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JPH0919580A - クッション材とその製法 - Google Patents

クッション材とその製法

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Publication number
JPH0919580A
JPH0919580A JP17186095A JP17186095A JPH0919580A JP H0919580 A JPH0919580 A JP H0919580A JP 17186095 A JP17186095 A JP 17186095A JP 17186095 A JP17186095 A JP 17186095A JP H0919580 A JPH0919580 A JP H0919580A
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JP
Japan
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crimped
fiber
fibers
heat
resin
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Application number
JP17186095A
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English (en)
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Hideo Isoda
英夫 磯田
Tadaaki Hamaguchi
忠昭 濱口
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP17186095A priority Critical patent/JP3646814B2/ja
Publication of JPH0919580A publication Critical patent/JPH0919580A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 蒸れ難く、室温での耐へたり性、及び耐熱耐
へたり性を有し、難燃性で燃焼時に有毒ガスの発生を少
なくして安全性が高く、リサイクルも可能とした、車両
用、ベット用、布団用、座蒲団用、家具用、枕用等に最
適なクッション材とその製法を提供することにある。 【構成】 熱可塑性樹脂からなる捲縮繊維を構成繊維と
したクッション材であり、全重量比で5重量%以上の融
点又は流動開始温度が100℃以上220℃以下の熱可
塑性弾性樹脂が溶融し、凝集して接着部を形成してお
り、捲縮繊維を梁構造とした三次元構造体を形成してお
り、嵩密度が0.01g/cm3 〜0.10g/cm3 のク
ッション材とその製法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】熱可塑性弾性樹脂で捲縮繊維の交
差点に接着点を形成したクッション材及びその製法に関
する。
【0002】
【従来技術】現在、ベッド用のベットマットはクッショ
ン層に硬鋼線スプリング又は発泡スチロール等の発泡体
を用い、ワディング層に発泡ウレタンや非弾性捲縮繊維
を接着した樹脂綿や硬綿などが積層一体化されたもの、
及びクッション体が同一組成のウレタン等の発泡体や非
弾性捲縮繊維を接着した樹脂綿又は硬綿のみで構成され
たものが使用されている。
【0003】しかしながら、クッション層に硬鋼線スプ
リングを用いたものは、サポ−ト性は著しく優れている
が、折り曲げ性に劣り、又、廃棄時に硬鋼線スプリング
を分離して処理するための煩雑さが大きい問題となって
いる。クッション層又はワディング層又はクッション体
に発泡−架橋型ウレタンを用いたものは、クッション体
としての耐久性は極めて良好だが、透湿透水性に劣り蓄
熱性があるため蒸れやすく、折り曲げ性もやや劣り、か
つ、熱可塑性では無いためリサイクルが困難となり焼却
される場合、焼却炉の損傷が大きく、かつ、有毒ガス除
去に経費が掛かる。このため埋め立てされることが多く
なったが、地盤の安定化が困難なため埋め立て場所が限
定され経費も高くなっていく問題がある。また、加工性
は優れるが製造中に使用される薬品の公害問題などもあ
る。また、最近、病院用ベットがMRSA等の温床とな
る問題からベットマットの洗濯が必要だが、透水性に劣
るウレタンは洗濯ができないため社会問題になってい
る。
【0004】クッション層又はワディング層又はクッシ
ョン体がポリエステル繊維を接着剤で接着した樹脂綿、
例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭60−
11352号公報、特開昭61−141388号公報、
特開昭61−141391号公報等がある。又、架橋性
ウレタンを用いたものとして特開昭61−137732
号公報等がある。これらをクッション層又はワディング
層に用いたものは、通気性をよくして蒸れを軽減できる
が、耐久性と折り曲げ性に劣り、且つ、熱可塑性でな
く、単一組成でもないためリサイクルも出来ない等の問
題、及び加工性の煩雑さや製造中に使用される薬品の公
害問題などもある。また、洗濯は可能だが、水切り性が
悪い問題がある。
【0005】クッション層又はワディング層又はクッシ
ョン体にポリエステル硬綿、例えば特開昭58−311
50号公報、特開平2−154050号公報、特開平3
−220354号公報等があるが、用いている熱接着繊
維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため(例
えば特開昭58−136828号公報、特開平3−24
9213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着部分
が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの耐久
性が劣る問題がある。更に折り曲げ性が劣るものであ
る。また、洗濯は可能だが、水切り性が悪い問題があ
る。耐久性の改良法として、交絡処理する方法が特開平
4−245965号公報等で提案されているが、接着部
分の脆さは解決されず弾力性の低下が大きく、折り曲げ
性も劣る問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更
には接着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付
与しにくい問題もある。このため、接着部分を柔らか
い、且つある程度変形しても回復するポリエステルエラ
ストマ−を用い、芯成分に非弾性ポリエステルを用いた
熱接着繊維が特開平4−240219号公報で、同繊維
を用いたクッション体がWO−91/19032号公
報、特開平5−156561号公報、特開平5−163
654号公報等で提案されている。この繊維構造物に使
われる接着成分がポリエステルエラストマ−のソフトセ
グメントとしてはポリアルキレングリコ−ルの含有量が
30〜50重量%、ハ−ドセグメントの酸成分にテレフ
タル酸を50〜80モル%含有し、他の酸成分組成とし
て特公昭60−1404号公報に記載された繊維と同様
にイソフタル酸を含有して非晶性が増すことになり、融
点も180℃以下となり低溶融粘度として熱接着部分の
形成を良くしてアメーバー状の接着部を形成しているが
塑性変形しやいため、及び芯成分が非弾性ポリエステル
のため、特に加熱下での塑性変形が著しくなり、耐熱抗
圧縮性が低下する問題点、及び折り曲げ性が劣り、洗濯
は可能だが、水切り性が悪い問題点がある。耐久性を更
なる改良法として、特開平5−163654号公報にシ
−ス成分にイソフタル酸を含有するポリエステルエラス
トマ−、コア成分に非弾性ポリエステルを用いた熱接着
複合繊維のみからなる構造体が提案されているが上述の
理由で加熱下での塑性変形が著しくなり、耐熱抗圧縮性
が低下し、クッション体に使用するには問題がある。
又、硬綿の母材にシリコ−ン油剤を付与して繊維の摩擦
係数を下げて耐久性を向上し、風合いを良くする方法が
特開昭63−158094号公報で提案されている。
が、熱接着繊維の接着性に問題があり、耐久性が劣るの
でクッション体に使用するには好ましくない。他方、折
り曲げ性の改良法として、折り畳み構造にする方法が特
開昭55−36373号公報、特開平2−142513
号公報、特開平5−3894号公報等で提案されている
が、折り曲げ性は改良されたが、耐久性や洗濯時の問題
は何ら改良されず、クッション体として用いるには問題
が多いものである。又、折り曲げ部分に空洞を作って折
り曲げ性を改良したものとして、例えば特開平5−28
5031号公報等があるが、ウレタン等の発泡体の問
題、又は硬綿の問題を何ら解決できていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】蒸れ難く、室温での耐
へたり性、及び耐熱耐へたり性を有し、難燃性で燃焼時
に有毒ガスの発生を少なくして安全性が高く、リサイク
ルも可能とした、車両用、ベット用、布団用、座蒲団
用、家具用、枕用等に最適なクッション材とその製法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段、即ち、本発明は、開繊された捲縮繊維中に、捲
縮繊維の交差点を接合する樹脂接着部が散在するクッシ
ョン材であり、上記樹脂接着部は、融点又は流動開始温
度が100〜220℃の熱可塑性弾性樹脂が溶融し、凝
集して形成されたものであり、該熱可塑性弾性樹脂は、
クッション材中に全重量比で5%以上含まれており、ク
ッション材は、捲縮繊維を梁構造とした三次元構造体を
形成しており、嵩密度が0.01〜0.10g/cm3
あることを特徴とするクッション材であり、更には、捲
縮繊維が単糸繊度が45デニ−ル以下で、初期引張抵抗
度(IS)が30g/d以上の立体捲縮を持つポリエス
テル繊維であるクッション材であり、クッション材中の
熱可塑性弾性樹脂が示差走査型熱量計にて測定した融解
曲線において、融点以下70℃以上の温度範囲で融点以
外に吸熱ピークを有するクッション材であり、熱可塑性
弾性樹脂がポリエステルであるクッション材であり、厚
みが5mm以上で、見掛け密度が0.02g/cm3 〜0.
06g/cm3 のクッション材であり、熱可塑性弾性樹脂
の含有量が10〜50重量%であるクッション材であ
り、熱可塑性樹脂からなる捲縮繊維と5重量%以上の熱
可塑性弾性樹脂からなる全融型熱接着繊維を混合開繊し
て捲縮繊維中に熱接着繊維を分散させたウェッブを積層
し、嵩密度が0.01g/cm3 〜0.10g/cm3 の構
造体となるように圧縮した状態で、該熱接着繊維を加熱
溶融させて捲縮繊維同志の接触部に凝集させ樹脂接着部
を形成し、捲縮繊維を梁構造とした三次元構造体を形成
させるクッション材の製法であり、捲縮繊維を梁構造と
した三次元構造体を形成させた後、一旦冷却し、次いで
60℃〜熱可塑性弾性樹脂の融点より20℃から100
℃低い温度で少なくとも10分以上疑似結晶化処理する
クッション材の製法であり、該熱接着繊維を構成する熱
可塑性弾性樹脂の融点又は流動開始温度より10〜80
℃高く、捲縮繊維の結晶融解温度以下の温度で溶融させ
て樹脂接着部を形成するクッション材の製法であり、捲
縮繊維に乾熱200℃、5分間のフリー熱処理後の捲縮
の伸びを含む弾性限界伸度(Δε)%とISがIS≧
(Δε+0.6)-2.8×103 +10を満足し、捲縮度
(Ci)が15%以上、捲縮数(Cn)が10個/イン
チ以上のポリエステル立体捲縮繊維を用いたクッション
材の製法である。
【0008】本発明における熱可塑性樹脂とは、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリオレフィン等が例示できる。
なお、本発明ではガラス転移点温度が少なくとも40℃
以上のものを使用するのが好ましい。例えば、ポリエス
テルでは、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポ
リエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリシクロヘキシ
レンジメチレンテレフタレ−ト(PCHDT)、ポリシ
クロヘキシレンジメチレンナフタレ−ト(PCHD
N)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)、ポリブ
チレンナフタレ−ト(PBN)、ポリアリレ−ト等、及
びそれらの共重合ポリエステル等が例示できる。ポリア
ミドでは、ポリカプロラクタム(NY6)、ポリヘキサ
メチレンアジパミド(NY66)、ポリヘキサメチレン
セバカミド(NY6−10)等が例示できる。ポリオレ
フィンとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン
・1(PB・1)等が例示できる。本発明に用いる熱可
塑性樹脂の好ましい実施形態として高度の難燃性を付与
する場合は、熱可塑性弾性樹脂中に燐含有量(Bpp
m)が500≦B≦10000の関係を満足するのが良
い。満足しない場合は高度の難燃性が劣る場合がある。
10000ppmを越えると可塑化効果による塑性変形
が大きくなり熱可塑性樹脂の耐熱性が劣るので好ましく
ない。好ましい燐含有量1500≦B≦8000であ
り、より好ましい燐含有量は2000≦B≦6000で
ある。難燃性は多量のハロゲン化物と無機物を添加して
高度の難燃性を付与する方法があるが、燃焼時に致死量
の少ない有毒なハロゲンガスを多量に発生し、火災時の
中毒の問題があり、焼却時には、焼却炉の損傷が大きく
なるので、本発明では、好ましいハロゲン化物の含有量
は10重量%以下、より好ましいハロゲン化物の含有量
は5重量%以下、最も好ましくはハロゲン化物を含有し
ないものである。本発明の燐系難燃剤としては、例え
ば、ポリエステル系熱可塑性弾性樹脂の場合、樹脂重合
時に、ハ−ドセグメント部分に難燃剤として、例えば特
開昭51−82392号公報等に記載された10〔2・
3・ジ(2・ヒドロキシエトキシ)−カルボニルプロピ
ル〕9・10・ジヒドロ・9・オキサ・10ホスファフ
ェナレンス・10オキシロ等のカルボン酸をハ−ドセグ
メントの酸成分の一部として共重合したポリエステル系
熱可塑性弾性樹脂とする方法や、熱可塑性弾性樹脂に後
工程で、例えば、トリス(2・4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)フスファイト等の燐系化合物を添加して難燃性を
付与することができる。その他、難燃性を付与できる難
燃剤としては、各種燐酸エステル、亜燐酸エステル、ホ
スホン酸エステル(必要に応じハロゲン元素を含有する
上記燐酸エステル類)、もしくはこれら燐化合物から誘
導される重合物が例示できる。本発明は、熱可塑性弾性
樹脂中に各種改質剤、添加剤、着色剤等を必要に応じて
添加できる。本発明クッション材に高度の難燃性を付与
するために、好ましい実施形態として捲縮繊維に燐を含
有させており、この理由は、上記している如く、安全性
の観点から、火災時に発生するシアンガス、ハロゲンガ
ス等の致死量の少ない有毒ガスをできるだけ少なくする
ことにある。このため、本発明クッション材を構成する
接着成分の燃焼ガスの毒性指数は、好ましくは6以下、
より好ましくは5.5以下である。なお、塩化ビニ−ル
は自己消火性を有するが燃焼すると有毒ガスを多く発生
すること、及び耐熱耐久性が劣るので本発明に用いるの
は好ましくない。クッション材が共にポリエステルやナ
イロンまたはポリオレフィンに統一されている場合は、
クッション材はマテリアルリサイクルも可能となる。例
えばポリエステルの場合、分別分離しないでも溶融再生
してリサイクルできるし、メタノ−ル分解等公知の方法
でモノマ−に分解して回収もできる。少なくとも95%
以上、好ましくは99%以上ポリエステルであり、他の
組成物は添加物として使用されるものを除き制限され
る。添加物中にハロゲン系組成物や窒素系組成物を含む
と火災等の燃焼時に有毒ガスを発生するので含有しない
ものが好ましい。また、熱可塑性のないもの、ポリエス
テルでも架橋して溶融しないものは火災時ロ−ソク効果
でよく燃え危険なため本発明のクッション材および座席
の素材として含有することを制限される。クッション材
がポリエステルで側地にもポリエステルを用いる場合
は、廃棄する場合に分離せずにリサイクルが可能で、耐
熱性も良好なPET、PEN、PBN、PCHDT等の
ポリエステルが特に好ましい。ポリエステル繊維を用い
る他の目的の一つは、繊維の水分率を低下させるためで
あるが、発汗した水分は速やかに皮膚面より移動させる
必要から繊維表面は親水化して放水性を高めるのが好ま
しく、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)やポ
リエチレングリコ−ル(PEG)、ポリプロピレングリ
コ−ル(PPG)、ポリブチレングリコ−ル(PBG)
等のポリエ−テル類及びそれらの共重合体や燐化合物と
の反応物を少なくとも0.05重量%以上繊維表面に存
在することが好ましい。より好ましくは0.1重量%以
上1重量%以下である。2重量%以上存在させると繊維
の摩擦係数が高くなり、開繊性が劣るので好ましくな
い。後加工で付与してもよいが、洗濯耐久性を保持する
ためには、ポリエステルに混合するのが好ましい。混合
方法は、重合時に添加する方法やポリマ−ブレンドして
練り込む方法、紡糸時に溶融ブレンドして練り込む方法
が使える。混合する場合の添加量は、PEGでは、分子
量5000以上20000以下のものを1重量%以上1
0重量%以下添加するのが好ましい。1重量%未満では
充分な放水性が付与できず、15重量%以上では、繊維
のモジュラスが低下するので好ましくない。更には、繊
維断面を異形断面又は中空異形断面にしてサイホン効果
でより効率的に放水性を付与するのがより好ましい。異
形断面の場合は後加工でも耐久性が付与できるので好ま
しい実施形態である。
【0009】本発明における熱可塑性弾性樹脂とは、ソ
フトセグメントとして分子量300〜5000のポリエ
−テル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリ
カ−ボネ−ト系グリコ−ルまたは長鎖の炭化水素末端を
カルボン酸または水酸基にしたオレフィン系化合物等を
ブロック共重合したポリエステル系エラストマ−、ポリ
アミド系エラストマ−、ポリウレタン系エラストマ−、
ポリオレフィン系エラストマ−などが挙げられる。熱可
塑性弾性樹脂とすることで、再溶融により再生が可能と
なるため、リサイクルが容易となる。例えば、ポリエス
テル系エラストマ−としては、熱可塑性ポリエステルを
ハ−ドセグメントとし、ポリアルキレンジオ−ルをソフ
トセグメントとするポリエステルエ−テルブロック共重
合体、または、脂肪族ポリエステルをソフトセグメント
とするポリエステルエステルブロック共重合体が例示で
きる。ポリエステルエ−テルブロック共重合体のより具
体的な事例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレン2・6ジカルボン酸、ナフタレン2・7ジカル
ボン酸、ジフェニル4・4’ジカルボン酸等の芳香8ジ
カルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダ
イマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエス
テル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少な
くとも1種と、1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ
−ル、トリメチレングリコ−ル、テトレメチレングリコ
−ル、ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリ
コ−ル等の脂肪族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメ
タノ−ル、1・4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環
族ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性誘導体など
から選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種、および平
均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重
合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−ルの
うち少なくとも1種から構成される三元ブロック共重合
体である。ポリエステルエステルブロック共重合体とし
ては、上記ジカルボン酸とジオ−ル及び平均分子量が約
300〜5000のポリラクトン等のポリエステルジオ
−ルのうち少なくとも各1種から構成される三元ブロッ
ク共重合体である。熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、
耐熱性等を考慮すると、ジカルボン酸としてはテレフタ
ル酸、または、及びナフタレン2・6ジカルボン酸、ジ
オ−ル成分としては1・4ブタンジオ−ル、ポリアルキ
レンジオ−ルとしてはポリテトラメチレングリコ−ルの
3元ブロック共重合体または、ポリエステルジオ−ルと
してポリラクトンの3元ブロック共重合体が特に好まし
い。特殊な例では、ポリシロキサン系のソフトセグメン
トを導入したものも使うこたができる。また、上記エラ
ストマ−に非エラストマ−成分をブレンドされたもの、
共重合したもの、ポリオレフィン系成分をソフトセグメ
ントにしたもの等も本発明の熱可塑性弾性樹脂に包含さ
れる。ポリアミド系エラストマ−としては、ハ−ドセグ
メントにナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、
ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等及びそ
れらの共重合ナイロンを骨格とし、ソフトセグメントに
は、平均分子量が約300〜5000のポリエチレング
リコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチ
レングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシ
ド共重合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ
−ルのうち少なくとも1種から構成されるブロック共重
合体を単独または2種類以上混合して用いてもよい。更
には、非エラストマ−成分をブレンドされたもの、共重
合したもの等も本発明に使用できる。ポリウレタン系エ
ラストマ−としては、通常の溶媒(ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等)の存在または不存在下
に、(A)数平均分子量1000〜6000の末端に水
酸基を有するポリエ−テル及び又はポリエステルと
(B)有機ジイソシアネ−トを主成分とするポリイソシ
アネ−トを反応させた両末端がイソシアネ−ト基である
プレポリマ−に、(C)ジアミンを主成分とするポリア
ミンにより鎖延長したポリウレタンエラストマ−を代表
例として例示できる。(A)のポリエステル、ポリエ−
テル類としては、平均分子量が約1000〜6000、
好ましくは1300〜5000のポリブチレンアジペ−
ト共重合ポリエステルやポリエチレングリコ−ル、ポリ
プロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−
ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体か
らなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−ルが好まし
く、(B)のポリイソシアネ−トとしては、従来公知の
ポリイソシアネ−トを用いることができるが、ジフェニ
ルメタン4・4’ジイソシアネ−トを主体としたイソシ
アネ−トを用い、必要に応じ従来公知のトリイソシアネ
−ト等を微量添加使用してもよい。(C)のポリアミン
としては、エチレンジアミン、1・2プロピレンジアミ
ン等公知のジアミンを主体とし、必要に応じて微量のト
リアミン、テトラアミンを併用してもよい。これらのポ
リウレタン系エラストマ−は単独又は2種類以上混合し
て用いてもよい。なお、本発明の熱可塑性弾性樹脂の融
点又は流動開始温度が100℃以上220℃以下であ
る。100℃未満ではクッション材の接着点の耐熱性が
劣り好ましくない。220℃を越えると熱接着点形成時
の加熱温度を非常に高くする必要があり、捲縮繊維の劣
化を生じて、クッション材の耐久性が低下するので好ま
しくない。本発明では耐熱耐久性が保持できる140℃
以上210℃以下が好ましく、160℃以上200℃以
下のものを用いるとクッション材の耐熱耐久性が向上す
るのでより好ましい。なお、本発明クッション材の接着
点を形成する熱可塑性弾性樹脂中のソフトセグメントは
熱安定性がやや劣るので、必要に応じ、抗酸化剤等を添
加して耐熱性や耐久性を向上させるのが特に好ましい。
抗酸化剤は、好ましくはヒンダ−ド系抗酸化剤として
は、ヒンダ−ドフェノ−ル系とヒンダ−ドアミン系があ
り、窒素を含有しないヒンダ−ドフェノ−ル系抗酸化剤
を0.3%〜5%添加して、好ましくは0.5%から3
%添加して熱分解を抑制することで、耐熱性がより向上
するので特に好ましい。本発明の目的である好ましい耐
久性とクッション性を兼備できるクッション材の接着点
を構成する熱可塑性弾性樹脂の後述する方法で測定した
伸長回復性は、室温での300%伸長後の回復率(室温
伸長回復率)は20%以上、70℃での10%伸長を2
4時間保持した後の回復率(70℃伸長回復率)は30
%以上であり、より好ましくは、室温伸長回復率が30
%以上、70℃伸長回復率が40%以上であり、最も好
ましくは、室温伸長回復率が40%以上、70℃伸長回
復率が50%以上とする。このような伸長回復性を付与
する成分を構成する熱可塑性弾性樹脂のソフトセグメン
ト含有量は好ましくは15重量%以上、より好ましくは
30重量%以上であり、耐熱耐へたり性からは80重量
%以下が好ましく、より好ましくは70重量%以下であ
る。即ち、本発明の弾性網状体の振動や応力の吸収機能
をもたせる成分のソフトセグメント含有量は好ましくは
15重量%以上80重量%以下であり、より好ましくは
30重量%以上70重量%以下である。
【0010】本発明の好ましい実施形態では、クッショ
ン材中の接着点を構成する熱可塑性弾性樹脂が、示差走
査型熱量計にて測定した融解曲線において、融点以下に
吸熱ピ−クを有するのが好ましい。融点以下70℃以上
の温度範囲で融点以外に吸熱ピ−クを有するものは、耐
熱耐へたり性が吸熱ピ−クを有しないものより著しく向
上する。例えば、本発明の好ましいポリエステル系熱可
塑性樹脂として、ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性の
あるテレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸など
を90モル%以上含有するもの、より好ましくはテレフ
タル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸の含有量は95
モル%以上、特に好ましくは100モル%とグリコ−ル
成分をエステル交換後、必要な重合度まで重合し、次い
で、ポリアルキレンジオ−ルとして、好ましくは平均分
子量が500以上5000以下、特に好ましくは100
0以上3000以下のポリテトラメチレングリコ−ルを
15重量%以上70重量%以下、より好ましくは30重
量%以上60重量%以下共重合量させた場合、ハ−ドセ
グメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタ
レン2・6ジカルボン酸の含有量が多いとハ−ドセグメ
ントの結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、耐熱
抗へたり性が向上するが、溶融熱接着後更に融点より少
なくとも10℃以上低い温度でアニ−リング処理すると
より耐熱抗へたり性が向上する。圧縮歪みを付与してか
らアニ−リングすると更に耐熱抗へたり性が向上する。
このような処理をした網状体を示差走査型熱量計で測定
した融解曲線に室温以上融点以下の温度で吸熱ピークを
より明確に発現する。なおアニ−リングしない場合は融
解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピ−クを発現しない。
このことから類推するに、アニ−リングにより、ハ−ド
セグメントが再配列され、疑似結晶化様の架橋点が形成
され、耐熱抗へたり性が向上しているのではないかとも
考えられる。(この処理を疑似結晶化処理と定義する)
この疑似結晶化処理効果は、ポリアミド系弾性樹脂やポ
リウレタン系弾性樹脂にも有効である。
【0011】本発明で言う捲縮繊維とは、機械捲縮また
は立体捲縮が付与された繊維を言う。捲縮形態は所望に
応じ決められるが、嵩高性を求める場合は捲縮繊維に立
体捲縮を用いるのが好ましい。好ましい立体捲縮形態
は、波型立体捲縮である。捲縮度(Ci)が10%以下
では嵩高性が低下し、捲縮数(Cn)が10個/インチ
以下では弾力性が低下する。所望する風合いにあわせ
て、ソフトな風合いが必要な場合ではCnが低く、Ci
が少し高いものを用い、弾力性を出すためにはCi、C
nとも高いものを用いるのが好ましい。ハ−ドな風合い
が必要な場合は、Cnの特に高いものを用いるのがより
好ましい。本発明では、Ciが12%以上30%以下、
Cnが10個/インチ以上が好ましく、Ciが15%以
上25%以下、Cnが12〜30個/インチにすると嵩
高性と共に弾力性と硬さが付与できるので特に好まし
い。本発明の捲縮繊維の単糸繊度は特には限定されない
が、熱接着繊維と混繊しカ−ドウェッブ化してクッショ
ン材を作る場合、単糸繊度が50デニ−ルを越える太い
繊度では、クッション性が低下すると共に構成本数が少
なくなるので耐久性のある低密度クッション材とするの
が困難となるので好ましくない。他方、単糸繊度が0.
5デニ−ル未満では、嵩高性が低下する。本発明での捲
縮繊維の単糸繊度は、1デニ−ル以上45デニ−ル以下
が好ましく、2デニ−ル以上30デニ−ル以下がより好
ましいが、所望に応じて、硬さを付与したい場合は8デ
ニ−ル以上、加工性の良い30デニ−ル以下が好まし
く、ソフトさを付与したい場合2デニ−ル以上8デニ−
ル以下とするのが好ましい。捲縮繊維の初期引張抵抗度
(IS)は、受けた応力に応じて弾性変形しつつ、接触
する捲縮繊維に応力を伝達する梁の機能をもたすために
は30g/デニ−ル以上とするのが好ましい。ISが2
0g/デニ−ル以下では、大きい変形応力を受けると塑
性変形して耐へたり性が低下するので好ましくない。I
Sが100g/デニ−ルを越えるとしなやかな変形がで
きず、衝撃破壊を生じる場合があるので、より好ましく
は35g/デニ−ル以上100g/デニ−ル以下であ
る。捲縮繊維の断面形状は特には限定されないが、中空
断面や異形断面とすることで嵩高性や剛直性が向上する
ので好ましい。突起を三方向に持つ中空異形断面では断
面二次モ−メントが高く、捩じり変形に強くなるので、
立体捲縮とした場合特に好ましい形状である。カット長
は特に限定されないが、製造法からは通常のカ−ド開繊
も可能で絡合性を保持し易い40mmから120mmが好ま
しい。
【0012】本発明は、捲縮繊維を構成繊維とし、全重
量比で5重量%以上の熱可塑性弾性樹脂が溶融して捲縮
繊維同志の接触部で凝集して接着点を形成し、捲縮繊維
を梁構造とした三次元構造体を形成した嵩密度が0.0
1g/cm3 〜0.10g/cm 3 のクッション材である。
捲縮繊維同志の接触部で熱可塑性弾性樹脂が凝集した接
着点を形成しているため、接着点は強固に形成され、且
つ捲縮繊維が梁構造を形成しているので、変形応力を受
けると捲縮繊維が梁の作用で応力を受け止め、捲縮繊維
同士が接触して互いに支えあった支点を熱可塑性弾性樹
脂で接合されているので、梁から梁への応力伝達に必要
な僅かな変形を接着点が僅かに変形して応力を吸収しつ
つ次の捲縮繊維に連続的に応力を伝えていき三次元構造
体全体で応力を吸収することができる。応力が除かれる
と接着点のゴム弾性で直ちに元の形態に回復する。大き
い応力で大変形を伴う場合には、梁が変形しつつ梁が塑
性変形する前に接着点も梁の変形に応じて大変形し、三
次元構造体全体で応力を吸収でき、接着点も捲縮繊維も
応力が解除されると直ちに回復し元の形態を復元するこ
とができる。このことで、梁の剛直性と接合部のゴム弾
性が同時に機能して好ましいクッション性と耐へたり性
を発現する。更に前述の結晶化処理により接着点がより
回復性が改良されているので、耐熱耐へたり性も著しく
良好なクッション材となっている。他方、接着点をシ−
ス・コア構造で、コアが非弾性樹脂からなる熱接着繊維
で構成される場合は、接着点で梁構造の繊維同士が接触
していないで接着された部分や熱接着繊維同士の接合部
分が形成されており、捲縮繊維からの変形応力は接着点
の大変形で吸収する構造となるため接着点が変形限界に
達して後、梁構造が応力に応じて変形するので接着点の
耐久性が低下すると共に熱接着繊維のコア部も梁の機能
を持つが、細くて脆いので変形で破壊されやすい欠陥構
造を持つので、耐へたり性が劣り好ましくない。接着点
が非弾性樹脂で形成された場合は、ゴム弾性のような変
形回復機能がないので、接着点に応力が集中して接着点
が破壊されるので耐久性が劣り好ましくない。本発明で
は、接着点を形成する熱可塑性弾性樹脂の構造体に占め
る全重量比で5重量%以上が必要である。5重量%未満
では接着点が少なくなり上記効果が発現しにくくなり耐
久性が劣ると共に、熱可塑性弾性樹脂がもつ振動吸収機
能が充分発現できないので好ましくない。50重量%を
越えると捲縮繊維の構成本数が少なくなり、変形応力に
対する梁の効果が減少し柔らかなクッション材となるの
で、本発明の好ましい接着点を形成する熱可塑性弾性樹
脂の構造体に占める全重量比は10重量%以上50重量
%以下、より好ましくは20重量%以上40重量%以下
である。本発明の好ましい接着点の形態は凝集して玉状
に捲縮繊維の接触部を被って形成された状態であり、よ
り好ましくは接着点が接触した捲縮繊維全体を被って形
成された状態である。このような接着点を形成すること
で、接着点はより強固になり耐久性が向上する。本発明
クッション材の嵩密度は0.01g/cm3 〜0 .10
g/cm3 である。嵩密度が0.005g/cm3 以下では
反発力が失われクッション機能を発現させにくくなり、
嵩密度が0.20g/cm3 以上では反発力が高すぎてク
ッション性が劣るので好ましくない。振動吸収機能や変
形応力吸収機能が生かせてクッション性能が発現されや
すい嵩密度は0.02g/cm3 〜0 .06g/cm3
好ましく、0.03g/cm3 〜0 .05g/cm3 がよ
り好ましい。本発明クッション材の好ましい厚みは、変
形応力や振動を分散する機能と吸収する機能が発現でき
る5mm以上であり、より好ましくは10mm以上500mm
以下である。本発明で言う捲縮繊維を梁構造とした三次
元構造体とは、三次元構造体の立体的形態の骨格が捲縮
繊維のみで形勢され、捲縮繊維が三次元構造体の梁及び
柱の機能を果たし、梁及び柱の接触点の接合機能を熱可
塑性弾性樹脂で形成された接着点(樹脂接着部)が果た
し、熱可塑性弾性樹脂が梁や柱の機能を持たない形態を
示す三次元構造体を言う。即ち、従来公知の熱接着繊維
が捲縮繊維との接合と共に、熱接着繊維も繊維形態を保
持して梁や柱の機能を有していたものであるのに対し、
本発明に於ける三次元構造体中には、捲縮繊維のみが立
体構造の骨格を形成し、熱接着繊維は、捲縮繊維の接触
点を溶融接合して繊維形態を止めない形態となったもの
である。このよう構造を有するため、以下に述べる理由
から耐久性が一段と向上している。
【0013】以下に本発明クッション材の製造法を述べ
る。好ましい一例として熱可塑性樹脂からなる捲縮繊維
として立体捲縮を持つポリエステル繊維を用いる場合を
例示する。クッション材を製造するのに用いるポリエス
テル立体捲縮糸の捲縮特性は、カ−ド開繊した後の絡合
性を保持できれば特に制限されないが、本発明では、捲
縮度(Ci)が12%以上30%以下、捲縮数(Cn)
が10個/インチ以上が好ましく、Ciが15%以上2
5%以下、Cnが12〜30個/インチにすると嵩高性
と共に弾力性と硬さが付与できるので特に好ましい。用
いるポリエステル立体捲縮糸の初期引張り抵抗度(I
S)は30g/デニ−ル以上が好ましい。20g/dを
下回ると混繊開繊工程でダメ−ジを受け、高温でクッシ
ョン材を成形した時IS低下が大きく、弾力性、耐へた
り性が悪くなるので好ましくない。本発明の好ましいI
Sは35g/デニ−ル以上、より好ましくは40g/デ
ニ−ル以上100g/デニ−ル以下である。このように
高いISを有することで、カ−ド開繊等の加工段階でも
伸張応力に耐え、後加工での熱収縮を抑え、高い耐へた
り性と弾力性を保持することができる。用いるポリエス
テル立体捲縮糸の耐熱性は、乾熱200℃で5分間フリ
−処理後の捲縮の伸びを含めた弾性限界伸度(Δε:
%)とISの関係が IS≧(Δε+0.6)-2.8×1
3 +10を満たし、捲縮度(Ci)が15%以上、捲
縮数(Cn)が10個/インチ以上の立体捲縮を保持す
ることで耐熱耐へたり性が著しく良好となるので好まし
い。 IS≧(Δε+0.6)-2.8×103 +10を外
れると、ISが50g/dと高い場合でも耐熱耐へたり
性が低下し易くなる。IS≧(Δε+0.6)-2.8×1
3+12を満たす場合70℃、5mg/d荷重下15
時間でのCi保持率が70%以上となるのでより好まし
い。さらには、IS≧(Δε+0.6)-2.8×103
15を満たす場合70℃、5mg/d荷重下15時間で
のCi保持率が80%以上となるので特に好ましい。な
お、熱処理後のΔεとISはJIS−L−1063に記
載の方法によって測定し、得られたSS曲線の最大勾配
と接する直線が100%伸長したとした時の応力を処理
後IS(g/d)、巻縮が伸ばされて応力を発生する点
を0%伸度とし、最大勾配と接する直線から外れる弾性
限界点までの伸びを弾性限界伸度(Δε)と定義する。
なお測定数はn=50の平均値で示す。本発明のクッシ
ョン材を製造するのに用いるポリエステル立体捲縮糸の
断面形状は中空断面および異形中空断面とすることで嵩
高性や曲げ剛性が高くなり硬さも付与できる。また、非
対称冷却を用いて製造する場合、大きな断面異方性を付
与できるので好ましい。3つの突起を有する中空異形断
面が特に好ましい。本発明のクッション材を製造するの
に用いるポリエステル立体捲縮糸を200℃処理でも形
態変化が少ない状態にするには結晶化度を公知の立体捲
縮糸より著しく高くしておくのが好ましい。結晶化度の
指標としての比重で言うと1.395以上が好ましく、
1.40以上が特に好ましい。このような好ましいポリ
エステル立体捲縮繊維は次の様にして得ることができ
る。立体捲縮付与には、非対称冷却法や複合紡糸法を用
いる。非対称冷却法では断面異方性を高温高張力延伸で
耐熱耐久性を付与するため断面異方性が消失して必要な
立体捲縮を発現しなくなる場合があり、冷却時に高度の
断面異方性を付与する必要はある。例えば、PETを融
点より20℃高い275℃の紡糸温度で、中空断面や異
形中空断面を形成できるC型や突起を有するC型のオリ
フィスより紡出し、ノズル直下で風速2m/秒以上の冷
却風で急冷し、断面異方性を付与する。紡糸温度が高い
と伸長応力が低くなり断面異方性が低下するので、少な
くとも融点+30℃以下、好ましくは融点+15℃から
融点+25℃以下である。複合紡糸の場合は、溶融粘度
差のみで潜在巻縮能を付与するので、PETの場合は極
限粘度差が0.05以上0.15以下のものをサイドバ
イサイド又は偏芯シ−スコアに複合して紡出する。この
ときの紡糸温度は融点+20℃から融点+30℃が好ま
しい。極限粘度差が0.15以上とする場合は、丸断面
オリフィスでは孔曲がりが著しくなるので、中空部を偏
芯的にもつキドニ−シ−スコア型のオリフィスを用いる
こともできる。また、C型やY型又はYとCの組み合わ
せた形状のオリフィスを使うと潜在捲縮能が向上するの
で特に好ましい。かくして、紡出後冷却して引き取った
未延伸糸は、一旦巻き取るか、振り落として延伸に供す
る。PETの例で示すと、延伸は他段延伸する。1段目
はガラス転移点(Tg)以上85℃以下で破断延伸倍率
(MDR)の0.7倍から0.8倍で延伸し、2段目は
120℃以上180℃でMDRの0.8倍から0.85
倍で延伸し、3段目は210℃から230℃でMDRの
0.9倍から0.95倍で延伸し、4段目は0%から5
%以下のリラックス率で60℃以下まで繊維の温度を下
げて高緊張歪みを掛けたまま構造を固定する。このよう
な延伸を行うことで、高度の断面異方性にもとずく高度
の潜在捲縮能と発現力及び高ISを保持する延伸糸を得
ることができる。従来公知の方法は4段目で構造固定し
ないので、延伸時の緊張歪みが解除され潜在捲縮能が高
温延伸した場合消失すると同時にISも低下する。次い
で必要に応じ、クリンパ−にて機械捲縮を付与するか、
延伸張力を解除させ弾性捲縮を発現させたあと、切断し
て熱処理により立体捲縮を発現させるか、立体捲縮を発
現させた後切断して捲縮繊維を得る。熱処理は1段目は
140℃以上180℃にて捲縮を発現させ、次いで拘束
状態で200℃から220℃で熱固定する。かくして得
られた捲縮繊維は上記の本発明のクッション材を作るに
好ましい耐熱耐久性の優れた捲縮繊維である。
【0014】本発明は5重量%以上の熱可塑性弾性樹脂
からなる全融型熱接着繊維を熱接着点を形成するために
用いる。本発明に用いる熱接着繊維は、捲縮繊維間の接
触部を熱接着成分を捲縮繊維の結晶融解温度以下の温度
で溶融流動させて接着点を形成してクッション材を作成
する目的で使用するので、該熱接着成分は、熱溶融によ
り捲縮繊維の交点で接着点を形成する必要から、融点又
は流動開始温度が100℃以上220℃以下の熱可塑性
弾性樹脂を用いる。100℃未満では、繊維構造物の耐
熱性が劣るものしか得られないので好ましくない。22
0℃を越えると捲縮繊維の熱劣化を生じる場合があり好
ましくない。本発明の融点又は流動開始温度は、好まし
くは120℃以上200℃以下、より好ましくは130
℃以上190℃以下である。130℃以上のものを用い
ると、繊維構造体のドライクリ−ニングでのタンブラ−
乾燥も可能になり、又、120℃以上130℃未満で2
0分以上の蒸気による殺菌処理が可能になるのでより好
ましい。加工性の面からも、熱接着するオ−ブンの温度
は130℃以上200℃以下がコントロ−ルが容易なの
で安定した繊維構造体を得ることができる。熱接着繊維
は全融型を用いるので、単一成分か融点の差が20℃未
満の混合系で構成するのが好ましい。特別な場合はシ−
スコア構造の熱接着繊維とし、仮接着時にシ−ス成分を
用い、本接着で熱接着繊維を完全に溶融してクッション
材を形成することもできる。本発明での熱接着繊維の捲
縮形態は特には限定されないが、やや摩擦係数が高い場
合、例えば繊維間の静摩擦係数(μs)が2.5以上で
は捲縮形態は加工時立体捲縮が発現しているとカ−ド開
繊時開繊が不良となるので、工程通過性からは捲縮がジ
グザグの機械捲縮が好ましい。本発明繊維の捲縮数は3
〜20個/25mm、捲縮度は5%以上である。捲縮数が
3個/25mm未満、捲縮度が5%未満では開繊斑を生じ
て熱接着繊維が巻縮繊維中で分散不良となり繊維構造体
中の接着点をランダムに形成できないので好ましくな
い。捲縮数が20個/25mmを越えると開繊時に開繊し
にくいので伸長歪みを受け易く、伸長された熱接着繊維
がウエッブ内でゴム弾性が発現して縮みウェッブ斑やネ
ップを生じて熱接着繊維がマトリックス繊維中で分散不
良となるので好ましくない。好ましい捲縮特性は、捲縮
数が5個/25mm以上、捲縮度が6%以上20%以下で
あり、より好ましくは、捲縮数が8個/25mm以上15
個/25mm、捲縮度が8%以上15%以下である。本発
明の熱接着繊維は繊維間の静摩擦係数(μs)が1.5
以上2.5以下と高い場合は、カ−ド開繊時の伸長応力
が0.05g/デニ−ルから0.1g/デニ−ルと大き
くなるので、0.1g/デニ−ルの伸長応力での伸びが
60%以上を示す場合、伸長された熱接着繊維がウエッ
ブ内でゴム弾性が発現して縮みウェッブ斑やネップを生
じて熱接着繊維が捲縮繊維中で分散不良となるので好ま
しくない。本発明では0.1g/デニ−ルの伸長応力で
の伸びが50%以下、好ましくは30%以下である。か
くして、本発明の熱接着繊維は捲縮繊維と混合開繊する
と捲縮繊維中に均一に開繊、分散でき、該開繊ウェッブ
を所定の温度及び圧縮率で熱接着処理すると捲縮繊維間
の接触部で凝集して強固な接着点(樹脂接着部)をラン
ダムに形成し、耐熱耐久性と優れたクッション性を持つ
3次元繊維構造体を得ることができる。本発明の熱接着
繊維の繊度は特に限定されないが、繊度が太すぎると、
繊維構造体とするときの構成本数が減少して三次元構造
が粗くなり力の分散がしにくくなる。他方、捲縮繊維が
太い繊度の場合は、熱接着繊維の繊度が細過ぎると混繊
がしにくくなり、均一な三次元構造を形成しにくくな
る。極端に熱接着繊維の繊度が細過ぎると開繊も困難と
なるので通常2〜15デニ−ルの範囲が良い。断面形状
は特に限定されないが、所望に応じて各種断面形状のも
のが適用できる。繊維長もカ−ド開繊やエア−開繊が可
能な15mm以上150mm以下なら特には限定されない
が、捲縮繊維との差が大きくなると混繊しにくくなるの
で、混繊が容易な所定の繊維長、例えば、ポリエステル
繊維では28mmから64mmとするのが好ましい。捲縮繊
維が特別な繊維長を持つ場合、捲縮繊維の繊維長に合わ
せるのが望ましい。油剤は熱分解しにくいもの、例え
ば、ラウリルホスフェ−トカリウム、セチルホスフェ−
トカリウムなどのホスフェ−ト塩を使用するのが好まし
い。また、摩擦係数が低くなる油剤を使うと開繊性が向
上するので特に好ましい。が、シリコ−ン系やフッ素系
の離形効果の著しい油剤は熱接着繊維に用いる場合、溶
融接着しにくくなるので好ましくない。熱接着繊維の熱
収縮率は低い方が熱成形時ウエッブ中に分散した熱接着
繊維が縮じみにくいので均一に接点を形成するので好ま
しい。収縮率が高いと層間剥離を生じやすくなるので乾
熱130℃での収縮率は20%以下、より好ましくは1
5%以下とするのがよい。このような本発明の熱接着繊
維の製法は、融点又は流動開始温度が100℃以上22
0℃以下の熱可塑性弾性樹脂を融点又は流動開始温度よ
り20℃以上80℃未満高い溶融温度で紡糸し、少なく
とも50℃以下に冷却後に収束して、1.0重量%以上
の水系油剤を付与して引取り、機械捲縮を付与する熱接
着繊維の製法である。本発明の繊維構造は100%同一
の熱可塑性弾性樹脂からなる繊維なので、公知の方法で
紡糸し、ついで延伸、捲縮付与して所望の繊維長さに切
断して簡単に得ることが出来るので安価に提供できる。
なお、紡糸の際、熱可塑性弾性樹脂の融点又は流動開始
温度より少なくとも20℃高い融点温度で溶融紡糸す
る。20℃未満では、バラス効果が著しくなり、かつゴ
ム弾性が発現して紡糸張力が変動し、吐出糸条に太細斑
が発生して正常な紡糸が困難となる。他方、100℃以
上融点より高い紡糸温度ではソフトセグメントの熱分解
が著しくなり、熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性が著しく低
下するので好ましくない。好ましい紡糸温度は融点より
少なくとも30℃以上80℃未満高い温度、より好まし
くは40℃〜60℃融点より高い温度で、溶融粘度が5
00ポイズ以上5000ポイズ以下で溶融紡糸するのが
最も好ましい。本発明の熱接着繊維は融点又は流動開始
温度が100℃以上220℃以下の熱可塑性弾性樹脂を
用いるので、紡出後、冷却して糸温度を少なくとも50
℃以下に冷却後に収束する。糸温度が60℃以上で収束
すると繊維同志が融着し、延伸時の延伸斑や糸切れにな
り品位の劣悪な繊維となるので好ましくない。次いで、
本発明では1.0重量%以上の水系油剤を付与して引取
る。本発明では、油剤濃度を5重量%以下の水でエマル
ジョン化した油剤を水系油剤と言う。油剤が少ないと糸
の冷却が不十分な場合は融着する場合があるので、1重
量%以上付与して水で更に冷却させる。本発明の好まし
い付与量は2重量%以上5重量%以下である。油剤は熱
分解しにくいもの、例えば、ラウリルホスフェ−トカリ
ウム、セチルホスフェ−トカリウムなどのホスフェ−ト
塩を使用するのが好ましい。また、摩擦係数が低くなる
油剤を使うと開繊性が向上するので特に好ましい。が、
シリコ−ン系やフッ素系の離形効果の著しい油剤は熱接
着繊維に用いる場合、溶融接着しにくくなるので好まし
くない。引取速度が4000m/分以上の高速紡糸で
は、次いで捲縮を付与することができる。低速紡糸で未
だ伸度が高い未延伸糸は、0.1g/デニ−ルの伸長応
力付与時の伸びを50%以下とするため延伸後に捲縮を
付与する。延伸条件は、延伸温度を温浴70℃以下で破
断延伸倍率の約0.8〜0.9倍で延伸し、収縮率を抑
える場合は、次いで融点より少なくとも30℃低い温度
で定長又は弛緩熱処理して機械捲縮を付与し、機械捲縮
が伸びないように低張力でカッタ−に供給切断して得る
ことができる。本発明のクッション材は上述のポリエス
テル立体捲縮繊維と熱可塑性弾性樹脂からなる熱接着繊
維を用いて得る場合に用いる熱接着繊維の組成をポリエ
ステルとすることでリサイクルを可能とすることができ
るので好ましい。なお、熱接着繊維を構成する成分に
は、所望に応じ艶消し剤、顔料、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、難燃化剤等をリサイクル時問題にならない程度に
含有してもよい。
【0015】かくして得られた捲縮繊維と全融型熱接着
繊維は捲縮繊維の含有量を50重量%から95重量%
と、接着点を形成する熱接着繊維の含有量を5重量%か
ら50重量%の混合比で混合分散させたウェッブを積層
し、嵩密度が0.01g/cm3から0.1g/cm3 の構
造体になるように圧縮した状態で、該熱接着繊維を構成
する熱可塑性弾性樹脂の融点又は流動開始温度より10
℃から80℃高く、捲縮繊維の結晶融解温度以下の温度
で10℃から80℃高い温度で溶融させて接着点を形成
させ本発明のクッション材を得る。混合方法は例えば、
捲縮繊維の上に熱接着繊維を所望の混合比でシ−ト状に
積層してオ−プナ−に供給、予備開繊して混合して予備
開繊原綿を作り、カ−ドに供給して開繊ウエッブを作
る。開繊ウエッブはエアレイを用いても作ることが出来
る。エアレイの場合単繊維1本1本が積層されたウエッ
ブが得られるので層間剥離を少なくできる。開繊ウエッ
ブは積層して嵩密度が0.01g/cm3 から0.1g/
cm3 の構造体になるように所望の目付けに積層圧縮し
て、熱可塑性弾性樹脂の融点又は流動開始温度より10
℃から80℃高く、捲縮繊維の結晶融解温度以下の温度
で5分以上30分未満加熱溶融させて接着点を形成させ
る。10℃未満では流動性が悪くなり凝集した接着点を
形成しにくいので好ましくない。80℃を越える温度で
は、逆に流動性が良すぎて接着点での凝集が起こりにく
いので捲縮繊維を包んだ玉状の接着点を形成しにくいと
共に、熱可塑性弾性樹脂の熱劣化が生じ回復特性が低下
するので好ましくない。他方、捲縮繊維の結晶融解温度
(ボ−ルドウイン社製バイブロンにて測定したE’が、
溶融前に急激に低下する直前の温度と定義する。PET
では225℃から235℃である。)以下の温度以上で
は捲縮繊維の劣化を生じるので好ましくない。また、処
理時間は200℃以上では30分以上処理すると熱可塑
性弾性樹脂の熱劣化が生じ回復特性が低下するので好ま
しくない。好ましい接着点形成温度は、捲縮繊維がPE
Tの場合で、熱可塑性弾性樹脂の融点が163℃の場合
180℃から230℃であり、処理時間は5分以上30
分未満である。熱処理は連続的に圧縮熱処理ができる硬
綿セッタ−が望ましいが、バッチ方式の圧縮熱処理でも
良い。次いで冷却して所望の本発明クッション材を得
る。単にウェッブを積層する以外に、開繊ウエッブを遠
赤外線などで表面を仮接着する方法も使える。また、嵩
密度調整や取扱易くするためニ−ドルパンチで交絡処理
したり、金型成形する場合は成形時より低い嵩密度の範
囲で一旦圧縮熱成形してもよい。積層ウエッブ、ニ−ド
ルパンチウエッブまたは1次熱成形シ−トをついで積層
し、金型等を用い一体熱成形し、所望のクッション材を
得る。金型成形の場合、高温の加熱気体をおす金型側か
らめす金型側へ貫通させて溶融接着させるのが好まし
い。表層の嵩密度を小さくしたい時は中間層とベ−ス層
を別の金型で一旦圧縮熱成形して、表層の上の積層後一
体熱成形することができる。熱成形温度をあまり高くす
ると母材のIS低下が大きくなりへたり易くなる。深絞
りが必要な場合は再熱処理を兼ねて多段で深絞り部分を
再成形することができる。溶融熱成形時間は好ましくは
2分以上10分以内より好ましくは3分〜5分である。
再熱処理時間は温度によるが、5分以上30分以下が好
ましく、より好ましくは10分から15分である。な
お、用いる金型の開孔率は10%以上50%以下が好ま
しい。金型での一体熱成形されたクッション材の平均の
嵩密度は任意に設定できるが、軽量化効果を出すために
は0.02〜0.06g/cm3 とするのが好ましい。本
発明の最も好ましい実施形態としては、所望の嵩密度の
1/2〜2/3で溶融熱成形した後次いで一旦冷却し、
所望の嵩密度まで圧縮し70℃以上Tm1より少なくと
も30℃低い温度で再熱処理しクッション材を形成す
る。この処理により70℃での回復性が著しく向上す
る。この理由は明らかではないが、再熱処理したものの
みにクッション材中の熱接着成分の結晶融解にもとずく
と考えられるような小さな吸熱ピーク(Tmc)が70
℃以上融点以下にTm1以外に認められることから、完
全な結晶ではないが、ソフトセグメントをつなぐ架橋点
の働きをする構造が形成され、耐熱耐へたり性が著しく
向上するのではないかと推測される。
【0016】
【実施例】以下実施例で本発明を具体的に詳述する。
【0017】なお、本発明で言う融点、融点以下の吸熱
ピ−ク、結晶融解温度、捲縮繊維のIS、Δε、構成繊
維と接着点の状態は以下の方法で測定したものである。 融点及び融点以下の吸熱ピ−ク 島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使
用し、昇温速度20℃/分で溶融による吸熱ピ−ク(T
m1)まで測定し、Tm以下の吸熱ピークの温度(Tm
c)も求めた。 捲縮繊維の結晶融解温度 オリエンテック社製バイブロンDDVII型を使用し、1
10Hz、昇温速度1℃/分で測定し、弾性率の実数部分
(E`)が融点直前にE’の低下率が一旦減少し、次い
で溶断する時急激にE’が低下する領域において、低下
率が一旦減少するときのE’の変化曲線の接線と溶断す
る時急激にE’が低下する領域の変化曲線の接線との交
点の温度を求めた。この温度を捲縮繊維の結晶融解温度
と定義する。 クッション材中及び加工前の捲縮繊維のIS クッション材中の熱接着繊維部分を注意深く切断して捲
縮繊維を取り出し、又は処理前の捲縮繊維を取り出し、
比重と断面写真から断面積を求めてデニ−ルに換算し、
初荷重をきめる。SS曲線はJIS−L−1063の方
法により測定してISを求める。 Δε 捲縮繊維のSS曲線からIS測定のために引いた初期の
歪み応力の最大勾配の接線がSS曲線とずれる点までの
伸びを測定しΔεとして求めた。(n=20) 構成繊維と接着点の状態 クッション材を2cm厚みで10cm角に切断スライスした
サンプル5個を作成して、各サンプルの5か所を実体顕
微鏡で50倍に拡大しクッション材中の構成繊維(熱可
塑性弾性樹脂及び捲縮繊維の残存状態)を目視で識別し
た。同時に接着点を観察して接着点の状態を目視で識別
した。
【0018】実施例および比較例 熱接着繊維の作成 酸成分としてジメチルテレフタレ−ト(DMT)または
及びジメチルイソフタレ−ト(DMI)またはナフタレ
ン2・6ジカルボン酸(DMN)とグリコ−ル成分とし
て1・4・ブタンジオ−ル(BD)、ネオペンチルグリ
コ−ル(NPG)、エチレングリコ−ル(EG)および
ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)を少量の触
媒と安定剤とともに仕込み、公知の方法でエステル交換
反応後昇温減圧しつつ重縮合してポリエステルエ−テル
ブロック共重合物を生成した。該ポリエステルエ−テル
ブロック共重合物を加熱真空乾燥し、抗酸化剤として1
・3・5・トリメチル・2・4・6・トリス(3・5・
ジ・t・ブチル・4・ヒドロキシベンジル)ベンゼン
(TTtBHB)を2軸押出機にてソフトセグメント当
たり1重量%溶融練込みしたものをペレット化し、加熱
不活性ガスにて水分を充分除去し得られた熱可塑性樹脂
の処方および特性を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】得られたA−1からA−5の熱可塑性樹脂
を単成分で常法により単孔吐出量2g/分にてφ0.3
mmのオリフィスより吐出し、糸温度が40℃以下の点で
収束し、濃度4%のラウリルフォスフェ−トカリウム水
溶液をピックアップで5%付与し、1300m/分で紡
糸した。得られた未延伸糸を次いで、50℃温浴で破断
延伸倍率の0.85倍で延伸し、連続して乾熱90℃で
定張熱処理し、仕上げ油剤を付与した後クリンパ−にて
機械捲縮を付与し、機械捲縮が伸びない張力でカッタ−
に供給し51mmに切断して得られた3デニ−ルから5デ
ニ−ルの熱接着繊維の特性を表2に示す。なお、A−5
の未延伸糸は脆くて延伸が困難であったので特性は測定
していない。0.1g/デニ−ルの伸長応力での伸び
は、単繊維の100%伸長速度での歪み/荷重曲線から
求めた。
【0021】
【表2】
【0022】A−5及びA−6の樹脂を鞘成分に、ポリ
エチレンテレフタレ−ト(PET)を芯成分にし、鞘/
芯の重量比を50/50で常法により紡糸温度を280
℃にて紡糸し、未延伸糸を得た。次いで、50℃温浴で
3.4倍に延伸し、連続して乾熱90℃で定張熱処理
し、仕上げ油剤を付与した後クリンパ−にて機械捲縮を
付与し、機械捲縮が伸びない張力でカッタ−に供給し5
1mmに切断して4デニ−ルの熱接着繊維(B−6及びB
−7)を作成した。得られた繊維の特性を表2に示す。
【0023】巻縮繊維の作成 極限粘度0.70と0.63のPETを紡糸温度280
℃にて単孔吐出量3g/分と3g/分(合計6g/分)
をノズル背面でサイドバイサイドに接合して、外側に3
個の突起を持つC型オリフィスより吐出させ1300m
/分にて引き取った未延伸糸を次の条件にて延伸−熱処
理した。(イ)1段目80℃にてMDRの0.7倍、2
段目160℃にてMDRの0.85倍、3段目210℃
にてMDRの0.92倍、4段目定長で糸温度を室温ま
で冷却して巻取った延伸糸を64mmに切断し、180℃
で5分間巻縮発現処後、200℃にて拘束状態で10分
間熱処理して得られた捲縮繊維は13デニ−ルの中空で
外側に3個の突起を有する断面形状で、強度5.2g/
デニ−ル、伸度17%、IS45g/デニ−ル、捲縮形
態が波型の立体捲縮でCi28%、Cn18個/イン
チ、比重1.405、Δε5.8、〔(Δε+0.6)
-2.8×103 +10〕が15.5であった。(ロ)1段
目80℃でMDRの0.9倍で延伸し巻き取ったものを
64mmに切断し、160℃で5分間捲縮発現処理して得
られた捲縮繊維は、15デニ−ルの中空で外側に3個の
突起を有する断面形状で、強度2.8g/デニ−ル、伸
度47%、IS23g/デニ−ル、捲縮形態が波型の立
体捲縮でCi24%、Cn22個/インチ、比重1.3
75、Δε3.0、〔(Δε+0.6)-2.8×103
10〕が37.7であった。
【0024】クッション材の作成 得られた機械捲縮を持つ熱接着繊維を3重量%から30
重量%と(イ)及び(ロ)の方法で作成した捲縮繊維を
70重量%から97重量%とをカ−ドにて混繊−開繊し
て得たウエッブを密度0.005g/cm3 0.15g/
cm3 となるように圧縮し、150〜240℃の熱風を強
制貫通させて5分間熱処理し、次いで、一旦冷却し、密
度が0.03g/cm3 とした一部は更に密度が0.04
g/cm3となるように圧縮し、100℃で30分再熱処
理して、平板状のクッション材を得た。得られたクッシ
ョン材の作成状況と特性を表3に示す。なお、70℃の
圧縮残留歪み、常温での繰返し圧縮残留歪み、及び反発
弾性はJIS−K−6401の方法による。なお、市販
の機械捲縮を有する3デニ−ル、IS21g/デニ−
ル、強度1.8g/デニ−ル、伸度17%、Ci10
%、Cn8個/インチのレ−ヨンを熱可塑性樹脂からな
る捲縮繊維の比較(ハ)として用いた。
【0025】
【表3】
【0026】本発明の要件を満足する実施例1〜2は耐
熱耐久性に優れ、常温での耐久性にも優れたクッション
材の性能も優れたものを得ることができる。比較例1は
熱接着成分の融点が220℃以上高いため捲縮繊維の劣
化により耐熱耐久性が劣る例である。比較例2は融点の
低い熱接着繊維のため、耐熱耐久性が劣る例である。比
較例3は熱接着成分が非弾性樹脂のため、接着点が脆く
耐久性が著しく劣る例である。比較例4は非弾性樹脂を
芯成分にもつため、固くなるが、熱接着点が弾性樹脂に
もかかわらず芯成分の耐久性がおとり、クッション性能
が劣る例である。比較例5は熱接着成分が3重量%と少
ないため、耐久性が劣る例である。比較例6は接着点が
捲縮繊維同志の接触部で凝集した接着点を作れないため
耐久性が劣る例である。比較例7は見掛け密度が著しく
低いためクッション機能が十分に発現できない例であ
る。比較例8は見掛け密度が0.10g/cm3 を越える
ためクッション材に適さず、耐熱耐久性も劣るものであ
る。比較例9は捲縮繊維が熱可塑性樹脂ではない場合
で、耐久性が劣る例である。なお、参考のため、実施例
1及び比較例7及び比較例8について、30℃室内にて
パネラ−10人に1時間座らせて、床つき感、座り心
地、蒸れ感を評価させた結果、実施例1は、床つき感が
無く、座り心地も良好で蒸れ感の少ない快適なクッショ
ン材であったが、比較例7は床つき感が著しく座り心地
は比較例8より劣るものであった。比較例8は臀部や大
腿部が痛くなり座り心地の悪いものであった。なお、実
施例1〜2のクッション材を45°メセナミン法及び4
5°アルコ−ルランプ法で難燃性の評価を行った結果は
全て合格した。比較にポリウレタンを評価した結果は不
合格であった。本発明のクッション材は安全性も高いこ
とが判る。
【0027】
【発明の効果】本発明は、熱可塑性樹脂からなる捲縮繊
維同志の接触部を耐熱耐久性のある伸縮性の優れた熱可
塑性弾性樹脂が接着点を形成し、捲縮繊維を梁構造とし
た三次元構造体を形成したクッション材であるので、極
めて優れたクッション性、常温および加熱下での耐久性
を持つ安全性の高いクッション材を提供できる。なお、
透湿透水性も保持できるので蒸れの少ない快適な座席を
提供できる。本発明のクッション材の用途としては、車
両用、船舶用、家具、ベッド用に適する。他の用途とし
ては、伸縮性を生かした不織布用途、例えば衛材基布、
肩パッドやカップ、合成皮革基布や立毛布帛類用基布、
通気性良好で接着できるワディング層や内装材、70℃
を越えない範囲の断熱材や衝撃吸収材等々にも広く適用
できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開繊された捲縮繊維中に、捲縮繊維の交
    差点を接合する樹脂接着部が散在するクッション材であ
    り、上記樹脂接着部は、融点又は流動開始温度が100
    〜220℃の熱可塑性弾性樹脂が溶融し、凝集して形成
    されたものであり、該熱可塑性弾性樹脂は、クッション
    材中に全重量比で5%以上含まれており、クッション材
    は、捲縮繊維を梁構造とした三次元構造体を形成してお
    り、嵩密度が0.01〜0.10g/cm3 であることを
    特徴とするクッション材。
  2. 【請求項2】 捲縮繊維が単糸繊度が45デニ−ル以下
    で、初期引張抵抗度(IS)が30g/d以上の立体捲
    縮を持つポリエステル繊維である請求項1記載のクッシ
    ョン材。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂からなる捲縮繊維と5重量
    %以上の熱可塑性弾性樹脂からなる全融型熱接着繊維を
    混合開繊して捲縮繊維中に熱接着繊維を分散させたウェ
    ッブを積層し、嵩密度が0.01g/cm3 〜0.10g
    /cm3 の構造体となるように圧縮した状態で、該熱接着
    繊維を加熱溶融させて捲縮繊維同志の接触部に凝集させ
    樹脂接着部を形成し、捲縮繊維を梁構造とした三次元構
    造体を形成させることを特徴とするクッション材の製
    法。
  4. 【請求項4】 捲縮繊維を梁構造とした三次元構造体を
    形成させた後、一旦冷却し、次いで60℃〜熱可塑性弾
    性樹脂の融点又は流動開始温度より20℃から100℃
    低い温度で少なくとも10分以上疑似結晶化処理する請
    求項3記載のクッション材の製法。
  5. 【請求項5】 全融型熱接着繊維を構成する熱可塑性弾
    性樹脂の融点又は流動開始温度より10〜80℃高く、
    捲縮繊維の結晶融解温度以下の温度で溶融させて樹脂接
    着部を形成する請求項3記載のクッション材の製法。
  6. 【請求項6】 捲縮繊維に乾熱200℃、5分間のフリ
    ー熱処理後の捲縮の伸びを含む弾性限界伸度(Δε)%
    とISがIS≧(Δε+0.6)-2.8×10 3 +10を
    満足し、捲縮度(Ci)が15%以上、捲縮数(Cn)
    が10個/インチ以上のポリエステル立体捲縮繊維を用
    いた請求項3記載のクッション材の製法。
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