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JPH11335119A - 軽質炭酸カルシウム水性スラリーの調整方法 - Google Patents

軽質炭酸カルシウム水性スラリーの調整方法

Info

Publication number
JPH11335119A
JPH11335119A JP14372498A JP14372498A JPH11335119A JP H11335119 A JPH11335119 A JP H11335119A JP 14372498 A JP14372498 A JP 14372498A JP 14372498 A JP14372498 A JP 14372498A JP H11335119 A JPH11335119 A JP H11335119A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
calcium carbonate
treatment
slurry
concentration
aqueous slurry
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14372498A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Nishiguchi
浩之 西口
Kazuhisa Shimono
和久 下野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Okutama Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Okutama Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Okutama Kogyo Co Ltd filed Critical Okutama Kogyo Co Ltd
Priority to JP14372498A priority Critical patent/JPH11335119A/ja
Publication of JPH11335119A publication Critical patent/JPH11335119A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽質炭酸カルシウムスラリーを低粘度で高速
流動性に優れ、低粘化剤やバインダーの使用量の少ない
ものに調整する方法を提供する。 【解決手段】 低濃度の軽質炭酸カルシウム水性スラリ
ーに濃縮処理、濃縮後脱水処理又は脱水処理を施して、
固形分濃度が60重量%以上である、高濃度スラリー又
は脱水ケーキを生成させたのち、これに低粘化剤を添加
してミキサーにて一次分散処理を該処理後の水性スラリ
ー中の軽質炭酸カルシウムのBET比表面積が該処理前
のそれの1.05〜1.35倍となるように行い、次い
でサンドグライディング処理による二次分散処理を該処
理後の水性スラリー中の軽質炭酸カルシウムのBET比
表面積が該処理前のそれの1.05〜1.50倍となる
ように行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽質炭酸カルシウ
ム水性スラリーの調整方法に関するものである。さらに
詳しくいえば、本発明は、従来の軽質炭酸カルシウム水
性スラリーを、低粘度で高速流動性に優れ、かつ低粘化
剤やバインダーの使用量の少ないものに調整する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、塗工紙の生産量は増加しており、
特に塗工印刷用紙である、A2、A3、B2、B3のコ
ート紙や微塗工紙の伸びが著しい。また、抄紙機、塗工
機の高速度化が進み、さらに塗工機ではブレードコータ
ーの技術革新が進んできて、塗工速度は既設備でも50
0〜1700m/分、新規設備では1500〜2000
m/分以上が予測されている。また、このような塗工機
の高速化とともに、乾燥機の負荷軽減のために、塗工カ
ラーには、高速下での流動性(高速流動性)と高濃度化
が求められ、また、バインダー使用量低減のため、比表
面積の低い顔料が求められている。例えば、現在の主力
設備であるブレードコーターは、高速で剪断力をかけな
がら塗工する方式のため、塗工カラーの液性が悪いとス
トリークを発生しやすいことから、ブレードコーター用
塗工カラーに対する要求特性としては高速で剪断力がか
かった状態での粘度(高速剪断粘度)の低いこと、つま
り高速流動性の良好であることが最重要視される。
【0003】コート紙の顔料としては、カオリン等のク
レー、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、二酸
化チタン、プラスチックピグメント、サチンホワイトな
どが用いられ、塗工カラーは、このような顔料を分散
後、バインダーやその他の添加剤を加えて製造されてい
る。
【0004】塗工カラーの顔料組成は、製品グレードや
原紙の種類や塗工量による他、製紙会社によっても異な
り、クレー100%又は炭酸カルシウム100%のもの
もあるが、一般的にはクレー30〜70重量%と炭酸カ
ルシウム70〜30重量%の混合組成のものである。こ
れは、常用のカオリンは単独では高速流動性に劣ること
から、それを改善するために、通常、カオリンスラリー
に、それよりも高速流動性に優れる湿式粉砕重質炭酸カ
ルシウムスラリーが混合されるからである。
【0005】炭酸カルシウムは用途やグレードにより重
質炭酸カルシウム単独、軽質炭酸カルシウム単独あるい
は両者の適当な混合物が用いられる。重質炭酸カルシウ
ムについては、湿式スラリーでは沈降法粒度分布測定に
おける粒径2μm未満の粒子の含有重量%値の下限で品
番を表し、その頭に#を付して表記され、例えば#95
(粒径2μm未満の粒子を95重量%以上含有)、#9
0、#75、#60などに分類され、乾式のものではブ
レーン空気透過式比表面積(cm2/g)の10%値で
品番を表し、その頭に#を付して表記され、例えば#2
200(ブレーン値22000cm2/g=2.2m2
g)、#2000、#1500、#1000、#80
0、#100などに分類され、アンダーカラーには粗い
グレード、トップカラーには細かいグレードが主に用い
られ、光沢紙には細かいグレード、マット紙には粗いグ
レードが用いられ、高速の塗工機のトップカラーには#
95、#90グレード、アンダーカラーには#90、#
75、#60グレードで、かつ固形分濃度75%程度の
湿式重質炭酸カルシウムスラリーが主に用いられてい
る。
【0006】軽質炭酸カルシウムについては、紡錘状、
角状、柱状、凝集状等の形状ごとに様々な粒度のものが
スラリーやパウダーとして市販されており、塗工印刷用
紙である、A1、A2、A3、B2、B3のコート紙、
微塗工紙、情報用紙、コート板紙等には、通常、高速流
動性がある程度改善された固形分濃度50〜70重量%
のスラリー品が用いられている。また、軽質炭酸カルシ
ウムは、重質炭酸カルシウムに比べ、白色度や白紙光沢
が高く、印刷適性に優れるので、原紙の白色度が低い場
合や、塗工量を少なくする場合や、高光沢度を必要とす
る場合や、良好な印刷適性を得たい場合や、マット紙や
ダル紙のようにカレンダー加工効果を強くは求めない場
合や、風合いを求める場合に、単独で用いるか、あるい
は重質炭酸カルシウムと併用して用いるケースが多い。
【0007】塗工カラーに用いられる炭酸カルシウムス
ラリーについては、その光学的特性を改良するため、乾
式重質炭酸カルシウムをサンドミルで湿式処理して粗大
粒子を減らす方法が種々提案され(特公昭55−117
99号公報、特開昭57−30555号公報、特開昭6
3−225522号公報、特公平1−15640号公
報、特公平4−33731号公報、特公平6−4501
0号公報)、この技術に基づき粉砕度を上げ微粉砕する
ことによって粗大粒子を減少させ、平均粒子径を細かく
し、白紙光沢を向上させた固形分濃度70〜78%の湿
式重質炭酸カルシウムスラリーが市販され、また製紙会
社により自製されている。しかしながら、このような方
法では、例えば比表面積0.1〜3.0m2/gの原料
を9〜18m2/g(原料に対し、3〜180倍)の比
表面積となるまで粉砕するなど、強力なサンドミル処理
を複数回行わざるを得ず、また光学的特性を向上させる
と表面積が増大し、光沢に寄与しない微粒子が増え、コ
ストがかさむという問題を生じる。
【0008】一方、軽質炭酸カルシウムスラリーについ
ては、軽質炭酸カルシウム乾粉をコーレス処理後、サン
ドミル処理する方法が提案されているが(特公昭63−
6492号公報)、乾燥凝集を起こしやすいために、サ
ンドミル処理条件が苛酷になるのを免れない。
【0009】また、この方法では、乾燥コストがかかる
ため、軽質炭酸カルシウムの脱水ケーキをコーレス処理
後、サンドミル処理する方法(特開昭53−25646
号公報)が提案され、また、近年の濃縮機や脱水機等の
脱水システムの改良に伴い、脱水ケーキは固形分濃度6
0〜75%と高いものが得られるようになり、このよう
な高脱水ケーキをサンドミル処理する方法(特開平9−
202617号公報)が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな高脱水ケーキを得るには通常高圧搾の脱水によるた
め、脱水ケーキの凝集性が強くなるし、また上記のよう
に濃縮機による脱水システムで得られる高固形分濃度の
濃縮液でも粒子の凝集性が強くなる。このような脱水ケ
ーキや濃縮液について、光学的特性を向上させるために
はこのような凝集粒子をほぐす必要があり、サンドグラ
イディング処理には強力な粉砕又は解砕条件が要求され
るので、このようなサンドグライディング処理条件下で
は粒子が粉砕されすぎて光学的特性に寄与しない0.1
5μm以下の微粒子が増え、かつ表面積が増大し、粘度
が高くなるため、これを改善するのに、低粘化剤の使用
量が増え、また塗工カラー調製時のバインダー使用量が
増え、コストアップとなるのを免れない。
【0011】本発明は、このような事情の下、軽質炭酸
カルシウムスラリーを低粘度で高速流動性に優れ、低粘
化剤やバインダーの使用量の少ないものに調整する方法
を提供することを目的としてなされたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
好ましい特性を有する軽質炭酸カルシウム水性スラリー
の調整法を開発するために種々研究を重ねた結果、高濃
縮処理や高脱水処理に伴い生じる凝集粒子をミキサーで
の一次分散処理後過度に粉砕又は解砕しない条件でサン
ドグライディング処理に付すことにより、高速流動性を
良好とするとともに、表面積増大を抑制し、低粘化剤や
バインダーの使用量を減少しうることを見出し、この知
見に基づいて本発明をなすに至った。
【0013】すなわち、本発明は、低濃度の軽質炭酸カ
ルシウム水性スラリーに濃縮処理、濃縮後脱水処理又は
脱水処理を施して、固形分濃度が60重量%以上であ
る、高濃度スラリー又は脱水ケーキを生成させたのち、
これに低粘化剤を添加してミキサーにて一次分散処理を
該処理後の水性スラリー中の軽質炭酸カルシウムのBE
T比表面積が該処理前のそれの1.05〜1.35倍と
なるように行い、次いでサンドグライディング処理によ
る二次分散処理を該処理後の水性スラリー中の軽質炭酸
カルシウムのBET比表面積が該処理前のそれの1.0
5〜1.50倍となるように行うことを特徴とする軽質
炭酸カルシウム水性スラリーの調整方法を提供するもの
である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明方法において原料に用いる
軽質炭酸カルシウムスラリーは特に制限されないが、石
灰乳と炭酸ガスを反応させるいわゆる石灰乳炭酸化法で
製造されたものが好ましい。軽質炭酸カルシウムスラリ
ー中の軽質炭酸カルシウムの粒子形状については特に制
限はなく、例えば紡錘状、偏三角面体状、角状、柱状、
凝集状などが挙げられるが、高速流動性を考慮すると、
単一粒子形、単一粒度の軽質炭酸カルシウムの場合、方
向性を持った形状、例えば紡錘状、偏三角面体状などの
方が好適である。また、低コストで調整できるのは、紡
錘形である。上記の凝集状の軽質炭酸カルシウムとして
は、紡錘状、偏三角面体状、角状、柱状などの定形状の
粒子の凝集体の他、不定形状の粒子の凝集体も挙げられ
る。軽質炭酸カルシウムとして紡錘状のものを用いる
と、本発明方法で得られるスラリーにおける軽質炭酸カ
ルシウムの粒子形状も紡錘状とすることができる。
【0015】軽質炭酸カルシウムの粒子径はユーザーニ
ーズにより様々であるが、一般コート紙用の場合、光学
適性を重視するために、光学適性を最も発揮しうる粒子
径、通常短径0.15〜0.30μmに近づけることが
必要で、一部は市販されている。軽質炭酸カルシウム
は、一般に粒子径が小さいほど凝集性が強く、短径が
0.15μm程度と比較的小さい軽質炭酸カルシウム
も、凝集性が強い。また、形状でみると、紡錘形のもの
が凝集性の強くなる傾向を示す。
【0016】本発明方法においては、先ず、上記スラリ
ーに、濃縮処理、濃縮後脱水処理、あるいは脱水処理を
施して高濃度スラリー又は脱水ケーキを生成させる。こ
のようにして得られるスラリーやケーキは固形分濃度が
60重量%以上であることが必要である。この際の濃縮
処理は、通常の濃縮手段、例えば遠心脱水機、沈降濃縮
機などを用いて行われる。この遠心脱水機の例として
は、デカンター、スクリューデカンターなどが挙げられ
る。また、脱水処理は、通常の脱水手段、例えばフィル
タープレス、ベルトプレス、チューブプレス等の加圧型
脱水機、オリバーフィルター等の真空ドラム脱水機、デ
カンター等の遠心脱水機を用いるか、あるいは圧搾手
段、例えばベルトプレスや造粒ローラなどの脱水と同時
に所要の形状に造粒しうる手段等を用いて行われる。
【0017】本発明方法においては、次いで、上記高濃
度スラリー又は脱水ケーキに低粘化剤を添加して一次分
散処理を施すことが必要である。この際添加される低粘
化剤としては、一般に顔料の分散用として用いられてい
る低粘化剤、例えばマレイン酸、イタコン酸、アクリル
酸などのホモポリマー又はコポリマーであるポリカルボ
ン酸やその塩などが挙げられる。この低粘化剤の添加量
は、その固形分が、上記スラリー又は脱水ケーキの固形
分に対し、重量基準で0.1〜3.0%、好ましくは
0.5〜2.0%の範囲となるようにするのがよい。こ
の一次分散処理はミキサーで混合することにより行われ
る。ミキサーとしては、剪断力の高いもの、例えばコー
レスミキサー、撹拌式ディスパーサーなどが好ましい。
一次分散処理は、スラリー中の軽質炭酸カルシウムのB
ET比表面積が、該処理後に処理前と比較し、1.05
〜1.35倍、好ましくは1.05〜1.25倍、より
好ましくは、1.05〜1.20倍となるように行うの
が有利である。上記比表面積が一次分散処理後で処理前
と比べて1.35倍を超えると、一次分散処理に要する
電力が過大となるし、また、処理時間も長くなるので好
ましくない。
【0018】本発明方法においては、さらに、上記一次
分散処理に続いて、サンドグライディング処理による二
次分散処理を行うことが必要である。この二次分散処理
は、1回又は複数回、好ましくは1回行われる。サンド
グライディング処理においては、特にサンドミル、サン
ドグラインダー、アトライター、ダイノーミル、ピンミ
ルを用いるのが好ましい。サンドミルは、湿式媒体攪拌
式粉砕機であり、スラリー中の粒子を粉砕媒体、例えば
ビーズを用いて微粉砕する湿式粉砕機である。サンドグ
ライディング処理で行われる粉砕を左右する条件とし
て、使用機器の形式(例えば縦型、横型、開放型、密閉
型、容器のピンの有無など)、ディスク(例えば形状、
ピンの有無など)、粉砕媒体(例えばサイズ、材質、充
填率など)、スラリーの処理量を示すSV値〔流速(m
3/hr)/粉砕媒体充填量(m3)〕などが挙げられ、
処理するスラリーの種類や濃度や粒度、処理後スラリー
の目標粒度などにより、前記条件を変化させ、1回又は
複数回処理を行い、目標粒度のスラリーを得ることがで
きる。
【0019】この二次分散処理は、該処理後のスラリー
中の軽質炭酸カルシウムのBET比表面積が、該処理前
のそれに比し、1.05〜1.50倍、好ましくは1.
05〜1.35倍となるように行うことが必要である。
この比表面積の比が1.05倍未満では塗工紙用とした
場合に十分な紙質物性が得られにくいし、また1.50
倍を超えるとバインダー使用量が増大するのを免れな
い。また、該処理後の該比表面積は好ましくは5.0〜
20m2/g、中でも5.5〜16m2/gの範囲とする
のがよい。
【0020】サンドグライディング処理には粉砕媒体が
用いられる。この粉砕媒体については特に制限はない
が、ビーズ、鋼球、棒鋼などが用いられる。ビーズとし
ては、用途などに応じてガラスビーズ、セラミックビー
ズなどが用いられ、その粒子径は通常0.50〜5.0
0mm、中でも0.70〜2.00mmの範囲のもの、
特に表示径で0.71〜1.00mm、0.85〜1.
18mm、1.00〜1.40mm、1.40〜2.0
0mmのものが好ましい。表示径よりも細かなビーズの
含有比率が高いと、粉砕が進み、微粒子の比率が増え、
表面積が増えることにより、分散剤使用量、バインダー
使用量の増大を引き起こし、かつ微粒子は光学特性に寄
与しないため、光学特性が上昇しないといった現象を引
き起こす。ビーズ表示径の存在率は、通常80%程度だ
が、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上
が好ましい。
【0021】サンドグライディング処理は、吐出量を絞
って運転を行うと処理液が増粘しやすいため、吐出量を
上げ、被処理液の処理装置への通過回数を増やすように
してもよく、またその際に、ビーズ粒子径を変化させて
もよい。サンドグライディング処理後にpH値が上昇し
た場合は、再度炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスをスラリ
ー中に導入して、pH値を下げるようにしてもよい。
【0022】サンドグライディング処理の消費電力量
は、通常50kW・hr/t−dryCaCO3以下す
なわち乾燥炭酸カルシウム生産量1トン当たり50kW
・hr以下、好ましくは40kW・hr/t−dryC
aCO3以下、より好ましくは30kW・hr/t−d
ryCaCO3以下とするのがよい。この消費電力量が
50kW・hr/t−dryCaCO3を超えると二次
分散処理後のスラリー中の軽質炭酸カルシウムの比表面
積が増大し、バインダー使用量が増大する傾向がみられ
る。
【0023】本発明方法で得られるスラリーとして好適
なのは、スラリー中の軽質炭酸カルシウムがBET比表
面積5.0〜20m2/gの紡錘形又は偏三角面体状で
あるものである。また、本発明方法で得られるスラリー
として好適なのは、レーザー式粒度分布測定によるメデ
ィアン径が0.2〜3.0μmで、かつ25℃、60r
pmでのブルックフィールド粘度が1000センチポイ
ズ以下の軽質炭酸カルシウムを有するものである。
【0024】本発明方法で得られるスラリーは、そのま
まで製紙用顔料組成物としてもよいし、またクレー、カ
オリン、タルク、二酸化チタン、サチンホワイトなどの
顔料を併用して製紙用顔料組成物としてもよい。これら
の顔料は、それと本発明方法で得られるスラリーとの合
計量に対し、通常5〜95重量%、好ましくは10〜9
0重量%の範囲の割合で用いられる。また、これらの製
紙用顔料組成物には、一般の製紙用顔料組成物において
通常用いられる添加剤を配合してもよい。
【0025】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものでない。各物性については、次のとおりである。 (1)メディアン径:マイクロトラックSPA II型
(日機装社製、レーザー式粒度分布測定計)で測定した
平均径。 (2)BET比表面積:水性スラリー又は脱水ケーキを
105℃で24時間乾燥後、コーヒーミルで1分間粉砕
処理した試料をFlow Sorb II型(島津製作
所製)を用いて測定。 (3)SEM粒子径:SEM写真(倍率×10,00
0)で観察される粒子50〜100個についてそれぞれ
短径及び長径をデジマチックノギスで測定し、平均値を
求めた。 (4)固形分濃度:Mettler LP−16型(メ
トラー社製、赤外線水分計)を用い乾燥温度105℃で
測定。 (5)B型粘度:ブルックフィールド粘度計(B形粘度
計)を用いて25℃、60rpm及び25℃、6rpm
でそれぞれ測定。 (6)高速剪断粘度:熊谷理機工業社製のHi―She
ar Viscometer Hercules型 モ
デルHR−801Cを用い、カップは、Fボブを用い、
スラリーに関しては、4400rpm、塗工カラーに関
しては、8800rpmで測定。 (7)ビーズ表示粒子径の存在率:JISの標準篩によ
る篩分けで求めた。 (8)消費電力(kW):交流電流計により電流値を測
定し、モーターの力率カーブから力率を求め次式により
算出した。消費電力(kW)=√3×210V×電流値
(A)×力率(%)×0.001 (9)消費電力量(kW・hr/t−乾炭カル):乾燥
炭酸カルシウム生産量1トン当たりに要する消費電力量
を求めた。
【0026】また、紙質物性は、下記方法あるいは下記
方法に準拠して測定し、あるいは評価した。 歩留り:JIS P8129 灰分 :JIS P8128 白色度 :JIS P8123 不透明度:JIS P8136 引張強度:JIS P8113 白紙光沢度:JIS P8142 印刷光沢度:インクとしてTKUG−ロ 0.4mlを
用いた、JIS P8142に準拠して測定 K&N受理性:JAPAN TAPPI No.46に
準拠して測定 インクセット性:印刷後のインクの転写をハンター白色
度計により測定 RI強度(ドライピック):RI−2印刷適正試験機を
用い、50回印刷後の紙の剥け状態を目視にて5〜1
(数値の高いものほど良好)の5段階で評価 RI強度(ウエットピック):湿し水で濡らした後、印
刷を行い、紙の剥け状態を目視にて5〜1(数値の高い
ものほど良好)の5段階で評価
【0027】比較例1 固形分濃度9%、メディアン径2.94μm、SEM粒
径で平均長径0.90μm、平均短径0.30μmのカ
ルサイト型紡錘状軽質炭酸カルシウム水性スラリーをス
クリュウデカンターで濃縮脱水を行い、固形分濃度35
重量%の濃縮スラリーとした。次いで、この濃縮スラリ
ーを高圧搾型ベルトプレスで圧縮脱水し、固形分濃度6
6重量%の脱水ケーキを得た。脱水ケーキのBET比表
面積は9.0m2/gであった。得られた脱水ケーキに
SNディスパーサント5034(サンノプコ社製、ポリ
アクリル酸ソーダ系分散剤)を炭酸カルシウムに対し、
固形分換算で1.0重量%添加し、コーレスミキサー
(6400rpm、周速25m/s)で5分間分散処理
し炭酸カルシウム水性スラリーを得た。このスラリーの
物性を表2に示す。このスラリー中の炭酸カルシウムの
BET比表面積は9.6m2/gで、分散処理前の炭酸
カルシウムのBET比表面積の1.07倍であった。
【0028】実施例1 比較例1で得た分散スラリーを、37kWのモーターを
備えた連続式サンドミル〔アイメックス社製、サンドグ
ラインダーOSG30G型(容器の容量100リット
ル、ピン付きディスク)〕でNa2O−CaO−SiO2
系ガラスビーズ(比重2.50)を用い、表1に示す処
理条件下で二次分散処理を行い炭酸カルシウム水性スラ
リーを得た。このスラリーの物性を表2に示す。
【0029】実施例2、比較例2、3 サンドミルの処理条件を表1に示すとおりに変更した以
外は実施例1と同様にして炭酸カルシウム水性スラリー
を得た。これらのスラリーの物性を表2に示す。なお、
比較例2で得られたスラリーの粘度については、該スラ
リー自体ではB型粘度850cP(25℃、60rpm
の場合)、高速剪断粘度40cPであったのを、分散剤
を該スラリー全量に対し0.2重量%添加して調整した
粘度として示した。
【0030】
【表1】 注):「生産量(乾炭カル t/hr)*」は、1時間
当たりの乾燥炭酸カルシウムの生産量(トン)を示す。
【0031】
【表2】 注):「二次分散前との比**」は、二次分散処理前の
BET比表面積に対する二次分散処理後のBET比表面
積の比を示す。
【0032】これより、各実施例のスラリーは各比較例
のスラリーに比し、B型粘度が低くて取り扱いやすく、
作業性に優れ、高速剪断粘度とのバランスも良好である
ことが分る。
【0033】応用例1 各実施例及び比較例の各スラリー100重量部にスター
チ(日本食品加工社製、#4600)7重量部とSBラ
テックス(JSR0692)13重量部と潤滑剤(ステ
アリン酸カルシウム:ノプコートC104)1.5重量
部と水を加え、アンモニア水でpH調整を行い、固形分
濃度55重量%の塗工カラーを調製した。この塗工カラ
ーを市販の上質紙(80.5g/m2)にコーティング
ロッドで手塗りにて塗工し、105℃で2分乾燥後、2
0℃、湿度65%で24時間調湿を行い、スーパーカレ
ンダー処理(線圧:100kg/cm、処理温度:55
℃、処理速度:8m/分、ニップ回数:3回)を行い、
紙質試験を行った。その結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】これより、比較例2の塗工カラーではイン
クセット性やインク受理性や強度が低いし、また比較例
3の塗工カラーでは白紙光沢や印刷光沢が低いのに対
し、各実施例の塗工カラーは、総合的にバランスの良好
な紙質物性を与えることが分る。
【0036】応用例2 実施例1、実施例2及び比較例2で得たスラリーを用
い、SBラテックス及びスターチの添加量をそれぞれ1
0重量部及び3重量部に変えてバインダー添加量を変化
させた以外は応用例1と同様にして塗工カラーを調製
し、紙質試験を行った。その結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】これより、各実施例の塗工カラーは比較例
2のそれと同一の紙質強度を与えるようにした場合、バ
インダー使用量を相当減少させるのが可能となることが
分る。
【0039】
【発明の効果】本発明方法によれば、従来の分散処理方
法と比較し、低粘化剤の使用量を少なくしても、低粘度
で高速流動性の良好な軽質炭酸カルシウムスラリーを得
ることができ、カラー調製時のバインダー使用量を減ら
すことができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低濃度の軽質炭酸カルシウム水性スラリ
    ーに濃縮処理、濃縮後脱水処理又は脱水処理を施して、
    固形分濃度が60重量%以上である、高濃度スラリー又
    は脱水ケーキを生成させたのち、これに低粘化剤を添加
    してミキサーにて一次分散処理を該処理後の水性スラリ
    ー中の軽質炭酸カルシウムのBET比表面積が該処理前
    のそれの1.05〜1.35倍となるように行い、次い
    でサンドグライディング処理による二次分散処理を該処
    理後の水性スラリー中の軽質炭酸カルシウムのBET比
    表面積が該処理前のそれの1.05〜1.50倍となる
    ように行うことを特徴とする軽質炭酸カルシウム水性ス
    ラリーの調整方法。
  2. 【請求項2】 サンドグライディング処理を50kW・
    hr/t−dryCaCO3以下の消費電力量で行う請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 二次分散処理後の水性スラリー中の軽質
    炭酸カルシウムが、BET比表面積5.0〜20m2
    gの紡錘形又は偏三角面体状炭酸カルシウムである請求
    項1又は2記載の方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007161537A (ja) * 2005-12-14 2007-06-28 Oji Paper Co Ltd 軽質炭酸カルシウムスラリー
JP2009234894A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Nippon Paper Industries Co Ltd エンジニアード炭酸カルシウムの製造方法、および、それを用いた製紙用塗料
JP2009242211A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Nippon Paper Industries Co Ltd 苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウムのスラリーの製造方法
WO2023074608A1 (ja) 2021-10-27 2023-05-04 白石工業株式会社 炭酸カルシウム水スラリーおよび炭酸カルシウム水スラリーの製造方法

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