明 細 書 平面モータ装置、 ステージ装置、 露光装置及びその製造方法、 並びにデバイス 及びその製造方法 技術分野
本発明は、 平面モータ装置、 ステージ装置、 露光装置及びその製造方法、 並 びにデバイス及びその製造方法に係り、 より詳細には、 可動子と固定子を有し 、 その可動子を非接触で電磁力によって 2次元方向に駆動する平面モータ装置 、 該平面モータ装置の可動子が一体的に取り付けられた移動体を含むステージ 装置、 該ステージ装置を備えた露光装置及びその製造方法、 並びにその露光装 置を用いて製造されるデバイス及びその製造方法に関する。 背景技術
従来より、 半導体素子、 液晶表示素子等を製造するためのリソグラフイエ程 では、 マスク又はレチクル (以下、 「レチクル」 と総称する) に形成されたパ ターンを投影光学系を介してレジス卜等が塗布されたウェハ又はガラスプレー 卜等の基板 (以下、 適宜 「基板又はウェハ」 という) 上に転写する露光装置が 用いられている。 この露光装置では、 ウェハを高精度に露光位置に位置決めす る必要があるため、 ウェハはウェハホルダ上に真空吸着等によって保持され、 このウェハホルダがステージ装置を構成するウェハテーブル (移動体) 上に固 定される。
最近、 ウェハをより高速に、 機械的な案内面の精度等に影響されず高精度に 位置決めするとともに、 かつ機械的な摩擦を回避して長寿命とするために、 ゥ ェハが載置された平板状の移動体を支持部材上に浮上支持し非接触で駆動する
ことにより、 ウェハの位置制御を行うステージ装置の開発が進められている。 かかるステージ装置の実現にあたり、 その鍵となる技術は、 可動子を固定子か ら浮上させ、 X Y平面内の所定方向 (回転方向を含む) に駆動して可動子を移 動させる平面モータ装置の技術である。 こうした平面モータ装置の駆動方式に は、 可変磁気抵抗駆動方式及びローレンツ電磁力駆動方式がある。
可変磁気抵抗駆動方式の平面モータ装置としては、 現状では、 ソィャモー夕 のように可変磁気抵抗駆動方式のリニァパルスモータを 2軸分結合させた構造 が主流である。 この可変磁気抵抗駆動方式のリニアパルスモータは、 例えば凸 凹状の歯部が長手方向に沿って等間隔に形成された板状の磁性体によって構成 された固定子と、 該固定子の凸凹状の歯部と対向し、 この凸凹状歯部とは異な る位相の凸凹部を有する複数の電機子コイルが永久磁石を介して連結された可 動子とを備える。 そして、 各時点における固定子と可動子との間の磁気抵抗を 最小にしょうとして発生する力を利用して、 可動子を駆動する。 すなわち、 各 電機子コイルに供給されるパルス電流の電流値及び位相を調整 ·制御すること により可動子をステップ状に歩進動作させる。
かかるソィャモータ型はリニアパルスモータを移動平面上に 2軸分連結した 構成であり、 平面移動できる可動子の各軸方向駆動部が分離しているので、 可 動子が重くなる。 かかる不都合を改善するため、 例えば特公昭 6 0— 2 2 5 8 3号公報に開示されているような、 1つの駆動部にて平面移動可能な発展型の 平面モータ装置も提案されている。
また、 ローレンツ電磁力駆動方式の平面モータ装置は、 互いに直交する方向 の電流 I と磁束密度 Bとにおいて、 フレミングの左手の法則によって決定され る方向に発生する、
F = I X B X L · · · ( 1 ) ここで、 F :電流経路に発生する力
L :電流経路の長さ
で表されるローレンツ電磁力 Fを利用して駆動力を得る平面モータ装置である 。 従来のローレンツ電磁力駆動方式の平面モータ装置としては、 例えば米国特 許第 5 1 9 6 7 4 5号に開示されているような平面モータ装置の技術が提案さ れている。 この平面モータ装置では、 可動子 (又は固定子) 上に X軸方向駆動 用の磁石を極性が交互となるように X軸方向に配列するとともに、 Y軸方向駆 動用の磁石を極性が交互となるように、 X軸方向駆動用の磁石の配列と交差さ せることなく Y軸方向に配列している。 また、 固定子 (又は可動子) 上に、 X 軸方向駆動用の多相コイルを X軸方向に配列するとともに、 Y軸方向駆動用の 多相コイルを X軸駆動用コイルと交差させることなく配列している。 そして、 X軸方向駆動用の磁石と対向している X軸方向駆動用の多層コイルに電流を流 してローレンツ電磁力を発生させることにより X軸方向の推力を発生させ、 ま た、 Y軸方向駆動用の磁石と対向している Y軸方向駆動用の多層コイルに電流 を流して口一レンツ電磁力を発生させることにより Y軸方向の推力を発生させ ている。
上記のような従来の平面モータの内、 可変磁気抵抗式の平面モータ装置では 、 磁性体間あるいは磁性体と永久磁石との間の磁気的吸引力反発力により高推 力を得るものであるが、 電流無励磁状態での推力むら即ち推力コギングを低減 することが本質的に困難であった。 また、 電流励磁による発生推力は可動位置 により変化するため定推力を得るためには高次な電流パターンが必要とされて いた。
また、 可変磁気抵抗式モータは、 通常、 磁性体に電機子コイルを巻くいわゆ る有鉄心コイルを構成要素としており、 電機子コイルインダクタンスが大きい ため、 応答性に優れておらず、 改善のため高い電圧源を必要とし、 効率的とは いえなかった。
さらに、 有鉄心コイルでは励磁電流による鉄心の磁気飽和が生じるため、 高 電流域までの推力線形性が得られにくく、 制御系設計が複雑となってしまって
いた。
一方、 従来のローレンツ電磁力式の平面モータ装置では、 制御性、 推力線形 性、 位置決め性に優れているものの、 磁石やコイルの配列の制限により駆動に 寄与する磁石及びコイルの数を多くできないので、 発生推力を大きくすること が困難である。 したがって、 ウェハホルダや基板テーブルのようなある程度の 重量物を搭載した可動子を高速に移動させることが困難であった。
また、 上述した可変磁気抵抗駆動方式の平面モータ装置を、 精密位置決めに 用いて高速な位置決めを実現するためには、 大きな駆動力を得ることが必要と なるが、 このためには電機子コイルに必然的に大きな電流を流さなければなら ない。 そのため、 電機子コイルの発熱量が大きくなる。 かかる電機子コイルの 発熱量の増大は、 大きな推力を得るためには、 電機子コイルに大きな電流を流 さなければならないローレンツ電磁力駆動の平面モータ装置においても同様で ある。 したがって、 精密位置決め装置環境を考えた場合、 熱的影響を低減させ る平面モータ装置の実現には冷却設計が不可欠である。
さらに、 可変磁気抵抗駆動方式の平面モータ装置を用いて、 精密位置決めス テージを構成する場合には、 該ステージの浮上のためのエアベアリング等の軸 受けが必須となるが、 可変磁気抵抗駆動方式の平面モータ装置は、 磁気的吸引 力をその駆動原理としているため、 可動子と固定子との間隔が非常に小さく設 定されており、 両者間の磁気的吸引力がエアベアリングによるステージ浮上の ための力に対する抗カとして働き、 そのためステージ浮上のためのエアー供給 量ひいてはそのエアーを供給する空気ポンプの消費電力が大きくなつてしまう 。 ローレンツ電磁力駆動の平面モータ装置においても、 ステージの駆動源とし て用いる場合には、 ステージ浮上のための消費電力を低減することが望ましい 本発明は、 かかる事情の下になされたものであり、 その第 1の目的は、 制御 性、 推力線形性、 及び位置決め性に優れ、 かつ効率良く推力を発生することが
できる平面モータ装置を提供することにある。
また、 本発明の第 2の目的は、 搭載した対象物を、 高精度に位置制御を行う ことができるステージ装置を提供することにある。
また、 本発明の第 3の目的は、 基板等の高精度位置決めによって、 高精度の 露光を行うことができる露光装置を提供することにある。
また、 本発明の第 4の目的は、 微細パターンが精度良く形成されたデバイス を提供することにある。 発明の開示
本発明は、 第 1の観点からすると、 矩形状の電流経路を有する複数の電機子 コイル (3 8 ) がガイド面 (2 1 a ) に沿ってマトリクス状に配列された電機 子ユニット (2 5 ) と;前記電機子コイルの配列周期よりも長く、 前記電機子 コイルの配列周期の整数倍以外の長さを一辺とする矩形状の磁極面を有する複 数の推力発生磁石 (5 4 a ~ 5 4 d ) が、 行方向及び列方向で隣り合う磁極面 の極性が互いに異なるように、 前記電機子コイルの配列周期の整数倍の配列周 期でマトリクス状に配列され、 前記ガイド面に関して前記電機子ュニッ卜と反 対側に配置された磁極ユニット (5 6 ) とを備え、 前記電機子ユニットと前記 磁極ュニッ卜とが、 前記ガイド面に沿った方向に相対移動する第 1の平面モー 夕装置である。
本発明の第 1の平面モータ装置では、 効率の良い磁束の発生、 すなわち磁束 密度の高い磁束の発生にあたり、 磁気抵抗の小さな磁気回路を構成するため、 磁極ュニッ卜において、 推力発生磁石を隣り合う磁極面の極性が互いに異なる ようにマトリクス状に配列している。 また、 電機子ユニットにおいて、 電機子 コイルをマトリクス状に配列し、 これらの電機子コイルに供給される電流の電 流値や電流方向を変化させることにより、 電機子コイルに発生するローレンツ 電磁力の大きさや方向を変化させることにしている。 したがって、 磁極ュニッ
卜で配列される各推力発生磁石及び電機子ュニッ卜で配列される各電機子コィ ルには専用の駆動方向は存在しないので、 所望の方向に磁極ュニッ卜と電機子 ュニッ卜とを相対移動させるときに、 全ての推力発生磁石及びこれらの推力発 生磁石に対向している全ての電機子コイルをその所望の駆動方向のために使用 することができる。 この結果、 大きな推力によるモータ駆動が可能となる。 また、 本発明の第 1の平面モータ装置では、 磁極ユニットにおける推力発生 磁石のマトリクス状の配列周期を、 電機子ュニッ卜における電機子コイルの配 列周期の整数倍としている。 このため、 推力発生磁石の配列方向と電機子コィ ルの配列方向とは平行であるときには、 一つの推力発生磁石とこれに対向する 電機子コイルとの位置関係は、 他の推力発生磁石とこれに対向する電機子コィ ルとの位置関係と同様となる。 したがって、 所望の方向に並進するように磁極 ュニッ卜と電機子ュニッ卜とを相対移動させるときには、 電機子ュニッ卜に対 向する推力発生磁石の磁極面の極性に応じて電機子コイルに供給される電流の 電流方向が異なるが、 基本的には、 一つの推力発生磁石に対向している電機子 コイルに所望の駆動方向への推力を発生させる電流の態様と同様の態様の電流 を、 他の推力発生磁石に対向している電機子コイルにも駆動装置によって供給 すればよいので、 モータ駆動の電流制御が容易となる。
また、 本発明の第 1の平面モータ装置では、 推力発生磁石の磁極面の一辺の 長さを、 電機子コイルの配列周期よりも長く、 電機子コイルの配列周期の整数 倍以外の長さとしている。 したがって、 推力発生磁石の磁極面の一辺の長さが 、 電機子コイルの配列周期の整数倍の長さのときに必然的に発生する、 電機子 コイルに供給する電流の態様に拘わらず推力が零となる推力発生磁石と電機子 コイルとの位置関係が存在しない。
したがって、 本発明の第 1の平面モータ装置によれば、 制御性、 推力線形性
、 及び位置決め性に優れたローレンツ電磁力方式の長所を生かしつつ、 簡易な 電流制御により、 安定して大きな推力を発生することができる。
本発明の第 1の平面モータ装置では、 前記磁極ユニットが、 前記電機子ュニ ッ卜に対向する前記推力発生磁石の磁極面とは反対側の磁極面側で前記行方向 及び前記列方向のいずれか一方で隣り合う前記推力発生磁石間に形成される磁 束経路中に配設され、 磁気回路の一部を形成し、 起磁力を強化する補間磁石 (
5 5 a〜5 5 d ) を更に含む構成とすることができる。 かかる場合には、 磁気 回路の構成にあたって、 起磁力源が推力発生磁石と補間磁石との双方となるの で、 磁極ユニットに起因し、 電機子コイルの電流経路に形成される磁束の磁束 密度 Bの絶対値を大きくすることができる。 したがって、 更に大きな推力を発 生することができる。
一般に、 磁極ュニッ卜の外形を変えずに推力発生磁石の配列の行数や列数を 増やした場合には、 磁極ユニットと電機子ユニットとの相対移動において、 電 機子ュニッ卜側における磁気回路の形成位置が移動すると、 行方向及び列方向 で隣り合う磁極面の極性が互いに異なるので、 電機子ュニッ卜側の各位置では 磁束の方向が頻繁に逆転することになる。 このため、 例えば電機子ユニット側 の磁気抵抗を小さくするために磁性体部材を使用した場合を考えると、 この磁 性体部材中の各位置で磁束の方向が頻繁に変化することによって、 磁性体部材 中に渦電流が生じる。 この結果、 磁気抵抗が高くなり、 磁束密度の高い磁束が 発生できなくなるとともに損失も大きくなる。
そこで、 本発明の第 1の平面モータ装置では、 これを考慮して、 前記推力発 生磁石を 2行 2列のマトリクス状に配列することができる。 かかる場合には、 磁極ュニッ卜と電機子ュニッ卜との相対移動における、 電機子ュニッ卜側の各 位置における磁束の方向が逆転の頻度を最小にしている。 したがって、 磁気抵 杭の低い磁気回路を維持できるので、 大きな推力を発生することができるとと もに損失も小さくなる。 また、 かかる場合には、 対称性良く高い磁束密度の磁 束を発生するために推力発生磁石を正方マトリクス状に配列する磁極ュニッ卜 において、 推力発生用磁石の個数が最小となるので、 磁極ユニットの構成を簡
易なものとすることができる。
また、 本発明の第 1の平面モータ装置において、 電機子コイルの磁極ュニッ 卜との対向面や推力発生磁石の磁極面の外形には様々考えられるが、 前記電機 子コイルの前記磁極ュニッ卜との対向面の外形を正方形状とし、 前記推力発生 磁石の磁極面を正方形状とすることができる。 かかる場合には、 互いに直交す る 2方向の内の一方の方向に関して磁極ュニッ卜と電機子ュニッ卜とを相対移 動させるときと、 他方の方向に関してこれらを相対移動させるときとで、 相対 移動方向に沿って配列された電機子コイルに供給する電流の態様を同様とでき る。 すなわち、 互いに直交する 2方向については、 電機子コイルに供給する電 流の態様を対称的とできる。 したがって、 磁極ユニットと電機子ユニットとの 2次元的な相対移動の制御が容易となる。
この場合、 電機子コイルの形状及び配列と推力発生磁石の形状及び配列との 関係は様々考えられるが、 前記電機子コイルの前記電流経路の各外辺の長さを 前記電流経路の内辺の長さのほぼ 3倍とし、 前記推力発生磁石の磁極面の一辺 の長さを前記電流経路の内辺の長さの 4 ~ 5倍とし、 前記推力発生磁石の配列 周期を前記電流経路の内辺の長さのほぼ 6倍とすることができる。 かかる場合 には、 推力発生磁石の配列周期が電機子コイルを稠密にマトリクス状に配列し たときの配列周期の 2倍という最小整数倍となり、 また、 推力発生磁石の一辺 の長さが電機子コイルの外形の 4 3 ~ 5 3倍という非整数倍とすることが できる。
また、 本発明の第 1の平面モータ装置では、 前記電機子コイルを前記磁極ュ ニット側とは反対側で支持する第 1磁性体部材 (4 3 ) を更に備える構成とす ることができる。 かかる場合には、 電機子コイルの磁極ユニット側とは反対側 での磁気回路が第 1磁性体部材を介して構成されるので、 磁気抵抗の低い、 安 定した磁気回路が構成できるとともに、 磁束を第 1磁性体部材の中に閉じ込め ることができる。 したがって、 磁束密度の高い磁束を電機子コイルの配設位置
に発生させることができるとともに、 電機子コイルの磁極ュニッ卜側とは反対 側に配設される部材に対する磁気の影響を防止できる。
また、 本発明の第 1の平面モータ装置では、 前記推力発生磁石を前記電機子 ユニットとは反対側で支持する第 2磁性体部材 (5 2 ) を更に備える構成とす ることができる。 かかる場合には、 電機子ユニットとは反対側磁気回路が第 2 磁性体部材を介して構成されるので、 磁気抵抗の低い、 安定した磁気回路が構 成できるとともに、 磁束を第 2磁性体部材の中に閉じ込めることができる。 し たがって、 磁束密度の高い磁束を電機子コイルの配設位置に発生させることが できるとともに、 電機子コイルの磁極ュニッ卜側とは反対側に配設される部材 に対する磁気の影響を防止できる。
また、 本発明の第 1の平面モータ装置では、 前記電機子ユニットと前記磁極 ユニットとの間に配置され、 非磁性材料かつ非導電性材料から成り、 前記ガイ ド面を形成する少なくとも 1つのガイド部材を更に備える構成とすることがで きる。 ここで、 非磁性材料とは、 鉄等の磁性材料と比べて透磁率が十分に小さ く、 空気のそれとほぼ等しい材料をいう。 また、 非導電性材料とは、 銅等の導 電材料と比べて導電率が十分に小さく、 空気のそれとほぼ等しい材料をいう。 かかる場合には、 磁極ュニッ卜側から吹き出された空気がガイド部材に吹き付 けられることにより、 磁極ユニットとガイド部材とが非接触となり、 この非接 触状態が維持される。 また、 ガイド部材は非磁性体かつ非導電体なので、 磁極 ユニットが発生する磁束に影響を与えることがない。 したがって、 平面モータ 装置としての推力を維持しつつ、 磁極ユニットとガイド部材 (ひいては、 電機 子ユニット) との非接触状態を簡易に達成できるので、 小さな推力で高速の相 対移動を簡易に行うことが可能となる。
また、 上記のガイド部材を更に備える本発明の第 1の平面モータ装置では、 前記磁極ュニッ卜に取り付けられ、 前記ガイド面に向けて加圧気体を吹き出す 吹き出し部 (6 1 ) を有し、 前記磁極ュニッ卜を前記ガイド面上に所定の空隙
を介して浮上支持する支持部材 (5 4 ) を更に備える構成とすることができる 。 かかる場合には、 磁極ユニットは、 該磁極ユニットに取り付けられた支持部 材の吹き出し部からガイド面に向けてを吹き出される加圧気体の吹き出し圧力 、 すなわち支持部材とガイド面との間の空隙の加圧気体の静圧によりガイド面 上に浮上支持される。 そして、 固定子を構成する複数の電機子コイルに電流が 供給されることにより発生する口一レンツ電磁力により磁極ュニッ卜と支持部 材は一体的にガイド面に沿って駆動される。 ここで、 支持部材の吹き出し部は 、 磁極ュニッ卜を構成する磁石の近傍に配置すれば、 より効率良く磁極ュニッ 卜を浮上支持できるので、 このようにすることが望ましい。
上記のガイド部材及び支持部材を更に備える第 1の平面モー夕装置では、 前 記ガイド部材を含み、 内部に前記複数の電機子コイルが配列される閉空間を形 成するベース (2 1 ) を更に備える構成とすることができる。 かかる場合には 、 電流の供給によって発熱した電機子コイルがベース内部の閉空間内に収納さ れているので、 周囲環境への熱的影響が低減される。 この場合、 ベースを断熱 性の高い部材で形成することが望ましい。
この場合、 前記閉空間内に冷媒を供給して前記各電機子コイルを冷却する冷 却装置 (7 9 ) を更に備える構成とすることができる。 かかる場合には、 閉空 間内に冷却装置により冷媒が供給されることにより各電機子コイルが効率良く 冷却されるので、 電機子コイルが効率良く冷却され、 周囲環境への熱的影響を 小さくし、 かつ冷却のための消費電力を低減することができる。
また、 ガイド部材及び支持部材を更に備える第〗の平面モータ装置では、 前 記複数の電機子コイルをそれぞれ個別に収納する複数のケース (3 6 ) を更に 備える構成とすることができる。 かかる場合には、 ケースが設けられてない場 合に比べてコイルの発熱による周囲の熱的影響が低減される。 この場合、 ケー ス及びガイド部材を断熱性の高い部材で形成することが望ましい。
ここで、 前記複数のケース内を個別に冷却する冷却装置 (7 9 ) を更に備え
ることが望ましい。 かかる場合には、 各ケース内の電機子コイルを個別にかつ 効率的に冷却することができる。
また、 前記各ケースの上面が前記ガイド面を形成する構成とすることができ る。 かかる場合には、 ケースがガイド部材となるので、 ケースとは別にガイド 部材を用意することが不要となり、 簡易な構成とすることができる。
前述のガイド部材を更に備える第 1の平面モータ装置では、 支持部材を備え るか否かに拘わらず、 前記ガイド部材を含み、 内部に前記複数の電機子コイル が配列される閉空間を形成するベース (2 1 ) を更に備える構成とすることが できる。 かかる場合においても、 電流の供給によって発熱した電機子コイルが ベース内部の閉空間内に収納されているので、 周囲環境への熱的影響を小さく することができる。 この場合においても、 前記閉空間内に冷媒を供給して前記 各電機子コイルを冷却する冷却装置 (7 9 ) を更に備える構成とすることがで さる。
また、 ガイド部材を更に備える第 1の平面モータ装置では、 支持部材を備え るか否かに拘わらず、 前記複数の電機子コイルをそれぞれ個別に収納する複数 のケース (3 6 ) を更に備える構成とすることができる。 かかる場合において も、 ケースが設けられてない場合に比べてコイルの発熱による周囲の熱的影響 が低減される。 この場合においても、 前記複数のケース内を個別に冷却する冷 却装置 (7 9 ) を更に備えることが望ましく、 また、 前記各ケースの上面が前 記ガイド面を形成する構成とすることができる。
本発明は、 第 2の観点からは、 矩形状の電流経路 (3 8 ) を有する複数の電 機子コイルがガイド面 (2 1 a ) に沿って配列された電機子ュニッ卜 (2 5 ) と;隣り合う磁極面の極性が互いに異なるように配列され、 矩形状の磁極面を 有する複数の推力発生磁石 (5 4 a〜5 4 d ) と、 前記電機子ユニットに対向 する前記推力発生磁石の磁極面とは反対側の磁極面側で隣り合う前記推力発生 磁石間に形成される磁束経路中に配設され、 起磁力を強化する補間磁石 (5 5
a〜5 5 d ) とを含み、 前記ガイド面に関して前記電機子ユニットと反対側に 配置された磁極ユニット (5 6 ) とを備え、 前記電機子ユニットと前記磁極ュ ニッ卜とが、 前記ガイド面に沿った方向に相対移動する第 2の平面モータ装置 である。
これによれば、 磁気回路の構成にあたって、 起磁力源が推力発生磁石と補間 磁石との双方となるので、 磁極ユニットに起因し、 電機子コイルの電流経路に 形成される磁束の磁束密度 Bの絶対値を大きくすることができる。 したがって 、 電機子ユニットの消費電力を低減しつつ、 制御性、 推力線形性、 及び位置決 め性に優れたローレンツ電磁力方式の長所を生かしつつ、 大きな推力を発生す ることができる。
本発明の第 2の平面モータ装置においても、 上述の本発明の第 1の平面モー タ装置と同様に、 前記電機子コイルの前記磁極ュニッ卜との対向面の外形を正 方形状とし、 前記推力発生磁石の磁極面を正方形状とする構成とすることがで きる。 そして、 前記電機子コイルの前記電流経路の各外辺の長さを前記電流経 路の内辺の長さのほぼ 3倍とし、 前記推力発生磁石の磁極面の一辺の長さを前 記電流経路の内辺の長さの 4〜 5倍とし、 前記推力発生磁石の配列周期を前記 電流経路の内辺の長さのほぼ 6倍とすることができる。
また、 上述の本発明の第 1の平面モータ装置と同様に、 前記電機子コイルを 前記磁極ュニッ卜側とは反対側で支持する第 1磁性体部材を更に備える構成と することができる。 また、 前記推力発生磁石を前記電機子ユニットとは反対側 で支持する第 2磁性体部材を更に備える構成とでき、 また、 前記電機子ュニッ 卜と前記磁極ユニットとの間に配置され、 非磁性体かつ非導電体から成り、 前 記ガイド面を形成する少なくとも 1つのガイド部材を更に備える構成とするこ とができる。
また、 前記ガイド部材を更に備える本発明の第 2の平面モータ装置では、 上 述の本発明の第 1の平面モータ装置の場合と同様に、 前記磁極ュニッ卜に取り
付けられ、 前記ガイド面に向けて加圧気体を吹き出す第 1の吹き出し部を有し
、 前記磁極ュニッ卜を前記ガイド面上に所定の空隙を介して浮上支持する支持 部材を更に備える構成とすることができる。 また、 前記ガイド部材を含み、 内 部に前記複数の電機子コイルが配列される閉空間を形成するベースを更に備え る構成とすることができる。 また、 前記複数の電機子コイルをそれぞれ個別に 収納する複数のケースを更に備える構成とすることができる。
そして、 ベースを更に備える場合には、 前記閉空間内に冷媒を供給して前記 各電機子コイルを冷却する冷却装置とを更に備える構成とすることができる。 また、 複数のケースを更に備える場合には、 前記複数のケース内を個別に冷却 する冷却装置を更に備える構成とすることができるし、 前記各ケースの上面が 前記ガイド面を形成する構成とすることができる。
上記のような限定あるいは付加がなされた本発明の第 2の平面モータ装置に おいても、 同様の限定あるいは付加がなされた本発明の第 1の平面モータ装置 の場合と同様にそれぞれの限定要素あるいは付加要素が作用し、 同様の効果を 奏する。
本発明は、 第 3の観点からすると、 少なくとも 1つの磁石 (5 4 a〜5 4 d ) を有し、 所定のガイド面 (2 1 a ) に沿って 2次元方向に移動する磁極ュニ ッ卜 (5 6 ) と;前記磁極ュニッ卜に取り付けられ、 前記ガイド面に向けて加 圧気体を吹き出す第 1の吹き出し部 (6 1 ) を有し、 前記磁極ユニットを前記 ガイド面上に所定の空隙を介して浮上支持する支持部材 (5 4 ) と;前記ガイ ド面に関して前記磁極ュニッ卜と反対側に、 前記ガイド面に沿って 2次元方向 に配置された複数の電機子コイル (3 8 ) を含む固定子 (6 0 ) とを備える第 3の平面モータ装置である。
これによれば、 磁極ユニットは、 該磁極ユニットに取り付けられた支持部材 の第 1の吹き出し部からガイド面に向けてを吹き出される加圧気体の吹き出し 圧力、 すなわち支持部材とガイド面との間の空隙の加圧気体の静圧によりガイ
ド面上に浮上支持される。 そして、 固定子を構成する複数の電機子コイルに電 流が供給されることにより発生する口一レンツ電磁力により磁極ュニッ卜と支 持部材とは一体的にガイド面に沿って駆動される。
すなわち、 この場合、 磁気的吸引力をその駆動原理とする可変磁気抵抗駆動 方式の平面モータ装置と比べて、 磁極ュニッ卜を構成する磁石と固定子側ョー クとの間に電機子コィルが存在する分だけ磁石と固定子側ヨークとの間に働く 磁気的吸引力が小さい。 したがって、 固定子 (磁極ユニット及び支持部材) を 浮上させるための加圧気体の供給に要する気体供給源の消費電力を少なくする ことができる。 ここで、 支持部材の第〗の吹き出し部は、 磁極ユニットを構成 する磁石の近傍に配置すれば、 より効率良く磁極ュニッ卜を浮上支持できるの で、 このようにすることが望ましい。
本発明の第 3の平面モータ装置では、 前記磁極ユニットは、 前記支持部材に 対して着脱自在な構成とすることができる。 かかる場合には、 前記磁極ュニッ 卜と支持部材とを分離できるので、 保守性 (メンテナンス性) が向上する。 ここで、 前記支持部材に対する前記磁極ユニットの装着時に、 前記磁極ュニ ッ卜と前記固定子との間の磁気的吸引力と前記磁極ュニッ卜の自重との和から 成る重力方向下向きの力に杭して前記磁極ュニッ卜を浮上支持するため加圧気 体を前記磁極ュニッ卜に向けて吹き出す第 2の吹き出し部が、 前記支持部材に 設けられている構成とすることができる。 かかる場合には、 磁極ユニットを支 持部材に装着する (組み付ける) 際に、 支持部材の第 2の吹き出し部から吹き 出される加圧気体の吹き出し圧力により磁極ュニッ卜が浮上支持されるため、 磁極ュニッ卜と前記固定子との間の磁気的吸引力により磁極ュニッ卜が支持部 材側に急激に引き付けられるのを防止することができる。 このため、 前記支持 部材に対する磁極ユニットの装着が容易になる。 また、 磁極ユニットと支持部 材をと分離する場合にも、 上記の支持部材の第 2の吹き出し部から吹き出され る加圧気体の吹き出し圧力はその分離作業を助ける。 したがって、 磁極ュニッ
卜と支持部材との組み付け、 分離作業が容易となり、 メンテナンス性が一層向 上する。
この場合において、 支持部材の第 1の吹き出し部と第 2の吹き出し部とを個 別に加圧気体の供給源に接続して第 1の吹き出し部からの加圧気体の吹き出し と、 第 2の吹き出し部からの加圧気体の吹き出しとを全く別個に行うようにし ても勿論良いが、 前記支持部材が、 前記第 1の吹き出し部からの加圧気体の吹 き出しと前記第 2の吹き出し部からの加圧気体の吹き出しとを切り替える切替 機構 (7 0 ) を更に有することができる。 かかる場合には、 同一の加圧気体の 供給源を第 1の吹き出し部、 第 2の吹き出し部に共通に接続し、 切替機構によ り両者の吹き出しを切替機構によって切り替えるようにすることによって、 装 置構成を簡略化することができる。
また、 本発明の第 3の平面モータ装置では、 前記支持部材は、 前記ガイド面 に対して当該支持部材を真空吸引する吸引部 (6 2 ) を更に有し、 前記第 1の 吹き出し部からの加圧気体の吹き出し圧力と前記吸引部による真空吸引力との 調整により、 前記所定の空隙寸法を制御可能であることが望ましい。 かかる場 合には、 ガイド面、 支持部材のガイド面に対向する面のいずれかの一部に多少 の凹凸があつたとしても、 振動等を抑制して、 ガイド面と支持部材のガイド面 に対向する面との間の空隙 (いわゆる軸受け隙間) を所望の寸法に維持するこ とができる。
また、 本発明の第 3の平面モータ装置では、 前記支持部材は、 前記磁極ュニ ッ卜を着脱するための着脱機構を備えていても良い。 かかる場合には、 着脱機 構によって磁気ュニッ卜が支持部材に対して着脱されるので、 磁気ュニッ卜の 支持部材に対する着脱が容易となる。
また、 本発明の第 3の平面モータ装置では、 前記ガイド面を形成するととも に、 その内部に前記複数の電機子コイルが配列される閉空間を形成するベース ( 2 〗) を更に備える構成とすることができる。 かかる場合には、 電流の供給
によって発熱した電機子コイルがベース内部の閉空間内に収納されているので 、 周囲環境への熱的影響が低減される。 この場合、 ベースを断熱性の高い部材 で形成することが望ましい。
ここで、 前記閉空間内に冷媒を供給して前記各電機子コイルを冷却する冷却 装置 (7 9 ) を更に備える構成とすることができる。 かかる場合には、 閉空間 内に冷却装置により冷媒が供給されることにより各電機子コイルが効率良く冷 却されるので、 電機子コイルが効率良く冷却され、 周囲環境への熱的影響を小 さくし、 かつ冷却のための消費電力を低減することができる。
また、 本発明の第 3の平面モータ装置では、 前記複数の電機子コイルをそれ ぞれ個別に収納する複数のケース (3 6 ) を更に備える構成とすることができ る。 かかる場合には、 ケースが設けられてない場合に比べてコイルの発熱によ る周囲の熱的影響が低減される。 この場合、 ケース及びガイド面を断熱性の高 い部材で形成することが望ましい。
ここで、 前記複数のケース内を個別に冷却する冷却装置 (7 9 ) を更に備え ることが望ましい。 かかる場合には、 各ケース内の電機子コイルを個別にかつ 効率的に冷却することができる。
また、 前記各ケースの上面が前記ガイド面を形成する構成とすることができ る。 かかる場合には、 ケースがガイド部材となるので、 ケースとは別にガイド 部材を用意することが不要となり、 簡易な構成とすることができる。
本発明は、 第 4の観点からすると、 少なくとも 1つの磁石 (5 4 a ~ 5 4 d ) を有し、 所定のガイド面 (2 1 a ) に沿って 2次元方向に移動する磁極ュニ ッ卜 (5 6 ) と;前記ガイド面を形成するとともに、 その内部に閉空間を形成 するベース (2 1 ) と ;前記ベースの前記閉空間内に収納され、 前記ガイド面 に沿って所定間隔で 2次元方向に配置された複数の電機子コイル (3 8 ) を含 む電機子ユニット (2 5 ) と;前記閉空間内に冷媒を供給して前記各電機子コ ィルを冷却する冷却装置 (7 9 ) とを備える平面モータ装置である。
これによれば、 複数の電機子コイルの内、 磁極ユニットの磁石に対向する電 機子コイルに電流が供給され、 その電流値及び電流方向に応じて発生するロー レンツ電磁力により磁極ュニッ卜はガイド面に沿って駆動される。 磁極ュニッ 卜をある方向に駆動し続ける場合は、 磁極ュニッ卜の移動位置毎に磁石に対向 する電機子コイルに電流が供給される。 このため、 それぞれの電流が供給され た電機子コイルが発熱するが、 該電機子コイルはベース内部の閉空間内に収納 され、 この閉空間内に冷却装置により冷媒が供給され各電機子コイルが冷却さ れる。 このため、 電機子コイルが効率良く冷却され、 周囲環境への熱的影響を 小さくし、 冷却のための消費電力を低減することができる。
本発明の第 4の平面モータ装置では、 前記閉空間が、 前記複数の電機子コィ ルの前記ガイド面と反対側に配置された区画部材 (4 3 ) によって、 前記複数 の電機子コイルを収納する第 1室 (4 1 ) と、 残りの空間から成る第 2室 (4 2 ) とに区画され、 前記区画部材に、 流入口 (4 3 a ) と流出口 (4 3 b ) と がそれぞれ形成され、 前記ベース内に、 前記冷却装置から供給される冷媒が前 記流入口を介して前記第 1室に流入後、 前記流出口を介して前記第 2室に流出 する冷媒の経路が形成される構成とすることができる。 かかる場合には、 ベー ス内に、 冷却装置から供給される冷媒が流入口を介して第 1室に流入後、 流出 口を介して第 2室に流出する冷媒の経路が形成されていることから、 複数の電 機子コイルが収納された第 1室内を冷媒により直接的に冷却するのみでなく、 区画部材を第 2室側で冷却することができるので、 結果的に電機子コイルをよ り効率的に冷却することができる。
この場合、 前記流出口を介して流出した冷媒の経路中に配置された高熱伝導 材よりなる 2次冷却フィン (4 8 ) を更に備えることが望ましい。 かかる場合 には、 電機子コィルの前記経路側をより効率良く冷却することができる。 また、 本発明の第 4の平面モータ装置では、 前記ベース内の前記閉空間が、 前記各電機子コイルを個別に収納する複数の小室に区画され、 前記各小室には
、 前記冷却装置によって供給される冷媒の流入口と流出口とがそれぞれ形成さ れる構成とすることができる。 かかる場合には、 各電機子コイルが小室内に個 別に収納され、 各小室に冷却装置から供給される冷媒の流入口と流出口とがそ れぞれ形成されていることから、 冷却装置から供給された冷媒が流入口を介し て各小室内に流入して流出口から流出する。 このため、 小室内、 すなわち各電 機子コイルを個別にかつ効率的に冷却することが可能になる。 この場合におい て、 前記ガイド面として複数の小室を覆うように配置された板状の非磁性体部 材を更に備える構成とすることができる。 この場合において、 小室と非磁性体 部材との間には、 空間を設けても良い。
また、 各小室は、 ベース内の閉空間を仕切り部材により仕切って形成しても 勿論良いが、 前記各小室が、 前記複数の電機子コイルの前記ガイド面と反対側 に配置された板状部材 (4 3 ) と、 前記板状部材に対向する側の面が開口する とともに、 前記開口面と反対側の面が前記ガイド面を構成する箱型の複数のケ ース (3 6 ) とによって構成され、 前記各小室に対する冷媒の流入口と流出口 とが、 前記ケースのそれぞれに対応して前記板状部材に形成される構成とする ことができる。 かかる場合には、 ベースの内部空間に板状部材を設置し、 この 板状部材上の所定位置に、 予め電機子コイルを収納した複数のケースを配置す るだけで、 該複数のケースの板状部材と反対側の表面により見かけ上一枚板 ( ガイド面) が形成される。 したがって、 各小室、 すなわち各ケース内の電機子 コイルを個別にかつ効率的に冷却することができ、 しかもベース側 (固定子側 ) を一方向から容易に組み付けることができる。
この場合において、 前記各電機子コイルの端子 (3 9 a、 3 9 b ) は、 前記 ケースの開口端から露出し、 これに対応する前記板状部材部分には該端子が嵌 合するソケット部 (1 3 9 A、 1 3 9 B ) が設けられている構成とすることが できる。 かかる場合には、 各ケースを板状部材に組み付けるだけで、 各電機子 コイルに対する電流供給のための配線も完了する。
また、 前記ベース内の、 前記板状部材の前記ガイド面と反対側に更に別の部 屋 (4 2 ) が設けられ、 前記ベース内に、 前記冷却装置から供給される冷媒が 前記流入口を介して前記各ケース内に流入後、 前記流出口を介して前記別の部 屋に流出する冷媒の経路が形成される構成とすることができる。 かかる場合に は、 ベース内に、 冷却装置から供給される冷媒が流入口を介して各ケース内に 流入後、 流出口を介して別の部屋に流出する冷媒の経路が形成されていること から、 電機子コイルを個別に収納した各ケース内を冷媒により直接的に個別に 冷却するのみでなく、 板状部材を別の部屋側で冷却することができるので、 結 果的に電機子コイルをより効率的に冷却することができる。
また、 前記流出口を介して流出した冷媒の経路中に配置された高熱伝導材ょ りなる 2次冷却フィン (4 8 ) を更に備えることが望ましい。 かかる場合には 、 電機子コイルの前記経路側をより効率良く冷却することができる。
また、 本発明の第 4の平面モータ装置では、 前記各電機子コイルが、 中央に 空間のある環状のコイルである場合、 前記冷却装置は、 前記各電機子コイルの 前記ガイド面と反対側から前記各電機子コイルの中央の空間を介して前記電機 子コイルの前記ガイド面側に冷媒を供給する構成とすることができる。 かかる 場合には、 各電機子コイルの中央の空間側の面及びガイド面側の面を効率的に 冷却することができ、 少なくともガイド面側への熱的影響を低減することがで さる。
この場合において、 前記各電機子コイルの中央の空間からその周囲に向かつ て流れる冷媒の経路を規制する整流フィン (4 6 ) が更に設けられている構成 とすることができる。 かかる場合には、 各電機子コイルの中央の空間から所定 位置にある流出口に向かって該電機子コイルのガイド面側の面に沿って流れる 冷媒の経路を、 整流フィンによって規制できるので、 例えばその経路を冷媒が 各電機子コイルのガイド面側の面に沿ってなるべく均等に冷媒が流れるような 経路にすることにより、 各電機子コイルのガイド面側の面を均等に冷却するこ
とが可能になる。
また、 本発明の第 4の平面モータ装置では、 前記ベースには複数の冷媒供給 用ジョイント (4 0 ) と少なくとも 1つの冷媒排出用ジョイント (3 9 ) とが 取り付けられ、 前記冷却装置は、 その一端が冷媒供給管を介して前記各冷媒供 給用ジョイントに接続され、 他端が冷媒排出管を介して前記冷媒排出用ジョィ ン卜に接続された構成とすることができる。 かかる場合には、 冷却装置から冷 媒供給管、 及び複数の冷媒供給用ジョイントを介してベース内に冷媒が供給さ れ、 この冷媒はベース内の冷媒通路を通って各電機子コイルを冷却する。 この 冷却により温度が上昇した冷媒は冷媒排出用ジョイント及び冷媒排出管を介し て冷却装置に戻り、 ここで冷却されて、 再度ベース内に供給され各電機子コィ ルを冷却し、 再び冷却装置に戻る。 すなわち、 このようにして冷媒が循環使用 される。 このため、 所定量の冷媒により常に電機子コイルを冷却することがで き、 経済的である。
本発明は、 第 5の観点からすると、 少なくとも 1つの磁石 (5 4 a〜5 4 d ) を有し、 所定のガイド面 (2 1 a ) に沿って 2次元方向に移動する磁極ュニ ッ卜 (5 6 ) と;前記ガイド面に関して前記磁極ュニッ卜の反対側に、 前記ガ ィド面に沿って所定間隔で 2次元方向に配置された複数の電機子コイル (3 8 ) を含む電機子ユニット (2 5 ) と;該複数の電機子コイルをそれぞれ個別に 収納する複数のケース (3 6 ) とを備える平面モータ装置である。
これによれば、 複数の電機子コイルの内、 磁極ユニットの磁石に対向する電 機子コイルに電流が供給され、 その電流値及び電流方向に応じて発生するロー レンツ電磁力により磁極ュニッ卜はガイド面に沿って駆動される。 磁極ュニッ 卜をある方向に駆動し続ける場合は、 磁極ュニッ卜の移動位置毎に磁石に対向 する電機子コイルに電流が供給される。 このため、 それぞれの電流が供給され た電機子コイルが発熱するが、 該電機子コイルは個別にケース内に収納されて いるので、 ケースが設けられてない場合に比べてコイルの発熱による周囲の熱
的影響が低減される。 この場合、 ケース及びガイド面を断熱性の高い部材で形 成することが望ましい。
本発明の第 5の平面モータ装置では、 前記複数のケース内を個別に冷却する 冷却装置 (7 9 ) を更に備える構成とすることができる。 かかる場合には、 各 ケース内の電機子コイルを個別にかつ効率的に冷却することができる。
また、 本発明の第 5の平面モータ装置では、 前記各ケースの上面が前記ガイ ド面を形成する構成とすることができる。 かかる場合には、 ケースがガイド部 材となるので、 ケースとは別にガイド部材を用意することが不要となり、 簡易 な構成とすることができる。
本発明は、 第 6の観点からすると、 本発明の平面モータ装置 (5 0 ) と ;前 記磁極ュニッ卜及び前記電機子ュニッ卜の一方と一体的に移動する移動体 (1 8 ) と;前記電機子ュニッ卜の前記電機子コイルのそれぞれに供給される電流 値及び電流方向の少なくとも一方を制御する制御装置 (1 9, 2 0 ) とを備え るステージ装置である。
これによれば、 制御装置が平面モータ装置の電機子コイルのそれぞれに供給 される電流値及び電流方向の少なくとも一方を制御し、 所望の並進方向又は回 転方向について、 磁極ユニットと前記電機子ユニットとを相対移動させる。 し たがって、 優れた制御性、 推力線形性、 及び位置決め性を有するとともに、 精 度良く移動体を移動させることができる。
本発明のステージ装置では、 前記磁極ュニッ卜と前記電機子ュニッ卜との位 置関係を検出する位置検出系 (2 7, 3 1 ) を更に備える構成として、 前記制 御装置が、 前記位置検出系による検出結果に基づいて、 前記電機子コイルのそ れぞれに供給される電流値及び電流方向の少なくとも一方を制御することにす ることができる。 かかる場合には、 位置検出系によって検出された磁極ュニッ 卜と電機子ュニッ卜との正確な位置関係に基づいて、 制御装置が平面モータ装 置の電機子コイルのそれぞれに供給される電流値及び電流方向の少なくとも一
方を制御するので、 非常に正確に移動体の位置制御を行うことができる。 この場合、 前記制御装置が、 前記位置検出系による検出結果から前記磁極ュ ニッ卜に起因する磁束経路と前記電機子コイルの電流経路のそれぞれとの交差 領域を特定し、 この特定された交差領域に基づいて前記電機子コイルのそれぞ れに供給される電流の電流値及び電流方向の少なくとも一方を制御することに することができる。 かかる場合には、 まず、 制御装置が、 位置検出系による検 出結果から磁極ュニッ卜に起因する磁束経路と電機子コイルの電流経路のそれ ぞれとの交差領域を特定する。 次に、 制御装置が、 この特定された交差領域に 基づいて、 所望の駆動方向及び駆動力となような各電機子コイルのそれぞれに 供給される電流の電流値及び電流方向の少なくとも一方を求める。 そして、 こ うして求めた結果に基づいて、 制御装置が、 各電機子コイルのそれぞれに供給 される電流の電流値及び電流方向の少なくとも一方を制御する。 したがって、 精度良く移動体を移動させることができる。
なお、 磁極ユニットの磁石 (推力発生磁石) に起因する磁束密度の分布が電 機子コイルの配設位置においてほぼ均一であり、 電機子コイル内を流れる電流 の電流密度がほぼ一様であれば、 制御装置は、 前記交差領域の体積に基づいて 、 各電機子コイルのそれぞれに供給される電流の電流値及び電流方向の少なく とも一方を求めることができる。 さらに、 電機子コイルの電流経路の形状が、 磁束方向に関してほぼ一様であれば、 制御装置は、 磁極ユニットに起因する磁 束と電機子コイルの磁極ュニッ卜との対向面との交差面の面積に基づいて、 各 電機子コイルのそれぞれに供給される電流の電流値及び電流方向の少なくとも 一方を求めることができる。
本発明は、 第 7の観点からすると、 露光用のエネルギビ一厶を射出する照明 系 (1 0 ) と;前記エネルギビームの経路上に配置される物体を搭載する本発 明のステージ装置 (3 0 ) とを備える露光装置である。 これによれば、 ェネル ギビームの経路上に配置される物体を本発明のステージ装置に搭載し、 該物体
の位置制御を精度良く行うので、 高い露光精度で露光することができる。 本発明の露光装置では、 前記物体を、 前記エネルギビームによって露光され
、 所定のパターンが転写される基板 (W) とすることができる。 かかる場合に は、 露光対象である基板の位置制御が本発明のステージ装置によって精度良く 行われるので、 所定のパターンを精度良く基板に転写することができる。 本発明は、 第 8の観点からすると、 露光用のエネルギビームを射出する照明 系 (1 0 ) を提供する工程と;本発明の平面モータ装置 (5 0 ) を提供するェ 程と;前記磁極ュニッ卜及び前記電機子ュニッ卜の一方と一体的に移動する移 動体 (1 8 ) を提供する工程と;前記電機子ュニッ卜の前記電機子コイルのそ れぞれに供給される電流値及び電流方向の少なくとも一方を制御する制御装置 ( 1 9 , 2 0 ) を提供する工程とを含む露光装置の製造方法である。 これによ れぱ、 照明系、 平面モータ装置、 移動体、 制御装置、 及び他の様々な部品を機 械的、 光学的、 及び電気的に組み合わせて調整することにより、 本発明の露光 装置を製造することができる。
本発明の露光装置の製造方法では、 前記磁極ュニッ卜と前記電機子ュニッ卜 との位置関係を検出する位置検出系を提供する工程を更に含むことができる。 かかる場合には、 位置検出系によって検出された磁極ュニッ卜と電機子ュニッ 卜との正確な位置関係に基づいて、 移動体の位置制御を行うことができる露光 装置を製造することができる。
また、 リソグラフイエ程において、 本発明の露光装置を用いて基板を露光し て所定のパターンを基板に転写することにより、 微細なパターンを有するデバ イスを製造することができる。 したがって、 本発明は、 別の観点からすると、 本発明の露光装置を用いて製造されたデバイスであり、 また、 リソグラフイエ 程において、 本発明の露光装置の製造方法によって製造された露光装置を用い て、 所定のパターンを前記基板に転写するデバイスの製造方法であるといえる
図面の簡単な説明
図 1は、 一実施形態の露光装置の概要構成を示す図である。
図 2 A及び図 2 Bは、 図 1のステージ装置の構成を示す図である。
図 3は、 図 1のステージ装置を構成する平面モータ装置の可動子を示す斜視 図である。
図 4は、 図 3の可動子の組み立て途中の状態を示す斜視図である。
図 5は、 図 4の可動子を構成する磁極ュニッ卜の分解斜視図である。
図 6 A〜図 6 Cは、 図 5の複合磁石体の構成を示す図である。
図 7は、 図 3の可動子を構成するエアスライダの底面図である。
図 8 A及び図 8 Bは、 図 7のエアパッドの例を示す図である。
図 9は、 エアスライダ内の加圧空気の供給路及びバキューム用の通路を模式 的に示す図である。
図 1 0 ~図1 0 Dは、 磁極ユニットをエアスライダに組み付ける手順を説 明するための図であって、 エアスライダ部分を断面図にて示す図である。 図 1 1は、 図 2の平面モータ装置の固定子を構成する電機子コイルを示す斜 視図である。
図 1 2は、 図 2の円 A内近傍を拡大して示す図である。
図 1 3は、 図 1 2のケースを示す斜視図である。
図 1 4は、 図 1のベースの分解図である。
図 1 5 Aは、 図 2 Bのケースの任意の 1つを取り出して示す平面図であり、 図 1 5 Bは、 図 1 5 Aの B— B線断面図である。
図 1 6は、 図 2 Bのケース内の電機子コイルの端子と、 これに対応して固定 子ヨークに設けられたソケッ卜とを示す図である。
図 1 7は、 図 1の露光装置の走査露光の原理を説明するための図である。 図 1 8は、 図 1のステージ装置を構成する平面モータ装置における磁気回路
を説明するための斜視図である。
図 1 9 A及び図 1 9 Bは、 図 1 8の磁気回路の一つを説明するための図であ る。
図 2 0 A及び図 2 0 Bは、 本明細書における電機子コイルに関する表現の定 義を説明するための図である。
図 2 1 A〜図 3 5 Bは、 電機子コイルに働くローレンツ力の例を説明するた めの図である。
図 3 6 A及び図 3 6 Bは、 電機子コイルに供給される電流の例を示す図であ る。
図 3 7は、 図 1に示された露光装置を用いたデバイス製造方法を説明するた めのフローチヤ一卜である。
図 3 8は、 図 3 7のウェハプロセスステップ (ステップ 2 0 4 ) における処 理のフローチヤ一卜である。
図 3 9 A〜図 3 9 Fは、 ジャッキ機構を用いて磁極ュニッ卜をエアスライダ に装着する手順を説明するための図である。
図 4 0 A及び図 4 0 Bは、 磁極ュニッ卜及びエアスライダの第 1変形例を説 明するための図である。
図 4 1は、 磁極ュニッ卜及びエアスライダの第 2変形例を説明するための図 である。
図 4 2 A及び図 4 2 Bは、 磁極ュニッ卜及びエアスライダの第 3変形例を説 明するための図である。
図 4 3 A及び図 4 3 Bは、 ベースの変形例を示す図である。
図 4 4は、 可動子を 2つ有する平面モータ装置の変形例を示す斜視図である
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の一実施形態を図 1〜図 3 8に基づいて説明する。 図 1には、 一実施形態に係る露光装置 1 0 0の全体的な構成が概略的に示されている。 こ の露光装置 1 0 0は、 いわゆるステップ ·アンド ·スキャン露光方式の走査型 露光装置である。
この露光装置 1 0 0は、 照明系 1 0、 所定のパターンが形成されたレチクル Rを保持するレチクルステージ R S T、 投影光学系 P L、 基板としてのウェハ Wを X Y平面内で X Y 2次元方向に駆動する基板ステージとしてのステージ装 置 3 0、 及びこれらの制御系等を備えている。
前記照明系 1 0は、 例えば特開平 9一 3 2 0 9 5 6号公報に開示されている ように、 光源ユニット、 シャツ夕、 2次光源形成光学系、 ビー厶スプリツ夕、 集光レンズ系、 レチクルブラインド、 及び結像レンズ系等 (いずれも不図示) から構成され、 図〗のミラー Mへ向けて照度分布のほぼ均一な露光用照明光を 射出する。 そして、 この照明光がミラー Mによってその光路が鉛直下方に折り 曲げられ、 レチクル R上の矩形 (あるいは円弧状) の照明領域 I A R (図 1 7 参照) を均一な照度で照明する。 本国際出願で指定した指定国又は選択した選 択国の国内法令の許す限りにおいて、 上記の公報における開示を援用して本明 細書の記載の一部とする。
前記レチクルステージ R S T上にはレチクル Rが、 例えば真空吸着により固 定されている。 また、 このレチクルステージ R S Tは、 不図示のレチクルべ一 ス上をリニアモータ等で構成されたレチクル駆動部 (図示省略) により、 所定 の走査方向 (ここでは Y軸方向とする) に指定された走査速度で移動可能とな つている。
レチクルステージ R S T上にはレチクルレーザ干渉計 (以下、 「レチクル干 渉計」 という) 1 6からのレーザビームを反射する移動鏡 1 5が固定されてい る。 そして、 レチクルステージ R S Tのステージ移動面内の位置はレチクル干 渉計 1 6によって、 例えば 0 . 5〜 n m程度の分解能で常時検出される。
レチクル干渉計 1 6からのレチクルステージ R S Tの位置情報はステージ制 御系〗 9及びこれを介して主制御装置 2 0に送られ、 ステージ制御系 1 9では 主制御装置 2 0からの指示に応じてレチクルステージ R S Tの位置情報に基づ いてレチクル駆動部 (図示省略) を介してレチクルステージ R S Tを駆動する 前記投影光学系 P Lは、 レチクルステージ R S Tの図 1 における下方に配置 され、 その光軸 A X (照明光学系の光軸 I Xに一致) の方向が Z軸方向とされ 、 ここでは両側テレセン卜リックな光学配置となるように光軸 A X方向に沿つ て所定間隔で配置された複数枚のレンズエレメントから成る屈折光学系が使用 されている。 この投影光学系 P Lは所定の投影倍率、 例えば 1 / 5 (あるいは 1 / 4 ) を有する縮小光学系である。 このため、 照明系〗 0からの照明光によ つてレチクル Rの照明領域 I A Rが照明されると、 このレチクル Rを通過した 照明光により、 投影光学系 P Lを介してレチクル Rの回路パターンの縮小像 ( 部分倒立像) が、 表面にフォトレジス卜が塗布されたウェハ W上の露光領域 I Aに形成される。
前記ステージ装置 3 0は、 ベース 2 1 と、 このベース 2 1の上面の上方に数 m程度のクリアランスを介して後述するエアスライダによって浮上支持され た基板テーブル 1 8と、 この基板テーブル 1 8を X Y面内で 2次元方向に駆動 する駆動装置 5 0とを備えている。 駆動装置 5 0としては、 ここでは、 ベース 2 1の上部に設けられた (埋め込まれた) 固定子 6 0と、 基板テーブル 1 8の 底部 (ベース対向面側) に固定された可動子 5 1 とから成る平面モータ装置が 使用されている。 以下の説明においては、 この駆動装置 5 0を、 便宜上、 平面 モータ装置 5 0と呼ぶものとする。
前記基板テーブル 1 8上に、 ウェハ Wが例えば真空吸着によって固定されて いる。 また、 この基板テーブル 1 8上にはウェハレーザ干渉計 (以下、 「ゥェ ハ干渉計」 という) 3 1からのレーザビームを反射する移動鏡 2 7が固定され
ている。 そして、 外部に配置された前記ウェハ干渉計 3 1により、 基板テープ ル 1 8の X丫面内での位置が例えば 0 . 5〜1 n m程度の分解能で常時検出さ れている。 ここで、 実際には、 図 2 Bに示されるように、 基板テーブル 1 8上 には走査方向である Y軸方向に直交する反射面を有する移動鏡 2 7 Yと非走査 方向である X軸方向に直交する反射面を有する移動鏡 2 7 Xとが設けられ、 ゥ ェハ干渉計 3 1は走査方向に 1軸、 非走査方向には 2軸設けられているが、 図 1ではこれらが代表的に移動鏡 2 7、 ウェハ干渉計 3 1 として示されている。 基板テーブル 1 8の位置情報 (又は速度情報) はステージ制御系 1 9及びこれ を介して主制御装置 2 0に送られる。 ステージ制御系 1 9では主制御装置 2 0 からの指示に応じて前記位置情報 (又は速度情報) に基づいて、 電流駆動装置 2 2を介して平面モータ装置 5 0を制御することにより、 基板テーブル 1 8の X Y面内の移動を制御する。
更に、 図 1の露光装置 1 0 0には、 ウェハ W表面の前記露光領域 I A内部分 及びその近傍の領域の Z方向 (光軸 A X方向) の位置を検出するための斜入射 光式のフォーカス検出系 (焦点検出系) の一つである多点フォーカス位置検出 系が設けられている。 この多点フォーカス位置検出系は、 不図示の照射光学系 と受光光学系とから構成されている。 この多点フォーカス位置検出系の詳細な 構成等については、 例えば特開平 6— 2 8 3 4 0 3号公報及びこれに対応する 米国特許第 5, 4 4 8, 3 3 2号等に開示されている。 本国際出願で指定した 指定国又は選択した選択国の国内法令の許す限りにおいて、 上記の公報及び米 国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
ここで、 前記平面モー夕装置 5 0及びその近傍の構成部分を中心として、 ス テ一ジ装置 3 0の構成各部について、 図 2 A〜図 1 6に基づいて更に詳述する 。 図 2 Aには、 このステージ装置 3 0のベース 2 1部分を破断した概略正面図 が示され、 図 2 Bには、 平面図が示されている。
基板テーブル 1 8は、 図 2 A及び図 2 Bに示されるように、 可動子 5 1の上
面 (ベース対向面と反対側の面) にボイスコイルモータ等を含む支持機構 32 a、 32 b、 32 cによって異なる 3点で支持されており、 XY面に対して傾 斜及び Z軸方向の駆動が可能になっている。 支持機構 32 a〜32 cは、 図 1 では図示が省略されているが、 実際には不図示の駆動機構を介して図 1のステ ージ制御系 1 9によって独立に駆動制御される。
前記平面モータ装置 50を構成する可動子 5 1は、 図 3及び図 4に示される ように、 一種の空気静圧軸受け装置である支持部材としてのエアスライダ 5 7 と、 このエアスライダ 5 7に取り付けられた磁極ュニッ卜 56とから構成され ている。
磁極ユニット 5 6は、 図 5の分解斜視図に示されるように、 複合磁石体 53 と、 この複合磁石体 53に上方から係合する磁性体材料から成る磁性体部材 5 2とから構成されている。 この内、 磁性体部材 52の上面に前記支持機構 32 a~32 cを介して基板テーブル 1 8が設けられている。 また、 磁性体部材 5 2の X方向の両端部には、 つば部 52 a、 52 bが設けられている。
前記複合磁石体 53は、 隣り合う磁極面の極性が互いに異なるように、 2行 2列のマトリクス状に配列された 4個の推力発生磁石 54 a、 54 b、 54 c 、 54 dと、 隣り合う 2個の推力発生磁石 (54 a, 54 b )、 (54 b, 54 c)、 (54 c, 54 d)、 (54 d, 54 a ) が磁性体部材 52側で形成する磁 束経路中にそれぞれ配設された補間磁石 55 a、 55 b、 55 c、 55 dとか ら構成される。
図 6 A〜図 6 Cには、 この複合磁石体 53を構成する各磁石の構成及び寸法 を説明するための図が示されている。 この内、 図 6 Aには複合磁石体 53の平 面図が、 図 6 Bには図 6 Aの—丫方向から見た側面図が、 図 6 Cには図 6 Aの + X方向から見た側面図がそれぞれ示されている。 なお、 図 6 A〜図 6 Cでは 、 磁極面が見える場合にはその磁極面上に極性 (N又は S) を丸で囲んで記し ており、 磁極面が見えない場合にはその磁極面を引出し線で指示して極性 (N
又は S) を記している。 この図 6A〜図 6 Cに示されるように、 推力発生磁石 54 a〜54 dのそれぞれは、 同一厚さ、 同一形状の永久磁石から成り、 一辺 の長さが 4 Lの正方形状の磁極面を有している。 そして、 推力発生磁石 54 a ~54 dは、 X方向及び Y方向に幅 2 Lの間隙を有するように、 同一平面上に 2行 2列のマトリクス状に配置されている。 また、 X方向で隣り合う、 推力発 生磁石 54 a, 54 dと推力発生磁石 54 b, 54 cとでは、 隣り合う磁極面 の極性が互いに反対とされている。 また、 Y方向で隣り合う、 推力発生磁石 5 4 a, 54 bと推力発生磁石 54 c, 54 dとでは、 隣り合う磁極面の極性が 互いに反対とされている。 なお、 本実施形態では、 推力発生磁石 54 a, 54 cの磁性体部材 53側の磁極面の極性を S、 推力発生磁石 54 b, 永久磁石 5 4 dの磁性体部材 53側の磁極面の極性を Nとしている。
また、 補間磁石 55 a~55 dのそれぞれは、 同一厚さを有し、 平面視で 4 LX 2 Lの長方形状の永久磁石から成り、 隣り合う 2個の推力発生磁石 (54 a, 54 b), (54 b, 54 c)、 (54 c, 54 d)、 (54 d, 54 a) 相互 間の幅 2 Lの空隙をそれぞれ埋めるように、 かつ側面視で見て推力発生磁石 5 4 a〜54 dの上面が形成する仮想平面上に配置されている。 これらの補間磁 石 55 a〜55 dは、 推力発生磁石 54 a~54 dの磁極面と直交する磁極面 を有し、 これらの磁極面のそれぞれは、 平面視で見て隣接する推力発生磁石 5 4 a〜54 dの磁極面と反対の極性を有するように配置されている。
図 4に戻り、 前記エアスライダ 57は、 平面視で田の字状の形状を有し、 低 熱膨張のセラミックス材料によって形成されている。 ここで、 このエアスライ ダ 57について更に詳述する。
図 7には、 エアスライダ 57の底面図が示されている。 この図 7に示される ように、 エアスライダ 57の底面 (ベース 2 1の対向面) には、 第 1の吹き出 し部としてのエアパッド 6 1と吸引部としてのエアポケッ卜 62とが交互に所 定間隔で配置されている。 エアパッド 61 としては、 図 8 Aに示されるように
、 所定深さ、 ここでは 1 0 ^c m程度の L字状の溝 6 3がコーナー部に形成され た長方形のものが用いられる。 各溝 6 3の角の部分に、 溝 6 3より僅かに深い 円形の凹部 6 4が形成され、 この凹部の中央に、 加圧気体としての空気噴出用 のノズルの役目を有する丸穴 6 5が形成されている。
なお、 エアパッドとして、 図 8 Bに示されるように、 4辺に沿って溝 6 3が 配置されたタイプのエアーパッド 6 1 ' を用いても良い。
エアスライダ 5 7の内部には、 図 9に模式的に示されるように、 加圧空気の 供給路 6 6及びバキューム用の通路 6 8が形成されている。 この内、 加圧空気 の供給路 6 6は、 その一端が、 エアスライダ 5 7の上面中央部に形成された開 口を介してエアスライダ 5 7の内部に挿入されたチューブ 3 3 Aの一端に接続 されている。 このチューブ 3 3 Aの他端は、 空気ポンプ 5 9 (図 1参照) に接 続されている。
加圧空気の供給路 6 6は、 第 1通路 6 7 aと、 第 2通路 6 7 bとに分岐され ている。 第 1通路 6 7 aは、 前述した各エアパッド 6 1に空気を供給するため の通路で、 その出口側が、 エアスライダ 5 7底面に達し、 各エアパッド 6 1 に 接続されている。 第 2通路 6 7 bは、 その出口側がエアスライダ 5 7の上面に 達している。 この上面側の開口端部は、 加圧空気を上方に向けて吹き出す一種 のノズルの役目を有するので、 以下においてはこの開口端部をノズル 6 9と呼 ぶものとする。 このノズル 6 9によって第 2の吹き出し部が構成されている。 ここで、 第 1通路 6 7 aと第 2通路 6 7 bとの分岐部には、 切替機構として の通路切替弁 7 0が設けられている。 図 9に実線で示される第 1位置に、 弁体 7 1がある状態では、 空気ポンプ 5 9から供給された加圧空気は、 第〗通路 6 7 aを介して各エアパッド 6 1 に流れる。 また、 図 9に仮想線 (一点鎖線) で 示される第 2位置に、 弁体 7 1がある状態では、 空気ポンプ 5 9から供給され た加圧空気は、 第 2通路 6 7 bを介してノズル 6 9から上方に向けて吹き出さ れる。 さらに、 第 1位置と第 2位置の中間の第 3位置に弁体 7 1がある状態で
は、 第 1通路、 第 2通路のいずれにも加圧空気は流れないようになつている。 この通路切替弁 7 0の切り替えは、 手動によって行われるものとする。 なお、 通路切替弁 7 0の切リ替えを主制御装置 2 0によって行うようにしても良い。 前記バキューム用の通路 6 8は、 その一端が、 エアスライダ 5 7の上面中央 部に形成された開口を介してエアスライダ 5 7内部に挿入され、 不図示の真空 ポンプにその一端が接続されたチューブ 3 3 Bの他端に接続されている。 また 、 このバキューム用の通路 6 8の他端は、 エアスライダ 5 7の底面に設けられ た各エアポケット 6 2に接続されている。 なお、 上記の如く、 エアスライダ 5 7には、 チューブ 3 3 A、 3 3 Bが接続されているが、 図 3、 図 4においては 、 これらがチューブ 3 4として代表的に示されている。
次に、 図 4に示されるように、 エアスライダ 5 7に対し磁極ユニット 5 6を 組み付ける際の各部の作用等について、 図 1 0八〜図1 0 Dに基づいて説明す る。
まず、 図 1 0 Aに示されるように、 エアスライダ 5 7をベース 2 1上に載置 した状態で、 前述した通路切替弁 7 0を第 2位置に切り替え、 ノズル 6 9から 上方に向けて加圧空気 (白抜き矢印) を噴出させておく。 この状態で、 磁極ュ ニット 5 6をエアスライダ 5 7の上方に搬送し、 所定量降下させて、 磁極ュニ ッ卜 5 6の 4つの推力発生磁石 5 4 a〜5 4 dの下端部をエアスライダ 5 7の 各開口に上方から嵌合させると、 図 1 0 Bに示されるように、 磁極ユニット 5 6のつば部 5 2 a、 5 2 b及び補完磁石 5 5 a ~ 5 5 dの底面に加圧空気が当 たる。 この加圧空気の噴出圧力 (上向きの力) によって磁極ユニット 5 6が非 接触で浮上支持される。 すなわち、 このとき、 磁極ユニット 5 6とベース 2 1 内の後述する固定子ヨークとの間には、 磁気的吸引力が働いているので、 この 磁気的吸引力と磁極ュニッ卜 5 6自身の自重との総和である下向きの力に相当 する上向きの力 (浮上力) が発生していることになる。
そして、 磁極ユニット 5 6の上面から力を加えて少し押圧すると、 磁極ュニ
ッ卜 5 6がエアスライダ 5 7に完全に嵌合する。 そして、 通路切替弁 7 0を第 3位置に切り替えることにより、 図 1 0 Cに示されるように、 磁極ユニット 5 6がエアスライダ 5 7に組み付けられる。 これにより、 図 3の可動子 5 1が完 成する。
なお、 ここでは、 説明の便宜上から、 磁極ユニット 5 6のみをエアスライダ 5 7に組み付けるものとして説明したが、 磁極ュニッ卜 5 6上に基板テーブル 1 8等を取り付けた状態で、 これらをエアスライダ 5 7に取り付けるようにし ても良いことは勿論である。 この場合であっても上記と同様にして組み付けを 行えば良い。
そして、 可動子 5 1の組み立ての終了後に、 通路切替弁 7 0を第 1位置に切 り替えるとともに、 不図示の真空ポンプを O Nにすることにより、 図 1 0 Dに 示されるように、 可動子 5 1及び基板テーブル 1 8等の全体がベース 2 1の上 面の上方に例えば 5 m程度のクリアランスを介して浮上支持される。 すなわ ち、 可動子 5 1及び基板テーブル 1 8等の全体の自重と前記磁気的吸引力と不 図示の真空ポンプによる真空吸引力 (与圧力) との総和に相当する下向きの力 と、 空気ポンプ 5 9から供給されエアパッド 6 1を介してベース 2 1の上面に 向かって吹き出される加圧空気の圧力による上向きの力、 すなわち可動子 5 1 底面とベース 2 1上面との間の空気層の静圧 (いわゆるすきま内圧力) とのバ ランスによって、 その空気層の厚さ、 すなわち軸受け隙間が所望の値に維持さ れる。 このように、 本実施形態では、 エアスライダ 5 7は、 一種の真空与圧型 の空気静圧軸受けを構成している。
図 2 Aに戻り、 ベース 2 1は、 平面視で見て正方形状で上面が開口した厚さ の薄い中空の箱型の容器 3 5と、 この容器 3 5内の内部空間に埋め込まれた固 定子 6 0とを備えている。 ベース 2 1の上面 (可動子 5 1 に対向する側の面) には、 可動子 5 1のガイド面 2 1 aが形成されている。 このガイド面 2 1 aは 、 本実施形態では、 図 2 Bに示されるように容器 3 5内の内部空間にマ卜リク
ス状 (ここでは 8行 8列のマトリクス状) に密に配置された、 平面視で正方形 形状を有する 8 X 8 = 6 4個のセラミックス製のケース 3 6の上面により構成 されている。 ここで、 ケース 3 6の材料をセラミックとしているのは、 低熱膨 張性であり、 磁束を実質的に遮断しない実質的な非磁性材料かつ非導電材料で あることによる。 なお、 ケース 3 6の材料としては、 セラミック以外に、 熱膨 張率が低く、 鉄等の磁性材料と比べて透磁率が十分に小さく、 空気のそれとほ ぼ等しい実質的な非磁性材料であり、 かつ銅等の導電材料と比べて導電率が十 分に小さく、 空気のそれとほぼ等しい実質的な非導電材料を使用することが可 能である。
各ケース 3 6はその底面 (下面) が開口した中空の箱型をしており、 その内 部に所定厚さの電機子コイル 3 8が収納されている。 この電機子コイル 3 8と しては、 図 2 Bに示されるように、 各ケース 3 6の内面にほぼ接する中空の正 方形状コイルが用いられ、 その中央の空間は一辺がほぼ Lの正方形状となって いる。 なお、 図 2 Bでは、 電機子コイル 3 8は、 1つしか図示されていないが 、 実際には各ケース 3 6内に各 1つ収納されている (図 2 A参照)。 これらの 電機子コイル 3 8によって、 電機子ュニッ卜 2 5が構成されている。
電機子コイル 3 8は、 図 1 1 に示されるように、 一辺の長さが 3 Lの正方形 状の底面 (X Y平面と平行な面) を有し、 Z軸と平行な中心軸 C X付近で Z方 向に貫通する中空部を有する角柱状に構成されている。 この中空部の断面形状 は、 一辺の長さがしの正方形状となっている。 この電機子コイル 3 8には、 端 子 3 9 a及び端子 3 9 bを介して、 不図示の電流駆動装置から電流が供給され る。 そして、 供給された電流は、 中心軸 C Xの周りをほぼ一様な電流密度 (体 積密度) で流れる。 なお、 電機子コイル 3 8に流れる電流の電流値及び電流方 向は、 ステージ制御系 1 9によって電流駆動装置を介して制御される。
図 2 Aに戻り、 容器 3 5の底面には、 その中央部に冷媒排出用ジョイント 4 9が 1つ (あるいは複数) 接続されるとともに、 各電機子コイル 3 8に対応し
て冷媒供給用ジョイントとしての冷媒注入用ジョイント 4 0がそれぞれ 1つ接 続されている。 冷媒排出用ジョイント 4 9は、 冷媒排出管 9 3を介して図 1の 冷却装置 7 9内部に設けられた冷凍機に接続され、 また冷媒注入用ジョイント 4 0は、 冷媒供給管 9 2を介して冷却装置 7 9内部に設けられた冷媒供給機に 接続されている。 すなわち、 本実施形態では冷却装置 7 9から冷媒注入用ジョ イン卜 4 0を介してベース 2 1内に供給された冷媒がベース 2 1内部を冷却し た後、 冷媒排出用ジョイント 4 9を介して冷却装置 7 9に戻され、 そこで冷却 されて再びベース 2 1内の供給され、 このようにして冷媒が循環使用されるよ うになつている。 冷媒としては、 ここではフロリナ一卜 (商品名) が使用され る。
図 1 2には、 図 2 Aの円 A内近傍が拡大して示されている。 この図 1 2に示 されるように、 ベース 2 1の内部には、 その内部空間 (閉空間) を上側の第 1 室 4 1 と下側の第 2室 (別の部屋) 4 2とに区画する板状の磁性体から成る区 画部材 (及び板状部材) としての固定子ヨーク 4 3が配置されている。 この固 定子ヨーク 4 3は、 容器 3 5の内壁に形成された段部に上方から載置され、 容 器 3 5底面から所定の空隙を隔てて該底面に平行に配置されている。 そして、 この固定子ヨーク 4 3の上面に内部に電機子コイル 3 8を収納した前記セラミ ックス製のケース 3 6が配置されている。 各ケース 3 6の内底面 (図〗 2にお ける上面) 側には、 図 1 3の斜視図に示されるように、 その側壁の内面からケ ース中心に向かって放射状に延びる〗 6本のし字状部材から成る整流フィン 4 6がー体的に設けられている。 この整流フィン 4 6の役割については後述する 前記冷媒注入用ジョイント 4 0は、 図 1 4に示されるように、 ボル卜頭部 4 0 aと、 このボル卜頭部 4 0 aに一体化された 2段の段部を有する軸部 4 0 b とを有する段付きのボル卜状の部材である。 この冷媒注入用ジョイント 4 0に は、 軸方向の冷媒通路 4 0 cが形成されている。 軸部 4 O bは、 ボル卜頭部 4
0 aに隣接しその外周に雄ねじが形成されたねじ部 4 0 dと、 このねじ部 4 0 dの先端側でねじ部 4 0 dより小径の中径部 4 0 eと、 さらにその先端でより 小径の小径部 4 0 f とを有している。 小径部 4 0 f と中径部 4 0 eとの境目に 段部 4 0 hが形成され、 中径部 4 0 eとねじ部 4 0 dとの境目に段部 4 0 gが 形成されている。 また、 ボル卜頭部 4 0 aの軸部と反対側に、 図 1の冷却装置 7 9内部の冷媒供給機の冷媒吐出口に接続された冷媒供給管 9 2が接続されて いる。
図 1 2に戻り、 前記固定子ヨーク 4 3には、 各電機子コイル 3 8の中央の空 間に対応する位置に、 丸孔から成る流入口 4 3 aがそれぞれ形成され、 この流 入口 4 3 aの底面側に所定深さのざぐり穴 4 3 c (図 1 4参照) が形成されて いる。
図 1 2において、 冷媒注入用ジョイント 4 0は、 ねじ部 4 0 dが容器 3 5の 底壁に形成されたねじ孔 3 5 a螺合した状態で、 容器 3 5に取り付けられてい る。 この図 4の取付け状態において、 軸部 4 O bの小径部 4 O f (図 1 4参照 ) は、 固定子ヨーク 4 3に形成された流入口 4 3 aに挿入され、 前記ざぐり穴 4 3 cの内部には、 0リング 4 7が挿入されている。 この 0リング 4 7は、 段 部 4 O h (図 1 4参照) によって押えられている。 また、 この図 1 2の取付け 状態では、 固定子ヨーク 4 3の底面 (下面) には、 高熱伝導率材料よりなる 2 次冷却フィン 4 8が密着されている。 この 2次冷却フィン 4 8は、 冷媒注入用 ジョイント 4 0の段部 4 0 g (図 1 4参照) と固定子ヨーク 4 3とによって挟 持されている。
図 1 5 Aには図 2 Bのケース 3 6の任意の 1つを取り出した平面図が示され 、 図 1 5 8には図1 5 Aの B— B線断面図が示されている。 これらの図に示さ れるように、 ケース 3 6の内周面と電機子コイル 3 8の外周との間には、 4角 の部分に空間部が形成され、 この空間部に対応する固定子ヨーク 4 3部分に冷 媒の流出口 4 3 bが形成されている。
そして、 本実施形態では、 各ケース 3 6と固定子ヨーク 4 3とで形成される 小室内には、 図 1 5 B中に実線矢印 Cで示されるように、 冷媒注入用ジョイン 卜 4 0の冷媒通路 4 0 cを介して、 ベース 2 1の底面側から各電機子コイル 3 8の中央の空間に冷媒が供給され、 この冷媒は、 電機子コイル 3 8とケース 3 6との間の空間 (整流フィン 4 8相互間の空間) を介して電機子コイル 3 8の 上面に沿って外周部に向かって流れ、 前記流出口 4 3 bを介して固定子ヨーク 4 3とケース 3 6との間に形成された第 2室 4 2内に流出するようになってい る。
すなわち、 本実施形態では、 ベース 2 1内に、 冷却装置 7 9から供給される 冷媒が流入口 4 3 aを介して各ケース 3 6内に流入後、 流出口 4 3 bを介して 第 2室 4 2に流出する冷媒の経路 (矢印 C参照) が形成されている。
ここで、 ケース 3 6内に、 整流フィン 4 6が無い場合には、 冷媒は電機子コ ィル 3 8の中央の空間から最短距離を通って各流出口 4 3 bに向かって流れる 簧である。 しかし、 これでは、 電機子コイル 3 8の上面が部分的にしか冷却さ れないことになる。 そこで、 図 1 5 A中に矢印で示されるような放射状の冷媒 経路を強制的に作り出すために、 1 6本の整流フィン 4 6が設けられている。 次に、 ベース 2 1の各構成部品の組み付け方法について、 図 1 4の分解図を 参照して簡単に説明する。
まず、 0リング 4 7を冷媒注入ジョイント 4 0の小径部 4 0 f に装着し、 こ の状態で、 各冷媒注入用ジョイント 4 0を容器 3 5の底壁に下方からそれぞれ 取り付ける。 また、 冷媒排出用ジョイント 4 9も容器 3 5の底壁に螺合させて 取り付ける。
次に、 上方から各 2次冷却フィン 4 8を、 容器 3 5底壁の上部に露出した各 小径部 4 0 f に挿入して、 各 2次冷却フィン 4 8の中央部下面を各冷媒注入用 ジョイント 4 0の段部 4 0 gに圧接させる。 次に、 固定子ヨーク 4 3を、 上方 から組み付けて各 0リング 4 7を各ざぐリ穴 4 3 cに圧入する。
そして、 最後に、 ケース 3 6内に電機子コイル 3 8を予め入れた状態で、 各 ケース 3 6を固定子ヨーク 4 3の上面に位置決めして順次組み付ける。 ここで 、 これまでに説明した各図においては図示が省略されているが、 実際には、 図 1 6に示されるように、 各電機子コイル 3 8 (又は各ケース 3 6 ) の固定子ョ —ク 4 3に接触する部分には、 電機子コイル 3 8の端子 3 9 a、 3 9 bが露出 している。 これらの端子 3 9 a、 3 9 bに対応する固定子ヨーク 4 3部分には 、 これらの端子が 3 9 a、 3 9 bが嵌合するソケット部 1 3 9 A、 1 3 9 Bが 設けられている。 すなわち、 各ケース 3 6を固定子ヨーク 4 3上に取り付ける だけで各電機子コイル 3 8に対する電流供給のための配線も完了するようにな つている。 このような手順によって、 容器 3 5に対して各構成部品を、 下方又 は上方から組み付けるだけで、 ベース 2 1が出来上がる。
本実施形態の走査型露光装置 1 0 0においては、 図 1 7に示されるように、 レチクル Rの走査方向 (Y軸方向) に対して垂直な方向に長手方向を有する長 方形 (スリット状) の照明領域 I A Rでレチクル Rが照明され、 レチクル Rは 露光時に— Y方向に速度 V Rで走査 (スキャン) される。 照明領域 I A R (中 心は光軸 A Xとほぼ一致) は投影光学系 P Lを介してウェハ W上に投影され、 照明領域 I A Rに共役なスリッ卜状の投影領域、 すなわち露光領域 I Aが形成 される。 ウェハ Wはレチクル Rとは倒立結像関係にあるため、 ウェハ Wは速度 V Rの方向とは反対方向 (+ Y方向) にレチクル Rに同期して速度 V wで走査 され、 ウェハ W上のショット領域 S Aの全面が露光可能となっている。 走査速 度の比 V WZ V Rは正確に投影光学系 P Lの縮小倍率に応じたものになってお り、 レチクル Rのパターン領域 P Aのパターンがウェハ W上のショッ卜領域 S A上に正確に縮小転写される。 照明領域 I A Rの長手方向の幅は、 レチクル R 上のパターン領域 P Aよりも広く、 遮光領域 S Tの最大幅よりも狭くなるよう に設定され、 レチクル Rを走査 (スキャン) することによりパターン領域 P A 全面が照明されるようになっている。
W 192 以下、 本実施形態におけるウェハ wの移動時の各部の作用について説明する 。 まず、 本実施形態におけるウェハ Wの移動、 すなわち、 平面モー夕装置 50 における可動子 5 1の移動の概要を、 図 1 8〜図 36を参照して説明する。 図 1 8、 図 1 9 A、 及び図 1 9 Bには、 可動子 5〗 と固定子 6 〗 とで形成さ れる磁気回路の概要が示されている。 ここで、 図 1 8には、 斜視図により磁気 回路の概要が示されており、 磁気回路を流れる磁束の中心軸が点線で示され、 磁束方向が矢印で示されている。 図 1 8に示されるように、 磁束が可動子 5 1 の磁極ュニッ卜 56と固定子 6 1の固定子ヨーク 43との間に発生する。 また 、 磁束は、 磁極ユニット 5 6を構成する、 隣り合う 2個の推力発生磁石 (54 a, 54 b), (54 b, 54 c), (54 c, 54 d)、 ( 54 d , 54 a) 間で それぞれ補間磁石 55 a、 55 b、 55 c、 55 dを経由するように発生する とともに、 固定子ヨーク 43の内部に発生する。 そして、 磁束が、 1つの推力 発生磁石 (例えば、 推力発生磁石 54 a)、 固定子ヨーク 43、 その 1つの推 力発生磁石に隣り合う他の 1つの推力発生磁石 (例えば、 推力発生磁石 54 d )、 及び 1つの推力発生磁石と他の 1つの推力発生磁石との間の磁束中に配置 された補間磁石 (例えば、 補間磁石 55 d) を順次巡った後、 前記 1つの推力 発生磁石に戻るという、 4つの磁気回路が形成される。 なお、 複合磁石体 53 上面に配置された磁性体部材 5 2内部にも磁束は発生し、 磁性体部材 52も含 まれて磁気回路が構成されるが、 図 1 8ではこれを省略して図示している。 図 1 9 Aには、 上記の 4つの磁気回路の内の 1つである、 推力発生磁石 54 a、 固定子ヨーク 43、 推力発生磁石 54 d、 及び補間磁石 55 dに関する磁 気回路が示されており、 磁束方向が実線矢印で示されている。 この磁気回路で は、 図 1 9 Aに示されるように、 推力発生磁石 54 aから、 その固定子ヨーク 43に対する対向面 (N極面) から一 Z方向 (紙面下向き) の磁束が発生して いる。 また、 固定子ヨーク 43中に、 主な磁束方向が +X方向である磁束が発 生している。 また、 固定子ヨーク 43の推力磁石 54 dに対する対向位置から
+ Z方向 (紙面上向き) に磁束が発生している。 また、 推力発生磁石 5 4 dの N極面からは、 主に一 X方向の磁束が発生し、 その殆どは補間磁石 5 5 dの S 極面に入力し、 またその残りは磁性体部材 5 2中を通って推力発生磁石 5 4 a の S極面に入力している。 さらに、 補間磁石 5 5 dの N極面からは推力発生磁 石 5 4 aの S極面に向かう磁束が発生する。 こうして、 推力発生磁石 5 4 a、 固定子ヨーク 4 3、 推力発生磁石 5 4 d、 及び補間磁石 5 5 dを磁束が順次巡 る磁気回路が形成される。
この磁気回路を伝搬する磁束量は、 この磁気回路の起磁力と磁気抵抗とで決 まり、 起磁力が強いほど磁束量が大きく、 また、 磁気抵抗が小さいほど磁束量 が大きくなる。 そして、 磁束量が大きいほど、 図 1 9 Aに示される固定子ョ一 ク 4 3の紙面上方の空間における磁束密度が高くなる。
本実施形態の平面モータ装置 5 0では、 図 1 9 Aに示された磁気回路の起磁 力が、 推力発生磁石 5 4 a、 5 4 dに加えて補間磁石 5 5 dを配置することに より強化されている。 また、 可動子 5 1 と固定子 6 0との間の空間を除いて、 磁束が伝搬する媒体を磁気抵抗の小さな磁性体部材 5 2、 6 2としているので 、 磁気回路の磁気抵抗が低減されている。 したがって、 電機子コイル 3 8が配 置される、 固定子ヨーク 4 3の上面付近における磁束密度を高くすることがで きるので、 ローレンツ電磁力を効率良く発生させることができる。 また、 磁束 は、 磁性体部材 5 2と固定子ヨーク 4 3との間 (磁性体部材 5 2及び固定子ョ ーク 4 3自身を含む) に閉じ込められるので、 外部に配設される部材に対する 磁気の影響は防止される。 なお、 以下の説明では、 推力発生磁石 5 4 a ~ 5 4 dは、 磁化方向を別にして互いに同一の磁力の永久磁石であるとする。
このとき、 固定子ヨーク 4 3の上面付近、 すなわち電機子ユニット 2 5が配 設される Z位置の磁束密度 Bは、 図 1 9 Bに示されるような分布となる。 すな わち、 実際には可動子 5 1 と固定子ヨーク 4 3との間の距離 (ギャップ) は推 力発生磁石 5 4の磁極面の一辺の長さ 4しよりも十分に小さくなるので、 推力
発生磁石 5 4 aに対する対向位置では、 ほぼ一定の磁束密度— B 0となり、 ま た、 推力発生磁石 5 4 dに対する対向位置では、 ほぼ一定の磁束密度 + B 0と なる、 推力発生磁石 5 4 a、 5 4 dと対向しない位置では磁束密度 Bが 0とな る。 なお、 図 1 9 Bにおいて、 磁束の方向が + Z方向の場合に磁束密度 Bの値 を正とし、 磁束の方向が— Z方向の場合に磁束密度 Bの値を負としている。 上記の図 1 9 Aに示された隣り合う推力発生磁石 (5 4 a、 5 4 d ) に関連 する磁気回路の性質は、 他の隣り合う推力発生磁石 (5 4 a, 5 4 b )、 (5 4 b , 5 4 c ) , ( 5 4 c , 5 4 d ) のそれぞれに関連する磁気回路についても成 り立っている。 したがって、 図 1 9 Bにおいて X方向について示された磁束密 度分布は、 Y方向についても同様となっている。
なお、 本実施形態の平面モ一夕装置 5 0では、 磁極ユニット 5 6における推 力発生磁石 5 4 a〜5 4 dの配置を 2行 2列とし、 可動子 5 1の移動による固 定子ヨーク 4 3における磁束方向の逆転の発生を最小頻度に抑えている。 した がって、 固定子ヨーク 4 3中における渦電流の発生が抑制されるので、 磁気抵 抗を小さく維持することが可能であり、 可動子 5 1が移動しても磁束密度の高 い磁束を継続的を発生することができる。
以下、 可動子 5 1 と固定子ヨーク 4 3との間の磁束と電機子コイル 3 8を流 れる電流との相互作用で発生するローレンツ電磁力による可動子 5 1の駆動に ついて説明する。
この説明に先立って、 まず、 以後の説明で使用する図面における電機子コィ ル 3 8の表記について、 図 2 0 A及び図 2 0 Bを参照して説明する。 電機子コ ィル 3 8は、 図 2 0 Aに示されるように、 + Z方向から見た場合、 その電流経 路は、 内辺の長さが Lの正方形であり、 外辺の長さが 3 Lの角が丸い正方形状 となっている。 そして、 電機子コイル 3 8に電流が供給されると、 図 2 O Aに おいて右回り又は左回りで、 電流密度 (体積密度) 一定の電流が流れる。 この 場合、 図 2 0 Aに記されるように、 電機子コイル 3 8を流れる電流の方向を実
線矢印で示し、 その大きさを I と表現するものとする。 なお、 図 2 OAのよう に、 +Z方向から見た場合に電流が右回りの場合に正の電流 I といい、 電流が 左回りの場合に負の電流— I という。 こうした電流 1又は電流— Iが磁束と相 互作用して電流経路にローレンツ電磁力が発生するが、 ローレンツ電磁力の発 生位置は、 図 2 OAで斜線で示される、 推力発生磁石 54 (例えば、 推力発生 磁石 54 a) との対向位置の領域となる。 そして、 このローレンツ電磁力の発 生領域は、 可動子 5 1の移動 (すなわち、 推力発生磁石 54 a〜54 dの移動 ) とともに変化する。 この領域の各位置に発生する口一レンツ電磁力の合力が 電機子コイル 38に作用する力となり、 この力の反力が可動子 51に対する駆 動力、 すなわち可動子 5 1の推力となる。
また、 以後の説明において電機子コイル 38に発生するローレンツ電磁力を 説明する場合には、 図 20 Bに示されるように、 電機子コイル 38を正方形状 の線図形として表現することにする。 そして、 図 20 Bの紙面における左辺を 63 a、 上辺を 63 b、 右辺を 63 c、 下辺を 63 dと表現し、 また、 辺 38 aに発生するローレンツ電磁力を F a、 辺 38 bに発生するローレンツ電磁力 を F b、 辺 38 cに発生するローレンツ電磁力を F c、 辺 38 dに発生する口 一レンツ電磁力を F dと表現する。 なお、 電機子コイル 38は、 図 2 Bに示さ れるようにマトリクス状に配列されているので、 電機子コイル 38をマ卜リク ス状に配列された状態で図示するときには、 電機子コイル 38相互の識別のた めに、 電機子コイル 38 ( i, j ) (ここで、 i, jは整数) と表すことにす る。 これに伴い、 図 20 Bのような電機子コイル 38 ( i , j ) の表現におい ては、 電機子コイル 38 ( i , j ) の各辺を 38 a ( i , j )、 38 b ( i, j )、 38 c ( i , j )、 38 d ( i , j ) と表現し、 また、 各辺 38 a ( i , j ) 〜38 d ( i, j ) に発生するローレンツ電磁力をそれぞれ F a ( i , j )、 F b ( i, j )、 F c ( i, j )、 F d ( i, j ) と表現することにする。 なお、 以下の説明において参照する図面中では、 作図の都合上、 辺 38 a ( i
, j ) 〜 3 8 d ( ί, j ) 及び F a ( i , j ) 〜 F d ( i , j ) の表記は省略 する。
図 2 1 A〜図 24 Dには、 電機子コイル 38に供給される電流とローレンツ 電磁力との関係、 特に各口一レンツ電磁力の合力の方向に関する例が示されて いる。 これら図 2 1 A〜図 24 Dでは、 2行 2列に配列された電機子コイル 3 8 ( 1 , 1 )、 3 8 ( 1, 2)、 38 (2, 1 )、 38 (2 , 2) に対して、 電 機子コイル 38 (1, 1 ) の紙面左隅を原点とする XY座標系において、 推力 発生磁石 54 aの紙面左隅の座標値が (L, L) となる配置の例が示されてい る。 なお、 図 2 1 A〜図 24 Dでは推力発生磁石 54 aに関連する部分が代表 的に示されている。 また、 力 Fの説明図である図 2 1 B、 図 2 1 D、 図 22 B 、 図 22 D、 図 23 B、 図 23 D、 図 24 B、 図 24 Dは、 図 20 Bの表現方 法に従っておリ、 また、 これらの図では、 電流経路の各辺に発生するローレン ッ電磁力が実線矢印で示され、 また、 これらのローレンツ電磁力の合力が太線 矢印で示されている。 また、 推力発生磁石 54 aの中心位置が星印 (★) で示 されている。 なお、 図 2 1 A〜図 24 Dの場合には、 ローレンツ電磁力の合力 によって付与される推力発生磁石 54 aの合力は、 推力発生磁石 54 aの中心 位置に作用する力となる。
図 2 1 Aに示されるように、 電機子コイル 38 (1 , 1 ) 及び電機子コイル 38 (2, 1 ) の電流が + I (右回り) であり、 電機子コイル 38 (1, 2) 及び電機子コイル 38 (2, 2) の電流が一 I (左回り) である場合には、 図 2 1 Bに示されるように、 電機子コイル 38 ( 1 , 1 ) では、 辺 38 b ( 1 , 1 ) に +Y方向のローレンツ電磁力 F b ( 1, 1 ) が、 辺 38 c ( 1, 1 ) に + X方向のローレンツ電磁力 F c ( 1, 1 ) が発生し、 電機子コイル 38 (1 , 2) では、 辺 38 a (1, 2) に + X方向のローレンツ電磁力 F a (1 , 2 ) が、 辺 38 b ( 1, 2) に一 Y方向のローレンツ電磁力 F b ( 1, 2 ) が発 生する。 また、 電機子コイル 38 (2, 1 ) では、 辺 38 c (2, 1 ) に +X
方向のローレンツ電磁力 F c (2, 1 ) が、 辺 38 d (2, 1 ) に— Y方向の ローレンツ電磁力 Fd (2, 1 ) が発生し、 電機子コイル 38 (2, 2) では 、 辺 38 a (1, 2) に + X方向のローレンツ電磁力 F a (2, 2 ) が、 辺 3 8 d (2, 2) に +丫方向のローレンツ電磁力 F d (2, 2) が発生する。 ここで、 各力の発生において、 電流量が同一、 磁束密度が同一、 かつ、 電流 と磁束との交差領域の大きさが同一であること (すなわち、 電流量、 磁束密度 、 及び交差領域に関する対称性) から、 士 Y方向の力は互いに相殺されて、 + X方向の力の成分のみが残る。 したがって、 4つの電機子コイル 38 (1 , 1 )、 38 (1, 2)、 38 (2, 1 )、 38 (2, 2) に発生するローレンツ電 磁力の合力は、 図 2 1 Bに示される + X方向の力 Fとなる。 したがって、 推力 発生磁石 54 aに作用する力は、 力 Fの反力なので一 X方向のカー Fとなる。 ところで、 推力発生磁石 54 a~54 dの配列周期 6 Lは、 電機子コイル 3 8の配列周期 3 Lの 2倍なので、 他の推力発生磁石 54 b〜54 dと電機子コ ィル 38との位置関係は、 推力発生磁石 54 aの場合と同様になつている。 し たがって、 推力発生磁石 54 aと同様の磁極面を有する推力発生磁石 54じの 場合には、 それに対向する電機子コイルに推力発生磁石 54 aの場合と同様の 電流供給を行い、 推力発生磁石 54 b、 54 dの場合には、 それぞれに対向す る電機子コイルに推力発生磁石 54 aの場合と逆方向の電流が供給されること により、 他の推力発生磁石 54 b~54 dに、 推力発生磁石 54 aの場合と同 一の大きさ、 同一方向 (一 X方向) のカー Fを付与することができる。 この結 果、 可動子 5 1が— X方向に駆動され、 各推力発生磁石 54 a〜54 dに働く 力の合力— 4 Fが可動子 5 〗の推力となる。
次に、 図 2 1 Cに示されるように、 図 21 Aと同様の推力発生磁石 54 aと 電機子コイル 38 ( i , j ) ( i = 1, 2、 j = 1, 2) との位置関係におい て、 図 2 1 Aにおける電流方向を全て逆転した場合を考える。 このときには、 図 2 1 Dに示されるように、 図 2 1 Bの場合と電機子コイル ( i, j ) の各辺
に発生する力が全て逆向きとなる。 この結果、 土丫方向の力は互いに相殺され て、 一 X方向の力の成分のみが残る。 したがって、 4つの電機子コイル 3 8 ( i , j ) に発生するローレンツ電磁力の合力は、 図 2 1 Dに示される—X方向 の力 Fとなる。 したがって、 推力発生磁石 5 4 aに作用する力は、 力 Fの反力 であり、 + X方向の力— Fとなる。
このときも、 図 2 1 A及び図 2 1 Bの場合と同様に、 対向する推力発生磁石 5 4 b ~ 5 4 dの極性に応じて、 それぞれに対向する電機子コイルに電流が供 給されることにより、 他の推力発生磁石 5 4 b ~ 5 4 dに、 推力発生磁石 5 4 aの場合と同一の大きさ、 同一方向 (+ X方向) の力— Fを付与することがで きる。 この結果、 可動子 5 1が + X方向に駆動され、 各推力発生磁石 5 4 a ~ 5 4 dに働く力の合力一 4 Fが可動子 5 〗の推力となる。
また、 図 2 2 Aに示されるように、 電機子コイル 3 8 ( 1 , 1 ) 及び電機子 コイル 3 8 ( 1 , 2 ) の電流が + I (右回り) であり、 電機子コイル 3 8 ( 2 , 1 ) 及び電機子コイル 3 8 ( 2, 2 ) の電流が一 I (左回り) である場合に は、 図 2 2 Bに示されるように、 各辺にローレンツ電磁力が発生するが、 電流 量、 磁束密度、 及び交差領域に関する対称性から ± X方向の力は互いに相殺さ れて、 + Y方向の力の成分のみが残る。 したがって、 4つの電機子コイル 3 8 ( i , j ) に発生するローレンツ電磁力の合力は、 図 2 2 Bに示されるように 、 + Y方向の力 Fとなる。 したがって、 推力発生磁石 5 4 aに作用する力は、 力 Fの反力なので一 Y方向のカー Fとなる。
また、 図 2 2 Cに示されるように、 図 2 2 Aと同様の推力発生磁石 5 4 aと 電機子コイル 3 8 ( j ) との位置関係において、 図 2 2 Aにおける電流方 向を全て逆転した場合を考える。 このときには、 図 2 2 Dに示されるように、 図 2 2 Bの場合と電機子コイル 3 8 ( i , j ) の各辺に発生するローレンツ電 磁力が全て逆向きとなる。 この結果、 ± X方向の力は互いに相殺されて、 一 Y 方向の力の成分のみが残る。 したがって、 4つの電機子コイル 3 8 ( i , j )
に発生するローレンツ電磁力の合力は、 図 22 Dに示される一 Y方向の力 Fと なる。 したがって、 推力発生磁石 54 aに作用する力は、 +Y方向の力— Fと なる。
図 22 A及び図 22 Bの場合並びに図 22 C及び図 22 Dの場合にも、 図 2 1 A及び図 2 1 Bの場合と同様に、 対向する推力発生磁石 54 b〜54 dの極 性に応じて、 それぞれに対向する電機子コイルに電流が供給されることにより 、 他の推力発生磁石 54 b〜54 dに、 推力発生磁石 54 aの場合と同一の大 きさ、 同一方向 (+Y方向又は一 Y方向) の力— Fを付与することができる。 この結果、 可動子 5 1がー Y方向又は +Y方向に駆動され、 各推力発生磁石 5 4 a〜54 dに働く力の合力一 4 Fが可動子 5 1の推力となる。
以上、 図 2 1 A〜図 22 Dを参照して、 ±X方向又は土丫方向に可動子 5 1 を駆動する、 電機子コイル 38 ( i , j ) への電流の供給例を説明したが、 こ れらの方向以外に可動子 5 1を駆動する場合には、 所望の方向の X成分に応じ た電流パターンと所望の方向の Y成分に応じた電流パターンとを重ね合わせた 電流パターンとなる電流を電機子コイル 38に供給することにより、 任意の方 向へ可動子 5 1を駆動する力を得ることができる。
すなわち、 図 2 1 Aの電流パターンと図 22 Aの電流パターンとを重ね合わ せた図 23 Aの電流パターン、 すなわち、 電機子コイル 38 ( 1 , 1 ) に電流 + Iが供給され、 電機子コイル 38 (2, 2) に電流— Iが供給されるととも に、 電機子コイル 38 ( 1 , 2)、 38 (2, 1 ) に電流が供給されない場合 を考える。 このときは、 図 23 Bに示されるように、 電機子コイル 38 ( 1 , 1 ) では、 辺 38 b ( 1 , 1 ) に + Y方向のローレンツ電磁力 F b ( 1 , 1 ) が、 辺 38 c ( 1 , 1 ) に +X方向の口一レンツ電磁力 F c ( 1 , 1 ) が発生 し、 電機子コイル 38 (2, 2) では、 辺 38 a (2, 2) に +X方向のロー レンツ電磁力 F a (2, 2) が、 辺 38 d (2, 2) に +丫方向のローレンツ 電磁力 F d (2, 2) が発生する。 すなわち、 +X方向の力と + Y方向の力と
が発生する。
前述の電流量、 磁束密度、 及び交差領域に関する対称性から、 各力の大きさ 同一となるので、 合力は紙面右上 45° 方向の力 Fとなる。 したがって、 推力 発生磁石 54 aには、 紙面左下 45 ° 方向のカー Fが付与される。 こうした力 の方向は、 図 2 1 Bにおける合力と図 22 Bにおける合力との合力の方向と同 一となつている。
次に、 図 23 Cに示されるように、 図 23 Aと同様の推力発生磁石 54 aと 電機子コイル 38 ( i , j ) との位置関係において、 図 23 Aにおける電流方 向を全て逆転した場合、 すなわち、 図 2 1 Cの電流パターンと図 22 Cの電流 パターンとを重ね合わせた電流が供給された場合を考える。 このときには、 図 23 Dに示されるように、 図 2 3 Bの場合と比べて電機子コイル 38 ( i , j ) の各辺に発生するローレンツ電磁力が全て逆向きとなる。 この結果、 電機子 コイル 38 ( i , j ) に発生するローレンツ電磁力の合力は、 図 23 Dに示さ れるように、 紙面左下 45° 方向の力 Fとなる。 したがって、 推力発生磁石 5 4 aには、 紙面右上 45° 方向のカー Fが付与される。
また、 図 24 Aに示されるように、 図 2 1 Cの電流パターンと図 22 Aの電 流パターンとを重ね合わせた電流パターン、 すなわち、 電機子コイル 38 (1 , 2) に電流 + 1が供給され、 電機子コイル 38 (2, 1 ) に電流一 Iが供給 されるとともに、 電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 38 (2, 2) に電流が供給 されない場合を考える。 このときは、 図 24 Bに示されるように、 電機子コィ ル 38 ( 1 , 2) では、 一 X方向の口一レンツ電磁力 F a ( 1 , 2) 及び + Y 方向のローレンツ電磁力 F b ( 1 , 2) が発生し、 電機子コイル 38 (2, 1 ) では、 — X方向のローレンツ電磁力 F c (2, 1 ) 及び +Y方向のローレン ッ電磁力 F d (2, 1 ) が発生する。 すなわち、 一 X方向の力と + Y方向の力 とが発生する。 この結果、 電機子コイル 38 ( i , j ) に発生するローレンツ 電磁力の合力は、 図 24 Bに示されるように、 紙面左上 45 ° 方向の力 Fとな
る。 したがって、 推力発生磁石 5 4 aには、 紙面右下 4 5 ° 方向のカー Fが付 与される。
また、 図 2 4 Cに示されるように、 図 2 4 Aにおける電流方向を全て逆転し た場合、 すなわち、 図 2 1 Aの電流パターンと図 2 2 Cの電流パターンとを重 ね合わせた電流が供給された場合を考える。 このときには、 図 2 4 Dに示され るように、 図 2 4 Bの場合と電機子コイル ( i , j ) の各辺に発生するローレ ンッ電磁力が全て逆向きとなる。 この結果、 電機子コイル 3 8 ( i , j ) に発 生するローレンツ電磁力の合力は、 図 2 4 Dに示されるように、 紙面右下 4 5 ° 方向の力 Fとなる。 したがって、 推力発生磁石 5 4 aには、 紙面左上 4 5 ° 方向のカー Fが付与される。
なお、 図 2 3 A〜図 2 4 Dの場合にも、 図 2 1 A〜図 2 2 Dの場合と同様に 、 対向する推力発生磁石 5 4 b〜5 4 dの極性に応じて、 それぞれに対向する 電機子コイルに電流が供給されることにより、 他の推力発生磁石 5 4 b ~ 5 4 dに、 推力発生磁石 5 4 aの場合と同一の大きさ、 同一方向の力を付与するこ とができる。
また、 図 2 1 A〜図 2 2 Dにおける合力の大きさと図 2 3 A〜図 2 4 Dにお ける合力の大きさとを同一とするためには、 図 2 3 A〜図 2 4 Dにおける電流 量を図 2 1 A〜図 2 2 Dにおける電流量の 2 1/2倍とすればよい。
以上、 図 2 1 A〜図 2 4 Dを参照して説明したように、 推力発生磁石 5 4 a 〜5 4 dと電機子コイル 3 8とが特定の位置関係にあるときには、 可動子 5 1 を所望の方向へ所望の力の大きさで駆動できる。 こうした、 所望の方向への所 望の力の大きさによる可動子 5 1の駆動は、 推力発生磁石 5 4 a〜5 4 dと電 機子コイル 3 8とが任意の位置関係にあるときにも可能である。 このことを、 可動子 5 1を + X方向へ、 駆動力 F 0で駆動する場合を例として、 図 2 5 A〜 図 3 6を参照して説明する。
まず、 図 2 1 A〜図 2 4 Dにおける推力発生磁石 5 4 a〜5 4 dと電機子コ
ィル 38との位置関係から、 可動子 5 1に + X方向の駆動力を付与しつつ、 こ れらの位置関係が駆動方向とは垂直な +Y方向で異なる場合を、 図 25 A〜図 3 1 Bを参照して説明する。 なお、 図 25 A〜図 3 1 Bでは、 3行 2列に配列 された電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 3 8 ( 1 , 2)、 38 (2, 1 )、 38 ( 2, 2)、 38 (3, 1 )、 38 (3, 2) に対して、 電機子コイル 38 ( 1 , 1 ) の紙面左隅を原点とする X Y座標系を採用している。 この図 25 A〜図 3 1 Bでは、 推力発生磁石 54 aの紙面左隅の座標 (XM, YM) (以後、 「推力 発生磁石 54 aの座標 (XM, YM;)」 という) が座標 (L, L) から座標 (L , 4 L) までの各座標における可動子 5 1に対する駆動力を、 特に推力発生磁 石 54 aに着目して示すものであり、 推力発生磁石 54 aに関連する部分が代 表的に示されている。 これは、 電機子コイル 38の配列周期は +Y方向につい て 3 Lであるからである。 なお、 電機子コイル 38 ( i , j ) ( i = l〜3、 j = 1 , 2) には、 電流 I ( i, j ) が供給されるものとする。 また、 図 1 1 及び図 1 2の場合と同様に、 力 Fの説明図である図 25 B、 図 26 B、 図 27 B、 図 28 B、 図 29 B、 図 30 B、 及び図 3 1 Bでは、 電流経路の各辺に発 生するローレンツ電磁力が実線矢印で示されて、 また、 これらのローレンツ電 磁力の合力が太線矢印で示されている。 また、 推力発生磁石 54 aの中心位置 が星印 (★) で示されている。
図 2 5 Aには、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM) が座標 (し, L) の場合を示しており、 可動子 5 1を +X方向に力 F 0で駆動するために、 図 2 1 Cと同様に、 電機子コイル 38 (1 , 1 ) 及び電機子コイル 38 (2, 1 ) の電流が一 I 0 (左回り) であり、 電機子コイル 38 (1 , 2) 及び電機子コ ィル 38 (2, 2) の電流が + I 0 (右回り) としている。 このとき、 図 25 Bに示されるように、 電機子コイル 38 (1 , 1 ) では、 辺 38 b ( 1, 1 ) に一 Y方向のローレンツ電磁力 F b ( 1 , 1 ) が、 辺 38 c ( 1 , 1 ) に一 X 方向のローレンツ電磁力 F c (1 , 1 ) が発生し、 電機子コイル 38 (1 , 2
) では、 辺 38 a ( 1 , 2) に一 X方向のローレンツ電磁力 F a ( 1, 2) が 、 辺 38 b ( 1 , 2) に +Y方向のローレンツ電磁力 F b (1, 2) が発生す る。 また、 電機子コイル 38 (2, 1 ) では、 辺 38 c (2, 1 ) に— X方向 のローレンツ電磁力 F c (2, 1 ) が、 辺 38 d (2, 1 ) に +Y方向のロー レンツ電磁力 F d (2, 1 ) が発生し、 電機子コイル 38 (2, 2) では、 辺 38 a ( 1 , 2) に— X方向のローレンツ電磁力 F a (2, 2 ) が、 辺 38 d (2, 2) に— Y方向のローレンツ電磁力 Fd (2, 2) が発生する。 したが つて、 電流量、 磁束密度、 及び交差領域に関する対称性から、 土 Y方向への口 一レンツ電磁力 F b ( 1, 1 )、 F b ( 1 , 2)、 F d (2, 1 )、 F d (2, 2) は互いに相殺され、 一方、 —X方向の力であって同一の大きさのローレン ッ電磁力 F c ( 1 , 1 )、 F a ( 1 , 2)、 F c (2, 1 )、 F a (2, 2) が 足し合わされて、 —X方向の合力 F 0が生じる。
なお、 電機子コイル 38 (3, 1 ) 及び電機子コイル 38 (3, 2) は、 電 機子コイル 38 (1, 1 ) 及び電機子コイル 38 (1, 2) に対する推力発生 磁石 54 aの位置関係と同様の位置関係で、 不図示の推力発生磁石 64 bに対 向している。 したがって、 この推力発生磁石 64 bに +X方向の推力 F 0を付 与するため、 電機子コイル 38 (3, 1 ) には電流 + I 0が、 電機子コイル 3 8 (3, 2) には電流一 I 0が供給されることになり、 また、 不図示の電機子 コイル 38 (4, 1 ) には電流 + I 0が、 不図示の電機子コイル 38 (4, 2 ) には電流一 I 0が供給される。 さらに、 不図示の推力発生磁石 54 c、 54 dについても、 +X方向に推力 F 0が付与されるように、 それらに対向する電 機子コイルに一 X方向の合力 F 0を生じさせる電流が供給される。
次に、 図 26 Aに示されるように、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM ) が、 座標 (し, YM (L<YM<2 L)) の場合を考える。 この場合、 図 26 Bに示されるように、 図 25 Bと比べて、 電機子コイル 38 (2, 1 ) の辺 3 8 b (2, 1 ) に—丫方向に働くローレンツ電磁力 F b (2, 1 ) と電機子コ
ィル 38 (2, 2) の辺 38 b (2, 2) に + Y方向に働くローレンツ電磁力 F b (2, 1 ) とが新たに生じる。
ここで、 推力発生磁石 54 a~54 dのそれぞれに対向する電機子コイル 3 8には、 図 2 6 Bに示された力と同様の力が発生するので、 可動子 5 1を +X 方向に駆動力 4 F 0で駆動するととともに、 回転力を付与せずに並進させるた めには、 推力発生磁石 54 a〜54 dに働く力の内、 土 Y方向のローレンツ電 磁力が各推力発生磁石 54 a〜54 dを個別に回転させる力を含めて相殺され る必要がある。 そして、 各推力発生磁石 54 a〜54 dのそれぞれにおいて + X方向に働く力の合力が 4 F 0となり、 かつ可動子 5 1の全体として回転力が 相殺されるように設定する必要がある。
そこで、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM) が座標 (L, YM (L<Y M<2 L)) の場合には、 まず、 推力発生磁石 54 aに働く力の内、 土 Y方向 の力が各推力発生磁石 54 a〜54 dを個別に回転させる力を含めて相殺する ために、 電機子コイル 38 (1 , 1 ) に働く— Y方向のローレンツ電磁力と、 この電機子コイル 38 (1 , 1 ) に対し +Y方向に隣接して配列された電機子 コイル 38 (2, 1 ) に働く土 Y方向のローレンツ電磁力とを相殺させるとと もに、 電機子コイル 38 (1 , 2) に働く +Y方向のローレンツ電磁力と、 こ の電機子コイル 38 (1 , 2) に対し +Y方向に隣接して配列された電機子コ ィル 38 (2, 2) に働く土 Y方向のローレンツ電磁力とを相殺させるように 、 電流 I ( 1 , 1 ) と電流 I ( 2, 1 ) との比及び電流 I ( 1 , 2 ) と電流 I (2, 2) との比を決める。 すなわち、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, Y M) の Y座標 YMの増加にともなって、 電流 I ( 1 ) 及び電流 I ( 1 , 2 ) の電流値を減少させるとともに、 電流 I (2, 1 ) 及び電流 I (2, 2) の 電流値を増加させる。 この結果、 推力発生磁石 54 aには +X方向への駆動力 が付与されるが、 その駆動力の大きさは、 他の推力発生磁石 54 b〜54 dに 付与される駆動力との関係で可動子 5 1の全体として回転力が相殺されるよう
に、 電機子コイル 38に供給される電流が調整される。 この調整は、 例えば、 推力発生磁石 54 aと推力発生磁石 54 aに対して +Y方向に隣接して配列さ れた推力発生磁石 54 bとの間で回転力相殺の調整を行い、 この推力発生磁石 54 aと推力発生磁石 54 bとの間の調整と同様の調整を、 推力発生磁石 54 cと推力発生磁石 54 dとの間で行うことにより達成される。
次いで、 図 2 7 Aに示されるように、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, Y M) が座標 (L, 2し) の場合には、 電機子コイル 38 (2, 1 ) に発生する 土 Y方向のローレンツ電磁力 F b (2, 1 ) と F d (2, 1 ) は互い相殺され る。 一方、 電機子コイル 38 (1 , 1 ) に電流が供給された場合を考えると、 それに伴って発生する— Y方向のローレンツ電磁力 F b (1, 1 ) に応じて推 力発生磁石 54 aに付与される + Y方向の推力を土 Y方向について相殺するた めには、 電機子コイル 38 (1 , 2) に対して、 電機子コイル 38 ( 1, 1 ) に供給された電流と逆方向で同一電流量の電流を供給すればよいが、 この場合 にはローレンツ電磁力 F b ( 1 , 1 ) とローレンツ電磁力 F b (1 , 2) とに よって、 推力発生磁石 54 aに左回りの回転力が必然的に加わることになる。 この回転力は、 推力発生磁石 54 aに付与される推力だけで 0とすることはで きない。
そこで、 例えば、 電機子コイル 38 (1 , 1 ) に供給される電流及び電機子 コイル 3 8 (1 , 2) に供給される電流を 0とする。 この結果、 図 27 Bに示 されるように、 電機子コイル 38 (2, 1 )、 38 (2, 2) にのみ力が発生 し、 それらの力の合力が一 X方向の力となる。 この合力の大きさは、 図 26 B の場合と同様に、 推力発生磁石 54 a〜54 dに対向する各電機子コイル 38 に供給される電流を調整することにより、 可動子 5 1が X方向に駆動力 4 F 0 で並進駆動されるように設定される。
なお、 電機子コイル 38 (1, 1 ) 及び電機子コイル 38 ( 1, 2) に電流 を供給しつつ、 可動子 5 1全体として土 Y方向への推力を 0とするとともに、
可動子 5 1全体としての回転力を 0とすることも可能である。 これは、 推力発 生磁石 54 a〜54 dに対向する各電機子コイル 38に供給される電流を調整 することにより達成される。
次に、 図 2 8 Aに示されるように、 推力発生磁石 5 4 aの座標 (XM, YM ) が、 座標 (し, YM (2し <YM<3 D) の場合を考える。 この場合にも、 電機子コイル 38 (3, 1 )、 38 (3, 2) は、 まだ不図示の推力発生磁石 54 bに対向している。 したがって、 電機子コイル 3 8 (3, 1 )、 38 (3 , 2) には、 電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 38 ( 1 , 2) に供給される電流 と同一の電流量で、 逆方向の電流が供給されることになる。 この条件で、 +Y 方向に配列された電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 38 (2, 1 )、 38 (3, 1 ) に発生する ±Y方向のローレンツ電磁力によって生じる推力発生磁石 54 a の推力について、 土 Y方向の推力を 0とすることはできない。 これと同様にし て、 やはり + Y方向に配列された電機子コイル 3 8 ( 1 , 2)、 38 (2, 2 )、 38 (3, 2) に発生する土 Y方向のローレンツ電磁力によって生じる推 力発生磁石 54 aの推力について、 土 Y方向の推力を 0とすることはできない 。 ここで、 電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 38 ( 1 , 2)、 3 8 (2, 1 )、 3 8 (2, 2), 38 (3, 1 ). 38 (3, 2) に供給される電流を調整するこ とにより、 推力発生磁石 54 aに付与される土 Y方向の推力を 0とすることは できるが、 これと同時に、 推力発生磁石 54 aに発生する回転力を 0とするこ とはできない。
そこで、 例えば、 電機子コイル 38 (1 , 1 )、 38 ( 1 , 2)、 38 (3,
1 )、 3 8 (3, 2) に供給される電流を 0とする。 この結果、 図 28 Bに示 されるように、 図 2 7 Bと同様に、 電機子コイル 38 (2, 1 )、 38 (2,
2) にのみローレンツ電磁力が発生し、 それらの力の合力が— X方向の力とな る。 なお、 この合力の大きさは、 図 26 Bの場合と同様に、 推力発生磁石 54 a〜54 dに対向する各電機子コイル 38に供給される電流を調整することに
より、 可動子 5 1が X方向に駆動力 4 F 0で並進駆動されるように設定される なお、 電機子コイル 3 8 ( 1, 1 )、 38 (1 , 2)、 3 8 (3, 1 )、 38 (3, 2) に電流を供給しつつ、 可動子 5 1全体として土 Y方向への推力を 0 とするとともに、 可動子 5 1全体としての回転力を 0とすることも可能である 。 これは、 推力発生磁石 54 a〜54 dに対向する各電機子コイル 38に供給 される電流を調整することにより達成される。
また、 図 2 9 Aに示されるように、 推力発生磁石 5 4 aの座標 (XM, YM ) が座標 (し, 3 L) の場合には、 もはや電機子コイル 3 8 (3, 1 )、 38 (3, 2) は推力発生磁石 54 bには対向していないが、 電機子コイル 38 ( 3, 1 )、 3 8 (3, 2) に電流が供給されると、 図 2 9 Bの場合と同様に、 推力発生磁石 54 aに付与される推力について土 Y方向の推力を 0とするとと もに、 推力発生磁石 54 aへ加わる回転力を 0とすることはできない。
そこで、 例えば、 図 2 7 Bの場合と同様に、 電機子コイル 3 8 (3, 1 ) に 供給される電流及び電機子コイル 38 (3, 2) に供給される電流を 0とする 。 この結果、 図 29 Bに示されるように、 図 27 Bと同様に、 電機子コイル 3 8 (2, 1 )、 3 8 (2, 2) にのみローレンツ電磁力が発生し、 それらの力 の合力が一 X方向の力となる。 この場合にも、 この合力の大きさは、 図 26 B の場合と同様に、 推力発生磁石 54 a~54 dに対向する各電機子コイル 38 に供給される電流を調整することにより、 可動子 5 1が X方向に駆動力 4 F 0 で並進駆動されるように設定される。
なお、 電機子コイル 38 (3, 1 ) 及び電機子コイル 38 (3, 2) に電流 を供給しつつ、 可動子 5 1全体として土 Y方向への推力を 0とするとともに、 可動子 5 1全体としての回転力を 0とすることも可能である。 これも、 図 26 Bの場合と同様に、 推力発生磁石 54 a〜54 dに対向する各電機子コイル 3 8に供給される電流を調整することにより達成される。
次に、 図 3 O Aに示されるように、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM ) が、 座標 (L, YM (3 L<YM<4 L)) の場合を考える。 この場合には、 図 2 6 Aの場合と対称的に考えることができ、 推力発生磁石 54 aに働く力の 内、 土 Y方向の力が各推力発生磁石 54 a〜54 dを個別に回転させる力を含 めて相殺するために、 図 30 Bに示される電機子コイル 38 (3, 1 ) に働く + Y方向のローレンツ電磁力と、 この電機子コイル 38 (3, 1 ) に対し一 Y 方向に隣接して配列された電機子コイル 38 (2, 1 ) に働く土 Y方向のロー レンツ電磁力とを相殺させるとともに、 電機子コイル 38 (3, 2) に働く一 Y方向のローレンツ電磁力と、 この電機子コイル 38 (3, 2) に対して— Y 方向に隣接して配列された電機子コイル 38 (2, 2) に働く土 Y方向のロー レンツ電磁力とを相殺させるように、 電流 I (3, 1 ) と電流 I (2, 1 ) と の比及び電流 I (3, 2) と電流 I (2, 2) との比を決める。 すなわち、 推 力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM) の Y座標 YMの増加にともなって、 電流 I (3, 1 ) 及び電流 I (3, 2) の電流値を増加させるとともに、 電流 I ( 2, 1 ) 及び電流 I (2, 2) の電流値を減少させる。 この結果、 推力発生磁 石 54 aには +X方向への駆動力が付与されるが、 その駆動力の大きさは、 他 の推力発生磁石 54 b〜54 dに付与される駆動力との関係で可動子 5 1の全 体として回転力が相殺されるように、 電機子コイル 38に供給される電流が調 整される。
さらに、 図 3 1 Aに示されるように、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, Y M) が座標 (し, 4 L) の場合には、 推力発生磁石 54と電機子コイル 38と の位置関係が、 図 25 Aの場合と + Y方向に電機子コイル 38の配列の 1周期 分ずれた状態となる。 したがって、 電機子コイル + 1 , j ) に供給される 電流 I ( i + j ) を図 25 Aにおける電機子コイル 38 ( ί, j ) に供給 される電流 I ( i , j ) と同様のパターンとすることにより、 図 3 1 Bに示さ れるように、 図 25 Bの場合と同様の推力を推力発生磁石 54 aに付与するこ
とができる。
以上、 図 25 A〜図 3 1 Bを参照して、 駆動力の発生方向と垂直な方向に関 して、 推力発生磁石 54と電機子コイル 38との位置関係が変化した場合の一 例について説明したが、 これと同様にして、 駆動力の発生方向が任意の方向の 場合にも、 この駆動方向に垂直な方向に関して推力発生磁石 54と電機子コィ ル 38との位置関係が変化しても電機子コイルに供給される電流パターンを制 御することにより、 所望の駆動力で可動子 5 1を並進駆動できる。
次に、 駆動力の発生方向と平行な方向に関して、 推力発生磁石 54と電機子 コイル 3 8との位置関係が変化する場合について、 図 2 1 A〜図 24 Dにおけ る推力発生磁石 54 a~54 dと電機子コイル 38との位置関係から、 可動子 5 1 に +X方向の駆動力を付与しつつ、 これらの位置関係が +X方向に変化す る場合を、 図 3 2 A〜図 35 Bを参照して説明する。 なお、 図 32 A〜図 35 Bでは、 2行 3列に配列された電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 38 (1 , 2)、 38 ( 1 , 3)、 3 8 (2, 1 )、 38 (2, 2)、 38 (2, 3) に対して、 電機子コイル 3 8 (1 , 1 ) の紙面左隅を原点とする XY座標系を採用してい る。 この図 3 2 A〜図 3 5 Bでは、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM) が座標 (し, L) から座標 (4し, L) までの各座標における可動子 5 1 に対 する駆動力を、 特に推力発生磁石 54 aに着目して示すものであり、 推力発生 磁石 54 aに関連する部分が代表的に示されている。 これは、 電機子コイル 3 8の配列周期は +X方向について 3 Lであるからである。 なお、 電機子コイル 3 8 ( i , j ) ( i = 1 , 2、 j = 1 ~3) には、 電流 I ( i , j ) が供給さ れるものとする。 また、 図 2 1 A〜図 24 Dの場合と同様に、 力 Fの説明図で ある図 3 2 B、 図 3 2 D、 図 33 B、 図 3 3 D、 図 34 B、 図 34 D、 及び図 35 Bでは、 電流経路の各辺に発生するローレンツ電磁力が実線矢印で示され て、 また、 これらのローレンツ電磁力の合力が太線矢印で示されている。 また 、 推力発生磁石 54 aの中心位置が星印 (★) で示されている。 なお、 図 3 2
A〜図 35 Bの場合には、 ローレンツ電磁力の合力によって付与される推力発 生磁石 54 aの合力は、 推力発生磁石 54 aの中心位置に作用する力となる。 図 32 Aには、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM) が座標 (し, L) の場合を示しており、 可動子 5 1を + X方向に力 F 0で駆動するために、 図 2 1 Cと同様に、 電機子コイル 38 (1, 1 ) 及び電機子コイル 38 (2, 1 ) の電流が一 I 0 (左回り) であり、 電機子コイル 38 (1 , 2) 及び電機子コ ィル 38 (2, 2) の電流が + I 0 (右回り) としている。 このとき、 図 32 Bに示されるように、 図 2 I Dと同様に、 土 Y方向へのローレンツ電磁力 F b (1, 1 )、 F b ( 1, 2)、 F c (2, 1 )、 Fd (2, 2) は互いに相殺さ れ、 一方、 一 X方向のローレンツ電磁力であって同一の大きさのローレンツ電 磁力 F c (1 , 1 )、 F a (1, 2)、 F c (2, 1 )、 F a (2, 2) が足し 合わされて、 一 X方向の合力 F 0が生じる。
なお、 電機子コイル 38 (1, 3) 及び電機子コイル 38 (2, 3) は、 電 機子コイル 38 (1, 〗) 及び電機子コイル 38 (1 , 2) に対する推力発生 磁石 54 aの位置関係と同様の位置関係で、 不図示の推力発生磁石 64 dに対 向している。 したがって、 この推力発生磁石 64 dに +X方向の推力 F 0が生 じさせるため、 電機子コイル 38 (1, 3) には電流 + I 0が、 電機子コイル
38 (2, 3) には電流— I 0が供給されることになり、 また、 不図示の電機 子コイル 38 ( 4) には電流 + I 0が、 不図示の電機子コイル 38 (2, 4) には電流一 I 0が供給される。 さらに、 不図示の推力発生磁石 54 c、 5
4 dについても、 +X方向に推力 F 0が付与されるように、 それらに対向する 電機子コイルに一 X方向の合力 F 0を生じさせる、 推力発生磁石 54 aに応じ たと同様の電流が供給される。 この結果、 可動子 51は +X方向に駆動される 。 このときに、 各推力発生磁石 54 a~54 dに付与される推力が +X方向で あり、 かつ、 可動子 5 1 に回転力を付与しないような電機子コイル 38に供給 される電流パターンを考える。
ここで、 推力発生磁石 54 aについて考えると、 これに対向する電機子コィ ル電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 3 8 ( 1 , 2)、 38 (2, 1 )、 38 (2, 2) に生じる力の内、 +Y方向に配列された電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 3 8 (2, Ί ) の電流が同一 ( I ( 1 , 1 ) = 1 (2, 1 )) であり、 電機子コ ィル 38 ( 1 , 2)、 3 8 (2, 2) の電流が同一 ( I ( 1 , 2) = I (2, 2)) であれば、 電流量、 磁束密度、 及び交差領域に関する対称性から、 土 Y 方向のローレンツ電磁力は相殺される。 こうした、 土 Y方向のローレンツ電磁 力は相殺は、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM) の Y座標丫 Mがしである 場合には、 推力発生磁石 54 aに対向する電機子コイル 38の内、 +Y方向に 配列された電機子コイルの電流が同一であれば必ず成り立つ。 そして、 同様の ことが、 他の推力発生磁石 54 b〜54 dについてもいえる。
したがって、 以後の説明における可動子 5 1の +X方向への移動においては 、 各推力発生磁石 54 a〜54 dのそれぞれに対向する電機子コイルの内、 + Y方向に配列された電気コイル同士の電流は互いに同一 ( I ( ί , j ) = I ( i + 1 , j ) とすることとし、 土丫方向のローレンツ電磁力の相殺についての 説明は省略する。
また、 ±X方向に働くローレンツ電磁力を見てみると、 電流量、 磁束密度、 及び交差領域に関する対称性から、 推力発生磁石 54 a~54 dのそれぞれに 対向する電機子コイル 38に発生し、 その反力として各推力発生磁石 54 a〜
54 d毎に働く各駆動力は、 それぞれの推力発生磁石 54 a~54 dの重心を 通る力となる。 したがって、 推力発生磁石 54 a〜54 d毎に働くローレンツ 電磁力のそれぞれを + X方向の大きさが F 0とすることにより、 一定の推力 4
F 0で +X方向に可動子 5 1を並進駆動することができる。 そこで、 以下の説 明においては、 推力発生磁石 54 aに着目して説明することにする。 なお、 他 の推力発生磁石 54 b~54 dに関しても、 磁束の方向の違いに伴う供給電流 の電流方向を除いて、 推力発生磁石 54 aと同様にして、 一定の推力 F 0で +
X方向に駆動することができる。
こうして、 可動子 5 1が +X方向に駆動されると、 可動子 5 〗は +X方向へ 移動し、 図 3 2 Cに示されるように、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM ) が座標 (XM (L<X <2 L), L) となる。 このとき、 ±X方向に関する ローレンツ電磁力を考えると、 電機子コイル 38 ( 1, 1 )、 38 (2, 1 ) と磁束との— X方向のローレンツ電磁力を発生する交差領域は図 32 Aと同様 なので、 電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 38 (2, 1 ) には、 図 32 Bの場合 と同様の供給電流との関係で一 X方向のローレンッ電磁力のみが発生している が、 図 3 6 Dに示されるように、 電機子コイル 3 8 ( 1, 2)、 38 (2, 2 ) には必然的に— X方向及び + X方向の双方のローレンツ電磁力が発生するこ とになる。 ここで、 電機子コイル 38 ( 1 , 2)、 38 (2, 2) に働く ±X 方向のローレンツ電磁力の合力は— X方向の力となるが、 推力発生磁石 54 a の座標 (XM, YM) の X座標 XMが大きくなるほど、 合力としての— X方向の 力の大きさを維持するためには、 供給される電流の電流量を大きくすることが 必要となる。
したがって、 推力発生磁石 54に対向する電機子コイル 38 ( 1, 〗)、 3 8 (1, 2)、 38 (2, 1 )、 38 (2, 2) に発生する力の合力を、 消費電 力を抑制しつつ、 —X方向で大きさ F 0とするためには、 推力発生磁石 54 a の座標 (XM, YM) の X座標 XMが大きくなるほど、 電機子コイル 38 ( 1, 1 )、 3 8 (2, 1 ) に供給される電流量を増加させ、 また、 電機子コイル 3 8 ( 1, 2)、 3 8 (2, 2) に供給される電流量を減少させることが望まし い。
こうして、 可動子 5 1が +X方向に引き続いて駆動され、 図 3 3 Aに示され るように、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM) が、 座標 (2し, L) と なる。 このとき、 電機子コイル 38 ( 1, 2)、 38 (2, 2) に電流を供給 したとしても、 一 X方向及び + X方向の双方のローレンツ電磁力は相殺され、
推力発生磁石 54 aの +X方向への駆動には寄与できなくなる。 したがって、 消費電力の観点から、 電機子コイル 3 8 (〗, 2)、 3 8 (2, 2) に供給さ れる電流を 0にすることが望ましい。
一方、 推力発生磁石 54 aには、 +X方向で大きさ F 0の推力を付与する必 要があり、 電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 38 (2, 1 ) に供給される電流が これを担うことになる。 したがって、 図 33 Aにおける電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 38 (2, 1 ) に供給される電流一 I 1は、 図 3 2 Aの場合に電機子 コイル 3 8 ( 1 , 1 )、 38 (2, 1 ) に供給される電流一 I 0の 2倍となる この結果、 図 33 Bに示されるように、 電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 3 8 (1 , 2)、 38 (2, 1 )、 38 (2, 2) に発生するローレンツ電磁力の合 力が、 一 X方向で大きさが F 0となる。 こうして、 推力発生磁石 54 aには、 + X方向で大きさが F 0の推力が付与される。
さらに、 可動子 5 1が +X方向に引き続いて駆動され、 図 3 3 Cに示される ように、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM) が、 座標 (XM (2 L<XM <3 L, L) となる。 このときにも、 電機子コイル 3 8 ( 1 , 2)、 38 (2 , 2) に電流を供給したとしても、 —X方向及び +X方向の双方のローレンツ 電磁力は相殺され、 推力発生磁石 54 aの +X方向への駆動には寄与できなく なる。 したがって、 消費電力の観点から、 電機子コイル 3 8 ( 1 , 2)、 38 (2, 2) に供給される電流を 0にすることが望ましい。
一方、 このときには、 推力発生磁石 54 aに起因する磁束は、 新たに電機子 コイル 3 8 ( 1 , 3)、 38 (2, 3) と交差領域を有することになる。 とこ ろで、 電機子コイル 3 8 ( 1 , 3)、 3 8 (2, 3) は、 不図示の推力発生磁 石 54 bに起因する磁束とも交差領域を有しており、 この推力発生磁石 54 d にも推力発生磁石 54 aと対称的な電流制御としている。 すなわち、 電機子コ ィル 38 ( 1 , 3) には電機子コイル 38 (1 , 1 ) に供給される電流一 I (
1 , 1 ) と電流量が同じで、 電流方向が逆の電流 + I ( 1 , 3) ( = + I (1 , 1 )) が供給されており、 また、 電機子コイル 3 8 (2, 3) には電機子コ ィル 38 (2, 1 ) に供給される電流一 I (2, 1 ) (=- I (1 , 1 )) と電 流量が同じで、 電流方向が逆の電流 + I (2, 3) (=+ I (2, 1 )) が供給 されている。
ここで、 図 33 Dに示されるように、 推力発生磁石 54 aとの関係で、 電機 子コイル 38 ( 1 , 3)、 3 8 (2, 3) に発生する ± X方向のローレンツ電 磁力は、 いずれも—X方向の力である。 また、 推力発生磁石 54 aの座標 (X M, YM) の X座標 XMが大きくなるにつれて、 推力発生磁石 54 aよる磁束と 電機子コイル 3 8 ( 1 , 1 )、 38 (2, 1 ) との交差領域は小さくなるが、 この減少をほぼ補完するように、 推力発生磁石 54 aよる磁束と電機子コイル 38 ( 1 , 3)、 3 8 (2, 3) との交差領域は大きくなる。 したがって、 電 機子コイル 3 8 Π, 1 )、 3 8 (2, 1 ) に供給される電流を、 図 1 6 Εに おける電流— I 1にほぼ一致する電流とし、 また、 電機子コイル 38 (1 , 3 )、 38 (2, 3) に供給される電流をほぼ電流 + I 1 とすることにより、 推 力発生磁石 54 aには、 +X方向で大きさが F 0の推力が付与され続ける。 な お、 電機子コイルの外形が角丸の正方形状なので、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM) の X座標 XMの変化に応じて、 電機子コイル (1 , 1 )、 3 8 ( 2, 1 )、 38 ( 1 , 3)、 38 (2, 3) に供給される電流量が変化すること になる。 具体的には、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM) の X座標 XM= 2 L~2. 5 Lでは、 X座標 XMの増加につれて全ての電流量が増加し、 X座 標 XM= 2. 5し〜 3 Lでは、 X座標 XMの増加につれて全ての電流量が減少 する。 なお、 電機子コイル 38の外形が完全に正方形である場合には、 こうし た増減は発生しない。
こうして、 可動子 5 1が +X方向に引き続いて駆動され、 図 34 Aに示され るように、 推力発生磁石 5 4 aの座標 (XM, YM) が、 座標 (3し, L) と
なる。 このときも、 電機子コイル 3 8 ( 1 , 2)、 3 8 (2, 2) に電流を供 給したとしても、 一 X方向及び +X方向の双方のローレンツ電磁力は相殺され 、 推力発生磁石 54 aの +X方向への駆動には寄与できなくなる。 したがって 、 消費電力の観点から、 電機子コイル 38 ( 1 , 2)、 3 8 (2, 2) に供給 される電流を 0にすることが望ましい。 また、 推力発生用磁石 54 aによる磁 束と電機子コイル 38 ( 1 , 1 )、 38 (2, 1 ) との交差領域はなくなるの で、 これらに供給される電流も 0とすることになる。
一方、 推力発生磁石 54 aには、 +X方向で大きさ F 0の推力を付与する必 要があり、 電機子コイル 3 8 ( 1 , 3)、 38 (2, 3) に供給される電流が これを担うことになる。 したがって、 図 34 Aにおける電機子コイル 38 ( 1 , 3)、 38 (2, 3) に供給される電流 + I 2は、 図 3 2 Aの場合に電機子 コイル 3 8 ( 1 , 1 )、 3 8 (2, 1 ) に供給される電流— I 0の— 2倍とな る。 この結果、 図 34 Bに示されるように、 電機子コイル 3 8 ( 1 , 2)、 3 8 ( 1 , 3)、 38 (2, 2)、 38 (2, 3) に発生するローレンツ電磁力の 合力が、 一 X方向で大きさが F 0となる。 こうして、 推力発生磁石 54 aには 、 +X方向で大きさが F 0の推力が付与される。
引き続き、 可動子 5 1が +X方向に駆動されて、 図 34 Cに示されるように 、 推力発生磁石 5 4 aの座標 (XM, YM) が、 座標 (XM (3 L<XM<4 L ), L) となる。 このとき、 ±X方向に関するローレンツ電磁力を考えると、 一 X方向のローレンツ電磁力を発生させる電機子コイル 3 8 ( 1 , 3)、 38 (2, 3) と磁束の交差領域は図 34 Aとほぼ同様なので、 電機子コイル 38 (1 , 3)、 38 (2, 3) には、 図 34 Bの場合と同様の供給電流との関係 で一 X方向のローレンツ電磁力のみが発生しているが、 図 34 Dに示されるよ うに、 電機子コイル 3 8 ( 1 , 2)、 3 8 (2, 2) には必然的に— X方向及 び +X方向の双方のローレンツ電磁力が発生することになる。 すなわち、 図 3 2 C及び図 32 Dの場合と対称的な状態となる。 そこで、 推力発生磁石 54 a
に対向する電機子コイル 38 ( 1 , 2)、 38 ( 1 , 3)、 38 (2, 2)、 3 8 (2, 3) に発生するローレンツ電磁力の合力を、 消費電力を抑制しつつ、 一 X方向で大きさ F 0とするために、 推力発生磁石 5 4 aの座標 (XM, YM ) の X座標 XMが大きくなるほど、 電機子コイル 38 ( 1 , 3)、 3 8 (2, 3) に供給される電流量を増加させ、 また、 電機子コイル 38 (1 , 2 )、 3 8 (2, 2) に供給される電流量を減少させる。
こうして、 図 35 Aに示されるように、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, YM) が座標 (4し, L) となる。 この場合には、 推力発生磁石 54と電機子 コイル 3 8との位置関係が、 図 32 Aの場合と + Y方向に電機子コイル 38の 配列の 1周期分ずれた状態となる。 したがって、 電機子コイル ( i , j + 1 ) に供給される電流 I ( i , j + 1 ) を図 32 Aにおける電機子コイル 38 ( i , j ) に供給される電流 I ( ί , j ) と同様のパターンとすることにより、 図 35 Bに示されるように、 図 32 Bの場合と同様の駆動力を推力発生磁石 54 aに付与することができる。 以後、 上記と同様に電機子コイル 38の電流を制 御することにより、 推力発生磁石 54 aに対して、 +X方向で大きさが F 0の 推力を付与し続けることができる。
以上説明した、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, L) の場合の X座標 XM の変化に応じた各電機子コイル 38に供給される電流の変化を図 3 6 Aに示す 。 こうした、 電流制御を他の推力発生磁石 54 b〜54 dに対しても行うこと により、 可動子 5 1 に対して、 +X方向で大きさ 4 F 0の推力を付与し続ける ことができる。
以上では、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, L) の場合を例として、 +X 方向への一定推力による並進駆動の場合を説明したが、 推力発生磁石 54 aの 座標 (XM, 丫 M) が任意の場合に、 任意の方向へ任意の推力で並進駆動する ことができる。 例えば、 推力発生磁石 54 aの座標 (XM, 0) の場合に、 X 方向へ一定推力による並進駆動を行うためには、 図 36 Bに示されるような電
流制御を行えば良い。 すなわち、 推力発生磁石 5 4 aの座標 (し, 0 ) には、 図 2 9 A及び図 2 9 Bで示される場合と同様の電流制御を行い、 その後の可動 子 5 1の移動に伴い、 図 3 6 Aと基本的には同様の電流制御を行えば良い。 ま た、 駆動方向が + X方向以外の場合にも、 上記と同様にして、 所望の方向へ一 定の駆動力で可動子 5 1を駆動することができる。
したがって、 本実施形態の平面モータ装置 5 0では、 駆動力の発生方向に対 する任意の方向に関して、 推力発生磁石 5 4と電機子コイル 3 8との位置関係 が変化する場合についても、 所望の可動子 5 1の駆動方向と垂直な方向に関す る各推力発生磁石 5 4 a〜5 4 d毎の駆動力の相殺、 可動子 5 1全体としての 回転力の相殺、 及び供給電流の制御による所望の大きさの駆動力を考慮するこ とにより、 所望の方向に所望の駆動力で可動子 5 1を並進駆動できる。
また、 回転力の相殺を行わずに、 各推力発生磁石 5 4 a〜5 4 dを駆動する ことにより、 所望の回転方向及び所望の回転力で可動子 5 1を回転駆動するこ とができる。 例えば、 推力発生磁石 5 4 dが推力発生磁石 5 4 aの + X方向に 並び、 推力発生磁石 5 4 bが推力発生磁石 5 4 aの + Y方向に並んでいるとき に、 推力発生磁石 5 4 a及び推力発生磁石 5 4 dに + X方向の推力を付与し、 推力発生磁石 5 4 b及び推力発生磁石 5 4 cに— X方向の推力を付与すること により、 可動子 5 1を反時計回りに回転駆動することができる。 なお、 可動子 5 1を同時に並進駆動及び回転駆動することも可能である。
したがって、 本実施形態の平面モータ装置 5 0によれば、 電機子ユニット 2 5の消費電力を低減しつつ、 制御性、 推力線形性、 及び位置決め性に優れた口 —レンツ電磁力方式の長所を生かしつつ、 大きな推力を発生することができる 本実施形態に係るステージ装置 3 0では、 前述の如く、 ウェハ Wを保持する 基板テーブル 1 8に可動子 5 1が取り付けられているので、 主制御装置 2 0で はステージ制御系 1 9を介して上記のようにして浮上状態の可動子 5 1を駆動
制御することにより、 これと一体的に基板テーブル 1 8及びウェハ Wを X Y面 内で自在に移動させることができる。 これを更に詳述すると、 所望の方向に所 望の推力で可動子、 すなわち基板テーブル 1 8を移動させるにあたって、 主制 御装置 2 0では、 ステージ制御系 1 9を介してウェハ干渉計 3 1の計測値 (位 置情報又は速度情報) をモニタして、 その時点の可動子 5 1 と固定子との X Y 面内での相対位置関係を求める。 そして、 主制御装置 2 0ではこの求めた相対 位置関係と基板テーブル 1 8を駆動すべき目標位置に応じて各電機子コイル 3 8に供給すべき電流値及び電流方向を演算により決定し、 ステージ制御系 1 9 に指令を与える。 これにより、 ステージ制御系 1 9では、 指令に応じて各電機 子コイル 3 8に与える電流値び電流方向を、 不図示の電流駆動装置を介して制 御する。 この際、 主制御装置 2 0では目標位置に対する距離に応じて基板テー ブル 1 8の速度をも制御する。
ここで、 主制御装置 2 0は、 移動の各時点ごとに、 ウェハ干渉計 3 1から通 知された位置情報 (又は速度情報) に基づいて、 各電機子コイル 3 8に供給す る電流の電流値及び電流方向を求めることも可能であるが、 制御応答が十分に 早くできない場合には、 移動を開始させるときにその後のある期間においてゥ ェハ Wが所望の軌跡及び所望の速度となるような、 各電機子コイル 3 8に供給 する電流の電流値及び電流方向を時系列で求めることも可能である。 こうした 場合には、 主制御装置 2 0は、 移動の各時点ごとに、 ウェハ干渉計 3 1から通 知された位置情報 (又は速度情報) に基づいて所望の軌跡からのずれを求め、 その後において各電機子コイル 3 8へ供給する電流の電流値及び電流方向を修 正するとともに、 修正した期間以後の所定期間に関する各電機子コイル 3 8に 供給する電流の電流値及び電流方向を時系列で求める。 そして、 ステージ制御 系 1 9は、 修正された情報に基づいて各電機子コイル 3 8に対する電流制御を 行う。
次に、 前述のステージ装置 3 0を含む露光装置 1 0 0における露光動作の流
れについて簡単に説明する。
まず、 レチクルローダにより、 転写したいパターンが形成されたレチクル R がレチクルステージ R S Tにロードされる。 同様に、 ウェハローダにより、 露 光したいウェハ Wが基板テーブル 1 8にロードされる。
このとき、 基板テーブル 1 8は、 所定のウェハローデイングポジションにて 、 ベース 2 1上に浮上支持されており、 かつそのローデイングポジションに所 定時間停止状態を維持するように主制御装置 2 0によりウェハ干渉計の計測値 に基づいてステージ制御系 1 9を介してサーボ制御されている。 したがって、 このローディングポジションでの待機時には、 平面モー夕装置 5 0の固定子 6 0を構成する電機子コイル 3 8に電流が供給されるので、 電機子コイル 3 8の 発熱による温度上昇を防止すべく、 主制御装置 2 0では冷却装置 7 9を介して 各電機子コイル 3 8を冷却する。
この場合、 本実施形態では電機子コイル 3 8がそれぞれ収納された小室 (ケ ース 3 6と固定子ヨーク 4 3とによって形成される空間) 内に、 電機子コイル 3 8の下面側から冷媒を供給し、 その冷媒が電機子コイル 3 8の中央の空間か ら電機子コイル 3 8の上面を接して周囲に向かって流れるので、 電機子コイル 3 8の上面及び側面より放出される熱が除熱される。 その際、 ケース 3 6に一 体的に設けられた整流フィン 4 6により、 冷媒が電機子コイル 3 8上面に均一 に流れるようになっているので、 電機子コイル 3 8上面及び側面を効率良く冷 却することができる。 しかも、 このような冷却が各小室内で個別に行われる。 一方、 固定子ヨーク 4 3下方の第 2室 4 2内にも、 冷媒が流れ、 しかも固定 子ヨーク 4 3の下面には高熱伝導率材ょりなる 2次冷却フィン 4 8が設けられ ているので、 電機子コイル 3 8下面より放出された熱が固定子ヨーク 4 3を介 して 2次冷却フィン 4 8に伝わり、 この 2次冷却フィン 4 8と冷媒との間で熱 交換が行われて除熱される。
以上により、 電機子コイル 3 8全面より放出される熱は冷媒により可能な限
り除熱される。 また、 本実施形態では、 冷却装置 7 9から冷媒供給管 9 2、 及 び複数の冷媒注入用ジョイント 4 0を介してベース 2 1内に冷媒が供給され、 この冷媒はベース 2 1内の冷媒通路を通って各電機子コイル 3 8を冷却し、 こ の冷却により温度が上昇した冷媒は冷媒排出用ジョイン卜 3 9及び冷媒排出管 9 3を介して冷却装置 7 9に戻り、 ここで冷却されて、 再度ベース 2 1内に供 給され各電機子コイル 3 8を冷却する。 すなわち、 このようにして冷媒が循環 使用されるため、 常にほぼ一定量の冷媒を用いて電機子コイル 3 8を冷却する ことができ、 経済的である。
次に、 主制御装置 2 0により、 不図示のレチクル顕微鏡、 基板テーブル 1 8 上の不図示の基準マーク板、 不図示のアラインメント検出系を用いてレチクル アラインメント、 ベースライン計測等の準備作業が所定の手順に従って行われ た後、 アラインメント検出系を用いて、 例えば特開昭 6 1 — 4 4 4 2 9号公報 及びこれに対応する米国特許第 4, 7 8 0, 6 1 7号等に開示されている E G A (ェンハンス卜 'グローバル 'アラインメント) 等のアラインメント計測が 実行される。 上記の公報及び米国特許における開示を援用して本明細書の記載 の一部とする。 こうした動作において、 ウェハ Wの移動が必要な場合には、 前 述したように、 主制御装置 2 0がステージ制御系 1 9を介してステージ装置内 の各電機子コイル 3 8の電流を制御し、 可動子 5 〗を移動させることによりゥ ェハ Wを移動させる。 こうしたァライメン卜計測の終了後、 以下のようにして ステップ ·アンド ·スキャン方式の露光動作が行われる。
この露光動作にあたって、 まず、 ウェハ Wの X Y位置が、 ウェハ W上の最初 のショット領域 (ファース卜,ショット) の露光のための走査開始位置となる ように、 基板テーブル 1 8が移動される。 この移動は、 主制御装置 2 0により ステージ制御系 1 9を介して、 平面モータ装置 5 0を構成する各電機子コイル 3 8の電流を前述のように制御することにより行われる。 同時に、 レチクル R の X Y位置が、 走査開始位置となるように、 レチクルステージ 1 8が移動され
る。 この移動は、 主制御装置 2 0によりステージ制御系 1 9及び不図示のレチ クル駆動部等を介して行われる。
そして、 ステージ制御系 1 9が、 レチクル干渉計 1 6によって計測されたレ チクル Rの X Y位置情報、 ウェハ干渉計 3 1 によって計測されたウェハ Wの X Y位置情報に基づき、 不図示のレチクル駆動部及び平面モータ装置 5 0を介し てレチクル Rとウェハ Wとを同期移動させる。 この同期移動とともに走査露光 が行われる。
以上のように制御されながら行われる走査露光により、 一つのショッ卜領域 に対するレチクルパターンの転写が終了すると、 基板テーブル 1 8が 1ショッ 卜領域分だけステッピングされて、 次のショッ卜領域に対する走査露光が行わ れる。 このようにして、 ステッピングと走査露光とが順次繰り返され、 ウェハ W上に必要なショッ卜数のパターンが転写される。
ここで、 上記のァライメン卜時や走査露光時を含めて、 可動子 5 1を浮上支 持するために、 空気ポンプ 5 9から供給されエアパッド 6 1を介してベース 2 1の上面に向かって吹き出される加圧空気の圧力による上向きの力を発生させ ている。
また、 上記のァライメン卜時や走査露光時においては、 平面モータ 5 0の固 定子 6 0を構成する各電機子コイル 3 8には適宜電流が供給されるので、 上述 のウェハロード時と同様に、 電機子コイル 3 8の発熱による温度上昇を防止す ベく、 主制御装置 2 0では冷却装置 7 9を介して各電機子コイル 3 8を冷却す る。
したがって、 本実施形態の露光装置 1 0 0によれば、 平面モータ装置 5 0を 備えたステージ装置 3 0によりウェハ Wを精度よく高速に位置決めするので、 スループッ卜を向上しつつ高い露光精度で露光することができる。
また、 本実施形態によれば、 電磁力駆動による平面モータ装置 5 0が基板テ 一ブル 1 8の駆動装置として採用され、 しかもこの平面モータ装置 5 0の可動
子 5 1 と一体的に基板テーブル 1 8をエアスライダ 5 7によってベース 2 1上 面に浮上支持するので、 摩擦等の機械的損失がなく耐久性に優れておリ、 可変 磁気抵抗方式の平面モータ装置を採用する場合に比べて基板テーブル 1 8の浮 上支持のためエアースライダ 5 7に加圧空気を供給する空気ポンプの消費電力 を少なくすることができる。
また、 エアスライダ 5 7に設けられた通路切替弁 7 0の通路の切り替えによ り、 エアスライダ 5 7から上方へ加圧空気を吹き出させることにより、 可動子 5 1及び基板テーブル 1 8等の全体を非接触で浮上支持させることができるの で、 磁極ュニッ卜 5 6と固定子ヨーク 4 3との間の磁気吸引力によって磁極ュ ニッ卜 5 6が下方の急激に引き寄せられる等の不都合を回避でき、 磁極ュニッ 卜 5 6をエアスライダ 5 7に容易に組付けできる。 また、 このエアーの逆噴射 は、 磁極ュニッ卜 5 6とエアスライダ 5 7の分離時にも有効に機能して分離を 容易にする。 したがって、 組み付け ·分離が容易で、 保守性に優れたステージ 装置 3 0が実現される。
また、 エアスライダ 5 7の底面には、 推力発生磁石 5 4 a ~ 5 4 dを取り囲 むようにエアパッド 6 1、 及びエアポケッ卜 6 2が配置されているので、 磁極 ユニット、 ひいては基板テーブル 1 8を効率よく浮上させることができるとと もに、 高い剛性の軸受け装置を実現することができる。 また、 固定子 6 0側の ガイド面 2 1 a、 及びこのガイド面 2 1 aに対向するエアスライダ 5 7の面、 すなわち軸受け面を、 低熱膨張のセラミックで形成したことから、 ラッピング 等により両者の平坦度を極めて高くすることができるとともに熱による変形も 少なく、 高荷重に耐えうる高剛性の軸受け装置を実現することができる。 また、 本実施形態では、 平面モータ装置 5 0の電機子コイル 3 8を効率良く 冷却することで、 装置環境への熱的影響を最小限に押さえ、 冷却のための消費 電力を低減することができる。 また、 装置環境への熱的影響が最小限に押えら れることから、 ウェハテーブル 1 8の位置を計測する干渉計 3 1の干渉計ビー
厶の空気揺らぎ等も殆ど問題とならず、 精密なウェハの位置決め及び位置制御 が可能になる。 したがって、 本実施形態の露光装置 1 0 0によると、 電磁力駆 動方式の平面モータ装置 5 0を備えたステージ装置 3 0によりウェハ Wを精度 よく高速に位置制御することができ、 スループットを向上しつつ、 高い露光精 度で露光することが可能になる。
また、 本実施形態によると、 先に説明したように、 ベース 2 1を組み立てる 際に、 各構成部品を上方又は下方の鉛直方向のみから組み付けることができる ので、 固定子側の組付 ·保守性に優れているという利点もある。
なお、 本実施形態に係る露光装置〗 0 0は、 ウェハ Wを精度よく高速に位置 制御することができ、 スループッ卜を向上しつつ高い露光精度で露光が可能と なるように、 平面モータ装置 5 0、 前述の照明系 1 0や投影光学系 P L等の図 1 に示された各要素が電気的、 機械的又は光学的に連結して組み上げられた後 、 総合調整 (電気調整、 動作確認等) をすることにより製造される。 なお、 露 光装置 1 0 0の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行 うことが望ましい。
次に、 本実施形態の露光装置及び方法を使用したデバイスの製造について説 明する。
図 3 7は、 本実施形態におけるデバイス ( I Cや L S I等の半導体チップ、 液晶パネル、 C C D、 薄膜磁気ヘッド、 マイクロマシン等) の生産のフローチ ヤー卜が示されている。 図 3 7に示されるように、 まず、 ステップ 2 0 1 (設 計ステップ) において、 デバイスの機能設計 (例えば、 半導体デバイスの回路 設計等) を行い、 その機能を実現するためのパターン設計を行う。 引き続き、 ステップ 2 0 2 (マスク製作ステップ) において、 設計した回路パターンを形 成したマスクを製作する。 一方、 ステップ 2 0 3 (ウェハ製造ステップ) にお いて、 シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
次に、 ステップ 2 0 4 (ウェハプロセスステップ) において、 ステップ 2 0
1〜ステップ 2 0 3で用意したマスクとウェハを使用して、 後述するように、 リソグラフィ技術によってウェハ上に実際の回路等を形成する。 次いで、 ステ ップ 2 0 5 (組立ステップ) において、 ステップ 2 0 4において処理されたゥ ェハを用いてチップ化する。 このステップ 2 0 5には、 アッセンプリ工程 (ダ イシング、 ボンディング) やパッケージング工程 (チップ封入) 等の工程が含 まれる。
最後に、 ステップ 2 0 6 (検査ステップ) において、 ステップ 2 0 5で作製 されたデバイスの動作確認テス卜、 耐久性テス卜等の検査を行う。 こうしたェ 程を経た後にデバイスが完成し、 これが出荷される。
図 3 8には、 半導体デバイスの場合における、 上記ステップ 2 0 4の詳細な フロー例が示されている。 図 3 8において、 ステップ 2 1 1 (酸化ステップ) においてはウェハの表面を酸化させる。 ステップ 2 1 2 ( C V Dステップ) に おいてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。 ステップ 2 1 3 (電極形成ステップ ) においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。 ステップ 2 1 4 (ィ才 ン打込みステップ) においてはウェハにイオンを打ち込む。 以上のステップ 2 1 1〜ステップ 2 1 4それぞれは、 ウェハプロセスの各段階の前工程を構成し ており、 各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウェハプロセスの各段階において、 前工程が終了すると、 以下のようにして 後工程が実行される。 この後工程では、 まず、 ステップ 2 1 5 (レジス卜処理 ステップ) において、 ウェハに感光剤を塗布し、 引き続き、 ステップ 2 1 6 ( 露光ステップ) において、 上記で説明した露光装置によってマスクの回路パタ ーンをウェハに焼付露光する。 次に、 ステップ 2 1 7 (現像ステップ) におい ては露光されたウェハを現像し、 引き続き、 ステップ 2 1 8 (エッチングステ ップ) において、 レジス卜が残存している部分以外の部分の露出部材をエッチ ングにより取り去る。 そして、 ステップ 2 1 9 (レジスト除去ステップ) にお いて、 エッチングが済んで不要となったレジス卜を取り除く。
これらの前工程と後工程とを繰り返し行うことによって、 ウェハ上に多重に 回路パターンが形成される。
以上のようにして、 精度良く微細なパターンが形成されたデバイスが、 高い 量産性で製造される。
なお、 上記実施形態では、 エアスライダ 5 7と磁極ユニット 5 6とを着脱す る際に、 エアスライダ 5 7からの加圧空気の逆噴射を利用する場合、 すなわち エアスライダ 5 7が加圧空気の噴出圧力を利用した着脱機構を備えている場合 について説明したが、 これに限らず、 支持部材としてのエアスライダ 5 7に、 磁極ュニッ卜 5 6を着脱するための着脱機構を設けても良い。 かかる着脱機構 としては、 図 3 9 A〜図 3 9 Fに示されるようなジャッキ機構 8 2が好適であ る。
ここで、 このジャッキ機構 8 2の構成について簡単に説明する。
このジャッキ機構 8 2は図 3 9 A及び図 3 9 Bに示されるように、 それぞれ 2本の支軸 5 7 aを介してエアスライダ 5 7の両側面に固定された一対の平行 リンク機構 (平行四辺形リンク機構) 9 0と、 この一対の平行リンク機構 9 0 をぞれぞれ動作させる一対の回動アーム 5 8とを備えている。 各平行リンク機 構 9 0の上部水平部材の内面側には、 その上面に多数のローラ 9 1が該上部水 平部材の長手方向に沿って設けられている。
次に、 このジャッキ機構 8 2を用いて磁極ュニッ卜 5 6をエアスライダ 5 7 に装着する際の動作を説明する。 初期状態として、 図 3 9 A及び図 3 9 Bに示 されるように、 一対の平行リンク機構 (平行四辺形リンク機構) 9 0の下部水 平部材の底面がベース 2 1上に当接した状態で、 エアスライダ 5 7がベース 2 1上に載置されているものとする。 この状態で、 磁極ユニット 5 6をエアスラ イダ 5 7の上方に搬送し、 所定量降下させて、 磁極ユニット 5 6の 4つの推力 発生磁石 5 4 a ~ 5 4 dの下端部をエアスライダ 5 7の各開口に上方から嵌合 させると、 図 3 9 C及び図 3 9 Dに示されるように、 磁極ユニット 5 6のつぱ
部 (5 2 aとする) の底面がローラ 9 1の上面に当接して支持される。
そして、 一対の回動アーム 5 8を水平の位置まで倒れる方向 (図 3 9 Bにお ける時計回り方向) に回動させる。 このとき不図示のス卜ッパにより、 回動ァ ー厶 5 8はこれ以上の回動が阻止されるようになっている。 このため、 更に、 回動アーム 5 8を図 3 9 Bにおける時計回り方向に回動させようとすると、 そ の回転モーメントにより、 平行リンク機構の各傾斜部材が軸 5 7 aを中心とし て回転する。 但し、 この場合、 磁極ユニット 5 6は、 エアスライダ 5 7によつ て水平方向の移動が規制されているので、 ローラ 9 1が磁極ュニッ卜 5 6のつ ば部 5 2 a底面に沿って滑りながら回転し、 結果的に平行リンク機構 9 0が徐 々に偏平な平行四辺形に変形するとともに、 それにつれて磁極ュニッ卜 5 6が 下降してエアスライダ 5 7に組み付けられる。 そして、 更に回動アームを回動 させることにより、 図 3 9 E及び図 3 9 Fに示されるように、 平行リンク機構 9 0の下部水平部材の底面がスライダ 5 7の底面とほぼ同一高さまで持ち上げ られ、 エアスライダ 5 7の底面がベース 2 1上に当接する。
磁極ュニッ卜 5 6をエアスライダ 5 7から分離させるには、 上記と反対に回 動アーム 5 8を立ち上がる方向に回動させれば良い。 このように、 ジャッキ機 構 8 2を用いれば、 回動アーム 5 8を回動させるという動作のみで、 磁極ュニ ッ卜 5 6とエアスライダ 5 7との着脱を行なうことができ、 メンテナンスが容 易となる。
また、 上記実施形態では、 加圧気体として加圧空気を用いる場合について説 明したが、 本発明がこれに限定されないことは勿論である。
また、 上記実施形態で説明した磁極ュニッ卜やエアスライダ等の構成は一例 であって、 本発明がこれに限定されるものではない。 例えば、 図 4 O Aに示さ れるように、 平板状の支持部材 1 0 2 aの下面 (固定子対向側の面) にマ卜リ クス状配置で多数 (ここでは 9個) のエアパッド 1 0 2 bを一体成形してエア スライダ 1 0 2を構成するとともに、 これに対応して、 格子状の枠部材 1 0 6
とこの枠部材 1 0 6の格子の目の行方向及び列方向に 1つ置きに埋め込まれた 推力発生磁石 1 0 8とによって磁極ユニット 1 1 0を構成しても良い。 この場 合、 エアスライダ 1 0 2の各エアパッド 1 0 2 bは、 図 4 0 Bの断面図に示さ れるように、 枠部材 1 0 6の対応する格子の目に相当する空間 1 0 6 aに嵌合 するようになつており、 各エアパッド 1 0 2 bは、 枠部材 1 0 6に接着剤等に より固定される。 このようにして、 エアスライダ 1 0 2と磁極ュニッ卜 1 1 0 とが一体化された状態では、 平面視で見ると、 各エアパッド 1 0 2 bの 4つの コーナーに推力発生磁石 1 0 8が配置されている。 この場合において、 枠部材 1 0 6のエアパッド 1 0 2 b及び推力発生磁石 1 0 8が挿入されない残りの各 空間部 1 0 6 aに補間磁石を埋め込んでも勿論良い。 この場合、 上記の残りの 各空間部 1 0 6 a部分には、 図 4 0 Bに示されるように、 枠部材 1 0 6の底壁 を形成することが望ましい。 また、 エアパッドは、 支持部材と別体として、 該 支持部材にねじ止め等によって固定しても良い。
あるいは、 上記実施形態と同様に、 エアスライダに磁極ユニットを上方から 嵌合させる場合であっても、 図 4 1 に示されるように、 平板状の磁性体部材 ( 可動子側ヨーク) 1 1 2の下面 (固定子対向側の面) に多数 (ここでは 9個) の推力発生磁石 1 1 4をマトリクス状配置で固定して磁極ユニット 1 2 0を構 成し、 各推力発生磁石〗 1 4に対応して開口 1 1 6が形成された前述したエア スライダ 5 7と同様のエアスライダ 5 7 ' を設け、 磁極ュニッ卜 1 2 0をエア スライダ 5 7 ' に嵌合させて可動子を構成しても構わない。
あるいは、 磁極ュニッ卜として比較的大面積の推力発生磁石を 1つのみ有す る構造を採用し、 これに対応してエアスライダとしてこの推力発生磁石が嵌合 する比較的大きな開口を有する構造のものを採用しても良い。
なお、 上記実施形態では、 空気ポンプ 5 9からエアスライダ 5 7に対する加 圧空気の供給方式として、 エアスライダ 5 7中央上部の 1箇所から供給を行う 上面集中方式について説明したが、 これに限らず、 上面の複数箇所から加圧空
気を供給する上面分散方式や、 側面の 1箇所から加圧空気を供給する側面集中 方式や、 側面の複数箇所から加圧空気を供給する側面分散方式等種々の加圧空 気の供給方式を採用することができる。 例えば、 加圧空気の供給路の空気吸入 端とバキューム用の空気排出端とをそれぞれ異なるエアスライダ 5 7の上面端 部に設けてもよい。 ここで、 加圧空気の供給路の空気吸入端とバキューム用の 空気排出端とは、 エアスライダ 5 7の上面中央を挟んで互いに対向する位置に 設けることが好ましい。 図 4 2 A及び図 4 2 Bには、 かかる場合の一例が示さ れている。 また、 可動子 5 1の浮上支持にあたっては、 加圧空気の供給路の空 気吸入端とバキューム用の空気排出端とを省略することもできる。
また、 上記実施形態で説明したベース 2 1の構成は一例であって、 本発明が これに限定されるものではない。 図 4 3 A及び図 4 3 Bには、 ベースの他の構 成例が示されている。 この内、 図 4 3 Aのものは、 第 1室 4 1が容器 3 5の側 壁と固定子ヨーク 4 3と、 ガイド面を構成するセラミックスの板部材 3 7によ つて構成されている。 また、 図 4 3 Bのものは、 基本的には上記実施形態と同 様の構成であるが、 各電機子コイル 3 8を個別に収納するケース 3 6 ' として 、 内底面 (上面) の肉厚が薄いものが用いられ、 複数のケース 3 6 ' を覆うよ うにして、 ガイド面を形成する板状の非磁性体部材 3 7 ' が設けられている。 また、 上記実施形態では、 固定子ヨーク 4 3のガイド面と反対側の第 2室 4 2を有し、 この第 2室内に 2次冷却フィン 4 8を設けた場合について説明した が、 本発明がこれに限定されることはない。 すなわち、 ベースの一方の面にガ ィド面が形成され、 その内部に複数の電機子コイルを収納する閉空間が設けら れていれば十分であり、 この閉空間内に冷媒の入口と出口が設けられていれば 足りる。 但し、 各電機子コイルに対応して冷媒の供給口 (流入口) が設けられ ている方が、 冷却効率と言う点では好ましい。
また、 上述の電機子コイル 3 8の冷却方法に加えて、 電機子コイル 3 8を固 定子ヨーク 4 3の上面にペルチェ素子を介して配置し、 該ペルチェ素子に電流
を供給することによリ電機子コイル 3 8を冷却する方法を併用してもよい。 また、 上記実施形態では、 冷媒を循環使用する場合について説明したが、 本 発明がこれに限定されるものではない。 また、 冷媒の循環使用に加え、 冷媒を 所定の目標温度に冷却して、 ガイド面が常にほぼ一定の温度になるように電機 子コイルを冷却しても良い。 この場合には、 ベースに温度センサを設けて該温 度センサの計測値に基づいて冷媒の冷却温度をフィードバック制御するように しても良い。
なお、 上記実施形態では、 可動子に永久磁石を配列し、 固定子に電機子コィ ルを配列したが、 可動子に電機子コイルを配列し、 固定子に永久磁石を配列す ることも可能である。 また、 上記の実施形態では、 推力発生磁石と補間磁石と 線接触としたが、 少々の隙間を設けてもよいし、 また、 推力発生磁石の間の隙 間に補間磁石の一部が入り込ませてもよい。
また、 上記実施形態では、 推力発生磁石の正方形状の外形の一辺を 4しとし たが、 推力発生磁石の配列周期を 6 Lとしたままで、 推力発生磁石の正方形状 の外形の一辺を 4し〜 5 Lの間で変化させることも可能である。 このときにも 、 上記の実施形態と同様にして、 電機子コイルに供給される電流の電流量及び 電流方向のいずれか一方を制御することにより、 可動子の移動を制御すること ができる。
また、 上記の実施形態では、 可動子の固定子からの浮上にエアガイド機構を 用いたが磁気浮上機構を採用することも可能である。 さらに、 磁極ユニットに おいて、 永久磁石に代えて永久磁石と同様な方向に磁力線を発生する電磁石を 使用することも可能である。
さらに、 上記実施形態では電機子コイルの冷却用に冷却液を使用したが、 冷 媒となる流体であれば気体冷媒を使用することが可能である。
また、 固定子上に配設される可動子は 1つに限られるものではなく、 例えば 図 4 4に示されるように、 固定子 6 0上に 2つの可動子 5 1を配設し、 それら
を独立に駆動することにより、 一方の可動子 5 〗を用いてウェハの露光を行い ながら、 他方の可動子 5 1を用いてウェハ Wの受け渡しを行うことにしてもよ い。
また、 上記実施形態では、 本発明の平面モータ及びステージ装置をウェハの 位置制御に使用したが、 例えば、 レチクルの位置制御に使用することも可能で ある。
また、 本発明は、 紫外線を光源にする縮小投影露光装置、 波長 1 O n m前後 の軟 X線を光源にする縮小投影露光装置、 波長 1 n m前後を光源にする X線露 光装置、 E B (電子ビーム) やイオンビームによる露光装置などあらゆるゥェ ハ露光装置、 液晶露光装置等に適応できる。 また、 ステップ,アンド · リピー 卜機、 ステップ 'アンド ·スキャン機、 ステップ 'アンド ·スティツチング機 を問わない。 但し、 ウェハ等の周囲環境を真空とする必要のある、 波長 1 O n m前後の軟 X線を光源にする縮小投影露光装置、 波長 1 n m前後を光源にする X線露光装置、 E B (電子ビーム) やイオンビームによる露光装置などで本発 明を採用する場合には、 磁気浮上機構等を採用することが望ましい。
さらに、 本発明の平面モータ装置及びステージ装置は、 露光装置以外の装置 、 例えば検査装置や基板搬送装置等にも好適に適用できるものである。 産業上の利用可能性
以上説明したように、 本発明の平面モータ装置は、 高制御性及び高推力線形 性を確保しつつ、 2次元平面内の任意の方向に大きな推力を発生することに適 している。
また、 本発明のステージ装置は、 本発明の平面モータ装置で移動体を駆動す るので、 優れた制御性、 推力線形性、 及び位置決め性を有するとともに、 大き な推力で高速に移動体を移動させることに適している。
また、 本発明の露光装置は、 本発明のステージ装置でウェハ等を精度よく高
速に位置決めするので、 スループッ卜を向上しつつ高い露光精度で露光ことに 適している。 このため、 本発明の露光装置は、 微細パターンを有するデバイス の製造に適している。