JP2024547125A - 免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体の用途 - Google Patents
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Abstract
被験者におけるIgGレベルを低下させるための薬物の製造における免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体、前記変異体を含むタンパク質、組成物及びキットの用途を提供し、前記変異体は、配列番号2で示されるアミノ酸配列の位置8、10、24、59、97及び280の1つ又は複数にアミノ酸の置換、N末端の短縮化及び/又はC末端の短縮化があり、前記変異体は、免疫グロブリン分解酵素IdeEの機能を備え、野生型IdeEより高い活性及び熱安定性を有する。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は、バイオテクノロジーの分野に関し、具体的には、免疫グロブリン分解酵素の変異体及びそれを含む組成物のIgGレベルを低下させるための使用に関する。
化膿レンサ球菌は、ヒト及び動物に一般的な病原菌の1つで、自然界及びヒト又は動物の口腔又は咽頭腔、気道及び腸管に幅広く存在している。レンサ球菌感染は関連の疾患を引き起こし、軽度の病状は膿皮症、咽頭炎などであり、重度の疾患は敗血症、壊死性筋膜炎、毒素性ショック症候群などである。化膿レンサ球菌からの免疫グロブリンG分解酵素(Immunoglobulin G-degrading enzyme of Streptococcus pyogenes、IdeS)は、一般的なA群レンサ球菌(Group A Streptococcus pyogenes、GAS)システインプロテアーゼであり、IgGを加水分解させるペプチド鎖エンドペプチダーゼ活性を有する(Agniswamy J,Lei B,Musser J M et al.,J Biol Chem,2004,279:52789-52796、Lei B,DeLeo F R,Reid S D et al.,Infect Immun,2002,70:6880-6890、Von Pawel-Rammingen U,Johansson B P,Bjorck L..EMBO J,2002,21:1607-1615)。病原菌の病原性因子として、それは抗体のCH1とCH2ドメインの間のヒンジ領域を認識してIgGを特異的に分解することができ、これによって同質のF(ab)2及びFcフラグメントが得られ、GASが抗体媒介性食作用及び細胞傷害から逃れることに役立つことで、GASに対する宿主免疫系の殺傷を弱める(Von Pawel-Rammingen U.J Innate Immunity,2012,4:132-140、Su,Y.-F. et al.,Molecular Immunology,2011,49:134-142)。
免疫グロブリンG(Immunoglobulin G、IgG)は、血清の主な抗体成分で、血清免疫グロブリンの約75%を占めており、体内の免疫で主に保護的な役割を果たし、感染症を効果的に予防できる。保護的な役割を有するほかに、IgGは疾患にも関係している。一部の自己免疫疾患では、IgG抗体は人体自身の分子と反応し、臓器移植でIgGが急性移植拒絶反応を引き起こす。IdeSはIgGを特異的に分解させることで、IgGにその本来の機能を失わせて免疫抑制を実現する。
現在、臨床に使用しているIdeSには活性が不良で、人体の既存抗体が多いという問題点がある。IdeSはヒト病原菌の病原性因子であり、臨床研究で健常者の場合、通常の生理学的条件でほぼ100%の確率で抗IdeS抗体が検出されることが明らかになったため、IdeSの使用は投与効率が低いだけでなく、安全性も問題になる。
そこで、関連の疾患の臨床薬物の製造に用いる、安全性がより高く活性が保持できる免疫グロブリン分解酵素が必要となる。
本発明の第1の態様は、免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体の用途、好ましくは、被験者における自己抗体媒介性病状を治療するための薬物の製造における用途に関し、前記免疫グロブリン分解酵素IdeEは、配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列を含み又は前記アミノ酸配列からなり、前記変異は、
(1)前記アミノ酸配列の位置8、10、24、59、97及び280の1つ若しくは複数を置換して前記変異体を得ること、及び/又は、
(2)前記免疫グロブリン分解酵素IdeEを短縮化し、そのN末端の先頭からの1つ、先頭からの2つ、先頭からの3つ、先頭からの4つ、先頭からの5つ、先頭からの6つ、先頭からの7つ、先頭からの8つ、先頭からの9つ、先頭からの10個、先頭からの11個、先頭からの12個、先頭からの13個、先頭からの14個、先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸の配列を削除すること、及び/又は、
(3)前記免疫グロブリン分解酵素IdeEを短縮化し、そのC末端の末尾からの1つ、末尾からの2つ、末尾からの3つ、末尾からの4つ、末尾からの5つ、末尾からの6つ、末尾からの7つ、末尾からの8つ、末尾からの9つ若しくは末尾からの10個のアミノ酸の配列を削除することからなる群から選ばれ、
ただし、前記変異体は、前記免疫グロブリン分解酵素IdeEより高い又は同じ活性及び/又は熱安定性を有する。
(1)前記アミノ酸配列の位置8、10、24、59、97及び280の1つ若しくは複数を置換して前記変異体を得ること、及び/又は、
(2)前記免疫グロブリン分解酵素IdeEを短縮化し、そのN末端の先頭からの1つ、先頭からの2つ、先頭からの3つ、先頭からの4つ、先頭からの5つ、先頭からの6つ、先頭からの7つ、先頭からの8つ、先頭からの9つ、先頭からの10個、先頭からの11個、先頭からの12個、先頭からの13個、先頭からの14個、先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸の配列を削除すること、及び/又は、
(3)前記免疫グロブリン分解酵素IdeEを短縮化し、そのC末端の末尾からの1つ、末尾からの2つ、末尾からの3つ、末尾からの4つ、末尾からの5つ、末尾からの6つ、末尾からの7つ、末尾からの8つ、末尾からの9つ若しくは末尾からの10個のアミノ酸の配列を削除することからなる群から選ばれ、
ただし、前記変異体は、前記免疫グロブリン分解酵素IdeEより高い又は同じ活性及び/又は熱安定性を有する。
本発明の第1の態様は、また、被験者における自己抗体媒介性病状を治療するための薬物の製造における本発明の変異体を含むタンパク質の用途に関する。好ましくは、前記タンパク質は、前記変異体のN末端に分泌シグナル配列及び/若しくはメチオニンが接続され、及び/又は前記タンパク質は、前記変異体のC末端にヒスチジンタグが接続される。本発明の第1の態様は、また、被験者における自己抗体媒介性病状を治療するための薬物の製造における本発明の変異体若しくはタンパク質を含む組成物又は本発明の変異体若しくはタンパク質を含むキットの用途に関し、好ましくは、前記組成物は、任意の薬学的に許容される担体若しくは賦形剤及び/又は別の治療薬をさらに含み、前記別の治療薬は、(a)抗体、又はFcを含有するタンパク質であって、好ましくは、前記抗体の標的は、細胞表面タンパク質、サイトカイン、ホルモン、酵素、セカンドメッセンジャー、ファーストメッセンジャー、免疫チェックポイントからなる群から選ばれるもの、(b)ウイルスベクター薬であって、好ましくは、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルス、ウイルスベクターワクチンからなる群から選ばれる前記ウイルスベクター薬、(c)血中IgGレベルを低下させることができる薬物であって、好ましくは、FcRn抗体、FcRnと高い親和性を有するFcフラグメント変異体からなる群から選ばれる前記血中IgGレベルを低下させる薬物からなる群から選ばれる。
本発明の第2の態様は、被験者におけるIgGレベルを低下させるための薬物の製造における本発明の変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途に関する。
本発明の第3の態様は、被験者における実質臓器移植後の自己抗体媒介性臓器拒絶反応を予防及び/又は治療するための薬物の製造における本発明の変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途に関する。
本発明の第4の態様は、本発明の変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの、遺伝子治療用薬物の製造における用途、及び、ウイルスベクターを基盤とした遺伝子治療の前に体内既存の抗ウイルスベクターの中和抗体を除去するための薬物の製造における用途に関する。
本発明の第5の態様は、被験者における腫瘍を治療するための薬物の製造における本発明の変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途に関する。
本発明の第6の態様は、被験者における自己抗体を除去してFc含有剤に治療効果をより良く発揮させるための薬物の製造における本発明の変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途に関する。
本発明の第7の態様は、Fc含有剤を投与されている被験者において前記Fc含有剤の血清レベルを低下させるための薬物の製造における本発明の変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途に関する。
「発明の詳細な説明」
1.免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体
IdeSとの配列相同性が約70%であるIdeEプロテアーゼは、ストレプトコッカス・ズーエピデミカス(Streptococcus equi ssp.equi)に由来し、馬の病原菌の1種である
IdeEとIdeSの2種の酵素は完全に同じ位置でIgGを切断し、切断は、高い再現性及び特異性があり、且つ基質適用範囲が非常に似ている。IdeEは馬の病原菌からのものであるため、ヒト体内のその既存抗体はIdeSをはるかに下回り、IgG抗体媒介性疾患を治療及び予防するための免疫抑制剤の開発によりに適することが考えられる。ただし、野生型IdeEはIdeSと同様に、活性が低い問題がある。
1.免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体
IdeSとの配列相同性が約70%であるIdeEプロテアーゼは、ストレプトコッカス・ズーエピデミカス(Streptococcus equi ssp.equi)に由来し、馬の病原菌の1種である
IdeEとIdeSの2種の酵素は完全に同じ位置でIgGを切断し、切断は、高い再現性及び特異性があり、且つ基質適用範囲が非常に似ている。IdeEは馬の病原菌からのものであるため、ヒト体内のその既存抗体はIdeSをはるかに下回り、IgG抗体媒介性疾患を治療及び予防するための免疫抑制剤の開発によりに適することが考えられる。ただし、野生型IdeEはIdeSと同様に、活性が低い問題がある。
そこで、本発明は、免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体に関し、前記変異体は、免疫グロブリン分解酵素活性を有し、
(1)配列番号2の位置8、10、24、59、97及び280の1つ若しくは複数のアミノ酸を置換して得た変異体、及び/又は、
(2)配列番号2のN末端の短縮化変異体であって、そのN末端の先頭からの1つ、先頭からの2つ、先頭からの3つ、先頭からの4つ、先頭からの5つ、先頭からの6つ、先頭からの7つ、先頭からの8つ、先頭からの9つ、先頭からの10個、先頭からの11個、先頭からの12個、先頭からの13個、先頭からの14個、先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸の配列を削除したものから選ばれる変異体、及び/又は、
(3)配列番号2のC末端の短縮化変異体であって、そのC末端の末尾からの1つ、末尾からの2つ、末尾からの3つ、末尾からの4つ、末尾からの5つ、末尾からの6つ、末尾からの7つ、末尾からの8つ、末尾からの9つ若しくは末尾からの10個のアミノ酸の配列を削除したものから選ばれる変異体からなる群から選ばれる。
(1)配列番号2の位置8、10、24、59、97及び280の1つ若しくは複数のアミノ酸を置換して得た変異体、及び/又は、
(2)配列番号2のN末端の短縮化変異体であって、そのN末端の先頭からの1つ、先頭からの2つ、先頭からの3つ、先頭からの4つ、先頭からの5つ、先頭からの6つ、先頭からの7つ、先頭からの8つ、先頭からの9つ、先頭からの10個、先頭からの11個、先頭からの12個、先頭からの13個、先頭からの14個、先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸の配列を削除したものから選ばれる変異体、及び/又は、
(3)配列番号2のC末端の短縮化変異体であって、そのC末端の末尾からの1つ、末尾からの2つ、末尾からの3つ、末尾からの4つ、末尾からの5つ、末尾からの6つ、末尾からの7つ、末尾からの8つ、末尾からの9つ若しくは末尾からの10個のアミノ酸の配列を削除したものから選ばれる変異体からなる群から選ばれる。
本発明の変異体は、前記免疫グロブリン分解酵素IdeEの機能を有し、好ましくは、向上しているIgG切断活性及び熱安定性も有する。
本発明で用語「免疫グロブリン分解酵素IdeEより高い又は同じ活性を有する」とは、前記変異体の免疫グロブリンを分解する能力は、野生型免疫グロブリン分解酵素IdeEより優れ又は同じであることを指す。
本発明で用語「IdeEよりも高い熱安定性を有する」とは、前記変異体は、ある温度で一定の時間保持された後、免疫グロブリンを分解する能力が同等な条件では野生型免疫グロブリン分解酵素IdeEより優れることを指す。
本発明の変異体は、遺伝子工学の組換えにより作製されることが好ましい。
好ましくは、前記変異体は、配列番号2で示される配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有する。
より好ましくは、前記位置8、10、24、59、97若しくは280のアミノ酸を置換し、例えば、得られた変異体のアミノ酸配列が配列番号3~17、配列番号35のいずれかで示されるとおりであり、
又は、前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのN末端の先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸を削除し、得られた変異体のアミノ酸配列が配列番号18~22のいずれかで示されるとおりであり、
又は、前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのC末端の末尾からの1つ、末尾からの5つ、末尾からの8つ若しくは末尾からの10個のアミノ酸を削除し、例えば、得られた変異体のアミノ酸配列が配列番号23~24のいずれかで示されるとおりであり、
又は、前記位置8、10、24、59、97若しくは280を置換すると同時に前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのN末端の先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸を削除し、好ましくは、先頭からの18個のアミノ酸を削除し、例えば、得られた変異体のアミノ酸配列が配列番号25~29のいずれかで示されるとおりである。
又は、前記位置8、10、24、59、97若しくは280を置換し且つ前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのN末端の先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸を削除すると同時に前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのC末端の末尾からの1つ、末尾からの5つ、末尾からの8つ若しくは末尾からの10個のアミノ酸を削除し、好ましくは、先頭からの18個のアミノ酸を削除し、好ましくは、最後の5つのアミノ酸を削除し、例えば、得られた変異体のアミノ酸配列が配列番号30~34のいずれかで示されるとおりである。
又は、前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのN末端の先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸を削除し、得られた変異体のアミノ酸配列が配列番号18~22のいずれかで示されるとおりであり、
又は、前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのC末端の末尾からの1つ、末尾からの5つ、末尾からの8つ若しくは末尾からの10個のアミノ酸を削除し、例えば、得られた変異体のアミノ酸配列が配列番号23~24のいずれかで示されるとおりであり、
又は、前記位置8、10、24、59、97若しくは280を置換すると同時に前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのN末端の先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸を削除し、好ましくは、先頭からの18個のアミノ酸を削除し、例えば、得られた変異体のアミノ酸配列が配列番号25~29のいずれかで示されるとおりである。
又は、前記位置8、10、24、59、97若しくは280を置換し且つ前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのN末端の先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸を削除すると同時に前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのC末端の末尾からの1つ、末尾からの5つ、末尾からの8つ若しくは末尾からの10個のアミノ酸を削除し、好ましくは、先頭からの18個のアミノ酸を削除し、好ましくは、最後の5つのアミノ酸を削除し、例えば、得られた変異体のアミノ酸配列が配列番号30~34のいずれかで示されるとおりである。
本発明の一つの好ましい実施形態では、前記アミノ酸の置換は、
(1)配列番号2の位置8のトレオニンがシステイン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、バリン、アルギニン、リシンのいずれかに置換されること、
(2)配列番号2の位置10のアラニンがシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、
(3)配列番号2の位置24のトレオニンがアラニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、
(4)配列番号2の位置59のアラニンがシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、
(5)配列番号2の位置97のグルタミン酸がアラニン、システイン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、
(6)配列番号2の位置280のアルギニンがアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、セリン、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されることからなる群から選ばれる。
(1)配列番号2の位置8のトレオニンがシステイン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、バリン、アルギニン、リシンのいずれかに置換されること、
(2)配列番号2の位置10のアラニンがシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、
(3)配列番号2の位置24のトレオニンがアラニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、
(4)配列番号2の位置59のアラニンがシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、
(5)配列番号2の位置97のグルタミン酸がアラニン、システイン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、
(6)配列番号2の位置280のアルギニンがアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、セリン、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されることからなる群から選ばれる。
本発明の一つのより好ましい実施形態では、前記アミノ酸の置換は、
(1)配列番号2の位置8のトレオニンがアスパラギン酸、グルタミン酸、トリプトファン若しくはチロシンに置換されること、
(2)配列番号2の位置10のアラニンがリシン若しくはアルギニンに置換されること、
(3)配列番号2の位置24のトレオニンがアラニン、グリシン若しくはセリンに置換されること、
(4)配列番号2の位置59のアラニンがイソロイシン、ロイシン若しくはバリンに置換されること、
(5)配列番号2の位置97のグルタミン酸がアスパラギンに置換されること、及び/又は
(6)配列番号2の位置280のアルギニンがヒスチジン若しくはリシンに置換されることからなる群から選ばれる。
(1)配列番号2の位置8のトレオニンがアスパラギン酸、グルタミン酸、トリプトファン若しくはチロシンに置換されること、
(2)配列番号2の位置10のアラニンがリシン若しくはアルギニンに置換されること、
(3)配列番号2の位置24のトレオニンがアラニン、グリシン若しくはセリンに置換されること、
(4)配列番号2の位置59のアラニンがイソロイシン、ロイシン若しくはバリンに置換されること、
(5)配列番号2の位置97のグルタミン酸がアスパラギンに置換されること、及び/又は
(6)配列番号2の位置280のアルギニンがヒスチジン若しくはリシンに置換されることからなる群から選ばれる。
別の好ましい実施形態では、配列番号9、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号5及び配列番号16であるアミノ酸を置換して得られた5つの配列からさらにそのN末端の先頭からの18個のアミノ酸を削除し、得られた変異体のアミノ酸配列が配列表の配列番号25~29で示されるとおりである。
別の好ましい実施形態では、配列番号26~29であるアミノ酸を置換して得られた5つの配列からさらにそのC末端の5つ又は10個のアミノ酸を削除し、得られた変異体のアミノ酸配列が配列表の配列番号30~34で示されるとおりである。
別の好ましい実施形態では、配列番号14~16の3つの変異体からさらに組合せ変異を行い、得られた変異体のアミノ酸配列が配列表の配列番号35で示されるとおりである。別の好ましい実施形態では、配列番号9、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号5及び配列番号16であるアミノ酸を置換して得られた5つの配列からさらにそのN末端の先頭からの18個のアミノ酸を削除し、得られた変異体のアミノ酸配列が配列表の配列番号25~29で示されるとおりである。
別の好ましい実施形態では、変異体のアミノ酸配列は配列表の配列番号36で示されるとおりである。
好ましくは、本発明に記載の変異体をさらに変異させてもよく、さらに変異させて得られた変異体の配列は配列番号2の配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有するとともに、免疫グロブリン分解酵素IdeEの機能を有する。
本発明で使用されるIdeEの全配列は、GenBankアクセッション番号ABF57910.1として一般に利用可能なもので、その配列は本明細書で配列番号1として提供される。当該配列は、N末端メチオニンを含み、それに33個のアミノ酸の分泌シグナル配列が続き、それにIdeEコード配列が続く。N末端メチオニン及びシグナル配列が成熟IdeEタンパク質を形成するためには一般的に除去され、その配列は本明細書で配列番号2として提供される。特に説明がない限り、本明細書に開示されている免疫グロブリン分解酵素配列のアミノ酸の位置番号への言及はいずれもN末端から始まる配列番号2の対応する位置の番号に基づく。
本発明は、また、本発明の変異体を含むタンパク質に関する。
一つの好ましい実施例では、前記タンパク質は、上記の変異体のN末端にシグナルペプチドを含み、好ましくは、前記タンパク質は、前記変異体のN末端に分泌シグナル配列が接続され且つ前記分泌配列のN末端にメチオニンが接続され及び/又は前記変異体のC末端にヒスチジンタグが接続され、より好ましくは、前記タンパク質は、N末端からC末端まで、メチオニン、分泌シグナル配列、前記変異体を含み又はこれらからなる。
2.医薬組成物
本発明は、本発明の免疫グロブリン分解酵素の変異体又は前記変異体を含むタンパク質と、任意の薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む組成物に関する。
本発明は、本発明の免疫グロブリン分解酵素の変異体又は前記変異体を含むタンパク質と、任意の薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む組成物に関する。
一つの具体的な実施形態では、本発明の組成物は、抗体、低分子標的薬及び/又はFcを含有するタンパク質をさらに含む。
一つの具体的な実施形態では、前記抗体の標的は、細胞表面タンパク質、サイトカイン、ホルモン、酵素、セカンドメッセンジャー、ファーストメッセンジャー、免疫チェックポイントからなる群から選ばれる。
一つの具体的な実施形態では、本発明の組成物は、ウイルスベクター薬又は遺伝子治療薬をさらに含み、好ましくは、前記ウイルスベクター薬は、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルス、ウイルスベクターワクチンからなる群から選ばれる。
一つの具体的な実施形態では、本発明の組成物は、血中IgGレベルを低下させることができる薬物をさらに含み、好ましくは、前記血中IgGレベルを低下させる薬物は、FcRn抗体、FcRnと高い親和性を有するFcフラグメント変異体からなる群から選ばれる。
2.1 抗体
好ましくは、上記の組成物において、前記抗体の標的は、細胞表面タンパク質であってもよく、AFP、αvインテグリン(integrin)、α4β7インテグリン、BCMA、CD2、CD3、CD4、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD32、CD33、CD36、CD38、CD40、CD46、CD47、CD52、CD56、CD64、CD70、CD74、CD79、CD80、CD86、CD105、CD121、CD123、CD133、CD138、CD174、CD205、CD227、CD326、CD340、CEA、c-Met、Cripto、CA1X、クローディン6(Claudin6)、クローディン18.2(Claudin18.2)、ED-B、EGFR、EpCAM、EphA2、EphB2、FAP、FOLR1、GD2、Globo H、GPC3、GPNMB、GPRC5D、HER-1、HER-2、HER-3、MAGE-A3、メソテリン(Mesothelin)、MUC1、MUC4、MUC16、PSMA、TMEFF2、TAG-72、5T4、ROR-1、Sca-1、SP、Trop-2、CD38、CGRP、IGF-1R、ネクチン-4(Nectin-4)、P-セレクチン(P-Selectin)、vWF、KLK、CCR4、SLAMF7、PCSK9、GD2、VEGFR2、BLyS、RANKL、α4β1インテグリン、VEGFR、血小板糖タンパク質IIb若しくはIIIa、IFNAR1、TSLP、VEGF又はWT1を含み、ただしそれらに限定されない。
好ましくは、上記の組成物において、前記抗体の標的は、細胞表面タンパク質であってもよく、AFP、αvインテグリン(integrin)、α4β7インテグリン、BCMA、CD2、CD3、CD4、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD32、CD33、CD36、CD38、CD40、CD46、CD47、CD52、CD56、CD64、CD70、CD74、CD79、CD80、CD86、CD105、CD121、CD123、CD133、CD138、CD174、CD205、CD227、CD326、CD340、CEA、c-Met、Cripto、CA1X、クローディン6(Claudin6)、クローディン18.2(Claudin18.2)、ED-B、EGFR、EpCAM、EphA2、EphB2、FAP、FOLR1、GD2、Globo H、GPC3、GPNMB、GPRC5D、HER-1、HER-2、HER-3、MAGE-A3、メソテリン(Mesothelin)、MUC1、MUC4、MUC16、PSMA、TMEFF2、TAG-72、5T4、ROR-1、Sca-1、SP、Trop-2、CD38、CGRP、IGF-1R、ネクチン-4(Nectin-4)、P-セレクチン(P-Selectin)、vWF、KLK、CCR4、SLAMF7、PCSK9、GD2、VEGFR2、BLyS、RANKL、α4β1インテグリン、VEGFR、血小板糖タンパク質IIb若しくはIIIa、IFNAR1、TSLP、VEGF又はWT1を含み、ただしそれらに限定されない。
前記抗体の標的は、サイトカインのうちの1種又は複数種であってもよく、インターロイキンIL-1~IL-13、IL-1β、IL15、IL17、IL-23p19、IL2R、IL-5R、IL-6R、IL-17R、IL-2R、腫瘍壊死因子α、β、インターフェロンα、β、γ、VEGF、PDGF-α、FGF-23、スクレロスチン(Sclerostin)、腫瘍増殖因子β(TGF-β)、コロニー刺激因子(CSF)又は顆粒球-単球コロニー刺激因子(GM-CSF)を含み、ただしそれらに限定されない。Human Cytokines:Handbook for Basic&Clinical Research(Aggrawal et al.,Blackwell Scientific,Boston,MA 1991)を参照する。
前記抗体の標的は、ホルモン、酵素、セカンドメッセンジャー、ファーストメッセンジャーであってもよく、例えば、アデニル酸シクラーゼ、グアニル酸シクラーゼ又はホスホリパーゼCである。
前記抗体の標的は、免疫チェックポイントのうちの1種又は複数種であってもよく、CTLA-4、PD-1、PD-L1、TIM-3、LAG3、Siglec7、Siglec9、Siglec15、4-1BB、GITR、OX40、CD40L、CD28、TIGIT、VISTAを含み、ただしそれらに限定されない。
前記抗体の標的は、IgE、RSV F、新型コロナウイルス、ダビガトラン(Dabigatran)、FIX若しくはFX、クロストリジウム・ディフィシレ菌毒素B、C2、C5、炭疽菌のPAであってもよく。
前記抗体は、サトラリズマブ(Satralizumab)、ベランタマブ マホドチン(Belantamab mafodotin)、タファシタマブ(Tafasitamab)、イネビリズマブ(Inebilizumab)、サシツズマブ ゴビテカン(Sacituzumab govitecan)、イサツキシマブ(Isatuximab)、エプチネズマブ(Eptinezumab)、テプロツムマブ(Teprotumumab)、トラスツズマブ デルクステカン(Trastuzumab deruxtecan)、エンホルツマブ ベドチン(Enfortumab Vedotin)、ロモソズマブ(Romosozumab)、クリザンリズマブ(Crizanlizumab)、ブロルシズマブ(Brolucizumab)、ポラツズマブ(Polatuzumab)、リサンキズマブ(Risankizumab)、カプラシズマブ(Caplacizumab)、エマパルマブ(Emapalumab)、ラブリズマブ(Ravulizumab)、セミプリマブ(Cemiplimab)、ガルカネズマブ(galcanezumab)、フレマネズマブ(Fremanezumab)、モキセツモマブ パスードトクス(Moxetumomab Pasudotox)、ラナデルマブ(Lanadelumab)、モガムリズマブ(Mogamulizumab)、エレヌマブ(Erenumab)、ブロスマブ(Burosumab)、チルドラキズマブ(Tildrakizumab)、イバリズマブ(Ibalizumab)、エミシズマブ(Emicizumab)、ベンラリズマブ(Benralizumab)、イノツズマブ オゾガマイシン(inotuzumab ozogamicin)、サリルマブ(Sarilumab)、グセルクマブ(Guselkumab)、デュルバルマブ(Durvalumab)、デュピルマブ(Dupilumab)、オクレリズマブ(Ocrelizumab)、アベルマブ(Avelumab)、ブロダルマブ(Brodalumab)、ダクリズマブ(Daclizumab)、ベズロトクスマブ(Bezlotoxumab)、オララツマブ(Olaratumab)、アテゾリズマブ(Atezolizumab)、オビルトキサキシマブ(Obiltoxaximab)、イキセキズマブ(Ixekizumab)、レスリズマブ(Reslizumab)、イダルシズマブ(Idarucizumab)、メポリズマブ(Mepolizumab)、エロツズマブ(Elotuzumab)、ネシツムマブ(Necitumumab)、エボロクマブ(Evolocumab)、アリロクマブ(Alirocumab)、ダラツムマブ(Daratumumab)、ジヌツキシマブ(Dinutuximab)、セクキヌマブ(Secukinumab)、ブリナツモマブ(Blinatumomab)、ペンブロリズマブ(Pembrolizumab)、ニボルマブ(Nivolumab)、ベドリズマブ(Vedolizumab)、シルツキシマブ(Siltuximab)、ラムシルマブ(Ramucirumab)、オビヌツズマブ(Obinutuzumab)、トラスツズマブ エムタンシン(Ado-Trastuzumab emtansine)、ラキシバクマブ(Raxibacumab)、ペルツズマブ(Pertuzumab)、ブレンツキシマブ ベドチン(Brentuximab vedotin)、ベリムマブ(Belimumab)、イピリムマブ(Ipilimumab)、トシリズマブ(Tocilizumab)、デノスマブ(Denosumab)、デノスマブ(Denosumab)、オファツムマブ(Ofatumumab)、カナキヌマブ(Canakinumab)、ゴリムマブ(Golimumab)、ウステキヌマブ(Ustekinumab)、セルトリズマブ ペゴル(Certolizumab pegol)、エクリズマブ(Eculizumab)、パニツムマブ(Panitumumab)、ラニビズマブ(Ranibizumab)、ナタリズマブ(Natalizumab)、ベバシズマブ(Bevacizumab)、セツキシマブ(Cetuximab)、エファリズマブ(Efalizumab)、トシツモマブ(Tositumomab)、オマリズマブ(Omalizumab)、アダリムマブ(Adalimumab)、イブリツモマブ チウキセタン(Ibritumomab tiuxetan)、アレムツズマブ(Alemtuzumab)、ゲムツズマブ オゾガマイシン(Gemtuzumab Ozogamicin)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、インフリキシマブ(Infliximab)、パリビズマブ(palivizumab)、バシリキシマブ(Basiliximab)、ダクリズマブ(Daclizumab)、リツキシマブ(Rituximab)、アブシキシマブ(Abciximab)、カツマキソマブ(Catumaxomab)、ムロモナブ(Muromomab)から選ばれてもよい。
2.2 低分子標的薬
好ましくは、上記の組成物において、前記組成物は、標的薬又は化学療法薬又は免疫チェックポイント阻害剤をさらに含み、前記標的薬は、エピジェネティクス治療薬、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路を標的とする阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤から選ばれ、前記化学療法薬は、免疫抑制剤、プロテアソーム阻害剤、細胞傷害性薬物、細胞周期非特異性薬物から選ばれ、前記エピジェネティクス治療薬は、例えば、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であり、前記PI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路を標的とする阻害剤は、例えば、Tricibineであり、前記チロシンキナーゼ阻害剤は、例えば、スニチニブであり、前記免疫抑制剤は、例えば、シクロホスファミドであり、前記プロテアソーム阻害剤は、例えば、ボルテゾミブであり、前記免疫抑制剤は、例えば、サリドマイド、ポマリドミドであり、前記細胞傷害性薬物は、例えば、ゲムシタビン、テモゾロミドであり、前記細胞周期非特異性薬物は、例えば、ミトキサントロンである。
好ましくは、上記の組成物において、前記組成物は、標的薬又は化学療法薬又は免疫チェックポイント阻害剤をさらに含み、前記標的薬は、エピジェネティクス治療薬、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路を標的とする阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤から選ばれ、前記化学療法薬は、免疫抑制剤、プロテアソーム阻害剤、細胞傷害性薬物、細胞周期非特異性薬物から選ばれ、前記エピジェネティクス治療薬は、例えば、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であり、前記PI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路を標的とする阻害剤は、例えば、Tricibineであり、前記チロシンキナーゼ阻害剤は、例えば、スニチニブであり、前記免疫抑制剤は、例えば、シクロホスファミドであり、前記プロテアソーム阻害剤は、例えば、ボルテゾミブであり、前記免疫抑制剤は、例えば、サリドマイド、ポマリドミドであり、前記細胞傷害性薬物は、例えば、ゲムシタビン、テモゾロミドであり、前記細胞周期非特異性薬物は、例えば、ミトキサントロンである。
2.3 血中IgGレベルを低下させることができる薬物
好ましくは、上記の組成物において、前記血中IgGレベルを低下させることができるポリペプチド薬物は、FcRnタンパク質に対する血中IgGの結合を遮断できる。好ましくは、ヒトFcRnタンパク質に対する前記ポリペプチドの親和性は、ヒトFcRnタンパク質に対する血中IgGの親和性より高く、前記IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4から選ばれる。好ましくは、前記ポリペプチドは、抗体Fcフラグメントの変異体を含み、前記変異体は、FcRnに対するFcの親和性を向上できる変異を含み、前記変異は、YTE、YTEKF、LS、NHSであることが好ましく、前記抗体Fcフラグメントは、例えば、エフガルチギモド(Efgartigimod)である。前記変異体は、モノマー、ダイマー、ポリマーであってもよい。本発明で利用可能な前記YTE、YTEKF、LS、NHSなどの変異は、前記変異の位置が、それぞれ、Dall’Acquaら(WF,D.A. et al.(2002).Journal of immunology(Baltimore,Md.:1950)169(9):5171-5180.)、Leeら(Lee,C.H. et al.(2019).Nat Commun 10(1):5031.)によって記述されたとおりである。前記変異の対象はヒトIgGから選ばれ、前記IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4から選ばれる。
好ましくは、上記の組成物において、前記血中IgGレベルを低下させることができるポリペプチド薬物は、FcRnタンパク質に対する血中IgGの結合を遮断できる。好ましくは、ヒトFcRnタンパク質に対する前記ポリペプチドの親和性は、ヒトFcRnタンパク質に対する血中IgGの親和性より高く、前記IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4から選ばれる。好ましくは、前記ポリペプチドは、抗体Fcフラグメントの変異体を含み、前記変異体は、FcRnに対するFcの親和性を向上できる変異を含み、前記変異は、YTE、YTEKF、LS、NHSであることが好ましく、前記抗体Fcフラグメントは、例えば、エフガルチギモド(Efgartigimod)である。前記変異体は、モノマー、ダイマー、ポリマーであってもよい。本発明で利用可能な前記YTE、YTEKF、LS、NHSなどの変異は、前記変異の位置が、それぞれ、Dall’Acquaら(WF,D.A. et al.(2002).Journal of immunology(Baltimore,Md.:1950)169(9):5171-5180.)、Leeら(Lee,C.H. et al.(2019).Nat Commun 10(1):5031.)によって記述されたとおりである。前記変異の対象はヒトIgGから選ばれ、前記IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4から選ばれる。
本発明で利用可能なFcフラグメント変異体が他にもあり、前記変異体は、Dall’Acquaらによって記述された変異(WF,D.A. et al.(2002).Journal of immunology(Baltimore,Md.:1950)169(9):5171-5180.)、Shanらによって記述された変異(Shan,L. et al.(2016).PLoS One 11(8):e0160345.)、Leeらによって記述された変異(Lee,C.H. et al.(2019).Nat Commun 10(1):5031.)、Macknessらによって記述された変異(Mackness,B.C. et al.(2019).MAbs 11(7):1276-1288.)、Christopheらによって記述された変異
を含み、ただしそれらに限定されない。
を含み、ただしそれらに限定されない。
好ましくは、前記ポリペプチドは、抗体Fcフラグメントの変異体を含み、前記変異体は、FcγRに対するFcの親和性を向上できる変異を含み、前記変異体は、変異S239D/I322E、S239D/I322E/A330L、K326W/E333S、R214Kであることが好ましく、前記変異体は、フコース修飾なしが好ましい。前記変異体は、モノマー、ダイマー、ポリマーであってもよい。本発明で利用可能なFcフラグメント変異体が他にもあり、前記変異体は、Wangらによって記述された変異(Wang Xinhua,Mathieu Mary,Brezski Randall J.(2018).Protein Cell,9(1),63-73.doi:10.1007/s13238-017-0473-8)を含み、ただしそれらに限定されない。
好ましくは、前記FcRnに対するFcの親和性を向上できる変異を含む変異体は、FcγRに対するFcの親和性を向上できる変異を同時に含む。前記変異体は、モノマー、ダイマー、ポリマーであってもよい。
好ましくは、上記の薬物の組み合わせにおいて、前記ポリペプチドは、抗FcRn抗体から選ばれ、前記抗体は、例えば、ニポカリマブ(Nipocalimab)、ロザノリキシズマブ(Rozanolixizumab)、RVT-1401、HBM9161、ALXN1830、SYNT001、ニルセビマブ(Nirsevimab)である。
好ましくは、上記の薬物の組み合わせにおいて、前記ポリペプチドは、FcRnと特異的に結合できるオリゴペプチドフラグメントから選ばれ、前記オリゴペプチドフラグメントの長さは、10~70個のアミノ酸であり、前記オリゴペプチドフラグメントは、例えば、ABY-039である。
好ましくは、前記ポリペプチドは、FcRnと特異的に結合できるFcポリマーから選ばれ、前記Fcポリマーは、例えば、GL-2045、M230、PRIM、HexaGard(商標)、CSL777、UCBによる六価分子(Hexavalent molecules by UCB)である。
好ましくは、前記ポリペプチドは、Sockoloskyらによって記述されたポリペプチドフラグメント(Sockolosky Jonathan T,Szoka Francis C.Adv.Drug Deliv.Rev.,2015,91:109-24)を含み、ただしそれらに限定されない。
2.4 ウイルスベクター薬
好ましくは、上記の組成物において、前記ウイルスベクター薬では、前記ウイルスベクター薬で使用されるウイルスは、一本鎖DNAウイルス、二本鎖DNAウイルス、一本鎖RNAウイルス若しくは二本鎖RNAウイルスから選ばれ、及び/又は、前記ウイルスベクター薬で使用されるウイルスは、野生型ウイルス株若しくは自然弱毒株、遺伝子操作された選択的な弱毒株、遺伝子搭載ウイルス株、遺伝子転写による標的化ウイルス株から選ばれる。
好ましくは、上記の組成物において、前記ウイルスベクター薬では、前記ウイルスベクター薬で使用されるウイルスは、一本鎖DNAウイルス、二本鎖DNAウイルス、一本鎖RNAウイルス若しくは二本鎖RNAウイルスから選ばれ、及び/又は、前記ウイルスベクター薬で使用されるウイルスは、野生型ウイルス株若しくは自然弱毒株、遺伝子操作された選択的な弱毒株、遺伝子搭載ウイルス株、遺伝子転写による標的化ウイルス株から選ばれる。
好ましくは、前記野生型ウイルス株又は自然弱毒株は、ニューカッスル病ウイルス、レオウイルス、ムンプスウイルス、ウエストナイルウイルス、アデノウイルス、ワクチニアウイルスなどから選ばれる。
好ましくは、前記遺伝子操作された選択的な弱毒株は、重要な遺伝子を人工的に削除することによってウイルス複製の腫瘍選択性を実現し、例えば、チミジンキナーゼ(Thymidinekinase、TK)をノックアウトされた遺伝子操作ヒト単純ヘルペスウイルスI(HSV-1)であり、前記遺伝子操作された選択的な弱毒株は、例えば、ONYX-015、G207である。ONYX-015では、E1b領域に827bpが削除され、且つE1B55Kタンパク質に関連する遺伝子を点変異させることによって、その発現遺伝子を早めに停止させて、E1B55Kタンパク質を発現できないようにする。G207では、HSV-1の神経毒性決定因子であるγ34.5遺伝子が削除されている。
好ましくは、前記遺伝子搭載ウイルス株には外因性遺伝子が搭載されており、前記外因性遺伝子は、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)であり、前記遺伝子搭載ウイルス株は、例えば、JX-594又はT-VECである。
好ましくは、前記遺伝子転写による標的化ウイルス株は、ウイルス必須遺伝子の前に組織又は腫瘍特異的なプロモーターを挿入して腫瘍細胞内での腫瘍溶解性ウイルスの複製を制御するものであり、前記遺伝子転写による標的化ウイルス株は、例えば、G92Aである。
好ましくは、上記の薬物の組み合わせにおいて、前記一本鎖DNAウイルスは、パルボウイルス(parvovirus)から選ばれ、好ましくは、前記パルボウイルスは、H-1PVウイルスである。
好ましくは、前記二本鎖DNAウイルスは、単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)、アデノウイルス(adeno virus)、ポックスウイルス(poxvirus)から選ばれ、より好ましくは、前記単純ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)であることが好ましく、例えば、R3616、T-VEC、HF10、G207、NV1020、OrienX010であり、前記ポックスウイルス(poxvirus)は、Pexa-Vec(ワクチニアウイルス、vaccinia viruse)、JX-594(ワクチニアウイルス、vaccinia viruse)、GL-ONC1、Myxomaから選ばれ、前記アデノウイルスは、Enadenotucirev、DNX-2401、C-REV、NG-348、ProsAtak、CG0070、ADV-TK、EDS01、KH901、H101、H103、VCN-01、テロメライシン(Telomelysin、OBP-301)から選ばれる。
好ましくは、前記一本鎖RNAウイルスは、ピコルナウイルス(Picornavirus)、アルファウイルス(alphavirus)、レトロウイルス(Retroviruses)、パラミクソウイルス(Paramyxoviruses)、ラブドウイルス(Rhabdoviruses)から選ばれ、好ましくは、前記ピコルナウイルス(Picornavirus)は、CAVATAK、PVS-RIPO、CVA21(enterovirus)、RIGVIRから選ばれ、前記アルファウイルス(alphavirus)は、M1、シンドビスウイルスAR339株(Sindbis AR339)、セムリキ森林ウイルス(Semliki Forest virus)から選ばれ、前記レトロウイルス(Retroviruses)は、Toca511から選ばれ、前記パラミクソウイルス(Paramyxoviruses)は、MV-NIS、PV701(ニューカッスル病ウイルス、Newcastle disease virus)から選ばれ、前記ラブドウイルス(Rhabdoviruses)は、VSV-IFNβ、MG1-MAGEA3、VSV-GPから選ばれる。
好ましくは、前記二本鎖RNAウイルスは、レオウイルス(Reoviruses)から選ばれ、好ましくは、前記レオウイルス(Reoviruses)は、ペラレオレプ(Pelareorep)、レオウイルス(Reolysin)、ワクチニアウイルス(vaccinia virus)、ムンプスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)から選ばれ、好ましくは、前記RNAウイルスは、レオウイルス(reovirus)、コクサッキーウイルス(coxsackievirus)、ポリオウイルス(polio virus)、セネカバレーウイルス(seneca valley virus)、麻疹ウイルス(measles virus)、ニューカッスル病ウイルス(newcastle disease virus)、水疱性口内炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)、インフルエンザウイルスから選ばれる。
好ましくは、上記の薬物の組み合わせにおいて、前記腫瘍溶解性ウイルスは外因性遺伝子を発現し、前記外因性遺伝子は、二重特異性T細胞エンゲージャー(Bispecific T cell engagers、BiTE)、scFvフラグメント、サイトカイン、ケモカインであることが好ましい。前記BiTEは、CD3など、T細胞を活性化させる分子と結合でき、また、がん細胞の表面の抗原標的と結合でき、前記scFvは、免疫チェックポイントを標的とし、前記免疫チェックポイントは、CTLA-4、PD-1、TIM-3、LAG3、Siglec15、4-1BB、GITR、OX40、CD40L、CD28、TIGIT、VISTAを含む。前記サイトカイン、ケモカインは、例えば、GM-CSF、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターフェロン(IFN)、腫瘍壊死因子(TNF)、可溶性CD80、CCL3である。
いくつかの実施形態では、前記薬物のウイルスベクターは、AAVウイルスであることが好ましく、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV3B、AAV-2i8、Rh10、Rh74である。
いくつかの実施形態では、前記薬物のウイルスベクターは、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルスであることが好ましい。
前記ウイルスベクター薬及び/又は免疫グロブリン分解酵素の変異体は、リポソーム、ナノ粒子、脂質ナノ粒子、重合体、微粒子、マイクロカプセル、ミセル又はエキソソームで包み込んでもよいし又は融合させてもよい。
2.5 遺伝子治療薬
好ましくは、上記の組成物において、前記遺伝子治療用ウイルスは、外因性遺伝子を発現し、前記外因性遺伝子は遺伝子欠失疾患に必要なタンパク質をコードし、前記タンパク質は、酸性α-グルコシダーゼ、銅輸送ATPase2、α-ガラクトシダーゼ、アルギニノコハク酸合成酵素、β-グルコシダーゼ、β-ヘキソサミニダーゼA、C1プロテアーゼ阻害剤又はC1エステラーゼ阻害剤、グルコース-6-ホスファターゼ、インスリン、グルカゴン、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン放出因子、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、血管内皮細胞増殖因子、アンジオポエチン、アンジオスタチン、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン、結合組織細胞成長因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、酸性線維芽細胞増殖因子、上皮成長因子、トランスフォーミング増殖因子α、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子I及びII、TGF、骨形成タンパク質、神経成長因子、脳由来神経栄養因子、ニューロトロフィンNT-3及びNT4、5、毛様体神経栄養因子、グリア細胞由来神経栄養因子、神経栄養因子、凝集素、ネトリン-1(netrin-1)及びネトリン-2(netrin-2)、肝細胞増殖因子、エフリン(ephrins)、チロシン水酸化酵素、トロンボポエチン、インターロイキン(IL-1~IL-36など)、単球走化性タンパク質、白血病抑制因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、Fasリガンド、腫瘍壊死因子a及びb、インターフェロンa、b、g、幹細胞因子、flk-2若しくはflt3リガンド、IgM、IgA、IgD及びIgE、キメラ免疫グロブリン、ヒト化抗体、一本鎖抗体、T細胞受容体、キメラT細胞受容体、単鎖T細胞受容体、MHCクラスI及びクラスII分子、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子、凝固(凝固)因子(第XIII因子、第IX因子、第VIII因子、第X因子、第VII因子、第VIIa因子、プロテインCなど)、網膜色素性上皮特異的65kDaタンパク質、LDL受容体、リポタンパク質リパーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、βグロブリン、αグロブリン、スペクトリン、α-アンチトリプシン、アデノシンデアミナーゼ、金属輸送タンパク質(ATP7A又はATP7)、スルファミダーゼ、リソソーム蓄積症関連酵素ARSA、ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、b-25グルコセレブロシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、リソソーム・ヘキソサミニダーゼ、分岐鎖ケト酸脱水素酵素から選ばれる。
好ましくは、上記の組成物において、前記遺伝子治療用ウイルスは、外因性遺伝子を発現し、前記外因性遺伝子は遺伝子欠失疾患に必要なタンパク質をコードし、前記タンパク質は、酸性α-グルコシダーゼ、銅輸送ATPase2、α-ガラクトシダーゼ、アルギニノコハク酸合成酵素、β-グルコシダーゼ、β-ヘキソサミニダーゼA、C1プロテアーゼ阻害剤又はC1エステラーゼ阻害剤、グルコース-6-ホスファターゼ、インスリン、グルカゴン、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン放出因子、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、血管内皮細胞増殖因子、アンジオポエチン、アンジオスタチン、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン、結合組織細胞成長因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、酸性線維芽細胞増殖因子、上皮成長因子、トランスフォーミング増殖因子α、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子I及びII、TGF、骨形成タンパク質、神経成長因子、脳由来神経栄養因子、ニューロトロフィンNT-3及びNT4、5、毛様体神経栄養因子、グリア細胞由来神経栄養因子、神経栄養因子、凝集素、ネトリン-1(netrin-1)及びネトリン-2(netrin-2)、肝細胞増殖因子、エフリン(ephrins)、チロシン水酸化酵素、トロンボポエチン、インターロイキン(IL-1~IL-36など)、単球走化性タンパク質、白血病抑制因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、Fasリガンド、腫瘍壊死因子a及びb、インターフェロンa、b、g、幹細胞因子、flk-2若しくはflt3リガンド、IgM、IgA、IgD及びIgE、キメラ免疫グロブリン、ヒト化抗体、一本鎖抗体、T細胞受容体、キメラT細胞受容体、単鎖T細胞受容体、MHCクラスI及びクラスII分子、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子、凝固(凝固)因子(第XIII因子、第IX因子、第VIII因子、第X因子、第VII因子、第VIIa因子、プロテインCなど)、網膜色素性上皮特異的65kDaタンパク質、LDL受容体、リポタンパク質リパーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、βグロブリン、αグロブリン、スペクトリン、α-アンチトリプシン、アデノシンデアミナーゼ、金属輸送タンパク質(ATP7A又はATP7)、スルファミダーゼ、リソソーム蓄積症関連酵素ARSA、ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、b-25グルコセレブロシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、リソソーム・ヘキソサミニダーゼ、分岐鎖ケト酸脱水素酵素から選ばれる。
好ましくは、上記の組成物において、前記遺伝子治療用ウイルスは、外因性遺伝子を備え、前記外因性遺伝子は、siRNA、アンチセンス分子、miRNA、RNAi、リボザイム、shRNAから選ばれる阻害性核酸をコードする。前記阻害性核酸は、ポリヌクレオチドリピート疾患関連の遺伝子、当該遺伝子の転写物又は当該遺伝子の転写物のポリヌクレオチドリピートに結合する。前記疾患遺伝子は、関連タンパク質をコードし、前記タンパク質は、ハンチンチン(HTT)、球脊髄性筋萎縮症のX染色体上のアンドロゲン受容体、ヒトアタキシン(Ataxin)-1、-2、-3、-7、Cav2.1 P/Q電位依存性カルシウムチャネル(CACNA1A)、TATA結合タンパク質、アタキシン8(Ataxin8)の逆鎖(ATXN80S)、脊髄小脳変性症(1型、2型、3型、6型、7型、8型、12型、17型)におけるセリン若しくはトレオニンプロテインホスファターゼ2Aの55kDa調節サブユニットBのβアイソフォーム、脆弱X症候群関連FMR1、脆弱X関連振戦若しくは運動失調症候群関連FMR1(脆弱X精神遅滞タンパク質1)、脆弱X精神遅滞関連FMR1(脆弱X精神遅滞タンパク質2)又はAF4若しくはFMR2ファミリーメンバー2、筋強直性ジストロフィーにおけるミオトニンプロテインキナーゼ(MT-PK)、フラタキシン(Frataxin)から選ばれる。前記疾患遺伝子は、スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)遺伝子の変異体、パーキンソン病及び/又はアルツハイマー病の病因に関連する遺伝子、アポリポタンパク質B(APOB)、PCSK9、HIV感染関連遺伝子(HIVTat、TAR、HIVTAR、CCR5)、インフルエンザウイルス感染におけるA型インフルエンザウイルスゲノム若しくは遺伝子配列、SARS感染における重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルスゲノム若しくは遺伝子配列、呼吸器合胞体ウイルス感染における呼吸器合胞体ウイルスゲノム若しくは遺伝子配列、エボラウイルス感染におけるエボラウイルスゲノム若しくは遺伝子配列、B型及びC型肝炎ウイルス感染におけるB型及びC型肝炎ウイルスゲノム若しくは遺伝子配列、HSV感染における単純ヘルペスウイルス(HSV)ゲノム若しくは遺伝子配列、コクサッキーウイルスB3型感染におけるコクサッキーウイルスB3ゲノム若しくは遺伝子配列、原発性ジストニアにおける遺伝子をサイレンシングする病原性対立遺伝子(対立遺伝子の特異的サイレンシング)、例えばtorsinA、移植関係の特異的なクラスI及びHLAの対立遺伝子、常染色体顕性網膜色素変性症における変異、ロドプシン遺伝子から選ばれる。
3.製品及びキット
本発明は、また、製品を提供し、前記製品は、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物と別の治療薬と含有し、前記別の治療薬は、ウイルスベクター薬、抗体、血中IgGレベルを低下させることができるポリペプチド薬物から選ばれる。
本発明は、また、製品を提供し、前記製品は、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物と別の治療薬と含有し、前記別の治療薬は、ウイルスベクター薬、抗体、血中IgGレベルを低下させることができるポリペプチド薬物から選ばれる。
本発明は、また、キット又はボックスセットを提供し、前記キットは、1)本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物を含む治療有効量の薬物と、2)治療有効量の別の治療薬とを含み、前記治療薬は、ウイルスベクター薬、抗体、血中IgGレベルを低下させることができるポリペプチド薬物から選ばれ、前記ウイルスベクター薬は、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルスであることが好ましい。前記キットは、3)標的薬又は化学療法薬又は免疫チェックポイント阻害剤をさらに含んでもよい。前記標的薬は、エピジェネティクス治療薬、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路を標的とする阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤から選ばれ、前記化学療法薬は、免疫抑制剤、プロテアソーム阻害剤、細胞傷害性薬物、細胞周期非特異性薬物から選ばれ、前記エピジェネティクス治療薬は、例えば、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であり、前記PI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路を標的とする阻害剤は、例えば、Tricibineであり、前記チロシンキナーゼ阻害剤は、例えば、スニチニブであり、前記免疫抑制剤は、例えば、シクロホスファミドであり、前記プロテアソーム阻害剤は、例えば、ボルテゾミブであり、前記免疫抑制剤は、例えば、サリドマイド、ポマリドミドであり、前記細胞傷害性薬物は、例えば、ゲムシタビン、テモゾロミドであり、前記細胞周期非特異性薬物は、例えば、ミトキサントロンである。
前記キット又はボックスセットは、ボックスA及びボックスBを含み、前記ボックスAは、治療有効量の本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物を含み、前記ボックスBは、治療有効量の別の治療薬を含み、前記治療薬は、ウイルスベクター薬、抗体、血中IgGレベルを低下させることができるポリペプチド薬物から選ばれ、前記ウイルスベクター薬は、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルスであることが好ましい。前記ボックスセットは、ボックスCをさらに含んでもよい。前記ボックスCは、標的薬又は化学療法薬又は免疫チェックポイント阻害剤を含む。前記標的薬は、エピジェネティクス治療薬、PI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路を標的とする阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤から選ばれ、前記化学療法薬は、免疫抑制剤、プロテアソーム阻害剤、細胞傷害性薬物、細胞周期非特異性薬物から選ばれ、前記エピジェネティクス治療薬は、例えば、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であり、前記PI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路を標的とする阻害剤は、例えば、Tricibineであり、前記チロシンキナーゼ阻害剤は、例えば、スニチニブであり、前記免疫抑制剤は、例えば、シクロホスファミドであり、前記プロテアソーム阻害剤は、例えば、ボルテゾミブであり、前記免疫抑制剤は、例えば、サリドマイド、ポマリドミドであり、前記細胞傷害性薬物は、例えば、ゲムシタビン、テモゾロミドであり、前記細胞周期非特異性薬物は、例えば、ミトキサントロンである。
当該キットは、治療有効量の本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物及び治療有効量の別の治療薬の投与(例えば、用量情報、投与時間間隔情報)に関する説明書を含んでもよい。前記別の治療薬は、ウイルスベクター薬、抗体、血中IgGレベルを低下させることができるポリペプチド薬物から選ばれ、前記ウイルスベクター薬は、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルスであることが好ましい。
十分に確立された発現系を利用してウイルスベクター薬を製造してもよい。いくつかの方法の例として、哺乳動物細胞発現系を利用してウイルス粒子を生成させることが挙げられ、例えば、HEK293細胞を用いてアデノウイルス系ウイルスベクター薬を作製する(Freedman Joshua D,Duffy Margaret R,Lei-Rossmann Janet et al.,An Oncolytic Virus Expressing a T-cell Engager Simultaneously Targets Cancer and Immunosuppressive Stromal Cells.[J].Cancer Res.,2018,78:6852-6865)。
医薬担体は、液体であってもよく、且つ、医薬組成物は、溶液の形態であってもよい。液体担体は、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリキシル剤、加圧組成物を製造するために用いられる。有効成分は、薬学的に許容される液体担体、例えば、水、有機溶媒、二者の混合物又は薬学的に許容される油又は脂肪に溶解又は懸濁されてもよい。
非経口投与用の医薬組成物は、無菌で、実質的に等張性で、発熱物質がなく、しかもFDA又は同様の機関のGMPに従って製造されるものである。ウイルスベクター薬は、当該物質の溶液又は懸濁液である注射可能な剤形として投与されてもよく、ただし、当該物質が生理学的に許容される希釈剤及び医薬担体(無菌の液体であってもよく、例えば、水、油、塩水、グリセリン又はエタノールである)の中にある。また、組成物には添加物、例えば、湿潤剤又は乳化剤、界面活性剤、pH緩衝物質などが存在してもよい。医薬組成物の他の成分として石油、動物、植物由来又は合成の成分が挙げられ、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油である。一般的に、例えば、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールなどのジオールが好ましい液体担体であり、注射用溶液の場合は特にそうである。ウイルスベクター薬はデポ剤又は埋め込み型製剤の形態で投与されてもよく、それらの形態は、有効成分が持続的に放出できるように製造されてもよい。一般的に、組成物を注射剤、即ち、液体の溶液又は懸濁液として製造してもよいし、注射前に液体溶媒に溶解又は懸濁させることに適する固体の形態として製造してもよい。
4.変異体、タンパク質、医薬組成物及びキットの用途
本発明は、また、薬物の製造における本発明の変異体、タンパク質、組成物及び/又はキットの用途に関する。いくつかの実施例では、前記薬物は、被験者における自己抗体媒介性病状を治療するために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、被験者におけるIgGレベルを低下させるために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、被験者における実質臓器移植後の自己抗体媒介性臓器拒絶反応を予防及び/又は治療するために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、遺伝子治療に用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、ウイルスベクターを基盤とした遺伝子治療の前に体内既存の抗ウイルスベクターの中和抗体を除去するために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、被験者における腫瘍を治療するために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、被験者における自己抗体を除去してFc含有剤に治療効果をより良く発揮させるために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、Fc含有剤を投与されている被験者において前記Fc含有剤の血清レベルを低下させるために用いられる。
本発明は、また、薬物の製造における本発明の変異体、タンパク質、組成物及び/又はキットの用途に関する。いくつかの実施例では、前記薬物は、被験者における自己抗体媒介性病状を治療するために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、被験者におけるIgGレベルを低下させるために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、被験者における実質臓器移植後の自己抗体媒介性臓器拒絶反応を予防及び/又は治療するために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、遺伝子治療に用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、ウイルスベクターを基盤とした遺伝子治療の前に体内既存の抗ウイルスベクターの中和抗体を除去するために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、被験者における腫瘍を治療するために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、被験者における自己抗体を除去してFc含有剤に治療効果をより良く発揮させるために用いられる。いくつかの実施例では、前記薬物は、Fc含有剤を投与されている被験者において前記Fc含有剤の血清レベルを低下させるために用いられる。
一つの好ましい実施例では、本発明の変異体、タンパク質、組成物及び/又はキットは、IgGを分析するために用いられてもよい。ただし、本発明の変異体、タンパク質、組成物及び/又はキットを使用してIgGを切断することで得られたFc及びF(ab’)2フラグメントを例えば、質量分析法による分子量推定、グリコフォーム分析、ADC分子分析などに用いる。
別の好ましい実施例では、本発明の変異体、タンパク質、組成物及び/又はキットは、Fab抗体フラグメントを製造するために用いられてもよい。ただし、本発明の変異体、タンパク質、組成物及び/又はキットを使用してIgGを切断することで生成されたF(ab’)2フラグメントを還元させることによってFabフラグメントを製造する。
4.1 自己抗体媒介性病状
本発明は、被験者における自己抗体媒介性病状を治療するための薬物の製造における本発明の変異体、タンパク質、組成物及び/又はキットの用途に関する。いくつかの実施例では、前記自己抗体媒介性病状は、自己免疫疾患及び/又は病原性抗体媒介性疾患又は病状である。
本発明は、被験者における自己抗体媒介性病状を治療するための薬物の製造における本発明の変異体、タンパク質、組成物及び/又はキットの用途に関する。いくつかの実施例では、前記自己抗体媒介性病状は、自己免疫疾患及び/又は病原性抗体媒介性疾患又は病状である。
好ましくは、前記疾患は、病原性抗体媒介性疾患又は病状であり、前記病原性IgG媒介性自己免疫疾患又は病状を含み、ただしそれらに限定されず、例えば、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、抗GBM抗体型糸球体腎炎、抗NMDAR受容体脳炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性胃炎、自己免疫性感音難聴、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性の副甲状腺機能低下、自己免疫性下垂体炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性の水疱性皮膚症、自己免疫性精巣炎、自己免疫性多内分泌腺症候群、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、炎症性脱髄性多発根神経炎、急性運動性軸索型ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、腹部疾患、自己免疫性蕁麻疹、クローン病、クレスト(CREST)症候群、セリアック病、デゴス病、抗好中球細胞質抗体関連血管炎、自己免疫性好中球減少症、後天性表皮水疱症、本態性混合性クリオグロブリン血症、巨細胞性動脈炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、炎症性腸疾患、川崎病、メニエール症候群、混合性結合組織病、モーレン潰瘍、関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、スティフパーソン症候群、先天性完全房室ブロック、後天性表皮水疱症、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、自己免疫性多内分泌腺症候群、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性多内分泌腺症候群、自己免疫性多内分泌腺症候群、多発性筋炎と皮膚筋炎、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー症候群、ライター症候群、リウマチ性心疾患、血友病(後天性FVIII欠乏症)、ランバート・イートン(Lambert-Eaton)筋無力症候群、多発性骨髄腫、サルコイドーシス、コラーゲン沈着、乾燥症候群、亜急性甲状腺炎、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、シェーグレン
症候群、1型糖尿病、白斑、フォークト-小柳-原田病又はウェゲナー肉芽腫症、急性喘息又は慢性喘息、臓器移植拒絶反応、一次性進行型多発性硬化症、全身性硬化症、血清病、免疫複合体型アレルギーを含み、ただしそれらに限定されない。
症候群、1型糖尿病、白斑、フォークト-小柳-原田病又はウェゲナー肉芽腫症、急性喘息又は慢性喘息、臓器移植拒絶反応、一次性進行型多発性硬化症、全身性硬化症、血清病、免疫複合体型アレルギーを含み、ただしそれらに限定されない。
臓器移植では、宿主IgGが急性移植拒絶反応を引き起こす。移植拒絶反応(transplant rejection)には2つのケースがあり、一つは宿主対移植片反応(host versus graft reaction、HVGR)で、もう一つは移植片対宿主反応(graft versus host reaction、GVHR)である。実質臓器移植では、宿主対移植片反応が主で、移植片対宿主反応がまれである。骨髄移植では、移植片対宿主反応が一般的である。
移植片対宿主反応(GVHR)とは、レシピエントに同種の組織又は臓器を移植した後、外来の組織又は臓器などの移植片がレシピエントの免疫系によって自身にない成分として認識され、後者は移植片に対する攻撃、破壊及び除去を起こす免疫反応を指す。ヒトリンパ球抗原(human lymphocyte antigen、HLA)への感受性の高い患者には、移植拒絶反応がより起きやすい。拒絶反応の発生メカニズムは、主に細胞性免疫及び体液性免疫の2つを含み、そのうち、体液性免疫(humoral immunity)は、エフェクターB細胞が抗体IgGを生成することによって保護の目的を実現する免疫メカニズムである。
本発明は、被験者における実質臓器移植後の自己抗体媒介性臓器拒絶反応を予防及び/又は治療するための薬物の製造における本発明の変異体、タンパク質、組成物及び/又はキットの用途に関する。いくつかの実施形態では、前記臓器拒絶反応は、臓器移植における同種移植片拒絶反応を含み、ただしそれらに限定されず、例えば、腎臓移植拒絶反応、同種膵島移植拒絶反応、膵臓移植拒絶反応、心臓移植拒絶反応、肝臓移植拒絶反応、肺移植拒絶反応又は小腸移植拒絶反応である。
病原性抗体媒介性疾患又は病状は、さらにグロブリン過剰血症を含む。ただし、前記過剰なグロブリンは白血球によって生成され、前記白血球は、B細胞、異常なB細胞から選ばれ、前記グロブリンは、ガンマグロブリンを含み、前記グロブリン過剰血症は、原発性単クローン性ガンマグロブリン血症、結合組織病、肝疾患、感染症、サルコイドーシス、重症筋無力症、ホジキン病、ベーチェット(Behcet)病、腎炎、アナフィラクトイド紫斑病、免疫性(あるいは自発性)血小板減少症、悪性単クローン性ガンマグロブリン血症(例えば、多発性骨髄腫、重鎖病、悪性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、マクログロブリン血症など)、二次性単クローン性ガンマグロブリン血症(例えば、非リンパネットワーク性全身性腫瘍、単球性白血病、クリオグロブリン血症など)、良性M蛋白血症、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ALアミロイドーシス、孤立性形質細胞腫(骨又は髄外)、POMES症候群、反応性形質細胞増多症、がんの溶骨性骨転移、形質芽球性リンパ腫、単クローン性免疫グロブリン関連腎症(MGRS)などを含む。前記病状は、多発性骨髄腫であることが好ましい。
本発明は、また、疾患を治療又は予防するための薬物の製造における本発明の変異体、タンパク質、組成物及び/又はキット使用に関する。好ましくは、前記疾患は、腫瘍、がん、感染症、遺伝子欠失関連疾患、病原性IgG抗体媒介性疾患又は病状を含み、ただしそれらに限定されない。前記感染症は、ウイルス感染症、細菌感染症又は真菌感染症を含む。
4.2 腫瘍又はがん
前記腫瘍又はがんは、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質がん、AIDS関連がん、AIDS関連リンパ腫、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、小児小脳腫瘍若しくは大脳腫瘍、基底細胞がん、肝外胆管がん、膀胱がん、骨腫瘍、骨肉腫若しくは悪性線維性組織球腫、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、小脳星状細胞腫(脳腫瘍)、大脳星状細胞腫若しくは悪性神経膠腫(脳腫瘍)、上衣腫(脳腫瘍)、髄芽腫(脳腫瘍)、テント上原始神経外胚葉性腫瘍(脳腫瘍)、視神経視床下部神経膠腫(脳腫瘍)、乳がん、気管支腺腫若しくはカルチノイド、バーキット(Burkitt)リンパ腫、カルチノイド、原発不明がん、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫若しくは悪性神経膠腫、子宮頸がん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、繊維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、小児性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼内黒色腫(眼腫瘍)、網膜芽細胞腫(眼腫瘍)、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド、消化管間質腫瘍(GIST)、頭蓋外、性腺外若しくは卵巣の胚細胞腫瘍、妊娠性トロホブラスト腫瘍、脳幹神経膠腫、小児大脳星状細胞腫神経膠腫、小児視神経視床下部神経膠腫、胃カルチノイド、有毛細胞白血病、頭頸部がん、心臓腫瘍、肝細胞(肝臓)がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視神経視床下部神経膠腫、眼内黒色腫、膵島細胞がん(膵内分泌腫瘍)、カポジ肉腫、腎臓がん(腎細胞がん)、咽頭がん、白血病、急性リンパ芽球性白血病(急性リンパ性白血病とも呼ばれる)、急性骨髄性白血病(急性骨髄芽球性白血病とも呼ばれる)、慢性リンパ性白血病(慢性リンパ性白血病とも呼ばれる)、慢性骨髄芽球性白血病(慢性骨髄性白血病とも呼ばれる)、有毛細胞白血病、口唇がん及び口腔がん、脂肪肉腫、肝臓がん(原発性)、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(旧分類法では、ホジキンリンパ腫を除く他のリンパ腫全体)、原発性中枢神経系リンパ腫、マクログロブリン血症、骨の悪性線維性組織球腫若しくは骨肉腫、髄芽腫、黒色腫、眼内(眼)黒色腫、メルケル(Merkel)細胞がん、中皮腫、成人悪性中皮腫、原発巣不明の頸部転移扁平上皮がん、口腔がん、多発性内分泌腺腫症候群、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成若しくは骨髄増殖性疾患、慢性骨髓性白血病、成人急性骨髄性白血病、小児急性骨髄性白血病、骨髄増殖性疾患、鼻腔及び副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、中咽頭がん、骨肉腫若しくは骨の悪性線維性組織球腫、卵巣がん、上皮性卵巣がん(表層上皮性・間質性細胞腫瘍)、卵巣の胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓がん、膵島細胞による膵臓がん、副鼻腔及び鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、褐色細胞腫、松果体部の星状細胞腫、松果体部の胚細胞腫瘍、松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫若しくは多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、腎盂及び尿管の腎細胞がん(腎臓がん)、移行上皮がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー
症候群、皮膚がん(非黒色腫)、皮膚がん(黒色腫)、メルケル(Merkel)細胞がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん、原発不明頸部転移扁平上皮がん、転移性胃がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉症及びセザリー症候群を参照)、精巣がん、咽喉頭がん、胸腺腫、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、甲状腺がん、腎盂及び尿管の移行上皮がん、尿管及び腎盂のトロホブラスト腫瘍、尿道の移行上皮がん、子宮内膜がん(子宮がん)、子宮肉腫、膣がん、視神経視床下部神経膠腫、外陰がん、マクログロブリン血症、腎芽腫(腎臓がん)からなる群から選ばれる。
前記腫瘍又はがんは、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質がん、AIDS関連がん、AIDS関連リンパ腫、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、小児小脳腫瘍若しくは大脳腫瘍、基底細胞がん、肝外胆管がん、膀胱がん、骨腫瘍、骨肉腫若しくは悪性線維性組織球腫、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、小脳星状細胞腫(脳腫瘍)、大脳星状細胞腫若しくは悪性神経膠腫(脳腫瘍)、上衣腫(脳腫瘍)、髄芽腫(脳腫瘍)、テント上原始神経外胚葉性腫瘍(脳腫瘍)、視神経視床下部神経膠腫(脳腫瘍)、乳がん、気管支腺腫若しくはカルチノイド、バーキット(Burkitt)リンパ腫、カルチノイド、原発不明がん、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫若しくは悪性神経膠腫、子宮頸がん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、繊維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、小児性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼内黒色腫(眼腫瘍)、網膜芽細胞腫(眼腫瘍)、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド、消化管間質腫瘍(GIST)、頭蓋外、性腺外若しくは卵巣の胚細胞腫瘍、妊娠性トロホブラスト腫瘍、脳幹神経膠腫、小児大脳星状細胞腫神経膠腫、小児視神経視床下部神経膠腫、胃カルチノイド、有毛細胞白血病、頭頸部がん、心臓腫瘍、肝細胞(肝臓)がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視神経視床下部神経膠腫、眼内黒色腫、膵島細胞がん(膵内分泌腫瘍)、カポジ肉腫、腎臓がん(腎細胞がん)、咽頭がん、白血病、急性リンパ芽球性白血病(急性リンパ性白血病とも呼ばれる)、急性骨髄性白血病(急性骨髄芽球性白血病とも呼ばれる)、慢性リンパ性白血病(慢性リンパ性白血病とも呼ばれる)、慢性骨髄芽球性白血病(慢性骨髄性白血病とも呼ばれる)、有毛細胞白血病、口唇がん及び口腔がん、脂肪肉腫、肝臓がん(原発性)、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(旧分類法では、ホジキンリンパ腫を除く他のリンパ腫全体)、原発性中枢神経系リンパ腫、マクログロブリン血症、骨の悪性線維性組織球腫若しくは骨肉腫、髄芽腫、黒色腫、眼内(眼)黒色腫、メルケル(Merkel)細胞がん、中皮腫、成人悪性中皮腫、原発巣不明の頸部転移扁平上皮がん、口腔がん、多発性内分泌腺腫症候群、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成若しくは骨髄増殖性疾患、慢性骨髓性白血病、成人急性骨髄性白血病、小児急性骨髄性白血病、骨髄増殖性疾患、鼻腔及び副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、中咽頭がん、骨肉腫若しくは骨の悪性線維性組織球腫、卵巣がん、上皮性卵巣がん(表層上皮性・間質性細胞腫瘍)、卵巣の胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓がん、膵島細胞による膵臓がん、副鼻腔及び鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、褐色細胞腫、松果体部の星状細胞腫、松果体部の胚細胞腫瘍、松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫若しくは多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、腎盂及び尿管の腎細胞がん(腎臓がん)、移行上皮がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー
症候群、皮膚がん(非黒色腫)、皮膚がん(黒色腫)、メルケル(Merkel)細胞がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん、原発不明頸部転移扁平上皮がん、転移性胃がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉症及びセザリー症候群を参照)、精巣がん、咽喉頭がん、胸腺腫、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、甲状腺がん、腎盂及び尿管の移行上皮がん、尿管及び腎盂のトロホブラスト腫瘍、尿道の移行上皮がん、子宮内膜がん(子宮がん)、子宮肉腫、膣がん、視神経視床下部神経膠腫、外陰がん、マクログロブリン血症、腎芽腫(腎臓がん)からなる群から選ばれる。
4.3 がん又は感染症
前記がん又は感染症は、動物の疾患であってもよいし、ヒトの疾患であってもよく、例えば、次のとおりである。
前記がん又は感染症は、動物の疾患であってもよいし、ヒトの疾患であってもよく、例えば、次のとおりである。
4.4 遺伝子欠失関連疾患
前記遺伝子欠失関連疾患は、タンパク質過剰発現、タンパク質発現欠乏、ウイルス感染症によって引き起こされる異種タンパク質発現を含み、ただしそれらに限定されず、好ましくは、前記遺伝子治療薬は、遺伝子過剰発現又は遺伝子低発現又は遺伝子欠失又は感染症を治療するために用いられ、前記疾患は、肺疾患(例えば、嚢胞性線維症)、出血性疾患(例えば、インヒビターを保有する若しくは保有しない血友病A若しくは血友病B)、地中海貧血症、血液疾患(例えば、貧血)、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、リソソーム蓄積症(例えば、アスパルチルグルコサミン尿症、バッテン病、後期幼児型神経セロイドリポフスチン症2型(CLN2)、シスチン症、ファブリー病、ゴーシェ病I型、II型及びIII型、糖原病II型(ポンペ病)、GM2ガングリオシドーシスI型(テイ-サックス(Tay Sachs)病)、GM2ガングリオシドーシスII型(サンドホフ(Sandhoff)病)、ムコリピドーシスI型(シアリドーシス1型及び2型)、II型(アイセル病)、III型(偽性ハーラー(Hurler)・ポリジストロフィー)及びIV型、ムコ多糖症(ハーラー(Hurler)症候群及びその異型、ハンター(Hunter)症候群、サンフィリッポ(Sanfilippo)症候群A型、B型、C型、D型、モルキオ(Morquio)症候群A型、B型、マロトー・ラミー(Maroteaux-Lamy)症候群、スライ(Sly)症候群)、ニーマン・ピック(Niemann-Pick)病A型、B型、C1型、C2型並びにシンドラー(Schindler)病I型及びII型、遺伝性血管性浮腫(HAE)、銅若しくは鉄蓄積性障害(例えば、ウィルソン病若しくはメンケス(Menkes)病)、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症、神経疾患若しくは神経変性疾患、がん、1型若しくは2型糖尿病、アデノシンデアミナーゼ欠損症、代謝異常(例えば、糖原病)、実質臓器(例えば、脳、肝臓、腎臓、心臓)又はウイルス感染性(例えば、B型及びC型肝炎、HIVなど)、細菌性若しくは真菌性疾患、凝固障害から選ばれる。
前記遺伝子欠失関連疾患は、タンパク質過剰発現、タンパク質発現欠乏、ウイルス感染症によって引き起こされる異種タンパク質発現を含み、ただしそれらに限定されず、好ましくは、前記遺伝子治療薬は、遺伝子過剰発現又は遺伝子低発現又は遺伝子欠失又は感染症を治療するために用いられ、前記疾患は、肺疾患(例えば、嚢胞性線維症)、出血性疾患(例えば、インヒビターを保有する若しくは保有しない血友病A若しくは血友病B)、地中海貧血症、血液疾患(例えば、貧血)、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、リソソーム蓄積症(例えば、アスパルチルグルコサミン尿症、バッテン病、後期幼児型神経セロイドリポフスチン症2型(CLN2)、シスチン症、ファブリー病、ゴーシェ病I型、II型及びIII型、糖原病II型(ポンペ病)、GM2ガングリオシドーシスI型(テイ-サックス(Tay Sachs)病)、GM2ガングリオシドーシスII型(サンドホフ(Sandhoff)病)、ムコリピドーシスI型(シアリドーシス1型及び2型)、II型(アイセル病)、III型(偽性ハーラー(Hurler)・ポリジストロフィー)及びIV型、ムコ多糖症(ハーラー(Hurler)症候群及びその異型、ハンター(Hunter)症候群、サンフィリッポ(Sanfilippo)症候群A型、B型、C型、D型、モルキオ(Morquio)症候群A型、B型、マロトー・ラミー(Maroteaux-Lamy)症候群、スライ(Sly)症候群)、ニーマン・ピック(Niemann-Pick)病A型、B型、C1型、C2型並びにシンドラー(Schindler)病I型及びII型、遺伝性血管性浮腫(HAE)、銅若しくは鉄蓄積性障害(例えば、ウィルソン病若しくはメンケス(Menkes)病)、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症、神経疾患若しくは神経変性疾患、がん、1型若しくは2型糖尿病、アデノシンデアミナーゼ欠損症、代謝異常(例えば、糖原病)、実質臓器(例えば、脳、肝臓、腎臓、心臓)又はウイルス感染性(例えば、B型及びC型肝炎、HIVなど)、細菌性若しくは真菌性疾患、凝固障害から選ばれる。
好ましくは、前記被験者は、血友病A、インヒビターを保有する血友病A、血友病B、インヒビターを保有する血友病B、凝固因子VII、VIII、IX、X、XI、V、XII、IIのいずれか、ヴォン・ヴィレブランド(von Willebrand)因子又はFV及びFVIII複合欠乏症、地中海貧血症、ビタミンKエポキシドレダクターゼCl欠損症又はγ-カルボキシラーゼ欠損症を有している。
好ましくは、前記遺伝子欠失によって引き起こされる疾患は、貧血;外傷、損傷、血栓形成、血小板減少症、脳卒中、凝固障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)に関連する出血;ヘパリン、低分子量ヘパリン、五炭糖、ワルファリン、低分子血栓形成抑制剤(即ち、FXa阻害剤)又は血小板疾患(例えば、ベルナール・スーリエ(Bernard Soulier)症候群、グランツマン(Glanzmann)血小板無力症又は貯蔵プール欠乏症)に関係する過剰な抗凝固状態である。
4.5 薬物の投与及び治療方法
本発明は、また、本発明の変異体、タンパク質、医薬組成物及び/又はキットの投与方法、及び本発明の変異体、タンパク質、医薬組成物及び/又はキットを投与して疾患又は病状を治療する方法に関する。
本発明は、また、本発明の変異体、タンパク質、医薬組成物及び/又はキットの投与方法、及び本発明の変異体、タンパク質、医薬組成物及び/又はキットを投与して疾患又は病状を治療する方法に関する。
好ましくは、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物は、体内では抗薬物抗体がすでに生成している時又は抗薬物抗体を生成させやすい別の治療薬の投与前に投与されてもよい。
好ましくは、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物は、体内では抗薬物抗体がすでに生成している時又は抗薬物抗体を生成させやすい別の治療薬の投与前に、同時に及び/又は投与後に投与されてもよい。
本発明に係る使用において、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物は、別の治療薬と同時に、別々に又は順次使用するための複合製剤として存在する。
いくつかの実施形態では、前記方法は、1)被験者に本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物を投与するステップと、続いて、2)前記被験者に前記別の治療薬を投与するステップとを含む。好ましくは、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物と前記別の治療薬の投与に時間間隔がある。
いくつかの実施形態では、前記方法は、1)前記被験者に前記別の治療薬を投与するステップと、続いて、2)被験者に本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物を投与するステップとを含む。好ましくは、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物と前記別の治療薬の投与に時間間隔がある。
好ましくは、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物の投与量及び時間間隔は、被験者体内の免疫グロブリンレベルを初期レベルの60%に低下させるように設定される。より好ましくは、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物の投与量及び時間間隔は、被験者体内の免疫グロブリンレベルを当該患者体内の初期レベルの50%未満、40%未満、30%未満、20%未満又は10%未満に低下させるように設定される。本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物は、ある時点に投与されてもよいし又は設定された期間以内に投与されてもよい。
好ましくは、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物は、点滴静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、関節内注射、皮内注射又は皮下注射で投与され、好ましい注射方式は点滴静脈内注射である。且つ/又は投与される本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物の量は、0.01~2mg/kg体重、0.04~2mg/kg体重、0.12~2mg/kg体重、0.24~2mg/kg体重又は1~2mg/kg体重である。
好ましくは、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物と前記別の治療薬の投与の時間間隔は、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間又は少なくとも6時間であり、しかも最大35日、最大28日、最大21日、最大18日、最大14日、最大13日、最大12日、最大11日、最大10日、最大9日、最大8日、最大7日、最大6日、最大5日、最大4日、最大3日、最大2日、最大24時間、最大18時間、最大12時間、最大10時間、最大8時間、最大7時間又は最大6時間である。
好ましくは、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物と前記別の治療薬の時間間隔は、30分~1時間、30分~2時間、30分~3時間、30分~4時間、30分~5時間、30分~6時間、1~2時間、1~3時間、1~4時間、1~5時間、1~6時間、2~3時間、2~4時間、2~5時間、2~6時間、3~4時間、3~5時間、3~6時間、4~5時間、4~6時間又は5~6時間である。
別の実施形態では、前記方法は、1)本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物で前記被験者からの血液をインビトロで処理するステップと、2)血液を前記被験者に戻すステップと、3)前記被験者に前記別の治療薬を投与するステップとを含む。
別の実施形態では、前記方法は、1)前記被験者に前記別の治療薬を投与するステップと、2)本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物で前記被験者からの血液をインビトロで処理するステップと、3)血液を前記被験者に戻すステップとを含む。
好ましい実施形態では、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物を別の治療薬と組み合わせてがんを予防及び/又は治療するために用いる。
好ましい実施形態では、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物を別の治療薬と組み合わせてウイルス感染症を予防及び/又は治療するために用いる。
好ましい実施形態では、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物を別の治療薬と組み合わせて細菌感染症を予防及び/又は治療するために用いる。
好ましい実施形態では、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物を別の治療薬と組み合わせて真菌感染症を予防及び/又は治療するために用いる。
好ましい実施形態では、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物を別の治療薬と組み合わせて遺伝子欠失関連疾患を予防及び/又は治療するために用いる。
好ましい実施形態では、本発明の変異体、タンパク質及び/又は組成物を別の治療薬と組み合わせて病原性IgG抗体媒介性疾患又は病状を治療するために用いる。
本発明は、また、前記薬物の組み合わせを被験者に投与して遺伝子欠失関連疾患又はがん又は感染又は病原性IgG抗体媒介性疾患又は病状を治療又は予防する方法を提供する。ただし、前記方法により、前記ウイルスベクターと結合抗体するは、20~50%、50~75%、75~90%、90~95%又は95%又は95%以上減少し、また、前記方法により、前記病原性IgG抗体は、20~50%、50~75%、75~90%、90~95%又は95%又は95%以上減少する。好ましくは、前記薬物は、遺伝子欠失関連疾患の治療方法に用いられる。好ましくは、前記薬物は、がんを治療し、がんを予防し、感染を予防する方法に用いられる。前記感染は、ウイルス感染症、細菌感染症又は真菌感染症であることが好ましい。好ましくは、前記薬物は、がんの治療方法に用いられる。好ましくは、前記薬物は、病原性IgG抗体媒介性疾患又は病状の治療方法に用いられる。
好ましくは、前記別の治療薬は、ウイルスベクター薬であり、好ましくは、前記ウイルスベクター薬は、腫瘍溶解性ウイルス、ウイルスベクターワクチン、遺伝子治療用ウイルスである。
好ましくは、前記別の治療薬は、抗体である。
好ましくは、前記別の治療薬は、血中IgGレベルを低下させることができるポリペプチド薬物であり、例えば、エフガルチギモド(Efgartigimod)である。より好ましくは、前記血中IgGレベルを低下させることができるポリペプチド薬物は、上記の病原性IgG抗体媒介性疾患の治療に用いられる。
好ましくは、前記薬物の組み合わせの成分が単独で投与され、又は前記薬物の組み合わせの成分が同時に投与される。
上記の複数の用途及び方法において、さらに別の治療薬、例えば、抗炎症薬と組み合わせてもよい。
いくつかの実施例では、前記別の治療薬は、白血球除去剤である。
いくつかの実施例では、前記別の治療薬は、B細胞枯渇剤である。
いくつかの実施例では、前記B細胞枯渇剤は、抗体であり、好ましくは、腫瘍の治療に用いられる抗体であり、より好ましくは、前記抗体は、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD53、CD70、CD72、CD74、CD75、CD77、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD3、CD11a、CD14、CD25、CD28、CD30、CD33、CD36、CD38、CD40、CD44、CD52、CD55、CD59、CD56、CD103、CD134、CD137、CD138、CD152、CD3、IL-1β、IL-2R、IL-6、IL-6R、IL-12、IL-23、C5、BAFF、BLyS、BCMA、CXCR-4、ICAM-1、SLAMF7(CS1)、TNFα、IgE、CD85又はCD86と特異的に結合する。
いくつかの実施例では、前記別の治療薬は、リツキシマブ、ダクリズマブ、ベバシズマブ、ムロモナブ-CD3、インフリキシマブ、アダリムマブ、オマリズマブ、エファリズマブ、ナタリズマブ、トシリズマブ、エクリズマブ、ゴリムマブ、カナキヌマブ、ウステキヌマブ、ベリムマブ、ダラツムマブ、イサツキシマブ(Isatuximab)又はそれらの組み合わせである。
いくつかの実施例では、前記Fc含有剤は、治療薬又は診断薬であり、好ましくは、前記Fc含有剤は、抗体、Fc融合タンパク質、抗体薬物複合体である。
5.用語の説明
他に定義しない限り、本明細書で使用される技術及び科学用語の全てが、当業者の知っている一般的な意味と同じものである。本発明の実施又は試験では本明細書の記載に似ている又は同等のいずれの方法、装置及び材料を使用してもよいが、以下、好ましい方法、装置及び材料を記述する。
他に定義しない限り、本明細書で使用される技術及び科学用語の全てが、当業者の知っている一般的な意味と同じものである。本発明の実施又は試験では本明細書の記載に似ている又は同等のいずれの方法、装置及び材料を使用してもよいが、以下、好ましい方法、装置及び材料を記述する。
用語「ヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」とは、一本鎖又は二本鎖の形態のデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド又はリボヌクレオチド及びその重合体を意味する。特に限定しない限り、前記用語は、天然のヌクレオチドの既知の類似体を含有する核酸をカバーしており、前記類似体は、参照核酸に似ている結合特性を有し且つ天然に存在するヌクレオチドと同様の方式で代謝される。他に特に限定しない限り、前記用語とは、オリゴヌクレオチド類似体も意味し、PNA(ペプチド核酸)、アンチセンス技術で使用するDNA類似体(ホスホロチオエート、ホスホロアミド酸など)を含む。他に限定しない限り、特定の核酸配列は、その保存的に修飾された変異体(縮重コドン置換を含み、ただしそれらに限定されない)、相補的配列、及び明確に説明した配列をも暗黙的にカバーしている。具体的には、1つ又は1つ以上の特定の(又は全て)のコドンの位置3が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基によって置換された配列を生成することによって縮重コドン置換を実現できる(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991)、Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.260:2605-2608(1985)、Cassol et al.(1992)、Rossolini et al.,Mol Cell.Probes8:91-98(1994))。
用語「ポリペプチド」と「タンパク質」は、本明細書では、アミノ酸残基の重合体を意味して入れ替えて使用される。即ち、ポリペプチドに関する記述は、ペプチドの記述及びタンパク質の記述にも適用され、逆もまたしかりである。前記用語は、天然に存在するアミノ酸重合体、及び1つ又は1つ以上のアミノ酸残基が非天然にコードされたアミノ酸であるアミノ酸重合体に適用される。本明細書で使用される前記用語は、全長タンパク質(即ち、抗原)など、あらゆる長さのアミノ酸鎖をカバーしており、ただしアミノ酸残基が共有のペプチド結合によって接続される。
用語「宿主細胞」とは、例えば、直接的な取り込み、形質導入、ペアリング又は当該分野で知られている他の方法など、組換え宿主細胞を生成させるための挿入の方法を問わず、本発明のヌクレオチドを含む細胞を意味する。外因性ポリヌクレオチドは、例えば、プラスミドの非組込み型ベクターとして保持されてもよいし又は宿主ゲノムに組み込まれてもよい。宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であってもよい。
用語「形質転換」とは、異種DNA配列を宿主細胞又は体内に導入する方法を意味する。用語「発現」とは、細胞における内因性遺伝子又は導入遺伝子の転写及び/又は翻訳を意味する。
(発明の効果)
(発明の効果)
本発明の有益な効果は次のとおりである。本発明は、免疫グロブリン分解酵素の変異体の使用を提供し、本発明の変異体を前記分野に用いる場合は、活性が高く、既存の抗体が少ないという特徴があり、安全性が高い利点がある。
以下、実施例で本発明をさらに説明し、ただし本発明を実施例の範囲に限定するわけではない。以下の実施例で具体的な条件が明記されていない試験方法は、通常の方法及び条件で行うか、又は商品の説明書に従って選択する。
実施例1:変異体ライブラリーの設計と発現
野生型IdeEタンパク質配列変異ライブラリーを設計・構築し、それらから40個の変異株をスクリーニングした。
野生型IdeEタンパク質配列変異ライブラリーを設計・構築し、それらから40個の変異株をスクリーニングした。
コドン最適化を経て野生型IdeEタンパク質配列(配列番号2)をコードするポリヌクレオチド配列を合成し、N末端シグナルペプチド配列及びC末端6×ヒスチジンタグを加え、配列合成後にpET32a発現ベクターに挿入し、正しい配列と確認した後、野生型IdeEを発現するための組換えプラスミドを得た。野生型IdeEの発現プラスミドに基づいて、変異ライブラリーに必要な縮重プライマーを設計し、元の野生型配列を増幅させ、増幅後に配列をベクターに挿入して変異ライブラリー組換えプラスミドを得た。野生型及び変異ライブラリー組換えプラスミドを電気形質転換により大腸菌BL21 Star(DE3)に導入し、100μg/mLのアンピシリンを含むLBアガロースプレートに接種した。コロニーが出るまで37℃で一晩培養した。単一のコロニーをピッキングして、100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地200μLに接種し、37℃、250rpmで一晩培養した。100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地1mLに一晩の培養物を接種し、37℃で4時間培養した後に0.1mMのIPTGを加えて、30℃で引き続き一晩培養した。一晩の培養物を遠心分離して上清を収集した。SDS-PAGEを利用して変異体発現上清中の変異体タンパク質の濃度を評価した。
実施例2:ヒトIgG1に対する変異体の切断活性の評価
ヒトIgG1に対する各変異体の切断活性を評価するために、ELSIAに基づく活性測定方法を確立した。測定の方法は、ヒトIgG1特異的抗原でELISA用プレートをコーティングし、次に相当の濃度の変異体タンパク質を含有する上清サンプルとヒトIgG1をウェルに入れて共にインキュベートすることであった。抗体Fc部分に特異性を有するヒトIgG1検出抗体を使用してウェルと結合した完全な又は不完全に切断されたヒトIgG1の量を測定した。ウェル中の所定の上清中の変異体タンパク質の濃度が同じである場合、変異体タンパク質のヒトIgG1切断活性が高いほど、ウェルと結合する完全なヒトIgG1抗体はより少なく、これによってシグナルはより低い。異なる濃度のIgG1と対応の検出シグナルとの関係からIgG1標準曲線を作成でき、標準曲線から完全な又は不完全に切断されたIgG1の量を計算し、さらに完全に切断されたIgG1の量を計算した。完全に切断されたIgG1の最初のIgG1に占める比率で変異体の活性の高さを評価した。
ヒトIgG1に対する各変異体の切断活性を評価するために、ELSIAに基づく活性測定方法を確立した。測定の方法は、ヒトIgG1特異的抗原でELISA用プレートをコーティングし、次に相当の濃度の変異体タンパク質を含有する上清サンプルとヒトIgG1をウェルに入れて共にインキュベートすることであった。抗体Fc部分に特異性を有するヒトIgG1検出抗体を使用してウェルと結合した完全な又は不完全に切断されたヒトIgG1の量を測定した。ウェル中の所定の上清中の変異体タンパク質の濃度が同じである場合、変異体タンパク質のヒトIgG1切断活性が高いほど、ウェルと結合する完全なヒトIgG1抗体はより少なく、これによってシグナルはより低い。異なる濃度のIgG1と対応の検出シグナルとの関係からIgG1標準曲線を作成でき、標準曲線から完全な又は不完全に切断されたIgG1の量を計算し、さらに完全に切断されたIgG1の量を計算した。完全に切断されたIgG1の最初のIgG1に占める比率で変異体の活性の高さを評価した。
実施例1で得た上清中の変異体タンパク質の濃度を相当のレベルにするために、同じローディング量でSDS-PAGE検出を行い、Quantity Oneを使用して電気泳動パターン中の目的タンパク質バンドの光学濃度値を分析し、ローディング量が同じである場合、パターン中の目的タンパク質バンドの光学濃度値が高いほど、濃度はより高い。IdeE上清を対照とし、他の変異体上清を濃縮又は希釈することで、変異体タンパク質バンドの光学濃度値がいずれもIdeE対照の光学濃度値とほぼ一致するようにする。
上清中のタンパク質濃度を相当のレベルに調整した後、次の方法でELISA検出を行った。2μg/mLのヒトIgG1(トラスツズマブ)特異的抗原(カタログ番号QRE-104、瑞安生物)でELISA用プレートを2~8℃で一晩コーティングし、次にPBST(PBS+0.05%のポリソルベート20)で洗浄し、洗浄後のELISA用プレートを2%のBSA(PBS調製)で37℃、2時間ブロッキングし、ブロッキング後にPBSTで洗浄した。
標準曲線の作成であった。200ng/mLのトラスツズマブを反応緩衝液(10mMのPB、10mMのNaCl、pH 6.5)で3.125ng/mLになるまで1:2の比率で勾配希釈し、基質(トラスツズマブ)標準曲線の作成に備え、100μLの異なる濃度のトラスツズマブをELISA用プレートのウェルに加えた。
切断反応であった。タンパク質濃度調整後の上清を反応緩衝液(10mMのPB、10mMのNaCl、pH 6.5)で5倍希釈し、50μLの100ng/mLのトラスツズマブと50μLの希釈後の上清をELISA用プレートのウェルに加えた。
ELISA用プレートを37℃で振盪しながら1時間インキュベートし、PBSTで洗浄した後に40ng/mLのGoat anti-Human IgG Fc Cross-Adsorbed Secondary Antibody-HRP(ヤギ抗ヒトIgG Fc交差吸着二次抗体-HRP、カタログ番号31413、Thermo)をウェルプレートに加えて、37℃で振盪しながら1時間インキュベートし、PBSTで洗浄した後にHRPの発色基質としてTMBを加えて15分間インキュベートし、2NのH2SO4で停止させた。マイクロプレートリーダーで450nmでの吸光度を検出した。基質標準曲線から異なるテストウェル中の完全な又は不完全に切断されたトラスツズマブの濃度を計算し、さらに完全に切断されたトラスツズマブの最初のトラスツズマブに占める比率を計算し、これで異なる変異体の活性を評価した。
野生型IdeEの活性に対する各変異体の活性の倍率関係は表1で示されるとおりであった。実施例1でスクリーニングした40個の変異体はいずれも野生型IdeEより高い又は同じ活性を有し、そのうち15個の変異体の活性が野生型IdeEの2倍又は2倍以上であった。
実施例3:変異体の熱安定性の評価
表1で示される活性が野生型IdeEの2倍又は2倍以上である15個の変異体から12個の変異体を選んでその熱安定性を検出した。活性検出方法は次のとおりであった。
野生型又は各変異体上清を2部に分けて、それぞれ4℃、50℃で静置して1時間保温し、保温後に実施例2のELISA法に従って野生型又は各変異体の活性を検出し、50℃保温の活性/4℃保温後の活性で野生型又は各変異体の50℃で1時間保温した残存活性のパーセンテージ(%)を計算し、これで野生型と各変異体の熱安定性を比較した。
表1で示される活性が野生型IdeEの2倍又は2倍以上である15個の変異体から12個の変異体を選んでその熱安定性を検出した。活性検出方法は次のとおりであった。
野生型又は各変異体上清を2部に分けて、それぞれ4℃、50℃で静置して1時間保温し、保温後に実施例2のELISA法に従って野生型又は各変異体の活性を検出し、50℃保温の活性/4℃保温後の活性で野生型又は各変異体の50℃で1時間保温した残存活性のパーセンテージ(%)を計算し、これで野生型と各変異体の熱安定性を比較した。
野生型IdeEに対する変異体活性の熱安定性の倍率関係は表2で示されるとおりであった。表2で示される12個の変異体はいずれも野生型より高い熱安定性を有し、そのうち7つの変異体の熱安定性が野生型の3倍以上であった。
実施例4:一点変異体のヒトIgG1切断活性の比較
表1及び表2で示されるT8D、T8W、T24A、A59L、A59V、E97D及びR280Hである「活性が野生型IdeEの2倍以上で、熱安定性が野生型IdeEの3倍以上である」7つの一点変異体のヒトIgG1切断活性を検出した。
表1及び表2で示されるT8D、T8W、T24A、A59L、A59V、E97D及びR280Hである「活性が野生型IdeEの2倍以上で、熱安定性が野生型IdeEの3倍以上である」7つの一点変異体のヒトIgG1切断活性を検出した。
1.変異体の発現と精製
実施例1の上記の5つの一点変異体の形質転換プレートから各単一のコロニーをピッキングして、100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地3mLに接種し、37℃、250rpmで一晩培養した。一晩の培養物を100μg/mLのアンピシリンを含む50mLのLB培地に接種し、OD600が0.4~0.6になるまで37℃で培養し、0.1mMのIPTGを加えて、30℃で引き続き一晩培養した。一晩の培養物を遠心分離して上清を収集した。上清をIDA-Ni磁性アガロースビーズで精製し、精製で溶出したタンパク質を限外濾過遠心管でPBS緩衝液系に交換した。SDS-PAGEを利用して精製後の変異体タンパク質の純度を評価した。OD280を検出し、吸光係数から精製後の変異体タンパク質の濃度を計算した。
実施例1の上記の5つの一点変異体の形質転換プレートから各単一のコロニーをピッキングして、100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地3mLに接種し、37℃、250rpmで一晩培養した。一晩の培養物を100μg/mLのアンピシリンを含む50mLのLB培地に接種し、OD600が0.4~0.6になるまで37℃で培養し、0.1mMのIPTGを加えて、30℃で引き続き一晩培養した。一晩の培養物を遠心分離して上清を収集した。上清をIDA-Ni磁性アガロースビーズで精製し、精製で溶出したタンパク質を限外濾過遠心管でPBS緩衝液系に交換した。SDS-PAGEを利用して精製後の変異体タンパク質の純度を評価した。OD280を検出し、吸光係数から精製後の変異体タンパク質の濃度を計算した。
2.変異体のヒトIgG1切断活性の比較
SDS-PAGEに出現しているヒトIgG1に対して各種の変異体の異なる濃度によって生成された切断産物から野生型IdeEに対する異なる変異体のヒトIgG1切断活性の高さをさらに評価した。精製後の変異体又は野生型IdeEをそれぞれ0.002mg/mL、0.001mg/mLに希釈した。異なる濃度の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
SDS-PAGEに出現しているヒトIgG1に対して各種の変異体の異なる濃度によって生成された切断産物から野生型IdeEに対する異なる変異体のヒトIgG1切断活性の高さをさらに評価した。精製後の変異体又は野生型IdeEをそれぞれ0.002mg/mL、0.001mg/mLに希釈した。異なる濃度の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
図1は、7つの一点変異体及び野生型IdeEでヒトIgG1を切断して生成された切断産物の電気泳動パターン(酵素:基質=1:1000)を示す。図2は、7つの一点変異体及び野生型IdeEでヒトIgG1を切断して生成された切断産物の電気泳動パターン(酵素:基質=1:2000)を示す。7つの一点変異体の濃度0.001mg/mLでIgG1を切断した効果がいずれも0.002mg/mLの野生型IdeEに劣らないことから、7つの一点変異体のヒトIgG1切断活性は野生型IdeEの2倍以上であることが分かった。
実施例5:N末端短縮化変異体のヒトIgG1切断活性及び熱安定性の比較
野生型IdeEからそれぞれN末端の先頭からの15個(D1~V15)、先頭からの16個(D1~P16)、先頭からの17個(D1~H17)、先頭からの18個(D1~Q18)、先頭からの19個(D1~I19)のアミノ酸を削除して、5つのN末端短縮化変異体を構築した(表3を参照)。
野生型IdeEからそれぞれN末端の先頭からの15個(D1~V15)、先頭からの16個(D1~P16)、先頭からの17個(D1~H17)、先頭からの18個(D1~Q18)、先頭からの19個(D1~I19)のアミノ酸を削除して、5つのN末端短縮化変異体を構築した(表3を参照)。
1.変異体の発現と精製
実施例1の方法に従って表3の変異体ポリヌクレオチド配列を合成して、変異体発現組換えプラスミドを構築し、大腸菌BL21 Star(DE3)の形質転換を行った。実施例4の方法に従って変異体精製タンパク質を作製した。
実施例1の方法に従って表3の変異体ポリヌクレオチド配列を合成して、変異体発現組換えプラスミドを構築し、大腸菌BL21 Star(DE3)の形質転換を行った。実施例4の方法に従って変異体精製タンパク質を作製した。
2.変異体のヒトIgG1切断活性の比較
精製後の変異体又は野生型IdeEをそれぞれ0.002mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
精製後の変異体又は野生型IdeEをそれぞれ0.002mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
図3は、5つの短縮化変異体でヒトIgG1を切断して生成された切断産物の電気泳動パターン(酵素:基質=1:1000)を示す。5つの短縮化変異体の切断活性はいずれも野生型IdeEと明らかな違いがなかった。
3.変異体の熱安定性の比較
精製後の変異体又は野生型IdeEをそれぞれ0.1mg/mLに希釈して、50℃で1時間保温し、保温後にさらに0.002mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
精製後の変異体又は野生型IdeEをそれぞれ0.1mg/mLに希釈して、50℃で1時間保温し、保温後にさらに0.002mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
図4は、50℃で1時間保温した後、5つの短縮化変異体及び野生型IdeEでヒトIgG1を切断して生成された切断産物の電気泳動パターン(酵素:基質=1:1000)を示す。50℃の熱処理後に5つの短縮化変異体の残存活性が野生型より明らかに高い又は同じであることから、5つの短縮化変異体の熱安定性はいずれも野生型に対して明らかに向上していることが分かった。
実施例6:C末端短縮化変異体のヒトIgG1切断活性の比較
野生型IdeEからそれぞれC末端の末尾からの5つ(W311~S315)、末尾からの10個(S306~S315)のアミノ酸を削除して、2つのC末端短縮化変異体を構築した(表4を参照)。
野生型IdeEからそれぞれC末端の末尾からの5つ(W311~S315)、末尾からの10個(S306~S315)のアミノ酸を削除して、2つのC末端短縮化変異体を構築した(表4を参照)。
1.変異体の発現と精製
実施例1の方法に従って表4の変異体ポリヌクレオチド配列を合成して、変異体発現組換えプラスミドを構築し、大腸菌BL21 Star(DE3)の形質転換を行った。実施例4の方法に従って変異体精製タンパク質を作製した。
実施例1の方法に従って表4の変異体ポリヌクレオチド配列を合成して、変異体発現組換えプラスミドを構築し、大腸菌BL21 Star(DE3)の形質転換を行った。実施例4の方法に従って変異体精製タンパク質を作製した。
2.変異体のヒトIgG1切断活性の比較
精製後の変異体又は野生型IdeEをそれぞれ0.002mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
精製後の変異体又は野生型IdeEをそれぞれ0.002mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
図5は、2つのC末端短縮化変異体でヒトIgG1を切断して生成された切断産物の電気泳動パターン(酵素:基質=1:1000)を示す。2つの短縮化変異体の切断活性がいずれも野生型IdeEより2倍以上高かった。
実施例7:組合せ変異体のヒトIgG1切断活性及び熱安定性の比較
T24A、A59L、A59V、E97D及びR280Hの5つの一点変異体からそれぞれ先頭からの18個(D1~Q18)のアミノ酸を削除して、5つの組合せ変異体を構築した(表5を参照)。
T24A、A59L、A59V、E97D及びR280Hの5つの一点変異体からそれぞれ先頭からの18個(D1~Q18)のアミノ酸を削除して、5つの組合せ変異体を構築した(表5を参照)。
1.変異体の発現と精製
実施例1の方法に従って表5の変異体ポリヌクレオチド配列を合成して、変異体発現組換えプラスミドを構築し、大腸菌BL21 Star(DE3)の形質転換を行った。実施例4の方法に従って変異体精製タンパク質を作製した。
実施例1の方法に従って表5の変異体ポリヌクレオチド配列を合成して、変異体発現組換えプラスミドを構築し、大腸菌BL21 Star(DE3)の形質転換を行った。実施例4の方法に従って変異体精製タンパク質を作製した。
2.変異体のヒトIgG1切断活性の比較
精製後の変異体をそれぞれ0.001mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
精製後の変異体をそれぞれ0.001mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
図6は、5つの組合せ変異体でヒトIgG1を切断して生成された切断産物の電気泳動パターン(酵素:基質=1:2000)を示す。図6と図2の切断効果を比較したところ、5つの短縮化変異体と一点組合せ変異体の切断活性に明らかな違いがないことから、組合せ変異体のヒトIgG1切断活性も野生型IdeEの2倍以上であることが分かった。
3.変異体の熱安定性の比較
精製後の変異体をそれぞれ0.1mg/mLに希釈して、50℃で1時間保温し、保温後にさらに0.001mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
精製後の変異体をそれぞれ0.1mg/mLに希釈して、50℃で1時間保温し、保温後にさらに0.001mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
図7は、50℃で1時間保温した後、5つの組合せ変異体でヒトIgG1を切断して生成された切断産物の電気泳動パターン(酵素:基質=1:2000)を示す。図6と図7の切断効果を比較したところ、5つの組合せ変異体は50℃の熱処理後に活性がわずかなだけ低減したことから、5つの組合せ変異体も野生型に対していずれも熱安定性が明らかに向上していることが分かった。
実施例8:E97D_del18変異体とIdeS及びIdeZとの活性比較
実施例7で精製されたE97D_del18変異体を20μg/mL、10μg/mL、5μg/mL、2.5μg/mL、1.25μg/mLの順に希釈した。IdeS(FabRICATOR(登録商標)、カタログ番号A0-FRI-020、Genovis)をその表示に従ってそれぞれ2U/μL、1U/μL、0.5U/μL、0.25U/μL、0.125U/μLに希釈した。IdeZ(FabRICATOR-Z(登録商標)、カタログ番号A0-FRZ-020、Genovis)をそれぞれ0.4U/μL、0.2U/μL、0.1U/μL、0.05U/μL、0.025U/μLに希釈した。異なる濃度の変異体、IdeS又はIdeZそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
実施例7で精製されたE97D_del18変異体を20μg/mL、10μg/mL、5μg/mL、2.5μg/mL、1.25μg/mLの順に希釈した。IdeS(FabRICATOR(登録商標)、カタログ番号A0-FRI-020、Genovis)をその表示に従ってそれぞれ2U/μL、1U/μL、0.5U/μL、0.25U/μL、0.125U/μLに希釈した。IdeZ(FabRICATOR-Z(登録商標)、カタログ番号A0-FRZ-020、Genovis)をそれぞれ0.4U/μL、0.2U/μL、0.1U/μL、0.05U/μL、0.025U/μLに希釈した。異なる濃度の変異体、IdeS又はIdeZそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
図8は、異なる濃度のE97D_del18変異体及びIdeSでヒトIgG1を切断して生成された切断産物の電気泳動パターンを示す。電気泳動パターン上の酵素タンパク質バンドからは1番レーンのIdeSの酵素濃度が7番と8番レーンのE97D_del18変異体の酵素濃度の間にあると判断でき、そして3番レーンのIdeSの酵素濃度が9番と10番レーンのE97D_del18変異体の酵素濃度の間にあると推測でき、3番レーンのIgG1の酵素切断効果が10番と11番レーンの間にあることから、E97D_del18変異体のヒトIgG1切断活性はIdeSの2倍に近いと推測できる。
図9は、異なる濃度のE97D_del18変異体及びIdeZでヒトIgG1を切断して生成された切断産物の電気泳動パターンを示す。電気泳動パターン上の酵素タンパク質バンドからは1番レーンのIdeZの酵素濃度が7番レーンのE97D_del18変異体の酵素濃度より高いと判断でき、そして3番レーンのIdeZの酵素濃度が9番レーンのE97D_del18変異体の酵素濃度より高く、即ち、11番レーンのE97D_del18変異体の酵素濃度より4倍高いと推測でき、3番レーンのIgG1の酵素切断効果が11番レーンに近いことから、E97D_del18変異体のヒトIgG1切断活性はIdeZより4倍高いと推測できる。
実施例9:E97D_del18変異体のヒトIgG1切断活性のインビトロ検出
E97D_del18変異体を加えた及びヒトIVIgで処理したマウス血清又は血漿中の完全な又は単一切断IVIgの量を検出することによりヒトIgG1に対するE97D_del18変異体のインビトロ切断活性を評価した。表6のとおり異なる群のマウス血清又は血漿酵素切断系を調製した。
E97D_del18変異体を加えた及びヒトIVIgで処理したマウス血清又は血漿中の完全な又は単一切断IVIgの量を検出することによりヒトIgG1に対するE97D_del18変異体のインビトロ切断活性を評価した。表6のとおり異なる群のマウス血清又は血漿酵素切断系を調製した。
ヨード酢酸処理群でヨード酢酸の役割はIgG分解酵素の活性を抑えることであった。
系を37℃で静置して30分間反応させた。20μLのサンプルと等量の2×SDS非還元ローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
図10は、マウスの血清及び血漿においてE97D_del18変異体でヒトIVIgを切断して生成された切断産物の電気泳動パターンを示す。結果から分かるように、E97D_del18はマウスの血清と血漿のいずれでもヒトIVIgを効果的に切断できる。
E97D_del18変異体を加えて処理したマウス又はヒト血清を検出することでE97D_del18変異体はヒトIgG1に対するインビトロ切断活性を有するかどうかを評価した。表7のとおり異なる群のマウス又はヒト血清酵素切断系を調製した。
系を37℃で静置して24時間反応させた。20μLのサンプルと等量の2×SDS還元ローディング緩衝液を混合し、さらに1×SDS還元ローディング緩衝液で20倍希釈して、75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
図11は、マウス及びヒトの血清においてE97D_del18変異体によって生成された切断産物の電気泳動パターンを示す。結果から分かるように、E97D_del18はヒト血清では切断してはっきりと見られる25kDのFcフラグメントが生成され、マウス血清では当該フラグメントがなく、このことからE97D_del18はヒト血清中のIgG1を効果的に特異的切断できるが、マウス血清中のIgG1に対する切断活性は非常に低いか切断活性がないことが分かった。
実施例10:E97D_del18変異体による異なる種の免疫グロブリンの切断
E97D_del18変異体を加えられた異なる種動物の血清又は血漿中の完全な又は単一切断IgGの量を検出することによって異なる種の動物の血清免疫グロブリンに対するE97D_del18変異体のインビトロ切断活性を評価した。表8及び表9のとおり異なる種の血清又は抗体酵素切断系を調製した。
E97D_del18変異体を加えられた異なる種動物の血清又は血漿中の完全な又は単一切断IgGの量を検出することによって異なる種の動物の血清免疫グロブリンに対するE97D_del18変異体のインビトロ切断活性を評価した。表8及び表9のとおり異なる種の血清又は抗体酵素切断系を調製した。
系を37℃で静置して1時間反応させ、SDS-PAGEで酵素切断産物を検出した。
図12A~図12Dは、異なる種の血清及び抗体におけるE97D_del18変異体の効果を示す。結果から分かるように、E97D_del18はイヌIgG、ウサギIgG及びマウスIgG2aを効果的に切断できるが、マウスIgG1を切断できず、E97D_del18はウサギ、イヌ及びサルの血清IgGを効果的に切断でき、そのうちウサギ血清IgGの切断効果が最良で、ブタ血清IgGの切断効果が悪く、ラット及びマウスの血清IgGはほぼ変わらなかった。
実施例11:ヒトの体内ではE97D_del18変異体に対する既存抗体が少ない
当該測定は、抗E97D_del18/IdeS抗体との結合におけるE97D_del18変異体とIdeSとの間の競合に基づく。被験酵素とヒト血清をプレインキュベートすることで抗E97D_del18/IdeS抗体はE97D_del18変異体及びIdeSと結合できるようになる。
当該測定は、抗E97D_del18/IdeS抗体との結合におけるE97D_del18変異体とIdeSとの間の競合に基づく。被験酵素とヒト血清をプレインキュベートすることで抗E97D_del18/IdeS抗体はE97D_del18変異体及びIdeSと結合できるようになる。
E97D_del18変異体とIdeSをウェルプレートにおいて一晩コーティングし、次にPBSTで洗浄して2%のBSAブロッキング剤において1時間ブロッキングし、段階的に希釈された被験変異体とIdeS及びヒト血清で混合プレートを作製し、混合プレートを室温で振盪しながら1時間インキュベートし、PBSTで洗浄した後にビオチンによって標識されたE97D_del18変異体及びIdeSを加え、さらにSA-HRPを加えて、TMBで発色させて数値を読み取った。得られた約80個のヒト血液サンプル中のE97D_del18及びIdeSの既存抗体について並行比較した。
表10の結果に示すように、健常者血清でのIdeSの既存抗体の比率が約90%と高いが、E97D_del18変異体の方は約20%だけであった。体内でのE97D_del18変異体の既存抗体がIdeSより明らかに少ないことは、E97D_del18変異体は免疫原性がより低く、体内投与により適することを示唆した。
実施例12:E97D_del18変異体のヒトIgG1切断活性に関するインビボ検出
無菌の状態でヒトIVIg(静注用ヒト免疫グロブリン)を2匹のマウスに腹腔内注射し(2匹のマウスの並行試験であり、マウス番号は1番、2番であった)、注射用量は1g/kgであった。ヒトIVIgの注射から24時間後、IgG分解酵素の変異体(E97D_del18)を5mg/kgの用量でマウスに静脈注射し、2匹のマウスはいずれもそれぞれE97D_del18注射後0時間、15分間、2時間、6時間、24時間に採血して血清サンプルを収集した。20μLの血清サンプルと等量の2×SDS非還元ローディング緩衝液を混合した後、1×SDS非還元ローディング緩衝液で20倍希釈し、75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで検出した。
無菌の状態でヒトIVIg(静注用ヒト免疫グロブリン)を2匹のマウスに腹腔内注射し(2匹のマウスの並行試験であり、マウス番号は1番、2番であった)、注射用量は1g/kgであった。ヒトIVIgの注射から24時間後、IgG分解酵素の変異体(E97D_del18)を5mg/kgの用量でマウスに静脈注射し、2匹のマウスはいずれもそれぞれE97D_del18注射後0時間、15分間、2時間、6時間、24時間に採血して血清サンプルを収集した。20μLの血清サンプルと等量の2×SDS非還元ローディング緩衝液を混合した後、1×SDS非還元ローディング緩衝液で20倍希釈し、75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで検出した。
図13は、マウスの体内においてE97D_del18でヒトIVIgを切断する場合に異なる時間で生成された切断産物の電気泳動パターンを示す。結果から分かるように、E97D_del18のマウスの体内でのIVIg切断効果が顕著で、15分間でほぼ完全な酵素切断状態となった。
実施例13:組合せ変異体のヒトIgG1切断活性の比較
上記の変異体から、さらに6種類の組合せ変異体を構築し、前記変異の配列は表11で示されるとおりであった。
上記の変異体から、さらに6種類の組合せ変異体を構築し、前記変異の配列は表11で示されるとおりであった。
1.変異体の発現と精製
実施例1の方法に従って表11の変異体ポリヌクレオチド配列を合成して、変異体発現組換えプラスミドを構築し、大腸菌BL21 Star(DE3)の形質転換を行った。実施例4の方法に従って変異体精製タンパク質を作製した。
実施例1の方法に従って表11の変異体ポリヌクレオチド配列を合成して、変異体発現組換えプラスミドを構築し、大腸菌BL21 Star(DE3)の形質転換を行った。実施例4の方法に従って変異体精製タンパク質を作製した。
2.変異体のヒトIgG1切断活性の比較
精製後の変異体をそれぞれ0.001mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
精製後の変異体をそれぞれ0.001mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
図14A及び図14Bは、6種類の組合せ変異体でヒトIgG1を切断して生成された切断産物の電気泳動パターン(酵素:基質=1:2000)を示す。
実施例14:新しい変異体の設計と発現
変異データに対する更なる分析とスクリーニングにより、IdeE変異体配列番号36を選択して評価し、記号はIdeEv2であった。コドン最適化を経て当該変異体をコードするポリヌクレオチド配列を合成し、N末端シグナルペプチド配列を加え、配列合成後にpET32a発現ベクターに挿入し、正しい配列と確認した後、発現用の組換えプラスミドを得た。電気形質転換により変異体組換えプラスミドを大腸菌BL21 Star(DE3)に導入し、100μg/mLのアンピシリンを含むLBアガロースプレートに接種した。コロニーが出るまで37℃で一晩培養した。単一のコロニーをピッキングして、100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地200μLに接種し、37℃、250rpmで一晩培養した。100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地1mLに一晩の培養物を接種し、37℃で4時間培養した後に0.1mMのIPTGを加えて、30℃で引き続き一晩培養した。一晩の培養物を遠心分離して上清を収集した。SDS-PAGEを利用して変異体発現上清中の変異体タンパク質の発現を評価した。イオン交換クロマトグラフィー、次に疎水性クロマトグラフィーにより上清を精製して、純粋なタンパク質を得た。同じ手順でIdeS、IdeZタンパク質を作製した。SEC-HPLC法を用いて当該タンパク質の純度を検出したところ、いずれも95%を超えていた。
変異データに対する更なる分析とスクリーニングにより、IdeE変異体配列番号36を選択して評価し、記号はIdeEv2であった。コドン最適化を経て当該変異体をコードするポリヌクレオチド配列を合成し、N末端シグナルペプチド配列を加え、配列合成後にpET32a発現ベクターに挿入し、正しい配列と確認した後、発現用の組換えプラスミドを得た。電気形質転換により変異体組換えプラスミドを大腸菌BL21 Star(DE3)に導入し、100μg/mLのアンピシリンを含むLBアガロースプレートに接種した。コロニーが出るまで37℃で一晩培養した。単一のコロニーをピッキングして、100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地200μLに接種し、37℃、250rpmで一晩培養した。100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地1mLに一晩の培養物を接種し、37℃で4時間培養した後に0.1mMのIPTGを加えて、30℃で引き続き一晩培養した。一晩の培養物を遠心分離して上清を収集した。SDS-PAGEを利用して変異体発現上清中の変異体タンパク質の発現を評価した。イオン交換クロマトグラフィー、次に疎水性クロマトグラフィーにより上清を精製して、純粋なタンパク質を得た。同じ手順でIdeS、IdeZタンパク質を作製した。SEC-HPLC法を用いて当該タンパク質の純度を検出したところ、いずれも95%を超えていた。
実施例15:IDEEV2変異体のヒトIgG1切断活性及び熱安定性の比較
1.変異体のヒトIgG1切断活性の比較
精製後の変異体及び野生型IdeE、IdeS、IdeZをそれぞれ0.0025mg/mLに希釈した。異なる濃度の変異体、IdeE、IdeS又はIdeZそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。結果から、組合せ変異体のヒトIgG1切断活性が野生型IdeEの活性に似ていることが分かった(図15A)。
1.変異体のヒトIgG1切断活性の比較
精製後の変異体及び野生型IdeE、IdeS、IdeZをそれぞれ0.0025mg/mLに希釈した。異なる濃度の変異体、IdeE、IdeS又はIdeZそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。結果から、組合せ変異体のヒトIgG1切断活性が野生型IdeEの活性に似ていることが分かった(図15A)。
2.変異体の熱安定性の比較
精製後の変異体をそれぞれ0.1mg/mLに希釈して、50℃で1時間保温し、保温後にさらに0.0025mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。結果から分かるように、変異体IDEEV2の50℃の熱処理後の活性低減が最小であり、このことから変異体IDEEV2は野生型及び他の変異型に対していずれも熱安定性が顕著に向上していることが分かった。
精製後の変異体をそれぞれ0.1mg/mLに希釈して、50℃で1時間保温し、保温後にさらに0.0025mg/mLに希釈した。希釈後の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLのトラスツズマブを含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。結果から分かるように、変異体IDEEV2の50℃の熱処理後の活性低減が最小であり、このことから変異体IDEEV2は野生型及び他の変異型に対していずれも熱安定性が顕著に向上していることが分かった。
実施例16:異なるヒト免疫グロブリンに対するIDEEV2変異体の切断特異性の評価
SDS-PAGEに出現している異なるヒトIgGに対してIDEEV2変異体によって生成された切断産物から異なる基質に対する変異体の切断特異性をさらに評価した。精製後のIDEEV2変異体をそれぞれ0.01mg/mLに希釈した。異なる濃度の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLの異なる免疫グロブリン(ヒトIgG1~4、IgM、IgA、IgE、IgD)を含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
SDS-PAGEに出現している異なるヒトIgGに対してIDEEV2変異体によって生成された切断産物から異なる基質に対する変異体の切断特異性をさらに評価した。精製後のIDEEV2変異体をそれぞれ0.01mg/mLに希釈した。異なる濃度の変異体又は野生型IdeEそれぞれ50μLを2mg/mLの異なる免疫グロブリン(ヒトIgG1~4、IgM、IgA、IgE、IgD)を含有する50μLの反応系に加えて切断反応を開始させ、反応系を37℃で静置して30分間反応させた。サンプルと等量の2×SDSローディング緩衝液を混合した後に75℃のウォーターバスで5分間保持し、SDS-PAGEで切断産物を検出した。
結果から、IDEEV2はヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4を効果的に酵素切断できるが(図16A)、ヒト免疫グロブリンIgA、IgE、IgD、IgMを酵素切断できなかった(図16B)ことが分かった。当該変異体の基質特異性が高いことが分かった。
実施例17:IDEEV2変異体による異なる種の免疫グロブリンの切断
IDEEV2変異体を加えられた異なる種動物の血清又は血漿中の完全な又は単一切断IgGの量を検出することによって異なる種免疫グロブリンに対するIDEEV2変異体のインビトロ切断活性を評価した。IDEEV2:異なる動物種又はヒトの精製IgG=1:200のタンパク質量の比率でウサギ、イヌ、ラット、マウス、サル及びヒトの精製IgGを酵素切断し、37℃で1時間酵素切断して、非還元SDS-PAGE電気泳動により酵素切断産物を検出した。
IDEEV2変異体を加えられた異なる種動物の血清又は血漿中の完全な又は単一切断IgGの量を検出することによって異なる種免疫グロブリンに対するIDEEV2変異体のインビトロ切断活性を評価した。IDEEV2:異なる動物種又はヒトの精製IgG=1:200のタンパク質量の比率でウサギ、イヌ、ラット、マウス、サル及びヒトの精製IgGを酵素切断し、37℃で1時間酵素切断して、非還元SDS-PAGE電気泳動により酵素切断産物を検出した。
結果から分かるように、種特異性に関しては、IDEEV2はウサギ、イヌ、サル及びヒトのIgGを効果的に切断できるが、ラット及びマウスの血清中のIgGに対して顕著には切断していなかった(図17)。
実施例18:IDEEV2変異体によるニュージーランドウサギの体内IgG切断試験
ニュージーランドウサギを用いてIDEEV2の動物体内でのIgG切断活性を研究した。静脈内注入でニュージーランドウサギにIDEEV2を投与し、週に1回投与し、2回投与し、2mg/kgの用量であった。血液サンプル検出ではELISA又はSDS-PAGE法を用いて動物血清中のIgG含有量を検出して、動物体内のIgGに対するIDEEV2静脈内注入の酵素切断作用を評価した。
ニュージーランドウサギを用いてIDEEV2の動物体内でのIgG切断活性を研究した。静脈内注入でニュージーランドウサギにIDEEV2を投与し、週に1回投与し、2回投与し、2mg/kgの用量であった。血液サンプル検出ではELISA又はSDS-PAGE法を用いて動物血清中のIgG含有量を検出して、動物体内のIgGに対するIDEEV2静脈内注入の酵素切断作用を評価した。
結果から分かるように、IDEEV2はウサギ体内のIgGを迅速に酵素切断できる。最初と最後の投与後の1つ目の血液サンプル採取時点(投与終了前1分)に、2mg/kg用量ではウサギ体内のIgG含有量が基本的に検出下限未満であった。最初と最後の投与後約1~2日で、ウサギ体内のIgGレベルが徐々に回復していき、酵素切断産物の含有量が徐々に投与前のレベルに戻った。2回の投与後、ウサギ体内のIgG含有量は約10日後に正常なレベルの範囲に戻ることができる(図18A)。
静脈内注入でニュージーランドウサギにIDEEV2を投与し、週に1回投与し、4回投与する場合、0.2、2及び20mg/kg用量群の血液サンプル検出結果から分かるように、IDEEV2はウサギ体内のIgGを迅速に酵素切断できる。最小用量(0.2mg/kg)でも完全な薬理活性を有している(図18B)。
以上のデータから分かるように、静脈内注入でニュージーランドウサギにIDEEV2を投与した後、0.2~20mg/kgの用量範囲ではいずれもウサギ体内のIgGを迅速に酵素切断できる。大多数のウサギはIDEEV2投与後の1つ目の血液サンプル採取時点(投与終了前1分)以内に体内のIgGが酵素切断された。投与後約1~2日で、酵素切断産物の含有量が徐々に投与前のレベルに戻った。投与後約10日で、ウサギ体内のIgG含有量は正常なレベルの範囲に戻ることができる。
実施例19:IDEEV2変異体によるビーグル犬の体内IgG切断試験
静脈内注入でビーグル犬(Beagle)にIDEEV2を投与し、週に1回投与し、2回投与する場合、0.2、2及び20mg/kg用量群の血液サンプル検出結果から、IDEEV2はイヌ体内のIgGを迅速に酵素切断できることが分かった。最初と最後の投与の約3日後で、イヌ体内のIgGレベルが徐々に回復していき、酵素切断産物の含有量が投与前のレベルに戻った。2回の投与後、回復期にはイヌ(2匹/性別/群)体内のIgGの回復状況にある程度の個体差はあるが、0.2、2mg/kgの用量では約10日後で正常なレベルの範囲に戻ることができ、20mg/kgの用量では4週間でほぼ正常なレベルの範囲に戻ることができる。IgG含有量の低減と回復の速さと投与用量は全体として用量反応関係を呈している。
静脈内注入でビーグル犬(Beagle)にIDEEV2を投与し、週に1回投与し、2回投与する場合、0.2、2及び20mg/kg用量群の血液サンプル検出結果から、IDEEV2はイヌ体内のIgGを迅速に酵素切断できることが分かった。最初と最後の投与の約3日後で、イヌ体内のIgGレベルが徐々に回復していき、酵素切断産物の含有量が投与前のレベルに戻った。2回の投与後、回復期にはイヌ(2匹/性別/群)体内のIgGの回復状況にある程度の個体差はあるが、0.2、2mg/kgの用量では約10日後で正常なレベルの範囲に戻ることができ、20mg/kgの用量では4週間でほぼ正常なレベルの範囲に戻ることができる。IgG含有量の低減と回復の速さと投与用量は全体として用量反応関係を呈している。
以上のデータ(図19A、図19B)から分かるように、静脈内注入でビーグル犬(Beagle)にIDEEV2を投与した後、0.2~20mg/kgの用量範囲ではいずれもイヌ体内のIgGを迅速に酵素切断でき、大多数のイヌはIDEEV2投与後の1つ目の血液サンプル採取時点(投与終了前1分)以内に体内のIgGが酵素切断された。投与後約3日で、酵素切断産物の含有量が徐々に投与前のレベルに戻った。IgGの回復状況にある程度の個体差はあるが、投与後約10~28日で、イヌ体内のIgG含有量は正常なレベルの範囲に戻ることができる。
上記のデータをまとめると、ニュージーランドウサギの体内であれビーグル犬の体内であれ、いずれもIDEEV2は迅速かつ効果的にIgGを切断でき、抗体媒介性自己免疫疾患における、特に急性で重度の命を脅かす抗体媒介性自己免疫疾患におけるIDEEV2の利点が示された。
実施例20:IDEEV2は、抗血小板抗体によって引き起こされる血小板減少症を効果的に逆転できる
モデル化試薬(抗マウス血小板のウサギ抗血清を精製して作製されたウサギIgG)の10mg/匹の腹腔内注射で、BALB/cマウス血小板減少症モデルを確立することにより、BALB/cマウスの血小板減少症モデルに対するIDEEV2静脈注射の薬力学的作用を評価した。
モデル化試薬(抗マウス血小板のウサギ抗血清を精製して作製されたウサギIgG)の10mg/匹の腹腔内注射で、BALB/cマウス血小板減少症モデルを確立することにより、BALB/cマウスの血小板減少症モデルに対するIDEEV2静脈注射の薬力学的作用を評価した。
モデル化前にモデル対照群とIDEEV2低、高用量群の血小板数結果は似ている。モデル化後30分間で各群の血小板数がいずれも明らかに低減した。IDEEV2投与前(即ち、モデル化後約2時間)で各群の血小板数が持続的に低減した。モデル対照群の動物にモデル化試薬を投与した後に血小板数が持続的に低レベルにあり(図20A)、且つ当該群の動物は3日で全て死亡した(図20B)。IDEEV2低、高用量群の動物は投与後に血小板数が回復に転じ、20日目にモデル化前のレベルに似ていることから、IDEEV2はBALB/cマウスの血小板減少症に明らかな改善効果を有することが分かった。さらに自己抗体によって引き起こされる自己免疫疾患には、本発明の変異体が良い症状改善効果があることが分かった。
実施例21:免疫グロブリン分解酵素の変異体は、モノクローナル抗体の抗腫瘍効果に対する高免疫グロブリンのマイナス的な影響を効果的に解消する
Daudiマウスモデルを用いて抗CD38モノクローナル抗体に対するIDEEV2の影響を評価した。試験設計では、1)溶媒対照群、2)抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブ(daratumumab)、3)抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブ(daratumumab)+IVIg、4)抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブ(daratumumab)+IDEEV2+IVIgの4群を設けた。具体的には、対数増殖期の細胞を採取してマウスに皮下接種し、各CB-17 SCIDマウスには無菌の状態で右腋窩に5×106個のDaudi細胞を皮下接種し、接種量がいずれも0.1mL/匹であった。細胞接種の当日に1g/kgの単回腹腔内注射でIVIgを投与した。24時間後に5mg/kgの単回静脈注射で免疫グロブリン分解酵素E97D_del18を投与した。IVIg投与後10日で2mg/kgの腹腔内注射で抗CD38モノクローナル抗体を投与し、週に1回投与し、合計で4回の投与であった。CD38の投与を開始した後、週に2回腫瘍体積を測定し、検出は4週間継続した。
Daudiマウスモデルを用いて抗CD38モノクローナル抗体に対するIDEEV2の影響を評価した。試験設計では、1)溶媒対照群、2)抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブ(daratumumab)、3)抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブ(daratumumab)+IVIg、4)抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブ(daratumumab)+IDEEV2+IVIgの4群を設けた。具体的には、対数増殖期の細胞を採取してマウスに皮下接種し、各CB-17 SCIDマウスには無菌の状態で右腋窩に5×106個のDaudi細胞を皮下接種し、接種量がいずれも0.1mL/匹であった。細胞接種の当日に1g/kgの単回腹腔内注射でIVIgを投与した。24時間後に5mg/kgの単回静脈注射で免疫グロブリン分解酵素E97D_del18を投与した。IVIg投与後10日で2mg/kgの腹腔内注射で抗CD38モノクローナル抗体を投与し、週に1回投与し、合計で4回の投与であった。CD38の投与を開始した後、週に2回腫瘍体積を測定し、検出は4週間継続した。
試験結果(図21)から、IgG(IVIg)の存在で抗CD38モノクローナル抗体の腫瘍治療効果が抑制されたことが分かった。IDEEV2は抗体の治療効果に対する天然に存在するIgGの抑制を低下させて、治療用抗体の治療効果を顕著に増強させることができる。
実施例22:AAVの体内感染に対するIgG分解酵素の変異体の影響
C57BL/6JマウスにIVIgを単回腹腔内投与し(用量1g/kg)、IVIgの投与後30分間でIDEEV2を単回静脈投与した(用量5mg/kg)。IVIg投与後24時間でAAV9-Flucを投与した(用量2×1011vg/匹)。8日目、15日目、22日目、29日目、36日目、43日目に蛍光イメージングを行った。44日目には心臓及び肝臓の組織サンプルを採取してFluc遺伝子のコピー数を検出した。
1)蛍光対照群(AAV9-Fluc)
2)モデル群(IVIg+AAV9-Fluc)
3)供試品群(IVIg+IDEEV2+AAV9-Fluc)
C57BL/6JマウスにIVIgを単回腹腔内投与し(用量1g/kg)、IVIgの投与後30分間でIDEEV2を単回静脈投与した(用量5mg/kg)。IVIg投与後24時間でAAV9-Flucを投与した(用量2×1011vg/匹)。8日目、15日目、22日目、29日目、36日目、43日目に蛍光イメージングを行った。44日目には心臓及び肝臓の組織サンプルを採取してFluc遺伝子のコピー数を検出した。
1)蛍光対照群(AAV9-Fluc)
2)モデル群(IVIg+AAV9-Fluc)
3)供試品群(IVIg+IDEEV2+AAV9-Fluc)
結果から分かるように、IVIgが存在する場合、AAVはマウスに感染効果がないが、E97D_del18はAAV感染に対するIVIgの影響を完全に解消できる(図22A、図22B)。心臓及び肝臓組織には、いずれもウイルスが効果的に形質導入できた(図23)。当該試験の結果からは、本発明の変異体は体内でヒト免疫グロブリンGを効果的に分解し、ウイルスを治療ベクターとした薬物に対するそのウイルス中和抗体の干渉を解消できることが明らかになった。
出願人は、本発明の上記の実施例で本発明の方法を詳しく説明しているが、本発明は上記の詳細な方法に限定されず、つまり、本発明は必ずしも上記の詳細な方法で実施されるとは限らないことを意味すると明言する。本発明のいかなる改良も、本発明の製品の各原料の同等の置換及び副次的成分の添加、具体的な方式の選択などが、いずれも本発明の保護範囲及び開示の範囲に入るということは当業者に自明なはずである。
Claims (44)
- 被験者における自己抗体媒介性病状を治療するための薬物の製造における免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体の用途であって、
前記免疫グロブリン分解酵素IdeEは、配列番号2で示されるアミノ酸配列を含み又は前記アミノ酸配列からなり、前記変異は、
(1)前記アミノ酸配列の位置8、10、24、59、97及び280の1つ若しくは複数を置換すること、及び/又は、
(2)前記免疫グロブリン分解酵素IdeEを短縮化し、そのN末端の先頭からの1つ、先頭からの2つ、先頭からの3つ、先頭からの4つ、先頭からの5つ、先頭からの6つ、先頭からの7つ、先頭からの8つ、先頭からの9つ、先頭からの10個、先頭からの11個、先頭からの12個、先頭からの13個、先頭からの14個、先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸の配列を削除すること、及び/又は、
(3)前記免疫グロブリン分解酵素IdeEを短縮化し、そのC末端の末尾からの1つ、末尾からの2つ、末尾からの3つ、末尾からの4つ、末尾からの5つ、末尾からの6つ、末尾からの7つ、末尾からの8つ、末尾からの9つ若しくは末尾からの10個のアミノ酸の配列を削除することからなる群から選ばれ、
ただし、前記変異体は、前記免疫グロブリン分解酵素IdeEより高い若しくは同じ活性を有し、及び/又は前記免疫グロブリン分解酵素IdeEより高い若しくは同じ熱安定性を有する、前記用途。 - 前記変異が、
(1)配列番号2で示されるアミノ酸配列の位置8、10、24、59、97若しくは280を置換すること、及び/又は
(2)前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのN末端の先頭からの15個、先頭からの16個、先頭からの17個、先頭からの18個若しくは先頭からの19個のアミノ酸を削除し、好ましくは、先頭からの18個のアミノ酸を削除すること、及び/又は
(3)前記免疫グロブリン分解酵素IdeEのC末端の末尾からの5つ若しくは末尾からの10個のアミノ酸を削除し、好ましくは、末尾からの5つのアミノ酸を削除することからなる群から選ばれる、請求項1に記載の用途。 - 前記変異が、
(1)前記位置8のトレオニンがシステイン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、バリン、アルギニン、リシンのいずれかに置換されること、
(2)前記位置10のアラニンがシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、
(3)前記位置24のトレオニンがアラニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、
(4)前記位置59のアラニンがシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、
(5)前記位置97のグルタミン酸がアラニン、システイン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されること、及び
(6)前記位置280のアルギニンがアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、セリン、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、トリプトファン、トレオニン、バリン、チロシンのいずれかに置換されることからなる群から選ばれる、請求項1又は2に記載の用途。 - 前記変異体が、配列番号3~36のいずれかで示されるとおりである、請求項3に記載の用途。
- 被験者における自己抗体媒介性病状を治療するための薬物の製造における請求項1~4のいずれか一項の変異体を含むタンパク質の用途。
- 前記タンパク質は、前記変異体のN末端にシグナルペプチドを含み、好ましくは、前記タンパク質は、前記変異体のN末端に分泌シグナル配列が接続され且つ前記分泌配列のN末端にメチオニンが接続され及び/又は前記変異体のC末端にヒスチジンタグが接続され、より好ましくは、前記タンパク質は、N末端からC末端まで、メチオニン、分泌シグナル配列、前記変異体からなる、請求項5に記載の用途。
- 被験者における自己抗体媒介性病状を治療するための薬物の製造における組成物の用途であって、前記組成物は、
請求項1~4のいずれか一項の変異体又は前記変異体を含むタンパク質と、
任意の薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む、前記用途。 - 前記組成物が、別の治療薬をさらに含み、前記別の治療薬は、
(a)抗体、又はFcを含有するタンパク質であって、好ましくは、前記抗体の標的は、細胞表面タンパク質、サイトカイン、ホルモン、酵素、セカンドメッセンジャー、ファーストメッセンジャー、免疫チェックポイントからなる群から選ばれるもの、
(b)ウイルスベクター薬であって、好ましくは、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルス、ウイルスベクターワクチンからなる群から選ばれる前記ウイルスベクター薬、
(c)血中IgGレベルを低下させることができる薬物であって、好ましくは、FcRn抗体、FcRnと高い親和性を有するFcフラグメント変異体からなる群から選ばれる前記血中IgGレベルを低下させる薬物からなる群から選ばれる、請求項7に記載の用途。 - 被験者における自己抗体媒介性病状を治療するための薬物の製造におけるキットの用途であって、前記キットは、
(1)請求項1~4のいずれか一項の変異体又は前記変異体を含むタンパク質と、
(2)(a)薬学的に許容される担体又は賦形剤、(b)抗体、又はFcを含むタンパク質、(c)ウイルスベクター薬であって、好ましくは、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルス、ウイルスベクターワクチンから選ばれる前記ウイルスベクター薬、(d)血中IgGレベルを低下させることができる薬物であって、好ましくは、前記血中IgGレベルを低下させる薬物は、FcRn抗体、FcRnと高い親和性を有するFcフラグメント変異体から選ばれるもの、からなる群から選ばれる1種又は複数種とを含む、前記用途。 - 被験者における自己抗体媒介性病状を治療するための薬物の製造におけるキットの用途であって、前記キットは、ボックスA及びボックスBを含み、ただし、
前記ボックスAは、請求項1~4のいずれか一項の変異体又は前記変異体を含むタンパク質を含有し、
前記ボックスBは、(1)薬学的に許容される担体又は賦形剤、(2)抗体、又はFcを含むタンパク質、(3)ウイルスベクター薬であって、好ましくは、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルス、ウイルスベクターワクチンから選ばれる前記ウイルスベクター薬、(4)血中IgGレベルを低下させることができる薬物であって、好ましくは、FcRn抗体、FcRnと高い親和性を有するFcフラグメント変異体から選ばれる前記血中IgGレベルを低下させる薬物からなる群から選ばれる1種又は複数種を含有する、前記用途。 - 前記抗体媒介性病状が、自己免疫疾患又はグロブリン過剰血症である、請求項1~10のいずれか一項に記載の用途。
- 自己免疫疾患が、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、抗GBM抗体型糸球体腎炎、抗NMDAR受容体脳炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性胃炎、自己免疫性感音難聴、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性の副甲状腺機能低下、自己免疫性下垂体炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性の水疱性皮膚症、自己免疫性精巣炎、自己免疫性多内分泌腺症候群、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、炎症性脱髄性多発根神経炎、急性運動性軸索型ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、腹部疾患、自己免疫性蕁麻疹、クローン病、クレスト(CREST)症候群、セリアック病、デゴス病、抗好中球細胞質抗体関連血管炎、自己免疫性好中球減少症、後天性表皮水疱症、本態性混合性クリオグロブリン血症、巨細胞性動脈炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、炎症性腸疾患、川崎病、メニエール症候群、混合性結合組織病、モーレン潰瘍、関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、スティフパーソン症候群、先天性完全房室ブロック、後天性表皮水疱症、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、自己免疫性多内分泌腺症候群、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性多内分泌腺症候群、自己免疫性多内分泌腺症候群、多発性筋炎と皮膚筋炎、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー症候群、ライター症候群、リウマチ性心疾患、血友病(後天性FVIII欠乏症)、ランバート・イートン(Lambert-Eaton)筋無力症候群、多発性骨髄腫、サルコイドーシス、コラーゲン沈着、乾燥症候群、亜急性甲状腺炎、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、シェーグレン症候群、1型糖尿病、白斑、フォークト-小柳-原田病又はウェゲナー肉芽腫症、急性喘息又は慢性喘息、臓器移植拒絶反応、一次性進行型多発性硬化症、全身性硬化症、血清病、免疫複合体型アレルギーから選ばれ、ただし、前記免疫複合体は、例えば、抗薬物抗体と薬物によって形成された免疫複合体であり、
好ましくは、前記自己免疫疾患が、抗糸球体基底膜抗体病(抗GBM抗体病)、病原性IgG抗体媒介性血栓性血小板減少症、ギラン・バレー症候群(GBS)、自己免疫性脳炎(AE)、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、臓器移植術後の抗体媒介性拒絶反応(AMR)、重症筋無力症(MG)から選ばれ、ただし、前記病原性IgG抗体媒介性血栓性血小板減少症は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、ヘパリン誘発性血小板減少症(HIT)、ワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)であることが好ましい、請求項11に記載の用途。 - 前記抗体媒介性病状は、静注用免疫グロブリン(IVIG)、皮下注射用免疫グロブリン(SCIG)、血漿交換療法及び/又は免疫吸着を利用して治療できる、請求項1~12のいずれか一項に記載の用途。
- 前記過剰なグロブリンは白血球によって生成され、前記白血球は、B細胞、異常なB細胞から選ばれ、前記グロブリンは、ガンマグロブリンを含み、前記グロブリン過剰血症は、原発性単クローン性ガンマグロブリン血症、結合組織病、肝疾患、感染症、サルコイドーシス、重症筋無力症、ホジキン病、ベーチェット(Behcet)病、腎炎、アナフィラクトイド紫斑病、免疫性(あるいは自発性)血小板減少症、悪性単クローン性ガンマグロブリン血症(例えば、多発性骨髄腫、重鎖病、悪性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、マクログロブリン血症など)、二次性単クローン性ガンマグロブリン血症(例えば、非リンパネットワーク性全身性腫瘍、単球性白血病、クリオグロブリン血症など)、良性M蛋白血症、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ALアミロイドーシス、孤立性形質細胞腫(骨又は髄外)、POMES症候群、反応性形質細胞増多症、がんの溶骨性骨転移、形質芽球性リンパ腫、単クローン性免疫グロブリン関連腎症(MGRS)などを含み、前記病状は、多発性骨髄腫であることが好ましい、請求項11に記載の用途。
- 被験者におけるIgGレベルを低下させるための薬物の製造における免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途であって、前記変異体は、請求項1~4のいずれか一項の変異体であり、前記タンパク質は、請求項6のタンパク質であり、前記組成物は、請求項7若しくは8の組成物であり、又は前記キットは請求項9若しくは10のキットである、前記用途。
- 被験者における実質臓器移植後の自己抗体媒介性臓器拒絶反応を予防及び/又は治療するための薬物の製造における免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途であって、前記変異体は、請求項1~4のいずれか一項の変異体であり、前記タンパク質は、請求項6のタンパク質であり、前記組成物は、請求項7若しくは8の組成物であり、又は前記キットは請求項9若しくは10のキットである、前記用途。
- 同種移植片は、腎臓、膵島、膵臓、心臓、肝臓、肺又は小腸からなる群から選ばれる、請求項16に記載の用途。
- 遺伝子治療用薬物の製造における免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途であって、前記変異体は、請求項1~4のいずれか一項の変異体であり、前記タンパク質は、請求項6のタンパク質であり、前記組成物は、請求項7若しくは8の組成物であり、又は前記キットは請求項9若しくは10のキットである、前記用途。
- ウイルスベクターを基盤とした遺伝子治療の前に体内既存の抗ウイルスベクターの中和抗体を除去するための薬物の製造における免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途であって、前記変異体は、請求項1~4のいずれか一項の変異体であり、前記タンパク質は、請求項6のタンパク質であり、前記組成物は、請求項7若しくは8の組成物であり、又は前記キットは請求項9若しくは10のキットである、前記用途。
- 被験者における腫瘍を治療するための薬物の製造における免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途であって、前記変異体は、請求項1~4のいずれか一項の変異体であり、前記タンパク質は、請求項6のタンパク質であり、前記組成物は、請求項7若しくは8の組成物であり、又は前記キットは請求項9若しくは10のキットである、前記用途。
- 被験者における自己抗体を除去してFc含有剤に治療効果をより良く発揮させるための薬物の製造における免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途であって、前記変異体は、請求項1~4のいずれか一項の変異体であり、前記タンパク質は、請求項6のタンパク質であり、前記組成物は、請求項7若しくは8の組成物であり、又は前記キットは請求項9若しくは10のキットである、前記用途。
- Fc含有剤を投与されている被験者において前記Fc含有剤の血清レベルを低下させるための薬物の製造における免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体、前記変異体を含むタンパク質、又は前記変異体若しくは前記タンパク質を含む組成物若しくはキットの用途であって、前記変異体は、請求項1~4のいずれか一項の変異体であり、前記タンパク質は、請求項6のタンパク質であり、前記組成物は、請求項7若しくは8の組成物であり、又は前記キットは請求項9若しくは10のキットである、前記用途。
- 前記IdeE変異体と別の治療薬を前記被験者に同時に又は順次投与する、請求項8、15~22のいずれか一項に記載の用途。
- 前記別の治療薬が、抗炎症薬である、請求項23に記載の用途。
- 前記別の治療薬が、FcRn拮抗剤であり、前記FcRn拮抗剤は、FcRnを標的とする抗体又はFcフラグメントであることが好ましく、エフガルチギモド(Efgartigimod)、ニポカリマブ(Nipocalimab)、ロザノリキシズマブ(Rozanolixizumab)、RVT-1401、HBM9161、ALXN1830、SYNT001、ニルセビマブ(Nirsevimab)であることが最も好ましい、請求項23に記載の用途。
- 前記別の治療薬が、ウイルスベクター薬であり、好ましくは、遺伝子治療用ウイルスベクター薬、腫瘍溶解性ウイルスベクター薬であり、より好ましくは、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、アデノウイルスをベクターとした遺伝子治療用ウイルスベクター薬である、請求項23に記載の用途。
- 前記別の治療薬が、白血球除去剤である、請求項23に記載の用途。
- 前記別の治療薬が、B細胞枯渇剤である、請求項23に記載の用途。
- 前記B細胞枯渇剤が、抗体であり、好ましくは、腫瘍の治療に用いられる抗体であり、より好ましくは、前記抗体は、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD53、CD70、CD72、CD74、CD75、CD77、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD3、CD11a、CD14、CD25、CD28、CD30、CD33、CD36、CD38、CD40、CD44、CD52、CD55、CD59、CD56、CD103、CD134、CD137、CD138、CD152、CD3、IL-1β、IL-2R、IL-6、IL-12、IL-23、C5、BAFF、BLyS、BCMA、CXCR-4、ICAM-1、SLAMF7(CS1)、TNFα、IgE、CD85又はCD86と特異的に結合する、請求項28に記載の用途。
- 前記別の治療薬が、リツキシマブ、ダクリズマブ、ベバシズマブ、ムロモナブ-CD3、インフリキシマブ、アダリムマブ、オマリズマブ、エファリズマブ、ナタリズマブ、トシリズマブ、エクリズマブ、ゴリムマブ、カナキヌマブ、ウステキヌマブ、ベリムマブ、ダラツムマブ、イサツキシマブ(Isatuximab)又はそれらの組み合わせである、請求項23に記載の用途。
- 前記Fc含有剤が、治療薬又は診断薬であり、好ましくは、前記Fc含有剤は、抗体、Fc融合タンパク質、抗体薬物複合体である、請求項21又は22に記載の用途。
- 配列番号36で示されるとおりであることを特徴とする免疫グロブリン分解酵素IdeEの変異体。
- 請求項32に記載の変異体を含む、タンパク質。
- 前記タンパク質は、前記変異体のN末端にシグナルペプチドを含み、好ましくは、前記タンパク質は、前記変異体のN末端に分泌シグナル配列が接続され且つ前記分泌配列のN末端にメチオニンが接続され及び/又は前記変異体のC末端にヒスチジンタグが接続され、より好ましくは、前記タンパク質は、N末端からC末端まで、メチオニン、分泌シグナル配列、前記変異体からなることを特徴とする、請求項33に記載のタンパク質。
- 請求項32に記載の変異体又は請求項33若しくは34に記載のタンパク質をコードする、ヌクレオチド。
- 請求項35に記載のヌクレオチドを含む、発現ベクター。
- 請求項36に記載の発現ベクターを含み又は請求項32に記載の変異体又は請求項33若しくは34に記載のタンパク質を発現する宿主細胞であって、大腸菌細胞又は酵母細胞であることが好ましい、前記宿主細胞。
- 請求項32に記載の変異体又は請求項33若しくは34に記載のタンパク質と、
任意の薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む、組成物。 - 抗体、又はFcを含有するタンパク質をさらに含む、請求項38に記載の組成物。
- 前記抗体の標的は、細胞表面タンパク質、サイトカイン、ホルモン、酵素、セカンドメッセンジャー、ファーストメッセンジャー、免疫チェックポイントからなる群から選ばれる、請求項39に記載の組成物。
- 腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルス、ウイルスベクターワクチンからなる群から選ばれることが好ましいウイルスベクター薬をさらに含む、請求項38~40のいずれか一項に記載の組成物。
- FcRn抗体、FcRnと高い親和性を有するFcフラグメント変異体からなる群から選ばれることが好ましい血中IgGレベルを低下させることができる薬物をさらに含む、請求項38~41のいずれか一項に記載の組成物。
- (1)請求項32に記載の変異体又は請求項33若しくは34に記載のタンパク質、
(2)(a)薬学的に許容される担体若しくは賦形剤、(b)抗体、若しくはFcを含むタンパク質からなる群から選ばれる1種若しくは複数種、及び/又は
(3)ウイルスベクター薬であって、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルス、ウイルスベクターワクチンから選ばれる前記ウイルスベクター薬、及び/又は
(4)血中IgGレベルを低下させることができる薬物であって、FcRn抗体、FcRnと高い親和性を有するFcフラグメント変異体から選ばれる前記血中IgGレベルを低下させる薬物を含む、キット。 - ボックスA及びボックスBを含むキットであって、
前記ボックスAは、請求項32に記載の変異体又は請求項33若しくは34に記載のタンパク質を含有し、
前記ボックスBは、
(1)薬学的に許容される担体若しくは賦形剤、(2)抗体、若しくはFcを含むタンパク質、及び/又は(3)ウイルスベクター薬、及び/又は(4)血中IgGレベルを低下させることができる薬物からなる群から選ばれる1種若しくは複数種を含有し、
ただし、前記ウイルスベクター薬は、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルス、ウイルスベクターワクチンから選ばれ、前記血中IgGレベルを低下させる薬物は、FcRn抗体、FcRnと高い親和性を有するFcフラグメント変異体から選ばれることを特徴とする、前記キット。
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