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JPH10204336A - 透明導電膜形成用塗料、低反射透明導電膜および表示装置 - Google Patents

透明導電膜形成用塗料、低反射透明導電膜および表示装置

Info

Publication number
JPH10204336A
JPH10204336A JP1069497A JP1069497A JPH10204336A JP H10204336 A JPH10204336 A JP H10204336A JP 1069497 A JP1069497 A JP 1069497A JP 1069497 A JP1069497 A JP 1069497A JP H10204336 A JPH10204336 A JP H10204336A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent conductive
conductive film
low
layer
conductive layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1069497A
Other languages
English (en)
Inventor
Noboru Kinoshita
暢 木下
Takashi Sato
隆 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Osaka Cement Co Ltd filed Critical Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority to JP1069497A priority Critical patent/JPH10204336A/ja
Publication of JPH10204336A publication Critical patent/JPH10204336A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、導電性が高く、帯電防止効果・電磁
波遮蔽効果に優れているばかりでなく、耐塩水性、耐酸
性、耐酸化性、耐紫外線性などの耐環境性も著しく改善
されて実用性が向上した透明導電膜を形成する塗料、こ
れを用いた低反射透明導電膜および表示装置を得る。 【解決手段】 金属とイオウ元素とを含む化合物6を用
いて表面処理されたコロイド状金属微粒子7を少なくと
も含有する透明導電膜形成用塗料を用いて透明導電層4
を形成し、この上層および/または下層に該透明導電層
4の屈折率とは異なる屈折率を有する透明な反射防止層
5を1層以上設けて低反射透明導電膜3を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、導電性が
高く、帯電防止効果・電磁波遮蔽効果に優れているばか
りでなく、耐塩水性、耐酸性、耐酸化性、耐紫外線性な
どの耐環境性も著しく改善されて実用性が向上した透明
導電膜を形成する透明導電膜形成用塗料、および前記の
特性に加えて反射防止効果にも優れた低反射透明導電
膜、およびこの低反射透明導電膜がフェースパネル前面
に形成された表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】陰極線管、プラズマディスプレイ、液晶
表示装置などの表示装置、特にTVブラウン管やコンピ
ュータのディスプレイなどとして用いられている陰極線
管やプラズマディスプレイにあっては、フェースパネル
面に発生する静電気により埃が付着して視認性が低下す
る他、電磁波を輻射して周囲の機器などに影響を及ぼす
惧れがある。
【0003】そこで、帯電防止、電磁波遮蔽および反射
防止を目的として、平均粒径2〜200nmの金属微粒
子からなる透明導電性微粒子層と、この微粒子層の上層
に形成されかつこの微粒子層より屈折率が低い透明被膜
とからなる透明導電性被膜を陰極線管のフェースパネル
上に成膜する技術が提案された(特開平8−77832
号公報)。
【0004】更に最近では、優れた帯電防止効果と電磁
波遮蔽効果とを有するとともに、表示装置のフェースパ
ネルに施したとき透過画像の色相が自然で視認性の良好
な透明導電膜を得るために、少なくとも2種の金属を1
0重量%以上含む透明導電層をも有するもの(特願平8
−149505号)、前記特性に加えて優れた反射防止
効果も有するものとして、少なくとも銀を含む透明導電
層と少なくとも1層の反射防止層とを有し、この少なく
ともいずれかの層が青色、紫色または黒色の着色材を含
む低反射透明導電膜(特願平8−149506号)、更
に前記特性に加えて優れた防眩効果をも有するものとし
て、少なくとも1種の金属を10重量%以上含む透明導
電層とこの透明導電層の屈折率とは異なる屈折率を有す
る少なくとも1層の反射防止層と、最外層に透明性凹凸
層とを有する低反射透明導電膜(特願平8−23237
2号)、透過画像の色相を自然で視認性の良いものとす
るために、前記の透明導電層にエネルギー照射を行った
もの(特願平8−282683号)、および前記特性に
加えて更に優れた光透過性を有するものとして、金属を
含み膜厚が5nm以上50nm未満の透明導電層の上層
および/または下層にこの透明導電層の屈折率とは異な
る屈折率を有する少なくとも1層の反射防止層を有する
低反射透明導電膜(特願平8−295514号)が提案
されている。これらの各提案において、実際に用いられ
る金属は、導電性、経済性、色相などの観点から全量ま
たは大部分が銀である場合が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記の金属を用いた透
明導電膜は、優れた透明性と高い導電性を有し、経済的
にも有利であるが、長期にわたって使用すると、環境の
影響を受けて特性が劣化する。すなわち、使用中に海水
や汗に含まれるハロゲン塩、特にNaClや、大気中の
SOx ガス、酸性雨などの酸性ないしH2S、Cl2、H
22、O3 など酸化性のガスや液体に接触したり、紫外
線による活性酸素の影響を長時間にわたって受けたりし
た場合には、透明導電膜を構成する金属、例えば銀では
ハロゲン化銀、硫化銀、酸化銀などに変質し、透明導電
膜の導電性や強度が劣化し、場合によってはフェースパ
ネル基材から剥離するなどの問題を起こすこともある。
【0006】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、従ってその目的は、透明性、導電
性が高く帯電防止効果・電磁波遮蔽効果に優れているば
かりでなく、耐塩水性、耐酸性、耐酸化性、耐紫外線性
などの耐環境性も著しく改善されて実用性が向上した透
明導電膜を形成することができる透明導電膜形成用塗
料、および前記の特性に加えて反射防止効果にも優れた
低反射透明導電膜、およびこの低反射透明導電膜がフェ
ースパネル前面に形成された表示装置を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明は、請求項1において、金属とイオウ元素と
を含む化合物を用いて表面処理されたコロイド状金属微
粒子を少なくとも含有する透明導電膜形成用塗料を提供
する。前記化合物を構成する金属と前記コロイド状金属
微粒子の金属とは、ともに銀であることが好ましい。本
発明はまた、請求項3において、前記の透明導電膜形成
用塗料により形成された透明導電層の上層および/また
は下層に、該透明導電層の屈折率とは異なる屈折率を有
する透明な反射防止層が1層以上形成された低反射透明
導電膜を提供する。本発明は更に、請求項4において、
前記の低反射透明導電膜がフェースパネルの前面に形成
された表示装置を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳し
く説明する。図1に、本発明の低反射透明導電膜の一実
施形態を示す。図1において、この陰極線管1は、フェ
ースパネル2の前面に低反射透明導電膜3が形成されて
いる。この低反射透明導電膜3は、フェースパネル2の
側(下側)から順に透明導電層4と、この透明導電層4
の屈折率とは異なる屈折率を有する透明な反射防止層5
とからなっている。
【0009】この透明導電層4は、銀とイオウとを含む
化合物6で被覆されたコロイド状の銀微粒子7を含有し
ている。この透明導電層4は、銀とイオウとを含む化合
物で被覆されたコロイド状の銀微粒子を含む本発明の透
明導電膜形成用塗料(以下、「本塗料」という)をフェ
ースパネル2上に塗布して形成されたものである。
【0010】この低反射透明導電膜3は、透明導電層4
がコロイド状の金属(銀)微粒子7を含んでいるので帯
電防止性能、電磁波遮蔽性能を発現するに十分な導電性
を有しており、かつ透明性が高く、フェースパネル2か
らの透過画像が明るく、実用的に十分な視認性を有して
いる。また、この低反射透明導電膜3は、透明導電層4
の屈折率とは異なる屈折率を有する反射防止層5が上層
に形成されているので、外光反射が防止されている。
【0011】さらにこの低反射透明導電膜3は、その透
明導電層4に含まれる金属(銀)微粒子7が同一金属
(銀)とイオウとを含む化合物(以下、「金属イオウ化
合物」という)6で被覆されているので、ハロゲン、酸
性、酸化性、紫外線などの雰囲気に対して耐性があり、
これらの雰囲気に長期間曝されることがあっても、金属
微粒子7の変質に由来する導電性の低下、変色、膜強度
の低下などを起こすことがない。
【0012】従って、前記の低反射透明導電膜3がフェ
ースパネル2上に形成された陰極線管1は、透過画像が
明るく視認性が良好であり、帯電が防止されて埃が付き
難く、電磁波障害が防止され、外光反射が低減され、ま
た、汗、塩水、酸性または酸化性の液体またはガス、紫
外線などの劣化因子が存在する環境下に長期間曝されて
も画面の変色、導電性や膜強度の低下などが起こらず、
長期にわたって初期性能が維持される。
【0013】次に、本塗料とその施用形態について説明
する。本塗料は、基本的に、液体媒体中にコロイド状の
金属微粒子を含有してなり、この金属微粒子が、その金
属とイオウとを含む化合物(金属イオウ化合物)で被覆
されてなるものである。金属微粒子として用いられる金
属は、導電性が高ければ特に限定されるものではなく、
銀、金、銅、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウ
ム、ニッケル、またはこれらの任意の2種以上を組み合
わせた混合物であってもよい。
【0014】一般には、用いる金属の内の少なくとも1
種または全部が銀であることが好ましい。銀はコロイド
状分散液として比較的容易かつ安価に入手可能であり、
導電性が高く帯電防止性・電磁波遮蔽性に優れ、しかも
透明性の高い導電膜が形成できるからである。また銀と
組み合わせて例えば金を用いることも好ましい。銀は、
可視光帯域の短波長側に特有の吸収を有し、透過画像が
やや黄色味に着色して見える傾向があるが、これに比較
的少量の金を配合することによって、可視光帯域におけ
る透過スペクトルの波形を平坦化し、透過画像の色相を
補正することができる。
【0015】本塗料において、前記の金属イオウ化合物
で被覆された金属微粒子(以下、「被覆金属微粒子」と
いう)は、例えばこの金属微粒子を硫化ナトリウム、硫
化アンモニウムなどの水溶性硫化塩、チオ硫酸ナトリウ
ム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウムなどの水
溶性チオ硫酸塩、二亜硫酸塩、ジチオン酸塩、ペルオキ
ソ二硫酸塩、フルオロ硫酸塩、チオ尿素、スルホン酸
塩、チオグリコール酸塩、チオシアン酸塩、チオ炭酸
塩、チオ乳酸塩などのイオウ化合物の溶液に浸漬する
か、または金属微粒子が分散した液に硫化水素ガスを導
入するなどの方法により容易に調製することができる。
【0016】被覆金属微粒子の導電性は、例えば銀イオ
ウ被覆−銀微粒子の場合に10-5Ω・cmのレベルであ
り、成膜後の表面抵抗で100〜103Ω/□のレベルで
あって、実用的に十分な帯電防止性能・電磁波遮蔽性能
を得ることができる。
【0017】また、銀イオウ被覆−銀微粒子を塩水や、
酸性または酸化性の液体またはガスなどの劣化因子と長
期間接触させても導電性に変化は見られなかった。従っ
て、被覆金属微粒子を用いることによって、得られた透
明導電層の帯電防止性や電磁波遮蔽性の初期性能を長期
間にわたって維持することができる。
【0018】被覆金属微粒子の導電性が、劣化因子と接
触させたのちにも当初のレベルに維持される理由につい
ては明確でないが、導電性に影響を及ぼさない分子層程
度の厚みの金属イオウ化合物が金属微粒子の表面に緻密
に形成され、劣化因子の粒子内への侵入を阻止するため
と考えられる。
【0019】本塗料に用いるコロイド状被覆金属微粒子
の粒径は、100nm以下、特に1nm〜50nmの範
囲内とすることが好ましい。粒径が100nmを越える
と、結果として塗膜が厚くならざるをえず、塗膜が厚く
なると透明導電層の光透過性が低下し画面が暗くなると
ともに、導電性を確保するために被覆金属微粒子の配合
量が増大し、経済的にも不利となる。粒径1nm未満は
実際上実現困難である。
【0020】本塗料において、前記の被覆金属微粒子の
含有量は、安定な分散状態が維持できれば特に限定され
るものではない。本塗料を基材に均一に塗布して乾燥さ
せ、透明導電層を形成したとき、塗布厚みと関連して、
この透明導電層中に被覆金属微粒子が10重量%以上含
有されるように本塗料中の被覆金属微粒子の含有量を設
定することが好ましい。この条件を充たし、かつコロイ
ド状被覆金属微粒子の安定な分散状態を維持すために、
一般には被覆金属微粒子の含有量を0.1重量%〜10
重量%の範囲内で調整することが好ましい。
【0021】本塗料に用いられる媒体は基本的には水、
および/または水溶性有機溶媒、例えばアルコール類、
エーテル類、ケトン類などである。この塗布液にグリコ
ールエーテル類を添加すると、濡れ性やレベリング性が
改善され、本塗料を塗膜が例えば50nm以下となるよ
うなきわめて薄い厚みに塗布しても、膜強度の劣化を招
くことなく均一な厚みに塗布することができ、厚みむら
に起因する反射光の色むらが効果的に防止できることが
わかった。
【0022】本塗料に添加できるグリコールエーテルの
例としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチル
エーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロ
ピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエー
テル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、お
よびこれらのアセタート類などを挙げることができる。
特に濡れ性の観点から、エチレングリコールモノブチル
エーテル(ブチルセロソルブ)が好ましい。これらのグ
リコールエーテルは、塗布液中に1重量%〜80重量%
の範囲内で添加することが好ましい。
【0023】本塗料は、被覆金属微粒子の塗料中での分
散安定性を保つために、各種界面活性剤を添加し、およ
び/またはpHを調整することが好ましい。この目的に
使用し得る界面活性剤の例としては、例えばポリカルボ
ン酸塩系、スルホン塩系、リン酸エステル系などのアニ
オン界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、ポリエチレングリコール、セルローズなどの
高分子系界面活性剤、またはアミン塩系などのカチオン
界面活性剤を挙げることができる。またpHの調整は無
機酸、無機アルカリ、有機アルカリなどを添加して行う
ことができる。
【0024】本塗料はまた、前記の分散安定剤のほか
に、ガラスやプラスチックなどの基材との濡れ性や密着
性を調整するためにシリコーン系界面活性剤やフッ素系
界面活性剤を添加することもできる。
【0025】本塗料は前記の成分の他に、透明導電層の
透明性を更に向上させるなどのために、ケイ素、アルミ
ニウム、ジルコニウム、セリウム、チタン、イットリウ
ム、亜鉛、マグネシウム、インジウム、錫、アンチモ
ン、ガリウムなどの酸化物、複合酸化物、または窒化
物、特にインジウムや錫の酸化物、複合酸化物または窒
化物を主成分とする無機微粒子を含んでいてもよい。こ
れらの無機微粒子の粒径は100nm以下とすることが
好ましい。
【0026】本塗料はまた、透明導電層の膜強度を向上
させるためにバインダー成分を含んでいてもよい。用い
ることができるバインダー成分の例としては、例えばポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミ
ン樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂、紫外線硬化樹
脂などの有機系合成樹脂、ケイ素、チタン、ジルコニウ
ムなどの金属アルコキシドの加水分解物、またはシリコ
ーンモノマー、シリコーンオリゴマーなどの有機・無機
系バインダー成分などを挙げることができる。
【0027】特に式、 M(OR)mn (式中、MはSi、TiまたはZrであり、RはC1
4 のアルキル基であり、mは1〜4の整数であり、n
は1〜3の整数であり、かつm+nは4である)で表さ
れる化合物、またはその部分加水分解物の1種またはそ
れ以上の混合物をバインダーとして用いることが好まし
い。バインダー成分は、過剰に配合すると透明導電層の
導電性が低下するので、通常は10重量%以下の範囲内
で配合量を決定することが好ましい。
【0028】前記バインダー成分と被覆金属微粒子との
親和性を高めるために、被覆金属微粒子の表面は、シリ
コーンカップリング剤、チタネートカップリング剤など
のカップリング剤や、カルボン酸塩、ポリカルボン酸
塩、リン酸エステル塩、スルホン酸塩、ポリスルホン酸
塩などの親油化表面処理剤で処理されていてもよい。
【0029】更にまた本塗料は、必要なら、塗膜におけ
る透過画像の色調を調整するために、着色材を含有して
いてもよい。この着色材は、透明導電層に含有されてい
る被覆金属微粒子に由来して可視光の波長帯域である4
00nm〜800nmの範囲内で特定波長帯域に吸収が
ある場合、フェースパネルを通じての透過画像の色相が
不自然に変化するのを調整する目的、および/または透
過画像のコントラストを改善する目的で添加される。こ
の観点から、用いる着色材の色相は青色、紫色または黒
色などが好ましい。
【0030】例えば金属が銀である場合は、400nm
〜530nmの短波長可視光帯域に吸収があって、透過
画像の色相が黄色味を帯びて不自然に見えるのである
が、本塗料に紫色顔料を添加すると、成膜したときこの
紫色顔料が長波長可視光を適度に吸収するので、可視光
帯域における光の透過スペクトルが平坦化され、透過画
像の色相が紫味を帯びた自然な色に改善される。
【0031】本塗料をフェースパネルなどの基材に塗布
するには、一般に、スピンコート、ロールコート、ナイ
フコート、バーコート、スプレーコート、メニスカスコ
ート、ディップコート、グラビア印刷法など、公知の任
意の薄膜塗布技術を用いることができる。この内、スピ
ンコートは、短時間で均一な厚みの薄膜を形成すること
ができるので特に好ましい塗布法である。塗布後、塗膜
を乾燥し、必要なら焼付けすれば、基材の表面に透明導
電層が形成される。
【0032】塗布に際しては、形成された後の透明導電
層の膜厚が、5nm〜100nmの範囲内となるような
塗布量とすることが好ましい。特に、膜厚は、10nm
〜50nmの範囲内とすることで、実用的に十分な帯電
防止性能・電磁波遮蔽性能を有しながら良好な透明性が
得られることがわかった。膜厚が5nm未満では十分な
電磁波遮蔽性能が得難くなるばかりでなく、均一な膜形
成が困難となり、一方、膜厚が100nmを越えると、
導電性は問題ないが透明性が低下し、透過画像の視認性
が低下する。
【0033】次に本発明の透明導電膜形成用塗料を用い
て形成される透明導電層について説明する。この透明導
電層における被覆金属微粒子の分布形態は、互いに一部
で接触または部分的に融着した状態で間隙を有する網目
を形成していることが好ましい。このような好ましい分
布形態は、本塗料における被覆金属微粒子の粒径、濃
度、塗布方法、塗布膜厚、乾燥焼付け条件などを調節す
ることによって実現することができる。
【0034】形成された透明導電層は、前記の被覆金属
微粒子を10重量%以上含有していることが好ましい。
本発明の低反射透明導電膜は、帯電防止効果ばかりでな
く電磁波遮蔽効果も求められているので、遮蔽すべき電
磁波の周波数に対応した膜特性の設計が必要となる。一
般に、電磁波遮蔽効果は、下記の式1によって表され
る。
【0035】式1: S(dB)=50+10log
(1/ρf)+1.7t√(f/ρ) (式中、S(dB)は電磁波遮蔽効果、ρ(Ω・cm)
は導電膜の体積固有抵抗、f(MHz)は電磁波周波
数、t(cm)は導電膜の膜厚を表す。) 透明導電層の膜厚tは、前記のように5nm〜100n
mとされ、きわめて薄いのでtを含む項を無視すれば、
式1は近似的に下記の式2で表すことができる。 式2: S(dB)=50+10log(1/ρf)
【0036】すなわち、透明導電膜1の体積固有抵抗値
(ρ)は、できるだけ小さいほうが広範な周波数の電磁
波に対してより大きい遮蔽効果を現すことがわかる。一
般に、電磁波遮蔽効果は、S>30dBであれば有効、
更にS>60dBであれば優良とみなされる。規制対象
となる電磁波の周波数は一般に10kHz〜1000M
Hzの範囲とされるので、100nm以下の膜厚で良好
な電磁波遮蔽効果を得るには、透明導電膜1の体積固有
抵抗値(ρ)を103 Ω・cm以下とすることが望まし
い。この値は、透明導電層中の金属含有量を10重量%
以上とすることによって達成することができる。
【0037】前記の透明導電層は、紫外線照射、赤外線
照射、マイクロウエーブ照射、エックス線照射、ガンマ
線照射などのエネルギー照射により、透明導電層中の金
属に特有の光吸収を抑制し、その色相を調整することも
できる。
【0038】次に、本発明の低反射透明導電膜について
説明する。この低反射透明導電膜にあっては、前記の透
明導電層の上層および/または下層に、この透明導電層
の屈折率とは異なる屈折率を有する透明な反射防止層が
1層以上形成される。この反射防止層は、膜の界面にお
ける外光反射を干渉効果によって除去または軽減するた
めに用いられるものである。
【0039】この目的に用いられる反射防止層は、例え
ば図1に示す実施形態においては、透明導電層4の上層
に反射防止層5として1層形成されているが、本発明の
低反射透明導電膜の層構成はこれに限定されるものでは
ない。反射防止層は、透明導電層4の下層(フェースパ
ネル2と透明導電層4との間)に形成されていてもよ
く、また上層と下層の双方に形成されていてもよい。
【0040】一般に、透明導電層4の上層に形成される
反射防止層は、その屈折率を透明導電層4の屈折率より
小さくし、透明導電層4の下層に形成される反射防止層
は、その屈折率を透明導電層4のそれより大きくするこ
とによって有効な反射防止効果が得られる。またこの反
射防止層は、必ずしも1層に限定されるものではなく、
多層に形成されていてもよく、例えば透明導電層4も含
めて最下層から最上層に向けて順次に屈折率が低下する
複数の薄膜層が形成されるように構成してもよい。
【0041】一般に、多層薄膜における界面反射防止能
は、薄膜の屈折率と膜厚、および積層薄膜数により決定
されるため、本発明の低反射透明導電膜においても、積
層膜数を考慮して透明導電膜、反射防止層の厚みを適宜
設計することにより、効果的な反射防止効果を得ること
ができる。
【0042】反射防止層は、単に多層薄膜における界面
反射を防止するのみならず、表示装置のフェースパネル
に用いたとき本発明の低反射透明導電膜を外力から保護
する効果も期待されるため、実用上十分な強度を有しか
つ屈折率が透明導電層より低い反射防止層を透明導電層
の上層に設けることが好ましい。これによって、陰極線
管、プラズマ発光表示装置、液晶表示装置、タッチパネ
ルなどに用いることができる実用的な本発明の低反射透
明導電膜が得られる。
【0043】前記の低屈折率反射防止層を形成する塗布
材としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、
エポキシ樹脂、ブチラール樹脂などの熱可塑性、熱硬化
性、または光・電子線硬化性樹脂;ケイ素、アルミニウ
ム、チタン、ジルコニウムなどの金属アルコキシドの加
水分解物;シリコーンモノマーまたはシリコーンオリゴ
マーなどを挙げることができ、これらは単独で、または
混合して用いることができる。
【0044】この反射防止層はまた、透明導電層4の反
射防止と保護とを兼ねて、表面硬度が高く、屈折率が比
較的低いSiO2 膜からなるハードコート層として形成
することもできる。この反射防止性ハードコート層を形
成することができる物質の例として、例えば下式 M(OR)m n において、MがSi、TiまたはZrであり、RがC1
〜C4 のアルキル基であり、mが1〜4の整数であり、
nが1〜3の整数であり、かつm+nが4である化合
物、またはその部分加水分解物の1種またはそれ以上の
混合物を挙げることができる。この化合物の例として
は、例えばテトラエトキシシラン(Si(OC
254 )が被膜形成性、透明性、膜強度および反射防
止性能の点から好適に用いられる。
【0045】反射防止層は、前記の透明導電層4と異な
る屈折率に設定できるのであれば、前記の反射防止層を
形成する各種樹脂、金属酸化物、複合酸化物、または窒
化物など、または焼付けによってこれらを生成すること
ができる前駆体などを含んでいてもよい。また、低反射
透明導電膜の透過画像の色相やコントラストを調整する
ために着色材を含んでいてもよい。
【0046】反射防止層の形成は、透明導電層の形成に
用いた方法と同様に、前記の成分を含む塗布液(反射防
止塗料)を所定の面に均一に塗布して成膜する方法によ
って行うことができる。塗布は、スピンコート、ロール
コート、ナイフコート、バーコート、スプレーコート、
メニスカスコート、ディップコート、グラビア印刷法な
どによることができるが、特にスピンコートが好まし
い。塗布後は塗膜を乾燥し、好ましくは焼き付けまたは
光・電子線照射することによって強固な膜が形成され
る。
【0047】本発明の低反射透明導電膜は、その最上層
に、凹凸を有する低屈折率透明膜が形成されていてもよ
い。この凹凸を有する低屈折率透明膜は、低反射透明導
電膜の層間の外光反射を防止すると共に、表面反射光を
散乱させ、フェースパネル面に防眩性を与える効果があ
る。
【0048】前記の透明導電膜と反射防止層と、好まし
くは最上層の凹凸低屈折率透明膜とを有する本発明の低
反射透明導電膜がフェースパネルの前面に形成された本
発明の表示装置は、フェースパネルの帯電が防止されて
いるので画像表示面に埃などが付着せず、電磁波が遮蔽
されるので各種の電磁波障害が防止され、しかも従来の
電磁波遮蔽膜に比べて光透過性に優れ、従って画像が明
るく、反射が抑制され、従って視認性が改善され、反射
光の色むらが低減され、従ってフェースパネルの外観が
改善される。
【0049】本発明の表示装置は、海上輸送時の海水や
オペレーターの汗などからもたらされる食塩分などのハ
ロゲン塩や、温泉地などにおける硫化水素ガス、更に大
気中のSOx ガス、酸性雨などの酸性液体、紫外線照射
などにより発生するオゾンなどの酸化性ガスなどに対す
る耐性が高く、これらの劣化因子を含む環境下に置かれ
ても、長期にわたって帯電防止性、電磁波遮蔽性、反射
防止性、色相、膜強度などの初期性能を維持することが
できる。
【0050】本発明の透明導電膜形成用塗料または低反
射透明導電膜は、例えば陰極線管、プラズマディスプレ
イ、液晶表示装置、タッチパネル、電光表示装置など各
種表示装置のフェースパネルに加えて、自動車・建物な
どの窓、電子レンジの覗き窓などにも有効に適用するこ
とができる。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。 (銀微粒子の調製)クエン酸ナトリウム二水和物(50
g)を溶解させた水溶液(1500g)に、クエン酸銀
(26.2g)を添加して懸濁液となし、5℃に保持し
た状態で、硫酸第一鉄7水和物(150g)を溶解した
水溶液(900g)を、約5分間を要して加え、コロイ
ド状の銀微粒子を生成させた。この分散液を限外濾過方
式の脱塩装置に通し、不純物イオンを除去し、濃縮して
銀固形分を3重量%含むコロイド状銀微粒子分散液を作
成した。このコロイド状銀微粒子分散液を「試料1」と
称する。
【0052】試料1における銀微粒子の粒径は、透過型
電子顕微鏡による観察で、一次粒径が2nm〜20nm
であった。また、上記の試料1を乾燥して得た銀微粒子
の粉体電気抵抗は7×10-5Ωcmであった。
【0053】(被覆銀微粒子の調製)チオ硫酸ナトリウ
ム5水和物(6.65g)を溶解した水溶液(1000
g)を作成し、この水溶液に、前記の試料1に含まれる
銀に対し、重量比でS23/Ag=0.2となるように
試料1(500g)を攪拌しながら混合し、不純物イオ
ンを吸引濾過方式の脱塩装置で除去し、表面がチオ硫酸
銀で被覆された銀微粒子(被覆銀微粒子)を含むスラリ
ーを調製した。このスラリーの固形分含量は25重量%
であった。このスラリーを「試料2」と称する。
【0054】試料2における被覆銀微粒子の粒径は、透
過型電子顕微鏡による観察で、一次粒径が2nm〜20
nmであり、これは試料1の銀微粒子と同等のレベルで
あった。また、上記の試料2を乾燥して得た被覆銀微粒
子の粉体電気抵抗は8×10 -5Ωcmであり、試料1の
銀微粒子と同等レベルの導電性を示した。
【0055】前記の被覆銀微粒子の粉末について、それ
ぞれ5重量%NaCl溶液、5重量%Na2S溶液、5
重量%H22 溶液、0.1N H2SO4 溶液に10分
間浸漬した後、取り出して水洗濾過乾燥した後の粉末に
ついてX線回折により生成物の確認を行ったところ、金
属銀とチオ硫酸銀以外の生成物の存在は認められなかっ
た。
【0056】(実施例1) (1)透明導電層形成用塗料の調製 試料2 2.2g エタノールアミン 3g 水 64.8g イソプロピルアルコール 20g ブチルセロソルブ 10g (「ブチルセロソルブ」はエチレングリコールモノブチルエーテルの商品名) 上記の成分を配合し、得られた混合液を超音波分散機
(セントラル科学貿易社製「ソニファイヤー450」)
で分散し、透明導電層形成用塗料(以下、「塗料−
a」と記す)を調製した。
【0057】(2)低屈折率反射防止層形成用塗料の調
テトラエトキシシラン(2.4g)と0.1N硝酸
(0.8g)とをエチルアルコール(98.4g)に混
合し、40℃に2時間保持した後、冷却して低屈折率反
射防止層形成用塗料(以下、「塗料−b」と記す)を
調製した。
【0058】(3)低反射透明導電膜付き透明板の作成 ソーダライムガラス基板上に、前記の塗料−aを、ス
ピンコーターを用いて回転数150rpmで塗布し、ド
ライヤーで乾燥させた後、引き続き塗料−bを、スピ
ンコーターを用いて回転数150rpmで塗布し、15
0℃の乾燥器中で1時間加熱処理を行い実施例1の低反
射透明導電膜付き透明板(以下、「透明板」と記す)
を作成した。
【0059】(4)低反射透明導電膜付き透明板の評価 透明板について、下記の試験条件で耐性試験を行っ
た。 試験A:5重量%NaCl溶液に48時間浸漬 試験B:5重量%Na2S溶液に48時間浸漬 試験C:5重量%H22 溶液に48時間浸漬 試験D:0.1N H2SO4 溶液に48時間浸漬 試験E:500Wブラックライト照射500時間
【0060】それぞれの耐性試験前後の表面抵抗(R
s)、全光線透過率(T)、ヘーズ(H)および最低反
射率(Ref)を下記の装置または方法で測定し、また
外観を目視により評価した。 表面抵抗(RsΩ/□):三菱油化社製「ロレスタAP」(4端針法) 全光線透過率(T%) :日本分光社製「U-Best 50 」 ヘーズ(H%) :東京電色社製「Automatic Hazemeter HIII DP」 最低反射率(Ref%):EG&G GAMMASCIENTIFIC社製 MODEL C-11 結果を表1〜表5に示す。
【0061】(実施例2)実施例1で用いた塗料−a
を、基板温度60℃に設定されたソーダライムガラス基
板上に、2流体ノズル方式のスプレー装置にて、液量8
ml/分でスプレー塗布し、ドライヤーで乾燥させた
後、引き続き実施例1で用いた塗料−bを、スピンコ
ーターを用いて回転数150rpmで塗布し、150℃
の乾燥器中で1時間加熱処理を行い実施例2の低反射透
明導電膜付き透明板(以下、「透明板」と記す)を作
成した。透明板について、実施例1と同様な耐性試験
の後、各特性を測定、評価した。結果を表1〜表5に示
す。
【0062】(実施例3) (1)透明導電層形成用塗料の調製 試料2 3.2g ホルムアミド 2g 水 44.8g エチルアルコール 50g アニオン界面活性剤 微量 上記の成分を配合し、得られた混合液を超音波分散機で
分散し、透明導電層形成用塗料(以下、「塗料−a」
と記す)を調製した。
【0063】(2)低反射透明導電膜付き透明板の作成
と評価 実施例2で用いた塗料−aの代わりに上記の塗料−
aを用いた以外は実施例2と同様に処理して実施例3の
低反射透明導電膜付き透明板(以下、「透明板」と記
す)を作成した。透明板について、実施例1と同様な
耐性試験の後、各特性を測定、評価した。結果を表1〜
表5に示す。
【0064】(実施例4) (1)透明導電層形成用塗料の調製 試料2 1.6g ホルムアミド 2g 水 46.8g エチルアルコール 50g アニオン界面活性剤 微量 上記の成分を配合し、得られた混合液を超音波分散機で
分散し、透明導電層形成用塗料(以下、「塗料−a」
と記す)を調製した。
【0065】(2)低反射透明導電膜付き透明板の作成
と評価 実施例2で用いた塗料−aの代わりに上記の塗料−
aを用いた以外は実施例2と同様に処理して実施例4の
低反射透明導電膜付き透明板(以下、「透明板」と記
す)を作成した。透明板について、実施例1と同様な
耐性試験の後、各特性を測定、評価した。結果を表1〜
表5に示す。
【0066】(実施例5) (1)透明導電層形成用塗料の調製 試料2 2.4g ホルムアミド 2g 水 45.6g エチルアルコール 50g フッ素系界面活性剤 微量 上記の成分を配合し、得られた混合液を超音波分散機で
分散し、透明導電層形成用塗料(以下、「塗料−a」
と記す)を調製した。
【0067】(2)低屈折率反射防止層形成用塗料の調
ウレタンアクリル系紫外線硬化樹脂(日本ユピカー社製
「AC5804」樹脂固形分75重量%)(0.8g)
に、希釈剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(30
g)、エチレングリコールモノメチルエーテル(69.
2g)を加え、低屈折率反射防止層形成用塗料(以下、
「塗料−b」と記す)を調製した。
【0068】(3)低反射透明導電膜付き透明板の作成
と評価 前記の塗料−aを、基板温度40℃に設定されたアク
リル基板上に、2流体ノズル方式のスプレー装置にて、
液量8ml/分でスプレー塗布し、ドライヤーで乾燥さ
せた後、引き続き前記の塗料−bを、スピンコーター
を用いて回転数150rpmで塗布し、次いで1000
Wの紫外線照射装置で10秒間紫外線照射を施し、実施
例5の低反射透明導電膜付き透明板(以下、「透明板
」と記す)を作成した。透明板について、実施例1
と同様な耐性試験の後、各特性を測定、評価した。結果
を表1〜表5に示す。
【0069】(比較例1) (1)透明導電層形成用塗料の調製 試料1 18.3g エタノールアミン 3g 水 48.7g イソプロピルアルコール 20g ブチルセロソルブ 10g 上記の成分を配合し、得られた混合液を超音波分散機で
分散し、透明導電層形成用塗料(以下、「塗料比−
a」と記す)を調製した。
【0070】(2)低反射透明導電膜付き透明板の作成
と評価 実施例1で用いた塗料−aの代わりに、上記の塗料比
−aを用いた以外は実施例1と同様に処理して比較例
1の低反射透明導電膜付き透明板(以下、「透明板比−
」と記す)を作成した。透明板比−について、実施
例1と同様な耐性試験の後、各特性を測定、評価した。
結果を表1〜表5に示す。
【0071】(比較例2) (1)透明導電層形成用塗料の調製 試料1 26.7g ホルムアミド 2g 水 21.3g エチルアルコール 50g アニオン界面活性剤 微量 上記の成分を配合し、得られた混合液を超音波分散機で
分散し、透明導電層形成用塗料(以下、「塗料比−
a」と記す)を調製した。
【0072】(2)低反射透明導電膜付き透明板の作成
と評価 実施例2で用いた塗料−aの代わりに、上記の塗料比
−aを用いた以外は実施例2と同様に処理して比較例
2の低反射透明導電膜付き透明板(以下、「透明板比−
」と記す)を作成した。透明板比−について、実施
例1と同様な耐性試験の後、各特性を測定、評価した。
結果を表1〜表5に示す。
【0073】(比較例3) (1)透明導電層形成用塗料の調製 試料1 20g ホルムアミド 2g 水 28g エチルアルコール 50g フッ素系界面活性剤 微量 上記の成分を配合し、得られた混合液を超音波分散機で
分散し、透明導電層形成用塗料(以下、「塗料比−
a」と記す)を調製した。
【0074】(2)低反射透明導電膜付き透明板の作成
と評価 実施例5で用いた塗料−aの代わりに上記の塗料比
−aを用いた以外は実施例5と同様に処理して比較例3
の低反射透明導電膜付き透明板(以下、「透明板比−
」と記す)を作成した。透明板比−について、実施
例1と同様な耐性試験の後、各特性を測定、評価した。
結果を表1〜表5に示す。
【0075】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0076】上記の結果、被覆銀微粒子を用いた本発明
の実施例1〜実施例5の透明板は、耐性試験前にいずれ
も優れた表面抵抗(Rs)、全光線透過率(T)、ヘー
ズ(H)および最低反射率(Ref)の特性値を有する
と共に、耐性試験後においても、試験A〜試験Eを通じ
ていずれも特性の劣化が認められず、また外観上も膜剥
離などの変化が認められなかった。この結果から、被覆
銀微粒子を用いた本発明の表示装置は、劣化因子が存在
する環境下にも長期にわたって実用的な特性を維持し得
るものであることがわかる。
【0077】これに対して被覆しない銀微粒子を用いた
比較例1〜比較例3の透明板は、耐性試験前にはいずれ
の特性項目にも優れた値を示したが、耐性試験後におい
ては、いずれも表面抵抗(Rs)が著しく増大したばか
りでなく、特に試験A(5重量%NaCl溶液に48時
間浸漬)、試験B(5重量%Na2S溶液に48時間浸
漬)、および試験D(0.1N H2SO4溶液に48時
間浸漬)においては膜剥離が起こって特性の測定も不可
能となった。
【0078】
【発明の効果】請求項1において本発明の透明導電膜形
成用塗料は、金属とイオウ元素とを含む化合物を用いて
表面処理されたコロイド状金属微粒子を少なくとも含有
するものであるので、これを用いて形成した透明導電膜
は、優れた耐塩水性、耐酸性、耐酸化性、耐紫外線性な
どの耐環境性を有するものとなり、この結果、劣化因子
が存在する環境下にも長期にわたってフェースパネルの
透明性、ヘーズ、帯電防止性、電磁波遮蔽性、色相など
の初期性能を維持することができる。
【0079】請求項3において本発明の低反射透明導電
膜は、前記の透明導電膜形成用塗料により形成された透
明導電層の上層および/または下層に、該透明導電層の
屈折率とは異なる屈折率を有する透明な反射防止層が1
層以上形成されてなるものであるので、この低反射透明
導電膜がフェースパネルに施された本発明の表示装置
は、劣化因子が存在する環境下にも長期にわたってフェ
ースパネルの透明性、ヘーズ、帯電防止性、電磁波遮蔽
性、色相、膜強度などの初期性能を維持するとともに、
外光反射が効果的に防止され、視認性の高い表示装置を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の低反射透明導電膜の一実施例を示す
部分断面図。
【符号の説明】
1……表示装置 2……フェースパネル 3……低反射透明導電膜 4……透明導電層 5……反射防止層 6……金属イオウ化合物 7……金属微粒子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属とイオウ元素とを含む化合物を用い
    て表面処理されたコロイド状金属微粒子を少なくとも含
    有することを特徴とする透明導電膜形成用塗料。
  2. 【請求項2】 前記化合物を構成する金属と前記コロイ
    ド状金属微粒子の金属とがともに銀であることを特徴と
    する請求項1に記載の透明導電膜形成用塗料。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の透明導
    電膜形成用塗料により形成された透明導電層の上層およ
    び/または下層に、該透明導電層の屈折率とは異なる屈
    折率を有する透明な反射防止層が1層以上形成されたこ
    とを特徴とする低反射透明導電膜。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の低反射透明導電膜がフ
    ェースパネルの前面に形成されたことを特徴とする表示
    装置。
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