発明の詳細な説明
[技術分野]
本出願は、2018年11月27日出願の米国仮出願第62/771,965号の優先権を主張し、これは本明細書中参照として援用される。
本明細書中提供されるは、腫瘍検出に関する技術であり、詳細には、限定するものではないが、肺癌などの腫瘍を検出するための方法、組成物、及び関連使用に関する技術である。
[背景技術]
肺癌は、米国において依然としてがんによる死亡の一位を占めており、有効なスクリーニングアプローチが切実に必要とされている。肺癌単独で、年間の死者は221,000例に上る。DNAメチル化プロファイリングから、がんであるDNAプロモーター領域に独特のパターンがあることが示されており、DNAメチル化プロファイリングは肺悪性腫瘍の検出に応用できる可能性がある。しかしながら、最適な識別マーカー及びマーカーパネルが必要である。
[発明の概要]
本明細書中提供されるのは、組織または血漿でアッセイされる、全ての種類の肺癌について極めて高度な識別を達成し、それでいて正常な肺組織及び良性結節では陰性を保つメチル化マーカーのコレクションである。コレクションから選択されたマーカーは、例えば、血液または体液を特性決定するために、単独でまたはパネルにおいて使用可能であり、肺癌スクリーニング及び悪性結節を良性結節と区別する用途がある。実施形態によっては、ある形態の肺癌を別の形態と区別する、例えば、肺腺癌または大細胞癌の存在を肺小細胞癌の存在と区別するため、あるいは、混合病態癌を検出するために、パネルからマーカーを選んで使用する。本明細書中提供されるのは、対象から採取された試料で検出された場合に、高い信号対雑音比及び低いバックグラウンドレベルを提供するマーカーをスクリーニングする技術である。
研究で、肺癌試料のメチル化マーカーと正常(非がん性)試料の対応するマーカーとでメチル化状態を比較することにより、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから選択されたアノテーションを有するメチル化マーカー及び/またはマーカーパネル(例えば、染色体領域(複数可))を同定した。
本明細書中記載されるとおり、本技術は、肺癌を高度に識別し、及び実施形態によっては、肺癌の種類を識別する複数のメチル化マーカー及びそれらのサブセット(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12種またはそれ以上のマーカーのセット)を提供する。生物学的試料の特性決定を目的として、例えば、がんのスクリーニングまたは診断のために、高い特異性及び選択性を提供するため、実験では、候補マーカーに対し選択フィルターを適用することにより、高い信号対雑音比及び低いバックグラウンドレベルをもたらすマーカーを同定した。例えば、本明細書中以下に記載されるとおり、8種のマーカー、SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、及びEMX1の組み合わせでのメチル化解析は、検査したがん組織の全てについて感度が98.5%(134/136例のがん)という結果になり、特異性は100%であった。別の実施形態において、6種のマーカーのパネル(SHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKI)は、特異性93%で感度は92.2%という結果になり、4種のマーカーのパネル(ZNF781、BARX1、EMX1、及びHOXA9)は、総合感度96%及び特異性94%という結果であった。
したがって、本明細書中提供されるのは、対象から得られた試料の処理法に関する技術であり、本方法は、試料中の1種または複数のマーカー遺伝子のメチル化状態をアッセイすることを含む。好適な実施形態において、メチル化マーカーのメチル化状態は、試料中のメチル化マーカーの量及び参照マーカーの量を測定し、試料中のメチル化マーカーの量と参照マーカーの量を比較することにより、試料中のメチル化マーカーのメチル化状態を特定することにより、特定される。本発明はどのような特定の単独用途または複数用途にも限定されないものの、本方法は、例えば、肺癌であるまたは肺癌であることが疑われる対象由来の試料の特性決定に利用され、メチル化マーカーのメチル化状態が、腫瘍のない対象でアッセイされたそのマーカーのメチル化状態とは異なる場合に、そのように特性決定される。好適な実施形態において、メチル化マーカーは、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから選択されるアノテーションを有する染色体領域を含む。実施形態によっては、参照マーカーは、B3GALT6のDNA及びβ-アクチンDNAから選択される。
実施形態によっては、本技術は、複数のマーカーをアッセイすることを含み、例えば、2~21種のマーカー、好ましくは2~8種のマーカー、好ましくは4~6種のマーカーのメチル化状態をアッセイすることを含む。例えば、実施形態によっては、本方法は、SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、EMX1、CYP26C1、SOBP、SUCLG2、SHOX2、ZDHHC1、NFIX、FLJ45983、HOXA9、B3GALT6、ZNF781、SP9、BARX1、及びSKIから選択された2種以上のマーカーのメチル化状態を分析することを含む。好適な実施形態の一部において、本方法は、SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、及びEMX1を含むマーカーセットのメチル化状態を分析することを含む。実施形態によっては、本方法は、以下から選択されるマーカーセットのメチル化状態を分析することを含む:ZNF781、BARX1、及びEMX1からなる群;SHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKIからなる群;SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、及びEMX1からなる群;SHOX2、SOBP、ZNF781、BTACT、CYP26C1、及びDLX4からなる群;ならびにSHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKIからなる群。ある特定の実施形態において、少なくとも1種のメチル化マーカーは、ZNF781、BARX1、及びEMX1から選択される群を含み、さらに、SOBP及び/またはHOXA9を含む。他の実施形態において、少なくとも1種のメチル化マーカーは、BARX1、HOXB2、FLJ45983、IFFO1、HOPX、TRH、HOXA9、SOBP、ZNF781、及びFAM59Bから選択される群を含む。
実施形態によっては、少なくとも1種のメチル化マーカーは、IFFO1及びHOPXの一方または両方を含み、任意選択でさらに、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、及びZNF32からなる群より選択される1種または複数のマーカー遺伝子を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1種のメチル化マーカー遺伝子は、IFFO1及びHOPXの少なくとも一方からなり、さらに、BARX1、FLJ45983、HOXA9、ZNF781、HOXB2、SOBP、TRH、及びFAM59Bのうちの1種または複数を含むが、一方で、ある特定の好適な実施形態において、少なくとも1種のメチル化マーカー遺伝子は、IFFO1及びHOPXの少なくとも一方、ならびに群BARX1、FLJ45983、HOXA9、ZNF781、HOXB2、SOBP、TRH、及びFAM59Bからなる。
本技術は、メチル化状態の評価に限定されない。実施形態によっては、試料中のメチル化マーカーのメチル化状態評価は、1つの塩基のメチル化状態の特定を含む。実施形態によっては、試料中のマーカーのメチル化状態のアッセイは、複数の塩基におけるメチル化の程度を特定することを含む。さらに、実施形態によっては、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態より、マーカーのメチル化が高いものを含む。実施形態によっては、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態よりマーカーのメチル化が低いものを含む。実施形態によっては、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態に対しマーカーのメチル化パターンが異なるものを含む。
実施形態によっては、本技術は、対象における肺腫瘍を報告する記録の作成方法を提供し、本方法は、以下の工程を含む:
a)対象から得られた試料中の、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXからなる群から選択されるメチル化マーカー遺伝子で少なくとも1つメチル化されたものの量について、対象から得られた試料をアッセイすること;
b)試料中の参照マーカーの量について試料をアッセイすること;
c)試料中の少なくとも1つメチル化されたメチル化マーカーの量と参照マーカーの量を比較して、試料中の少なくとも1つメチル化されたメチル化マーカーについてメチル化状態を特定すること;及び
d)試料中のこの少なくとも1種のマーカー遺伝子のメチル化状態を報告する記録を作成すること、このメチル化マーカーのメチル化状態は、この対象における肺腫瘍の有無を示すものである。
実施形態によっては、本技術は、試料を特性決定する方法を提供し、本方法は、以下を含む:
a)DNA中の、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXからなる群より選択される少なくとも1種のメチル化マーカー遺伝子の量を測定すること;
b)DNA中の、少なくとも1種の参照マーカーの量を測定すること;ならびに
c)DNA中で測定された少なくとも1種のメチル化マーカー遺伝子の量について、DNA中で測定された少なくとも1種の参照マーカーの量に対するパーセンテージとして値を計算すること、この値は、試料中で測定された少なくとも1種のメチル化マーカーDNAの量を示す。
好適な実施形態の一部において、少なくとも1種のメチル化マーカー遺伝子は、1~15種のメチル化マーカー遺伝子からなる。
実施形態によっては、マーカーのうち少なくとも2種の量が測定され、好ましくは、少なくとも2種のメチル化マーカー遺伝子は、SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、EMX1CYP26C1、SOBP、SUCLG2、SHOX2、ZDHHC1、NFIX、FLJ45983、HOXA9、B3GALT6、ZNF781、SP9、BARX1、及びSKIからなる群より選択される。他の実施形態において、メチル化マーカーは、BARX1、HOXB2、FLJ45983、IFFO1、HOPX、TRH、HOXA9、SOBP、ZNF781、及びFAM59Bから選択される群を含む。ある特定の好適な実施形態において、本方法は、以下から選択されるマーカーセットのメチル化状態の分析を含む:ZNF781、BARX1、及びEMX1からなる群;SHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKIからなる群;SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、及びEMX1からなる群;SHOX2、SOBP、ZNF781、BTACT、CYP26C1、及びDLX4からなる群;ならびにSHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKIからなる群。ある特定の実施形態において、少なくとも1種のメチル化マーカーは、ZNF781、BARX1、及びEMX1から選択される群を含み、さらにSOBP及び/またはHOXA9を含む。実施形態によっては、メチル化マーカーは、選択された1種または複数のマーカーのメチル化状態が肺腺癌、大細胞癌、扁平上皮癌、または小細胞癌のうち1種だけを示すように、選択される。他の実施形態において、メチル化マーカーは、選択された1種または複数のマーカーのメチル化状態が肺腺癌、大細胞癌、扁平上皮癌、及び小細胞癌のうち複数を示すように、選択される。さらに他の実施形態において、メチル化マーカーは、選択された1種または複数のマーカーのメチル化状態が、肺腺癌、大細胞癌、扁平上皮癌、小細胞癌、包括的非小細胞肺癌、及び/または分類不能肺癌のうちいずれか1種またはそれらのいずれかの組み合わせを示すように、選択される。実施形態によっては、試料中のメチル化マーカーのメチル化状態をアッセイするまたは測定することは、1つの塩基のメチル化状態を特定することを含み、一方、他の実施形態において、アッセイは、複数の塩基でメチル化の度合いを特定することを含む。実施形態によっては、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態、例えば、非がん性試料中でマーカーが出現するとおりの状態に比べてマーカーのメチル化が高いまたは低いことを含み、一方、実施形態によっては、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態に比べてマーカーのメチル化パータンが異なることを含む。好適な実施形態において、参照マーカーは、メチル化した参照マーカーである。実施形態によっては、参照マーカーは、遺伝子の一部分を含む。
本技術は、特定の試料の種類に限定されない。例えば、実施形態によっては、試料は、組織試料、血液試料、血漿試料、血清試料、または痰試料である。ある特定の好適な実施形態において、組織試料は、肺組織を含む。ある特定の好適な実施形態において、試料は、血漿から単離されたDNAを含む。
本技術は、試料に由来するDNAをアッセイする特定の方法に限定されない。例えば、実施形態によっては、アッセイは、ポリメラーゼ連鎖反応法、核酸シークエンシング、質量分析、メチル化特異的ヌクレアーゼ、質量による分離、及び/または標的捕捉の利用を含む。ある特定の好適な実施形態において、アッセイは、フラップエンドヌクレアーゼアッセイの利用を含む。
実施形態によっては、DNAのメチル化状態に特異的な様式でDNAを選択的に修飾する試薬で、DNAを処理する。例えば、実施形態によっては、メチル化感受性制限酵素、またはメチル化依存性制限酵素である制限酵素で、DNAを処理する。
特に好適な実施形態において、試料DNA及び/または参照マーカーDNAは、重亜硫酸塩変換され、DNAのメチル化レベルを特定するアッセイは、メチル化特異的PCR、定量的メチル化特異的PCR、メチル化特異的DNA制限酵素分析、定量的重亜硫酸塩パイロシーケンシング、フラップエンドヌクレアーゼアッセイ(例えば、QUARTSフラップエンドヌクレアーゼアッセイ)、及び/または重亜硫酸塩ゲノム配列決定PCRの利用を含む技法により達成される。
本技術は、対象由来の試料または試料の組み合わせを特性決定する方法も提供し、本方法は、試料(複数可)を、複数の異なる種類のマーカー分子について分析することを含む。例えば、実施形態によっては、本技術は、対象から得られた試料のDNA中の少なくとも1種のメチル化マーカー遺伝子の量を測定することを含む方法を提供し、さらに、対象から得られた試料中の少なくとも1種のRNAマーカーの量を測定すること、及び対象から得られた試料中の少なくとも1種のタンパク質マーカーの有無についてアッセイすることのうち1つまたは複数を含む。実施形態によっては、対象から得られた単一試料を、メチル化マーカーDNA(複数可)、マーカーRNA(複数可)、及びマーカータンパク質(複数可)について分析する。
DNA、RNA、及びタンパク質マーカーの分析は、どのような特定の技術の使用にも限定されない。DNA及びRNAの分析方法は周知であり、例えば、増幅及びプローブハイブリダイゼーションを含む核酸検出アッセイが挙げられるが、これに限定されない。タンパク質の分析方法として、酵素結合免疫吸着検定(ELISA)検出、タンパク質免疫沈降、ウエスタンブロット、免疫染色などが挙げられるが、これらに限定されない。
本技術は、キットも提供する。例えば、実施形態によっては、本技術は、以下を含むキットを提供する:a)少なくとも1種のオリゴヌクレオチド、このオリゴヌクレオチドの少なくとも一部分は、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXからなる群より選択されるマーカーと特異的にハイブリダイズする。好適な実施形態において、マーカーとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの一部分は、メチル化マーカーを含む重亜硫酸塩処理したDNAと特異的にハイブリダイズする。実施形態によっては、キットは、少なくとも1種の追加オリゴヌクレオチドを含み、ただし、追加オリゴヌクレオチドの少なくとも一部分は、参照核酸と特異的にハイブリダイズする。実施形態によっては、キットは、少なくとも2種の追加オリゴヌクレオチドを含み、実施形態によっては、キットは、さらに、重亜硫酸塩試薬を含む。
ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドの少なくとも一部分は、SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、EMX1、CYP26C1、SOBP、SUCLG2、SHOX2、ZDHHC1、NFIX、FLJ45983、HOXA9、B3GALT6、ZNF781、SP9、BARX1、及びSKIからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーと特異的にハイブリダイズする。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドの少なくとも一部分は、BARX1、HOXB2、FLJ45983、IFFO1、HOPX、TRH、HOXA9、SOBP、ZNF781、及びFAM59Bからなる群より選択される少なくとも1種のマーカーと特異的にハイブリダイズする。
好適な実施形態において、キットは、オリゴヌクレオチドセットを含み、各オリゴヌクレオチドは、マーカーセット中の1種のマーカーとハイブリダイズし、マーカーセットは、以下から選択される:ZNF781、BARX1、及びEMX1からなる群;SHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKIからなる群;SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、及びEMX1からなる群;SHOX2、SOBP、ZNF781、BTACT、CYP26C1、及びDLX4からなる群;ならびにSHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKIからなる群。ある特定の実施形態において、メチル化マーカーセットは、ZNF781、BARX1、及びEMX1から選択される群を含み、さらに、SOBP及び/またはHOXA9を含む。実施形態によっては、マーカーセットは、IFFO1及びHOPXの一方または両方を含み、さらに、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、及びZNF32からなる群より選択される1種または複数のマーカーを含む。他の実施形態において、メチル化マーカーセットは、IFFO1及びHOPXの一方または両方を含み、さらに、BARX1、HOXB2、FLJ45983、IFFO1、HOPX、TRH、HOXA9、SOBP、ZNF781、及びFAM59Bから選択される1種または複数のマーカーを含む。ある特定の実施形態において、メチル化マーカーセットは、IFFO1及びHOPXの一方または両方、ならびにBARX1、HOXB2、FLJ45983、IFFO1、HOPX、TRH、HOXA9、SOBP、ZNF781、及びFAM59Bから選択される1種または複数のマーカーからなる。
実施形態によっては、キットの少なくとも1種のオリゴヌクレオチドは、肺癌、例えば、肺腺癌、大細胞癌、扁平上皮癌、または小細胞癌のうち1種のみを示すメチル化マーカー(複数可)とハイブリダイズするように選択される。他の実施形態において、少なくとも1種のオリゴヌクレオチドは、肺腺癌、大細胞癌、扁平上皮癌、及び小細胞癌のうち複数を示すメチル化マーカー(複数可)とハイブリダイズするように選択される。さらに他の実施形態において、少なくとも1種のオリゴヌクレオチドは、肺腺癌、大細胞癌、扁平上皮癌、小細胞癌、及び/または分類不能肺癌のいずれか一種またはいずれかの組み合わせを示すメチル化マーカー(複数可)とハイブリダイズするように選択される。
好適な実施形態において、キットに提供されるオリゴヌクレオチド(複数可)は、捕捉オリゴヌクレオチド、核酸プライマー対、核酸プローブ、及び侵入オリゴヌクレオチドのうち1種または複数から選択される。好適な実施形態において、オリゴヌクレオチド(複数可)は、当該メチル化マーカー(複数可)を含む重亜硫酸塩処理したDNAと特異的にハイブリダイズする。
実施形態によっては、キットは、さらに、固相支持体、例えば、磁気ビーズまたは粒子などを含む。好適な実施形態において、固相支持体は、1種または複数の捕捉試薬、例えば、当該1種または複数のマーカー遺伝子と相補的なオリゴヌクレオチドを含む。
本技術は、組成物も提供する。例えば、実施形態によっては、本技術は、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12a、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXからなる群より選択される標的核酸と、標的核酸に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとの複合体を含む混合物、例えば反応混合物を含む組成物を提供する。実施形態によっては、標的核酸は、重亜硫酸塩変換した標的核酸である。好適な実施形態において、混合物は、SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、EMX1、CYP26C1、SOBP、SUCLG2、SHOX2、ZDHHC1、NFIX、FLJ45983、HOXA9、B3GALT6、ZNF781、SP9、BARX1、及びSKIからなる群より選択される標的核酸と、標的核酸(未変換であるか重亜硫酸塩変換されているかを問わず)に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとの複合体を含む。他の好適な実施形態において、混合物は、BARX1、HOXB2、FLJ45983、IFFO1、HOPX、TRH、HOXA9、SOBP、ZNF781、及びFAM59Bからなる群より選択される標的核酸と、ならびに、標的核酸(未変換であるか重亜硫酸塩変換されているかを問わず)に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとの複合体を含む。混合物中のオリゴヌクレオチドとして、捕捉オリゴヌクレオチド、核酸プライマー対、ハイブリダイゼーションプローブ、加水分解プローブ、フラップアッセイプローブ、及び侵入オリゴヌクレオチドの1種または複数が挙げられるが、これらに限定されない。
実施形態によっては、混合物中の標的核酸は、配列番号1、6、11、16、21、28、33、38、43、48、53、58、63、68、73、78、86、91、96、101、106、111、116、121、126、131、136、141、146、151、156、161、166、171、176、181、186、191、196、201、214、219、224、229、234、239、247、252、257、262、267、272、277、282、287、292、298、303、308、313、319、327、336、341、346、351、356、361、366、371、384、403、412、及び426、ならびにそれらの相補配列からなる群より選択される核酸配列を含む。
実施形態によっては、混合物は、配列番号2、7、12、17、22、29、34、39、44、49、54、59、64、69、74、79、87、92、97、102、107、112、117、122、127、132、137、142、147、152、157、162、167、172、177、182、187、192、197、202、210、215、220、225、230、235、240、248、253、258、263、268、273、278、283、288、293、299、304、309、314、320、328、337、342、347、352、357、362、367、372、385、404、413、及び427、ならびにそれらの相補配列からなる群より選択される核酸配列を含む重亜硫酸塩変換した標的核酸を含む。
実施形態によっては、キットは、少なくとも2種のアッセイ用の試薬または材料を含み、これらのアッセイは、1)少なくとも1種のメチル化DNAマーカー;2)少なくとも1種のRNAマーカー;及び3)少なくとも1種のタンパク質マーカーについて、その量またはその有無を測定することから選択される。好適な実施形態において、少なくとも1種のメチル化DNAマーカーは、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12a、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXからなる群より選択される。実施形態によっては、少なくとも1種のタンパク質は、抗原、例えば、がん関連抗原を含み、一方、実施形態によっては、少なくとも1種のタンパク質は、抗体、例えば、がん関連抗原に対する自己抗体を含む。
実施形態によっては、混合物中のオリゴヌクレオチドはレポーター分子を含み、好適な実施形態において、レポーター分子はフルオロフォアを含む。実施形態によっては、オリゴヌクレオチドはフラップ配列を含む。実施形態によっては、混合物はさらに、FRETカセット、FEN-1エンドヌクレアーゼ、及び/または熱安定性DNAポリメラーゼ、好ましくは細菌DNAポリメラーゼのうち1種または複数を含む。
定義
本願技術を理解しやすいよう、多数の用語及び語句を以下に定義する。さらなる定義は、詳細な説明を通して記載される。
明細書及び請求項全体をとおして、以下の用語は、文脈で特に明確に指示されない限り、本明細書に明示的に関連付けられた意味を持つ。本明細書で使用する語句「一実施形態では」は、同一の実施形態の場合もあるが、必ずしも同一実施形態を指すわけではない。さらに、本明細書で使用する語句「別の実施形態では」は、異なる実施形態の場合もあるが、必ずしも異なる実施形態を指すわけではない。したがって、以下に記載するように、本発明のさまざまな実施形態は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく容易に組み合わされ得る。
さらに、本明細書で使用する場合、用語「または」は、包含的な操作詞「または」であり、文脈で特に明確に指示されない限り、用語「及び/または」と同義である。用語「に基づいた」は、限定的なものではなく、文脈で特に明確に指示されない限り、記載のないさらなる要因に基づくことを認めるものである。さらに、本明細書を通じて、「a」、「an」、及び「the」の意味には複数の指示対象が含まれる。「での(in)」の意味には、「での(in)」及び「で(on)」が含まれる。
In re Herz,537 F.2d 549,551-52,190 USPQ 461,463(CCPA 1976)で考察されているように、本出願の請求項で使用される移行句「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、請求の範囲を、明記される材料またはステップ、ならびに特許請求する発明の「基本的及び新規な特徴(複数可)に実質的に影響を与えないもの」に限定する。例えば、記述されている要素「から本質的になる」組成物は、純粋な組成物、すなわち、記述されている成分「からなる」組成物と比較した場合に、記述されていない交雑物を、たとえ存在していても、その交雑物が記述されている組成物の機能を改変させないようなレベルで含有してよい。
本明細書で使用する場合、「メチル化」は、シトシンのC5位もしくはN4位におけるシトシンのメチル化、アデニンのN6位におけるメチル化、または他の種類の核酸メチル化を指す。典型的なインビトロでのDNA増幅法では増幅鋳型のメチル化パターンは保持されないため、インビトロで増幅させたDNAは通常は非メチル化DNAである。しかしながら、「非メチル化DNA」または「メチル化DNA」はそれぞれ、元の鋳型が非メチル化またはメチル化されていた増幅DNAも指し得る。
したがって、本明細書で使用する場合、「メチル化ヌクレオチド」または「メチル化ヌクレオチド塩基」は、認識されている典型的ヌクレオチド塩基には存在しないメチル部分がヌクレオチド塩基上に存在することを指す。例えば、シトシンはそのピリミジン環にメチル部分を含有しないが、5-メチルシトシンはそのピリミジン環の5位にメチル部分を含有する。したがって、シトシンはメチル化ヌクレオチドではなく、5-メチルシトシンはメチル化ヌクレオチドである。別の例では、チミンはそのピリミジン環の5位にメチル部分を含有するが、本明細書の目的上、チミンはDNAの典型的ヌクレオチド塩基であるため、DNAに存在する場合、チミンをメチル化ヌクレオチドとはみなさない。
本明細書で使用する場合、「メチル化核酸分子」は、1つ以上のメチル化ヌクレオチドを含有する核酸分子を指す。
本明細書で使用する場合、核酸分子の「メチル化状態」、「メチル化プロファイル」、及び「メチル化ステータス」は、核酸分子における1つ以上のメチル化ヌクレオチド塩基の有無を指す。例えば、メチル化シトシンを含有している核酸分子はメチル化しているとみなされる(例えば、核酸分子のメチル化状態はメチル化である)。メチル化ヌクレオチドを含有しない核酸分子は非メチル化であるとみなされる。実施形態によっては、核酸が特定の座位(例えば、特定の単一CpGジヌクレオチドの座位)または特定の座位組み合わせでメチル化されていない場合、たとえその遺伝子または分子中の他の座位でメチル化されていたとしても、その核酸は、「非メチル化」であると特性決定される場合がある。
特定の核酸配列(例えば、本明細書に記載する遺伝子マーカーまたはDNA領域)のメチル化状態は、その配列内のあらゆる塩基のメチル化状態を示し得るか、またはその配列内部の塩基(例えば、1つ以上のシトシン)のサブセットのメチル化状態を示し得るか、またはその配列内部の局所的メチル化密度に関する情報を、メチル化が生じている配列内部の正確な位置情報とともに、もしくは位置情報なしで示し得る。本明細書中使用される場合、「マーカー遺伝子」及び「マーカー」という用語は、同義で使用され、マーカー領域がDNAの翻訳領域にあるかどうかに関係なく、症状、例えば、がんに関連したDNA(または他の試料成分)を示す。マーカーとして、例えば、調節領域、フランキング領域、遺伝子間領域などを挙げることができる。同様に、試料の任意の成分、例えば、タンパク質、RNA、炭水化物、小分子などに関連して使用される「マーカー」という用語は、試料でのアッセイが可能(例えば、測定されるまたはいずれにしろ特性決定される)であり、対象の症状、または対象から得られる試料の状態に関連している成分を示す。「メチル化マーカー」という用語は、遺伝子またはDNAであって、そのメチル化状態が、症状、例えば、がんに関連している遺伝子またはDNAを示す。
核酸分子におけるヌクレオチド座位のメチル化状態は、核酸分子の特定の座位におけるメチル化ヌクレオチドの有無を指す。例えば、核酸分子の7番目のヌクレオチドにおけるシトシンのメチル化状態は、その核酸分子の7番目のヌクレオチドに存在するヌクレオチドが5-メチルシトシンであればメチル化である。同様に、核酸分子の7番目のヌクレオチドにおけるシトシンのメチル化状態は、核酸分子の7番目のヌクレオチドに存在するヌクレオチドがシトシンであれば(かつ5-メチルシトシンでなければ)非メチル化である。
メチル化ステータスは、任意選択で、「メチル化値」によって表すかまたは示すことができる(例えば、メチル化の頻度、量、比、百分率などを表す)。メチル化値は、例えば、メチル化依存性制限酵素を用いた制限消化後に存在する完全状態の核酸の量の定量、または重亜硫酸塩反応後の増幅プロファイルの比較、または重亜硫酸塩処理核酸と未処理核酸の配列比較によって生成され得る。したがって、値、例えば、メチル化値はメチル化ステータスを表すため、ある座位の複数コピーにわたるメチル化ステータスの定量的指標として使用することができる。これは、試料の配列のメチル化ステータスを閾値または基準値と比較することが望ましい場合の、具体的な使用法である。
本明細書で使用する場合、「メチル化頻度」または「メチル化率(%)」は、分子または座位が非メチル化である例数に対する、当該分子または座位がメチル化である例数を指す。
したがって、メチル化状態は、核酸(例えば、ゲノム配列)のメチル化の状態を表す。さらに、メチル化状態は、メチル化に関連する特定のゲノム座位における核酸セグメントの特徴を指す。そのような特徴には、このDNA配列内にメチル化されたシトシン(C)残基があるか否か、メチル化C残基(複数可)の位置、核酸の任意の特定領域にわたるメチル化Cの頻度または割合、及び、例えばアレルの起源の違いなどによる、アレルのメチル化の違いが挙げられるが、これに限定されない。用語「メチル化状態」、「メチル化プロファイル」、及び「メチル化ステータス」もまた、相対濃度、絶対濃度、または生体試料における核酸の任意の特定領域にわたるメチル化Cもしくは非メチル化Cのパターンを指す。例えば、核酸配列内のシトシン(C)残基(複数可)がメチル化されている場合には、これを「高メチル化」または「メチル化が高い」と呼ばれ得、またDNA配列内のシトシン(C)残基(複数可)がメチル化されていない場合は、「低メチル化」または「メチル化が低い」と呼ばれ得る。同様に、ある核酸配列内のシトシン(C)残基(複数可)が別の核酸配列(例えば、異なる領域に由来するかまたは異なる個体に由来するものなど)と比較した場合にメチル化されていれば、その配列は、もう一方の核酸配列と比べて高メチル化である、またはメチル化が高いとみなされる。別法として、DNA配列内のシトシン(C)残基(複数可)が別の核酸配列(例えば、異なる領域に由来するかまたは異なる個体に由来するものなど)と比較した場合にメチル化されていなければ、その配列は、もう一方の核酸配列と比べて低メチル化である、またはメチル化が低いとみなされる。さらに、本明細書で使用する用語「メチル化パターン」は、ある核酸のある領域にわたる、メチル化ヌクレオチド及び非メチル化ヌクレオチドの部位をまとめたものを指す。2つの核酸が、その領域にわたるメチル化ヌクレオチド及び非メチル化ヌクレオチドの数は同数または同様であるがメチル化ヌクレオチド及び非メチル化ヌクレオチドの位置が異なる場合は、メチル化頻度またはメチル化率は、同一または同様であるがメチル化パターンは異なり得る。配列が、メチル化の程度(例えば、一方の配列のメチル化が他方のそれと比べて高いかまたは低い)、頻度、またはパターンにおいて異なる場合、それらの配列は「特異的にメチル化されている」または「メチル化に特異性がある」または「異なるメチル化状態にある」という。用語「特異的メチル化」は、がん陰性試料における核酸メチル化のレベルまたはパターンと比較した場合の、がん陽性試料における核酸メチル化のレベルまたはパターンの相違を指す。この用語は、術後にがんの再発がある患者と再発がない患者間のレベルまたはパターンの相違も指し得る。特異的メチル化及びDNAのメチル化の個々のレベルまたはパターンは、例えば、一旦正しいカットオフまたは予測的特徴が定義された後は、予後及び予測のバイオマーカーとなる。
メチル化状態頻度は、個体集団または単一個体から得た試料を表すために使用することができる。例えば、メチル化状態頻度が50%であるヌクレオチド座位は、例の50%がメチル化であり、例の50%が非メチル化である。そのような頻度を使用して、例えば、個体集団または核酸コレクションの、ヌクレオチド座位または核酸領域がメチル化されている度合いを明らかにすることができる。したがって、核酸分子の第1の集団またはプールでのメチル化が、核酸分子の第2の集団またはプールでのメチル化とは異なる場合、第1の集団またはプールのメチル化状態頻度は、第2の集団またはプールのメチル化状態頻度とは異なる。また、そのような頻度を使用して、例えば、単一個体におけるヌクレオチド座位または核酸領域がメチル化されている度合いを明らかにすることもできる。例えば、そのような頻度を使用して、ヌクレオチド座位または核酸領域において、組織試料由来の細胞群のメチル化または非メチル化の度合いを明らかにすることができる。
本明細書で使用する場合、「ヌクレオチド座位」は、核酸分子におけるヌクレオチドの位置を指す。メチル化ヌクレオチドのヌクレオチド座位は、核酸分子におけるメチル化ヌクレオチドの位置を指す。
典型的に、ヒトDNAのメチル化は、隣り合うグアニンとシトシンを含み、シトシンがグアニンの5’位に位置するジヌクレオチド配列(CpGジヌクレオチド配列とも呼ばれる)で生じる。ヒトゲノムではCpGジヌクレオチド内の大部分のシトシンはメチル化されるが、一部のシトシンは、CpGアイランドと呼ばれるCpGジヌクレオチドリッチな特定のゲノム領域で非メチル化のままである(例えば、Antequera et al.(1990)Cell 62:503-514を参照)。
本明細書で使用する場合、「CpGアイランド」は、総ゲノムDNAに対しCpGジヌクレオチド数を多く含有している、ゲノムDNAのG:Cリッチ領域を指す。CpGアイランドは長さが少なくとも100、200、またはそれ以上の塩基対であり得、その場合、その領域のG:C含量は少なくとも50%、予測CpG頻度に対する実測CpG頻度の比は0.6であるが、いくつかの例では、CpGアイランドは長さが少なくとも500塩基対であり得、その場合、その領域のG:C含量は少なくとも55%、予測CpG頻度に対する実測CpG頻度の比は0.65である。予測CpG頻度に対する実測CpG頻度は、Gardiner-Garden et al(1987)J.Mol.Biol.196:261-281に記載の方法に従って計算することができる。例えば、予測CpG頻度に対する実測CpG頻度は、式R=(A×B)/(C×D)に従って計算することができ、ここで、Rは予測CpG頻度に対する実測CpG頻度の比であり、Aは分析配列中のCpGジヌクレオチド数であり、Bは分析配列中の総ヌクレオチド数であり、Cは分析配列中の総Cヌクレオチド数であり、Dは分析配列中の総Gヌクレオチド数である。メチル化状態は典型的にCpGアイランド内、例えば、プロモーター領域で決定される。しかし、CpA及びCpTなど、ヒトゲノムの他の配列もDNAメチル化を受けやすいことを理解されよう(Ramsahoye(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:5237-5242;Salmon and Kaye(1970)Biochim.Biophys.Acta.204:340-351;Grafstrom(1985)Nucleic Acids Res.13:2827-2842;Nyce(1986)Nucleic Acids Res.14:4353-4367;Woodcock(1987)Biochem.Biophys.Res.Commun.145:888-894を参照)。
本明細書で使用する場合、「メチル化特異的試薬」は、核酸分子のヌクレオチドを、かかる核酸分子のメチル化状態と相関して修飾する試薬を指すか、またはメチル化特異的試薬は、核酸分子のヌクレオチド配列を、その核酸分子のメチル化状態を反映させて変えることができる化合物もしくは組成物または他の薬剤を指す。そのような試薬で核酸分子を処理する方法には、核酸分子と試薬を接触させ、必要に応じさらなるステップを組み合わせてヌクレオチド配列に所望の変化をもたらすことが含まれ得る。そのような方法を適用して、非メチル化ヌクレオチド(例えば、非メチル化シトシンの各々)が修飾されて異なるヌクレオチドになるようにすることができる。例えば、実施形態によっては、そのような試薬は、非メチル化シトシンヌクレオチドを脱アミノ化させてデオキシウラシル残基を生成させる。例示的な試薬は重亜硫酸塩試薬である。
用語「重亜硫酸塩試薬」は、重亜硫酸塩、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、またはその組み合わせを含む試薬であり、本明細書に開示するように、メチル化CpGジヌクレオチド配列と非メチル化CpGジヌクレオチド配列との区別に有用なものを指す。前記処理方法は当該技術分野で公知である(例えば、各々が参照によりその全体が組み込まれるPCT/EP2004/011715及びWO2013/116375)。実施形態によっては、n-アルキレングリコールまたはジエチレングリコールジメチルエーテル(DME)などに限定されない変性溶媒の存在下、またはジオキサンまたはジオキサン誘導体などの存在下で重亜硫酸塩処理を行う。実施形態によっては、変性溶媒を1%~35%の濃度(v/v)で使用する。実施形態によっては、例えば6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン2-カルボン酸などのクロマン誘導体、またはトリヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、例えば、没食子酸(参照によりその全体が組み込まれるPCT/EP2004/011715を参照)などに限定されないスカベンジャーの存在下で重亜硫酸塩反応を実施する。特定の好ましい実施形態では、重亜硫酸塩反応は、例えば、WO2013/116375に記載のような、亜硫酸水素アンモニウムでの処理を含む。
また、メチル化特異的試薬で核酸ヌクレオチド配列を変化させることにより、各メチル化ヌクレオチドが修飾されて異なるヌクレオチドになっている核酸分子がもたらされ得る。
用語「メチル化アッセイ」は、核酸の配列内の1つ以上のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態を決定するあらゆるアッセイを指す。
本明細書で使用する場合、所与のマーカー(または共に使用するマーカーセット)の「感度」は、腫瘍性試料と非腫瘍性試料を区別する閾値を上回るDNAメチル化値を報告する試料の割合を指す。実施形態によっては、陽性は、閾値を上回るDNAメチル化値(例えば、疾患に関連する範囲)を報告する組織学的に確認された腫瘍と定義され、偽陰性は、閾値を下回るDNAメチル化値(例えば、どの疾患にも関連しない範囲)を報告する組織学的に確認された腫瘍と定義される。したがって、感度の値は、既知の罹患試料から得た所与のマーカーのDNAメチル化測定値が疾患関連測定値の範囲内となる確率を反映する。ここで定義するように、計算により求めた感度値の臨床的意義は、ある臨床状態にある対象に適用した場合に、その状態の存在を所与のマーカーが検出するであろう確率推定を表す。
本明細書で使用する場合、所与のマーカー(または共に使用するマーカーセット)の「特異度」は、腫瘍性試料と非腫瘍性試料を区別する閾値を下回るDNAメチル化値を報告する非腫瘍性試料の割合を指す。実施形態によっては、陰性は、閾値を下回るDNAメチル化値(例えば、どの疾患にも関連しない範囲)を報告する組織学的に確認された非腫瘍性試料と定義され、偽陽性は、閾値を上回るDNAメチル化値(例えば、疾患に関連する範囲)を報告する組織学的に確認された非腫瘍性試料と定義される。したがって、特異性の値は、既知の非腫瘍性試料から得た所与のマーカーのDNAメチル化測定値が非疾患関連測定値の範囲内となる確率を反映する。ここで定義するように、計算により求めた特異性値の臨床的意義は、ある臨床状態にない患者に適用した場合に、その状態にないことを所与のマーカーが検出するであろう確率推定を表す。
本明細書で使用する場合、「選択ヌクレオチド」は、核酸分子で典型的に出現する4つのヌクレオチド(DNAではC、G、T、及びA、及びRNAではC、G、U、及びA)のうちの1つのヌクレオチドを指し、これには、典型的に出現するヌクレオチドのメチル化誘導体(例えば、Cが選択ヌクレオチドの場合、メチル化Cと非メチル化Cの両方が選択ヌクレオチドの意味に含まれる)が含まれ得るが、メチル化選択ヌクレオチドとは具体的には、典型的にメチル化されているヌクレオチドを指し、非メチル化選択ヌクレオチドとは具体的には、典型的に非メチル化形態で出現するヌクレオチドを指す。
「メチル化特異的制限酵素」という用語は、その認識部位のメチル化状態に依存して核酸を選択的に消化する制限酵素を示す。認識部位がメチル化されていないかまたはヘミメチル化されている場合に特異的に切断する制限酵素(メチル化感受性酵素)の場合、一方または両方の鎖で認識部位がメチル化されていれば切断は起こらない(または起きたとしても効率は顕著に低くなる)。認識部位がメチル化されている場合にのみ特異的に切断する制限酵素(メチル化依存性酵素)の場合、認識部位がメチル化されていなければ切断は起こらない(または起きたとしても効率は顕著に低くなる)。メチル化特異的制限酵素が好ましく、それらの認識配列はCGジヌクレオチドを含有する(例えば、CGCGまたはCCCGGGのような認識配列)。実施形態によっては、このジヌクレオチド内のシトシンが炭素原子C5でメチル化されている場合に切断しない制限酵素がさらに好ましい。
用語「プライマー」は、例えば制限消化物から得た核酸断片として非人工物として生じるか、合成により製造されるかを問わず、核酸鋳型鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が開始される条件に置かれた場合(例えば、DNAポリメラーゼなどの開始剤とヌクレオチドの存在下、適切な温度及びpHにおいて)、合成開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、増幅効率を最大にするため一本鎖が好ましいが、あるいは二本鎖でもよい。二本鎖の場合、まずプライマーの鎖を分離する処理をし、それから伸長産物を調製するのに使用する。好ましくは、プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、開始剤の存在下での伸長産物の合成を開始させるために十分に長くなければならない。プライマーの厳密な長さは、温度、プライマーの供給源、及びその方法の使用法など多くの因子に依存するであろう。
用語「プローブ」は、精製された制限消化物中でのように非人工物として生じるか、合成、組換え、またはPCR増幅により製造されるかを問わず、関心対象の別のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド(例えば、一連のヌクレオチド)を指す。プローブは、一本鎖でも二本鎖でもよい。プローブは、特定の遺伝子配列の検出、同定、及び単離に有用である(例えば、「捕捉プローブ」)。本発明で使用する任意のプローブは、実施形態によっては、酵素(例えば、ELISA、ならびに酵素を用いる組織化学分析)、蛍光システム、放射性システム、及び発光システムなどを含むがこれらに限定されない任意の検出システムにおいて検出可能なように任意の「レポーター分子」で標識してよいことが意図される。本発明は、特定の検出システムまたは標識に限定されることを意図しない。
用語「標的」は、本明細書で使用する場合、他の核酸から、例えば、プローブ結合、増幅、単離、捕捉などによって選別することが求められる、ある核酸を指す。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応に関して使用する場合、「標的」は、ポリメラーゼ連鎖反応に使用したプライマーが結合している核酸の領域を指し、また標的DNAを増幅させないアッセイ、例えば、侵入切断法を行ういくつかの実施形態で使用する場合には、標的は、プローブ及び侵入オリゴヌクレオチド(例えば、INVADERオリゴヌクレオチド)が結合して侵入切断構造を形成し、それにより標的核酸の存在を検出することができるような部位を含む。「セグメント」は、標的配列内の核酸の領域と定義される。二本鎖核酸に関連して使用される場合、「標的」という用語は、二本鎖標的の特定鎖、例えば、コード鎖に限定されず、例えば、二本鎖遺伝子の一方または両方の鎖、または参照DNAに関して使用することができる。
用語「マーカー」は、本明細書で使用する場合、非正常細胞(例えば、がん細胞)と正常細胞(非がん性細胞)の区別を、例えば、マーカー物質の存在の有無、またはステータス(例えば、メチル化状態)に基づいて行うために使用され得る物質(例えば、核酸、または核酸の領域、またはタンパク質)を指す。本明細書中使用される場合、マーカーの「正常な」メチル化は、正常細胞で、例えば、非がん性細胞で典型的に見られるメチル化度合いを示す。
本明細書で使用する用語「腫瘍」は、組織の新生かつ異常な増殖を指す。したがって、腫瘍は、前悪性腫瘍または悪性腫瘍であり得る。
用語「腫瘍特異的マーカー」は、本明細書で使用する場合、腫瘍の存在を示すのに使用することができる任意の生物学的な物質または要素を指す。生物学的物質の例には、限定することなく、核酸、ポリペプチド、炭水化物、脂肪酸、細胞成分(例えば、細胞膜及びミトコンドリア)、及び全細胞が含まれる。いくつかの例では、マーカーは、特定の核酸領域(例えば、遺伝子、遺伝子内領域、特定の座位など)である。マーカーである核酸の領域は、例えば、「マーカー遺伝子」、「マーカー領域」、「マーカー配列」、「マーカー座位」などと呼んでよい。
用語「試料」は、その最も広い意味で使用される。ある意味では、動物の細胞または組織を指す。別の意味では、供給源、ならびに生体試料及び環境試料から得た検体または培養物を指す。生体試料は、植物または動物(ヒトを含む)から得てよく、液体、固形物、組織、及びガスが包含される。環境試料には、地表物質試料、土壌試料、水試料、及び産業による試料などの環境物質が含まれる。これらの例は、本発明に適用可能な試料の種類を限定するものと解釈されるべきではない。
本明細書で使用する場合、用語「患者」または「対象」は、技術により提供されるさまざまな試験の対象となる生物を指す。用語「対象」には、動物、好ましくはヒトを含む哺乳類が含まれる。好ましい実施形態では、対象は霊長類である。さらにより好ましい実施形態では、対象はヒトである。さらに、診断方法に関しては、好ましい対象は脊椎動物である対象である。好ましい脊椎動物は温血動物であり、好ましい温血脊椎動物は哺乳類である。好ましい哺乳類は、最も好ましくはヒトである。本明細書で使用する場合、用語「対象」には、ヒト及び動物いずれの対象も含まれる。したがって、本明細書では、動物治療での使用法を提供する。そのため、本願技術は、ヒトなどの哺乳類、ならびにアムールトラなどの絶滅の危機にあることから重要とされる哺乳類、人間による消費用に農場で飼育される動物などの経済的に重要な哺乳類、及び/またはペットとして飼われている、もしくは動物園で飼育されている動物など、人間にとって社会的に重要な哺乳類の診断を提供する。そのような動物の例としては、ネコ及びイヌなどの肉食動物;ブタ(pig)、雄ブタ、及びイノシシなどを含むブタ(swine);ウシ、雄ウシ、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン、及びラクダなどの反芻動物及び/または有蹄動物;ひれ足動物;ならびにウマが挙げられるが、これに限定されない。したがって、家畜の診断及び治療もまた提供され、それらとしては、飼育されているブタ、反芻動物、有蹄動物、ウマ(競走馬を含む)などが挙げられるが、これに限定されない。本願に開示の主題はさらに、対象の肺癌を診断するシステムを含む。システムは、例えば、生体試料を採取した対象において、肺癌のリスクについてスクリーニングを行う、または肺癌の診断を行うために使用することができる、市販のキットとして提供され得る。本願技術に従って提供される例示的なシステムには、本明細書に記載するマーカーのメチル化状態を評価することが含まれる。
核酸において用語「増幅させる」または「増幅」は、複数コピーのポリヌクレオチド、またはかかるポリヌクレオチドの一部分を生成させることを指し、典型的に少量のポリヌクレオチド(例えば、単一ポリヌクレオチド分子)から開始し、その場合、増幅産物またはアンプリコンは概して検出可能である。ポリヌクレオチドの増幅には、さまざまな化学過程及び酵素過程が包含される。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)中またはリガーゼ連鎖反応(LCR;例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,494,810号を参照)中に、標的DNA分子または鋳型DNA分子の1コピーもしくは少数コピーから複数のDNAコピーが生成されるのは、増幅という形態である。増幅のさらなる種類としては、アレル特異的PCR(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,639,611号を参照)、アセンブリPCR(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,965,408号を参照)、ヘリカーゼ依存性増幅(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,662,594号を参照)、ホットスタートPCR(例えば、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,773,258号及び第5,338,671号を参照)、配列間特異的PCR、インバースPCR(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるTriglia,et al.(1988)Nucleic Acids Res.,16:8186を参照)、ライゲーション媒介PCR(例えば、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGuilfoyle,R.et al.,Nucleic Acids Research,25:1854-1858(1997);米国特許第5,508,169号を参照)、メチル化特異的PCR(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるHerman,et al.,(1996)PNAS 93(13)9821-9826を参照)、ミニプライマーPCR、マルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅法(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるSchouten,et al.,(2002)Nucleic Acids Research 30(12):e57を参照)、マルチプレックスPCR(例えば、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるChamberlain,et al.,(1988)Nucleic Acids Research 16(23)11141-11156;Ballabio,et al.,(1990)Human Genetics 84(6)571-573;Hayden,et al.,(2008)BMC Genetics 9:80を参照)、ネステッドPCR、重複エクステンションPCR(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるHiguchi,et al.,(1988)Nucleic Acids Research 16(15)7351-7367を参照)、リアルタイムPCR(例えば、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるHiguchi,et al.,(1992)Biotechnology 10:413-417;Higuchi,et al.,(1993)Biotechnology 11:1026-1030を参照)、逆転写PCR(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBustin,S.A.(2000)J.Molecular Endocrinology 25:169-193を参照)、固相PCR、熱非対称インターレースPCR、及びタッチダウンPCR(例えば、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDon,et al.,Nucleic Acids Research(1991)19(14)4008;Roux,K.(1994)Biotechniques 16(5)812-814;Hecker,et al.,(1996)Biotechniques 20(3)478-485を参照)が挙げられるが、これに限定されない。また、ポリヌクレオチドの増幅もデジタルPCRを使用して達成することができる(例えば、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるKalinina,et al.,Nucleic Acids Research.25;1999-2004,(1997);Vogelstein and Kinzler,Proc Natl Acad Sci USA.96;9236-41,(1999);国際特許公開第WO05023091A2号;米国特許出願公開第20070202525号を参照)。
用語「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)は、クローニングまたは精製を行うことなくゲノムまたは他のDNAもしくはRNAの混合物における標的配列のセグメントの濃度を高める方法が記載されている、K.B.Mullisの米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、及び第4,965,188号の方法を指す。標的配列を増幅させるこの方法は、所望の標的配列を含有している大過剰の2つのオリゴヌクレオチドプライマーをDNA混合物に導入すること、それに続き、DNAポリメラーゼ存在下で正確な一連のサーマルサイクリングを行うことからなる。2つのプライマーはそれぞれ、二本鎖標的配列のそれぞれの鎖に相補的である。増幅を実行するには、混合物を変性させ、その後、標的分子内のプライマー相補配列にプライマーをアニールする。アニーリングの後、新たな一対の相補鎖が形成されるようポリメラーゼを用いてプライマーを伸長させる。変性、プライマーアニーリング、及びポリメラーゼ伸長の各ステップを何度も繰り返し行って(すなわち、変性、アニーリング及び伸長で1つの「サイクル」を構成し、「サイクル」数は多数になり得る)、所望の標的配列が高濃度で増幅されたセグメントを得ることができる。所望の標的配列の増幅セグメントの長さはプライマーの互いの相対的位置により決定されるため、この長さは管理可能なパラメータである。工程が繰り返し行われることから、この方法は「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)と呼ばれる。混合物中では標的配列の所望の増幅セグメントが主要配列となる(濃度の点で)ので、それらのセグメントを「PCR増幅産物」及びは「PCR産物」または「アンプリコン」と言う。当業者は、用語「PCR」は、例えば、リアルタイムPCR、ネステッドPCR、逆転写PCR(RT-PCR)、単一プライマー及び任意プライムPCRなどを使用する、本来の記載方法の多くの変形を包含することを理解できよう。
本明細書で使用する場合、用語「核酸検出法」は、関心対象核酸のヌクレオチド組成を決定する任意の方法を指す。核酸検出法には、DNA塩基配列決定法、プローブハイブリダイゼーション法、構造特異的切断法(例えば、INVADER法(Hologic,Inc.)(例えば、米国特許第5,846,717号、第5,985,557号、第5,994,069号、第6,001,567号、第6,090,543号、及び第6,872,816号;Lyamichev et al.,Nat.Biotech.,17:292(1999),Hall et al.,PNAS,USA,97:8272(2000)、及び米国特許第9,096,893号に記載されており、その各々はあらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる);ミスマッチの酵素的切断法(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Variagenics社の米国特許第6,110,684号、第5,958,692号、第5,851,770号);上述のポリメラーゼ連鎖反応(PCR);分岐ハイブリダイゼーション法(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Chiron社の米国特許第5,849,481号、第5,710,264号、第5,124,246号、及び第5,624,802号);ローリングサークル複製(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,210,884号、第6,183,960号、及び第6,235,502号);NASBA(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,409,818号);分子ビーコン法(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,150,097号);E-センサー法(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Motorola社の米国特許第6,248,229号、第6,221,583号、第6,013,170号、及び第6,063,573号);サイクリングプローブ法(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,403,711号、第5,011,769号、及び第5,660,988号);Dade Behringシグナル増幅法(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,121,001号、第6,110,677号、第5,914,230号、第5,882,867号、及び第5,792,614号);リガーゼ連鎖反応(例えば、Baranay Proc.Natl.Acad.Sci USA 88,189-93(1991));ならびにサンドイッチハイブリダイゼーション法(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,288,609号)が挙げられるが、これに限定されない。
実施形態によっては、標的核酸を増幅させ(例えば、PCRにより)、侵入切断法を同時に使用して増幅核酸を検出する。増幅法と組み合わせた検出法(例えば、侵入切断法)実施用に構成された試験法は米国特許第9,096,893号に記載されており、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。QuARTS法と呼ばれる、増幅法と侵入切断法を併用するさらなる検出構成は、例えば、米国特許第8,361,720号、第8,715,937号、第8,916,344号、第9,212,392号、及び米国特許出願第15/841,006号に記載されており、これらはそれぞれ、あらゆる目的のため本明細書中参照として援用される。本明細書で使用する用語「侵入切断構造」は、i)標的核酸、ii)上流核酸(例えば、侵入オリゴヌクレオチドまたは「INVADER」オリゴヌクレオチド)、及びiii)下流核酸(例えば、プローブ)を含む切断構造を指し、その場合、上流及び下流の核酸が標的核酸の連続領域にアニールし、下流核酸と標的核酸との間で形成された二重鎖と、上流核酸の3’部分との間に重複が形成される。重複は、上流及び下流の核酸に由来する1つ以上の塩基が標的核酸の塩基に対して同じ位置を占有する箇所で生じ、上流核酸の重複塩基(複数可)が標的核酸と相補的であるか否か、またそれらの塩基が天然塩基であるか非天然塩基であるかは問わない。実施形態によっては、下流の二重鎖と重複する上流核酸の3’部分は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,090,543号などに例えば開示されている芳香環構造のような、塩基以外の化学部分である。実施形態によっては、核酸の1つ以上を、例えば、核酸のステムループのような共有結合を介して、または核酸以外の化学結合(例えば、多重炭素鎖)を介して互いに結合させてよい。本明細書で使用する場合、用語「フラップエンドヌクレアーゼ法」には、上述のような「INVADER」侵入切断法及びQuARTS法が含まれる。
用語「プローブオリゴヌクレオチド」または「フラップオリゴヌクレオチド」は、フラップ法に関して使用する場合、侵入オリゴヌクレオチドの存在下で標的核酸と相互作用して切断構造を形成するオリゴヌクレオチドを指す。
用語「侵入オリゴヌクレオチド」は、プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーション領域に隣接する位置で標的核酸とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを指し、ここで、侵入オリゴヌクレオチドの3’末端は、プローブと標的とのハイブリダイゼーション領域と重複する部分(例えば、化学部分、または1つ以上のヌクレオチド)を含む。侵入オリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオチドは、標的内のヌクレオチドと塩基対を形成しても形成しなくてもよい。実施形態によっては、侵入オリゴヌクレオチドはその3’末端において、標的鎖にアニールするプローブオリゴヌクレオチドの一部分の5’末端に位置する配列と実質的に同一な配列を含有する。
用語「フラップエンドヌクレアーゼ」または「FEN」は、本明細書で使用する場合、核酸分解酵素の一クラス、典型的に5’ヌクレアーゼを指し、これらは、核酸の別の鎖で置換されている(例えば、その一本鎖と二本鎖DNAとの間の接合部に重複ヌクレオチドができるよう)ほうの一本鎖に5’突出末端、すなわちフラップを含有する二重鎖を有しているDNA構造上で構造特異的エンドヌクレアーゼとして作用する。FENは、一本鎖DNAと二本鎖DNAの接合部におけるホスホジエステル結合の加水切断を触媒し、突出末端、すなわちフラップを遊離させる。フラップエンドヌクレアーゼは、Ceska及びSavers(Trends Biochem.Sci.1998 23:331-336)及びLiuら(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるAnnu.Rev.Biochem.2004 73:589-615)により概説されている。FENは、個々の酵素、多重サブユニット酵素であっても、または別の酵素もしくはタンパク質複合体(例えば、DNAポリメラーゼ)の活性として存在してもよい。
フラップエンドヌクレアーゼは熱安定であってよい。例えば、保存記録のある好熱性生物のFEN-1フラップエンドヌクレアーゼは典型的に熱安定性である。本明細書で使用する場合、用語「FEN-1」は、真核生物または古細菌生物に由来する非ポリメラーゼフラップエンドヌクレアーゼを指す。例えば、あらゆる目的のために参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、WO02/070755、及びKaiser M.W.,et al.(1999)J.Biol.Chem.,274:21387を参照。
本明細書で使用する場合、用語「切断フラップ」は、フラップ法の切断産物である一本鎖オリゴヌクレオチドを指す。
用語「カセット」は、フラップ切断反応に関して使用する場合、例えば、フラップ切断法で形成された一次または第1の切断構造において、フラップまたはプローブオリゴヌクレオチドの切断に応答して検出可能シグナルを発生するよう構成されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの組み合わせを指す。好ましい実施形態では、カセットは、フラップオリゴヌクレオチドの切断により生成された非標的である切断産物とハイブリダイズして第2の重複切断構造を形成し、その後、かかるカセットが同一酵素、例えば、FEN-1エンドヌクレアーゼによって切断され得るようになっている。
実施形態によっては、カセットは、ヘアピン部分(すなわち、反応条件下でカセットオリゴヌクレオチドの一部分が同オリゴヌクレオチドの第2の部分とハイブリダイズし、二重鎖を形成する領域)を含む単一オリゴヌクレオチドである。他の実施形態では、カセットは、反応条件下で二重鎖を形成することができる相補部分を含む少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、カセットは、標識、例えば、フルオロフォアを含む。特に好ましい実施形態では、カセットは、FRET効果を出す標識部分を含む。
本明細書で使用する場合、用語「FRET」は、部分(例えば、フルオロフォア)が、例えば、部分同士で、またはフルオロフォアから非フルオロフォア(例えば、クエンチャー分子)へとエネルギーを移動させるプロセスである蛍光共鳴エネルギー移動を指す。いくつかの状況では、FRETでは、短距離(例えば、約10nm以下)の双極子-双極子相互作用によって、エネルギーがより低い受容体フルオロフォアへとエネルギーを移動させる励起された供与体フルオロフォアが使用される。他の状況では、FRETでは、供与体からの蛍光エネルギーの損失、及び受容体フルオロフォアにおける蛍光の増加が使用される。さらなる他の形態のFRETでは、励起された供与体フルオロフォアから非蛍光分子(例えば、「ダーク」クエンチ分子)へエネルギーが交換され得る。FRETは当業者に公知であり、これまでに記載がある(例えば、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるStryer et al.,1978,Ann.Rev.Biochem.,47:819;Selvin,1995,Methods Enzymol.,246:300;Orpana,2004 Biomol Eng 21,45-50;Olivier,2005 Mutant Res 573,103-110を参照)。
例示的なフラップ検出法では、侵入オリゴヌクレオチド及びフラップオリゴヌクレオチドを標的核酸とハイブリダイズさせ、上記のような重複を有する第1の複合体を作製する。対になっていない「フラップ」はフラップオリゴヌクレオチドの5’末端上に含まれている。第1の複合体は、フラップオリゴヌクレオチドを切断して5’フラップ部分を遊離させるフラップエンドヌクレアーゼ、例えば、FEN-1エンドヌクレアーゼの基質である。二次反応では、遊離した5’フラップ産物は、FRETカセットでの侵入オリゴヌクレオチドとして使用され、再びフラップエンドヌクレアーゼにより認識される構造を作り、FRETカセットが切断されるようにする。フルオロフォア及びクエンチャーがFRETカセットの切断により分離されると、バックグラウンドの蛍光より高い検出可能な蛍光シグナルが生成される。
本明細書で使用する用語「リアルタイム」は、核酸増幅またはシグナル増幅の検出に関して使用する場合、反応の進行中、例えば、インキュベーション中またはサーマルサイクリング中の、反応における産物またはシグナルの蓄積の検出または測定を指す。そのような検出または測定は、継続的に行われる、または増幅反応の進行中に行われる、またはその組み合わせのいずれであってもよい。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応では、検出(例えば、蛍光の検出)は、サーマルサイクリングの全部もしくは一部の進行中に行われても、または1つ以上のサイクル中の1つ以上のポイントで一過性に行われてもよい。実施形態によっては、PCRまたはQuARTS反応のリアルタイム検出は、サイクルごと、または複数サイクルの各々における同一ポイント(例えば、サイクルの時点、またはサイクルの温度ステップ)での蛍光レベルを決定することによって達成される。増幅のリアルタイム検出は、増幅反応「中」検出とも呼ばれる。
本明細書で使用する場合、用語「定量的増幅データセット」は、標的試料、例えば、標的DNAの定量的増幅中に得たデータを指す。定量的PCRまたはQuARTS法の場合、定量的増幅データセットは、増幅中、例えば、複数のサーマルサイクルまたはすべてのサーマルサイクルの間に得た蛍光値を集めたものである。定量的増幅についてのデータは、反応の特定のポイントにおける収集データに限定されるものではなく、各サイクルの別個のポイントで、または各サイクルを通して継続的に蛍光を測定してよい。
本明細書で使用する略語「Ct」及び「Cp」は、リアルタイムPCR及びPCR+INVADER法の間に収集されたデータに関して使用する場合、シグナル(例えば、蛍光シグナル)が、陽性シグナルであることを示す所定の閾値と交差しているサイクルを指す。濃度に対するシグナルの決定因子として使用する閾値の計算にはさまざまな方法が使用されており、その値は一般に、「交差閾値(crossing threshold)」(Ct)または「交点(crossing point)」(Cp)で表される。本明細書で提示する方法の実施形態では、アッセイまたは試料中の変異型構成要素及び/または非変異型構成要素の割合決定のためのリアルタイムシグナル分析には、Cp値またはCt値のいずれを使用してもよい。
本明細書で使用する場合、用語「キット」は、物質送達用の任意の送達システムを指す。反応アッセイにおいては、そのような送達システムには、ある場所から別の場所まで、反応試薬(例えば、適切な容器に入ったオリゴヌクレオチド、酵素など)及び/または支持材料(例えば、緩衝液、アッセイ実施のための説明書など)の保存、輸送、もしくは送達を可能にするシステムが含まれる。例えば、キットには、関連する反応試薬及び/または支持材料を含有する1つ以上の同封物(例えば、箱)が含まれる。本明細書で使用する場合、用語「細分化キット」は、キットの全構成要素を細分したものを含有する2つ以上の別個の容器を含む送達システムを指す。容器は、送達が意図されるレシピエントにまとめて送達されるかまたは別々に送達されてよい。例えば、第1の容器はアッセイで使用する酵素を含有し、第2の容器はオリゴヌクレオチドを含有してよい。
本明細書で使用する用語「システム」は、特定の目的に使用するための物品の集合体を指す。実施形態によっては、物品は、使用説明書、例えば、物品上、紙面、または記録可能媒体(例えば、DVD、CD、フラッシュドライブなど)で提供される情報を含む。実施形態によっては、説明書は使用者に対しオンラインの場所、例えば、ウェブサイトへ行くよう指示をする。
本明細書で使用する場合、用語「情報」は、事実またはデータの任意の集合体を指す。インターネットを含むがこれに限定されない、コンピュータシステム(複数可)を使用して保存または処理した情報に関して使用する場合、「情報」という用語は、任意の形式(例えば、アナログ形式、デジタル形式、光形式など)で保存されたあらゆるデータを指す。本明細書で使用する場合、用語「対象に関する情報」は、対象(例えば、ヒト、植物、または動物)に関連する事実またはデータを指す。用語「ゲノム情報」は、核酸配列、遺伝子、メチル化率、アレル頻度、RNA発現レベル、タンパク質発現、遺伝子型と相関する表現型などを含むがこれに限定されない、ゲノムに関連する情報を指す。「アレル頻度情報」は、アレル頻度に関連する事実またはデータを指し、これには、アレル同一性、アレルの存在と対象(例えば、ヒト対象)の特徴間の統計的相関、個体または集団におけるアレルの存在の有無、1つ以上の特定の特徴を有する個体にアレルが存在する尤度(%)などが挙げられるが、これに限定されない。
[図面の簡単な説明]
[図1]マーカー標的領域の未変換型及び重亜硫酸塩変換型の概略図を示す。重亜硫酸塩変換された標的DNA検出用のフラップ法のプライマー及びプローブを示す。
[図2]実施例2に記載されるとおり肺癌に関連したマーカーを選択するため短縮表示重亜硫酸塩配列決定法(Reduced Representation Bisulfite Sequensing、RRBS)の結果を比較する表を提示し、各行は、指定のマーカー領域(染色体ならびに開始位置及び終止位置により特定される)についての平均値を示す。各組織型(正常(Norm)、腺癌(Ad)、大細胞癌(LC)、小細胞癌(SC)、扁平上皮癌(SQ)、及び分類不能がん(UND))についての平均メチル化の比を、正常な対象のバフィーコート試料(WBCまたはBC)の平均メチル化と比較し、領域ごとに示し、また、各領域で同定された遺伝子及び転写物を示す。肺腺癌に関連したマーカーを選択するためRRBS結果を比較する表を提示する。
[図3]実施例2に記載されるとおり肺癌に関連したマーカーを選択するため短縮表示重亜硫酸塩配列決定法(Reduced Representation Bisulfite Sequensing、RRBS)の結果を比較する表を提示し、各行は、指定のマーカー領域(染色体ならびに開始位置及び終止位置により特定される)についての平均値を示す。各組織型(正常(Norm)、腺癌(Ad)、大細胞癌(LC)、小細胞癌(SC)、扁平上皮癌(SQ)、及び分類不能がん(UND))についての平均メチル化の比を、正常な対象のバフィーコート試料(WBCまたはBC)の平均メチル化と比較し、領域ごとに示し、また、各領域で同定された遺伝子及び転写物を示す。肺大細胞癌に関連したマーカーを選択するためRRBS結果を比較する表を提示する。
[図4]実施例2に記載されるとおり肺癌に関連したマーカーを選択するため短縮表示重亜硫酸塩配列決定法(Reduced Representation Bisulfite Sequensing、RRBS)の結果を比較する表を提示し、各行は、指定のマーカー領域(染色体ならびに開始位置及び終止位置により特定される)についての平均値を示す。各組織型(正常(Norm)、腺癌(Ad)、大細胞癌(LC)、小細胞癌(SC)、扁平上皮癌(SQ)、及び分類不能がん(UND))についての平均メチル化の比を、正常な対象のバフィーコート試料(WBCまたはBC)の平均メチル化と比較し、領域ごとに示し、また、各領域で同定された遺伝子及び転写物を示す。肺小細胞癌に関連したマーカーを選択するためRRBS結果を比較する表を提示する。
[図5]実施例2に記載されるとおり肺癌に関連したマーカーを選択するため短縮表示重亜硫酸塩配列決定法(Reduced Representation Bisulfite Sequensing、RRBS)の結果を比較する表を提示し、各行は、指定のマーカー領域(染色体ならびに開始位置及び終止位置により特定される)についての平均値を示す。各組織型(正常(Norm)、腺癌(Ad)、大細胞癌(LC)、小細胞癌(SC)、扁平上皮癌(SQ)、及び分類不能がん(UND))についての平均メチル化の比を、正常な対象のバフィーコート試料(WBCまたはBC)の平均メチル化と比較し、領域ごとに示し、また、各領域で同定された遺伝子及び転写物を示す。肺扁平上皮癌に関連したマーカーを選択するためRRBS結果を比較する表を提示する。
[図6]アッセイ標的及び検出オリゴヌクレオチドの核酸配列を、該当する配列番号とともに提示する表である。標的核酸、特に標的DNA(重亜硫酸塩変換したDNAを含む)は、利便性のため、一本鎖として示すが、当然のことながら、本技術の実施形態は、示される配列の相補鎖も包含する。例えば、プライマー及びフラップオリゴヌクレオチドは、示されるとおりの標的とハイブリダイズするように選択することも、示されるとおりの標的と相補的な鎖とハイブリダイズするように選択することもできる。
[図7]実施例3のデータで6種マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフであり、マーカーには、SHOX2、SOBP、ZNF781、BTACT、CYP26C1、及びDLX4を使用した。ROC曲線分析は、曲線下面積(AUC)が0.973であることを示す。
[図8]実施例3のデータで6種マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフであり、マーカーには、SHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKIを使用した。ROC曲線分析は、曲線下面積(AUC)が0.97982であることを示す。
[図9A]は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
[図9B]は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
[図9C]は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
[図9D]は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
[図9E]は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
[図9F]は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
[図9G]は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
[図9H]は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
[図9I]は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
[図10]実施例6のデータで6種マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフであり、マーカーには、BARX1、FLJ45983、SOBP、HOPX、IFFO1、及びZNF781を使用した。
[発明を実施するための形態]
本明細書中提供されるのは、DNA、例えば、メチル化DNAの検出及び定量を行うアッセイで使用するための核酸マーカーの選択及びマーカーの核酸検出アッセイでの使用に関する技術である。詳細には、本技術は、肺癌検出にメチル化アッセイを使用することに関する。
ここでのさまざまな実施形態についての詳細な説明では、説明を目的として、開示の実施形態が十分に理解されるよう具体的な詳細が多数記載されている。しかしながら、これらの具体的な詳細を用いても用いなくても、これらのさまざまな実施形態を実施してよいことを当業者は理解するであろう。他の例では、構造及びデバイスをブロック図形式で示している。さらに、当業者は、方法を提示し、実施している具体的な順序は例示的なものであり、かかる順序は、本明細書に開示する各種実施形態の趣旨及び範囲内に留まりつつ変更可能であることが意図されることを容易に理解できる。
実施形態によっては、マーカーは100以下の塩基からなる領域であるか、マーカーは500以下の塩基からなる領域であるか、マーカーは1000以下の塩基からなる領域であるか、マーカーは5000以下の塩基からなる領域であるか、または、実施形態によっては、マーカーは1つの塩基である。実施形態によっては、マーカーはCpG高密度プロモーター内にある。
本技術は試料の種類により限定されない。例えば、実施形態によっては、試料は、糞便試料、組織試料、痰、血液試料(例えば、血漿、血清、全血)、排泄物、または尿試料である。
さらに、本技術は、メチル化状態の決定に使用される方法に限定されない。実施形態によっては、アッセイには、メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応、核酸シークエンシング、質量分析、メチル化特異的ヌクレアーゼ、質量による分離法、または標的捕捉を使用することを含む。実施形態によっては、アッセイには、メチル化特異的オリゴヌクレオチドの使用を含む。実施形態によっては、技術では、メチル化状態を決定する超並列シークエンシング(例えば、次世代シークエンシング)、例えば、合成時解読、リアルタイム(例えば、単一分子)シークエンシング、ビーズエマルジョンシークエンシング、ナノポアシークエンシングなどを使用する。
本技術は、異状メチル化領域(differentially methylated
region,DMR)を検出する試薬を提供する。実施形態によっては、オリゴヌクレオチドが提供され、このオリゴヌクレオチドは、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから選択されるアノテーションを有する染色体領域に対して、好ましくは、サブセットSLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、EMX1、CYP26C1、SOBP、SUCLG2、SHOX2、ZDHHC1、NFIX、FLJ45983、HOXA9、B3GALT6、ZNF781、SP9、BARX1、及びSKIから選択されるマーカー;あるいはZNF781、BARX1、及びEMX1からなる群;SHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKIからなる群;SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、及びEMX1からなる群;SHOX2、SOBP、ZNF781、BTACT、CYP26C1、及びDLX4からなる群;またはSHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKIからなる群で定義されるマーカーサブセットのいずれかから選択されるマーカーに対して相補的な配列を含む。
キットの実施形態も提供され、例えば、キットは、重亜硫酸塩試薬と、ならびにBARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは、上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有し、かつがん(例えば、肺癌)ではない対象に関連したメチル化状態を有する染色体領域を含む対照核酸とを含む。実施形態によっては、キットは、重亜硫酸塩試薬及び本明細書中記載されるとおりのオリゴヌクレオチドを含む。実施形態によっては、キットは、重亜硫酸塩試薬、及び上記の染色体領域から選択される配列を含み、肺癌である対象に関連したメチル化状態を有する対照核酸を含む。
本技術は、組成物(例えば、反応混合物)の実施形態に関連する。実施形態によっては、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有する染色体領域を含む核酸と、重亜硫酸塩試薬とを含む組成物が提供される。実施形態によっては、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有する染色体領域を含む核酸と、本明細書中記載されるとおりのオリゴヌクレオチドとを含む組成物が提供される。実施形態によっては、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有する染色体領域を含む核酸と、メチル化特異的制限酵素とを含む組成物が提供される。実施形態によっては、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有する染色体領域を含む核酸と、ポリメラーゼとを含む組成物が提供される。
対象から得られた試料で腫瘍(例えば、肺癌)をスクリーニングするための関連方法の実施形態がさらに提供され、例えば、1つの方法は、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有する染色体領域の塩基を含む試料中のマーカーのメチル化状態を特定すること;対象試料のマーカーのメチル化状態と、肺癌ではない対象の正常対照試料のマーカーのメチル化状態とを比較すること;ならびに対象試料及び正常対照試料のメチル化状態の差について信頼区間及び/またはp値を特定することを含む。実施形態によっては、信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%または99.99%であり、p値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、または0.0001である。一部の方法実施形態では、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有する染色体領域を含む核酸を、重亜硫酸塩試薬と反応させて、重亜硫酸塩と反応した核酸を生成させる工程;重亜硫酸塩と反応した核酸の配列決定を行い、重亜硫酸塩と反応した核酸のヌクレオチド配列を得る工程;重亜硫酸塩と反応した核酸のヌクレオチド配列と、肺癌ではない対象の染色体領域を含む核酸のヌクレオチド配列とを比較し、2つの配列間の違いを特定する工程;ならびに違いが存在する場合、対象を腫瘍があるとして同定する工程が提供される。
対象から得た試料で肺癌についてスクリーニングするシステムが、本技術により提供される。システムの例示の実施形態として、例えば、対象から得た試料で肺癌についてスクリーニングするシステムが挙げられ、このシステムは、試料のメチル化状態を特定するよう構成された分析構成要素、試料のメチル化状態とデータベースに記録されている対照試料または標準試料のメチル化状態とを比較するよう構成されたソフトウェア構成要素、及び、がん関連メチル化状態であることを使用者に警告するよう構成された警告構成要素を含む。実施形態によっては、警告は、複数のアッセイから結果を受け取るソフトウェア構成要素によって決定される(例えば、複数マーカー、例えば、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有する染色体領域などのメチル化状態を特定し、値または結果を計算して複数の結果に基づく報告を行う)。実施形態によっては、値もしくは結果を計算する際に使用するための、本明細書中提供されるBARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有する各染色体領域に関連する加重パラメータのデータベース、及び/または使用者(例えば、医師、看護婦、臨床医など)に報告する警告が提供される。実施形態によっては、複数のアッセイの全結果が報告され、実施形態によっては、1つ以上の結果を使用して、複数アッセイからの1つ以上の結果の複合に基づいた、対象の肺癌リスクを示すスコア、値、または結果が提供される。
システムの実施形態の一部において、試料は、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有する染色体領域を含む核酸を含む。実施形態によっては、システムはさらに、核酸を単離する構成要素、糞便試料を採取する構成要素など試料を採取する構成要素を含む。実施形態によっては、システムは、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有する染色体領域を含む核酸配列を含む。実施形態によっては、データベースは、肺癌ではない対象の核酸配列を含む。同じく提供されるのは、核酸、例えば、核酸のセットであり、核酸はそれぞれ、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかから選択されるアノテーションを有する染色体領域を含む配列を有する。
関連システムの実施形態は、記載の核酸セット、及びかかる核酸セットに関連する核酸配列のデータベースを含む。いくつかの実施形態はさらに重亜硫酸塩試薬を含む。また、実施形態によってはさらに、核酸シークエンサーを含む。
ある特定の実施形態において、ヒト対象から得られた試料の特性決定を行う方法が提供され、本方法は、a)ヒト対象から試料を得ること、b)試料中の1種または複数のマーカーのメチル化状態をアッセイすること、マーカーは、BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXから、好ましくは上記に列挙されるとおりのマーカーサブセットのいずれかからなるマーカー群より選択されるアノテーションを有する染色体領域の塩基を含む、c)アッセイしたマーカーのメチル化状態と、腫瘍のない対象でアッセイしたマーカーのメチル化状態とを比較すること、を含む。
実施形態によっては、本技術は、生体試料中の、本明細書で特定されるマーカーの1種または複数について存在及びメチル化状態を評価することに関連する。これらのマーカーは、本明細書中検討するとおりの1つまたは複数の異状メチル化領域(DMR)を含む。メチル化状態は、本技術の実施形態で評価される。したがって、本明細書中提供される技術は、遺伝子のメチル化状態を測定する方法に拘束されない。例えば、実施形態によっては、ゲノムスキャニング法によりメチル化状態を測定する。例えば、ある方法では、ランドマーク制限酵素切断部位によるゲノムスキャニング(Kawai et al.(1994)Mol.Cell.Biol.14:7421-7427)が行われ、また別の例では、メチル化特異的任意プライムPCR(Gonzalgo et al.(1997)Cancer Res.57:594-599)が行われる。実施形態によっては、メチル化特異的制限酵素、特にメチル化感受性酵素でゲノムDNAを消化させ、その後、関心領域のサザン解析を行うことにより(消化サザン法)、特定のCpG部位でのメチル化パターンの変化をモニターする。実施形態によっては、メチル化パターンの変化の分析には、1種または複数のメチル化特異的制限酵素でゲノムDNAを消化すること、及び分析される領域のメチル化状態を示す切断の有無について領域を分析することを含むプロセスを使用する。実施形態によっては、処理されたDNAの分析は、PCR増幅を含み、この増幅結果は、制限酵素によりDNAが切断されたか否かを示す。実施形態によっては、生成した増幅産物の存在、不在、量、大きさ、及び配列のうち1つまたは複数が評価されて、関心対象のDNAのメチル化状態が分析される。例えば、Melnikov, et al., (2005) Nucl. Acids Res, 33(10):e93;Hua, et al., (2011) Exp. Mol. Pathol. 91(1):455-60;及びSinger-Sam et al. (1990) Nucl. Acids Res.18:687を参照。さらに、メチル化解析の出発点としてDNAの重亜硫酸塩処理を利用する他の技法が報告されている。これらには、メチル化特異的PCR(MSP)(Herman et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:9821-9826)及び重亜硫酸塩で変換したDNAから増幅させたPCR産物の制限酵素による消化(Sadri and Hornsby(1996)Nucl.Acids Res.24:5058-5059;及びXiong and Laird(1997)Nucl.Acids Res.25:2532-2534)が含まれる。遺伝子変異を検出するためのPCR法、(Kuppuswamy et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1143-1147)及びアレル特異的発現を定量するためのPCR法(Szabo and Mann(1995) Genes Dev.9:3097-3108;及びSinger-Sam et al.(1992)PCR Methods Appl.1:160-163)が開発されている。そのような技法ではインターナルプライマーが使用され、PCRで作製された鋳型とアニールしてアッセイ対象の単一ヌクレオチドの5’で直接末端を形成する。実施形態によっては、米国特許第7,037,650号に記載されている「定量的Ms-SNuPE法」を使用する方法を利用する。
メチル化状態を評価する際、メチル化状態は、特定の部位(例えば、単一ヌクレオチド、特定の領域または座位、より長い関心配列、例えば、最高約100bp、200bp、500bp、1000bp、またはそれ以上のDNA部分列)を含む試料中のDNA集団全体に対する、その特定部位でメチル化されているDNAの個々の鎖の量または割合として表されることが多い。従来より、非メチル化核酸の量はキャリブレータを用いるPCRによりを決定される。その後、既知量のDNAを重亜硫酸塩処理し、得られるメチル化特異的配列を、リアルタイムPCRまたは他の指数級数的増幅法、例えば、QuARTS法を使用して特定する(例えば、米国特許第8,361,720号、第8,715,937号、第8,916,344号、及び第9,212,392号、ならびに米国特許出願第15/841,006号に提示されるとおり)。
例えば、実施形態によっては、方法は、外部標準を用いて非メチル化標的の検量線を作成することを含む。検量線は、少なくとも2つのポイントから作成され、非メチル化DNAのリアルタイムCt値を既知の定量標準と関連付ける。その後、メチル化標的の第2の検量線を、少なくとも2つのポイント及び外部標準から作成する。この第2の検量線は、メチル化DNAのCtを既知の定量標準と関連付ける。次に、被験試料のCt値をメチル化集団及び非メチル化集団で決定し、最初の2ステップで得た検量線からDNAのゲノム当量を計算する。関心部位におけるメチル化の割合は、集団における総DNA量に対するメチル化DNAの量から計算し、例えば、(メチル化DNA数)/(メチル化DNA数+非メチル化DNA数)×100となる。
同じく本明細書中提供されるのは、方法を実施するための組成物及びキットである。例えば、実施形態によっては、1つ以上のマーカーに対して特異的な試薬(例えば、プライマー、プローブ)を単独またはセット(例えば、複数マーカーを増幅させるプライマー対のセット)で提供する。検出法を行うためのさらなる試薬も提供され得る(例えば、QuARTS法、PCR法、シークエンシング、重亜硫酸塩法、または他のアッセイを行うための陽性対照と陰性対照、酵素、緩衝液など)。実施形態によっては、方法の実施に必要であるか、十分であるか、または有用である1つ以上の試薬を含有するキットを提供する。また、試薬を含有する反応混合物も提供される。複数の試薬を含有するマスターミックス試薬セットをさらに提供し、これを、それぞれ互いに加える、及び/または被験試料に加えて完全な反応混合物としてよい。
これらのアッセイ技術に適切なDNA単離方法は当該技術分野で公知である。詳細には、実施形態によっては、米国特許出願第13/470,251号(‘‘Isolation of Nucleic Acids’’)に記載されるとおりの核酸の単離を含み、この出願はそのまま全体が本明細書中参照として援用される。
ゲノムDNAは、市販のキットを使用するなど任意の手段で単離され得る。簡単に言えば、関心DNAを細胞膜で封入する場合は、生体試料を破壊して酵素手段、化学的手段または機械的手段により溶解させる必要がある。その後で、DNA溶液からタンパク質及び他の汚染物質を、例えば、プロテイナーゼKを用いた消化などにより除去してよい。その後、溶液からゲノムDNAを回収する。これは、塩析、有機抽出、または固相支持体へのDNA結合など、多種多様な方法を手段として実施され得る。どの方法を選択するかは、時間、費用、及び必要とされるDNA量などいくつかの因子により影響される。腫瘍性物質または前腫瘍性物質を含むどの種類の臨床試料でも本願方法での使用に好適であり、例えば、細胞株、組織学的スライド、生検、パラフィン包埋組織、体液、糞便、結腸排出液、尿、血漿、血清、全血、単離された血液細胞、血液から単離された細胞、及びその組み合わせなどがある。
本技術は、試料を調製して試験用核酸を得るために使用される方法に限定されない。例えば、実施形態によっては、遺伝子の直接キャプチャー、例えば、米国特許出願第61/485386号に詳述されている方法、または関連方法を使用して、DNAを糞便試料から、または血液から、または血漿試料から単離する。
本技術は、肺癌に関連している可能性のある、または肺癌の不在を確立するために検査される可能性のある任意の試料の分析に関する。例えば、実施形態によっては、試料は、患者から得た組織及び/または生体液を含む。実施形態によっては、試料は、分泌物を含む。実施形態によっては、試料は、痰、血液、血清、血漿、胃液分泌、肺組織試料、肺細胞、または糞便から回収した肺DNAを含む。実施形態によっては、対象はヒトである。そのような試料は、当該分野で既知である任意の数の手段により得ることができ、当業者には明らかであろう。
I.肺癌を検出するメチル化アッセイ
選択された肺癌症例組織及び肺対照組織に、バイアスのない全メチロームシークエンシングを行い、候補となるメチル化DNAマーカーを同定した。255例の個別の患者と119例の対照で上位マーカー候補をさらに評価した。患者のうち、37例は良性結節によるものであり、136例に、全ての肺癌サブタイプが含まれていた。患者の組織試料から抽出したDNAを重亜硫酸塩で処理し、その後、候補マーカー及び正規化遺伝子としてのβ-アクチン(ACTB)を、定量的アレル特異的リアルタイム標的及びシグナル増幅法(Quantitative Allele-Specific Real-time Target and Signal amplification)(QuARTS増幅法)によりアッセイした。QuARTS法化学は、メチル化マーカーの選択及びスクリーニングの識別度が高い。
個々のマーカー候補の受信者操作特性解析では、曲線下面積(AUC)は0.512~0.941の範囲であった。100%の特異性で、8種のメチル化マーカー(SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.12.526、HOXB2、及びEMX1)の複合パネルは、肺癌の全サブタイプにわたり98.5%の感度を達成した。そのうえさらに、8種マーカーパネルを使用すると、良性肺結節で偽陽性が出なかった。
II.メチル化検出法及びキット
本明細書に記載するマーカーは多種多様なメチル化検出法で利用される。5-メチルシトシンの存在についての核酸分析に最も頻繁に使用される方法は、Frommerらにより記載された、DNA中の5-メチルシトシンを検出する重亜硫酸塩法(あらゆる目的のために参照によりその全体が明示的に本明細書に組み込まれるFrommer et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1827-31)またはその変形に基づいている。5-メチルシトシンをマッピングする重亜硫酸塩法は、シトシンは亜硫酸水素イオン(重亜硫酸塩としても知られる)と反応するが5-メチルシトシンは反応しないという所見に基づいている。反応は通常、以下のステップに従って実施される。まず、シトシンを亜硫酸水素塩と反応させてスルホン化シトシンを形成させる。次に、スルホン化反応中間体が自発的に脱アミノ化しスルホン化ウラシルとなる。最後に、アルカリ性条件下、スルホン化ウラシルを脱スルホン化してウラシルを生成させる。ウラシルはアデニンと塩基対を形成し(したがって、チミンと同様の挙動)、また5-メチルシトシンはグアニンと塩基対を形成する(したがって、シトシンと同様の挙動)ので検出が可能である。このため、メチル化シトシンと非メチル化シトシンの識別が可能となり、例えば、バイサルファイトゲノムシークエンシング(Grigg G,&Clark S,Bioessays(1994)16:431-36;Grigg G,DNA Seq.(1996)6:189-98)、メチル化特異的PCR(MSP)、例えば、米国特許第5,786,146号に開示されているもの、または配列特異的プローブ切断を含むアッセイ、例えば、QuARTSフラップエンドヌクレアーゼ法(例えば、Zou et al.(2010)“Sensitive quantification of methylated markers with a novel methylation specific technology” Clin Chem 56:A199;ならびに米国特許第8,361,720号、第8,715,937号、第8,916,344号、及び第9,212,392号を参照)の使用により可能となる。
従来の技術の中には、解析対象のDNAをアガロース基質に封入することによりDNAの拡散及び再生を防ぎ(重亜硫酸塩は一本鎖DNAとしか反応しない)、沈殿及び精製のステップを高速透析で置き換えることを含む方法に関連するものがある(Olek A,et al.(1996)“A modified and improved method for bisulfite based cytosine methylation analysis” Nucleic Acids Res.24:5064-6)。そのようにして個々の細胞をメチル化ステータスについて分析することが可能であり、方法の有用性及び感度を示している。5-メチルシトシンを検出する従来方法の概要は、Rein,T.,et al.(1998)Nucleic Acids Res.26:2255に記載されている。
重亜硫酸塩法では典型的に、重亜硫酸塩処理に続いて既知の核酸の短い特定断片の増幅を行い、その後、その産物のアッセイを配列決定(Olek&Walter(1997)Nat.Genet.17:275-6)、またはプライマー伸長反応(Gonzalgo&Jones(1997)Nucleic Acids Res.25:2529-31;WO95/00669;米国特許第6,251,594号)によって行い、個々のシトシンの位置を解析する。酵素による消化を利用する方法もある(Xiong&Laird(1997)Nucleic Acids Res.25:2532-4)。また、ハイブリダイゼーションによる検出法も当該技術分野で記載がある(Olek et al.,WO99/28498)。さらに、個々の遺伝子に関するメチル化を検出するための重亜硫酸塩法の使用が記載されている(Grigg&Clark(1994)Bioessays 16:431-6,;Zeschnigk et al.(1997)Hum Mol Genet.6:387-95;Feil et al.(1994)Nucleic Acids Res.22:695;Martin et al.(1995)Gene 157:261-4;WO9746705;WO9515373)。
本願技術に従った重亜硫酸塩処理を併用してさまざまなメチル化アッセイの手順を行うことができる。これらのアッセイにより、核酸配列内の1つまたは複数のCpGジヌクレオチド(例えば、CpGアイランド)のメチル化状態の測定が可能になる。そのようなアッセイでは、数ある技法の中でも特に、重亜硫酸塩処理した核酸のシークエンシング、PCR(配列特異的増幅用)、サザンブロット解析、及びメチル化特異的制限酵素、例えば、メチル化感受性またはメチル化依存性酵素の使用が行われる。
例えば、重亜硫酸塩処理の使用(Frommer et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1827-1831)により、メチル化パターン及び5-メチルシトシンの分布を解析するためのゲノムシークエンシングは簡便化されている。さらに、重亜硫酸塩で変換したDNAから増幅させたPCR産物の制限酵素による消化は、例えば、Sadri&Hornsby(1997)Nucl.Acids Res.24:5058-5059による記載、またはCOBRA(Combined Bisulfite Restriction Analysis:複合重亜硫酸制限酵素分析法)として知られる方法での例示(Xiong&Laird(1997)Nucleic Acids Res.25:2532-2534)のように、メチル化状態の評価に利用される。
COBRA(商標)法は、少量ゲノムDNAで特定の座位におけるDNAメチル化レベルの決定に有用な定量的メチル化アッセイである(Xiong&Laird,Nucleic Acids Res.25:2532-2534,1997)。簡単に言えば、制限酵素による消化を利用して、亜硫酸水素ナトリウム処理したDNAのPCR産物においてメチル化依存性配列の違いを明らかにする。Frommerらが記載の手順(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1827-1831,1992)に従った標準的重亜硫酸塩処理により、まずメチル化依存性配列の違いをゲノムDNAに導入する。その後、関心対象のCpGアイランドに対して特異的なプライマーを使用して、重亜硫酸塩変換したDNAのPCR増幅を実施し、次いで、制限エンドヌクレアーゼによる消化、ゲル電気泳動、及び特定の標識ハイブリダイゼーションプローブを使用した検出を行う。元のDNA試料のメチル化レベルは、消化されたPCR産物の相対量及び未消化PCR産物の相対量により、広範囲のDNAメチル化レベルにわたり定量的な直線状で表される。さらに、この技法は、顕微切断したパラフィン包埋組織試料から得たDNAに信頼して適用可能である。
COBRA(商標)解析用の典型的試薬(例えば、典型的なCOBRA(商標)を用いるキット内に入っているような試薬)としては、特定の座位(例えば、特定遺伝子、マーカー、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理DNA配列、CpGアイランドなど)用のPCRプライマー;制限酵素及び適切な緩衝液;遺伝子ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチド;対照ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチド;オリゴヌクレオチドプローブ用キナーゼ標識キット;ならびに標識ヌクレオチドが挙げられるが、これに限定されない。さらに、重亜硫酸塩変換試薬には、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA回収用試薬またはキット(例えば、沈殿、限外ろ過、親和性カラム);脱スルホン化緩衝液;及びDNA回収構成要素が含まれ得る。
「MethyLight(商標)」(蛍光によるリアルタイムPCR法)(Eads et al.,Cancer Res.59:2302-2306,1999)、Ms-SNuPE(商標)(Methylation-sensitive Single Nucleotide Primer Extension:メチル化感受性単一ヌクレオチドプライマー伸長)反応(Gonzalgo&Jones,Nucleic Acids Res.25:2529-2531,1997)、メチル化特異的PCR(「MSP」;Herman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:9821-9826,1996;米国特許第5,786,146号)、及びメチル化CpGアイランド増幅(「MCA」;Toyota et al.,Cancer Res.59:2307-12,1999)などのアッセイは、単独で使用されるか、またはこれらの方法のうち1つ以上と併用される。
「HeavyMethyl(商標)」法という技法は、重亜硫酸塩処理したDNAのメチル化特異的増幅に基づいてメチル化の違いを評価する定量的方法である。増幅プライマーに挟まれているCpG位置または増幅プライマーが占めるCpG位置を包含するメチル化特異的ブロッキングプローブ(「ブロッカー」)により、核酸試料のメチル化特異的な選択的増幅が可能になる。
用語「HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)」法は、MethyLight(商標)法の変形であるHeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)法を指し、増幅プライマーに挟まれたCpG位置を包含するメチル化特異的ブロッキングプローブをMethyLight(商標)法に組み合わせたものである。HeavyMethyl(商標)法を、メチル化特異的増幅プライマーと併用してもよい。
HeavyMethyl解析用の典型的試薬(例えば、典型的なMethyLight(商標)を用いるキット内に入っているような試薬)としては、特定の座位(例えば、特定遺伝子、マーカー、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理DNA配列、CpGアイランド、または重亜硫酸塩処理したDNA配列もしくはCpGアイランドなど)用のPCRプライマー;ブロッキングオリゴヌクレオチド;最適化されたPCR緩衝液及びデオキシヌクレオチド;ならびにTaqポリメラーゼが挙げられるが、これに限定されない。
MSP(メチル化特異的PCR)では、メチル化特異的制限酵素の使用の如何を問わず、CpGアイランド内の事実上どの群のCpG部位でもメチル化ステータスを評価することが可能である(Herman et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:9821-9826,1996;米国特許第5,786,146号)。簡単に言えば、DNAを亜硫酸水素ナトリウムで修飾し、それにより非メチル化シトシンはウラシルに変換されるがメチル化シトシンはウラシルに変換されず、その後、それらの生成物を、メチル化DNAに特異的なプライマーと非メチル化DNAに特異的なプライマーを用いて増幅させる。MSPは、少量のDNAしか必要とせず、所与のCpGアイランド座位の0.1%のメチル化アレルに対して感受性であり、パラフィン包埋試料から抽出したDNAで実施可能である。MSP解析用の典型的試薬(例えば、典型的なMSPを用いるキット内に入っているような試薬)としては、特定の座位(例えば、特定遺伝子、マーカー、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理DNA配列、CpGアイランドなど)用のメチル化及び非メチル化の両PCRプライマー;最適化されたPCR緩衝液及びデオキシヌクレオチド、ならびに特定のプローブが挙げられるが、これに限定されない。
MethyLight(商標)法は、PCRステップ後のさらなる操作が不要な、蛍光によるリアルタイムPCR(例えば、TaqMan(登録商標))を利用するハイスループットの定量的メチル化アッセイである(Eads et al.,Cancer Res.59:2302-2306,1999)。簡単に言えば、MethyLight(商標)工程は、ゲノムDNAの混合試料から始め、標準的手順に従ってそれを亜硫酸水素ナトリウム反応で変換させて、メチル化依存性配列の違いのある混合プールとする(重亜硫酸塩法による工程で非メチル化シトシン残基がウラシルに変換される)。その後、例えば、既知のCpGジヌクレオチドと重複するPCRプライマーなどとの「バイアスのある」反応で、蛍光によるPCRを実施する。増幅工程レベル及び蛍光検出工程レベルの両レベルで配列識別を行う。
MethyLight(商標)法は、核酸、例えば、ゲノムDNA試料などのメチル化パターンの定量試験として使用されるが、その場合、配列識別はプローブハイブリダイゼーションレベルで行われる。定量的バージョンでは、PCR反応で、特定の推定上のメチル化部位と重複する蛍光プローブの存在下、メチル化特異的な増幅が得られる。投入DNA量についてのバイアスのない対照は、プライマーもプローブもCpGジヌクレオチドを覆っていない反応により得られる。別法として、ゲノムのメチル化の定性試験は、既知のメチル化部位を包含しない対照オリゴヌクレオチドを用いて(例えば、HeavyMethyl(商標)及びMSP技法の蛍光によるバージョン)、または可能性のあるメチル化部位を包含するオリゴヌクレオチドを用いて、バイアスのあるPCRプールをプローブすることにより達成される。
MethyLight(商標)工程は、適切なプローブ(例えば、「TaqMan(登録商標)」プローブ、Lightcycler(登録商標)プローブなど)を用いて使用する。例えば、用途によっては、二本鎖ゲノムDNAを亜硫酸水素ナトリウムで処理し、TaqMan(登録商標)プローブを使用する2セットのPCR反応、例えば、MSPプライマー及び/またはHeavyMethylブロッカーオリゴヌクレオチドならびにTaqMan(登録商標)プローブを使用するPCR反応のうち1セットに供する。TaqMan(登録商標)プローブは、蛍光を発する「レポーター」分子及び「クエンチャー」分子で二重標識されており、PCRサイクルにおいてフォワードプライマーまたはリバースプライマーよりも約10℃高い温度で融解するよう、GC含量が比較的高い領域に特異的であるよう設計されている。こうすることにより、PCRのアニーリング/伸長ステップの間もTaqMan(登録商標)プローブは完全にハイブリダイズされた状態のまま残ることができる。PCRの間、Taqポリメラーゼは酵素により新しい鎖を合成していき、最終的にはアニールしたTaqMan(登録商標)プローブに達する。その後、Taqポリメラーゼの5’から3’方向のエンドヌクレアーゼ活性により、TaqMan(登録商標)プローブが消化を受けて置換され、蛍光レポーター分子が遊離し、クエンチが解除されたそのシグナルをリアルタイム蛍光検出システムを使用して定量検出する。
MethyLight解析用の典型的試薬(例えば、典型的なMethyLight(商標)を用いるキット内に入っているような試薬)としては、特定の座位(例えば、特定遺伝子、マーカー、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理DNA配列、CpGアイランドなど)用のPCRプライマー;TaqMan(登録商標)またはLightcycler(登録商標)プローブ;最適化されたPCR緩衝液及びデオキシヌクレオチド;ならびにTaqポリメラーゼが挙げられるが、これに限定されない。
QM(商標)(定量的メチル化)法はゲノムDNA試料中のメチル化パターンについての代替的定量試験であり、配列識別はプローブハイブリダイゼーションレベルで行われる。この定量的バージョンでは、PCR反応で、特定の推定上のメチル化部位と重複する蛍光プローブの存在下、バイアスのない増幅が得られる。投入DNA量についてのバイアスのない対照は、プライマーもプローブもCpGジヌクレオチドを覆っていない反応により得られる。別法として、ゲノムのメチル化の定性試験は、既知のメチル化部位を包含しない対照オリゴヌクレオチドを用いて(例えば、HeavyMethyl(商標)及びMSP技法の蛍光によるバージョン)、または可能性のあるメチル化部位を包含するオリゴヌクレオチドを用いて、バイアスのあるPCRプールをプローブすることにより達成される。
QM(商標)工程は、適切なプローブ、例えば、「TaqMan(登録商標)」プローブ、Lightcycler(登録商標)プローブを用いて増幅工程で使用することができる。例えば、二本鎖ゲノムDNAを亜硫酸水素ナトリウムで処理し、バイアスのないプライマー及びTaqMan(登録商標)プローブに供する。TaqMan(登録商標)プローブは、蛍光を発する「レポーター」分子及び「クエンチャー」分子で二重標識されており、PCRサイクルにおいてフォワードプライマーまたはリバースプライマーよりも約10℃高い温度で融解するよう、GC含量が比較的高い領域に特異的であるよう設計されている。こうすることにより、PCRのアニーリング/伸長ステップの間もTaqMan(登録商標)プローブは完全にハイブリダイズされた状態のまま残ることができる。PCRの間、Taqポリメラーゼは酵素により新しい鎖を合成していき、最終的にはアニールしたTaqMan(登録商標)プローブに達する。その後、Taqポリメラーゼの5’から3’方向のエンドヌクレアーゼ活性により、TaqMan(登録商標)プローブが消化を受けて置換され、蛍光レポーター分子が遊離し、クエンチが解除されたそのシグナルをリアルタイム蛍光検出システムを使用して定量検出する。QM(商標)解析用の典型的試薬(例えば、典型的なQM(商標)を用いるキット内に入っているような試薬)としては、特定の座位(例えば、特定遺伝子、マーカー、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理DNA配列、CpGアイランドなど)用のPCRプライマー;TaqMan(登録商標)またはLightcycler(登録商標)プローブ;最適化されたPCR緩衝液及びデオキシヌクレオチド;ならびにTaqポリメラーゼが挙げられるが、これに限定されない。
Ms-SNuPE(商標)法は、DNAの重亜硫酸塩処理、それに続く単一ヌクレオチドプライマー伸長法に基づいた、特定のCpG部位でのメチル化の違いを評価する定量的方法である(Gonzalgo&Jones,Nucleic Acids Res.25:2529-2531,1997)。簡単に言えば、ゲノムDNAを亜硫酸水素ナトリウムと反応させて非メチル化シトシンをウラシルに変換させるが、その際、5-メチルシトシンは未変化のまま残る。その後、重亜硫酸塩により変換されたDNAに特異的なPCRプライマーを使用して所望の標的配列の増幅を行い、得られる産物を単離して、関心CpG部位でのメチル化解析用の鋳型として使用する。少量のDNAの解析が可能なので(例えば、顕微切断した病理切片)、CpG部位でのメチル化ステータス決定に制限酵素を使用しなくて済む。
Ms-SNuPE(商標)解析用の典型的試薬(例えば、典型的なMs-SNuPE(商標)を用いるキット内に入っているような試薬)としては、特定の座位(例えば、特定遺伝子、マーカー、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理DNA配列、CpGアイランドなど)用のPCRプライマー;最適化されたPCR緩衝液及びデオキシヌクレオチド;ゲル抽出キット;陽性対照プライマー;特定座位についてのMs-SNuPE(商標)プライマー;反応緩衝液(Ms-SNuPE反応用);及び標識ヌクレオチドが挙げられるが、これに限定されない。さらに、重亜硫酸塩変換試薬には、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA回収用試薬またはキット(例えば、沈殿、限外ろ過、親和性カラム);脱スルホン化緩衝液;及びDNA回収構成要素が含まれ得る。
短縮表示重亜硫酸塩配列決定法(RRBS)では、核酸を重亜硫酸塩処理して非メチル化シトシンをもれなくウラシルに変換させることから始め、その後、制限酵素(例えば、MspIのように、CG配列が含まれた部位を認識する酵素)により消化を行い、断片をアダプターリガンドと結合させてから完全シークエンシングを行う。制限酵素の選択により、断片にCpG密度の高い領域が多くなり、解析中、複数の遺伝子位置に位置し得る冗長配列数が減る。したがって、RRBSは、シークエンシング用の制限酵素による断片のサブセットを選択することにより(例えば、分取ゲル電気泳動を使用したサイズ選択により)核酸試料の複雑度を低減する。全ゲノム重亜硫酸塩シークエンシングとは対照的に、制限酵素による消化で生成されたどの断片にも、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドについてのDNAメチル化情報が含有されている。したがって、RRBSでは、試料は、プロモーター、CpGアイランド、及びゲノムの他の特徴が豊富になり、かつ、これらの領域内の制限酵素切断部位が高頻度で伴うため、1つ以上のゲノム座位のメチル化状態を評価するアッセイが提供される。
RRBSの典型的なプロトコルは、MspIなどの制限酵素により核酸試料を消化させ、突出末端を埋めてA尾部を付加し、アダプターを結合させ、重亜硫酸塩で変換し、PCRを行うというステップを含む。例えば、et al.(2005)“Genome-scale DNA methylation mapping of clinical samples at single-nucleotide resolution” Nat Methods 7:133-6;Meissner et al.(2005)“Reduced representation bisulfite sequencing for compaラットive high-resolution DNA methylation analysis” Nucleic Acids Res.33:5868-77を参照。
実施形態によっては、定量的アレル特異的リアルタイム標的及びシグナル増幅(QuARTS)法を使用してメチル化状態を評価する。各QuARTS法につき3回の反応を順次行い、これには、一次反応における増幅(反応1)及び標的プローブの切断(反応2);ならびに二次反応におけるFRET切断と蛍光シグナル発生(反応3)が含まれる。特定のプライマーを用いて標的核酸を増幅させる場合、フラップ配列を有する特定の検出プローブはアンプリコンに緩く結合する。標的結合部位に特定の侵入オリゴヌクレオチドが存在すると、5’ヌクレアーゼ、例えば、FEN-1エンドヌクレアーゼは検出プローブとフラップ配列の間を切断してフラップ配列を遊離させる。フラップ配列は、対応するFRETカセットの非ヘアピン部分に相補的である。したがって、フラップ配列は、FRETカセット上で侵入オリゴヌクレオチドとして機能し、FRETカセットのフルオロフォアとクエンチャーの間の切断を実行し、これにより蛍光シグナルを発生させる。切断反応により、標的あたり複数のプローブを切断することができ、それによりフラップあたり複数のフルオロフォアを遊離させ、指数級数的シグナル増幅を得ることができる。QuARTSでは、異なる色素のFRETカセットの使用により、単一の反応ウェルで複数標的を検出することができる。例えば、Zou et al.(2010)“Sensitive quantification of methylated markers with a novel methylation specific technology” Clin Chem 56:A199、ならびに米国特許第8,361,720号、同第8,715,937号、同第8,916,344号、及び同第9,212,392号を参照、これらはそれぞれ、あらゆる目的で本明細書中参照として援用される。
実施形態によっては、重亜硫酸塩処理したDNAを精製してから定量する。この精製は、限定するわけではないが、限外ろ過、例えばMicrocon(商標)カラム(Millipore(商標)製)を手段とするような当該技術分野で公知の任意の手段で行ってよい。修正された製造者によるプロトコルに従って精製を行う(例えば、参照によりその全体が組み込まれるPCT/EP2004/011715を参照)。実施形態によっては、重亜硫酸塩処理したDNAを固相支持体、例えば、磁気ビーズなどに結合させ、DNAを固相支持体に結合させたまま脱スルホン化及び洗浄を行う。そのような実施形態の例は、例えば、WO2013/116375及び米国特許第9,315,853号に記載されている。特定の好ましい実施形態では、支持体に結合したDNAは、支持体上での脱スルホン化及び洗浄の直後にそのままメチル化アッセイに使用できる状態にある。実施形態によっては、アッセイを行う前に、脱スルホン化されたDNAを支持体から溶出させる。
実施形態によっては、処理したDNAの断片を、本発明によるプライマーオリゴヌクレオチドセット(例えば、図1を参照)及び増幅用酵素を使用して増幅させる。いくつかのDNAセグメントの増幅を1つの同一反応槽で同時に行うことができる。典型的に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅を行う。
これらのアッセイ技術に好適なDNA単離方法は当該技術分野で公知である。詳細には、実施形態によっては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,000,146号及び同第9,163,278号に記載のような核酸単離を含む。
実施形態によっては、本明細書に記載するマーカーは、糞便試料で実施するQUARTS法で利用される。実施形態によっては、DNA試料を作製する方法、特に、高度に精製された少量の核酸を小容量で(例えば、100マイクロリットル未満、60マイクロリットル未満)含み、DNA試料の検査に使用するアッセイ(例えば、PCR、INVADER法、QuARTS法など)の妨げとなる物質を実質的及び/または事実上含まないDNA試料を作製する方法を提供する。そのようなDNA試料は、患者から採取された試料中に存在する遺伝子、遺伝子変異型(例えば、アレル)、もしくは遺伝子修飾(例えば、メチル化)の、活性、発現、もしくは量を、存在について定性的に検出するかまたは定量的に測定する診断検査で利用される。例えば、一部のがんは、特定の変異アレルまたは特定のメチル化状態の存在と相関しており、そのため、そのような変異アレルまたはメチル化状態の検出及び/または定量化は、がんの診断及び治療において予測的な価値がある。
多くの重要な遺伝子マーカーは、試料中に極めて少量で存在しており、そのようなマーカーが生じるイベントの多くがまれにしか起こらない。結果として、感度の高いPCRなどの検出法でさえ、アッセイの検出閾値を満たすかまたはそれに優先するだけの十分量の少量標的を得るために大量のDNAを必要とする。さらに、たとえ少量でも阻害物質が存在すると、そのような少量の標的の検出を対象とするこれらのアッセイの真度及び精度が損なわれる。したがって、本明細書は、そのようなDNA試料を作製するために必要な容量及び濃度を管理する方法を提供する。
実施形態によっては、試料は、血液、血清、血漿、または唾液を含む。実施形態によっては、対象はヒトである。そのような試料は、当該技術分野で公知の任意の数の手段により得ることができ、当業者には明らかであろう。無細胞または実質的に無細胞の試料は、遠心分離及びろ過を含むがこれに限定されない、当業者に公知の多種多様な技法に試料を供して得ることができる。侵襲的技法を使用せずに試料を得ることが一般には好ましいが、それでもやはり組織ホモジネート、組織切片、及び生検標本などの試料を得ることが好ましい場合がある。技術は、試料を調製して試験用核酸を得るために使用される方法に限定されない。例えば、実施形態によっては、例えば、米国特許第8,808,990号及び第9,169,511号、及びWO2012/155072に詳述されているような遺伝子の直接キャプチャー、または関連方法を使用して、糞便試料または血液または血漿試料からDNAを単離する。
マーカーの解析は、1つの被験試料内でさらなるマーカーを用いて別々または同時に行うことができる。例えば、複数試料を効率的に処理するため、及び高い診断精度及び/または予後診断精度を提供可能にするため、いくつかのマーカーを1回の試験にまとめることができる。さらに、当業者であれば、同一対象の複数試料を検査すること(例えば、連続する時点で)の価値を認識するであろう。そのような連続採取試料の検査により、マーカーのメチル化状態の変化を経時的に特定することができる。メチル化状態の変化、ならびにメチル化状態に変化がないということから、疾患の状態について有用な情報を得ることができ、そのような情報には、イベント発症からのおよその時間の特定、救済可能な組織の存在と量、薬物療法の妥当性、さまざまな治療法の有効性、及び将来的にイベントが起こるリスクを含む対象の転帰の確認が挙げられるが、これに限定されない。
バイオマーカーの解析は、さまざまな物理的形式で行うことができる。例えば、大量の被験試料の処理を容易にするためにマイクロタイタープレートの使用またはオートメーションを利用することができる。別法として、例えば、外来輸送または救急治療室という状況などで、適時の迅速な治療及び診断を容易に行うために単一試料形式を作製することができるであろう。
技術の実施形態はキットの形態で提供されることが意図される。キットは、本明細書に記載の組成物、デバイス、器具類などの実施形態、及びキットの使用説明書を含む。そのような説明書には、試料から分析対象物を調製するため、例えば、試料を採取し、その試料から核酸を調製するための適切な方法が記載されている。キットの個々の構成要素は、適切な容器及び包装材料(例えば、バイアル、箱、ブリスターパック、アンプル、広口瓶、ボトル、チューブなど)に包装され、かかる構成要素は、保存、輸送、及び/またはキット使用者が使用するのに好都合な適切な容器(例えば、箱(複数可))にまとめて包装される。液体構成要素(例えば、緩衝液)は、使用者が再構成するよう凍結乾燥形態で提供されてよいことが理解される。キットには、キットの性能を評価する、確認する、及び/または保証するための対照または標準が含まれ得る。例えば、試料中に含まれる核酸の量を定量するキットには、比較用に既知濃度の同一または別の核酸を含む対照が含まれ得、実施形態によっては、対照核酸に対して特異的な検出試薬(例えば、プライマー)が含まれ得る。キットは臨床現場での使用に適切であり、実施形態によっては、使用者の自宅での使用に適切である。実施形態によっては、キットの構成要素は、試料から核酸溶液を調製するためのシステムの機能性を提供する。実施形態によっては、システムの特定の構成要素は使用者により提供される。
III.用途
実施形態によっては、診断検査により個体の疾患または病態の存在が同定される。実施形態によっては、疾患はがん(例えば、肺癌)である。実施形態によっては、その異常なメチル化が肺癌に関連しているマーカー(例えば、表1に挙げられているマーカーから選択される1種または複数のマーカー、または好ましくはBARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、MAX.chr8.124、RASSF1、ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、SOBP、MAX_chr10.226、ZMIZ1、MAX_chr8.145、MAX_chr10.225、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、MAX_chr19.163、ZNF132、MAX.chr19.372、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、ARHGEF4、CYP26C1、ZNF781、PTGDR、GRIN2D、MATK、BCAT1、PRKCB_28、ST8SIA_22、FLJ45983、DLX4、SHOX2、EMX1、HOXB2、MAX.chr12.526、BCL2L11、OPLAH、PARP15、KLHDC7B、SLC12A8、BHLHE23、CAPN2、FGF14、FLJ34208、B3GALT6、BIN2_Z、DNMT3A、FERMT3、NFIX、S1PR4、SKI、SUCLG2、TBX15、ZDHHC1、ZNF329、IFFO1、及びHOPXの1種または複数)を使用する。実施形態によっては、アッセイはさらに、標準遺伝子(例えば、β-アクチン、ZDHHC1、B3GALT6、例えば、2015年12月11日出願の米国特許出願第14/966,617号及び2016年7月19日出願の米国特許出願第62/364,082号を参照、これらはそれぞれあらゆる目的のため本明細書中参照として援用される)の検出を含む。
実施形態によっては、本技術は、患者(例えば、肺癌患者、初期肺癌患者、または肺癌発症の可能性がある患者)の治療に応用され、その方法は、本明細書で提供する1つ以上のマーカーのメチル化状態を決定すること、及び、先で決定のメチル化状態の結果に基づいて患者に治療を施術することを含む。治療は、医薬化合物の投与、ワクチン投与、手術の実施、患者の画像診断、別の検査の実施であってよい。好ましくは、前記のような使用は、臨床的スクリーニングをする方法、予後を評価する方法、治療結果をモニターする方法、特定の治療的処置に応答する可能性の高い患者を同定する方法、患者または対象を画像診断する方法、及び薬物のスクリーニング及び開発をする方法においてである。
実施形態によっては、本技術は、対象の肺癌を診断する方法に応用される。用語「診断する」及び「診断」は、本明細書中使用される場合、対象が所与の疾患または病態に罹患しているか否か、または将来的に所与の疾患または病態を発症し得るか否かを当業者が推定し、さらに決定することができる方法を指す。当業者はしばしば、そのメチル化状態が病態の存在、重症度、または病態がないことを示す1つ以上の診断指標、例えば、バイオマーカーなどに基づいて診断を行う。
診断と共に、がんの臨床的予後診断は、がんの悪性度及び腫瘍再発の可能性を決定し、最も有効な治療法を計画することに関係する。より正確な予後診断をすることができる、さらにはがん発症の潜在的リスクを評価することができる場合、適切な治療、場合によっては患者にとって重度の低い治療を選択することができる。がんバイオマーカーの評価(例えば、メチル化状態の決定)は、治療が不要であるかまたは限定的な治療ですむ、予後良好及び/またはがん発症のリスクが低い対象と、より強度の高い治療による利益を受けると思われる、がん発症の可能性が高いかまたはがん再発に苦しむ対象とを区別するのに有用である。
したがって、本明細書で使用する場合、「診断を行うこと」または「診断すること」には、がん発症のリスク判定を行うこと、または予後を特定することがさらに含まれ、これにより、本明細書に開示する診断用バイオマーカーの測定に基づいた臨床転帰(薬物療法の有無を問わない)の予測、適切な治療の選択(または治療が有効であるかどうか)、または現在の治療のモニタリング及び可能な治療変更が提供され得る。
さらに、本技術の実施形態の一部において、診断及び/または予後診断を容易に行うためにバイオマーカーの複数の判定を経時的に行うことができる。バイオマーカーの時間的変化を使用して、臨床転帰の予測、肺癌の進行のモニタリング、及び/またはがんに対する適切な治療法の有効性のモニタリングを行うことができる。例えば、そのような実施形態において、有効な治療法の期間中、生体試料において本明細書に開示する1つ以上のバイオマーカー(モニタリングされる場合はおそらく1つ以上のさらなるバイオマーカー(複数可))のメチル化状態に経時的に変化が見られると予測し得るであろう。
本技術はさらに、対象のがんの予防または治療の開始または継続について決定するための方法に応用される。実施形態によっては、方法は、ある期間にわたる対象の一連の生体試料を提供すること;かかる一連の生体試料を分析し、本明細書中開示される少なくとも1種のバイオマーカーのメチル化状態を生体試料の各々で決定すること;及び1種または複数のバイオマーカーのメチル化状態の測定可能な変化を生体試料の各々で比較することを含む。その期間にわたるバイオマーカーのメチル化状態の変化を使用して、がん発症のリスクを予測すること、臨床転帰を予測すること、がんの予防または治療の開始または継続について決定すること、及び現在の治療によりがんが有効に治療されているかどうかを決定することができる。例えば、第1の時点を治療開始前に選択し、第2の時点を治療開始後のある時にして選択することができる。異なる時点から採取した試料の各々でメチル化状態を測定し、定性的及び/または定量的な違いを記述することができる。異なる試料から得たバイオマーカーレベルのメチル化状態の変化と、対象における肺癌発症のリスク、予後、治療有効性判定、及び/またはがんの進行とを相関させることができる。
好適な実施形態において、本発明の方法及び組成物は、疾患を初期、例えば、疾患の症状が出現する前に、治療または診断するためのものである。実施形態によっては、本発明の方法及び組成物は、疾患を臨床病期に治療または診断するためのものである。
上記のとおり、実施形態によっては、1つ以上の診断用または予後用バイオマーカーの複数の判定を行うことができ、マーカーの時間的変化を使用して、診断または予後を決定することができる。例えば、診断用マーカーを初回に決定し、2回目に再び決定することができる。そのような実施形態では、初回から2回目までのマーカーの増加は、がんの特定の型もしくは重症度、または所与の予後の診断につながり得る。同様に、初回から2回目までのマーカーの減少は、がんの特定の型もしくは重症度、または所与の予後を示し得る。さらに、1つ以上のマーカーの変化の程度は、がんの重症度及び将来的な有害事象に関連し得る。当業者は、ある実施形態では、同一バイオマーカーについて複数時点で比較測定を行うことができるが、所与のバイオマーカーを1つの時点で、また第2のバイオマーカーを第2の時点で測定することもでき、これらのマーカーの比較から診断につながる情報を得られることを理解できよう。
本明細書中使用される場合、語句「予後を判定する」は、それによって当業者が対象の病態の経過または転帰を予測することができる方法を指す。用語「予後」は、病態の経過または転帰を100%の精度で予測する能力を指すわけではなく、さらには、所与の経過または転帰が生じやすいことをバイオマーカーのメチル化状態に基づいて予測できることを指すわけではない。そうではなく、当業者は、用語「予後」は、特定の経過または転帰が生じる確率が高いこと、すなわち、所与の病態を示す対象では、かかる病態を示さない個体よりも、ある経過または転帰が生じる可能性が高いことを指すことを理解できよう。例えば、かかる病態を示さない個体では、所与の転帰(例えば、肺癌に罹患)の可能性は非常に低い場合がある。
実施形態によっては、統計解析により、予後指標と有害転帰の素因とが関連付けられる。例えば、実施形態によっては、統計的有意水準で決定した場合に、がんではない患者から得られた正常対照試料のメチル化状態とは異なるメチル化状態は、対象が、対照試料のメチル化状態により類似したレベルの対象よりもがんに罹患する可能性が高いことを示唆し得る。さらに、ベースライン(例えば、「正常」)レベルからのメチル化状態の変化は、対象の予後を反映し得、メチル化状態の変化の程度は、有害事象の重症度に関連し得る。統計的有意性は、2つ以上の集団を比較して信頼区間及び/またはp値を決定することにより決定されることが多い。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDowdy and Wearden,Statistics for Research,John Wiley&Sons,New York,1983を参照。本願主題の例示的な信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%及び99.99%であり、例示的なp値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、及び0.0001である。
他の実施形態では、本明細書に開示する予後用または診断用バイオマーカーのメチル化状態の変化の程度の閾値を設定することができ、生体試料中のバイオマーカーのメチル化状態の変化の程度と、メチル化状態の変化の程度の閾値とを単純に比較する。本明細書で提供するバイオマーカーのメチル化状態の変化の好ましい閾値は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約50%、約75%、約100%、及び約150%である。さらに別の実施形態では、「ノモグラム」を設定することができ、それにより、予後用または診断用指標(バイオマーカー1種または複数種の組み合わせ)のメチル化状態と、所与の転帰に対し関連する素因とが直接関連付けられる。当業者は、そのような2つの数値を関連付けるノモグラムの使用に精通しており、また、集団平均ではなく個々の試料の測定値を参照しているため、この測定値における不確実性はマーカー濃度における不確実性と同じであることを理解している。
実施形態によっては、生体試料から得られた結果と対照試料から得られた結果とを比較することができるよう、生体試料と同時に対照試料を解析する。さらに、検量線が提供され得、それを用いて生体試料のアッセイ結果を比較してよいことが意図される。そのような検量線は、バイオマーカーのメチル化状態をアッセイ単位の関数として、例えば、蛍光標識を使用する場合は蛍光シグナル強度の関数として表す。複数のドナーから採取した試料を使用して、正常組織での1つ以上のバイオマーカーのメチル化状態である対照、ならびに肺癌ドナーから採取した組織での1つ以上のバイオマーカーの「リスク」レベルについて検量線を得ることができる。
マーカーの解析は、1つの被験試料内でさらなるマーカーを用いて別々または同時に行うことができる。例えば、複数試料を効率的に処理するため、及び高い診断精度及び/または予後診断精度を提供可能にするため、いくつかのマーカーを1回の試験にまとめることができる。さらに、当業者であれば、同一対象の複数試料を検査すること(例えば、連続する時点で)の価値を認識するであろう。そのような連続採取試料の検査により、マーカーのメチル化状態の変化を経時的に特定することができる。メチル化状態の変化、ならびにメチル化状態に変化がないということから、疾患の状態について有用な情報を得ることができ、そのような情報には、イベント発症からのおよその時間の特定、救済可能な組織の存在と量、薬物療法の妥当性、さまざまな治療法の有効性、及び将来的にイベントが起こるリスクを含む対象の転帰の確認が挙げられるが、これに限定されない。
バイオマーカーの解析は、さまざまな物理的形式で行うことができる。例えば、大量の被験試料の処理を容易にするためにマイクロタイタープレートの使用またはオートメーションを利用することができる。別法として、例えば、外来輸送または救急治療室という状況などで、適時の迅速な治療及び診断を容易に行うために単一試料形式を作製することができると思われる。
実施形態によっては、対照のメチル化状態と比較したときに試料中の少なくとも1種のバイオマーカーのメチル化状態に測定可能な違いがある場合、対象は肺癌であると診断される。逆に、生体試料においてメチル化状態の変化が同定されない場合は、対象を、肺癌ではない、肺癌のリスクがない、または肺癌のリスクが低いとして同定することができる。この関連で、肺癌であるかまたはそのリスクがある対象と、肺癌であるまたはそのリスクが低いもしくは実質的にない対象とを鑑別することができる。肺癌を発症するリスクのある対象には、より集中的及び/または定期的スクリーニングスケジュールを実施することができる。一方、リスクが低い対象及び実質的にリスクのない対象は、以降のスクリーニング、例えば、本願技術に従って行われるスクリーニングなどで、それらの対象に肺癌のリスクが認められることが示されるまでスクリーニング法を受けなくて済む場合がある。
上記のとおり、本願技術の方法の実施形態に応じて、1種または複数のバイオマーカーのメチル化状態の変化の検出は、定性的特定の場合もあれば定量的特定の場合もあり得る。したがって、肺癌である、または肺癌を発症するリスクがあるとして対象を診断する工程では、特定の閾値測定が行われたことを示し、例えば、生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのメチル化状態は所定の対照メチル化状態とは異なる。方法の実施形態の一部において、対照メチル化状態は、バイオマーカーの任意の検出可能なメチル化状態である。対照試料と生体試料が同時に試験される方法の他の実施形態において、所定のメチル化状態は対照試料のメチル化状態である。方法の他の実施形態では、所定のメチル化状態は、検量線に基づいている、及び/または検量線により特定される。方法の他の実施形態において、所定のメチル化状態は、特定の状態または状態の特定範囲である。したがって、所定のメチル化状態は、実施される方法の実施形態、及び所望の特異性などに部分的に基づいて、当業者には明らかとなる許容限度内で選ぶことができる。
実施形態によっては、肺癌であるまたは肺癌が疑われる対象から得られた試料を、異なる種類の肺癌、例えば、非小細胞癌(腺癌、大細胞癌、扁平上皮癌)と小細胞癌を鑑別するデータを提供する、1種または複数のメチル化マーカー及び適切なアッセイ方法を用いてスクリーニングする。例えば、マーカー参照番号AC27(図2;PLEC)、これは腺癌及び小細胞癌では高度にメチル化される(正常バフィーコート中の当該座位での平均メチル化と比較した平均メチル化として示した場合)が、大細胞癌または扁平上皮癌ではそうならない;マーカー参照番号AC23(図2;ITPRIPL1)、これは他のどの種類の試料よりも腺癌で高度にメチル化される;マーカー参照番号LC2(図3;DOCK2))、これは他のどの種類の試料よりも大細胞癌で高度にメチル化される;マーカー参照番号SC221(図4;ST8SIA4)、これは他のどの種類の試料よりも小細胞癌で高度にメチル化される;ならびにマーカー参照番号SQ36(図5、DOK1)、これは他のどの種類の試料よりも扁平上皮癌で高度にメチル化される、を参照。
本明細書中記載されるとおり選択されたメチル化マーカーは、対象から得られた試料の分析により、肺腫瘍の存在が明らかになるように、同じく肺癌の種類間で、例えば、小細胞癌と非小細胞癌を識別するのに十分な情報が得られるように、単独でも組み合わせても(例えば、パネルで)使用することができる。好適な実施形態において、マーカーまたはマーカーの組み合わせは、さらに、腺癌、大細胞癌、及び扁平上皮癌を識別する、及び/または未特定または混合病態の細胞癌を特性決定するのに十分なデータを提供する。他の実施形態において、メチル化マーカーまたはそれらの組み合わせは、データを差別化することなく、存在する肺癌の種類に関わらず陽性結果(すなわち、肺腫瘍の存在を示す結果)を提供するように選択される。
ここ数年、転移性腫瘍細胞を表す血中循環上皮細胞は多くのがん患者の血液で検出され得ることが明らかになってきている。希少な細胞の分子プロファイリングは生物学的研究及び臨床研究において重要である。用途は、疾患予後診断及び個別化医療のための、がん患者末梢血中循環上皮細胞(CEpC)の特性解析から利用できる(例えば、Cristofanilli M,et al.(2004)N Engl J Med 351:781-791;Hayes DF,et al.(2006)Clin Cancer Res 12:4218-4224;Budd GT,et al.,(2006)Clin Cancer Res 12:6403-6409;Moreno JG,et al.(2005)Urology 65:713-718;Pantel et al.,(2008)Nat Rev 8:329-340;及びCohen SJ,et al.(2008)J Clin Oncol 26:3213-3221を参照)。したがって、本開示の実施形態は、血漿または全血中のメチル化マーカーの存在を確認することによって対象での転移がんの存在を検出するための組成物及び方法を提供する。
実施例1
試料調製方法
DNA単離方法及びQUARTS法
以下に、技術の実施形態に従って使用され得るような、分析前に行う例示的なDNA単離方法、及び例示的なQUARTS法を提供する。本実施例では、血液及びさまざまな組織試料から得たDNAへのQuARTS法の応用を記載するが、他の実施例に示すように、本技術は他の核酸試料にも容易に適用される。
細胞及び血漿からのDNA単離
細胞株の場合、例えば、「Maxwell(登録商標)RSC ccfDNA Plasma Kit(Promega Corp.,Madison,WI)を使用して細胞条件培地からゲノムDNAを単離してよい。キットのプロトコルに従い、1mLの細胞条件培地(CCM)を血漿の代わりに使用し、キットの手順に従って処理する。溶出容量は100μLであり、一般に、そのうち70μLを重亜硫酸塩変換に使用する。
血漿試料4mLからDNAを単離する手順の例は、以下の通りである:
・血漿試料4mLに、プロテイナーゼK(20mg/mL)300μLを加え、混合する。
・血漿プロテイナーゼK混合物に、1μg/μLのフィッシュDNAを3μL加える。
・血漿に、血漿溶解緩衝液2mLを加える。
血漿溶解緩衝液は、以下のとおり:
-4.3Mのグアニジンチオシアン酸塩
-10%のIGEPAL CA-630(オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、分岐)
(IGEPAL CA-630、5.3gを、4.8Mのグアニジンチオシアン酸塩45mLと混合する)
・混合物を、500rpmで振盪攪拌しながら、55℃で1時間インキュベートする。
・以下を加えて混合する:
o血漿溶解緩衝液3mL
oシリカ結合磁気ビーズ200μL(16μgのビーズ/μL)
o100%イソプロパノール2mLを加える
(任意選択で、それぞれ加えるたびに混合する、及び/または任意選択で、溶解緩衝液とイソプロパノールを予め混合してから、混合物に加える)
・500rpmで振盪攪拌しながら、30℃で30分間インキュベートする。
・試験管(複数可)を磁石上に置き、ビーズを集合させる。上清を吸引して廃棄する。
・結合したビーズの入った容器にGuHCl-EtOH、750μLを加え、混合する。
GuHCl-EtOH洗浄緩衝液は、以下のとおり:
-3MのGuHCl(グアニジン塩酸塩)
-57%のEtOH(エチルアルコール)
・400rpmで1分間、振盪攪拌する。
・試料を、深型ウェルプレートまたは2mLマイクロ遠心管に移す。
・試験管を磁石上に置き、10分間ビーズを集合させる。上清を吸引して廃棄する。
・ビーズに洗浄緩衝液1000μL(10mMのトリスHCl、80%のEtOH)を加え、振盪攪拌しながら、30℃で3分間インキュベートする。
・試験管を磁石上に置き、ビーズを集合させる。上清を吸引して廃棄する。
・ビーズに洗浄緩衝液500μLを加え、振盪攪拌しながら、30℃で3分間インキュベートする。
・試験管を磁石上に置き、ビーズを集合させる。上清を吸引して廃棄する。
・洗浄緩衝液250μLを加え、振盪攪拌しながら、30℃で3分間インキュベートする。
・試験管を磁石上に置き、ビーズを集合させる。残存する緩衝液を吸引して廃棄する。
・洗浄緩衝液250μLを加え、振盪攪拌しながら、30℃で3分間インキュベートする。
・試験管を磁石上に置き、ビーズを集合させる。残存する緩衝液を吸引して廃棄する。
・ビーズを、振盪攪拌しながら、70℃で15分間、乾燥させる。
・ビーズに溶出緩衝液125μL(10mMのトリスHCl、pH8.0、0.1mMのEDTA)を加え、振盪攪拌しながら、65℃で25分間インキュベートする。
・試験管を磁石上に置き、10分間ビーズを集合させる。
・DNAを含有する上清を吸引して、新たな容器または試験管に移す。
重亜硫酸塩変換
I.亜硫酸水素アンモニウムを用いたDNAのスルホン化
1.各試験管中、DNA64μL、1NのNaOH7μL、ならびに0.2mg/mLのBSA及び0.25mg/mLのフィッシュDNAを含有するキャリア溶液9μLを混合する。
2.42℃で20分間インキュベートする。
3.45%亜硫酸水素アンモニウム120μLを加え、66℃で75分間インキュベートする。
4.4℃で10分間インキュベートする。
II.磁気ビーズを用いた脱スルホン化
材料
・磁気ビーズ(Promega MagneSil常磁性粒子、Promegaカタログ番号AS1050、16μg/μL)。
・結合緩衝液:6.5~7Mのグアニジン塩酸塩。
・変換後洗浄緩衝液:80%エタノールに10mMのトリスHCl(pH8.0)を添加。
・脱スルホン化緩衝液:70%イソプロピルアルコール、0.1NのNaOHを、脱スルホン化緩衝液に選択した。
試料を、任意の適切な装置または技法を用いて混合し、基本的に以下に記載のとおりの温度及び混合速度で、試料を混合またはインキュベートする。例えば、試料の混合またはインキュベーションに、Thermomixer(Eppendorf)を使用することができる。脱スルホン化の例は、以下のとおりである:
1.ボトルを1分間ボルテックスすることにより、貯蔵ビーズを十分に混合する。
2.ビーズを分量50μLで2.0mL試験管(例えば、USA Scientific製)に入れる。
3.ビーズに結合緩衝液750μLを加える。
4.工程1のスルホン化DNAを150μL加える。
5.混合する(例えば、1000RPM、30℃で30分間)。
6.試験管を磁気スタンドに置き、5分間放置する。試験管をスタンドに乗せたまま、上清を取り出し廃棄する。
7.洗浄緩衝液1,000μLを加える。混合する(例えば、1000RPM、30℃で3分間)。
8.試験管を磁気スタンドに置き、5分間放置する。試験管をスタンドに乗せたまま、上清を取り出し廃棄する。
9.洗浄緩衝液250μLを加える。混合する(例えば、1000RPM、30℃で3分間)。
10.試験管を磁気棚に置き、1分後に上清を取り出し廃棄する。
11.脱スルホン化緩衝液200μLを加える。混合する(例えば、1000RPM、30℃で5分間)。
12.試験管を磁気棚に置き、1分後に上清を取り出し廃棄する。
13.洗浄緩衝液250μLを加える。混合する(例えば、1000RPM、30℃で3分間)。
14.試験管を磁気棚に置き、1分後に上清を取り出し廃棄する。
15.洗浄緩衝液250μLを加える。混合する(例えば、1000RPM、30℃で3分間)。
16.試験管を磁気棚に置き、1分後に上清を取り出し廃棄する。
17.全ての試験管を、蓋を開けたまま、30℃で15分間インキュベートする。
18.試験管を磁気棚から取り出し、溶出緩衝液70μLを直接ビーズに加える。
19.ビーズを溶出緩衝剤とともにインキュベートする(例えば、1000RPM、40℃で45分間)。
20.試験管を磁気棚に約1分間置き、上清を取り出して保存する。
変換されたDNAを、次いで、以下に記載のとおり、検出アッセイ、例えば、増幅前アッセイ及び/またはフラップエンドヌクレアーゼアッセイに使用する。
その各々があらゆる目的のために参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、2015年10月30日に出願された米国特許出願第62/249,097号;2016年10月26日に出願された第15/335,096号、及び2016年10月26日に出願されたPCT/US16/58875も参照。
QuARTSアッセイ
QuARTS技術は、ポリメラーゼを利用した標的DNA増幅プロセスと侵入切断を利用したシグナル増幅プロセスを組み合わせたものである。この技術は、例えば、米国特許第8,361,720号、同第8,715,937号、同第8,916,344号、及び同第9,212,392号、ならびに米国特許出願第15/841,006号に記載されており、これらはそれぞれが、本明細書中参照として援用される。QuARTS反応により生じた蛍光シグナルは、リアルタイムPCRと類似の様式でモニタリングされ、これらのシグナルにより、試料中の標的核酸の定量が可能になる。
QuARTS反応の例は、典型的には、約400~600nmol/L(例えば、500nmol/L)の各プライマー及び検出プローブ、約100nmol/Lの侵入オリゴヌクレオチド、約600~700nmol/Lの各FRETカセット(FAM、例えば、Hologic,Inc.が市販するようなもの;HEX、例えば、BioSearch Technologiesが市販するようなもの;及びQuasar 670、例えば、BioSearch Technologiesが市販するようなもの)、6.675ng/μLのFEN-1エンドヌクレアーゼ(例えば、クリベース(登録商標)2.0、Hologic,Inc.)、反応体積30μL中1単位のTaq DNAポリメラーゼ(例えば、GoTaq(登録商標)DNAポリメラーゼ、Promega Corp., Madison,WI)、10mmol/Lの3-(n-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、7.5mmol/LのMgCl2、ならびに250μmol/Lの各dNTPを含む。QuARTSサイクル反応条件の例は、以下の表に示すとおりである。用途によっては、定性サイクル(Cq)の分析により、試料中の標的DNA鎖の初期数(例えば、コピー数)の測定ができる。
大容量重亜硫酸塩変換DNAの多重標的指向化前増幅
インプット試料由来の重亜硫酸塩処理したDNAの大部分または全てを前増幅するため、大容量の処理DNAを、単一、大容量多重増幅反応に用いることができる。例えば、上記のとおり、Maxwell Promega血液キット#AS1400を用いて、例えば、DNAを、細胞株(例えば、DFCI032細胞株(腺癌);H1755細胞株(神経内分泌))から抽出する。このDNAを、例えば、上記のとおり、重亜硫酸塩変換する。
前増幅は、例えば、7.5mMのMgCl2、10mMのMOPS、0.3mMのトリス-HCl(pH8.0)、0.8mMのKCl、0.1μg/μLのBSA、0.0001%のTween-20、0.0001%のIGEPAL CA-630、250μMの各dNTP、オリゴヌクレオチドプライマー、(例えば、12の標的の場合、12のプライマー対/24のプライマーを、等モル量で(例えば、各プライマー200~500nMの範囲が挙げられるが、これに限定されない)、または個別のプライマー濃度を調節して異なる標的範囲の増幅効率の均衡を図る)、0.025単位/μLのHotStart GoTaq濃縮液、及び20~50体積%の重亜硫酸塩処理した標的DNA(例えば、10μLの標的DNAを50μLの反応混合物に加える、または、50μLの標的DNAを125μLの反応混合物に加える)を含有する反応混合物で行われる。変温サイクル回数及び温度は、反応体積及び増幅容器に適切であるように選択される。例えば、反応物は、以下のとおりのサイクルにかけられる。
変温サイクル後、前増幅反応物の分注量(例えば、10μL)を、フィッシュDNAありまたはなしで、10mMのトリス、0.1mMのEDTA中500μLに希釈する。希釈した前増幅DNAの分注量(例えば、10μL)を、例えば、上記のとおり、QuARTS PCR-フラップ法で使用する。その各々があらゆる目的のために参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、2015年10月30日に出願された米国特許出願第62/249,097号;2016年10月26日に出願された第15/335,096号、及び2016年10月26日に出願されたPCT/US16/58875も参照。
実施例2
メチル化マーカーの選択及び試験
短縮表示重亜硫酸塩配列決定法(RRBS)のデータは、肺腺癌16例、肺大細胞癌11例、小細胞肺癌14例、扁平細胞肺癌24例、及び非癌肺18例の組織、ならびに健常者26例から得られたバフィーコート試料で得たものである。
重亜硫酸塩変換型ヒトゲノム配列に対してアラインメントを行った後、各CpGアイランドにおける平均的メチル化を各試料種ごとに(すなわち、組織またはバフィーコート)算出し、マーカー領域を以下の基準に基づいて選択した。
・50塩基対またはそれより長くなるよう領域を選択した。
・QuARTSフラップ法の設計では、a)プローブ領域、b)フォワードプライマー結合領域、及びc)リバースプライマー結合領域の各々において、メチル化CpGを最低でも1つ有するよう領域を選択した。フォワードプライマー及びリバースプライマーの場合、メチル化CpGはプライマーの3’末端に近接するが、3’末端ヌクレオチドにはないことが好ましい。例示的なフラップエンドヌクレアーゼ法のオリゴヌクレオチドを図1に示す。
・好ましくは、関心領域内の任意のCpGにおけるバフィーコートのメチル化は0.5%未満である。
・好ましくは、関心領域内のがん組織のメチル化は10%超である。
・組織分析用に設計されたアッセイの場合、関心領域内の正常組織のメチル化は、好ましくは0.5%未満である。
各種肺癌組織についてのRRBSデータを、図2~図5に示す。上記の基準に基づき、以下の表に示すマーカーを選択し、図1に示すように、それらについてのQuARTSフラップ法を設計した。
選択したマーカーをバフィーコートとの交差反応性について解析する。
1)バフィーコートスクリーニング
上記リストのマーカーを、健常者の血液10mLから得られたバフィーコートから抽出されたDNAでスクリーニングした。DNAは、Promega Maxwell RSCシステム(Promega Corp., Fitchburg, WI)を用いて抽出し、Zymo EZ DNAメチル化(商標)キット(Zymo Research, Irvine, CA)を用いて変換した。重亜硫酸塩変換β-アクチンDNAを用いる二重化反応(「BTACT」)を利用し、及び標的ゲノムDNAを約40,000ストランド用いて、試料を、上記のとおりQuARTSフラップエンドヌクレアーゼアッセイで検査して、交差反応性について試験した。そのように行ったところ、3種のマーカーのアッセイが、顕著な交差反応性を示した:
2)組織スクリーニング
以下の表2に示すとおり、様々な商業及び非商業の供給元(Asuragen、BioServe、ConversantBio、Cureline、Mayo Clinic、M D Anderson、及びPrecisionMed)から264例の組織試料を得た。
組織切片は、病理医により検査された。病理医は、顕微解剖を指示するために組織学的に区別される病変を丸で囲んだ。Promega Maxwell RSCシステムを用いて、全核酸抽出を行なった。ホルマリン固定し、パラフィン包埋した(FFPE)スライドを掻き出し、Maxwell(登録商標)RSC DNA FFPEキット(#AS1450)を用いて、取扱説明書に従って、DNAを抽出したが、RNA分解酵素処理工程は省略した。FFPEカールにも同じ手順を用いた。凍結パンチ生検試料の場合、手順を修飾して、RSC DNA FFPEキットの溶解緩衝液をMaxwell(登録商標)RSC Blood DNAキット(#AS1400)とともに用いて、RNA分解酵素工程を省略した。試料を10mMのトリス、0.1mMのEDTA(pH8.5)に溶出させ、10uLを用いて、6回の多重PCR反応をセットアップした。
以下の多重PCRプライマー混合物を、10倍濃度で作成した(10×=2μMの各プライマー):
・多重PCR反応物1は、以下のマーカーそれぞれからなるものであった:BARX1、LOC100129726、SPOCK2、TSC22D4、PARP15、MAX.chr8.145105646-145105653、ST8SIA1_22、ZDHHC1、BIN2_Z、SKI、DNMT3A、BCL2L11、RASSF1、FERMT3、及びBTACT。
・多重PCR反応物2は、以下のマーカーそれぞれからなるものであった:ZNF671、ST8SIA1、NKX2-6、SLC12A8、FAM59B、DIDO1、MAX_Chr1.110、AGRN、PRKCB_28、SOBP、及びBTACT。
・多重PCR反応物3は、以下のマーカーそれぞれからなるものであった:MAX.chr10.22624430-22624544、ZMIZ1、MAX.chr8.145105646-145105653、MAX.chr10.22541891-22541946、PRDM14、ANGPT1、MAX.chr16.50875223-50875241、PTGDR_9、ANKRD13B、DOCK2、及びBTACT。
・多重PCR反応物4は、以下のマーカーそれぞれからなるものであった:MAX.chr19.16394489-16394575、HOXB2、ZNF132、MAX.chr19.37288426-37288480、MAX.chr12.52652268-52652362、FLJ45983、HOXA9、TRH、SP9、DMRTA2、及びBTACT。
・多重PCR反応物5は、以下のマーカーそれぞれからなるものであった:EMX1、ARHGEF4、OPLAH、CYP26C1、ZNF781、DLX4、PTGDR、KLHDC7B、GRIN2D、chr17_737、及びBTACT。
・多重PCR反応物6は、以下のマーカーそれぞれからなるものであった:TBX15、MATK、SHOX2、BCAT1、SUCLG2、BIN2、PRKAR1B、SHROOM1、S1PR4、NFIX、及びBTACT。
各多重PCR反応物を、最終濃度が0.2μMの反応緩衝液、0.2μMの各プライマー、0.05μMのHotstart Go Taq(5U/μL)となるようにセットアップして、マスター混合液40μLを得て、これを、最終反応体積が50μLとなるように、DNAテンプレート10μLと混合した。
多重PCRの温度プロファイルには、95℃で5分間のプレインキュベーション段階、95℃で30秒間、64℃で30秒間、72℃で30秒間の増幅サイクルを10回、及び4℃の冷却段階、次のプロセシングまでこの温度に維持する、が含まれていた。多重PCRが完了すると、PCR産物を、20ng/μLのフィッシュDNA(例えば、水または緩衝液中、米国特許第9,212,392号を参照、これは本明細書中参照として援用される)の希釈剤を用いて、1:10に希釈し、希釈増幅試料のうち10μLを、各QuARTSアッセイ反応に使用した。
各QuARTSアッセイは、2種のメチル化マーカー及び参照遺伝子としてBTACTからなる三重形式で設計された。
・多重PCR産物1から、以下の7通りの三重QuARTSアッセイを行なった:(1)BARX1、LOC100129726、BTACT;(2)SPOCK2、TSC22D4、BTACT;(3)PARP15、MAX.chr8.145105646-145105653、BTACT;(4)ST8SIA1_22、ZDHHC1、BTACT;(5)BIN2_Z、SKI、BTACT;(6)DNMT3A、BCL2L11、BTACT;(7)RASSF1、FERMT3、及びBTACT。
・多重PCR産物2から、以下の5通りの三重QuARTSアッセイを行なった:(1)ZNF671、ST8SIA1、BTACT;(2)NKX2-6、SLC12A8、BTACT;(3)FAM59B、DIDO1、BTACT;(4)MAX_Chr1110、AGRN、BTACT;(5)PRKCB_28、SOBP、及びBTACT。
・多重PCR産物3から、以下の5通りの三重QuARTSアッセイを行なった:(1)MAX.chr.1022624430-22624544、ZMIZ1、BTACT;(2)MAX.chr.8145105646-145105653、MAX.chr.1022541891-22541946、BTACT;(3)PRDM14、ANGPT1、BTACT;(4)MAX.chr.1650875223-50875241、PTGDR_9、BTACT;(5)ANKRD13B、DOCK2、及びBTACT。・多重PCR産物4から、以下の5通りの三重QuARTSアッセイを行なった:(1)MAX.chr.1916394489-16394575、HOXB2、BTACT;(2)ZNF132、MAX.chr19.37288426-37288480、BTACT;(3)MAX.chr.1252652268-52652362、FLJ45983、BTACT;(4)HOXA9、TRH、BTACT;(5)SP9、DMRTA2、及びBTACT。
・多重PCR産物5から、以下の5通りの三重QuARTSアッセイを行なった:(1)EMX1、ARHGEF4、BTACT;(2)OPLAH、CYP26C1、BTACT;(3)ZNF781、DLX4、BTACT;(4)PTGDR、KLHDC7B、BTACT;(5)GRIN2D、chr17_737、及びBTACT。
・多重PCR産物6から、以下の5通りの三重QuARTSアッセイを行なった:(1)TBX15、MATK、BTACT;(2)SHOX2、BCAT1、BTACT;(3)SUCLG2、BIN2、BTACT;(4)PRKAR1B、SHROOM1、BTACT;(5)S1PR4、NFIX、及びBTACT。
3)データ解析:
組織データ解析には、RRBS基準に基づき、正常組織中でメチル化<0.5%でありがん組織中でメチル化>10%であることから選択されたマーカーが含まれていた。この結果、さらなる解析用に51種のマーカーが残った。
マーカーの感度を特定するため、以下を行なった:
1.特定マーカーで得られたストランド値をACTB(β-アクチン)のストランド値で除することにより、各マーカーのメチル化%を計算した。
2.各マーカーの最大メチル化%を、正常組織で特定した。これを、特異性100%と定義する。
3.各マーカーのがん組織陽性度を、そのマーカーが正常組織で示す最大メチル化%より高いメチル化を示したがん組織数として特定した。
51種のマーカーの感度を以下に示す。
マーカーを組み合わせて使用することで、特異性及び感度を高めることができる。例えば、8種のマーカー、SLC12A8、KLHDC7B、PARP15、OPLAH、BCL2L11、MAX.chr12.526、HOXB2、及びEMX1を組み合わせた結果、検査したがん組織の全てに対して感度は98.5%(134/136例のがん)であり、特異性は100%であった。
実施形態によっては、特定種類の肺癌組織、例えば、腺癌、大細胞癌、扁平上皮癌、または小細胞癌に関して高感度かつ特異的に検出するために、例えば、特定のがん種またはがん種の組み合わせに対して高感度及び特異性を示すマーカーを使用することにより、マーカーを選択する。
組織でアッセイしたこのメチル化DNAマーカーパネルは、全ての種類の肺癌について極めて高い識別を達成し、それでいて正常肺組織及び良性結節では陰性のままである。このマーカーパネルでのアッセイは、血液または体液を使用した検査にも応用することができ、例えば、肺癌スクリーニング及び良性結節から悪性結節を識別するのに利用できる。
実施例3
血漿試料での30種マーカーセットの試験
295人の対象(肺癌64例、正常対照231例)から得られた血漿試料由来のDNAを検査するのに使用するため、実施例2のマーカーリストから、30種のマーカーを選択した。各対象の血漿2mLからDNAを抽出し、実施例1に記載のとおり重亜硫酸塩で処理した。実施例1に記載のとおり、重亜硫酸塩変換DNAの分注量を、2回の多重QuARTSアッセイに使用した。解析用に選択したマーカーは、以下のとおり:
1.BARX1
2.BCL2L11
3.BIN2_Z
4.CYP26C1
5.DLX4
6.DMRTA2
7.DNMT3A
8.EMX1
9.FERMT3
10.FLJ45983
11.HOXA9
12.KLHDC7B
13.MAX.chr10.22624430-22624544
14.MAX.chr12.52652268-52652362
15.MAX.chr8.124173236-124173370
16.MAX.chr8.145105646-145105653
17.NFIX
18.OPLAH
19.PARP15
20.PRKCB_28
21.S1PR4
22.SHOX2
23.SKI
24.SLC12A8
25.SOBP
26.SP9
27.SUCLG2
28.TBX15
29.ZDHHC1
30.ZNF781
標的配列、重亜硫酸塩変換した標的配列、及びこれらのマーカー用のアッセイオリゴヌクレオチドは、図1に示すとおりであった。各変換標的に使用されるプライマー及びフラップオリゴヌクレオチド(プローブ)は、以下のとおりであった:
*B3GALT6マーカーは、がんメチル化マーカーとしても参照標的としても使用される。2016年7月19日出願の米国特許出願第62/364,082号を参照、これはそのまま全体が本明細書中参照として援用される。
**ゼブラフィッシュ参照DNAについては、2016年7月19日出願の米国特許出願第62/364,049号を参照、これはそのまま全体が本明細書中参照として援用される。
上記のとおり血漿から調製されたDNAを、実施例1に記載のとおり、2回の多重化前増幅反応で増幅させた。多重化前増幅反応には、以下のマーカー組み合わせを増幅させるための試薬が含まれていた。
前増幅後、前増幅した混合物の分注量を、10mMのトリスHCl、0.1mMのEDTA中に1:10で希釈し、次いで、実施例1に記載されるとおり、三重QuARTS PCRフラップアッセイで評価した。グループ1の三重反応は多重混合物1を前増幅した材料を使用し、グループ2の三重反応は多重混合物2を前増幅した材料を使用した。三重の組み合わせは、以下のとおりであった:
グループ1:
ZF_RASSF1-B3GALT6-BTACT(ZBA三重)
BARX1-SLC12A8-BTACT(BSA2三重)
PARP15-MAX.chr8.124-BTACT(PMA三重)
SHOX2-ZDHHC1-BTACT(SZA2三重)
BIN2_Z-SKI-BTACT(BSA三重)
DNMT3A-BCL2L11-BTACT(DBA三重)
TBX15-FERMT3-BTACT(TFA三重)
PRKCB_28-SOBP-BTACT(PSA2三重)
グループ2:
ZF_RASSF1-B3GALT6-BTACT(ZBA三重)
MAX.chr8.145-MAX_chr10.226-BTACT(MMA2三重)
MAX.chr12.526-FLJ45983-BTACT(MFA三重)
HOXA9-EMX1-BTACT(HEA三重)
SP9-DMRTA2-BTACT(SDA三重)
OPLAH-CYP26C1-BTACT(OCA三重)
ZNF781-DLX4-BTACT(ZDA三重)
SUCLG2-KLHDC7B-BTACT(SKA三重)
S1PR4-NFIX-BTACT(SNA三重)
各三重の頭字語は、各遺伝子名の最初の文字を使用している(例えば、組み合わせがHOXA9-EMX1-BTACT=「HEA」)。ある頭字語が、異なるマーカー組み合わせについて、または別の実験から繰り返される場合、その頭字語を有する第二のグループには、番号2が付く。上記の三重の各メンバーについてFRETカセットで使用される色素レポーターは、それぞれ、FAM-HEX-Quasar670である。
標的DNA配列を含むプラスミドを用いて、定量反応を較正した。各キャリブレータプラスミドについて、10倍系列希釈のキャリブレータ希釈原液を調製した。系列希釈は、フィッシュDNA希釈剤(20ng/mLのフィッシュDNAを含む10mMのトリスHCl、0.1mMのEDTA)中、1μLあたり標的ストランドを10~106コピー含んでいた。三重反応について、三重標的のそれぞれを含むプラスミドを有する原液混合物を用いた。各プラスミドを1μLあたり1×105コピー含む混合物を調製し、これを用いて1:10の希釈系列を作成した。Cp対Log(プラスミドのストランド数)をプロットすることにより作成した標準曲線を用いて、未知試料中のストランドを逆計算した。
受信者操作特性(ROC)曲線解析を用いて、各マーカーについて曲線下面積(AUC)を計算した。計算したものを以下の表に示すが、これは上位95%包含区間順に並べ替えられている。
マーカーは、がん患者の試料と健常者の試料を識別するのに、非常に良い働きを示した(上記、ROC表を参照)。マーカーを組み合わせて使用すると、感度が改善された。例えば、データのロジスティック当てはめ及び6種マーカー当てはめを用いると、ROC曲線解析は、AUC=0.973を示す。
6種マーカー当てはめを用いると、92.2%という感度が、特異性93%で得られる。まとめることで最適な当てはめ結果をもたらす6種のマーカーの群は、SHOX2、SOBP、ZNF781、BTACT、CYP26C1、及びDLX4であった(図7を参照)。SHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKIを使用することで、AUCが0.97982であるROC曲線が得られた(図8を参照)。
実施例4
第二の独立試験群の保存血漿を、盲検様式で検査した。各群の肺癌例及び対照(外見上健康な喫煙者)は、年齢及び性別のバランスがとれていた(23症例、対照80例)。実施例1に記載のとおり多重PCR及び続いてQuARTS(定量的アレル特異的リアルタイム標的及びシグナル増幅)アッセイを使用して、血漿から抽出したDNAでメチル化DNAマーカーの重亜硫酸塩処理後定量を行なった。実施例3で上位だった個々のメチル化マーカーを、この実験で試験して、肺癌検出に最適なマーカーパネルを同定した(2ml/患者)。
結果:13種の高成績メチル化DNAマーカーを試験した(CYP26C1、SOBP、SUCLG2、SHOX2、ZDHHC1、NFIX、FLJ45983、HOXA9、B3GALT6、ZNF781、SP9、BARX1、及びEMX1)。データは、2つの方法を用いて解析した:ロジスティック回帰当てはめ及び回帰分割ツリーアプローチである。ロジスティック当てはめモデルにより、AUCが0.96であり、総合感度が91%及び特異性90%である4種マーカーパネル(ZNF781、BARX1、EMX1、及びSOBP)が特定された。回帰分割ツリーアプローチを用いたデータ解析により、AUCが0.96であり、総合感度が96%及び特異性94%である4種のマーカー(ZNF781、BARX1、EMX1、及びHOXA9)が特定された。どちらのアプローチでも、B3GALT6は、総DNAインプットの標準化マーカーとして使用した。血漿でアッセイしたこれらのメチル化DNAマーカーパネルは、全ての種類の肺癌で高い感度及び特異性を達成した。
実施例5
肺癌の鑑別
上記の方法を用いて、特定種類の肺癌に関連したメチル化の検出に高い成績を示すメチル化マーカーを選択する。
肺癌であることが疑われる対象について、例えば血漿試料などの試料を採取し、例えば、実施例1に記載のとおりに、試料からDNAを単離して重亜硫酸塩試薬で処理する。実施例1に記載のとおりに多重PCR及び続いてQuARTSフラップエンドヌクレアーゼアッセイを用いて、変換されたDNAを解析する。これらは、異なるメチル化マーカーまたはメチル化マーカーの組み合わせに対して異なる識別可能なシグナルをもたらすように構成されており、それにより、対象において1種または複数の異なる種類の肺癌(例えば、腺癌、大細胞癌、扁平上皮癌、及び/または小細胞癌)の存在を具体的に同定するように構成されたデータセットをもたらす。好適な実施形態において、肺癌の存在を示すアッセイ結果の有無を示す報告が作成され、このアッセイ結果は、もし存在する場合には、さらに、1種または複数の同定された種類の肺癌の存在を示す。実施形態によっては、一定期間または治療過程にわたり対象から試料を採取し、アッセイ結果を比較して、がん病態の変化をモニタリングする。
異なる種類の肺癌に対して感度を有するマーカー及びマーカーパネルは、例えば、存在するがんの種類(複数可)を分類する、混合病態を特定する、及び/または経時的にがん進行をモニタリングする、及び/または治療の奏功をモニタリングするのに利用できる。
実施例6
実施例1に記載のとおりに多重PCR及び続いてQuARTS(定量的アレル特異的リアルタイム標的及びシグナル増幅)アッセイを用いて、血漿から抽出されたDNAで、メチル化DNAマーカーの重亜硫酸塩処理後定量を行なった。標的配列、重亜硫酸塩変換した標的配列、及びこれらのマーカーに対するアッセイオリゴヌクレオチドは、図1に示すとおりであった。各変換標的について使用されたプライマー及びフラップオリゴヌクレオチド(プローブ)は、以下のとおりであった:
*全てのメチル化アッセイは、重亜硫酸塩変換B3GALT6マーカーのアッセイで三重化されており、Quasarを報告する:
上記のとおり血漿から調製したDNAを、実施例1に記載のとおり、多重化前増幅反応で増幅させた。前増幅に続いて、前増幅した混合物の分注量を、10mMのトリスHCl、0.1mMのEDTA中に1:10で希釈し、次いで、実施例1に記載のとおり、三重QuARTS PCRフラップアッセイでアッセイした。三重の組み合わせは、以下のとおりであった:
標的DNA配列を含むプラスミドを用いて、定量反応を較正した。各キャリブレータプラスミドについて、10倍系列希釈のキャリブレータ希釈原液を調製した。系列希釈は、フィッシュDNA希釈剤(20ng/mLのフィッシュDNAを含む10mMのトリスHCl、0.1mMのEDTA)中、1μLあたり標的ストランドを10~106コピー含んでいた。三重反応について、三重標的のそれぞれを含むプラスミドを有する原液混合物を用いた。各プラスミドを1μLあたり1×105コピー含む混合物を調製し、これを用いて1:10の希釈系列を作成した。Cp対Log(プラスミドのストランド数)をプロットすることにより作成した標準曲線を用いて、未知試料中のストランドを逆計算した。
B3GALT6ストランドに対するメチル化%を用いた個別マーカーROCを、図9A~図9Iに示す。図10のマーカー組み合わせについてのROC解析は、マーカーBARX1、FLJ45983、SOBP、HOPX、IFFO1、及びZNF781を用いた6種マーカーロジスティック当てはめを示すグラフである。ROC曲線解析は、曲線下面積(AUC)が0.85881であることを示す。マーカーを組み合わせて使用することで、感度が改善された。
実施例7
mRNAとメチル化マーカーの組み合わせによる肺癌検出感度の改善
FPR1 mRNA(ホルミルペプチド受容体1)の発現レベルは、血中の検出可能な肺癌マーカーであることが、すでに示されている(Morris, S., et al., Int J Cancer., (2018) 142:2355-2362)。実施形態によっては、上記のメチル化マーカーアッセイを、1種または複数の発現マーカーの測定と組み合わせて使用する。併用アッセイの例は、試料中または同一対象から得られた複数の試料中での、FPR1 mRNAレベルの測定と、メチル化マーカーDNA(複数可)の検出(例えば、実施例1~6に記載されるとおり)を含む。
FPR1配列(NM_001193306.1 Homo sapiensホルミルペプチド受容体1(FPR1)、転写物バリアント1、mRNA、を、配列番号437に示す。Morrisら(既出)が記載したとおり、血液試料を、その後のRNA検出に適した採血管(例えば、PAXgene Blood RNA Tube;Qiagen,Inc.)に採取する。試料は、直ちにアッセイする場合も、今後分析されるまで凍結しておく場合もある。標準法、例えば、Qiasymphony PAXgene血液RNAキットにより、試料からRNAを抽出する。試料中に存在する特定RNAの測定に適したアッセイ、例えば、RT-PCRを用いて、RNA、例えば、mRNAマーカーのレベルを特定する。実施形態によっては、逆転写工程を含むQuARTSフラップエンドヌクレアーゼアッセイ反応を用いる。例えば、米国特許出願第15/587,806号を参照、これは本明細書中参照として援用される。好適な実施形態において、RT-PCRまたはRT-QuARTSアッセイ用のアッセイプローブ及び/またはプライマーは、アッセイが、mRNA標的を特異的に検出し、対応するゲノム座位を検出するのではないように、エキソン接合部(複数可)をまたがるように設計される。
RT-QuARTS反応例には、20UのMMLV逆転写酵素(MMLV-RT)、219ngのクリベース(登録商標)2.0、1.5UのGoTaq(登録商標)DNAポリメラーゼ、200nMの各プライマー、各500nMのプローブ及びFRETオリゴヌクレオチド、10mMのMOPS緩衝液(pH7.5)、7.5mMのMgCl2、ならびに各250μMのdNTPが含まれている。反応は、典型的には、リアルタイムで(例えば、連続的に、または一部もしくは全部のサイクル中同一時点で)蛍光データを収集するように構成された変温サイクルで行われる。例えば、Roche LightCycler 480システムを、以下の条件で使用することができる:42℃で30分間(RT反応)、95℃で3分間、95℃で20秒間から、63℃で30秒間、70℃で30秒間までのサイクルを10回、続いて95℃で20秒間から、53℃で1分間、70℃で30秒間までのサイクルを35回、及び40℃で30秒間保持。
実施形態によっては、RT-QuARTSアッセイは、上記実施例1に記載されるとおり、例えば、試料中の2、5、10、12、またはそれ以上の標的(または1より多い任意の数の標的)を前増幅するため、多重前増幅の工程を含むことができる。好適な実施形態において、RT-前増幅は、例えば、20UのMMLV逆転写酵素、1.5UのGoTaq(登録商標)DNAポリメラーゼ、10mMのMOPS緩衝液(pH7.5)、7.5mMのMgCl2、250μMの各dNTP、及びオリゴヌクレオチドプライマー、(例えば、12の標的の場合、12のプライマー対/24のプライマーを等モル量で(例えば、各200nMのプライマー)、または個別のプライマー濃度を標的ごとに増幅効率のバランスがとれるように調整する)を含む反応混合物で行われる。変温サイクルの時間及び温度は、反応体積及び増幅容器に適切なように選択される。例えば、反応サイクルは以下のとおり行うことができる:
変温サイクル後、前増幅反応物の分注量(例えば、10μL)を、フィッシュDNAありまたはなしで、10mMのトリス、0.1mMのEDTA中500μLに希釈する。希釈した前増幅DNAの分注量(例えば、10μL)を、例えば、上記のとおり、QuARTS PCR-フラップ法で使用する。
実施形態によっては、DNA標的、例えば、メチル化DNAマーカー遺伝子、変異マーカー遺伝子、及び/またはRNAマーカーに対応する遺伝子などを、例えば、上記の実施例1に記載されるとおり、QuARTSアッセイ反応の逆転写cDNAと合わせて、増幅及び検出することができる。実施形態によっては、DNA及びcDNAは、単管反応で、同時増幅され、検出される、すなわち、試薬を混合してからアウトプットデータを収集するまでの間のどの時点においても、反応容器を開ける必要がない。他の実施形態において、同一試料由来のまたは異なる試料由来のマーカーDNAを、重亜硫酸塩変換工程の有無に関わらず別々に単離することができ、RT-QuARTSアッセイにおいて、試料RNAと混合することができる。さらに他の実施形態において、RNA及び/またはDNA試料は、上記のとおり前増幅することができる。
Morrisでは、ハウスキーピング遺伝子(HNRNPA1)に対するFPR1 mRNA比のROC曲線解析の結果、特異性89%で感度が68%であったが、図11Bに示すとおり、ROC曲線解析にメチル化マーカーBARX1、FAM59B、HOXA9、SOBP、及びIFFO1を使用すると、特異性92.3%で感度が77.2%という結果になる。これらのアッセイを一緒に使用すると、特異性82%で理論感度92.7%という結果になる。
この解析は、FPR1 mRNAレベルと1種または複数のメチル化マーカーの検出とを併用する組み合わせアッセイが、いずれかの方法単独の場合と比べて感度が改善されたアッセイをもたらすことを示す。異なるクラスのマーカーを組み合わせるがん検出アッセイは、初期と後期の間の疾患段階の生物学的差異ならびにがんの異なる生体反応または起源を検出することが可能であるという利点を有する。当業者には明らかであるだろうが、FPR1以外のmRNA標的またはFPR1も加えたmRNA標的を含む他のRNA標的、例えば、LunX mRNAなど(Yu, et al., 2014, Chin J Cancer Res., 26:89-94)も、感度向上のためメチル化マーカーと組み合わせることができる。
実施例8
タンパク質(例えば、自己抗体)とメチル化マーカーの組み合わせによる肺癌検出感度の改善
肺及び他の固形腫瘍の腫瘍関連抗原は、自己抗体の形で体液性免疫応答を誘発することができ、これらの抗体は、疾患過程の極めて初期から、例えば症候が出現する前から存在することが観察されている。(Chapman CJ, Murray A, McElveen JE, et al. Thorax 2008;63:228-233を参照、これはあらゆる目的のためそのまま全体が本明細書中参照として援用される)。しかしながら、肺癌を検出するための自己抗体検出の感度は、比較的低い。例えば、腫瘍抗原NY-ESO-1に対する自己抗体(受入番号P78358、配列番号442で示す配列;別名CTAG1B)は、非小細胞肺癌の良いマーカーであることが文献に示されている(NSCLC;Chapman、既出)が、単独で有用となるには不十分な感度である。1種または複数の腫瘍関連自己抗体の検出と、1種または複数のメチル化マーカーの検出を組み合わせることで、より感度の高いアッセイがもたらされる。
Chapman(既出)に記載されるとおり、血液試料を採取し、標準法、例えば、ELISA検出などを用いて、自己抗体を検出する。試料から単離されたDNA中のメチル化及び/または変異マーカーの検出を、上記の実施例1に記載のとおりに行う。NY-ESO-1自己抗体のみの検出では、特異性95%で感度が40%という結果になる(Tureci, et al., Cancer Letters 236(1):64(2006))。上記で検討したとおり、BARX1、FAM59B、HOXA9、SOBP、及びIFFO1マーカーの組み合わせでメチル化をアッセイすると、特異性92.3%で感度が77.2%という結果になる。この自己抗体マーカーの分析と、このメチル化マーカー組み合わせのアッセイを組み合わせると、組み合わせ理論感度は86.3%であり特異性が87.7%という結果になる。
この解析は、自己抗体レベルの解析と1種または複数のメチル化マーカーの解析とを組み合わせることで、いずれかの方法単独の場合に比べて感度が改善されたアッセイになることを示す。異なるクラスのマーカーを組み合わせるがん検出アッセイは、初期と後期の疾患段階の間の生物学的差異ならびにがんの異なる生体反応または起源を検出することが可能であるという利点を有する。
実施例9
mRNA、メチル化マーカー(複数可)、及びタンパク質(例えば、自己抗体)の組み合わせによる肺癌検出感度の改善
対象の肺癌及び他のがんの検出を向上させるため、対象から得られた1つまたは複数の試料中の1種または複数のRNA、マーカーDNA、及び自己抗体を組み合わせて解析を行うことができる。試料調製法、ならびにDNA、RNA、及びタンパク質の検出法は、上記で検討されるとおりである。
実施例7で検討したとおり、ハウスキーピング遺伝子(HNRNPA1)に対するFPR1 mRNA比の解析は、Morrisらによる報告によれば、特異性89%で感度が68%という結果であった(Morris、既出)。NY-ESO-1自己抗体単独の検出は、Chapmanによる報告によれば、特異性95%で感度が40%という結果であった。そして、BARX1、FAM59B、HOXA9、SOBP、及びIFFO1マーカーの組み合わせでメチル化をアッセイすると、特異性92.3%で感度が77.2%という結果になる。mRNA、自己抗体マーカー、及びこのメチル化マーカー組み合わせのアッセイを組み合わせて解析すると、組み合わせ理論感度は95.6%であり特異性が77.9%という結果になり、mRNAレベル及び自己抗体レベルのアッセイと1種または複数のメチル化マーカーの解析を組み合わせることにより、これらの方法のいずれか1つのみの場合と比べて感度が改善されたアッセイになることを示す。
上記のとおりのアッセイは、1種または複数の抗原を検出するアッセイを加えることによりさらに向上させることができる。当業者には当然だろうが、抗原の検出を、RNA(複数可)、メチル化マーカー遺伝子(複数可)、及び/または自己抗体(複数可)、それぞれ単独または任意の組み合わせで、いずれかの検出に加えることができ、そうすることで全体感度がさらに向上することになる。
本出願中引用される全ての文献及び同様な資料、これらには、特許、特許出願、条項、出版物、論文、及びインターネットウェブページが含まれるが、限定されるものではなく、これらは、明白に、あらゆる目的のためそのまま全体が参照として援用される。特に定義されない限り、本明細書中使用される全ての技術用語及び科学用語は、本明細書中記載される各種実施形態が属する分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。援用される参照中の用語の定義が、本教示で提供される定義とは異なるように思われる場合、本教示で提供される定義が優先される。
本技術について記載される組成物、方法、及び使用の様々な修飾及び改変が、記載のとおりの本技術の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者に明らかとなるだろう。本技術は、特定の例示実施形態に関連して記載されてきたものの、当然のことながら、特許請求されるとおりの本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではない。事実、薬理学、生化学、医学、または関連分野の当業者に明らかである、本発明を行うための記載された様式の様々な修飾が、以下の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
マーカー標的領域の未変換型及び重亜硫酸塩変換型の概略図を示す。重亜硫酸塩変換された標的DNA検出用のフラップ法のプライマー及びプローブを示す。
図1-1の続き
図1-2の続き
図1-3の続き
図1-4の続き
図1-5の続き
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図1-8の続き
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図1-23の続き
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図1-69の続き
図1-70の続き
図1-71の続き
図1-72の続き
図1-73の続き
図1-74の続き
図1-75の続き
図1-76の続き
実施例2に記載されるとおり肺癌に関連したマーカーを選択するため短縮表示重亜硫酸塩配列決定法(Reduced Representation Bisulfite Sequensing、RRBS)の結果を比較する表を提示し、各行は、指定のマーカー領域(染色体ならびに開始位置及び終止位置により特定される)についての平均値を示す。各組織型(正常(Norm)、腺癌(Ad)、大細胞癌(LC)、小細胞癌(SC)、扁平上皮癌(SQ)、及び分類不能がん(UND))についての平均メチル化の比を、正常な対象のバフィーコート試料(WBCまたはBC)の平均メチル化と比較し、領域ごとに示し、また、各領域で同定された遺伝子及び転写物を示す。肺腺癌に関連したマーカーを選択するためRRBS結果を比較する表を提示する。
図2-1の続き
図2-2の続き
図2-3の続き
図2-4の続き
図2-5の続き
実施例2に記載されるとおり肺癌に関連したマーカーを選択するため短縮表示重亜硫酸塩配列決定法(Reduced Representation Bisulfite Sequensing、RRBS)の結果を比較する表を提示し、各行は、指定のマーカー領域(染色体ならびに開始位置及び終止位置により特定される)についての平均値を示す。各組織型(正常(Norm)、腺癌(Ad)、大細胞癌(LC)、小細胞癌(SC)、扁平上皮癌(SQ)、及び分類不能がん(UND))についての平均メチル化の比を、正常な対象のバフィーコート試料(WBCまたはBC)の平均メチル化と比較し、領域ごとに示し、また、各領域で同定された遺伝子及び転写物を示す。肺大細胞癌に関連したマーカーを選択するためRRBS結果を比較する表を提示する。
図3-1の続き
図3-2の続き
図3-3の続き
図3-4の続き
図3-5の続き
図3-6の続き
図3-7の続き
図3-8の続き
図3-9の続き
図3-10の続き
図3-11の続き
図3-12の続き
図3-13の続き
図3-14の続き
図3-15の続き
実施例2に記載されるとおり肺癌に関連したマーカーを選択するため短縮表示重亜硫酸塩配列決定法(Reduced Representation Bisulfite Sequensing、RRBS)の結果を比較する表を提示し、各行は、指定のマーカー領域(染色体ならびに開始位置及び終止位置により特定される)についての平均値を示す。各組織型(正常(Norm)、腺癌(Ad)、大細胞癌(LC)、小細胞癌(SC)、扁平上皮癌(SQ)、及び分類不能がん(UND))についての平均メチル化の比を、正常な対象のバフィーコート試料(WBCまたはBC)の平均メチル化と比較し、領域ごとに示し、また、各領域で同定された遺伝子及び転写物を示す。肺小細胞癌に関連したマーカーを選択するためRRBS結果を比較する表を提示する。
図4-1の続き
図4-2の続き
図4-3の続き
図4-4の続き
図4-5の続き
図4-6の続き
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図4-27の続き
図4-28の続き
図4-29の続き
図4-30の続き
図4-31の続き
図4-32の続き
図4-33の続き
実施例2に記載されるとおり肺癌に関連したマーカーを選択するため短縮表示重亜硫酸塩配列決定法(Reduced Representation Bisulfite Sequensing、RRBS)の結果を比較する表を提示し、各行は、指定のマーカー領域(染色体ならびに開始位置及び終止位置により特定される)についての平均値を示す。各組織型(正常(Norm)、腺癌(Ad)、大細胞癌(LC)、小細胞癌(SC)、扁平上皮癌(SQ)、及び分類不能がん(UND))についての平均メチル化の比を、正常な対象のバフィーコート試料(WBCまたはBC)の平均メチル化と比較し、領域ごとに示し、また、各領域で同定された遺伝子及び転写物を示す。肺扁平上皮癌に関連したマーカーを選択するためRRBS結果を比較する表を提示する。
図5-1の続き
図5-2の続き
図5-3の続き
図5-4の続き
図5-5の続き
図5-6の続き
図5-7の続き
アッセイ標的及び検出オリゴヌクレオチドの核酸配列を、該当する配列番号とともに提示する表である。標的核酸、特に標的DNA(重亜硫酸塩変換したDNAを含む)は、利便性のため、一本鎖として示すが、当然のことながら、本技術の実施形態は、示される配列の相補鎖も包含する。例えば、プライマー及びフラップオリゴヌクレオチドは、示されるとおりの標的とハイブリダイズするように選択することも、示されるとおりの標的と相補的な鎖とハイブリダイズするように選択することもできる。
図6-1の続き
図6-2の続き
図6-3の続き
図6-4の続き
図6-5の続き
図6-6の続き
図6-7の続き
図6-8の続き
図6-9の続き
図6-10の続き
図6-11の続き
図6-12の続き
図6-13の続き
図6-14の続き
図6-15の続き
図6-16の続き
実施例3のデータで6種マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフであり、マーカーには、SHOX2、SOBP、ZNF781、BTACT、CYP26C1、及びDLX4を使用した。ROC曲線分析は、曲線下面積(AUC)が0.973であることを示す。
実施例3のデータで6種マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフであり、マーカーには、SHOX2、SOBP、ZNF781、CYP26C1、SUCLG2、及びSKIを使用した。ROC曲線分析は、曲線下面積(AUC)が0.97982であることを示す。
は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
は、実施例6のデータで個別マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフである。
実施例6のデータで6種マーカーロジスティック当てはめしたものを示すグラフであり、マーカーには、BARX1、FLJ45983、SOBP、HOPX、IFFO1、及びZNF781を使用した。