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JPH1182888A - 耐圧性に優れたfrp圧力容器及びその製造法 - Google Patents

耐圧性に優れたfrp圧力容器及びその製造法

Info

Publication number
JPH1182888A
JPH1182888A JP23460797A JP23460797A JPH1182888A JP H1182888 A JPH1182888 A JP H1182888A JP 23460797 A JP23460797 A JP 23460797A JP 23460797 A JP23460797 A JP 23460797A JP H1182888 A JPH1182888 A JP H1182888A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frp
layer
liner
pressure vessel
hoop layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23460797A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuto Kataoka
保人 片岡
Koji Akiyama
幸次 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP23460797A priority Critical patent/JPH1182888A/ja
Publication of JPH1182888A publication Critical patent/JPH1182888A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Filling Or Discharging Of Gas Storage Vessels (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ライナーのひび割れ発生の原因となる段付き
形状部をライナーに設けることなく、耐圧性に優れ、安
全性の高いFRP圧力容器及びその製造法を提供するこ
とを目的とするものである。さらに、容易に、かつ、低
コストで製造できるFRP圧力容器及びその製造法を提
供する。 【解決手段】 ライナーの外面にFRPヘリカル層とF
RPフープ層とを順に積層されてなるFRP圧力容器に
おいて、FRPフープ層端部の固定手段をFRPヘリカ
ル層の鏡部に設けることにより、FRPフープ層を前記
FRPヘリカル層上にライナーの胴端部を越えて鏡部ま
で設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐圧性に優れたF
RP圧力容器に関するもので、特には、液化石油ガスに
用いられるプラスチック製ライナーを有する耐圧性に優
れたFRP圧力容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】圧力容器は液化石油ガス(LPG)、圧
縮天然ガス(CNG)等の燃料用、及び空気呼吸器等の
医療・防災用に用いられている。これら圧力容器には、
主に鋼製容器が用いられてきた。しかしながら、鋼製圧
力容器は重く、これら圧力容器はしばしば運搬して使用
されるために、その軽量化が強く望まれてきた。この要
望に対する解決策として、アルミ合金ライナーの外側を
FRP(繊維強化プラスチック)で補強した圧力容器が
開発されてきた。この圧力容器は、鋼製圧力容器に比較
して1/3〜1/2程度に軽量化される。しかし、アル
ミ合金ライナーを製作するためのコストが高いことが問
題であった。このため、最近になって、ライナーを比較
的安価に製作できるプラスチック製ライナーFRP圧力
容器(ライナーの外面にFRP層が積層されてなるFR
P圧力容器)が開発されている。
【0003】このプラスチック製ライナーFRP圧力容
器1は、図8に示すように、プラスチック製ライナー
2、FRPヘリカル層3、FRPフープ層4で構成され
ている。このプラスチック製ライナーは通常、ブロー成
型法、回転成型法で作られる。FRPヘリカル層、FR
Pフープ層はFW法(フィラメント・ワインディング
法)により作られる。このFW法は、樹脂を含浸させた
繊維に張力を作用させながらプラスチック製ライナーに
順次巻き付けていく成型法である。FRPヘリカル層
は、繊維を主にライナー軸方向(長手方向)に巻き付け
て、ライナー鏡部の軸方向の補強を行う。一方、FRP
フープ層は繊維をライナー円周方向に巻き付けて、ライ
ナー胴部の径方向の補強を担うことになる。
【0004】ところが、ライナー鏡部は、ライナーの径
方向に作用する内圧が働くにもかかわらず、径方向の補
強を担うFRPフープ層が設けらていないため、径方向
の耐圧性が不十分になるおそれがある。このライナー鏡
部の径方向の耐圧性を高めるために、フープ層の補強繊
維をライナーの胴端部を越えて鏡部側に巻こうとする
と、鏡部の曲面上で補強繊維が滑ってしまうので、巻く
ことが非常に困難となり、さらに不可能な場合もある。
また、ヘリカル層の巻き数を増して、この鏡部の径方向
の耐圧性を増加させることもできるが、補強繊維を非常
に多く巻く必要があるため、FRP圧力容器の製造時間
やコストを増加させるとともに、容器重量を増加させる
という問題がある。
【0005】このため、図9に示すようなFRP圧力容
器が提案されている(特開平8−219390号公報参
照)。このFRP圧力容器は、ガスバリア性を有する内
殻(ライナー)11と、この内殻11を覆うように設け
られた耐圧性のFRP製外殻12とを有するボンベであ
って、このFRP製外殻12の鏡部14に最内層(FR
Pフープ層)12aを有するものである。この最内層1
2aに、FRPフープ層を設けることにより、ライナー
鏡部における径方向の耐圧性が高められる。
【0006】このFRP圧力容器の製造方法として、内
殻11の鏡部外周面に、周方向に伸びかつ軸方向に段差
を有する段付き形状部13を形成し、この段付き形状部
13に前記最内層12aのFRPフープ層を形成するこ
とが開示されている。これは、最内層12aのFRPフ
ープ層をFW法によって形成する際、補強繊維あるいは
樹脂含浸補強繊維の滑りを防止させるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
方法は、FRP製外殻の鏡部の最内層にFRPフープ層
を形成するために、ライナーに段付き形状部を設ける必
要がある。このライナーの段付き形状部により、ライナ
ーは切り欠き形状を有することとなる。このため、ライ
ナーの段付き形状部は、内圧が作用した場合の応力集中
部となり、漏れ、破壊につながるライナーのひび割れ発
生の原因となるおそれがある。
【0008】しかも、ライナーに段付き形状部を設ける
ために、ライナーの厚みを厚くする必要があり、FRP
圧力容器の重量を増加させる問題がある。さらに、ライ
ナーに段付き形状部を設けるために、かなりの製作時
間、コストが必要となり、特に、剛性があまり高くない
プラスチックライナーの場合には、切削加工時にライナ
ーが変形(たわみ)し、切削加工自体が困難になる場合
がある。また、ライナーと段付き形状部をブロー成形に
より製造する場合には、成形型の製造コストが高くなる
問題もある。
【0009】そこで、本発明は、ライナーのひび割れ発
生の原因となる段付き形状部をライナーに設けることな
く、耐圧性に優れ、安全性の高いFRP圧力容器及びそ
の製造法を提供することを目的とするものである。さら
に、容易に、かつ、低コストで製造できるFRP圧力容
器及びその製造法を提供することを目的とするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、発明者等は、ライナーを傷つけることなく、容
易に、かつ、低コストで、FRPフープ層をライナーの
胴端部を越えてライナーの鏡部まで設ける方法を鋭意研
究するとともに、このFRPフープ層の影響についての
応力解析を有限要素法により行ない、本発明を完成し
た。
【0011】本発明のうちで請求項1記載の発明は、ラ
イナーの外面にFRPヘリカル層とFRPフープ層とを
順に積層されてなるFRP圧力容器において、FRPフ
ープ層端部の固定手段をFRPヘリカル層上の鏡部に設
けることにより、FRPフープ層を前記FRPヘリカル
層上にライナーの胴端部を越えて鏡部まで設けることを
特徴とするものである。FRPフープ層端部の固定手段
をFRPヘリカル層の鏡部に設けることによって、FR
Pフープ層をFRPヘリカル層上にライナーの胴端部を
越えて鏡部まで設けることができる。このライナーの胴
端部を越えて鏡部まで設けたFRPフープ層によって、
ライナーの鏡部の耐圧性を向上できる。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明の構成の固定手段が、突起部を有する板状部材からな
ることを特徴とするものである。固定手段が、突起部を
有する板状部材からなることにより、FRPフープ層の
周方向巻きの補強繊維が、固定手段の突起部で止められ
て、容器の軸方向に繊維が滑ることなく、FRPフープ
層をライナーの鏡部まで容易に延長して巻くことができ
る。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明の構成の固定手段が、リング状部材と複数の板状部材
からなり、これら板状部材が前記リング状部材の軸方向
に、これら板状部材の片面が前記リング状部材の内周面
と同一面上に設けられていることを特徴とするものであ
る。固定手段が、リング状部材を有することにより、F
RPフープ層の周方向巻きの補強繊維が、固定手段のリ
ング状部材で止められて、容器の軸方向に繊維が滑るこ
となく、FRPフープ層をライナーの鏡部まで容易に延
長して巻くことができる。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の
いずれかに記載の構成に加えて、FRPフープ層のライ
ナーの胴端部を越える長さが、多くとも、ライナー半径
の0.25倍の長さであることを特徴とするものであ
る。FRPフープ層のライナーの胴端部を越える長さ
を、多くとも、ライナー半径の0.25倍の長さ、好ま
しくは、ライナー半径の0.04から0.25倍の範囲
の長さにすることにより、FRP圧力容器の耐圧性を効
果的に改善できる。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項2又は3記
載の耐圧性に優れたFRP圧力容器の製造方法であっ
て、ライナー上にFRPヘリカル層を巻いた後、FRP
フープ層端部の固定手段の突起部又はリング状部材を、
FRPヘリカル層上の鏡部に配設し、このFRPフープ
層端部の固定手段の板状部材をFRPフープ層で固定し
ながら、FRPフープ層をFRPヘリカル層上にライナ
ーの胴端部を越えて、前記突起部又は前記リング状部材
まで巻くことを特徴とするものである。ライナー上にF
RPヘリカル層を巻いた後、FRPフープ層端部の固定
手段の突起部又はリング状部材を、FRPヘリカル層の
鏡部に配設することにより、FRPフープ層の周方向巻
きの補強繊維が、固定手段の突起部又はリング状部材で
止められて、補強繊維が容器の軸方向に滑ることなく、
FRPフープ層をライナーの鏡部まで容易に延長して巻
くことができる。この補強繊維に張力を作用させながら
巻くので、その巻き締め力により、固定手段の板状部材
はFRPヘリカル層とFRPフープ層との間に固定さ
れ、固定手段は動くことがない。
【0016】本発明の方法は、従来例(特開平8−21
9390号公報参照)と異なり、ライナーには段付き形
状等の切り欠きがないので、内圧によるライナーひび割
れの発生の心配がない。さらに、本発明の方法は、FW
法の工程中に、固定手段を組み込むことのみで、従来の
工程により、ライナーの外面にFRPヘリカル層とFR
Pフープ層が順に積層してFRP圧力容器を製造でき
る。このため、新たに発生するコストは、固定手段の製
作費のみであり、固定手段はプラスチック、ゴム等で容
易に、安価に製作できる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1から図
5により説明する。図1は、本発明のFRP圧力容器の
構造を示す図であり、図2は、本発明の別のFRP圧力
容器の構造を示す図であり、図3は、本発明の他のFR
P圧力容器の構造を示す図であり、図4は、本発明のF
RP圧力容器の応力分析の解析モデルの一例を示す図で
あり、図5は、本発明のFRP圧力容器の応力分析結果
を示す図である。
【0018】本発明の実施の形態のFRP圧力容器につ
いて図1により説明する。本発明のFRP圧力容器1
は、プラスチック製ライナー2、FRPヘリカル層3、
FRPフープ層4で構成されており、FRPフープ層4
はFRPヘリカル層3上にライナー2の胴端部を越えて
鏡部まで設けられている。図1の(a)に示す、突起部
5aを有する板状部材5bからなる滑り止め部品5(固
定手段)が、FRPヘリカル層3とFRPフープ層4と
の間に、FRP圧力容器の軸方向に平行に、FRP圧力
容器の円周方向に等間隔に、FRP圧力容器の頭部鏡部
6および底部鏡部8の両側に6個づつ設けられ、これら
滑り止め部品5の突起部5aはFRPヘリカル層3上の
頭部鏡部6および底部鏡部8の両側に配設されている。
また、FRPヘリカル層3上の頭部鏡部6および底部鏡
部8における前記突起部5aの位置を変えることによ
り、FRPフープ層4のライナーの胴端部を越える長さ
を任意に変えることができる。
【0019】本発明の実施の形態のFRP圧力容器につ
いて、「FRPフープ層端部位置」と、「繊維方向最大
応力/FRP層繊維引張強さ」との関係について、有限
要素法による応力解析を行った。解析条件は以下の通り
である。解析したFRP圧力容器は、半径Rが150m
m、長さLが約750mm、胴部長さが480mmであ
り、内容積が約50リットルの容器である。この容器の
ライナーはプラスチックライナーであり、ライナーの肉
厚は5mmである。これらFRPはガラス繊維強化プラ
スチック(GFRP)を用いた。有限要素法による応力
解析では、FRP圧力容器の対称性を考慮し、2次元軸
対称、1/4モデルとして、ライナーを弾塑性体、FR
P層を異方性弾性体として解析を行った。このときのラ
イナーの要素数79、FRP層の要素数は約100であ
る。FRPフープ層端部位置がライナーの胴端部である
解析モデルの一例を図4に示す。
【0020】有限要素法による応力解析において、FR
P圧力容器に内圧(6.4MPa:65kgf/c
2 )が作用したときの、ライナー胴部とライナー鏡部
の境界近傍の応力計算を行い、この結果を図5に示す。
図の横軸は、FRPフープ層端部位置を示している(図
5の上部の図を参照)。d(FRPフープ層のライナー
の胴端部を越える長さ)=0が、FRPフープ層端部が
ライナーの胴端部、すなわち、ライナー胴部と鏡部の境
界に一致することを示しており、dの値の−(マイナ
ス)側はFRPフープ層端部がライナー胴部側に、dの
値の+(プラス)側はFRPフープ層端部がライナー鏡
部側に位置することを示している。また、d/Rは「F
RPフープ層のライナーの胴端部を越える長さ/ライナ
ー半径」を示している。
【0021】図の縦軸は、「繊維方向最大応力/FRP
層繊維引張強さ」の比を示している。繊維方向最大応力
は、FRPヘリカル層およびFRPフープ層内の繊維に
作用する最大応力である。また、FRP層繊維引張強さ
は使用したガラス繊維の引張強さを示すものである。こ
のため、「繊維方向最大応力/FRP層繊維引張強さ」
の比が1を越えると、これらFRP層の繊維が破断する
こととなる。なお、図中○印は、FRPヘリカル層、●
印はFRPフープ層における「繊維方向最大応力/FR
P層繊維引張強さ」の比を示している。
【0022】図5に示されるように、FRPフープ層端
部が、ライナーの胴側から鏡側に移行するに従って、F
RPヘリカル層の「繊維方向最大応力/FRP層繊維引
張強さ」の比が1以上から減少している。そして、FR
Pフープ層端部がライナーの胴端部近傍で、FRPヘリ
カル層の「繊維方向最大応力/FRP層繊維引張強さ」
の比が1未満となり、FRPヘリカル層の繊維の破断が
防止されることが明らかになった。
【0023】さらに、FRPフープ層端部のライナーの
胴端部を越える長さが、ライナー半径を0.25倍を越
えると、FRPヘリカル層の「繊維方向最大応力/FR
P層繊維引張強さ」の比の減少が少なくなって効果がそ
れ以上でない。このことより、FRPフープ層端部のラ
イナーの胴端部を越える長さを、多くとも、ライナー半
径の0.25倍にすることにより、FRPヘリカル層に
よるFRP圧力容器の耐圧性を効果的に改善できること
が判明した。
【0024】一方、FRPフープ層の「繊維方向最大応
力/FRP層繊維引張強さ」の比は、ほとんど変化しな
ことが明らかになった。
【0025】通常、FRP圧力容器の規格(米国運輸省
FRP Standard等) では、FRP層の繊維の破断は、
フープ層で起こることが規定されている。応力解析の結
果より、FRPフープ層のライナーの胴端部を越える長
さがライナー半径の0.04倍以上では、FRPヘリカ
ル層の「繊維方向最大応力/FRP層繊維引張強さ」の
比が、FRPフープ層のそれより低くなることが判っ
た。すなわち、この領域では、FRPフープ層の繊維
が、FRPヘリカル層の繊維より破断しやすくなる。こ
のため、この規格を満足させるためには、FRPフープ
層のライナーの胴端部を越える長さがライナー半径の
0.04倍以上であることが好ましい。
【0026】以上、有限要素法の応力解析結果から、F
RP層フープ層をFRPヘリカル層上にライナーの胴端
部を越えて鏡部に延長させることにより、FRP圧力容
器の耐圧性能の改善が図れるとともに、FRPヘリカル
層の繊維の破断を防止でき、安全性および安定性を向上
できることが判明した。
【0027】さらに、本発明の別の実施の形態のFRP
圧力容器について、図2により説明する。本実施の形態
のFRP圧力容器は、FRPフープ層端部の固定手段の
滑り止め部品5が、図2の(a)に示すように、突起部
5aが板状部材5bの両端に設けられ、この板状部材5
bの両端に設けられた突起部5aがFRPヘリカル層上
の頭部鏡部6および底部鏡部8の両側に配設されたもの
である。この場合、先の実施の形態の滑り止め部品(図
1参照)に比べて、本実施の形態の滑り止め部品の位置
決め作業の時間が半分となる効果がある。
【0028】さらに、本発明の他の実施の形態のFRP
圧力容器について、図3により説明する。図3の(a)
に示されるような、輪状滑り止め部品10(固定手段)
を用いることもできる。この輪状滑り止め部品10はリ
ング状部材10aと複数の板状部材10bからなり、こ
れら板状部材10bが前記リング状部材10aの軸方向
に、これら板状部材10bの片面が前記リング状部材1
0aの内周面と同一面上に設けられている。このリング
状部材を、FRPフープ層のFW時に、FRPフープ層
端部滑り止めとして使用する。
【0029】このとき、リング状部材10aの径方向の
高さはFRPフープ層の厚みより高くすることが好まし
い。このリング状部材をFRP圧力容器のFRP層の保
護リングとして用いることができる。すなわち、FRP
圧力容器使用及び配送の際に、他の圧力容器との接触
時、または、FRP圧力容器の転倒時において、FRP
圧力容器のFRP層を保護できることとなる。
【0030】
【実施例】さらに、本発明の実施例について、図1によ
り説明する。本実施例のFRP圧力容器は前述の実施の
形態のFRP圧力容器と同じ形状の一般家庭用のLPG
用50リットル容器(外径310mm、高さ750m
m)である。この圧力容器のライナーは高密度ポリエチ
レンを素材として回転成形で成形した。このときのライ
ナーの厚みは5mmで、ライナー胴部長さは480mm
である。
【0031】図1に示すように、FW法によって、熱硬
化樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含浸させたガラス繊
維を巻いたFRPヘリカル層(厚さ:0.6mm)を作
成した。次に、FRPフープ層の長さを、480mm
(ライナー胴部長さ:従来FRP圧力容器)、500m
m(FRPフープ層のライナーのそれぞれの胴端部を越
える長さ10mm:本発明のFRP圧力容器A)および
520mm(FRPフープ層のライナーのそれぞれの胴
端部を越える長さ20mm:本発明のFRP圧力容器
B)に変えたFRPフープ層(厚さ:1.0mm)を作
成した。
【0032】FRPフープ層の長さ480mmの従来F
RP圧力容器については、常法の通り、FRPヘリカル
層の上から、ライナー胴部上に熱硬化樹脂を含浸させた
ガラス繊維を巻き付けてFRPフープ層を作成した。
【0033】一方、本発明のFRP圧力容器A、Bにつ
いては、FRPフープ層端部のプラスチック製の滑り止
め部品5をFRP圧力容器の軸方向に平行に、FRP圧
力容器の円周方向に等間隔に、FRPヘリカル層の頭部
鏡部6および底部鏡部8の両側に6個づつ設けた。これ
ら滑り止め部品5の突起部5aは、FRPヘリカル層上
に、それぞれライナー胴端部から10mmおよび20m
mの位置に配設した。なお、滑り止め部品はプラスチッ
クだけでなく、ゴム、さらには、アルミニューム等の金
属製品を用いることができる。
【0034】次に、このFRPフープ層端部の滑り止め
部品5の板状部材5bの上にFRPフープ層の補強繊維
を巻き付け、板状部材5bをFRPフープ層4により固
定した。さらに、この滑り止め部品5の板状部材5bを
FRPフープ層4で固定した状態で、FRPフープ層の
補強繊維をFRPヘリカル層上にライナーの胴端部を越
えて、突起部5aまで巻いた。本実施例の場合、FRP
フープ層は、水平に設けられたFRP圧力容器の軸を中
心にFRP圧力容器を回転させて、横方向から繰り出さ
れる熱硬化樹脂を含浸させたガラス繊維の巻き付けを行
うので、滑り止め部品を上方の面となるFRPヘリカル
層上の所定の位置に置き、横方向から繰り出される前記
繊維により、滑り止め部品の板状部材を前記繊維で固定
した状態でFRPフープ層をFRPヘリカル層上に巻き
付けた。
【0035】その後、従来FRP圧力容器および本発明
のFRP圧力容器A、BのFRPヘリカル層とFRPフ
ープ層を熱硬化処理を施した。この結果、これらFRP
圧力容器のFRPヘリカル層とFRPフープ層および滑
り止め部品を一体成形できたた。
【0036】これらのFRP圧力容器についてバースト
試験を行い、耐圧強度を調査した。バースト試験は、F
RP圧力容器の内圧を作用させて、破壊の有無を調査す
るもので、通常、FRP圧力容器の規格、指針等によ
り、LPG用の場合、バースト圧力は6.4MPa(6
5kgf/cm2 )以上で、かつ、破壊は圧力容器の胴
部から生じなければならないという合否判定基準があ
る。
【0037】バースト試験の結果、いずれのFRP圧力
容器も、内圧6.4MPa(65kgf/cm2 )で圧
力容器の破壊が生ぜず、基準で定められた耐圧強度をク
リアーした。しかしながら、従来FRP圧力容器は、内
圧6.6MPa(67kgf/cm 2 )で、容器鏡部の
ヘリカル層内の繊維が破断して破壊するという破壊形態
となり、FRP圧力容器の規格を満たさないことが判明
した。一方、本発明のFRP圧力容器Aのバースト圧力
は7.3MPa(74kgf/cm2 )であり、本発明
のFRP圧力容器Bのバースト圧力は7.4MPa(7
5kgf/cm2 )となり、従来FRP圧力容器より高
い耐圧性を示し、しかも、これらFRP圧力容器は、容
器胴部のFRPフープ層からの破壊しており、FRP圧
力容器の規格を満足することが明らかになった。
【0038】以上の実施例の結果は、前述の有限要素法
による応力解析の結果(図5参照)と良く対応する。す
なわち、FRPフープ層端部位置dが0mmである従来
FRP圧力容器の場合において、応力解析では、内圧
6.4MPa(65kgf/cm2 )作用時に、FRP
ヘリカル層の「繊維方向最大応力/FRP層繊維引張強
さ」の比がほぼ1(1以下)となり、バースト試験のバ
ースト圧力6.6MPa(67kgf/cm2 )とほぼ
対応している。本発明のFRP圧力容器A、Bの場合
(FRPフープ層端部位置dが+10mm、+20m
m)において、応力解析では、「繊維方向最大応力/F
RP層繊維引張強さ」の比が、いずれもFRPフープ層
内の方がFRPヘリカル層内よりも高くなっており、バ
ースト試験で破壊が胴部のFRPフープ層から生じたこ
とと対応している。
【0039】以上の結果より、FRPフープ層を前記F
RPヘリカル層上にライナーの胴端部を越えて鏡部まで
設けることにより、本発明のFRP圧力容器は耐圧性を
改善でき、さらに、FRP圧力容器の胴部破壊という破
壊形態にすることにより、FRP圧力容器の規格、指針
等を満足することができる。すなわち、本発明により、
FRP圧力容器の耐圧性能の改善のみならず、FRP圧
力容器の破壊形態のコントロールも容易に行うことがで
きる。
【0040】本発明は、本実施の形態や実施例に限定さ
れることなく、滑り止め部材の突起部を、FRP圧力容
器の円周方向に、FRPヘリカル層の頭部鏡部および底
部鏡部の両側に3個以上、好ましくは、6個以上設ける
ことができる。また、図6、7に示すように、突起部材
又はリング状部材のみをFRPヘリカル層の頭部鏡部お
よび底部鏡部の両側に、FRPヘリカル層上に固着させ
ることができる。例えば、FRPヘリカル層を硬化処理
を行い、その上にこれら突起部材又はリング状部材を接
着等するものである。さらに、FRPフープ層端部の固
定手段として、FRPフープ層の巻き方向に平行な溝部
を有する板状部材を用いることができる。この溝部によ
り、FRPフープ層端部を容器の軸方向に動かすことな
く固定するものである。
【0041】
【発明の効果】以上、説明したように、FRPフープ層
端部を固定する滑り止め部品を前記FRPヘリカル層と
前記FRPフープ層との間に設け、FRPフープ層を前
記FRPヘリカル層上にライナーの胴端部を越えて鏡部
まで設けることにより、ライナーのひび割れ発生の原因
となる段付き形状部をライナーに設けることなく、耐圧
性に優れ、圧力容器の規格を十分に満足する安全性の高
いFRP圧力容器を得ることを可能とするものである。
さらに、本発明の方法は従来のFW法に、滑り止め部品
を加えるだけで、容易にかつ低コストでFRP圧力容器
の製造を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態および実施例のFRP圧力
容器の構造を示す図であって、(a)は滑り止め部品を
示す図であり、(b)はFRP圧力容器の構造を示す図
である。
【図2】本発明の別の実施の形態のFRP圧力容器の構
造を示す図であって、(a)は滑り止め部品を示す図で
あり、(b)はFRP圧力容器観を示す図である。
【図3】本発明の他の実施の形態のFRP圧力容器の構
造を示す図であって、(a)は輪状滑り止め部品を示す
図であり、(b)はFRP圧力容器観を示す図である。
【図4】本発明のFRP圧力容器の応力分析の解析モデ
ルの一例を示す図である。
【図5】本発明のFRP圧力容器の応力分析結果を示す
図である。
【図6】本発明のFRP圧力容器の変形例を示す図であ
る。
【図7】本発明のFRP圧力容器の別の変形例を示す図
である。
【図8】従来のFRP圧力容器の断面の構成を示す図で
ある。
【図9】別の従来のFRP圧力容器の断面の構成を示す
図である。
【符号の説明】
1:FRP圧力容器 2:ライナー 3:FRPヘリカル層 4:FRPフープ層 5:滑り止め部品 5a:突起部 5b:板状部材 6:頭部鏡部 7:胴部 8:底鏡部 9:口金 10:輪状滑り止め部品 10a:リング状部材 10b:板状部材 11:内殻(ライナー) 12:外殻 12a:最内層(FRPフープ層) 12b:胴部の補強層(FRPフープ層) 12c:FRPヘリカル層 13:段付形状部 14:鏡部 15 突起部材 16 リング状部材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ライナーの外面にFRPヘリカル層とF
    RPフープ層とを順に積層されてなるFRP圧力容器に
    おいて、 FRPフープ層端部の固定手段をFRPヘリカル層上の
    鏡部に設けることにより、FRPフープ層を前記FRP
    ヘリカル層上にライナーの胴端部を越えて鏡部まで設け
    てなる耐圧性に優れたFRP圧力容器。
  2. 【請求項2】 前記FRPフープ層端部の固定手段が、
    突起部を有する板状部材からなる請求項1記載の耐圧性
    に優れたFRP圧力容器。
  3. 【請求項3】 前記FRPフープ層端部の固定手段が、
    リング状部材と複数の板状部材からなり、これら板状部
    材が前記リング状部材の軸方向に設けられるとともに、
    これら板状部材の片面が前記リング状部材の内周面と同
    一面上に設けられた請求項1記載の耐圧性に優れたFR
    P圧力容器。
  4. 【請求項4】 前記FRPフープ層のライナーの胴端部
    を越える長さが、多くとも、ライナー半径の0.25倍
    の長さである請求項1乃至3のいずれかに記載の耐圧性
    に優れたFRP圧力容器。
  5. 【請求項5】 請求項2又は3記載の耐圧性に優れたF
    RP圧力容器の製造方法であって、 ライナー上にFRPヘリカル層を巻いた後、FRPフー
    プ層端部の固定手段の突起部又はリング状部材をFRP
    ヘリカル層上の鏡部に配設し、このFRPフープ層端部
    の固定手段の板状部材をFRPフープ層で固定しなが
    ら、FRPフープ層をFRPヘリカル層上にライナーの
    胴端部を越えて、前記突起部又は前記リング状部材まで
    巻くことを特徴とする耐圧性に優れたFRP圧力容器の
    製造方法。
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