(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、従来の洗剤タンクの構成では、洗剤を送るための連結部にある逆止弁が固定されていた。
逆止弁が固定されている構成では、弁の周辺を洗浄し清潔に維持することができない。そこで発明者らは、弁を洗浄するためには逆止弁を着脱可能な構成とした。しかしながら弁を着脱可能としたことで、取り外した逆止弁からの洗剤漏れを防ぐ必要がある、といった課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、洗剤漏れを抑制する構成をとることで、洗剤タンクを容易に着脱することができる食器洗い機を提供する。
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1~図20を用いて、実施の形態1を説明する。
[全体構成]
実施の形態1における洗浄槽1を筐体2から引き出した状態の食器洗い機の概略側面図である。詳しくは、図1は、食器洗い機の洗浄槽1を、食器洗い機の筐体2から引き出した状態の概略側面図を示している。
また、実施の形態1の食器洗い機は、例えばシステムキッチンなどに搭載されるビルトイン式の食器洗浄機である。
なお、実施の形態1において、図中に示すように、前方向は扉体3および洗浄槽1が引き出される方向、後方向は洗浄槽1が収納され扉体3が閉じられる方向として、説明する。また、食器洗い機の洗浄槽1の開口部側を上方、反対側を下方とし、さらに扉体3の正面から見て右側を右方、左側を左方として、以降では、説明する。
図1に示すように、実施の形態1の食器洗い機は、筐体2と、筐体2の内部に配置される洗浄槽1、側壁12、洗剤タンク15、制御装置19と、筐体2の開口を開閉する扉体3などを有する。
洗浄槽1は、上方に開口部1aを有し、内部に食器類8を収容するかご7が配置される。洗浄槽1は、下方に固定される第1のレール5を備える。一方、筐体2は、内面内側に固定される第2のレール6を備える。第1のレール5は、筐体2の第2のレール6に移動可能に支持される。これにより、洗浄槽1は、前後方向(図1の紙面上では左右方向)へ、筐体2から出し入れ自在に支持される。
洗浄槽1の外側前方上部である開口部1aの前方に配置される平面部23を備える。平面部23には、操作部24および表示部25などが配置される。操作部24は、使用者の操作により、食器洗い機の洗浄コース、電源のオン、オフなどが設定される。表示部25は、洗浄状況、動作状況、時間などを表示する。また、操作部24や表示部25が配置される平面部23の裏面側には、それらの動作を制御する操作表示基板(図示せず)が配置される。
側壁12は、洗浄槽1と扉体3との間の両側に配置される。側壁12は、洗浄槽1と扉体3とを、一体的に移動可能につなぐ。このとき、食器洗い機は、洗浄槽1の前面側と扉体3の後面側と側壁12と平面部23とで区画されて形成される前方空間部13を有する。
扉体3は、上方で、前方に突出するように設けられる取手4を備える。取手4は、使用者が把持して、洗浄槽1を筐体2から出し入れするのに利用される。
また、実施の形態1の食器洗い機は、以下に示す経路で洗浄槽1の食器類を洗浄する洗浄水が、給水される。具体的には、まず、図示しないシステムキッチン上の分岐水栓などから給水ホースなどの給水経路に、水道水などの洗浄水が供給される。供給された洗浄水は、給水経路を経て、図示しない給水ポンプや給水弁などにより、洗浄槽1内に必要な水位や必要量の給水がなされる。以上のように構成される経路で、洗浄槽1内に給水される。
洗浄槽1の外側下方には、循環ポンプ9が配置される。循環ポンプ9は、洗浄槽1内に給水された洗浄水を、循環経路を経て循環させ、洗浄ノズル11から洗浄水を噴射させる。そして、噴射された洗浄水で、食器類8の洗浄が可能に構成される。なお、洗浄水を加熱するヒータ10も、洗浄槽1の底部近傍に配置される。
また、実施の形態1の食器洗い機は、洗浄槽1から洗浄水を排水する排水経路を備える。排水経路は、図示しない排水ポンプと排水ホースなどで構成される。そして、食器類8の洗浄やすすぎが終了すると、排水ポンプが駆動され、洗浄水は、排水ホースを介して、外部に排水される。つまり、排水経路は、洗浄槽1内の洗浄水をシステムキッチンのシンクなどに排水可能に構成される。
洗浄槽1の外側前方である前方空間部13には、洗剤タンク15が出し入れ自在に収容される洗剤タンク収納部14が配置される。洗剤タンク収納部14は、側壁12の片側に溶着、ネジ止め、または側壁12と一体成型で形成される。なお、洗剤タンク収納部14を、洗浄槽1の前面に設ける構成としてもよい。
以上のように、実施の形態1の食器洗い機は構成される。
[洗剤タンク周りの構成]
つぎに、食器洗い機の洗剤タンク15周りの構成について、図2~図5を参照しながら、説明する。
図2は、洗剤タンク15を収納した状態を示す食器洗い機の概略正面図である。図3は、洗剤タンク15を収納途中もしくは引出途中の状態を示す食器洗い機の概略正面図である。図4は、洗剤タンク15を収納した状態を破線で示した食器洗い機の概略正面図である。
図3に示すように、洗剤タンク収納部14は、空洞状の空間を有する。これにより、洗剤タンク15は、洗剤タンク収納部14の空間に出し入れ自在に収納される。洗剤タンク15は、前方(扉体3の正面側)から見て、例えば左右方向(側方)へ出し入れ自在に収納される。
また、洗剤タンク収納部14は、図1および図4に示すように、平面部23(操作部24または表示部25)の略下方(下方を含む)で、例えば洗浄槽1の中央部側から右方側に配置され、洗剤タンク15を収納する。
なお、図2および図3では、洗剤タンク収納部14から洗剤タンク15を右方向に引き出す構成を例に図示しているが、これに限られない。例えば、洗剤タンク収納部14および洗剤タンク15を、図2や図3とは左右対称の反対の位置に配置してもよい。この場合、洗剤タンク収納部14から洗剤タンク15を左方向に引き出す構成が望ましい。
上記構成により、洗浄槽1が筐体2に完全に収納された状態において、洗剤タンク15が目立つことがない。そのため、食器洗い機をシンプルなデザインで構成できる。さらに、洗浄槽1の外側前方における洗剤タンク15を収納するスペース(前方空間部13)を、有効活用できる。
また、図1に示すように、洗剤タンク15は、洗浄槽1を前方に少なくとも距離a(図1の点線矢印)以上、引き出された状態において、洗剤タンク収納部14から洗剤タンク15を左右方向に出し入れ自在に構成される。なお、距離aは、扉体3の背面と筐体2の最前面との合わせ面と、洗剤タンク収納部14の洗浄槽1側の面の最短距離を示す。すなわち、距離aは、少なくとも洗剤タンク収納部14全体が、筐体2の最前部より前側に引き出された状態を示す。
上記構成により、洗浄槽1が前方向に所定距離(距離a)以上引き出された状態において、はじめて洗剤タンク15の出し入れが可能となる。そのため、洗剤タンク15を収納する洗浄槽1の前方のスペースと、筐体2から洗浄槽1を引き出したときの横方向のスペースとを活用して、使用者は洗剤タンク15を容易に出し入れできる。なお、距離aは、洗剤タンク15の左右方向の出し入れ可能な距離であれば、特に、限られない。
また、実施の形態1の食器洗い機は、上述したように、洗浄槽1の外側前方上部に設けられ、使用者が、洗浄コース、電源のオン、オフなどを設定する操作部24を有する。これにより、使用者は、例えば洗浄槽1の前方、かつ、上方から片手で操作部24を操作できる。このとき、同時に、使用者は、もう一方の片手で、洗剤タンク15を左右方向へ出し入れできる。その結果、使用者の作業性を、高めることができる。
続いて、図5および図6を用いて洗剤タンク15を構成する各部品について説明する。図5は、洗剤入れ蓋部154が閉状態であって、洗剤が貯留されていないときの洗剤タン
ク15の概略正面図である。図6は、洗剤入れ蓋部154を開状態とし、洗剤がおよそ満タンまで貯留されたときの洗剤タンク15の概略正面図である。
なお、以降の洗剤タンク近傍についての記載では、図5中に示すように、洗剤タンク15の出し入れ方向(奥行き方向)について、洗剤タンク15が引き出される方向を手前側、挿入される方向を奥側として、説明する。また、洗剤タンク15の開口部側を上方、反対側を下方として、以降では、説明する。
洗剤タンク15を洗剤タンク収納部14に挿入すると、爪158が洗剤タンク収納部14の側面に設けられた爪受け部と嵌合し、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14内に安定して支持される。
また、洗剤タンク15は、液体洗剤が貯められる、例えばボトル状の容器で構成される。また洗剤タンク15は天面が開口され、開口部分はカバー31により全体的に覆われている。具体的には、洗剤タンク15は、洗剤吐出口152や、カバー31上の洗剤投入口153、洗剤入れ蓋部154などで構成される。
洗剤投入口153から洗剤タンク15内に向けて傾斜するように、投入補助斜面156が設けられていてもよい。投入された液体洗剤が投入補助斜面に沿って流れていくことで、液体洗剤が洗剤タンク15内のランダムな場所に落下し、跳ね返って飛び散ることを抑制することができる。また液体洗剤を沿わせて投入できるので、使用者の投入スピードに緩急があっても、安定して投入可能である。また投入補助斜面156を用いて液体洗剤を投入するため、洗剤入れ蓋部154の周囲に液体洗剤が付着しにくく、比較的長期間において洗剤入れ蓋部154を清潔に保つことができ、使用者の利便性が向上する。
また、投入補助斜面156に、液体洗剤量の目安を表示してもよい。例えば投入補助斜面156に表示されている線まで洗剤を投入すると、洗剤量が満タンであると示す満タン表示や、表示線まで洗剤を投入すると洗剤が多すぎると示す注意喚起などに使用できる。
そしてカバー31と、洗剤投入口153と洗剤入れ蓋部154と投入補助斜面156とは、一体で形成され、洗剤タンク15から着脱可能に構成される。
続いて、図8および図9を用いて、洗剤タンク15への洗剤補充方法について説明する。図8は、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されているときの洗剤収納部14および洗剤タンク15の概略正面図である。図9は、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納途中または引き出し途中であるときの洗剤収納部14および洗剤タンク15の概略正面図である。
使用者は、液体洗剤の洗剤タンク15への補充時において、まず、洗剤タンク15を洗剤タンク収納部14から取り外す。そして、使用者は、洗剤入れ蓋部154を開ける。そして、使用者は、洗剤投入口153から液体洗剤を投入補助斜面156に沿わせながら、洗剤タンク15に容易に補充できる。上述した洗剤タンク15の構成により、洗浄槽1の外側で、液体洗剤を洗剤タンク15内に、供給およびストックできる。そのため、洗浄時における、洗浄槽1内の湿気、乾燥などによる、洗剤タンク15での洗剤の固化を抑制できる。
洗剤タンク収納部14内の天面には、奥行き方向において手前側に天面突起37、および奥側に段差部38を有する。天面突起37は、洗剤タンク15収納時に洗剤タンク15が上下方向にがたつかないよう規制する役目がある。また段差部38は、洗剤タンクがぎりぎり通過する高さに構成されているため、この段差に洗剤入れ蓋部154が当接し下方
に押し付けられることで、閉まりきっていない洗剤入れ蓋部154を完全に閉めることができる。
また、使用者が万が一、洗剤入れ蓋部154を開けた状態(図6参照)のまま洗剤タンク15を挿入してしまった場合、洗剤入れ蓋部154はまず洗剤タンク収納部14の手前側の端部に当接し、およそ180°回動される。ただしこのときには、まだ洗剤入れ蓋部154が閉まりきっておらず、図9のように半開きの状態で、洗剤タンク収納部14に挿入され始める。この半開き状態である洗剤入れ蓋部154が天面突起37を通過するとき、洗剤入れ蓋部154が天面から押され、洗剤入れ蓋部154は完全に閉められる。(図9参照)たとえ天面突起37の高さが足りず、洗剤入れ蓋部154が閉まらなかったとしても、洗剤入れ蓋部154が段差部38を通過するときには完全に閉められる構成となっている。
この構成によれば、使用者が洗剤入れ蓋部154を閉め忘れた場合や、閉めたつもりで閉まりきっていなかった場合にも、確実に蓋が閉められる。そのため洗剤タンク15内の液体洗剤が固化することを防ぐことができる。
図8に示すように、洗剤タンク15の洗剤吐出口152には、洗剤タンク底面の奥側端部にタンク側逆止弁151が設けられる。一方、洗剤タンク収納部14も、底面の奥側端部に本体側逆止弁141を有する。そして、洗剤タンク収納部14の本体側逆止弁141が、タンク側逆止弁151と係合される。これらの逆止弁が係合すると同時に、洗剤タンク15の洗剤タンク収納部14への収納が完了する。
そして、本体側逆止弁141とタンク側逆止弁151とが係合されると、洗剤吐出口152から洗剤タンク収納部14側への液体洗剤を移送する経路が構成される。また、タンク側逆止弁151と本体側逆止弁141との係合により、洗剤タンク15の洗剤タンク収納部14内へのさらに安定した収納が可能となる。そして洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されたとき、洗剤吐出口152のタンク側逆止弁151は、洗剤タンク収納部14側にある本体側逆止弁141と連結されるように構成される。
また、タンク側逆止弁151と係合される本体側逆止弁141の他端には、洗剤ポンプ16が接続される。さらに、洗剤ポンプ16と、洗浄槽1の前面に設けられた洗浄槽洗剤吐出口17(図1参照)との間に、洗浄槽側洗剤吐出経路18が接続される。
また、制御装置19は、図1に示すように、洗浄槽1の前面下方に配置される。制御装置19は、例えば循環ポンプ9、排水ポンプ、給水ポンプ(給水弁)、洗剤ポンプ16などの駆動を制御する。
具体的には、制御装置19は、洗剤ポンプ16の駆動回転速度、駆動時間などを制御する。これにより、食器類8などの洗浄時において、必要な量の液体洗剤が洗剤タンク15から供給される。このとき液体洗剤は、タンク側逆止弁151、本体側逆止弁141、洗剤ポンプ16、などを順番に経由して、洗浄槽1内に供給される。つまり、洗剤タンク15に溜められた液体洗剤を、洗浄槽1に移送して供給可能に構成される。
以上のように、食器洗い機の洗剤タンク15周りは構成され、液体洗剤が洗浄槽1内に供給される。
[洗剤タンク内およびフロートの構成]
つぎに、食器洗い機の洗剤タンク15の詳細な構成について、図2から図9を参照しながら説明する。図2および図8は、実施の形態1における洗剤タンク15を洗剤タンク収
納部14に収納時の概略断面図である。図3および図9は、実施の形態1における洗剤タンク15を洗剤タンク収納部14から引き出した状態の概略断面図である。図4は、実施の形態1における洗剤タンク15の配置位置を破線により洗浄槽1に投影した食器洗い機の正面図である。
洗剤タンク15は側面側の少なくとも一部に設けられる透明部を有する。透明部は、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納された状態で、使用者が洗剤タンク15内の液体洗剤の残量を目視可能とする。透明部は、液体洗剤の洗剤量を示す目盛りを、さらに有する。これにより、洗剤タンク15の洗剤タンク収納部14へ収納した状態でも、使用者は、透明部を介して、洗剤タンク15内の洗剤量を側方から目視で確認できる。そのため、使用者は、液体洗剤の減り具合、補充のタイミングなどを、目視により推測できる。その結果、使用者は、洗剤タンク15を引き出して、適切なタイミングで、液体洗剤を容易に補充できる。
また洗剤タンク15は、洗剤タンク15引き出し時に使用者がつかむタンク取手155を有する。タンク取手155は側面側の少なくとも一部に設けられる。特に手前側の側面上方に設けられていると使用者がつかみやすく、また取手がない洗剤タンク15よりも引き出した際に落としにくい。(図5から図9参照。)ここで本実施の形態では、タンク取手155の下方に透明部が設けられる。
洗剤タンク15が洗浄槽1または筐体2に対して出し入れされるときに、洗剤タンク15内に貯留された液体洗剤に発生する波を抑えるために、液体洗剤内で浮遊する浮遊体の一例であるフロート30が洗剤タンク15内に設けられる。フロート30は、アーム33を介して、洗剤タンク15の蓋に設けられた回動軸32で軸支される。フロート30には、磁性体が設けられる。
洗剤タンク収納部14の側面には、磁性体の磁気を検知するための磁気センサが設けられる。磁気センサが磁性体の磁気を検知することにより、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されていることが検知される。
図5は、洗剤タンク15に液体洗剤が貯留されていないときの食器洗い機の概略正面図である。図6は、洗剤入れ蓋部154が開けられ、洗剤タンク15に液体洗剤が貯留されているときの食器洗い機の概略正面図である。また図6では破線によって液位を表している。
フロート30は、洗剤タンク15の開口を覆うカバー31に設けられた回動軸32に、アーム33を介して軸支される。図5に示すように、洗剤タンク15に液体洗剤が貯留されていないときには、フロート30およびアーム33は自重により鉛直下方に垂れ下がる。洗剤タンク15に液体洗剤が貯留されると、図6に示すように、フロート30は液体洗剤の液位に応じて浮上し、アーム33は回動軸32を中心として上方に回動する。磁気センサにより磁性体の位置を検知することにより、洗剤タンク30内の液体洗剤の液位を検知することができる。また、図3に示すように、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されていないときには、磁気センサにより磁性体の磁気が検知されないので、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されていないことを検知することができる。
磁気センサは、例えば、洗剤タンク15内の液体洗剤の複数の液位に対応する磁性体の位置の近傍に設けられた複数のホール素子であってもよい。これにより、液体洗剤の液位をより精確に検知することができる。磁気センサは、磁気抵抗効果素子、磁気インピーダンス素子など、任意の方式で磁性体の磁気を検知可能なセンサであってもよい。
磁気センサは、洗剤タンク収納部14の側面のうち、制御装置19から遠い側の側面に設けられてもよい。これにより、制御装置19の電気回路において発生する磁場の影響を小さくすることができるので、磁気センサの検知精度を向上させることができる。
洗剤タンク15の出し入れ方向奥側の側面の最下端に、洗剤吐出口152が設けられている。洗剤タンク収納部14に洗剤タンク15が収納されたときに洗剤タンク15の洗剤吐出口152が当接する位置に、本体側逆止弁141が設けられる。洗剤ポンプ16が動作すると、洗剤タンク15内の液体洗剤が、洗剤吐出口152、本体側逆止弁141、洗剤ポンプ16を介して洗浄槽1内に供給される。洗剤タンク15の内底面は、洗剤吐出口152に向けて低くなるように傾斜がつけられている。
図8は、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納された状態を示す概略正面図である。図9は、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納途中または引き出される途中である状態を示す概略正面図である。
図8の概略正面図は、洗剤タンク15の断面を模式的に示している。洗剤タンク15内に液体洗剤が貯留されているときに、洗浄槽1が筐体2から引き出されたり、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14から引き出されたりすると、液体洗剤に波が発生する。本実施の形態の食器洗い機では、この波を打ち消すために、液体洗剤に浮く材料で形成されたフロート30が設けられている。フロート30が液体洗剤の液面に浮遊して波を打ち消すことにより、フロート30が設けられない場合に比べて、液体洗剤に発生する波を抑えることができることが本発明者らによる実験によって明らかになっている。これにより、食器洗い機の使用時や、洗剤タンク15に液体洗剤を補充する時などに、液体洗剤が洗剤タンク15からこぼれたり、周囲の部材などに付着して固化したりするのを防ぐことができる。
フロート30は、熱可塑性樹脂や金属などによって形成されてもよい。フロート30を金属によって形成する場合には、フロート30が液体洗剤に浮くようにするために、内部に空洞が設けられてもよい。フロート30とアーム33は、一体的に形成されてもよいし、別々に形成されて接合されてもよい。アーム33は、洗剤タンク15のカバー31に設けられた回動軸32に着脱自在に軸支されてもよい。この場合、使用者がカバー31からアーム33およびフロート30を取り外して洗うことができる。アーム33は、洗剤タンク30のカバー31と一体的に形成されてもよい。
アーム33は、洗浄槽1を筐体2に対して出し入れする方向と直交する方向にフロート30が回動するように構成されている。そして洗剤投入口153は、アーム33が回動する範囲の直上位置から外れた位置に設けられる。洗剤投入口153がこのように配置されることにより、フロート30がどのような位置にある場合においても、使用者はフロート30に邪魔されることなく、洗剤投入口153から洗剤を容易に投入することができる。特に図5および図6によれば、洗剤タンク15に液体洗剤が貯留されていないときには、フロート30およびアーム33は自重により鉛直下方に吊り下がり最下点に位置している。洗剤タンク15に液体洗剤が貯留されると、フロート30は液体洗剤の液位に応じて浮上し、アーム33は回動軸32を中心として上方に回動する。このとき例えば、図6のようにフロート30は手前側に向かっておよそ50°程度まで回動する。
粘度の高い液体洗剤を使用する場合は、アーム33やとフロート30の間の摺動抵抗が大きくなるので、フロート30が回動する方向とは相反する方向にから流入するように洗剤を投入すると、フロートが液位の変動に追随し難くなる可能性がある。また、フロート30やアーム33に負荷がかかりやすく、フロート30が移動しなくなる可能性がある。そこで本実施の形態では、このフロート30が回動する方向である手前側とは反対の、洗
剤タンク15の奥側に洗剤投入口153が設けられる。このように構成されることで、投入された液体洗剤の流入方向とフロート30の回動方向が相反せず、洗剤投入口153から液体洗剤を投入してもフロート30にかかる摺動抵抗が大きくなりにくい。そのためフロート30が液位の変動を誤検知することを防ぐことができる。
またアーム33は、洗剤タンク15の奥行き方向において、フロート30が回動する方向とは反対の、フロート30の端部と連結されている。このように構成されるとき、アーム33の長さが最も長くなる構成となる。このように、可能な限りアームの長さを長くとることで、フロート30が弧を描いて回動するときの距離が最も長くなる、つまりフロート30の摺動範囲が最も大きくなる。そのため、アーム33がフロート30の中央部や、回動する方向側の端部に連結されるときに比べて、フロート30が検知できる液位の幅を大きくすることができる。
そしてアーム33を軸支している回動軸32は洗剤タンク15の奥行き方向において、中心付近に設けられている。またアーム33は、洗剤タンク15の奥行き方向において、フロート30が回動する手前側方向とは反対の、つまりフロート30の奥側端部と連結されている。そのためフロート30およびアーム33が自重により鉛直下方に垂れ下がっている状態において、フロート30は中心より手前側に位置することとなる。
図7は、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納された状態を示す部分拡大斜視図である。図7に示すように、洗剤タンク15天面のカバー31には、使用者に向けたメッセージ部35が設けられていてもよい。またメッセージ部35はカバー31上の使用者が視認可能な位置にあればよいが、特に洗剤タンク15の手前側に表示されていると、使用者が洗剤タンク15を引き出すときに必ず目に入るのでより効果的である。
メッセージ部35に記載される内容は、特に、洗剤タンク15に関する注意喚起を意味する内容であってもよく、また使用者へ向けた他のメッセージであってもよい。表示方法は、シールが貼付されていてもよいし、カバー31自体に印字されるまたは文字が彫られてあってもよい。
本実施の形態では、メッセージ部35が洗剤タンク15天面のカバー31手前側に設けられ、その奥側に洗剤投入口153が設けられる。よって使用者が洗剤タンク15を引き出すときに、メッセージ部35を必ず目にすることができる。
カバー31に使用者に向けたメッセージ部35が設けられているとき、洗剤投入口153は奥側に設けられる。よって、上記の関係により、まずフロート30は手前側に回動するよう構成される。そしてアーム33はフロート30の回動方向とは反対の、フロート奥側の端部で連結される。そしてフロート30自体は奥行き方向において、鉛直下方に吊り下がった状態では中心より手前側に位置する。
そのため、洗剤タンク15奥側にある洗剤投入口153から使用者が洗剤を投入する際には、まず洗剤タンク15を手前側に引き出すと、メッセージ部35を確認したのち、洗剤入れ蓋部154を開ける。そして洗剤投入を開始する。このとき洗剤投入口153の真下には邪魔するものがないため、使用者は洗剤を容易に投入することができる。洗剤投入後、フロート30は手前側上方に向かって回動していく。
洗剤投入時はフロート30およびアーム33の上から洗剤がかかることがないため、投入の邪魔にならなないうえ、フロート30およびアーム33の摺動抵抗が大きくなることや、フロート30が液位の変動に追随難くなることを避けることができる。そのためフロート30の誤検知が起こりにくく、故障を誘発しにくい。
フロート30およびアーム33が自重により鉛直下方に垂れ下がっている状態から、フロート30は手前側に向かっておよそ0-50°程度回動するとした。このとき、洗剤タンク15のカバー31の裏面にはストッパリブ36が設けられている。図6のように洗剤タンク15内に液体洗剤が貯留されているときには、フロート30は上方に回動された場所に位置しているため、ストッパリブ36には当接していない。図5のように洗剤タンク15内に液体洗剤が貯留されていない時には、フロート30は自重により鉛直下方に垂れ下がり、ストッパリブ36に当接して静止状態を維持している。
洗浄槽1を筐体2に対して出し入れする際に、または洗剤タンク15を洗剤タンク収納部14に出し入れする際に、出し入れされた方向に生じる波や振動が生じる。ここでフロート30がストッパリブ36に当接した場合、フロート30はストッパリブ36にせき止められるため、ストッパリブ36より奥側には回動されない。よって液位検知の際に波や振動による影響を抑えることができる。
このストッパリブ36はアーム33と洗剤投入口153との間に配置され、特にアーム33に対し、フロート30とは反対側、またフロート30の回動方向とは反対側に配置される。そして本実施の形態では、洗剤投入口153は奥側、フロート30の回動方向は手前側のため、ストッパリブ36は洗剤タンクの中央付近、かつアーム33より奥側に設けられる。
また特に、ストッパリブ36によりフロート30が静止状態であるとき、アーム33は鉛直下方に吊り下がり、フロート30が最下点に位置している状態となるのが望ましい。このように構成されることで、液位検知に意味のある範囲において、フロート30の摺動範囲を最大限大きくとることが可能となる。
洗剤タンク15のカバー31には、外部と連通する大気開放口が設けられていてもよい。カバー31は、洗剤タンク15の開口を気密かつ液密に覆うように設けられるので、洗剤タンク15から液体洗剤が吐出されると、洗剤タンク15の内部が負圧になって、液体洗剤の吐出が円滑に進まなくなる可能性がある。大気開放口を設けることにより、洗剤タンク15から液体洗剤が吐出されるときに大気開放口から洗剤タンク15内に外気を流入させることができるので、洗剤タンク15内が負圧になるのを防ぐことができる。これにより、洗剤タンク15から洗浄槽1内に供給される液体洗剤の量の信頼性を向上させることができる。
大気開放口に液体洗剤が付着して固化すると、大気開放口が塞がれて外気を洗剤タンク15内に流入させる機能が低下し、洗剤タンク15から洗浄槽1内に適切な量の液体洗剤を供給できなくなる可能性がある。このような課題を解決するために、本実施の形態の食器洗い機では、大気開放口を、カバー31の、フロート30の移動範囲の上方に設ける。これにより、洗剤タンク15内の液体洗剤の液位が高く、液体洗剤が液面から飛び跳ねて大気開放口にかかりやすいときにも、フロート30が大気開放口の直下の液面に浮上して液体洗剤の波を打ち消すので、液体洗剤が大気開放口にかかるのを抑えることができる。
図5等に示される突出部34は、フロート30が上方に移動しているときに、フロート30またはアーム33の少なくとも一部が突出部34に近接又は当接するように設けられる。洗剤タンク15内の液体洗剤の液位が高いときには、図6のように突出部34にフロート30の上端が当接する高さまでフロート30が回動する。これにより、洗剤タンク15洗剤内の液体洗剤に波が発生し、液位が測定しにくい状況であっても突出部34が配置されていることで、にフロート30のぶれを抑制できる。突出部34は、フロート30が上方に移動するときにフロート30とともに移動する他の部材の少なくとも一部に近接又
は当接するように設けられてもよい。
鉛直方向に設けられたガイドに沿ってフロートを移動させる方式によっても、液体洗剤の液位を検知することができ、消波効果が得られる可能性があるが、粘度の高い液体洗剤を使用する場合は、ガイドとフロートの間の摺動抵抗が大きくなるので、フロートが液位の変動に追随し難くなる可能性がある。また、液体洗剤の液位が下がったときに、ガイドとフロートの間に付着した液体洗剤が固化してフロートが移動しなくなる可能性がある。さらに、洗剤タンクの深さが浅い場合には、フロートの移動範囲が狭いので、液位を細かく検知することができない。
本実施の形態の構成によれば、液体洗剤の液面よりも上方に設けられた回動軸32でアーム33を軸支し、液位に応じてフロート30を回動させるので、回動軸32とアーム33の間で液体洗剤が固化することによりフロート30が移動しなくなる可能性を低減させることができる。また、フロート30が液位に応じて水平方向にも垂直方向にも変位するので、液位をより精確に検知することができる。
本実施の形態の食器洗い機では、洗浄槽1を筐体2に対して出し入れする方向に平行に回動軸32が設けられており、洗浄槽1を筐体2に対して出し入れする方向と直交する方向に洗剤タンク15を挿入するように構成されており、さらに洗浄槽1を筐体2に対して出し入れする方向と直交する方向にフロート30が回動するように構成されている。これにより、洗浄槽1を筐体2に対して出し入れする際に、出し入れする方向に生じる波をフロート30により効果的に打ち消すことができるので、大気開放口、回動軸32、アーム33の嵌合部などに液体洗剤が付着するのを抑えることができる。洗剤タンク15を洗剤タンク収納部14に対して出し入れする際には、出し入れする方向に生じる波をフロート30によっても打ち消すことができるので、大気開放口、回動軸32、アーム33の嵌合部などに液体洗剤が付着するのを抑えることができる。
別の例では、洗剤タンク15を洗剤タンク収納部14に対して出し入れする方向に平行に回動軸32を設け、洗剤タンク15を洗剤タンク収納部14に対して出し入れする方向と直交する方向にフロート30が回動するように構成してもよい。これにより、洗剤タンク30を洗剤タンク収納部14に対して出し入れする際に、出し入れする方向に生じる波をフロート30により効果的に打ち消すことができるので、大気開放口、回動軸32、アーム33の嵌合部などに液体洗剤が付着するのを抑えることができるとともに、使用者が洗剤タンク15に液体洗剤を補充する際に液体洗剤が洗剤タンク15からこぼれてしまうのを抑えることができる。洗浄槽1を筐体2に対して出し入れする際にも、出し入れする方向に生じる波をフロート30により打ち消すことができるので、大気開放口、回動軸32、アーム33の嵌合部などに液体洗剤が付着するのを抑えることができる。
[逆止弁の構成と洗剤供給経路]
図9に示すように、洗剤タンク15の洗剤吐出口152は、洗剤タンク底面の左側端部にタンク側逆止弁151を有する。つまり、タンク側逆止弁151の先端に洗剤吐出口152が設けられ、洗剤吐出口152から洗剤タンク15内の洗剤が吐出される。図9は洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納または引き出し途中の概略側面図であり、図10は図9における洗剤タンク15と本体側逆止弁141との概略図を示す。
一方、洗剤タンク収納部14は、洗剤吐出口152のタンク側逆止弁151が係合する本体側逆止弁141を有する。ここで、タンク側逆止弁151と係合する端部とは反対側の端部において、本体側逆止弁141と洗剤ポンプ16とは連結されている。洗剤タンク収納部14の本体側逆止弁141がタンク側逆止弁151と係合され、爪158が洗剤タンク収納部14内側面の爪受け部と嵌合すると、洗剤タンク15の洗剤タンク収納部14
への収納が完了する。
図10のように、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されていない時、本体側逆止弁141およびタンク側逆止弁151は独立している。このとき本体側逆止弁141およびタンク側逆止弁151は、それぞれの逆止弁内筒の先端に装着されたリング状のパッキンにより、逆止弁の先端で洗剤がせき止められ、それぞれ独立した状態では洗剤が漏れてこない構成となっている。以下図18~20を用いて詳細に説明する。
図18はタンク側逆止弁151と本体側逆止弁141との外筒の先端のみが付勢されているときの側断面図である。図19はタンク側逆止弁151と本体側逆止弁141との内筒同士が付勢され、シールされたときの側断面図である。図20はタンク側逆止弁151と本体側逆止弁141との間で洗剤流通経路が開通し、係合が完了したときの側断面図である。
タンク側逆止弁151および本体側逆止弁141は筒形状であって、それぞれ、外筒と、外筒に覆われた内筒と、を有する。
まずはタンク側逆止弁151の内筒502および外筒501について説明する。タンク側逆止弁151の内筒502は、先端にリング状のパッキン504が装着されており、タンク側逆止弁151の外筒501の内側面と、タンク側逆止弁151内筒502のリング状パッキン504が密着することでシールされている。タンク側逆止弁151の外筒501の内側面の口径は、基本的にはタンク側逆止弁151の内筒502の外側面の口径より広い口径を有するため、外筒501と内筒502の間には空洞の通路505が形成されている。ただし、タンク側逆止弁151の独立状態においては、タンク側逆止弁151内筒502の先端に設けられたリング状パッキン504が、当接するタンク側逆止弁151の外筒501の内側面の部分にのみ、タンク側逆止弁151の外筒の内側面が、径中心方向にすぼまるような窪み503を有しているため、逆止弁が独立しているときのみパッキンが密着する。
またタンク側逆止弁151の外筒501と、内筒502と、の間の通路505には、液体洗剤が充満している。この通路505の間に充満している洗剤は、逆止弁が独立しているとき、窪み503およびリング状パッキン504の手前でせき止められている。タンク側逆止弁151の内筒502にはバネ等の弾性体が備わっており、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に挿入されると、本体側逆止弁141の内筒402に押されて、タンク側逆止弁151の内筒が伸び縮みする構成である。
一方、図10にある本体側逆止弁141の内筒402は、筒の内部が空洞であり、内筒の空洞部分に液体洗剤が貯留される仕組みである。内筒402は、本体側逆止弁141の独立状態においては、内筒の先端部142のみが見えている状態である。本体側逆止弁141の内筒402は、側面の一部に洗剤流入孔403を有する。洗剤流入孔403と本体側逆止弁141の内筒402の空洞部分とが連通している。本体側逆止弁141の内筒402は、洗剤流入孔403よりも先端にリング状のパッキン404が装着されており、本体側逆止弁141の外筒401の内側面と、本体側逆止弁141の内筒402のリング状パッキン404とが密着することでシールされている。ここでリング状パッキン404は2つ設けられ、洗剤流入孔403の両サイドにそれぞれ配置される。よって逆止弁が独立しているとき、洗剤流入孔403付近に充満している洗剤は、パッキンの手前でせき止められている。本体側逆止弁141の外筒401にはバネ等の弾性体が備わっており、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に挿入されると、タンク側逆止弁151の外筒に押されて、本体側逆止弁141の外筒が伸び縮みする構成である。
続いて、タンク側逆止弁151と本体側逆止弁141とが係合する際の逆止弁の動きについて説明する。洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に挿入されるとき、まずは図18のように、タンク側逆止弁151の外筒501と本体側逆止弁141の外筒401が嵌合する。タンク側逆止弁151の外筒501が本体側逆止弁141の外筒401を押し込み、縮ませる。
さらに洗剤タンク15を奥に挿入すると、本体側逆止弁141の外筒401がさらに縮み、外筒401が内筒402先端のリング状パッキン404よりも奥側に押し込まれ、本体側逆止弁141の洗剤流入孔403があらわになる(図19参照)。またそれと同時に、本体側逆止弁141の内筒402がタンク側逆止弁151の内筒502を押し込み、縮ませることで、タンク側逆止弁151の内筒502先端のリング状パッキン504が、タンク側逆止弁151外筒501の窪み503よりも手前側に押し戻されるため、タンク側逆止弁151の外筒と、タンク側逆止弁151の内筒と、の間にある液体洗剤が充満している通路505があらわになる。
洗剤タンク15を最後まで挿入し終えると、本体側逆止弁141からあらわになった洗剤流入孔403と、押し戻されてあらわになった洗剤が充満している経路505が連通し、タンク側逆止弁151に充満していた液体洗剤が、本体側逆止弁141の洗剤流入孔403に流入し、液体洗剤が本体へと供給される(図20参照)。このようにして、本体側逆止弁141とタンク側逆止弁151との係合により、挿入された洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されると、洗剤吐出口152から洗剤タンク収納部14側への液体洗剤を移送する経路が構成される。
続いて、逆止弁同士のシール方法について説明する。タンク側逆止弁151が押し込まれたとき、本体側逆止弁の外筒401が押されて縮み、本体側逆止弁141の先端に設けられたリング状のパッキン404が突出する。そして、この突出したリング状パッキン404が、押し込まれて伸びてきたタンク側逆止弁151外筒501の内側面に押し当てられることで、逆止弁同士でシールされる(図19、20参照)。ここで本体側逆止弁141の先端に設けられたリング状のパッキン404は2つ設けられているが、特に、洗剤タンク15の奥行き方向奥側に設けられた側の、リング状のパッキンがタンク側逆止弁151外筒501の筒状孔内を奥に進むにつれて、筒状孔は入口よりも内径が小さくなっていき、すぼまった形状に構成される。
筒状孔の内径がある一定の内径まで小さくなると、内径は一定になる。そして奥側に設けられた側のリング状のパッキン404が、筒状孔の内径が一定になる位置まで到達すると、パッキン404の径より外筒501の筒状孔の内径のほうが小さくなるよう構成され、パッキンは自身の径よりも小さな径の穴に押し込められる形となる。このようにして、タンク側逆止弁151の外筒501と本体側逆止弁141の内筒401との間で押圧されシールされる。シールされた逆止弁同士の弁と弁との間は真空状態を維持される。
ここで、タンク側逆止弁151の外筒501の筒状孔の内径が一定となる範囲が広い場合、または外筒501内側面の先端が、奥側に向けた末広がりの角度を付けずにまたは小さな角度で構成されている場合、タンク側逆止弁151は本体側逆止弁141に押し込まれてすぐに付勢され、真空状態を形成されるため、タンク側逆止弁151が押し込まれてすぐに、弁同士が外れにくくなる。この構成によれば、洗剤タンク15挿入時の押し込みが弱かったとしても、弁同士が付勢されているため洗剤漏れを防ぐことができる。
このように、本体側逆止弁でタンク側逆止弁を押圧してシールしていることにより、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に挿入され、本体側逆止弁141とタンク側逆止弁151との間を洗剤が通過している時にも、両逆止弁の間から洗剤が漏れ出すことを防ぐ
ことができる。
このシール部分の構成は上記の例に限られず、筒状孔の内径が一定となる範囲が狭い構成としてもよい。または外筒501内側面の先端が、奥側に向けて末広がりに大きく角度を付けて構成されていてもよい。またはタンク側逆止弁151の外筒501内側面の先端に、真空状態を解除するような穴が設けられていてもよい。これらの場合、タンク側逆止弁151は本体側逆止弁141に押し込まれてすぐに筒状孔の内径が一定となる範囲に到達しないため、少しタンク側逆止弁151を押した程度では弁同士は付勢付されない。この構成によれば、洗剤タンク15を取り外すときや、洗剤タンク15の挿入を完了せずに仮置きしたいときなどにすぐに取り外すことができるので、取り扱いが容易である。
[タンク側逆止弁のロック構成]
本実施の形態によると、タンク側逆止弁151は着脱可能であり、タンク側逆止弁151は、洗剤タンク15内の、タンク内受け入れ口159にはめられている。
タンク側逆止弁151は上述のように着脱可能であるため、使用者が任意で洗浄することができる。特に、タンク側逆止弁151は内部に網目状の異物補足部を有しており、この網目で異物やゴミを取り除いてから、本体側逆止弁141へと洗剤を供給する仕組みとなっている。よって、使用者は逆止弁そのものを清潔に保つだけでなく、タンク側逆止弁151を洗剤タンク15から取り外すことで、異物補足部の異物を取り除くことができる。
洗剤タンク15からタンク側逆止弁151が取りはずされたのち、洗剤タンク15内に逆止弁を戻すときには、タンク側逆止弁151をキャップのように回転させ、逆止弁を洗剤タンク15に対して閉めて固定することで、タンク側逆止弁151とタンク内受け入れ口159との間から洗剤が漏れ出すことを防ぐ。このようにタンク側逆止弁151がタンク内受け入れ口159に対して固定され、閉められることを、以下では逆止弁がロックされると表現する。
万が一、使用者がタンク側逆止弁151を取り外したのちロックをし忘れたまま、洗剤タンク15を洗剤タンク収納部14に挿入し、その後洗剤タンク収納部14を引き抜いた場合、タンク側逆止弁151が外れてしまい、洗剤が漏れ出してしまう。
このロックの仕組みは、タンク側逆止弁151に設けられた傾斜突起160と、タンク内受け入れ口159の先端に設けられた突起嵌合孔との間で嵌合することによる。傾斜突起160は径方向に勾配を有する突起であり、この傾斜突起160が、勾配の低い方から高い方へと向かって回転する。一方、突起嵌合孔は傾斜突起160の回転方向において、孔の端部に傾斜突起160の勾配とは逆の、高い方から低い方への勾配を有する。そして、傾斜突起160の高くなっていく径方向の勾配の高さが、突起嵌合孔の低くなっていく径方向の高さを超える位置まで回転したとき、傾斜突起160はそれ以上回転できなくなり、回転方向、奥行き方向、上下方向においてタンク側逆止弁151は動かなくなるため、タンク側逆止弁151は、タンク内受け入れ口159に固定される。
タンク側逆止弁151は使用者が自ら閉めてもよいし、以下に説明するように、洗剤タンクを挿入しセットするときに、自動でロックされる構成としてもよい。自動でロックされる仕組みとした場合、使用者が逆止弁を差し込んだだけの状態で、閉め忘れたまま洗剤タンクを挿入してしまったとしても、挿入時に逆止弁が自動でロックされることで、タンク側逆止弁151とタンク内受け入れ口159との間から洗剤が漏れ出すことを防ぐことができる。
具体的には、傾斜突起160を回転させるために、タンク側逆止弁151の外面の一部と、洗剤タンク収納部14内の一部と、が当接するような構成であってもよい。
本実施の形態では、タンク側逆止弁151先端の洗剤吐出口152に弁先端突起157が設けられ、弁先端突起157が回転させられることで、タンク側逆止弁151全体が傾斜突起160とともに回転する。
弁先端突起157は1つ以上であればよいが、本実施の形態では、弁先端突起157は複数設けられている。具体的には洗剤吐出口152の外周面に、およそ180°離れた位置に2つ設けられている。弁先端突起157が2つ設けられていることにより、使用者がタンク側逆止弁151を挿入するときに、2か所で嵌合されるため、1つの突起であるときに比べて嵌合する確率が2倍に増え、挿入時の手間を減らすことができる。もちろん弁先端突起157は2つ以上であってもよい。
また本実施の形態では、図13などにあるように、弁先端突起157は、円筒形状であるタンク側逆止弁151の外表面に対して垂直であって、径方向に平面が伸びるような平板形状により形成される。なお弁先端突起157の平板は長方形であって、長方形の径方向外側の2つの角のうち、奥側の角は、洗剤タンク収納部14内の一部と当接するため角をとって丸くしてある。
本実施の形態によれば、弁先端突起157が洗剤タンク収納部14の内側面の一部と当接することにより回転する。具体的には、洗剤タンク収納部14の内側面に、突出したリブが設けられる。このリブにより弁先端突起157が回転する。
ここで図11はタンク側逆止弁151装着前である洗剤タンク15の概略正面図であり、図12はタンク側逆止弁151装着中である洗剤タンク15の概略正面図である。このようにして、タンク側逆止弁151が着脱されている。
リブにより弁先端突起157が回転するとき、リブが、タンク側逆止弁の先端形状に沿った形状に形成されていれば、タンク側逆止弁151および弁先端突起157は、回転しながらでもスムーズに挿入されることが可能となる。
本実施の形態では、洗剤吐出口152は円筒状であるため、リブの内側面は円筒形状に沿うよう湾曲形状で形成される。さらに、タンク側逆止弁151が押し込まれる動作と弁先端突起157がリブに当接する動作が同時に起こる。つまり、弁先端突起157は、奥側に進みながら回転する必要があるため、リブは奥側に進むにつれて大きくカーブがかかるような、立体的な螺旋型に形成される。この螺旋型リブ143は、螺旋形状の段差部144と湾曲形状の内側面145とを有する。
そして洗剤タンク収納部14に洗剤タンク15が挿入されると、奥側にスライドしていくと同時に、弁先端突起157が螺旋型リブ143と当接しながら回転する。特に螺旋型リブ143は、奥行き方向において奥側に進むにつれて、下方に大きくカーブがかかったような、末広がりの螺旋形状の段差部144を有している。よって、タンク側逆止弁151が押し込まれると、上方に位置していた弁先端突起157は、末広がり螺旋型の段差144に当接しながら誘導されて下方に向かって回転していく。弁先端突起157が螺旋型リブ143の奥側終端に到達すると、傾斜突起160が突起嵌合孔と嵌合する位置まで回転し終えるため、タンク側逆止弁151は、タンク内受け入れ口159にロックされる。
つまり、タンク側逆止弁151が本体側逆止弁141と付勢される位置にあるとき、螺旋型リブ143の奥側終端部が位置するように、螺旋型リブ143は配置されている。そ
して本実施の形態では、螺旋型リブ143は洗剤タンク収納部14内側面の、食器洗い機における正面側、かつ洗剤タンク奥行き方向において奥側に形成される。
洗剤タンク15が挿入され、螺旋型リブ143が回転していく様子は、例えば図13、図14、図7の順で表される。
なお、図13は、弁先端突起157が螺旋型リブ143の手前側端部に当接し、段差144に誘導されて下方に向かって回転する直前の斜視図である。図14は、弁先端突起157が段差144に当接し、誘導されて下方に向かって回転している途中の斜視図である。そして図15は、タンク側逆止弁151と螺旋型リブ143近傍の部分拡大斜視図である。
このように洗剤タンク収納部14に洗剤タンク15が挿入されると同時に、自動で洗剤タンク15に対してタンク側逆止弁151が閉められる構成であれば、使用者の逆止弁の挿入が甘かった時や、閉め忘れたまま挿入してしまった時にも、タンク側逆止弁151とタンク内受け入れ口159との間から洗剤が漏れ出すことを防ぐことができる。
本実施の形態では、タンク側逆止弁151が弁先端突起157により回転することで、自動的にロックがかかる構成としたが、洗剤が漏れ出すことを防ぐようにロックされる構成であれば、これに限られない。例えば、タンク側逆止弁151が押し込まれると同時にワンタッチでタンク内受け入れ口159に設けた嵌合部にはまり、ロックされる構成であってもよいし、弁先端突起ではなく、キャップの縁にあるようなスクリュー型を設けるなど、異なる手段により回転されてもよい。
また本実施の形態では、タンク側逆止弁151がロックされ、洗剤タンク15から液体洗剤が漏れない状態となってから、タンク側逆止弁151と本体側逆止弁141とが嵌合し付勢される。しかしこの順番は異なる構成であってもよい。
[洗浄装置の制御方法について]
制御装置19は、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、集積回路などのハードウエアにより実現される。
制御装置19は、工程制御部、検知結果取得部、液位判定部、洗剤タンク収納判定部、送液制御部、報知部、放置時間取得部、送液目標量判定部、メモリ、などを備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
工程制御部は、食器洗い機による洗浄運転を制御する。工程制御部は、食器洗い機の操作部から使用者による指示を受け付け、指示にしたがって洗浄運転を制御する。工程制御部は、洗浄工程、すすぎ工程、および乾燥工程を連続的に実行してもよいし、いずれかの工程のみを実行してもよいし、いずれか2以上の工程の組合せを任意の順序で実行してもよい。
検知結果取得部は、磁気センサによる検知結果を磁気センサから取得する。上述したように、磁気センサは、フロート30に設けられた磁性体の磁気を検知する。
液位判定部は、検知結果取得部により取得された検知結果に基づいて、洗剤タンク15に貯留された液体洗剤の液位を判定する。液位判定部は、例えば、設置位置の異なる複数のホール素子により検知された磁気に基づいて磁性体の位置を判定し、判定された磁性体の位置に基づいて液体洗剤の液位を判定してもよい。
洗剤タンク収納判定部は、検知結果取得部により取得された検知結果に基づいて、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されているか否かを判定する。洗剤タンク収納判定部は、磁気センサが磁性体の磁気を検知したことを示す検知結果が検知結果取得部により取得された場合に、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されていると判定する。洗剤タンク収納判定部は、磁気センサが磁性体の磁気を検知しなかったことを示す検知結果が検知結果取得部により取得された場合に、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されていないと判定する。
送液制御部は、洗剤タンク15に貯留されている液体洗剤を洗浄槽1へ送液するために洗剤ポンプ16を制御する。送液制御部は、後述するように、送液目標量判定部により判定された量の液体洗剤が洗浄槽1に供給されるように洗剤ポンプ16を制御する。送液制御部は、送液目標量判定部により判定された量の液体洗剤の送液が終了すると、送液終了時刻をメモリに記録する。
送液制御部は、洗剤タンク収納判定部により洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されていないと判定された場合、液体洗剤を洗剤タンク15から洗浄槽1へ送液しないように洗剤ポンプ16を制御する。これにより、洗剤が洗浄槽1に供給されないまま洗浄工程が実行されるのを防ぐことができる。また、洗剤タンク15から洗浄槽1に至る液体洗剤の流路に空気が送り込まれて、次回以降に洗浄を実行する際に送液目標量の洗剤が洗浄槽1に適切に供給されなくなってしまうのを防ぐことができる。
[実施の形態1における効果等]
実施の形態1に係る洗浄装置によれば、以下の効果を奏することができる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機は、筐体2と、筐体2内に設けられ、被洗浄物を収容する洗浄槽1と、洗浄槽1に供給される液体洗剤を貯留するための洗剤タンク15と、を備え、洗剤タンク15は筐体2内の洗剤タンク収納部14に出し入れ可能であって、洗剤タンク15は洗剤の液漏れを防ぐタンク側逆止弁151を有し、洗剤タンク収納部14は洗剤の液漏れを防ぐ本体側逆止弁141を有し、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に挿入されるとき、タンク側逆止弁151の外面の一部と洗剤タンク収納部14の内面の一部とが当接してタンク側逆止弁151を回転させることで、洗剤タンク15に対してタンク側逆止弁151が固定される。
このような構成により、洗剤タンク15を出し入れ可能な構成としたとしても、洗剤タンク側と本体側との間から洗剤が漏れ出すことを防ぐことができる。そのため洗剤タンク15を使用者が出し入れする際にも、周囲を汚すなどして使用者の手を煩わすことなく、使用することができる。また、洗剤タンク15が収納されるとき、逆止弁が自動でロックされる仕組みであるため、使用者が逆止弁を閉め忘れたまま洗剤タンク15を挿入してしまう、または何らかの接触で逆止弁が閉まっていない状態であったとしても、挿入時に逆止弁が自動で閉められ固定されることで、タンク側逆止弁151とタンク内受け入れ口159との間から洗剤が漏れ出すことを防ぐことができる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機は、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に挿入されるとき、洗剤タンク15に対してタンク側逆止弁151が固定されるとともに、洗剤タンク15から洗浄槽1本体へと洗剤を供給する通路を開通させ、本体側逆止弁14
1でタンク側逆止弁151を押圧してシールする。
このような構成により、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に挿入され、本体側逆止弁141とタンク側逆止弁151との間を洗剤が通過している時にも、両逆止弁の間から洗剤が漏れ出すことを防ぐことができる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機において、タンク側逆止弁151は、洗剤タンク15から取り外し可能であって、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14内の所定の位置まで挿入されたとき、洗剤タンク15に対してタンク側逆止弁151が固定される。
このような構成により、タンク側逆止弁151を使用者が任意で取り外し、洗浄することができる。また自動でロックされる仕組みとした場合、使用者が逆止弁を差し込んだだけの状態で、閉め忘れたまま洗剤タンクを挿入してしまったとしても、挿入時に逆止弁が自動でロックされることで、タンク側逆止弁151とタンク内受け入れ口159との間から洗剤が漏れ出すことを防ぐことができる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機において、タンク側逆止弁151は、先端に洗剤吐出口152を有し、洗剤吐出口152の外周には突起157が設けられている。
このような構成により、突起157と洗剤タンク収納部14の内面の一部とが当接してタンク側逆止弁151を回転させることで、洗剤タンク15に対してタンク側逆止弁151を閉めることができる。突起を設けた構成とすることで、小さなタンク側逆止弁151であっても容易に取り付け可能であり、新たなスペースや大きな構成を加える必要なく、自動ロックの構成を用いることができる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機において、洗剤吐出口152の外周には、突起157が複数個設けられている。
このような構成により、使用者がタンク側逆止弁151を挿入するときに、複数か所で突起と洗剤タンク収納部14の内面の一部とが当接するため、使用者が逆止弁の向きを確認せずにタンク内受け入れ口159に差し込んだとしても、1つの突起であるときに比べて当接する確率が上がり、挿入時の手間やロックに要する時間を減らすことができる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機において、洗剤タンク収納部14の内面に突出したリブ143が設けられ、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に挿入されるとき、突起157がリブ143に当接しながら挿入されることによって、突起157が所定の位置まで回転される。
このような構成により、使用者が洗剤タンク15を洗剤タンク収納部14へ挿入すると同時に、逆止弁が自動でロックされる。そしてリブ143は洗剤タンク収納部14の内面に突出しているため、外観のデザインに違和感なく使用可能であり、新たなスペースや構成を加える必要がない。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機において、突起157が所定の位置まで回転した時、洗剤タンク15に対してタンク側逆止弁151が固定される。
このような構成により、使用者が洗剤タンク15を洗剤タンク収納部14へ挿入すると、タンク側逆止弁151が最後まで閉め切られる。そのためタンク側逆止弁151とタンク内受け入れ口159との間から洗剤が漏れ出すことを防ぐことができる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機において、リブ143はタンク側逆止弁151の先端形状に沿った形状に形成され、リブ143によって突起157が回転される。
このような構成により、リブとタンク側逆止弁151の先端形状が引っかかるまたは、つかえる心配がなく、使用者は洗剤タンク15を挿入する際にスムーズに押し込むことができる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機において、タンク側逆止弁151の先端は円筒形状であって、リブ143の内側面145はタンク側逆止弁151の先端に沿う湾曲形状で形成され、洗剤タンク収納部14に洗剤タンク15が挿入されたとき、リブ143と突起157とが当接しながら、タンク側逆止弁151はリブ143の内側面145をスライドしていき、突起157は回転終了と同時にリブ143の終端に到達する。
このような構成により、リブとタンク側逆止弁151の先端形状が引っかかるまたは、つかえる心配がなく、使用者は洗剤タンク15を挿入する際にスムーズに押し込むことができる。
(実施の形態2)
以下、図16および17を用いて、実施の形態2を説明する。なお、おおよその構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
[洗剤タンク周りの構成]
図16は、洗剤タンク15の底面の下に、着脱可能なトレイ200が配置されているときの、洗剤タンク15付近の正面断面図である。また図17は、トレイ200が配置されているときの、洗剤タンク15付近の概略斜視図である。
実施の形態2において、食器洗い機は、洗剤タンク収納部14内において、洗剤タンク15の底面に板状のトレイ200を備える。トレイ200を備えることで、洗剤タンク15や逆止弁、またはタンク内受け入れ口159から万が一洗剤が漏れてしまった場合にも、食器洗い機内に垂れることなく、トレイで洗剤を受け止めることができる。また、食器洗い機1内に漏れてしまった洗剤を使用者がふき取ることは難しいが、トレイ200であれば使用者も容易にふき取ることが可能となる。
もちろん、トレイ200を設ける際には、実施の形態1のような着脱可能な逆止弁を備えている食器洗い機である必要はなく、洗剤投入時に洗剤タンク15から垂れてしまった洗剤を受け止める、または洗剤タンク15下を洗浄し清潔に保つため、などにも有用である。
そしてトレイ200の縁は、複数段階の段差を備える。特に本実施の形態では、トレイ200の縁は3段階に高さが分けられ、第1高さ201、第2高さ202、第3高さ203を有する。奥行き方向奥側に位置する第3高さ203が最も高く、真ん中に位置する第2高さ202が続き、最もレ前側に位置する第1高さ201が最も低い高さで構成されている。これらの縁は、トレイの両サイドに設けられている。
トレイ200の縁の高さを、洗剤タンク15と係合するような一様な高さに構成すると、洗剤タンク15が引き出されたときにトレイ200が引っ付いて一緒に引き出されてしまうことが実験によりわかった。そこで、本実施の形態のように複数段階の高さでトレイの縁を構成することで、洗剤タンク15が手前に引き出されたときに、洗剤タンク15と一緒にトレイ200が意図せず引き出されてしまうことを抑制することができる。
また、トレイ200の両サイドに設けられる2つの第3高さ203に挟まれた、奥側の側面の縁は、
タンク側逆止弁151の先端の形状がはまるような形状に構成されている。本実施の形態では、タンク側逆止弁151の先端が円筒形状であるため、奥側の側面は湾曲形状の縁部204が形成され、タンク側逆止弁151の先端がはまりやすいような構成にされている。
さらに、弁先端突起157を回転させる螺旋型リブ143がトレイ200に形成されていてもよい。特に第2高さ202や、第3高さ203の片側に設けておき、洗剤タンク15が収納されたときに、弁先端突起157を回転させるように構成されてもよい。また螺旋型リブ143がトレイ200の縁に設けられるとき、リブ143は螺旋型でなくてもよく、弁先端突起157を回転させられる形状の突起であればよい。
しかしこれらの例に限られず、螺旋型リブ143は弁先端突起157を回転させられる構成であればよい。また弁先端突起が複数ある場合は、複数のうち1つ以上の突起を回転させることができる構成であればよい。
[実施の形態2における効果等]
実施の形態2に係る洗浄装置によれば、以下の効果を奏することができる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機は、筐体2と、筐体2内に設けられ、被洗浄物を収容する洗浄槽1と、洗浄槽1に供給される液体洗剤を貯留するための洗剤タンク15と、を備え、洗剤タンク15は筐体2内の洗剤タンク収納部14に出し入れ可能であって、洗剤タンク収納部14は底面に板状のトレイ200を有し、洗剤タンク15はトレイ200の上に設置される。
このような構成により、洗剤タンク15や逆止弁から万が一洗剤が漏れてしまった場合にも、食器洗い機内に垂れることなく、トレイで洗剤を受け止めることができる。また、食器洗い機1内に漏れてしまった洗剤を使用者がふき取ることは難しいが、トレイ200であれば使用者が容易にふき取りや定期的な掃除を行うことが可能となる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機において、トレイ200は着脱可能であって、縁部の高さが複数段階で形成される。
このような構成により、洗剤タンク15や逆止弁から万が一洗剤が漏れてしまった場合にも、食器洗い機内に垂れることなく、トレイ200で洗剤を受け止めることができる。また、トレイ200が汚れた場合には、使用者がトレイ200を引き出し、容易にふき取りや掃除を行うことが可能となる。そしてトレイ200内に洗剤が漏れた場合にも、縁部が高さを有するためトレイから外に洗剤が漏れることを防ぐことができる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機において、トレイ200の縁部は、洗剤タンク15の奥行き方向について、奥側に向けて高くなる。
このような構成により、トレイ200内に洗剤が漏れた場合にも、縁部が高さを有するためトレイから外に洗剤が漏れることを防ぐことができる。またトレイ200奥側の縁部が高くなるように構成されているため、洗剤タンク15が手前に引き出されたときに、洗剤タンク15と一緒にトレイ200が意図せず引き出されてしまうことを抑制することができる。
本開示の実施の形態1に係る食器洗い機において、トレイ200の縁部にリブ143が
設けられる。
このような構成により、洗剤タンク15が収納されたときに、突起157を回転させるように構成することができる。このような構成の場合、洗剤タンク収納部14と洗剤タンク15との間に十分なスペースがなかったとしても、トレイ200にリブ143を設けることで、タンク側逆止弁151を自動ロックする仕組みを搭載することができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。