2,R1及びR2における「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられる。Ar1及びAr2の「アリール」としては、好ましくは炭素数6〜16のアリール、より好ましくは炭素数6〜12のアリールである。R1及びR2の「アリール」としては、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるターフェニリル(m−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−4’−イル、m−ターフェニル−5’−イル、o−ターフェニル−3’−イル、o−ターフェニル−4’−イル、p−ターフェニル−2’−イル、m−タ−フェニル−2−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−4−イル、o−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−3−イル、o−ターフェニル−4−イル、p−ターフェニル−2−イル、p−ターフェニル−3−イル、p−ターフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
Ar1及びAr2における、特に好ましい「アリール」は、フェニル及び4−ビフェニリルであり、Ar1及びAr2が同じであっても異なっていてもよく、好ましくはAr1及びAr2が同じである。Ar1及びAr2がアリールであると、一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物の剛直性が増し、耐熱性が優れ、寿命が長くなる特徴がある。
R1及びR2における、特に好ましい「アリール」は、フェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル及びフェナントリルであり、これらの中でも、フェニル、4−ビフェニリル、1−ナフチル、2−ナフチルが好ましい。また、R1及びR2が同じであっても異なっていてもよく、好ましくはR1及びR2が同じである。R1及びR2がアリールであると、一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物の耐熱性、発光効率、および寿命が優れる特徴がある。
一般式(1A)のR1及びR2における「置換されていてもよいアルキル」の「アルキル」としては、直鎖及び分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキル又は炭素数3〜24の分枝鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
一般式(1A)のR1及びR2における「置換されていてもよいシクロアルキル」の「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル又はジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
一般式(1A)のAr1,Ar2,R1及びR2における「置換基」としては、アルキル、シクロアルキル、アリールがあげられるが、これらの好ましいものとしては、それぞれ、R1及びR2における「アルキル」の欄で説明したもの、R1及びR2における「シクロアルキル」の欄で説明したもの、Ar1,Ar2,R1及びR2における「アリール」の欄で説明したものと同様のものがあげられる。
Ar1,Ar2,R1及びR2における「置換基」として、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、t−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシルなどのアルキル;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどのシクロアルキル;フェニル、ビフェニリル、ナフチル、ターフェニリル、フェナントリルなどのアリール;メチルフェニル、エチルフェニル、s−ブチルフェニル、t−ブチルフェニル、1−メチルナフチル、2−メチルナフチル、1,6−ジメチルナフチル、2,6−ジメチルナフチル、4−t−ブチルナフチルなどのアルキルアリールなどがあげられる。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、更に好ましくは0個(無置換)である。
また、一般式(1A)で表される化合物を構成する、ベンゾフルオレン骨格における水素、置換基R1、R2、Ar1及びAr2における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[12]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[2] Ar1及びAr2は、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールであり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜24のアルキル、置換されていてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル又は置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールであり、R1及びR2のうちの少なくとも1つは置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールであり、そして、
Ar1、Ar2、R1及びR2における置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル又は炭素数6〜30のアリールである、
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[3] Ar1及びAr2は、置換されていてもよい炭素数6〜16のアリールであり、
R1及びR2は、置換されていてもよい炭素数6〜24のアリールであり、そして、
Ar1、Ar2、R1及びR2における置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル又は炭素数6〜20のアリールである、
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[4] Ar1及びAr2は、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、
R1及びR2は、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールであり、そして、
Ar1、Ar2、R1及びR2における置換基は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリル又はナフチルである、
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[5] Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、フェニル又はビフェニリルであり、そして、
R1及びR2は、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル又はフェナントリルである、
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[6] Ar1及びAr2は、置換されていてもよい炭素数6〜16のアリールであり、
R1及びR2は、一方が水素であり、他方が置換されていてもよい炭素数6〜24のアリールであり、そして、
Ar1、Ar2、R1及びR2における置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル又は炭素数6〜20のアリールである、
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[7] Ar1及びAr2は、置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、
R1及びR2は、一方が水素であり、他方が置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールであり、そして、
Ar1、Ar2、R1及びR2における置換基は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリル又はナフチルである、
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[8] Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、フェニル又はビフェニリルであり、そして、
R1及びR2は、一方が水素であり、他方がフェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル又はフェナントリルである、
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[9] Ar1及びAr2はフェニルであり、
R1は4−ビフェニリルであり、R2は4−ビフェニリルである、
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[10] Ar1及びAr2はフェニルであり、
R1は2−ナフチルであり、R2は2−ナフチルである、
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[11] Ar1及びAr2はフェニルであり、
R1は4−ビフェニリルであり、R2は2−ナフチルである、
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[12] Ar1及びAr2はフェニルであり、
R1は2−ナフチルであり、R2は4−ビフェニリルである、
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1A)で表される化合物の、更なる具体例としては、例えば、下記式(1-1)〜(1-86)で表される化合物があげられる。下記化合物の中でも、特に、下記式(1-1)、式(1-3)、式(1-4)、式(1-7)、式(1-12)、式(1-13)、式(1-14)、式(1-19)、式(1-23)、式(1-24)、式(1-29)、式(1-31)、式(1-33)、式(1-34)、式(1-41)、式(1-43)、式(1-44)、式(1-49)、式(1-51)、式(1-53)、式(1-54)、式(1-59)、式(1-61)、式(1-63)、式(1-64)、式(1-65)、式(1-84)及び式(1-86)で表される化合物が好ましい。さらに下記式(1-1)、式(1-4)、式(1-7)、式(1-12)、式(1-13)、式(1-14)、式(1-24)、式(1-29)、式(1-31)、式(1-34)、式(1-44)、式(1-59)、式(1-61)、式(1-63)及び式(1-65)で表される化合物がより好ましい。
[1−2(2):一般式(1B)で表されるベンゾフルオレン化合物]
(式(1B)中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換シリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、またはフッ素であり、
mおよびnは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、
R3は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、2つのR3が結合して環を形成していてもよく、
ただし、最大20のR1およびR2のうちの少なくとも1つはパラ置換の置換シリルであり、また、式(1B)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
一般式(1B)のR1、R2およびR3における「置換されていてもよいアルキル」の「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
一般式(1B)のR1、R2およびR3における「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられる。好ましい「アリール」は炭素数6〜16のアリールであり、より好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
R1、R2およびR3における、特に好ましい「アリール」は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチルおよびフェナントリルであり、これらの中でも、フェニル、4−ビフェニリル、1−ナフチル、2−ナフチルが好ましい。
一般式(B1)のR1、R2およびR3における「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられる。好ましい「ヘテロアリール」は、炭素数2〜25のヘテロアリールであり、より好ましくは炭素数2〜20のヘテロアリールであり、さらに好ましくは炭素数2〜15のヘテロアリールであり、特に好ましくは炭素数2〜10のヘテロアリールである。
また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられ、例えば、芳香族複素環などがあげられる。
「複素環」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニルなどがあげられ、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
「芳香族複素環」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられ、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
一般式(1B)のR1およびR2における「置換されていてもよいシクロアルキル」の「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
一般式(1B)のR1およびR2における「置換シリル」としては、シリルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルなどで置換されているものが挙げられる。
具体的な「置換シリル」としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリi−プロピルシリル、トリブチルシリル、トリsec−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、i−プロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、sec−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、i−プロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、sec−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、sec−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、メチルジi−プロピルシリル、エチルジi−プロピルシリル、ブチルジi−プロピルシリル、sec−ブチルジi−プロピルシリル、t−ブチルジi−プロピルシリルなどのトリアルキルシリルが挙げられる。また、フェニルジメチルシリル、フェニルジエチルシリル、フェニルジt−ブチルシリル、メチルジフェニルシリル、エチルジフェニルシリル、プロピルジフェニルシリル、i−プロピルジフェニルシリル、ブチルジフェニルシリル、sec−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。
一般式(1B)のR1、R2およびR3における「置換されていてもよい〜」の置換基としては、アルキル、シクロアルキル、アリール、フッ素があげられるが、これらの好ましいものとしては、それぞれ、R1、R2およびR3における「アルキル」の欄で説明したもの、R1およびR2における「シクロアルキル」の欄で説明したもの、R1、R2およびR3における「アリール」の欄で説明したものがあげられる。
R1、R2およびR3には「置換基」がないのが好ましいが、置換基を有する場合には、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、t−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシルなどのアルキル;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどのシクロアルキル;フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、フェナントリルなどのアリール;メチルフェニル、エチルフェニル、s−ブチルフェニル、t−ブチルフェニル、1−メチルナフチル、2−メチルナフチル、1,6−ジメチルナフチル、2,6−ジメチルナフチル、4−t−ブチルナフチルなどのアルキルアリール;フッ素などがあげられる。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個である。
また、R1、R2およびR3における水素は、全てまたは一部が重水素であってもよい。
なお、R1およびR2は同じであっても異なっていてもよいが、R1およびR2は同じであることが好ましい。また、2つのR3は同じであっても異なっていてもよいが、2つのR3は同じであることが好ましい。また、2つのR3は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ縮合していてもよい。
本発明において重要なことは、一般式(1B)における最大20個のR1およびR2のうちの少なくとも1つはパラ置換の置換シリルが選択されることである。パラ置換とは、一般式(1B)中のジフェニルアミノのフェニルにおいて窒素結合位置を基準としたパラ位に置換することである。またメタ置換とは同様にフェニルにおいて窒素結合位置を基準としたメタ位に置換することである。
好ましくは、ベンゾフルオレン化合物中の2つのジフェニルアミノのそれぞれに置換シリルが2つずつパラ置換することである(化合物中に合計4つのパラ置換のシリル)。また、好ましくは、ベンゾフルオレン化合物中の2つのジフェニルアミノのそれぞれに置換シリルが1つずつパラ置換することである(化合物中に合計2つのパラ置換のシリル)。なお、ベンゾフルオレン化合物中の2つのジフェニルアミノのそれぞれに置換シリルが1つずつパラ置換した場合、この置換シリルが結合していない残りの2つのフェニルには、例えば、それぞれアルキルが置換する場合や、それぞれ無置換の場合や、それぞれ置換シリルがメタ置換する場合などがありえる。
また、一般式(1B)で表されるベンゾフルオレン化合物を構成する、ベンゾフルオレン骨格における水素やジフェニルアミノのフェニルにおける水素の、全てまたは一部が重水素であってもよい。重水素化されている場合、ジフェニルアミノのフェニルにおける水素が重水素化されていることが好ましく、ジフェニルアミノのフェニルのうちR1またはR2が全て水素であるフェニル(すなわち無置換のフェニル)における水素が重水素化されていることがさらに好ましい。
上記一般式(1B)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[14]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[2] 下記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
(式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキルまたは置換シリルであり、
nは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、
R3は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、
ただし、最大12のR1およびR2のうちの少なくとも1つはパラ置換の置換シリルであり、また、式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
[3] R1は、それぞれ独立して、置換シリルであり、
R2は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキルまたは置換シリルであり、
nは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、そして、
R3は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、
ベンゾフルオレン化合物の2つの窒素に結合する4つのフェニルにおける少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[4] R1およびR2は、それぞれ独立して、置換シリルであり、
nは1であり、
R3は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜24のアルキルまたは置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールであり、そして、
R1、R2およびR3における置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜16のアリールであり、
ベンゾフルオレン化合物の2つの窒素に結合する4つのフェニルにおける少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[5] R1は、それぞれ独立して、置換シリルであり、
R2は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜24のアルキルであり、
nは1または2であり、
R3は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜24のアルキルまたは置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールであり、
R1における置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜16のアリールであり、
R2における置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数6〜16のアリールまたはフッ素であり、そして、
R3における置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜16のアリールであり、
ベンゾフルオレン化合物の2つの窒素に結合する4つのフェニルにおける少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[6] R1は、それぞれ独立して、置換シリルであり、
R2は水素であり、
R3は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜24のアルキルまたは置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールであり、
R1における置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜16のアリールであり、そして、
R3における置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜16のアリールであり、
ベンゾフルオレン化合物の2つの窒素に結合する4つのフェニルにおける少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[7] R1は、それぞれ独立して、置換シリルであり、
R2は、それぞれ独立して、パラ置換の置換シリルであり、nは1であり、
R3は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキルまたは置換されていてもよい炭素数6〜16のアリールであり、そして、
R1、R2およびR3における置換基は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[8] R1は、それぞれ独立して、置換シリルであり、
R2は、それぞれ独立して、メタ置換の置換シリルであり、nは1であり、
R3は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキルまたは置換されていてもよい炭素数6〜16のアリールであり、そして、
R1、R2およびR3における置換基は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[9] R1は、それぞれ独立して、置換シリルであり、
R2は、それぞれ独立して、パラ置換またはメタ置換の、置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキルであり、nは1または2であり、
R3は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキルまたは置換されていてもよい炭素数6〜16のアリールであり、
R1における置換基は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルであり、
R2における置換基は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリル、ナフチルまたはフッ素であり、そして、
R3における置換基は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[10] R1は、それぞれ独立して、置換シリルであり、
R2は水素であり、該水素の少なくとも1つが重水素で置換されていてもよく、
R3は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキルまたは置換されていてもよい炭素数6〜16のアリールであり、
R1における置換基は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルであり、そして、
R3における置換基は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[11] R1は、それぞれ独立して、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはジメチルモノt−ブチルシリルであり、
R2は、それぞれ独立して、パラ置換の、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはジメチルモノt−ブチルシリルであり、nは1であり、そして、
R3は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[12] R1は、それぞれ独立して、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはジメチルモノt−ブチルシリルであり、
R2は、それぞれ独立して、メタ置換の、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはジメチルモノt−ブチルシリルであり、nは1であり、そして、
R3は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[13] R1は、それぞれ独立して、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはジメチルモノt−ブチルシリルであり、
R2は、パラ置換またはメタ置換の、メチル、エチル、i−プロピルまたはt−ブチルであり、nは1または2であり、そして、
R3は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[14] R1は、それぞれ独立して、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはジメチルモノt−ブチルシリルであり、
R2は水素であり、そして、
R3は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである、
上記一般式(1B’)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1B)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−96)で表される化合物があげられる。下記化合物の中でも、特に、下記式(1−1)、式(1−3)、式(1−5)、式(1−6)、式(1−20)、式(1−25)、式(1−26)、式(1−29)、式(1−30)、式(1−32)、式(1−40)、式(1−60)、式(1−62)、式(1−80)、式(1−88)、式(1−91)、式(1−94)、式(1−100)、式(1−101)、式(1−102)、式(1−103)、式(1−110)で表される化合物が好ましい。
[1−2(3):一般式(1C)で表されるベンゾフルオレン化合物]
(式(1C)中、
R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはシクロアルキルであり、R1、R2、R3およびR4のすべてが水素になることはなく、
R5およびR6は、それぞれ独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはシクロアルキルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、2以上の場合には、2つ以上のR5同士または2つ以上のR6同士が結合して環を形成していてもよく、
R7は、それぞれ独立して、アルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよいアリールであり、2つのR7が結合して環を形成していてもよく、そして、
式(1C)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
一般式(1C)のR1、R2、R3およびR4における「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)があげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
一般式(1C)のR5、R6およびR7における「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
R1、R2、R3およびR4における「アルキル」は、フェニルのオルト位に結合する置換基であるため、合成上の観点からは、R5、R6およびR7のものと比較すると炭素数が少ないアルキルが好ましい。
一般式(1C)のR1、R2、R3およびR4における「アリール」としては、例えば、炭素数6〜16のアリールがあげられる。好ましい「アリール」は炭素数6〜12のアリールである。
一般式(1C)のR5、R6およびR7における「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられる。好ましい「アリール」は炭素数6〜16のアリールであり、より好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
R1、R2、R3およびR4における「アリール」は、フェニルのオルト位に結合する置換基であるため、合成上の観点からは、R5、R6およびR7のものと比較すると炭素数が少ないアリールが好ましい。
R7における「アリール」は炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよく、この場合の置換基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルがあげられ、メチルが好ましい。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個であるが、「置換基」がないのが好ましい。
一般式(1C)のR1、R2、R3およびR4における「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜15のヘテロアリールがあげられる。好ましい「ヘテロアリール」は炭素数2〜10のヘテロアリールである。また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられ、例えば、芳香族複素環などがあげられる。
一般式(1C)のR5およびR6における「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられる。好ましい「ヘテロアリール」は、炭素数2〜25のヘテロアリールであり、より好ましくは炭素数2〜20のヘテロアリールであり、さらに好ましくは炭素数2〜15のヘテロアリールであり、特に好ましくは炭素数2〜10のヘテロアリールである。また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられ、例えば、芳香族複素環などがあげられる。
「複素環」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニルなどがあげられ、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
「芳香族複素環」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられ、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
R1、R2、R3およびR4における「ヘテロアリール」は、フェニルのオルト位に結合する置換基であるため、合成上の観点からは、R5、R6およびR7のものと比較すると環を構成する原子数が少ないヘテロアリールが好ましい。
一般式(1C)のR1、R2、R3、R4、R5およびR6における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
R1、R2、R3およびR4における「シクロアルキル」は、フェニルのオルト位に結合する置換基であるため、合成上の観点からは、R5およびR6のものと比較すると炭素数が少ないシクロアルキルが好ましい。
R1、R2、R3およびR4としては水素も選択されるが、R1、R2、R3およびR4のすべてが水素になることはなく、一般式(1C)で表される化合物は、ジフェニル置換アミノのいずれかのフェニルのオルト位に必ず水素以外の基が置換している。好ましい形態としては、例えば、R2、R3およびR4が水素でありR1のみが何らかの置換基である形態、R3およびR4が水素でありR1およびR2が何らかの置換基である形態、R2およびR4が水素でありR1およびR3が何らかの置換基である形態などがあげられる。また、ベンゾフルオレン骨格に結合する2つのジフェニル置換アミノにおいて、例えばそれぞれのR1(R2、R3またはR4も同様)は同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくはn1およびn2は共に0または1である。また、n1またはn2が2以上の場合には、2つ以上のR5同士または2つ以上のR6同士が結合して環を形成していてもよく、形成してできた環としては具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂肪族環やベンゼンなどの芳香族環があげられる。
2つのR7は同じであっても異なっていてもよいが、2つのR7は同じであることが好ましい。また、2つのR7は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ縮合していてもよい。
また、一般式(1C)で表される化合物を構成する、ベンゾフルオレン骨格における水素、置換基R1〜R7における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
上記一般式(1C)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[9]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[2] R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、または炭素数3〜6のシクロアルキルであり、
R2、R3およびR4は、水素であり、
R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、または炭素数3〜6のシクロアルキルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
R7は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールである、
上記一般式(1C)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[3] R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、または炭素数3〜6のシクロアルキルであり、
R3およびR4は、水素であり、
R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、または炭素数3〜6のシクロアルキルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
R7は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールである、
上記一般式(1C)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[4] R1およびR3は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、または炭素数3〜6のシクロアルキルであり、
R2およびR4は、水素であり、
R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、または炭素数3〜6のシクロアルキルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
R7は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールである、
上記一般式(1C)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[5] R1は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
R2、R3およびR4は、水素であり、
R5およびR6は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
R7は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、または、メチルで置換されていてもよいフェニルである、
上記一般式(1C)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[6] R1およびR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
R3およびR4は、水素であり、
R5およびR6は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、
R7は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、または、メチルで置換されていてもよいフェニルである、
上記一般式(1C)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[7] R1およびR3は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
R2およびR4は、水素であり、
R5およびR6は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、
R7は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、または、メチルで置換されていてもよいフェニルである、
上記一般式(1C)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[8] R1は、共に、メチル、エチル、i−プロピル、またはt−ブチルであり、
R2、R3およびR4は、水素であり、
R5およびR6は、共に、メチル、エチル、i−プロピル、またはt−ブチルであり、
n1およびn2は、共に、0または1であり、
R7は、共に、メチル、エチルまたはフェニルである、
上記一般式(1C)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[9] 下記式(1−53)、式(1−13)または式(1−63)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1C)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(1−1)〜式(1−72)で表される化合物があげられる。下記化合物の中でも、下記式(1−1)、式(1−3)、式(1−5)〜式(1−7)、式(1−11)〜式(1−15)、式(1−17)〜式(1−19)、式(1−23)、式(1−24)、式(1−38)〜式(1−40)、式(1−49)、式(1−51)、式(1−53)、式(1−54)、式(1−58)、式(1−63)、式(1−64)、式(1−66)、式(1−67)、式(1−70)で表される化合物が好ましく、下記式(1−1)、式(1−5)、式(1−6)、式(1−7)、式(1−11)〜式(1−15)、式(1−17)〜式(1−19)、式(1−23)、式(1−24)、式(1−53)、式(1−63)、式(1−67)で表される化合物がさらに好ましい。
[1−2(4):一般式(1D)で表されるベンゾフルオレン化合物]
(式(1D)中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、アルキル、置換シリル、アリール、ヘテロアリール、またはシクロアルキルであり、
m1およびm2は、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、2以上の場合には、2つ以上のR1同士または2つ以上のR2同士が結合して環を形成していてもよく、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0または1であり、n1およびn2のすべてが0になることはなく、
1つのフェニルにおけるm1とn1との合計またはm2とn2との合計は5以下であり、
R3は、それぞれ独立して、アルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよいアリールであり、2つのR3がアルキルの場合は2つのR3同士が結合して環を形成していてもよく、そして、
式(1D)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
一般式(1D)のR1、R2およびR3における「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
一般式(1D)のR1およびR2における「置換シリル」としては、シリルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルなどで置換されているものが挙げられる。
具体的な「置換シリル」としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリi−プロピルシリル、トリブチルシリル、トリsec−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、i−プロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、sec−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、i−プロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、sec−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、sec−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、メチルジi−プロピルシリル、エチルジi−プロピルシリル、ブチルジi−プロピルシリル、sec−ブチルジi−プロピルシリル、t−ブチルジi−プロピルシリルなどのトリアルキルシリルが挙げられる。また、フェニルジメチルシリル、フェニルジエチルシリル、フェニルジt−ブチルシリル、メチルジフェニルシリル、エチルジフェニルシリル、プロピルジフェニルシリル、i−プロピルジフェニルシリル、ブチルジフェニルシリル、sec−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。
一般式(1D)のR1、R2およびR3における「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられる。好ましい「アリール」は炭素数6〜16のアリールであり、より好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
R3における「アリール」は炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよく、この場合の置換基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルがあげられ、メチルが好ましい。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個であるが、「置換基」がないのが好ましい。
一般式(1D)のR1およびR2における「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられる。好ましい「ヘテロアリール」は、炭素数2〜25のヘテロアリールであり、より好ましくは炭素数2〜20のヘテロアリールであり、さらに好ましくは炭素数2〜15のヘテロアリールであり、特に好ましくは炭素数2〜10のヘテロアリールである。また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられ、例えば、芳香族複素環などがあげられる。
「複素環」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニルなどがあげられ、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
「芳香族複素環」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられ、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
一般式(1D)のR1およびR2における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
n1およびn2は、それぞれ独立して0または1であるが、n1およびn2のすべてが0になることはなく、一般式(1D)で表されるベンゾフルオレン化合物には必ず1つのシアノが置換している。一般式(1D)において、2つのn1(または2つのn2)が異なっていたり(中心のベンゾフルオレン環の左右でシアノの置換数が異なる)、n1とn2が異なっていたり(1つのビフェニルアミノにおける各フェニルでシアノの置換数が異なる)していてもよいが、一般式(1D)において、2つのn1(または2つのn2)が同じであることが好ましい。n1とn2との関係については、同じであっても異なっていてもよいが、下記一般式(1D−X)や一般式(1D−Y)や一般式(1D−Z)で表されるように、n1が1でn2が0であることが好ましい。また、フェニルへのシアノの置換位置については、オルト位、メタ位またはパラ位のいずれでもよいが、好ましくはメタ位またはパラ位である。下記一般式(1D−X)、一般式(1D−Y)および一般式(1D−Z)において、R1〜R3は式(1D)の定義と同じである。
m1およびm2はそれぞれ独立して0〜5の整数である。一般式(1D−X)や一般式(1D−Y)や一般式(1D−Z)で表されるようにn1が1でn2が0の場合には、m1とm2の好ましい数は異なり、シアノが置換するフェニルへの置換数(m1)は比較的少ない方が好ましい。このような場合、好ましいm1は0〜3の整数、より好ましいm1は0〜2の整数、さらに好ましいm1は0であり、好ましいm2は0〜3の整数、より好ましいm2は0〜2の整数、さらに好ましいm2は1または2である。また、一般式(1D)において、2つのm1(または2つのm2)が異なって(中心のベンゾフルオレン環の左右でR1またはR2の置換数が異なる)いてもよいが、一般式(1D)において、2つのm1(または2つのm2)が同じであることが好ましい。また、フェニルへのR1またはR2の置換位置については、オルト位、メタ位またはパラ位のいずれでもよいが、好ましくはメタ位またはパラ位であり、置換数が1つの場合にはパラ位がより好ましい。
また、2つ以上のR1同士または2つ以上のR2同士が結合して環を形成していてもよく、形成してできた環としては具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂肪族環や、ベンゼンなどの芳香族環があげられる。
2つのR3は同じであっても異なっていてもよいが、2つのR3は同じであることが好ましい。また、2つのR3がアルキルの場合は2つのR3同士は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの脂肪族環がスピロ縮合していてもよい。
また、一般式(1D)で表される化合物を構成する、ベンゾフルオレン環における水素、ベンゾフルオレン環に置換するジフェニルアミノや、R1、R2またはR3における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
上記一般式(1D)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[8]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[2] 上記一般式(1D−X)で表されるベンゾフルオレン化合物。
(式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜6のアルキルが置換したシリル、炭素数6〜16のアリールまたは炭素数3〜12のシクロアルキルであり、
m1は、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、2以上の場合には、2つ以上のR2同士が結合して環を形成していてもよく、
R3は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、または炭素数6〜16のアリールであり、2つのR3がアルキルの場合は2つのR3同士が結合して炭素数3〜6の脂肪族環を形成していてもよい。)
[3] 上記一般式(1D−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
(式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜6のアルキルが置換したシリル、炭素数6〜16のアリールまたは炭素数3〜12のシクロアルキルであり、
m1は、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、2以上の場合には、2つ以上のR2同士が結合して環を形成していてもよく、
R3は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、または炭素数6〜16のアリールであり、2つのR3がアルキルの場合は2つのR3同士が結合して炭素数3〜6の脂肪族環を形成していてもよい。)
[4] 上記一般式(1D−Z)で表されるベンゾフルオレン化合物。
(式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜6のアルキルが置換したシリル、炭素数6〜16のアリールまたは炭素数3〜12のシクロアルキルであり、
m1は、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、2以上の場合には、2つ以上のR2同士が結合して環を形成していてもよく、
R3は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、または炭素数6〜16のアリールであり、2つのR3がアルキルの場合は2つのR3同士が結合して炭素数3〜6の脂肪族環を形成していてもよい。)
[5] R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルキルが置換したトリアルキルシリル、炭素数6〜12のアリールまたは炭素数3〜6のシクロアルキルであり、
m1は、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、2以上の場合には、2つ以上のR2同士が結合して脂肪族環または芳香族環を形成していてもよく、
R3は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数6〜12のアリールであり、2つのR3がアルキルの場合は2つのR3同士が結合してシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成していてもよい、
上記一般式(1D−X)、上記一般式(1D−Y)、または上記一般式(1D−Z)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[6] R1およびR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルモノt−ブチルシリル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルであり、
m1およびm2は、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、
R3は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである、
上記一般式(1D−X)、上記一般式(1D−Y)、または上記一般式(1D−Z)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[7] R1は、共に、メチル、エチル、i−プロピル、sec−ブチルまたはt−ブチルであり、
R2は、共に、メチル、エチル、i−プロピル、sec−ブチル、t−ブチル、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはフェニルであり、
m1は0または1であり、m2は0、1または2であり、
R3は、共に、メチル、エチル、i−プロピル、sec−ブチル、t−ブチルまたはフェニルである、
上記一般式(1D−X)、上記一般式(1D−Y)、または上記一般式(1D−Z)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[8] 下記式(1−1)、式(1−4)、式(1−6)、式(1−10)、式(1−12)、式(1−18)、式(1−60)、式(1−74)、または式(1−73)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1D)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(1−1)〜式(1−74)で表される化合物があげられる。下記化合物の中でも、下記式(1−1)〜式(1−20)、式(1−31)〜式(1−38)、式(1−41)〜(1−50)、式(1−52)〜式(1−60)、式(1−73)または式(1−74)で表される化合物が好ましく、下記式(1−1)〜(1−20)、式(1−33)〜(1−38)、式(1−43)〜(1−47)、式(1−50)、式(1−52)〜式(1−54)、式(1−73)または式(1−74)で表される化合物がさらに好ましい。
[1−2(5):一般式(1E)で表されるベンゾフルオレン化合物]
(式(1E)中、
R1は、それぞれ独立して、アルキル、置換シリル、アリール、ヘテロアリール、またはシクロアルキルであり、
mは、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、1つのフェニルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合して脂肪族環またはベンゼン環を形成していてもよく、
4つのnのうちの1つは1であって、残りの3つは0であり、
1つのフェニルにおけるmとnの合計は5以下であり、
R2は、それぞれ独立して、アルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよいアリールであり、2つのR2同士が結合して環を形成していてもよく、そして、
式(1E)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
一般式(1E)のR1およびR2における「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル(i−Pr)、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル(t−Bu)、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
一般式(1E)のR1における「置換シリル」としては、シリルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルなどで置換されているものが挙げられる。
具体的な「置換シリル」としては、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリブチルシリル、トリs−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、s−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、イソプロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、s−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、s−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、エチルジイソプロピルシリル、ブチルジイソプロピルシリル、s−ブチルジイソプロピルシリル、t−ブチルジイソプロピルシリルなどのトリアルキルシリルが挙げられる。また、フェニルジメチルシリル、フェニルジエチルシリル、フェニルジt−ブチルシリル、メチルジフェニルシリル、エチルジフェニルシリル、プロピルジフェニルシリル、イソプロピルジフェニルシリル、ブチルジフェニルシリル、s−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。
一般式(1E)のR1およびR2における「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられる。好ましい「アリール」は炭素数6〜16のアリールであり、より好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
R2における「アリール」は炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよく、この場合の置換基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルがあげられ、メチルが好ましい。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個であるが、「置換基」がないのが好ましい。
一般式(1E)のR1における「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられる。好ましい「ヘテロアリール」は、炭素数2〜25のヘテロアリールであり、より好ましくは炭素数2〜20のヘテロアリールであり、さらに好ましくは炭素数2〜15のヘテロアリールであり、特に好ましくは炭素数2〜10のヘテロアリールである。また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられ、例えば、芳香族複素環などがあげられる。
「複素環」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニルなどがあげられ、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
「芳香族複素環」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられ、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
一般式(1E)のR1における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。R2における具体的なシクロアルキルとしては、これらのうち炭素数3〜6のものがあげられる。
特に、R2については、アリールよりもアルキルの方が短い発光波長になる傾向があるため、青色発光を目的とする場合には、アルキルの方が好ましい。このアルキルとしては上述するものであればいずれでもよいが、特にメチルが好ましい。
一般式(1E)で表されるベンゾフルオレン化合物に存在する4つのnのうちの1つは1であって、残りの3つは0であり、一般式(1E)で表されるベンゾフルオレン化合物には1つのシアノが置換している。この1つのシアノがどのフェニルに置換するかによって下記式(1E−X)で表される化合物または下記式(1E−Y)で表される化合物に分類される。また、フェニルへのシアノの置換位置については、オルト位、メタ位またはパラ位のいずれでもよいが、好ましくはメタ位またはパラ位である。下記一般式(1E−X)および一般式(1E−Y)において、R1およびR2は式(1E)の定義と同じである。
mはそれぞれ独立して0〜5の整数であるが、シアノが置換するフェニルへのR1の置換数は比較的少ない方が好ましい。シアノが置換するフェニルへのR1の置換数については、好ましいmは0〜3の整数、より好ましいmは0〜2の整数、さらに好ましいmは0である。また、シアノが置換していないフェニルへのR1の置換数については、好ましいmは0〜3の整数、より好ましいmは0〜2の整数、さらに好ましいmは1または2である。また、フェニルへのR1の置換位置については、オルト位、メタ位またはパラ位のいずれでもよいが、好ましくはメタ位またはパラ位であり、置換数が1つの場合にはパラ位がより好ましい。
また、2つ以上の隣接するR1同士が結合して環を形成していてもよく、形成してできた環としては具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂肪族環や、ベンゼンなどの芳香族環があげられる。
2つのR2は同じであっても異なっていてもよいが、2つのR2は同じであることが好ましい。また、2つのR2がアルキルの場合は2つのR2同士は結合して環(好ましくは炭素数3〜6の脂肪族環)を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの脂肪族環がスピロ縮合していてもよい。
さらに、2つのR2がアルキルの場合に限らず、2つのR2同士は結合して環(好ましくは炭素数6〜16の芳香族環)を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、例えばフルオレン環などの芳香族環がスピロ縮合していてもよい。
また、一般式(1E)で表される化合物を構成する、ベンゾフルオレン環における水素、ベンゾフルオレン環に置換するジアリールアミノや、R1またはR2における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
上記一般式(1E)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[7]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[2] 上記一般式(1E−X)で表されるベンゾフルオレン化合物。
(式中、
R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜6のアルキルが置換したシリル、炭素数6〜16のアリールまたは炭素数3〜12のシクロアルキルであり、
CNが置換するフェニルにおけるmは0〜3の整数であり、それ以外のmはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、1つのフェニルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合して脂肪族環またはベンゼン環を形成していてもよく、そして、
R2は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜16のアリールであり、2つのR2同士が結合して炭素数3〜6の脂肪族環または炭素数6〜16の芳香族環を形成していてもよい。)
[3] 上記一般式(1E−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
(式中、
R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜6のアルキルが置換したシリル、炭素数6〜16のアリールまたは炭素数3〜12のシクロアルキルであり、
CNが置換するフェニルにおけるmは0〜3の整数であり、それ以外のmはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、1つのフェニルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合して脂肪族環またはベンゼン環を形成していてもよく、そして、
R2は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜16のアリールであり、2つのR2同士が結合して炭素数3〜6の脂肪族環または炭素数6〜16の芳香族環を形成していてもよい。)
[4] R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルキルが置換したトリアルキルシリル、炭素数6〜12のアリールまたは炭素数3〜6のシクロアルキルであり、
CNが置換するフェニルにおけるmは0〜2の整数であり、それ以外のmはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、1つのフェニルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合して脂肪族環またはベンゼン環を形成していてもよく、そして、
R2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数6〜12のアリールであり、2つのR2同士が結合してシクロペンタン環、シクロヘキサン環またはフルオレン環を形成していてもよい、
上記一般式(1E−X)または上記一般式(1E−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[5] R1は、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルモノt−ブチルシリル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルであり、
CNが置換するフェニルにおけるmは0〜2の整数であり、それ以外のmはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、1つのフェニルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してベンゼン環を形成していてもよく、そして、
R2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである、
上記一般式(1E−X)または上記一般式(1E−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[6] R1は、それぞれ独立して、メチル、t−ブチル、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはフェニルであり、
CNが置換するフェニルにおけるmは0〜2の整数であり、それ以外のmはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、1つのフェニルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してベンゼン環を形成していてもよく、そして、
R2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、s−ブチル、t−ブチルまたはフェニルである、
上記一般式(1E−X)または上記一般式(1E−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[7] 下記式(1-A-147)、式(1-B-3)、式(1-B-41)、式(1-B-51)、式(1-B-89)、または式(1-B-111)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1E)で表される化合物の具体例としては、例えば、上記式(1E−X)に分類される、下記式(1-A-1)〜式(1-A-168)や、下記式(1-A-169)〜式(1-A-288)や、上記式(1E−Y)に分類される、下記式(1-B-1)〜式(1-B-168)や、下記式(1-B-169)〜式(1-B-288)で表される化合物があげられる。
[1−2(6):一般式(1F)で表されるベンゾフルオレン化合物]
(式(1F)中、
Arは、それぞれ独立して、フェニルまたはピリジルであり、
RFは、それぞれ独立して、フッ素またはフッ素で置換された炭素数1〜4のアルキルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、n1およびn2のすべてが0になることはなく、
R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、または、炭素数2〜10のヘテロアリールであり、
m1およびm2は、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、1つのフェニルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合または1つのArにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合して環を形成していてもよく、
1つのArにおけるn1とm1の合計はArがフェニルの場合は5以下でありピリジルの場合は4以下であり、1つのフェニルにおけるn2とm2の合計は5以下であり、
R2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールであり、該アリールは炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよく、また、2つのR2同士が結合して環を形成していてもよく、そして、
式(1F)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
一般式(1F)のRFはフッ素またはフッ素で置換された炭素数1〜4のアルキルである。本発明では、ベンゾフルオレン化合物に結合するアリールアミノのアリール部位に少なくとも1つのフッ素系置換基を置換させることで、色純度の高い青色発光を実現したものである。炭素数1〜4のアルキルとしては、直鎖(炭素数1〜4の直鎖アルキル)および分枝鎖(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)のいずれでもよく、炭素数1〜3のアルキル(炭素数3の分枝鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜2のアルキルが特に好ましい。これらのアルキルは1つまたは複数のフッ素で置換されていて、例えば、フッ化メチル、フッ化エチル、フッ化n−プロピル、フッ化イソプロピル、フッ化n−ブチル、フッ化イソブチル、フッ化s−ブチル、フッ化t−ブチルなどがあげられ、より詳細にはトリフルオロメチルやトリフルオロエチルなどがあげられる。
一般式(1F)のR1またはR2における「炭素数1〜6のアルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよい。なかでも、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル(炭素数3の分枝鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜2のアルキルが特に好ましい。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルなどがあげられる。
一般式(1F)のR1における「炭素数3〜6のシクロアルキル」としては、炭素数5〜6のシクロアルキルが好ましい。具体例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチルなどがあげられる。
一般式(1F)のR1またはR2における「炭素数6〜12のアリール」としては、炭素数6〜10のアリールが好ましい。R2のアリールについては炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよく、このアルキルについては上記説明で記載したものと同様のものがあげられ、同様のものが好ましい。
R1またはR2のアリールの具体例として、アルキル置換された形態も含めて例示すると、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチルなどがあげられる。
一般式(1F)のR1における「炭素数2〜10のヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
「複素環」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、インドリジニルなどがあげられる。
さらに、R1については、1つのフェニルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合または1つのArにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合して環を形成していてもよい。このようにして形成された環としては、例えば、炭素数6〜12の芳香族環または炭素数3〜12の脂肪族環があげられ、炭素数6〜10の芳香族環または炭素数3〜6の脂肪族環が好ましい。具体的には、ベンゼン環、インダン環などの芳香族環、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの脂肪族環があげられる。
さらに、R2については、2つのR2同士が結合して環を形成していてもよい。このようにして形成された環としては、例えば、炭素数6〜18の芳香族環または炭素数3〜12の脂肪族環があげられ、炭素数6〜12の芳香族環または炭素数3〜6の脂肪族環が好ましい。この結果、ベンゾフルオレン骨格の5員環には、例えばベンゼン環、フルオレン環などの芳香族環や、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの脂肪族環がスピロ結合していてもよい。
また、2つのR2は、同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
n1およびn2は、式(1F)におけるArやフェニルに置換するフッ素系置換基の数を規定する変数であり、それぞれ独立して、0〜5の整数である。n1およびn2のすべてが0になることはない。好ましくは、n1は共に0〜5の整数であり(すなわち、2つのArに置換するフッ素系置換基の数が等しい)、n2は共に0〜5の整数であり(同様に、2つのフェニルに置換するフッ素系置換基の数が等しい)、置換基数としては、0〜3がより好ましく、0〜2がさらに好ましい。
m1およびm2は、式(1F)におけるArやフェニルに置換するフッ素系置換基以外の置換基の数を規定する変数であり、それぞれ独立して、0〜5の整数である。好ましくは、m1は共に0〜3の整数であり(すなわち、2つのArに置換するフッ素系置換基以外の置換基の数が等しい)、m2は共に0〜3の整数であり(同様に、2つのフェニルに置換するフッ素系置換基以外の置換基の数が等しい)、置換基数としては、0〜2がより好ましい。
Arのアミノへの結合形態(Arがピリジルのとき1−ピリジル、2−ピリジルまたは3−ピリジル)は、ベンゾフルオレン骨格の左右で同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。また、Arに置換するR1やRFやそれらの置換基数(m1、n1)はベンゾフルオレン骨格の左右で同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。さらに、フェニルに置換するR1やRFやそれらの置換基数(m2、n2)はベンゾフルオレン骨格の左右で同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。最も好ましくは、ベンゾフルオレン骨格に結合する左右のジアリールアミノの構造が同じ場合である。
また、一般式(1F)で表される化合物を構成する、ベンゾフルオレン環における水素、Ar(フェニルまたはピリジル)やフェニルにおける水素、R1、R2またはRFにおける水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。一部が重水素で置換されている場合には、Arやフェニルの少なくとも1つの水素が重水素で置換されていることが好ましく、R1やRFで置換されていないArやフェニルの少なくとも1つの水素が重水素で置換されていることがより好ましい。また、重水素で全く置換されていない化合物であってもよい。
上記一般式(1F)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[5]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[2] Arは、それぞれ独立して、フェニルまたはピリジルであり、
RFは、それぞれ独立して、フッ素またはフッ素で置換された炭素数1〜4のアルキルであり、
n1は共に0〜5の整数であり、n2は共に0〜5の整数であり、n1およびn2のすべてが0になることはなく、
R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または、炭素数6〜10のアリールであり、
m1は共に0〜3の整数であり、m2は共に0〜3の整数であり、1つのフェニルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合または1つのArにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合して炭素数6〜12の芳香族環または炭素数3〜12の脂肪族環を形成していてもよく、
1つのArにおけるn1とm1の合計はArがフェニルの場合は5以下でありピリジルの場合は4以下であり、1つのフェニルにおけるn2とm2の合計は5以下であり、
R2は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、2つのR2同士が結合して炭素数6〜18の芳香族環または炭素数3〜12の脂肪族環を形成していてもよく、そして、
上記一般式(1F)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1F)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[3] Arはフェニルであり、
RFは、それぞれ独立して、フッ素またはフッ素で置換された炭素数1〜2のアルキルであり、
n1は共に0〜3の整数であり、n2は共に0〜3の整数であり、n1およびn2のすべてが0になることはなく、
R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜6のシクロアルキル、または、炭素数6〜10のアリールであり、
m1は共に0〜2の整数であり、m2は共に0〜2の整数であり、1つのフェニルにおいて2つのR1が隣接して置換する場合または1つのArにおいて2つのR1が隣接して置換する場合、これらは結合して炭素数6〜12の芳香族環または炭素数3〜12の脂肪族環を形成していてもよく、そして、
R2は、共に、炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルである、
上記一般式(1F)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[4] Arはフェニルであり、
RFは、それぞれ独立して、フッ素、トリフルオロメチルまたはトリフルオロエチルであり、
n1は共に0〜2の整数であり、n2は共に0〜2の整数であり、n1およびn2のすべてが0になることはなく、
R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロヘキシルまたはフェニルであり、
m1は共に0〜2の整数であり、m2は共に0〜2の整数であり、1つのフェニルにおいて2つのR1が隣接して置換する場合または1つのArにおいて2つのR1が隣接して置換する場合、これらは結合して炭素数6〜12の芳香族環または炭素数3〜12の脂肪族環を形成していてもよく、そして、
R2は、共に、炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルである、
上記一般式(1F)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[5] 下記式(1−6)、または式(1−26)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1F)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(1−1)〜式(1−134)で表される化合物があげられる。下記化合物の中でも、式(1−1)、式(1−2)、式(1−4)〜式(1−6)、式(1−10)〜式(1−12)、式(1−15)〜式(1−34)、式(1−36)〜式(1−43)、式(1−46)〜式(1−53)、式(1−57)〜式(1−60)、式(1−65)〜式(1−67)、式(1−71)〜式(1−73)、式(1−77)〜式(1−80)、式(1−83)、式(1−86)、式(1−88)、式(1−91)、式(1−93)〜式(1−96)、式(1−98)、式(1−100)、式(1−102)〜式(1−110)、式(1−112)〜式(1−120)、式(1−122)、式(1−123)、式(1−125)〜式(1−128)または式(1−131)〜式(1−134)で表される化合物が好ましい。
[1−2(7):一般式(1G)で表されるベンゾフルオレン化合物]
(式(1G)中、
Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜24のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数5〜24のヘテロアリールであり、
AおよびBのいずれか一方は9−カルバゾリルであり、もう一方はジアリールアミノであり、
9−カルバゾリルおよびジアリールアミノのアリールは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリール、および炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリルからなる群から選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよく、2つ以上の基が隣接して置換する場合、これらは結合して脂肪族環またはベンゼン環を形成していてもよく、そして、
式(1G)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
一般式(1G)で表されるベンゾフルオレン化合物の1つの態様として、下記一般式(1G−X)および下記一般式(1G−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物があげられる。それぞれの式におけるR同士が対応し、式(1G)における9−カルバゾリルおよびジアリールアミノのアリールへの置換基が式(1G−X)および式(1G−Y)におけるR1に相当する。
一般式(1G)のRにおける「炭素数1〜6のアルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよい(炭素数1〜6の直鎖アルキルまたは炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル(i−Pr)、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル(t−Bu)、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルなどがあげられる。
一般式(1G)のRにおける「炭素数3〜6のシクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、または、シクロヘプチルなどがあげられる。
一般式(1G)のRにおける「炭素数6〜24のアリール」としては、好ましくは炭素数6〜16のアリールであり、より好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
Rにおける「アリール」は炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよく、この場合の置換基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルがあげられ、メチルが好ましい。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個であるが、「置換基」がないのが好ましい。
一般式(1G)のRにおける「炭素数5〜24のヘテロアリール」としては、好ましくは炭素数2〜20のヘテロアリールであり、より好ましくは炭素数2〜15のヘテロアリールであり、特に好ましくは炭素数2〜10のヘテロアリールである。また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられ、例えば、芳香族複素環などがあげられる。
「複素環」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニルなどがあげられ、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
「芳香族複素環」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられ、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
一般式(1G)におけるAおよびBのいずれか一方は9−カルバゾリルであり、もう一方はジアリールアミノである。ジアリールアミノのアリールとしては、上述するアリールと同じものがあげられる。9−カルバゾリルおよびジアリールアミノのアリールは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリール、および炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリルからなる群から選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよく、これらのうちの「アルキル」、「シクロアルキル」、「アリール」については、上述するものと同じものがあげられる。また、これらの置換基の9−カルバゾリルおよびジアリールアミノのアリールへの置換位置については、特に限定されないが、例えばジアリールアミノがジフェニルアミノである場合、このフェニルのパラ位(Nの結合位置を基準とする)に置換基が存在すると、合成する上で有利である。
9−カルバゾリルおよびジアリールアミノのアリールに置換し得る「炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル」としては、シリルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどで置換されているものが挙げられる。
具体的な「置換シリル」としては、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリブチルシリル、トリs−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、s−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、イソプロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、s−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、s−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、エチルジイソプロピルシリル、ブチルジイソプロピルシリル、s−ブチルジイソプロピルシリル、t−ブチルジイソプロピルシリルなどが挙げられる。
また、9−カルバゾリルおよびジアリールアミノのアリールに置換する置換基については、2つ以上の基が隣接して置換する場合、これらは結合して脂肪族環またはベンゼン環を形成していてもよく、形成してできた脂肪族環としては具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどがあげられる。また、例えばジフェニルアミノのフェニルに置換した置換基同士がベンゼン環を形成する場合、当該フェニルに縮合したベンゼン環(すなわちナフチル)を形成することになり、1−ナフチルの形態であっても2−ナフチルの形態であってもよい。
式(1G−X)および式(1G−Y)におけるnはそれぞれ独立して0〜5の整数であるが、好ましいnは0〜3の整数、より好ましいnは0〜2の整数、さらに好ましいnは0である。また、mはそれぞれ独立して0〜4の整数であるが、好ましいmは0〜2の整数、より好ましいmは0〜1の整数、さらに好ましいmは0である。
また、一般式(1G)で表される化合物を構成する、ベンゾフルオレン環における水素、ベンゾフルオレン環に置換するR、9−カルバゾリル、ジアリールアミノ、さらにはこれらへの置換基における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
なお、式(1G)や式(1G−X)および(1G−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物において、2つのRは結合してフルオレン環を形成することもできる。式(1G−X)または式(1G−Y)において2つのRが結合してフルオレン環を形成した場合が、下記一般式(1G’−X)または上記一般式(1G’−Y)で表される化合物に相当する。式(1G’−X)または式(1G’−Y)で表される化合物におけるR1、nおよびmについては、式(1G)や式(1G−X)および(1G−Y)における説明を引用することができる。
上記一般式(1G)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[12]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[2] 上記一般式(1G−X)で表されるベンゾフルオレン化合物。
式中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、
R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリルであり、
mは、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、1つのベンゼン環において2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してシクロヘキサン環またはベンゼン環を形成していてもよく、
nは、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、1つのベンゼン環において2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してシクロヘキサン環またはベンゼン環を形成していてもよい。
[3] 上記一般式(1G−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
式中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、
R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリルであり、
mは、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、1つのベンゼン環において2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してシクロヘキサン環またはベンゼン環を形成していてもよく、
nは、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、1つのベンゼン環において2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してシクロヘキサン環またはベンゼン環を形成していてもよい。
[4] Rは、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニルまたはナフチルであり、
R1は、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはジメチルモノt−ブチルシリルであり、そして、
mは、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、
nは、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、1つのベンゼン環において2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してベンゼン環を形成していてもよい、
上記一般式(1G−X)、または上記一般式(1G−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[5] Rは、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、s−ブチル、t−ブチル、またはフェニルであり、
R1は、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニルまたはトリメチルシリルであり、
mおよびnは、それぞれ独立して、0〜2の整数である、
上記一般式(1G−X)、または上記一般式(1G−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[6] 下記式(1−1−24)、式(1−1−54)または式(1−1−84)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[7] 下記式(1−1−1)、式(1−1−10)、式(1−1−70)、式(1−1−101)、式(1−1−113)、式(1−2−24)、式(1−2−84)または式(1−2−85)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[8] 下記式(1−1−140)、式(1−2−121)または式(1−2−174)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[9] 上記一般式(1G’−X)で表されるベンゾフルオレン化合物。
式中、
R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリルであり、
mは、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、1つのベンゼン環において2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してシクロヘキサン環またはベンゼン環を形成していてもよく、
nは、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、1つのベンゼン環において2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してシクロヘキサン環またはベンゼン環を形成していてもよい。
[10] 上記一般式(1G’−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
式中、
R1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリルであり、
mは、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、1つのベンゼン環において2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してシクロヘキサン環またはベンゼン環を形成していてもよく、
nは、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、1つのベンゼン環において2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してシクロヘキサン環またはベンゼン環を形成していてもよい。
[11] R1は、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはジメチルモノt−ブチルシリルであり、そして、
mは、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、
nは、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、1つのベンゼン環において2つ以上のR1が隣接して置換する場合、これらは結合してベンゼン環を形成していてもよい、
上記一般式(1G’−X)、または上記一般式(1G’−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[12] R1は、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニルまたはトリメチルシリルであり、
mおよびnは、それぞれ独立して、0〜2の整数である、
上記一般式(1G’−X)、または上記一般式(1G’−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1G)で表される化合物の具体例としては、例えば、式(1G−X)に分類される、下記式(1−1−1)〜式(1−1−120)、下記式(1−1−121)〜式(1−1−175)、式(1G−Y)に分類される、下記式(1−2−1)〜式(1−2−120)、および、下記式(1−2−121)〜式(1−2−180)で表される化合物があげられる。また、一般式(1G’−X)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(1’−1−1)〜式(1’−1−15)で表される化合物があげられ、一般式(1G’−Y)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(1’−2−1)〜式(1’−2−15)で表される化合物があげられる。
下記式(1−1−1)〜式(1−1−120)や上記式(1−2−1)〜式(1−2−120)で表される化合物の中でも、特に式(1−1−1)〜式(1−1−3)、式(1−1−7)〜式(1−1−11)、式(1−1−16)〜式(1−1−33)、式(1−1−37)〜式(1−1−41)、式(1−1−46)〜式(1−1−63)、式(1−1−67)〜式(1−1−71)、式(1−1−76)〜式(1−1−90)、式(1−1−91)、式(1−1−93)、式(1−1−95)、式(1−1−97)、式(1−1−99)、式(1−1−101)、式(1−1−103)、式(1−1−105)、式(1−1−107)、式(1−1−109)、式(1−1−111)、式(1−1−113)、式(1−1−115)、式(1−1−117)、式(1−2−1)〜式(1−2−3)、式(1−2−7)〜式(1−2−11)、式(1−2−16)〜式(1−2−33)、式(1−2−37)〜式(1−2−41)、式(1−2−46)〜式(1−2−63)、式(1−2−67)〜式(1−2−71)、式(1−2−76)〜式(1−2−90)、式(1−2−91)、式(1−2−93)、式(1−2−95)、式(1−2−97)、式(1−2−99)、式(1−2−101)、式(1−2−103)、式(1−2−105)、式(1−2−107)、式(1−2−109)、式(1−2−111)、式(1−2−113)、式(1−2−115)、式(1−2−116)、式(1−2−117)および式(1−2−119)が好ましい。
また、下記式(1−1−121)〜式(1−1−175)、上記式(1’−1−1)〜式(1’−1−15)、上記式(1−2−121)〜式(1−2−180)および上記式(1’−2−1)〜式(1’−2−15)で表される化合物の中でも、特に式(1−1−121)〜式(1−1−133)、式(1−1−137)〜式(1−1−142)、式(1−1−146)、式(1−1−160)、式(1−2−121)〜式(1−2−124)、式(1−2−127)〜式(1−2−131)、式(1−2−136)〜式(1−2−150)、式(1−2−151)〜式(1−2−153)、式(1−2−157)〜式(1−2−161)および式(1−2−166)〜式(1−2−180)が好ましい。
[1−2(8):一般式(1H)で表されるベンゾフルオレン化合物]
(式(1H)中、
Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜24のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数2〜24のヘテロアリールであり、
AおよびBのいずれか一方は上記一般式(X)で表される基であり、もう一方は上記一般式(Y)で表される基であり、
R1は、それぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリルであり、
nは、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、そして、
式(1H)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
一般式(1H)で表されるベンゾフルオレン化合物の1つの態様として、下記一般式(1H−X)および下記一般式(1H−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物があげられる。それぞれの式におけるR同士またはR1同士が対応している。
一般式(1H)のRにおける「炭素数1〜6のアルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよい(炭素数1〜6の直鎖アルキルまたは炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル(i−Pr)、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル(t−Bu)、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルなどがあげられる。
一般式(1H)のRにおける「炭素数3〜6のシクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、または、シクロヘプチルなどがあげられる。
一般式(1H)のRにおける「炭素数6〜24のアリール」としては、好ましくは炭素数6〜16のアリールであり、より好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
一般式(1H)のRにおける「炭素数2〜24のヘテロアリール」としては、好ましくは炭素数2〜20のヘテロアリールであり、より好ましくは炭素数2〜15のヘテロアリールであり、特に好ましくは炭素数2〜10のヘテロアリールである。また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられ、例えば、芳香族複素環などがあげられる。
「複素環」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニルなどがあげられ、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
「芳香族複素環」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられ、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
Rにおける「アリール」または「ヘテロアリール」は炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよく、この場合の置換基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルがあげられ、メチルが好ましい。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個であるが、「置換基」がないのが好ましい。
一般式(X)または一般式(Y)におけるR1は、それぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリール、および炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリルからなる群から選択され、これらのうちの「アルキル」、「シクロアルキル」、「アリール」については、上述するものと同じものがあげられる。
一般式(X)または一般式(Y)のR1における「炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル」としては、シリルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどで置換されているものが挙げられる。
具体的な「置換シリル」としては、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリブチルシリル、トリs−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、s−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、イソプロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、s−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、s−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、エチルジイソプロピルシリル、ブチルジイソプロピルシリル、s−ブチルジイソプロピルシリル、t−ブチルジイソプロピルシリルなどが挙げられる。
一般式(X)または一般式(Y)におけるnはそれぞれ独立して0〜5の整数であるが、好ましいnは0〜3の整数、より好ましいnは0〜2の整数、さらに好ましいnは0である。
また、一般式(1H)で表される化合物を構成する、ベンゾフルオレン環における水素、ベンゾフルオレン環に置換するR、一般式(X)で表される基、一般式(Y)で表される基、さらにはこれらへの置換基R1における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
上記一般式(1H)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[6]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[2] 上記一般式(1H−X)で表されるベンゾフルオレン化合物。
式中、
Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、
R1は、それぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリルであり、そして、
nは、それぞれ独立して、0〜5の整数である。
[3] 上記一般式(1H−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
式中、
Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、
R1は、それぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリルであり、そして、
nは、それぞれ独立して、0〜5の整数である。
[4] Rは、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニルまたはナフチルであり、
R1は、それぞれ独立して、水素、フッ素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはジメチルモノt−ブチルシリルであり、そして、
nは、それぞれ独立して、0〜2の整数である、
上記一般式(1H−X)、または上記一般式(1H−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[5] Rは、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、s−ブチル、t−ブチル、またはフェニルであり、
R1は、それぞれ独立して、水素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニルまたはトリメチルシリルであり、そして、
nは、それぞれ独立して、0〜2の整数である、
上記一般式(1H−X)、または上記一般式(1H−Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[6] 下記式(1−1−1)、式(1−1−11)、式(1−1−46)、式(1−2−1)、または式(1−2−11)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1H)で表される化合物の具体例としては、例えば、一般式(1H−X)に分類される下記式(1−1−1)〜式(1−1−46)や、一般式(1H−Y)に分類される下記式(1−2−1)〜式(1−2−46)で表される化合物があげられる。
[1−2(9):一般式(1J)で表されるベンゾフルオレン化合物]
(式(1J)中、
Arは、それぞれ独立して、フェニル、ナフチルまたはヘテロアリールであり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、アリール、シクロアルキル、フッ素、シアノ、フッ素置換されていてもよいアルキル、フッ素置換されていてもよいアルコキシ、置換シリルまたは置換ゲルミルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜5の整数であり、1つのナフチルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合または1つのArにおいて2つ以上のR2が隣接して置換する場合、これらは結合して脂肪族環を形成していてもよく、
R3は、それぞれ独立して、アルキルまたはアリールであり、2つのR3同士が結合して環を形成していてもよく、そして、
式(1J)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
一般式(1J)のR1、R2およびR3における「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
一般式(1J)のR1およびR2における「アルキル」は、フッ素置換されていてもよく、例えば上述したアルキルのフッ化物があげられ、具体的には、フッ化メチル、フッ化エチル、フッ化n−プロピル、フッ化イソプロピル、フッ化n−ブチル、フッ化イソブチル、フッ化s−ブチル、フッ化t−ブチルなどがあげられる。
一般式(1J)のR1、R2およびR3における「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられる。好ましい「アリール」は炭素数6〜16のアリールであり、より好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
一般式(1J)のR1およびR2における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
一般式(1J)のR1およびR2における「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1〜15のアルコキシがあげられる。好ましい「アルコキシ」は、炭素数1〜10のアルコキシである。さらに好ましい「アルコキシ」は、炭素数1〜4のアルコキシである。
具体的な「アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、シクロヘプチルオキシ、オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、フェノキシなどがあげられる。
一般式(1J)のR1およびR2における「アルコキシ」は、フッ素置換されていてもよく、例えば上述したアルコキシのフッ化物があげられ、具体的には、フッ化メトキシ、フッ化エトキシ、フッ化プロポキシ、フッ化イソプロポキシ、フッ化n−ブトキシ、フッ化イソブトキシ、フッ化s−ブトキシ、フッ化t−ブトキシなどがあげられる。
一般式(1J)のR1およびR2における「置換シリル」としては、シリル(−SiH3)における3つの水素が、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルなどで置換されているものがあげられる。なかでも、トリアルキル置換シリルが好ましい。
具体的な「置換シリル」としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリブチルシリル、トリs−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、s−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、イソプロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、s−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、s−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、エチルジイソプロピルシリル、ブチルジイソプロピルシリル、s−ブチルジイソプロピルシリル、t−ブチルジイソプロピルシリルなどのトリアルキルシリルがあげられる。また、フェニルジメチルシリル、フェニルジエチルシリル、フェニルジt−ブチルシリル、メチルジフェニルシリル、エチルジフェニルシリル、プロピルジフェニルシリル、イソプロピルジフェニルシリル、ブチルジフェニルシリル、s−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリルなどがあげられる。
一般式(1J)のR1およびR2における「置換ゲルミル」としては、ゲルミル(−GeH3)における3つの水素が、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルなどで置換されているものがあげられる。なかでも、トリアルキル置換ゲルミルが好ましい。
具体的な「置換ゲルミル」としては、トリメチルゲルミル、トリエチルゲルミル、トリプロピルゲルミル、トリイソプロピルゲルミル、トリブチルゲルミル、トリs−ブチルゲルミル、トリt−ブチルゲルミル、エチルジメチルゲルミル、プロピルジメチルゲルミル、イソプロピルジメチルゲルミル、ブチルジメチルゲルミル、s−ブチルジメチルゲルミル、t−ブチルジメチルゲルミル、メチルジエチルゲルミル、プロピルジエチルゲルミル、イソプロピルジエチルゲルミル、ブチルジエチルゲルミル、s−ブチルジエチルゲルミル、t−ブチルジエチルゲルミル、メチルジプロピルゲルミル、エチルジプロピルゲルミル、ブチルジプロピルゲルミル、s−ブチルジプロピルゲルミル、t−ブチルジプロピルゲルミル、メチルジイソプロピルゲルミル、エチルジイソプロピルゲルミル、ブチルジイソプロピルゲルミル、s−ブチルジイソプロピルゲルミル、t−ブチルジイソプロピルゲルミルなどのトリアルキルゲルミルがあげられる。また、フェニルジメチルゲルミル、フェニルジエチルゲルミル、フェニルジt−ブチルゲルミル、メチルジフェニルゲルミル、エチルジフェニルゲルミル、プロピルジフェニルゲルミル、イソプロピルジフェニルゲルミル、ブチルジフェニルゲルミル、s−ブチルジフェニルゲルミル、t−ブチルジフェニルゲルミル、トリフェニルゲルミルなどがあげられる。
n1およびn2はそれぞれ独立して0〜5の整数であるが、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0である。また、1つのナフチルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合または1つのArにおいて2つ以上のR2が隣接して置換する場合、これらは結合して脂肪族環を形成していてもよい。形成された脂肪族環としては、炭素数3〜6の脂肪族環が好ましく、炭素数5〜6の脂肪族環がさらに好ましい。また、具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂肪族環があげられる。
R1が置換したナフチルの構造は、ベンゾフルオレン骨格の左右で同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。また、ナフチルのアミノへの結合形態(1−ナフチルまたは2−ナフチル)は、ベンゾフルオレン骨格の左右で同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。また、R2が置換したArの構造は、ベンゾフルオレン骨格の左右で同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。さらに、Arのアミノへの結合形態(例えば、Arがナフチルのとき1−ナフチルまたは2−ナフチル、Arがピリジルのとき1−ピリジル、2−ピリジルまたは3−ピリジル)は、ベンゾフルオレン骨格の左右で同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。最も好ましくは、ベンゾフルオレン骨格に結合する左右のジアリールアミノの構造が同じ場合である。
2つのR3は同じであっても異なっていてもよいが、2つのR3は同じであることが好ましい。また、2つのR3同士は結合して環(好ましくは炭素数3〜6の脂肪族環)を形成していてもよく、この結果、ベンゾフルオレン骨格の5員環には、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの脂肪族環やフルオレン環などの芳香族系複員環がスピロ縮合していてもよい。
なお、R3については、アリールよりもアルキルの方が短い発光波長になる傾向があるため、青色発光を目的とする場合には、アルキルの方が好ましい。このアルキルとしては上述するものであればいずれでもよいが、特にメチルが好ましい。一方、発光波長を比較的長くしたい場合にはアリールを用いることもできる。
一般式(1J)のArにおける「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられる。好ましい「ヘテロアリール」は、炭素数2〜25のヘテロアリールであり、より好ましくは炭素数2〜20のヘテロアリールであり、さらに好ましくは炭素数2〜15のヘテロアリールであり、特に好ましくは炭素数2〜10のヘテロアリールである。また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
「複素環」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニルなどがあげられ、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
なお、一般式(1J)のArについては、フェニルなどよりもヘテロアリールの方が短い発光波長になる傾向があるため、青色発光を目的とする場合には、ヘテロアリールの方が好ましい。このヘテロアリールとしては上述するものであればいずれでもよいが、特にピリジルが好ましい。一方、発光波長を比較的長くしたい場合にはフェニルなどを用いることもできる。
また、一般式(1J)で表される化合物を構成する、ベンゾフルオレン環における水素、Ar(フェニル、ナフチルまたはヘテロアリール)やナフチルにおける水素、R1、R2またはR3における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。一部が重水素で置換されている場合には、Arやナフチルの少なくとも1つの水素が重水素で置換されていることが好ましく、n1およびn2が0の場合にArやナフチルの少なくとも1つの水素が重水素で置換されていることがより好ましい。一方、重水素で全く置換されていない化合物であってもよい。
上記一般式(1J)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[5]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[2] Arは、それぞれ独立して、フェニルまたはピリジルであり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数6〜12のアリール、炭素数3〜6のシクロアルキル、フッ素、シアノ、フッ素置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル、フッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ、アルキル置換シリルまたはアルキル置換ゲルミルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、1つのナフチルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合または1つのArにおいて2つ以上のR2が隣接して置換する場合、これらは結合して炭素数3〜6の脂肪族環を形成していてもよく、
R3は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールであり、2つのR3同士が結合して環を形成していてもよく、そして、
式(1)で表される化合物におけるArおよびナフチルの少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1J)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[3] Arは、それぞれ独立して、フェニルまたはピリジルであり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、フッ素、シアノ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、フッ化メチル、フッ化エチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、フッ化メトキシ、フッ化エトキシ、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリメチルゲルミル、トリエチルゲルミル、または、t−ブチルジメチルゲルミルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、1つのナフチルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合または1つのArにおいて2つ以上のR2が隣接して置換する場合、これらは結合して炭素数5〜6の脂肪族環を形成していてもよく、
R3は、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、または、フェニルであり、そして、
n1およびn2が0の場合、式(1)で表される化合物におけるArおよびナフチルの少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1J)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[4] Arは、それぞれ独立して、フェニルまたはピリジルであり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、フッ素、シアノ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、フッ化メチル、メトキシ、エトキシ、フッ化メトキシ、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメチルゲルミル、または、トリエチルゲルミルであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、1つのナフチルにおいて2つ以上のR1が隣接して置換する場合または1つのArにおいて2つ以上のR2が隣接して置換する場合、これらは結合してシクロヘキサン環を形成していてもよく、そして、
R3は、それぞれ独立して、メチル、エチル、または、フェニルである、
上記一般式(1J)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[5] 下記式(1−1)、式(1−20)、式(1−22)、または式(1−51)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1J)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(1−1)〜式(1−85)で表される化合物があげられる。下記化合物の中でも、式(1−1)、式(1−3)、式(1−6)、式(1−7)、式(1−19)、式(1−20)、式(1−22)、式(1−25)、式(1−29)、式(1−50)、式(1−51)、式(1−53)、式(1−62)、式(1−64)、式(1−69)および式(1−82)で表される化合物が好ましい。
[1−2(10):一般式(1K)で表されるベンゾフルオレン化合物]
(式(1K)中、
Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり、2つのRが結合して環を形成していてもよく、
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり、
Aは、OまたはSであり、そして、
式(1K)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
また、式(1K)中、2つのジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)のいずれか一方がArであってもよく、この場合、Nを介して隣接する2つのArが結合して環を形成していてもよい。
また、式(1K)中、一方のアミノが、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換シリル、または置換ゲルミルに置き換わっていてもよく、この場合、ベンゾフルオレン環がアルキルで置換されていてもよい。)
一般式(1K)で表されるベンゾフルオレン化合物は、中央のベンゾフルオレン骨格に対して「Arおよびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)が置換したアミノ」が2つ結合した化合物である。ジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)は1位〜4位の位置で窒素に結合しており、2つのジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)の結合位置は同じであっても異なっていてもよいが、合成のしやすさの観点からは同じ結合位置であることが好ましい。
2つのジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)が同じ結合形態となったものが、下記式(1K−X)、(1K−Y)、(1K−Z)および(1K−W)で表される化合物である。下記式(1K−X)で表される化合物は4−ジベンゾフラニル(または4−ジベンゾチオフェニル)が結合したタイプであり、下記式(1K−Y)で表される化合物は3−ジベンゾフラニル(または3−ジベンゾチオフェニル)が結合したタイプであり、下記式(1K−Z)で表される化合物は2−ジベンゾフラニル(または2−ジベンゾチオフェニル)が結合したタイプであり、そして、下記式(1K−W)で表される化合物は1−ジベンゾフラニル(または1−ジベンゾチオフェニル)が結合したタイプである。下記一般式(1K−X)、一般式(1K−Y)、一般式(1K−Z)および一般式(1K−W)において、R、ArおよびAは式(1K)の定義と同じである。
一般式(1K)のArは、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールから選択することができる。
一般式(1K)のArにおける「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられる。好ましい「アリール」は炭素数6〜16のアリールであり、より好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
一般式(1K)のArにおける「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられる。好ましい「ヘテロアリール」は、炭素数2〜25のヘテロアリールであり、より好ましくは炭素数2〜20のヘテロアリールであり、さらに好ましくは炭素数2〜15のヘテロアリールであり、特に好ましくは炭素数2〜10のヘテロアリールである。また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられ、例えば、芳香族複素環などがあげられる。
「複素環」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニルなどがあげられ、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
「芳香族複素環」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、(1−,2−,3−,4−)ジベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、(1−,2−,3−,4−)ジベンゾチオフェニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられ、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリル、(1−,2−,3−,4−)ジベンゾフラニル、(1−,2−,3−,4−)ジベンゾチオフェニルなどが好ましい。
一般式(1K)のArである「アリール」または「ヘテロアリール」は置換されていてもよく、例えば、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数1〜6のフッ素化アルキル、シアノ、フッ素、置換シリル、または置換ゲルミルなどで置換されていてもよい。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個であるが、無置換であることが好ましい。
Arへの置換基としての炭素数1〜6のアルキルについては、その具体的な説明は後述するRの欄での「アルキル」の説明を引用することができる。
Arへの置換基としての炭素数6〜12のアリールについては、その具体的な説明は上記Arの欄での「アリール」の説明を引用することができる。
Arへの置換基としての炭素数2〜15のヘテロアリールについては、その具体的な説明は上記Arの欄での「ヘテロアリール」の説明を引用することができる。
Arへの置換基としての炭素数3〜12のシクロアルキルについては、炭素数3〜10のシクロアルキルが好ましく、炭素数3〜8のシクロアルキルがより好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキルがさらに好ましい。具体例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
Arへの置換基としてのフッ素化アルキルについては、例えば、後述するRの欄で説明する「アルキル」がフッ素化されたものがあげられ、一部の水素がフッ素化されたものでも、すべての水素がフッ素化されたものでもよい。炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)がフッ素化されたものが好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)がフッ素化されたものがより好ましい。具体的には、全(または部分)フッ素化メチル、全(または部分)フッ素化エチル、全(または部分)フッ素化プロピル、または全(または部分)フッ素化イソプロピルなどがあげられ、三フッ素化メチルが特に好ましい。
Arへの置換基としての置換シリルについては、シリル(−SiH3)における3つの水素が、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキルや炭素数6〜12のアリールなどで置換されているものがあげられる。より具体的には、シリルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルなどで置換されているものがあげられる。
具体的な「置換シリル」としては、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリブチルシリル、トリs−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、s−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、イソプロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、s−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、s−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、エチルジイソプロピルシリル、ブチルジイソプロピルシリル、s−ブチルジイソプロピルシリル、t−ブチルジイソプロピルシリルなどのトリアルキルシリルがあげられる。また、フェニルジメチルシリル、フェニルジエチルシリル、フェニルジt−ブチルシリル、メチルジフェニルシリル、エチルジフェニルシリル、プロピルジフェニルシリル、イソプロピルジフェニルシリル、ブチルジフェニルシリル、s−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリルなどがあげられる。
Arへの置換基としての置換ゲルミルについては、ゲルミル(−GeH3)における3つの水素が、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキルや炭素数6〜12のアリールなどで置換されているものがあげられる。より具体的には、ゲルミルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルなどで置換されているものがあげられる。
具体的な「置換ゲルミル」としては、トリメチルゲルミル、トリエチルゲルミル、トリプロピルゲルミル、トリイソプロピルゲルミル、トリブチルゲルミル、トリs−ブチルゲルミル、トリt−ブチルゲルミル、エチルジメチルゲルミル、プロピルジメチルゲルミル、イソプロピルジメチルゲルミル、ブチルジメチルゲルミル、s−ブチルジメチルゲルミル、t−ブチルジメチルゲルミル、メチルジエチルゲルミル、プロピルジエチルゲルミル、イソプロピルジエチルゲルミル、ブチルジエチルゲルミル、s−ブチルジエチルゲルミル、t−ブチルジエチルゲルミル、メチルジプロピルゲルミル、エチルジプロピルゲルミル、ブチルジプロピルゲルミル、s−ブチルジプロピルゲルミル、t−ブチルジプロピルゲルミル、メチルジイソプロピルゲルミル、エチルジイソプロピルゲルミル、ブチルジイソプロピルゲルミル、s−ブチルジイソプロピルゲルミル、t−ブチルジイソプロピルゲルミルなどのトリアルキルゲルミルがあげられる。また、フェニルジメチルゲルミル、フェニルジエチルゲルミル、フェニルジt−ブチルゲルミル、メチルジフェニルゲルミル、エチルジフェニルゲルミル、プロピルジフェニルゲルミル、イソプロピルジフェニルゲルミル、ブチルジフェニルゲルミル、s−ブチルジフェニルゲルミル、t−ブチルジフェニルゲルミル、トリフェニルゲルミルなどがあげられる。
Arへの置換基としてアルキル(例えば炭素数1〜6のアルキル)が隣接して2つ置換する場合には、これらは結合して環を形成していてもよい。このようにして形成された環としては、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、またはトリメチルシクロヘキサンなどがあげられる。
一般式(1K)のRは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールから選択することができる。
一般式(1K)のRにおける「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル(i−Pr)、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル(t−Bu)、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
一般式(1K)のRにおける「アリール」として、その具体的な説明は上記Arの欄での「アリール」の説明を引用することができる。
一般式(1K)のRにおける「ヘテロアリール」として、その具体的な説明は上記Arの欄での「ヘテロアリール」の説明を引用することができる。
一般式(1K)のRである「アルキル」、「アリール」または「ヘテロアリール」は置換されていてもよく、例えば、炭素数1〜6のアルキルまたは置換シリルでなどで置換されていてもよい。この具体的な説明は、上記Arの欄での「Arへの置換基」の説明を引用することができる。
また、2つのRは結合して環を形成していてもよく、この結果、ベンゾフルオレン骨格の5員環には、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの脂肪族環や、例えばフルオレン環などの芳香族環がスピロ縮合していてもよい。
また、一般式(1K)で表される化合物を構成する、ベンゾフルオレン環における水素、ベンゾフルオレン環に置換するR、Arおよびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
上記一般式(1K)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[7]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[2] Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、または炭素数6〜16のアリールであり、これらは炭素数1〜6のアルキルまたは置換シリルで置換されていてもよく、また、2つのRが結合して環を形成していてもよく、
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜16のアリール、または炭素数2〜30のヘテロアリールであり、これらは炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数1〜6のフッ素化アルキル、シアノ、フッ素、置換シリル、または置換ゲルミルで置換されていてもよく、また、炭素数1〜6のアルキルが隣接して2つ置換する場合にはこれらは結合して環を形成していてもよく、
Aは、OまたはSであり、そして、
上記一般式(1K)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1K)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[3] Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、また、2つのRが結合してシクロペンタン環、シクロヘキサン環、またはフルオレン環を形成していてもよく、
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜12のアリール、または炭素数2〜15のヘテロアリールであり、これらは炭素数1〜4のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数1〜4のフッ素化アルキル、シアノ、フッ素、炭素数1〜4のアルキルおよび/または炭素数6〜12のアリールで置換されたシリル、または炭素数1〜4のアルキルおよび/または炭素数6〜12のアリールで置換されたゲルミルで置換されていてもよく、また、炭素数1〜6のアルキルが隣接して2つ置換する場合にはこれらは結合してシクロペンタン環、またはシクロヘキサン環を形成していてもよく、
Aは、OまたはSであり、そして、
上記一般式(1K)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1K)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[4] 上記一般式(1K−X)で表されるベンゾフルオレン化合物。
(式中、
Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、また、2つのRが結合してシクロペンタン環、シクロヘキサン環、またはフルオレン環を形成していてもよく、
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜12のアリール、または炭素数2〜15のヘテロアリールであり、これらは炭素数1〜4のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数1〜4のフッ素化アルキル、シアノ、フッ素、炭素数1〜4のアルキルおよび/または炭素数6〜12のアリールで置換されたシリル、または炭素数1〜4のアルキルおよび/または炭素数6〜12のアリールで置換されたゲルミルで置換されていてもよく、また、炭素数1〜6のアルキルが隣接して2つ置換する場合にはこれらは結合してシクロペンタン環、またはシクロヘキサン環を形成していてもよく、
Aは、OまたはSであり、そして、
上記一般式(1K−X)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
[5] Rは、共に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、フェニル、またはナフチルであり、
Arは、共に、フェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、ナフチル、ピリジル、ジベンゾフラニル、またはジベンゾチオフェニルであり、これらはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、フェニル、ピリジル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フッ素化メチル、シアノ、フッ素、トリメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリメチルゲルミル、またはフェニルジメチルゲルミルで置換されていてもよく、そして、
Aは、OまたはSである、
上記一般式(1K−X)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[6] Rは、共に、メチル、エチル、またはフェニルであり、
Arは、共に、メチルまたはフッ素で置換されていてもよい、フェニル、またはナフチルであり、そして、
Aは、OまたはSである、
上記一般式(1K−X)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[7] 下記式(1−1)、または式(1−201)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1K)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(1−1)〜式(1−185)、下記式(1−201)〜式(1−388)、および下記式(1−401)〜式(1−612)で表される化合物があげられる。
また、下記一般式(1K−2X)や(1K−2Y)のように、上記一般式(1K)中、2つのジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)のいずれか一方がArであってもよく、この場合、Nを介して隣接する2つのArが結合して環を形成していてもよい。このベンゾフルオレン化合物は、中央のベンゾフルオレン骨格に対して「Arおよびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)が置換したアミノ」と「2つのArが置換したアミノ」が結合した化合物である。ジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)は1位〜4位の位置で窒素に結合している。下記一般式(1K−2X)および一般式(1K−2Y)においてAは式(1K)の定義と同じである。
一般式(1K−2X)または(1K−2Y)のRは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールから選択することができる。また、2つのRが結合して環を形成していてもよい。これらの具体的な説明は、上記一般式(1K)における説明を引用することができる。
一般式(1K−2X)または(1K−2Y)のArは、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールから選択することができる。これらの具体的な説明は、上記一般式(1K)における説明を引用することができる。
また、一般式(1K−2X)または(1K−2Y)では、Nを介して隣接する2つのArが結合して環を形成してもよく、この結果形成された環としては例えばカルバゾール環やベンゾカルバゾール環などがあげられる。これらの環は、また、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置換されていてもよく、これらの置換基の具体的な説明は、上記一般式(1K)における説明を引用することができる。
また、一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表される化合物を構成する、ベンゾフルオレン環における水素、ベンゾフルオレン環に置換するR、Arおよびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
上記一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[9]〜[11]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[9] 上記一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
(式中、
Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり、2つのRが結合して環を形成していてもよく、
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり、Nを介して隣接する2つのArが結合して環を形成していてもよく、
Aは、OまたはSであり、そして、
上記一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
[10] Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、または炭素数6〜16のアリールであり、これらは炭素数1〜6のアルキルまたは置換シリルで置換されていてもよく、また、2つのRが結合して環を形成していてもよく、
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜16のアリール、または炭素数2〜30のヘテロアリールであり、これらは炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数1〜6のフッ素化アルキル、シアノ、フッ素、置換シリル、または置換ゲルミルで置換されていてもよく、また、炭素数1〜6のアルキルが隣接して2つ置換する場合にはこれらは結合して環を形成していてもよく、また、Nを介して隣接する2つのArが結合して、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置換されていてもよいカルバゾール環またはベンゾカルバゾール環を形成していてもよく、
Aは、OまたはSであり、そして、
上記一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[11] Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、また、2つのRが結合してシクロペンタン環、シクロヘキサン環、またはフルオレン環を形成していてもよく、
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜12のアリール、または炭素数2〜15のヘテロアリールであり、これらは炭素数1〜4のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数1〜4のフッ素化アルキル、シアノ、フッ素、炭素数1〜4のアルキルおよび/または炭素数6〜12のアリールで置換されたシリル、または炭素数1〜4のアルキルおよび/または炭素数6〜12のアリールで置換されたゲルミルで置換されていてもよく、また、炭素数1〜6のアルキルが隣接して2つ置換する場合にはこれらは結合してシクロペンタン環、またはシクロヘキサン環を形成していてもよく、
Aは、OまたはSであり、そして、
上記一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表される化合物の具体例としては、例えば、一般式(1K−2X)に分類される下記式(2−1)〜式(2−230)および式(2−601)〜式(2−830)で表される化合物、および一般式(1K−2Y)に分類される下記式(2−301)〜式(2−576)および式(2−901)〜式(2−1176)で表される化合物があげられる。
また、下記一般式(1K−3X)や(1K−3Y)のように、上記一般式(1K)中、一方のアミノが、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換シリル、または置換ゲルミルに置き換わっていてもよく、この場合、ベンゾフルオレン環がアルキルで置換されていてもよい。)このベンゾフルオレン化合物は、中央のベンゾフルオレン骨格に対して「Arおよびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)が置換したアミノ」と「R1」が結合した化合物である。ジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)は1位〜4位の位置で窒素に結合している。下記一般式(1K−3X)および一般式(1K−3Y)においてAは式(1K)の定義と同じである。
一般式(1K−3X)または(1K−3Y)のRは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールから選択することができる。また、2つのRが結合して環を形成していてもよい。これらの具体的な説明は、上記一般式(1K)における説明を引用することができる。
一般式(1K−3X)または(1K−3Y)のArは、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールから選択することができる。これらの具体的な説明は、上記一般式(1K)における説明を引用することができる。
一般式(1K−3X)または(1K−3Y)のR1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換シリル、または置換ゲルミルから選択することができる。これら(置換されていてもよいシクロアルキルを除く)の具体的な説明は、上記一般式(1K)における説明を引用することができる。なお、アリールおよびヘテロアリールへの置換基については、上記一般式(1K)における説明に加えて、炭素数6〜12のアリールで二置換されたアミノ(すなわちジアリールアミノ)による置換もあげられ、炭素数6〜12のアリールの具体的な説明は、上記一般式(1K)における説明を引用することができる。さらに、アリールまたはヘテロアリールへ炭素数1〜6のアルキルが隣接して2つ置換する場合には、これらは結合して環を形成していてもよく、このようにして形成された環としては、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、またはトリメチルシクロヘキサンなどがあげられる。
R1としての「置換されていてもよいシクロアルキル」については、「置換基」の具体的な説明は上記一般式(1K)における説明を引用することができ、「シクロアルキル」については、炭素数3〜12のシクロアルキルが好ましく、炭素数3〜10のシクロアルキルがより好ましく、炭素数3〜8のシクロアルキルがさらに好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキルが特に好ましい。具体例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
また、一般式(1K−3X)または(1K−3Y)におけるベンゾフルオレン環がアルキルで置換されていてもよく、このアルキルの具体的な説明は、上記一般式(1K)における説明を引用することができる。
さらに、一般式(1K−3X)または(1K−3Y)で表される化合物を構成する、ベンゾフルオレン環における水素、ベンゾフルオレン環に置換するR、Ar、R1およびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
上記一般式(1K−3X)または(1K−3Y)で表されるベンゾフルオレン化合物としては、例えば、以下の[12]〜[14]のベンゾフルオレン化合物が好ましい。
[12] 上記一般式(1K−3X)、または上記一般式(1K−3Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
(式中、
Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり、2つのRが結合して環を形成していてもよく、
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり、
R1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換シリル、または置換ゲルミルであり、
Aは、OまたはSであり、
上記一般式(1K−3X)、または上記一般式(1K−3Y)におけるベンゾフルオレン環がアルキルで置換されていてもよく、そして、
上記一般式(1K−3X)、または上記一般式(1K−3Y)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
[13] Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、または炭素数6〜16のアリールであり、これらは炭素数1〜6のアルキルまたは置換シリルで置換されていてもよく、また、2つのRが結合して環を形成していてもよく、
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜16のアリール、または炭素数2〜30のヘテロアリールであり、これらは炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数1〜6のフッ素化アルキル、シアノ、フッ素、炭素数1〜4のアルキルおよび/または炭素数6〜12のアリールで置換されたシリル、または炭素数1〜4のアルキルおよび/または炭素数6〜12のアリールで置換されたゲルミルで置換されていてもよく、また、炭素数1〜6のアルキルが隣接して2つ置換する場合にはこれらは結合して環を形成していてもよく、
R1は、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、炭素数1〜4のアルキルおよび/または炭素数6〜12のアリールで置換されたシリル、または炭素数1〜4のアルキルおよび/または炭素数6〜12のアリールで置換されたゲルミルであり、前記アリールおよびヘテロアリールは炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、シアノ、炭素数1〜4のアルキルで置換されたシリル、炭素数1〜4のアルキルで置換されたゲルミル、または炭素数6〜12のアリールで二置換されたアミノで置換されていてもよく、また、前記アリールおよびヘテロアリールへの置換基である炭素数1〜6のアルキルが隣接して2つ置換する場合にはこれらは結合して環を形成していてもよく、
Aは、OまたはSであり、そして、
上記一般式(1K−3X)、または上記一般式(1K−3Y)におけるベンゾフルオレン環が炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよく、そして、
上記一般式(1K−3X)、または上記一般式(1K−3Y)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1K−3X)、または上記一般式(1K−3Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
[14] Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜12のアリールであり、また、2つのRが結合してシクロペンタン環、シクロヘキサン環、またはフルオレン環を形成していてもよく、
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜12のアリール、または炭素数2〜15のヘテロアリールであり、これらは炭素数1〜4のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数1〜4のフッ素化アルキル、シアノ、フッ素、炭素数1〜4のアルキルで置換されたシリル、または炭素数1〜4のアルキルで置換されたゲルミルで置換されていてもよく、また、炭素数1〜6のアルキルが隣接して2つ置換する場合にはこれらは結合してシクロペンタン環、またはシクロヘキサン環を形成していてもよく、
R1は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、または炭素数2〜15のヘテロアリールであり、前記アリールおよびヘテロアリールは炭素数1〜4のアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、または炭素数6〜12のアリールで二置換されたアミノで置換されていてもよく、
Aは、OまたはSであり、そして、
上記一般式(1K−3X)、または上記一般式(1K−3Y)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(1K−3X)、または上記一般式(1K−3Y)で表されるベンゾフルオレン化合物。
上記一般式(1K−3X)または(1K−3Y)で表される化合物の具体例としては、例えば、一般式(1K−3X)に分類される下記式(3−1)〜式(3−86)および式(3−201)〜式(3−296)で表される化合物、および一般式(1K−3Y)に分類される下記式(3−101)〜式(3−196)および式(3−301)〜式(3−396)で表される化合物があげられる。
[1−2(11):一般式(2A)で表されるアントラセン化合物]
(式(2A)中、
R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数1〜24のアルコキシであり、
A1〜A5は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルであり、
B1およびB2は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜24のアリール、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルであり、この炭素数6〜24のアリールにおける任意の水素は炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよく、この炭素数1〜24のアルキルにおける任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、この炭素数1〜24のアルキルにおけるナフタレンに直結している−CH2−を除く任意の−CH2−は炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられてもよく、この炭素数3〜24のシクロアルキルにおける任意の水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜24のアリールで置き換えられてもよく、
X1〜X5は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルであり、この炭素数1〜24のアルキルにおける任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、この炭素数1〜24のアルキルにおけるフェニルに直結している−CH2−を除く任意の−CH2−は炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられてもよく、この炭素数3〜24のシクロアルキルにおける任意の水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよく、そして、
式(2A)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
式(2A)中、R1〜R4は、独立して、水素、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数1〜24のアルコキシである。炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、5−メチルへキシル等である。
炭素数1〜24のアルコキシの具体例は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ等である。
R1〜R4の好ましい例は、水素、メチルおよびtert−ブチルであり、特に好ましい例は水素である。
A1〜A5は独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルである。炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、5−メチルへキシル等である。
炭素数3〜24のシクロアルキルの具体例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロぺンチル、シクロヘキシル等である。
A1〜A5の好ましい例は、水素、メチル、tert−ブチルおよびシクロヘキシルであり、特に好ましい例は水素である。
B1およびB2は、独立して、水素、炭素数6〜24のアリール、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルである。以下にこれらの基について詳細に説明する。
第1に、炭素数6〜24のアリールの具体例は、フェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−4−イル、m−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−4’−イル、m−ターフェニル−5’−イル、o−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−3−イル、o−ターフェニル−4−イル、o−ターフェニル−3’−イル、o−ターフェニル−4’−イル、p−ターフェニル−2−イル、p−ターフェニル−3−イル、p−ターフェニル−4−イル、p−ターフェニル−2’−イル、m−クアテルフェニル−2−イル、m−クアテルフェニル−3−イル、m−クアテルフェニル−4−イル、o−クアテルフェニル−2−イル、o−クアテルフェニル−3−イル、o−クアテルフェニル−4−イル、p−クアテルフェニル−2−イル、p−クアテルフェニル−3−イル、p−クアテルフェニル−4−イル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル、1−クリセニル、2−クリセニル、3−クリセニル、5−クリセニル、6−クリセニル、1−トリフェニレニル、2−トリフェニレニル等である。この炭素数6〜24のアリールにおける任意の水素は炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよい。
任意の水素が炭素数1〜12のアルキルで置き換えられた炭素数6〜24のアリールの具体例は、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,4−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、2,4−ジtert−ブチルフェニル、2,4,6−トリtert−ブチルフェニル、2−メチル−4−ビフェニリル、2−メチル−3−ビフェニリル、2−メチル−2−ビフェニル、3,5−ジ(2’−メチルフェニル)フェニル、3,5−ジ(3’−メチルフェニル)フェニル、3,5−ジ(4’−メチルフェニル)フェニル、3,5−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)フェニル、3,5−ビス(2’,4’−ジメチルフェニル)フェニル、3,5−ビス(3’,5’−ジメチルフェニル)フェニル、4−メチル−1−ナフチル、4−tert−ブチル−1−ナフチル、6−メチル−2−ナフチル、6−tert−ブチル−2−ナフチル等である。
任意の水素が炭素数3〜12のシクロアルキルで置き換えられた炭素数6〜24のアリールの具体例は、2−シクロヘキシルフェニル、3−シクロヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、2、4−ジシクロヘキシルフェニル、3、5−ジシクロヘキシルフェニル、4−シクロヘキシル−1−ナフチル、6−シクロヘキシル−2−ナフチル等である。
任意の水素が炭素数6〜12のアリールで置き換えられた炭素数6〜24のアリールの具体例は、2−(1−ナフチル)フェニル、3−(1−ナフチル)フェニル、4−(1−ナフチル)フェニル、2−(2−ナフチル)フェニル、3−(2−ナフチル)フェニル、4−(2−ナフチル)フェニル、3,5−ジ(1−ナフチル)−フェニル、3,5−ジ(2−ナフチル)−フェニル、2,4−ジ(1−ナフチル)−フェニル、2,4−ジ(2−ナフチル)−フェニル、5−(1−ナフチル)−3−ビフェニリル、5−(2−ナフチル)−3−ビフェニリル、3,5−ビス(2−ビフェニリル)フェニル、3,5−ビス(3−ビフェニリル)フェニル、3,5−ビス(4−ビフェニリル)フェニル、5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−4−イル、5’−(1−ナフチル)−m−ターフェニル−2−イル、5’−(1−ナフチル)−m−ターフェニル−3−イル、5’−(1−ナフチル)−m−ターフェニル−4−イル、5’−(2−ナフチル)−m−ターフェニル−2−イル、5’−(2−ナフチル)−m−ターフェニル−3−イル、5’−(2−ナフチル)−m−ターフェニル−4−イル、4−フェニル−1−ナフチル、6−フェニル−2−ナフチル、2,2’−ビナフチル−6−イル、1,2’−ビナフチル−6’−イル、1,2’−ビナフチル−4−イル、1,1’−ビナフチル−4−イル、4−(2−ビフェニリル)−1−ナフチル、4−(3−ビフェニリル)−1−ナフチル、4−(4−ビフェニリル)−1−ナフチル、4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチル、6−(2−ビフェニリル)−2−ナフチル、6−(3−ビフェニリル)−2−ナフチル、6−(4−ビフェニリル)−2−ナフチル、6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチル等である。
第2に、炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、5−メチルへキシル等である。この炭素数1〜24のアルキルにおける任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよい。また、この炭素数1〜24のアルキルにおけるナフタレンに直結している−CH2−を除く任意の−CH2−は炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられてもよい。炭素数6〜24のアリーレンの具体例は、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルなどである。
任意の−CH2−が−O−で置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ等である。ナフタレンに直結している−CH2−を除く任意の−CH2−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、2−フェニルエチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、1−メチル−1−フェニルエチル、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル、トリチル、2−(4−ビフェニリル)エチル、2−(4’−メチル−ビフェニリル)エチル、2−(4−メチル−1−ナフチル)エチル、2−(6−メチル−2−ナフチル)エチルなどである。
任意の−CH2−が−O−で置き換えられ、かつナフタレンに直結している−CH2−を除く任意の−CH2−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、フェノキシ、o−トリルオキシ、m−トリルオキシ、p−トリルオキシ、1−ナフトキシ、2−ナフトキシ、2,4−ジメチルフェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、2,4−ジtert−ブチルフェノキシ、2,4,6−トリtert−ブチルフェノキシ、2−フェニルエトキシ、2−(4−メチルフェニル)エトキシ等である。
第3に、炭素数3〜24のシクロアルキルの具体例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロぺンチル、シクロヘキシル等である。この炭素数3〜24のシクロアルキルにおける任意の水素は炭素数1〜24のアルキル、炭素数6〜24のアリールで置き換えられてもよい。
任意の水素が炭素数1〜24のアルキルで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキルの具体例は、2−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,4、6−トリメチルシクロヘキシル、2−tert−ブチルシクロヘキシル、3−tert−ブチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、2,4、6−トリ−tert−ブチルシクロヘキシル等である。任意の水素が炭素数6〜24のアリールで置き換えられた炭素数3〜12のシクロアルキルの具体例は、2−フェニルシクロヘキシル、3−フェニルシクロヘキシル、4−フェニルシクロヘキシル、2,4−ジフェニルシクロヘキシル、3,5−ジフェニルシクロヘキシル等である。
B1およびB2の好ましい例は、水素、メチル、tert−ブチル、フェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−ターフェニル−4’−イル、m−ターフェニル−5’−イル、p−ターフェニル−2’−イル、p−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−3−イル、o−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−3−イル、3,5−ジ(2−ナフチル)フェニル、3,5−ジ(1−ナフチル)フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フェニル−1−ナフチル、6−フェニル−2−ナフチル、1,2’−ビナフチル−4−イル、2,2’−ビナフチル−6−イル、9−フェナントリル、2−トリフェニレニル、2−(2−ナフチル)フェニル、5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イル、m−クアテルフェニリル−2−イル、m−クアテルフェニリル−3−イル、6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチル、4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチル等である。特に好ましい例は、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、m−ターフェニル−5’−イル、m−ターフェニル−3−イル、1−ナフチル、2−ナフチル等である。
B1およびB2の両方が上記の基であってもよいし、どちらか片方が上記の基であって、他方が水素であってもよい。B1またはB2が嵩高い基であると、その基の立体障害によって発光波長が低波長側にシフトするので、ホストとして好ましい。またB1またはB2が嵩高い基であると、得られる化合物のガラス転移温度が高くなるので、好ましい。EL素子を作成した場合に、ガラス転移温度が低いと時間経過とともに結晶化が進み、発光効率や安定性が変化してしまう可能性があるが、ガラス転移温度が高ければこの様な経時変化が小さくなる。ただし、B1およびB2の両方があまりに嵩高い基である場合はそれらの基による立体障害によって、合成が困難になる場合がある。
B1またはB2のどちらの位置に上記の基を導入するかによって、得られる化合物の特性は、それ程大きく変わらない。ただし、B1に導入した場合の方が、B2に導入する場合よりは、合成が容易であり、コスト的に有利である。
X1〜X5は、独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルである。炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、5−メチルへキシル等である。この炭素数1〜24のアルキルにおける任意の−CH2−は、−O−で置き換えられてもよい。また、この炭素数1〜24のアルキルにおけるナフタレンに直結している−CH2−を除く任意の−CH2−は炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられてもよい。炭素数6〜24のアリーレン例は前記と同じである。
任意の−CH2−が−O−で置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ等である。ナフタレンに直結している−CH2−を除く任意の−CH2−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、2−フェニルエチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、1−メチル−1−フェニルエチル、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル、トリチル、2−(4−ビフェニリル)エチル、2−(4’−メチル−ビフェニリル)エチル、2−(4−メチル−1−ナフチル)エチル、2−(6−メチル−2−ナフチル)エチルなどである。
任意の−CH2−が−O−で置き換えられ、かつナフタレンに直結している−CH2−を除く任意の−CH2−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、フェノキシ、o−トリルオキシ、m−トリルオキシ、p−トリルオキシ、1−ナフトキシ、2−ナフトキシ、2,4−ジメチルフェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、2,4−ジtert−ブチルフェノキシ、2,4,6−トリtert−ブチルフェノキシ、2−フェニルエトキシ、2−(4−メチルフェニル)エトキシ等である。
炭素数3〜24のシクロアルキルの具体例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロぺンチル、シクロヘキシル等である。この炭素数3〜24のシクロアルキルにおける任意の水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよい。
任意の水素が炭素数1〜24のアルキルで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキルの具体例は、2−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,4、6−トリメチルシクロヘキシル、2−tert−ブチルシクロヘキシル、3−tert−ブチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、2,4、6−トリ−tert−ブチルシクロヘキシル等である。任意の水素が炭素数6〜12のアリールで置き換えられた炭素数3〜12のシクロアルキルの具体例は、2−フェニルシクロヘキシル、3−フェニルシクロヘキシル、4−フェニルシクロヘキシル、2,4−ジフェニルシクロヘキシル、3,5−ジフェニルシクロヘキシル等である。
X1〜X5の好ましい例は、水素、メチル、tert−ブチルおよびシクロヘキシルであり、より好ましい例は水素、メチル、tert−ブチルである。さらに好ましい例をフェニルの構造にて以下に示す。
また、一般式(2A)で表される化合物を構成する、アントラセン骨格における水素、アントラセンの9位や10位に置換するフェニルやナフチルにおける水素、また、R1〜R4、A1〜A5、B1、B2およびX1〜X5における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
上記一般式(2A)で表されるアントラセン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[35]のアントラセン化合物が好ましい。
[2] R1〜R4が独立して、水素、メチルまたはtert−ブチルであり;A1〜A5が独立して、水素、メチル、tert−ブチル、またはシクロヘキシルであり;B1およびB2が、独立して、水素、メチル、tert−ブチル、または任意の水素が炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、または炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよい、フェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、クリセニル、またはトリフェニレニルであり;X1〜X5が、独立して、水素、炭素数1〜12のアルキル、または炭素数3〜12のシクロアルキルである、
上記一般式(2A)で表されるアントラセン化合物。
[3] R1〜R4は独立して、水素、メチルまたはtert−ブチルであり;A1〜A5は水素であり;B1およびB2は、独立して、水素、フェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、m−ターフェニル−5’−イル、m−ターフェニル−3−イル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−(2−ナフチル)フェニル、3,5−ジ(1−ナフチル)フェニル、3,5−ジ(2−ナフチル)フェニル、p−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−2−イル、p−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イル、m−クアテルフェニル−2−イル、m−クアテルフェニル−3−イル、6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチル、または4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチルであり;X1〜X5は独立して、水素、メチル、tert−ブチル、またはシクロヘキシルである、
上記一般式(2A)で表されるアントラセン化合物。
[4] X1〜X5が水素である、上記[3]のアントラセン化合物。
[5] X3がtert−ブチルであり、X1、X2、X4およびX5が水素である、上記[3]のアントラセン化合物。
[6] Xl、X3およびX5のうち、少なくとも1つがメチルであり、残りが水素であり;X2およびX4が水素である、上記[3]のアントラセン化合物。
[7] B1およびB2がフェニルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[8] B1がフェニルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[9] B1が水素であり、B2がフェニルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[10] B1およびB2が2−ビフェニリルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[11] B1が2−ビフェニリルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[12] B1が水素であり、B2が2−ビフェニリルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[13] B1およびB2が3−ビフェニリルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[14] B1が3−ビフェニリルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[15] B1が水素であり、B2が3−ビフェニリルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[16] B1がm−ターフェニル−5’−イルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[17] B1が水素であり、B2がm−ターフェニル−5’−イルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[18] B1がm−ターフェニル−3−イルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[19] B1が水素であり、B2がm−ターフェニル−3−イルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[20] B1が1−ナフチルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[21] B1が水素であり、B2が1−ナフチルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[22] B1が2−ナフチルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[23] B1が水素であり、B2が2−ナフチルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[24] B1が2−(2−ナフチル)フェニルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[25] B1が水素であり、B2が2−(2−ナフチル)フェニルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[26] B1が3,5−ジ(1−ナフチル)フェニルまたは3,5−ジ(2−ナフチル)フェニルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[27] B1が水素であり、B2が3,5−ジ(1−ナフチル)フェニルまたは3,5−ジ(2−ナフチル)フェニルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[28] B1がp−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−2−イル、およびp−ターフェニル−2−イルから選択される1つの基であり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[29] B1が水素であり、B2はp−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−2−イル、およびp−ターフェニル−2−イルから選択される1つの基であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[30] B1が5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イルまたは5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[31] B1が水素であり、B2が5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イルまたは5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[32] B1がm−クアテルフェニル−2−イルまたはm−クアテルフェニル−3−イルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[33] B1が水素であり、B2がm−クアテルフェニル−2−イルまたはm−クアテルフェニル−3−イルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[34] B1が6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチルまたは4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチルであり、B2が水素であり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
[35] B1が水素であり、B2は6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチルまたは4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチルであり;X1およびX5が独立に水素またはメチルであり、X2およびX4が水素であり、X3が水素、tert−ブチルまたはメチルである、上記[3]のアントラセン化合物。
上記一般式(2A)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(2)〜(103)の化合物であるが、本発明はこれらの具体的な構造の開示によって限定されることはない。これらの中でも化合物(20)、(29)、(30)、(31)、(32)、(33)、(34)、(37)、(38)、(39)、(40)、(41)、(43)、(44)、(45)、(47)、(48)、(55)、(56)、(64)、(69)、(70)、(71)および(75)が好ましい。さらに化合物(31)、(32)、(37)、(39)、(40)、(43)、(44)、(47)および(55)がより好ましい。
[1−2(12):一般式(2B)で表されるアントラセン化合物]
(式(2B)中、
Arは、置換されていてもよいアリールであり、
Aは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、フェニルまたはナフチルであり、nは1〜5の整数であり、
R1〜R4は、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜4のアルキルであり、そして、
式(2B)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
上記一般式(2B)で表されるアントラセン化合物は、9位と10位にそれぞれフェニルとナフチルが結合したアントラセン化合物において、ナフチル(その2位においてアントラセンと結合)の特に7位に特定のアリールを置換させた化合物であり、このような置換位置およびアリール構造を選択することで、発光層用材料としてより優れた発光効率や素子寿命を達成した化合物である。
一般式(2B)のArにおける「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられる。好ましい「アリール」は炭素数6〜18のアリールであり、より好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
「アリール」としては、これらの中でも好ましくはフェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルが挙げられ、さらに好ましくはフェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはフェナントリルが挙げられ、特に好ましくはフェニル、3−ビフェニリル、1−ナフチルまたは2−ナフチルが挙げられる。
「アリール」への置換基としては、高い発光効率と優れた素子寿命が得られるものであれば特に限定されないが、好ましくは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数6〜18のアリールまたはフッ素などが挙げられる。
この置換基としての「炭素数1〜12のアルキル」については、直鎖および分枝鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜12の分枝鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)であり、さらに好ましくは、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチルまたは2−エチルブチルなどがあげられ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチルまたはt−ブチルが好ましく、メチル、イソプロピルまたはt−ブチルがより好ましい。
また、この置換基としての「炭素数3〜12のシクロアルキル」については、具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
また、この置換基としての「炭素数6〜18のアリール」については、炭素数6〜14のアリールが好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、好ましくは、フェニル、(2−,3−,4−)ビフェニリル、(1−,2−)ナフチル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリルなどであり、特に好ましくはフェニルや(1−,2−)ナフチルである。
「アリール」への置換基については、無置換であることが好ましいが、置換基が存在する場合には、その数は例えば最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個である。
一般式(2B)のAにおける「炭素数1〜4のアルキル」や「炭素数3〜6のシクロアルキル」としては、上述したArの置換基としてのアルキルやシクロアルキルの説明を引用することができる。
Aは水素であることが好ましいが、Aが置換基として存在する場合には、その数を示すnは、1〜5の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。
一般式(2B)のR1〜R4における「炭素数1〜4のアルキル」としては、上述したArの置換基としてのアルキルの説明を引用することができる。R1〜R4としては、それぞれ独立して、水素、メチル、イソプロピルまたはt−ブチルが好ましく、水素がより好ましい。
また、一般式(2B)で表される化合物を構成する、アントラセン骨格における水素、アントラセンの9位や10位に置換するフェニルやナフチルにおける水素、また、ArやAやR1〜R4における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
上記一般式(2B)で表されるアントラセン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[4]のアントラセン化合物が好ましい。
[2] Arは、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルであり、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜18のアリールで置換されていてもよく、
Aは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜4のアルキルであり、nは1〜3の整数であり、
R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、メチル、イソプロピルまたはt−ブチルであり、
上記一般式(2B)で表されるアントラセン化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(2B)で表されるアントラセン化合物。
[3] Arは、フェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはフェナントリルであり、これは重水素、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはフェナントリルで置換されていてもよく、
Aは、それぞれ独立して、水素、メチル、イソプロピルまたはt−ブチルであり、nは1であり、
R1〜R4は、水素である、
上記一般式(2B)で表されるアントラセン化合物。
[4] 下記式(1−1)、式(1−2)、式(1−10)、式(1−21)、式(1−26)、式(1−37)式(1−46)、式(1−55)、または式(1−253)で表されるアントラセン化合物。
上記式(2B)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(1−1)〜式(1−252)で表される化合物、および下記式(1−253)〜式(1−261)で表される化合物があげられる。下記化合物の中でも、下記式(1−1)〜式(1−19)、式(1−21)〜式(1−27)、式(1−30)、式(1−34)、式(1−37)、式(1−38)、式(1−46)〜式(1−50)、式(1−55)〜式(1−57)、式(1−64)〜式(1−66)、式(1−73)、式(1−82)、式(1−83)、式(1−98)、式(1−106)、式(1−253)〜式(1−255)および式(1−257)〜式(1−261)で表される化合物が好ましく、下記式(1−1)〜式(1−6)、式(1−10)、式(1−21)、式(1−22)、式(1−25)、式(1−26)、式(1−37)、式(1−46)、式(1−47)、式(1−55)、式(1−64)〜式(1−66)、式(1−73)、式(1−253)〜式(1−255)および式(1−257)〜式(1−260)で表される化合物がさらに好ましい。また、最も好ましくは、式(1−1)、式(1−2)、式(1−10)、式(1−21)、式(1−26)、式(1−37)、式(1−46)、式(1−55)および式(1−253)で表される化合物である。
[1−2(13):一般式(2C)で表されるアントラセン化合物]
(式(2C)中、
Ar1は、置換されていてもよい、炭素数10〜30のアリールであり、
Ar2は、置換されていてもよい、炭素数6〜30のアリールであり、
R1〜R4は、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜4のアルキルであり、そして、
式(2C)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
上記一般式(2C)で表されるアントラセン化合物は、9位に炭素数10以上のアリールが結合し、10位にナフチルが結合したアントラセン化合物において、ナフチル(その2位においてアントラセンと結合)の特に7位に特定のアリールを置換させた化合物であり、このような置換位置およびアリール構造を選択することで、発光層用材料としてより優れた素子寿命を達成した化合物である。
一般式(2C)のAr1における「炭素数10〜30のアリール」としては、炭素数10〜18のアリールが好ましい。また、Ar2における「炭素数6〜30のアリール」としては、炭素数6〜20のアリールが好ましい。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イル、また、これらの組み合わせで得られる4−(ナフタレン−1−,−2−イル)フェニル、3−(ナフタレン−1−,−2−イル)フェニル、4−フェニルナフタレン−1−イル、1,1’−ビナフタレン−4−イル、4−(フェナントレン−9−イル)フェニルなどがあげられる。ただし、Ar1としてはフェニルは選択されない。
中でも、Ar1としては1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、4−フェニル−1−ナフチル、m−テルフェニル−5’−イル、フェナントレン−9−イルまたはトリフェニレン−2−イルが好ましく、1−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、4−フェニル−1−ナフチル、m−テルフェニル−5’−イル、フェナントレン−9−イルまたはトリフェニレン−2−イルが特に好ましい。また、Ar2としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−5’−イル、4−(ナフタレン−1−イル)フェニル、4−(ナフタレン−2−イル)フェニル、フェナントレン−9−イルまたはトリフェニレン−2−イルが好ましい。
「アリール」への置換基としては、高い発光効率と優れた素子寿命が得られるものであれば特に限定されないが、好ましくは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたはフッ素などが挙げられる。
この置換基としての「炭素数1〜12のアルキル」については、直鎖および分枝鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜12の分枝鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)であり、さらに好ましくは、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチルまたは2−エチルブチルなどがあげられ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチルまたはt−ブチルが好ましく、メチル、イソプロピルまたはt−ブチルがより好ましい。
また、この置換基としての「炭素数3〜12のシクロアルキル」については、具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
「アリール」への置換基については、無置換であることが好ましいが、置換基が存在する場合には、その数は例えば最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、更に好ましくは1個である。
一般式(2C)のR1〜R4における「炭素数1〜4のアルキル」としては、上述したアリールの置換基としてのアルキルの説明を引用することができる。R1〜R4としては、それぞれ独立して、水素、メチル、イソプロピルまたはt−ブチルが好ましく、水素がより好ましい。
また、一般式(2C)で表される化合物を構成する、アントラセン骨格における水素、アントラセンの9位や10位に置換するAr1やナフチルにおける水素、また、Ar2やR1〜R4における水素の全てまたは一部が重水素であってもよい。
上記一般式(2C)で表されるアントラセン化合物としては、例えば、以下の[2]〜[5]のアントラセン化合物が好ましい。
[2] Ar1は、ナフチル、ビフェニリル、ビナフチル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチルフェニル、フェニルナフチル、フェナントリル、フェナントリルフェニル、クリセニル、ピレニルフェニルまたはトリフェニレニルであり、これらは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のシクロアルキルで置換されていてもよく、
Ar2は、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、ビナフチル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチルフェニル、フェニルナフチル、フェナントリル、フェナントリルフェニル、クリセニル、ピレニルフェニルまたはトリフェニレニルであり、これらは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のシクロアルキルで置換されていてもよく、
R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、メチル、イソプロピルまたはt−ブチルであり、そして、
上記一般式(2C)で表されるアントラセン化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(2C)で表されるアントラセン化合物。
[3] Ar1は、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、4−フェニル−1−ナフチル、m−テルフェニル−5’−イル、フェナントレン−9−イルまたはトリフェニレン−2−イルであり、
Ar2は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−5’−イル、4−(ナフタレン−1−イル)フェニル、4−(ナフタレン−2−イル)フェニル、フェナントレン−9−イルまたはトリフェニレン−2−イルであり、
R1〜R4は、水素であり、そして、
上記一般式(2C)で表されるアントラセン化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(2C)で表されるアントラセン化合物。
[4] Ar1は、1−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、4−フェニル−1−ナフチル、m−テルフェニル−5’−イル、フェナントレン−9−イルまたはトリフェニレン−2−イルであり、
Ar2は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−5’−イル、4−(ナフタレン−1−イル)フェニル、4−(ナフタレン−2−イル)フェニル、フェナントレン−9−イルまたはトリフェニレン−2−イルであり、
R1〜R4は、水素であり、そして、
Ar2における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい、
上記一般式(2C)で表されるアントラセン化合物。
[5] 下記式(1−1)、式(1−2)、式(1−21)、式(1−34)、式(1−38)、式(1−117)、式(1−129)、式(1−160)、式(1−162)、式(1−164)、式(1−166)、式(1−172)、または式(1−184)で表されるアントラセン化合物。
上記式(2C)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(1−1)〜式(1−159)で表される化合物や下記式(1−160)〜式(1−184)で表される化合物があげられる。下記化合物の中でも、下記式(1−1)〜式(1−4)、式(1−19)、式(1−21)、式(1−26)、式(1−27)、式(1−30)、式(1−34)、式(1−37)、式(1−38)、式(1−40)〜式(1−43)、式(1−46)、式(1−47)、式(1−50)〜式(1−53)、式(1−55)〜式(1−58)、式(1−61)、式(1−62)、式(1−65)〜式(1−68)、式(1−70)〜式(1−73)、式(1−76)、式(1−77)、式(1−80)〜式(1−83)、式(1−85)〜式(1−88)、式(1−91)、式(1−92)および式(1−95)〜式(1−98)で表される化合物が好ましい。また、式(1−112)、式(1−113)、式(1−116)、式(1−117)、式(1−119)、式(1−122)、式(1−124)、式(1−125)、式(1−128)、式(1−129)、式(1−131)、式(1−134)、式(1−160)、式(1−162)、式(1−164)、式(1−166)、式(1−168)、式(1−169)、式(1−172)〜式(1−174)、式(1−176)〜式(1−184)で表される化合物が好ましい。
[1−2(14):アリールアミノ基が置換したスチルベン誘導体]
アリールアミノ基が置換したスチルベン誘導体は、例えば、下記式で表される。
当該式中、Ar1は炭素数6〜30のアリールに由来するm価の基であり、Ar2およびAr3は、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであるが、Ar1〜Ar3の少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar1〜Ar3は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、トリ置換シリル(アリールおよび/またはアルキルでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよく、そして、mは1〜4の整数である。
アリールアミノ基が置換したスチルベン誘導体は、下記式で表されるジアミノスチルベンがより好ましい。
当該式中、Ar2およびAr3は、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar2およびAr3は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、トリ置換シリル(アリールおよび/またはアルキルでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレニル、スチルベニル、ジスチリルフェニル、ジスチリルビフェニリル、ジスチリルフルオレニルなどが挙げられる。
アリールアミノ基が置換したスチルベン誘導体の具体例は、N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(1−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(2−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(9−フェナントリル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ビス[4”−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ビフェニル、1,4−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ベンゼン、2,7−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−ジメチルフルオレン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニル、4,4’−ビス(9−フェニル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニルなどが挙げられる。
また、特開2003-347056号公報、および特開2001-307884号公報などに記載されたアリールアミノ基が置換したスチルベン誘導体を用いてもよい。
[1−2(15):ホウ素原子および窒素原子または酸素原子を有する多環芳香族化合物]
例えば下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(1)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体があげられる。好ましくは、下記一般式(2)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体があげられる。
(上記式(1)中、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
Y1は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−RおよびGe−RのRはアリールまたはアルキルであり、
X1およびX2は、それぞれ独立して、O、N−R、SまたはSeであり、前記N−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたはアルキルであり、また、前記N−RのRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、そして、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
(上記式(2)中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよく、また、R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよく、
Y1は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−RおよびGe−RのRは炭素数6〜12のアリールまたは炭素数1〜6のアルキルであり、
X1およびX2は、それぞれ独立して、O、N−R、SまたはSeであり、前記N−RのRは炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリールまたは炭素数1〜6のアルキルであり、また、前記N−RのRは−O−、−S−、−C(−R)2−または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合していてもよく、前記−C(−R)2−のRは炭素数1〜6のアルキルであり、そして、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
また、下記一般式(I)で表される部分構造を有する多環芳香族化合物があげられる。
(上記式(I)中、
Xは、B、P、P=O、P=S、P=Se、As、As=O、As=S、As=Se、Sb、Sb=O、Sb=S、Sb=Se、置換されていてもよい周期表第3〜11族の金属元素、または置換されていてもよい周期表第13〜14族の金属元素もしくは半金属元素であり、
A環、B環、C環およびD環は、それぞれ独立して、置換されていてもよい芳香族環または置換されていてもよいヘテロ芳香族環であり、隣接する2つの環は連結基または単結合によりそれらの間に環を形成していてもよく、そして、
上記式(I)で表される部分構造は少なくとも1つの水素を有し、そして、該部分構造における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
さらに、下記一般式(II)で表される部分構造を有する多環芳香族化合物が好ましい。
(上記式(II)中、
Xは、B、P、P=O、P=S、P=Se、As、As=O、As=S、As=Se、Sb、Sb=O、Sb=S、Sb=Se、置換されていてもよい周期表第3〜11族の金属元素、または置換されていてもよい周期表第13〜14族の金属元素もしくは半金属元素であり、
Yaは、それぞれ独立して、CまたはNであり、同じ環で隣接する2つのYaとそれらの間の結合とが一緒になって、N、O、SまたはSeになってもよく、環はそれぞれ独立して置換されていてもよく、同じ環における隣接する置換基が結合してシクロヘキサン環、ベンゼン環またはピリジン環を形成してもよく、隣接する2つの環は連結基または単結合によりそれらの間に環を形成していてもよく、そして、
上記式(II)で表される部分構造は少なくとも1つの水素を有し、そして、該部分構造における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
特に下記一般式(III−1)で表される部分構造を有する多環芳香族化合物が好ましい。
(上記式(III−1)中、
Xは、B、P、P=O、P=S、P=Se、As、As=O、As=S、As=Se、Sb、Sb=O、Sb=S、Sb=Se、置換されていてもよい周期表第3〜11族の金属元素、または置換されていてもよい周期表第13〜14族の金属元素もしくは半金属元素であり、
上記式中のベンゼン環はそれぞれ独立して置換されていてもよく、同じ環における隣接する置換基が結合してシクロヘキサン環、ベンゼン環またはピリジン環を形成してもよく、
上記式中の隣接する2つのベンゼン環は連結基または単結合によりそれらの間に環を形成していてもよく、そして、
上記式(III−1)で表される部分構造は少なくとも1つの水素を有し、そして、該部分構造における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。)
[1−3:上記一般式で表される化合物の製造方法]
上記一般式(1A)で表されるベンゾフルオレン化合物は、公知の化合物であり、特開2008-291006号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(1B)で表されるベンゾフルオレン化合物は、公知の化合物であり、特開2011-37838号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(1C)で表されるベンゾフルオレン化合物は、公知の化合物であり、特開2011-219461号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(1D)で表されるベンゾフルオレン化合物は、公知の化合物であり、特開2011-225546号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(1E)で表されるベンゾフルオレン化合物は、公知の化合物であり、特開2012-250977号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(1F)で表されるベンゾフルオレン化合物は、公知の化合物であり、特開2013-18717号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(1G)で表されるベンゾフルオレン化合物は、公知の化合物であり、特開2013-56877号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(1H)で表されるベンゾフルオレン化合物は、公知の化合物であり、国際公開2013/65589号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(1J)で表されるベンゾフルオレン化合物は、公知の化合物であり、国際公開2013/77141号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(1K)で表されるベンゾフルオレン化合物は、後述する製造方法で製造することができる。
上記一般式(2A)で表されるアントラセン化合物は、公知の化合物であり、特開2006-45503号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(2B)で表されるアントラセン化合物は、公知の化合物であり、特開2012-104806号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(2C)で表されるアントラセン化合物は、公知の化合物であり、国際公開2012/102333号公報に記載された製造方法で製造することができる。
上記一般式(1)で表される多環芳香族化合物は、公知の化合物であり、国際公開2015/102118号公報に記載された製造方法で製造することができる。上記一般式(I)で表される多環芳香族化合物は、公知の化合物であり、国際公開2014/042197号公報に記載された製造方法で製造することができる。
一般式(1K)で表されるように、ベンゾフルオレン骨格に対して「Arおよびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)が置換したアミノ(以降、「芳香族置換アミノ」とも言う)」が2つ結合した化合物は、Buchwald−Hartwig反応またはUllmann反応などの既存の反応を利用して製造することができる。
Buchwald−Hartwig反応は、塩基の存在下、パラジウム触媒または銅触媒を用いて、芳香族ハライドと、一級芳香族アミンもしくは二級芳香族アミンとをカップリングする方法である。この方法により一般式(1K)で表される化合物を得る反応経路の具体例は下記の通りである(スキーム1〜3)。
なお、スキーム1で説明する芳香族ハライドの合成方法に関しては、例えば国際公開第2005/056633号公報が参考になる。また、スキーム1の第一段目に示した反応は鈴木カップリングであり、反応させる2つの化合物におけるXとYとを交互に入れ替えても反応させることができる。さらに、この第一段目の反応において、鈴木カップリングではなく根岸カップリングを用いることもでき、この場合には、Yを有する化合物としてボロン酸やボロン酸エステルの代わりに塩化亜鉛錯体を用いる。また、この根岸カップリングの場合も上記と同様に、XとYとを交互に入れ替えても(すなわち、ナフタレンの塩化亜鉛錯体を用いる)反応させることができる。さらには、スキーム1ではカップリング反応の後に五員環を形成するために、ベンゼン環のカップリングさせる炭素の隣に予め−COOR”を置換させた原料を用いているが、代わりに、ナフタレン環の2位(カップリングさせる炭素の隣)に−COOR”を置換させた原料を用いることもできる。各スキーム中のArおよびAは、それぞれ一般式(1K)中で用いられるものに対応する。
スキーム2は、ベンゾフルオレン骨格に「Arおよびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)が置換したアミノ」が2つ結合してできる一般式(1K)で表される化合物の製造方法において、予め「Arおよびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)が置換したアミノ」を合成しておき、これをベンゾフルオレン骨格に結合させる方法である。なお、スキーム2ではArのアミン化合物を出発原料とした例を示しているが、これはArが例えばフェニルなどの場合には、ジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)のアミン化合物よりも合成や入手が容易なためであり、Arの種類によってはこれが逆になることもあるため、出発原料の合成や入手の容易性を考慮して製造方法を決定すればよい。
また、スキーム3は、Arおよびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)に相当する部位を1つずつ結合させる方法である。なお、スキーム3ではArのアミン化合物を出発原料とした例を示しているが、ジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)のアミン化合物を出発原料とすることもでき、上述するように出発原料の合成や入手の容易性に加えて、ベンゾフルオレンとの反応に伴う立体障害性を考慮して製造方法を決定すればよい。
なお、スキーム2および3ではベンゾフルオレンに同じハロゲンXが結合したジハロゲン体を用いているが、一般式(1K)で表される化合物には2つの「芳香族置換アミノ」が異なる(一般式(1K)で表される化合物構造が非対称となった例)も含まれるため、このような化合物を合成する場合には、反応性が異なるハロゲンが結合したジハロゲン体を用いて、ハロゲン活性の違いを利用して選択的な反応を用いたり、精製分離技術などを利用したりすればよい。
以上の反応で用いられるパラジウム触媒の具体例は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):Pd(PPh3)4、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド:PdCl2(PPh3)2、酢酸パラジウム(II):Pd(OAc)2、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0):Pd2(dba)3、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体:Pd2(dba)3・CHCl3、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0):Pd(dba)2、PdCl2{P(t−Bu)2−(p−NMe2−Ph)}2、ビス(トリ−o−トリルホスフィン)−パラジウム(II)ジクロリド:PdCl2(o−tolyl3)2などである。
反応を促進させるため、場合によりこれらのパラジウム化合物にホスフィン化合物を加えてもよい。そのホスフィン化合物の具体例は、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ビナフチル、4−ジメチルアミノフェニルジt−ブチルホスフィン、フェニルジt−ブチルホスフィンなどである。
この反応で用いられる塩基の具体例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化カリウムなどである。
さらに、この反応で用いられる溶媒の具体例は、ベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどである。これらの溶媒は、反応させる芳香族ハライド、トリフラート、芳香族ボロン酸エステルおよび芳香族ボロン酸の構造に応じて適宜選択できる。溶媒は単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。
またUllmann反応は、塩基の存在下、銅触媒を用いて、芳香族ハライドと一級芳香族アミンもしくは二級芳香族アミンとをカップリングする方法である。Ullmann反応で用いられる銅触媒の具体例は、銅粉、塩化銅、臭化銅またはヨウ化銅などである。また、この反応で用いられる塩基の具体例は、Buchwald−Hartwig反応と同じものから選択することができる。さらに、Ullmann反応で用いられる溶媒の具体例は、ニトロベンゼン、ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミドなどである。
また、一般式(1K)で表される化合物は、以下の反応を利用しても製造することができる(スキーム4または5)。なお、スキーム4およびスキーム5の第一段目に示した反応は鈴木カップリングであり、反応させる2つの化合物におけるXとYとを相互に入れ替えても反応させることができる。さらに、この第一段目の反応において、鈴木カップリングではなく根岸カップリングを用いることもでき、この場合には、Yを有する化合物としてボロン酸やボロン酸エステルの代わりに塩化亜鉛錯体を用いる。また、この根岸カップリングの場合も上記と同様に、XとYとを相互に入れ替えても(すなわち、芳香族置換アミノが結合したナフタレンの塩化亜鉛錯体を用いる)反応させることができる。なお、各スキーム中のArおよびAは、それぞれ一般式(1K)中で用いられるものに対応する。
また、式(1K)で表されるベンゾフルオレン化合物において2つのRが結合して環(たとえば脂肪族環や芳香族環)を形成した化合物については、例えば特開2009−184993号公報に記載されたスピロ構造を有するベンゾフルオレン化合物の合成方法を参考にして合成することができる。当該公報の段落[0055]には以下に引用する合成方法(スキーム1c)が記載されている。なお、下記スキーム中のMはLi、MgCl、MgBrまたはMgIである。
<一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表されるベンゾフルオレン化合物>
また、一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表されるベンゾフルオレン化合物は、上記スキーム(4)または(5)を利用して製造することができる。上記スキーム(4)または(5)では、Arおよびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)が置換した2種類の3級アミンを出発原料として用いているが、この出発原料のうちの一方の3級アミンを2つのArが置換したものに変更することで、式(1K−2X)または(1K−2Y)で表されるベンゾフルオレン化合物を製造することができる。
なお、一般式(1K−2X)または(1K−2Y)で表されるベンゾフルオレン化合物の中には、Nを介して隣接する2つのArが結合して環(含窒素芳香環)を形成した形態(例えば式(2−73)〜式(2−82)で表される化合物)が含まれるが、これも上記スキーム(4)または(5)を利用して製造することができる。例えば、上記スキーム(4)または(5)で用いられる出発原料のうちの一方の3級アミン(2級アミノが結合したナフタレン誘導体またはベンゼン誘導体)を上記含窒素芳香環が結合したナフタレン誘導体またはベンゼン誘導体に変更することで、含窒素芳香環が結合したナフタレン誘導体からは式(1K−2Y)で表されるタイプを、含窒素芳香環が結合したベンゼン誘導体からは式(1K−2X)で表されるタイプを製造することができる。
Nを介して隣接する2つのArが結合して環(含窒素芳香環)を形成した形態の化合物は、以下に示すスキーム(6)および(7)に従って、反応活性の異なるベンゾフルオレンジハライドを製造した後、これにアミン部位と含窒素芳香環部位とを結合させて製造することもできる。スキーム(7)では含窒素芳香環化合物としてカルバゾールを例にしたが、目的とする化合物に応じて含窒素芳香環化合物を適宜選択して用いることができる。また、X2とX3の反応活性の強さを逆にしたり、2級アミンと含窒素芳香環化合物との結合順序を逆にしたりすれば、式(1K−2Y)で表されるベンゾフルオレン化合物を製造することもできる。
<一般式(1K−3X)または(1K−3Y)で表されるベンゾフルオレン化合物>
また、一般式(1K−3X)または(1K−3Y)で表されるベンゾフルオレン化合物は、上記スキーム(4)または(5)を利用して製造することができる。上記スキーム(4)または(5)では、Arおよびジベンゾフラニル(またはジベンゾチオフェニル)が置換した2種類の3級アミンを出発原料として用いているが、この出発原料のうちの一方の3級アミン(2級アミノが結合したナフタレン誘導体またはベンゼン誘導体)をR1が結合したナフタレン誘導体またはベンゼン誘導体に変更することで、R1が結合したナフタレン誘導体からは式(1K−3Y)で表されるタイプを、R1が結合したベンゼン誘導体からは式(1K−3X)で表されるタイプを製造することができる。R1が水素の場合には、スキーム(4)またはスキーム(5)の出発原料のどちらか一方にアミノがない化合物を用いることにより製造することができる。
さらに、一般式(1K−3X)または(1K−3Y)で表されるベンゾフルオレン化合物は、上記スキーム(6)および(7)を応用して製造することもできる。スキーム(7)では、2級アミンを反応させた後に含窒素芳香環化合物(カルバゾール)を反応させているが、含窒素芳香環化合物の代わりにR1のボロン酸、ボロン酸エステルまたは塩化亜鉛錯体を用いて鈴木カップリングや根岸カップリングさせることにより、式(1K−3X)で表されるベンゾフルオレン化合物を製造することができる。また、X2とX3の反応活性の強さを逆にしたり、2級アミンとR1のボロン酸、ボロン酸エステルまたは塩化亜鉛錯体との反応順序を逆にしたりすれば、式(1K−3Y)で表されるベンゾフルオレン化合物を製造することができる。R1が水素の場合には、スキーム(6)の途中で製造されるベンゾフルオレンのモノハライドを用いて、スキーム(7)において2級アミンを反応させることにより製造することができる。
また、一般式(1K)で表されるベンゾフルオレン化合物には、少なくとも一部の水素が重水素で置換されているものも含まれるが、このような化合物は所望の箇所が重水素化された原料を用いることで、上記と同様に合成することができる。
[1−4.溶媒]
本発明の発光層形成用組成物は、第3成分として、沸点180℃以上のベンゼン誘導体を含む少なくとも1種の溶媒を含む。第3成分は、製膜時に溶剤の蒸発速度を制御することで、製膜性および塗膜の欠陥の有無、表面粗さ、平滑性を改善する。また、インクジェット法を用いた製膜時は、インクジェットヘッドのピンホールでのメニスカス安定性を制御し、吐出性を改善する。加えて、膜の乾燥速度および化合物分子の配向を制御することで、該組成物より得られる発光層を有する有機電界発光素子の電気特性、発光特性、効率、色味、寿命を改善することができる。
上記有機溶媒の沸点としては、180℃〜300℃の溶媒が好ましく、200℃〜290℃の溶媒がより好ましく、220℃〜280℃の溶媒がさらに好ましい。沸点が180℃より高い場合、インクジェットの吐出性の観点から好ましい。また、沸点が300℃より低い場合、塗膜の欠陥、表面粗さおよび平滑性の観点から好ましい。
有機溶媒は、製膜後に、真空、減圧、加熱などの乾燥工程により塗膜より取り除かれる。加熱を行う場合、第1成分および第2成分のガラス転移温度(Tg)以下で行うことが好ましい。加熱温度が有機溶媒の沸点より低くても膜が薄いために、有機溶媒は十分に取り除かれる。また、複数の乾燥方法を併用してもよい。
[1−4−1.有機溶媒の具体例]
本発明の発光層形成用組成物に用いられる有機溶媒としては、以下があげられる。
まず、アルキル基またはシクロアルキル基で置換されたベンゼン(アルキル置換基が複数ある場合には結合して環を形成してもよい)、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基またはシクロヘキシル基で置換されたベンゼン、より好ましくは1個の炭素数8〜12のアルキル基で置換されたベンゼン、具体的には、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラヒドロナフタレン、n−オクチルベンゼン、n−ノニルベンゼン、n−デシルベンゼン、n−ウンデシルベンゼン、n−ドデシルベンゼンなどがあげられる。
また、アルコキシ基で置換されたベンゼン、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたベンゼン、より好ましくは1個の炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたベンゼン、具体的には、アニソール、フェネトールなどがあげられる。
また、アルキル基で置換されたナフタレン(アルキル置換基が複数ある場合には結合して環を形成してもよい)、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基で置換されたナフタレン、より好ましくは1個の炭素数1〜4のアルキル基で置換されたナフタレンなどがあげられる。具体的には、1−メチルナフタレンなどがあげられる。
また、アルコキシ基で置換されたナフタレン、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたナフタレン、より好ましくは1個の炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたナフタレンなどがあげられる。
また、ジフェニルエーテル、アルキル基またはシクロアルキル基で置換されたジフェニルエーテル(アルキル置換基が複数ある場合には結合して環を形成してもよい)、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基またはシクロヘキシル基で置換されたジフェニルエーテル、より好ましくは1〜3個の炭素数1〜4のアルキル基で置換されたジフェニルエーテル、具体的には、ジフェニルエーテル、3−フェノキシトルエンなどがあげられる。
[1−5.任意成分]
本発明の発光層形成用組成物は、その性質を損なわない範囲で、任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、バインダーおよび界面活性剤、等が挙げられる。
[1−5−1.バインダー]
本発明の発光層形成用組成物は、バインダーを含有していてもよい。バインダーは、製膜時には膜を形成するとともに、得られた膜を基板と接合する。また、発光層形成用組成物中で他の成分を溶解および分散および結着させる役割を果たす。
本発明の発光層形成用組成物に用いられるバインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES)樹脂、アイオノマー、塩素化ポリエーテル、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、テフロン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、および、上記樹脂およびポリマーの共重合体、が挙げられるが、それだけに限定されない。
本発明の発光層形成用組成物に用いられるバインダーは、一種のみであってもよく複数種を混合して用いてもよい。
[1−5−2.界面活性剤]
本発明の発光層形成用組成物は、例えば、発光層形成用組成物の膜面均一性、膜表面の親溶媒性および撥液性の制御のために界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、親水性基の構造からイオン性および非イオン性に分類され、さらに、疎水性基の構造からアルキル系およびシリコン系およびフッ素系に分類される。また、分子の構造から、分子量が比較的小さく単純な構造を有する単分子系および分子量が大きく側鎖や枝分かれを有する高分子系に分類される。また、組成から、単一系、2種以上の界面活性剤および基材を混合した混合系に分類される。本発明の発光層形成用組成物に用いることのできる界面活性剤としては、全ての種類の界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(商品名、共栄社化学工業(株)製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK342、BYK344、BYK346(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(商品名、信越化学工業(株)製)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(商品名、(株)ネオス製)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(商品名、三菱マテリアル(株)製)、メガファックF−470、メガファックF−471、メガファックF−475、メガファックR−08、メガファックF-477、メガファックF-479、メガファックF-553、メガファックF-554(商品名、DIC(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を挙げることができる。
また、界面活性剤は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[2.発光層形成用組成物の組成および物性]
本発明の発光層形成用組成物は、第1成分および第2成分と、任意成分が均一に溶解している有機溶媒(第3成分)とを含む組成物である。
本発明の発光層形成用組成物における各成分の含有量は、組成物中の各成分の良好な溶解性、保存安定性および製膜性、ならびに、本発明の組成物から得られる塗膜の良質な膜質、また、インクジェット法を用いた場合の良好な吐出性、該組成物を用いて作製された発光層を有する有機電界発光素子の、良好な電気特性、発光特性、効率、色味、寿命の観点から、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して0.0999重量%〜8.0重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して0.0001重量%〜2.0重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して90.0重量%〜99.9重量%が好ましく、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して0.297重量%〜4.5重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して0.003重量%〜0.5重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して95重量%〜99.7重量%がより好ましく、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して0.49重量%〜2.85重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して0.01重量%〜0.15重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して99.5重量%〜97.0重量%がさらに好ましい。
本発明の発光層形成用組成物は、上述した成分を、公知の方法で攪拌、混合、加熱、冷却、溶解、分散等を適宜選択して行うことによって製造できる。また、調製後に、ろ過、脱ガス(デガスとも言う)、イオン交換処理および不活性ガス置換・封入処理等を適宜選択して行ってもよい。
本発明の塗膜形成用組成物の粘度としては、高粘度であるとより良好な製膜性とインクジェット法を用いた場合のより良好な吐出性が得られる。一方、低粘度であるとより薄い膜を作りやすい。このことから、本発明の塗膜形成用組成物は、25℃における粘度が0.3mPa・s〜3mPa・sであることが好ましく、1mPa・s〜3mPa・sであることがより好ましい。また、製膜方法によって好ましい粘度は異なり、例えばスピンコート法では、高粘度であるとより欠陥の無い膜を作りやすく、低粘度であるとより薄い膜を作りやすいため、25℃における粘度が0.3mPa・s〜60mPa・sであることが好ましく、1mPa・s〜30mPa・sであることがより好ましい。本発明において、粘度は円錐平板型回転粘度計(コーンプレートタイプ)を用いて測定した値である。
本発明の塗膜形成用組成物の表面張力としては、低いとより良好な製膜性およびより欠陥のない塗膜が得られる。一方、高いとより良好なインクジェット吐出性を得られる。このことから、本発明の塗膜形成用組成物は、25℃における表面張力が20mN/m〜40mN/mであることが好ましく、20mN/m〜30mN/mであることがより好ましい。本発明において、表面張力は懸滴法を用いて測定した値である。
[3.有機電界発光素子]
本発明の発光層形成用組成物は、有機電界発光素子の発光層の形成に用いることができる。
この実施形態に係る有機電界発光素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機電界発光素子を示す概略断面図である。
[3−1.有機電界発光素子の構造]
図1に示された有機電界発光素子100は、基板110と、基板110上に設けられた陽極120と、陽極120の上に設けられた正孔注入層130と、正孔注入層130の上に設けられた正孔輸送層140と、正孔輸送層140の上に設けられた発光層150と、発光層150の上に設けられた電子輸送層160と、電子輸送層160の上に設けられた電子注入層170と、電子注入層170の上に設けられた陰極180とを有する。
なお、有機電界発光素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板110と、基板110上に設けられた陰極180と、陰極180の上に設けられた電子注入層170と、電子注入層170の上に設けられた電子輸送層160と、電子輸送層160の上に設けられた発光層150と、発光層150の上に設けられた正孔輸送層140と、正孔輸送層140の上に設けられた正孔注入層130と、正孔注入層130の上に設けられた陽極120とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極120と発光層150と陰極180とからなる構成として、正孔注入層130、正孔輸送層140、電子輸送層160および電子注入層170は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機電界発光素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/発光層/陰極」の構成態様であってもよい。
[3−1−1.有機電界発光素子における基板]
基板110は、有機電界発光素子100の支持体となるものであり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板110は、目的に応じて板状、フィルム状またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルムまたはプラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、およびポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板110には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板110として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
[3−3.有機電界発光素子における陽極]
陽極120は、発光層150へ正孔を注入する役割を果たすものである。なお、陽極120と発光層150との間に正孔注入層130および/または正孔輸送層140が設けられている場合には、これらを介して発光層150へ正孔を注入することになる。
陽極120を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機電界発光素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できさえすれば特に限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/□、好ましくは50〜5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常100〜300nmの間で用いられることが多い。
[3−1−2.有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層]
正孔注入層130は、陽極120から移動してくる正孔を、効率よく発光層150内または正孔輸送層140内に注入する役割を果たすものである。正孔輸送層140は、陽極120から注入された正孔または陽極120から正孔注入層130を介して注入された正孔を、効率よく発光層150に輸送する役割を果たすものである。正孔注入層130および正孔輸送層140は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層130および正孔輸送層140を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機電界発光素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル(以下、NPDと略記する。)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体、ポリ(スチレンスルホン酸)がドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT:PSS)などのチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では上記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されるものではない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、あるいは、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニンZnPcなど)が知られている(特開2005−167175号公報)。
[3−1−3.有機電界発光素子における発光層]
発光層150は、電界を与えられた電極間において、陽極120から注入された正孔と、陰極180から注入された電子とを再結合させることにより発光するものである。発光層150を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光および/または燐光)効率を示す化合物であるのが好ましい。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光材料により形成され、ホスト(第1成分)とドーパント(第2成分)との混合物である。また、発光層の各層において、ホストもしくはドーパントのみが発光してもよいし、ホストとドーパントがともに発光してもよい。ホストとドーパントは、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパントはホストの全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーパントの使用量はドーパントによって異なり、そのドーパントの特性に合わせて決めれば良い。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光材料全体の0.001〜50重量%であり、より好ましくは0.1〜10重量%であり、さらに好ましくは1〜5重量%である。
[3−1−4.有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層]
電子注入層170は、陰極180から移動してくる電子を、効率よく発光層150内または電子輸送層160内に注入する役割を果たすものである。電子輸送層160は、陰極180から注入された電子または陰極180から電子注入層170を介して注入された電子を、効率よく発光層150に輸送する役割を果たすものである。電子輸送層160および電子注入層170は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することを司る層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層および電子注入層に用いられる材料としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機電界発光素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
具体的には、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、チオフェン誘導体、チアジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などがあげられる。また、オキサジアゾール誘導体(1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなど)、トリアゾール誘導体(N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなど)、ベンゾキノリン誘導体(2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなど)、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼンなど)、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、キノリノール系金属錯体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ボラン誘導体またはベンゾイミダゾール誘導体が好ましい。
キノリノール系金属錯体は、8−キノリノールを配位子として有する金属錯体化合物である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどがあげられる。
ビピリジン誘導体は、2,2’−ビピリジン、2,3’−ビピリジン、2,4’−ビピリジン、3,3’−ビピリジン、3,4’−ビピリジンまたは4,4’−ビピリジンの構造を有する化合物である。
ビピリジン誘導体の具体例としては、2,5−ビス(2,2’−ビピリジル−6−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール、2,5−ビス(2,2’−ビピリジル−6−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジメシチルシロール、2,5−ビス(2,2’−ビピリジル−5−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール、2,5−ビス(2,2’−ビピリジル−5−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジメシチルシロール9,10−ジ(2,2’−ビピリジル−6−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,2’−ビピリジル−5−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,3’−ビピリジル−6−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,3’−ビピリジル−5−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,3’−ビピリジル−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,3’−ビピリジル−5−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,2’−ビピリジル−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,2’−ビピリジル−5−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,4’−ビピリジル−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,4’−ビピリジル−5−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(3,4’−ビピリジル−6−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(3,4’−ビピリジル−5−イル)−2−フェニルアントラセン、3,4−ジフェニル−2,5−ジ(2,2’−ビピリジル−6−イル)チオフェン、3,4−ジフェニル−2,5−ジ(2,3’−ビピリジル−5−イル)チオフェン、6’6”−ジ(2−ピリジル)2,2’:4’,4”:2”,2”’−クアテルピリジンなどがあげられる。
フェナントロリン誘導体は、1,10−フェナントロリンの構造を有する化合物である。
フェナントロリン誘導体の具体例としては、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオル−ビス(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロインや1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどがあげられる。
特に、フェナントロリン誘導体を電子輸送層、電子注入層に用いた場合について説明する。長時間にわたって安定な発光を得るには、熱的安定性や薄膜形成性に優れた材料が望まれ、フェナントロリン誘導体の中でも、置換基自身が三次元的立体構造を有するか、フェナントロリン骨格とのあるいは隣接置換基との立体反発により三次元的立体構造を有するもの、あるいは複数のフェナントロリン骨格を連結したものが好ましい。さらに、複数のフェナントロリン骨格を連結する場合、連結ユニット中に共役結合、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素、置換もしくは無置換の芳香複素環を含んでいる化合物がより好ましい。
ボラン誘導体は、ジフェニルボラン構造を有する化合物である。詳細には特開2007-27587号公報に開示されており、特開2007-27587号公報に記載されたボラン誘導体を用いてもよい。
ベンゾイミダゾール誘導体の具体例は、1−フェニル−2−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(3−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールである。
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有するものであれば、様々なものが用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0〜2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下のものが特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
[3−1−5.有機電界発光素子における陰極]
陰極180は、電子注入層170および電子輸送層160を介して、発光層150に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極180を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極120を形成する材料と同様のものを用いることができる。なかでも、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されるものではない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
[3−2.有機電界発光素子の作製方法]
有機電界発光素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法、レーザー加熱描画法(LITI)などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。
本発明の発光層形成用組成物を用いる場合、発光層の形成に湿式成膜法を用いることができる。湿式成膜法とは溶液を用いた成膜法であり、例えば、一部の印刷法(インクジェット法)、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などである。湿式成膜法は真空蒸着法と異なり高価な真空蒸着装置を用いる必要が無く、大気圧下で製膜することができる。加えて、湿式成膜法は大面積化や連続生産が可能であり、製造コストの低減につながる。
一方で、湿式成膜法は積層化が難しい。湿式成膜法を用いて積層膜を作製する場合、上層の組成物による下層の溶解を防ぐ必要があり、溶解性を制御した組成物、下層の架橋および直交溶媒(orthogonal solvent、互いに溶解し合わない溶媒)などが駆使される。しかしながら、それらの技術を用いても、全ての膜の塗布に湿式成膜法を用いるのは難しい。
そこで、一般的には、幾つかの層だけを湿式成膜法を用い、残りを真空蒸着法で有機電界発光素子を作製するという方法が採用される。
例えば、湿式成膜法を一部適用し有機電界発光素子を作製する手順を以下に示す。
(手順1)陽極の真空蒸着法による製膜
(手順2)正孔注入層の湿式成膜法による製膜
(手順3)正孔輸送層の湿式成膜法による製膜
(手順4)ホスト材料とドーパント材料を含む発光層形成用組成物の湿式成膜法による製膜
(手順5)電子輸送層の真空蒸着法による製膜
(手順6)電子注入層の真空蒸着法による製膜
(手順7)陰極の真空蒸着法による製膜
この手順を経ることで、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機電界発光素子が得られる。
[3−2−1.湿式成膜法]
湿式成膜法は、一般的には、基板にインク組成物を塗布する塗布工程および塗布されたインク組成物から溶媒を取り除く乾燥工程を経ることで塗膜を形成する。塗布工程の違いにより、スピンコーターを用いるものをスピンコート法、インクジェットプリンタを用いるものをインクジェット法と呼ぶ。湿式成膜法は乾燥工程を含み、風乾、加熱、減圧乾燥などの方法がある。乾燥工程は1回のみ行なってもよく、異なる方法や条件を用いて複数回行なってもよい。また、例えば、減圧下での焼成のように、異なる方法を併用してもよい。
[3−2−2.真空蒸着法]
真空蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50〜+400℃、真空度160〜130Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚2nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。なお、膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。
[3−2−3.その他成膜法]
本明細書に記載の発光層形成用組成物の成膜化には、レーザー加熱描画法(LITI)を用いることができる。LITIとは基材に付着させた化合物をレーザーで加熱蒸着する方法で、基材へ塗布される材料に発光層形成用組成物を用いることができる。
[3−2−4.任意の工程]
製膜の各工程の前後に、適切な処理工程、洗浄工程および乾燥工程を適宜入れてもよい。処理工程としては、例えば、露光処理、プラズマ表面処理、超音波処理、オゾン処理、適切な溶媒を用いた洗浄処理および加熱処理等が挙げられる。さらには、バンクを作製する一連の工程も挙げられる。
[3−2−4−1.バンク(隔壁材料)]
バンクの作製にはフォトリソグラフィ技術を用いることができる。フォトリソグラフィの利用可能なバンク材としては、ポジ型レジスト材料およびネガ型レジスト材料を用いることができる。また、インクジェット法、グラビアオフセット印刷、リバースオフセット印刷、スクリーン印刷などのパターン可能な印刷法も用いることができる。その際には永久レジスト材料を用いることもできる。
バンクに用いられる材料としては、多糖類およびその誘導体、ヒドロキシルを有するエチレン性モノマーの単独重合体および共重合体、生体高分子化合物、ポリアクリロイル化合物、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリフェニルエーテル、ポリウレタン、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合ポリマー(ABS)、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム、ポリフルオロビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ化ポリマー、フルオロオレフィン−ヒドロカーボンオレフィンの共重合ポリマー、フルオロカーボンポリマー、が挙げられるが、それだけに限定されない。
図2を参考にして、バンクを有する基板にインクジェット法を用いて有機電界発光素子を作製する方法を説明する。この場合、インクジェットヘッド(300)より、バンク(200)間にインクの液滴(310)を滴下し、乾燥させることで塗膜(130)を作製することができる。これを繰り返し、発光層(150)まで作製し、真空蒸着法を用い電子輸送層、電子注入層および電極を製膜すれば、バンク材で発光部位が区切られた有機電界発光素子を作製することができる。
[3−3.有機電界発光素子の電気特性および発光特性の確認]
このようにして得られた有機電界発光素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機電界発光素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
[3−4.有機電界発光素子の応用例]
また、本発明は、有機電界発光素子を備えた表示装置または有機電界発光素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機電界発光素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平13035066号公報、特開2003−321546号公報、特開2004−281806号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などがあげられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスとは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されたものをいい、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などがあげられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003−257621号公報、特開2003−277741号公報、特開2004−119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式のものが蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
<合成例1:化合物(A−13.6−15)の合成>
9−ブロモアントラセン(200g、0.78mol、1.0eq.)、6−メトキシナフタレン−2−イル ボロン酸(173g、1.1eq.)、(ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0))(13.4g、0.03eq.)、トリシクロヘキシルホスフィン(13.1g、0.06eq.)およびリン酸カリウム(330g、2eq.)を5L三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でキシレン(1L)、THF(0.3L)、IPA(0.3L)および水(0.3L)を加え、還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。酢酸エチルおよび水を加え、セライトろ過を行った。分液の後、有機溶媒層をまとめ減圧濃縮した。酢酸エチルに溶解させ、煮沸洗浄した。溶離液にクロロベンゼン/ヘプタン(容量比で1/1から2/1へ徐々に変化)、次いでトルエン/ヘプタン(3/1(容量比))を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、目的物を含むフラクションを集め、減圧濃縮することで9−(6−メトキシナフタレン−2−イル)アントラセンを得た(収量:227g、収率:87%)。
9−(6−メトキシナフタレン−2−イル)アントラセン(165g、0.165mol、1.0eq.)、ピリジン塩酸塩(285g、5.0eq.)およびNMP(165mL)を2L三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。190℃で4時間加熱・撹拌した。反応液を室温に戻し、水(1L)を加え、1時間撹拌し、ろ過した。次いで、熱水洗浄、エタノール還流洗浄、ヘプタン還流洗浄、アニソール還流洗浄を行った。収量が理論収率を超えたが、これ以上の精製を行わずに次の工程へ進んだ。
前工程の精製物(240g)をピリジン(500mL)に溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物(250mL、1.3eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層を無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮した。粗精製物をクロロベンゼンに溶解させ、トルエン/酢酸エチル(2/1(容量比))を溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し濃縮した。濃縮後、目的物をヘプタンで還流洗浄することで、6−(アントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イル トリフルオロメタンスルホネートを白色固体として得た(収量:206g、収率:67%(HPLC、メトキシ体に対して)、純度:99.7%)。
6−(アントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イル トリフルオロメタンスルホネート(104g、0.23mmol、1.0eq)、3−ビフェニルボロン酸(50g、0.25mmol、1.1eq.)、リン酸カリウム(98g、2.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.3g、0.02eq.)を2L三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でキシレン(750mL)、IPA(250mL)および水(100mL)を加え、還流・撹拌した。1時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ減圧濃縮した。メタノール還流洗浄を行った。溶離液にクロロベンゼンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、ヘプタン還流洗浄を行い、9−(6−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)ナフタレン−2−イル)アントラセンを回収した(収量:101g、収率:97%、純度:99.5%(HPLC))。
9−(6−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)ナフタレン−2−イル)アントラセン(101g、0.22mol、1.0eq.)を2L三口丸底フラスコに量り取り、十分に減圧脱気および窒素置換を行った。窒素雰囲気下でTHF(1L)を加えた。氷冷下、ヨウ素(0.17g、0.3eq.)を加え、次いで、N−ブロモスクシンイミドを少しずつ加えた。2時間氷冷下で撹拌の後、室温で一晩撹拌した。亜硫酸水素ナトリウム水溶液加えしばらく攪拌し、酢酸エチルを加え分液し、水洗した。有機層を濃縮し乾固手前でメタノールを加えてろ過した。次いでトルエン/メタノール(1/9(容量比))でリフラックス洗浄した。粗精製物をクロロベンゼンに溶解させ、溶離液にクロロベンゼンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、ヘプタン還流洗浄を行い、冷却後ろ過することで、9−(6−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)ナフタレン−2−イル)−10−ブロモアントラセンを回収した(収量:111g、収率:93%、純度:99.6%(HPLC))。
9−(6−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)ナフタレン−2−イル)−10−ブロモアントラセン(18g、34mmol、1.0eq)、m−トリルボロン酸(5.5g、1.2eq.)、リン酸カリウム(14g、2.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.8g、0.02eq.)を500mL三口丸底フラスコに量り取った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でキシレン(120mL)、IPA(40mL)および水(20mL)を加え、還流・撹拌した。4時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、得られたオイルを溶離液にトルエン/ヘプタン(2/8(容量比))を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。次いで、トルエン/ヘプタン、トルエン/酢酸エチル/ヘプタン(1/1/5(容量比))で再結晶を行った。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、300℃で昇華精製することで、化合物(A−13.6−15)を得た(収量:10.1g、収率:55.2%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例2:化合物(A−23.6.1−2)の合成>
1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(10.4g、36.8mmol、1.0eq.)、m−トリルボロン酸(5.0g、1.0eq.)、炭酸ナトリウム(110.3g、3.0eq.)、および、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.10g、0.03eq.)を300mL三口丸底フラスコに量り取り、十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(100mL)、エタノール(25mL)および水(90mL)を加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に、加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルにヘプタンを加え、生成した黄色粉末を瀘去した。溶離液にヘプタンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。透明オイルとして3−ブロモ−3’−メチル−1,1’−ビフェニルを得た(収量:7.1g、収率:77.7%)。
3−ブロモ−3’−メチル−1,1’−ビフェニル(6.9g、28.0mmol、1.0eq.)、ビスピナコレートジボロン(7.8g、1.1eq.)、酢酸カリウム(8.24g、3eq.)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(0.69g、0.03eq.)を500mL三口丸底フラスコに量り取り、十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でシクロペンチルメチルエーテル(120mL)を加え、100℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた黄色オイルを熱メタノールに溶解させ、室温放置後に氷冷した。析出した4,4,5,5−テトラメチル−2−(3’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1,3,2−ジオキサボローランを回収した(収量:6.22g、収率:75.5%)。
6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(2.64g、1.0eq)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(3’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1,3,2−ジオキサボローラン(1.47g、5.0mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム(3.18g、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.17g、0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(16mL)、エタノール(4mL)および水(4mL)を加え、72℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン/トルエン(3/1(容量比))を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、溶離液にトルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、320℃で昇華精製することで、化合物(A−23.6.1−2)を得た(収量:1.07g、収率:39.2%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<参考合成例1:比較化合物1の合成>
9−(6−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)ナフタレン−2−イル)−10−ブロモアントラセン(10.7g、20mmol、1.0eq)、(3−イソプロピルフェニル)ボロン酸(3.94g、1.2eq.)、リン酸カリウム(8.49g、2.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.16g、0.05eq.)を300mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトリメチルベンゼン(60mL)、IPA(15mL)および水(15mL)を加え、還流・撹拌した。10時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンおよび水を加え、分液した。固体をメタノールで洗浄した。トルエンを溶離液として、シリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。トルエンで再結晶し、白色固体を回収した。ヘプタン/トルエン(2/1(容量比))を溶離液として、活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた粉末を1×10−4Pa以下の減圧下、270℃で昇華精製することで、比較化合物1を得た(収量:5.53g、収率:48.1%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<参考合成例2:比較化合物2の合成>
9−(6−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)ナフタレン−2−イル)−10−ブロモアントラセン(10.7g、20.0mmol、1.0eq)、p−トリルボロン酸(3.26g、1.2eq.)、リン酸カリウム(8.49g、2.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.69g、0.03eq.)を300mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトリメチルベンゼン(50mL)、IPA(10mL)および水(10mL)を加え、還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてアルミナショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。溶離液をトルエン/ヘプタン(1/1(容量比))を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。次いで、トルエン、トルエン/酢酸エチル(1/1(容量比))で再結晶を行った。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製することで、比較化合物2を得た(収量:6.1g、収率:56%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<参考合成例3:比較化合物3の合成>
9−(6−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)ナフタレン−2−イル)−10−ブロモアントラセン(9.65g、18mmol、1.0eq)、(4−イソプロピルフェニル)ボロン酸(3.54g、1.2eq.)、リン酸カリウム(7.63g、2.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.62g、0.03eq.)を300mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトリメチルベンゼン(50mL)、IPA(10mL)および水(4mL)を加え、還流・撹拌した。2時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。析出した固体をろ取した。トルエンに溶解させ、トルエンを溶離液として、シリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。トルエン、トルエン/酢酸エチル、クロロベンゼンで再結晶し、白色固体を回収した。得られた粉末を1×10−4Pa以下の減圧下、320℃で昇華精製することで、比較化合物3を得た(収量:3.3g、収率:31.9%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<参考合成例4:比較化合物4の合成>
9−(6−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)ナフタレン−2−イル)−10−ブロモアントラセン(10.0g、18.7mmol、1.0eq)、(4−(tert−ブチル)フェニル)ボロン酸(4.0g、1.2eq.)、リン酸カリウム(7.9g、2.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.65g、0.03eq.)を300mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトリメチルベンゼン(40mL)、IPA(8mL)および水(8mL)を加え、還流・撹拌した。7.5時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。EDTA(0.6g)および水(100mL)を加えてろ取し、白灰色固体を得た。トルエンに溶解させ、トルエンを溶離液として、シリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。トルエンで再結晶し、白色固体を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、330℃で昇華精製することで、比較化合物4を得た(収量:4.22g、収率:38.3%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<参考合成例5:比較化合物5の合成>
1−ブロモ−3,5−ジ−tert−ブチルベンゼン(10.77g、40.0mmol、1.0eq.)、ビスピナコレートジボロン(12.19g、1.2eq.)、酢酸カリウム(11.78g、3eq.)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(0.98g、0.03eq.)を500mL三口丸底フラスコに量り取り、十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でシクロペンチルメチルエーテル(200mL)を加え、100℃で還流・撹拌した。5時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。ろ過し、ろ紙上の固体を酢酸エチルで洗浄した。得られた固体をトルエンに溶解させ、溶離液にトルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。析出した固体をメタノールで洗浄し、1−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボローランを回収した(収量:11.5g、収率:91%)。
9−(6−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)ナフタレン−2−イル)−10−ブロモアントラセン(9.65g、18mmol、1.0eq)、1−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボローラン(6.26g、1.1eq.)、リン酸カリウム(7.63g、2.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.04g、0.05eq.)を300mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(60mL)、エタノール(15mL)および水(7.5mL)を加え、還流・撹拌した。17時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンおよび水を加え分液し、有機層を減圧濃縮した。固体をメタノール洗浄した。トルエンに溶解させ、トルエンを溶離液として、シリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、トルエンを溶離液として、活性炭ショートカラムクロマトグラフィーを行った。トルエン/ヘプタンで再結晶し、白色固体を回収した。得られた粉末を1×10−4Pa以下の減圧下、290℃で昇華精製することで、比較化合物5を得た(収量:3.5g、収率:30.2%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<参考合成例6:比較化合物6の合成>
6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(2.64g、1.0eq)、ビフェニル−3−ボロン酸(0.99g、5.0mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム(3.18g、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.17g、0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(16mL)、エタノール(4mL)および水(4mL)を加え、72℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン/トルエン(3/1(容量比))を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、310℃で昇華精製することで、比較化合物6を得た(収量:1.23g、収率:46.2%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例3:化合物(A−23.6.1−0)の合成>
6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(2.64g、1.0eq)、3−メチルフェニルボロン酸(0.61g、5.0mmol、1.0eq.)、炭酸カリウム(2.03g、3.0eq.)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.11g、0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(16mL)、エタノール(4mL)および水(4mL)を加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、得られたオイルを溶離液にトルエンを用いて活性炭ショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、トルエン/ヘプタン(1/2(容量比))、次いでトルエン/メタノール(1/2(容量比))で再結晶を行い、析出した固体をろ取した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、270℃で昇華精製することで、化合物(A−23.6.1−0)を得た(収量:1.32g、収率:56.1%、純度:99.7%(HPLC))。
<参考合成例7:比較化合物7の合成>
6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(2.64g、1.0eq)、フェニルボロン酸(0.61g、5.0mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム(3.18g、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.17g、0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(16mL)、エタノール(4mL)および水(4mL)を加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン/トルエン(3/1(容量比))を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、トルエン/ヘプタン(1/2(容量比))、次いでトルエン/メタノール(1/2(容量比))で再結晶を行い、析出した固体をろ取した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、270℃で昇華精製することで、比較化合物7を得た(収量:0.91g、収率:39.9%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<合成例4:化合物(A−23.7.1−2)の合成>
7−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イル トリフルオロメタンスルホネート(2.64g、1.0eq)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(3’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1,3,2−ジオキサボローラン(1.47g、5.0mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム(3.18g、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.17g、0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(16mL)、エタノール(4mL)および水(4mL)を加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン/トルエン(3/1(容量比))を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、溶離液にトルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、320℃で昇華精製することで、化合物(A−23.7.1−2)を得た(収量:0.88g、収率:32.2%、純度:99.7%(HPLC))。
<比較合成例8:比較化合物8の合成>
比較化合物8は特許第4788202号公報を参考に合成した。
<合成例5:化合物(A−23.6.1−1)の合成>
1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(10.4g、36.8mmol、1.0eq.)、m−トリルボロン酸(5.0g、1.0eq.)、炭酸ナトリウム(110.3g、3.0eq.)、および、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.10g、0.03eq.)を300mL三口丸底フラスコに量り取り、十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(100mL)、エタノール(25mL)および水(90mL)を加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルにヘプタンを加え、生成した黄色粉末を瀘去した。溶離液にヘプタンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。透明オイルとして4−ブロモ−3’−メチル−1,1’−ビフェニルを得た(収量:6.3g、収率:77.7%)。
4−ブロモ−3’−メチル−1,1’−ビフェニル(6.0g、24.3mmol、1.0eq.)、ビスピナコレートジボロン(6.79g、1.1eq.)、酢酸カリウム(7.15g、3eq.)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(0.0.60g、0.03eq.)を300mL三口丸底フラスコに量り取り、十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でシクロペンチルメチルエーテル(100mL)を加え、100℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた黄色オイルを熱メタノールに溶解させ、室温放置後に氷冷した。析出した4,4,5,5−テトラメチル−2−(3’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,2−ジオキサボローランを回収した(収量:4.87g、収率:68.1%)。
6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(2.64g、1.0eq)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(3’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1,3,2−ジオキサボローラン(1.47g、5.0mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム(3.18g、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.17g、0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(16mL)、エタノール(4mL)および水(4mL)を加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン/トルエン(3/1(容量比))を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、溶離液にトルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、320℃で昇華精製することで、化合物(A−23.6.1−1)を得た(収量:0.98g、収率:35.9%、純度:99.7%(HPLC))。
<参考合成例9:比較化合物9の合成>
6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(2.64g、1.0eq)、ビフェニル−4−イルボロン酸(1.47g、5.0mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム(3.18g、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.17g、0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(16mL)、エタノール(4mL)および水(4mL)を加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、溶離液にトルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られた固体をトルエンに溶解させ、トルエン/ヘプタン(1/1(容量比))で再結晶を行い、析出した固体をろ取した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、320℃で昇華精製することで、比較化合物9を得た(収量:1.42g、収率:53.3%、純度:99.7%(HPLC))。
<合成例6:化合物(A−12.4−1)の合成>
(10−(m−トリル)アントラセン−9−イル)ボロン酸(1.56g、5.0mmol、1.0eq)、1−ブロモ−4−フェニルナフタレン(1.41g、5.0mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム(3.18g、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.17g、0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(16mL)、エタノール(4mL)および水(4mL)を加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ減圧濃縮した。溶離液にヘプタン/トルエン(3/1(容量比))を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、溶離液にトルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮し、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、300℃で昇華精製を行い、化合物(A−12.4−1)が得られた(収量:0.81g、収率:34.4%、純度:99.7%(HPLC))。
<参考合成例10:比較化合物10の合成>
1,4−ジヒドロキシナフタレン(5.00g、31.2mmol、1.0eq.)をピリジン(80mL)に溶解させ、氷冷下でトリフルオロメチルスルホン酸無水物(12.6mL、74.9mmol、2.4eq.)をゆっくりと滴下した。氷冷下での1時間の撹拌の後、室温で1時間撹拌した。水を加え、トルエンで3回抽出し、まとめたトルエン層を無水硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを瀘去した後、濃縮し、トルエン/ヘプタン(1/4(容量比))を溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じた。目的物を含むフラクションを回収し、濃縮することで、ナフタレン−1,4−ジイルビス(トリフルオロメタンスルホネート)を白色固体として得た(収量:9.61g、収率:72.6%(HPLC)、純度:99.5%)。
(10−フェニルアントラセン−9−イル)ボロン酸(3.00g、10.1mmol、1.0eq.)、ナフタレン−1,4−ジイルビス(トリフルオロメタンスルホネート)(4.26g、10.1mmol、1eq.)、炭酸カリウム(4.17g、30.2mmol、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.35g、0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(24mL)、エタノール(6mL)および水(6mL)を加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ、無水硫酸ナトリウムを加え、しばらく放置した。硫酸ナトリウムを濾去し、溶液を減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にトルエンを用いてシリカゲルショートカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。得られたオイルを溶離液にヘプタン/トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−1−イル トリフルオロメタンスルホネートを白色粉末として得た(収量:2.67g、収率:50.2%、純度:98.8%(HPLC))。
4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−1−イル トリフルオロメタンスルホネート(2.00g、3.79mmol、1.0eq)、フェニルボロン酸(0.64g、3.79mmol、1.0eq.)、リン酸カリウム(2.41g、3.0eq.)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.13g、0.03eq.)を100mL三口丸底フラスコに量り取り、減圧脱気/Ar置換を5回行った。十分に減圧脱気および窒素置換を行った後、窒素雰囲気下でトルエン(12mL)、エタノール(3mL)および水(3mL)を加え、74℃で還流・撹拌した。3時間の後に加熱をやめ、反応液を室温に戻した。トルエンで3回抽出を行った後、有機溶媒層をまとめ減圧濃縮した。溶離液にヘプタン−トルエンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮した。さらに、溶離液にヘプタン−トルエンを用いて活性炭カラムクロマトグラフィーに通じ、目的物を含むフラクションを回収・減圧濃縮し、白色粉末を回収した。得られた粉末を2×10−4Pa以下の減圧下、300℃で昇華精製を行い、比較化合物10が得られた(収量:0.70g、収率:40.6%、純度:99.9%以上(HPLC))。
<溶解性試験>
まず、本願発明の化合物及び比較化合物について、シクロヘキシルベンゼンに対する溶解度を調べた。
以下のとおり、m位がメチル置換されたフェニル基を有する本願発明の化合物は、m位であってもイソプロピル(i−Pr)基が置換した比較化合物1、メチル基であってもp位に置換した比較化合物2、p位にイソプロピル基が置換した比較化合物3、p位にt−ブチル(t−Bu)基が置換した比較化合物4、m位であってもt−ブチル基が置換した比較化合物5、無置換の比較例化合物6と比較して溶解性が大きく改善した。
以下のとおり、m位がメチル置換されたフェニル基を有する本願発明の化合物は、無置換の比較化合物7と比較して溶解性が大きく改善した。
以下のとおり、m位がメチル置換されたフェニル基を有する本願発明の化合物は、無置換の比較化合物8と比較して溶解性が大きく改善した。
以下のとおり、m位がメチル置換されたフェニル基を有する本願発明の化合物は、無置換の比較化合物9と比較して溶解性が大きく改善した。
以下のとおり、m位がメチル置換されたフェニル基を有する本願発明の化合物は、無置換の比較化合物10と比較して溶解性が大きく改善した。
次に、本願発明の化合物および比較化合物について、調製したインクを評価した。
<インク組成物調製後の濁りの有無>
以下に示す処方で調製した実施例1〜14および比較例1〜5のインク組成物について濁りの有無を評価し、均一な組成物を調製できたものを「○」、均一な組成物を調製できなかったものを「×」で表1に示した。なお、評価が「×」であったものは以降の評価を行わなかった。
<インク組成物の安定性>
上記インク組成物を室温で1週間静置した後、濁りや沈殿が無かったものを「○」、濁りや沈殿が発生したものを「×」で表1に示した。
<インク組成物の塗布性>
濁りや沈殿のなかったインク組成物に関して、インク組成物を調製したその日の内に、スピンコートによる塗布性を評価した。1000mJ/cm2の強度でUV−O3処理を行った40×40mmのガラス基板上にインク組成物をスピンコート法により製膜し、膜欠陥の有無を目指にて観察した。欠陥の無いものを「○」、欠陥のあるものを「×」として表1に示した。
なお、インク組成物の調製で用いたドーパント材料は以下の化合物である。
<実施例1>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.15 重量%
化合物(A-13.6-15) 2.85 重量%
トルエン 67.90 重量%
テトラヒドロナフタレン 29.10 重量%
<実施例2>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.15 重量%
化合物(A-23.6.1-2) 2.85 重量%
トルエン 67.90 重量%
テトラヒドロナフタレン 29.10 重量%
<比較例1>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.15 重量%
比較化合物6 2.85 重量%
トルエン 67.90 重量%
テトラヒドロナフタレン 29.10 重量%
<実施例3>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.10 重量%
化合物(A-13.6-15) 1.90 重量%
アニソール 49.50 重量%
テトラヒドロナフタレン 49.50 重量%
<比較例2>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.10 重量%
比較化合物6 1.90 重量%
アニソール 49.50 重量%
テトラヒドロナフタレン 49.50 重量%
<実施例4>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.10 重量%
化合物(A-13.6-15) 1.90 重量%
キシレン 49.50 重量%
シクロヘキシルベンゼン 49.50 重量%
<比較例3>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.10 重量%
比較化合物6 1.90 重量%
キシレン 49.50 重量%
シクロヘキシルベンゼン 49.50 重量%
<実施例5>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.10 重量%
化合物(A-13.6-15) 1.90 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.40 重量%
3−フェノキシトルエン 68.60 重量%
<実施例6>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.15 重量%
化合物(A-13.6-15) 2.85 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.10 重量%
3−フェノキシトルエン 67.90 重量%
<実施例7>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.10 重量%
化合物(A-23.6.1-2) 1.90 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.40 重量%
3−フェノキシトルエン 68.60 重量%
<比較例4>
下記成分を室温で2時間以上撹拌したが均一な溶液にはならず、インク組成物を調製できなかった。
化合物(BD1) 0.05 重量%
比較化合物6 0.95 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.70 重量%
3−フェノキシトルエン 69.30 重量%
<実施例8>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.10 重量%
化合物(A-12.4-1) 1.90 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.40 重量%
3−フェノキシトルエン 68.60 重量%
<比較例5>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.10 重量%
比較化合物10 1.90 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.40 重量%
3−フェノキシトルエン 68.60 重量%
<実施例9>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.05 重量%
化合物(A-23.6.1-0) 0.95 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.70 重量%
3−フェノキシトルエン 69.70 重量%
<比較例6>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.05 重量%
比較化合物7 0.95 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.70 重量%
3−フェノキシトルエン 69.70 重量%
<実施例10>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD1) 0.05 重量%
化合物(A-23.6.1-1) 0.95 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.70 重量%
3−フェノキシトルエン 69.70 重量%
<実施例11>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク成物を調製した。
化合物(BD1) 0.05 重量%
化合物(A-23.7.1-2) 0.95 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.70 重量%
3−フェノキシトルエン 69.70 重量%
<実施例12>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD2) 0.10 重量%
化合物(A-13.6-15) 1.90 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.40 重量%
3−フェノキシトルエン 68.60 重量%
<実施例13>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD2) 0.06 重量%
化合物(A-13.6-15) 1.94 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.40 重量%
3−フェノキシトルエン 68.60 重量%
<実施例14>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD2) 0.02 重量%
化合物(A-13.6-15) 1.98 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.40 重量%
3−フェノキシトルエン 68.60 重量%
<比較例7>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することでインク組成物を調製した。
化合物(BD2) 0.02 重量%
比較化合物6 1.98 重量%
シクロヘキシルベンゼン 29.40 重量%
3−フェノキシトルエン 68.60 重量%
<有機電界発光素子の評価(蒸着成膜法)>
実施例15〜16および比較例8〜9に係る有機電界発光素子を作製した。各有機電界発光素子における各層の材料構成を表2に示す。
表2における、HI1、HT1およびET1の化学構造を以下に示す。
<実施例15>
ITOがパターニングされた透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HT1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ホストとして化合物(A−13.6−15)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ドーパントとしてBD1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ET1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、フッ化リチウムを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、HI1が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して正孔注入層を形成した。次いで、HT1が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次いで、化合物(A−13.6−15)が入った蒸着用ボートとBD1が入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。化合物(A−13.6−15)とBD1の重量比がおよそ95:5になるように蒸着速度を調節した。次いで、ET1が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。次いで、フッ化リチウムが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように蒸着して電子注入層を形成した。最後に、アルミニウムの入ったボートを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成することで、ITO/HI1/HT1/化合物(A−13.6−15):BD1/ET1/LiF/Alの素子構成の有機電界発光素子を作製した。
<比較例8>
ホストとして比較化合物6を用いた以外は実施例15と同様にすることで、ITO/HI1/HT1/比較化合物6:BD1/ET1/LiF/Alの素子構成の有機電界発光素子を作製した。
<実施例16>
ホストとして化合物(A−23.6.1−0)を用いた以外は実施例15と同様にすることで、ITO/HI1/HT1/化合物(A−23.6.1−0):BD1/ET1/LiF/Alの素子構成の有機電界発光素子を作製できる。
<比較例9>
ホストとして比較化合物7を用いた以外は実施例15と同様にすることで、ITO/HI1/HT1/比較化合物7:BD1/ET1/LiF/Alの素子構成の有機電界発光素子を作製した。
作製した有機電界発光素子について、ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m2発光時の駆動電圧、電流密度、CIExおよびCIEyおよび外部量子効率(EQE)を測定した。また、10mA/cm2で発光させた時の輝度保持時間(LT80:輝度が初期の80%になるまでの時間)を計測した。測定結果を表3に示す。
電流密度、外部量子効率(EQE)およびLT80は、実施例15については比較例8を、実施例16については比較例9を基準に変化量をパーセンテージで示した。例えば、実施例15の電流密度の変化量[%]は、((実施例16の電流密度/比較例8の電流密度)−1)×100から計算される。
表3の通り、1000cd/m2発光時、電圧および電流密度は比較例に対して同等かそれ以下となり本発明の化合物を用いれば低電力での発光が可能であった。また、効率および寿命も比較例に対して大きく改善された。したがって、ホストとして一般式(A)で表される化合物とドーパントとを含む発光層は、低駆動電力、高効率および長寿命の有機電界発光素子を実現することが分かる。また、蒸着成膜による有機電界発光素子でこのような効果を確認できたことは、以下に説明する湿式成膜による有機電界発光素子においても同じ効果を得られることが十分推測できる。
<有機電界発光素子の評価(湿式成膜法)>
実施例17〜19および比較例10〜12に係る有機電界発光素子を作製する。各有機電界発光素子における各層の材料構成を表4に示す。
表4における、HI2およびHT2の化学構造を以下に示す。
<HI2溶液>
市販のHI2溶液(Clevios(TM) P VP AI4083、PEDOT:PSSの水分散液、Heraeus Holdings)を用いる。
<HT2溶液の調製>
HT2(LT−N159、OTPD、Luminescence Technology Corp製)およびIK−2(光カチオン重合開始剤、サンアプロ社製)をトルエンに溶解させ、HT2濃度0.7wt%、IK−2濃度0.007wt%のHT2溶液を調製する。
<実施例17>
ITOが150nmの厚さに蒸着されたガラス基板上に、HI2溶液をスピンコートし、200℃のホットプレート上で1時間焼成し、膜厚40nmのHI2膜を成膜する(正孔注入層)。次いで、HT2溶液をスピンコートし、80℃のホットプレート上で10分間乾燥する。露光機で露光強度100mJ/cm2で露光し、100℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚25nmの溶液に不溶なHT2膜を成膜する(正孔輸送層)。次いで、実施例4で調製したインク組成物をスピンコートし、120℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚20nmの発光層を成膜する。
作製した多層膜を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、ET1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、フッ化リチウムを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着する。
真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、ET1が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成する。
その後、フッ化リチウムが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように蒸着して電子注入層を形成する。次いで、アルミニウムの入ったボートを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成することで、ITO/HI2/HT2/化合物(A−13.6−15):BD1/ET1/LiF/Alの素子構成の有機電界発光素子を作製できる。
作製した有機電界発光素子について、ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として、発光時の均一性を目視で観察する。実施例4のインク組成物に用いた化合物(A−13.6−15)は溶解性が高く、インク組成物の塗布性が良いために、均一な発光が見られる。
<比較例10>
実施例4で調製したインク組成物に替えて比較例3で調製した発光層形成用インク組成物から発光層を形成する以外は実施例17と同様にすることで、ITO/HI2/HT2/比較化合物6:BD1/ET1/LiF/Alの素子構成の有機電界発光素子を作製できる。
作製した有機電界発光素子について、ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として、発光時の均一性を目視で観察する。比較例3のインク組成物に用いた比較化合物6は溶解性が低く、インク組成物の塗布性が悪いために、ムラのある発光が見られる。
<実施例18>
実施例4で調製したインク組成物に替えて実施例9で調製したインク組成物から発光層を形成する以外は実施例17と同様にすることで、ITO/HI2/HT2/化合物(A−23.6.1−0):BD1/ET1/LiF/Alの素子構成の有機電界発光素子を作製できる。
作製した有機電界発光素子について、ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として、発光時の均一性を目視で観察する。実施例9のインク組成物に用いた化合物(A−23.6.1−0)は溶解性が高く、インク組成物の塗布性が良いために、均一な発光が見られる。
<比較例11>
実施例17と同様にして正孔注入層および正孔輸送層を作製し、比較例6で調製した発光層形成用インク組成物をスピンコートする。比較化合物7は溶液に不溶であったため、HT2膜上に発光層を成膜することはできない。
<実施例19>
実施例4で調製したインク組成物に替えて実施例17で調製した発光層形成用インク組成物から発光層を形成する以外は実施例17と同様にすることで、ITO/HI2/HT2/化合物(A−13.6−15):BD2/ET1/LiF/Alの素子構成の有機電界発光素子を作製できる。
作製した有機電界発光素子について、ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として、発光時の均一性を目視で観察する。実施例17のインク組成物に用いた化合物(A−13.6−15)は溶解性が高く、インク組成物の塗布性が良いために、均一な発光が見られる。
<比較例12>
実施例17と同様にして正孔注入層および正孔輸送層を作製し、比較例7で調製した発光層形成用インク組成物をスピンコートする。比較化合物6は溶液に不溶であったため、HT2膜上に発光層を成膜することはできない。