JPH08335977A - 拡声通話装置 - Google Patents
拡声通話装置Info
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- JPH08335977A JPH08335977A JP16464295A JP16464295A JPH08335977A JP H08335977 A JPH08335977 A JP H08335977A JP 16464295 A JP16464295 A JP 16464295A JP 16464295 A JP16464295 A JP 16464295A JP H08335977 A JPH08335977 A JP H08335977A
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Links
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Landscapes
- Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 エコーキャンセラ及びエコーサプレッサを備
えた拡声通話装置であって,比較的簡単で安価な構成に
より,双方向同時通話性が高く,ハウリングが抑制され
た良好な拡声通話が行え,又ハンドセット通話において
も良好な通話が行える拡声通話装置を提供すること。 【構成】 減衰制御器22の命令により,結合量測定部
23が送話信号経路9と,受話信号経路15とへ結合量
を測定するための信号(例えば白色雑音)を出力し,こ
の信号の受話側と送話側との検出レベル差に基づいて音
響結合量,回線結合量を算出し,この算出結果に基づい
て減衰制御器22が送話信号可変減衰器13の減衰量
と,受話信号可変減衰器19の減衰量との和を設定し,
ハウリング検出器41と減衰制御器22によってハウリ
ングの抑制を行う。
えた拡声通話装置であって,比較的簡単で安価な構成に
より,双方向同時通話性が高く,ハウリングが抑制され
た良好な拡声通話が行え,又ハンドセット通話において
も良好な通話が行える拡声通話装置を提供すること。 【構成】 減衰制御器22の命令により,結合量測定部
23が送話信号経路9と,受話信号経路15とへ結合量
を測定するための信号(例えば白色雑音)を出力し,こ
の信号の受話側と送話側との検出レベル差に基づいて音
響結合量,回線結合量を算出し,この算出結果に基づい
て減衰制御器22が送話信号可変減衰器13の減衰量
と,受話信号可変減衰器19の減衰量との和を設定し,
ハウリング検出器41と減衰制御器22によってハウリ
ングの抑制を行う。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ハンズフリー通話器や
電話会議システム等の拡声通話装置に関し,詳しくは送
受する信号のレベルに応じて音声を切り換えるための技
術に関する。
電話会議システム等の拡声通話装置に関し,詳しくは送
受する信号のレベルに応じて音声を切り換えるための技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】拡声通話装置においてスピーカとマイク
ロフォンを用いて拡声通話を行う場合,ハウリングを防
止するために拡声通話装置内での一巡利得及び回線から
回路に入力された信号が回線に戻される信号の割合を表
すリターン量を小さくする必要がある。そのため,送話
信号と受話信号のレベルに応じて,送話信号が電話回線
に伝送される送話信号経路中および受話信号がスピーカ
に伝送される受話信号経路中にそれぞれ設けられた送話
信号可変減衰器,受話信号可変減衰器の減衰量を相補的
に制御する技術が用いられる。このような拡声通話装置
における通話中の回線エコー,または音響エコーの発生
を防止するために従来提案された技術として図4〜図7
がある。例えば図4は独国特許PAT.3839627に提
案されたものである。同図に示す通話装置には,スピー
カ251からマイクロフォン253への音響エコーをキ
ャンセルするために,送話ライン55と受話ライン57
との間に適応型のFIR(Finite Inpulse Response) フ
ィルタ267を備えた音響エコーキャンセル回路265
が設けられている。更に装置にはマイクロフォン253
からの送話音量と回線からの受話音量を比較し,その大
小関係に応じて送話ライン255,および受話ライン2
57にある減衰器259,261の減衰量を制御する制
御部(control unit)263が設けられている。これによ
り装置は,音響エコーキャンセル回路265による減衰
量の分だけ,制御部63によって減衰器259,261
の減衰量をダイナミックに低減して浅い減衰量にし,送
話ライン255,受話ライン257,音響エコーキャン
セル回路265のそれぞれにおける減衰量と,スピーカ
251からマイクロフォン253への音響結合による減
衰量とのトータルの減衰量を一定にしている。このこと
により,適応型FIRフィルタ267の係数の適応が進
んで音響エコーキャンセル回路265の減衰量が大きく
なるのに応じて減衰器259または減衰器261の減衰
量が小さくなり,最終的にはほぼ双方向同時通話(前二
重)になるようにしている。この装置の減衰量を抑制す
る際の動作は以下の通りである。
ロフォンを用いて拡声通話を行う場合,ハウリングを防
止するために拡声通話装置内での一巡利得及び回線から
回路に入力された信号が回線に戻される信号の割合を表
すリターン量を小さくする必要がある。そのため,送話
信号と受話信号のレベルに応じて,送話信号が電話回線
に伝送される送話信号経路中および受話信号がスピーカ
に伝送される受話信号経路中にそれぞれ設けられた送話
信号可変減衰器,受話信号可変減衰器の減衰量を相補的
に制御する技術が用いられる。このような拡声通話装置
における通話中の回線エコー,または音響エコーの発生
を防止するために従来提案された技術として図4〜図7
がある。例えば図4は独国特許PAT.3839627に提
案されたものである。同図に示す通話装置には,スピー
カ251からマイクロフォン253への音響エコーをキ
ャンセルするために,送話ライン55と受話ライン57
との間に適応型のFIR(Finite Inpulse Response) フ
ィルタ267を備えた音響エコーキャンセル回路265
が設けられている。更に装置にはマイクロフォン253
からの送話音量と回線からの受話音量を比較し,その大
小関係に応じて送話ライン255,および受話ライン2
57にある減衰器259,261の減衰量を制御する制
御部(control unit)263が設けられている。これによ
り装置は,音響エコーキャンセル回路265による減衰
量の分だけ,制御部63によって減衰器259,261
の減衰量をダイナミックに低減して浅い減衰量にし,送
話ライン255,受話ライン257,音響エコーキャン
セル回路265のそれぞれにおける減衰量と,スピーカ
251からマイクロフォン253への音響結合による減
衰量とのトータルの減衰量を一定にしている。このこと
により,適応型FIRフィルタ267の係数の適応が進
んで音響エコーキャンセル回路265の減衰量が大きく
なるのに応じて減衰器259または減衰器261の減衰
量が小さくなり,最終的にはほぼ双方向同時通話(前二
重)になるようにしている。この装置の減衰量を抑制す
る際の動作は以下の通りである。
【0003】 最初,送話ライン255,受話ライン
257上の減衰器259,261が制御部263によっ
て制御されることによって,通常のエコーサプレッサの
みが機能する。 次に,相手話者が話し始めると,適応型フィルタ2
67が適応を開始し,音響エコー分に対して何がしかの
減衰量Rを生じさせる。 この減衰量R分だけ,エコーサプレッサにおける減
衰量を低減する。 これによって,エコーサプレッサによる片方向(半
二重)特性が軽減される。適応が十分進んで適応型フィ
ルタ267の係数が収束したとき,音響エコーキャンセ
ルの性能が十分大きければ,減衰器259及び261の
減衰量はほぼ0になり,双方向同時通話(全二重)が可
能になる。なお,両者が話しているとき(ダブルトーク
時)は,適応型フィルタ267の学習を禁止しなければ
ならないが,相手の音声は音響エコーキャンセル回路2
65によって減衰しており,マイクロフォン253から
入力される本人の音声と混ざらないので正確なダブルト
ーク検出が可能である。図5は,特公平4−50786
号公報に提案されたハンズフリー回路のブロック図であ
る。同図において,近端話者による送話音声信号は電話
機401のマイクロホン402に入力される。マイクロ
ホン402に入力された音声信号は,マイクアンプ40
3で増幅され,送話信号可変減衰器405,増幅器40
7を通過して,出力端子409からハイブリッドトラン
スを介して電話回線に出力される。
257上の減衰器259,261が制御部263によっ
て制御されることによって,通常のエコーサプレッサの
みが機能する。 次に,相手話者が話し始めると,適応型フィルタ2
67が適応を開始し,音響エコー分に対して何がしかの
減衰量Rを生じさせる。 この減衰量R分だけ,エコーサプレッサにおける減
衰量を低減する。 これによって,エコーサプレッサによる片方向(半
二重)特性が軽減される。適応が十分進んで適応型フィ
ルタ267の係数が収束したとき,音響エコーキャンセ
ルの性能が十分大きければ,減衰器259及び261の
減衰量はほぼ0になり,双方向同時通話(全二重)が可
能になる。なお,両者が話しているとき(ダブルトーク
時)は,適応型フィルタ267の学習を禁止しなければ
ならないが,相手の音声は音響エコーキャンセル回路2
65によって減衰しており,マイクロフォン253から
入力される本人の音声と混ざらないので正確なダブルト
ーク検出が可能である。図5は,特公平4−50786
号公報に提案されたハンズフリー回路のブロック図であ
る。同図において,近端話者による送話音声信号は電話
機401のマイクロホン402に入力される。マイクロ
ホン402に入力された音声信号は,マイクアンプ40
3で増幅され,送話信号可変減衰器405,増幅器40
7を通過して,出力端子409からハイブリッドトラン
スを介して電話回線に出力される。
【0004】また,遠端話者の側から電話回線を介して
送出されてきた受話信号は,入力端子411からハイブ
リッドトランスを介して電話機401内に入り,増幅器
413,受話信号可変減衰器415,スピーカアンプ4
17を通過してスピーカ419により出力され,近端話
者に到達する。ここで,送話信号可変減衰器405の減
衰量および受話信号可変減衰器415の減衰量は,送話
信号,受話信号の大小に基づいて制御部420によって
制御される。すなわち,送話信号のレベルと受話信号の
レベルが比較器421,423で比較される。また,信
号対雑音検出器427によって送話信号における音声の
有無,信号対雑音検出器425によって受話信号におけ
る音声の有無が検出される。比較器421,423およ
び信号対雑音検出器425,427の出力信号によって
制御部420は,送話モード,受話モード,高速・緩速
アイドルモードのどのモードであるべきかを判断し,そ
れによって送話信号可変減衰器405の減衰量および受
話信号可変減衰器415の減衰量を決定する。送話信号
可変減衰器405の減衰量および受話信号可変減衰器4
15の減衰量は相補的に制御,すなわち両者の減衰量の
和が一定になるように相補的関係に維持されつつ制御さ
れる。比較器421,423の両方において送話信号レ
ベルが受話信号レベルよりも大きく,信号対雑音検出器
427によって音声が検出された場合には送話モードと
なり,送話信号可変減衰器405の減衰量が最小,受話
信号可変減衰器415の減衰量が最大に設定される。ま
た,比較器421,423の両方において受話信号レベ
ルが送話信号レベルよりも大きく,信号対雑音検出器4
25によって音声が検出された場合には受話モードとな
り,送話信号可変減衰器405の減衰量が最大,受話信
号可変減衰器415の減衰量が最小に設定される。送話
信号および受話信号の両方で音声が検出されない場合に
は緩速アイドルモード,比較器421,423における
送話・受話信号レベルの比較結果が不一致で,かつ信号
対雑音検出器425,427の少なくともいずれか一方
が音声を検出した場合には,高速アイドルモードとな
り,送話信号可変減衰器405と受話信号可変減衰器4
15の減衰量は共に中間的レベルにおかれる。いずれの
モードにおいても,送話信号可変減衰器405の減衰量
と受話信号可変減衰器415の減衰量との和を所定の一
定値に保つことによってハウリングのない安定した状態
の通話を可能としている。
送出されてきた受話信号は,入力端子411からハイブ
リッドトランスを介して電話機401内に入り,増幅器
413,受話信号可変減衰器415,スピーカアンプ4
17を通過してスピーカ419により出力され,近端話
者に到達する。ここで,送話信号可変減衰器405の減
衰量および受話信号可変減衰器415の減衰量は,送話
信号,受話信号の大小に基づいて制御部420によって
制御される。すなわち,送話信号のレベルと受話信号の
レベルが比較器421,423で比較される。また,信
号対雑音検出器427によって送話信号における音声の
有無,信号対雑音検出器425によって受話信号におけ
る音声の有無が検出される。比較器421,423およ
び信号対雑音検出器425,427の出力信号によって
制御部420は,送話モード,受話モード,高速・緩速
アイドルモードのどのモードであるべきかを判断し,そ
れによって送話信号可変減衰器405の減衰量および受
話信号可変減衰器415の減衰量を決定する。送話信号
可変減衰器405の減衰量および受話信号可変減衰器4
15の減衰量は相補的に制御,すなわち両者の減衰量の
和が一定になるように相補的関係に維持されつつ制御さ
れる。比較器421,423の両方において送話信号レ
ベルが受話信号レベルよりも大きく,信号対雑音検出器
427によって音声が検出された場合には送話モードと
なり,送話信号可変減衰器405の減衰量が最小,受話
信号可変減衰器415の減衰量が最大に設定される。ま
た,比較器421,423の両方において受話信号レベ
ルが送話信号レベルよりも大きく,信号対雑音検出器4
25によって音声が検出された場合には受話モードとな
り,送話信号可変減衰器405の減衰量が最大,受話信
号可変減衰器415の減衰量が最小に設定される。送話
信号および受話信号の両方で音声が検出されない場合に
は緩速アイドルモード,比較器421,423における
送話・受話信号レベルの比較結果が不一致で,かつ信号
対雑音検出器425,427の少なくともいずれか一方
が音声を検出した場合には,高速アイドルモードとな
り,送話信号可変減衰器405と受話信号可変減衰器4
15の減衰量は共に中間的レベルにおかれる。いずれの
モードにおいても,送話信号可変減衰器405の減衰量
と受話信号可変減衰器415の減衰量との和を所定の一
定値に保つことによってハウリングのない安定した状態
の通話を可能としている。
【0005】また,図6は,米国特許Pat.No.3
952166に提案された従来のハンズフリー回路の構
成例である。同図において,近端話者による送話音声信
号は電話機501のマイクロホン503に入力される。
マイクロホン503に入力された音声信号は,マイクア
ンプ505で増幅され,送話信号可変減衰器507を通
過し,出力端子509から,ハイブリッドトランスを介
して電話回線に出力される。また,遠端話者側の電話機
から電話回線を介して送出されてきた受話信号は,ハイ
ブリッドトランスを経て入力端子511から電話機50
1内に入り,受話信号可変減衰器513,スピーカアン
プ515を通過してスピーカ517から出力され,近端
話者に到達する。ここで,送話信号可変減衰器507の
減衰量および受話信号可変減衰器513の減衰量は,図
5の従来技術例と同様に送話信号,受話信号の大小によ
って相補的に制御されるが,通話中に通話音声を利用し
て,音響結合量及び回線結合量の測定を行う。すなわ
ち,近端話者から話す送話中には,送話信号経路中の音
声信号レベルに対する受話信号経路中の音声信号レベル
を検出することで回線結合量を測定し,最初に設定され
ている回線結合量よりも小さい場合には,その差だけ受
話信号可変減衰器513の減衰量を小さく変更する。ま
た,遠端話者が話す受話中には,受話信号経路中の音声
信号レベルに対する送話信号経路中の音声信号レベルを
検出することで音響結合量を測定し,最初に設定されて
いる音響結合量よりも小さい場合には,その差だけ送話
信号可変減衰器507の減衰量を小さく変更する。この
操作を通話中に継続して行うことによって,送話信号可
変減衰器507および受話信号可変減衰器513の減衰
量を拡声通話装置が置かれた状態に対応させて好適に調
整していくことができ,ハンズフリー回路におけるハウ
リング余裕が不必要に大きくなることを避け,送話信号
可変減衰器507および受話信号可変減衰器513の減
衰量の変化量を少しでも少なくして,相方向同時通話性
を向上させることが可能となる。
952166に提案された従来のハンズフリー回路の構
成例である。同図において,近端話者による送話音声信
号は電話機501のマイクロホン503に入力される。
マイクロホン503に入力された音声信号は,マイクア
ンプ505で増幅され,送話信号可変減衰器507を通
過し,出力端子509から,ハイブリッドトランスを介
して電話回線に出力される。また,遠端話者側の電話機
から電話回線を介して送出されてきた受話信号は,ハイ
ブリッドトランスを経て入力端子511から電話機50
1内に入り,受話信号可変減衰器513,スピーカアン
プ515を通過してスピーカ517から出力され,近端
話者に到達する。ここで,送話信号可変減衰器507の
減衰量および受話信号可変減衰器513の減衰量は,図
5の従来技術例と同様に送話信号,受話信号の大小によ
って相補的に制御されるが,通話中に通話音声を利用し
て,音響結合量及び回線結合量の測定を行う。すなわ
ち,近端話者から話す送話中には,送話信号経路中の音
声信号レベルに対する受話信号経路中の音声信号レベル
を検出することで回線結合量を測定し,最初に設定され
ている回線結合量よりも小さい場合には,その差だけ受
話信号可変減衰器513の減衰量を小さく変更する。ま
た,遠端話者が話す受話中には,受話信号経路中の音声
信号レベルに対する送話信号経路中の音声信号レベルを
検出することで音響結合量を測定し,最初に設定されて
いる音響結合量よりも小さい場合には,その差だけ送話
信号可変減衰器507の減衰量を小さく変更する。この
操作を通話中に継続して行うことによって,送話信号可
変減衰器507および受話信号可変減衰器513の減衰
量を拡声通話装置が置かれた状態に対応させて好適に調
整していくことができ,ハンズフリー回路におけるハウ
リング余裕が不必要に大きくなることを避け,送話信号
可変減衰器507および受話信号可変減衰器513の減
衰量の変化量を少しでも少なくして,相方向同時通話性
を向上させることが可能となる。
【0006】図7は特開平2−67049号公報に提案
された従来のハンズフリー回路の一例を示すブロック図
である。同図において,近端話者による送話音声信号は
マイクロホン601に入力される。マイクロホン601
に入力された音声信号は,マイクアンプ602で増幅さ
れ,アッテネータ607を通過する。また,電話回線か
ら回路内に入力された受話信号は,スピーカアンプ60
5で増幅されスピーカ603によって出力され,近端話
者に到達する。ここで,アッテネータ607は,ハウリ
ングのない正常な通話が行われている場合には全く作用
しない。マイクロホン601の近傍に何等かの反射物が
存在して,スピーカ603からマイクロホン601への
音響結合量が大きくなってハウリングが起こった場合,
送話信号経路中の信号S2から帯域通過フィルタ(BP
F)611によってハウリング信号S4が抽出され,コ
ンパレータ613に入力される。コンパレータ613で
は入力されたハウリング信号と所定の基準電圧V0 とを
比較し,その結果をアッテネータコントロール回路60
9へ出力する。アッテネータコントロール回路609は
ハウリング信号が増大すればそれに伴ってアッテネータ
607の減衰率が大きくなるようにアッテネータ607
の減衰率を線形に制御し,ハンズフリー回路における一
巡利得を1以下に低減させハウリングを抑える。
された従来のハンズフリー回路の一例を示すブロック図
である。同図において,近端話者による送話音声信号は
マイクロホン601に入力される。マイクロホン601
に入力された音声信号は,マイクアンプ602で増幅さ
れ,アッテネータ607を通過する。また,電話回線か
ら回路内に入力された受話信号は,スピーカアンプ60
5で増幅されスピーカ603によって出力され,近端話
者に到達する。ここで,アッテネータ607は,ハウリ
ングのない正常な通話が行われている場合には全く作用
しない。マイクロホン601の近傍に何等かの反射物が
存在して,スピーカ603からマイクロホン601への
音響結合量が大きくなってハウリングが起こった場合,
送話信号経路中の信号S2から帯域通過フィルタ(BP
F)611によってハウリング信号S4が抽出され,コ
ンパレータ613に入力される。コンパレータ613で
は入力されたハウリング信号と所定の基準電圧V0 とを
比較し,その結果をアッテネータコントロール回路60
9へ出力する。アッテネータコントロール回路609は
ハウリング信号が増大すればそれに伴ってアッテネータ
607の減衰率が大きくなるようにアッテネータ607
の減衰率を線形に制御し,ハンズフリー回路における一
巡利得を1以下に低減させハウリングを抑える。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記図
面4の装置では,音響エコーキャンセルによって減衰さ
せた分に対応させて,ダイナミックに音声スイッチの減
衰量を低減させるため,例えば,装置が拡声電話機に適
用された場合には, (1)電話機の置かれた環境が反響し易かったり,背景
雑音が多かったりする場合には,音響エコーキャンセル
がうまく機能せず,その減衰量が急激に変化する。その
結果,エコープレッサによって制御される減衰器の減衰
量も急激に変化してしまうことになり,双方向通話状態
と片方向通話状態との間を頻繁に遷移し,頭切れやボリ
ュームの変動が生じ易くなって音声が聴き取りにくくな
ってしまう。 (2)エコープレッサの減衰量をダイナミックに制御す
るため,信号処理の演算量が増大し,相対的に高価なD
SPが必要となる。 といった問題点がある。また,図5に示した構成では,
拡声通話装置が接続される回線によって回線結合量が変
化したり,またスピーカとマイクロホンとが設置される
環境や使用状況によって音響結合量が変化したりする。
そのため,上記2つの従来例の前者の場合には,送話信
号可変減衰器の減衰量と受話信号可変減衰器の減衰量と
の和を決定する際に用いられる回線結合量およ音響結合
量は,それぞれの結合量の最大に近い状態を予め想定し
なければならないので,送話信号可変減衰器の減衰量と
受話信号可変減衰器の減衰量との和が,必要以上に大き
く決定されてしまうことが多い。このように送話信号可
変減衰器の減衰量と受話信号可変減衰器の減衰量との和
が必要以上に大きく設定されると,送話と受話の切り替
え時の可変減衰器の減衰量の変化が大きくなり,話頭切
断,語尾切断が起こり易く,また,一方が話している時
に他方が割り込んで話そうとしても,受信信号経路に挿
入された受信信号可変減衰器の減衰量が大きくなってい
るため,上記他方の声は上記一方の者に殆ど又は全く聞
こえない。即ち,双方向同時通話性が低く,通話の自然
性が損なわれる。
面4の装置では,音響エコーキャンセルによって減衰さ
せた分に対応させて,ダイナミックに音声スイッチの減
衰量を低減させるため,例えば,装置が拡声電話機に適
用された場合には, (1)電話機の置かれた環境が反響し易かったり,背景
雑音が多かったりする場合には,音響エコーキャンセル
がうまく機能せず,その減衰量が急激に変化する。その
結果,エコープレッサによって制御される減衰器の減衰
量も急激に変化してしまうことになり,双方向通話状態
と片方向通話状態との間を頻繁に遷移し,頭切れやボリ
ュームの変動が生じ易くなって音声が聴き取りにくくな
ってしまう。 (2)エコープレッサの減衰量をダイナミックに制御す
るため,信号処理の演算量が増大し,相対的に高価なD
SPが必要となる。 といった問題点がある。また,図5に示した構成では,
拡声通話装置が接続される回線によって回線結合量が変
化したり,またスピーカとマイクロホンとが設置される
環境や使用状況によって音響結合量が変化したりする。
そのため,上記2つの従来例の前者の場合には,送話信
号可変減衰器の減衰量と受話信号可変減衰器の減衰量と
の和を決定する際に用いられる回線結合量およ音響結合
量は,それぞれの結合量の最大に近い状態を予め想定し
なければならないので,送話信号可変減衰器の減衰量と
受話信号可変減衰器の減衰量との和が,必要以上に大き
く決定されてしまうことが多い。このように送話信号可
変減衰器の減衰量と受話信号可変減衰器の減衰量との和
が必要以上に大きく設定されると,送話と受話の切り替
え時の可変減衰器の減衰量の変化が大きくなり,話頭切
断,語尾切断が起こり易く,また,一方が話している時
に他方が割り込んで話そうとしても,受信信号経路に挿
入された受信信号可変減衰器の減衰量が大きくなってい
るため,上記他方の声は上記一方の者に殆ど又は全く聞
こえない。即ち,双方向同時通話性が低く,通話の自然
性が損なわれる。
【0008】また,図6に示した構成においては,通話
中に常時,音響結合量と回線結合量とを測定し,それに
合わせて送話または受話信号可変減衰器の減衰量を変化
させることで,通話中に送話または受話信号可変減衰器
の減衰量を拡声通話装置が置かれた状態に最適な状態に
調整していくが,通話中に常時音響結合量と回線結合量
とを測定し,それに合わせて送話信号可変減衰器または
受話信号可変減衰器の減衰量を調整するためには,回路
構成が複雑になったり演算処理量が増大して,装置のコ
ストが高くなる。しかも受話中に近端話者が移動する等
して音響結合量が変化すると,それに応じて送話信号に
与えられる減衰量が変化するため,特に近端話者の周囲
騒音が大きい場合には,遠端話者が受話器から聞く騒音
のレベルが変動し,不安定で不自然な通話感を与えてし
まうことがある。また,図7に示した構成では,ハウリ
ングはある周波数において一巡利得が1以上になる条件
が満たされたときに発生するため,常に一定の周波数で
起こるとは限らない。そのため,単一の帯域通過フィル
タを通過した信号のレベルを観測していても,必ずしも
ハウリングの発生を検出できるとは限らない。かといっ
て,様々な周波数でハウリングが起こり得ることを考慮
して多数の帯域通過フィルタを設けることは,回路構成
が複雑になり,コストアップを招く。また,ある周波数
帯に含まれる信号レベルが基準電圧を超えたことが検出
されても,近端話者の音声や背景雑音が極端に大きい場
合をハウリングと区別することが困難であるために誤検
出が起こる危険性が大きい。
中に常時,音響結合量と回線結合量とを測定し,それに
合わせて送話または受話信号可変減衰器の減衰量を変化
させることで,通話中に送話または受話信号可変減衰器
の減衰量を拡声通話装置が置かれた状態に最適な状態に
調整していくが,通話中に常時音響結合量と回線結合量
とを測定し,それに合わせて送話信号可変減衰器または
受話信号可変減衰器の減衰量を調整するためには,回路
構成が複雑になったり演算処理量が増大して,装置のコ
ストが高くなる。しかも受話中に近端話者が移動する等
して音響結合量が変化すると,それに応じて送話信号に
与えられる減衰量が変化するため,特に近端話者の周囲
騒音が大きい場合には,遠端話者が受話器から聞く騒音
のレベルが変動し,不安定で不自然な通話感を与えてし
まうことがある。また,図7に示した構成では,ハウリ
ングはある周波数において一巡利得が1以上になる条件
が満たされたときに発生するため,常に一定の周波数で
起こるとは限らない。そのため,単一の帯域通過フィル
タを通過した信号のレベルを観測していても,必ずしも
ハウリングの発生を検出できるとは限らない。かといっ
て,様々な周波数でハウリングが起こり得ることを考慮
して多数の帯域通過フィルタを設けることは,回路構成
が複雑になり,コストアップを招く。また,ある周波数
帯に含まれる信号レベルが基準電圧を超えたことが検出
されても,近端話者の音声や背景雑音が極端に大きい場
合をハウリングと区別することが困難であるために誤検
出が起こる危険性が大きい。
【0009】さらに,上記図面4〜図面7に示した技術
をハンドセット付のスピーカホンに適用するときには以
下の問題がある。ハンドセットを用いるハンドセット状
態で通話する場合,話者の送話音が受話信号経路にある
程度戻り,話者が自分の声を聞きながら話すほうが話し
やすいことから,回線とのインターフェースをとるハイ
ブリッドトランスの側音結合量は大きい状態に設定され
る。ハンドセット通話では,通話者の耳とスピーカー,
通話者の口とマイクロフォンが近接するため,スピーカ
ーの音量及び増幅器の利得は小さくてよく,側音結合量
が大きくてもハウリングは生じない。一方,ハンズフリ
ー状態下でも,側音結合量はハンドセット状態と同様の
ままであるが,この場合,話者はマイクロフォン,及
び,スピーカーから離れて通話するため,スピーカーの
音量及び増幅器の利得は大きく設定される。また,話者
の顔による遮蔽効果がないため,スピーカーとマイクロ
フォンとの間の音響結合も大きくなる。
をハンドセット付のスピーカホンに適用するときには以
下の問題がある。ハンドセットを用いるハンドセット状
態で通話する場合,話者の送話音が受話信号経路にある
程度戻り,話者が自分の声を聞きながら話すほうが話し
やすいことから,回線とのインターフェースをとるハイ
ブリッドトランスの側音結合量は大きい状態に設定され
る。ハンドセット通話では,通話者の耳とスピーカー,
通話者の口とマイクロフォンが近接するため,スピーカ
ーの音量及び増幅器の利得は小さくてよく,側音結合量
が大きくてもハウリングは生じない。一方,ハンズフリ
ー状態下でも,側音結合量はハンドセット状態と同様の
ままであるが,この場合,話者はマイクロフォン,及
び,スピーカーから離れて通話するため,スピーカーの
音量及び増幅器の利得は大きく設定される。また,話者
の顔による遮蔽効果がないため,スピーカーとマイクロ
フォンとの間の音響結合も大きくなる。
【0010】その結果,送話信号経路から側音結合を介
し,受話信号経路,音響結合で構成されるループゲイン
が大きくなり,ハウリングが生じやすくなる。そこで,
ハンズフリー状態では,送話信号可変減衰器,及び,受
話信号可変減衰器の減衰量を大きく,即ち,送話音量と
受話音量とを比較器で比較し,送話状態の場合には,受
話減衰器の減衰量を最大にし,受話状態では,送話減衰
器の減衰量を最大にする,いわゆる,半二重動作を行う
ように制御することが考えられるが,ただ単に送話減衰
器及び受話減衰器9の減衰量を大きくすることで対応し
ているため,半二重動作を用いることにより,その結
果,送話,受話が重なったときの話頭切れ,語尾切れが
避けられない問題があり,双方向同時通話性が大きく損
なわれる。また,送話減衰器及び受話減衰器の減衰量を
小さくすると,ハウリングが生じやすくなる。本発明
は,かかる実情に鑑み考え出されたものであり,エコー
キャンセラおよびエコーサプレッサを備えた拡声通話装
置であって,比較的簡単で安価な構成により,反響し易
かったり,背景雑音が多かったりする環境に設置された
場合であっても安定した良好な通話が行える拡声通話装
置を提供することにある。
し,受話信号経路,音響結合で構成されるループゲイン
が大きくなり,ハウリングが生じやすくなる。そこで,
ハンズフリー状態では,送話信号可変減衰器,及び,受
話信号可変減衰器の減衰量を大きく,即ち,送話音量と
受話音量とを比較器で比較し,送話状態の場合には,受
話減衰器の減衰量を最大にし,受話状態では,送話減衰
器の減衰量を最大にする,いわゆる,半二重動作を行う
ように制御することが考えられるが,ただ単に送話減衰
器及び受話減衰器9の減衰量を大きくすることで対応し
ているため,半二重動作を用いることにより,その結
果,送話,受話が重なったときの話頭切れ,語尾切れが
避けられない問題があり,双方向同時通話性が大きく損
なわれる。また,送話減衰器及び受話減衰器の減衰量を
小さくすると,ハウリングが生じやすくなる。本発明
は,かかる実情に鑑み考え出されたものであり,エコー
キャンセラおよびエコーサプレッサを備えた拡声通話装
置であって,比較的簡単で安価な構成により,反響し易
かったり,背景雑音が多かったりする環境に設置された
場合であっても安定した良好な通話が行える拡声通話装
置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために,第1の発明は,マイクロフォンから入力された
送話信号を送話信号経路を経て回線部へ伝えると共に,
上記回線部から出力された受話信号を受話信号経路を経
てスピーカーに出力する拡声通話装置であって,前記ス
ピーカーから前記マイクロフォンへの音響エコー信号を
キャンセルするためのフィルターを有する音響エコーキ
ャンセル回路及び/又は前記受話信号経路から前記回線
部へ出力されて前記送話信号経路へと回り込む回線エコ
ー信号をキャンセルするためのフィルターを有する回線
エコーキャンセル回路と,前記マイクロフォンから前記
送話信号経路へ入力された送話信号を減衰させる送話信
号可変減衰器と,前記回線部から前記受話信号経路へ入
力された受話信号を減衰させる受話信号可変減衰器と,
前記送話信号可変減衰器と前記受話信号可変減衰器とを
所定の相補的関係を維持させつつ制御する制御手段とを
備えた拡声通話装置において,所定の疑似的な信号に用
いて得られる前記送話信号経路から前記回線部を経て前
記受話信号経路に至る回線結合量を測定する回線結合量
測定手段と,所定の疑似的な信号を用いて得られる前記
スピーカーから前記マイクロフォンに至る音響結合量を
測定する音響結合量測定手段と,前記回線結合量測定手
段の測定出力と前記音響結合量測定手段の測定出力とに
基づいて,前記送話信号可変減衰器の減衰量と前記受話
信号可変減衰器の減衰量との和を設定し,該設定量を通
話が開始されていない時点で前記制御手段に送るゲイン
設定手段とを備えたことを特徴とする拡声通話装置であ
る。第2の発明は,マイクロフォンから入力された送話
信号を送話信号経路を経て回線部へ伝えると共に,上記
回線部から出力された受話信号を受話信号経路を経てス
ピーカーに出力する拡声通話装置であって,前記スピー
カーから前記マイクロフォンへの音響エコー信号をキャ
ンセルするためのフィルターを有する音響エコーキャン
セル回路及び/又は前記受話信号経路から前記回線部へ
出力されて前記送話信号経路へと回り込む回線エコー信
号をキャンセルするためのフィルターを有する回線エコ
ーキャンセル回路と,前記マイクロフォンから前記送話
信号経路へ入力された送話信号を減衰させる送話信号可
変減衰器と,前記回線部から前記受話信号経路へ入力さ
れた受話信号を減衰させる受話信号可変減衰器と,前記
送話信号可変減衰器と前記受話信号可変減衰器とを所定
の相補的関係を維持させつつ制御する制御手段とを備え
た拡声通話装置において,前記送話信号経路に接続さ
れ,前記マイクロフォンに入力された送話信号の一定時
間範囲内における最大値と実効値とのレベル差を検出
し,前記レベル差が予め定められた第2のしきい値より
小さくなり,且つ,前記送話信号経路における送話信号
のレベルが,予め定められた第2のしきい値以上にな
る,ったことに応答して,ハウリングの検出信号を出力
するハウリング検出手段とを備え,前記制御手段は,前
記ハウリング検出手段からハウリング検出信号が出力さ
れた場合には,前記送話信号可変減衰器と前記受話信号
可変減衰器との減衰量の和が大きくなるように制御する
ことを特徴とする拡声通話装置である。
ために,第1の発明は,マイクロフォンから入力された
送話信号を送話信号経路を経て回線部へ伝えると共に,
上記回線部から出力された受話信号を受話信号経路を経
てスピーカーに出力する拡声通話装置であって,前記ス
ピーカーから前記マイクロフォンへの音響エコー信号を
キャンセルするためのフィルターを有する音響エコーキ
ャンセル回路及び/又は前記受話信号経路から前記回線
部へ出力されて前記送話信号経路へと回り込む回線エコ
ー信号をキャンセルするためのフィルターを有する回線
エコーキャンセル回路と,前記マイクロフォンから前記
送話信号経路へ入力された送話信号を減衰させる送話信
号可変減衰器と,前記回線部から前記受話信号経路へ入
力された受話信号を減衰させる受話信号可変減衰器と,
前記送話信号可変減衰器と前記受話信号可変減衰器とを
所定の相補的関係を維持させつつ制御する制御手段とを
備えた拡声通話装置において,所定の疑似的な信号に用
いて得られる前記送話信号経路から前記回線部を経て前
記受話信号経路に至る回線結合量を測定する回線結合量
測定手段と,所定の疑似的な信号を用いて得られる前記
スピーカーから前記マイクロフォンに至る音響結合量を
測定する音響結合量測定手段と,前記回線結合量測定手
段の測定出力と前記音響結合量測定手段の測定出力とに
基づいて,前記送話信号可変減衰器の減衰量と前記受話
信号可変減衰器の減衰量との和を設定し,該設定量を通
話が開始されていない時点で前記制御手段に送るゲイン
設定手段とを備えたことを特徴とする拡声通話装置であ
る。第2の発明は,マイクロフォンから入力された送話
信号を送話信号経路を経て回線部へ伝えると共に,上記
回線部から出力された受話信号を受話信号経路を経てス
ピーカーに出力する拡声通話装置であって,前記スピー
カーから前記マイクロフォンへの音響エコー信号をキャ
ンセルするためのフィルターを有する音響エコーキャン
セル回路及び/又は前記受話信号経路から前記回線部へ
出力されて前記送話信号経路へと回り込む回線エコー信
号をキャンセルするためのフィルターを有する回線エコ
ーキャンセル回路と,前記マイクロフォンから前記送話
信号経路へ入力された送話信号を減衰させる送話信号可
変減衰器と,前記回線部から前記受話信号経路へ入力さ
れた受話信号を減衰させる受話信号可変減衰器と,前記
送話信号可変減衰器と前記受話信号可変減衰器とを所定
の相補的関係を維持させつつ制御する制御手段とを備え
た拡声通話装置において,前記送話信号経路に接続さ
れ,前記マイクロフォンに入力された送話信号の一定時
間範囲内における最大値と実効値とのレベル差を検出
し,前記レベル差が予め定められた第2のしきい値より
小さくなり,且つ,前記送話信号経路における送話信号
のレベルが,予め定められた第2のしきい値以上にな
る,ったことに応答して,ハウリングの検出信号を出力
するハウリング検出手段とを備え,前記制御手段は,前
記ハウリング検出手段からハウリング検出信号が出力さ
れた場合には,前記送話信号可変減衰器と前記受話信号
可変減衰器との減衰量の和が大きくなるように制御する
ことを特徴とする拡声通話装置である。
【0012】第3の発明は,それぞれがマイクロフォン
及びスピーカーを有する拡声通話ぶとハンドセット通話
部と,上記両通話部と回線部とを接続する送話信号経路
及び受話信号経路とを切り換える信号経路切換手段とを
備え,拡声通話とハンドセット通話との切換えが可能な
ハンドセット付の拡声通話装置であって,前記スピーカ
ーから前記マイクロフォンへの音響エコー信号をキャン
セルするためのフィルターを有する音響エコーキャンセ
ル回路及び/又は前記受話信号経路から前記回線部へ出
力されて前記送話信号経路へと回り込む回線エコー信号
をキャンセルするためのフィルターを有する回線エコー
キャンセル回路と,前記マイクロフォンから前記送話信
号経路へ入力された送話信号を減衰させる送話信号可変
減衰器と,前記回線部から前記受話信号経路へ入力され
た受話信号を減衰させる受話信号可変減衰器と,前記送
話信号可変減衰器と前記受話信号可変減衰器とを両者の
相補的関係を維持させつつ制御する制御手段とを備えた
拡声通話装置において,前記信号回路切り換え手段の切
換え状態に応じて,前記送話信号経路から前記受話信号
経路への側音結合量を変化させる側音結合量変更手段を
備えたことを特徴とする拡声通話装置である。
及びスピーカーを有する拡声通話ぶとハンドセット通話
部と,上記両通話部と回線部とを接続する送話信号経路
及び受話信号経路とを切り換える信号経路切換手段とを
備え,拡声通話とハンドセット通話との切換えが可能な
ハンドセット付の拡声通話装置であって,前記スピーカ
ーから前記マイクロフォンへの音響エコー信号をキャン
セルするためのフィルターを有する音響エコーキャンセ
ル回路及び/又は前記受話信号経路から前記回線部へ出
力されて前記送話信号経路へと回り込む回線エコー信号
をキャンセルするためのフィルターを有する回線エコー
キャンセル回路と,前記マイクロフォンから前記送話信
号経路へ入力された送話信号を減衰させる送話信号可変
減衰器と,前記回線部から前記受話信号経路へ入力され
た受話信号を減衰させる受話信号可変減衰器と,前記送
話信号可変減衰器と前記受話信号可変減衰器とを両者の
相補的関係を維持させつつ制御する制御手段とを備えた
拡声通話装置において,前記信号回路切り換え手段の切
換え状態に応じて,前記送話信号経路から前記受話信号
経路への側音結合量を変化させる側音結合量変更手段を
備えたことを特徴とする拡声通話装置である。
【0013】
【作用】第1の発明によれば,前記回線結合量測定手段
の測定出力と前記音響結合量測定手段の測定出力とに基
づいて,前記送話信号可変減衰器の減衰量と前記受話信
号可変減衰器の減衰量との和が設定され,その設定値に
基づいて制御手段が前記送話信号可変減衰器と前記受話
信号可変減衰器とを所定の相補的関係を維持させつつ制
御する。回線結合量は,所定の擬似的な信号を前記送話
信号経路へ出力し,その信号が前記回線部に送られて前
記受話信号経路へ廻り込んで入力されたときの受話信号
を検出し,その送話信号と受話信号との関係に基づいて
測定される。また,音響結合量は,所定の擬似的な信号
を前記受話信号経路へ出力し,その信号が前記スピーカ
から出力されてマイクロフォンに廻り込んで入力された
ときの送話信号を検出し,その受話信号と送話信号との
関係に基づいて測定される。測定された音響結合量は,
前記音響エコーキャンセル回路によるキャンセル効果が
反映された値であり,また,回線結合量についても,装
置に回線エコーキャンセル回路が設けられている場合に
は,そのキャンセル効果が反映された値が測定される。
従って,前記ゲイン設定手段により例えば初期設定時に
おいて定められる前記送話信号可変減衰器と受話信号可
変減衰器との減衰量の和の設定値には,音響エコーキャ
ンセルの効果が反映されており,通話中の前記送話信号
可変減衰器と前記受話信号可変減衰器の減衰量は前記設
定値によって制御され,通話中の環境の変化によって減
衰量が随時変化するようなことは無く,安定した通話を
行える。
の測定出力と前記音響結合量測定手段の測定出力とに基
づいて,前記送話信号可変減衰器の減衰量と前記受話信
号可変減衰器の減衰量との和が設定され,その設定値に
基づいて制御手段が前記送話信号可変減衰器と前記受話
信号可変減衰器とを所定の相補的関係を維持させつつ制
御する。回線結合量は,所定の擬似的な信号を前記送話
信号経路へ出力し,その信号が前記回線部に送られて前
記受話信号経路へ廻り込んで入力されたときの受話信号
を検出し,その送話信号と受話信号との関係に基づいて
測定される。また,音響結合量は,所定の擬似的な信号
を前記受話信号経路へ出力し,その信号が前記スピーカ
から出力されてマイクロフォンに廻り込んで入力された
ときの送話信号を検出し,その受話信号と送話信号との
関係に基づいて測定される。測定された音響結合量は,
前記音響エコーキャンセル回路によるキャンセル効果が
反映された値であり,また,回線結合量についても,装
置に回線エコーキャンセル回路が設けられている場合に
は,そのキャンセル効果が反映された値が測定される。
従って,前記ゲイン設定手段により例えば初期設定時に
おいて定められる前記送話信号可変減衰器と受話信号可
変減衰器との減衰量の和の設定値には,音響エコーキャ
ンセルの効果が反映されており,通話中の前記送話信号
可変減衰器と前記受話信号可変減衰器の減衰量は前記設
定値によって制御され,通話中の環境の変化によって減
衰量が随時変化するようなことは無く,安定した通話を
行える。
【0014】第2の発明によれば,ハウリング検出手段
がマイクロフォンに入力された一定時間内での送話信号
の最大値の,実効値に対するレベル差,即ちピーク係数
を検出する。一般の音声信号ではピーク係数は約12d
B,純音では3dBである。ハウリング音は純音に近い
ため,ハウリングが発生して回路がある周波数において
発振状態にある時の上記係数は,通常の通話状態のピー
ク係数よりも小さくなる。そこで,ハウリング検出手段
は,送話信号レベルが予め定められた第1のしきい値よ
りも大きい場合に,レベル差(ピーク係数)が予め定め
られた第2のしきい値以下になった時にハウリングが発
生したと判断する。このようにしてハウリングが検出さ
れると,ハウリング制御手段は送話信号経路又は受話信
号経路中の減衰量を変化させることで一巡利得を小さく
し,ハウリングを抑制する。第3の発明によれば,ハン
ズフリー状態とハンドセット状態とを切り換える信号回
路切換手段の切換状態に応じて,側音結合量が適切な値
に切り換えられるので,ハンドセット通話状態において
は適当な側音が得られているため違和感の無い通話が出
来,ハンズフリー通話状態においては半二重動作に固有
の話頭,話尾切れ等の耳障りな状態やハウリング等の不
都合が生じず,どちらの状態においても良好な通話性が
確保される。
がマイクロフォンに入力された一定時間内での送話信号
の最大値の,実効値に対するレベル差,即ちピーク係数
を検出する。一般の音声信号ではピーク係数は約12d
B,純音では3dBである。ハウリング音は純音に近い
ため,ハウリングが発生して回路がある周波数において
発振状態にある時の上記係数は,通常の通話状態のピー
ク係数よりも小さくなる。そこで,ハウリング検出手段
は,送話信号レベルが予め定められた第1のしきい値よ
りも大きい場合に,レベル差(ピーク係数)が予め定め
られた第2のしきい値以下になった時にハウリングが発
生したと判断する。このようにしてハウリングが検出さ
れると,ハウリング制御手段は送話信号経路又は受話信
号経路中の減衰量を変化させることで一巡利得を小さく
し,ハウリングを抑制する。第3の発明によれば,ハン
ズフリー状態とハンドセット状態とを切り換える信号回
路切換手段の切換状態に応じて,側音結合量が適切な値
に切り換えられるので,ハンドセット通話状態において
は適当な側音が得られているため違和感の無い通話が出
来,ハンズフリー通話状態においては半二重動作に固有
の話頭,話尾切れ等の耳障りな状態やハウリング等の不
都合が生じず,どちらの状態においても良好な通話性が
確保される。
【0015】
【実施例】以下,本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。 〔第1実施例〕図1は本発明の第1実施例にかかるスピ
ーカホン(ハンズフリー通話器)のブロック図である。
同図において,スピーカホン1は,送話音声を入力する
マイクロフォン2と,受話音声を出力するスピーカ3と
を備える。マイクロフォン2とスピーカ3とのそれぞれ
はハイブリッドトランス5を介して電話回線に接続され
ている。マイクロフォン2とハイブリッドトランス5と
を結ぶ送話信号経路9にはマイクロフォンアンプ11と
送話信号可変減衰器13(図では「送話減衰器」)と減
算器12と送話アンプ14と加算器16とが設けられ,
スピーカ3とハイブッドトランス7とを結ぶ受話信号経
路15にはスピーカアンプ17と加算器18と受話信号
可変減衰器19(図では「受話減衰器」)と受話アンプ
20と減算器21とが設けられている。スピーカホン1
には,さらに,拡声通話におけるハウリングを防止する
ための,減衰制御器22と,音響結合量および回線結合
量を測定する結合量測定部23と,比較器27,29と
ハウリング検出器41と,適応フィルタ43,47と,
音響エコーおよび回線エコー用の係数設定器45,49
とが設けられている。結合量測定部23は,図2に示す
ように信号発生器31,33と,音響結合量測定器35
と,回線結合量測定器37とを有する。適応フィルタ4
3および音響エコー係数設定器45と,適応フィルタ4
7および回線エコー係数設定器49とのそれぞれによ
り,従来から公知の“音響エコーキャンセル回路”およ
び“回線エコーキャンセル回路”が構成されている。ま
た,送話信号可変減衰器13および受話信号可変減衰器
19と,比較器27,29と,減衰制御器22との組合
せにより,「マイクロフォンから入力された送話信号の
減衰量と,電話回線から入力された受話信号の減衰量と
を相補的に制御する機能」すなわち従来からの公知の
“エコーサプレッサ”が構成されている。なお,図1に
おいて一点鎖線で囲まれた部分を特に「減衰調整回路」
という。また,比較器27,29は,送話側の信号と受
話側の信号のどちらが大きいか,即ち送話状態か,受話
状態かを検出して減衰制御器22へ送る。減衰制御器2
2は,これらの情報から送話モードと受話モードのいず
れのモードになるべきかを判断することで誤動作の少な
い,安定したエコーサプレッサ制御を行う。なお,他の
エコーサプレッサの制御方法としては,例えば,
細に説明する。 〔第1実施例〕図1は本発明の第1実施例にかかるスピ
ーカホン(ハンズフリー通話器)のブロック図である。
同図において,スピーカホン1は,送話音声を入力する
マイクロフォン2と,受話音声を出力するスピーカ3と
を備える。マイクロフォン2とスピーカ3とのそれぞれ
はハイブリッドトランス5を介して電話回線に接続され
ている。マイクロフォン2とハイブリッドトランス5と
を結ぶ送話信号経路9にはマイクロフォンアンプ11と
送話信号可変減衰器13(図では「送話減衰器」)と減
算器12と送話アンプ14と加算器16とが設けられ,
スピーカ3とハイブッドトランス7とを結ぶ受話信号経
路15にはスピーカアンプ17と加算器18と受話信号
可変減衰器19(図では「受話減衰器」)と受話アンプ
20と減算器21とが設けられている。スピーカホン1
には,さらに,拡声通話におけるハウリングを防止する
ための,減衰制御器22と,音響結合量および回線結合
量を測定する結合量測定部23と,比較器27,29と
ハウリング検出器41と,適応フィルタ43,47と,
音響エコーおよび回線エコー用の係数設定器45,49
とが設けられている。結合量測定部23は,図2に示す
ように信号発生器31,33と,音響結合量測定器35
と,回線結合量測定器37とを有する。適応フィルタ4
3および音響エコー係数設定器45と,適応フィルタ4
7および回線エコー係数設定器49とのそれぞれによ
り,従来から公知の“音響エコーキャンセル回路”およ
び“回線エコーキャンセル回路”が構成されている。ま
た,送話信号可変減衰器13および受話信号可変減衰器
19と,比較器27,29と,減衰制御器22との組合
せにより,「マイクロフォンから入力された送話信号の
減衰量と,電話回線から入力された受話信号の減衰量と
を相補的に制御する機能」すなわち従来からの公知の
“エコーサプレッサ”が構成されている。なお,図1に
おいて一点鎖線で囲まれた部分を特に「減衰調整回路」
という。また,比較器27,29は,送話側の信号と受
話側の信号のどちらが大きいか,即ち送話状態か,受話
状態かを検出して減衰制御器22へ送る。減衰制御器2
2は,これらの情報から送話モードと受話モードのいず
れのモードになるべきかを判断することで誤動作の少な
い,安定したエコーサプレッサ制御を行う。なお,他の
エコーサプレッサの制御方法としては,例えば,
【0016】1)図1中の点Aと点D,または点Aと点
C,点Bと点D,点Bと点Cなどの2点の信号のレベル
比較だけで送話か受話かを判断する2点検出 2)上記1)に示した2点間のレベル比較に加え,点A
または点Cの信号の音声検出を行う3点検出が考えられ
る。 〔エコーサプレッサー及びエコーキャンセラー〕このよ
うに「送話信号可変減衰器13及び受話信号可変減衰器
19の減衰量を相補的に制御する」にあたっては「相補
的に制御することの内容」が重要である。例えば,送話
信号可変減衰器13および受話信号可変減衰器19の減
衰量の和が一定になるような相補的関係を維持する場合
には,上記和をどの程度の値に設定するかが重要であ
り,いかにして実際の状況に合わせた必要十分な値に決
定するか,すなわち通話の不自然さによる不利益を少し
でも避けられるよう設定するかが重要である。本実施例
の特徴となる以下に示す機能が無い場合では,電話機な
どが置かれる環境のばらつきを考慮してハウリングが起
こらないように安全側に設計されているため,2つの可
変減衰器13,19の減衰量の和が必要以上に小さくな
り,通話が不自然になる危険が大きい。そこで,本実施
例では,スピーカホン1が置かれたその環境に応じて送
話信号可変減衰器13および受話信号可変減衰器19の
減衰量の和を適正に初期設定することで,必要最小限の
不自然さ(条件が良ければ,全く不自然さを感じさせな
い通話を実現することも可能)だけで済み,より自然な
通話を可能にしている。
C,点Bと点D,点Bと点Cなどの2点の信号のレベル
比較だけで送話か受話かを判断する2点検出 2)上記1)に示した2点間のレベル比較に加え,点A
または点Cの信号の音声検出を行う3点検出が考えられ
る。 〔エコーサプレッサー及びエコーキャンセラー〕このよ
うに「送話信号可変減衰器13及び受話信号可変減衰器
19の減衰量を相補的に制御する」にあたっては「相補
的に制御することの内容」が重要である。例えば,送話
信号可変減衰器13および受話信号可変減衰器19の減
衰量の和が一定になるような相補的関係を維持する場合
には,上記和をどの程度の値に設定するかが重要であ
り,いかにして実際の状況に合わせた必要十分な値に決
定するか,すなわち通話の不自然さによる不利益を少し
でも避けられるよう設定するかが重要である。本実施例
の特徴となる以下に示す機能が無い場合では,電話機な
どが置かれる環境のばらつきを考慮してハウリングが起
こらないように安全側に設計されているため,2つの可
変減衰器13,19の減衰量の和が必要以上に小さくな
り,通話が不自然になる危険が大きい。そこで,本実施
例では,スピーカホン1が置かれたその環境に応じて送
話信号可変減衰器13および受話信号可変減衰器19の
減衰量の和を適正に初期設定することで,必要最小限の
不自然さ(条件が良ければ,全く不自然さを感じさせな
い通話を実現することも可能)だけで済み,より自然な
通話を可能にしている。
【0017】次に上記送話信号可変減衰器13および受
話信号可変減衰器19の減衰量の和を演算する手法につ
いて説明する。スピーカホン1に電源が投入され,電話
回線に接続されると,減衰制御器22からの命令によっ
て図2に示す信号発生器33が回線結合量測定のための
信号,例えば白色雑音を送話信号経路9中の点Eに発信
する。この信号は電話回線に送出されると共に,回線結
合により側音として受話信号経路15内に侵入する。回
線結合量は送話信号経路9中に発信された信号のレベル
と受話信号経路中で検出された信号のレベルとの差から
回線結合量測定器37により求められる。同様に,減衰
制御器22からの命令によって信号発生器31は音響結
合量測定のための信号,例えば白色雑音を受話信号経路
15中の点Fに発信する。信号はスピーカ3からの音と
して放射され,一部がマイクロフォン2に入射し,送話
信号経路9に送出される。音響結合量は受話信号経路中
15に発信された信号のレベルと送話信号経路9中で検
出された信号のレベルとから音響結合量測定器35によ
り求められる。減衰制御器22は,音響結合量測定器3
5および回線結合量測定器37からの測定出力と,ハン
ズフリー回路中のすべての部分の既知の利得とから送話
信号可変減衰器13の減衰量と受話信号可変減衰器19
の減衰量との和Gの決定,即ちゲイン設定を行う。この
場合,算出するにあたって考慮すべき値としては,ハン
ズフリー回路のマイクロフォンアンプ11の利得GMA
(既知),回線結合量GST(未知),スピーカアンプ
17の利得GSA(既知),音響結合量GAC(未
知),送話信号経路中に存在するその他の利得GT(既
知),受話信号経路中に存在するその他の利得GR(既
知),ハイブリッドトランス5が送話信号に与える利得
GHT(既知),ハイブリッドトランス5が受話信号に
与える利得GHR(既知),回線へのリターン量RL
(既知)所望のハウリング余裕HM(既知)がある。ゲ
イン設定においては,まず最初にHMについて例えば
「6dBにしたい」等の要求があり,これを満たすべく,
上記の値を用いてGを決定する。そして、これらの値の
内,回線結合量GSTと音響結合量GACについては,
音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラの効果
による減衰分を加味する点が本実施例の特徴の1つであ
る。すなわち,音響エコーキャンセラ及び回線エコーキ
ャンセラとして機能する適応フィルタ43,47は,そ
れぞれ点G,Hにて検出した信号に対応した係数を音響
エコー係数設定器45,回線エコー係数設定器49から
受けてこれと点G,Hにて検出された信号とからキャン
セル信号を生成し,点I,J(すなわち減算器12,2
1)に与えるのであるが,この場合,係数設定器45,
49は,点G,Hで信号を検出するごとに漸次的に学習
して出力係数を定めるために,信号を検出してから,そ
の検出信号に最適な係数を設定できる,いわゆる収束状
態に至るまでにある程度の時間を要する。従って,本実
施例では,初期設定時に信号発生器31,33から疑似
的な信号を発生させて音響及び回線の結合量を測定する
に当たって(前述),この結合量測定用の信号に対して
前記係数設定器45,49の学習が収束する時間が経過
した時点で結合量の測定値を確定するよう構成した。
話信号可変減衰器19の減衰量の和を演算する手法につ
いて説明する。スピーカホン1に電源が投入され,電話
回線に接続されると,減衰制御器22からの命令によっ
て図2に示す信号発生器33が回線結合量測定のための
信号,例えば白色雑音を送話信号経路9中の点Eに発信
する。この信号は電話回線に送出されると共に,回線結
合により側音として受話信号経路15内に侵入する。回
線結合量は送話信号経路9中に発信された信号のレベル
と受話信号経路中で検出された信号のレベルとの差から
回線結合量測定器37により求められる。同様に,減衰
制御器22からの命令によって信号発生器31は音響結
合量測定のための信号,例えば白色雑音を受話信号経路
15中の点Fに発信する。信号はスピーカ3からの音と
して放射され,一部がマイクロフォン2に入射し,送話
信号経路9に送出される。音響結合量は受話信号経路中
15に発信された信号のレベルと送話信号経路9中で検
出された信号のレベルとから音響結合量測定器35によ
り求められる。減衰制御器22は,音響結合量測定器3
5および回線結合量測定器37からの測定出力と,ハン
ズフリー回路中のすべての部分の既知の利得とから送話
信号可変減衰器13の減衰量と受話信号可変減衰器19
の減衰量との和Gの決定,即ちゲイン設定を行う。この
場合,算出するにあたって考慮すべき値としては,ハン
ズフリー回路のマイクロフォンアンプ11の利得GMA
(既知),回線結合量GST(未知),スピーカアンプ
17の利得GSA(既知),音響結合量GAC(未
知),送話信号経路中に存在するその他の利得GT(既
知),受話信号経路中に存在するその他の利得GR(既
知),ハイブリッドトランス5が送話信号に与える利得
GHT(既知),ハイブリッドトランス5が受話信号に
与える利得GHR(既知),回線へのリターン量RL
(既知)所望のハウリング余裕HM(既知)がある。ゲ
イン設定においては,まず最初にHMについて例えば
「6dBにしたい」等の要求があり,これを満たすべく,
上記の値を用いてGを決定する。そして、これらの値の
内,回線結合量GSTと音響結合量GACについては,
音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラの効果
による減衰分を加味する点が本実施例の特徴の1つであ
る。すなわち,音響エコーキャンセラ及び回線エコーキ
ャンセラとして機能する適応フィルタ43,47は,そ
れぞれ点G,Hにて検出した信号に対応した係数を音響
エコー係数設定器45,回線エコー係数設定器49から
受けてこれと点G,Hにて検出された信号とからキャン
セル信号を生成し,点I,J(すなわち減算器12,2
1)に与えるのであるが,この場合,係数設定器45,
49は,点G,Hで信号を検出するごとに漸次的に学習
して出力係数を定めるために,信号を検出してから,そ
の検出信号に最適な係数を設定できる,いわゆる収束状
態に至るまでにある程度の時間を要する。従って,本実
施例では,初期設定時に信号発生器31,33から疑似
的な信号を発生させて音響及び回線の結合量を測定する
に当たって(前述),この結合量測定用の信号に対して
前記係数設定器45,49の学習が収束する時間が経過
した時点で結合量の測定値を確定するよう構成した。
【0018】上記各値を用いて,送話信号可変減衰器3
の減衰量GTX(dB)と受話信号可変減衰器6の減衰
量GRX(dB)との和Gは, G=GTX+GRX>HM+GMA+GT+GST+GR+GSA+GAC G=GTX+GRX>−RL+GHR+GR+GSA+GAC+GMA+GT +GHT を満たすように決定される。(ただしハウリング余裕H
M,リターン量RLは,ゲイン設定において,まず最初
に,例えば,ハウリング余裕HMとしては6dB,リタ
ーン量RLとしては−2dBにしたい,といった要求に
従って決定され,既知の値として取り扱われる。上式の
右辺に所望のハウリング余裕HMと,既知であるGM
A,GSA,GT,GR,及び測定によって得られたG
ST,GACを代入することによって,送話信号経路で
の減衰量GTXと受話信号経路での減衰量GRXとの適
切な和を求めることができる。本実施例では,上述した
ように,送話信号可変減衰器13の減衰量と受話信号可
変減衰器19の減衰量との和GTX+GRXが一定にな
るように,通話時の送話信号可変減衰器13の減衰量お
よび受話信号可変減衰器19の減衰量が相補的に制御さ
れることにより,必要以上に送話または受話可変減衰器
の減衰量の変化が大きくなることはなく,可能な限り話
頭,話尾切断の小さい自然な通話が実現できる。回線結
合量および音響結合量の具体的な計測方法は以下のとお
りである。本実施例において,具体的には回線・音響結
合量を回路内2点の「信号の大きさ」の比から計算す
る。
の減衰量GTX(dB)と受話信号可変減衰器6の減衰
量GRX(dB)との和Gは, G=GTX+GRX>HM+GMA+GT+GST+GR+GSA+GAC G=GTX+GRX>−RL+GHR+GR+GSA+GAC+GMA+GT +GHT を満たすように決定される。(ただしハウリング余裕H
M,リターン量RLは,ゲイン設定において,まず最初
に,例えば,ハウリング余裕HMとしては6dB,リタ
ーン量RLとしては−2dBにしたい,といった要求に
従って決定され,既知の値として取り扱われる。上式の
右辺に所望のハウリング余裕HMと,既知であるGM
A,GSA,GT,GR,及び測定によって得られたG
ST,GACを代入することによって,送話信号経路で
の減衰量GTXと受話信号経路での減衰量GRXとの適
切な和を求めることができる。本実施例では,上述した
ように,送話信号可変減衰器13の減衰量と受話信号可
変減衰器19の減衰量との和GTX+GRXが一定にな
るように,通話時の送話信号可変減衰器13の減衰量お
よび受話信号可変減衰器19の減衰量が相補的に制御さ
れることにより,必要以上に送話または受話可変減衰器
の減衰量の変化が大きくなることはなく,可能な限り話
頭,話尾切断の小さい自然な通話が実現できる。回線結
合量および音響結合量の具体的な計測方法は以下のとお
りである。本実施例において,具体的には回線・音響結
合量を回路内2点の「信号の大きさ」の比から計算す
る。
【0019】(1)回線結合測定時 信号を回路内の点Eに送出し,点Eと点Dにおける「信
号の大きさ」を求め,(点Dでの信号の大きさ)/(点
Eでの信号の大きさ)=R′を求める。点Eからハイブ
リッドトランス5まで,及びハイブリッドトランス5か
ら点Dまでの経路の減衰量が無視しうるとすると,回線
結合量Rは,ハイブリッドトランス5内の回路及び回線
即ち回線部における上記減衰率R′と同義である。尚,
回線結合量Rはレベル表示では,R=20log10R1
(単位dB)で表されるから,レベル表示を用いると,
回線結合量R=(点Dでの信号レベル)−(点Eでの信
号レベル)となる。 (2)音響結合測定時 信号を回路内の点Fに送出し,点Fと点Aにおける「信
号の大きさ」を求め,スピーカーアンプ17→スピーカ
ー3からマイクロフォン2までの音響空間→マイクロフ
ォンアンプ11の経路における減衰率r′を (点Aでの信号の大きさ)/(点Fでの信号の大きさ)
=r′ により求める。音響結合量rは,スピーカー3からマイ
クロフォン2までの音響空間における減衰率r′であ
る。音響結合量rはレベル表示では,20log10r1
(単位dB)で表されるから,レベル表示を用いると,
音響結合量r=(点Aでの信号レベル)−(点Fでの信
号レベル)−(スピーカーアンプの増幅率レベル)−
(マイクアンプの増幅率レベル)で測定できる。
号の大きさ」を求め,(点Dでの信号の大きさ)/(点
Eでの信号の大きさ)=R′を求める。点Eからハイブ
リッドトランス5まで,及びハイブリッドトランス5か
ら点Dまでの経路の減衰量が無視しうるとすると,回線
結合量Rは,ハイブリッドトランス5内の回路及び回線
即ち回線部における上記減衰率R′と同義である。尚,
回線結合量Rはレベル表示では,R=20log10R1
(単位dB)で表されるから,レベル表示を用いると,
回線結合量R=(点Dでの信号レベル)−(点Eでの信
号レベル)となる。 (2)音響結合測定時 信号を回路内の点Fに送出し,点Fと点Aにおける「信
号の大きさ」を求め,スピーカーアンプ17→スピーカ
ー3からマイクロフォン2までの音響空間→マイクロフ
ォンアンプ11の経路における減衰率r′を (点Aでの信号の大きさ)/(点Fでの信号の大きさ)
=r′ により求める。音響結合量rは,スピーカー3からマイ
クロフォン2までの音響空間における減衰率r′であ
る。音響結合量rはレベル表示では,20log10r1
(単位dB)で表されるから,レベル表示を用いると,
音響結合量r=(点Aでの信号レベル)−(点Fでの信
号レベル)−(スピーカーアンプの増幅率レベル)−
(マイクアンプの増幅率レベル)で測定できる。
【0020】上述した回線結合量と音響結合量の自動測
定およびそれに続いて行われる送話信号可変減衰器13
の減衰量と受話信号可変減衰器19の減衰量との和の決
定は,電源投入時に行われる。本実施例では,このよう
な状態を認識するために,制御部21が点Aおよび点C
(図1参照)検出して判断する。なお,タイミングとし
ては,この他に,例えば使用者が初期設定ボタンを押す
などして指示した時点等のように,電源が投入されてい
る状態で,且つ未だ通話が行われていない状態すなわ
ち,話者の会話による音声信号が送話信号経路9と受話
信号経路15とのいずれにも伝送されていない状態であ
れば何時でもよい。上記の方法における信号の大きさを
測定する方法として,例えば以下のような手段が考えら
れる。 1)ある時間間隔(例えば100ms)における実効値 2)信号をある特定数のフィルタに入力したときの出力
値 雑音,音声信号のように変動の激しい信号を用いるので
安定的に測るためにはこのような処理が有効である。ま
た,測定のタイミングについても, a)観測する2点で同じタイミングで測定する。 b)回路内や空間を伝搬する時間遅れを考慮する。 a)は処理が簡易であるという利点があり,b)は処理
が複雑になるが,より正確な結合量を測定できるという
利点がある。ただし,回線結合によって受話信号経路1
5内に入る信号の遅れ時間は極めて小さく,かつ一定と
なるが,音響結合によって送話信号経路9内に入る信号
の遅れ時間は,人が近づくなど周囲の状況によって常に
変動するため,正確にb)を行うためには遅れ時間の検
出を常時行うことが必要になる。ただし,このような時
間検出を実際のスピーカホンの構成に適用することを考
えるにあたっては,例えば雑音,純音を用いる場合は実
現が難しく,また,音声信号を用いる場合は信号のピー
クを目印とするなどのように極めて精微で複雑な回路を
備える必要があることに留意しておくことが重要であ
る。
定およびそれに続いて行われる送話信号可変減衰器13
の減衰量と受話信号可変減衰器19の減衰量との和の決
定は,電源投入時に行われる。本実施例では,このよう
な状態を認識するために,制御部21が点Aおよび点C
(図1参照)検出して判断する。なお,タイミングとし
ては,この他に,例えば使用者が初期設定ボタンを押す
などして指示した時点等のように,電源が投入されてい
る状態で,且つ未だ通話が行われていない状態すなわ
ち,話者の会話による音声信号が送話信号経路9と受話
信号経路15とのいずれにも伝送されていない状態であ
れば何時でもよい。上記の方法における信号の大きさを
測定する方法として,例えば以下のような手段が考えら
れる。 1)ある時間間隔(例えば100ms)における実効値 2)信号をある特定数のフィルタに入力したときの出力
値 雑音,音声信号のように変動の激しい信号を用いるので
安定的に測るためにはこのような処理が有効である。ま
た,測定のタイミングについても, a)観測する2点で同じタイミングで測定する。 b)回路内や空間を伝搬する時間遅れを考慮する。 a)は処理が簡易であるという利点があり,b)は処理
が複雑になるが,より正確な結合量を測定できるという
利点がある。ただし,回線結合によって受話信号経路1
5内に入る信号の遅れ時間は極めて小さく,かつ一定と
なるが,音響結合によって送話信号経路9内に入る信号
の遅れ時間は,人が近づくなど周囲の状況によって常に
変動するため,正確にb)を行うためには遅れ時間の検
出を常時行うことが必要になる。ただし,このような時
間検出を実際のスピーカホンの構成に適用することを考
えるにあたっては,例えば雑音,純音を用いる場合は実
現が難しく,また,音声信号を用いる場合は信号のピー
クを目印とするなどのように極めて精微で複雑な回路を
備える必要があることに留意しておくことが重要であ
る。
【0021】また,結合量の測定に用いる信号は,上記
の白色雑音の他,例えば,通話伝送帯に必要な周波数成
分を含んだ信号,帯域雑音,純音としてもよく,信号発
生器31,33から発生させる信号の種類をこのように
定めることにより,各々について以下のような特有の効
果が奏される。例えば,電話伝送帯に必要な周波数成分
を含んだ信号にすれば,以下の利点がある。もともと,
音響結合が生じ得るのは,電話回線内で伝送され,また
スピーカで出力され,マイクロフォン2で受信可能な周
波数帯域であり,これは電話の伝送周波数帯に合わせて
設定されており,また,受話信号が電話回線を介して到
達してくるのは電話で伝送される周波数成分なので,こ
のような周波数成分の信号における音響結合を計測して
おかなければならない。例えば電話呼出音,呼出の確認
音,合成音声(「拡声通話を始めます」等のガイダンス
音など)などの基本的に電話で伝送される周波数成分を
含む信号を用いることにより実際の使用状況に即した測
定が行える。また,例えば,帯域雑音を測定に用いるこ
とにより以下の利点がある。例えば拡声通話装置1が背
景雑音の大きい環境で使用されることが予想される場
合,S/N比(信号対雑音比)が大きいと予想される周
波数帯域(一般に空調機のファンノイズ等の環境騒音は
低周波成分が大きく,また音声は1KHzから3KHz
辺りの周波数成分が大きいため,S/N比は低周波域に
おいては小さく,1KHzから3KHz辺りでは大きく
なることが多い)に限定した帯域雑音(例えば中心周波
数1kHzとか2kHzの)を使用することで,発生す
る信号の大きさを小さめにすることが可能となる。すな
わち,音響結合測定時には近端話者側のスピーカ3から
出る音を小さくし,回線結合測定時には遠端話者の受話
器から出る音を小さくすることができる。
の白色雑音の他,例えば,通話伝送帯に必要な周波数成
分を含んだ信号,帯域雑音,純音としてもよく,信号発
生器31,33から発生させる信号の種類をこのように
定めることにより,各々について以下のような特有の効
果が奏される。例えば,電話伝送帯に必要な周波数成分
を含んだ信号にすれば,以下の利点がある。もともと,
音響結合が生じ得るのは,電話回線内で伝送され,また
スピーカで出力され,マイクロフォン2で受信可能な周
波数帯域であり,これは電話の伝送周波数帯に合わせて
設定されており,また,受話信号が電話回線を介して到
達してくるのは電話で伝送される周波数成分なので,こ
のような周波数成分の信号における音響結合を計測して
おかなければならない。例えば電話呼出音,呼出の確認
音,合成音声(「拡声通話を始めます」等のガイダンス
音など)などの基本的に電話で伝送される周波数成分を
含む信号を用いることにより実際の使用状況に即した測
定が行える。また,例えば,帯域雑音を測定に用いるこ
とにより以下の利点がある。例えば拡声通話装置1が背
景雑音の大きい環境で使用されることが予想される場
合,S/N比(信号対雑音比)が大きいと予想される周
波数帯域(一般に空調機のファンノイズ等の環境騒音は
低周波成分が大きく,また音声は1KHzから3KHz
辺りの周波数成分が大きいため,S/N比は低周波域に
おいては小さく,1KHzから3KHz辺りでは大きく
なることが多い)に限定した帯域雑音(例えば中心周波
数1kHzとか2kHzの)を使用することで,発生す
る信号の大きさを小さめにすることが可能となる。すな
わち,音響結合測定時には近端話者側のスピーカ3から
出る音を小さくし,回線結合測定時には遠端話者の受話
器から出る音を小さくすることができる。
【0022】また,白色雑音を測定に用いることによ
り,信号発生器31,33の構成を簡単にすることがで
き,しかも白色雑音には回線結合,音響結合の測定に必
要な周波数成分が全て含まれているので,測定の精度を
損なうこともなく上記の減衰量の制御を適正に行うこと
ができる。また,純音を測定に用いることによって,信
号発生器の構成を上記の各信号よりも格段に簡単にでき
る。とりわけ,ハイブリッドトランス5にLSIが使用
されている場合には,回線結合量は周波数によらずほぼ
一定なので,発生の容易な純音(単一周波数のサイン
波)を用いて計測された回線結合量で実用上十分に正確
な値が得られる。上述のごとく構成されたスピーカーフ
ォン1 の具体的な動作は以下の通りである。 (1)初期設定時(電源投入,又は回線接続時)に,音
響結合量測定器35,回線結合測定器37により音響結
合GAC,回線結合GSTが自動計測される。この測定
値に基づいて減衰制御器22により電話器の設置されて
いる音響的環境,回線的環境が認識され,ハウリング余
裕の要求から減衰器13,19に対して許容される減衰
量の最大値,最小値の和が設定される。また減衰量の最
小値は回線からスピーカ3に至る間の受話利得と,マイ
クロフォン2から回線へ至る間の送話利得との要求から
決まる。この減衰量の最大値と最小値は,後述の「前記
送話信号可変減衰器13における減衰量と,受話信号可
変減衰器19における減衰量との和の決定手法」に基づ
いて,送話モード,受話モードといった通話状態に応じ
て次に述べるように決定される。この実施例では上記減
衰量の「和」を一定にするような相補的関係に基づいて
各減衰量を決定しているが,相補的関係は上記「両者の
和を一定にするケース」ばかりでなく,他に両者の減衰
量の和が一定値を越えないように制御する。例えば,送
話状態においては送話信号可変減衰器13の減衰量を最
大に,受話信号可変減衰器の減衰量を最小にし,受話状
態においては送話信号可変減衰器13の減衰量を最小
に,受話信号可変減衰器の減衰量を最大にし,それ以外
の状態(両方の通話者が黙っている時など)においては
両可変減衰器の減衰量はともに最大にするなど等が考え
られる。 (2)通話が開始されると,上述の通常のエコーサプレ
ッサの動作(いわゆる「浅い音声スイッチ」)を行うと
同時に,音響エコーキャンセル,及び,回線エコーキャ
ンセルのための処理が以下のように開始される。
り,信号発生器31,33の構成を簡単にすることがで
き,しかも白色雑音には回線結合,音響結合の測定に必
要な周波数成分が全て含まれているので,測定の精度を
損なうこともなく上記の減衰量の制御を適正に行うこと
ができる。また,純音を測定に用いることによって,信
号発生器の構成を上記の各信号よりも格段に簡単にでき
る。とりわけ,ハイブリッドトランス5にLSIが使用
されている場合には,回線結合量は周波数によらずほぼ
一定なので,発生の容易な純音(単一周波数のサイン
波)を用いて計測された回線結合量で実用上十分に正確
な値が得られる。上述のごとく構成されたスピーカーフ
ォン1 の具体的な動作は以下の通りである。 (1)初期設定時(電源投入,又は回線接続時)に,音
響結合量測定器35,回線結合測定器37により音響結
合GAC,回線結合GSTが自動計測される。この測定
値に基づいて減衰制御器22により電話器の設置されて
いる音響的環境,回線的環境が認識され,ハウリング余
裕の要求から減衰器13,19に対して許容される減衰
量の最大値,最小値の和が設定される。また減衰量の最
小値は回線からスピーカ3に至る間の受話利得と,マイ
クロフォン2から回線へ至る間の送話利得との要求から
決まる。この減衰量の最大値と最小値は,後述の「前記
送話信号可変減衰器13における減衰量と,受話信号可
変減衰器19における減衰量との和の決定手法」に基づ
いて,送話モード,受話モードといった通話状態に応じ
て次に述べるように決定される。この実施例では上記減
衰量の「和」を一定にするような相補的関係に基づいて
各減衰量を決定しているが,相補的関係は上記「両者の
和を一定にするケース」ばかりでなく,他に両者の減衰
量の和が一定値を越えないように制御する。例えば,送
話状態においては送話信号可変減衰器13の減衰量を最
大に,受話信号可変減衰器の減衰量を最小にし,受話状
態においては送話信号可変減衰器13の減衰量を最小
に,受話信号可変減衰器の減衰量を最大にし,それ以外
の状態(両方の通話者が黙っている時など)においては
両可変減衰器の減衰量はともに最大にするなど等が考え
られる。 (2)通話が開始されると,上述の通常のエコーサプレ
ッサの動作(いわゆる「浅い音声スイッチ」)を行うと
同時に,音響エコーキャンセル,及び,回線エコーキャ
ンセルのための処理が以下のように開始される。
【0023】a)送話状態にある時は,回線に出力され
る送話信号と回線結合により受話ライン15に回り込む
回線エコー信号との相関から学習同定法等を用いて,回
線エコー係数設定器49により,適応フィルタ47の係
数が更新される。更新された係数に基づいて適用フィル
タ47による回線エコーキャンセルが働く。 b)受話状態にある時は,スピーカー3に供給される受
話信号とスピーカー3とマイクロフォン2との間の音響
結合によりマイクロフォン2にキャッチされて生じる音
響エコー信号との相関から学習同定法等を用いて,音響
エコー係数設定器45により,適応フィルタ43の係数
が更新される。更新された係数に基づいて,適応フィル
タ43による音響エコーキャンセルが働く。 c)無音状態,及びダブルトーク状態では,適応フィル
タ43,47の係数更新は行われず,以前のままの係数
で回線,及び音響エコーキャンセルが働く。 〈ハウリング検出及び抑制〉通話中に,背景雑音が増加
して音響エコーキャンセルがうまく機能しなくなった
り,回線雑音が増加して回線エコーキャンセルがうまく
機能しなくなると,トータル・ループ・ゲインがプラス
となり,ハウリングを起こす可能性がある。ハウリング
・ループとしては,電話機内でのNear Howling Loop
と, 交換機, 或いは相手電話機における反射によるFar
Howling Loop とが考えられる。前者は,通話不能にな
る。後者は, 通話不能に加えて, 回線全体に迷惑がかか
る。従って, ハウリングは直ちに解消することが必要で
ある。以下に本実施例におけるハウリングの検出と抑制
について説明する。
る送話信号と回線結合により受話ライン15に回り込む
回線エコー信号との相関から学習同定法等を用いて,回
線エコー係数設定器49により,適応フィルタ47の係
数が更新される。更新された係数に基づいて適用フィル
タ47による回線エコーキャンセルが働く。 b)受話状態にある時は,スピーカー3に供給される受
話信号とスピーカー3とマイクロフォン2との間の音響
結合によりマイクロフォン2にキャッチされて生じる音
響エコー信号との相関から学習同定法等を用いて,音響
エコー係数設定器45により,適応フィルタ43の係数
が更新される。更新された係数に基づいて,適応フィル
タ43による音響エコーキャンセルが働く。 c)無音状態,及びダブルトーク状態では,適応フィル
タ43,47の係数更新は行われず,以前のままの係数
で回線,及び音響エコーキャンセルが働く。 〈ハウリング検出及び抑制〉通話中に,背景雑音が増加
して音響エコーキャンセルがうまく機能しなくなった
り,回線雑音が増加して回線エコーキャンセルがうまく
機能しなくなると,トータル・ループ・ゲインがプラス
となり,ハウリングを起こす可能性がある。ハウリング
・ループとしては,電話機内でのNear Howling Loop
と, 交換機, 或いは相手電話機における反射によるFar
Howling Loop とが考えられる。前者は,通話不能にな
る。後者は, 通話不能に加えて, 回線全体に迷惑がかか
る。従って, ハウリングは直ちに解消することが必要で
ある。以下に本実施例におけるハウリングの検出と抑制
について説明する。
【0024】図1において,受話時には遠端話者が発し
た受話信号は電話回線からハイブリッドトランス5を経
て,受話信号可変減衰器19を通過し,スピーカアンプ
17で増幅された後,スピーカ3から出力される。その
信号の一部がマイクロフォン2から送話信号経路9内に
入力される。このとき,スピーカ3からマイクロフォン
2への音響結合量が近端話者の移動等により大きく変動
した場合,ハンズフリー回路内での一巡利得が最初に設
定された値より増大し,予定されたハウリング余裕を保
つことが出来ずハウリングが発生する。このハウリング
発生を検出するためにマイクロフォン2から送話信号経
路9内に入力された信号レベルの一定時間内における最
大値(ピーク値)の実効値に対するレベル差(以下ピー
ク係数という)をハウリング検出部41で検出する。ピ
ーク係数が所定の第1のしきい値,例えば6dBよりも
小さくなった場合は音声信号だけではなく純音成分が大
きい,すなわちハウリングが発生した可能性があるとい
える。ただし,例えば電話をかける前に受話器を上げた
際や,通話中に通話相手が電話端末などを操作するため
にトーン信号を送出する際などにも,純音に近い信号が
スピーカ3から回り込んでマイクロフォン2に入力され
るため,信号の純音性だけによってハウリングと判断す
ると,誤検出することがある。そこで,本実施例ではハ
ウリング検出部41は送話信号経路9内の信号レベルが
所定の第2のしきい値よりも大きいという条件を満たし
ているときに,ピーク係数が前記の第1のしきい値より
も小さくなったという条件が成立した場合に,ハウリン
グが発生していると判断するように構成した。この第1
のしきい値についてはスピーカーフォン1の特性や設置
環境に応じて定めればよい。ハウリング検出部31は,
ハウリングの発生を検出するとその旨を表す信号を減衰
制御器22へ送る。ハウリングの発生がハウリング検出
部31から減衰制御器22に伝えられると,減衰制御器
22は送話信号経路9または受話信号経路15に損失を
挿入することによって,ハンズフリー回路内での一巡利
得を下げ,ハウリングを抑制する。具体的には,送話可
変減衰器13の減衰量と受話信号可変減衰器19の減衰
量との和を小さくする。すなわち、送話時においては受
話信号可変減衰器6の減衰量を大きくし,また受話時に
おいては送話信号可変減衰器13の減衰量を大きくす
る。本実施例ではそれぞれの減衰量を10dB増加させ
る。このようにして,一時的にいわゆる半二重動作状態
(深い音声スイッチ)に近くなることで,一巡利得が1
以下になってハウリングが抑制される。ハウリングの抑
制が完了すれば,減衰制御器22は,前述した初期設定
時と同様の手順を実効して,送話信号可変減衰器13と
受話信号可変減衰器19との好適な減衰量を新たに設定
することも可能である。尚,本実施例では,比較器を2
個設けたが,ディジタル回路を用いる場合,送話/受話
減衰器13,19の減衰量は予め判るので,送話減衰器
13と,受話減衰器19の各々の入力を比較する比較器
を1つだけ備えるようにしてもよい。また,初期設定時
に減衰器13,19の減衰量が設定されたが,例えば使
用中にスピーカーアンプの外付けボリュームが変更され
ることがある場合等には,演算量の許す範囲で所定のタ
イミングで間欠的に減衰量設定を行ってもよい。
た受話信号は電話回線からハイブリッドトランス5を経
て,受話信号可変減衰器19を通過し,スピーカアンプ
17で増幅された後,スピーカ3から出力される。その
信号の一部がマイクロフォン2から送話信号経路9内に
入力される。このとき,スピーカ3からマイクロフォン
2への音響結合量が近端話者の移動等により大きく変動
した場合,ハンズフリー回路内での一巡利得が最初に設
定された値より増大し,予定されたハウリング余裕を保
つことが出来ずハウリングが発生する。このハウリング
発生を検出するためにマイクロフォン2から送話信号経
路9内に入力された信号レベルの一定時間内における最
大値(ピーク値)の実効値に対するレベル差(以下ピー
ク係数という)をハウリング検出部41で検出する。ピ
ーク係数が所定の第1のしきい値,例えば6dBよりも
小さくなった場合は音声信号だけではなく純音成分が大
きい,すなわちハウリングが発生した可能性があるとい
える。ただし,例えば電話をかける前に受話器を上げた
際や,通話中に通話相手が電話端末などを操作するため
にトーン信号を送出する際などにも,純音に近い信号が
スピーカ3から回り込んでマイクロフォン2に入力され
るため,信号の純音性だけによってハウリングと判断す
ると,誤検出することがある。そこで,本実施例ではハ
ウリング検出部41は送話信号経路9内の信号レベルが
所定の第2のしきい値よりも大きいという条件を満たし
ているときに,ピーク係数が前記の第1のしきい値より
も小さくなったという条件が成立した場合に,ハウリン
グが発生していると判断するように構成した。この第1
のしきい値についてはスピーカーフォン1の特性や設置
環境に応じて定めればよい。ハウリング検出部31は,
ハウリングの発生を検出するとその旨を表す信号を減衰
制御器22へ送る。ハウリングの発生がハウリング検出
部31から減衰制御器22に伝えられると,減衰制御器
22は送話信号経路9または受話信号経路15に損失を
挿入することによって,ハンズフリー回路内での一巡利
得を下げ,ハウリングを抑制する。具体的には,送話可
変減衰器13の減衰量と受話信号可変減衰器19の減衰
量との和を小さくする。すなわち、送話時においては受
話信号可変減衰器6の減衰量を大きくし,また受話時に
おいては送話信号可変減衰器13の減衰量を大きくす
る。本実施例ではそれぞれの減衰量を10dB増加させ
る。このようにして,一時的にいわゆる半二重動作状態
(深い音声スイッチ)に近くなることで,一巡利得が1
以下になってハウリングが抑制される。ハウリングの抑
制が完了すれば,減衰制御器22は,前述した初期設定
時と同様の手順を実効して,送話信号可変減衰器13と
受話信号可変減衰器19との好適な減衰量を新たに設定
することも可能である。尚,本実施例では,比較器を2
個設けたが,ディジタル回路を用いる場合,送話/受話
減衰器13,19の減衰量は予め判るので,送話減衰器
13と,受話減衰器19の各々の入力を比較する比較器
を1つだけ備えるようにしてもよい。また,初期設定時
に減衰器13,19の減衰量が設定されたが,例えば使
用中にスピーカーアンプの外付けボリュームが変更され
ることがある場合等には,演算量の許す範囲で所定のタ
イミングで間欠的に減衰量設定を行ってもよい。
【0025】〔第2実施例〕次に,図3を参照して本発
明の第2実施例について説明する。本実施例は,上記第
1実施例の機能をハンドセット付きのスピーカーフォン
に適用したものである。なお,図3において,一点鎖線
で囲んだ部分は,上記図1の減衰調整回路50と同様の
構成であることを示し,その内部の図示を省略する。ス
ピーカーフォン101は,本体105と,該本体105
に接続されたハンドセット103とより構成されてい
る。本体105には,スピーカー109bとマイクロフ
ォン111bとが備えられ,マイクロフォン111bで
捉えられた送話信号は,増幅器121bで増幅された
後,送話信号経路113に介挿されたスイッチ115,
減衰調整回路50の送話減衰器113及び増幅器114
を通って回線部であるハイブリッドトランス107に至
り,回線に送り出される。また相手話者からの受信信号
は,外線からハイブリッドトランス107に送り込ま
れ,受信信号経路117に介挿された減衰調整回路50
の増幅器120,受話減衰器119(第1図参照)で減
衰され,さらに切り換えスイッチ119及び増幅器12
3bを経てスピーカー109bに伝えられる。上記本体
側のスピーカー109bとマイクロフォン111bによ
り拡声通話部が構成されている。前記ハンドセット10
3側のスピーカー109a及びマイクロフォン111a
とはそれぞれ切り換え器149(信号回路切換手段)に
より切り換え制御される前記スイッチ119及び115
を介して受話信号経路117及び送話信号経路113に
接続されている。上記スピーカー109a及びマイクロ
フォン111aが、ハンドセット通話部を構成する。従
って話者は,切り換え器149によりスイッチ119及
び115を切り換えて,ハンドセット103のマイクロ
フォン111a及びスピーカー109aを使うハンドセ
ット通話と,本体側のマイクロフォン111b及びスピ
ーカー109bを使う拡声通話とを切り換えて行うこと
ができる。ところで,ハンドセット3を用いるハンドセ
ット状態で通話する場合,話者の送話音が受話信号経路
にある程度戻り,話者が自分の声を聞きながら話すほう
が話しやすいことから,ハイブリッドトランス107の
側音結合量は大きい状態に設定される。ハンドセット通
話では,通話者の耳とスピーカー109a,通話者の口
とマイクロフォン111aが近接するため,スピーカー
109aの音量,及び増幅器121aの利得は小さくて
よく,側音結合量が大きくてもハウリングは生じない。
明の第2実施例について説明する。本実施例は,上記第
1実施例の機能をハンドセット付きのスピーカーフォン
に適用したものである。なお,図3において,一点鎖線
で囲んだ部分は,上記図1の減衰調整回路50と同様の
構成であることを示し,その内部の図示を省略する。ス
ピーカーフォン101は,本体105と,該本体105
に接続されたハンドセット103とより構成されてい
る。本体105には,スピーカー109bとマイクロフ
ォン111bとが備えられ,マイクロフォン111bで
捉えられた送話信号は,増幅器121bで増幅された
後,送話信号経路113に介挿されたスイッチ115,
減衰調整回路50の送話減衰器113及び増幅器114
を通って回線部であるハイブリッドトランス107に至
り,回線に送り出される。また相手話者からの受信信号
は,外線からハイブリッドトランス107に送り込ま
れ,受信信号経路117に介挿された減衰調整回路50
の増幅器120,受話減衰器119(第1図参照)で減
衰され,さらに切り換えスイッチ119及び増幅器12
3bを経てスピーカー109bに伝えられる。上記本体
側のスピーカー109bとマイクロフォン111bによ
り拡声通話部が構成されている。前記ハンドセット10
3側のスピーカー109a及びマイクロフォン111a
とはそれぞれ切り換え器149(信号回路切換手段)に
より切り換え制御される前記スイッチ119及び115
を介して受話信号経路117及び送話信号経路113に
接続されている。上記スピーカー109a及びマイクロ
フォン111aが、ハンドセット通話部を構成する。従
って話者は,切り換え器149によりスイッチ119及
び115を切り換えて,ハンドセット103のマイクロ
フォン111a及びスピーカー109aを使うハンドセ
ット通話と,本体側のマイクロフォン111b及びスピ
ーカー109bを使う拡声通話とを切り換えて行うこと
ができる。ところで,ハンドセット3を用いるハンドセ
ット状態で通話する場合,話者の送話音が受話信号経路
にある程度戻り,話者が自分の声を聞きながら話すほう
が話しやすいことから,ハイブリッドトランス107の
側音結合量は大きい状態に設定される。ハンドセット通
話では,通話者の耳とスピーカー109a,通話者の口
とマイクロフォン111aが近接するため,スピーカー
109aの音量,及び増幅器121aの利得は小さくて
よく,側音結合量が大きくてもハウリングは生じない。
【0026】一方,ハンズフリー状態下でも,側音結合
量はハンドセット状態と同様のままであるが,この場
合,話者はマイクロフォン111b,及び,スピーカー
109bから離れて通話するため,スピーカー109b
の音量,及び,増幅器121bの利得は大きく設定され
る。また,話者の顔による遮蔽効果がないため,スピー
カー109bとマイクロフォン111bとの間の音響結
合も大きくなる。その結果,送話信号経路13から側音
結合を介し,受話信号経路17,音響結合で構成される
ループゲインが大きくなり,ハウリングが生じやすくな
る。そこで,ハンズフリー状態では,送話信号可変減衰
器13,及び,受話信号可変減衰器19の減衰量を大き
く,即ち,送話音量と受話音量とを比較器27,29で
比較し,送話状態の場合には,受話減衰器19の減衰量
を最大にし,受話状態では,送話減衰器33の減衰量を
最大にする,いわゆる,半二重動作を行うように制御す
ることが考えられる。しかしながらハンズフリー状態で
のループゲインを低減するために,ただ単に送話減衰器
13,及び,受話減衰器19の減衰量を大きくすること
で対応しているため,半二重動作を用いることにより,
その結果,送話,受話が重なったときの話頭切れ,語尾
切れが避けられない問題があり,双方向同時通話性が大
きく損なわれる。また,送話減衰器33,及び,受話減
衰器37の減衰量を小さくすると,ハウリングが生じや
すくなる。
量はハンドセット状態と同様のままであるが,この場
合,話者はマイクロフォン111b,及び,スピーカー
109bから離れて通話するため,スピーカー109b
の音量,及び,増幅器121bの利得は大きく設定され
る。また,話者の顔による遮蔽効果がないため,スピー
カー109bとマイクロフォン111bとの間の音響結
合も大きくなる。その結果,送話信号経路13から側音
結合を介し,受話信号経路17,音響結合で構成される
ループゲインが大きくなり,ハウリングが生じやすくな
る。そこで,ハンズフリー状態では,送話信号可変減衰
器13,及び,受話信号可変減衰器19の減衰量を大き
く,即ち,送話音量と受話音量とを比較器27,29で
比較し,送話状態の場合には,受話減衰器19の減衰量
を最大にし,受話状態では,送話減衰器33の減衰量を
最大にする,いわゆる,半二重動作を行うように制御す
ることが考えられる。しかしながらハンズフリー状態で
のループゲインを低減するために,ただ単に送話減衰器
13,及び,受話減衰器19の減衰量を大きくすること
で対応しているため,半二重動作を用いることにより,
その結果,送話,受話が重なったときの話頭切れ,語尾
切れが避けられない問題があり,双方向同時通話性が大
きく損なわれる。また,送話減衰器33,及び,受話減
衰器37の減衰量を小さくすると,ハウリングが生じや
すくなる。
【0027】本発明は,このような従来の技術における
課題を解決するために,ハンドセット状態であるか,ハ
ンズフリー状態であるかに応じて側音結合の程度を変化
させ,送話減衰器,及び受話減衰器の減衰量を低減する
ことによって,ハウリングを生じることなく,語頭切
れ,語尾切れを少なくすることを目的とする。そこで本
実施例では,前記送話信号経路113と受話信号経路1
17を接続するバイパス回路143が,前記ハイブリッ
ドトランス107に並列に設けられている。上記バイパ
ス回路143にはスイッチ145及びバイパスインピー
ダンス147が直列に挿入されている。上記スイッチ1
45は前記切り換え器(切換手段)149によりオン・
オフ制御される。したがって,前記従来技術におけるよ
うに,切り換え器149によりハンズフリー状態とハン
ドセット状態を切り換えるスイッチ115及び119を
切り換えると,同時にスイッチ145も切り替わる。こ
の実施例では図3に示したように,ハンドセット状態
(ハンドセット103との間で信号を入出力する状態)
にある時にスイッチ145がオンとなり,送話信号経路
113と受話信号経路117とは,ハイブリッドトラン
ス107のインピーダンスと,これに並列のバイパスイ
ンピーダンス147のインピーダンスを介して接続さ
れ,送話信号経路113から受話信号経路117へ戻る
側音結合量が上記並列の2つのインピーダンスにより決
定される。このようにハンドセット状態では側音結合量
が大きくなるので,話者は上記バイパスインピーダンス
147とハイブリッドトランス107を通って回り込む
自分の声を聞きながら話すことができ,話しやすい状態
を維持できる。この状態でのバイパスインピーダンス1
47とハイブリッドトランス107の両者から計算され
るインピーダンス(側音結合量)は例えば−7〜−15
dBが適切とされる。これに対してハンズフリー状態
(マイクロフォン111bからの信号を入力する状態)
にある時には,スイッチ145がオフとなり,送話信号
経路113と受話信号経路117とは,ハイブリッドト
ランス107のインピーダンスのみを介して接続され,
送話信号経路113から受話信号経路117へ戻る側音
結合量が小さくなるので,ハウリングが防止される。こ
の状態でのハイブリッドトランス107のインピーダン
スに基づく側音結合量は例えば−30〜−20dBが適
切とされる。
課題を解決するために,ハンドセット状態であるか,ハ
ンズフリー状態であるかに応じて側音結合の程度を変化
させ,送話減衰器,及び受話減衰器の減衰量を低減する
ことによって,ハウリングを生じることなく,語頭切
れ,語尾切れを少なくすることを目的とする。そこで本
実施例では,前記送話信号経路113と受話信号経路1
17を接続するバイパス回路143が,前記ハイブリッ
ドトランス107に並列に設けられている。上記バイパ
ス回路143にはスイッチ145及びバイパスインピー
ダンス147が直列に挿入されている。上記スイッチ1
45は前記切り換え器(切換手段)149によりオン・
オフ制御される。したがって,前記従来技術におけるよ
うに,切り換え器149によりハンズフリー状態とハン
ドセット状態を切り換えるスイッチ115及び119を
切り換えると,同時にスイッチ145も切り替わる。こ
の実施例では図3に示したように,ハンドセット状態
(ハンドセット103との間で信号を入出力する状態)
にある時にスイッチ145がオンとなり,送話信号経路
113と受話信号経路117とは,ハイブリッドトラン
ス107のインピーダンスと,これに並列のバイパスイ
ンピーダンス147のインピーダンスを介して接続さ
れ,送話信号経路113から受話信号経路117へ戻る
側音結合量が上記並列の2つのインピーダンスにより決
定される。このようにハンドセット状態では側音結合量
が大きくなるので,話者は上記バイパスインピーダンス
147とハイブリッドトランス107を通って回り込む
自分の声を聞きながら話すことができ,話しやすい状態
を維持できる。この状態でのバイパスインピーダンス1
47とハイブリッドトランス107の両者から計算され
るインピーダンス(側音結合量)は例えば−7〜−15
dBが適切とされる。これに対してハンズフリー状態
(マイクロフォン111bからの信号を入力する状態)
にある時には,スイッチ145がオフとなり,送話信号
経路113と受話信号経路117とは,ハイブリッドト
ランス107のインピーダンスのみを介して接続され,
送話信号経路113から受話信号経路117へ戻る側音
結合量が小さくなるので,ハウリングが防止される。こ
の状態でのハイブリッドトランス107のインピーダン
スに基づく側音結合量は例えば−30〜−20dBが適
切とされる。
【0028】以上のべた実施例では,側音結合量変更手
段がハイブリッドトランス107に並列に接続されたバ
イパスインピーダンス147及びスイッチ145により
構成されており,ハイブリッドトランス107とバイパ
スインピーダンス147が直列に接続された場合につい
て述べたが,これは一例であって,バイパスインピーダ
ンス147とスイッチ145を並列にすることも可能で
ある。また,上の実施例では,ハンドセット付きの拡声
電話装置に基づいて本発明が説明されたが,この発明は
例えば会議用通話システムのようにハンズフリー状態の
通話とハンドセットによる通話を可能としたシステム等
にも当然適用可能であり,その場合にも本発明の趣旨は
変わりなくシステムに適用される。以上に本発明の実施
例について説明した。上述の実施例構成における特徴点
を以下に述べる。前記第1実施例のスピーカーフォン1
が,マイクロフォンから入力された送話信号を送話信号
経路を経て回線部へ伝えると共に,上記回線部から出力
された受話信号を受話信号経路を経てスピーカーに出力
する拡声通話装置に相当する。前記適応フィルタ43と
音響エコー係数設定器45とにより,前記スピーカーか
ら前記マイクロフォンへの音響エコー信号をキャンセル
するためのフィルターを有する音響エコーキャンセル回
路が構成され,前記適応フィルタ47と回線エコー係数
設定器49とより前記受話信号経路から前記回線部へ出
力されて前記送話信号経路へと回り込む回線エコー信号
をキャンセルするためのフィルターを有する回線エコー
キャンセル回路が構成されている。前記送話信号可変減
衰器13により,前記マイクロフォンから前記送話信号
経路へ入力された送話信号を減衰させる送話信号可変減
衰器が構成され,前記受話信号可変減衰器19により,
前記回線部から前記受話信号経路へ入力された受話信号
を減衰させる受話信号可変減衰器が構成されている。前
記減衰制御器22により,前記送話信号可変減衰器と前
記受話信号可変減衰器とを所定の相補的関係を維持させ
つつ制御する制御手段とを備えた拡声通話装置であっ
て,前記ハウリング検出手段からハウリング検出信号が
出力された場合には,前記送話信号可変減衰器と前記受
話信号可変減衰器との減衰量の和が前記ゲイン設定手段
の設定値よりも大きくなるように制御する制御手段及
び,前記回線結合量測定手段の測定出力と前記音響結合
量測定手段の測定出力とに基づいて,前記送話信号可変
減衰器の減衰量と前記受話信号可変減衰量との和を設定
し,該設定値を通話が開始されていない時点で前記制御
手段に送るゲイン設定手段が構成されている。前記回線
結合量測定器37により所定の疑似的な送話信号と受話
信号に対して得られる前記送話信号経路から前記回線部
を経て前記受話信号経路に至る回線結合量を測定する回
線結合量測定手段が構成され,前記音響結合量測定器3
5により,所定の疑似的な信号を用いて得られる前記ス
ピーカー及びマイクロフォンの設置された環境における
スピーカーからマイクロフォンに至る音響結合量を測定
する音響結合量測定手段が構成されている。前記ハウリ
ング検出器41により,前記送話信号経路に接続され,
前記マイクロフォンに入力された送話信号の最大値と一
定時間範囲内の実効値とのレベル差を検出し,前記レベ
ル差が予め定められた第1のしきい値より小さくなにな
り,前記送話信号経路における送話信号のレベルが,予
め定められた第2のしきい値以上ったことに応答して,
ハウリングの検出信号を出力するハウリング検出手段が
構成されている。さらに,上記第2実施例のスピーカー
フォン101が,それぞれがマイクロフォン及びスピー
カーを有する拡声通話部とハンドセット通話部と,上記
両通話部と回線部とを接続する送話信号経路及び受話信
号経路とを切り換える信号経路切換手段とを備え,拡声
通話とハンドセット通話との切換えが可能なハンドセッ
ト付の拡声通話装置に相当する。そして,前記バイパス
回路143により,前記信号回路切り換え手段の切換え
状態に応じて,前記送話信号経路から前記受話信号経路
への側音結合量を変化させる側音結合量変更手段が構成
されている。
段がハイブリッドトランス107に並列に接続されたバ
イパスインピーダンス147及びスイッチ145により
構成されており,ハイブリッドトランス107とバイパ
スインピーダンス147が直列に接続された場合につい
て述べたが,これは一例であって,バイパスインピーダ
ンス147とスイッチ145を並列にすることも可能で
ある。また,上の実施例では,ハンドセット付きの拡声
電話装置に基づいて本発明が説明されたが,この発明は
例えば会議用通話システムのようにハンズフリー状態の
通話とハンドセットによる通話を可能としたシステム等
にも当然適用可能であり,その場合にも本発明の趣旨は
変わりなくシステムに適用される。以上に本発明の実施
例について説明した。上述の実施例構成における特徴点
を以下に述べる。前記第1実施例のスピーカーフォン1
が,マイクロフォンから入力された送話信号を送話信号
経路を経て回線部へ伝えると共に,上記回線部から出力
された受話信号を受話信号経路を経てスピーカーに出力
する拡声通話装置に相当する。前記適応フィルタ43と
音響エコー係数設定器45とにより,前記スピーカーか
ら前記マイクロフォンへの音響エコー信号をキャンセル
するためのフィルターを有する音響エコーキャンセル回
路が構成され,前記適応フィルタ47と回線エコー係数
設定器49とより前記受話信号経路から前記回線部へ出
力されて前記送話信号経路へと回り込む回線エコー信号
をキャンセルするためのフィルターを有する回線エコー
キャンセル回路が構成されている。前記送話信号可変減
衰器13により,前記マイクロフォンから前記送話信号
経路へ入力された送話信号を減衰させる送話信号可変減
衰器が構成され,前記受話信号可変減衰器19により,
前記回線部から前記受話信号経路へ入力された受話信号
を減衰させる受話信号可変減衰器が構成されている。前
記減衰制御器22により,前記送話信号可変減衰器と前
記受話信号可変減衰器とを所定の相補的関係を維持させ
つつ制御する制御手段とを備えた拡声通話装置であっ
て,前記ハウリング検出手段からハウリング検出信号が
出力された場合には,前記送話信号可変減衰器と前記受
話信号可変減衰器との減衰量の和が前記ゲイン設定手段
の設定値よりも大きくなるように制御する制御手段及
び,前記回線結合量測定手段の測定出力と前記音響結合
量測定手段の測定出力とに基づいて,前記送話信号可変
減衰器の減衰量と前記受話信号可変減衰量との和を設定
し,該設定値を通話が開始されていない時点で前記制御
手段に送るゲイン設定手段が構成されている。前記回線
結合量測定器37により所定の疑似的な送話信号と受話
信号に対して得られる前記送話信号経路から前記回線部
を経て前記受話信号経路に至る回線結合量を測定する回
線結合量測定手段が構成され,前記音響結合量測定器3
5により,所定の疑似的な信号を用いて得られる前記ス
ピーカー及びマイクロフォンの設置された環境における
スピーカーからマイクロフォンに至る音響結合量を測定
する音響結合量測定手段が構成されている。前記ハウリ
ング検出器41により,前記送話信号経路に接続され,
前記マイクロフォンに入力された送話信号の最大値と一
定時間範囲内の実効値とのレベル差を検出し,前記レベ
ル差が予め定められた第1のしきい値より小さくなにな
り,前記送話信号経路における送話信号のレベルが,予
め定められた第2のしきい値以上ったことに応答して,
ハウリングの検出信号を出力するハウリング検出手段が
構成されている。さらに,上記第2実施例のスピーカー
フォン101が,それぞれがマイクロフォン及びスピー
カーを有する拡声通話部とハンドセット通話部と,上記
両通話部と回線部とを接続する送話信号経路及び受話信
号経路とを切り換える信号経路切換手段とを備え,拡声
通話とハンドセット通話との切換えが可能なハンドセッ
ト付の拡声通話装置に相当する。そして,前記バイパス
回路143により,前記信号回路切り換え手段の切換え
状態に応じて,前記送話信号経路から前記受話信号経路
への側音結合量を変化させる側音結合量変更手段が構成
されている。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように,本発明に係る拡声
通話装置によれば,疑似的な信号を送話信号経路内およ
び受話信号経路内に出力することによって回線結合量お
よび音響結合量が自動的に測定され,拡声通話装置の実
際の使用環境において測定された回線結合量および音響
結合量を用いて送話信号可変減衰器の減衰量と受話信号
可変減衰器の減衰量との和が設定されるので,所望のハ
ウリング余裕を得るための,使用環境に応じた減衰量が
設定されるため,必要以上に送話可変減衰器または受話
可変減衰器の減衰量の和が大きく設定されてしまうこと
がない。従って,送話と受話との切り替え時の減衰量の
変化が比較的小さくなり,話頭切断,話尾切断が起こり
にくく,自然な通話が行える。しかも音響結合量と回線
結合量との測定およびそれに対応する送話可変減衰器と
受話可変減衰器との減衰量の和の設定を,例えば初期的
設定時のような好適な所定のタイミングで行なうように
できるので通話中に常時,音響結合量と回線結合量とを
測定し,それに合わせて通話中に減衰量を変化させると
いった複雑な処理を行なわなくてもよく,回線構成を簡
単にし,かつ,演算処理量も軽減でき,装置の組立コス
トを安価にすることが可能である。しかも,測定された
音響結合量は,前記音響エコーキャンセル回路がある場
合には,当回路によるキャンセル効果が反映された値で
あり,また,回線結合量についても,装置に回線エコー
キャンセル回路が設けられている場合には,そのキャン
セル効果が反映された値が測定される。従って,前記ゲ
イン設定手段により例えば初期設定時において定められ
る前記送話信号可変減衰器と受話信号可変減衰器との減
衰量の和の設定値には,音響エコーキャンセルの効果が
反映されており,通話中の前記送話信号可変減衰器と前
記受話信号可変減衰器の減衰量は前記設定値によって制
御され,通話中の環境の変化によって減衰量が随時変化
するようなことはなく安定した通話が行える。更に,本
発明では送話信号経路中の信号の最大値の実効値に対す
るレベル差と信号の実効値との両方を検出することによ
ってハウリング発生を検出するので,誤検出の危険が小
さい。また,複雑なアルゴリズムを必要としないため,
安定的に作動するハウリングの検出及び抑制機能を比較
的安価に実現できる。したがって,拡声通話装置が,送
話信号経路および受話信号経路のそれぞれに設けた可変
減衰器によるエコーサプレッサ機能を有する場合に,ス
ピーカからマイクロフォンへの音響結合量が例えば近端
話者の移動等により大きく変動して一巡利得が変化した
ために,可変減衰器の減衰量の設定値が不適当となり,
ハウリング余裕が保てなくなったときであっても,前記
の機能によってハウリングの発生を検出し,ハウリング
抑制機能によって一巡利得を1以下に下げてハウリング
を抑えることができる。更には,拡声通話装置が,音響
エコーキャンセラ機能を有する場合に,例えば,近端話
者の移動により音響結合量が大きく急激に変動したり,
エコーキャンセラのための適応フィルタの係数更新処理
が追い付かなかったりして回路内の一巡利得が大きくな
りハウリングが発生したときであっても,同様に確実に
ハウリングを検出して抑制することができる。さらに,
拡声通話装置がハンドセット付である場合において,ハ
ンズフリー状態からハンドセット状態に切り換わると同
時に側音結合量がハンドセット状態に適した値に切り換
わる。また逆にハンドセット状態からハンズフリー状態
に切り換わると同時にハンズフリー状態に適した値に切
り換わる。従って,どちらの状態においても通話性が良
好になると共に,切り換わりに基づくハウリングの発生
も回避される。
通話装置によれば,疑似的な信号を送話信号経路内およ
び受話信号経路内に出力することによって回線結合量お
よび音響結合量が自動的に測定され,拡声通話装置の実
際の使用環境において測定された回線結合量および音響
結合量を用いて送話信号可変減衰器の減衰量と受話信号
可変減衰器の減衰量との和が設定されるので,所望のハ
ウリング余裕を得るための,使用環境に応じた減衰量が
設定されるため,必要以上に送話可変減衰器または受話
可変減衰器の減衰量の和が大きく設定されてしまうこと
がない。従って,送話と受話との切り替え時の減衰量の
変化が比較的小さくなり,話頭切断,話尾切断が起こり
にくく,自然な通話が行える。しかも音響結合量と回線
結合量との測定およびそれに対応する送話可変減衰器と
受話可変減衰器との減衰量の和の設定を,例えば初期的
設定時のような好適な所定のタイミングで行なうように
できるので通話中に常時,音響結合量と回線結合量とを
測定し,それに合わせて通話中に減衰量を変化させると
いった複雑な処理を行なわなくてもよく,回線構成を簡
単にし,かつ,演算処理量も軽減でき,装置の組立コス
トを安価にすることが可能である。しかも,測定された
音響結合量は,前記音響エコーキャンセル回路がある場
合には,当回路によるキャンセル効果が反映された値で
あり,また,回線結合量についても,装置に回線エコー
キャンセル回路が設けられている場合には,そのキャン
セル効果が反映された値が測定される。従って,前記ゲ
イン設定手段により例えば初期設定時において定められ
る前記送話信号可変減衰器と受話信号可変減衰器との減
衰量の和の設定値には,音響エコーキャンセルの効果が
反映されており,通話中の前記送話信号可変減衰器と前
記受話信号可変減衰器の減衰量は前記設定値によって制
御され,通話中の環境の変化によって減衰量が随時変化
するようなことはなく安定した通話が行える。更に,本
発明では送話信号経路中の信号の最大値の実効値に対す
るレベル差と信号の実効値との両方を検出することによ
ってハウリング発生を検出するので,誤検出の危険が小
さい。また,複雑なアルゴリズムを必要としないため,
安定的に作動するハウリングの検出及び抑制機能を比較
的安価に実現できる。したがって,拡声通話装置が,送
話信号経路および受話信号経路のそれぞれに設けた可変
減衰器によるエコーサプレッサ機能を有する場合に,ス
ピーカからマイクロフォンへの音響結合量が例えば近端
話者の移動等により大きく変動して一巡利得が変化した
ために,可変減衰器の減衰量の設定値が不適当となり,
ハウリング余裕が保てなくなったときであっても,前記
の機能によってハウリングの発生を検出し,ハウリング
抑制機能によって一巡利得を1以下に下げてハウリング
を抑えることができる。更には,拡声通話装置が,音響
エコーキャンセラ機能を有する場合に,例えば,近端話
者の移動により音響結合量が大きく急激に変動したり,
エコーキャンセラのための適応フィルタの係数更新処理
が追い付かなかったりして回路内の一巡利得が大きくな
りハウリングが発生したときであっても,同様に確実に
ハウリングを検出して抑制することができる。さらに,
拡声通話装置がハンドセット付である場合において,ハ
ンズフリー状態からハンドセット状態に切り換わると同
時に側音結合量がハンドセット状態に適した値に切り換
わる。また逆にハンドセット状態からハンズフリー状態
に切り換わると同時にハンズフリー状態に適した値に切
り換わる。従って,どちらの状態においても通話性が良
好になると共に,切り換わりに基づくハウリングの発生
も回避される。
【図1】 本発明の第1実施例に係るスピーカホンの構
成を示すブロック図。
成を示すブロック図。
【図2】 結合量測定部の構成を示すブロック図。
【図3】 本発明の第2実施例に係るハンドセット付ス
ピーカーフォンの構成を示すブロック図。
ピーカーフォンの構成を示すブロック図。
【図4】 従来の音声拡声装置の構成を示す回路図。
【図5】 従来のハンズフリー回路の構成を示す回路
図。
図。
【図6】 従来のハンズフリー回路の構成を示す回路
図。
図。
【図7】 従来のハンズフリー回路の構成を示す回路
図。
図。
1…スピーカホン 2…マイクロフォン 3…スピーカ 5…ハイブリッドトランス(回線部) 9…受話信号経路 11…マイクロフォンアンプ 13…送話信号減衰器 15…送話信号経路 17…スピーカアンプ 19…受話信号可変減衰器 21…制御部 23…結合量測定部 25…受話側音声対雑音検出器 27,29…レベル比較器 31,33…信号発生器 35…音響結合量測定器 37…回線結合量測定器 41…ハウリング検出器 43,47…適応フィルタ 45…音響エコー係数設定器 49…回線エコー 50…減衰調整回路 101…ハンドセット付拡声通話装置 103…ハンドセット 107…ハイブリッドトランス(回線部) 109a…ハンドセット用マイクロフォン(ハンドセッ
ト通話部) 109b…ハンズフリー用マイクロフォン(ハンズフリ
ー通話部) 111a…ハンドセット用スピーカー(ハンドセット通
話部) 111b…ハンズフリー用スピーカー(ハンズフリー通
話部) 113…送話信号経路 117…受話信号経路 149…信号経路切替手段 145…スイッチ(側音結合量変更手段) 147…バイパスインピーダンス(側音結合量変更手
段)
ト通話部) 109b…ハンズフリー用マイクロフォン(ハンズフリ
ー通話部) 111a…ハンドセット用スピーカー(ハンドセット通
話部) 111b…ハンズフリー用スピーカー(ハンズフリー通
話部) 113…送話信号経路 117…受話信号経路 149…信号経路切替手段 145…スイッチ(側音結合量変更手段) 147…バイパスインピーダンス(側音結合量変更手
段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂谷 亨 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 下田 敏章 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 宇津野 秀夫 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 マイクロフォンから入力された送話信号
を送話信号経路を経て回線部へ伝えると共に,上記回線
部から出力された受話信号を受話信号経路を経てスピー
カーに出力する拡声通話装置であって,前記スピーカー
から前記マイクロフォンへの音響エコー信号をキャンセ
ルするためのフィルターを有する音響エコーキャンセル
回路及び/又は前記受話信号経路から前記回線部へ出力
されて前記送話信号経路へと回り込む回線エコー信号を
キャンセルするためのフィルターを有する回線エコーキ
ャンセル回路と,前記マイクロフォンから前記送話信号
経路へ入力された送話信号を減衰させる送話信号可変減
衰器と,前記回線部から前記受話信号経路へ入力された
受話信号を減衰させる受話信号可変減衰器と,前記送話
信号可変減衰器と前記受話信号可変減衰器とを所定の相
補的関係を維持させつつ制御する制御手段とを備えた拡
声通話装置において,所定の疑似的な信号に用いて得ら
れる前記送話信号経路から前記回線部を経て前記受話信
号経路に至る回線結合量を測定する回線結合量測定手段
と,所定の疑似的な信号を用いて得られる前記スピーカ
ーから前記マイクロフォンに至る音響結合量を測定する
音響結合量測定手段と,前記回線結合量測定手段の測定
出力と前記音響結合量測定手段の測定出力とに基づい
て,前記送話信号可変減衰器の減衰量と前記受話信号可
変減衰器の減衰量との和を設定し,該設定量を通話が開
始されていない時点で前記制御手段に送るゲイン設定手
段とを備えたことを特徴とする拡声通話装置。 - 【請求項2】 マイクロフォンから入力された送話信号
を送話信号経路を経て回線部へ伝えると共に,上記回線
部から出力された受話信号を受話信号経路を経てスピー
カーに出力する拡声通話装置であって,前記スピーカー
から前記マイクロフォンへの音響エコー信号をキャンセ
ルするためのフィルターを有する音響エコーキャンセル
回路及び/又は前記受話信号経路から前記回線部へ出力
されて前記送話信号経路へと回り込む回線エコー信号を
キャンセルするためのフィルターを有する回線エコーキ
ャンセル回路と,前記マイクロフォンから前記送話信号
経路へ入力された送話信号を減衰させる送話信号可変減
衰器と,前記回線部から前記受話信号経路へ入力された
受話信号を減衰させる受話信号可変減衰器と,前記送話
信号可変減衰器と前記受話信号可変減衰器とを所定の相
補的関係を維持させつつ制御する制御手段とを備えた拡
声通話装置において,前記送話信号経路に接続され,前
記マイクロフォンに入力された送話信号の一定時間範囲
内における最大値と実効値とのレベル差を検出し,前記
レベル差が予め定められた第2のしきい値より小さくな
り,且つ,前記送話信号経路における送話信号のレベル
が,予め定められた第2のしきい値以上になる,ったこ
とに応答して,ハウリングの検出信号を出力するハウリ
ング検出手段とを備え,前記制御手段は,前記ハウリン
グ検出手段からハウリング検出信号が出力された場合に
は,前記送話信号可変減衰器と前記受話信号可変減衰器
との減衰量の和が大きくなるように制御することを特徴
とする拡声通話装置。 - 【請求項3】 それぞれがマイクロフォン及びスピーカ
ーを有する拡声通話ぶとハンドセット通話部と,上記両
通話部と回線部とを接続する送話信号経路及び受話信号
経路とを切り換える信号経路切換手段とを備え,拡声通
話とハンドセット通話との切換えが可能なハンドセット
付の拡声通話装置であって,前記スピーカーから前記マ
イクロフォンへの音響エコー信号をキャンセルするため
のフィルターを有する音響エコーキャンセル回路及び/
又は前記受話信号経路から前記回線部へ出力されて前記
送話信号経路へと回り込む回線エコー信号をキャンセル
するためのフィルターを有する回線エコーキャンセル回
路と,前記マイクロフォンから前記送話信号経路へ入力
された送話信号を減衰させる送話信号可変減衰器と,前
記回線部から前記受話信号経路へ入力された受話信号を
減衰させる受話信号可変減衰器と,前記送話信号可変減
衰器と前記受話信号可変減衰器とを両者の相補的関係を
維持させつつ制御する制御手段とを備えた拡声通話装置
において,前記信号回路切り換え手段の切換え状態に応
じて,前記送話信号経路から前記受話信号経路への側音
結合量を変化させる側音結合量変更手段を備えたことを
特徴とする拡声通話装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16464295A JPH08335977A (ja) | 1995-06-06 | 1995-06-06 | 拡声通話装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16464295A JPH08335977A (ja) | 1995-06-06 | 1995-06-06 | 拡声通話装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08335977A true JPH08335977A (ja) | 1996-12-17 |
Family
ID=15797072
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP16464295A Pending JPH08335977A (ja) | 1995-06-06 | 1995-06-06 | 拡声通話装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08335977A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001245382A (ja) * | 2000-01-13 | 2001-09-07 | Nokia Mobile Phones Ltd | スピーカをトラッキングする方法およびシステム |
| JP2007060429A (ja) * | 2005-08-25 | 2007-03-08 | Matsushita Electric Works Ltd | 拡声通話装置 |
| JP2015070576A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 沖電気工業株式会社 | エコー抑圧装置、及びエコー抑圧プログラム |
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1995
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