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JPWO2002044136A1 - N保護−β−アミノアルコールの製造法およびN保護−β−アミノエポキシドの製造法 - Google Patents

N保護−β−アミノアルコールの製造法およびN保護−β−アミノエポキシドの製造法 Download PDF

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JPWO2002044136A1
JPWO2002044136A1 JP2002546506A JP2002546506A JPWO2002044136A1 JP WO2002044136 A1 JPWO2002044136 A1 JP WO2002044136A1 JP 2002546506 A JP2002546506 A JP 2002546506A JP 2002546506 A JP2002546506 A JP 2002546506A JP WO2002044136 A1 JPWO2002044136 A1 JP WO2002044136A1
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tert
butoxycarbonylamino
phenylbutane
chloro
hydroxy
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JP2002546506A
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Inventor
廣瀬 直子
大西 智之
秀浦 大学
大竹 康之
井澤 邦輔
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
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Ajinomoto Co Inc
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Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
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Abstract

本出願には、(2R,3S)−又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−ハロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンなどのN保護−β−アミノアルコールが溶解した極性有機溶媒に水を添加してこれを晶析するか、又はジオール若しくはジオール系混合溶媒から晶析するN保護−β−アミノアルコールの純度を向上せしめる方法が開示され、またこのようにして純度を向上せしめたN保護−β−アミノアルコールを塩基で処理して対応するN保護−β−アミノエポキシドを製造する方法が開示されている。N保護−β−アミノアルコールおよびN保護−β−アミノエポキシドは、いずれも、HIVプロテアーゼ阻害剤等の医薬化合物の合成中間体として有用である。

Description

(技術分野)
本発明は、特定のN保護−β−アミノアルコールを、極性有機溶媒中に溶解し、これに水を添加して晶析するか、又はジオール若しくはジオール系混合溶媒から晶析することにより純度を向上せしめた該N保護−β−アミノアルコールを製造する方法、およびこのような製造法によって得られたN保護−β−アミノアルコールを塩基で処理することを特徴とする対応する、N保護−β−アミノエポキシドの製造法に関する。
(背景技術)
(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−ハロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン、(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−ハロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン等のN保護−β−アミノアルコール、及びこのようなN保護−β−アミノアルコールの対応するN保護−β−アミノエポキシドは、いずれも、HIVプロテアーゼ阻害剤等の医薬化合物の合成中間体として有用である。
このようなN保護−β−アミノアルコール、例えば(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンは、例えば(3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−4−フェニル−2−ブタノンを還元することによって製造することができる。
同様に(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンは、例えば(3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−4−フェニル−2−ブタノンを還元することによって製造することができる。
ここで、(3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−4−フェニル−2−ブタノンを適当な還元剤を用いて還元した場合、副生成物としてジアステレオマーである(2S,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンが生じる。
具体的には、例えばエーテル中、トリ−tert−ブトキシ水素化リチウムアルミニウムで還元した場合、ジアステレオマーである(2S,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンが、目的物の(2R,3S)体5〜8モル当量に対して1モル当量程度の割合で生成することが報告されている(ハロメチルケトン誘導体の立体選択的還元に関しては、例えば、P.Raddatz et al:J.Med.Chem.,1991,34,11,3269;A.A.Malik:The 3rd International Conference on Organic Process Research & Development,Development of a Commercial Process for 2S,3S and 2R,3S−epoxides,10−12th July 2000,Montreal;T.Archibald:Scientific Update Conference Manual,Chiral USA ’99,Full Scale Chiral Separations Using SMB,4th May 1999,San Francisco,Scientific Updateなど参照)。これらの例から分かるように、(2R,3S)−又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを製造する際、不純物であるジアステレオマーの除去が大きな課題となる。
上記文献には、シリカゲルクロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィーによって(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを分離する方法が開示されているが、これらの方法は高価な担体と溶媒を大量に用いる必要があり、工程が煩雑で時間もかかる為、工業的に好ましい製造方法とは言えなかった。
さらに、上記最後の文献の3頁には、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンについて、そのジアステレオマーに比べて低い融点を有し溶解度が高い為、晶析による精製では目的物に対するジアステレオマーの比率は94:6までにしか向上させることができず、再結晶によるそれ以上の精製はできない旨の記載がされている。
また、特開平8−225557号公報(US Pat.No.5,481,011)には、ハロヒドリン化合物を、エタノール、メタノール、イソプロパノール、トルエン、アセトン、アセトニトリル、水、及びそれらの混合物などの適宜な溶媒から結晶化することにより精製し、単離することが開示されている。しかしながら、実施例には(2S,3S)−N−カルバメート保護−β−アミノアルコールを結晶化し単離した例が記載されているのみであり、精製が困難とされている(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン等の結晶化において、その精製効果や収率への影響は未知であった。
また、国際公開WO00/43357には、炭化水素系溶媒の存在下で、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを結晶化し精製・単離する方法が開示されている。しかしながら、この方法では高極性の不純物を除くことが困難であった。
(発明の開示)
本発明は、(2R,3S)−又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−ハロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンなどのN保護−β−アミノアルコールの純度を向上せしめたものを工業的に製造する方法、及びこのようなN保護−β−アミノアルコールから対応するN保護−β−アミノエポキシドを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−ハロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又はその光学異性体である(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−ハロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン等のN保護−β−アミノアルコールが溶解した極性有機溶媒中に水を添加してこれ晶析することにより、又はジオール若しくはジオール系混合溶媒から晶析することにより不純物であるジアステレオマー及び高極性不純物が効率的に除去され、純度の向上した目的物が得られうることを見いだし、このような知見に基いて本発明のN保護−β−アミノアルコールの製造法を完成した。
本発明者は、さらにまた、上記方法で純度の向上したN保護−β−アミノアルコールを得た後これを塩基で処理することで除去の困難な不純物を随伴しない、対応するN保護−β−アミノエポキシドが得られうることを見いだし、このような知見に基いて本発明のN保護−β−アミノエポキシドの製造法を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2002044136
[式中、Yはそれぞれ置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜15のアリール基、または炭素原子数7〜20のアラルキル基を示し、そしてXはハロゲン原子を示す。]
で表される(2R,3S)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコール、又は下記式(2)
Figure 2002044136
[式中、Y及びXは前記と同じ意味を示す。]
で表される(2S,3R)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコールを極性有機溶媒中に溶解し、水を添加して晶析するか、又はジオール若しくはジオール系混合溶媒から晶析することを特徴とする純度を向上せしめた(2R,3S)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコール又は(2S,3R)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコールの製造方法に関する。
本発明は、また、上記純度を向上せしめたN保護−β−アミノアルコールの製造方法に従って(2R,3S)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコール又は(2S,3R)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコールを得た後これを塩基で処理することを特徴とする下記式(3)
Figure 2002044136
[式中、Yはそれぞれ置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜15のアリール基、または炭素原子数7〜20のアラルキル基を示す。]
で表される(2R,3S)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノエポキシド、又は下記式(4)
Figure 2002044136
[式中、Yは前記と同じ意味を示す。]
で表される(2S,3R)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノエポキシドの製造方法に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
上記式(1)で表される(2R、3S)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコール又は上記式(2)で表される(2S、3R)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコールは、対応するハロメチルケトン誘導体を還元することにより得ることができる。例えば(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンは、例えば(3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−4−フェニル−2−ブタノンを還元することにより得ることができる。
還元において、還元剤の種類により(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンと(2S,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンとの生成比率が異なることが知られており、適当な還元剤を選択することにより、不純物であるジアステレオマーの比率をある程度までは抑制することができる(ハロメチルケトン誘導体の立体選択的還元に関しては、先に引用の例えばP.Raddatz et al:J.Med.Chem.,1991,34,11,3269;A.A.Malik:The 3rd International Conference on Organic Process Research & Development,Development of a Commercial Process for 2S,3S and 2R,3S−epoxides,10−12th July 2000,Montreal;T.Archibald:Scientific Update Conference Manual,Chiral USA ’99,Full Scale Chiral Separations Using SMB,4th May 1999,San Francisco,Scientific Updateなど参照)。
これは(3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−4−フェニル−2−ブタノンを還元した場合における(2S,3R)体と(2R,3R)体の比率に関しても同様である。
好ましい還元剤としては、トリ−tert−ブトキシ水素化リチウムアルミニウム、(+)−B−クロロジイソピノカンフェニルボラン、トリ−sec−ブチル水素化ホウ素カリウム等を挙げることができ、特にトリ−tert−ブトキシ水素化リチウムアルミニウムが好ましい。
ここで、(3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−4−フェニル−2−ブタノン及び(3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−4−フェニル−2−ブタノンは、例えばアミノ基を保護したアミノ酸エステルを、α−ハロ酢酸から調製される金属エノラートと反応させ、脱炭酸する方法(国際公開WO96/23756参照)等の他、各種の公知方法[例えば、特開平6−206857号公報(EP580402)、国際公開WO00/44706等参照]により製造することができる。
次に、本発明の、純度を向上せしめられた前記式(1)で表されるN保護−β−アミノアルコール、すなわち、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノアルコール(以下、“(2R,3S)体”と略称することがある)又はその光学異性体である(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノアルコール(以下、“(2S,3R)体”と略称することがある)の製造法について説明する。
本発明の製造法においては,(2R,3S)体又は(2S,3R)体を、極性有機溶媒中に溶解し、得られた溶液に水を添加して晶析するか、又はジオール若しくはジオール系混合溶媒から晶析する。
まず、(2R,3S)体又は(2S,3R)体を極性有機溶媒中に溶解し、水を添加して晶析する方法について説明する。
まず、(2R,3S)体又は(2S,3R)体を極性有機溶媒に溶解させる。極性有機溶媒としては、水と混和する有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、アセトン、2−ブタノン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、及びこれら溶媒の任意の混合溶媒を挙げることができるが、特にメタノールおよび2−プロパノールが好ましい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で他の溶媒、例えば水が存在していてもよい。また、後述するジオール又はジオール系混合溶媒も、ここにいう極性有機溶媒に包含される。
(2R,3S)体又は(2S,3R)体を極性有機溶媒に溶解させる場合に、溶解させる際の温度は、これには特別の制限はないが、好ましくは−10〜70℃、更に好ましくは0〜40℃である。また、極性有機溶媒の使用量も、これには特別の制限はないが、(2R,3S)体又は(2S,3R)体1gに対して2〜20mlの量の溶媒を使用することができる。
次に、このようにして作成した(2R,3S)体又は(2S,3R)体の有機溶媒溶液に水を添加して、該(2R,3S)体又は(2S,3R)体の晶析を行う。
添加する水の量は、これには特別の制限はないが、前記の極性有機溶媒に対して重量比で好ましくは5〜95%、より好ましくは25〜85%である。
晶析を行う温度は、好ましくは−10〜70℃、特に好ましくは0〜40℃で行うのがよい。添加する水の温度は、これには特別の制限はないが、晶析を行う温度と同じにするのが好ましい。また、水の加え方も特に制限されないが、30分から4時間にわたって徐々に加えるのが好ましい。
結晶化(晶析)は被晶析溶液を撹拌しながら行っても静置条件下で行ってもよい。必要に応じて、水の添加中もしくは添加後に種結晶の接種を行うことにより、結晶化をより容易に行うことができる。更に、必要により、水の添加中もしくは添加後に冷却し、晶析をより低い温度で行ってもよい。
極性有機溶媒として例えばメタノールなどのアルコールを用いる場合、これに事前に水を添加することで得られる混合溶媒に対しては、不純物であるジアステレオマーの溶解度が目的物よりも低いこととなるが、本発明によるごとく不純物を随伴する(2R,3S)体又は(2S,3R)体を予め一旦極性溶媒に溶解させ、次いでこの溶液に水を添加して晶析することにより目的物の(2R,3S)体又は(2S,3R)体が優先的に晶析され、結果として不純物であるジアステレオマーを母液側に除去できるのである。しかして、本発明の製造法に付すべき(2R,3S)体又は(2S,3R)体については、用いる極性有機溶媒によっても異なるが、本発明の効果の一つであるジアステレオマー除去の効果を十分に得る上では目的物に対する不純物のジアステレオマーの比率が90:10以下であるのが好ましい。
本発明の、このような製造法においては、晶析の際、不純物のジアステレオマーのみならず高極性の不純物も同時に母液側に除去することができるため、純度の高い(2R,3S)体又は(2S,3R)体を効率的に得ることができる。また、母液と分離して得られた結晶は、水や水とアルコールの混合溶媒、ヘプタン、ヘキサンなどの有機溶媒で洗浄してもよい。
次に、(2R,3S)体又はその光学異性体である(2S,3R)体を、ジオール系溶媒、すなわち、ジオール又はジオール系混合溶媒から晶析する方法について説明する。本発明において極性有機溶媒としてジオール又はジオール系混合溶媒を用いた場合、水を添加することなく晶析することができる。
まず、(2R,3S)体又は(2S,3R)体を、ジオール又はジオール系混合溶媒に溶解させる。溶解させる際の温度は、これには特別の制限はないが、好ましくは40〜70℃である。
ジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコールなどの炭素原子数1〜6のジオールを挙げることができる。特にエチレングリコール又は1,3−プロパンジオールが好ましい。これらのジオールは2種以上を混合して用いてもよい。
ジオール系混合溶媒とは、水とジオールとの混合溶媒又はジオールと混和する有機溶媒とジオールとの混合溶媒をいう。ジオールとしては上述したものを用いることができる。ジオールと混和する有機溶媒としては、例えばアセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、グリセリン等を挙げることができる。これらの有機溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。このときジオールと他の溶媒の組成比(混合比)は、これには特別の制限はないが、好ましくは50v/v%以上である(ここに、v/v%は混合溶媒におけるジオールの体積比で示している)。
ジオール又はジオール系混合溶媒の使用量は、これには特別の制限はないが、例えば(2R,3S)体又は(2S,3R)体1gに対して、2〜20mlの量の溶媒を使用することができる。
晶析は冷却晶析によるのがよい。晶析を行う温度は、10〜30℃が好ましい。このとき結晶化(晶析)は撹拌しながら行っても静置条件下で行ってもよい。必要に応じて種結晶の接種を行うことにより、結晶化をより容易に行うことができる。
ジオール又はジオール系混合溶媒の中、例えばエチレングリコールなどは、不純物であるジアステレオマーの溶解度は目的物よりも低いこととなるが、晶析段階においては目的物が優先的に晶析され、結果として不純物であるジアステレオマーを母液側に除去できることが見出された。従って、本発明の製造方法(単離、精製方法)に付すべき(2R,3S)体又は(2S,3R)体については、用いる溶媒によっても異なるが、本発明の効果の一つであるジアステレオマー除去の効果を十分に得る上で目的物に対する不純物のジアステレオマーの比率が90:10以下であるのが好ましい。
上述したのと同様に、晶析の際、不純物のジアステレオマーのみならず高極性の不純物も同時に母液側に除去することができるため、純度の高い(2R,3S)体又は(2S,3R)体を効率的に得ることができる。また、母液と分離して得られた結晶は、水や水とアルコールの混合溶媒、ヘプタン、ヘキサンなどの有機溶媒で洗浄してもよいことは、先に説明したところと同様である。
なお、本発明の製造法における(2R,3S)体又は(2S,3R)体の晶析を行う前又は後に(2R,3S)体又は(2S,3R)体を特定の溶媒に溶解し不溶物を除去することにより、不純物であるジアステレオマーを更に高度に除去することもできる。
この場合、好ましい溶媒としては、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの有機溶媒や、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコールと水との混合溶媒を挙げることができる。特に2−プロパノールと水との混合溶媒やトルエンおよびキシレンが好適に用いられる。
不純物であるジアステレオマーはこれらの溶媒に溶解し難いため、スラリー状態とし、不溶物として除去することができる。また例えば室温以上の高温にて溶液状態とし、これを適当な温度まで冷却して不純物であるジアステレオマーを析出させてもよい。
使用する溶媒量は、好ましくは溶解させる対象物に対して1〜50倍重量である。通常−20℃から使用する溶剤の沸点以下の温度で攪拌して溶解させる。例えば、キシレンであれば35〜70℃程度とし、不溶物を熱時濾過するのがよい。例えば、トルエンであれば室温から−20℃程度とし、不溶物を濾過するのがよい。例えば、2−プロパノールと水との混合溶媒であれば0〜50℃程度とし、不溶物を濾過するのがよい。当業者は使用する溶媒に応じてより好ましい条件を適宜容易に設定することが可能である。次いで、濾過等により不溶物を除去することで、不純物であるジアステレオマーを固体として除去することができる。
本発明の製造方法を実施する前に、例えばこのような操作を行うことで、目的物に対するジアステレオマーの比率を、例えば95:5以上、、更には98:2以上としておくことも可能である。
上記のようにして得られる(2R,3S)体は、塩基で処理することにより、対応する下記式(3)で表されるN保護−β−アミノエポキシド、すなわち、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノエポキシドに誘導することができる。
Figure 2002044136
同様に(2S,3R)体も、塩基で処理することにより、対応する下記式(4)で表される(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノエポキシドに誘導することができる。
Figure 2002044136
このような反応は、例えば、特開平6−206857号公報(EP580402)等に記載されているように当業者に公知の反応である。
塩基としては水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等が好ましく用いられ、反応溶媒としてはエタノール、エタノールと水との混合溶媒、2−プロパノールと水との混合溶媒、アセトンと水との混合溶媒等が好ましく用いられる。塩基の使用量は反応基質に対し通常1〜10モル当量、好ましくは1〜5モル当量用いることができ、反応温度は通常−10〜80℃、好ましくは0〜60℃とすることができる。反応時間は好ましくは10分〜50時間程度である。反応は通常撹拌下に行われ、反応終了後、酸を加え反応を停止させてもよい。酸としては塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、硫酸水素カリウム水溶液等を好ましく用いることができる。
これら式(3)又は(4)で表される化合物もまた、HIVプロテアーゼ阻害剤等の医薬化合物の中間体として有用な化合物であることは、先に説明した通りである。
さて、前記式(1)および(2)において、Xは塩素、臭素などのハロゲンを表すが、本発明の目的上、これらの中では塩素が好ましく、また前記式(1)〜(4)において、Yはアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表すが、本発明の目的上、これらの中ではベンジル基が好ましい。
従って、本発明の好ましい態様としては、(A)下記式(5)
Figure 2002044136
で表される(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン、又は下記式(6)
Figure 2002044136
で表される(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンが溶解した極性有機溶媒中に水を添加して晶析すること、又はジオール若しくはジオール系混合溶媒から晶析することを特徴とする(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの製造法、並びに(B)上記製造方法に従って(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを製造した後、該(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は該(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを塩基で処理することを特徴とする下記式(7)
Figure 2002044136
で表される(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1,2−エポキシ−4−フェニルブタン、又は下記式(8)
Figure 2002044136
で表される(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1,2−エポキシ−4−フェニルブタンの製造法を挙げることができる。
(発明を実施するための最良の形態)
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明する。もちろん、このような実施例は本発明を何ら限定するものではない。なお、実施例中に記載されている目的物とそのジアステレオマーの比率は全てモル比率である。
<参考例1>
(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの合成
アルゴン雰囲気下、脱水ジエチルエーテル(100ml)にトリ−tert−ブトキシ水素化リチウムアルミニウム(4.7g)を加えて0℃に冷却した後、(3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−4−フェニル−2−ブタノン(5.0g)を添加し、0℃にて3時間攪拌した。反応液に1N塩酸(37ml)を加えて反応を停止し、分層して有機層を1N塩酸および飽和食塩水で洗浄した。洗浄した有機層から減圧下で溶媒を留去し、残渣に室温でメタノール(23.2ml)を加えてこれを溶解させた。得られたメタノール溶液をHPLCにて分析したところ、3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンのジアステレオマー混合物が合計収率92.1%で得られていることを確認した。目的物である(2R,3S)体とそのジアステレオマーである(2S,3S)体の生成比は、(2R,3S):(2S,3S)=87.4:12.6であった。
得られたメタノール溶液を0℃に冷却した後、水(6ml)を添加した。種結晶の接種を行った後、1時間かけて水(22.2ml)を滴下し、さらに2時間攪拌した。生じた結晶を濾取し、ヘプタン(15ml)で2回洗浄した後、水(25ml)で2回洗浄した。得られた結晶を乾燥し、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを収率85.4%(4.30g)で得た。このものにおける、目的物である(2R,3S)体とそのジアステレオマーである(2S,3S)体の生成比は、(2R,3S):(2S,3S)=87.0:13.0であった。
<参考例2>
(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの精製
参考例1におけると同様の方法で得られた粗(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン21.9g((2R,3S):(2S,3S)=84.9:15.1))に2−プロパノール(49.2ml)と水(16.4ml)を加え、70℃にて溶解させた後、溶液を4時間かけて20℃まで冷却した。さらに20℃で16時間撹拌した後、15℃に冷却して1時間撹拌し、生じた不溶物を濾過により除去した。得られた母液を濃縮乾固し、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを回収率81.9%(17.9g)で得た。このものにおける、目的物である(2R,3S)体とそのジアステレオマーである(2S,3S)体の生成比は、(2R,3S):(2S,3S)=98.4:1.6であった。
<実施例1>
(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの精製(その1)
参考例2におけると同様の方法で得られた粗(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン0.997g((2R,3S)体含量0.790g、そして(2S,3S)体含量0.013g、従って(2R,3S):(2S,3S)=98.4:1.6、そして(2R,3S)体純度は94.2%(HPLC面積比))に室温(20℃)で極性有機溶媒のメタノール(4.0ml)を加えて溶解させた。20分かけて水(2.5ml)を滴下した後、種結晶の接種を行い、30分間攪拌した。20℃から1時間で0℃まで冷却した後、さらに40分間攪拌して濾過した。得られた結晶を乾燥し、(2R,3S)体を回収率78.2%(0.618g)で得た。(2R,3S):(2S,3S)=100:0、また(2R,3S)体純度は99.4%(HPLC面積比)であった。
H−NMR(CDCl,300MHz)δppm:1.38(s,9H),2.91(dd,J=8.1,13.2Hz,1H),3.01(dd,J=7.1,13.2Hz,1H),3.14(d,J=4.0Hz,1H),3.53(s,1H),3.55(d,J=2.3Hz,1H),3.70−3.77(m,1H),3.79−3.89(m,1H),4.88(bd,1H),7.19−7.35(m,5H).
マススペクトル m/e:322(M+Na).
[α] 20=−28.3°(c=0.50,CHCl).
<実施例2>
(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの精製(その2)
参考例2におけると同様の方法で得られた粗(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン1.007g((2R,3S)体含量0.982g、(2S,3S)体含量0.017g、(2R,3S):(2S,3S)=98.3:1.7、(2R,3S)体純度は97.5%(HPLC面積比))にエチレングリコール(5ml)を加えて60℃で溶解させた。60℃から1時間かけて50℃に冷却した後、種結晶の接種を行い、30分間攪拌した。50℃から3時間で20℃まで冷却した後、さらに2時間攪拌して濾過し、エチレングリコール:水=1:1混合液(3ml)、および水(3ml)を順次結晶にかけて洗浄した。得られた結晶を乾燥し、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを回収率67.1%(0.660g)で得た。(2R,3S):(2S,3S)=99.94:0.06、また(2R,3S)体純度は99.8%(HPLC面積比)であった。
<実施例3>
(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの精製(その3)
参考例2におけると同様の方法で得られた粗(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン1.000g((2R,3S)体含量0.972g、(2S,3S)体含量0.017g、(2R,3S):(2S,3S)=98.3:1.7、(2R,3S)体純度は97.2%(HPLC面積比))に1,3プロパンジオール(5ml)を加えて60℃で溶解させた。60℃から2時間かけて40℃に冷却した後、種結晶の接種を行った。40℃から3時間30分で5℃まで冷却した後、さらに2時間攪拌して濾過し、メタノール:水=1:1混合液(3ml)を結晶にかけて洗浄した。得られた結晶を乾燥し、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを回収率63.8%(0.620g)で得た。(2R,3S):(2S,3S)=100:0、また(2R,3S)体純度は99.5%(HPLC面積比)であった。
<実施例4>
(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの精製(その4)
参考例2におけると同様の方法で得られた粗(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン1.000g((2R,3S)体含量0.981g、(2S,3S)体含量0.016g、(2R,3S):(2S,3S)=98.4:1.6、(2R,3S)体純度は98.1%(HPLC面積比))にエチレングリコール(4ml)と1,4ブタンジオール(0.6ml)を加えて60℃で溶解させた。60℃から1時間かけて48℃に冷却した後、種結晶の接種を行った。48℃から3時間で20℃まで冷却した後、さらに2時間攪拌して濾過し、メタノール:水=1:1混合液(3ml)を結晶にかけて洗浄した。得られた結晶を乾燥し、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを回収率69.4%(0.686g)で得た。(2R,3S):(2S,3S)=100:0、また(2R,3S)体純度は99.5%(HPLC面積比)であった。
<実施例5>
(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの精製(その5)
参考例2におけると同様の方法で得られた粗(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン1.000g((2R,3S)体含量0.981g、(2S,3S)体含量0.016g、(2R,3S):(2S,3S)=98.4:1.6、(2R,3S)体純度は98.1%(HPLC面積比))にエチレングリコール(6ml)、2−プロパノール(2.4ml)及び水(1.7ml)を加え60℃で溶解させた。60℃から3時間かけて30℃に冷却した後、種結晶の接種を行った。30℃から1時間で20℃まで冷却した後、さらに2時間攪拌して濾過し、メタノール:水=1:1混合液(3ml)を結晶にかけて洗浄した。得られた結晶を乾燥し、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを回収率58.2%(0.574g)で得た。(2R,3S):(2S,3S)=100:0、また(2R,3S)体純度は99.5%(HPLC面積比)であった。
<実施例6>
(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの精製(その6)
参考例2と同様の方法で得られた母液(3.68g)((2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン((2R,3S)体含量0.982g、(2S,3S)体含量0.017g、(2R,3S):(2S,3S)=98.3:1.7、(2R,3S)体純度は97.9%(HPLC面積比)))を40℃に加温しエチレングリコール(6ml)と水(1.2ml)を加えた。40℃から1時間かけて30℃まで冷却した後、種晶の接種を行い、さらに1時間攪拌した。30℃から1時間かけて20℃まで冷却した後さらに2時間攪拌して濾過し、メタノール:水=1:1混合液(3ml)を結晶にかけて洗浄した。得られた結晶を乾燥し、(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを回収率58.5%(0.576g)で得た。(2R,3S):(2S,3S)=100:0、また(2R,3S)体純度は99.8%(HPLC面積比)であった。
(産業上の利用可能性)
本発明によれば、(2R,3S)−又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンなどのN保護−β−アミノアルコールの製造において、不純物であるジアステレオマー及び高極性不純物を効率的に除去することができ、純度の高いN保護−β−アミノアルコールを得ることができる。延いては、このN保護−β−アミノアルコールから純度の高いN保護−β−アミノエポキシドを得ることができる。従って、本発明の製造法は工業的規模での生産においても、HIVプロテアーゼ阻害剤等の医薬化合物の合成中間体の生産性の高い優れた製造法となることができる。

Claims (9)

  1. 下記式(1)
    Figure 2002044136
    [式中、Yはそれぞれ置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜15のアリール基、または炭素原子数7〜20のアラルキル基を示し、そしてXはハロゲン原子を示す。]
    で表される(2R,3S)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコール、又は下記式(2)
    Figure 2002044136
    [式中、Y及びXは前記と同じ意味を示す。]
    で表される(2S,3R)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコールを極性有機溶媒中に溶解し、水を添加して晶析するか、又はジオール若しくはジオール系混合溶媒から晶析することを特徴とする(2R,3S)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコール又は(2S,3R)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコールの製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法に従って(2R,3S)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコール又は(2S,3R)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノアルコールを得た後これを塩基で処理することを特徴とする下記式(3)
    Figure 2002044136
    [式中、Yはそれぞれ置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜15のアリール基、または炭素原子数7〜20のアラルキル基を示す。]
    で表される(2R,3S)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノエポキシド、又は下記式(4)
    Figure 2002044136
    [式中、Yは前記と同じ意味を示す。]
    で表される(2S,3R)−N−tert−ブトキシカルボニル−β−アミノエポキシドの製造方法。
  3. 下記式(5)
    Figure 2002044136
    で表される(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン、又は下記式(6)
    Figure 2002044136
    で表される(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンが溶解した極性有機溶媒中に、水を添加して晶析するか、又はジオール若しくはジオール系混合溶媒から晶析することを特徴とする(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの製造方法。
  4. 請求項3記載の製造方法に従って(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを製造した後、該(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は該(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを塩基で処理することを特徴とする下記式(7)
    Figure 2002044136
    で表される(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1,2−エポキシ−4−フェニルブタン、又は下記式(8)
    Figure 2002044136
    で表される(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1,2−エポキシ−4−フェニルブタンの製造方法。
  5. 下記式(5)
    Figure 2002044136
    で表される(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン、又は下記式(6)
    Figure 2002044136
    で表される(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンが溶解した極性有機溶媒中に、水を添加して晶析することを特徴とする(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの製造方法。
  6. 請求項5記載の製造方法に従って(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを製造した後、該(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は該(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを塩基で処理することを特徴とする下記式(7)
    Figure 2002044136
    で表される(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1,2−エポキシ−4−フェニルブタン、又は下記式(8)
    Figure 2002044136
    で表される(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1,2−エポキシ−4−フェニルブタンの製造方法。
  7. 下記式(5)
    Figure 2002044136
    で表される(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン、又は下記式(6)
    Figure 2002044136
    で表される(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを、ジオール又はジオール系混合溶媒から晶析することを特徴とする(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンの製造方法。
  8. ジオールがエチレングリコール、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールから選ばれる少なくとも1つである請求項7記載の製造方法。
  9. 請求項7記載の製造方法に従って(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを製造した後、該(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン又は該(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−クロロ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタンを塩基で処理することを特徴とする下記式(7)
    Figure 2002044136
    で表される(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1,2−エポキシ−4−フェニルブタン、又は下記式(8)
    Figure 2002044136
    で表される(2S,3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1,2−エポキシ−4−フェニルブタンの製造方法。
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