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JPH11100396A - 脱毛症等治療剤 - Google Patents

脱毛症等治療剤

Info

Publication number
JPH11100396A
JPH11100396A JP21090098A JP21090098A JPH11100396A JP H11100396 A JPH11100396 A JP H11100396A JP 21090098 A JP21090098 A JP 21090098A JP 21090098 A JP21090098 A JP 21090098A JP H11100396 A JPH11100396 A JP H11100396A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
therapeutic agent
alopecia
compound
seborrhea
agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP21090098A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Kojima
孝一 小島
Takakazu Hamada
孝和 浜田
Shiro Yoshioka
史朗 吉岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sankyo Co Ltd filed Critical Sankyo Co Ltd
Priority to JP21090098A priority Critical patent/JPH11100396A/ja
Publication of JPH11100396A publication Critical patent/JPH11100396A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】脱毛症、女性多毛症又は脂漏症治療効果あるい
は前立腺癌の骨転移予防作用を有する新規な組成物 【解決手段】下記一般式(I)を有する化合物 【化1】 1 ,R2 :水素原子、水酸基、低級アルコキシ基

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱毛症、女性多毛
症又は脂漏症の優れた治療効果あるいは前立腺癌の骨転
移の優れた予防効果を有する新規な組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ジヒドロテストステロン(DHT)など
の男性ホルモンの過剰刺激により、アンドロゲン依存性
脱毛症(男性禿頭症など)、尋常性座瘡、脂漏、女性多
毛症、前立腺肥大症及び前立腺癌が引き起こされる。
【0003】このような男性ホルモンの過剰刺激による
症状を治す化合物としては、まずステロイド系抗男性ホ
ルモン剤(例えば、女性ホルモン、エストロジェン)が
発見された。しかし、これらはそれ自体がホルモン活性
を有しているので、好ましくない作用、例えば女性化作
用を有する。
【0004】一方、非ステロイド系抗男性ホルモン剤も
開発されている。これらの化合物はホルモン作用はない
ものの、天然男性ホルモンと受容体で競合するので、女
性体内の男子胎児または男性を女性化する作用、あるい
は睾丸を過剰刺激するフィードバック機構を開始する等
の好ましくない作用を有する。
【0005】そこで、5α還元酵素がテストステロンに
作用してジヒドロテストステロン(DHT)が生成され
ることに鑑み、この酵素を阻害すれば上記副作用を伴わ
ず、男性ホルモンの過剰刺激による症状を治すことが期
待できる。
【0006】さて、かかる人の5α還元酵素には2つの
アイソザイムがある。タイプ1酵素は顔および皮膚の皮
脂腺に存在し、タイプ2酵素は前立腺に分布しているこ
とが分かっている。
【0007】タイプ1酵素は毛包に存在するので、その
酵素を強く阻害すれば男性禿頭症が改善されると期待さ
れた。しかしながら男性禿頭症のモデル動物であるサル
を用いてタイプ1酵素選択的阻害剤であるMK386の
効果を評価したが、血中のDHT濃度は30−40%減
少していたものの有効性が認められなかった(J. Inves
t. Dermatol., 104, 658 (1995) )。
【0008】
【化3】 一方、タイプ2酵素選択的阻害剤であるフィナステリド
は、同モデルにおける1 mg/kg用量で血中のDHT
濃度は60−70%減少し、予想に反し、有効性が認め
られた(J. Clin. Endocrinol. Metabol., 79, 991 (19
94) )。
【0009】実際、フィナステリドは臨床試験で人禿頭
症に対する効果が確認されている。そのメカニズムは毛
包の縮小に関与している因子を阻害した結果であり、こ
れは血中のDHT濃度に依存していると考えられてい
る。更に、最近の臨床試験の結果では血中のDHTを低
下させる作用の強さは主としてタイプ2酵素阻害作用の
強さによるが、タイプ1酵素の阻害作用を併有していた
方がさらに良いことが判ってきた(J. Clin. Endocrino
l. Metabol., 81, 2942-2947 (1996) )。
【0010】同様に、女性多毛症、脂漏症の治療の場合
も、タイプ2酵素阻害作用だけでなくタイプ1酵素の阻
害作用も併有する化合物の方が優れた治療薬になると考
えられる。したがって、より有効な脱毛症、女性多毛
症、脂漏症の治療薬の探索をするために、フィナステリ
ドより更に強くタイプ2酵素を阻害し、かつタイプ1酵
素をも強く阻害する化合物が必要とされている。
【0011】また、前立腺にはタイプ2酵素が分布して
おり、強いタイプ2酵素阻害作用を持つ化合物は前立腺
癌の治療に有効であるが、前立腺癌の発達及び骨への転
移の過程では、タイプ1酵素が活性な酵素形であること
も最近わかってきた(特開平8−277220号公
報)。よって、上記のような両タイプ阻害型化合物は、
これらの予防及び治療にも効果が期待される。
【0012】なお、本発明の化合物(I)は強い前立腺
酵素の阻害活性を持つことが発表されている(特開平5
−32693号公報)。しかしながら前立腺酵素の阻害
活性からはタイプ2酵素の阻害作用は予想できるが、前
立腺にはタイプ1酵素は分布していないのでタイプ1酵
素の阻害活性は予想することはできない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、テスト
ステロン5α還元酵素阻害活性を有する誘導体の合成と
その薬理活性について永年に亘り鋭意研究を行なった結
果、特異な構造を有する化合物が5α還元酵素のタイプ
2酵素を強く阻害し、その上タイプ1酵素をも強く阻害
するので、既知のタイプ2選択的5α還元酵素阻害剤で
は得られなかった強い血中DHT低下作用を示すこと、
また脱毛症、女性多毛症又は脂漏症の優れた治療効果、
あるいは前立腺癌の骨転移の優れた予防作用を有するこ
とを新たに見出し、本発明を完成した。
【0014】本発明の目的は、脱毛症、女性多毛症又は
脂漏症の優れた治療効果あるいは前立腺癌の骨転移の優
れた予防効果を有する新規な組成物を提供することであ
り、本発明の他の目的は、脱毛症、女性多毛症又は脂漏
症治療剤あるいは前立腺癌の骨転移予防剤を製造するた
めに上記化合物を使用することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の新規な脱毛症、
女性多毛症又は脂漏症治療剤あるいは前立腺癌の骨転移
予防剤は、下記一般式(I)で表わされる化合物、その
薬理上許容される塩又はその他の誘導体を有効成分とし
て含有し、好適には、N−[1−メチル−1−(4−メ
トキシフェニル)エチル]−3−オキソ−4−アザ−5
α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド
を有効成分として含有している。
【0016】又、本発明の新規な使用方法は、下記一般
式(I)で表わされる化合物、その薬理上許容される塩
又はその他の誘導体を脱毛症、女性多毛症又は脂漏症治
療剤あるいは前立腺癌の骨転移予防剤を製造するために
使用することであり、好適には、N−[1−メチル−1
−(4−メトキシフェニル)エチル]−3−オキソ−4
−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カル
ボキサミドを脱毛症、女性多毛症又は脂漏症治療剤ある
いは前立腺癌の骨転移予防剤を製造するために使用する
ことである。
【0017】
【化4】 式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、水素原子、
水酸基又は低級アルコキシ基を示す。
【0018】上記一般式(I)において、「低級アルコ
キシ基」とは、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロ
ポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキ
シ、s−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、
イソペントキシ、2−メチルブトキシ、ネオペントキ
シ、n−ヘキシルオキシ、4−メチルペントキシ、3−
メチルペントキシ、2−メチルペントキシ、3,3−ジ
メチルブトキシ、2,2−ジメチルブトキシ、1,1−
ジメチルブトキシ、1,2−ジメチルブトキシ、1,3
−ジメチルブトキシ、2,3−ジメチルブトキシのよう
な炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基を示
し、好適には炭素数1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルコ
キシ基であり、更に好適には、メトキシ基である。
【0019】「脱毛症」とは、男性禿頭症及び女性の頭
部の脱毛症を意味する。
【0020】「その薬理上許容される塩」とは、本発明
の化合物(I)は、塩にすることができるので、その塩
をいい、そのような塩としては、好適にはナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、
カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金
属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩等の金属塩を挙げ
ることができる。
【0021】又、本発明の化合物(I)は、大気中に放
置しておくことにより、水分を吸収し、吸着水が付いた
り、水和物となる場合があり、そのような物も本発明に
包含される。
【0022】
【発明の実施の形態】本願発明の化合物(I)は、次に
示す方法によって製造することができる。 [A法]
【0023】
【化5】 上記式中、R1 及びR2 は、前述したものと同意義を示
す。
【0024】A法は、カルボン酸とアミンを縮合させ、
目的化合物(I)を製造する方法である。
【0025】第A1工程は化合物(II)又はその反応性誘
導体と化合物(III) を用いて化合物(I)を製造する工
程で、ペプチド合成法における常法、例えばアジド法、
活性エステル法、混合酸無水物法又は縮合法によって行
われる。
【0026】上記方法において、アジド法は、化合物(I
I)又はそのエステル体をヒドラジンと、不活性溶剤(例
えば、ジメチルホルムアミド)中、室温付近で反応させ
ることによって製造されるアミノ酸ヒドラジドを亜硝酸
化合物と反応させ、アジド化合物に変換した後、アミン
化合物(III) と処理することにより行われる。
【0027】使用される亜硝酸化合物としては、例えば
亜硝酸ナトリウムのようなアルカリ金属亜硝酸塩又は亜
硝酸イソアミルのような亜硝酸アルキルをあげることが
できる。
【0028】反応は、好適には不活性溶剤中で行われ、
使用される溶剤としては、例えばジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチル
スルホキシドのようなスルホキシド類、N−メチルピロ
リドンのようなピロリドン類をあげることができる。
又、本方法の2つの工程は、通常1つの反応液中で行わ
れ、反応温度は、前段が−50℃乃至0℃であり、後段
が−10℃乃至10℃であり又、反応に要する時間は、
前段が5分間乃至1時間であり、後段が10時間乃至5
日間である。
【0029】活性エステル法は、化合物(II)を活性エス
テル化剤と反応させ、活性エステルを製造した後、アミ
ン化合物(III) と反応させることによって行われる。
【0030】両反応は、好適には、不活性溶剤中で行わ
れ、使用される溶剤としては、例えば、メチレンクロリ
ド、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類、エー
テル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド
類、アセトニトリルのようなニトリル類をあげることが
できる。
【0031】使用される活性エステル化剤としては、例
えば、N−ヒドロキシサクシンイミド、1−ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネ
ン−2,3−ジカルボキシイミドのようなN−ヒドロキ
シ化合物又はジピリジルジスルフィドのようなジスルフ
ィド化合物をあげることができ、活性エステル化反応
は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイ
ミダゾールまたはトリフェニルホスフィンのような縮合
剤の存在下に好適に行われる。
【0032】反応温度は、活性エステル化反応では、−
10℃乃至100℃であり、活性エステル化合物とアミ
ン(III) との反応では室温付近であり、反応に要する時
間は両反応ともに30分乃至80時間である。
【0033】活性エステルとアミンの反応では、4−ジ
メチルアミノピリジン等を加えることも出来る。
【0034】混合酸無水物法は、化合物(II)の混合酸無
水物を製造した後、アミンと反応させることにより行わ
れる。
【0035】混合酸無水物を製造する反応は、不活性溶
剤(例えば、前記のハロゲン化炭化水素類、アミド類、
エーテル類)中、混合酸無水物化剤、例えば、クロル炭
酸エチル、クロル炭酸イソブチルのようなハロゲン化炭
酸低級(C1−C4 )アルキル、ピバロイルクロリドの
ような低級アルカノイルハライド、ジエチルシアノリン
酸、ジフェニルシアノリン酸のような低級アルキル若し
くはジアリールシアノリン酸又は2,4,6−トリイソ
プロピルベンゼンスルホニルクロリド、パラトルエンス
ルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリドのような
ハロゲン化スルホニル類等と化合物(II)を反応させるこ
とにより達成される。
【0036】反応は、好適には、トリエチルアミン、N
−メチルモルホリンのような有機アミンの存在下に行わ
れ、反応温度は、−10℃乃至50℃であり、反応に要
する時間は30分間乃至20時間である。
【0037】混合酸無水物とアミン(III) の反応は、好
適には不活性溶剤(例えば、前記のハロゲン化炭化水
素、アミド類、エーテル類)中、前記の有機アミンの存
在下に行われ、反応温度は0℃乃至80℃であり、反応
に要する時間は1時間乃至48時間である。
【0038】また、本反応は、混合酸無水物を単離する
ことなく化合物(II)、化合物(III)及び混合酸無水物化
剤の共存下にも行われる。
【0039】縮合法は、化合物(II)とアミン(III) をジ
シクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミジゾ
ール、1−メチル−2−クロロ−ピリジニウムヨージド
−トリエチルアミンのような縮合剤の存在下、直接反応
することによって行われる。本反応は前記の活性エステ
ルを製造する反応と同様に行われる。
【0040】R1、R2 に保護された水酸基が存在する
場合には、常法に従って保護基を除去することができ
る。
【0041】なお、原料化合物(II)又はその活性エ
ステル体は、公知であるか公知の方法に従って製造され
る[例えば、J. Med, Chem.,27, 1690(1984);J. Med. C
hem., 29, 2298(1986)]。
【0042】又、化合物(III)は、公知であるか公
知の方法(例えば、Synthesis, 593 (1976);J.Org.Che
m.,36, 305(1971);Angew.Chem.,82, 138(1970);Synthes
is, 24(1978);Synthetic Commun.,18, 777(1988);Snyth
etic Commun.,18, 783(1988);Organic Reaction, 3, 33
7(1946);Org.Synthesis,51, 48(1971);Tetrahedron,30,
2151(1974);J.Org.Chem.,37,188(1972)]に従って製造
され、例えば、本願発明の原料化合物である、一般式
2N−C(Me)(Me)−Ph(R1)(R2)を有
する化合物は、
【0043】
【化6】 (上記式中、R1 2 は、前記と同意義を示し、Me
は、メチル基を、Phは、フェニル基を示す。) 上式のように、グリニャール反応、水酸基のアジド化反
応、及び還元反応により、シンセシス(Synthesis) 、第
24頁(1978年)に記載の方法に準じて製造され
る。
【0044】本発明の化合物(I)の投与形態として
は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくは
シロップ剤等による経口投与及びエタノール溶液、クレ
ンジングフォーム、クレンジングクリーム、スキンジェ
ル、スキンローション、シャンプージェル、クリームシ
ャンプー等による局所投与を挙げることができる。
【0045】経口投与における製剤は、賦形剤(例え
ば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニット、ソルビットのよ
うな糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデン
プン、α澱粉、デキストリン、カルボキシメチルデンプ
ンのような澱粉誘導体;結晶セルロース、低置換度ヒド
ロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチ
ルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;ア
ラビアゴム;デキストラン;プルランのような有機系賦
形剤:及び、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メ
タ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;
燐酸カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのよう
な炭酸塩;硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦
形剤を挙げることができる。)、滑沢剤(例えば、ステ
アリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグ
ネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイ
ドシリカ;ビーガム、ゲイ蝋のようなワックス類;硼
酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリ
コール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;DLロイシ
ン;脂肪酸ナトリウム塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラ
ウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水
珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;及び、上記澱粉誘導
体を挙げることができる。)、結合剤(例えば、ポリビ
ニルピロリドン、マクロゴール、及び、前記賦形剤と同
様の化合物を挙げることができる。)、崩壊剤(例え
ば、前記賦形剤と同様の化合物、及び、クロスカルメロ
ースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウ
ム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾された
デンプン・セルロース類を挙げることができる。)、安
定剤(メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラ
オキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジ
ルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアル
コール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾ
ールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢
酸;及び、ソルビン酸を挙げることができる。)、矯味
矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香
料等を挙げることができる。)、希釈剤等の添加剤を用
いて周知の方法で製造される。
【0046】局所投与における製剤は、懸濁化剤(例え
ば、アラビアゴム、トラガント、メチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギ
ン酸ナトリウム、ベントナイトを挙げることができ
る。)、乳化剤(例えば、トリエタノールアミン、ラウ
リル硫酸ナトリウム、セスキオレイン酸ソルビタン、ポ
リソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40を挙
げることができる。)、湿潤剤(例えば、ソルビトー
ル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコール、グリセリンを挙げることができ
る。)、保存剤(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、
パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピ
ル、パラオキシ安息香酸ブチルを挙げることができ
る。)、溶剤(例えば、水;エタノール、イソプロピル
アルコール、プロピレングリコール、セタノール、イソ
ステアリルアルコールのようなアルコール類;天然油
脂、ロウ類、流動パラフィンのような炭化水素類;ステ
アリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸
のような脂肪酸類;ミリスチン酸イソプロピルのような
エステル類を挙げることができる。)等の当業界でよく
知られた様々な基剤又はそれらの混合基剤に、例示した
化合物等を添加することにより製造される。
【0047】経口投与及び局所投与における化合物
(I)の使用量は、症状、年齢等により異なるが、例え
ば、1回当り、下限として、0.001mg/kg 体重(好
ましくは、0.01mg/kg 体重)、上限として、10mg
/kg 体重(好ましくは、0.5mg/kg 体重)を1日当り
1乃至数回症状に応じて投与することが望ましい。
【0048】以下に、試験例、参考例及び製剤例をあげ
て本発明を更に具体的に説明する。
【0049】
【試験例1】5α還元酵素タイプ1およびタイプ2阻害活性試験法 (1)組換えヒト5α還元酵素タイプ1およびタイプ2
の作製 a)ヒト5α還元酵素タイプ1およびタイプ2cDNAのク
ローニング ヒト5α還元酵素タイプ1およびタイプ2の全翻訳領域
をポリメラーゼ連鎖反応(PCR) 法によりクローニングす
るために、既報(Stefan. A et al: Proc. Natl.Acad. S
ci. USA, 87, 3640-3644(1990)、Stefan. A et al: Nat
ure, 354, 159-161(1991) 参照) のヒト5α還元酵素タ
イプ1およびタイプ2の塩基配列を基に、配列番号1、
2および3、4に示すプライマーをオリゴ1000DNA シン
セサイザー(Oligo 1000 DNA synthesizer :ベックマン
社製(BECKMAN Co., Ltd. )) を用いて合成した。 タイプ1 センス・プライマー:5'-CCAGCCCTGGCGATGGC
AAC-3'(配列番号1) タイプ1 アンチセンス・プライマー:5'-CAGAGCTTGAA
ATTCTGACCTGTTA-3'(配列番号2) タイプ2 センス・プライマー:5'-ACGGCGCGATGCAGGTT
CAGTG-3'(配列番号3) タイプ2 アンチセンス・プライマー:5'-AGCATTGTGGG
AGCTCTGCTCCT-3'(配列番号4) PCR 法の鋳型としてはHuman Liver QUICK-CloneTM cDNA
およびHuman ProstateQUICK-CloneTM cDNA (クロンテ
ック社製:CLONTECH Laboratories, Inc. )を用いた。
cDNAを1 μl 、付属のPCR 緩衝液を5 μl 、10 mM dNTP
混合液を1 μl、上記センスおよびアンチセンス・プラ
イマー各20μM を1 μl 、TaKaRa Taq polymerase 5 単
位/ml を1 μl 、蒸留水を40μl 用い、反応用量を50μ
l として、PCR を行った。PCR の条件は94℃、20秒間、
55℃、1 分間、72℃、1 分間の反応を25回繰り返し行
い、最後に4 ℃で保存した。PCR 反応液約5 μl につい
て0.8 %アガロースゲル電気泳動を行ったところ、上記
文献から予測される大きさ(タイプ1:1021bp、タイプ
2:812bp )に相当するバンドが確認されたので、残り
のPCR 反応液について5 %ポリアクリルアミドゲル電気
泳動を行い、分離精製した。精製したcDNA断片をTA Clo
ningTM Kit(インビトロジェン社製:Invitrogen Corpor
ation) を用いてサブクローニングした。サブクローニ
ングしたタイプ1およびタイプ2 cDNAについて、全塩基
配列の解析をダイ ターミネーター(dyeterminator)法
で行い、既報の配列と同じであることを確認した。塩基
配列を確認したタイプ1 およびタイプ2cDNA は発現ベク
ターに組み込んで発現させ使用した。 b)ヒトタイプ1およびタイプ2発現プラスミドの調製 大腸菌DH5 株(supE44, hsdR17, recA1, endA1, gyrA9
6, thi-1, relA1)(購入先:東洋紡績株式会社)をヒ
トタイプ1またはタイプ2発現プラスミド、pME18sH5R1
またはpME18sH5R2、を用いてTA CloningTM Kit添付文書
の方法で形質転換した。形質転換株の一次培養液約10μ
l を50μg/mlのアンピシリン(ギブコ社製:GIBCO BRL
)を含む 2×LB培地(20 g Bacto-Tryptone( ディフ
コ社製:DIFCO Labs.), 10 g Bacto-Yeast Extract(デ
ィフコ社製:DIFCO Labs.), 10 g 塩化ナトリウム, 2
g グルコース/1 L)50 ml に植菌し、37℃で約40時間培
養した。培養液を遠心分離(5000 rpm 、10分間) し、菌
体を回収した。回収した菌体からQIAGEN Plasmid Maxi
Kit(キアジェン社製:QIAGEN Inc.)を用いて、pME18sH5
R1またはpME18sH5R2を調製した。 c)ヒトタイプ1およびタイプ2蛋白質の発現と調製 10から20μg のpME18sH5R1またはpME18sH5R2を2 ×106
個/0.5 ml のCOS-1 細胞に、エレクトロポレーション法
(Gene PulserTM:バイオ・ ラッド社製(Bio-Rad Labor
atories)、960 μF 、200 Ω、300 V )により導入し
た。導入後、約48時間培養し細胞を回収した。回収した
細胞は氷冷下のバッファー(20 mM リン酸カリウム緩衝
液、pH 7.4、10% グリセロール、0.33M ショ糖、50μM
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドフォスフェート
還元体(NADPH) 、0.001 % フェニルメチルスルホニルフ
ルオリド(PMSF))中でポリトロン(POLYTRON、KINEMATI
CAGmbH )でホモゲナイズ(1000 rpm、30秒間)し、遠
心分離(10000 ×g 、1 時間)後、沈渣を再び、バッフ
ァーに懸濁し、-80 ℃に保存した。これを、ヒト5α還
元酵素タイプ1またはタイプ2として使用した。 (2)蛋白質量の測定 蛋白質量はBradford法(Bio-Rad, Bio-Rad Protein Ass
ay)にて測定した。標準品としてウシ ガンマグロブリ
ン(Sigma, bovine cohn fraction II)を使用した。 (3)5α還元酵素活性の測定 5α還元酵素活性は14Cテストステロン(Amersham)か
14C5αジヒドロテストステロンへの変換率を指標と
して測定した。化合物はジメチルスルホキシド(DMSO)
を用いて溶解および希釈し、試験管当り5 μl 分注し
た。なお、対照群にはDMSOのみを5 μl 分注した。これ
にリコンビナントヒト5α還元酵素タイプ1またはタイ
プ2を10〜25μg 含む酵素反応緩衝液(タイプ1; 1μ
14Cテストステロン、 1mMジチオスレイトール及び
0.5mM NADPHを含む40mMリン酸カリウム緩衝液 (pH 7.5)
、タイプ2; 1μM14Cテストステロン、 1mMジチオ
スレイトール及び 1mM NADPHを含む100mM トリス−クエ
ン酸緩衝液 (pH 5.5) )0.5mlを加え、37℃で15分間イ
ンキュベ−ションした。インキュベ−ション終了後、酢
酸エチル2ml(テストステロン、5α−ジヒドロテスト
ステロン、アンドロステンジオン各々10μg 含む)を加
えてよく攪拌し、酵素反応を停止するとともにステロイ
ド化合物を酢酸エチル相に抽出した。その後、遠心分離
(3000rpm,5分間)し酢酸エチル相と水相を分離し、酢
酸エチル相を別の試験管に移し窒素ガス噴霧下で蒸発乾
固した。試験管壁をジエチルエ−テル0.8ml で洗浄しス
テロイド化合物を試験管底に洗い落とし、再び蒸発乾固
後、酢酸エチル40μl 中にステロイド化合物を溶解し、
薄層クロマトプレ−ト(Whatman, LK6DF silica plate
)にスポットした。薄層クロマトプレ−トを酢酸エチ
ル:シクロヘキサン(1:1)混合液にて2度展開し、
各ステロイド分画を分離した。薄層クロマトプレ−ト上
に分離された各ステロイド分画の放射活性はバイオイメ
−ジアナライザー(富士写真フィルム(株))を用いて
測定した。なお、酵素阻害作用は50%阻害濃度(IC
50)を用い、タイプ1については表1に、タイプ2につ
いては、表2に示した。
【0050】IC50値の算出は以下のように行った。ま
ず対照群の変換率を100 %とし、酵素活性抑制率(100
−(検体添加時の変換率÷対照群の変換率)×100 )
(%)を求めた。化合物の希釈列を作成し、各濃度にお
ける抑制率を上記の方法により計算した。抑制率が、約
20%から約80%の範囲となった希釈濃度を用いて、
化合物の濃度のlog値をXとし、抑制率をYとして最
小二乗法により回帰曲線を計算した。得られた回帰曲線
から、50%抑制率となる化合物濃度を算出し、IC50
値とした。
【0051】
【表1】タイプ1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 化合物 IC50 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 化合物I 4.9x10-8M フィナステリド 7.0x10-7M −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0052】
【表2】タイプ2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 化合物 IC50 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 化合物I 3.2x10-9M フィナステリド 1.5x10-8M −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0053】
【試験例2】ヒトにおける血中ジヒドロテストステロン低下作用 ヒトに1−10mg/body の化合物I又は5mg/body のフ
ィナステリドを経口投与し、血中のジヒドロテストステ
ロン(DHT)濃度及びテストステロン(T)濃度を測
定した。投与前(pre) 及び経過時間後のそれらの比(DHT
/T) を計算し、(DHT/T)/(DHT/T)preを求め、表3に示し
た。(人数n=4〜6)
【0054】
【表3】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 10時間後 18時間後 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 化合物I(1mg) 0.518 0.525 化合物I(5mg) 0.411 0.376 化合物I(10mg) 0.279 0.284 フィナステリド(5mg) 0.553 0.461 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0055】
【試験例3】ヒト毛乳頭細胞を用いた試験 毛乳頭は毛包の中の小数の細胞塊であり、現在、毛の成
長の基部を形成する幹細胞と考えられている。この細胞
は5α還元酵素活性を持つことが示されている。そこで
この細胞の培養系を用いて5α還元酵素阻害剤の試験を
行なうことが可能である。毛乳頭細胞の単離及び培養は
Messenger, A. G.(The Culture of Dermal Papilla Ce
lls From Human Hair Follicles, Br. J. Dermatol., 1
10:685-989, 1984)とItami, S. ら(5a-Reductase Act
ivity In Cultured human DermalPapilla Cells From B
eard Compared With Reticular Dermal Fibroblasts,
J.Invest. Dermatol., 94:150-152, 1990)の方法に従
い行なう。髭毛乳頭細胞と二人の後頭部毛根を実験に使
用する。すべての実験は4から6代のサブカルチャー
後、コンフルエントの状態で行なう。コンフルエントに
なった細胞はリン酸緩衝食塩水(PBS) にて二回洗浄後、
ラバーポリスマンで剥離し、遠心チューブに回収する。
細胞は4℃にて1500 rpm、 10分間遠心分離する。ペレ
ットを緩衝液(250 mM ショ糖, 1 mM塩化マグネシウム
及び 2 mM 塩化カルシウムを含む20 mMトリス塩酸緩衝
液(pH 7.5))に懸濁し、25G の針を10回通過させる。
さらに、テフロン−ガラスホモゲナイザーを用いてホモ
ゲナイズし、これを細胞破砕液とする。5α還元酵素の
細胞内局在を調べるために、細胞破砕液を800×gにて1
0分間遠心分離し、粗核分画を得る。上清は10,000×g
にて15分間遠心分離し、ミトコンドリア分画を得る。
この上清をさらに100,000 ×g にて60分間遠心分離
し、ミクロソーム分画とサイトゾール分画を得る。それ
ぞれの沈渣部分は2回洗浄した後、再懸濁する。
【0056】通常のインキュベーション条件は50 nM [3
H]−テストステロン及び1 mM NADPHを含む 100 mM クエ
ン酸ナトリウム(pH 5.5)又は 100 mM トリス−塩酸(pH
7.5)に50 ml の細胞破砕液を加えて、100 mlとする。各
チューブには蛋白質量で50〜100 mg相当の細胞破砕液を
加える。反応は37℃にて30分間行なう。インキュベーシ
ョンの間、反応は時間に比例して進行する。反応至適pH
の検討には、pH 4.5から6.5 はクエン酸緩衝液を、pH
7.0から9.0 はトリス−塩酸緩衝液を用いる。蛋白質量
の測定はLowry らの方法(Protein Measurement With T
he Folin PhenolReagent, J. Biol. Chem., 193:265-27
5, 1951)により行なう。
【0057】インキュベーション終了後、キャリアース
テロイドをそれぞれ110 mg含んだ4倍量のクロロホルム
−メタノール(2/1:V/V )を加えて反応を停止させる。
抽出したステロイドは、Gomez らの方法(In Vitro Met
abolism Of Testosterone-4- 14C and D-androstene-3,1
7-dione-4-14C In Human Skin, Biochem., 7:24-32,196
8)に従い薄層クロマトグラフィーにて解析する。それ
ぞれのステロイドの純度は再結晶法にて確認する。5α
還元酵素活性は生成されたジヒドロテストステロンで示
す。なお、酵素阻害作用は対照群の変換率を100 %と
し、阻害率(100−(検体添加時の変換率÷対照群の変
換率)×100 )(%)として示す。
【0058】化合物(I)は良好な5α還元酵素阻害作
用を示す。
【0059】
【試験例4】ベニガオザル抜け毛予防と発毛促進作用(1) ベニガオザルはヒトのアンドロゲン性脱毛症に似たパタ
ーンで禿頭症になる。この禿頭のプロセスは思春期直後
に始まる(年齢約4才)。これは雌雄両性のベニガオザ
ルのほとんど100%に起こり、しかもアンドロゲン依
存性である。従って、ヒトのアンドロゲン性脱毛症の有
用な動物モデルである。
【0060】雄のベニガオザル(年齢3−16才)を一
群3−6匹ずつにわける。頭皮の前頭部と後頭部のう
ち、一つの領域の境界を明確に定めて、例えば入れ墨で
マークし、マークした領域の毛髪を剃り落とす。実験薬
剤は各種の用量と各種の組み合わせにより溶液又は粉末
を調製し、剃り落とした領域に1日1回ないし2回均等
に塗布又は経口投与する。対照動物には同量の溶媒(例
えばジメチルスルホキシドなど)又はクリーム(皮膚投
与)或はプラセボ(経口投与)を投与する。このマーク
した領域は4−6週間毎に剃り落とし、剃った毛髪の重
量を計量する。投与期間は6週間乃至2年間である。フ
ィナステリドは5α−レダクターゼ阻害剤であり、この
動物の禿頭を防止することで知られている。フィナステ
リド(経口)を対照薬として実験に使用する。
【0061】頭皮の生検材料(4mmのパンチ)は治療
開始時と終了時に採取する。標本により5α−レダクタ
ーゼ活性を分析し、組織検査を行なって脱毛症の有無を
判定する。
【0062】化合物(I)は脱毛症に対して有効であ
る。
【0063】
【試験例5】ベニガオザル抜け毛予防と発毛促進作用(2) 雌雄のベニガオザル(年齢3−16才)を一群3−6匹
ずつにわける。実験薬剤は各種の用量と各種の組み合わ
せにより溶液または粉末を調製し、1日1回前頭部皮膚
に塗布又は経口投与する。投与期間は6週間乃至2年間
である。対照群の動物には同量の溶媒(例えばジメチル
スルホキシドなど)またはクリーム(皮膚投与)或いは
プラセボ(経口投与)を投与する。1ヶ月毎に前頭部の
毛の状態を観察し、毛の太さ、密度、発毛領域、発毛時
期から実験薬剤の効果についての評価すると同時に写真
を撮影し写真による全体的な判定も行なう。実験開始
前、3ヶ月目及び6ヶ月目の時点で前頭部皮膚の一部を
バイオプシーにより採取(直径4mmの円形)し、組織
学的検索により毛根部の発育ステージに対する効果につ
いて検討する。
【0064】化合物(I)は脱毛症に対して有効であ
る。
【0065】
【試験例6】ファジーラットを用いた試験 ファジーラットはアンドロゲン依存性で毛根部皮脂腺細
胞の増殖および分泌能が異常に亢進するモデル動物であ
る。また幼若期(4週齢前後)の毛根は成長期が主体で
あるが、性成熟後(8週齢前後)には休止期の毛根が増
加する。このため毛の発育に及ぼす影響について検討す
るためのモデル動物として用いられている。
【0066】ファジーラット(雄、3−12週齢)を一
群5から6匹ずつに分ける。実験薬剤は各種の用量と各
種の組み合わせにより溶液又は粉末を調製し、1日1回
背部皮膚に塗布又は経口投与する。投与期間は4乃至8
週間である。対照群の動物には同量の溶媒(例えばジメ
チルスルホキシドなど)又はクリーム(皮膚投与)或い
はプラセボ(経口投与)を投与する。投与終了翌日に断
頭屠殺後、背部皮膚組織を採取(直径4mmの円形)
し、組織学的検索により皮脂腺及び毛根部発育ステージ
に対する効果について検討する。
【0067】化合物(I)は脂漏症及び脱毛症に対して
有効である。
【0068】なお、上記試験例の他に、文献(B de Bro
uwer et al, Br. J. Dermatol., 137, 699-702(1997))
記載の方法に従って、ヌードマウスを用いて育毛を評価
することもできる。
【0069】
【参考例1】N−[1−メチル−1−(4−メトキシフェニル)エチ
ル]−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1
−エン−17β−カルボキサミド 乾燥したトルエン 30mlに3−オキソ−4−アザ−5α
−アンドロスト−1−エン−17β−カルボン酸 1.0
g、トリフェニルホスフィン 1.6g及び2,2'−ジピリ
ジルジスルフィド 1.4gを順次加え、室温で一夜撹拌放
置した。反応液をそのまま35gのシリカゲルを用いた
カラムクロマトグラフィ−に付し、アセトン−塩化メチ
レン(1:9から1:1)で溶出して2−ピリジルチオ
エステル体1.11gを得た。乾燥した塩化メチレン 30mlに
同様に合成した2−ピリジルチオエステル体 5.0g及び
1−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチルアミ
ン5.0gを順次加え、室温で3日間撹拌放置した。反応液
を塩化メチレン 100mlで希釈して、1N−塩酸、水、重
曹水及び飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで
乾燥後、減圧濃縮した。残渣を15gのシリカゲルを用
いたカラムクロマトグラフィ−に付し、アセトン−塩化
メチレン(1:9から1:1)で溶出して、目的化合物
5.2gを得た。 NMRスペクトル (CDCl3)δppm :0.68(3H,s), 0.98(3
H,s), 0.90-2.20(16H,m), 1.70(3H,s), 1.72(3H,s), 3.
35(1H,t,J=9Hz), 3.80(3H,s), 5.48(1H,br.), 5.76(1H,
br.), 5.83(1H,d,J=10Hz), 6.82(1H,d,J=10Hz), 6.88(2
H,d,J=9Hz), 7.32(2H,d,J=9Hz) IRスペクトル νmax cm-1 (KBr):2969, 2938, 167
2, 1599, 1514, 1455,1248, 1181, 1035, 825
【0070】
【製剤例1】 錠剤 (5mg錠) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 品名 基本処方(mg/錠 ) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 参考例1の化合物 5 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 15 カルボキシメチルスターチナトリウム 9.5 結晶セルロース 30.5 クロスカルメロースナトリウム 20 乳糖(篩過) 38.75 黄色三二酸化鉄 0.05 ステアリン酸マグネシウム(篩過) 1.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 錠剤 120.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0071】
【製剤例2】 アルコール溶液 参考例1の化合物 15.0(重量%) 水 45 エタノール 40
【0072】
【製剤例3】 クレンジングフォーム 参考例1の化合物 10.00(重量%) 水 70.439 カモミール 0.01 アロエ ベラ ジェル 0.01 アラントイン 0.001 トリエタノールアミン 0.02 メトセル(METHOCELTM 40-100(Dow)) 1.50 グリセリン 3.00 ラウリル硫酸ナトリウム 15.00 ビタミンAオイル 0.01 ビタミンEオイル 0.01
【0073】
【製剤例4】 クレンジングクリーム 参考例1の化合物 5.0(重量%) 合成ミツロウ 14.0 PPG2 ミリスチルプロピオネート 5.0 ラノリンアルコール 0.5 ミネラルオイル 36.0 プロピルパラベン 0.15 ホウ砂 1.0 水 38.35 PPG:ポリエチレングリコール ポリプロピレングリコール
【0074】
【製剤例5】 スキンジェル 参考例1の化合物 2.00(重量%) PPG2 ミリスチルエーテルプロピオネート 45.00 PPG10セチルエーテル 5.00 C18−C36トリグリセリド 4.00 ミリスチルミリステート 3.00 グリセリルトリベベネート 2.00 シクロメチコン 34.00 ポリエチレン 5.00
【0075】
【製剤例6】 スキンローション 参考例1の化合物 1.0(重量%) ジエタノールアミンオレス3リン酸 1.0 乳化ワックス 2.0 C18−C36ワックス脂肪酸 1.0 PPG2 ミリスチルプロピオネート 5.0 グリセリン 3.0 トリエタノールアミン 0.5 水 86.5
【0076】
【製剤例7】 シャンプージェル 参考例1の化合物 2.0(重量%) イソプロパノールアミンラウリル硫酸 81.5 ヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド 8.0 C18−C36ワックス酸グリセリルエステル 4.5 PPG5 セテス10リン酸 4.0
【0077】
【製剤例8】 クリームシャンプー 参考例1の化合物 0.1(重量%) ラウリル硫酸ナトリウム 65.0 グリセリルトリベベネート 2.0 ヒドロライズドコラーゲン 1.0 ラウリン酸ジエタノールアミド 5.0 水 26.9
【0078】
【発明の効果】フィナステリドは良性前立腺肥大症の治
療薬として欧米で発売され、現在脱毛症治療薬として臨
床試験が実施されている化合物である。
【0079】本発明の化合物(I)及び関連化合物は、
フィナステリドより強いタイプ2アイソザイム阻害作用
を持ち、加えて、タイプ1アイソザイム阻害作用も強
い。そのためフィナステリドより遥かに強力な血中のD
HT低下作用を有し、且つ、毒性も少ないので、脱毛
症、女性多毛症又は脂漏症の治療のための組成物、ある
いは前立腺癌の骨転移予防のための組成物として有用で
ある。
【0080】
【配列表フリーテキスト】
【0081】
【配列番号1】 合成配列の説明:5α−還元酵素タイプ1をコードする
cDNA配列に基づいて設計されたプライマー
【0082】
【配列番号2】 合成配列の説明:5α−還元酵素タイプ1をコードする
cDNA配列に基づいて設計されたプライマー
【0083】
【配列番号3】 合成配列の説明:5α−還元酵素タイプ2をコードする
cDNA配列に基づいて設計されたプライマー
【0084】
【配列番号4】 合成配列の説明:5α−還元酵素タイプ2をコードする
cDNA配列に基づいて設計されたプライマー
【0085】
【配列表】
SEQUENCE LISTING <110> Sankyo Company, Limited <120> Compositions for the treatment of alopecia,
femalehirsutism and seborrhea <130> 98062SY <140> <141> <150> JP HEI 9-203136 <151> 1997-07-29 <160> 4 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Designed
primer based on the cDNA sequence encoding 5alpha-
reductase type 1 <400> 1 ccagccctgg cgatggcaac 20 <210> 2 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Designed
primer based on the cDNA sequence encoding 5alpha-
reductase type 1 <400> 2 cagagcttga aattctgacc tgtta 25 <210> 3 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220><223> Description of A
rtificial Sequence: Desig
nedprimer based on the cD
NA sequence encoding 5alp
ha− reductase type 2 <400> 3 acggcgcgat gcaggttcag tg 22 <210> 4 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Designed
primer based on the cDNA sequence encoding 5alpha-
reductase type 2 <400> 4 agcattgtgg gagctctgct cct 23

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で表わされる化合物、そ
    の薬理上許容される塩又はその他の誘導体を有効成分と
    して含有する脱毛症、女性多毛症又は脂漏症治療剤ある
    いは前立腺癌の骨転移予防剤。 【化1】 式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、水素原子、
    水酸基又は低級アルコキシ基を示す。
  2. 【請求項2】N−[1−メチル−1−(4−メトキシフ
    ェニル)エチル]−3−オキソ−4−アザ−5α−アン
    ドロスト−1−エン−17β−カルボキサミドを有効成
    分として含有する脱毛症、女性多毛症又は脂漏症治療剤
    あるいは前立腺癌の骨転移予防剤。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2記載の脱毛症、女性
    多毛症又は脂漏症治療剤。
  4. 【請求項4】請求項1又は請求項2記載の脱毛症治療
    剤。
  5. 【請求項5】請求項1又は請求項2記載の女性多毛症治
    療剤。
  6. 【請求項6】請求項1又は請求項2記載の脂漏症治療
    剤。
  7. 【請求項7】請求項1又は請求項2記載の前立腺癌の骨
    転移予防剤。
  8. 【請求項8】脱毛症、女性多毛症又は脂漏症治療剤ある
    いは前立腺癌の骨転移予防剤を製造するための、下記一
    般式(I)で表わされる化合物、その薬理上許容される
    塩又はその他の誘導体の使用。 【化2】 式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、水素原子、
    水酸基又は低級アルコキシ基を示す。
  9. 【請求項9】脱毛症、女性多毛症又は脂漏症治療剤ある
    いは前立腺癌の骨転移予防剤を製造するための、N−
    [1−メチル−1−(4−メトキシフェニル)エチル]
    −3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エ
    ン−17β−カルボキサミドの使用。
  10. 【請求項10】請求項8又は請求項9記載の脱毛症、女
    性多毛症又は脂漏症治療剤を製造するための使用。
  11. 【請求項11】請求項8又は請求項9記載の脱毛症治療
    剤を製造するための使用。
  12. 【請求項12】請求項8又は請求項9記載の女性多毛症
    治療剤を製造するための使用。
  13. 【請求項13】請求項8又は請求項9記載の脂漏症治療
    剤を製造するための使用。
  14. 【請求項14】請求項8又は請求項9記載の前立腺癌の
    骨転移予防剤を製造するための使用。
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