JPH11148031A - 防汚性塗料組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水中構築物、漁網、船底への海中生物および
海藻類の付着を防止することのできる防汚塗料の開発。 【解決手段】 （ａ）下記一般式（Ｉ） 【化１】 で表わされる重合性単量体、および（ｂ）共重合可能な
不飽和単量体、からなる単量体混合物を重合して得られ
る共重合体を防汚性塗料のビヒクル成分として含有させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、防汚性塗料組成物
に関し、より詳しくは水中構築物、漁網、船底への海中
生物および海藻類の付着を防止することができる防汚性
塗料組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、船舶や海洋構造物の浸水部分には、フジツボ、フナ
クイムシ、藻類など海中生物の付着による腐食防止や船
舶の航行速度低下の防止を目的として、有機錫等で代表
される防汚剤成分を含有する防汚塗料が塗装されてい
る。また、養殖用の網においても、海中生物の付着によ
る魚介類の致死防止等の目的で有機錫等の防汚剤成分を
含有する防汚塗料が塗装されている。

【０００３】この防汚塗料においては、その塗膜に含ま
れる防汚剤成分が海中に溶出することによって防汚効果
を発揮するものであり、毒性の強い有機錫に代表される
防汚剤を含有するため、魚介類に対して悪影響を及ぼす
欠点がある。そのために、毒性が少なく、かつ長期にわ
たり海中で防汚機能を発揮する防汚性塗料組成物の開発
に対する要請はきわめて強くなっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、魚介
類等に悪影響を及ぼす防汚剤成分を含有しない場合にお
いても、長期にわたって海中で防汚効果を発揮すること
ができる防汚塗料を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的達成するために、鋭意検討を進めた結果、特定の共重
合体をビヒクル成分とする防汚性塗料組成物が優れた性
能を示し、上記の目的を達成できることを見い出し本発
明を完成した。すなわち本発明は、（ａ）下記一般式
（Ｉ）

【０００６】

【化２】 で表わされる重合性単量体、および（ｂ）共重合可能な
不飽和単量体、からなる単量体混合物を重合して得られ
る共重合体をビヒクルとして含有することを特徴とする
防汚性塗料組成物にある。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の防汚塗料組成物で
使用するビヒクル用共重合体の単量体成分について説明
する。

【０００８】一般式（Ｉ）で表わされる重合性単量体
（ａ）は、生物を付着しにくくするために用いる成分で
ある。具体例としては、２−クロロエチル（メタ）アク
リレート、２−クロロ−１−メチルエチル（メタ）アク
リレート、３−クロロプロピル（メタ）アクリレート、
２，３−ジクロロプロピル（メタ）アクリレート、２−
クロロ−１−クロロメチルエチル（メタ）アクリレー
ト、２，２，２−トリクロロエチル（メタ）アクリレー
ト、６−クロロ−ｎ−ヘキシル（メタ）アクリレート、
２−ブロモエチル（メタ）アクリレート、２−ブロモ−
１−メチルエチル（メタ）アクリレート、３−ブロモプ
ロピル（メタ）アクリレート、２，３−ジブロモプロピ
ル（メタ）アクリレート等が挙げられる。これらの単量
体は１種または２種以上を組み合わせて使用することが
できる。

【０００９】また、本発明において用いられる共重合可
能な不飽和単量体（ｂ）（以下、共重合単量体（ｂ）と
略記する。）としては、例えばメチル（メタ）アクリレ
ート、エチル（メタ）アクリレート、ｎ−プロピル（メ
タ）アクリレート、ｉ−プロピル（メタ）アクリレー
ト、ｎ−ブチル（メタ）アクリレート、ｉ−ブチル（メ
タ）アクリレート、ｔ−ブチル（メタ）アクリレート、
２−エチルヘキシル（メタ）アクリレート、ラウリル
（メタ）アクリレート、ステアリル（メタ）アクリレー
ト、ベンジル（メタ）アクリレート、フェニル（メタ）
アクリレート、イソボニル（メタ）アクリレート、シク
ロヘキシル（メタ）アクリレート、グリシジル（メタ）
アクリレート等の（メタ）アクリル酸エステル単量体、
２−ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート、２−ヒド
ロキシプロピル（メタ）アクリレート、３−ヒドロキシ
プロピル（メタ）アクリレート、２−ヒドロキシブチル
（メタ）アクリレート、４−ヒドロキシブチル（メタ）
アクリレート等の水酸基を含有するビニル単量体、また
２−ヒドロキシエチル（メタ）アクリレートとエチレン
オキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクト
ンまたはε−カプロラクトン等との付加物、２−ヒドロ
キシエチル（メタ）アクリレート、２−ヒドロキシプロ
ピル（メタ）アクリレート等の二量体、三量体が挙げら
れる。さらにはグリセロール（メタ）アクリレートの如
く水酸基を複数有する単量体、ブチルアミノエチル（メ
タ）アクリレート、（メタ）アクリルアミド等の第一級
および第二級アミノ基含有ビニル単量体、ジメチルアミ
ノエチル（メタ）アクリレート、ジエチルアミノエチル
（メタ）アクリレート、ジメチルアミノプロピル（メ
タ）アクリレート、ジメチルアミノブチル（メタ）アク
リレート、ジブチルアミノエチル（メタ）アクリレー
ト、ジメチルアミノエチル（メタ）アクリルアミド、ジ
メチルアミノプロピル（メタ）アクリルアミド等の第三
級アミノ基含有ビニル単量体、ビニルピロリドン、ビニ
ルピリジン、ビニルカルバゾールの如き複素環族系塩基
性単量体等が挙げられる。さらにその他の共重合単量体
として、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ン、（メタ）アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル等のビニル系単量体が挙げられる。これらの
単量体は１種または２種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。

【００１０】本発明においてビヒクルを構成する共重合
体は、上記の一般式（Ｉ）で表わされる重合性単量体
（ａ）と共重合単量体（ｂ）からなる単量体混合物を重
合することにより得られる。重合に際しては、重合性単
量体（ａ）１〜１００重量部に対して、共重合単量体
（ｂ）０〜９９重量部（合計１００重量部）となる割合
で重合することが好ましい。より好ましくは、重合性単
量体（ａ）１０〜７０重量部に対して、共重合単量体
（ｂ）３０〜９０重量部（合計１００重量部）となる割
合である。

【００１１】本発明で用いる共重合体は、公知の方法に
従って製造される。すなわち、上記した単量体を混合
し、この混合物をラジカル重合開始剤の存在下に６０〜
１８０℃の反応温度において５〜１４時間反応を続けて
重合させる。重合方法は、有機溶剤中で行う溶液重合法
のほかに乳化重合法、懸濁重合法等が採用できるが、ト
ルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸ｎ−
ブチル等の一般の有機溶剤を用いる溶液重合方法を採用
するのが生産性、性能の点で有利である。

【００１２】本発明の防汚性塗料組成物は、上記の共重
合体をビヒクル成分として構成され、必要に応じてこれ
に従来公知の防汚剤が配合される。防汚剤を配合する場
合、防汚性塗料組成物におけるビヒクルとしての共重合
体の割合は、特に限定されるものではない。

【００１３】防汚剤としては、要求性能に応じて従来使
用されている公知の防汚剤、例えば亜酸化銅、チオシア
ン銅、銅粉末等の銅系防汚剤を始め、鉛、亜鉛、ニッケ
ル等その他の金属化合物、ジフェニルアミン等のアミン
誘導体、ニトリル化合物、ベンゾチアゾール系化合物、
マレイミド系化合物、ピリジン系化合物等が単独あるい
は複数で使用される。

【００１４】その他、防汚剤ではないが、塗膜表面に潤
滑性を付与し、生物の付着を防止する目的でジメチルポ
リシロキサン、シリコンオイル等のシリコン化合物やフ
ッ化炭素等の含フッ素化合物等も使用することができ
る。さらに本発明の防汚性塗料組成物は、前記した防汚
剤以外にも体質顔料、着色顔料、可塑剤、各種塗料用添
加剤、その他の樹脂等を必要に応じて配合することがで
きる。

【００１５】本発明の組成物を用いて塗膜を形成するに
は、上述した防汚性塗料組成物を、船舶、各種漁網、港
湾施設、オイルフェンス、橋梁、海底基地等の水中構造
物等の基材表面に直接に、もしくは基材にウオッシュプ
ライマー、塩化ゴム系、エポキシ系等のプライマー、中
塗り塗料等を塗布した塗膜の上に刷毛塗り、吹き付け塗
り、ローラー塗り、沈漬塗り等の手段で塗布する。塗布
量は、一般的には乾燥塗膜として５０〜４００μｍの厚
さの範囲である。塗膜の乾燥は一般的には室温で行われ
るが、加熱乾燥を行っても差し支えない。

【００１６】

【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってな
んら限定されるものではない。なお、例中の部は重量部
を表わす。

【００１７】［実施例１〜１２および比較例１〜４］冷
却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を備えた四つ口
フラスコにキシレン５５部を仕込み、撹拌しながら１０
０℃に昇温した。続いて、滴下ロートから表１に示す単
量体および重合開始剤からなる混合物を４時間で等速滴
下した。滴下終了後にｔ−ブチルパーオクトエート１部
とキシレン１０部を２時間で滴下し、さらに１時間撹拌
した後キシレンを３５部添加して表１に示す特性値を有
するビヒクル用重合体溶液Ａ１〜Ａ６、Ｂ１〜Ｂ２を得
た。ただし、共重合体溶液Ｂ１の製造においては、仕込
み時の有機溶剤量をキシレン５５部からキシレン６０部
とイソプロピルアルコール２０部とからなる混合有機溶
剤に変更し、さらに最後に添加するキシレンの量を３５
部から１０部に変更して行った。

【００１８】

【表１】

【００１９】次いで、このようにして得られた共重合体
溶液Ａ１〜Ａ６を用いて、表２に示す配合割合により本
発明の防汚性塗料（実施例１〜１２）を調製した。ま
た、共重合体溶液Ｂ１〜Ｂ２を用いて、表２に示す配合
割合により比較例１〜４の防汚性塗料を調製した。

【００２０】

【表２】

【００２１】次いで、上記各防汚塗料を用いて、下記の
要領で塗膜の防汚性試験を行った。

【００２２】［防汚性試験］各防汚性塗料を、あらかじ
め防錆塗料を塗布してあるサンドプラスト鋼板に、乾燥
膜厚が２４０μｍになるように塗布して試験板を作製
し、広島県の広島湾内で２４ヵ月間浸漬し、６ヵ月毎に
付着性物の付着面積（％）を調べた。その結果を表３に
示した。

【００２３】

【表３】

【００２４】表２〜３に示す結果からも明らかなよう
に、共重合体溶液Ｂ１〜Ｂ２を用いた防汚性塗料組成物
（比較例１〜４）では十分な防汚性能が得られなかっ
た。これに対し共重合体溶液Ａ１〜Ａ６を用いた本発明
の防汚性塗料組成物（実施例１〜１２）は、長期にわた
って優れた防汚性能を示した。

【００２５】

【発明の効果】本発明の防汚性塗料組成物は、ハロゲン
原子を含有する共重合体をビヒクル成分として用いてい
るため、防汚剤を含有しない場合でも長期間にわたって
優れた防汚効果を発揮することができ、環境衛生上極め
て有益なものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （ａ）下記一般式（Ｉ） 【化１】 で表わされる重合性単量体、および（ｂ）共重合可能な
   不飽和単量体、からなる単量体混合物を重合して得られ
   る共重合体をビヒクルとして含有することを特徴とする
   防汚性塗料組成物。