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JPWO2005006847A1 - 窒素制限下における生育の改善された植物の作出方法 - Google Patents

窒素制限下における生育の改善された植物の作出方法 Download PDF

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JPWO2005006847A1 JP2005511910A JP2005511910A JPWO2005006847A1 JP WO2005006847 A1 JPWO2005006847 A1 JP WO2005006847A1 JP 2005511910 A JP2005511910 A JP 2005511910A JP 2005511910 A JP2005511910 A JP 2005511910A JP WO2005006847 A1 JPWO2005006847 A1 JP WO2005006847A1
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広明 木坂
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哲也 三輪
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Abstract

本発明により、植物の2−OG含量を増大させることにより、植物の窒素吸収および代謝活性を亢進し、窒素を減じた、すなわち通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下での生育および/または収量が改善された植物を作出する方法が提供される。特に、本発明によりGDH遺伝子またはECASPC遺伝子を導入し、導入したGDH遺伝子またはECASPC遺伝子を植物内で発現させて2−OG含量を増加させることにより、または、植物にプロリンを葉面散布し2−OG含量を増加させることにより、植物の窒素吸収および代謝活性を亢進し、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下での生育および/または収量が改善された植物を作出する方法が提供される。また、そのような植物を窒素制限下で栽培する方法も提供される。

Description

本発明は、窒素制限下における植物の生育及び収量を改善する方法に関する。
近代的な集約農業で見られる窒素供給を目的とした大量の化成肥料の投下は、劇的な収量増加を実現した反面、過剰な硝酸態としての窒素の周辺環境への放出は、河川、湖沼の富栄養化による環境汚染、また、収穫物への硝酸の蓄積にともなう健康被害、さらに、土壌に残留する窒素に由来する温暖化ガスの発生といった環境側面からの問題を有する。また、窒素肥料の製造段階で大量の電力が必要とされる点も農業の環境負荷の遠因ともされる。すなわち、持続性の確保のためには、化成肥料、とりわけ、窒素肥料を減じた農法の実現が望まれてきた。
しかし、マメ科などの例外をのぞき、植物は空気中の窒素を固定することはできず、その窒素栄養は全面的に外部から与えられる硝酸、またはアンモニアに依存している。したがって、窒素は植物の生長にとっては、最大の制限因子であり、これからの農業は、現行収量の維持・増大に加え、上記の環境負荷を減少し持続性に配慮するという一見矛盾する課題を抱えていることになる。このような観点からの取り組み、すなわち、特に窒素源を減少させた条件下で充分な生育および収量を示す植物の開発および栽培に対する取り組みは、これまで不十分であった。例えば、近代的な集約農業に対して、環境に配慮した持続型のいわゆる有機農法も提唱されているが、そのような環境配慮型の有機農法では窒素肥料の施用は抑えられる反面、その収量性には問題が多かった。
植物の品種改良の観点から、このような課題の解決を目指した育種例、すなわち、窒素肥料の施肥を減少させた場合のような窒素制限下において充分な生育および/または収量が得られる植物の育種に成功した例はない。従って、植物の窒素利用効率を改変・向上せしめ、少ない窒素肥料投下で、収量が維持・向上した品種の育成、またはそのような植物品種を育成するための技術の開発が望まれてきた。
植物が無機窒素を有機体に同化する第一段階は、主にグルタミンを生成するためのグルタミン酸へのアンモニアの取込みであることが知られている。これはグルタミン合成酵素(GS)とグルタミン酸合成酵素(GOGAT)に触媒され、両者の反応の総和として、1分子のアンモニアが1分子の2−OGに同化され、1分子のグルタミン酸が生じる反応である。このGS/GOGATサイクルが、植物における窒素同化の主要な経路と考えられている(文献:Miflin and Lea:1976,Phyto chemistry,15:873−885)。
一方、微生物では、Cyanobacteriaや大腸菌を用いた研究より、2−OGとグルタミンの量的バランスが、硝酸の取り込み、および同化に関与する酵素遺伝子の発現を調節していると報告されている(文献:Forchammer and Tandeau−Marsac,1995,J Bacteriol 177:2033−2040;Jiangら,1998,Biochemistry 37:12795−12801)。しかし、これらの調節に関与するとされるPII蛋白質と相同性が高い遺伝子がシロイヌナズナ(Arabidopsis)より単離され、この遺伝子をタバコに導入し過剰発現させたところ、硝酸含量の増加は認められず、高等植物における窒素の蓄積は微生物と異なると考えられた(文献:Hsiehら,1998,Proc Natl Acad Sci USA 95:13965−13970)。一方、フェレドキシン依存型グルタミン酸合成酵素遺伝子をアンチセンス方向に導入し、グルタミン酸合成酵素の発現を低下させたタバコを用いて、硝酸還元酵素(以下NRと略す)の発現について調査した結果、硝酸及びショ糖、2−OGを与えるとNRの転写レベルが高くなり、グルタミンを与えるとNRの転写レベルが低くなることが報告されており(文献:Ferrario−Meryら,2001,Planta 213:265−271)、この文献では高等植物においても、2−OGとグルタミンの量がNRの調節に関与しているとされた。しかし、これらは、NRにのみ関する知見であり、窒素制限下での植物の生育への2−OGの影響については、言及されていない。また、2−OGは比較的不安定な化合物であり、散布等の目的に使用することは実際的ではないと考えられている。
また、GDH遺伝子を導入したトランスジェニック植物も作出されており、大腸菌由来NADP依存型GDH遺伝子(gdhA)を、除草剤ホスホノスリシン耐性付与を目的にタバコとトウモロコシに導入したところ、乾燥重量や全アミノ酸含量、水溶性carbohydrate含量が有意に増加したことが報告されている(文献:Lightfootら,CA2180786,1996)。同様にTianら(文献:CN00109779.2)は、Neurospora由来NADP依存型GDH遺伝子をタバコに導入し、遺伝子を導入していないタバコに比べて、生育が良好であったことを報告した。さらに、Aspergillus nidulans由来NADP依存型GDH遺伝子をトマトに導入し、果実中の遊離アミノ酸含量が増加したこと(文献:KisakaらJP11−376710)及び同遺伝子をバレイショに導入し、塊茎の重量及び塊茎数が増加したことが報告されている(Kisakaら、JP2000−404322)。しかし、いずれの報告においても、導入した遺伝子の機能については明確にされておらず、導入した遺伝子がどのように機能し、また、どのような効果からこれらの形質が生じたのか全く分かっていない。さらに、窒素制限下での植物の生長および/または収量の改善についても言及されていない。
一方、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子を植物に導入した報告はこれまでに無い。
本発明は、植物の窒素吸収および代謝活性を亢進し、窒素を減じた、すなわち通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下での生育および/または収量が改善された植物を作出する方法、およびそのような植物を窒素制限下で栽培する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、植物細胞が窒素栄養状態を感知するためのシグナル分子が存在することを想定し、かつそのシグナル分子として2−オキソグルタル酸(2−OG)を考慮した。すなわち、2−OGが植物細胞の窒素吸収、代謝を包括的に制御するシグナル分子であって、かかる物質の含量を人為的に増減させれば、植物細胞の窒素吸収、代謝を亢進した状態に保持できるものと考えた。また、そのような亢進した状態の植物は外部の窒素を活発に取り込むことができると考えられるため、窒素を制限した条件下でも、窒素栄養は充足され、生育、および収量の改善が見られると考えた。さらに、本発明者らは実際に、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(以下GDHと略す)活性またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(以下、ASPCと略す)活性を過剰に発現させることによって植物細胞の2−OG含量を増加させ、2−OG含量の増加した植物が窒素制限下において生育および/または収量が改善することを見いだし、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は植物の2−OG含量を増大させることを特徴とする、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で生育および/または収量が改善された植物を作出する方法である。
また、本発明はGDH遺伝子またはASPC遺伝子を導入し、その遺伝子を植物体内で発現させ、その結果2−OG含量が増加したことを特徴とする、通常栽培条件より窒素を制限した栽培条件下で生育および/または収量が改善された植物、およびその種子である。また、本発明はGDH遺伝子またはASPC遺伝子を導入し、その遺伝子を植物体内で発現させ、その結果前記植物の2−OG含量を増加させることを特徴とする、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で生育および/または収量が改善された植物を作出する方法でもある。
特に、本発明は、上記方法において、各植物に対して定められる標準窒素施肥量の下限から下限の1/10量の窒素量の範囲で標準窒素施肥量栽培条件と同等またはそれ以上の生育および/または収量が得られる、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で生育および/または収量が改善された植物を作出する方法である。
本発明は、窒素を制限した条件下で栽培することを特徴とする、上述の本発明の方法によって作出した植物を栽培する方法である。特に、本発明は、各植物に対して定められる標準窒素施肥量の下限から下限の1/10量の窒素施肥量の範囲という条件で上述の本発明の方法によって作出した植物を栽培する方法でもある。
さらに、本発明はプロリンを葉面散布することを含む、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で植物の生育および/または収量を改善する方法である。
図1は、構築したプラスミッドベクターの模式図である。Nos−Pro:ノパリンシンターゼプロモーター;NPTII:ネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ;Nos−Ter:ノパリンシンターゼターミネーター;35S−Pro:カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター;Mtd−AN−GDH:ミトコンドリアへのトランジェットペプチドを付加したアスペルギルス・ニデュランス由来グルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(GDH);HPT:ハイグロマイシンフォスフォトランスフェラーゼ;H:HindIII,B:BamHI,X:XbaI,Sp:SpeI,E:EcoRI;LB:レフトボーダー,RB:ライトボーダー
図2は、形質転換バレイショのPCR分析の結果を表す。 A:An−GDH遺伝子特異的プライマー使用、B:NPTII遺伝子特異的プライマー使用。レーン1:100bpマーカー、レーン2:非形質転換バレイショ、レーン3:形質転換バレイショMtd1、レーン4:形質転換バレイショMtd2、レーン5:形質転換バレイショMtd3、レーン6:形質転換バレイショMtd5、レーン7:形質転換バレイショMtd8。
図3は、形質転換シロイヌナズナのPCR分析の結果を表す。A:An−GDH遺伝子特異的プライマー使用、B:NPTII遺伝子特異的プライマー使用。レーン1:100bpマーカー、レーン2:非形質転換シロイヌナズナ、レーン3:形質転換シロイヌナズナMtd2、レーン4:形質転換シロイヌナズナMtd3、レーン5:形質転換シロイヌナズナMtd4。
図4は、形質転換バレイショのノーザン分析の結果を表す。A:葉組織より抽出したRNA、B:塊茎より抽出したRNA。10μg total RNAを電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色したパターン(A,Bそれぞれ下側のパターン)。An−GDH遺伝子全長をプローブに用いた。レーン1:非形質転換バレイショ、レーン2:形質転換バレイショMtd1、レーン3:形質転換バレイショMtd2、レーン4:形質転換バレイショMtd3,レーン5:形質転換バレイショMtd5、レーン6:形質転換バレイショMtd8。
図5は、形質転換シロイヌナズナのノーザン分析の結果を表す。葉組織より抽出したRNAを用いた。10μg total RNAを電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色したパターン(下のパターン)。An−GDH遺伝子全長をプローブに用いた。レーン1:非形質転換シロイヌナズナ、レーン2:形質転換シロイヌナズナMtd2、レーン3:形質転換シロイヌナズナMtd3、レーン4:形質転換シロイヌナズナMtd4。
図6A−Cは、GDH形質転換植物(シロイヌナズナ)の2−オキソグルタル酸(2−OG)、尿素、硝酸含量を表したグラフ。縦軸は新鮮質量あたりのそれぞれのモル数(nmol)を表す。Mtd3−10:形賀転換シロイヌナズナ(no.3系統)、Columbia:非形質転換シロイヌナズナ。(n=3)。
図6D−Fは、GDH形質転換植物(バレイショ)の2−オキソグルタル酸(2−OG)、尿素、硝酸含量を表したグラフ。縦軸は新鮮質量あたりのそれぞれのモル数(nmol)を表す。Mtd−8:形質転換バレイショ、Control:非形質転換バレイショ。(n=3)。
図7は、任意濃度のKNOを含むPNS培地で3週間培養したシロイヌナズナ葉組織の2−OG含量を表すグラフ。縦軸は生質量あたりのそれぞれのモル数(nmol)を表す。C:非形質転換シロイヌナズナ、M:形質転換シロイヌナズナ(Mtd3系統)。(n=3)。
図8は、任意濃度のKNOを含むPNS培地で3週間培養したシロイヌナズナ葉組織の硝酸含量を表すグラフ。縦軸は生質量あたりのそれぞれのモル数(nmol)を表す。C:非形質転換シロイヌナズナ、M:形質転換シロイヌナズナ(Mtd3系統)。(n=3)。
図9は、高等植物グルタミン酸デヒドロゲナーゼアミノ酸配列のアラインメント結果。AtGDH1:シロイヌナズナGDH1、AtGDH2:シロイヌナズナGDH2、LeGDH:トマト(Lycopersicon esculentum)GDH、NtGDH:タバコ(Nicotiana tabacum)GDH、ZmGDH:トウモロコシ(Zea mays)GDH
図10は、カビGDHと植物(トマト)GDHアミノ酸配列のアラインメント結果。AaGDH:アスペルギルス・アワモリGDH、ANGDH:アスペルギルス・ニジュランスGDH、LeGDH:トマトGDH。
図11は、展着剤、尿素及びプロリン水溶液をバレイショ葉組織に葉面散布し、散布1時間後及び5時間後の葉組織内の遊離プロリン含量を示したグラフである(n=6)。A:散布1時間後、B:散布5時間後
図12は、展着剤、尿素及びプロリン水溶液をバレイショ葉組織に葉面散布し、散布1時間後及び24時間後の葉組織内の2−OG含量を示したグラフである(n=6)。A:散布1時間後、B:散布24時間後
図13は、MtdECASPC形質転換シロイヌナズナのゲノムPCR分析結果を示す。
ECASPC特異的プライマーを用いて、PCR分析を行った。94℃−1分,55℃−1分,72℃−2分で30サイクルの反応を行った。1%アガロースゲルで電気泳動を行った後、エチジウムブロマイドで染色した。レーン1:1kbpマーカー、レーン2:mtdECASPCプラスミッドDNA、レーン3:mtdECASPC形質転換シロイヌナズナ,mtdECASPC2−2、レーン4:mtdECASPC形質転換シロイヌナズナ,mtdECASPC6−2、レーン5:mtdECASPC形質転換シロイヌナズナ,mtdECASPC8−1、レーン6:mtdECASPC形質転換シロイヌナズナ,mtdECASPC9−1。
図14は、MtdECASPC形質転換シロイヌナズナのRT−PCR分析を示す。シロイヌナズナの葉組織よりキアゲン社のPlant RNeasy Mini−Kitを用いてRNAを抽出した。RT−PCRはTaKaRaのRNA−PCR Kitを使用し、ECASPC特異的プライマーを用いて行った。94℃−1分,55℃−1分,72℃−2分で30サイクルの反応を行い、1%アガロースゲルで電気泳動した後、エチジウムブロマイドで染色した。レーン1:1kbpマーカー、レーン2:mtdECASPCプラスミッドDNA、レーン3:逆転写酵素反応を行っていないRNA、レーン4−5:非形質転換シロイヌナズナ、レーン6:mtdECASPC形質転換シロイヌナズナ,mtdECASPC2−2、レーン7:mtdECASPC形質転換シロイヌナズナ,mtdECASPC6−2、レーン8:mtdECASPC形質転換シロイヌナズナ,mtdECASPC8−1、レーン9:mtdECASPC形質転換シロイヌナズナ,mtdECASPC9−1。
前述したように、本発明者らは、植物細胞が窒素栄養状態を感知するためのシグナル分子の存在を想定した。すなわち、植物細胞の窒素吸収、代謝を包括的に制御するシグナル分子があって、かかる物質の含量を人為的に増減させれば、植物細胞の窒素吸収、代謝を亢進した状態に保持できるものと考えた。また、そのような亢進した状態の植物は外部の窒素を活発に取り込むことができると考えられるため、窒素を制限した条件下でも、窒素栄養は充足され、生育、および収量の改善が見られると考えた。さらに、本発明者らは、かかるシグナル分子として、2−オキソグルタル酸(2−OG)を想定した。
植物が無機窒素を有機体に同化する第一段階は、主にグルタミンを生成するためのグルタミン酸へのアンモニアの取込みであり、これはグルタミン合成酵素(GS)とグルタミン酸合成酵素(GOGAT)に触媒され、このGS/GOGATサイクルが、植物における窒素同化の主要な経路と考えられていることも既に述べたとおりである。したがって、植物細胞において、窒素の同化の程度、あるいは、窒素の欠乏の程度は2−OGの量に反映されると考えられる。
本発明者らは植物細胞の2−OG含量を増加させる一つの手段として、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)活性またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASPC)活性を過剰に発現させることを考案した。GDHはグルタミン酸を生成するため2−OGへアンモニアを取り込ませる場合と、逆に2−OGを生成するためにグルタミン酸からアンモニアを解離させる場合と可逆的な反応を触媒する。しかし、一般的にGDHはアンモニアに対して高いKm値を有するため、細胞内においては、2−OGにアンモニアを取り込みグルタミン酸を生成する反応より、グルタミン酸を2−OGとアンモニアに分解する方向にはたらくと考えられ、その反応の結果、2−OG含量の増加がおこることが期待された。一方、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼはオキサロ酢酸のアミノ基を転移する反応を触媒する酵素で、この反応の結果、アスパラギン酸と2−OGが生成され、2−OG含量の増加が期待された。
本発明者らはGDH遺伝子またはASPC遺伝子を導入した形質転換植物を作出し、実際に2−OG含量が増加することを確認し、さらに、当該植物が通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下における生育、および収量が改善することを確認した。
本発明の一つの実施態様においては、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)遺伝子またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASPC)遺伝子を含む核酸構築物が植物に導入され、得られた形質転換植物においてグルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子が発現することにより2−OG含量が増加し、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で生育および/または収量が改善された植物が得られる。
また、本発明の別の実施態様においては、内在性GDH遺伝子または内在性ASPC遺伝子のコピー数および/または転写量を増加させることによってGDHまたはASPCの活性を増強させ、植物体中の2−OG含量が増大し、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で生育および/または収量が改善された植物が得られる。転写量を増大させるためには、たとえば、転写活性因子を発現し得る遺伝子構築物を導入すること、および/またはエンハンサーのようなcis作用エレメントを導入することができる。そのような転写活性因子およびcis作用エレメントは当業者によく知られたものである。
本発明で利用するグルタミン酸デヒドロゲナーゼは、特にその由来が限定されるものではないが、より好ましくはアスペルギルス属微生物に由来するグルタミン酸デヒドロゲナーゼが用いられる。さらに、好ましくは、アスペルギルス・ニデュランス、およびアスペルギルス・アワモリに由来するグルタミン酸デヒドロゲナーゼが用いられる。さらに、上述したグルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、植物体内の生理条件下においてグルタミン酸から2−OGとアンモニアを生成する反応を優先的に触媒する活性を有する限り、当該酵素タンパク質において1以上のアミノ酸の欠失、置換、付加を有するグルタミン酸デヒドロゲナーゼも本発明において利用することができる。
また、本発明で用いられるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼも特にその由来が限定されるものではないが、好ましくは、エシェリシア・コリに由来するアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが用いられる。さらに、上述したアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する限り、当該酵素タンパク質において1以上のアミノ酸の欠失、置換、付加を有するアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼも本発明において利用することができる。
また、グルタミン酸デヒドロゲナーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの植物細胞の細胞内小器官に関する局在性についても、細胞質にかぎらず、ミトコンドリア、葉緑体、ペルオキシゾームなどに局在させたものを用いることができる。したがって、これらの細胞内小器官に当該酵素タンパク質を移行させるためのシグナル、またはトランジット・ペプチドをそのN末端、またはC末端に付加したグルタミン酸デヒドロゲナーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子も本発明において利用することができる。
このようなグルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子またはそのcDNAは公開された配列情報にもとづき、当業者であれば、比較的容易に調製することができる。たとえば、アスペルギルス・ニデュランスのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子については、そのゲノム遺伝子のヌクレオチド配列がGenbankのアクセッション番号X16121にその配列が公開されている。そのヌクレオチド配列を配列番号1に、アミノ酸配列を配列番号2に示す。その配列に基づきタンパク質をコードする部分を含むようにDNA断片が増幅するようなPCRプライマーを合成し、アスペルギルス・ニデュランスの培養菌体より抽出したRNAを鋳型にRT−PCRをおこなえば、容易にグルタミン酸デヒドロゲナーゼcDNAを得ることができる。アスペルギルス・ニデュランスのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のcDNA配列を配列番号17に示す。アスペルギルス・ニデュランスは、例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションからATCC10074、あるいはATCC11267として入手可能である。また、アスペルギルス・アワモリのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子についても、そのゲノム配列はGenbankにアクセッション番号Y15784として公開されている。そのヌクレオチド配列を配列番号3に、アミノ酸配列を配列番号4に示す。また、アスペルギルス・アワモリのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のcDNA配列を配列番号18に示す。アスペルギルス・アワモリ自体もATCC10548、あるいはATCC11358としてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから入手可能である。これらの菌株および配列情報から上述した方法と同様にグルタミン酸デヒドロゲナーゼcDNAを取得することができる。
アスペルギルス・ニデュランスのGDHとアスペルギルス・アワモリのGDHの相同性はアミノ酸配列において約84%である(図10)。
その他、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・アワモリ、トマト(Lycopersicon esculentum)のGDHアミノ酸配列のアラインメント結果を図10に、シロイヌナズナGDH1、シロイヌナズナGDH2、トマトGDH、タバコ(Nicotiana tabacum)GDH、トウモロコシ(Zea mays)GDHのアミノ酸配列のアラインメント結果を図9に示した。
更に、本発明においては、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子とは別個の、グルタミン酸から2−OGを生成する種々の酵素をコードする遺伝子を利用して、植物の2−OG含量を増大させ、常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で生育および/または収量が改善された植物を得ることができる。そのような酵素には、例えば、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼやアラニンアミノトランスフェラーゼが含まれる。
例えば、エシェリシア・コリK−12株のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子については、そのゲノムDNAの塩基配列がGenbankアクセッション番号X03629として登録されている。その配列に基づき、タンパク質をコードする領域を含むDNA断片が増幅されるようなPCRプライマーを合成し、そのプライマーを用いてエシェリシア・コリK−12株から抽出した染色体DNAを鋳型としてPCRを行えば容易にアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子を得ることができる。
また、本発明に従って、植物内の2−OG含量を高める方法として、プロリンの葉面散布によって、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で植物の生育および/または収量を改善することができる。葉面散布したプロリンは、葉組織内に吸収され、グルタミン酸へと代謝される。さらに、このグルタミン酸は、内在性のグルタミン酸デヒドロゲナーゼによって、2−OGに代謝されるため、組織内の2−OG含量を高めることができる。このようにプロリンを葉面散布することにより2−OG含量が増加した植物は、栽培期間中の施用窒素量を通常栽培条件より制限した条件下で生育および/または収量が改善される。
本発明において使用し得る核酸構築物は当業者によく知られた方法を使用して作成することができる。核酸構築物を単離し、その配列を決定する方法を含む分子生物学的手段については、例えば、Sambrookら、Molecular cloning−Laboratory manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Pressのような文献を参照することができる。あるいは、本発明に使用しうる核酸構築物を作成するためにPCR法をはじめとする遺伝子増幅が必要になることもあるが、そのような手法については、F.M.Ausubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.(1994)などを参照することができる。
本発明に使用する核酸構築物は一般に、植物細胞で機能する適切なプロモーター、例えば、ノパリン合成酵素遺伝子、カリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーター(CaMV35S)、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターなどの適切なターミネーター、その他の発現に必要な、あるいは有利な配列、及び、形質転換体を選抜するためのマーカー遺伝子、例えば、カナマイシン耐性、G418耐性、ハイグロマイシン耐性のような薬剤耐性遺伝子を含んでよい。
そのような構築物に使用しうるプロモーター5は構成的プロモーターであっても器官特異的または生育ステージ特異的であってもよく、使用する宿主、必要とする発現量、発現を特に意図する器官、または、生育ステージによって選択することができる。本発明の好ましい実施態様においては、器官、及び生育ステージに非特異的に発現する強力なプロモーターが使用され、例えば、CaMV35Sプロモーターがそのようなプロモーターの例として使用される。器官特異的プロモーターとしては、ファゼオリン遺伝子プロモーターやパタチン遺伝子プロモーターなどが使用される。本発明の最も好ましい実施態様においては、CaMV35Sプロモーターのような強力な構成的プロモーターで当該グルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子を駆動する構築物が使用される。
本発明において使用しうる遺伝子導入法は特に限定されず、植物細胞、あるいは植物体への遺伝子導入法として当業者に知られた方法を宿主に応じて選択することができる。例えば、本発明の実施態様の一つにおいては、アグロバクテリウムを用いた遺伝子導入法が利用される。このような形質転換系には、バイナリーベクターを使用することが望ましい。アグロバクテリウムを利用する場合は、形質転換に用いる核酸構築物は植物細胞に導入すべきDNA配列に隣接するT−DNA領域をさらに含む。好ましい実施態様においては移入された配列は左右のT−DNAボーダー配列の間に挿入される。このようなT−DNAをベースとする形質転換ベクターの適切な設計及び構築は当業者によく知られたものである。また、そのような核酸構築物を有するアグロバクテリウムを植物に感染させるための条件も当業者によく知られたものである。そのような技術、及び条件については、例えば、秀潤社、細胞工学別冊「モデル植物の実験プロトコル イネ・シロイヌナズナ編」(1996)を参照することができる。
本発明においては、他の遺伝子導入法を利用することもできる。使用しうる遺伝子導入方法の例としては、ポリエチレングリコールやカルシウムを用いたDNAのプロトプラストへの導入法、エレクトロポーレーションによるプロトプラストの形質転換法、パーティクルガンによる導入法等を挙げることができる。
上述したような遺伝的操作をおこなう植物種は特に限定されないが、植物体そのものを利用して形質転換を行う場合以外は、形質転換が容易で植物体への再生系が確立している植物種が好ましい。本発明に適した植物は前述の特性を有するもののほか、農業の環境負荷の低減という観点から、大量栽培技術の確立した植物種がより好ましい。本発明を実施するため適した植物としては、例えば、アブラナ科植物全般のほか、トマト、バレイショ、トウモロコシ、コムギ、イネ、サトウキビ、ダイズ、ソルガムなどが挙げられる。また、大量の窒素を与えることが困難な植物として、樹木・果樹などもあり、ポプラ、ユーカリ、リンゴなども挙げることができる。これらの植物におけるGDHまたはASPCの活性および特性は本発明の一つの実施態様で使用するアスペルギルス・ニデュランス由来のGDH(配列番号1および2)またはエシェリシア・コリK−12株由来ASPC(配列番号19および20)と同等である。従って、これらの植物についても、アスペルギルス・ニデュランス由来のGDH遺伝子(配列番号1)またはエシェリシア・コリK−12株由来のASPC遺伝子(配列番号19)を導入して2−OG含量を増大させることができる。また、同様にこれらのいずれかの植物由来のGDH遺伝子またはASPC遺伝子も本発明において使用することができる。上述したような遺伝的操作をおこなう器官、細胞は特に限定されず、使用する宿主、遺伝子導入法等に応じて選択することができる。例として、器官外植片、花粉、培養細胞、胚、植物体等を挙げることができるが、これらに限定されない。
次に上述したように操作された植物細胞等は、形質転換について選抜される。この選抜は、例えば、形質転換に使用した核酸構築物上に存在したマーカー遺伝子の発現に基づいておこなうことができる。例えば、マーカー遺伝子が薬剤耐性遺伝子である場合は、適当な濃度の抗生物質、または除草剤等を含む培地上で操作された植物細胞等を培養、または生育させることにより選択することができる。あるいは、マーカー遺伝子が、β−グルクロニダーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子などの場合はその活性についてスクリーニングすることにより形質転換体を選抜することができる。このようにして同定された形質転換体が植物体以外、例えば、プロトプラスト、カルス、外植片等である場合は植物体への再生がおこなわれる。この再生には使用する宿主植物について当業者に知られた方法を利用することができる。
このようにして得られた植物体は通常の方法、すなわち、非形質転換体と同様の条件で栽培してよく、本発明の核酸構築物を含む形質転換植物を同定するために、前述のマーカー遺伝子に基づく選抜に加えて、種々の分子生物学的手法を利用することができる。例えば、組換えDNA挿入断片の有無及びその構造を検出するためにはサザンハイブリダイゼーションやPCRを利用することができる。導入した核酸構築物に由来するRNA転写産物を検出・測定するためには、ノーザンハイブリダイゼーションやRT−PCRなどを利用することができる。
次に得られた形質転換体のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子の発現については、当該グルタミン酸デヒドロゲナーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼのタンパク質量、mRNA量、あるいは酵素活性の測定により評価される。例えば、グルタミン酸デヒドロゲナーゼタンパク質またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼタンパク質の量はウェスタンブロット等の方法により、mRNA量はノーザンブロット、定量的RT−PCR法によって評価することができる。また、植物抽出液中のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性の測定は、Amezianeらの方法に従えばよい(Ameziane R.,Bernhard K.,and Lightfood D.,Plant and Soil,221:47−57,2000)。また、植物抽出液中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性はChaoらの方法に従えばよい(Chao YP,Lai ZI,Chen P,Chen JT.,Biotechnology Progress,15:453−458,1999)
このようして、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子の発現または発現の増強が確認された形質転換植物は、さらに2−OG含量について評価される。2−OG含量は例えば、形質転換植物体全体またはその一部を破砕し、その抽出液を調製し、例えば、酵素法で定量することができる。植物抽出液の調製、および、2−OGの定量については、例えば、Usudaの方法にしたがえばよい(Usuda H.,Plant Physiol,78:859−864,1985)。
2−OG含量の増加については、通常の栽培条件、および、通常の栽培条件に比較して窒素が制限された条件において、その地上部(例えば、葉部、茎部、あるいはその両方、あるいは花器、果実の一部)、あるいは地下部(例えば、根、塊茎)における2−OG含量が、遺伝子導入の元株とした系統より、1.2倍以上増大した場合にその含量が増加したと判定する。
このようにして、2−OG含量の増加が確認された形質転換植物については、栽培期間中、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で栽培し、その生育、あるいは収量を評価することができる。ここでいう、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件とは、それぞれの植物の栽培の際に通常使用される標準窒素量、即ち、標準的な窒素施肥量よりも少ない窒素量、例えば、70%以下、好ましくは50%以下の量、を与える条件をいう。特に、本発明の方法によれば、標準窒素量の下限から下限の1/10量程度に減少した範囲の量の窒素を与える栽培条件においても標準窒素量を与える栽培条件と同等以上の生育および/または収量が達成される。例えば、農作物については、個々の農作物について、標準の窒素施肥量が定められている。例えば、バレイショでは、10aあたり窒素施肥量は標準で7kg(JRT日本イモ類研究会ホームページhttp://www.jrt.gr.jp/mini/pm_index.html;吉田稔著、まるごと楽しむジャガイモ百科、農文協、1988)、とされており、また、イネでは、10aあたり5〜15kg(日向康吉、羽柴輝良編、植物生産農学実験マニュアル、ソフトサイエンス社、1995;奈良県農業技術センターホームページ、http://www.naranougi.jp/sehi−kijyun/sehikijyun−index.html)とされている。また、シロイヌナズナなどの実験植物では、5mM以上の硝酸塩を含む培地が生育に適する標準培地とされる(Martinez−Zapater J.M.,and Salinas J.ed.,Methods in Molecular Biology Arabidopsis Protocols,Humana Press,New Jersey,1998)。このような標準窒素施肥量または標準培地中の窒素量は当業者にはよく知られたものである。
形質転換植物は、通常栽培条件より窒素を制限した条件下、すなわち、上述したように、窒素を標準的な窒素施肥量の下限から下限の1/10量程度に減少した範囲の量で栽培され、その生育および/または収量が評価される。生育は、地上部、または植物体全体の草丈、葉数、生重量、または、乾燥重量を測定することにより評価することができる。本明細書において生育の改善とは、このような植物体の部位、または全体に関するパラメーター(例えば、草丈、葉数、生重量、または、乾燥重量)の少なくとも1つが、同時期に標準的な窒素施肥量の下で栽培を開始した対照植物に対して、1.2倍以上上回っている状態と定義される。また、収量はその植物の収穫部位、例えば、バレイショならば塊茎、イネならば子実の総数、単位当たりの重量、または、得られる収穫部位の全体の重量を指標として評価することができる。したがって、本明細書において収量の改善(または増加)とは、このような収穫部位において、対照となる同時期に標準的な窒素施肥量の下で栽培を開始した植物区に比べて1.2倍以上増加したことと定義する。
このようにして、施用窒素量を、通常栽培条件より制限した条件下での生育、および収量が対照となる非形質転換体より改善された形質転換植物が同定されたならば、その形質が遺伝的に安定に保持されるか否かが調べられる。このためには、通常の条件に従い植物体を育成・栽培・採種し、後代における形質、その分離を解析すればよい。後代における導入核酸構築物の有無、その位置、その発現等は初代(T1世代)形質転換体と同様に解析することができる。
通常栽培条件より施用窒素量を制限した条件下での生育、および収量が改善された形質転換植物、すなわち、窒素制限下での成育抑制が解除された形質転換植物は、導入したゲノムに組み込まれた核酸構築物由来の配列に関してヘミ接合の場合もホモ接合の場合もあり得るが、必要に応じて交配すること等により、後代においてヘミ接合体もホモ接合体も導くことができる。ゲノムに組み込まれた核酸構築物由来の配列は後代においてメンデリズムに従い分離する。従って、形質の安定性の観点から子孫植物及び種子を取得するためには、ホモ接合植物を使用することが望ましい。
また、形質転換体は多くの場合、遺伝子座としては、1ヶ所に外来遺伝子が挿入されるが、複数の遺伝子座に挿入された多コピー形質転換体であることも珍しくはない。導入遺伝子の安定性等の理由で、本発明においては単一コピー形質転換体がより好ましい。例えば、T2(第2世代)でのカナマイシン抵抗性の分離比を調べることにより、導入遺伝子が1遺伝子座であるもの、すなわち単一コピー形質転換体を選択することができる。T1がヘミ接合体であって、導入遺伝子が1遺伝子座である場合は、メンデルの法則にしたがい、T2では、カナマイシン抵抗性と感受性が3:1に分離する。また、導入遺伝子が多コピー存在する場合は、抵抗性形質転換体の出現頻度が高くなる。従って、得られたT2種子を再びカナマイシンを含む培地に播種し、3:1の分離比を示す系統を選択し、導入遺伝子が1遺伝子座に存在すると考えられる形質転換体を選抜することによって、単一コピー形質転換体を得ることができる。
そのようにして得られた形質転換植物は天然に存在する同種の植物と同様の栽培条件に従って栽培することができ、施用窒素量を、通常栽培条件より制限した条件下で栽培され、非形質転換植物と同等、あるいはそれを上回る収穫物を提供することができる。また、このようにして作製された形質転換植物からその種子を得ることもできる。種子は同種の非形質転換植物と同様な方法によって容易に得ることができる。必要であれば、得られた種子の保存、殺菌、害虫駆除等も当業者によく知られた通常の方法によっておこなうことが出来る。
このように、遺伝子導入によって植物の2−OG含量を増加させることができるが、このような方法に加えて、アミノ酸の一種であるプロリンを葉面散布することによっても植物の2−OG含量を増加させることができる。具体的には、20mg/l〜500mg/lの範囲のプロリン水溶液を適当な展着剤と共に植物の葉面にスプレー等で散布すればよい。このようにプロリンの葉面散布を受けた植物は上述の方法と同様に2−OG含量を評価することができる。また、窒素制限条件における生育効果についても上述したのと同様な条件および方法で評価することが出来る。
本発明は、NADP−GDH遺伝子、またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子の過剰発現について操作された植物の作成および収量調査、成分分析に関する以下の実施例、または、プロリンの葉面散布を受けた植物の収量調査、成分分析に関する以下の実施例により具体的かつ詳細に例示される。
[実施例1].アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来NADP依存型GDH遺伝子の単離とTiプラスミドベクターの構築
(1)Aspergillus nidulans(A.nidulans)由来NADP依存型GDH遺伝子(An−GDH)の単離
A.nidulansをポテトデキストロース寒天培地にまき、一晩30℃で培養し、更に得れらたコロニーをデキストロース液体培地で2日間培養した。増殖した菌よりTotal RNAを調整した。
RNAはPoly(A)Quick mRNA Isolation Kit(Stratagene社)を用いてmRNAを精製した後、First−strand cDNA Synthesis Kit(Amersham Bioscience社)を用いてFirst−strand cDNAを作成した。作成したFirst−strand cDNAをテンプレートに用いてPCR反応を行った。PCR反応条件は、94℃−3分;94℃−45秒、59℃−30秒、72℃−90秒、35サイクル;72℃−10分とし、パーキンエルマー社のPCR system 2400を用いて行った。用いたプライマーは、5‘−TCT AGA ATG TCT AAC CCC CTT GTT GAG−3’(配列番号5)と5’−GAG CTC TCA CCA CCA GTC ACC CTG GTC−3’(配列番号6)である。その結果、約1.4kbpのバンドが認められ、予測される遺伝子のサイズと一致した。得られたPCR産物は、TA−Cloning−Kit(Invitrogen社)を用いてクローニングした。得られたクローンはシークエンサー(ABI社377A)を用いて塩基配列を決定した。既知のA.nidulans由来NADP依存型GDH遺伝子と一致し、これをAn−GDHとした(配列番号17)。
(2)Ti−プラスミドベクターの構築
更に、得られた遺伝子に、ミトコンドリアへのトランジェットペプチドをコードする塩基配列を付加した。これは、トマト由来NAD依存型GDH遺伝子の5‘側の配列で、プライマー,5’−CTG CAG ATG AAT GCT TTA GCA GCA AC−3’(配列番号7)と5’−TCT AGA TAA ACC AAG AAG CCT AGC TG−3’(配列番号8)を用いてPCRによって取得した。このようにして得られたAn−GDH遺伝子とミトコンドリアへのトランジェットペプチドをコードする塩基配列の連結は、4種のプライマー、5’−TCT AGA ATG AAT GCT TTA GCA GCA AC−3’(配列番号9),5’−GGG AAG GTT TAG ACA TTA AAC CAA GAA GCC T−3’(配列番号10),5’−AGG CTT CTT GGT TTA ATG TCT AAC CTT CCC−3’(配列番号11)及び5’−GAG CTC TTA CGC CTC CCA TCC TCG AA−3’(配列番号12)を用いて行った。このようにして得られたミトコンドリアへのトランジェットペプチド配列を付加したGDH遺伝子をMtd−An−GDHとした。このMtd−An−GDH遺伝子は、アグロバクテリウムによる形質転換用のベクター、Tiプラスミド,pIG121−HmのGUS領域と置換した(図1)。得られたTi−プラスミッドはAgrobacterium tumefaciens,EHA101に導入し、シロイヌナズナとバレイショの形質転換に用いた。
[実施例2].バレイショ形質転換体の作出
バレイショ(品種、メークイン)の形質転換は,Gordonら(文献:Plant Cell Reports,1993,12:324−327)の方法に従って行った。無菌的に誘導したマイクロチューバーを切り、チューバーディスクを作成し、2mg/lゼアチンと0.1mg/lインドール酢酸を加えたMS寒天培地上に植え、16時間日長、25℃で24時間培養した。構築した遺伝子を含むアグロバクテリウムは50mg/lカナマイシン及び50mg/lハイグロマイシンを含むYEP培地(10g/lバクトトリプトン,10g/l Yeast Extract,1g/lグルコース)に接種し、28℃で一晩振とう培養した。24時間培養したチューバーディスクにアグロバクテリウム液を加え感染させた。10分後、滅菌した濾紙を用いて、余分なアグロバクテリウム液を取り除き、先に用いたシャーレに移植し、同条件で、24時間培養した。その後、チューバーディスクは、50mg/lカナマイシン,300mg/lセファタキシム塩酸塩,2mg/lゼアチン及び0.1mg/lインドール酢酸を含むMS寒天培地に移植し、形質転換体の選抜を行った。再分化したシュートを再度前記選抜培地に移し、耐性の確認を行った。明らかにカナマイシン抵抗性が認められたシュートは、50mg/lカナマイシン及び300mg/lセファタキシム塩酸塩を含むMS寒天発根培地に移植し、根の分化を誘導した。発根した再分化植物は、最低3回茎頂部を切り取り、選抜発根培地に移植し、カナマイシン抵抗性の確認を行い、キメラ個体を排除した。このようにして得られた5個体は、土壌に馴化させ、塊茎を得た。
[実施例3].シロイヌナズナの形質転換体の作出
シロイヌナズナへの遺伝子導入はBechtoldら(文献:C.R.Acad.Sci.Paris,Life Science 316:1194−1199,1993)の方法に従った。培養土にシロイヌナズナの種子をまき、10日間16時間日長、24℃で栽培した幼植物を、ロックウール1個に1株ずつ移植し、更に2週間同条件で栽培した。植物が抽だいをはじめたら摘心し、更に1週間栽培を行った。アグロバクテリウムは50mg/lカナマイシン及び50mg/lハイグロマイシンを含むYEP培地で、28℃で24時間振とう培養し、遠心(7,000rpm,10分)によって集菌した。菌は浸潤用懸濁培地(1/2MS塩,1/2 B5ビタミン,5%ショ糖,0.5g/l MES,0.044μM ベンジルアミノプリン,pH5.7)に懸濁した。既に開花、結実している花器を除き、アグロバクテリウム懸濁液に漬け、デシケーターに入れ、15分間減圧(40mmHg)処理を行った。処理した植物は1ヶ月間栽培した後、種子を採集した。種子は、50mg/lカナマイシン及び100mg/lセファタキシムを含むMS寒天培地に播種し、選抜を行った。このようにして得られた形質転換体3株は、T3世代まで世代を更新し、カナマイシン抵抗性の分離が生じなくなった系統を解析に用いた。
[実施例4].導入遺伝子の確認
カナマイシンに抵抗性を示した選抜個体、バレイショ5個体、シロイヌナズナ3個体及び非感染植物よりDNAを抽出した。DNAの抽出はHondaら(文献:Honda and Hirai,1990,Jpn J Breed 40:339−348)の方法に従った。抽出したDNAを用いて、An−GDH遺伝子特異的プライマー、5‘−TCT AGA ATG TCT AAC CCC CTT GTT GAG−3’(配列番号13)と5’−GAG CTC TCA CCA CCA GTC ACC CTG GTC−3’(配列番号14)及びベクター内のNPTII遺伝子を増幅するためのプライマー、5’−CCC CTC GGT ATC CAA TTA GAG−3’(配列番号15)と5’−CGG GGG GTG GGC GAA GAA CTC CAG−3’(配列番号16)を用いてPCR分析を行った。反応は、94℃−3分;94℃−45秒、55℃−30秒、72℃−90秒、35サイクル;72℃−10分とし、パーキンエルマー社のPCR system 2400を用いて行った。PCR産物は1%アガロースゲルを用いて電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色した。
その結果、選抜した形質転換バレイショ(図2)及び形質転換シロイヌナズナ(図3)に、An−GDH遺伝子特異的なバンド(約1.5kbp)とNPTII遺伝子特異的なバンド(約1.1kbp)が認められ、非感染植物には、これらのバンドが認められないことから、An−GDH遺伝子を含むT−DHA領域が、形質転換バレイショ及び形質転換シロイヌナズナに導入されていることが分かった。
[実施例5].導入遺伝子の発現の確認(ノーザン分析)
An−GDH遺伝子が導入されていることが確認された形質転換バレイショ及び形質転換シロイヌナズナを用いて、導入した遺伝子の発現を確認するために、ノーザン分析を行った。
形質転換バレイショの葉組織、塊茎及び形質転換シロイヌナズナの葉組織より、SDS−フェノール法によってRNAを抽出した。抽出したRNAは、18%ホルムアルデヒドを含む1.2%アガロースゲルで電気泳動を行い、エチジウムブロマイドで染色した。ナイロンメンブラン(HybondN)にブロッティングした後、UVで固定し、ハイブリダイゼーションを行った。An−GDH遺伝子全長をプローブに用いた。ノーザンブロット及びプローブの作成はロシュ・ダイアグノスティックス社のDIG−High Prime DNA Labeling and Detection Starter Kit II 及びPCR DIG Probe Synthesis Kitを用いた。
その結果、形質転換バレイショの葉組織及び塊茎において、An−GDH遺伝子特異的バンドが確認された(図4)。導入した遺伝子が、形質転換バレイショの葉組織及び塊茎において転写発現していることがわかった。一方、形質転換シロイヌナズナ葉組織においても、An−GDH遺伝子特異的バンドが確認された(図5)。導入した遺伝子が形質転換シロイヌナズナの葉組織において転写発現していることが示唆された。非形質転換バレイショ及び非形質転換シロイヌナズナには、これらのAn−GDH特異的バンドは認められなかった。
[実施例6].導入した遺伝子の発現(NADP−GDH活性)
An−GDH遺伝子が導入されていることが確認された形質転換バレイショ及び形質転換シロイヌナズナを用いて、導入した遺伝子の発現を確認するために、NADP−GDH活性の測定を行った。
活性の測定はAmezianeら(文献:Plant and Soil,2000,221:47−57)の方法に従った。形質転換バレイショ(約0.2g)及び形質転換シロイヌナズナの葉組織(約0.2g)を液体窒素で凍結させ、乳鉢で破砕した後、重量の5倍量の抽出緩衝液{200mM Tris(pH8.0),14mM β−メルカプトエタノール,10mM L−システイン−HCl,0.5mM PMSF}を加えた。遠心チューブに移し、4℃、12,000rpmで30分間遠心した後、上清を限外濾過(Millipore,ウルトラフリー0.5フィルターユニット,バイオマックス−10)し、更に、抽出緩衝液で3回洗浄した。
活性の反応は、100mM Trsi(pH8.5),20mM 2−オキソグルタル酸,10mM CaCl,0.2mM NADPH,200mM NHClを含む反応液に、先に抽出した素酵素液を加え、波長340nmにおける吸光度の減少を測定した。抽出した素酵素液中のタンパク質濃度は、牛血清アルブミン(BSA)を標準タンパク質として、ブラッドフォード法で測定した。
その結果、形質転換バレイショは非形質転換バレイショに比べて約20−50倍の高い活性が認められた(表1)。形質転換シロイヌナズナにおいても、非形質転換シロイヌナズナに比べて、約5−12倍の高い活性が認められた(表2)。非形質転換体は殆んどHADP−GDH活性が認められなかったことから、これらの活性は、導入したAn−GDH遺伝子の発現による活性であると考えられた。
Figure 2005006847
Figure 2005006847
[実施例7].GDH遺伝子導入シロイヌナズナ及びバレイショの2−オキソグルタル酸(2−OG)、尿素、及び硝酸含量
形質転換バレイショ(Mtd 8)及び形質転換シロイヌナズナ(Mtd 3)の葉組織中の2−OG,尿素及び硝酸含量の測定を行った。バレイショはパワーソイル500gとバーミキュライト500gの混合土壌で1ヶ月間栽培した生育旺盛な植物体の葉組織を材料に用いた。シロイヌナズナはPNS培地(5mM KNOを含む)で3週間生育させた植物の葉組織を用いた。注出はAgarieら(文献:Plant Science,2002,162:257−265)の方法に従った。葉組織(約0.1g)を、液体窒素を用いて破砕した後、200μlの3% HCOを加えよく混合した。12,000rpmで10分間遠心した後、上清を別のチューブに移した。残った沈殿に再度、200μlの3% HCOを加え、よく混合した。12,000rpmで10分間遠心した後、上清を先のチューブに移した。回収した上清に50−70μlの5M KCOを加え、液を中性化した。リトマス試験紙を用いて、液のpHが中性であることを確認した後、滅菌水で液量を600μlに調製し、測定用のサンプルとした。硝酸及び尿素の測定にはロシュ・ダイアグノスティックス社のF−kit、硝酸及び尿素/アンモニアをそれぞれ用いた。2−OG含量の測定は、Amezianeら(文献:前掲)の方法を改変した。475μlの反応液{0.1M Tris−HCl(pH8.5),1.0mM CaCl,0.2mM NADPH,0.2M NHCl}に抽出したサンプル20μlを加え、340nmの吸光度を測定した後、グルタミン酸脱水素酵素(GDH)を5μl(10unit)加え、37℃で10分間反応させた。再度340nmの吸光度を測定し、酵素液を加えた後の吸光度値と酵素を加える前の吸光度値の差から、2−OG酸含量を算出した。
その結果、形質転換シロイヌナズナは非形質転換シロイヌナズナに比べて、2−OG含量が2.6倍、尿素含量が2倍、硝酸含量が1.2培に増加していた。一方、形質転換バレイショにおいても、非形質転換バレイショに比べて、2−OG含量が1.7倍、尿素含量が1.5倍、硝酸含量が1.3倍に増加していた(図6A−F)。
さらに、シロイヌナズナを培養する際の、培地中の窒素濃度を10,5,3,0.3,0.1mMに調整した培地で3週間培養したシロイヌナズナの葉組織を用いて、2−OG含量と硝酸含量を測定した。その結果、形質転換シロイヌナズナの2−OG含量と非形質転換シロイヌナズナの2−OG含量の差異が、培地中の窒素含量が減少するのに従って、増加する事が分かった(図7)。この結果より、導入したGDHは、グルタミン酸を分解し、2−OGとアンモニアを合成する方向に機能していると考えられた。また、硝酸含量は、3mM以上の窒素を含む場合、形質転換シロイヌナズナと非形質転換シロイヌナズナ共に、ほぼ一定の蓄積量が保たれ、その条件において形質転換シロイヌナズナは非形質転換シロイヌナズナに比べて最大1.3倍の蓄積量の増加が認められた。0.3及び0.1mMの窒素条件においても2.5−4.5倍の増加が認められた(図8)。この結果より、形質転換シロイヌナズナの葉組織中には、非形質転換シロイヌナズナよりも多くの硝酸が蓄積されていることが示され、このことは窒素の取り込み効率が向上していることを示唆した。
[実施例8].GDH遺伝子導入シロイヌナズナ及びバレイショの葉組織の窒素同化関連酵素の活性
形質転換バレイショ及び形質転換シロイヌナズナの葉組織(約0.1g)中のNADH依存型グルタミン酸合成酵素(NADH−GOGAT)、硝酸還元酵素(NR)及びグルタミン合成酵素(GS)の酵素活性を測定した。バレイショはパワーソイル500gとバーミキュライト500gの混合土壌で1ヶ月間栽培した生育旺盛な植物体の葉組織を材料に用いた。シロイヌナズナはPNS培地(5mM KNOを含む)で3週間生育させた植物の葉組織を用いた。素酵素液の抽出は、Groatら(文献:Plant Physiol,1981,67:1198−1203)の方法に従って行った。液体窒素を用いて葉組織を破砕した後、氷冷しておいた抽出バッファー{100mM Mes−NaOH(pH7.5),100mM sucrose,2%(v/v)メルカプトエタノール,15%エチレングリコール,0.1% PMSF}を500μl加え、穏やかに混合した。12,000rpm、0℃で20分間遠心した後、上清をウルトラフリー(Biomax−10K、ミリポア社)を用いて精製した。同じバッファーを用いて3回洗浄した後、100μlのバッファーに溶解し、酵素液とした。
NADH−GOGAT活性の測定は、同様にGroatら(文献:前掲)の方法に従った。500μlの反応液{100mM K−リン酸塩(pH8.2),100μM NADH,2.5mM 2−オキソグルタル酸,10mM L−グルタミン,1mMアミノオキシアセテート}を調製した後、酵素液10μlを加え混合した。340nmの吸光度を3分間測定し、NADHの消費に伴う吸光度値の減少を測定した。
NRの活性はFerrario−Meryら(文献:Planta,197,202:510−521)の方法に従った。490μlの反応液{50mM Mops−KOH(pH7.8),1mM NaF,10mM KNO,0.17mM NADH,10mM MgCl又は5mM EDTA}を調製し、酵素液10μlをそれぞれに加え混合した。16分後に1%スルファニルアミド(in 3N HCl)を500μl加え、更に、2% N−ナフチル−1−エチレン ジアミン ジクロロハイドレートを10μl加えた。12,000rpmで5分間遠心した後、540nmの吸光度を測定した。MgClを加えて反応した値からEDTAを加えて反応した際の値を引いた値をNR活性とした。
GSの活性もFerrario−Meryら(文献:前掲)の方法に従った。480μlの反応液{80mMグルタミン酸,20mM MgSO,1mM EDTA,100mMトリシン,6mMヒドロキシルアミン,8mM ATP}に20μlの酵素液を加え、30℃で15分間反応した。500μlの0.37M FeCl,0.2Mトリクロロ酢酸,0.67N HCl液を加え、反応を停止させた後、540nmの吸光度を測定した。
抽出した酵素液中のタンパク質濃度は牛血清アルブミン(BSA)を標準タンパク質として、ブラッドフォード法で測定した。その結果、形質転換シロイヌナズナは非形質転換シロイヌナズナに比べて、NADH−GOGAT活性,NR活性及びGS活性がそれぞれ、1.38倍、1.40倍及び1.25倍増加していた(表3)。一方、形質転換バレイショにおいても、非形質転換バレイショに比べて、NADH−GOGAT活性,NR活性及びGS活性がそれぞれ、1.33倍、1.36倍及び1.01倍増加していた(表4)。以上の結果より、形質転換シロイヌナズナ及び形質転換バレイショは、非形質転換体に比べて、窒素の吸収効率が向上したのみでなく、窒素代謝に関連する酵素が活性化され、窒素の代謝効率も向上していることが分かった。
Figure 2005006847
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[実施例9].形質転換バレイショの収量調査
形質転換バレイショを用いて、収量調査を行った。収量調査には形質転換バレイショ及び非形質転換バレイショ由来の種芋を用いた。窒素濃度を変えた条件で栽培した時の、生育及び塊茎重量、塊茎数等について調査した。標準条件として8.5リットル鉢に3kgのパワーソイル(全窒素1.2kg)を加えた場合と低窒素条件として7号鉢に300gのパワーソイル(全窒素0.12kg)を加えた場合の2区を設け、土壌の不足分はバーミキュライト(養分無し)を補填した。播種後3ヶ月後に収穫し、地上部重、塊茎重、塊茎数について調査した。
その結果、窒素1.2g区においては、形質転換バレイショは非形質転換バレイショに比べて、塊茎重量及び塊茎数がそれぞれ1.12−1.13倍及び1.09−1.23倍に増加した(表5)。窒素0.12g区(窒素制限条件)においては、形質転換バレイショは非形質転換バレイショに比べて、塊茎重量及び塊茎数がそれぞれ、1.29−1.35倍及び1.24−1.56倍に増加した(表6)。
Figure 2005006847
Figure 2005006847
[実施例10].形質転換シロイヌナズナの生育調査
形質転換シロイヌナズナ(Mtd 3)を用いて成長量の調査を行った。PNS培地(窒素源は硝酸態窒素のみ)のKNO濃度を0.1,0.3,3,5mMに改変し、ショ糖1%を加えた培地(テルモ8cmシャーレ使用)に播種し、1シャーレ当り8株ずつ培養した。播種後3週間後に地上部重量を測定した。データは8株全体の地上部重で、1区3シャーレの平均及び誤差を示した。その結果、形質転換シロイヌナズナは、非形質転換シロイヌナズナに比べて、低窒素条件においても生育が良く、生重量で1.1〜1.14倍の成長量を示した(表7)。
Figure 2005006847
[実施例11].プロリン水溶液のバレイショ植物への葉面散布
バレイショ(品種、メイクイーン)を用いて、プロリン液を葉面散布した際の、生育や収量に及ぼす効果について調査した。バレイショ塊茎を、パワーソイル(呉羽化学)1.5kgを入れた7号鉢に播種した。パワーソイルに含まれる窒素肥料は表8の通りである。通常の栽培では、元肥として窒素肥料が5g程度使用され、この栽培試験は低窒素条件で栽培を行ったことになる。
葉面散布は、展着剤区(アプローチBI,花王)、尿素区(展着剤+0.87mM尿素)、プロリン区(展着剤+1.75mMプロリン)の3区を設け、播種後1ヶ月目頃(開花直前)から、1週間毎に1株当り約20mlスプレーした。散布は合計6回(6週間)行い、播種後3ヶ月目に収穫を行った。
Figure 2005006847
[実施例12].プロリン葉面散布バレイショ葉組織の遊離プロリン含量と2−オキソグルタル酸(2−OG)含量の測定
展着剤及び尿素、プロリンの各水溶液をバレイショの葉面に散布した後、経時的に遊離プロリン含量及び2−OG含量の測定を行った。葉面散布後、1,3,5,8時間目の植物の茎頂部より3枚目の葉組織をサンプリングし良く水洗いし試料とした。液体窒素を用いて破砕した後、生重量の5倍量の80℃に加温した80%エタノールを加え、さらに、80℃で20分間インキュベートした。12,000rpmで10分間遠心した後、上清を別のチューブに移した。再度、80%エタノールを加え80℃で20分間インキュベートし、遠心し、上清を回収し、同様な抽出を合計3回行った。エタノール抽出物は凍結乾燥させた後、300μl滅菌水及び200μlエチルエーテルを加え、よく混合した後、12,000rpmで10分間遠心した。上層のエチルエーテル層を取り除いた後、水層を200μl別のチューブに移し、再度凍結乾燥した。200μlの0.02N塩酸に溶解した後、0.22μmのフィルターを用いて濾過した。このようにして得られた抽出液を、日立高速アミノ酸分析装置(L8800)を用いて分析した。同様な植物サンプルを用いて、2−OG含量の測定を行った。2−OGの抽出及び含量の測定は、実施例7に記した方法と同様に行った。
その結果、葉面散布1時間後の葉組織中のプロリン含量に3区間で、有意な差異は認められなかったが、散布5時間後にはプロリン散布区の葉組織中の遊離プロリン含量が有意に増加した(図11)。葉面散布したプロリンが葉組織内に取り込まれているものと考えられた。同様に、葉組織内の2−OG含量を測定した結果、葉面散布後1時間後の葉組織内の2−OG含量に3区間で、有意な差異は認められなかったが、散布24時間後にはプロリン散布区の葉組織中の2−OG含量が有意に増加することが分かった(図12)。葉面散布したプロリンは、葉組織内に取り込まれた後、2−OGに代謝され、TCAサイクルに取り込まれるものと考えられた。
[実施例13].プロリン葉面散布バレイショの収量調査
播種後1ヶ月目のバレイショ植物に展着剤、尿素及びプロリン水溶液を1週間毎に6回葉面散布を行った。各区6鉢ずつ栽培を行い、茎数を1本に統一し、播種後から3ヶ月間栽培を行った。1鉢毎に塊茎を収穫し、1鉢当りの塊茎重量及び塊茎数を求めた。
その結果、塊茎重量において、展着剤区は1鉢当りの塊茎重量が145.8g、尿素区が140.1g、プロリン区が158.4gとなり、プロリン区は展着剤区に比べて、1.1倍に塊茎重量が増加した。一方、塊茎数においては、展着剤区が8.2個、尿素区が6.8個、プロリン区が8.2個となり、塊茎数に関しては、差異は認められなかった(表9)。以上の結果より、プロリンを葉面散布することによって、塊茎収量が増加することが分かった。
Figure 2005006847
[実施例14].大腸菌由来アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ECASPC)遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナの作出
大腸菌で既に報告されているアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子(ECASPC)の配列情報(Genbankアクセッション番号X03629)を元に、ECASPC遺伝子を単離した(ヌクレオチド配列:配列番号19,アミノ酸配列:配列番号20)。同遺伝子に、実施例1で述べたように、ミトコンドリアへのトランジェットペプチド配列を付加した(mtdECASPC)。この遺伝子を、植物形質転換用のTi−プラスミッドベクター、pBI121のGUS領域と置換した後、Agrobacterium tumefaciens,EHA105に形質転換した。このAgrobacteriumを用いて、実施例3と同様な方法で、シロイヌナズナにmtdECASPC遺伝子を導入した。カナマイシンを含む培地に播種し、耐性個体を選抜し(T1世代)、次世代でカナマイシン耐性の耐性と感受性が3対1に分離する系統を得た(T2世代)。さらに次世代で、すべての個体がカナマイシン耐性を示す系統(T3世代)を、4系統(mtdECASPC2−2,mtdECASPC6−2,mtdECASPC8−1及びmtdECASPC9−1)選定した。得られた形質転換体における導入遺伝子の確認はゲノムPCR法により実施例4と同様に行った。また、導入した遺伝子の転写発現はRT−PCR法によって解析した。シロイヌナズナの葉組織よりキアゲン社のPlant RNeasy Mini−Kitを用いてRNAを抽出した。RT−PCRはTaKaRaのRNA−PCR Kitを使用し、ECASPC特異的プライマーを用いて行った。94℃−1分,55℃−1分,72℃−2分で30サイクルの反応を行い、1%アガロースゲルで電気泳動した後、エチジウムブロマイドで染色した。
その結果、カナマイシン耐性を示した形質転換シロイヌナズナには、ポジティブコントロールとして用いたmtdECASPCプラスミッドDNAをテンプレートに用いた場合と同じサイズのバンドが確認された(図13)。これは、カナマイシン耐性を示した形質転換シロイヌナズナのゲノム内に、mtdECASPC遺伝子が導入されていることを示唆する結果であった。一方、RT−PCR分析においても、形質転換シロイヌナズナに、mtdECASPC特異的バンドが確認された(図14)。このバンドは、非形質転換シロイヌナズナにバンドが認められず、また、逆転写反応を行っていないRNAをテンプレートに用いた場合においてもバンドが認められないことから、ゲノムの混入は無いと考えられた。すなわち、これは、導入したmtdECASPC遺伝子が形質転換シロイヌナズナ内で、転写されていることを示唆する結果であった。
[実施例15].ECASPC遺伝子形質転換シロイヌナズナの窒素制限条件での生育調査
得られた形質転換体を用いて、実施例10の要領で、生長量の調査を行った。窒素源が硝酸態窒素のみであるPNS培地を用いた。培地のKNOの濃度を5mM及び10mMとし、各々1%ショ糖を加えた。無菌的に種子を播種し、1週間後に、生育が揃った株10株を残した。さらに2週間後(播種から3週間後)に、10株の地上部重量を測定した。2プレートの平均と誤差を表10に示した。その結果、mtdECASPC遺伝子導入シロイヌナズナは、遺伝子を導入していない非形質転換シロイヌナズナに比べて、地上部生重量の顕著な増加が認められ、窒素5mM区では、1.18−1.28倍、窒素10mM区では、1.12−1.38倍の増加を示した。
Figure 2005006847
[実施例16].MtdECASPC遺伝子導入シロイヌナズナの2−OG含量の測定
実施例14で選抜した4系統のmtdECASPC遺伝子導入シロイヌナズナを用いて、2−OG含量の測定を行った。KNOを5mM、ショ糖を1%含むPNS培地に無菌的に種子を播種し、24℃、16時間日長で2週間生育させた植物の地上部を用いた。2−OGの抽出及び含量の測定は、実施例7に記した方法と同様に行った。
その結果、mtdECASPC遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナは、同遺伝子を導入していない非形質転換シロイヌナズナに比べて、地上部組織中の2−OG含量が、1.27−1.93倍に顕著に増加していることが分かった。これらの結果は、GDH遺伝子を導入した形質転換植物に認められた結果と、非常に酷似するものであった。
Figure 2005006847
【配列表】
Figure 2005006847
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Claims (10)

  1. 植物の2−オキソグルタル酸(2−OG)含量を増大させることを特徴とする、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件で生育および/または収量が改善された植物を作出する方法。
  2. グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)遺伝子を導入し、その遺伝子を植物体内で発現させ、その結果前記植物の2−OG含量を増加させることを特徴とする、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で生育および/また収量が改善された植物を作出する方法。
  3. プロリンを植物の葉面に散布し、その結果前記植物の2−OG含量を増加させることを特徴とする、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で生育および/また収量が改善された植物を作出する方法。
  4. ECASPC遺伝子を導入し、その遺伝子を植物体内で発現させ、その結果前記植物の2−OG含量を増加させることを特徴とする、通常栽培条件よりも窒素を制限した栽培条件下で生育および/また収量が改善された植物を作出する方法。
  5. 窒素を制限した栽培条件で栽培することを特徴とする、2−OG含量が増加した植物を栽培する方法。
  6. 窒素を制限した栽培条件で栽培することを特徴とする、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)遺伝子が導入され、その結果2−OG含量が増大した植物を栽培する方法。
  7. 窒素を制限した栽培条件で栽培することを特徴とする、プロリンを葉面散布し、その結果2−OG含量が増大した植物を栽培する方法。
  8. 窒素を制限した栽培条件で栽培することを特徴とする、ECASPC遺伝子が導入され、その結果2−OG含量が増大した植物を栽培する方法。
  9. 標準窒素施肥量の下限から下限の1/10量の範囲の窒素量という栽培条件下においても標準窒素施肥量栽培条件と同等またはそれ以上の生育および/または収量が得られる、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 窒素を制限した栽培条件が、標準窒素施肥量の下限から下限の1/10量の範囲の窒素施肥量という条件下である、請求項6〜8記載の方法。
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