JPWO2007072648A1 - 質量分析システムおよび質量分析方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、複数の物質が存在しうる試料中に含まれる物質、とりわけ微量物質をもれなく正確で効率的に解析するための質量分析システムを提供することを課題とする。さらには、該質量分析システムを用いた物質の解析方法を提供することを課題とする。既に解析結果を取得した物質について、次回の質量分析で重複して解析を行うことを避けるため、既解析物質において取得した情報(時間情報、m/z値、定量値等)を独自にデータベース化し、該データベースに蓄積されたデータと同様のデータを有するピーク物質について、再度の解析を回避しうるアルゴリズムを含む質量分析システムによる。
Description
本発明は、質量分析によりタンパク質、ポリペプチド、糖等の生体高分子の構造および定量値を解析する場合に、時間が短縮され、かつ正確で効率的に物質を解析しうるアルゴリズムを含む質量分析システムに関する。さらには該質量分析システムを用いた質量分析方法に関する。
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2005−368472号優先権を請求する。
ある試料中に存在する微量の物質を精密に測定するためには、多数の共存物質からの分離と対象物の正確な検出・同定とが必要となる。分離の方法としては、分離能力に優れたクロマトグラフィーがあり、検出・同定の方法としては、同定能力に優れたマススペクトロメトリー(MS:質量分析法)がある。この2種類の手法をオンライン等で結合させた優れた分離能、検出感度、同定能力を有する分析法として、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS:Gas Chromatgraphy/Mass Spectrometry)や、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS:Liquid Chromatgraphy/Mass Spectrometry)等が挙げられる。
液体クロマトグラフィー質量分析法(以下、単に「LC/MS」という。)は、液体クロマトグラフィー(LC)および質量分析(MS分析)の部分と、それを結びつけるインターフェースの部分とで構成される。
MSは、試料をイオン化し、生成イオンを質量分析計の方向へ加速するイオン源、イオンを質量/電荷比(m/z)(以下、単に「m/z」という。)に従い分離する質量分析計とm/zに 従って分離されたイオンを検出するイオン検出器から構成される。MS分析は、イオン化とイオン計測法により種々の組み合わせが存在し、それぞれ特色がある。
イオン化法では特にエレクトロスプレーイオン化(ESI)法とマトリクスアシステッドレーザーディソープションイオン化(MALDI)法が有用である。ESI法は、タンパク質溶液を微細なノズルから噴射してイオン化する方法で、MALDIではマトリクスと呼ばれる物質と混合して測定基板上に結晶化させ、照射したレーザー光をマトリクスが吸収することでタンパク質を一緒に気化させ、イオン化する。
イオン化された試料を解析する計測法としては、イオントラップ法、飛行時間(TOF)法、四重極(qQ)法、フーリエ変換法等が挙げられる。
質量分析装置として、MALDI法とTOF法を組み合わせたMALDI-TOF型、ESI法とqQ法を組み合わせたESI qQ型、MALDI-TOF型とESI qQ型の長所を組み合わせたESI qQ-TOF型等が公知である。
MSは、試料をイオン化し、生成イオンを質量分析計の方向へ加速するイオン源、イオンを質量/電荷比(m/z)(以下、単に「m/z」という。)に従い分離する質量分析計とm/zに 従って分離されたイオンを検出するイオン検出器から構成される。MS分析は、イオン化とイオン計測法により種々の組み合わせが存在し、それぞれ特色がある。
イオン化法では特にエレクトロスプレーイオン化(ESI)法とマトリクスアシステッドレーザーディソープションイオン化(MALDI)法が有用である。ESI法は、タンパク質溶液を微細なノズルから噴射してイオン化する方法で、MALDIではマトリクスと呼ばれる物質と混合して測定基板上に結晶化させ、照射したレーザー光をマトリクスが吸収することでタンパク質を一緒に気化させ、イオン化する。
イオン化された試料を解析する計測法としては、イオントラップ法、飛行時間(TOF)法、四重極(qQ)法、フーリエ変換法等が挙げられる。
質量分析装置として、MALDI法とTOF法を組み合わせたMALDI-TOF型、ESI法とqQ法を組み合わせたESI qQ型、MALDI-TOF型とESI qQ型の長所を組み合わせたESI qQ-TOF型等が公知である。
LC/MSは、タンパク質同定や翻訳後修飾解析のための強力なツールとして広く利用される。タンパク質を特定のタンパク質分解酵素で消化すると、得られるペプチド断片の質量のセットは、各タンパク質に固有(フィンガープリント)である。酵素消化等で得られるフィンガープリントだけでは情報量が少ないため、Peptid Mass Finger Print(PMF)の手法によりペプチド断片の配列を解析することで、タンパク質の同定をより確実に行うことができる。すでに幾種かのタンパク質について、ペプチド断片の質量のセットに関する情報が一般のデータベースに登録されており、これらのデータベース情報と、解析用検索ツール、例えば公知のMascot(R)(Matrix Science)を利用して、ペプチド配列の同定並びにタンパク質の同定を行うこともできる。
LC/MSやGC/MSでは、解析時間を短縮することが課題として挙げられてきた。上記課題解決のために、クロマトグラフィーに要する時間を短縮することで、分析に要する時間を短縮することの各種検討がなされてきた(非特許文献1、特許文献1)。
MS分析では、クロマトグラフ上のピーク値(頂点・最大値)を解析することによってm/z情報を得るが、多段階分析可能なタンデム型質量分析装置では、1度目のMS分析で検出されたイオンピークのうち、強度の強いピークの順に、親イオンとして選択したものについて2度目のMS分析がなされるデータディペンダント(Data Dependent)機能を有する。Finnigan社製のイオントラップ型質量分析装置では、2度目のMS分析をする際の親イオンMSにおけるピーク情報から選択する際、ユーザーが予め指定したm/z値を持つイオン種を、親イオンとして選択回避する、ダイナミックイクスクルージョン(Dynamic Exclusion)機能を備えている。前記ダイナミックイクスクルージョン機能では、m/z値のみを判断基準としてしまうため、m/z値としては同じでも質量数や電荷数が異なる未分析の物質についても選択回避されてしまう可能性がある。そこで、MS分析装置から得られる質量数や電荷数等の生データを有効活用して重複解析を回避する方法について開示があった(特許文献2)。しかし、より正確に重複解析を回避する方法が求められている。
Today's Chemist at Work, Vol. 9, No.2, 46-48, 2000 特許第3091866号公報
特開2005−91344号公報
Today's Chemist at Work, Vol. 9, No.2, 46-48, 2000
本発明の課題は、少なくとも液体クロマトグラフィー(以下、単に「LC」という。)と質量分析(以下「MS分析」という。)システムを含み、試料中に含有可能性のあるタンパク質、ポリペプチド、糖等の物質を解析するシステムにおいて、時間が短縮され、かつ正確で効率的な物質解析のための質量分析システムおよび質量分析方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)、前記LCにより得られたピーク物質のMS分析により得られたm/z情報(2)および前記物質の定量値を計算して得た定量値情報(3)をデータベース(1)に登録し、すでにデータベース(1)に登録された物質については、再度の解析を回避しうるアルゴリズムを含む質量分析システムによる。さらには、該質量分析システムを用いた質量分析方法による。
即ち本発明は以下よりなる。
1.試料中に含有可能性のある物質の解析システムにおいて、少なくとも液体クロマトグラフィー(LC)と質量分析(MS分析)を含み、以下の手順からなるアルゴリズムを含むことを特徴とする質量分析システム:
1)LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得し;
2)前記LCにより得られたピーク物質をさらにMS分析したものについて、ピーク物質中の物質の質量数/電荷比(m/z)情報(2)を取得し;
3)前記1)により得られた時間情報(1)と、前記2)により得られたm/z情報(2)を情報(A)として取得し;
4)前記情報(A)にかかる物質の定量値を計算して定量値情報(3)を取得し;
5)前記定量値情報(3)を含むものを情報(B)として取得し、
6)情報(A)および情報(B)をデータベース(1)に登録する。
2.試料中に含有可能性のある物質の解析システムにおいて、少なくともLCとMS分析を含み、以下の手順からなるアルゴリズムを含むことを特徴とする質量分析システム:
1)LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得し;
2)前記LCにより得られたピーク物質をさらにMS分析したものについて、ピーク物質中の物質の質量数/電荷比(m/z)情報(2)を取得し;
3)前記1)により得られた時間情報(1)と、前記2)により得られたm/z情報(2)を情報(A)として取得し;
4)情報(A)にかかる物質をシステム内部で分解し、それを再度MS分析し;
5)情報(A)にかかる物質の定量値を、上記再度のMS分析により定量値を計算して定量値情報(3)を取得し;
6)前記定量値情報(3)を含むものを情報(B)として取得し、
7)情報(A)および情報(B)をデータベース(1)に登録する。
3.情報(A)および情報(B)に加えて、解析対象物の構造にかかる情報(C)をさらにデータベース(1)に登録する前項1または2に記載の質量分析システム。
4.前項1に記載の手順1)〜4)または前項2に記載の手順1)〜5)を繰り返して行った後、解析対象物が、前記データベース(1)に登録された物質と同じと判断された場合に、既に解析した物質であると判断し、前記データベース(1)に登録された物質と異なると判断された場合に、未解析物質と判断する、前項1〜3のいずれか1に記載の質量分析システム。
5.前記未解析物質と判断された物質について、取得した情報(A)および(B)、または、取得した情報(A)、(B)および(C)をさらにデータベース(1)に登録する前項4に記載の質量分析システム。
6.既に解析した物質若しくは未解析物質を、データベース(1)に基づいて作成した回避リスト(1)から判断する前項4または5に記載の質量分析システム。
7.物質Mについての定量値の判定基準定数をαとしたときに、情報(A0、A1)および(B0、B1)を各々取得し、比較したい物質(M0、M1)について、各々前項1に記載の手順4)および5)による定量値情報(3)を得、一方の物質(M0)の定量値情報(B0)を1.0と換算し、他方の物質(M1)の定量値情報(B1)の定量値情報(B0)に対する定量比(B1/B0)をα1と換算し、α1値が1/α≦α1≦αの範囲にある場合は、M0とM1の定量値は実質的に同一と判断し、α1値が1/α>α1あるいはα1>αの場合にはM0とM1の定量値が異なると判断する、前項1〜6のいずれか1に記載の質量分析システム。
8.前記MS分析が、同位体標識法を用いた比較定量法により行われる前項1〜7のいずれか1に記載の質量分析システム。
9.同位体標識法を用いた比較定量法が、ICAT法である前項8に記載の質量分析システム。
10.物質Mについての定量値の判定基準定数をαとしたときに、定量値情報(3)から得られる相対定量値α1の値が1/α≦α1≦αの範囲にある場合は、定量値に変動がないと判断し、α1値が1/α>α1あるいはα1>αの場合には定量値が変動すると判断する、前項8または9に記載の質量分析システム。
11.定数(α)が、正の実数から選択される値である前項7または10に記載の質量分析システム。
12.前項1または2に記載の手順1)の時間情報(1)の取得と実質的に同時に、同手順2)のm/z情報(2)を、時間情報(1)に沿って継続的に取得することを特徴とする前項1〜11のいずれか1に記載の質量分析システム。
13.前項1または2に記載の手順1)で得られたピーク物質を、時間情報(1)に応じてデバイス上に保存し、該デバイス上に保存した物質について、同手順2)のm/z情報(2)を各々取得することを特徴とする前項1〜11のいずれか1に記載の質量分析システム。
14.前項1〜13のいずれか1に記載の質量分析システムを含む質量分析装置。
15.前項1〜13のいずれか1に記載の質量分析システムを用いて行う質量分析方法。
16.測定試料が、タンパク質および/またはペプチド断片を含む試料である前項15に記載の質量分析方法。
17.LCの前に、異なる種類のLCによる分析を行う、前項15または16に記載の質量分析方法。
1.試料中に含有可能性のある物質の解析システムにおいて、少なくとも液体クロマトグラフィー(LC)と質量分析(MS分析)を含み、以下の手順からなるアルゴリズムを含むことを特徴とする質量分析システム:
1)LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得し;
2)前記LCにより得られたピーク物質をさらにMS分析したものについて、ピーク物質中の物質の質量数/電荷比(m/z)情報(2)を取得し;
3)前記1)により得られた時間情報(1)と、前記2)により得られたm/z情報(2)を情報(A)として取得し;
4)前記情報(A)にかかる物質の定量値を計算して定量値情報(3)を取得し;
5)前記定量値情報(3)を含むものを情報(B)として取得し、
6)情報(A)および情報(B)をデータベース(1)に登録する。
2.試料中に含有可能性のある物質の解析システムにおいて、少なくともLCとMS分析を含み、以下の手順からなるアルゴリズムを含むことを特徴とする質量分析システム:
1)LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得し;
2)前記LCにより得られたピーク物質をさらにMS分析したものについて、ピーク物質中の物質の質量数/電荷比(m/z)情報(2)を取得し;
3)前記1)により得られた時間情報(1)と、前記2)により得られたm/z情報(2)を情報(A)として取得し;
4)情報(A)にかかる物質をシステム内部で分解し、それを再度MS分析し;
5)情報(A)にかかる物質の定量値を、上記再度のMS分析により定量値を計算して定量値情報(3)を取得し;
6)前記定量値情報(3)を含むものを情報(B)として取得し、
7)情報(A)および情報(B)をデータベース(1)に登録する。
3.情報(A)および情報(B)に加えて、解析対象物の構造にかかる情報(C)をさらにデータベース(1)に登録する前項1または2に記載の質量分析システム。
4.前項1に記載の手順1)〜4)または前項2に記載の手順1)〜5)を繰り返して行った後、解析対象物が、前記データベース(1)に登録された物質と同じと判断された場合に、既に解析した物質であると判断し、前記データベース(1)に登録された物質と異なると判断された場合に、未解析物質と判断する、前項1〜3のいずれか1に記載の質量分析システム。
5.前記未解析物質と判断された物質について、取得した情報(A)および(B)、または、取得した情報(A)、(B)および(C)をさらにデータベース(1)に登録する前項4に記載の質量分析システム。
6.既に解析した物質若しくは未解析物質を、データベース(1)に基づいて作成した回避リスト(1)から判断する前項4または5に記載の質量分析システム。
7.物質Mについての定量値の判定基準定数をαとしたときに、情報(A0、A1)および(B0、B1)を各々取得し、比較したい物質(M0、M1)について、各々前項1に記載の手順4)および5)による定量値情報(3)を得、一方の物質(M0)の定量値情報(B0)を1.0と換算し、他方の物質(M1)の定量値情報(B1)の定量値情報(B0)に対する定量比(B1/B0)をα1と換算し、α1値が1/α≦α1≦αの範囲にある場合は、M0とM1の定量値は実質的に同一と判断し、α1値が1/α>α1あるいはα1>αの場合にはM0とM1の定量値が異なると判断する、前項1〜6のいずれか1に記載の質量分析システム。
8.前記MS分析が、同位体標識法を用いた比較定量法により行われる前項1〜7のいずれか1に記載の質量分析システム。
9.同位体標識法を用いた比較定量法が、ICAT法である前項8に記載の質量分析システム。
10.物質Mについての定量値の判定基準定数をαとしたときに、定量値情報(3)から得られる相対定量値α1の値が1/α≦α1≦αの範囲にある場合は、定量値に変動がないと判断し、α1値が1/α>α1あるいはα1>αの場合には定量値が変動すると判断する、前項8または9に記載の質量分析システム。
11.定数(α)が、正の実数から選択される値である前項7または10に記載の質量分析システム。
12.前項1または2に記載の手順1)の時間情報(1)の取得と実質的に同時に、同手順2)のm/z情報(2)を、時間情報(1)に沿って継続的に取得することを特徴とする前項1〜11のいずれか1に記載の質量分析システム。
13.前項1または2に記載の手順1)で得られたピーク物質を、時間情報(1)に応じてデバイス上に保存し、該デバイス上に保存した物質について、同手順2)のm/z情報(2)を各々取得することを特徴とする前項1〜11のいずれか1に記載の質量分析システム。
14.前項1〜13のいずれか1に記載の質量分析システムを含む質量分析装置。
15.前項1〜13のいずれか1に記載の質量分析システムを用いて行う質量分析方法。
16.測定試料が、タンパク質および/またはペプチド断片を含む試料である前項15に記載の質量分析方法。
17.LCの前に、異なる種類のLCによる分析を行う、前項15または16に記載の質量分析方法。
本発明の質量分析システムは、既に測定された解析対象物について、LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)、前記LCにより得られたピーク物質のMS分析により得られたm/z情報(2)および前記物質の定量値を計算して得た定量値情報(3)がデータベース(1)に登録されており、データベース(1)に登録された物質については、再度の解析を回避することができる。
従来の方法では、LCより得られたピーク物質の時間情報およびMS分析より得られたm/z値に関し、MS分析による最も強いピークの順に解析結果が得られるため、同様のピークの選択方法では、同一試料に関して例え複数回測定を行ったとしても、結局はMS分析により低いピークしか得られない微量物質の解析結果を得ることは困難であった。本発明の質量分析システムによると、MS分析による強いピークであっても、既に解析された物質はデータベースに登録されているので、該登録された物質については重複して解析することが回避される。よって、試料中の微量物質であっても迅速かつ効率的、かつ網羅的に解析することができる。
本発明の質量分析装置は、ある試料を測定する際に、過去の測定実績を蓄積したデータベースを参照し、事前にある時間のある質量数のペプチド断片を測定しないようにパラメータを作成し、測定を行うことができる。これにより、重複する解析を回避することができる。
また、ある試料についてMS分析情報があるものの、MSMS分析情報が得られない場合がある。このとき、複数回測定を繰り返した後にようやくMSMS分析情報が得られたものについて、ペプチドマップ上に情報を付加することができる。それにより、その後の試料の測定において、MSMS分析情報が得られない場合に、MS分析情報と時間情報をもとに、ペプチドマップを参照することにより、あたかもMSMS情報が得られたかのようにデータを充実させることが可能となる。また、当該MSMS分析情報が得られた以前の過去の結果についても、同様の方法で、あたかもMSMS分析情報が得られたかのように、データを充実させることが可能となる。
本発明の質量分析システムは、少なくともLCとMS分析システムを含み、以下の手順からなるアルゴリズムを含む。
1)LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得し;
2)前記LCにより得られたピーク物質をさらにMS分析したものについて、ピーク物質中の物質のm/z情報(2)を取得し;
3)前記1)により得られた時間情報(1)と、前記2)により得られたm/z情報(2)を情報(A)として取得し;
4)前記情報(A)にかかる物質の定量値を計算して定量値情報(3)を取得し;
5)前記定量値情報(3)を含むものを情報(B)として取得し、
6)情報(A)および情報(B)をデータベース(1)に登録する。
1)LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得し;
2)前記LCにより得られたピーク物質をさらにMS分析したものについて、ピーク物質中の物質のm/z情報(2)を取得し;
3)前記1)により得られた時間情報(1)と、前記2)により得られたm/z情報(2)を情報(A)として取得し;
4)前記情報(A)にかかる物質の定量値を計算して定量値情報(3)を取得し;
5)前記定量値情報(3)を含むものを情報(B)として取得し、
6)情報(A)および情報(B)をデータベース(1)に登録する。
本発明の質量分析システムでは、上述のごとく少なくともLCとMS分析システムを含み、データベース(1)には、時間情報(1)およびm/z情報(2)からなる情報(A)と、定量値情報(3)からなる情報(B)を含むが、該定量値情報(3)は、MSMS分析により得られる場合がある。この場合には、本発明の質量分析システムは、以下の手順からなるアルゴリズムを含む。
1)LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得し;
2)前記LCにより得られたピーク物質をさらにMS分析したものについて、ピーク物質中の物質のm/z情報(2)を取得し;
3)前記1)により得られた時間情報(1)と、前記2)により得られたm/z情報(2)を情報(A)として取得し;
4)情報(A)にかかる物質をシステム内部で分解し、それを再度MS分析し;
5)情報(A)にかかる物質の定量値を、上記再度のMS分析により定量値を計算して定量値情報(3)を取得し;
6)前記定量値情報(3)を含むものを情報(B)として取得し、
7)情報(A)および情報(B)をデータベース(1)に登録する。
1)LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得し;
2)前記LCにより得られたピーク物質をさらにMS分析したものについて、ピーク物質中の物質のm/z情報(2)を取得し;
3)前記1)により得られた時間情報(1)と、前記2)により得られたm/z情報(2)を情報(A)として取得し;
4)情報(A)にかかる物質をシステム内部で分解し、それを再度MS分析し;
5)情報(A)にかかる物質の定量値を、上記再度のMS分析により定量値を計算して定量値情報(3)を取得し;
6)前記定量値情報(3)を含むものを情報(B)として取得し、
7)情報(A)および情報(B)をデータベース(1)に登録する。
本発明において、「LC」とは、自体公知あるいは今後開発されるあらゆるLCであって、その後にMS分析実行可能であればよく、特に限定されない。LCの例として、具体的には、疎水性クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、塩析クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が例示されるが、これらに限定されるものではない。特に好適には、疎水性クロマトグラフィーが挙げられる。
本発明の質量分析システム、または質量分析方法に適用できる検体は、質量分析の対象となるタンパク質の含有可能性のあるものであればよく、生体検体に限定されることはない。例えば、血液、血清、血漿、尿、リンパ液、汗、各種分泌物等に代表される体液や、遺伝子組換技術等の技術を用いてタンパク質等を産生させるための各種細胞の培養液若しくは細胞懸濁液、環境分野における環境汚染物質等の含有可能性のあるものを検体として取得することができる。取得した検体を、特定のタンパク質分解酵素を用いて分解したものを試料とし、本発明の質量分析システムに付すことができる。
本明細書において、被験者または培養細胞等から採取した被検物を「検体」といい、本発明の質量分析システムに付すために前処理した被検物を「試料」という。また、試料中に含まれる物質のうち、例えばペプチド断片等を、必要に応じて、「解析対象物」という場合もある。
本明細書において、被験者または培養細胞等から採取した被検物を「検体」といい、本発明の質量分析システムに付すために前処理した被検物を「試料」という。また、試料中に含まれる物質のうち、例えばペプチド断片等を、必要に応じて、「解析対象物」という場合もある。
上記LC分析の前に、例えば血液や組織等の検体中に含まれるタンパク質を、タンパク質分解酵素により前処理し、ペプチド断片化させることが好ましい。検体中に含まれるタンパク質をペプチド断片化することにより、後の分析精度が向上する。使用する酵素の種類は、タンパク質および後の実験との関係により、適宜選択することができる。具体的には、LC分析後に質量分析を行う場合には、ペプチド断片を質量で見た時にばらつかせるためと、イオン化させることを考慮し、トリプシンやリジンエンドペプチダーゼを使用することが多い。
本発明の質量分析システムでは、より精密に、より効率的に分析を行うために、上記酵素処理および/またはLCの前に、異なるLCを行ってもよい。LCの例は、上記例示したように、疎水性クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、塩析クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等があげられる。例えば血液や組織等の生体検体を上記に例示されるいずれかのクロマトグラフィーに付し、解析対象物を含むピーク物質を取り出して試料とすることで、不純物を低減化させることができる。得られた試料について、上述の酵素処理することで、解析対象物であるペプチド産物を多く含む試料を得ることができる。
本発明において、「MS分析」は、自体公知あるいは今後開発されるあらゆる質量分析が挙げられる。
異なる試料に含まれるタンパク質の発現量や翻訳後修飾量がどの程度変化しているのか調べることで、細胞や組織の機能変化を観察したり、疾患と特定のタンパク質の発現量に基づく診断を行ったりすることができる。本発明においては、このような目的のために質量分析システムを利用することができる。
異なる試料に含まれるタンパク質の発現量や翻訳後修飾量がどの程度変化しているのか調べることで、細胞や組織の機能変化を観察したり、疾患と特定のタンパク質の発現量に基づく診断を行ったりすることができる。本発明においては、このような目的のために質量分析システムを利用することができる。
MS分析は、イオン化とイオン計測法により種々の組み合わせが存在し、それぞれ特色がある。本発明の質量分析システムとして、MALDI法とTOF法を組み合わせたMALDI-TOF型、ESI法とqQ法を組み合わせたESI qQ型等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、特に好適にESI qQ-TOF型が用いられる。
本発明の質量分析システムでは、LCとMS分析を連続して行う態様と、LCで分析した物質を一旦デバイス上に保持したものについてMS分析を行う態様とが挙げられる。
LCとMS分析を連続して行う態様とは次のとおりである。
上記の各手順1)の時間情報(1)の取得と実質的に同時に、同手順2)のm/z情報(2)を、時間情報(1)に沿って継続的に取得することを特徴とする。ここで、「時間情報(1)の取得と実質的に同時」とは、厳密に同時を意味するのではなく、時間情報(1)を取得した直後に連続してm/z情報を取得することをいう。
上記の各手順1)の時間情報(1)の取得と実質的に同時に、同手順2)のm/z情報(2)を、時間情報(1)に沿って継続的に取得することを特徴とする。ここで、「時間情報(1)の取得と実質的に同時」とは、厳密に同時を意味するのではなく、時間情報(1)を取得した直後に連続してm/z情報を取得することをいう。
本態様では、LCによりあるピーク物質が得られると、得られたピーク物質は、保持されることなく、そのままMS分析に付される。また、MS分析に続くMSMS分析も連続して行われる。タイミングを逃してLC分析に連続してMS分析を実行できなければ、一連の操作手順において、そのピーク物質についてはMS情報、即ちm/z情報(2)が得られない。また、続いて行われるべきMSMS分析も行われなくなる。しかし、同じ試料について複数回解析操作を行う中で、当該ピーク物質についてMS分析を実行することができれば、本発明の質量分析を実行することができ、必要な場合はMSMS分析も行うことができる。
LCで分析した物質を一旦デバイス上に保持したものについてMS分析を行う態様は、次のとおりである。
上記の各手順1)で得られたピーク物質を、時間情報(1)に応じてデバイス上に保存し、該デバイス上に保存した物質について、同手順2)のm/z情報(2)を各々取得することを特徴とする。LCで分析した物質を一旦デバイス上に保持されているので、保持されている物質については、試料が残存する限りにおいては何度でもMS分析および必要な場合は続いてMSMS分析が行われる。
上記の各手順1)で得られたピーク物質を、時間情報(1)に応じてデバイス上に保存し、該デバイス上に保存した物質について、同手順2)のm/z情報(2)を各々取得することを特徴とする。LCで分析した物質を一旦デバイス上に保持されているので、保持されている物質については、試料が残存する限りにおいては何度でもMS分析および必要な場合は続いてMSMS分析が行われる。
タンパク質の定量方法としては、大きく分けて2種類ある。1つは絶対的な定量方法であり、1つは相対的な定量方法である。
あるタンパク質または酵素処理して得たあるペプチド断片について、絶対的な定量値を求める場合、そのタンパク質またはそのペプチド断片について、絶対的な定量値を定めた標準品を設ける。該標準品を、LCまたはMS分析等により測定し、各分析により得られた値と、標準品に定めた絶対的定量値から標準曲線を作成する。次に絶対的定量値を求めたいタンパク質またはペプチド断片を、標準品と同条件で分析し、得られた値を標準品で作成した標準曲線に当てはめ、定量値を換算することにより、絶対的な定量値を得ることができる。このようにして得られた定量値は、同一条件で分析する限り、異なる測定系でも求めることができる。かかる定量値は、換算して得られた定量値そのものに意味があり、測定条件が同一である限り、異なる測定系により得られた値を比較することができる。
一方、あるタンパク質または酵素処理して得たあるペプチド断片について、相対的な定量値を求める場合は、測定対象物の相対的基準となる物質とともに定量する必要がある。この場合は、相対的基準となる物質の定量値を例えば1.0と定めたときに、測定対象物の定量値が仮に相対的基準となる物質の2倍ある場合には、2.0の相対値であり、30%の定量値の場合は、0.3と換算することができる。この場合、個々の定量値情報自体には特別な意味はなく、相対的基準となる物質との定量値情報の比に意味がある。個々の定量値情報は、たとえ測定条件が同一であったとしても、測定間でその値を直接比較することはできず、意味を成すものは同一測定系における定量比である。
タンパク質の相対的定量値を比較する方法として、同位体標識法を用いたMS分析法を利用することができる。同位体標識法を用いたMS分析の例として、例えば、安定同位体 2H、15Nまたは13C等を用いて、安定同位体標識されたタンパク質とコントロールとの質量分析のピークの強度比で存在比を評価するものがある。例えば、システイン残基等のチオールに安定同位体標識されたビオチン化試薬を結合させ、アビジンカラムで精製後、質量分析するIsotope-coded Affinity Tag(ICAT)法が報告されている。ICAT法では、チオール標識用ビオチン型標識剤のリンカー部分の炭素9個を12Cあるいは13Cとしたものを使用することができる。2種の試料から別個にタンパク質を抽出後、それぞれL型またはH型のビオチン標識剤で標識後、両試料を混合してトリプシン等で限定消化する。その後、アビジンカラムでビオチン標識化されたペプチド(すなわちシステインを含むペプチド断片)のみを取得して質量分析する。通常のタンパク質混合物では膨大なペプチド断片が生じ、所望のタンパク質を精製してからでなければ、存在比の比較ができる状態ではないが、ICAT法ではシステインを含むペプチドに限定されるため、混合物内における種々のタンパク質の存在比と比較可能となる。
他の例として、4種類までの異なる生体サンプル中のタンパク質について、相対定量もしくは絶対定量するために、アミン特異的な安定同位体を用いて、全てのペプチドを標識可能とする試薬が市販されている(i TRAQTM試薬)。その他、Stable Isotope Labeling by Amino Acids in Cell Cuture(SILAC)を応用し、安定同位体標識したアミノ酸を含む培地で培養した細胞に遺伝子導入を行い、タンパク質を発現させてMSMS分析でリン酸化タンパク質の定量を行うこともできる。本発明の方法としてはICAT法が好適である。
本発明において「ピーク物質」とは、特に説明しない場合には、本発明のMS分析の前にLCにより得られるピーク物質をいい、「時間情報(1)」とは、該LCにより得られるピーク物質の時間情報をいう。本発明において、「質量数/電荷比(m/z)の情報(2)」とは、前記ピーク物質をMS分析したことにより得られる情報をいう。本発明において、「定量値情報(3)」とは、前記MS分析、または該MS分析の後に継続して行われるMS分析の結果よりシステム内で自動的に計算して得られる解析対象物のペプチドの定量値をいう。
本発明において、前記時間情報(1)およびm/z情報(2)を含むものを情報(A)とし、前記定量値情報(3)を含むものを情報(B)とし、本発明の質量分析システムに含まれるデータベース(1)として蓄積する。すなわち、本発明のデータベース(1)には、時間情報(1)、m/z情報(2)および定量値情報(3)が情報として蓄積される。
本発明のm/zの情報(2)を用いて、Peptid Mass Finger Print (PMF)の手法によりペプチド断片の配列を同定し、タンパク質を同定することができる。本発明のm/zの情報(2)と開放されたデータベースおよび例えば公知のMascot(R)(Matrix Science)を利用してペプチド配列情報を得、タンパク質を同定することができる。
しかし、公開されている情報のみから得られる結果よりもさらに精度のよい解析結果を得ようとするならば、更なる解析を行うことが好ましい。上記以外のペプチド断片の配列を同定する方法として、まずMS分析によりペプチド断片そのもののm/zを測定して上記情報(2)を取得し、得られた情報(2)から一定の基準で選択したペプチドのみをシステム内で選択し、例えばMSMS分析等により配列情報を得、タンパク質を同定することができる。得られた配列情報等、本発明の解析対象物の構造にかかる情報は、本明細書において、情報(C)という。
本発明の質量分析システムは、例えば公知のMascot(R)の検索結果から得られる情報よりも更に精度の高い情報を得ようとする場合に適用される。MSMS分析を行う場合には、一度目のm/zの情報(2)のうち強度の強いものが通常選択される。
上記、「得られた情報(2)から、一定の基準で選択したペプチド断片のみをシステム内で選択し」とは、本発明の質量分析システムでは、MS分析による強度の強いものが通常選択されることに加えて、新たな選択基準を設置することにより選択される。新たな選択基準の例として、既解析物質は排除し、未解析物質のうち強度の強いものを選択することが挙げられる。いい換えれば、本発明においては、同条件下で測定した場合の既解析物質の情報は、本発明のデータベース(1)に登録されており、該データベース(1)に基づいて回避リスト(1)が作製されることになるので、回避リスト(1)に掲載されている物質については再度の解析を排除するよう選択基準を設けることができる。このことにより、試料に含まれる解析対象物のうち既解析物質については重複した解析を避けることができ、残りの解析対象物のうち、強度の強いものから順に解析を行うことができる。
また、回避リストに掲載されている物質ではない物質について、強度に関わらず、選択的に解析を行うことが要望される場合もある。この様な場合には、別途包含リストを作成し、包含リストにおいて人為的に特定の物質を優先的に解析するよう設定することもできる。
さらに、他の選択基準を設けることもできる。例えば物質Mを含む2種の試料があり、各試料に含まれる物質MをM0およびM1としたときに、M0とM1の定量値を比較して何らかの判断を下したい場合を例示する。最初にM0を含む試料について解析し、M0については既に取得した時間情報(1)とm/z情報(2)として情報(A0)を取得し、定量値情報(3)として情報(B0)を取得し、これらの情報をデータベース(1)に登録し、M0を回避リスト(1)に掲載する。M1について、同様に情報(A1)および情報(B1)を取得する。M0の定量値情報(B0)を1.0と換算し、M1の定量値情報(B1)の定量値情報(B0)に対する定量比(B1/B0)をα1値として計測する。選択基準としての定数α値を設定しておき、α1値が1/α≦α1≦αの範囲にある場合は、M0とM1の定量値は実質的に同一と判断され、1/α>α1あるいはα1>αの場合には定量値が異なると判断される。ここにおいて、M0とM1から得られる情報は、全て同条件下の解析により得られることはいうまでもない。同条件下での情報を得るために、上記2種の試料について、M0とM1を識別できるよう標識化したものを混合し、同一解析系にて比較することもできる。
ここにおいて、選択基準としての定数α値は、解析対象物に応じて適宜設定することができる。α値は正の実数であればよい。
例えば、健常人の血液には、特定のタンパク質が一定量発現している。いくつかの測定を重ねた結果、あるタンパク質に関し、恒常性と個人差を考慮した結果、健常人ではそのタンパク質の発現量の振れ幅が例えば30%程度であったことがわかったとする。この場合、選択基準としてのα値を1.3と設定すれば、解析対象物のα1が1/1.3〜1.3の間にある場合は正常と判断され、そうでない場合は疾患の可能性があると判断されることとなる。
例えば、健常人の血液には、特定のタンパク質が一定量発現している。いくつかの測定を重ねた結果、あるタンパク質に関し、恒常性と個人差を考慮した結果、健常人ではそのタンパク質の発現量の振れ幅が例えば30%程度であったことがわかったとする。この場合、選択基準としてのα値を1.3と設定すれば、解析対象物のα1が1/1.3〜1.3の間にある場合は正常と判断され、そうでない場合は疾患の可能性があると判断されることとなる。
本発明は、上記に示した質量分析システムおよび質量分析方法に加えて、該質量分析システムを含む質量分析装置にも及ぶ。
以下、本発明の理解を深めるために、実施例を示して説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、質量分析システムに含まれるLCより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得した後、連続して継続的にm/z情報(2)を取得する場合の質量分析システムおよび該システムを用いた質量分析方法について説明する。図1には、以下の質量分析を遂行するためのアルゴリズムが示されている。
本実施例では、質量分析システムに含まれるLCより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得した後、連続して継続的にm/z情報(2)を取得する場合の質量分析システムおよび該システムを用いた質量分析方法について説明する。図1には、以下の質量分析を遂行するためのアルゴリズムが示されている。
1)前処理
本実施例では、検体を質量分析システムに付す前に、前処理を行う。
1-1) まず、健常人の血液と比較したい者(被験者)の血液を各々検体として採取する。
1-2) 2種の検体について、各々解析目的のタンパク質を抽出し、該タンパク質を含む溶液を試料とする。
1-3) 抽出して得た各タンパク質を含む試料を、各々炭素12Cあるいは13Cでラベルしたチオール標識用ビオチン型標識剤で標識する。
1-4) 標識した各試料を混合し、トリプシンを用いて限定消化し、ペプチド断片を得る。その後、アビジンカラムでビオチン標識化したペプチド(すなわちシステインを含むペプチド断片)のみを取得する。
本実施例では、検体を質量分析システムに付す前に、前処理を行う。
1-1) まず、健常人の血液と比較したい者(被験者)の血液を各々検体として採取する。
1-2) 2種の検体について、各々解析目的のタンパク質を抽出し、該タンパク質を含む溶液を試料とする。
1-3) 抽出して得た各タンパク質を含む試料を、各々炭素12Cあるいは13Cでラベルしたチオール標識用ビオチン型標識剤で標識する。
1-4) 標識した各試料を混合し、トリプシンを用いて限定消化し、ペプチド断片を得る。その後、アビジンカラムでビオチン標識化したペプチド(すなわちシステインを含むペプチド断片)のみを取得する。
2)質量分析システムを用いた物質の解析1
2-1) 上記システインを含むペプチド断片を含む試料を本システムのLCである疎水性クロマトグラフィーにかけ、該疎水性クロマトグラフィーにより得られたピーク物質を直接ESI qQ-TOF型のMS分析を行う。MS分析により解析対象物である比較したい2種のペプチド断片(M0、M1)のm/zが取得され、LCにより得られた時間情報(1)とm/z情報(2)から情報(A0、A1)が取得される。
2-2) 同位体標識ごとに決定される質量差のものを同一ペプチド断片とみなし、比較したい物質を同定する。
2-3) 2種の解析対象物について、各MSスペクトルを用いて得られる積分情報から2種の解析対象物の定量値(B0、B1)を計算して定量値情報(3)を各々取得する。
2-1) 上記システインを含むペプチド断片を含む試料を本システムのLCである疎水性クロマトグラフィーにかけ、該疎水性クロマトグラフィーにより得られたピーク物質を直接ESI qQ-TOF型のMS分析を行う。MS分析により解析対象物である比較したい2種のペプチド断片(M0、M1)のm/zが取得され、LCにより得られた時間情報(1)とm/z情報(2)から情報(A0、A1)が取得される。
2-2) 同位体標識ごとに決定される質量差のものを同一ペプチド断片とみなし、比較したい物質を同定する。
2-3) 2種の解析対象物について、各MSスペクトルを用いて得られる積分情報から2種の解析対象物の定量値(B0、B1)を計算して定量値情報(3)を各々取得する。
3)質量分析システムを用いた物質の解析2
解析対象物であるペプチドに関し、定数αを予め1.5と設定する。健常人の血液由来物質の物質(M0)の定量値(B0)を1.0と換算する。被験者の血液由来物質のタンパク質(M1)の定量値(B1)の換算値α1が、1/1.5<α1<1.5の場合には、M1の定量値(B1)は、M0の定量値(B0)と実質同一と判断され、被験者は、解析対象物質に関しては正常と判断される。
解析対象物であるペプチドに関し、定数αを予め1.5と設定する。健常人の血液由来物質の物質(M0)の定量値(B0)を1.0と換算する。被験者の血液由来物質のタンパク質(M1)の定量値(B1)の換算値α1が、1/1.5<α1<1.5の場合には、M1の定量値(B1)は、M0の定量値(B0)と実質同一と判断され、被験者は、解析対象物質に関しては正常と判断される。
(実施例2)
本実施例では、質量分析システムに含まれるLCより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得した後、連続して継続的にm/z情報(2)を取得する場合の質量分析システムおよび該システムを用いた質量分析方法について説明する。
1)前処理
本実施例では、検体を質量分析システムに付す前に、前処理を行う。
1-1) まず、被検者の血液を検体として採取する。
1-2) 検体について、解析目的のタンパク質を抽出する。
1-3) 抽出して得たタンパク質を含む試料を、トリプシンを用いて限定消化する。その後、イオン交換クロマトグラフィーに付し、ペプチド断片を含む試料を調製する。
本実施例では、質量分析システムに含まれるLCより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得した後、連続して継続的にm/z情報(2)を取得する場合の質量分析システムおよび該システムを用いた質量分析方法について説明する。
1)前処理
本実施例では、検体を質量分析システムに付す前に、前処理を行う。
1-1) まず、被検者の血液を検体として採取する。
1-2) 検体について、解析目的のタンパク質を抽出する。
1-3) 抽出して得たタンパク質を含む試料を、トリプシンを用いて限定消化する。その後、イオン交換クロマトグラフィーに付し、ペプチド断片を含む試料を調製する。
2)質量分析システムを用いた物質の解析
上記複数のペプチド断片を含む試料を本システムのLCである疎水性クロマトグラフィーにかけ、該疎水性クロマトグラフィーにより得られたピーク物質を直接ESI qQ-TOF型のMS分析を行う。具体的にはLCの時間に沿って、次のステップ2-1)〜2-4)を繰り返すことで測定が行われる。
2-1) MS分析によりm/zが取得され、LCにより得られた時間情報(1)とm/z情報(2)から情報(A)が取得される。
2-2) 各MSスペクトルを用いて得られる積分情報から各ペプチド断片の物質の定量値を計算して定量値情報(3)を得、情報(B)とする。
2-3) 処理条件および得られた情報(A)および情報(B)の内容が、本質量分析システムにおいて、データベース(1)に登録される。
2-4) 次にMS分析により得られたピークのうち、強度が強いピークに該当する、2種類のペプチド断片に対応するm/zに対してESI qQ-TOF型のMSMS分析を行い、ペプチド断片の配列を決定するための情報として、情報(C)を取得する。
上記複数のペプチド断片を含む試料を本システムのLCである疎水性クロマトグラフィーにかけ、該疎水性クロマトグラフィーにより得られたピーク物質を直接ESI qQ-TOF型のMS分析を行う。具体的にはLCの時間に沿って、次のステップ2-1)〜2-4)を繰り返すことで測定が行われる。
2-1) MS分析によりm/zが取得され、LCにより得られた時間情報(1)とm/z情報(2)から情報(A)が取得される。
2-2) 各MSスペクトルを用いて得られる積分情報から各ペプチド断片の物質の定量値を計算して定量値情報(3)を得、情報(B)とする。
2-3) 処理条件および得られた情報(A)および情報(B)の内容が、本質量分析システムにおいて、データベース(1)に登録される。
2-4) 次にMS分析により得られたピークのうち、強度が強いピークに該当する、2種類のペプチド断片に対応するm/zに対してESI qQ-TOF型のMSMS分析を行い、ペプチド断片の配列を決定するための情報として、情報(C)を取得する。
3)2度目以降の質量分析システムを用いた物質の解析
まず、データベース(1)に登録された情報をもとに、時間情報とm/zからなる回避リストを作成する。
上記2)の上記複数のペプチド断片を含む試料を、再度本システムのLCである疎水性クロマトグラフィーにかけ、該疎水性クロマトグラフィーにより得られたピーク物質を直接ESI qQ-TOF型のMS分析を行う。MS分析により得られた結果を、データベース(1)に登録された情報と照合し、上記回避リスト(1)に掲載された物質と同じと判断された場合には、情報(C)を取得するためのMS分析には付さず、MS分析により得られた結果が、上記回避リスト(1)に掲載された物質と異なると判断された場合にのみ、MS分析に付し情報(C)を取得する。
まず、データベース(1)に登録された情報をもとに、時間情報とm/zからなる回避リストを作成する。
上記2)の上記複数のペプチド断片を含む試料を、再度本システムのLCである疎水性クロマトグラフィーにかけ、該疎水性クロマトグラフィーにより得られたピーク物質を直接ESI qQ-TOF型のMS分析を行う。MS分析により得られた結果を、データベース(1)に登録された情報と照合し、上記回避リスト(1)に掲載された物質と同じと判断された場合には、情報(C)を取得するためのMS分析には付さず、MS分析により得られた結果が、上記回避リスト(1)に掲載された物質と異なると判断された場合にのみ、MS分析に付し情報(C)を取得する。
(実施例3)
本実施例では、質量分析システムに含まれるLCに要した時間を192区分に分割し、該LCより得られたピーク物質の192区分の時間(時間情報(1))で分離して得られた各物質をデバイス上にスポットしたものについて、各々m/z情報(2)を取得する場合の質量分析システムおよび該システムを用いた質量分析方法について説明する。図2には、以下の質量分析を遂行するためのアルゴリズムが示されている。
本実施例では、質量分析システムに含まれるLCに要した時間を192区分に分割し、該LCより得られたピーク物質の192区分の時間(時間情報(1))で分離して得られた各物質をデバイス上にスポットしたものについて、各々m/z情報(2)を取得する場合の質量分析システムおよび該システムを用いた質量分析方法について説明する。図2には、以下の質量分析を遂行するためのアルゴリズムが示されている。
1)前処理
本実施例の前処理法は、実施例1と同様に行う。
本実施例の前処理法は、実施例1と同様に行う。
2)質量分析システムを用いた物質の解析1
2-1) 上記前処理した試料を本システムのLCである疎水性クロマトグラフィーにかけ、該疎水性クロマトグラフィーにより得られた192区分の物質をデバイス上にスポットする。
2-2) 各スポットした物質について、各々MALDI-TOF型のMS分析を行う。MS分析により解析対象物である比較したい2種のペプチド断片(M0、M1)のm/zが取得され、LCにより得られた時間情報(1)とm/z情報(2)から情報(A0、A1)が取得される。
2-3) 同位体標識ごとに決定される質量差のものを同一ペプチド断片とみなし、比較したい物質を同定する。
2-4) 2種の解析対象物の各MSスペクトルを用いて得られる積分情報から2種の解析対象物の定量値(B0、B1)を計算して定量値情報(3)を各々取得する。
2-1) 上記前処理した試料を本システムのLCである疎水性クロマトグラフィーにかけ、該疎水性クロマトグラフィーにより得られた192区分の物質をデバイス上にスポットする。
2-2) 各スポットした物質について、各々MALDI-TOF型のMS分析を行う。MS分析により解析対象物である比較したい2種のペプチド断片(M0、M1)のm/zが取得され、LCにより得られた時間情報(1)とm/z情報(2)から情報(A0、A1)が取得される。
2-3) 同位体標識ごとに決定される質量差のものを同一ペプチド断片とみなし、比較したい物質を同定する。
2-4) 2種の解析対象物の各MSスペクトルを用いて得られる積分情報から2種の解析対象物の定量値(B0、B1)を計算して定量値情報(3)を各々取得する。
3)質量分析システムを用いた物質の解析
解析対象物の物質について、定数αを予め1.5と設定する。健常人の血液由来物質の物質(M0)の定量値(B0)を1.0と換算する。被験者の血液由来物質の物質(M1)の定量値(B1)の換算値α1が、1/1.5<α1<1.5の場合には、M1の定量値(B1)は、M0の定量値(B0)と実質同一と判断され、被験者は、解析対象物質に関しては正常と判断される。
解析対象物の物質について、定数αを予め1.5と設定する。健常人の血液由来物質の物質(M0)の定量値(B0)を1.0と換算する。被験者の血液由来物質の物質(M1)の定量値(B1)の換算値α1が、1/1.5<α1<1.5の場合には、M1の定量値(B1)は、M0の定量値(B0)と実質同一と判断され、被験者は、解析対象物質に関しては正常と判断される。
ある試料を解析する際に、事前にペプチドマップに関するデータベースを参照し、本発明の質量分析システムにおいて、ある時間のあるm/z値を示すペプチド断片については、解析を行わないようにパラメータを作成し、解析を行うことにより、無駄な情報を取得することを防止し、新たな情報を取得する可能性を挙げることができる。
さらに、ある試料について解析した後に、ある時間のあるm/zに関する情報(A)はあるが、MSMS分析に関する情報(C)がない場合に、複数回の測定により、先に得た情報(A)に合致する情報について情報(C)が得られたときに、情報(C)が得られなかったときのMSMS分析結果を推測することができる。
さらに、ある試料について解析した後に、ある時間のあるm/zに関する情報(A)はあるが、MSMS分析に関する情報(C)がない場合に、複数回の測定により、先に得た情報(A)に合致する情報について情報(C)が得られたときに、情報(C)が得られなかったときのMSMS分析結果を推測することができる。
以上説明したように、本発明の質量分析システムを用いると、同一試料の繰り返し測定の際、時間と質量に関する情報を質量分析システムの内部データベースに登録することが可能である。重複する分析を回避するため、未解析物質に関する情報量が増え、今まで特定が困難であった微量物質の同定に有効である。
さらに本発明の質量分析システムおよび質量分析方法により、複数回の解析を回避することができ、測定試料が微量な場合であっても、微量物質の解析を効率的かつ正確に行うことができる。また、本方法により、タンパク質の発現量の計測や、糖鎖構造の解析、疾患関連タンパク質の比較、同定等を行うことができる。かかる質量分析方法は、遺伝子組換技術等の人工的手段により産生したタンパク質の解析や、疾患診断のための臨床検査等に応用することができる。
Claims (17)
- 試料中に含有可能性のある物質の解析システムにおいて、少なくとも液体クロマトグラフィー(LC)と質量分析(MS分析)を含み、以下の手順からなるアルゴリズムを含むことを特徴とする質量分析システム:
1)LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得し;
2)前記LCにより得られたピーク物質をさらにMS分析したものについて、ピーク物質中の物質の質量数/電荷比(m/z)情報(2)を取得し;
3)前記1)により得られた時間情報(1)と、前記2)により得られたm/z情報(2)を情報(A)として取得し;
4)前記情報(A)にかかる物質の定量値を計算して定量値情報(3)を取得し;
5)前記定量値情報(3)を含むものを情報(B)として取得し、
6)情報(A)および情報(B)をデータベース(1)に登録する。 - 試料中に含有可能性のある物質の解析システムにおいて、少なくともLCとMS分析を含み、以下の手順からなるアルゴリズムを含むことを特徴とする質量分析システム:
1)LCにより得られたピーク物質の時間情報(1)を取得し;
2)前記LCにより得られたピーク物質をさらにMS分析したものについて、ピーク物質中の物質の質量数/電荷比(m/z)情報(2)を取得し;
3)前記1)により得られた時間情報(1)と、前記2)により得られたm/z情報(2)を情報(A)として取得し;
4)情報(A)にかかる物質をシステム内部で分解し、それを再度MS分析し;
5)情報(A)にかかる物質の定量値を、上記再度のMS分析により定量値を計算して定量値情報(3)を取得し;
6)前記定量値情報(3)を含むものを情報(B)として取得し、
7)情報(A)および情報(B)をデータベース(1)に登録する。 - 情報(A)および情報(B)に加えて、解析対象物の構造にかかる情報(C)をさらにデータベース(1)に登録する請求の範囲第1項または第2項に記載の質量分析システム。
- 請求の範囲第1項に記載の手順1)〜4)または請求の範囲第2項に記載の手順1)〜5)を繰り返して行った後、解析対象物が、前記データベース(1)に登録された物質と同じと判断された場合に、既に解析した物質であると判断し、前記データベース(1)に登録された物質と異なると判断された場合に、未解析物質と判断する、請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1に記載の質量分析システム。
- 前記未解析物質と判断された物質について、取得した情報(A)および(B)、または、取得した情報(A)、(B)および(C)をさらにデータベース(1)に登録する請求の範囲第4項に記載の質量分析システム。
- 既に解析した物質若しくは未解析物質を、データベース(1)に基づいて作成した回避リスト(1)から判断する請求の範囲第4項または第5項に記載の質量分析システム。
- 物質Mについての定量値の判定基準定数をαとしたときに、情報(A0、A1)および(B0、B1)を各々取得し、比較したい物質(M0、M1)について、各々請求の範囲第1項に記載の手順4)および5)による定量値情報(3)を得、一方の物質(M0)の定量値情報(B0)を1.0と換算し、他方の物質(M1)の定量値情報(B1)の定量値情報(B0)に対する定量比(B1/B0)をα1と換算し、α1値が1/α≦α1≦αの範囲にある場合は、M0とM1の定量値は実質的に同一と判断し、α1値が1/α>α1あるいはα1>αの場合にはM0とM1の定量値が異なると判断する、請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1に記載の質量分析システム。
- 前記MS分析が、同位体標識法を用いた比較定量法により行われる請求の範囲第1項〜第7項のいずれか1に記載の質量分析システム。
- 同位体標識法を用いた比較定量法が、ICAT法である請求の範囲第8項に記載の質量分析システム。
- 物質Mについての定量値の判定基準定数をαとしたときに、定量値情報(3)から得られる相対定量値α1の値が1/α≦α1≦αの範囲にある場合は、定量値に変動がないと判断し、α1値が1/α>α1あるいはα1>αの場合には定量値が変動すると判断する、請求の範囲第8項または第9項に記載の質量分析システム。
- 定数(α)が、正の実数から選択される値である請求の範囲第7項または第10項に記載の質量分析システム。
- 請求の範囲第1項または第2項に記載の手順1)の時間情報(1)の取得と実質的に同時に、同手順2)のm/z情報(2)を、時間情報(1)に沿って継続的に取得することを特徴とする請求の範囲第1項〜第11項のいずれか1に記載の質量分析システム。
- 請求の範囲第1項または第2項に記載の手順1)で得られたピーク物質を、時間情報(1)に応じてデバイス上に保存し、該デバイス上に保存した物質について、同手順2)のm/z情報(2)を各々取得することを特徴とする請求の範囲第1項〜第11項のいずれか1に記載の質量分析システム。
- 請求の範囲第1項〜第13項のいずれか1に記載の質量分析システムを含む質量分析装置。
- 請求の範囲1項〜第13項のいずれか1に記載の質量分析システムを用いて行う質量分析方法。
- 測定試料が、タンパク質および/またはペプチド断片を含む試料である請求の範囲第15項に記載の質量分析方法。
- LCの前に、異なる種類のLCによる分析を行う、請求の範囲第15項または第16項に記載の質量分析方法。
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