インクジェット用淡インク、 インクセット、 インクジェット記録方法、 インク カートリッジ、 記録ュニット及びィンクジェット記録装置
技術分野
本発明は、 高い耐環境ガス性を持ち、 且つ、 記録媒体上に印字した際にも金 明
属光沢、 所謂ブロンズ現象の発生が抑制された、 良好な画像を得ることができ るインクジェット用インクに関する。 又、 本発明は、 前記インクジェット用ィ 書
ンクを用いたィンクジエツト記録方法、 インクカートリッジ、 記録ュニット及 びインクジェット記録装置に関する。
背景技術 .
インクジェット記録方法は、 インク小滴を普通紙、 及び、 光沢メディア等の 記録媒体上に付与して、 画像を形成する記録方法であり、 その低価格化、 記録 速度の向上により、 急速に普及が進んでいる。 又、 その記録画像の高画質化が 進んだことに加えて、 デジタルカメラの急速な普及に伴い、 銀塩写真に匹敵す る写真画像の出力方法として広く一般的になっている。 , 近年、 インク滴の極小液滴化や、 多色インクの導入に伴う色域の向上等によ , り、 今まで以上に高画質化が進んでいる。 しかしその反面、.色材ゃインクに対 する要求はより大きく.なり、 発色性の向上や、 目詰まり、 吐出安定性等の信頼 性においてより厳しい特性が要求されている。
' " 一方で、 銀塩写真と比較した場合のインクジェット t己録方法の問題点には、 得られた記録物の画像保存性が挙げられる。 一般に、 インクジェット記録方法 により得られた記録物は銀塩写真と比較して、 その画像保存性が低く、 記録物 が光、 湿度、 熱、 空気中に存在する環境ガス等'に長時間さらされた際に、 記録
物上の ^材が劣化し、 画像の色調変化や褪色が発生しやすいといった問題があ つた。 特に、 耐環境ガス性を銀塩写真のレベルまで向上させることは、 インク ジェット記録方式における従来からの課題であった。 又、 インクジェット用ィ ンクとして用い れる色相である、 イェロー、 マゼンタ、 シアンのうち、 最も 耐環境ガス性が劣るのはシアンである。 このため、 シアンインクの耐環境ガス 性をイエロ一^ ンクゃマゼンタインクと同等のレベルまで向上させることは、 インクジエツト記録方式において重要な課題のュつとなっている。
シアン色相を有するインクジェット用インクの色材の基本骨格は、 フタロシ ァニン骨格とトリフエニルメタン骨格の 2つに大別される。 前者の代表的な色 材には、 C. I . D i r e c t B l u e 86、 87、 C. I . D i r e c t B 1 u e 199等があり、又、後者の代表的な色材には、 C. I. Ac i d B 1 u e 9等がある。
一般に、.フタロシアニン系色材は、 トリフエニルメタン系色材と比較して、 耐光性に優れるという特徴がある。 更に、 フタロシアニン系色材は、 湿度や熱 に対する堅牢度が高く、 発色性が良好なことから、 インクジェット用インクの 色材として広く用いられている。
し力 し、 フタロシアニン系色材は、 気中の環境ガス (オゾン、 NOx、 S o2)、 特にオゾンガスに対する堅牢度が劣る傾向がある。 特に、 アルミナ、 シ リ力等の無機物を含有するインク受容層を持つ記録媒体に印字した記録物に おける堅牢性の低さは顕著であり、 記録物を長時間室内に放置すると著しく褪 色してしまう。 この耐環境ガス性を向上させる目的で、 インクに添加するため の様々な化合物が開示されている (例えば、 特開平 5— 1 71085号、 特開 平 11一 29729号、 -特開平 10— 130517号、 特開 2000— 303· 009号及ぴ特開 2002— 249677号)。 し力 し、 何れの場合もインク ジェット用インクとしての良好な発色性と高い耐環境ガス性の両立は成され ていないめが実情である。
更に、 フタロシアニン系色材のもう 1つの課題に、 色材の凝集性の高さに起 因する金属光沢、 いわゆるブロンズ現象の発生がある。 記録物においてブロン ズ現象が発生した場合、 その光学反射特性が変化し、 画像の発色性、 色相が著 しく変ィ匕し、 画像品位の著しい低下を引き起こす。 このブロンズ現象は、 イン クが記録媒体に付与された際に、 インク中での色材の凝集性の高さと、 記録媒 体へのィンクの浸透性の低下等により、 記録媒体表面において色材が凝集する ために発生すると考えられる。 特に、 耐環境ガス性を高める目的でその分子中 , にァミノ基が導入された色ネオや、 水への溶解性が低い色材を含有するインクで は、 ブロンズ現象の発生が顕著となる傾向がある。
例えば、 特定のフタロシアニン系色材を用いることで、 耐環境ガス性を向上 する提案がある (例えば、 特登録 2 9 4 2 3 1 9号)。 この特定のフタロシア ニン系色材を用いることで、 フタ口シァニン系色材における課題の一つである 耐環境ガス性は得られる。 し力 し、 前記提案にはブロンズ現象に関する言及は なく、 その耐ブロンズ性については不明である。 つまり、 耐ブロンズ性、 及ぴ 耐環境ガス性は、 未だ両立されていない課題である。
従って、 発色性に優れ、 高い耐環境ガス性を有し、 更に、 ブロンズ現象の発 生が抑制されたフタロシアニン系色材.を用いたインクジエツト用インクの探 索は必要不可欠な課題となっている 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
特に近年、 銀塩写真に匹敵する高品位の記録物を得るために、 同一の色調を 有し、 且つ、 色材濃度が異なる複数のインクを組み合わせて用いて画像形成を 行うことが多い。 具体的には、 色材の含有量が相対的に多いインク (所謂濃ィ ンク)' と、 色材の含有量が相対的に少ないインク (所謂淡インク) とを組み合 わせて用いて画像形成を行う。 このことにより、 淡色部の粒状性を減少し、 階
調性に優れた画像を形成することが可能となる。
し力 し、 一般に淡インクで形成した画像は、 濃インクで形成した画像と比較 して、 耐環境ガス性に劣る傾向がある。 実際に、 従来の淡インクを用いて印字 した画像は、 銀塩写真と比較して明らかに耐環境ガス性に劣るという課題があ る。 従って、 濃インクと淡インクを組み合わせて用いるインクシステムにおい ては、 淡インクの色材は濃インクの色材よりも、 耐環境ガス性に優れた特性を 持つことが必要となる。
この課題を解決するために、 特にフタロシアニン骨格を持つ色材を含有する インクにおいては、 色材の凝集性を高めることで、 淡インクにおける耐環境ガ ス性を高める方法が考えられる。 一般に、 色材濃度が高くなると、 ブロンズ現 象が発生しゃす ヽ傾向にあるが、 従来の淡ィンクの色材濃度ではブ口ンズ現象 が発生するという課題は生じていなかった。 しかし、色材の凝集性を高めると、 色材の含有量 (質量%) 、 インク全質量に対して 0 . 5質量%以上 3 . 0質 量%未満である淡ィンクにおいてもプロンズ現象が発生することがわかった。 本発明者らが鋭意検討を行った結果、 材の含有量 (質量%) 力 淡インク 全質量に対して 0 . 5質量%以上 3 . 0質量%未満の淡インクにおいても、 ― 般式 (I ) で表される化合物又はその塩の置換基の種類を変化させることで、 色材の凝集性を的確にコントロールできることを見出した。 その結果、 良好な 発色性を有し、 ブロンズ現象の発生が抑制され、 優れた耐環境ガス性が得られ , ることがわかった。
又、 濃インク及び淡インクを備えてなるインクジエツト記録装置を用いて記 録媒体に画像を形成する場合、 画像の淡色部においては濃インクと比較して淡 インクを多く付与'し、 画像の濃色部では淡ィンクと比較" Lて濃ィンクを多く付 与することで、 高い階調表現を得ている。
本発明者らの検討によると、 画像の階調領域における中間部付近では、 濃ィ ンク及び淡ィンクを共に多く付与するため、 記録媒体上において色材の凝集性
が高まり、 ブロンズ現象の発生を引き起こしゃすい傾向にあることがわかった。 更に、 上記でも述べたように、 淡インクで形成した画像は、 濃インクで形成 した画像と比較して、 耐環境ガス性に劣る傾向があるため、 淡インクの色材に は濃インクの色材よりも高い凝集性を付与する必要がある。 このとき、 全階調 領域にわたってプロンズ現象の発生を抑制するために濃ィンクに求められる 性能は、 凝集性の高い色材を含有する淡インクと共に印字された場合において も、 ブロンズ現象を抑制することができる適度な凝集性を有し、 且つ、 高い堅 牢性を持つことが求められる。
, 本発明者らが鋭意検討を行った結果、 従来のインクジヱット用シアンインク と同程度の発色性を維持するために、 色材の含有量 (質量%) を、 濃インク全 質量に対して少なくとも 3 . 0質量%以上に設定した濃インクにおいても、 一 般式 (I ) で表される化合物又はその塩の置換基の種類を変化させることで、 色材の凝集性を的確にコントロールできることを見出した。 その結果、 色材濃 度が 3 . 0質量%以上と高い濃インクと、 淡インクとを組み合わせて印字して も、 ブロンズ現象の発生が抑制され、 優れた耐環境ガス性が得られることがわ かった。
これらのことから、 耐環境ガス性に優れた濃インクと組み合わせて用いられ る淡インクには、 非常に高い耐環境ガス性を付与する必要性が生じる反面、 結 果としてブロンズ現象が発生しやすいという課題が生じる。 つまり、 耐環境ガ, ス性の良好な濃インクと共に使用したときに、 耐環境ガス性に優れ、 ブロンズ を発生しない淡インクが必要である。
従って、 本発明の目的は、 発色性に優れ、 耐環境ガス性と耐ブロンズ性を両 ' 立することができるインクジエツト用淡インクを提供するこ にある。
又、 本発明の別の目的は、 前記インクジェット用淡インクを用いたインクセ ット、 インクジェ Vト記録方法、 インクカートリツジ、 記録ュニット及ぴィン クジェット記録装置を提供することにある。 .
課題を解決するための手段
上記の目的は、 下記の本発明によって達成される。 即ち、 本発明にがかるィ ンクジェット用淡インクは、 色材の含有量が相対的に多いインクジェット用濃 インクと共に用いられ、 且つ、 少なくとも、 水、 水溶性有機溶剤、 色材を含有 するインクジェット用淡インクにおいて、 前記インクジェット用濃インク力 下記の条件(1)及び(2.)を満たし、且つ、前記インクジェット用淡インクが、 下記の条件 (3) 〜 (5) を満たすことを特徴とする。
(条件)
(1) 少なくとも、 色材として下記一般式 (I) で表される化合物又はその塩 を含有し、 前記色材の含有量 (質量%) が、 インクジェット用濃インク全質量 に対して 3. 0質量%以上である。
(2) 小角 X線散乱法により得られた、 前記インクジェット用濃インクの色材 濃度が 3. 0質量%になるように調製した濃ィンクにおける分子集合体の分散 距離の分布を測定の 75%を占める分散距離 d75値が、 6. 50nm以上 7. 10 nm以下である。
(3) 前記色材が、 下記一般式 (I) で表される化合物又はその塩であり、 前 記色材の含有量 (質量0 /0) 力 インクジェット用淡インク全質量に対して 0. 5質量%以上 3. 0質量%未満である。
(4) 前記水溶性有機溶剤のうち 2_ピロリ ドンの含有量 (質量%) が、 色材 の含有量 (質量0 /0) に対して 50. 0%以上である。
( 5 ) 小角 X線散乱法により得られた、,前記ィンクジェット用淡ィンクの色材 濃度が 0. 5質量%になるように調製した淡ィンクにおける分子集合体の分散 距離の分布の 75%を占める分散距離 d 75値が、 6. 7 O n m以上 10. 60 nm以下である。 '
一般式 (I)
(—般式 (I) 中、 Mはアルカリ金属又はアンモニゥムであり、 R2はそ れぞれ独立に水素原子、 スルホン酸基、 カルボキシル基 (但し、 R2が同 時に水素原子となる場合を除く) であり、 Yは塩素原子、 ヒドロキシル基、 了 ミノ基、 モノ又はジアルキルアミノ基であり、 1、 m、 nはそれぞれ 1 =0〜 2、 m=l〜3、 n=l〜3 (但し、 l +m+n = 3〜4) であり、 置換基の 置換位置は 4位若しくは 4' 位である。)
本発明の別の実施態様にかかるイングジヱット用淡インクは、 色材の含有量 が相対的に多いインクジェット用濃インクと共に用いられ、且つ、少なくとも、 , 水、 水溶性有機溶剤、 色材を含有するイングジェット用淡インクにおいて、 前 記インクジェット用濃インクが、 下記の条件(1)及ぴ (2) を満たし、 且つ、 前記インクジェット用淡インク力 下記の条件 (3) 〜 (5) を満たすことを 特徴とする。 ' ―
(条件)
(1) 少なくとも、 色材として下記一般式 (I) で表される化合物又はその塩 を含有し、 前記色材の含有量 (質量%) 、 インクジェット用濃インク全質量
に対して 3. 0質量%以上である。
( 2 ) 吸光度を測定して得られた、 前記ィンクジェット用濃ィンクを 2000 倍に希釈した濃インクにおける最大吸収波長 ( Lma x) 力 612. Onm 以上 616. Onm以下である。
(3) 前記色材が、 下記一般式 (I) で表される化合物又はその塩であり、 前 記色材の含有量 (質量%) インクジェット用淡インク全質量に対して 0. 5質量%以上 3. 0質量%未満である。
(4) 前記水溶性有機溶剤のうち 2—ピロリドンの含有量 (質量%) 、 色材 の含有量 (質量%) に対して 50. 0%以上である。
(5) 吸光度を測定して得られた、 前記インクジェット用淡インクを 2000 倍に希釈した淡インクにおける最大吸収波長 (lma x) 力 608. Onm 以上 613. O nm以下である。
一般式 ( I ) '
(一般式 (I) 中、 Mはアルカリ金属又はアンモニゥムであり、 R
2はそ れぞれ独立に水素原子、 スルホン酸基、 カルボキシル基 (但し、 R
1 R
2が同
、時に水素原子となる場合を除く) であり、 Yは塩素原子、 ヒドロキシル基、 ァ ミノ基、 モノ又はジアルキルアミノ基であり、 1、 m、 nはそれぞれ 1 =0〜 2、 m=l〜3、 n=l〜3 (但し、 l +m+n = 3〜4) であり、 置換基の 置換位置は 4位若しくは 4 ' 位である。)
本発明の別の実施態様にかかるィンクジェット用淡ィンクは、 色材の含有量 力 S相対的に多いィンクジェット用濃ィンクと共に用いられ、且つ、少なくとも、 水、 水溶性有機溶剤、 色材を含有するインクジェット用淡インクにおいて、 前 記インクジェット用濃インクが、 下記の条件(1)及ぴ (2) を満たし、 且つ、 前記インクジェット用淡インクが、 下記の条件 (3) 〜 (5) を満たすことを 特徴とする。
(条件)
(1) 少なくとも、 色材として下記一般式 (I) で表される化合物又はその塩 を含有し、 前記色材 含有量 (質量%) 、 インクジェット用濃インク全質量 に対して 3. 0質量%以上である。
(2) 吸光度を測定して得られた、 前記インクジェット用濃インクを 2000 倍に希釈した濃インクにおける最大吸収波長 ( ma x) が、 612. 0 nm 以上 614. Onm以下である。
(3) 前記色材が、 下記一般式 (I) で表される化合物又はその塩であり、 前 記色材の含有量 (質量%) 、 インクジェット用淡インク全質量に対して 0. 5質量%以上 3. 0質量%未満である。.
(4) 前記水溶性有機溶剤のうち 2—ピロリドンの含有量 (質量%) が、 色材 の含有量 (質量%) に対して 50. 0%以上である。
(5) 吸光度を測定して得られた、 前記インクジェット用淡インクを 2000 倍に希釈した淡インクにおける最大吸収波長 ( ma x) 力 608. Onm 以上 613. O nm以下である。
一般式 (I)
(一般式 (I) 中、 Mはアルカリ金属又はアンモニゥムであり、 Rい R2はそ れぞれ独立に水素原子、 スルホン酸基、 カルボキシル基 (但し、 R1 R2が同 時に水素原子となる場合を除く) であり、 Yは塩素原子、 ヒ ドロキシル基、 ァ ミノ基、 モノ又はジアルキルアミノ基であり、 1、 m、 nはそれぞれ 1 =0〜 2、 m=l〜3、 n=l'〜3 (但し、 l +m+n=3〜4) であり、 置換基の 置換位置は 4位若しくは 4' 位である。)
本発明の別の実施態様にかかるインクジエツト用淡インクは、 色材の含有量 が相対的に多いインクジヱット用濃インクと共に用いられ、且つ、少なくとも、 水、 水溶性有機溶剤、 色材を含有するインクジェッ ト用淡インクにおいて、 前 記インクジェット用濃インクが、 下記の条件(1)〜 (3) を満たし、 且つ、 前 記インクジェット用淡インクが、 下記の条件 (4) 〜 (6) を満たすことを特 徴とする。 ' '
(条件)
(1) 少なくとも、 水、 水溶性有機溶剤、 色材として下記一般式 (I) で表さ れる化合物又はその塩を含有し、 前記色材の含有量 (質量%) 、 インクジェ
ット用濃インク全質量に対して 3. 0質量%以上である。
(2) 前記水溶性有機溶剤のうち 2—ピロリ ドンの含有量 (質量%) 、 色材 の含有量 (質量%) に対して 50. 0%以上である。
(3) 吸光度を測定して得られた、 前記インクジヱット用濃インクを 2000 倍に希釈した濃インクにおける最大吸収波長 (; L ma X) が、 612. 0 nm 以上 616. Onm以下である。
(4) 前記色材が、 下記一般式 (I) で表される化合物又はその塩であり、 前 記色材の含有量 (質量%) 力 インクジェット用淡インク全質量に対して 0. 5質量%以上 3. 0.質量%未満である。
(5) 前記水溶性有機溶剤のうち 2—ピロリ ドンの含有量 (質量%) 、 色材 の含有量 (質量%) に対して 50. 0%以上である。
(6) 吸光度を測定して得られた、 前記インクジェット用淡インクを 2000 倍に希釈レた希釈淡インクにおける最大吸収波長 ( ma x) I 608. 0
11111以上613. Onm以下である。
一般式 (I)
(一般式 (I ) 中、 Mはアルカリ金属又はアンモニゥムであり、 Rい R
2はそ れぞれ独立に水素原子、 スルホン酸基、 カルボキシル基 (伹し、 R
2が同 時に水素原子となる場合を除く) であり、 Yは塩素原子、 ヒドロキシル基、 了 ミノ基、 モノ又はジアルキルアミノ基であり、 1、 m、 nはそれぞれ 1 = 0〜 2、 m= l〜3、 n = l〜3 (但し、 l +m+ p = 3〜4 ) であり、 置換基の 置換位置は 4位若しくは 4 ' 位である。)
又、 本発明の別の実施態様にかかるインクセットは、 複数のインクからなる インクセットにおいて、 上記構成のインクジェット用淡インクと、 上記構成の インクジエツト用濃インクとを含むことを特徴とする。
又、 本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、 インクをィ ンクジヱット方法で吐出して記録媒体に記録を行う工程を有するインクジェ ット記録方法において、 前記インクが、 上記構成のインクジエツト用淡インク であることを特徴とする。
又、 本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、 インクを収容す るインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、 前記インクが、 上記構 成のインクジエツト用淡インクであることを特徴とする。
又、 本発明の別の実施態様にかかる記録ユニットは、 インクを収容するイン ク収容部と、 インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ュニットにお いて、 前記インクが、 上記構成のインクジェット用淡インクであることを特徴 とする。
又、 本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、 インクを収 容するインク収容部と、 インクを吐出するための記録へッド'とを備えたインク ジェット記録装置において、 前記インクが、 上記構成のインクジェット用淡ィ ンクであることを特徴とする。
本発明によれば、 発色性に優れ、 耐環境ガス性と耐ブロンズ性を両立するこ' : とができるインクジェット用淡インクを提供することができる。
又、 本発明の別の実施態様によれば、 前記インクジエツト用淡イングを用い たインクセット、 インクジェット記録方法、 インクカートリッジ、 記録ュニッ ト及びインクジエツト記録装置を提供することができる。 ― 図面の簡単な説.明
図 1は小角 X線散乱法の測定原理図である。
図 2はフタロシアニン系色材及ぴトリフエニルメタン系色材の小角 X線散乱 プロファイルである。
図 3はフタ口シァニン系色材の分子集合体の分散距離の概念図である。
図 4は記録装置の斜視図である。
図 5は記録装置の機構部の斜視図である。 .
図 6は記録装置の断面図である。
図 7はへッドカート.リッジにインクタンクを装着する状態を示した斜視図で ある。
図 8はへッドカートリツジの分解斜視図である。
図 9はへッドカートリッジにおける記録素子基板を示す正面図である。
発明を実施するための最良の形態
以下に、 本発明の好ましい実施の形態を挙げて、 詳細に説明する。
' . 尚、 本発明においては、 色材が塩である場合は、 インク中では塩はイオンに 解離して存在しているが、 便宜上、 「塩を含有する J と表現する。
又、 本発明においては、 淡インクの色材の含有量 (質量%) は、 インク全質 量に対して 0 . 5質量%以上 3.. 0質量%未満であり、 濃インクの色材の含有 量 (質量%) は、 イシク全質量に対して 3 . 0質量%以上である。 ―
くインク〉
以下、 本発明にかかるインクジェット用インク (以下、 単にインクと呼ぶこ ともある) を構成する成分等について詳細に述べる。
インクジエツト用インクとして広く用いられるイェローインク、 マゼンタイ ンク、 シアンインクの中でも、 特にシアンインクが耐環境ガス性に劣る傾向が ある。 本発明においては、 アンインクの耐環境ガス性という課題に対して、 シアンインクを用いて得られた記録物を、 温度 4 0 、 湿度 5 5 %、 オゾンガ ' ス濃度 2 p p mの環境で 2 0時間暴露したときに、 記録物の 5 0 % d u t y部' における反射濃度が、 暴露前の記録物の 5 0 % d u t y部における反射濃度と 比較して、 8 3 %以上残存するシアンインク、 特に淡シアンインクの提供を目 標としている。 耐環境ガス性に優れたイェローインク、 マゼンタインクを用い て得られた記録物は、 上記した暴露条件において反射濃度が 8 3 %以上残存す るという優れた耐環境ガス性を有している。 このため、 上記した暴露条件にお いて反射濃度が 8 3 %以上残存する淡シアンィンク及びシアンィンクのイン クセットを、 耐環境ガス性に優れたイェローインク、 マゼンタインクと共に用 いることによって、 優れた画像保存性を達成することが可能となる。
(色材)
本発明にかかるインクは、 一般式 (I ) で表される化合物又はその塩を含有 することが必須である。 下記一般式 (I ) で表される化合物又はその塩は、 シ アンの色相を有し、 耐環境ガス性に優れるという特徴を持つフタロシアニン誘 導体である。 '
一般式 (I )
• (—般式 (I) 中、 Mはアルカリ金属又はアンモニゥムであり、 Rい R2はそ れぞれ独立に水素原子、 スルホン酸基、 カルボキシル (但し、 R2が同 時に水素原子となる場合を除く) であり、 Yは塩素原子、 ヒドロキシル基、 ァ ミノ基、 モノ又はジアルキルアミノ基であり、 1、 m、 nはそれぞれ 1 = 0〜 2、 m== 1〜3、. n= 1〜3. (但し、 l +m+n = 3〜4) であり、 置換基の 置換位置は 4位若しくほ 4, 位である。) 、
一般に、フタロシアニン誘導体は、その合成時において不可避的に一般式( I I I) における置換基 Rn (n: 1-16) の置換位置 (!^〜!^ 6が結合する- ベンゼン核上の炭素原子の位置を、 それぞれ 1位〜 16位と定義する) 異性体 を含むことが多い。 しかし、 これらの置換位置異性体は、 通常互いに区別する ことなく、 同一の誘導体として見なされることが多い。
" 一般式 (I I I) -
本発明において用いる色材は、 スルホン酸基、 無置換スルファモイル基 (一
S02NH2)、又は置換スルファモイル基(一般式(IV) で表される基) を、 一般式 (I) における 4位及び 4' 位 (一般式 (I I I) における R 2、 R3、 R6、 R7、 R10、 R„、 R14、 .R15) に選択的に導入し、 置換基数を 3〜4 としたフタロシアニン誘導体である。 本発明者らは、 かかる化合物を含有ずる ィンクを用いて得られた記録物が、 極めて耐環境ガス性に優れることを見出し た。
尚、 本発明において用いる一般式 (I) で表される化合物又はその塩の合成 には、 4ニスルホフタル酸誘導体、 又は、 4ースルホフタル酸誘導体及び (無 水) フタル酸誘導体を、 金属化合物の存在下で反応させることで得られるフタ ロシアニン化合物を原料に用いる。 更に、 前記フタロシアニン化合物における スルホン基をクロロスルホン基に変換 Iた後、 有機ァミンの存在下でァミノ化 剤を反応させて得られる。
一般式 ( I V)
一般式 (I V) で表される置換スルファモイル基の好ましい具体例を以下に '示す。 勿論、 本発明に用いられる置換スルファモイル基は、 これに限られるも のではない。 尚、 一般式 (I V) で表される置換スルファモイノレ基は、 遊離酸 の形で示す。
中でも、 上記例示置換基 1が置換した化合物、 即ち、 下記一般式(I I )で表 される化合物又はその塩が、 その発色性と耐環境ガス性のバランスから最も好
ましい化合物である。
一般式 (I I)
(—般式 (I I) 中、 Mはアルカリ.金属又はアンモニゥムであり、 1、 m、 n はそれぞれ 1 =0〜2、 m=l〜3、 n=l〜3 (但し、 l +m+n = 3〜4) であり、 置換基の置換位置は 4位若しくは 4' 位である。)
しかし、 本発 において用いられる一般式 (I) のように、 置換基数が 3又 は 4、 即ち、 1 +m+n = 3〜4であり、 且つ、 置換位置が 4位及び 4, 位に 限定された化合物においても、 下記表 1及ぴ表 2に示すように、 フタロシア二 ン骨格に置換する置換基であるスルホン酸基 (一 S03M)、 無置換スルファモ ィル基 (一 S02NH2)、 及ぴ置換スルファモイル基 (一般式 (IV) で表さ れる基) の数が異なる異性体が多数存在する。 一般式 (I) で表される化合物 又はその塩はこれら異性体の混合物であり、 その異性体の数及び種類の違いに より、 同一構造の化合物であっても、 その特性が大きく異なることが確認され ている。 そして、 その特性の 1つに、 色材の凝集性の違いが挙げられる。
表 1:置換基数、置換基位置と異 体の種類(l+m+n=4の場合)
表 2: g換基数、置換基位置と異性体の種類(l+m+
n=3の場合)
一般に、 フタロシアニン系色材は、 その他の構造の色材 (トリフエニルメタ ン系、 ァゾ系、 キサ /テン系等) と比較して凝集性が高い。 又、 前記凝集性を 高めることで、 堅牢性も高くなる。 その一方で、 凝集性が高い色材は、 'インク における色材の凝集性も高くなる。 そのため、 記録媒体上に印字した際に画像 品位の低下を招くプロンズ現象の発生が顕著になるという傾向がある。
逆に、 色材の凝集性が著しく低い場合、 堅牢性、 特に耐環境ガス性が低下す る。 そのため、 前記色材を含有するインクを用いて得られた記録物は、 耐環境 ガス性に優れたイエローインク、 マゼンタインクと同レベルの画像保存性を得 ることができない場合がある。
従って、一般式( I )で表される化合物又はその塩を色材として用いる場合、 ブロンズ現象の発生を抑制することができ、 且つ、 所望の耐環境ガス性が得ら れるように、 色材の凝集性をコントロ ルすることが必要となる。
色材の凝集性の測定
本発明において用いられる色材の凝集性の測定には、 小角 X線散乱法が適用 できる。
小角 X線散乱法は、 「最新コロイド化学」 (講談社サイエンティフィック 北 原文雄、 古澤邦夫) 及び 「表面状態とコロイド状態 j (東京化学同人 中垣正 幸) 等に記載されているように、 コロイド溶液におけるコロイド粒子間の距離 の算出に汎用に用いられてきた手法である。 '
小角 X線散乱装置の概要を、 小角 X線散乱法の測定原理図である図 1 用い て説明する。 X線源より発生した X線は、 第 1〜第 3スリットを通る間に、 数 mm以下の程度まで焦点サイズを絞られ、 試料溶液に照射される。 試料溶液に 照射された X線は、 試料溶液中の粒子によって散乱された後、 イメージングプ レート上で検出される。 散乱した X線は、 その光路差の違いによって干渉が起 こるため、 得られた Θ値を用いて、 粒子間の距離 d値は、 B r a g gの式 (下 記式 (1 ) ) によって求められる。 尚'、 ここで求められる d値は、 一定間隔で 配列している粒子の中心から中心の距離と考えられる。 d = -^— 式 ( 1 )
2 sin (9
(但し、 λ : Χ線の波長、 d :粒子間の距離、 Θ :散乱角)
一般に、 溶液中の粒子が規則正しく配列していない場合、 散乱角プロフアイ ルにはピークが発生しない。 本発明において用いられる色材 (フタロシアニン 系色材) の水溶液の場合、 2 0 = 0。 〜5 ° の範囲に最大値を持つ強いピーク が検出され、 フタロシアニン系色材分子の凝集により形成される粒子 (分子集 合体) 力 ある一定の規則で配列していることが確認できる。 図 2に、 下記化 合物( 1 )で表される構造を有するトリフヱニルメタン系色材、及ぴ一般式( I ) で表される構造を有するフタロシアニン系色材、 それぞれの 1 0質量%水溶液 における '散乱角プロファイルを示す。 図 2より、词! シアンの色相を有する色 材においても、 フタロシアニン系色材は特異的に散乱角ピークを有することが わかる。 つまり、 フタロシアニン系色材の場合、 水溶液中ではフタロシアニン 分子がいくつか凝集して分子集合体を形成する。 そして、 分子集合体間の距離
は、 散乱角プロファイルで示されるような一定の分布を有する。
化合物 ( 1 )
図 3は、 フタロシアニン系色材の分子集合体の分散距離の概念図である。 図 3に示すように、 あるフタロシアニン系色材の分子集合体の半径を r 1、 分子 集合体間の距離を d .lとする。 フタロシアニン系色材の構造が同一であるなら ば d lは常に一定である、 と仮定すると、 フタロシアニン系色材が形成する分 子集合体の半径が r l→r 2と大きくなるのに従って、 小角 X線散乱法から測 定された d値も d 2→d 3へと大きくなると考えられる。 そのため、 前記方法 で測定される d値は、 フタ口シァニン系色材の分子集合体の大きさを表す指数 であると考えられ、 d値が大きいほど、 色材; ^が形成する分子集合体の大き さが大きくなつていると考えられる。
フタロシアニン系色材を含有するインクにおける d値とブロンズ現象の関 係を調べたところ、 同一の構造式で示されるフタロシアニン系色材の場合には、 .d値が大きいほどブロンズ現象が発生しやすい傾向があることがわかった。 記 録媒体上での色材分子の集合によってブ σンズ現象が発生することを考慮す ると、 上述の d値と分子集合体の大きさに相関関係があることを裏付ける結果 となった。
散乱角プロファイルにおけるピーク形状は、 分子集合体間の距離の分布、 即
ち、 分子集合体の分散距離の分布を示している。 上記で述べたように、 この分 散距離が分子集合体の大きさを表す指数であることを考えると、 かかる散乱角 プロファイルは、 溶液中における分子集合体の大きさの分布を示していると考
• えることができる。 つまり、 散乱角プロファイルのピーク面積を、 溶液中の分 子集合体全体の大きさとすれ iま'、 d値が大きい、 即ち、 大きい分子集合体の頻 度が高いほど、 ブロンズ現象が発生しやすい傾向がある。 従って、 ブロンズ現 象が発生しやすい、 大きな分子集合体の頻度を低減させることで、. ブロンズ現 象の発生を抑制することができると考えられる。 但し、 著しく小さい分子集合 体のみを含有するインクの場合、.ブロンズ現象は発生しにくくなるものの、 そ の耐環境ガス性も低下してしまう。 このため、 ブロンズ現象の発生を抑制する ことができ、 且つ、 耐環境ガス性を得るという観点からも、 分子集合体の大き さ (d値の大きさ) を的確にコントロールすることが必要となる。
一般に、 色材分子の大きさがある頻度で分布を持つ場合、 人間が目視で認識 できる視覚限界のしきい値は、 その全体量の 1 / 4とされている。 このことか ら、 ブロンズ現象が発生しやすい大きな分子集合体が全体の 1 Z 4以下となる 点、 言レ、換えれば、 ブロンズ現象が発生しにくレ、小さな分子集合体が全体の 3
Z 4以上となる点の d値を d 7 5値とし、該 d 7 5値を特定の範囲にコント口一ル することで、 プロンズ現象の発生が抑制され、 高い耐環境ガス性を有するィン クを得ることが可能となる。
実際に散乱角プロフアイルにおける 2 0値のピークから算出した d p e a k値 と上述の d 7 5値とプロンズ現象の発生レベルの相関性を'詾査'したところ、 d p e a k値よりも、 分子集合体全体の大きさの分布因子を考慮した d 7 5値の方がブ 口ンズ現象との相関性が高いことが判明した。 尚、 2 Θ値を求める際のベース ラインは、 0 . 5。 〜5 ° の範囲で引く。
そこで、 本発明者らは、 本発明の淡インクにおいて、 フタロシアニン系色材 である一般式 (I ) で表される化合物又はその塩における、 置換基の数、 種類
及び置換位置を変化させた化合物、 即ち、 凝集性をコントロールした染料を用 いて以下の実験を行った。 前記色材を含有する淡インクを調製し、 該インクの 散乱角プロファイルを測定し、 475値を算出した。次に、得られた d75値から、 それぞれの色材の凝集性を評価した。 その結果、 前記 d 75値が、 6. 70 nm 以上 10. 60 nm以下である場合に、 ブロンズ現象の発生が効果的に抑制さ れ、 高い耐環境ガス性を有するインクとなることわがった。 更には、前記 d75 値が、 6. 70 nm以上 9. 10 nm以下である場合に、 特にブロンズ現象の 発生が効果的に抑制され、高い耐環境ガス性を有することがわかった。つまり、 一般式 (I) で表される化合物又はその塩を含有する淡インクにおいて、 淡ィ ンクの d75値が上記範囲を取るように色材の凝集性がコントロールされてい る場合、 ブロンズ現象の発生が効果的に抑制され、 高い耐 境ガス性を有する ことが見出された。
尚、 小角 X線散乱法により d値を測定する場合は、 溶液中の分子密度を一定 にする必要がある。 このため、 色材濃度を一定にしたインクで d値を測定する ことが好ましい。 本発明の淡インクにおいては、 色材の含有量 (質量%) 力 ィンク全質量に対して 5質量%となるように調製したィンクを用いて散乱 角プロファイルの測定を行った。 尚、 インクにおける色材の含有量が 0. 5寶 量%よりも高い場合は、 純水を用いて色材濃度が 0. 5質量%になるように希 釈した、 希釈インクに対して散乱角プロファイルの測定を行った。 尚、 インク における色材の含有量が 0. 5質量%であることは、 該ィンクを純水で 150 倍に希釈した際の吸光度が、 1. 15〜1: 30の範囲であることで検証する ことが可能である。
又、 本発明者らは:本発明の淡インクど共に用いられる濃ィンクにおいて、 フタロシアニン系色材である一般式 (I) で表される化合物又はその塩におい て、 置換基の数、 種類及び置換位置を変化させた化合物、 即ち、 凝集性をコン トロールした染料を用いて以下の実験を行つ.た。 前記色材を含有する濃ィンク
を調製し、該インクの散乱角プロファイルを測定し、 d 75値を算出した。次に、 得られた d 75値から、 それぞれの色材の凝集性を評価した。 その結果、 前記 d
75値が、 6. 50 nm以上 7. 10 n m以下である場合に、 良好な発色性を得 るために色材濃度が高く、 且つ' 上述の淡インクと組み合わせて印字しても、 ブロンズ現象の発生が効果的に抑制され、 高い耐環境ガス性を有するインクと なることわかった。 更には、 前記 d75値が、 6. 70nm以上 7. 10nm以 下である場合に、 ブロンズ現象の発生が特に効果的に抑制され、 高い耐環境ガ ス性を有することがわかった。 つまり、 一般式 (I) で表される化合物又はそ の塩を含有する濃インクにおいて、濃インクの d 75値が上記範囲を取るように 色材の凝集性がコントロールされている場合、 良好な発色性を得るために色材 濃度が高く、 且つ、 上述の淡インクと組み合わせて印字しても、 ブロンズ現象 の発生が効果的に抑制され、 高い耐環境ガス性を有することが見出された。 尚、 小角 X線散乱によって d値を測定する場合は、 上記で述べたように、 溶 液中の分子密度を一定にする必要がある。 このため、 色材濃度を一定にしたィ ンクで d値を測定することが好ましい。 本発明の淡インクと共に用いられる濃
J
インクにおいては、 色材の含有量 (質量%) が、 インク全質量に対して 3. 0 質量%となるように調 したインクを用いて散乱角プロファイルの測定を行 つた。 尚、 インクにおける色材の含有量が 3. 0質量%よりも高い場合は、 純 水を用いて色材濃度が 3. 0質量%になるように希釈した、 希釈インクに対し て散乱角プロファイルの測定を行った。尚、インクにおける色材の含有量が 3.
0質量%であることは、 該ィンクを純水で 1000倍に希釈した際の吸光度が、
1. 05〜1. 15の範囲であることで検証することが可能である。
吸光度の測定条件を以下に示す。 ―
分光光度計:自記分光光度計 (商品名: U— 3300 ; 日立製作所製) 測定セノレ : l cm '石英セノレ
サンプリング間隔: 0. 1 nm
スキャン速度: 30 nm/m i n
測定回数: .5回測定平均
又、上記で述べた色材の凝集性は、吸収スぺクトルにおける最大吸収波長(又 ma x) とも相関性がある。 分子集合性が高い (d75値が高い) インクほど、 ma Xは低い傾向がある。 従って d 75値に相関する; L m a xを用いて、 色材 の凝集性を評価することも可能である。 淡インクにおい.ては、 純水を用いて 2 000倍に希釈した淡インクにおけるえ ma X力 608. 0 nm以上 6 1 3. O nm以下である場合に、 ブロンズ現象の発生が効果的に抑制され、 高い耐環 境ガス 14を有するインクとなることわかった。 更には、 前記え ma x力 6 1 0. 011111以上6 1 3. 0 nm以下である場合に、 ブロンズ現象の発生が特に 効果的に抑制され、 高い耐環境ガス性を有するインクとなることわかった。 つ まり、 一般式 (I) 表される化合物又はその塩を含有するインクにおいて、 ィ ンクの L m a Xが上言己範囲を取るように色材の凝集性がコント口ールされて いる場合、 ブロンズ現象の発生が抑制され、 高い耐環境ガス性を有することが 見出された。 又、 濃インクにおいては、 純水を用いて 2000倍に希釈した濃 インクにおける; ma Xが、 6 1 2. 0 11111以上6 1 6. O nm以下である場 合に、 良好な発色性を得るために色材濃度が高く、 且つ、 上述の淡インクと組 み合わせて印字しても,、 ブロンズ現象の発生が効果的に抑制され、 高い耐環境 ガス.性を有するインクとなることわかった。更には、前記; L ma Xが、 6 1 2. O nm以上 6 14. 0 n m以下である場合に、 良好な発色性を得るために色材 濃度が高く、 且つ、 上述の淡インクと組み合わせて印字しても、 ブロンズ現象 の発生が特に効果的に抑制され、 高い耐環境ガス性を有するインクとなること わかった。 つまり、 般式 ( I ) で表される-化合物又はその塩を含有するィン クにおいて、 インクの; I ma Xが上記範囲を取るように色材の凝集性がコント ロールされている場合、 良好な発色性を得るために色材濃度が高く、 且つ、 上 述の淡ィンクと組み合わせて印字しても、 ブロンズ現象の発生が効果的に抑制
され、 高い耐環境ガス性を有することが見出された。 尚、 最大吸収波長の測定 条件は、 上述の吸光度の測定条件と同様である。
又、 本発明において用いられる色材は、 無置換スルファモイル基の数が少な く、 置換スルファモイル基又はスルホン基の数が多いほど、 凝集しにくい特性 を持つことが知られている。 特に、本発明における d 75値の規定を満たす場合 には、 一般式 (I) で表される化合物又はその塩、 或いは一般式 (I I) で表 される化合物又はその塩、 における置換基数のうち、 1が 1 1の化合物を含 有する場合、 色材の凝集を抑制することができるため、 より好ましい。
色材の検証方法
本発明において用いられる色材の一例である例示化合物 1 (—般式 (I I) で表される化合物又はその塩). の検証には、 高速液体クロマトグラブィー (H PLC) を用いた下記 (1) 〜 (3) の検証方法が適用できる。
(X) ピークの保持時間
(2) (1) のピークにおける最大吸収波長
(3) (1) のピークにおけるマススペク トルの M/Z (p o s i) 高速液体ク口マトグラフィ一の分析条件は以" Πこ示す通りである。 純水で約 50倍に希釈したインク溶液に対して、 下記の条件で高速液体クロマトグラフ ィ一での分析を行い、 メインピークの保持時間 (r e t e n t i o n t i m e)、 及び、 ピークの最大吸収波長を測定する。
·カラム: S y mm e t r y C I 8 2. 1 mm 1 5 Omm
'カラム温度': 40°C
•流速: 0. 2m 1 / i n
• PDA : 2 10 nn!〜 700 nm
又、 マススペク トルの分析条件は以下に示す通りである。 得られたピークに 対して、 下記の条件でマススぺクトルを測定し、 MZZ (p o s i) を測定す る。
·イオン化法
• E S I キヤビラリ電圧 3. 1 k V
脱溶媒ガス 300°C
イオン源温度 1 20°C
,検出器 p o s i 40 V 500-2000 amu/0. 9 s e c 例示化合物 1に対しての保持時間、最大吸収波長、 MZZの値を表 4に示す。 表 4に示された値に該当する場合、 本発明において用いる化合物に該当すると 判断できる。 本発明に用いられる色材においては、 高速液体クロマトグラフィ 一 (HPLC) のピークから得られるマススペク トルのピーク比は、 色材にお ける置換基の種類、 置換位置、 及び置換基数が異なる異性体の混合比率によつ て異なるが、 下記表 4に記載された MZZのピークは常に検出されるという特 徴を有する。 従って、 本色材の検証方法は、 インクが本発明に用いられる色材 , を含有するか否かを検証する方法として有効な手段である。 表 4
(水性媒体)
本発明のインク組成物は、 水、 或いは水と各種水溶性有機溶剤との混合溶媒
である水性媒体を使用することができる。
水溶性有機溶剤は、 水溶性であれば特に制限は無く、 エタノール、 イソプロ パノール、 nープタノール、 イソブタノール、 第二ブタノール、 第三ブタノー ル等の炭素数 1〜4のアルキルアルコール; N, N—ジメチルホルムアミ ド又 は N, N—ジメチルァセトアミ ド等のカルボン酸アミ ド; アセトン、 メチルェ チルケトン、 2—メチノレー 2—ヒ ドロキシペンタン一 4—オン等のケトン又は ケトアルコール;テトラヒ ドロフラン、 ジォキサン等の環状エーテル; グリセ リン、エチレングリコーノレ、ジエチレングリコー トリエチレングリコーノレ、 テトラエチレンダリコール、 1 , 2又は 1, 3—プロピレングリコール、 1 , 2又は 1 , 4一プチレングリコール、 ポリエチレングリコール、 1 , 3ブタン ジオール、 1 , 5—ペンタンジオール、 1 , 2一へキサンジ才ーノレ、 1 , 6一 へキサンジオール、 ジチォグリコール、 2 _メチル一 1 , 3—プロパンジォー ノレ、 1 , 2 , 6—へキサントリオール、 アセチレングリコール誘導体、 トリメ チロールプロパン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチノレ (又 はェチル) エーテル、 ジエチレンダリコールモノメチル (又はェチル) エーテ ル、 トリエチレングリコールモノェチル (又はブチル) エーテル等の多価ァノレ コールのアルキルエーテル類; 2—ピロリ ドン、 Ν—メチル一2—ピロリ ドン、 1 , 3—ジメチルー 2—ィミダゾリジノン、 Ν—メチルモルホリン等の複素環 m; ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物;尿素、 及び、 尿素誘導体等を用 , いることができる。 上記水溶性有機溶剤は、 単独で用いても、 或いは混合物と して用いても良い。 ·
これらの水溶性有機溶剤の含有量は、 ィンク全質量に対して好ましくは 5 . 0質量0/。〜 9 0 . 0質量%、 より好ましくば Γ0—:— 0質量0 /0 5 0 . 0質量0 /0 である。 含有量がこの範囲より少ない場合は、 インクジェット用として用いた 場合の吐出性等の信頼性の悪ィヒの可能性があり、 含有量がこの範囲より多い場 合は、 粘度の上昇によるインク供給不良の可能性があるためである。
又、 水は脱イオン水 (イオン交換水) を用いることが好ましい。 水の含有量 は、 インク全質量に対して 1 0 . 0質量%〜9 0 . 0質量%であることが好ま しい。
本発明においては、 上述の水溶性有機溶剤中でも、 2—ピロリ ドンは、 一般 式 (I ) で表される化合物又はその塩と併用した場合、 ブロンズ現象の発生を 特に効果的に抑制する効果があるため、 好ましい。 尚、 2—ピロリ ドンをイン クに含有させることにより前記効果を得るためには、 インク中における 2—ピ ロリ ドンの含有量 (質量%) 、 色材の含有量 (質量%) に対して 5 0 . 0 % 以上で.あることが好ましい。
又、 2—ピロリ ドンと同様の効果を有する水溶性有機溶剤には、 ポリエチレ ングリコール (分子量 2 0 0以上)、 及び、 トリエチレングリコールモノェチ ノレエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類が挙げられる。
これら特定の水溶性有機溶剤が、 プロンズ現象の発生を抑制することができ るメカニズムは明確には明らかではないが、 以下のように推測される。 インク の小角 X線散乱法による d 7 5値は、インク中におけるこれら特定の水溶性有機 溶剤の有無によっては変化しない。 このことから、 これら特定の水溶性有機溶 剤は、 インク中での色材の凝集性を変化させる訳ではなく、 記録媒体上におい て、 色材の分子集合体同志の凝集を抑制することができるためだと考えられる。 尚、 これら特定の水溶性有機溶剤をィンクに含有させることにより前記効果を 得るためには、 インク中におけるこれら特定の水溶性有機溶剤の含有量 (質 量%) 力 色材の含有量 (質量%) に対して 5 0 . 0 %以上であることが好ま しい。 '
その他の添漏 一
更に、 本発明においては必要に応じて、 界面活性剤、 p H調整剤、 防鲭剤、 防腐剤、 防カビ剤、 キレート化剤、 防锖剤、 紫外線吸収剤、 粘度調整剤、 消泡 剤、 及び、 水溶性ポリマー等、 種々の添加剤を含有させてもよい。
界面活性剤の具体例は、 ァニオン界面活性剤、 両面界面活性剤、 カチオン界 面活性剤、 ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
ァニオン界面活性剤の具体例は、 アルキルスリホカルボン酸塩、 aーォレフ インスルホン酸塩、 ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、 N—ァシル アミノ酸及ぴその塩、 N—ァシルメチルタウリン塩、 アルキル硫酸塩ポリオキ シアルキルエーテル硫酸塩、 アルキル硫酸塩ポリォキシエチレンアルキルエー テル燐酸塩、 ロジン酸石酸、 ヒマシ油硫酸エステル塩、 ラウリルアルコール硫 酸エステル塩、アルキルフエノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、 アルキルァリルスルホン塩酸、 ジェチルスルホ琥珀酸塩、 ジェチルへキシノレス ルホ琥珀酸ジォクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
力チオン界面活性剤の具体例は、 2—ビュルピリジン誘導体、 ポリ 4一ビニ ルビリジン誘導体等がある。 両面活性剤としては、 ラウリルジメチルァミノ酢 酸べタイン、 2—アルキル一 N—カルボキシメチルー N—ヒドロキシェチノレイ ミダゾリニゥムべタイン、 ヤシ油脂肪酸ァミドプロピルジメチルァミノ酢酸べ タイン、 ポリォクチルポリアミノェチルダリシン、 その他ィミダゾリン誘導体 等がある。
ノ二オン界面活性剤の具体例は、 ポリォキシエチレンノ二ルフヱニルエーテ ノレ、 ポリオキシエチレンォクチルフエニルエーテル、 ポリオキシエチレンドデ シルフェニルエーテル、 ポリオキシエチレンラウリノレエ一テル、 ポリオキシェ ' チレンォレイルエーテル、 ポリォキシエチレンアルキルエーテル、 ポリオキシ ァリルキルアルキルエーテル等のエーテル系、 ポリオキシエチレンォレイン酸、 ポリオキシエチレンォレイン酸エステル、 ポリオキシエチレンジステアリン酸 エステル、 ソレビタシラヴ ート、 ソルビダンモノステア ード、 ソルビタン— モノォレエート、 ソルビタンセスキォレート、 ポリオキシエチレンモノ才レエ ート、 ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、 2 , 4 , 7 , 9ーテ ― トラメチル一5—デシン一 4, 7—ジオール、 3, 6—ジメチルー 4一才クチ
ン一 3 , 6—ジオール、 3 , 5—ジメチル一 1 一へキシン一 3—オール等のァ セチレングリコール系 (例えば、川研ファインケミカル製ァセチレノール E H、 日信化学製サーフィノール 1 0 4、 8 2、 4 6 5、 オルフイン S T G等) が挙 げられる。
p H調整剤は、 ィンクのp Hを6 . 0〜 1 1 . 0の範囲に制御できるもので あれば任意の物質を用いることができる。 具体的には、 例えば、 ジエタノール ァミン、 トリエタノールアミン> イソプロパノールァミン、 トリスヒドロキシ メチルァミノメタン等のアルコールァミン化合物、 水酸化リチウム、 水酸化力 リウム等のアルカリ金属の水酸ィ匕物、 水酸化アンモニゥム、 あるいは炭酸リチ ゥム、 炭酸ナトリウム、 炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられ る。 中でも、 ジエタノールァミン、 トリエタノールァミン、 イソプロパノール ァミン、 トリスヒドロキシメチルァミノメタン等のアルコールァミン化合物や 炭酸リチウム、 炭酸ナトリウム、 炭^カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩は、 プロンズ現象の発生を抑制する効果があるために好ましい。
防腐剤 ·防カビ剤の具体例は、 例えば、 有機硫黄系、 有機窒素硫黄系、 有機 ノヽロゲン系、 ノヽロアリノレスルホン系、 ョードプロパギル系、 N—ハロアノレキノレ. チォ系、 ベンツチアゾール系、 二ト_チリル系、 ピリジン系、 8—ォキシキノリ ン系、 ベンゾチアゾール系、 イソチアゾリン系、 ジチオール系、 ピリジンォキ シド系、 ニトロプロパン系、 有機スズ系、 フエノー 系、 第 4アンモニゥム塩 , 系、 トリアジン系、 チアジアジン系、 ァニリ ド系、 ァダマンタン系、 ジチォ力 ーバメイト系、 ブロム化インダノン系、 ベンジルブロムアセテート系、 無機塩 系等の化合物が挙げもれる。 '
有機ハロゲン系化合物は、 例えば、 ペンタクロロフ;!:ノ^"ノレナトリウムが挙 げられ、 ピリジンォキシド系化合物は、 例えば、 2 _ピリジンチオール一 1ォ キサイドナトリゥムが挙げられ、 無機塩系化合物は、 例えば無水酢酸ソーダが ' 挙げられ、 イソチアゾリン化合物は、 例えば、 1 , 2—べンズィソチアゾリン
一 3—オン、 2— n—ォクチル一 4一イソチアゾリンー 3—オン、 5—クロ口 一 2—メチノレー 4ーィソチアゾリンー 3一オン、 5—クロロー 2—メチノレー 4 ーィソチアゾリンー 3—オンマグネシウムクロライド、 5—クロロー 2—メチ ルー 4ーィソチアゾリンー 3—オンカルシウムクロライド等が挙げられる。 そ の他の防腐剤 ·防力ビ剤の具体例として、 ソルビン酸ソーダ安息香^ナトリウ ム等、 例えば、 アベシァ製プロキセル G X L ( S )、 プロキセル X L— 2 ( S ) 等が挙げられる。
キレート化剤は、 例えば、 クェン酸ナトリウム、 エチレンジァ ン四酢酸ナ トリウム、 ニニトロ三酢酸ナトリウム、 ヒドロキシェチルエチレンジァミン三 酢酸ナトリウム、 ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、 ゥラミル二酢酸ナ トリゥム等が挙げられる。
防鲭剤は、 例えば、 酸性亜硫酸塩、 チォ硫酸ナトリウム、 チォグリコール酸 アンモニゥム、 ジイソプロピルアンモニゥムナイトライト、 四硝酸ペンタエリ スリ トール、 ジシクロへキシルアンモニゥムナイトライト等が挙げられる。 紫外線吸収剤は、 例えば、 ベンゾフエノン系化合物、 ベンゾトリアゾール系 化合物、 桂皮酸系化合物、 トリアジン系化合物、 スチルベン系化合物、 又は、 ベンズォキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化 合物、 いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤は、 水溶性有機溶剤の他に、 水溶性高分子化合物が挙げられ、 例 えば、 ポリビエルアルコール、 セルロース誘導体、 ポリアミン、 ポリイミン等 が挙げられる。
消泡剤は、 フッ素系、 シリコーン系化合物が必要に応じて用いられる。
く記録媒体 >——一
本発明のィンクを用いて画像を形成する際に用いる記録媒体は、 ィンクを付 与して記録を行う記録媒体であれば何れのものでも使用することができる。 本発明は、 色材ゃ顔料等の色材をィンク受容層内の多孔質構造を形成する微
粒子に吸着させて、 少なくともこの吸着した微粒子から画像が形成される記録 媒体に適用され、 インクジェット法を利用する場合に特に好適である。 このよ うなィンクジェット用の記録媒体は支持 上のィンク受容層に形成された空 隙によりインクを吸収するレ、わゆる吸収タイプであることが好ましレ、。
吸収タイプのインク受容層は、 微粒子を主体とし、 必要に応じて、 バインダ 一やその他の添加剤を含有する多孔質層として構成される。 微粒子の具体例は、 - シリカ、 クレー、 タルク、 炭酸カルシウム、 カオリン、 アルミナあるいはアル ミナ水和物等の酸ィヒアルミニウム、珪藻土、酸化チタン、ハイドロタルサイト、 酸化亜鉛等の無機顔料や尿素ホルマリン樹脂、 エチレン樹脂、 スチレン樹脂等 の有機顔料が挙げられ、 これらの 1種以上が使用される。 バインダーとして好 適に使用されているものには水溶性高分子ゃラテツタスを挙げることができ る。 例えば、 ポリビニルアルコール又はその変性体、 澱粉又はその変性体、 ゼ ラチン又はその変性体、 アラビアゴム、 カルボキシメチルセルロース、 ヒ ドロ キシェチノレセノレロース、 ヒ ドロキシプロオイノレメチ/レセノレロース等のセノレロー ス誘導体、 S B Rラテックス、 N B Rラテックス、 メチルメタタリレート:"ブ タジ ン共重合体ラテックス、 官能基変性重合体ラテックス、 エチレン酢酸ビ ニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、 ポリビニルピロリ ドン、 無水 マレイン酸又はその共重合体、 アタリル酸エステル共重合体等が使用され、 必 要に応じて 2種以上を組み合わせて用いることができる。 その他、 添加剤を使 用することもでき、 例えば、 必要に応じて分散剤、 増粘剤、 p H調整剤、 潤滑 剤、流動性変性剤、界面活性剤、 消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、 酸化防止剤等が使用される。
特に、 本発明 1こお sて好ましく用いられる記録媒体は、 平均粒子径が 1 - m 以下である微粒子を主体として、 ィンク受容層を形成した記録媒体が好ましい。 前記微粒子の具体例は、 シリカ微粒子や酸ィヒアルミニウム微粒子等が挙げられ る。 シリカ微粒子として好ましいものは、 コロイダルシリカに代表されるシリ
力微粒子である。 ロイダルシリカ自体は市場より入手可能であるが、特には、 例えば特許第 2803134号、 同 2881847号公報に掲載されたものが 好まし!/、。 酸化アルミ微粒子として好まし 、ものは、 アルミナ水和物微粒子等 である。 このようなアルミナ系顔料の一つとして下記式により表されるアルミ ナ水和物を挙げることができる。
A l 203_n (OH) 2η Η20
(上記式中、 ηは 1、 2又は 3の整数の何れかを表し、 mは 0〜10、 好まし くは 0〜 5の値を表す。伹し、 mと nは同時には 0にはならない。 mH20は、 多くの場合 mH2 O結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すもの である為、 mは整数又は整数でない値を取ることもできる。 又この種の材料を 加熱すると mは 0の値に達することがありうる。)
アルミナ水和物は、 米国特許第 4, 242, 271号、 米国特許第 4, 20 2, 870号に記載のアルミニウムアルコキシドの加水分解、 アルミン酸ナト リゥムの加水分解、 又、 特公昭 57— 44605号公報に記載のアルミン酸ナ トリゥム等の水溶液に硫酸ナトリゥム、 塩化アルミニウム等の水溶液を加えて 中和を行う方法等、 公知の方法で製造することができる。
記録媒体は上記したィンク受容層を支持するための支持体を有することが 好ましい。 支持体は、 インク受容層が、 上記多孔質の微粒子で形成することが 可能であって、 且つインクジェットプリンタ等の搬送機構によって搬送可能な- 剛度を与えるものであれば、 特に制限はなく、 何れのものでも使用できる。 具 体的には、 例えば、 天然セルロース繊維を主体としてパルプ原料から成る紙支 持体、 ポリエステル (例:ポリエチレンテレフタラート)、 セルローストリア セテート、 ポリガニポネード、 ポリ塩化ピ ^ル、 ポ プロピレン、 ポリイミ ド 等の材料からなるプラスチック支持体、 基紙の少なくとも一方に白色顔料等を 添加したポリオレフィン樹脂被樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙 (例: R Cぺー パー) が挙げられる。
<インクセット >
本発明の淡インクは、 他のインクと組み合わせてインクセットとした ¾ ^に おいても好ましく使用することができる。 又、 本発明におけるインクセットと は、 インクタンクが複数一体になつているインクタンク自体は無論のこと、 単 独のインクタンクを複数組み合わせて使用する場合の状^も含み、 更に、 前記 インクタンク及び記録ヘッドを一体としたものも含まれる。 例えば、 本発明の 淡インクと、 これと共に用いられる濃インクをそれぞれ単独のインクタンクと して使用する状態や、 本発明の淡インクと他のインクが一体となったインク力 ートリッジと、 本発明の淡インクと共に用いられる濃インクと田のインクが一 体となったインクカートリッジとを共に使用する状態が挙げられる。
<ィンクジェット記録方法〉 ·
本発明にかかるインクは、 インクをインクジエツト方法で吐出する工程を有 するインクジエツト記録方法に用いることが特に好適である。 インクジエツト 記録方法は、 ィンクに力学的エネルギーを作用させてィンクを吐出させる記録 方法、 及びインクに熱エネルギーを作用させてインクを吐出させる記録方法等 がある。 特に、 本発明においては、 熱エネルギーを利用するインクジェット記 録方法を好ましく用いることができる。
くィンクカートリッジ〉
本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジ は、 これらのインクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジが挙 げられる。
<記録ュニット>
本発明にかかるィ ク—を—用いて記錄を行うの—に好適な記録ュニットは、 これ らのインクを収容するインク収容部と、 記録へッドとを備えた記録ュニットが 挙げられる。 特に、 前記記録へッドが、 記録信号に対応した熱エネルギーをィ ンクに作用させ、 前記エネルギーによりインク液滴を発生させる記録ュニット
が挙げられる。
<ィンクジヱット記録方法 >
本発明にかかるインクは、 インクをインクジヱット方法で吐出する工程を有 するインクジェット記録方法に用いることが特に好適である。 インクジェット 記録方法は、 インクに力学的エネルギーを作用させてインクを吐出させる記録 方法、 及びィンクに熱エネルギーを作用させてィンクを吐出させる記録方法等 がある。 特に、 本発明においては、 熱エネルギーを利用するインクジェット記 録方法を好ましく用いることができる。
<インクカートリッジ〉
本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジ は、 これらのインクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジが挙 げ、られる。
く記録ュニット〉 - 本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適な記録ュニットは、 これ らのインクを収容するインク収容部と、 記録へッドとを備えた記録ュニットが 挙げられる。..特に、 前記記録へッドが、 記録信号に対応した熱エネルギーをィ ンクに作用させ、 前記エネルギーによりインク液滴を発生させる記録ュニット ■ が挙げられる。
<インクジェット記録装置 >
- 本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適な記録装置は、 これらの インクが収容されるインク収容部を有する記録へッドの室内のインクに、 記録 信号に対応した熱 ネルギーを与え、 前記エネルギーによりィンク液滴を発生 ― させる装蘆が拳げられる。
以下に、 インクジェット記録装置の機構部の概略構成を説明する。 記録装置 本体は、 各機構の役割から、 給紙部、 用紙搬送部、 キャリッジ部、 排紙部、 ク リーニング部及びこれらを保護し、 意匠性を持たす外装部から構成されている。
以下、 これらの概略を説明していく。
図 4は、 記録装置の斜視図である。 又、 図 5及ぴ図 6は、 記録装置本体の内 部機構を説明するための図であり、 図 5は右上部からの斜視図、 図 6は記録装 置本体の側断面図をそれぞれ示したものである。
記録装置において給紙を行う際には、 まず給紙トレイ M 2 0 6 0を含む給紙 部において記録媒体の所定枚数のみが給紙ローラ M 2 0 8 0と分離ローラ M 2 0 4 1から構成されるニップ部に送られる。 送られた記録媒体はニップ部で '分離され、 最上位の記録媒体のみが搬送される。 用紙搬送部に送られた記録媒 体は、 ピンチローラホルダ M 3 0 0 0及ぴペーパーガイドフラッパー M 3 0 3 0に案内されて、 搬送ローラ M 3 0 6 0とピンチローラ M 3 0 7 0とのローラ 対に送られる。 搬送ローラ M 3 0 6 0とピンチローラ M 3 0 7 0とからなる口 ーラ対は、 L Fモータ E 0 0 0 2の駆動により回転され、 この回転により記録 媒体がプラテン M 3 0 4 0上を搬送される。
キヤリッジ部では記録媒体に画像を形成する場合、 記録へッド H 1 0 0 1 (図 7 ) を目的の画像形成位置に配置させ、 電気基板 E 0 0 1 4からの信号に 従って、 記録媒体に対しインクを吐出する。 記録へッド H I 0 0 1についての 詳細な構成は後述するが、 記録へッド H 1 0 0 1により記録を行いながらキヤ リッジ M4 0 0 0が列方向に走査する記録主走査と、 搬送ローラ M 3 0 6 0に より記録媒体が行方向に搬送される副走査とを交互に繰り返すことにより、 記- 録媒体上に画像を形成していく構成となっている。
最後に画像を形成された記録媒体は、 排紙部で第 1の排紙ローラ M 3 1 1 0 と拍車 M 3 1 2 0との二ップに挟まれ、 搬送されて排紙トレイ M 3 1 6 0に排
— 出きれる。— - 尚、 タリ一二ング部において、 画像記録前後の記録へッド H 1 0 0 1をクリ 一二ングする目的のために、 キャップ M 5 0 1 0を記録ヘッド H 1 0 0 1のィ ンク吐出口に密着させた状態で、 ポンプ M 5 0 0 0を作用させると、 記録へッ
ド HI 001から不要なインク等が吸引されるようになっている。 又、 キヤッ プ M5010を開けた状態で、 キャップ M5010に残っているインクを吸引 することにより、 残インクによる固着及びその後の弊害が起こらないように配 , 慮されている。
5 (記録ヘッド構成) '
へッドカートリッジ H 1000の構成について説明する。 へッドカートリッ ジ H 1000は、 記録へッド HI 001と、 インクタンク HI 900を搭載す る手段、 及びインクタンク HI 900から記録ヘッドにインクを供給するため の手段を有しており、 キヤリッジ M4000に対して着脱可能に搭載される。0 図 7は、 へ ;ンドカートリッジ H 100 CHこ対し、 インクタンク H 1900を 装着する様子を示した図である。 記録装置は、 イェロー、 マゼンタ、 シアン、 ブラック、淡マゼンタ、淡シァン、及ぴグリーンインクによつて画像を形成し、 従ってインクタンク HI 900も 7色分が独立に用意されている。 上記におい て、 少なくとも一種のインクに、 本発明にかかるインクを用いる。 そして、 図5 に示すように、 それぞれがへッドカートリッジ H 1000に対して着脱自在と なっている。 尚、 インクタンク H 1900の着脱は、 キャリッジ M4000に へッドカートリッジ HI 000が搭載された状態で行えるようになつている。 図 8は、 へッドカートリッジ H 1◦ 00の分解斜視図を示したものである。 図において、 へッドカートリッジ H 1000は、 第 1の記録素子基板 H 1100, 0及び第 2の記録素子基板 H 1101、 第 1のプレート HI 200、 第 2のプ レート HI 400、 電気配線基板 HI 300、 タンクホルダー HI 500、 流 路形成部材 HI 600、 フィルター HI 700、 シールゴム H 1800等から
"― 構成されている。 ― 一―
第 1の記録素子基板 H 1100及び第 2の記録素子基板 H 1101は S i5 基板であり、 その片面にインクを吐出するための複数の記録素子 (ノズ が フォトリソ技術により形成されている。 各記録素子に電力を供給する A 1等の
電気配線は、 成膜技術により形成されており、 個々の記録素子に対応.した複数 のインク流路も又、 フォトリソグラフィ技術により形成されている。 更に、 複 数のィンク流路にィンクを供給するためのィンク供給口が裏面に開口するよ うに形成されている。
図 9は、 第 1の記録素子基板 H 1100及び第 2の記録素子基板 H 1101 の構成を説明するための正面拡大図である。 H2000〜H2600は、 それ ぞれ異なるィンク色に対応する'記録素子の列(以下ノズル列ともいう)であり、 第 1の記録素子基板 HI 100には、 イェローインクの供給されるノズル列 H
2000、 マゼンタインクの供給されるノズル列 H 2100、 及ぴシアンイン クの供給されるノズル列 H2200の 3色分のノズル列が構成されている。 第
2の記録素子基板 HI 101に ίま、 淡シアンインクの供給されるノズル列 Η 2
300、 ブラックインクの供給されるノズル列 Η 2400、 オレンジインクの 供給されるノズル列 Η 2500、 及び淡マゼンタインクの供給されるノズル列 Η2600の 4色分のノズル列が構成されている。
各ノズル列は、 記録媒体の搬送方向に 1200 dp i ( d o t / i n c h ; 参考値) の間隔で並ぶ 768個のノズルによって構成され、 約 2ピコリットル のインク滴を吐出させる。 各ノズル吐出口における開口面積は、 およそ 100 平方 μπι2に設定されている。 又、 第 1の記録素子基板 HI 100及び第 2の 記録素子基板 HI 101は第 1のプレート HI 200に接着固定されており、- ここには、 第 1の記録素子基板 H 1100及び第 2の記録素子基板 H 1101 にインクを供給するためのインク供給口 HI 201力' S形成されている。
更に、 第 1のプレート HI 200には、 開口部を有する第 2のプレート HI 400が接着阖定ざ でお—り、 との第 2めプ 1 F H I 00は、 電気配線基 板 H 1300と第 1の記録素子基板 H 1100及び第 2の記録素子基板 H 1 101とが電気的に接続されるように、 電気配線基板 HI 300を保持してい る。
'電気配線基板 H 1300は、 第 1の記録素子基板 H I 100及び第 2の記録 素子基板 HI 101に形成されている各ノズルからインクを吐出するための 電気信号を印加するものであり、 第 1の記録素子基板 H 1 100及び第 2の記 録素子基板 HI 101に対応する電気配線と、 この電気配線端部に位置し記録 装置本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子 H 1301とを 有している。 外部信号入力端子 H 1301は、 タンクホルダー H 15.00の背 面側に位置決め固定されている。
一方、 ィンクタンク H 1900を保持するタンクホルダー H 1500には、 流路形成部材 H 1600が例えば超音波溶着により固定され、 インクタンク H 1 900から第 1のプレート HI 200に通じるインク流路 HI 501を形 成している。
インクタンク H 1900と係合するィンク流路 H 1 501のインクタンク 側端部には、 フィルター HI 700が設けられており、 外部からの塵埃の侵入 を防止し得るようになつている。 又、 インクタンク HI 900との係合部には シールゴム HI 800が装着され、 係合部からのインクの蒸発を防止し得るよ うになつている。
更に、 前述のようにタンクホルダー H 1500、 流路形成部材 HI 600、 フィルター H 1 700及びシールゴム H 1800から構成されるタンクホル ダ一部と、 第 1の記録素子基板 H 1100及び第 2の記録素子基板 H 1 101、 , 第 1のプレート HI 200、 電気配線基板 HI 300及び第 2のプレート HI 400から構成される記録へッド部 HI 001とを、 接着等で結合することに より、 へッドカートリッジ HI 000が構成されている。
尚、 ここでは記録ベーツ-ドの一形態として、—電気信号に応じて膜沸縢をイング- に対して生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体 (記録素子) を用いて記録を行うバブルジェット (登録商標) 方式の記録へ: i ドについて一 例を挙げて述.ベた。
この代表的な構成や原理については、 例えば、 米国特許第 4 , 7 2 3 , 1 2 ' 9号明細書、 同第 4 , 7 4 0 , 7 9 6号明細書に開示されている基本的な原理 を用いて行うものが好ましい。 この方式は、 所謂オンデマンド型、 コンティニ ユアス型の何れにも適用可能であるが、 特に、 オンデマンド型の場合には、 液 体 (インク) が保持されているシートや液流路に対応して配置されている電気 熱変換体に、 記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える 少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、 電気熱変換体に熱エネノレ ギーを発生せしめ、 記録ヘッドの熱作用面に膜沸縢を生じさせて、 結果的にこ の駆動信号に一対一で対応した液体 (インク) 内の気泡を形成できるので有効 である。 この気泡の成長、 収縮により吐出用開口を介して液体 (インク) を吐 出させて、 少なくとも一つの滴を形成する。 この駆動信号をパルス形状とする と、即時適切に気泡の成長'収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(ィ ンク).の吐出が達成でき、 より好ましい。
又、 第二の力学的エネルギーを利用したインクジエツト記録装置の形態とし て、 複数のノズルを有するノズル形成基板と、 ノズルに対向して配置される圧 電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、 'この圧力発生素子の周囲を満たす インクを備え、 印加電圧により圧力発生素子を変位させ、 インクの小液滴をノ ズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録へッドを挙げることが できる。
- 又、 インクジェット記録装置は、 上述のようにヘッドとインクタンクとが別 体となったものに限らず、 それらが分離不能に一体になったものを用いるもの でもよい。 又、 インクタンクはヘッドに対し分離可能又は分離不能に一体ィ匕さ れて ャ―リッジに—擦載ぎ る—もめのほが Γ装置 —定部位に設—けられて、 ィン ク供給部材、 例えばチューブを介して記録へッドにィンクを供給する形態のも のでもよい。 更に、 記録ヘッドに対し好ましい負圧を作用させるための構成を インクタンクに設ける場合には、 インクタンクのインク収納部に吸収体を配置
した形態、 あるいは 撓性のインク収容袋とこれに対しその内容積を拡張する 方向の付勢力を作用するばね部とを有した形態等を採用することができる。 又、 記録装置は、 上述のようにシリアル記録方式を採るもののほか、 記録媒体の全 幅に対応した範囲にわたつて記録素子を整列させてなるラインプリンタの形 態をとるものであってもよい。
実施例
以下、実施例及び比較例を用いて本努明を更に詳細に説明するが、本発明は、 その要旨を超えない限り、 下記の実施例によって何ら限定されるものではなレ、。 尚、 特に指定の無い限り、 実施例、 比較例のインク成分は 「質量部」 を意味す る。
く色材の合成 >
( 1 )銅フタロシア-ンテトラスルホン酸テトラナトリウム塩(ィ匕合物(2 ) ) の合成 .
化合物 (2 )
スルホラン、 4ースルホフタル酸モノナトリウム塩、 塩化アンモニゥム、 尿 素、 モリブデン酸アンモニゥム、 塩化銅 ( Π ) を混合し、 攪拌した後、 メタノ
ールで洗浄を行った。 その後、 水を加え、 水酸化ナトリウム水溶液を用いて、 溶液の pHを 11に調整した。 得ちれた溶液に攪拌下で塩酸水溶液を加え、 更 に塩ィヒナトリウムを ^々に加え、 結晶を析出させた。 得られた結晶を濾別した ものを、 20%塩ィヒナトリウム水溶液で洗浄し、 続いてメタノールを加え、 析 出した結晶を濾別し、 70%メタノール水溶液で洗浄した後に乾燥させ、 化合 物 (2) の銅フタロシアニンテトラスルホン酸テトラナトリウム塩を青色結晶 として得た。
(2) 銅フタロシアニンテトラスルホン酸クロライド (化合物 (3)) の合 成
化合物 (3)
クロロスルホン酸中に、 上記で得られた銅フタロシア-ンテトラスルホン酸 テトラナトリウム塩 (化合物 (2)) を徐々に加え、 更に、 塩ィ匕チォニルを滴 —下し、 反応—を行 た- Γその—後 反応液を冷却! 祈-出じた結晶を濾過し; 銅フ タロシアニンテトラスルホン酸クロライドのゥエツトケーキを得た。
(3) 下記化合物 (4) の合成
化合物 (4) は、 一般式 (I V) において、 Yがァミノ基、 Rい R2が 2、
5位に置換したスルホン基である化合物である。
化合物 (4)
氷水中に、 リパール OH、 塩化シァヌル、 ァニリン一 2, 5—ジスルホン酸 モノナトリゥム塩を加え、 水酸化ナトリゥム水溶液を添加しながら反応を行つ た。 次に、 反応液 、 水酸ィヒナトリウム水溶液を添加して、 反応液の pHを 1 0に調整した。この反応液に、 28%アンモニア水、エチレンジァミンをカロえ、 反応を行った。 得られた反応液に、 塩ィヒナトリウム、 濃塩酸を滴下して、 結晶 を析出させた。 析出した結晶を濾過分取し、 20%塩ィ匕ナトリウム水溶液で洗 浄し、 ウエットケーキを得た。 得られたウエットケーキに、 メタノール及び水 を加え、 更に濾過し、 メタノールで洗浄を行った後、乾燥させて、化合物 (4) を得た。 ·
(4) 色材 A〜Nの合成
氷水中に、 (2) で得られた銅フタロシアニンテトラスルホン酸クロライド (化合物 (3)) のウエットケーキを加え、 攪拌を行って懸濁させ、 更に、 ァ . ンモユア水、 (3) で得られた化合物 (4) を添カ卩して、 反応を行った。 これ に、水、塩ィヒナトリゥムを加えて、結晶を析出させた。得られた結晶を濾過し、 塩ィ匕ナトリウム水溶液で洗浄し、 再度濾過を行った後、 洗浄、 乾燥させて、 青 —色—結晶どじて色材 Aを得た。 上記反応がら ての—化合物は例示化合物 1で表ざ れる化合物であり、 一般式 ( I ) における置換基数の平均が 1 = 1. 0〜 1. 5、 m= 1. 0〜1. 5、 n = 2. 0〜2. 5の範囲で示される色材であると 推定される。
上記と同様の合成フローで、 例示化合物 1で表される化合物であり、 一般式 (I) における置換基数の平均がそれぞれ異なる色材 B〜Nを合成した。 色材 A〜Nにおける置換基数の平均を下記表 5に示す。 表 5
(1) 濃インクの調製 '
下記表 6に示した各成分を混合し、 十分撹拌した後、 ポアサイズ 0. 2 j m のメンブランフィルタ一にて加圧濾過を行い、 濃インク A〜Eを調製した。 表 6
(*).アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(界面活性剤;川研ファインケミカル製)
(2) 淡インクの調製
下記表 7に示した各成分を混合し、 十分撹拌した後、 ポアサイズ 0 のメンブランフィルタ一にて加圧濾過を行い、 淡インク A、 G、 I、
M、 Nを調製した。 表 7
(*)アセチレングリコールエチレン才キサイド付加物
(界面活性剤;川研ファインケミカル製)
(3) d 75値の測定
濃インク A〜E (色材濃度: 3. 0質量0 /0)、 及び淡インク A、 G、 I、 J、 □Κ、 Μ、 Ν (色材濃度: 0. 5質量%) について、 小角 X線散乱法により散乱 角プロフアイルを測定した。 散乱角プロフアイルの測定条件は以下に示す通り である。
,装置: Na n o V i ewe r (理学製)
• X線源: C u-Ka
•出力: 45 kV— 60 mA
•実効焦, : 0— ·― 3 ιϋ m φ—+ C o n f o c a——— 1 " M a x一 F 1 u x Mi x τ o r
• 1 s t S 1 i t : 0. 5 mm, 2nd S 1 i t : 0. 4 mm, 3rd S I i t : 0. 8mm
•照射時間: 4 Om i n (濃インク)、 240m i n (淡インク)
• ビーム'ストッノ 一: 3. Οπιηιφ
•測定法:透過法
•検出器: B l u e I ma g i n g P l a t e
得られた散乱角プロファイルから、 X線回折データ処理ソフト J ADE (M a t e r i a l D a t a , I n c: ) を用いて、 ノ ックグラウンドを除去し たピーク面積、 及び、:同ピーク面積全体の 7 5%以上が含まれる 2 0値 (2 Θ 75値) を測定した。 又、 2 075値から、 下記式 (2) に基づいて d 75値を算 出した。 結果を表 8に示す。 d15 = ~ -—— 式 (2)
2 sm ΘΊ^
(4) 最大吸収波長 ( ma x) の測定
濃インク A〜E (色材濃度: 3. 0質量0 /0)、 及び淡インク A、 G、 I、 J、 Κ、 Μ、 Ν (色材濃度: 0. 5質量%) を、 それぞれ純水で 2000倍に希釈 した後に、 最大吸収波長 ( ma x) を測定した。 結果を表 8に示す。 最大吸 収波長 (; Lma x) の測定条件は以下に示す通りである。
•分光光度計: 自記分光光度計 (商品名: U— 3 3 00 ; 日立製作所製) •測定セノレ : 1 cm 石英セノレ '
•サンプリング間隔: 0. l nm .
·スキャン速度: 3 0 n Zm i n
·測定回数: 5回測定平均
表 8
(5) 記録物の作成 .
ィンクジェット記録装置 (商品名 : P i xu s 950 i ;キヤノン製) に 上記で得られた濃インク及び淡インクをそれぞれ搭載し、 インクジエツト用光 沢メディァ (商品名:. P R 101 ;キヤノン製) に、 印字 d u t yを 5、 12、 21、 29、 35、 43、 51、 58、 66、 74、 85、 90、 100%と 変化させて、 前記濃ィンク及び前記淡ィンクをそれぞれ重ね打ちした階調パタ ーンを印字して、 記録物を作成した。 '
(6) 耐ブロンズ性の評価
上記で得られた記録物の階調パターンにおいて、 ブロンズ現象が発生する印 字 d u t yを目視で確認し、 その印字 d u t yをブロンズ現象が発生する印字 . d u t yとした。 一般にブロンズ現象は印字 d u t yが高くなるのに従って発 生しやすくなる傾向がある。 つまり、 ブロンズ現象が発生する印字 d u t yが 低いほどブロンズ現象が発生しやすく、 ブロンズ現象が発生する印字 d u t y—が高いほどブ ΰ—ジズ現象が発—生じにくいィフ—クーど言える。— - ― そこで、 所定の濃インク及び淡インクを重ね打ちした階調パターンにおける ブロンズ現象が発生する印字 d u t yから、 インクの耐ブロンズ性を判断する こととした。 耐ブロンズ性の基準は下記に示すように、 AA、 A、 B、 C、 D
の 5段階に設定し、 階調パターンにおいてブロンズ現象が発生する印字 dひ t yのクロス部分がどの判断基準に対応しているかを調べた。 又、 表 9に示した 5段階の判断基準は、 記録物におけるブロンズ現象の発生を目視により判定し た結果と対応している。 例えば、 階調パターンにおいて、 ブロンズ現象が発生 する印字 d u t yが AAであるインクは、 記録物においてブロンズ現 が発生 しないレベルである。
AA:記録物において、 ブロンズ現象が発生しないレベル。
A:記録物において、 ほとんどブロンズ現象が発生しないレベル。
B :記録物において、 視覚判断でブロンズ現象が発生しているかどう力分か なレ、レべノレ。 '
C :記録物において、 視覚判断でブロンズ現象の発生が分かる場合があるレ ベノレ。
D :記録物において、 視覚判断でブロンズ現象の発生が分かるレベル。 表 9
表 9をもとに、 濃インク A〜E及ぴ淡インク A、 G、 I 、 J 、 Κ、 Μ、 Νを 組み合わせて階調パターンを印字して記録物を作成した。 得られた階調パター ンにおいて、 ブロンズ現象が発生する印字 d u t yを目視で確認し、 その印字
d u t yに対応する表 5のクロス部分から、耐ブロンズ性の評価を行った。尚、 ブロンズ現象が-発生する印字 d u t yの判定基準が複数にまたがる場合には、 その中で最も低い評価を採用することとした。 評価結果を表 1 0に示す。 表 1 0 '
<耐ブロンズ性、 耐環境ガス性の評価 >
( 1 ) 濃インクの調製
下記表 1 1に示した処方 1〜4に従って各成分を混合し、 十分撹拌した後、 ポアサイズ 0 . 2 mのメンブランフィルタ一にて加圧濾過を行い、 濃インク を調製した。 尚、 表 5の色材 Aを用いて、 処方;!〜 4に従って調製した濃イン クをそれぞれ A 1〜 A 4、 以下同様にして、 下記表 1 1に示す A 1〜 I 1の濃 インクを調製した。 .
( 2 ) 淡インクの調製
下記表 1 1に示した処方 5〜8に従って各成分を混合し、 十分撹拌した後、 ポアサイズ 0 . 2 /i mのメンブランフィルタ一にて加圧濾過を行い、 淡インク を調製した。 尚、 色材 Gを用いて、 処方 5〜8に従って調製した淡インクをそ れぞれ G 5〜G 8、 以下同様にして、 下記表 1 1に示す A 5〜N 5の淡インク を調製した。
¾11
(*)アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(界面活性剤;川研ファインケミカル製)
(2 -ピロリドンの含有量 (貢量%)/色材の含有量 (質量%)) X100[%]
(3) d75値の測定
得られた濃ィンク及び淡ィンクについて、 小角 X線散乱法により散乱角プロ ファイルを測定した。 但し、 濃インクはそれぞれ純水で 1. 67倍に希釈した 後に、 又、 淡インクはそれぞれ純水で 3. 0倍に希釈した後に、 散乱角プロフ アイノレを測定した。 散乱角プロファイルの測定条件は以下に示す通りである。 •装置: Na n o V i ewe r (理学製)
• X線源: Cu-Ka
•出力: 45 k V— 60 mA
•実効焦点: 0. 3mm ψ + C o n f o c a 1 Ma x— F l ux M i r r
0 r
• 1 s t S 1 i t : 0. 5 mm, 2nd S 1 i t : 0. 4 mm, 3 rd S I
1 t : 0. 8 mm
•照射時間: 40— mT n— (濃ィンク)、 240m Γη (淡ィンク) —- - ' ビームストツノ、0一: 3. 0mm<i)
•測定法:透過法
'検出器: B 1 u e Ima g i n g P l a t e
得られた散乱角プロブアイルから、 X線回折データ処理ソフト J AD E (M a t e r i a l Da t a I n c. 製) を用いて、 バックグラウンドを除去 したピーク面積、 及び、 同ピーク面積全体の 75%以上が含まれる 20値 (2 075値) を測定した。 又、 2 75 '値から、 下記式 (2) に基づいて d75値を 算出した。 結果を表 12に示す。 . d15 ^-^― 式 (2)
sin θ15
(4) 最大吸収波長 (え ma x) の測定
得られた濃ィンク及ぴ淡ィンクを、 それぞれ純水で 2000倍に希釈した後 に、 最大吸収波長 (; Lma X) を測定した。 結果を表 12に示す。 最大吸収波 長 (; Lma x) の測定条件は以下に示す通りである。
-分光光度計: 自記分光光度計 (商品名: U— 3300 ; 日立製作所製) •測定セル: 1 cm .石英セル
•サンプリング間隔: 0. 1 nm
•スキャン速度: 30 nmZm i n
·測定回数: 5回測定平均
(4) 記録物の作成
ィンクジェット記録装置 (商品名: P i X u s 950 i ;キヤノン製) に 上記で得られた濃インク及び淡インクをそれぞれ搭載し、 インクジエツト用光 沢メディア (商品名: PR 101 ;キヤノン製)に、印字 d u t yを 5、 12、 21、 29、 35、 43、 51、 58、 66、 74、 85、 90、 100%と 変化させて、 前記濃ィンク及び前記淡ィンクをそれぞれ重ね打ちした階調バタ ーンを印字して、 記録物を作成した。
(5) 耐ブロンズ性の評価
上記で得られた記録物の階調パターンにおいて、 耐ブロンズ性の評価を行つ た。 評価方法等は、 上記と同様である。 評価結果を表 12に示す。
(6) .耐環境ガス性の評価
上記で得られた記録物を、 オゾン試験装置 (商品名: OMS— H;スガ試験 機製) 中に置き、 温度 40°C、 湿度 55%、 オゾンガス濃度 2 p pmの環境で 20時間、 オゾン暴露を行った。 前記暴露試験前後の記録物の、 濃インクの印 字 d u t yが 51 %、 淡ィンクの印字 d u t yが 51 %の重ね打ち部における ^射濃度から、 下記式 (3) に基づいて、 残存濃度率を算出した。 耐環境ガス 性の基準は以下の通りである。 評価結果を表 12に示す。 残存濃度率
式 (3)
, dini
(式 (3) 中、 d03はオゾン暴露後の反射濃度、 d iniはオゾン暴露前の反射 濃度である。)
A:残存濃度率が、 88%以上である。
B :残存濃度率が、 83%以上 88%未満である。
C:残存濃度率が、 80%以上 83%未満である。
D:残存濃度率が、 80%未満である。
表 12
以上より、 本発明の一般式 (I ) で表される化合物又はその塩である色材を 用いた場合、 濃インクの d 75値が 6. 5 O nm未満、 或いは淡インクの d 75 値が 6. 7 0 n m未満の場合、 耐環境ガス性が十分ではない場合があり、 濃ィ ンクの d 75値が 7. 1 0 nmより大きい場合、或いは淡インクの d 75値が 1 0. 6 O nmより大きい場合、 耐ブロンズ性が十分ではない場合があることが確認 された。 又、 淡インクにおける 2—ピロリ ドンの含有量 (質量0 /0) 、 色材の' 含有量 (質量%) に対して 5 0. 0%未満である場合は、 耐ブロンズ性が十分 ではない場合があることが確認された。 又、 濃インクにおける 2—ピロリ ド / の含有量 (質量%) 力 S、 色材の含有量 (質量%) に対して 50. 0%以上であ る場合は、 優れた耐ブロンズ性が得られることが確認された。
この出願は 2004年 7月 29日に出願された日本国特許出願番号第 2004— 221832及ぴ 2005年 7月 26日に出願された日本国 特許出願番号第 2005-216232からの優先権を主張するもので あり、 その内容を引用してこの出願の一部とするものである。