JP6837280B2 - シリンジセット - Google Patents

Description

本発明は、例えば、止血剤などの外用薬を人体に塗布または噴霧する際に使用するシリンジセットに関する。

特許文献１には、バレル本体の先端部に設けられたノズル部を有するシリンジが記載されている。このシリンジのノズル部は外筒部と内筒部とを備え、内筒部の先端は外筒部の先端よりも若干突出している。

しかし、特許文献１に記載のシリンジは、内筒部の先端が外筒部の先端よりも最大で１．５ｍｍ突出しているだけであり、シリンジ先端部を視認するだけでは、内筒部と外筒部とが略面一に形成された他のシリンジと区別するのが困難である。

また、特許文献１に記載のシリンジでは、外筒部の内面に３条以上の螺旋状リブが形成され、かつ、螺旋状リブの先端が平坦面になっているので、外筒部と内筒部との間に専門の針以外、例えば、汎用のカテーテルを差し込んで接続できない。

特開２０１１−７２３９５号公報

本発明は、シリンジ先端部を視認するだけで容易に他のシリンジと区別でき、またＩＳＯ５９４−１に規定された注射針およびＪＩＳ Ｔ ３２１３に規定されたカテーテルが直接、接続されることを防ぐシリンジセットを提供する。

本発明のシリンジセットは、内部に薬剤が充填されるバレル本体の端部に設けられ、外側端部の外径が４．３１５ｍｍから６ｍｍの先端部と、前記先端部の外周に前記先端部と同心円上に設けられた周辺壁部と、前記周辺壁部の内面に設けられた螺旋状リブとを有し、前記螺旋状リブは、前記周辺壁部の外側端部に対応する位置から、前記周辺壁部の前記外側端部と反対側の前記周辺壁部の端部に対応する位置まで、中心軸の周りに一周のみして延びている、シリンジと、内径が前記先端部の外径に適合し、前記先端部に外嵌して前記シリンジに接続され、前記螺旋状リブと螺合するリング状の顎部を有するノズルと、を備え、前記周辺壁部は、前記バレル本体からの突出長さが、前記先端部の前記バレル本体からの突出長さよりも短く、側面視で前記周辺壁部から前記先端部の外側端部が露出し、側面視で、前記先端部が前記周辺壁部から露出する長さが、２．１ｍｍ以上であり、かつ、前記先端部の前記バレル本体からの突出長さが、前記周辺壁部の前記バレル本体からの突出長さの１．２５倍から５倍である。

先端部の外径を４．３１５ｍｍから６ｍｍにすることで、ＩＳＯ５９４−１に規定された内径が４．０ｍｍから４．３１５ｍｍの注射針を先端部に嵌合できず、直接、シリンジに接続できない。同様に、ＪＩＳ Ｔ ３２１３に規定された内径が６．０ｍｍよりも大きいカテーテルを先端部に接続するとがたつくために直接、シリンジに接続できない。これにより、注射針またはカテーテルがシリンジに直接接続されることを防ぎ、注射針またはカテーテルを介してシリンジに充填された薬剤が誤って投与されることを防止できる。

先端部と周辺壁部とのバレル本体からの突出長さが異なり、先端部の外側端部が周辺壁部から露出しているので、側面視で先端部の外側端部を明確に視認できる。従って、バレル本体の端部を視認するだけで、先端部と周辺壁部とが略面一に形成された他のシリンジと区別し、薬剤の誤投与を防止できる。また、螺旋状リブを設けることで、例えば、ノズルまたはアダプタなどを螺旋状リブに螺合してバレル本体に接続できる。

上記構成により、先端部と周辺壁部とのバレル本体からの突出長さの差が大きくなり、シリンジ端部の視認性を高めて、より確実に薬剤の誤投与を防止できる。

前記構成により、例えば、ノズルまたはアダプタなどを螺旋状リブを介してバレル本体に螺合する場合、ノズルまたはアダプタなどを一回転するだけで、容易にバレル本体に接続できる。

前記螺旋状リブの山頂部の径が７．８３ｍｍ以上であることが好ましい。

前記構成により、ＩＳＯ５９４−２に規定された、外径が７．８３ｍｍの針基を有する注射針を先端部に接続するとがたつくために直接、注射針をシリンジに接続できない。

本発明のシリンジセットは、内径が前記先端部の外径に適合し、前記先端部に外嵌して前記シリンジに接続され、前記螺旋状リブと螺合する突出片を有するアダプタをさらに備えてもよい。

前述したように、注射針またはカテーテルがシリンジに直接接続されることを防ぎ、注射針またはカテーテルを介してシリンジに充填された薬剤が誤って投与されることを防止できる。一方で、ノズルを直接、シリンジに接続することで、薬剤をノズルを介して塗布または噴霧できる。また、アダプタをシリンジに接続することで、アダプタを介して注射針やカテーテルをシリンジに接続できる。

本発明によれば、バレル本体の端部を視認するだけで、先端部と周辺壁部とが略面一に形成された他のシリンジと区別し、またＩＳＯ５９４−１に規定された注射針およびＪＩＳ Ｔ ３２１３に規定されたカテーテルが直接、接続されることを防ぐことで薬剤の誤投与を防止できる。

本発明の実施形態に係るシリンジの斜視図。 図１のシリンジの断面図。 シリンジ本体の先端部の拡大断面図。 シリンジに接続するノズルの拡大断面図。 シリンジにノズルを接続した状態を示す斜視図。 図５のノズルの断面図。 シリンジにアダプタを接続した状態を示す斜視図。 図７のアダプタの斜視図。 アダプタの断面図。 シリンジの先端に装着するキャップの側面図。

以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。

図１および図２に示すように、本実施形態に係るシリンジ１０は、内部に薬剤が充填されるバレル本体１１と、バレル本体１１内に摺動可能に配設されたガスケット２３と、ガスケット２３に取り付けられたプランジャ２６とを備えている。

バレル本体１１は、透明または半透明の樹脂からなる筒状体である。バレル本体１１は、一端に形成された接続部１２と、他端に形成されたフランジ２１とを備えている。

接続部１２は、後述するノズル３１またはアダプタ４１を接続する。図３に示すように、接続部１２は、バレル本体１１の端部１３に設けられた先端部１５と、先端部１５の外周に先端部１５と同心円上に設けられた周辺壁部１８とからなる。

先端部１５は、バレル本体１１の端部１３から外方に突出し、中心軸Ｌｃに沿って延びる円筒形状である。先端部１５の、バレル本体１１の端部１３からの突出長さＬ１は１０．０ｍｍである。また、先端部１５の外面は、バレル本体１１の端部１３から外側端部１６に向かって縮径する６％のテーパ状に形成されている。

外側端部１６の外径寸法Ｌ２は、４．３１５ｍｍから６ｍｍであることが好ましく、本実施形態では４．７５ｍｍである。外側端部１６の外径寸法Ｌ２を４．３１５ｍｍから６ｍｍにすることで、ＩＳＯ５９４−１に規定された内径が４．０ｍｍから４．３１５ｍｍの注射針を先端部１５に嵌合できず、直接、シリンジ１０に接続できない。一方、ＪＩＳＴ ３２１３に規定された内径が６．０ｍｍよりも大きいカテーテルを先端部１５に接続するとがたつくために直接、シリンジ１０に接続できない。これにより、ＩＳＯ５９４−１に規定された注射針またはＪＩＳ Ｔ ３２１３に規定されたカテーテルがシリンジ１０に直接接続されることを防ぎ、注射針またはカテーテルを介してシリンジ１０に充填された薬剤が誤って投与されることを防止できる。先端部１５の外側端部１６と反対側の端部の外径寸法Ｌ３は、５．５１５ｍｍから７．２ｍｍであることが好ましく、本実施形態では５．９５ｍｍである。

周辺壁部１８は、バレル本体１１の端部１３から外方に突出し、中心軸Ｌｃに沿って延びる円筒形状である。周辺壁部１８の、バレル本体１１の端部１３からの突出長さＬ４は、先端部１５の突出長さＬ１よりも短く、先端部１５の外側端部１６が露出しているので、先端部１５の外側端部１６を明確に視認できる。従って、シリンジ１０の端部を視認するだけで、先端部と周辺壁部とが略面一に形成された他のシリンジと区別し、薬剤の誤投与を防止できる。

周辺壁部１８の突出長さＬ４は４．４７ｍｍである。突出長さＬ４に対して、先端部１５の突出長さＬ１は、１．２５倍から５倍であることが好ましく、本実施形態では約２．２４倍である。１．２５倍よりも小さいと先端部１５の外側端部１６の視認性が低下するからであり、５倍よりも大きいとルアーロックが機能しないためである。なお、側面視での先端部１５の外側端部１６が周辺壁部１８から露出する長さ、すなわち先端部１５の突出長さＬ１から周辺壁部１８の突出長さＬ４を引いた長さは２．１ｍｍ以上であることが好ましい。本実施形態では、前記長さは５．５３ｍｍである。従って、先端部１５と周辺壁部１８とのバレル本体１１からの突出長さの差を大きくし、シリンジ１０の端部の視認性を高めて、より確実に薬剤の誤投与を防止できる。

周辺壁部１８の内面には、中心軸Ｌｃに向かって突出する螺旋状リブ１９が形成されている。螺旋状リブ１９は、周辺壁部１８の外側端部から外側端部と反対側の端部まで、中心軸Ｌｃの周りに一周して延びている。従って、後述するノズル３１またはアダプタ４１を螺旋状リブ１９を介してバレル本体１１に螺合する場合、ノズル３１またはアダプタ４１を一回転するだけで、容易にバレル本体１１に接続できる。また、螺旋状リブ１９の山頂部の径の寸法Ｌ１１（図１３参照）が７．８３ｍｍ以上である。これにより、ＩＳＯ５９４−２に規定された、外径が７．８３ｍｍの針基を有する注射針を先端部１５に接続するとがたつくために直接、注射針をシリンジ１０に接続できない。

フランジ２１はバレル本体１１の先端部１５と反対側の端部全周から中心軸Ｌｃに直交する方向の外方に向かって突出するリング状に形成されている。

ガスケット２３は、例えば、弾性材料から構成され、一端が閉蓋された筒状体である。ガスケット２３の内部に形成された中空部２４には、後述するプランジャ２６のヘッド部２７が螺合する。ガスケット２３は、プランジャ２６の操作により、外周部がバレル本体１１の内面に密着しつつ、バレル本体１１の内部を軸方向に往復移動する。

プランジャ２６は、断面が十文字形状の板片で一体成形されている。プランジャ２６は一端に形成され、ガスケット２３の中空部２４に接続されるヘッド部２７と、他端に形成された円板状の操作部２８とを備えている。ユーザは、この操作部２８に指などをかけてプランジャ２６を操作する。

図５に示すように、バレル本体１１の接続部１２にはノズル３１が接続される。このノズル３１とシリンジ１０とがシリンジセットを構成している。図６に示すように、ノズル３１は、中心軸Ｌｃに沿って延びる円筒形状のノズル本体３２と、ノズル本体３２と段部３４を介して連続する連結部３７とを備えている。

ノズル本体３２の外側端部には開口３３が形成され、他方の端部には段部３４が形成されている。ノズル本体３２の外面には、ノズル本体３２の長手方向略中央部から連結部３７に向かって傾斜して延びるリブ３５が形成されている。リブ３５は、ノズル本体３２の外面に周方向に等間隔に設けられている。ノズル３１がシリンジ１０に接続されると、シリンジ１０の内部に充填された薬剤は、開口３３を介して患部に塗布または噴霧される。

連結部３７はノズル本体３２よりも径が大きい円筒形状であり、段部３４と反対側の端部には顎部３８が形成されている。顎部３８は、連結部３７の開口縁から中心軸Ｌｃと直交する方向の外方に向かって突出するリング状である。この顎部３８を周辺壁部１８の螺旋状リブ１９に螺合することで、ノズル３１はシリンジ１０に接続される。

図４に示すように、連結部３７の段部３４側端部の内径寸法Ｌ５は３．５７５ｍｍから５．２６ｍｍであることが好ましく、本実施形態では４．０１ｍｍである。また、連結部３７の開口側端部の内径寸法Ｌ６は５．２１ｍｍであり、連結部３７の内面は、段部３４側端部から開口側端部に向かって拡径する６％のテーパ状に形成されている。連結部３７の内側の軸方向長さＬ７は１０．０ｍｍである。このように、連結部３７の内径寸法Ｌ５からＬ７が、先端部１５の外径寸法Ｌ１からＬ３に適合するので、連結部３７を先端部１５に外嵌して、ノズル３１をシリンジ１０に接続できる。ノズル３１を直接、シリンジ１０に接続することで、薬剤をノズル３１を介して塗布または噴霧できる。

図７に示すように、バレル本体１１の接続部１２にはノズル３１に替えてアダプタ４１が接続されてもよい。このアダプタ４１とシリンジ１０とがシリンジセットを構成している。図８および図９に示すように、アダプタ４１は、バレル本体１１の接続部１２に接続される取付け部４２と、取付け部４２の内側端部から軸方向に延びるカテーテル接続部４６とを備えている。

取付け部４２は、カテーテル接続部４６の底部５０から突出し、中心軸Ｌｃに沿って延びる円筒形状である。取付け部４２の開口縁部には、中心軸Ｌｃと直交する方向の外方に向かって突出する一対の突出片４３が形成されている。この突出片４３を周辺壁部１８の螺旋状リブ１９に螺合することで、アダプタ４１はシリンジ１０に接続される。

取付け部４２の内側端部の内径寸法Ｌ８は３．５７５ｍｍから５．２６ｍｍであることが好ましく、本実施形態では４．０１ｍｍである。また、取付け部４２の開口側端部の内径寸法Ｌ９は５．２１ｍｍであり、取付け部４２の内面は、段部３４側端部から開口側端部に向かって拡径する６％のテーパ状に形成されている。取付け部４２の内側の軸方向長さＬ１０は１０．０ｍｍである。このように、取付け部４２の内径寸法Ｌ８からＬ１０が、シリンジ１０の先端部１５の外径寸法Ｌ１からＬ３に適合するので、取付け部４２を先端部１５に外嵌して、アダプタ４１をシリンジ１０に接続できる。

カテーテル接続部４６は、軸方向断面がＵ字形状であり、内筒４７と、内筒４７の外周に内筒４７と同心円上に設けられた外筒４８と、内筒４７の端部と外筒４８の端部を繋ぐ底部５０とを備えている。

内筒４７は、底部５０の内側端部から中心軸Ｌｃに沿って取付け部４２と反対方向に延びる円筒形状である。内筒４７は、底部５０側の端部から外側端部に向かって外径および内径が縮径する６％テーパ状に形成されている。

外筒４８は、底部５０の外側端部から中心軸Ｌｃに沿って取付け部４２と反対方向に延びる円筒形状である。外筒４８の軸方向長さは、内筒４７の軸方向長さより短い。外筒４８の内面には、内方に向かって突出し、外筒４８の先端から底部５０まで延びる螺旋状リブ４９が形成されている。この螺旋状リブ４９にカテーテルや注射針（図示せず）を螺合することで、カテーテルや注射針をアダプタ４１に接続できる。このアダプタ４１をシリンジ１０に接続することで、アダプタ４１を介して注射針やカテーテルをシリンジ１０に接続できる。

以上のように、シリンジ１０を使用するために、接続部１２にノズル３１またはアダプタ４１を接続する実施形態を説明してきた。しかし、シリンジ１０を使用しない場合には、図１０に示すキャップ５３を接続部１２に装着して、シリンジ１０の内部に埃などの異物が侵入するのを防止する。

キャップ５３は、一端側が閉蓋された管状体で、内部に空洞部５４が形成されている。この空洞部５４をシリンジ１０の先端部１５に被せることで、キャップ５３を接続部１２に装着する。

なお、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
先端部１５の突出長さＬ１と周辺壁部１８の突出長さＬ４に関しては、シリンジ１０の端部を視認するだけで、他のシリンジと区別できる限り、特に限定されない。シリンジ１０の先端部１５の外径寸法Ｌ２，Ｌ３は、先端部１５にノズル３１およびアダプタ４１を接続できる限り、特に限定されない。ノズル３１の内側寸法Ｌ５からＬ７まで、およびアダプタ４１の内側寸法Ｌ８からＬ１０は、シリンジ１０の各寸法に合わせて変更できるのは勿論である。

１０ シリンジ
１１ バレル本体
１２ 接続部
１５ 先端部
１６ 外側端部
１８ 周辺壁部
１９ 螺旋状リブ
３１ ノズル
４１ アダプタ

Claims (3)

1. 内部に薬剤が充填されるバレル本体の端部に設けられ、外側端部の外径が４．３１５ｍｍから６ｍｍの先端部と、前記先端部の外周に前記先端部と同心円上に設けられた周辺壁部と、前記周辺壁部の内面に設けられた螺旋状リブとを有し、前記螺旋状リブは、前記周辺壁部の外側端部に対応する位置から、前記周辺壁部の前記外側端部と反対側の前記周辺壁部の端部に対応する位置まで、中心軸の周りに一周のみして延びている、シリンジと、
   内径が前記先端部の外径に適合し、前記先端部に外嵌して前記シリンジに接続され、前記螺旋状リブと螺合するリング状の顎部を有するノズルと、
   を備え、
   前記周辺壁部は、前記バレル本体からの突出長さが、前記先端部の前記バレル本体からの突出長さよりも短く、側面視で前記周辺壁部から前記先端部の外側端部が露出し、
   側面視で、前記先端部が前記周辺壁部から露出する長さが、２．１ｍｍ以上であり、かつ、前記先端部の前記バレル本体からの突出長さが、前記周辺壁部の前記バレル本体からの突出長さの１．２５倍から５倍である、シリンジセット。
2. 前記螺旋状リブの山頂部の径が７．８３ｍｍ以上である、請求項１に記載のシリンジセット。
3. 内径が前記先端部の外径に適合し、前記先端部に外嵌して前記シリンジに接続され、前記螺旋状リブと螺合する突出片を有するアダプタをさらに備える、請求項１または請求項２に記載のシリンジセット。

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