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JP7494122B2 - 変形性関節症の治療におけるpedf由来短鎖ペプチドの使用 - Google Patents

変形性関節症の治療におけるpedf由来短鎖ペプチドの使用 Download PDF

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Description

本発明は、PEDF由来ペプチド、および損傷後の腱治癒に対するそれらの使用に関する。
最も一般的な種類の関節疾患である変形性関節症(OA)は、滑膜関節の関節軟骨の破壊に起因する変性疾患である。年齢とともに、関節軟骨は細胞レベル(すなわち、軟骨細胞)で変性する。軟骨細胞およびプロテオグリカンの数が減少し、軟骨の厚さが全体的に失われる。関節軟骨細胞(AC)の構造および機能の破壊は、世界中の何百万もの人々に発症する変形性関節症を引き起こす。もっとも、さらに大きな外傷では、関節軟骨細胞の無血管性および静止性のために、ACの自己治癒能力は限られている(Khan et al.,2008,“Cartilage integration:evaluation of the reasons for failure of integration during cartilage repair,” Eur.Cell.Mater.,2008 Sep.3;16:26-39)。さらに、軟骨は、スポーツに関連する外傷などでは頻繁に損傷する。したがって、軟骨欠損と初期の変形性関節症とは、整形外科医にとって大きな課題である。
変形性関節症は、進行性で不均一な変性関節疾患であり、特に高齢者に最もよく見られる形態の関節炎である。変形性関節症は、関節の軟骨の破壊に関連しており、体内のほぼあらゆる関節で発生する可能性がある。変形性関節症は通常、股関節、膝および脊椎の重量を支える関節で発生するが、指、首および足の親指にも発症する可能性がある。ただし、変形性関節症は、事前の損傷または過度のストレスが伴わない限り、他の関節に発症することはめったにない。損傷または疾患による関節軟骨の喪失は、大きな臨床的課題を提示する。
軟骨の軟骨細胞は、胚発生中に間葉系細胞から分化する。正常な成熟軟骨に見られる唯一の細胞型である分化した軟骨細胞は、マトリックスの完全性を維持するのに十分な量の軟骨特異的細胞外マトリックス(ECM)を合成する。ECMの主成分は、水、アグリカン、および下にある骨の移動によって生成される加えられた圧縮力に抵抗するII型コラーゲンである。
OAの治療選択肢は非常に限られている。OAの治療選択肢には、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、およびステロイドまたはヒアルロナン(HA;関節の潤滑を改善するため)の関節内注射が含まれる。理学療法は1つの選択肢である。外科的選択肢は、関節鏡手技から人工関節置換術まで多岐にわたる。さらに、外科的処置による同種移植片移植が発展しつつある。これらの限られた治療選択肢により、ある程度の緩和が得られる可能性がある。しかし、変形性関節症のさらに優れた治療法が依然として必要とされている。
本発明の実施形態は、色素上皮由来因子(PEDF)由来短鎖ペプチドを使用して変形性関節症を治療および/または予防するための方法に関する。本発明のいくつかの実施形態は、軟骨形成を促進するための方法に関する。
本発明の一態様は、変形性関節症を治療および/または予防するための医薬組成物または方法に関する。本発明の実施形態による方法は、それを必要とする対象に、PEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)、またはPDSPの変異体を含む医薬組成物を投与する工程を含み、PDSPは、ヒト色素上皮由来因子(PEDF)の残基93~106を含み、PDSPの変異体は、PDSPのセリン-93、アラニン-96、グルタミン-98、イソロイシン-103、イソロイシン-104およびアルギニン-106を含み、他の位置に1つ以上のアミノ酸置換を含み、残基位置番号は、ヒトPEDFでの残基位置番号に基づく。PDSPは、配列番号1~75のいずれか1つの配列の配列を含む。
本発明の一態様は、軟骨形成を促進するための医薬組成物または方法に関する。本発明の実施形態による方法は、多能性間葉系幹細胞と、PEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)、またはPDSPの変異体を含む組成物とを接触させる工程を含み、PDSPは、ヒト色素上皮由来因子(PEDF)の残基93~106を含み、PDSPの変異体は、PDSPのセリン-93、アラニン-96、グルタミン-98、イソロイシン-103、イソロイシン-104およびアルギニン-106を含み、他の位置に1つ以上のアミノ酸置換を含み、残基位置番号は、ヒトPEDFでの残基位置番号に基づく。PDSPは、配列番号1~75のいずれか1つの配列の配列を含む。
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲によって明らかになるであろう。
後肢重量負荷分布のMIA誘発性変化のラットモデルに対する29量体およびヒアルロン酸の効果を示す。ラットの右(変形性関節症)膝に1mgのモノヨードアセテート(MIA)を注射し、左(対側対照)膝に生理食塩水を注射した。MIA注射後8日目に、さらに2週間にわたり、29量体および1%HA処置を行った。小動物用鎮痛評価装置(incapacitance tester)を使用して、後肢重量分布(重量負荷)の変化を評価した。示された値は、各処置群からの少なくとも3匹のラットからの平均±SEを表す。*P<0.05対未処置群。
MIAにより損傷した関節軟骨に対する29量体PDSP(PEDF由来短鎖ペプチド)の効果の組織学的分析の結果を示す。ラットの膝関節にMIAを1回注射した。MIA注射後8日目に、さらに2週間にわたり、ビヒクル/HAおよび29量体/HA処置を行った。3つの独立した実験からの関節軟骨のH&E染色切片の代表的な顕微鏡写真。F:大腿顆、T:脛骨顆、M:半月板。*右パネルに、大腿脛骨関節、および外側脛骨軟骨の拡大図を示す。矢印は壊死した軟骨細胞を示す。
3週間にわたるラットMSCの軟骨形成分化後のアルシアンブルー染色による、グリコサミノグリカン(GAG)に富む細胞外マトリックスの半定量分析の結果を示す。14日間にわたり様々な29量体変異体(10μM)を補充した軟骨形成分化培地中のMSC。微量質量の総DNA含有量と比較して、塩化グアニジウムによって抽出されたアルシアンブルーのOD値を示す。データは平均±SEとして表す。OD値≦0.16および0.25をそれぞれ表す黒および灰色の列は、29量体の軟骨形成促進活性を完全および部分的に損なう変異を示す。
後肢重量負荷分布のMIA誘発性変化のラットモデルに対する29量体変異体の効果を示す。右(変形性関節症)膝に1mgのMIAが注射され、左(対側対照)膝に生理食塩水が注射されたラット。MIA注射後8日目に、さらに2週間にわたり、29量体/HA、29量体変異体/HA、およびビヒクル/HA処置を行った。小動物用鎮痛評価装置を使用して、後肢重量負荷の変化を評価した。示された値は、各処置群からの少なくとも3匹のラットからの平均±SEを表す。
損傷した関節軟骨における用量依存的なPDSP誘発軟骨形成細胞増殖の結果を示す。(A)上部パネル:29量体処置後14日目の細胞複製の組織学的分析。BrdUにより標本を染色して、DNA複製を示した(濃い茶色)。元の倍率、200倍。下部パネル:二重免疫染色(dual-immunostaining)によってアッセイされた関節軟骨内のSox9(緑;軟骨細胞のマーカー)およびBrdU(赤)の発現を示す代表的な写真。元の倍率、1000倍。(B)評価された軟骨領域の視野当たりのBrdU陽性細胞の数。*P<0.001対ビヒクル/HA群。
MIA誘発性OAのラットモデルにおける損傷した関節軟骨に対する29量体変異体の細胞分裂促進効果を示す。右(変形性関節症)膝に1mgのMIAが注射され、左(対側対照)膝に生理食塩水が注射されたラット。MIA注射後8日目に、さらに2週間にわたり、29量体/HA、29量体変異体/HA、およびビヒクル/HA処置を行った。BrdUにより膝関節を染色して、増殖細胞を同定した。膝関節切片の軟骨領域上の視野当たりのBrdU陽性細胞を計数した(元の倍率100倍)。各群のラット3匹を用いて、6つの切片/膝関節標本から総BrdU細胞を評価した。
本発明の実施形態は、PEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)を使用して変形性関節症を予防および/または治療するための方法に関する。本発明は、色素上皮由来因子(PEDF)に由来する特定の短鎖ペプチドが、間葉系細胞の分化を誘導して軟骨細胞を形成することにより、変形性関節症の疼痛を緩和し、関節軟骨の修復をもたらすことができるという予想外の発見に基づく。
変形性関節症は、滑膜関節の関節軟骨(AC)の破壊に起因する変性疾患である。もっとも、関節軟骨細胞の無血管性および静止性のために、ACの自己治癒能力は限られている。正常な成熟軟骨は、胚発生中に間葉系細胞から分化する軟骨細胞を含む。正常な成熟軟骨に見られる唯一の細胞型である分化した軟骨細胞は、マトリックスの完全性を維持するのに十分な量の軟骨特異的細胞外マトリックス(ECM)を合成する。
ヒト色素上皮由来因子(PEDF)は、418個のアミノ酸を含み、分子量が約50kDaの分泌タンパク質である。PEDFは、多くの生物学的機能を有する多機能タンパク質である(例えば、米国特許出願公開第2010/0047212号明細書を参照)。PEDFの様々なペプチド領域が様々な機能に関与していることが見出されている。例えば、34量体断片(PEDFの残基44~77)は抗血管新生活性を有することが特定されており、44量体断片(PEDFの78~121残基)は神経栄養特性を有することが特定されている。
本発明の発明者らは、PEDFの特定の短鎖ペプチドが変形性関節症の疼痛を緩和することができることを発見した。さらに、これらのPDSPが軟骨再生を誘発する能力から疼痛軽減が生じることが発見された。本発明者らは、PDSPが、軟骨細胞に分化するように、軟骨内または軟骨の周囲に存在する多能性間葉系幹細胞(MSC)を誘導することができることを示した。すなわち、これらのPDSPは軟骨形成を促進することができる。これにより、軟骨の再生と疼痛の軽減とを誘発するPDSPの能力が説明される可能性がある。
上記のように、軟骨細胞への間葉系細胞の分化は、通常、胚発生で生じる。軟骨では、間葉系幹細胞はそれらの多能性を失い、増殖して軟骨形成細胞の密集した凝集体を形成し、次いで、軟骨形成細胞が軟骨芽細胞に分化し、軟骨芽細胞が軟骨細胞外マトリックス(ECM)を合成する。軟骨芽細胞は、通常は不活性であるが、条件によってはマトリックスをさらに分泌および分解することができる成熟した軟骨細胞になる。したがって、PDSPが、軟骨内に軟骨細胞を産生するように(軟骨内または軟骨の周囲で)間葉系細胞を誘導することができるという発見は、全く予想外である。
本発明のPDSPは、ヒトPEDF残基93~121(93SLGAEQRTESIIHRALYYDLISSPDIHGT121;配列番号1)に対応するペプチド領域に基づく。本発明者らは、この29量体に基づいて、セリン-93、アラニン-96、グルタミン-98、イソロイシン-103、イソロイシン-104およびアルギニン-106が、これらの残基をアラニンにより(またはアラニン-96をグリシンに)個別に置換した場合に活性が顕著に失われることから証明されるように、活性にとって重要であることを特定した。対照的に、29量体内の他の残基のアラニン(またはグリシン)置換は活性を目に見えて変化させなかったことから、これらの他の残基(すなわち、残基94、95、97、99~102、105および107~121)にアミノ酸置換(特に、相同なアミノ酸置換)を有するPDSP変異体も、変形性関節症を予防および/または治療するため、または軟骨形成を誘導するために使用することができることが示唆された。
これらの結果は、抗侵害受容効果を含むコアペプチドが、残基93~106(93SLGAEQRTESIIHR106;配列番号2)を含む領域にあることを示している。したがって、抗侵害受容活性を有する最短のPDSPペプチドは、14量体であり得る。当業者であれば、C末端および/またはN末端でのこのコアペプチドに対する追加のアミノ酸の付加が、この活性に影響を与えないことを理解するであろう。すなわち、本発明のPDSPは、ヒトPEDFの残基93~106を含む任意のペプチドであり得る。したがって、本発明のPDSPペプチドは、実験で使用された29量体を含めて、14量体、15量体、16量体などであり得る。
さらに、上記のように、これらの短鎖ペプチド内の置換は、重要な残基(セリン-93、アラニン-96、グルタミン-98、イソロイシン-103、イソロイシン-104およびアルギニン-106)が保存されている限り、活性を保持することができる。さらに、マウス変異体(ヒトの配列と比較して、ヒスチジン-98およびバリン-103の2つの置換を有する)も活性である。対応するマウス配列は、mo-29量体(SLGAEHRTESVIHRALYYDLITNPDIHST、配列番号3)およびmo-14量体(SLGAEHRTESVIHR、配列番号4)である。したがって、活性コアの一般的な配列は(93S-X-X-A-X-Q/H-X-X-X-X-I/V-I-X-R106(Xは任意のアミノ酸残基を表す);配列番号5)である。
本発明のPDSPペプチドは、タンパク質/ペプチド発現系を使用して化学的に合成または発現され得る。これらのPDSPペプチドは、変形性関節症の予防および/または治療のための医薬組成物に使用され得る。医薬組成物は、任意の薬学的に許容される賦形剤を含み得、医薬組成物は、局所投与、経口投与、注射などの投与に適した形態で製剤化され得る。そのような用途のための様々な製剤は、当技術分野で知られており、本発明の実施形態とともに使用することができる。
本発明のいくつかの実施形態は、対象(例えば、ヒト、ペットまたは他の対象)の変形性関節症を治療および/または予防するための方法に関する。本明細書で使用される場合、用語「治療する(treat)」または「治療する(treating)」は、状態の部分的または全体的な改善を含み、これは、全体的な治癒を含む場合も含まない場合もある。方法は、対象に医薬組成物を投与する工程を含み得、医薬組成物は、本発明のPDSP(PDSPの活性変異体を含む)の有効量を含む。当業者であれば、有効量が対象の状態(例えば、体重、年齢など)、投与経路、および他の因子に依存することを理解するであろう。そのような有効量を見出すことは、常用的な技術のみを伴い、当業者であれば、有効量を見出すために発明の努力または過度の実験を必要としないであろう。
本発明の実施形態は、以下の特定の実施例により説明される。特定の実施例では、29量体(配列番号1)が使用される。ただし、他のPDSP(例えば、14量体、配列番号2または配列番号3など)もまた、同じ結果を達成するために使用することができる。当業者であれば、これらの実施例は例示のみを目的としており、本発明の範囲から逸脱することなく、変更および修正が可能であることを理解するであろう。
材料および方法
ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ウシ胎児血清(FBS)、0.25%トリプシンおよび抗生物質をInvitrogen(Carlsbad,CA,USA)から購入した。ヒアルロン酸(HA)、モノヨードアセテート(MIA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、Percoll、インスリン、ヒドロコルチゾン、ウシ血清アルブミン(BSA)、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)、ヘキスト33258色素およびアルシアンブルー8-GXはいずれもSigma-Aldrich(St.Louis,MO,USA)から入手した。抗BrdU抗体および抗SOX9抗体をGeneTex(Taipei,Taiwan)から入手した。蛍光色素コンジュゲート二次抗体はいずれも、BioLegend(San Diego,CA,USA)から購入した。ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)色素をMerck(Rayway,NJ,USA)から購入した。合成PEDFペプチドを合成し、安定性のためにNH末端でのアセチル化および/またはCOOH末端でのアミド化により修飾した。GenScript(Piscataway,NJ)での質量分析(>95%純度)により、合成PEDFペプチドを特性評価した。DMSO中でストック(5mM)として、各PEDF由来合成ペプチドを再構成した。
温度制御(24~25℃)および12:12の明暗サイクルの下で、本試験に使用した全動物を動物室に収容した。標準的な飼料および水道水を自由に摂取させた。実験手順は、Mackay Memorial Hospital Review Board(New Taipei City,Taiwan,R.O.C.)によって承認され、台湾の国家動物福祉規制に準拠して実施した。
変形性関節症動物モデルおよび処置
キシラジン(10mg/kg)の腹腔内注射によって、成体の10週齢のオスのスプラーグドーリーラット(初期体重=312±11g)を麻酔した。その後、25μlの滅菌生理食塩水中の1mgのMIAを単回関節内注射して、それぞれ右膝を処置した。膝で90°の角度で脚を曲げた状態で27G針を使用して、膝蓋靭帯から溶液を注射した。MIA注射の7日後、マウスを異なる実験群に無作為に割り当てた(n≧3、各群)。MIA誘発性OAのラットモデルの処置では、25μlの1%HAにPDSPペプチドを溶解し、ビヒクル/HA対照としてペプチド溶媒DMSOを使用した。
後肢重量分布の変化の評価
変形性関節症の膝の関節不快感の指標として、右(変形性関節症)肢と左(対側対照)肢との間の後肢重量分布の変化を使用した。以前に記載されたように(Bove et al.,Weight bearing as a measure of disease progression and efficacy of anti-inflammatory compounds in a model of monosodium iodoacetate-induced osteoarthritis.Osteoarth Cart.,2003;11:821-830)、後肢重量分布を決定するために、小動物用鎮痛評価装置を使用した。各後肢が別個のフォースプレート上に置かれるように配置された角度の付いたプレキシガラスチャンバーにラットを置いた。各後肢によって加えられる力(グラム単位で測定)を5秒間にわたり平均する。各データポイントは、5秒の読み取り値3つの平均である。評価装置に加えられた重量(g)の量の左肢と右肢との間の差を決定することによって、後肢重量分布の変化を計算した。結果は、以下の式を使用して計算されるように、左(対側対照)肢と右(変形性関節症)肢との間の重量負荷の差として、またはベースライン読み取り値と処置後の読み取り値との間のパーセント差として表される。
(1-(処置群の平均Δ重量/ビヒクル群の平均Δ重量))×(100)
間葉系幹細胞(MSC)の単離および培養
キシラジン(10mg/kg)の腹腔内注射によって、成体の8週齢のオスのスプラーグドーリーラットを麻酔した。その後、大腿骨を無菌的に採取し、PBSと抗生物質との混合物で5分間洗浄した後、全軟組織からそれらを解剖し、骨端で切除し、ヘパリン(AGGLUTEX INJ 5000U/ML 5ML;作業濃度100U/ml)とDMEMとの混合物を用いて、骨髄腔を繰り返しすすいだ。採取した細胞を収集し、ピペッティングにより分散し、1000×gで5分間室温で遠心分離した。DMEMにより細胞ペレットを再懸濁し、次いで、5mlのPercoll(1.073g/ml)を含む15mlの遠心分離管に細胞懸濁液を移した。1500×gで30分間遠心分離した後、中間層内の単核細胞を得、PBSで3回洗浄し、次いで、10%熱不活化FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む低グルコースDMEM中に懸濁した。次いで、75cmフラスコ(Corning、MA,USA)に細胞を入れ、95%空気および5%COとともに37℃でインキュベートした。培地は4日ごとに交換した。未付着細胞を廃棄し、付着細胞を保持した。初代MSCは、1週間の培養後に約80%~約90%のコンフルエンスまで増殖した。
MSCの軟骨形成分化
96ウェルプレートの各ウェルに5×10の増殖MSCを入れ、10ng/mlのTGF-β3(R&D Systems、Minneapolis,MN,USA)および10μMのPDSPペプチドを補充した150μlの軟骨形成培地(100nMのデキサメタゾン、0.17mMのアスコルビン酸-2リン酸、10μg/mlのインスリン、5μg/mlのトランスフェリン、5ng/mlのセレン、1mMのピルビン酸ナトリウム、2mMのL-グルタミンおよび2%FBSを含む高グルコースDMEM)に曝露した。3日ごとに培地を交換し、細胞を2週間培養した。
膝関節の組織学的検査
膝関節を解剖し、周囲の軟組織を除去した。4%パラホルムアルデヒド(PFA)溶液中に標本を固定し、次いで、Shandon TBD-2脱灰液(Thermo Scientific、Logan,UT)により脱灰した。次いで、関節を正中矢状面で切断し、パラフィンブロックに包埋した。切片(厚さ5μm)を縦方向に切断し、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)を用いて染色するか、免疫組織化学的検査に使用した。最も重度に変性した領域を含むように、膝1個当たり20切片を注意深く調製した。
DNA合成のインビボ検出
細胞増殖を検出するために、DMSO中でストック(80mM)としてBrdUを再構成した。7日間にわたるMIA注射後1、4および8日目に(すなわち、MIA注射後7日目を0日目として設定)、350μlのPBSと混合した150μlのBrdUをラットに腹腔内注射した。抗BrdU抗体を用いて検出されたBrdU標識によって、DNA合成を評価した。
免疫蛍光法およびBrdU染色
インビボでのDNA合成を検出するために、パラフィン包埋した関節標本をキシレン中で脱パラフィンし、段階的な一連のエタノール中で再水和し、次いで、その後の免疫組織化学的検査のために室温で1N HClに1時間曝露した。次いで、10%ヤギ血清および5%BSAを用いて、組織切片を1時間ブロックした。SOX9(1:100希釈)およびBrdU(1:100希釈)に対する一次抗体を使用して免疫染色を37°Cで2時間行い、続いて適切なローダミンコンジュゲートロバIgGまたはFITCコンジュゲートロバIgGと室温で1時間インキュベートした。ヘキスト33258を用いて7分間対比染色することによって、核の位置を特定した。画像は、CCDカメラを備えたZeiss落射蛍光顕微鏡を使用して取得し、各試料中の無作為に選択された20の領域から測定し、各切片内を手動で計数することによってブラインド定量を3連で行った。
また、10%ヤギ血清を用いて、脱パラフィンした膝関節標本を60分間ブロックし、次いで、BrdUに対する抗体とインキュベートした。続いて、スライドを適切なペルオキシダーゼ標識ヤギ免疫グロブリン(1:500希釈;Chemicon、Temecula,CA)と20分間インキュベートし、次いで、色素原基質(3,3’-ジアミノベンジジン)と2分間インキュベートした後、ヘマトキシリンを用いて対比染色した。
アルシアンブルー染色および定量
以前に記載されたように(Ji Y.H.et al.,Quantitative proteomics analysis of chondrogenic differentiation of C3H10T1/2 mesenchymal stem cells by iTRAQ labeling coupled with on-line two-dimensional LC/MS/MS,Mol.Cell.Proteom.,2010,9(3):550-564.)、アルシアンブルー染色では、PBSを用いて培養物を2回リンスし、4%(w/v)パラホルムアルデヒド中に15分間固定した後、1%(w/v)アルシアンブルー8-GX(Sigma)の0.1N HCl(pH1.0)溶液中で一晩インキュベートした。半定量分析のために、6MグアニジンHClを用いて、アルシアンブルー染色培養物を室温で2時間かけて抽出した。マイクロプレートリーダー(Bio-Rad)で650nmで、抽出された色素の吸収を測定した。DNA含有量を測定するために、抽出物100μLと、0.7μg/mlのヘキスト33258(Sigma-Aldrich)の水溶液100μLとを混合した。Ex/Em:340nm/465nmで蛍光を読み取り、認定された子牛胸腺超音波処理DNA標準(Sigma-Aldrich)の蛍光と比較した。
統計
結果は、平均±平均の標準誤差(SEM)として表した。統計的比較に一元配置分散分析を使用した。特に指定がない限り、P<0.05が有意であると考えられた。
PDSPは、OA動物の関節不快感を改善する抗侵害受容効果を示す
変形性膝関節症(OA)は、関節軟骨の喪失を特徴とする一般的な慢性変性疾患である。齧歯類の大腿脛骨関節腔に解糖の阻害剤であるMIAを注射すると、ヒトOAに認められるのと同様のACの喪失が誘発されることが報告されている(Bove et al.,2003)。さらに、ラットの膝関節にMIAを注射すると、MIAを注射した肢からの後肢重量負荷移動によって定義される関節不快感が用量依存的かつ時間依存的に増加することが確立されている。
PDSP(PEDF短鎖ペプチド)が関節不快感を改善する抗侵害受容効果を有するかどうかを検討するために、10週齢のオスのスプラーグドーリーラット(n=15)の右関節に1mgのMIA(25μlの滅菌生理食塩水に溶解された)を関節内注射して最大の重量移動(右脚から左脚)を誘発し、次いで、29量体PDSP(配列番号1)の薬理学的反応を検討するためにこれを使用した。7日間にわたるMIA注射後(0日目として設定)、4つの実験群(n=3、各群)にマウスを無作為に割り当て、以下のようにさらに14日間処置した:(I)PDSPビヒクルと混合した25μlの1%ヒアルロン酸中に分解させたPDSPビヒクル、(II)PDSP 29量体/HA(最終濃度0.2mM PDSP、1%HA)、(III)PDSP 29量体単独(ボーラス)。1、4、8および12日目に1回(週に2回)、単回の関節内注射によって処置を適用した。処置頻度を減らして治療効果を試験するために、1日目に1回および8日目に1回(すなわち、週に1回)、第IV群(29量体/HA)に関節内注射した。
図1に示すように、結果は、29量体PDSP処置が、ビヒクル/HA群と比較して、MIA誘発性重量移動を有意に減少させたことを明らかにした(第II群および第IV群対第I群:63.3±12.5%および58.1±4.6%対75.9±4.7%;P<0.05)。他方、ボーラス注射群は、後肢重量負荷分布のMIA誘発性変化を減少させることができなかった(77.2±1.2%)。これらの結果は、ヒアルロン酸と組み合わせた29量体PDSPが、ラットのMIA誘発性関節不快感に対して抗侵害受容効果を示すことを示している。29量体PDSPボーラス注射の結果はまた、ヒアルロン酸の非存在下では、29量体PDSPが体循環に急速に漏出し得ることも意味する。
MIAを注射したラットの膝関節は、MIA処置後7日目に迅速かつ再現性のある様式で広範囲な軟骨細胞の変性/壊死を引き起こし得ることが確立されている。したがって、本発明者らはさらに、ビヒクル/HA処置群および29量体/HA処置群のラットにおける大腿脛骨関節の組織病理学的特徴を検討した。
図2に示すように、ビヒクル/HA処置群では、外側脛骨で軟骨の完全性の喪失と軟骨下骨の崩壊とが示されたが、29量体/HA処置群では良好な表面連続性が明らかにされた。顕微鏡的には、ビヒクル/HA処置群では、軟骨細胞が軟骨の表面領域から失われ、散在する細胞クラスターが移行領域および放射状領域で広範囲に発生したことが示された。対照的に、29量体/HA処置群では、新たに生成された多数の軟骨細胞が軟骨全体を占めていることが示された。組織学的データは、軟骨再生を誘導する29量体PDSPの能力が、OAの疼痛の軽減に部分的に関与している可能性があることを示唆している。
29量体は、インビボでMSCの軟骨形成活性と軟骨形成細胞増殖とを促進する
多能性間葉系幹細胞(MSC)の軟骨形成能により、多能性間葉系幹細胞(MSC)は、軟骨欠損の、細胞に基づく治療のための有望な供給源になる(M.F.Pittenger et al.,1999,Multilineage potential of adult human mesenchymal stem cells,Science,284(5411):143-7)。さらに、軟骨損傷に応答する常在性MSCは、軟骨治癒のために軟骨形成分化を受けるように誘導される可能性がある(T.B.Kurth et al.,2011,Functional mesenchymal stem cell niches in adult mouse knee joint synovium in vivo,Arthritis Rheum.,63(5):1289-300)。培養では、本発明者らのデータは、色素上皮由来因子(PEDF)由来短鎖ペプチド(29量体;位置Ser93~Thr121)が、100nMのデキサメタゾンと10ng/mlのTGF-β3とを含有する限定培地の存在下で、MSCに対してインビトロで軟骨形成促進活性を示すことを示した。
単一のアラニンまたはグリシンの変化を伴う29量体PDSPのアラニンスキャンデータ
この試験では、29量体配列に沿ったアラニンまたはグリシンへの単一残基の置換を設計および合成して、軟骨形成促進活性について29量体内の重要な残基を分析した。93~121に位置するPEDFのアミノ酸配列に基づいて、そのうち27個の変異体は単一のアラニン変化を伴い、2個の変異体は単一のグリシン変化を伴う(A96GおよびA107G)合計29個のペプチド変異体を合成した。デキサメタゾン、TGF-β3および29量体変異体により処理された培養物中のラットMSCの軟骨形成を評価するために、アルシアンブルー染色によって、成熟軟骨細胞のマーカーであるグリコサミノグリカン(GAG)の発現レベルを検出した。
図3に示すように、10μMの29量体変異体に限定培地(デキサメタゾンおよびTGF-β3を含有する)中のMSCを21日間曝露した後、アルシアンブルー染色を使用して硫酸化GAGを分析した。結果は、OD650nmでアルシアンブルー陽性物質を定量することによって証明されるように、DMSO溶媒対照と比較して、29量体PDSPにより処理されたMSCの培養物では、染色強度の明らかな増加を示した(0.34±0.013対0.15±0.024)。また、結果から、S93A(0.12±0.015)、A96G(0.14±0.023)、Q98A(0.14±0.017)、I103A(0.15±0.013)、I104A(0.15±0.027%)およびR106A(0.16±0.029)の変異が、MSCに対する29量体PDSPの軟骨形成促進活性を著しく損なったことが明らかにされた(0.12~0.16対0.34)。これらの結果は、29個のアミノ酸のうち6個が29量体の活性に重要であり得ることを示唆している。
さらに、L94A(0.22±0.032)、E97A(0.25±0.023)、R99A(0.2±0.02)、A107G(0.23±0.035)およびP116A(0.23±0.029)の変異により、29量体PDSPの軟骨形成促進活性が部分的に低下した(O.D.0.2~0.25対0.34)。残りの置換は、29量体PDSPの軟骨形成促進活性に実質的に影響を与えなかった(O.D.>0.26)。
まとめると、アラニンスキャンデータは、MSCに対する29量体(配列番号1)の軟骨形成促進効果がアミノ酸置換によって影響を受け、コアペプチドが14量体(配列番号2)であることを示している。さらに、MSC軟骨形成分化を誘導することに関して、その機能に影響を与えることなく、位置93、96、98、103、104および106の29量体PDSPを置換することはできない。一方、29量体PDSP配列の残りのアミノ酸残基は、29量体PDSP機能に影響を与えることなく、単一のアミノ酸置換に関して比較的大きな柔軟性を示した。したがって、最小コアペプチドは、93S-X-X-A-X-Q/H-X-X-X-X-I/V-I-X-R106(Xは任意のアミノ酸残基を表す)(配列番号5)として表され得る。本発明の実施形態とともに使用され得るPDSP配列のいくつかの例を以下の表に示す(位置の番号付けは14量体の位置に基づく)。これらの例は、限定することを意図したものではない。
Figure 0007494122000001
Figure 0007494122000002
Figure 0007494122000003
Figure 0007494122000004
実験的OAのラットモデルに対する29量体変異体の効果
MIA誘発性後肢重量負荷移動に対する29量体PDSP変異体の抗侵害受容効果
動物試験では、最終濃度0.2mMになるように、29量体PDSP変異体を1%HAに配合し、次いで、MIA注射後1日目および8日目にそれぞれ単回の関節内注射により適用した。14日間の29量体変異体処置後、小動物用鎮痛評価装置を用いて、MIA誘発性後肢重量負荷移動に対する29量体変異体の抗侵害受容効果(1群当たりn=3)を評価した。
図4に示すように、29量体/HA処置は、ビヒクル/HA処置群と比較して、MIA誘発性重量負荷移動を有意に減少させた(22.0±0.66%対47.1±3.7%;P<0.0004)。また、H105A変異体も、MIA誘発性重量移動を減少させることができた(21.4±1.4%)。重要なことに、S93A、A96G、Q98A、I103A、I104AおよびR106A変異体による処置は、MIA誘発性後肢重量負荷移動の減少に影響を与えなかった(45~51%の値)。動物試験の結果は、これらの重要な残基が、29量体PDSPの抗侵害受容効果を維持する上で重要な役割を果たし、重要でない部位での置換がPDSPの活性に影響を与えないことを裏付けている。
Sox9陽性軟骨細胞増殖に対する29量体変異体の効果
0.2mMの29量体/HAにより処置した直後に細胞増殖をモニタリングするために、7日間にわたるMIA注射後(0日目として設定)1日目にBrdU処置を開始した。図5A(上部パネル)に示すように、29量体/HA処置群では、ほぼすべての再生軟骨様組織にBrdU陽性細胞が含まれている。しかし、ビヒクル/HAにより処置した膝の軟骨表面にはBrdU陽性細胞がほとんどなく、ほぼすべての軟骨細胞がMIA処置後に壊死性細胞死する運命にあることを示している。
転写因子Sox9は、軟骨細胞特異的遺伝子の発現を誘導することにより、幹細胞/前駆細胞軟骨形成に重要な役割を果たす。Sox9の免疫染色により、BrdU陽性細胞はSox9陽性でもあることが見出され、BrdU陽性細胞が軟骨細胞発生に向けて29量体により潜在的に誘導されることが示された(図5A;下部パネル)。0.2mMの29量体処置は、再生軟骨では、ビヒクル/HA処置と比較して、BrdU陽性軟骨細胞の増殖を誘発する有意な能力を示した(図5B;346±57対7±3;P<0.001)。まとめると、これらの結果は、29量体が軟骨形成細胞の増殖を誘発して軟骨を治癒させることができることを示している。
次に、14日間にわたる29量体処置の後、関節軟骨に対して細胞増殖を誘発する29量体変異体の能力を検討した。膝関節のBrdU免疫染色により、29量体/HA処置群およびH105A/HA処置群の軟骨領域では多数のBrdU陽性細胞が検出可能であったのに対して、ビヒクル/HA処置の軟骨領域ではBrdU陽性細胞が少なかったことが明らかにされた(図6;346±57および297±22対7±3)。一方、S93A、A96G、Q98A、I103A、I104AおよびR106Aによる処置では、軟骨のBrdU陽性細胞は増加しなかった(30~62の値)。この動物試験により、これらの重要な残基が29量体PDSPの生物学的活性の維持に重要な役割を果たすことが確認された。
まとめると、アラニンスキャンデータは、変形性関節症のラットモデルによって証明されるように、29量体の治療効果が、選択されたアミノ酸置換によって影響を受けることを示している。さらに、OA治療では、位置S93、A96、Q98、I103、I104およびR106の29量体残基は、29量体PDSPの活性にとって重要であるが、他の残基は、活性に重大な影響を与えることなく置換することができる。
本発明の実施形態は、限られた数の例を用いて説明されている。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、変更および修正が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、付随する特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。

Claims (6)

  1. PEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)、または前記PDSPの変異体を含む、変形性関節症の治療および/または予防に使用するための医薬組成物であって、
    前記PDSP、または前記PDSPの変異体が、14-29アミノ酸長を有し、S-X-X-A-X-Q/H-X-X-X-X-I/V-I-X-R(配列番号5)の配列からなるヒト色素上皮由来因子(PEDF)由来コアペプチドフラグメントを有し、前記PEDF由来コアペプチドフラグメントのC末端及びN末端のいずれか又は両方にはPEDFに由来しない延長部分が付加してもよい、
    医薬組成物。
  2. 前記PEDF由来コアペプチドフラグメントが、SLGAEQRTESIIHR(配列番号2)の配列からなる
    請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記PEDF由来コアペプチドフラグメントが、配列番号6~75のいずれか1つの配列の配列からなる
    請求項1に記載の医薬組成物。
  4. PEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)、または前記PDSPの変異体を含む、軟骨形成を促進するための医薬組成物であって、
    前記PDSP、または前記PDSPの変異体が、14-29アミノ酸長を有し、S-X-X-A-X-Q/H-X-X-X-X-I/V-I-X-R(配列番号5)の配列からなるヒト色素上皮由来因子(PEDF)由来コアペプチドフラグメントを有し、前記PEDF由来コアペプチドフラグメントのC末端及びN末端のいずれか又は両方にはPEDFに由来しない延長部分が付加してもよい、
    医薬組成物。
  5. 前記PEDF由来コアペプチドフラグメントが、SLGAEQRTESIIHR(配列番号2)の配列からなる
    請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 前記PEDF由来コアペプチドフラグメントが、配列番号6~75のいずれか1つの配列の配列からなる
    請求項4に記載の医薬組成物。
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