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JPH09176041A - α2プラスミンインヒビターを含有するDIC治療用薬剤 - Google Patents

α2プラスミンインヒビターを含有するDIC治療用薬剤

Info

Publication number
JPH09176041A
JPH09176041A JP7353269A JP35326995A JPH09176041A JP H09176041 A JPH09176041 A JP H09176041A JP 7353269 A JP7353269 A JP 7353269A JP 35326995 A JP35326995 A JP 35326995A JP H09176041 A JPH09176041 A JP H09176041A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasmin
dic
plasmin inhibitor
inhibitor
fibrin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7353269A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayoshi Hamamoto
高義 濱本
Toshihiro Nakagaki
智弘 中垣
Seiji Miyamoto
誠二 宮本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
Original Assignee
Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken filed Critical Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
Priority to JP7353269A priority Critical patent/JPH09176041A/ja
Publication of JPH09176041A publication Critical patent/JPH09176041A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規なDIC(播種性血管内凝固症候群)治療
用薬剤を提供することを目的とする。 【構成】 α2プラスミンインヒビターを主要構成成分
とし、必要に応じヒトアルブミン、ゼラチン、塩、糖ま
たはアミノ酸などの好適な安定化剤、賦形剤が添加され
たDIC治療用薬剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は血漿蛋白質の一種であ
るα2プラスミンインヒビターの新たな用途に関する。
さらに詳細には、α2プラスミンインヒビターを主要構
成成分とするDIC治療用薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術並びに発明が解決しようとする課題】α2
プラスミンインヒビターは生理的な線維素溶解(線溶)の
阻止因子である。α2プラスミンインヒビターは、線溶
の主たる役割(血栓であるフィブリンを溶解する)を演じ
るプラスミンに強い親和性を有しているため、プラスミ
ンと瞬時に結合してその線溶活性を中和する。α2プラ
スミンインヒビターは、諸井と青木によって世界で初め
て精製単離された糖蛋白質で、その分子量は67,00
0ダルトンで電気泳動上α2領域に移動度を示す(Moroi
M and Aoki N, J.Biol.Chem.,251,p.5956-5965,1976)。
α2プラスミンインヒビターは、血管損傷部位に生じる
止血に働く血栓(止血栓)に対して、生体のホメオスター
ティス維持のための生理的線溶作用を円滑に進行させる
ために線溶を制御している。α2プラスミンインヒビタ
ーが欠損するとプラスミンが過剰に生成され、この物質
によって血管内皮細胞や血小板が障害を受けたり血液凝
固因子が非特異的に分解を受けたりして出血が起こり易
くなる。さらに、形成された止血栓が血管修復前に崩壊
して出血を誘発する状況を招く。従って、先天的α2
ラスミンインヒビター欠損症患者では、血友病に類似し
た重篤な出血傾向を呈する。また、後天的にも、α2
ラスミンインヒビターの肝臓での産生低下あるいは血流
中での消費によりα2プラスミンインヒビターの欠乏を
きたした場合、出血傾向が助長されることがある。
【0003】播種性血管内凝固症候群(Disseminated In
travascular Coagulation;以下、DICと称することが
ある)は、幾つかの原因疾患を有する例えば白血病、悪
性腫瘍、癌および重症感染症などの患者において、組織
因子(Tissue Factor;以下、TFと称することがある)等
の血液凝固惹起物質が持続的に循環血流中に発現し侵入
するために、血管内で凝固系が活性化され全身の微小血
管内に多数の微小血栓が形成され、巣状時にびまん性の
虚血性変化および壊死巣が生じ、各種臓器の機能障害を
起こす。それと同時に、血小板やフィブリノーゲン、血
液凝固第V因子、第VIII因子等の血液凝固因子の消費に
よる低下、あるい二次的な線溶亢進で生成されたプラス
ミンによる血液凝固因子の分解により凝固障害をきた
し、著明な出血傾向を起こす疾患である。
【0004】このようにDICは血栓形成傾向と出血傾
向、換言すれば血液凝固と線溶という相反する症状が同
時に出現する疾患であり、その治療は容易なものではな
い。我国におけるDICの症例数は2〜5万人と推定さ
れ、DICを発現した患者の死亡率は50〜60%と極
めて高く血栓あるいは出血で死亡する例が多い。DIC
の治療において、原因疾患の治療は原因除去のために重
要であることは勿論のことであるが、凝固亢進を抑制す
るための抗凝固療法や出血傾向が顕著な場合には血小
板、場合によっては新鮮血漿の補充療法が施されてい
る。特に、臨床現場では、主としてヘパリン、アンチト
ロンビンIIIおよびメシル酸ガベキサート等の抗凝固製
剤がDICの治療に使用されている。本来、DICは凝
固亢進と線溶亢進の2つの状態が存在しており、抗凝固
療法と抗線溶療法が併用されることが望ましくあるいは
そうあるべきである。
【0005】しかし、現在、臨床的に多く使用されてい
る抗線溶剤であるトラネキサム酸製剤のDICへの使用
は、血栓を誘発し多臓器不全を多発したり、血栓による
血液成分の血管外への漏出を起こしDICを増悪すると
考えられており、一般的には、DICにおける抗線溶剤
の使用は禁忌とされている(Lasch H.G., and OehlerG.,
Disseminated intravascularcoagulation. In the thro
mboembotic disorders, edited by Van de LooJ. et a
l,1983)。この製剤は、線溶の第一段階においてプラス
ミンあるいはプラスミノーゲンアクチベーターがそのリ
ジン結合部位を介したフィブリンへの結合を阻害するこ
とにより抗線溶作用を発揮する。プラスミンが線溶の主
たる役割を果たすためは、プラスミンが血栓塊の本態で
あるフィブリンに存在するリジン残基に結合しなければ
ならない。フィブリンに結合したプラスミンは瞬時にフ
ィブリンを分解する。リジン残基と結合するプラスミン
の部位はリジン結合部位と呼ばれている。トラネキサム
酸は、プラスミンとフィブリンとのリジン残基を介した
結合を阻害する。生体内では、プラスミンはフィブリン
表面に限局され作用する。その作用発現においては、プ
ラスミンのリジン結合部位が重要な役割を果している。
すなわち、血栓(フィブリン)溶解のために形成されたプ
ラスミンはそのリジン結合部位を介してフィブリンのリ
ジン残基と特異的に結合し、特異的にフィブリンに結合
し、効率よく血栓溶解を行なうことができる。ところ
が、トラネキサム酸のように、プラスミンとフィブリン
の結合を阻害する物質が存在した場合、フィブリンに結
合したプラスミンはそれらの物質によりフィブリン表面
上から排除され、効率的な血栓溶解は行われなくなる。
従って、凝固亢進の存在するDICの出血の際に、治療
薬として抗線溶剤であるトラネキサム酸製剤を使用する
ことは、末梢血管や各種臓器内で血栓を誘発することに
なり、DICで致命的ともいえる多臓器機能不全を起こ
すことになる。そのため、トラネキサム酸をDICの抗
線溶剤として使用することが禁忌であるとするのも当然
なことである。
【0006】
【問題を解決するための手段、発明の構成】さて、本願
発明は、生理的なプラスミンのインヒビターであるα2
プラスミンインヒビターを、それの有する特性を生か
し、DICに対してより安全性の高い線溶亢進の抑制
(治療)剤として用いようとするものである。α2プラス
ミンインヒビターとトラネキサム酸との抗線溶作用にお
ける大きな相違は、それらの分子のプラスミンへの阻害
様式(機序)にあると考えられる。すなわち、上述したよ
うにトラネキサム酸は、線溶に必要なプラスミンの血栓
塊上のフィブリンへの結合を阻害してしまうために、線
溶の進行を完全に阻止することになる。そのため、DI
Cに該薬剤を使用した場合、血栓を誘発する結果を招
く。一方、α2プラスミンインヒビターのプラスミンに
対する阻害様式は以下のように考えられている。α2
ラスミンインヒビターにはプラスミンのリジン結合部位
に親和性の高い結合部位があり、その部分に結合したプ
ラスミンは即座に活性が阻害される。しかし、α2プラ
スミンインヒビターはフィブリン分子のリジンに結合し
たプラスミンとは結合できないため、フィブリン上のプ
ラスミン活性を阻害し難い。換言すれば、α2プラスミ
ンインヒビターのプラスミンの阻害作用は、液相のプラ
スミンに対してはよく発揮できるが、固相(フィブリン
上)のプラスミンには発揮し難い(B.Wiman et l., Natur
e.,272,p.549-550,1978)。
【0007】ところで、最近、J.I.Weitzらは、ウサギ
の外頚静脈内血栓モデルにおいて、α2プラスミンイン
ヒビターは組織プラスミノーゲンアクチベーターを用い
た線溶効果に影響を与えることなく、また血栓形成を助
長することなしに出血傾向を抑制するということを報告
した(J.I.Weitz et al.,J.Clin.Invest.,91,p.1343-135
0,1993)。そこで、本願発明者らは、α2プラスミンイン
ヒビターの前述の特性に着目し、α2プラスミンインヒ
ビターのDICの治療用薬剤としての可能性を追求し
た。すなわち、DICモデルにおいて、現在臨床的に使
用されている抗線溶剤であるトラネキサム酸と生理的な
抗線溶作用を有するα2プラスミンインヒビターの両者
の効果について比較検討した。その結果、トラネキサム
酸が従来指摘されているとおりに血栓形成を誘発しDI
Cを悪化させるのに対し、α2プラスミンインヒビター
は血栓形成を誘発することなく出血傾向を抑制するとの
知見を得た。すなわち、本願発明者らはα2プラスミン
インヒビターのDICにおける抗線溶剤としての驚くべ
き有用性を見出した。それらの結果は概略以下のとおり
である。
【0008】 α2プラスミンインヒビターは血漿中
でのプラスミンの血液凝固因子の分解作用を抑制し、血
液凝固時間を修正した。すなわち、α2プラスミンイン
ヒビターはプラスミンの血漿フィブリノゲンの分解を抑
制し血液凝固時間を補正した。しかし、トラネキサム酸
のその作用はα2プラスミンインヒビターより低かっ
た。 一方、血中濃度のα2プラスミンインヒビターは、
プラスミンによるフィブリンの溶解を阻害しなかった。
しかし、トラネキサム酸は臨床使用濃度でプラスミンに
よるフィブリン溶解を阻害した。 ラットを用いたDICモデルでの検討において 1)α2プラスミンインヒビター投与群では、血栓の誘導
に起因すると考えられるラットの死亡は観られなかっ
た。一方、トラネキサム酸投与群では4匹中3匹が死亡
した。 2)α2プラスミンインヒビター投与群では、生体内にお
いてプラスミンによるフィブリン溶解は阻害されなかっ
た。一方、トラネキサム酸投与群ではプラスミンによる
フィブリン溶解が阻害された。 3)α2プラスミンインヒビター投与群では、薬剤未投与
群あるいはトラネキサム酸投与群より有意に出血を是正
した。
【0009】、の結果から、α2プラスミンインヒ
ビターは、固相のフィブリン上のプラスミンには作用せ
ず液相のフィブリノゲン上に存在するプラスミンのみに
作用するが、トラネキサム酸は両者に作用していること
が示唆された。このことから、α2プラスミンインヒビ
ターはプラスミンの血液凝固因子の分解作用に起因する
血栓(フィブリン)形成を誘発することなく、出血傾向を
抑制することが期待される。本願発明者らによって見出
された上述の知見から、α2プラスミンインヒビターの
DICの治療用薬剤としての利点は明白である。
【0010】本願発明に使用されるα2プラスミンイン
ヒビターを製造する方法は特に限定されていないが、例
えばヒト血液より分離する方法あるいは遺伝子組換え技
術により得たα2プラスミンインヒビター産生細胞より
調製する方法などによって製造することができる。血液
由来のα2プラスミンインヒビターの製法としては以下
の方法が挙げられる。例えば、代表的な製法としては諸
井らの方法がある(M.Moroi et al.,J.Biol.Chem.,251,
p.5956-5965,1976)。先ず、新鮮ヒト血漿をリジンセフ
ァロースクロマトグラフィーに通液し、素通り画分を硫
酸アンモニウム分画後、陰イオン交換クロマトグラフィ
ー(DEAE-Sephadex A-50)に付す。次に、プラスミノーゲ
ンを固定化したセファロースゲルを用いてアフィニティ
ークロマトグラフィーを行ない、高純度化する。最終的
に精製濃縮をヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ
ーで行なう。また、遺伝子組換え技術を用いてα2プラ
スミンインヒビターを調製する方法としては、例えばW.
E.Holemes et al.,Biochemistry, 26,p.5133-5140,1987
やY.Sumi,J.Biochem.,106,p.703-707,1989などに記載さ
れた方法がある。
【0011】上述の方法で調製されたα2プラスミンイ
ンヒビターの活性を最大限に維持するために、本発明の
α2プラスミンインヒビターは新鮮であるか、4℃で保
存する場合には保存後約5日以内のものが好ましい。あ
るいは、本発明のα2プラスミンインヒビターは、ヒト
アルブミン、ゼラチン、塩、糖またはアミノ酸などの好
適な安定化剤と共に凍結乾燥もしくは液体の状態で保存
することができるし、さらには、α2プラスミンインヒ
ビター溶液を凍結し保存することも可能である。 ま
た、感染性夾雑ウイルスの不活性化を目的として、凍結
乾燥もしくは液状の状態において所定の条件下、例えば
凍結乾燥状態では65℃96時間、液状では60℃10
時間の加熱処理を施すことは、薬剤の安全性の観点から
極めて好ましい態様である。本願発明では、かかる有効
成分としてのα2プラスミンインヒビターと公知の適当
な賦形剤を組み合わせ、公知の方法で本願発明のDIC
予防・治療用製剤とすることができる。
【0012】本願発明のα2プラスミンインヒビターを
本態とするDIC予防・治療用薬剤の有効投与量は、例
えば投与対象者の年齢、症状及び重症度などにより変動
し、最終的には医師の意図により変動するものである
が、例えば一般に成人一日当り1〜10mgであり、望
ましくは2〜6mgを1〜2回に分けて投与するのがよ
い。投与方法は単回大量(ボラス)あるいは点滴の静脈内
投与が最適である。また、場合により例えばアンチトロ
ンビンIII、ヘパリン及びメシル酸ガベキサートで代表
される合成抗凝固剤等の抗凝固製剤と併用することも可
能であり、本願発明で提供されるDIC予防・治療用薬
剤中に前記の抗凝固剤を併存させることも好ましい一つ
の態様である。
【0013】今回の実施例に使用した血液由来のα2
ラスミンインヒビターは、マウスでの単回静脈内投与毒
性試験、反復静脈内投与毒性試験、一般薬理試験(ビー
グル犬を用いた呼吸循環器系に及ぼす影響)、ウイルス
不活化試験などによりその安全性が確認されている。
【0014】以下、実施例に沿って本発明をさらに詳細
に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を限定する
ものではない。
【0015】
【実施例】調製例 12プラスミンインヒビターの調製)諸井と青木の精製
方法に準じて、新鮮ヒト血漿を出発原料としてα2プラ
スミンインヒビターを調製した(Moroi M and Aoki N,
J.Biol.Chem.,251,p.5956-5965,1976)。すなわち、 「ステップ1」: 2mMEDTAを加えた新鮮ヒト血漿
1000mlを、2mMEDTA含有リン酸緩衝液(p
H7.6)で平衡化したリジンセファロースゲル(100
ml)に通液した。 「ステップ2」: リジンセファロースゲル素通り画分
を、先ず硫酸アンモニウムの最終濃度30%で塩析し、
遠心処理後上清に硫酸アンモニウムを加え終濃度50%
で塩析し、遠心処理後沈澱を75mMリン酸緩衝液(p
H7.6)100mlで溶解して引続き同緩衝液で24時
間透析した。 「ステップ3」: ステップ2で得られた試料を、75m
Mリン酸緩衝液(pH7.6)で平衡化した500mlのD
EAE-Sephadex A-50に通液した。平衡化に使用した緩衝
液で洗浄後、2000mlの0.1Mリン酸緩衝液(pH
7.6)中でNaCl濃度を0.2Mまで直線に上昇させ
溶出した。プラスミン活性の阻害活性画分を集め、さら
に必要な場合は凍結乾燥した。 「ステップ4」: 精製プラスミノーゲンを固相化したセ
ファロース4Bゲル500mlを0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.6)で平衡化した。ステップ3で得た試料を平
衡化に使用した緩衝液に透析し、試料をゲルに緩やかな
速度で通液した。平衡化緩衝液で洗浄後、200mMの
6-アミノヘキサン酸を含有した0.1Mリン酸緩衝液(p
H7.5)で溶出した。 「ステップ5」: ステップ4の溶出画分を10mMリン
酸緩衝液に透析し、同じ緩衝液で透析したヒドロキシル
アパタイトカラム(50ml)に通した。平衡化緩衝液で
洗浄後、75mMリン酸緩衝液(pH7.0)から100
mMリン酸緩衝液(pH7.0)へイオン強度を連続的に
増加させ溶出した。プラスミン活性阻害活性を有する画
分を脱イオン水で透析後凍結乾燥した。
【0016】実施例 1 (凝固時間に及ぼすα2プラスミンインヒビターの影響)
正常血漿(150μリッター)に20カゼイン単位のプラスミ
ン(20μリッター)とヒトアルブミン含有トリス緩衝液(50m
M Tris・HCl,100mMNaCl,0.5%ヒトアルブミン)(10μリッタ
ー)を添加し、所定の時間(0、0.5、1、3、5、10
分間)、37℃でインキュベーションした後、APTT
試薬(アクチン,150μリッター)及び25mM塩化カルシ
ウム(150μリッター)を添加して、それらの凝固時間をベ
ーリング社のFibrintimerで測定した。α2プラスミンイ
ンヒビターおよびトラネキサム酸(抗プラスミン剤:トラ
ンサミン注、第一製薬株式会社)の抗線溶効果を調べる
ために、上述のヒトアルブミン含有緩衝液の代わりに、
α2プラスミンインヒビターを最終濃度70μg/ml(生理
的な血中濃度)になるように、また、トラネキサム酸は
最終濃度が50μg/mlおよび100μg/mlになるように
添加し、同様に凝固時間を測定してそれらの効果を調べ
た。結果を図1に示した。α2プラスミンインヒビター
あるいはトラネキサム酸が無添加の場合、時間とともに
凝固時間が延長した。これは、添加したプラスミンが血
漿中の血液凝固因子、特にフィブリノーゲンを分解した
ためと考えられる。一方、抗プラスミン剤であるα2
ラスミンインヒビターあるいはトラネキサム酸を添加す
るとそれらの凝固時間の延長は抑制された。特にα2
ラスミンインヒビターを添加した場合、凝固時間の延長
は認められず、トラネキサム酸より有効であった。これ
は、添加したプラスミン活性がα2プラスミンインヒビ
ターによって瞬時に阻害されたためであると考えられ
る。
【0017】実施例 2 (線溶実験系におけるα2プラスミンインヒビターの効
果)ヒト血漿(またはひと血小板含有血漿)500μリッター
に血液凝固始動物質、例えば組織因子あるいはトロンビ
ン(持田製薬株式会社)を少量添加し、37℃で30分放
置して血液凝固塊(フィブリン塊)を作製した。それにプ
ラスミノーゲンアクチベーター4μg/mlとプラスミノー
ゲン120μg/mlを含有する溶液500μリッターをこのフ
ィブリン塊に添加することで、生成したプラスミンによ
り線溶が生じる実験系を構築した。その系の中に、α2
プラスミンインヒビターあるいはトラネキサム酸を添加
してそれらの線溶に与える効果を調べた。その結果、血
中濃度のα2プラスミンインヒビター(70μg/ml)は、
ほとんどプラスミンによるフィブリン溶解を阻害しなか
った。一方、トラネキサム酸はフィブリンの溶解を約8
0%阻害した(図2参照)。
【0018】実施例 3 (ラットDICモデルにおけるα2プラスミンインヒビタ
ーの治療効果)臨床所見に関するいくつかの報文(Matsud
a T. et al., "In fibrinolysis: Current prospects"
John Libbery & Co.Ltd.,London,p.257-263(1988)、As
akuraH. et al., Thromb. Res.,50,p.895-899(1988)、
朝倉ら, 臨床血液,29, p.534-538(1988))を参考にし
て、ラット(体重約200g、オス)に組織因子(TF:ト
ランボレルS、ベーリングベルケ社、100mg/kg)と組
織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA:組換え体、
5mg/kg)を尾静脈より投与し、線溶亢進のDICモデル
を作製した。このDICラットにα2プラスミンインヒ
ビター(5mg/kg)あるいはトラネキサム酸(50mg/kg)を
投与し、それら薬剤の治療効果を調べた。薬剤はボラス
的に尾静脈投与し、薬剤投与30分後に死亡数および
各種凝血学的パラメーターを測定した。また、ラット
の足の爪の付け根を切断し出血時間を調べた。その結
果は以下のとおりであった。
【0019】トラネキサム酸投与群では、血栓の誘導
に起因すると考えられる死亡例(4匹中3匹が死亡)が確
認された。一方、α2プラスミンインヒビター投与群で
はそういった死亡例は確認されなかった(表1参照)。
【0020】
【表1】
【0021】DICの病態の指標となる凝血学的パラ
メーター(血小板数、FDP量:フィブリノーゲンあるい
はフィブリンの分解産物、DDダイマー量:フィブリン
の分解産物)を測定した結果、トラネキサム酸投与群ラ
ットの血小板数は正常ラットの約5%に減少しており、
これはトラネキサム酸投与により血管内で血栓が誘発さ
れたことを示唆していた。一方、α2プラスミンインヒ
ビター投与群では、対照群に比して血小板の減少は認め
られなかった。血中フィブリノーゲンあるいはフィブリ
ンの分解の指標となるFDPにおいては、トラネキサム
酸投与群のFDPのほとんどがフィブリノーゲン由来で
あり、α2プラスミンインヒビター投与群のそれはフィ
ブリンとフィブリノーゲン由来と考えられた。また、血
管内の血栓(フィブリン)溶解(線溶)の指標となるDDダ
イマーにおいては、トラネキサム酸投与群では検出限界
以下であり、トラネキサム酸により血栓溶解が強力に阻
害されたための血栓誘発が示唆された。一方、α2プラ
スミンインヒビター投与群では、期待したようにα2
ラスミンインヒビターによる血栓溶解の阻害がなく血栓
誘発の危険性が少ないことが示された(表2参照)。
【0022】
【表2】
【0023】α2プラスミンインヒビター投与群では
出血時間が17分と対照群の24分に比べて有意に出血
時間を短縮し、出血傾向を是正した。一方、トラネキサ
ム酸投与群の出血時間は25分以上に延長し、出血傾向
は是正されなかった(表3参照)。
【0024】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 凝固時間に及ぼすα2プラスミンインヒビタ
ーとトラネキサム酸の影響を示す図である。
【図2】 線溶に及ぼすα2プラスミンインヒビターと
トラネキサム酸の影響を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/26 A61K 9/14 E 47/42 L

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α2プラスミンインヒビターを主要構成
    成分とするDIC治療用薬剤。
  2. 【請求項2】 選択的に抗凝固剤を含有する請求項1記
    載のDIC治療用薬剤。
  3. 【請求項3】 α2プラスミンインヒビターを含有する
    溶液に、場合により、ヒトアルブミン、塩、糖および/
    またはアミノ酸を添加し調整した溶液を凍結乾燥後、6
    5℃96時間で加熱処理する工程より調製される請求項
    1もしくは請求項2に記載のDIC治療用薬剤。
  4. 【請求項4】 α2プラスミンインヒビターを含有する
    溶液に、場合により、塩、糖および/またはアミノ酸を
    添加し60℃で10時間液状加熱を行ない、生理的に等
    張圧に調整する工程より調製される請求項1もしくは請
    求項2に記載のDIC治療用薬剤。
JP7353269A 1995-12-28 1995-12-28 α2プラスミンインヒビターを含有するDIC治療用薬剤 Pending JPH09176041A (ja)

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JP7353269A Pending JPH09176041A (ja) 1995-12-28 1995-12-28 α2プラスミンインヒビターを含有するDIC治療用薬剤

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