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JP2025521859A - 経口投与可能な医薬剤形および高シュウ酸尿症の治療方法におけるその使用 - Google Patents

経口投与可能な医薬剤形および高シュウ酸尿症の治療方法におけるその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒト対象の胃腸管の遠位部に標的送達するように構成された経口投与可能な医薬剤形であって、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む医薬剤形に関する。本発明はさらに、ヒト対象の高シュウ酸尿症の治療において使用され、任意に前記高シュウ酸尿症が原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症である医薬剤形;および/またはヒト対象の腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の治療において使用される医薬剤形に関する。

Description

本発明は、広義には医学の分野、より正確には腎臓学および泌尿器学の分野に関する。特に、本発明は、経口投与可能な医薬剤形、ならびに対象における原発性および続発性高シュウ酸尿症を治療するためのその使用および/または対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上を治療するためのその使用に関する。
高シュウ酸尿症は、原発性高シュウ酸尿症と呼ばれる、遺伝子欠陥による肝臓におけるシュウ酸塩の過剰生成、または続発性高シュウ酸尿症と呼ばれる、胃腸管(GI)へのシュウ酸塩の過剰吸収とそれに続く尿への排泄に起因する、尿中のシュウ酸塩濃度が著しく上昇する代謝障害である。続発性高シュウ酸尿症は、シュウ酸塩またはシュウ酸塩前駆物質の過剰摂取に起因する食事性;クローン病(末端回腸炎)や肥満手術の結果としての短腸症候群等の、患者がシュウ酸塩を過剰に吸収しやすくなる吸収不良に関連する慢性胃腸管障害に起因する腸性;または根本的な原因が不明な特発性としてさらに特徴付けられる。高シュウ酸尿症の最初の兆候である腎臓結石は、多くの場合痛みを伴い、介入処置が必要になる場合がある。腸性高シュウ酸尿症および原発性高シュウ酸尿症の場合の重度の高シュウ酸尿症は、腎障害(腎石灰化症)、慢性腎臓病および末期腎疾患を引き起こし、死に至ることもある。
腎結石症は、腎臓結石症または尿路結石症としても知られており、最も一般的な腎泌尿器疾患の1つである。最近の推定によると、米国(US)の人口における有病率は男性で10.6%であり、女性で7.1%である(Ziemba et al., 2017, Inv. Clin. Urol., 58, 299)。ヨーロッパおよび日本でも同様の有病率が観察されている。すべての腎結石の80%はシュウ酸カルシウム(CaOx)結石である。過去10年間、腎結石症または腎石灰化症の治療における新しい潜在的医薬の大きな進歩は見られなかった。
炭酸ランタンは腸内リン吸着剤(例えば、Fosrenol、Shire Pharmaceuticals社、アイルランド、ダブリン)であり、ラットのシュウ酸塩負荷(高用量)モデルにおいてシュウ酸塩尿およびCaOx結晶尿を減少させることが示されている。しかしながら、この知見は、リン酸塩尿の著しい増大およびカルシウム塩尿のわずかな増大を伴っていた(Robijn et al., 2013, J. Urol., 189(5):1960-1966)。したがって、腎機能が正常であるかまたはわずかに低下している患者に炭酸ランタンそのものを使用すると、時間の経過とともにリン酸の欠乏が生じる。リン酸の欠乏は骨吸収の増大をもたらし、それによって骨軟化症、骨折およびいくつかの深刻な骨外合併症等の重篤な副作用につながることが示されている(Yvey et al., 1978, Adv Exp Med Biol, 193,373-380)。
最近、Allena Pharmaceuticals社は、続発性高シュウ酸尿症のより重篤なサブセットである腸性高シュウ酸尿症(EH)の患者を対象に、経口酵素治療薬レロキサリアーゼを使用した臨床試験で良好な結果が得られたと報告した。この研究では主要評価項目が達成され、レロキサリアーゼで治療した患者において1~4週目にかけて測定された24時間尿中シュウ酸塩排泄量が平均22.6%減少したのに対し、プラセボ群では9.7%減少した(最小二乗平均治療差は-14.3%、p=0.004)。
さらに、Alnylam Pharmaceuticals社は、ルマシラン(商品名 Oxlumo)の第3相試験で良好な結果を発表した。このRNAi薬は、グリコール酸を標的として肝臓への取り込みを促進する、N-アセチル-ガラクトサミンに結合した二本鎖siRNAであり、原発性高シュウ酸尿症1型の治療において大量のシュウ酸塩の生成に関与するグリコール酸オキシダーゼを標的とする。しかしながら、ルマシランの使用は原発性高シュウ酸尿症1型の治療に限定されており、反応は最適ではなく、この治療の費用は特に高額になると考えられる。
したがって、患者における原発性高シュウ酸尿症および続発性高シュウ酸尿症の予防を含む治療のため、および患者における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の予防を含む治療のためのさらなる治療オプションおよび/または改善された治療オプションが、当該技術分野において依然として必要とされている。
図1に示すように、本発明者らは、ランタンの放出が起こり、シュウ酸塩のキレート化が開始される腸内の最適な部位、すなわち回腸および結腸を含む胃腸管の遠位部を見出し、リン酸の欠乏を伴わずに高シュウ酸尿症を軽減するという複合的な効果を得ることで、本技術分野における上述した問題の1つ以上に対処した。
したがって、本発明の第1の態様は、対象の胃腸管の遠位部に標的送達するように構成された経口投与可能な医薬剤形であって、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む医薬剤形に関する。
好ましくは、本発明の第1の態様は、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む経口投与可能な医薬剤形であって、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物がヒト対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上に標的送達されるように構成されている医薬剤形に関する。
実施例の節に示すように、本発明の医薬剤形は、回腸、盲腸または結腸の1つ以上等の胃腸管の遠位部のみでランタンの放出およびシュウ酸塩のキレート化を可能にし、それによって遠位胃腸管におけるシュウ酸塩の吸収を減少させ、尿中シュウ酸濃度を低下させる。さらに、本発明の医薬剤形は、分泌によってシュウ酸塩を血清から腸管腔に転送することを可能にする。これらの効果は、胃腸管の遠位部におけるランタンのカルシウムチャネル遮断効果と組み合わされ、尿中シュウ酸塩の大幅な減少および尿中カルシウム濃度の正常なまたはわずかな低下をもたらし、それによってシュウ酸カルシウム結晶の形成を阻害し、腎結石を減少させる。さらに、本発明の医薬剤形は、近位胃腸管、すなわち十二指腸および空腸におけるランタンとリン酸塩との相互作用を阻害し、それによってリン酸の再吸収を可能にし、リン酸の欠乏を防ぐ。
したがって、さらなる態様は、対象における高シュウ酸尿症の治療(予防を含む)に使用され、任意に前記高シュウ酸尿症が原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症である、本明細書で教示される医薬剤形に関する。好ましくは、前記対象はヒト対象である。
さらに別の態様は、対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上、例えば、対象におけるシュウ酸カルシウムの形成によって引き起こされるか、またはそれに関連する腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の治療(予防を含む)において使用される、本明細書で教示される医薬剤形に関する。好ましくは、前記対象はヒト対象である。
関連する態様によれば、治療を必要とするヒト対象における高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上を治療する方法であって、本明細書で定義される医薬剤形の治療有効量を前記対象に投与することを含む方法が提供される。好ましくは、高シュウ酸尿症は、原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症である。
概念実証研究に基づき、原発性シュウ酸尿症の患者3名および続発性高シュウ酸尿症の患者1名において優れた結果が得られた。対象、特にヒト対象を本発明の医薬剤形で治療した後、本発明者らは:
-回腸および前部結腸(early colon)においてランタンが特異的に放出されること;
-回腸および結腸におけるシュウ酸塩の最適な胃腸キレート化により、尿中シュウ酸塩濃度が大幅に減少し、さらに尿へのカルシウムの放出が正常にまたはわずかに低下し、例えば、カルシウム濃度が4mmol/L(160mg/L)未満である場合に結晶形成されないシュウ酸塩濃度とみなされる尿中シュウ酸塩濃度0.50mmol/L(44mg/L)未満となり、これが4人の原発性高シュウ酸尿症の患者のうち3人と続発性高シュウ酸尿症の患者とに当てはまること;
-尿リン酸濃度が正常かつ安定し、尿細管でのリン酸の再吸収が正常であるため、治療期間全体を通じてリン酸のバランスが正常であること;
-治療期間全体を通じて尿中カルシウム濃度は同じであるかわずかに低下すること;
-胃腸管におけるランタンのカルシウムチャネル遮断によるものと考えられるカルシウム尿の増加がないこと
を発見した。
本発明者らは、本発明の医薬剤形が、リン酸塩の欠乏を引き起こすことなく、腎臓の尿細管液および尿中シュウ酸カルシウム結晶の形成を阻止することを発見した。シュウ酸カルシウム結晶は、腎結石の形成における最初の重要な段階であり、最終的には腎結石症を引き起こすため、本発明の医薬剤形は、特にシュウ酸カルシウムの沈着または結石に関連する、高シュウ酸尿症を軽減し、さらには腎結石症、腎石灰化症およびシュウ酸症を回避するのに有利である。
本発明の上記およびその他の態様および好ましい実施形態は、以下の節および添付の特許請求の範囲に記載されている。添付の特許請求の範囲の主題は、本明細書に具体的に組み込まれる。
図1は、ヒトにおけるリン酸の主な再吸収(左)の概略図、および本発明者らが発見したヒトにおけるシュウ酸塩の主な再吸収(右)の概略図を示す。 図2は、本発明の一つの実施形態による医薬剤形、すなわち250mgの元素ランタンを含む本発明の例となる2つのカプセルを経口摂取した後の健常なボランティアの直立姿勢での腹部における(A)30分後、(B)90分後および(C)4時間後の連続X線画像を示し、胃腸管の遠位部においてカプセルから炭酸ランタンが放出されることを実証する。 図3は、本発明の一つの実施形態による医薬剤形を、1000mg元素ランタン/日の投与量で、すなわち、各250mg元素ランタンを含む本発明の例となるカプセル(すなわち、1000mg元素ランタン/日を250mg元素ランタンのカプセル4個:朝に2×250mg、夕方に2×250mg)で経口摂取した後の健常なボランティアの尿中シュウ酸塩濃度(mg/L、白色のバー);尿中リン酸(P)濃度(mmol/L、黒色のバー)および尿中カルシウム(Ca)濃度(mmol/L、縞模様のバー)を表すグラフを示す。 図4は、重篤な1型原発性高シュウ酸尿症の患者(患者1)における、本発明の一つの実施形態による医薬剤形による治療前、治療中および治療後(2.5か月)の(A)尿中シュウ酸塩(mg/L)、(B)尿中シュウ酸塩(mg/grクレアチニン)、(C)尿中カルシウム(mg/grクレアチニン)、(D)尿中リン酸(mg/grクレアチニン)および(E)血清中のシュウ酸塩(mg/L)の測定結果のグラフを示す。太線は正常範囲の上限を示す。 図5は、続発性高シュウ酸尿症の患者(患者5、特発性シュウ酸カルシウム尿路結石症型)における、本発明の一つの実施形態による医薬剤形による治療前、治療中および治療後の(A)尿中シュウ酸塩(mg/L)、(B)尿中シュウ酸塩(mg/grクレアチニン)、(C)血清中シュウ酸塩(mg/L)、(D)尿中カルシウム(mg/grクレアチニン)および(E)尿中リン酸(mg/grクレアチニン)の測定結果のグラフを示す。太線は正常範囲の上限を示す。 図6は、本発明の一つの実施形態による医薬剤形、すなわち250mgの元素ランタンを含む本発明の例となる2つのカプセルを経口摂取した後の健常なボランティアの直立姿勢での腹部における0分、60分後、120分後、180分後、240分後および300分後の連続X線画像を示し、回腸、盲腸および結腸を含む胃腸管の遠位部においてカプセルから炭酸ランタンが放出されることを実証する。 図7は、重篤な1型原発性高シュウ酸尿症の患者(患者1)における、本発明の一つの実施形態による医薬剤形による治療前(左パネル、対照期間)および治療後(右パネル、sdc炭酸ランタンによる治療)のシュウ酸塩のバランスの概略図を示す。G.I.T:胃腸管。 図8は、本発明の一つの実施形態によるランタンカプセルのX線画像を表す。 図9は、コーティングされていない炭酸ランタンであるFosrenol(Shire Pharmaceuticals社)を500mg元素ランタン/日(2×250mg元素ランタン)の投与量で経口摂取した後の健常なボランティア(男性、74歳、eGFR73ml/分/1.73m)の(A)尿中シュウ酸塩濃度(mg/gクレアチニン、濃い灰色のバー)および尿中カルシウム(Ca)濃度(mmol/gクレアチニン、薄い灰色のバー)、または(B)尿中リン酸(P)濃度(mmol/L、灰色のバー)および血清中のリン酸(P)濃度(mmol/L、黒色のバー)を示すグラフである。
本明細書で使用される単数形「a」、「an」および「the」には、文脈により明らかに別段の定めがない限り、単数および複数の両方の指示対象が包含される。
本明細書で使用される「含まれる(comprising)」、「含む(comprises)」および「から構成される(comprised of)」という用語は、「含まれる(including)」、「含む(includes)」または「含有している(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的であるかまたは制限がなく、記載されていない追加の成員、要素または方法工程を除外するものではない。これらの用語には、「~からなる(consisting of)」および「本質的に~からなる(consisting essentially of)」も包含される。
端点を用いた数値範囲の記載には、記載された端点だけでなく、それぞれの範囲に含まれるすべての数値および分数が包含される。
本明細書において、パラメータ、量、持続時間等の測定可能な値を指すときに使用される「約」という用語は、開示された発明において変動が適切に行われる限り、指定された値からの変動、特に指定された値からの+/-10%以下の変動、好ましくは+/-5%以下の変動、より好ましくは+/-1%以下の変動、より一層好ましくは+/-0.1%以下の変動を包含することを意味する。「約」という修飾語が指す値自体も、具体的に、かつ好ましいものとして開示されていることを理解されたい。
成員の群の1つ以上のメンバーのような「1つ以上」という用語は、それ自体明確であるが、さらに例を挙げると、この用語には、とりわけ、前述される成員のいずれか1つ、または、例えば、前述される成員の3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上または7つ以上等の前述される成員のいずれか2つ以上、および前述される成員すべてへの参照が包含される。
本明細書で引用されるすべての文書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特段の指定がない限り、本発明を開示する際に使用される技術用語および科学用語を含むすべての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本発明の教示をよりよく理解するために、さらなるガイダンスとして用語の定義が包含される場合がある。
広範囲にわたる実験的試験により、本発明者らは、高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上を治療するための医薬剤形を見出した。この医薬剤形は、胃腸管の遠位部でランタンを放出することを可能にし、それによって十二指腸および空腸におけるランタンとリン酸塩との相互作用を回避する一方、シュウ酸塩が、胃腸管のより遠位部でシュウ酸ランタンおよびシュウ酸カルシウムの形態で局所的にキレート化される。これらのキレート化生成物は、便を介して排出される。全体的な結果として、シュウ酸塩の吸収が大幅に減少し、腎臓負荷が減少するため、シュウ酸塩尿が減少し、カルシウム塩尿が減少または変化せず、それによってシュウ酸カルシウム結晶の形成が阻止される。リン酸バランスは、近位腸におけるリン酸吸収が損なわれていないことから、変化しないままである。
したがって、本発明の第1の態様は、対象の胃腸管の遠位部に標的送達されるように構成された経口投与可能な医薬剤形であって、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む医薬剤形に関する。
好ましくは、本発明の第1の態様は、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む経口投与可能な医薬剤形であって、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物がヒト対象の回腸、盲腸および結腸の1つ以上に標的送達(または特異的送達)されるように構成されている医薬剤形に関する。
本明細書で教示される医薬剤形は経口投与可能な医薬剤形であり、経口剤形とも呼ばれる。経口剤形は利便性が高く、患者の服薬遵守が改善され、比較的安全に投与でき、滅菌調製を必要としないという利点がある。
「経口」または「経口投与可能」という表現は、物質または組成物が口から摂取されるように構成されている投与経路を指す。
「経口投与可能な医薬剤形」とは、口から摂取されるように構成されている医薬剤形を指す。
「医薬剤形」、「医薬単位投与量」または「剤形」という用語は、1つ以上の有効成分および1つ以上の不活性構成要素(例えば、賦形剤)との特定の混合物を特定の構成で含み、特定の投与量に配分され、使用のために販売される形態の医薬製品を指す。
本明細書で使用される「医薬」または「薬学的に許容可能」という用語は、当該技術分野と一致しており、有効成分と適合性を有し、その受容者にとって有害でないことを意味する。
「有効成分」または「有効構成要素」という用語は互換的に使用することができ、有効量で提供される場合に所望の結果を奏する化合物または物質を広く指す。所望の結果は治療および/または予防であり得る。通常、有効成分は、生きた細胞または生物との相互作用および/またはそれらの調節を介して、そのような結果を達成する。
「有効成分」または「有効構成要素」の記載における「有効」という用語は、「薬学的に有効」および/または「物理的に有効」であることを指す。
いくつかの実施形態において、医薬剤形は、対象の胃腸管の遠位部への標的送達のために構成される。
本明細書において、「胃腸管」、「GI管」または「消化管」という用語は互換的に使用され、口から肛門に至る消化器系の管または通路を指す。ヒトや他の動物において、GI管には食道、胃、小腸および大腸を含む消化器系の主要な臓器がすべて含まれる。
「小腸(small intestine)」または「小腸(small bowel)」という用語は、胃と大腸との間にあり、かつ胃および大腸は含まない胃腸管の部分を指す。小腸は、十二指腸、空腸および回腸という3つの異なる領域を有する。
「十二指腸」という用語は、小腸の最初の部分を指す。十二指腸の長さは通常約20~25cmである。十二指腸は、消化酵素を含む膵液および胆嚢からの胆汁を伴う胃からの糜粥を受け取る。
「空腸」という用語は、十二指腸と回腸とをつなぐ小腸の中央部分を指す。空腸の長さは通常約2.5メートルである。空腸には、環状襞とも呼ばれる円形の襞、および表面積を増大させる絨毛が含まれる。
「近位小腸」または「前部小腸(early small intestine)」という用語は、十二指腸および空腸を含む小腸の最初の部分および中間部分を指す。
「回腸」という用語は、小腸の最後の部分を指す。回腸の長さは約3メートルである。回腸には、空腸と同様に絨毛が含まれる。
「遠位小腸」または「後部小腸(late small intestine)」という用語は、回腸を含む小腸の最後の部分を指す。「回腸」、「遠位小腸」または「後部小腸」という用語は、本明細書で互換的に使用される。
「大腸(large intestine)」または「大腸(large bowel)」という用語は互換的に使用され、胃腸管の最後の部分を指す。大腸は、盲腸、結腸、直腸および肛門管に細分化される。
「盲腸」とは、回腸と結腸、特に上行結腸とをつなぐ腹膜内の袋を指す。盲腸は回盲弁(ICV)またはBauhin弁によって回腸から分離されている。盲腸は盲腸結腸接合部によって結腸から分離されている。
「結腸」という用語は、大腸の最も長い部分を指す。結腸は4つの部分、すなわち上行結腸、横行結腸、下行結腸およびS状結腸を含み、各部分は結腸屈曲部で曲がっている。
本明細書で使用される「前部結腸(early colon)」または「近位結腸」という用語は、上行結腸を指す。
本明細書で教示される物(例えば、医薬剤形)、使用または方法の実施形態において、胃腸管の遠位部は、回腸、盲腸、結腸またはそれらの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態において、胃腸管の遠位部は、回腸、結腸またはそれらの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態において、胃腸管の遠位部は、回腸および結腸とすることができる。いくつかの実施形態において、胃腸管の遠位部は、回腸、盲腸、前部結腸またはそれらの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態において、胃腸管の遠位部は、回腸、前部結腸またはそれらの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態において、胃腸管の遠位部は、回腸、前部結腸またはそれらの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態において、胃腸管の遠位部は、回腸および前部結腸とすることができる。
いくつかの実施形態において、医薬剤形は、対象、特にヒト対象の回腸、盲腸および結腸への標的送達のために構成されてもよい。本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、対象、好ましくはヒト対象の回腸、盲腸および結腸の1つ以上にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が標的送達されるように構成されてもよい。本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、対象、好ましくはヒト対象の回腸、盲腸および上行結腸の1つ以上にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が標的送達されるように構成されてもよい。対象の回腸、盲腸および結腸の1つ以上にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が特異的に送達されると、ランタンと十二指腸および空腸のリン酸塩との相互作用を回避し、望ましくないリン酸塩の欠乏を回避しながら、原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症を治療することができるという利点がある。
いくつかの実施形態において、医薬剤形は、対象の回腸および前部結腸への標的送達のために構成されてもよい。
いくつかの実施形態において、回腸、盲腸または結腸の1つ以上へのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物の標的送達は、X線画像化または超低線量CT(ULDCT)を含むコンピューター断層撮影(CT)等の画像化によって判定することができる。実施例の節(実施例2)に示すように、ランタンの標的送達は、画像化(例えば、非侵襲性X線画像化)によって簡単に検証することができる。例えば、本発明の実施形態による1つ以上の医薬剤形(例えば、それぞれ250mgの元素ランタンを含むカプセル)を経口摂取した後、対象(例えば、健康なボランティアまたは罹患した対象)の腹部の連続画像を、直立姿勢で前後方向に撮影してもよい。画像は、少なくとも360分(6時間)にわたって、5分、10分、15分、20分、25分、30分または1時間ごとに撮影することができる。本明細書で教示される医薬剤形は、X線画像またはCT画像上で放射線不透過構造として見ることができる。実施例の節に示すように、本明細書で教示される医薬剤形からの炭酸ランタンの放出は、回腸、盲腸および結腸に局在する。
「回腸、盲腸または結腸の1つ以上へのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物の標的送達」または「回腸、盲腸または結腸の1つ以上へのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物の特異的送達」という語句は、回腸、盲腸または結腸の1つ以上へのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物の(実質的に)排他的な送達(または放出)を指す。したがって、本明細書で教示される標的送達または特異的送達とは、回腸、盲腸および結腸の外部へのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物の(実質的な)送達(または放出)がないことを意味する。本明細書で教示される標的送達または特異的送達とは、胃腸管の近位部へのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物の(実質的な)送達(または放出)がないこと、換言すれば、胃、十二指腸または空腸へのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物の(実質的な)送達(または放出)がないことを意味する。
GI管の遠位部への標的送達のために構成された送達システムは当該技術分野で既知であり、GI管に沿ったpHの違い、結腸微生物叢の存在、酵素またはそれらの1つ以上の組み合わせを使用して、GI管の遠位部への標的送達を達成する。
GI管の遠位部に本明細書で教示される医薬剤形が標的送達されるように構成された送達システムとしては、コーティング、結腸特異的生分解性送達システム、マトリックスベースのシステム、徐放システム、多粒子システム、多糖類ベースの送達システム、圧力制御送達システム、浸透圧制御送達システム、Pulsincapシステムおよびそれらの組み合わせが挙げられる。これらのシステムは、例えば、Amidon et al. (2015, AAPS PharmSciTech, 16, 4)およびPhilip et al. (2010, OMJ. 25, 70-78)に記載されているように、当該技術分野で既知である。
簡単に言えば、コーティングによる結腸標的化は、通常、pH感受性ポリマー中に本明細書に記載のランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む医薬剤形等の医薬を組み込み、胃および近位小腸における酸性pHから医薬を保護することで遅延放出を可能にすることに基づいている。その後、ポリマーは回腸のより塩基性のpHで分解し、それにより回腸および結腸への医薬の標的送達を達成する。回腸および結腸を標的とした医薬送達システムの設計において一般的に使用されるpH感受性ポリマーの例としては、メタクリル酸ベースのポリマー(Eudragit(登録商標)ポリマーとも呼ばれる)(Evonik Industries、ベルギー)が挙げられる。
結腸特異的な生分解性送達システムは、本明細書に記載のランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む医薬剤形等の医薬をポリマーでコーティングし、胃および近位小腸における酵素による分解から医薬を保護しながら、GI管の遠位部における酵素による分解および医薬の放出を可能にすることに基づいている。
マトリックスベースのシステムは、本明細書に記載のランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む医薬剤形等の医薬をポリマーマトリックスに埋め込み、それを捕捉してGI管の遠位部において放出することに基づいている。マトリックスは、pH感受性マトリックスまたは生分解性マトリックスとすることができる。
徐放システムは、本明細書に記載のランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む医薬剤形等の医薬を、指定された時間後にGI管の遠位部において放出することに基づいている。このアプローチは、小腸を通過する時間に依存しており、この時間は変化することが知られている。
マイクロスフィア等の多粒子システムには、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物等の有効成分を充填することができる。例えば、マイクロスフィアは、Eudragit(登録商標)ポリマー等のpH感受性ポリマーでコーティングすることができる。多粒子システムは、単一ユニットシステムに比べて粒子サイズが小さく、GI管をより容易に通過するため、GI管の遠位部に素早く到達することができる。
多糖類ベースの送達システムは、ペクチン、キトサン、コンドロイチン硫酸、ガラクトマンナンまたはアミロース等の1つ以上の多糖類を薄膜コーティング、圧縮コーティングまたはマトリックスとして使用し、有効成分をGI管の遠位部に送達することに基づいている。
圧力制御送達システムは、結腸の内腔圧に基づいている。水分の再吸収により大腸の内容物の粘性はより高いため、蠕動運動により、大腸の内腔圧は小腸の内腔圧よりも高くなる。
OROS-CT等の浸透圧制御送達システムは、浸透圧によって制御されるシステムである。
Pulsincapシステムは、徐放システムとpH感受性との統合に基づいている。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、対象の胃腸管の遠位部への標的送達のために構成されたコーティングを含むことができる。本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、対象、特にヒト対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が標的送達されるように構成されたコーティングを含むことができる。
「コーティング」という用語は、物体の表面に適用される被覆を指す。特に、本明細書では、コーティングは医薬剤形の表面に適用されてもよい。
いくつかの実施形態において、コーティングは薄膜コーティングまたは圧縮コーティングとすることができる。
「薄膜コーティング」という用語は、典型的には錠剤、カプセル、ペレットまたは顆粒等の固形の医薬剤形に噴霧される薄いポリマーベースのコーティングを指す。膜コーティングは、医薬剤形の外観(例えば、色、光沢およびブランド化)、すなわち、非機能的膜コーティング、および/または薬物動態(すなわち、機能的膜コーティング)に影響を与える可能性がある。薄膜コーティングは、本明細書で教示されるプロセスのようなディップコーティングプロセスによって得ることができる。
「圧縮コーティング」、「ドライコーティング」、「プレスコーティング」または「無溶剤コーティング」または「錠剤中錠剤」という用語は、圧縮機でコア錠剤(例えば、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む)をコーティング材料(例えば、粉末)で被覆するコーティング技術を指す。この技術は、溶剤の使用を回避し、比較的短い製造プロセスしか必要とせず、かつコア錠剤の重量増加を大きくすることができるため有利である。圧縮コーティングは、医薬剤形の薬物動態(すなわち、機能的コーティング)に影響を与える可能性がある。
いくつかの実施形態において、コーティングは機能性コーティングであり、それにより、医薬剤形が胃腸管の遠位部に送達されるように標的化することができる。いくつかの実施形態において、コーティングは機能性コーティングであり、それにより、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を回腸、盲腸または結腸の1つ以上に標的化することができる。
いくつかの実施形態において、コーティングは、胃腸管の遠位部への標的送達のために構成された1つ以上の材料を含む(本質的にそれらからなる、またはそれらからなる)ことができる。いくつかの実施形態において、コーティングは、回腸、盲腸、または結腸の1つ以上にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が標的送達されるように構成された1つ以上の材料を含む(本質的にそれらからなる、またはそれらからなる)ことができる。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、対象の胃腸管の遠位部への標的送達のために構成されたコーティングを含む代わりに、GI管の遠位部への標的送達のために構成された1つ以上の材料を含むことができる。本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上への標的送達のために構成されたコーティングを含む代わりに、対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上への標的送達のために構成された1つ以上の材料を含むことができる。
いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、pH感受性ポリマー、生分解性ポリマー、多糖類またはそれらの組み合わせを含むことができる。好ましい実施形態において、コーティングまたは剤形は、pH感受性ポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、少なくともpH7.0等の、胃腸管の遠位部、例えば回腸および結腸のpH条件で分解し始める(すなわち、崩壊する)ポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、pH7.0未満、pH6.8未満またはpH6.5未満等の、胃および前部小腸(すなわち、空腸および十二指腸)のpH条件で分解しないポリマーを含むことができる。
いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、約7.0~約8.0のpH範囲未満では実質的に不溶性である。いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、約7.0~約8.0のpH範囲で実質的に溶解性である。いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、約6.5~約8.0のpH範囲で実質的に溶解性である。いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、約6.0~約8.0のpH範囲で実質的に溶解性である。
いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、GI管の遠位部への標的送達のために構成されたポリマーを含む(本質的にそれからなる、またはそれからなる)ことができる。いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、回腸、盲腸または結腸の1つ以上にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が標的送達されるように構成されたポリマーを含む(本質的にそれからなる、またはそれからなる)ことができる。
いくつかの実施形態において、対象のGI管の遠位部、例えば回腸、盲腸および/または結腸への標的送達のために構成されたポリマーとしては、メタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体、メタクリル酸とメチルアクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体、メタクリル酸とエチルアクリレートとの共重合体、および重合中にメチルアクリレートの単量体が添加されたメタクリル酸とエチルアクリレートとの共重合体からなる群から選択される1つ以上のポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態において、対象のGI管の遠位部、例えば回腸、盲腸および/または結腸への標的送達のために構成されたポリマーとしては、メタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体、およびメタクリル酸とメチルアクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体からなる群から選択される1つ以上のポリマーが挙げられる。
胃腸管の遠位部、例えば回腸、盲腸および/または結腸への標的送達のために構成されたポリマーの適切な例としては、Eudragit(登録商標)ポリマー(Evonik Industries、ベルギー)等の水性メタクリル酸共重合体が挙げられる。例えば、回腸および結腸等の胃腸管の遠位部への標的送達のために適切なポリマーとしては、Eudragit(登録商標) S100、Eudragit(登録商標) S12,5、Eudragit(登録商標) FS 30D、Eudragit(登録商標) FS 100、Eudragit(登録商標) L100、Eudragit(登録商標) L12,5の単独または組み合わせが挙げられる。これらのポリマーは、pH7.0超(例えば、Eudragit(登録商標) S100、S12,5、FS 30D、FS 100)、またはpH6.0超(例えば、Eudragit(登録商標) L100、Eudragit(登録商標) L12,5)で有利に溶解する。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、コーティングまたは剤形は、メタクリル酸とメタクリル酸のC1-4アルキルエステルとの共重合体を含む(本質的にそれからなる、またはそれからなる)ことができる。いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、メタクリル酸とメタクリル酸のメチルエステル(すなわち、メチルメタクリレート)との共重合体を含むことができる。いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、メタクリル酸とメタクリル酸のエチルエステル(すなわち、エチルメタクリレート)との共重合体を含むことができる。いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、メタクリル酸とメタクリル酸のプロピルエステル(例えば、n-プロピルメタクリレート)との共重合体を含むことができる。いくつかの実施形態において、コーティングまたは剤形は、メタクリル酸とメタクリル酸のブチルエステル(例えば、n-ブチルメタクリレート)との共重合体を含むことができる。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、コーティングまたは剤形は、メタクリル酸とメチルメタクリレートとが2:1~1:2の比率、例えば1:1の比率の共重合体を含むことができる。好ましい実施形態において、コーティングまたは剤形は、メタクリル酸とメチルメタクリレートとが1:2の比率の共重合体を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなることができる。そのような共重合体は、例えばEudragit(登録商標) S100である。
いくつかの実施形態において、コーティングは、溶媒、可塑剤、担体、界面活性剤、増粘剤、緩衝剤、抗酸化剤、防腐剤、芳香剤または着色剤等の1つ以上の添加剤または補助剤をさらに含むことができる。適切な補助剤は、当技術分野で既知である。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、少なくとも3層のコーティングを含むことができる。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、少なくとも4層、少なくとも5層、または少なくとも6層のコーティングを含むことができる。好ましくは、医薬剤形は、例えば4層等の少なくとも4層のコーティングを含むことができる。4層等の少なくとも4層のコーティングにより、医薬剤形をGI管の近位部において保護することが可能となり、医薬剤形を回腸、盲腸および/または結腸等のGI管の遠位部に送達し、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を放出することが可能となるため有利である。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、(全体の)コーティングの厚さは、少なくとも20.0μm、例えば少なくとも21.0μm、少なくとも22.0μm、少なくとも23.0μm、少なくとも24.0μm、少なくとも25.0μm、少なくとも26.0μm、少なくとも27.0μm、少なくとも28.0μm、少なくとも29.0μm、少なくとも30.0μm、少なくとも31.0μm、少なくとも32.0μm、少なくとも33.0μm、少なくとも34.0μmまたは少なくとも35.0μmとすることができる。いくつかの実施形態において、コーティングの厚さは、約20.0μm~約100.0μmとすることができる。例えば、コーティングの厚さは、約25.0μm~約60.0μm、約30.0μm~約50.0μmまたは約35.0μm~約40.0μmとすることができる。実施例の節に示すように、このような厚さによって、回腸、盲腸および/または結腸等の胃腸管の遠位部への医薬剤形の送達および炭酸ランタンの放出が可能となるため有利である。(全体の)コーティングの厚さは、顕微鏡またはマイクロメーター(マイクロメータースクリューゲージまたは手動スクリューマイクロメーターとも呼ばれる)を使用して測定することができる。(全体の)コーティングの厚さは、コーティングされた剤形の厚さとコーティングされていない剤形の厚さとを決定し、コーティングされていないカプセルの厚さをコーティングされたカプセルの厚さから差し引くことによって計算することができる。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、コーティングの各層の厚さは、少なくとも4.0μm、例えば少なくとも5.0μm、少なくとも6.0μmまたは少なくとも7.0μmとすることができる。いくつかの実施形態において、コーティングの各層の厚さは、約4.0μm~約25.0μmとすることができる。例えば、コーティングの各層の厚さは、約4.0μm~約20.0μm、約5.0μm~約15.0μmまたは約6.0μm~約10.0μmとすることができる。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、4層等の少なくとも3層のコーティングを含み、各層の厚さは少なくとも4.0μm、例えば少なくとも5.0μm、少なくとも6.0μmまたは少なくとも7.0μmとすることができる。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、4層等の少なくとも3層のコーティングを含み、各層の厚さは約4.0μm~約25.0μmとすることができる。例えば、医薬剤形は、4層等の少なくとも3層のコーティングを含み、各コーティング層の厚さは約4.0μm~約20.0μm、約5.0μm~約15.0μmまたは約6.0μm~約10.0μmとすることができる。このようなコーティングにより、医薬剤形をGI管の近位部において保護することが可能となり、医薬剤形を回腸、盲腸および/または結腸等のGI管の遠位部に送達し、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を放出することが可能となるため有利である。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、固体、半固体または液体剤形とすることができる。例えば、経口投与の場合、医薬剤形としては、丸剤、錠剤、顆粒、カプセル、水性溶液、アルコール性溶液または油性溶液、シロップ、乳剤または懸濁液が挙げられる。例えば、医薬剤形は、コロイド分散系とすることもできる。コロイド分散系としては、限定されないが、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフィア、ビーズ、ならびに水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル、リポソームおよび構造が不明の脂質:化合物複合体を含む脂質をベースとする系が挙げられる。好ましいコロイド分散系は、複数のリポソームである。リポソームは、二重層構成で配置された脂質からなる1つ以上の外層に囲まれた水性コアを有する微小スフィアである(Chonn et al., 1995, Current Op. Biotech. 6, 698-708を参照)。同様に、微粒子またはナノ粒子のポリマービーズ剤形も、本明細書で提供される医薬剤形で使用することができる。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、水性溶液、アルコール性溶液または油性溶液、シロップ、乳剤または懸濁液等の液体剤形とすることができる。例えば、医薬剤形は、溶液中に懸濁されたマイクロスフィアとすることができる。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、固体または半固体剤形とすることができる。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、丸剤、ペレット、錠剤、顆粒、または硬カプセルもしくは軟カプセル等のカプセルとすることができる。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、カプセルまたは錠剤とすることができる。好ましくは、医薬剤形は、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物が充填されたカプセル等のカプセルとすることができ;好ましくは、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物は粉末状である。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、カプセルは、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ゼラチン、プルラン、デンプン、水溶性ポリビニル誘導体、ポリエチレングリコールおよび(メタ)アクリル酸のC1-4アルキルエステルと(メタ)アクリル酸との共重合体からなる群から選択される1つ以上の材料から作製することができる。
いくつかの実施形態において、カプセルは、サイズ000、サイズ00E、サイズ00、サイズ0E、サイズ0、サイズ1、サイズ2、サイズ3、サイズ4またはサイズ5とすることができる。いくつかの実施形態において、カプセルは、サイズ00、サイズ0E、サイズ0、サイズ1、サイズ2、サイズ3、サイズ4またはサイズ5とすることができる。
いくつかの実施形態において、カプセルはサイズ00とすることができ、500mg~600mgのランタン元素を含むことができ、例えば、カプセルはサイズ00とすることができ、560mgのランタン元素を含むことができる。いくつかの実施形態において、カプセルはサイズ0とすることができ、400mg~500mgのランタン元素を含むことができ、例えば、カプセルはサイズ0とすることができ、420mgのランタン元素を含むことができる。いくつかの実施形態において、カプセルはサイズ1とすることができ、250mg~400mgのランタン元素を含むことができ、例えば、カプセルはサイズ1とすることができ、295mgのランタン元素を含むことができる。いくつかの実施形態において、カプセルはサイズ2とすることができ、200mg~300mgのランタン元素を含むことができ、例えば、カプセルはサイズ2とすることができ、230mgのランタン元素を含むことができる。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、カプセルは、対象の胃腸管の遠位部への標的送達のために構成されたコーティングを含むことができ;好ましくは、コーティングは、pH感受性ポリマー、生分解性ポリマー、多糖類またはそれらの組み合わせを含む。本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、カプセルは、対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が標的送達されるために構成されたコーティングを含むことができ;好ましくは、コーティングは、pH感受性ポリマー、生分解性ポリマー、多糖類またはそれらの組み合わせを含む。実験の節に示すように、本明細書で教示されるコーティングされたカプセルは、近位胃腸管を通過し、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を放出するための標的部位、すなわち回腸および結腸に到達することを可能にする。GI管の生理機能は複雑で、pH値、体液量および通過時間の範囲が広く、食物や代謝酵素の存在も生理機能の複雑さを増大させている。これらの要因にもかかわらず、本明細書で教示されるコーティングされたカプセルは、回腸および結腸を含むGI管の遠位部にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩または酸化物を確実かつ効率的に送達することを可能にする。
いくつかの実施形態において、カプセルは、対象の胃腸管の遠位部への標的送達のために構成された1つ以上の材料を含むことができ;好ましくは、カプセルは、pH感受性ポリマー、生分解性ポリマー、多糖類またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、カプセルは、対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が標的送達されるために構成された1つ以上の材料を含むことができ;好ましくは、カプセルは、pH感受性ポリマー、生分解性ポリマー、多糖類またはそれらの組み合わせを含む。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、カプセルは、少なくとも3層のコーティングを含むことができる。いくつかの実施形態において、カプセルは、少なくとも4層、少なくとも5層または少なくとも6層のコーティングを含むことができる。好ましくは、カプセルは、4層等の少なくとも4層のコーティングを含むことができる。4層のコーティング等の少なくとも4層のコーティングにより、カプセルをGI管の近位部における分解から保護することが可能となり、カプセルをGI管の遠位部、例えば回腸、盲腸および/または結腸に送達し、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を放出することが可能となるため有利である。
本明細書で教示される医薬剤形は、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む。本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、ランタンの薬学的に許容可能な塩または酸化物は、炭酸ランタンまたは酸化ランタンとすることができ;好ましくは、医薬剤形は炭酸ランタンを含む。
「ランタン」という用語は、元素記号Laで原子番号57の化学元素を指す。ランタンのモル質量は138.91g/molである。
「その薬学的に許容可能な塩」という語句は、ランタンと有機酸もしくは無機酸との組み合わせ(酸付加塩)、またはランタンと有機塩基もしくは無機塩基との組み合わせ(塩基付加塩)から誘導されるランタンの塩を指す。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、ランタンの薬学的に許容可能な塩は炭酸ランタンとすることができる。
「炭酸ランタン」という用語は、化学式La(COの化合物を指す。この化合物は、ランタン(III)陽イオンと炭酸陰イオンとによって形成される塩である。炭酸ランタンのCAS番号は587-26-8である。炭酸ランタンのモル質量は457.838g/molである。1000mg(1g)の炭酸ランタンは約606.8mgのランタン元素に相当すると計算することができ、または1000mg(1g)のランタン元素は1648mgの炭酸ランタンに相当すると計算することができる。
炭酸ランタンはリン酸結合剤として市販されており、Fosrenol(Shire Pharmaceuticals、ダブリン、アイルランド)の商標名で販売されている。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、薬学的に許容可能なランタンの酸化物は酸化ランタンとすることができる。
「酸化ランタン」または「ランタナ」という用語は、化学式Laの化合物を指す。この化合物はランタン(III)および酸素を含む無機化合物である。酸化ランタンのCAS番号は1312-81-8である。
いくつかの実施形態において、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物は、ランタン、炭酸ランタンまたは酸化ランタンとすることができる。
ランタンについて言及する場合、それは元素ランタンを指すものとする。しかしながら、医薬剤形が特定量の元素ランタンを含むとされる場合、それは医薬剤形が、元素ランタンとして、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物として、特定量の元素ランタンを含むことを意味する。例えば、医薬剤形が250mgの元素ランタンを含むとされる場合、それは医薬剤形が、元素ランタンとして、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物として、250mgの元素ランタンを含むことを意味する。例えば、250mgの元素ランタンを含むとされる医薬剤形は、250mgの元素ランタンまたは約412mgの炭酸ランタンを含む可能性がある。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、100mg~4000mg(4g)の元素ランタンを含むことができる。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、100mg~3500mg(3.5g)、100mg~3000mg(3g)、100mg~2500mg(2.5g)、100mg~2000mg(2g)、100mg~1500mg(1.5g)または100mg~1000mg(1g)の元素ランタンを含むことができる。本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、100mg~750mg、100mg~500mgまたは100mg~250mgの元素ランタンを含むことができる。本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、カプセル等の医薬剤形は、200mg~750mgの元素ランタン、例えば250mg~600mgの元素ランタンを含むことができる。いくつかの実施形態において、カプセル等の医薬剤形は、500mg~600mgの元素ランタンを含むことができる。いくつかの実施形態において、カプセル等の医薬剤形は、400mg~500mgの元素ランタンを含むことができる。いくつかの実施形態において、カプセル等の医薬剤形は、250mg~400mgの元素ランタンを含むことができる。いくつかの実施形態において、カプセル等の医薬剤形は、200mg~300mgのランタン元素を含むことができる。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、少なくとも210mg、少なくとも220mg、少なくとも230mg、少なくとも240mg、少なくとも250mg、少なくとも260mg、少なくとも270mg、少なくとも280mg、少なくとも290mg、少なくとも300mg、少なくとも310mg、少なくとも320mg、少なくとも330mg、少なくとも340mg、少なくとも350mg、少なくとも360mg、少なくとも370mg、少なくとも380mg、少なくとも390mg、少なくとも400mg、少なくとも410mg、少なくとも420mg、少なくとも430mg、少なくとも440mg、少なくとも450mg、少なくとも460mg、少なくとも470mg、少なくとも480mg、少なくとも490mg、少なくとも500mg、少なくとも510mg、少なくとも520mg、少なくとも530mg、少なくとも540mg、少なくとも550mg、少なくとも560mg、少なくとも570mg、少なくとも580mg、少なくとも590mg、少なくとも600mg、少なくとも610mg、少なくとも620mg、少なくとも630mg、少なくとも640mg、少なくとも650mg、少なくとも660mg、少なくとも670mg、少なくとも680mg、少なくとも690mg、少なくとも700mg、少なくとも710mg、少なくとも720mg、少なくとも730mg、少なくとも740mgまたは少なくとも750mgの元素ランタンを含むことができる。
いくつかの実施形態において、本明細書で教示される医薬剤形は、炭酸ランタン、好ましくは粉末形態の炭酸ランタンを含むことができ、例えば充填されてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で教示されるカプセルは、炭酸ランタン、好ましくは粉末形態の炭酸ランタンを含むことができ、例えば充填されてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で教示される医薬剤形は、約200mg~約2gの炭酸ランタン、好ましくは粉末形態の炭酸ランタンを含むことができ、例えば充填されてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で教示されるカプセルは、約200mg~約2gの炭酸ランタン、好ましくは粉末形態の炭酸ランタンを含むことができ、例えば充填されてもよい。
いくつかの実施形態において、本明細書で教示される医薬剤形は、GI管の遠位部で放出するためのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含むことができ、例えば充填されてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で教示される医薬剤形は、回腸、盲腸または結腸の1つ以上で放出するためのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含むことができ、例えば充填されてもよい。有利には、剤形中のランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物は、回腸の前に位置する胃腸管の近位部においてランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が漏れることなく、GI管の遠位部に送達される。いくつかの実施形態において、本明細書で教示される医薬剤形は、GI管の遠位部へのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物の少なくとも80%の到達をもたらすことができ、好ましくは、GI管の遠位部、例えば回腸、盲腸および/または結腸へのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも97%、またはそれ以上、例えば、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%の到達をもたらすことができる。
いくつかの実施形態において、医薬剤形は、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物が充填されたカプセルとすることができる。
いくつかの実施形態において、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物は、1つ以上の賦形剤を含むことができる。
本明細書で用いられる「キャリア」または「賦形剤」としては、任意のあらゆる溶媒、希釈剤、緩衝剤(例えば、中性緩衝生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水等)、可溶化剤、コロイド、分散媒体、ビヒクル、充填剤、キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン等)、アミノ酸(例えば、グリシン等)、タンパク質、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香味料、芳香剤、増粘剤、デポ効果を達成するための剤、コーティング剤、抗真菌剤、防腐剤、抗酸化剤、張性調節剤、吸収遅延剤等が挙げられる。医薬有効成分のためのこのような媒体および剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または剤が有効成分と適合しない場合を除き、医薬剤形におけるその使用を考慮することができる。
いくつかの実施形態において、ランタンまたはその薬学的に許容可能な酸化物の塩を含む組成物は、デキストラン(水和物)、コロイド状無水シリカおよびステアリン酸マグネシウムを含む1つ以上の賦形剤を含むことができる。
いくつかの実施形態において、医薬剤形は、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物が充填されたカプセルとすることができ、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物、または組成物は粉末状である。
「粉末」という用語は、振ったり傾けたりすると自由に流れる、多数の非常に細かい粒子で構成される乾燥した塊状の固体を指す。
本明細書で教示される物、使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物が充填され、メタクリル酸とメタクリル酸のC1-4アルキルエステルとの共重合体でコーティングされたカプセルとすることができ、好ましくは、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物は粉末状である。好ましくは、カプセルは、ランタンを100mg~1g、例えば250mg~500mg含むことができる。
いくつかの実施形態において、医薬剤形は、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩または酸化物、例えば炭酸ランタンを含む組成物が充填され、メタクリル酸とメタクリル酸のC1-4アルキルエステルとの共重合体の少なくとも4層でコーティングされたカプセルとすることができ、好ましくは、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物は粉末状である。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、炭酸ランタン等のランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物が充填され、メタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体の少なくとも4層でコーティングされたカプセルとすることができ、好ましくは、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物は粉末状である。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、炭酸ランタン等のランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物が充填され、メタクリル酸とメチルメタクリレートとが1:2の比率の共重合体の少なくとも4つの層でコーティングされたカプセルとすることができ、好ましくは、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物は粉末状である。好ましくは、カプセルは、100mg~1g、例えば250mg~500mgのランタン含むことができる。実施例の節に示すように、このような医薬剤形は、医薬として使用された場合、尿中リン酸レベルを変化させることなく尿中シュウ酸塩レベルを有利に低下させ、尿中カルシウムレベルを維持または低下させる。したがって、本発明の医薬剤形は、リン酸の欠乏を引き起こすことなく、腎臓の尿細管液および尿中シュウ酸カルシウム結晶の形成を阻止することができる。シュウ酸カルシウム結晶は、腎結石の形成における最初の重要な段階であり、最終的に腎結石症を引き起こすため、本発明の医薬剤形は、高シュウ酸尿症を軽減し、さらには腎結石症、腎石灰化症およびシュウ酸症、特にシュウ酸カルシウムによって引き起こされる腎結石症、腎石灰化症およびシュウ酸症を回避することさえ可能にするため有利である。
第2の態様によれば、対象、特にヒト対象における医薬として使用するための、本明細書で定義される医薬剤形が提供される。したがって、一つの態様によれば、対象の胃腸管の遠位部に標的送達するように構成された経口投与可能な医薬剤形であって、対象における医薬として使用するためのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む医薬剤形が提供される。好ましくは、一つの態様によれば、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む経口投与可能な医薬剤形であって、対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が標的送達されるように構成され、対象における医薬として使用するためのものである医薬剤形が提供される。好ましくは、対象はヒト対象である。
さらなる態様によれば、対象における高シュウ酸尿症の治療に使用するための、本明細書で定義される医薬剤形が提供される。したがって、さらなる態様によれば、対象の胃腸管の遠位部に標的送達するように構成された経口投与可能な医薬剤形であって、対象における高シュウ酸尿症の治療に使用するためのランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む医薬剤形が提供される。好ましくは、さらなる態様によれば、対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が標的送達されるように構成された経口投与可能な医薬剤形であって、対象の高シュウ酸尿症の治療に使用するためのものである医薬剤形が提供される。いくつかの実施形態において、高シュウ酸尿症は、原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症とすることができる。好ましくは、対象はヒト対象である。
関連する態様によれば、
-治療を必要とする対象における原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症等の高シュウ酸尿症を治療する方法であって、本明細書で教示される医薬剤形の治療有効量を対象に投与すること、好ましくは経口投与することを含む方法、
-治療を必要とするヒト対象における原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症等の高シュウ酸尿症を治療する方法であって、本明細書で教示される医薬剤形の治療有効量を対象に投与すること、好ましくは経口投与することを含む方法、
-対象における原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症等の高シュウ酸尿症の治療のための医薬の製造のための、本明細書で教示される医薬剤形の使用、
-ヒト対象における原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症等の高シュウ酸尿症の治療のための医薬の製造のための、本明細書で教示されている医薬剤形の使用
が提供される。
「高シュウ酸尿症」または「Bird病」という用語は、尿中へのシュウ酸塩の過剰な排泄を特徴とする疾患または症状を指す。
「シュウ酸塩」という用語は、化学式C 2-の陰イオンを指す。IUPAC名はエタンジオエートである。
「原発性高シュウ酸尿症(PH)」という用語は、肝臓がシュウ酸塩の過剰生成を防ぐのに十分な酵素を生成しないか、または酵素が適切に機能しない、まれな遺伝性肝臓疾患を指す。原発性高シュウ酸尿症には3つのサブタイプがあり、それぞれ肝臓内の異なる酵素であって、いずれもシュウ酸塩の過剰生成に関与している酵素の遺伝的欠陥を伴う。
1型原発性高シュウ酸尿症(PH1)は、最も一般的で重篤なPHの形態である。PH1は、PHの症例の約80%を占める。PH1は、L-アラニンおよびグリオキサレートからピルビン酸とおよびリシンへのアミノ基転移を触媒するビタミンB6依存性肝臓ペルオキシソーム酵素であるアラニングリオキサレートアミノトランスフェラーゼ(AGT)の欠陥によって発生する。この酵素の欠陥は、2番染色体にあるAGXT遺伝子の変異に起因すると考えられている。
2型原発性高シュウ酸尿症(PH2)は、PH患者の約10%を占める。PH2は、10番染色体にあるGRHPR遺伝子の変異によって二次的に発生するグリオキサレート/ヒドロキシピルビン酸還元酵素(GRHPR)の機能不全によって引き起こされる。
3型原発性高シュウ酸尿症(PH3)は、PHの症例の10%において発生する。PH3は、ミトコンドリア4-ヒドロキシ2-オキソグルタル酸アルドラーゼをコードする9番染色体にあるHOGA1遺伝子の遺伝子欠陥によって発生する。この酵素は、4-ヒドロキシ2-オキソグルタル酸をピルビン酸とグリオキサレートに分解し、さらにグリオキサレートがシュウ酸塩に変換される。
いくつかの実施形態において、原発性高シュウ酸尿症は、1型、2型または3型の原発性高シュウ酸尿症とすることができる。
「続発性高シュウ酸尿症」という用語は、過剰なシュウ酸塩が胃腸(GI)管に吸収され、その後尿中に排泄される疾患または状態を指す。
吸収量が増加する理由としては、(1)シュウ酸塩を多く含む食品の摂取またはシュウ酸塩前駆物質の過剰摂取(すなわち、食事性高シュウ酸尿症)、(2)腸内細菌叢の変化、またはクローン病、炎症性腸疾患、胃バイパス手術および栄養素が適切に吸収されないその他の疾患等のGI管がシュウ酸塩をより多く吸収する病状への罹患(すなわち、腸性高シュウ酸尿症)、または(3)原因不明(すなわち、特発性高シュウ酸尿症)が挙げられる。理論に拘束されるつもりはないが、ポイント(2)および(3)の文脈における吸収不良は、腸内の遊離脂肪酸(FFA)濃度の上昇を引き起こし、カルシウムと結合することで、シュウ酸塩と結合する遊離カルシウムの減少をもたらす可能性がある。第二に、胆汁酸濃度の上昇は、腸粘膜の透過性の増大を引き起こす。どちらのメカニズムも遊離シュウ酸塩の濃度を上昇させ、したがってシュウ酸塩の胃腸吸収を増加させる。
いくつかの実施形態において、高シュウ酸尿症は、シュウ酸塩および任意に他の特定の酵素のレベルを測定する尿検査;血液中のシュウ酸塩の量を測定する血液検査;および腎臓結石またはシュウ酸カルシウム結晶を調べるための腎臓および尿路のスキャン(X線、超音波および/またはCT等)の1つ以上によって判定することができる。尿中の結晶を調べることもできる。
高シュウ酸尿症は、24時間蓄尿で尿中シュウ酸塩排泄量を測定し、体表面積1.73mあたりのシュウ酸塩排泄量(例えば、mmol/1.73m/24時間として表現される)を調整することで評価することができる。尿中シュウ酸塩排泄量は、尿量あたりで測定することもできる(例えば、mg/Lとして表現される)。尿中シュウ酸塩/尿中クレアチニン比(例えば、mgシュウ酸塩/gクレアチニン)を測定して、24時間蓄尿の質を判定することができる。尿中クレアチニンは経時的に(24時間)かなり安定しているため、例えばクレアチニン値が低すぎると、尿量が誤って低い値と検出されることがある。値は修正することができ、結果を拒むこともできる(Kaminska et al., 2020, Crit Rev Clin Lab Sci, 57, 5, 345-364)。尿中リン酸/尿中クレアチニン比(例えば、mgリン酸/gクレアチニン)、尿中リン酸(例えば、リン酸mg/L)、尿中カルシウム/尿中クレアチニン比(例えば、mgカルシウム/gクレアチニン)および/または尿中カルシウム(例えば、カルシウムmg/L)も同様にして測定することができる。
尿検査では、患者が24時間(h)の間(例えば、対照期間中、治療中および/または治療後)に採取した尿における尿中シュウ酸塩、尿中カルシウムまたは尿中リン酸の量を測定することができる。尿中シュウ酸塩、尿中カルシウムまたは尿中リン酸の排泄量は、mmol/24h/1.73mまたはmg/24hで表すことができる。好ましくは、尿中シュウ酸塩、尿中カルシウムまたは尿中リン酸の排泄量は、患者が排泄した尿の量を考慮して、尿1リットル(L)あたりのmmol/24h/1.73m(以下、「mmol/L」という)または尿1リットルあたりのmg/24h/1.73m(以下、「mg/L」という)で表される。高シュウ酸尿症の患者は水分を多く摂取し、尿の排泄も多いため、患者の24時間の尿の量を考慮することが重要である。例えばmmol/24h/1.73mで表される尿の量を考慮せずに尿中シュウ酸塩、尿中カルシウムまたは尿中リン酸塩の排泄量について言及すると、誤った診断につながる可能性がある。例えば、24時間あたり2Lの尿中に80mgのシュウ酸塩が排泄される対象は、高シュウ酸尿症に罹患していると診断されない可能性があるが(すなわち、40mg/Lは正常上限(ULN)の44mg/Lを下回る)、24時間あたり1Lの尿中に80mgのシュウ酸塩が排泄される対象は、高シュウ酸尿症に罹患していると診断される(すなわち、80mg/LはULNの44mg/Lを上回る)。
健常なヒト患者および病気のヒト患者において予想される尿中シュウ酸塩排泄量を表1に示す。
本明細書で使用される正常な尿中シュウ酸塩排泄量は0.50mmol/L未満または44mg/L未満と定義される。
高シュウ酸尿症は、尿中シュウ酸塩排泄量が0.50mmol/L以上または44mg/L以上であることにより特徴付けることができる。
原発性高シュウ酸尿症は、尿中シュウ酸塩排泄量が1.0mmol/L超または87mg/L超、例えば尿中シュウ酸塩排泄量が88mg/L~250mg/Lであることにより特徴付けられる。
続発性高シュウ酸尿症は、尿中シュウ酸塩排泄量が0.50mmol/L以上または44mg/L以上であることにより特徴付けることができる。食事性および特発性高シュウ酸尿症は、尿中シュウ酸塩排泄量が0.50~0.70mmol/Lまたは44~61mg/Lであることにより特徴付けることができる。腸性高シュウ酸尿症は、尿中シュウ酸塩排泄量が0.60~1.0mmol/Lまたは53~87mg/Lであることにより特徴付けることができる。
PHおよび型の診断は、AGXT遺伝子、GRHPR遺伝子およびHOGA1遺伝子の検査によって行うことができる。AGXTには150の変異、GRHPには16の変異、HOGA1には15の変異が知られている。Williams et al. (2007, Clin Chem, 53: 1216-1221)は、AGXTの最も一般的な3つの変異(c.33_34insC、c.508G>A、およびc.731T>C)を標的とした解析によってPH1患者の34.5%が診断され、エクソン1、4および7のエクソン配列決定によって診断率が向上し、PH1患者の50%が診断されることを示した。
「シュウ酸塩尿症」という用語は、尿中へのシュウ酸塩の排泄または尿中シュウ酸塩を指す。
「カルシウム塩尿」という用語は、尿中へのカルシウムの排泄または尿中カルシウムを指す。
尿中カルシウムの量が異常に多い場合は高カルシウム尿症と呼ばれ、異常に少ない場合は低カルシウム尿症と呼ばれる。
「リン酸塩尿」という用語は、尿中へのリン酸の排泄または尿中リン酸を指す。
尿中リン酸の量が異常に多い場合は高リン酸尿症と呼ばれ、異常に少ない場合は低リン酸尿症と呼ばれる。
さらなる態様は、対象、特にヒト対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の治療に使用される、本明細書で定義される医薬剤形に関する。したがって、さらなる態様によれば、対象の胃腸管の遠位部に標的送達するように構成された経口投与可能な医薬剤形であって、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含み、対象、特にヒト対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の治療に使用するための医薬剤形が提供される。好ましくは、さらなる態様によれば、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む経口投与可能な医薬剤形であって、対象、特にヒト対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の治療に使用するために、対象、特にヒト対象における回腸、盲腸または結腸の1つ以上にランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が標的送達さるように構成された医薬剤形が提供される。
「腎結石症」、「腎臓結石症」または「尿路結石症」という用語は、尿路に固形物(例えば、腎結石)が形成される結晶症を指す。腎臓結石の診断は、病歴、身体検査、尿検査および放射線検査から得られる情報に基づいて行われる。臨床診断は通常、典型的には疝痛性(痙攣性の波で現れたり消えたりする)である痛みの場所や重症度に基づいて行われる。背中の痛みは、結石が腎臓に閉塞を引き起こすと発生する。
いくつかの実施形態において、腎結石症は、シュウ酸カルシウムの結石または結晶のように、シュウ酸カルシウムによって引き起こされるか、またはシュウ酸カルシウムに関連する場合がある。
「腎石灰化症」または「Albright石灰化症」という用語は、放射線学によって診断される腎実質性の石灰化を指す。石灰化は、拡散した微細石灰化である場合がある。「腎石灰化症」という用語は、シュウ酸カルシウムおよびリン酸カルシウムの両方の沈着を説明するために使用される。腎石灰化症は急性腎障害を引き起こす場合がある。腎石灰化症は、超音波(US)、腹部単純写真およびコンピューター断層撮影(CT)画像を含む画像化技術によって診断される場合がある。
いくつかの実施形態において、腎石灰化症は、シュウ酸カルシウム沈着のように、シュウ酸カルシウムによって引き起こされるか、またはシュウ酸カルシウムに関連する場合がある。
「シュウ酸症」という用語は、高シュウ酸尿症に罹患した患者の腎不全後に腎外臓器にシュウ酸塩が過剰に蓄積する疾患または状態を指す。これにより、血管、骨および体器官にシュウ酸塩が沈着する場合がある。
いくつかの実施形態において、シュウ酸症は、シュウ酸カルシウムの沈着、結石または結晶のように、シュウ酸カルシウムによって引き起こされるか、またはシュウ酸カルシウムに関連する場合がある。
いくつかの実施形態において、対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症は、対象におけるシュウ酸カルシウムの沈着、結石または結晶のように、シュウ酸カルシウムによって引き起こされるか、またはシュウ酸カルシウムに関連する場合がある。
関連する態様によれば:
-治療を必要とする対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上を治療する方法であって、本明細書で教示される医薬剤形の治療有効量を対象に対して投与すること、好ましくは経口投与することを含む方法、
-治療を必要とするヒト対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上を治療する方法であって、本明細書で教示される医薬剤形の治療有効量を対象に対して投与すること、好ましくは経口投与することを含む方法、
-対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上を治療するための医薬の製造における、本明細書で教示される医薬剤形の使用、
-ヒト対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上を治療するための医薬の製造における、本明細書で教示される医薬剤形の使用
が提供される。
「対象」、「個体」または「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用することができ、典型的には好ましくはヒトを指すが、非ヒト動物、好ましくは温血動物、さらに好ましくは哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、げっ歯類、イヌ科、ネコ科、ウマ科、ヒツジ科、ブタ科等への言及も包含する場合がある。「非ヒト動物」という用語には、すべての脊椎動物、例えば非ヒト霊長類(特に、高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、ウシ等の哺乳動物、およびニワトリ、両生類、爬虫類等の非哺乳動物が含まれる。いくつかの実施形態において、対象は非ヒト哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象はヒト対象である。この用語は特定の年齢または性別を指すものではない。したがって、男女を問わず、成人および新生児である対象ならびに胎児が対象となる。対象の例としては、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギおよびマウスが挙げられる。さらに、対象という用語には、トランスジェニック種も包含されるものとする。
適切な対象としては、限定されないが、高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上のスクリーニングのために医師の診察を受ける対象、高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の兆候や症状を呈して医師の診察を受ける対象、高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の診断を受けた対象、および高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の代替(不成功)治療を受けた対象が挙げられる。
本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、対象はヒトである。実施例に示されるように、本発明者らは、ランタンの放出が起こり、シュウ酸塩のキレート化が開始されるヒト対象の腸内の最適な部位、すなわちヒト対象の胃腸管の遠位部、特にヒト対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上を見出し、リン酸の欠乏を伴わずに高シュウ酸尿症を軽減するという複合的な効果が得られることを見出した。
本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、対象は、原発性高シュウ酸尿症に罹患し、かつ、ルマシランで、例えば少なくとも6か月、例えば少なくとも8か月、少なくとも10か月、または少なくとも1年間、かつ/またはEMAルマシラン治療スケジュール、すなわち成人において1か月間隔で4回の投与から開始し、その後3か月ごとに1回の投与を行うことにより治療されたヒト対象とすることができる。いくつかの実施形態において、対象は、原発性高シュウ酸尿症に罹患し、ルマシランで治療され、ルマシラン単独では十分ではない結果を示すヒト対象とすることができる。ルマシラン単独では十分ではない結果は、ルマシランによる治療の主要な終点、すなわち、正常上限(ULN)の約1.5倍、すなわち68mg/24時間未満の24時間尿中シュウ酸塩排泄量に達しない場合に得られる。本明細書で教示される医薬剤形とルマシランとを組み合わせた治療により、尿中シュウ酸塩をULNの44mg/L未満に有利に減少させることができる場合がある。
「ルマシラン」という用語は、Oxlumo(Alnylam Pharmaceuticals Inc.)という商標名を有し、RNA干渉を介して肝細胞内のHAO1メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を標的としてグリコール酸オキシダーゼ(GO)酵素のレベルを低下させる、原発性高シュウ酸尿症の治療のための二本鎖siRNAを指す。GO酵素レベルの低下により、シュウ酸塩生成の基質である利用可能なグリオキシル酸の量が減少する。
本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、対象は、原発性高シュウ酸尿症に罹患し、腎機能障害と診断され、任意に腎臓移植を必要とするヒト対象とすることができる。本明細書で教示される医薬剤形と、ルマシランおよび頻繁な透析、例えば少なくとも2~4か月間にわたる透析とを組み合わせた治療により、そのような対象の体内のシュウ酸塩負荷を有利に減少させることができる。
本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、対象は、原発性または続発性高シュウ酸尿症および腎機能障害に罹患したヒト対象である。本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、対象は、原発性または続発性高シュウ酸尿症および腎不全に罹患したヒト対象である。例えば、対象は、原発性高シュウ酸尿症および慢性腎臓病3~5(CKD3~5)に罹患したヒト対象とすることができる。本明細書で教示される医薬剤形による治療により、シュウ酸カルシウムの血清から回腸および結腸への分泌を介して、腎臓からシュウ酸カルシウムの大部分を可溶化および除去することが有利に可能となる。
本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、対象は、原発性高シュウ酸尿症および末期CKDまたは腎機能障害(eGFR<40ml/分)に罹患したヒト対象である。これらの対象は透析を受けており、腎臓および肝臓の移植を必要とする場合がある。ルマシランは肝臓におけるシュウ酸塩生成を大幅に抑制することができるため、肝臓移植を回避することができる。分泌されたシュウ酸塩をキレート化し、腸管から排出する能力が高い本明細書で教示される医薬剤形とルマシランとを組み合わせた治療により、このような対象の体内のシュウ酸塩負荷を有利に減少させることができる。疑義を避けるために、移植される腎臓は、腎臓移植後に尿形成が再び始まった場合に結晶形成を示さないように、尿中シュウ酸塩濃度が44mg/L未満または0.51mmol/L未満の環境下に置かれなければならない。
本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、対象は、続発性高シュウ酸尿症および中等度の腎不全に罹患したヒト対象である。
本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、医薬剤形は:
-1日1回または2回;
-1回の投与あたり100mg~2000mgの量のランタン;
-1日あたり100mg~4000mgの量のランタン;かつ/または
-少なくとも1か月間;例えば少なくとも2か月間
投与することができる。
好ましくは、医薬剤形は経口投与される。
本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、少なくとも1日1回、例えば少なくとも1日2回、少なくとも1日3回、または少なくとも1日4回投与することができる。好ましくは、医薬剤形は、1日1回または1日2回投与され、それによって患者の服用遵守が改善される。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、朝または夕方のように、1日1回投与することができる。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、朝および夕方のように、1日2回投与することができる。好ましくは、医薬剤形は、食事の直前(すなわち、最大60分前、最大30分前、最大15分前または最大5分後)、食事中、または食事の直後(すなわち、最大60分後、最大30分後、最大15分語または最大5分後)に投与され、例えば、1日で最も多量の食事の直前、最中または直後に投与される。
本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、投与ごとに100mg~2000mgのランタンの量で投与することができる。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、投与ごとに250mg~1500mg、500mg~1000mgまたは750mg~1000mgのランタンの量で投与することができる。投与ごとに、少なくとも2つの剤形、少なくとも3つの剤形、少なくとも4つの剤形、少なくとも5つの剤形または少なくとも6つの剤形のような、少なくとも1つの剤形(例えば、カプセル)で投与することができる。
本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、1日あたり100mg~4000mgのランタンの量で投与することができる。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、1日あたり200mg~4000mg、500mg~3000mg、1000mg~2000mgまたは1500mg~2000mgのランタンの量で投与することができる。
本明細書で教示される使用または方法の実施形態において、医薬剤形は、少なくとも1か月の期間投与することができる。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、少なくとも2か月、少なくとも2か月半、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月または少なくとも6か月の期間投与することができる。いくつかの実施形態において、医薬剤形は、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月またはそれ以上の期間、例えば、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年またはそれ以上の期間投与することができる。本明細書で教示される医薬剤形は、リン酸の欠乏を引き起こさないため、原発性および続発性高シュウ酸尿症の患者の長期治療を有利に可能にする。
本明細書で教示される医薬剤形は、高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の治療を可能にする。
本明細書で使用される「治療を必要とする対象」等の語句には、特定の状態、特に高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の治療から利益を得る対象が包含される。このような対象としては、限定されないが、前記状態と診断された対象、前記状態を発症する傾向がある対象、および/または前記状態を予防する必要がある対象が挙げられる。
「治療する」または「治療」という用語には、すでに発症した高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の治療等の、すでに発症した疾患または状態の治療的処置、ならびに、高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の発生、発症および進行の予防等の、望ましくない疾患の発生の可能性を予防または低減することを目的とする予防的または防止的措置の両方が包含される。有益なまたは望ましい臨床結果としては、限定されないが、1つ以上の症状または1つ以上の生物学的マーカーの緩和、疾患の程度の低減、疾患状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患の進行の遅延または減速、疾患状態の改善等が挙げられる。この用語には、ex vivoまたはin vivoの治療が包含される場合がある。
「予防有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師またはその他の臨床医師が求める、対象における疾患の発症を阻害または遅延させる、医薬剤形またはランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物等の活性化合物の量を指す。
本明細書で教示される方法により、高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上に罹患している対象に、治療有効量の医薬剤形またはランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物等の活性化合物を投与することができる。本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、外科医師、研究者、獣医師、医師またはその他の臨床医師が求める、限定されないが、治療対象の疾患または状態の症状の緩和を含む生物学的または医学的反応を対象において引き出す活性化合物または医薬剤形の量を指す。ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量を決定する方法は、当該技術分野で既知である。
本明細書で教示される活性化合物の適切な治療有効量は、活性化合物の性質、病状および重症度、ならびに患者の年齢、体格および状態を十分に考慮して、資格のある医師によって決定することができる。
さらなる態様によれば、本明細書で定義される医薬剤形、特にカプセル剤を調製する方法であって:
-ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物をカプセルに充填すること;
-カプセルを密封すること;および
-対象の胃腸管の遠位部、特に対象の回腸、盲腸および/または結腸への標的送達のために構成されたコーティング溶液にカプセルを浸漬すること
を含む方法が提供される。
いくつかの実施形態において、この方法は、カプセルを開封する事前の工程を含むことができる。
本明細書で教示される方法の実施形態において:
-カプセルはコーティング溶液に少なくとも3回浸漬してもよく;
-コーティング溶液への浸漬時間は少なくとも10秒であってもよく;
-次の浸漬工程の前にコーティングを乾燥させてもよく;例えば、次の浸漬工程の前にコーティングを少なくとも3分間乾燥させてもよい。
いくつかの実施形態において、コーティング溶液は、対象の胃腸管の遠位部、特に対象の回腸、盲腸および/または結腸への標的送達のために構成された1つ以上の材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、コーティング溶液は、pH感受性ポリマー、生分解性ポリマー、多糖類またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、コーティング溶液は、本明細書で教示されるように、対象の胃腸管の遠位部、特に対象の回腸、盲腸および/または結腸への標的送達のために構成されたポリマーを含むことができる。
いくつかの実施形態において、コーティング溶液は、溶媒、可塑剤、担体、界面活性剤、増粘剤、緩衝剤、抗酸化剤、防腐剤、香料または着色剤等の1つ以上の添加剤または補助剤をさらに含むことができる。適切な補助剤は、当技術分野で既知である。
溶媒はアセトン等の有機溶媒とすることができる。溶媒は水性溶媒(すなわち、水性キャリアまたは水性溶液)とすることができる。いくつかの実施形態において、コーティング溶液は有機溶媒を含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、コーティングは有機溶媒を含まなくてもよい。
可塑剤は、クエン酸トリエチル等、当該技術分野で既知の任意の適切な可塑剤とすることができる。
「可塑剤」という用語は、材料の可塑性または粘性をもたらすかまたは促進する物質または組成物を指す。
いくつかの実施形態において、コーティング溶液は、メタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体、溶媒および可塑剤を含むことができる。例えば、コーティング溶液は、メタクリル酸とメチルメタクリレートとが1:2の比率の共重合体、アセトンおよびクエン酸トリエチルを含むことができる。
いくつかの実施形態において、コーティング溶液は、メタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体を2%~20重量%、溶媒を75%~97.5重量%、および可塑剤を0.5%~5重量%含むことができる。例えば、コーティング溶液は、メタクリル酸とメチルメタクリレートとが1:2の比率の共重合体を10重量%、アセトンを89重量%、およびクエン酸トリエチルを1重量%含むことができる。
「重量%」、「%(w/w)」、「質量パーセント」、「重量パーセント」または「wt%」という用語は、本明細書では互換的に使用され、質量分率wの100倍を指す。質量分率wは、(1)で定義されるように、全混合物(例えば、本明細書で教示されるコーティング溶液)の質量mtotに対する1つの化合物の質量mの比である。
いくつかの実施形態において、コーティング溶液は:
-可塑剤(例えば、クエン酸トリエチル)を溶媒(例えば、アセトン)に溶解すること;および
-攪拌しながらメタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体(例えば、EudragitS 100)を完全に溶解するまで添加し、コーティング溶液を得ること
により調整することができる。
攪拌は、マグネティックスターラーを用いて行うことができる。攪拌は、少なくとも30分間、例えば少なくとも1時間または少なくとも2時間行うことができる。
本明細書で教示される方法の実施形態において、カプセルはコーティング溶液に少なくとも3回、例えば少なくとも4回、少なくとも5回または少なくとも6回浸漬することができる。好ましくは、カプセルはコーティング溶液に4回浸漬される。
本明細書で教示される方法の実施形態において、カプセルはコーティング溶液に少なくとも10秒間(秒)浸漬され(すなわち、浸漬して引き上げる時間)、例えば、少なくとも15秒間、少なくとも20秒間、少なくとも25秒間、少なくとも30秒間、またはそれ以上浸漬される。好ましくは、カプセルはコーティング溶液に15秒間浸漬される(すなわち、浸漬して引き上げる時間)。
本明細書で教示される方法の実施形態において、コーティングは、次の浸漬工程の前に少なくとも3分間乾燥されてもよい。本明細書で教示される方法の実施形態において、コーティングは、次の浸漬工程の前に少なくとも4分間(分)、少なくとも5分間、少なくとも6分間、少なくとも7分間、少なくとも8分間、少なくとも9分間、少なくとも10分間または少なくとも15分間乾燥されてもよい。好ましくは、コーティングは、次の浸漬工程の前に5分間乾燥される。
いくつかの実施形態において、コーティングは、最後の浸漬工程の後、少なくとも5分間、少なくとも8分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、少なくとも30分間または少なくとも45分間乾燥されてもよい。好ましくは、コーティングは、最後の浸漬工程の後、15分間乾燥される。
いくつかの実施形態において、本明細書で教示されるカプセル等の医薬剤形は、使用されるまで室温(例えば、20~24℃)で保存することができる。
本出願によれば、下記のステートメントに記載の態様および実施形態も提供される。
ステートメント1.対象の胃腸管の遠位部への標的送達のために構成された経口投与可能な医薬剤形であって、ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む医薬剤形。
ステートメント2.前記胃腸管の遠位部が、回腸、盲腸、結腸またはそれらの組み合わせである、ステートメント1に記載の医薬剤形。
ステートメント3.固体剤形または半固体剤形である、ステートメント1または2に記載の医薬剤形。
ステートメント4.ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物が充填されたカプセル等のカプセルまたは錠剤であり、好ましくは前記ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が粉末状である、ステートメント1~3のいずれか1つに記載の医薬剤形。
ステートメント5.前記医薬剤形またはカプセルが、対象の胃腸管の遠位部に標的送達されるように構成されたコーティングを含み;好ましくは該コーティングが、pH感受性ポリマー、生分解性ポリマー、多糖類またはそれらの組み合わせを含む、ステートメント1~4のいずれか1つに記載の医薬剤形。
ステートメント6.前記医薬剤形またはコーティングが、メタクリル酸とメタクリル酸のC1-4アルキルエステルとの共重合体;好ましくはメタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体;より好ましくはメタクリル酸とメチルメタクリレートとの1:2の比率の共重合体を含む、ステートメント1~5のいずれか1つに記載の医薬剤形。
ステートメント7.前記カプセルが、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ゼラチン、プルラン、デンプン、水溶性ポリビニル誘導体、ポリエチレングリコールおよび(メタ)アクリル酸のC1-4アルキルエステルと(メタ)アクリル酸との共重合体からなる群から選択される1つ以上の材料から作製される、ステートメント4~6のいずれか1つに記載の医薬剤形。
ステートメント8.前記医薬剤形またはカプセルが少なくとも3層のコーティングを含み、好ましくは前記カプセルが少なくとも4層のコーティングを含み;かつ/またはコーティングの厚さが少なくとも20.0μm、例えば少なくとも25.0μm、少なくとも30.0μm、または少なくとも35.0μmである、ステートメント1~7のいずれか1つに記載の医薬剤形。
ステートメント9.前記ランタンの薬学的に許容可能な塩または酸化物が炭酸ランタンまたは酸化ランタンであり;好ましくは前記医薬剤形が炭酸ランタンを含む、ステートメント1~8のいずれか1つに記載の医薬剤形。
ステートメント10.前記医薬剤形が100mg~4000mgの元素ランタンを含む、ステートメント1~9のいずれか1つに記載の医薬剤形。
ステートメント11.前記ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物が充填され、メタクリル酸とメタクリル酸のC1-4アルキルエステルとの共重合体でコーティングされたカプセルである。ステートメント1~10のいずれか1つに記載の医薬剤形。
ステートメント12.対象における高シュウ酸尿症の治療において使用され、任意に前記高シュウ酸尿症が原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症である、ステートメント1~11のいずれか1つに記載の医薬剤形。
ステートメント13.対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の治療に使用される、ステートメント1~11のいずれか1つに記載の医薬剤形。
ステートメント14.前記対象がヒトである、ステートメント12または13のいずれか1つに記載の使用のための医薬剤形。
ステートメント15.前記医薬剤形が:
-1日1回または2回;
-1回の投与あたり100mg~2000mgの量のランタン;
-1日あたり100mg~4000mgの量のランタン;および/または
-少なくとも1か月間;例えば少なくとも2か月間
投与される、ステートメント12~14のいずれか1つに記載の使用のための医薬剤形。
上述した態様および実施形態は、下記の非限定的な実施例によってさらにサポートされる。
実施例1:対象の胃腸管の遠位部に標的送達されるように構成された本発明の実施形態による経口投与可能な医薬剤形の調製
本実施例によれば、本発明の実施形態に従って、対象の胃腸管の遠位部への標的送達のために構成された経口投与可能な医薬剤形、特に、対象の胃腸管の遠位部への標的送達のために構成されたコーティングを含むカプセルを調製するための方法が提供される。
カプセルはセルロースアセテートフタレート(CAP)カプセルとした。有効成分は、炭酸ランタン(La(CO)の形態でランタン元素750mgを含むFosrenol分包(Shire Pharmaceutics、アイルランド、ダブリン)から調製を行った。Fosrenolの他の成分は、デキストラン(水和物)、コロイド状無水シリカおよびステアリン酸マグネシウムであった。
カプセルには「Fosrenol分包750」の粉末混合物を充填した。分包の1/3をカプセルに充填し、これは250mgのランタン元素が使用されたことを意味し、カプセル1個あたり±500mgの炭酸ランタンに相当する。
カプセルをコーティングした。コーティング溶液の組成は:
-Eudragit S 100:10%(w/w)(Evonik Industries、ベルギー)
-クエン酸トリエチル:1%(w/w)(Sigma Aldrich、ドイツ)
-アセトン:89%(w/w)(アセトン エクストラ ピュア、Fagron、オランダ)
とした。
コーティング溶液を、アセトンにクエン酸トリエチル(可塑剤)を溶解して調製した。Eudragit S 100をマグネティックスターラーで攪拌しながら徐々に添加し、1~2時間かけて完全に溶解した。
手動コーター(Feton International)を使用して、充填されたサイズ00のカプセルを、以下の工程に従ってEudragitにより手動でコーティングした:最初にカプセル本体を浸漬し、浸漬および引き出し時間を15秒とした;カプセル本体の浸漬を最大3回繰り返した。その後、試験の最後に(以下を参照)、対象の胃腸管の遠位部に標的送達されるように構成されたコーティングにより本体に4回目のコーティング工程を行うことにより、本発明の例となる医薬剤形を調製した。
各層間の乾燥時間を5分とし、4番目の層を15分間乾燥させた。
調製したカプセルを20~24℃の室温で保管した。
手動スクリューマイクロメーターを使用したところ、コーティングされていないカプセルの厚さの平均値は0.145mm±0.0054mm(n=5)であった。コーティングされたカプセル(4層)の厚さの平均値は0.174mm±0.0037mm(n=5)であった。
コーティング効率の試験を、酸性の環境下、およびより塩基性の環境下という2つの異なる環境下で行った。
最初の試験では、プロトコルに記載されているように、カプセルを3層でコーティングした。コーティングしたカプセル1つを、pH4.6(消化中の胃液の酸性度)の酢酸緩衝液が入った計量カップに入れた。温度を35℃に維持し、マグネティックスターラー上に静置した。2時間後、カプセルは完全な形態を留めていなかった。
2回目の試験では、プロトコルに記載されているとおり、カプセルを3層でコーティングした。コーティングしたカプセルをpH8の炭酸緩衝液に入れた。15分後、カプセルの約半分で継ぎ目に色の変化が現れ、コーティングが浸透して溶解し始めた。20分後、内容物が周囲の液体に放出された。
パイロット実験を、健常なボランティアを対象に、異なるコーティング手順(層なし、1層、2層、4層および5層)のカプセルを使用して行った。実験期間中:対照期間中(すなわち、治療前)、治療中、ウォッシュアウト期間中(すなわち、治療後)、毎日24時間の尿採取を行った。これらの24時間の尿採取のすべてにおいて、シュウ酸塩、リン酸塩、カルシウムおよびクレアチニンを測定した。クレアチニンを測定することにより、24時間の採取の正確性が確認された。コーティングを有しないカプセル、または1層または2層のコーティングを有するカプセルを使用した場合、シュウ酸塩尿、リン酸塩尿およびカルシウム塩尿への効果はないか、効果はごくわずかであった(結果は示していない)。
しかしながら、4回コーティングを行ったカプセルを使用した場合、シュウ酸塩尿に明らかな効果があり、対照値と比較して尿中シュウ酸塩が最大40%以上減少した(実施例2、図3を参照)。この短い臨床試験中、リン酸塩尿およびカルシウム塩尿に明らかな効果は見られなかった(実施例2、図3を参照)。摂取を中止してから2日後、シュウ酸塩尿は実験開始前の対照値と同等であった(実施例2、図3を参照)。5層のコーティングを有するカプセルを使用した場合、4層のコーティングを有するカプセルを使用した場合よりも患者のシュウ酸塩キレート化に対する効果は増大しないようであった。
試験対象の腸管内におけるコーティングされていないカプセルの挙動を放射線でモニタリングした後、胃腸管の近位部でカプセルの急速な放出が観察された(結果は示していない)。したがって、カプセルを4番目のコーティング層でコーティングし、必要に応じて5番目のコーティング層でコーティングし、標的放出という許容可能な結果を得た(4層のコーティングを有するカプセルについては、実施例2、図2を参照)。
本発明の例となる医薬剤形、特に本発明の例となるカプセルは、250mgの元素ランタンを含み、対象の胃腸管の遠位部、特に対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上に標的送達されるように構成された4層のコーティングで被覆されている。
本発明の例となる医薬剤形のさらなる調製方法には、サイズ00、サイズ0、サイズ1およびサイズ2のカプセルを使用した。これらのカプセルには、それぞれ560mg、420mg、295mgおよび230mgの元素ランタンが含まれるようにランタンを充填した。
実施例2:本発明の実施形態による医薬剤形からの胃腸管の遠位部における炭酸ランタンの放出
Shimadzu Sonialvision G4放射線撮影装置を使用して、本発明の例となるカプセル(すなわち、実施例1に従って4回コーティングされたもの)腸管通過をX線により試験した。2つのカプセル(それぞれ250mgの元素ランタン)を経口摂取した後、健常なボランティアの腹部の連続画像を、直立姿勢で前後方向に撮影した。画像は、360分間(6時間)にわたって30分ごとに撮影した。両方のカプセルを飲み込んだ直後、「0分」の最初の画像においてカプセルが胃の中に見えた(図6)。30分後、カプセルは4つの大きな破片に分解され、十二指腸と空腸とに移動した(図2A)。60分後および90分後に、大きな破片はさらに遠位に移動した(図2B、図6)。経口摂取から120分後、大きなカプセル状の破片はほぼ回腸遠位部の位置にあり、点状のランタン粒子がはっきりと見えていた(図6)。150分以降、大きなカプセルおよび点状の粒子はBauhin弁を経由して盲腸の位置に達した(結果は示していない)。次の30分間で、大きなカプセル状のランタン破片の数は徐々に減少し、点状の粒子は次第に増加し、カプセルがさらに放出されたことが示された(図6)。240分後、ランタンは結腸に放出された(図2C、図6)。360分後の最後の曝露では、すべての破片が結腸にあり、最も遠位のカプセル残留物は結腸の肝隅(hepatic corner)にあった。
この試験は、原発性高シュウ酸尿症の他の2人の患者においても行われ、同じ結果が示された。
さらに、本発明の例となる2個のカプセル(それぞれ250mgのランタンを含み;4回コーティングされたカプセル)を朝に経口摂取し、さらに2個(各250mgのランタン)を夕方に経口摂取した場合(すなわち、1日の総投与量1000mgの元素ランタン)の効果を、健常なヒト個人において7日間にわたって試験した(図3の3日目~9日目)。24時間の尿採取における尿中シュウ酸塩(mg/L)、リン酸(P)(mmol/L単位)およびカルシウム(Ca)(mmol/L単位)のレベルを測定した(図3)。図3は、250mgの4回の投与(朝2個×250mg、夕方2個×250mg)による1000mg/日の元素ランタンが、健常なボランティアにおける尿中シュウ酸塩(mg/L)の排出に与える効果を示す。
シュウ酸塩尿に対しては明らかな効果があり、7日間の治療期間中、対照値と比較して尿中シュウ酸塩が最大46%減少した(図3、黒色のバー)。健常な個人で7日間の治療を行った後のこの短い臨床試験中、リン酸塩尿(濃い灰色)およびカルシウム塩尿(薄い灰色)に測定可能な効果は見られなかった(図3)。摂取を中止してから2日後、シュウ酸塩尿は実験開始前の対照値と同等であった(図3、11日)。
これらの結果およびX線検査の結果から、ランタンは主に回腸および近位結腸において放出されたことが確認された。
実施例3:本発明の実施形態による医薬剤形を用いた原発性および続発性高シュウ酸尿症の患者の治療
原発性高シュウ酸尿症の患者4名および続発性高シュウ酸尿症の患者1名を対象に、概念実証試験を開始した。患者は、ゲント大学病院(ベルギー)(n=2)およびアントワープ大学病院(ベルギー)(n=2)から選出し、包含基準/除外基準に該当した:年齢:9歳超、遺伝学的に原発性高シュウ酸尿症が確認されており、推定糸球体濾過率(eGFR)>50ml/分/1.73mであり、ルマシラン(Oxlumo)による治療を受けておらず、尿中シュウ酸塩排泄量が1.73mあたり24時間あたり少なくとも0.60mmol(52.2mg)であり、かつ腎外全身性シュウ酸症の臨床的初見がない。患者には、本試験への登録時に行われていた原発性高シュウ酸尿症の標準治療レジメンを継続するよう依頼した。
主要評価項目を次のように定義した:
-4mmol/L(160mg/L)未満のカルシウム尿を伴う0.50mmol/L(44mg/L)未満のシュウ酸塩尿濃度。これらの2つの状態は、尿中にシュウ酸カルシウム結晶が形成されない状況において必須であると考えられている。
-安定的に正常な尿中リン酸塩濃度(>350mg/L~1200mg/L)および血清中リン酸塩濃度(30~45mg/L)は、時間の経過によるリン酸塩の欠乏の進行が一切見られないことを示す。
-カルシウム尿の安定的またはわずかな減少は、治療によるカルシウムチャネル遮断効果を示す。
実験室試験
原発性高シュウ酸尿症の患者のさまざまなパラメータを表2にまとめる。すべての臨床検査(血液学、肝臓検査および腎機能検査)を、国際基準に従ってAlgemeen Medisch Laboratorium(A.M.L.、ベルギー、アントワープ)において行った。尿および血清中のシュウ酸塩を、液体クロマトグラフィー-タンデム-質量分析(LC-タンデム-MS)により測定した。シュウ酸-C13を内部標準として使用した。サンプルを加水分解し、塩酸-ブタノール混合物で誘導体化した。インキュベーションおよび遠心分離の後、上層1μlを機器に注入した。“Referenzinstitut fur Bioanalytik” Bonn, Prof D.C. Knabbe, 2021の品質管理において良好から優れた結果が得られた。
本発明の例となる医薬剤形の投与量
患者には、本発明の例となる実施例1で調製した医薬剤形、すなわち、250mgの元素ランタンと、対象の胃腸管の遠位部に標的送達されるように構成された4層のコーティングとを含むカプセルを投与した。治療開始時に、1日で最も多い食事時に2個のカプセル、すなわち朝に2個のカプセル、夕方に2個のカプセル(すなわち、4×250mg=1000mg元素ランタン/日)を投与した。尿中シュウ酸塩排泄の結果(濃度>44mg/L、すなわち正常上限)に応じて、この開始用量を、該開始用量と同じタイミングで、朝に3個のカプセル、夕方に3個のカプセル(すなわち、6×250mg=1500mg元素ランタン/日)に、さらに朝に4個のカプセル、夕方に4個のカプセル(すなわち、8×250mg=2000mg元素ランタン/日)にまで増量した。
患者
この概念実証試験の開始時から、患者には、対照期間(治療前)、治療期間中および治療収量後に24時間尿を採取するよう求めた。これらの24時間採取のすべてにおいて、シュウ酸塩、リン酸塩、カルシウム、およびクレアチニンを測定した。クレアチニンの測定により、24時間採取の正確性が確認された。
原発性高シュウ酸尿症の患者4名のうち3名(表2参照)は、治療開始から2.5~3か月後に明らかな陽性反応を示した。図4は、1名の重篤な1型原発性高シュウ酸尿症の患者(患者1)における、本発明の例となる医薬剤形による治療前、治療中および治療後(2.5か月)の(A)シュウ酸塩尿(mg/L)、(B)シュウ酸塩尿(mg/grクレアチニン)、(C)カルシウム尿(mg/grクレアチニン)、(D)リン酸塩尿(mg/grクレアチニン)および(E)血清中のシュウ酸塩(mg/L)を示す。図4に示すように、患者は、低リン酸の治療期間中、ナッツを食べていた。シュウ酸塩の排出を測定したさまざまな方法から、治療に対して良好な反応を示すと判断された。治療開始時の正常なリン酸塩尿は、治療期間中変化しなかった。カルシウム尿についても同様であった(図4)。
4人目の原発性高シュウ酸尿症の患者は、最初はあまり良好な反応を示さなかった。シュウ酸塩濃度(mg/L)は36%減少した。尿中の24時間シュウ酸塩尿は55%減少したが、まだ評価項目には到達しなかった。1年7か月後(服薬遵守が不十分な期間が数回あった)、患者の尿中シュウ酸塩値(n=3)は28mg/Lであり、シュウ酸塩尿のULNを明らかに下回っていた。
すべての患者が下記の3つの評価項目に到達した。
-4.0mmol/L(160mg/L)未満のカルシウム尿を伴う0.50mmol/L(44mg/L)未満のシュウ酸塩尿(表2、および図4A、図4B、図4E)
-安定的に正常な血清中のリン酸塩濃度(0.9~1.5mmol/L;30~45mg/L)および尿中リン酸塩濃度(>350mg/L)(表2、および4D)
-治療期間中のカルシウム尿の濃度の上昇を伴わない、安定的な維持(表2、および図4C)。
続発性高シュウ酸尿症の患者の結果を図5に示す。図5は、続発性高シュウ酸尿症の患者(患者5、特発性シュウ酸カルシウム尿路結石症型)に対する、本発明の実施形態による医薬剤形による治療前、治療中および治療後の(A)シュウ酸塩尿(mg/L)、(B)シュウ酸塩尿(mg/grクレアチニン)、(C)血清中のシュウ酸塩(mg/L)、(D)カルシウム尿(mg/grクレアチニン)および(E)リン酸塩尿(mg/grクレアチニン)を示す。
続発性高シュウ酸尿症の患者は、1000mgのランタン元素を2回に分けて投与する本発明の例となる医薬剤形(すなわち、8×250mg=2000mg/日のラタン元素)による治療開始から1週間で、既にシュウ酸塩尿が49mg/Lから21mg/Lに減少(すなわち、58%減少)するという反応を示した(図5)。朝に250mgのランタン元素を4回分投与し、夕方に250mgのランタン元素を4回分投与した。治療終了後、2日後にはシュウ酸塩のレベルが治療前のレベルまで上昇した。続発性高シュウ酸尿症の患者のさまざまなシュウ酸塩尿パラメータがかなり早く正常化した理由は、これらの患者のシュウ酸塩プールが原発性高シュウ酸尿症の患者よりも低いためであると考えられる。
患者は、治療期間中にいかなる副作用も報告しなかった。
ディスカッション
本発明を例示する明確に定義された量の炭酸ランタンを含む医薬剤形は、正確な位置、すなわち胃腸管の遠位部、例えば回腸、盲腸および前部結腸におけるランタンの標的放出を可能にし、それによってすべての生理学的パラメータが最大限に満たされる。いくつかの処方を試験した後、本発明の実施形態による医薬剤形、特に、対象の胃腸管の遠位部への標的送達のために構成された4層のコーティングを含むカプセルによる治療により:
-本発明の実施形態による医薬剤形の摂取後6時間にわたってCTスキャン技術を使用して試験されたように、後部小腸(回腸)および前部結腸において炭酸ランタンが放出される;
-シュウ酸塩(本発明者らにより主に回腸および結腸で吸収されることが発見された)の最適な胃腸キレート化により、尿中濃度が0.50mmol/L(44mg/L)未満に大幅に低下する。したがって、本発明の実施形態による医薬剤形の投与により、原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症が治療される;
-原発性高シュウ酸尿症および続発性高シュウ酸尿症に罹患した患者において、尿中リン濃度が変化せず、安定的に正常であることにより、治療期間全体にわたって正常なリン酸塩バランスが保たれる。これらの観察結果により、リン酸塩がより近位の胃腸管で再吸収されることが示される;
-現在知られている他のすべての強力なリン酸結合剤(アルミニウム、Sevelamer、炭酸カルシウム等)により観察され、シュウ酸カルシウム結晶の形成を促進する可能性があるカルシウム尿の増加とは対照的に、本発明の実施形態による医薬剤形で治療された患者においてはカルシウム尿の増加が見られない;
-本発明の実施形態による医薬剤形は、治療期間全体にわたって尿中のカルシウムを維持するか、またはわずかに減少させる。この安定的に正常な、または場合によってはわずかに減少するカルシウム尿は、GI管の遠位部におけるランタンのカルシウムチャネル遮断効果によるものであり、シュウ酸カルシウム結晶の形成を阻止するのに寄与する可能性がある;
-続発性高シュウ酸尿症の患者におけるさまざまなシュウ酸塩尿のパラメータの迅速な正常化は、これらの患者に蓄積したシュウ酸塩プールが原発性高シュウ酸尿症の患者よりも低いということによって説明できる
という結果が得られた。
本発明の実施形態による医薬剤形による治療の最終結果は独特である。これは、腎臓/尿の尿細管液中のシュウ酸カルシウム結晶形成(160mg/Lまたは4.0mmol/L未満のカルシウム塩尿を伴う44mg/Lまたは0.50mmol/L未満のシュウ酸塩尿)を停止/阻止する治療法としては初めてである。
有利なことに、本発明の実施形態による医薬剤形は、(肝臓におけるシュウ酸合成の阻害活性が1型原発性高シュウ酸尿症に限定される、例えばルマシラン(Oxlumo、Alnylam社製)とは対照的に)1種類の原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症の治療に限定されず、その薬理活性が、摂取され、胃腸管の遠位部において分泌されるシュウ酸塩の最適なキレート化にあるため(表2に示す)、あらゆる形態の原発性高シュウ酸尿症に有効である。
さらに、本発明の実施形態による医薬剤形(本明細書では「特別に設計されたカプセル炭酸ランタン」または「sdc炭酸ランタン」または「sdcLC」とも呼ばれる)による治療は、毎日の食事中のシュウ酸塩のキレート化を超えるものを伴う。理論に拘束されることなく、本発明の実施形態による医薬剤形による治療により、SLG26Aトランスポーターによって媒介されてシュウ酸塩が血清から結腸に分泌される可能性があると仮定される。図4Aに見られるように、本発明の実施形態による医薬剤形による患者1の2.5か月間の治療の結果、尿中シュウ酸塩濃度は正常上限(ULN:44mg/L)を下回った。1型PHに罹患しており、腎機能が正常である患者1は、対照期間中の平均シュウ酸塩尿は94mg/L±4.8mg/L(対照値n=12、24時間尿採取)であり(図4A、表2)、平均1日利尿量は2.5L/日±0.3L/日であった。食物中の平均シュウ酸塩濃度が150~200mg/日(すなわち約2mmol/日)であり、15~20%が腸管で吸収されることを考えると(Holmes et al., 2000, Kidn Intern, 57, 1662-1667)、1日の食物シュウ酸塩負荷は約30mg/日(すなわち200mg/日×15%)である(図7)。
治療開始から6~8週間後、尿中シュウ酸塩尿は94mg/L~18mg/Lに減少した(図4A、表2)。本発明の実施形態による医薬剤形による治療中、ランタンが1日あたり1500mg(11mmol)投与され、ランタン/シュウ酸塩モル比が5.5(すなわち、11mmol/2mmol)であったことから、食物中のほぼすべてのシュウ酸塩がランタンによって遠位GI管でキレート化されたとみなすことができる。したがって、食物中のシュウ酸塩は体内のシュウ酸塩負荷に利用できなくなった。
30mg/日の食物シュウ酸塩をキレート化しただけでは、尿中へのシュウ酸塩の排泄量が時間の経過と共に235mg(すなわち、94mg/L×2.5L)から45mg(すなわち、18mg/L×2.5L)に著しく減少したことを説明するには不十分であった。肝臓におけるシュウ酸塩の生成は依然として損なわれず維持されており、ランタンの全身的効果はない。さらに、ランタンの胃腸吸収はごくわずかである(0.01%)(Persy et al., 2006, Sem Dialysis, 19, 198-199)。
したがって、上述した事実は、本発明の実施形態による医薬剤形で原発性高シュウ酸尿症に罹患した患者を治療する場合、食物からのシュウ酸塩のキレート化に加えて別のメカニズムがシュウ酸塩バランスにおいて機能していたことを示唆するものである。その1つは、おそらく、(SLC26A6トランスポーターによって媒介される)シュウ酸塩の分泌による血清から遠位腸管腔へのシュウ酸塩の再方向付けであり、これにより体内のシュウ酸塩がさらに減少する。この分泌されたシュウ酸塩は、医薬剤形から放出された遊離ランタンを含むGI管の遠位部、すなわち回腸、盲腸および/または結腸において直ちにキレート化された(図7)。キレート化生成物は、有利には便を介して排泄された。
結論
本発明の実施形態による医薬剤形の全体的な効果は、GI管の遠位部において毎日摂取されるシュウ酸塩の最適なキレート化にあり、それにより(例えば、SLC26A6トランスポーターによって媒介される)シュウ酸塩の分泌によって血清から腸管腔へのシュウ酸塩の再方向付けが刺激される。
尿中シュウ酸塩の大幅な減少をもたらすシュウ酸塩の最適なキレート化と、尿中カルシウム濃度を維持するか、またはわずかに低下させる本発明の実施形態による医薬剤形の腸管におけるカルシウムチャネル遮断効果との組み合わせにより、シュウ酸カルシウム結晶の形成が阻止される。さらに、本発明の実施形態による医薬剤形により、高シュウ酸尿症の治療と、あらゆる型の原発性高シュウ酸尿症および続発性高シュウ酸尿症における進行性のリン酸欠乏がないことを示す尿中の正常かつ安定的なリン酸濃度とがもたらされる。
実施例4:連続X線撮影装置および超低線量コンピューター断層撮影装置を用いた、本発明の例となる医薬剤形の胃腸管通過中の局在化および放出の調査
本調査の目的は、本発明の例となる医薬剤形が回腸および結腸でランタンを放出することができるという概念の検証である。本発明の例となる医薬剤形(以下、「特別に設計されたカプセルランタン炭酸塩」または「sdcランタン炭酸塩」または「sdcLC」とも呼ばれる)を、実施例1で説明したように、すなわち、250mgのランタン元素を含むカプセル、または同様にして最大500mgのランタン元素を含むカプセルとして調製した。図8に示すように、カプセルは、X線画像上で放射線不透過構造として見えた。
タスク検証試験の設計および実行
予備結果
ランタンは、原子量が138.91g/molの金属化学元素であるため、放射線不透過性があり、X線画像で容易に確認できる。適切な薬理活性を達成するために、本発明者らは、ランタンが回腸、盲腸および/または結腸に無傷で到達する必要があり、同時に胃腸管の近位部におけるリン酸の再吸収を妨げないことが必要であることを見出した。小腸通過試験を行うためのShimadzu Sonialvision G4放射線撮影装置を使用して、試験を行った(実施例2を参照)。
試験設計
この予備試験から、連続RX画像化の代替様式として連続超低線量コンピューター断層撮影(ULDCT)を使用して前向き研究を行い、トポグラフィーが最適化され、ランタンが溶解する場所を詳細に表示できるようになる。放射線量は、従来の小腸通過試験で投与される線量よりも低くなるように最適化される場合がある。ULDCTスキャンプロトコルは、露出パラメータを減らし、システムで利用可能な反復再構成であるAdaptive Statistical Iterative Reconstructions(ASIR(登録商標))を使用して、標準的なCT腹部プロトコルを調整することによって導き出される。管電圧は120kV~100kVに下げられ、ノイズインデックスは28~70に上げられ、管電流ウィンドウは30mA~400mAの間で一定の画質が維持される。データは100%ASIRで再構成される。腹部のULDCTスキャン1回(CTDIvol=1.7mGy、DLP=58mGycm)の実効線量は0.3~0.4mSvであり、これに対し、標準的な診断用CTスキャン(CTDIvol=12.7mGy、DLP=673mGycm)の実効線量は10.4mSvである。標準的な腹部の単純レントゲン写真の場合、実効線量は約0.8mSv(2回の投影)である。
患者ごとに腸の活動ペースが多少異なることが予想され、したがってランタン粒子の遠位方向への移動も異なる。カプセルのランタン放出の位置を特定するために、下記の時間間隔で連続スキャンが行われる:3個のカプセルを摂取した直後(投与量は6~11歳の子供と成人とで異なり、子供の場合は体表面積に基づいて決定される)、および腸内の点状の放射線不透過性点として見えるランタン粒子のすべてが結腸内に位置するようになるまで30分ごとにスキャンが行われる。これは360分(6時間)以内で完了すると予想される。
この試験には、健常なボランティア数名(n=5)およびPHに罹患した患者数名(n=5、成人3名と6~11歳の子供2名)が参加している。これらの者には、本発明の実施形態による医薬剤形(例えば、成人には500mgの元素ランタンのカプセル3個、小児には250mgの元素ランタンの小カプセル3個)が投与され、実際の治療開始前にULDCTが行われる。
GI管は、胃、十二指腸、空腸、回腸、前部結腸、後部結腸の6つの区画に分かれている。健常者およびPH患者の写真を分析する際に、無傷のランタンおよび放出されたランタンの存在を盲検方式で採点する。採点は:区画内にランタン粒子が存在しない場合を0点、完全なカプセルが存在する場合を1点、カプセルの大きな破片が存在する場合を2点、より大きな点状の破片が見える場合を3点、区画内に点状の破片のみが存在する場合を4点とする。
送達物
カプセルからの炭酸ランタンの放出の局在ならびに回腸および結腸におけるランタンの最終濃度の臨床検証。
道標
この試験は、sdcLCによる治療を開始する前に健常なボランティアおよび患者を募集する時間を確保するために、1.5年の期間にわたって計画されている。
リスク
科学的リスク:検証試験が成功基準を満たしていないこと:健常な個人で3回行われた概念実証で得られた結果を考慮すると、スコアは低くなる。
この試験における健常者および患者の採用が遅く、参加する成人および子供の数を見つけられないこと:スコアが低い。これまで、PHに罹患した患者の拒否に直面したことはない。24時間尿採取という余分な労力が拒否されたことはない。すべての尿サンプルのフローサイトメトリー分析に半日参加し、研究室に滞在することが受け入れられている。患者および調査の関連性に対する正確でオープンな情報は役に立つ。
提案された技術により、超低線量CT(ULDCT)の放射線が実現する。
実施例5:本発明の一実施例による医薬剤形の原発性高シュウ酸尿症の患者における薬理学的有効性の臨床検証研究
30名の原発性高シュウ酸尿症(PH)患者を対象に、対照、無作為化、多施設、国際的(ベルギー、アルジェリア、チュニジア、モロッコ)、二重盲検、クロスオーバー臨床試験を計画する。1か月の対照期間の後、2か月のウォッシュアウト期間を伴う6か月×2回の治療期間を適用する。無作為化は中央で計画され、治療現場では患者と治療医の両方に対して盲検化を適用する。治療は、例えば、本発明の実施形態による医薬剤形、すなわち実施例1で説明したように調製されたsdc炭酸ランタンカプセルで、約1000mg/日の元素ランタンで開始する。治療は、例えば約2000mg/日の元素ランタンまで徐々に増やすことができる。5~15歳の子供には、担当小児科医と相談して、体表面積に応じた用量を処方する。プラセボ群の患者を無作為に選択し、それに応じて調査対象の医薬品(IMP)も徐々に増加させる。治療の結果を、シュウ酸塩の中央測定のために定期的に(月に2回)24時間尿を採取して調査する。検証された仮説は:(1)6か月間のsdcLCによる治療により、尿中にシュウ酸カルシウムの結晶が形成されなくなるレベル(ULN:44mg/L)までシュウ酸塩尿が減少し、したがってシュウ酸塩尿が最大44mg/Lまで減少するかどうか、(2)6か月間のsdcLCによる治療により、患者の少なくとも75%でシュウ酸塩尿が60%減少するかどうかである。
実施例6:本発明の実施形態による医薬剤形を使用した患者の治療のための富化的な用途
ルマシランで治療され、ルマシラン単独では十分ではない結果を示す患者に投与されたsdcLCの付加的な効果の臨床検証
ルマシラン研究(Garrelfs et al., 2021, N Engl J Med, 384(13): 1216-1226)の結果によると、PHに罹患した患者のうち、6か月目に24時間尿中シュウ酸塩排泄量が正常上限(ULN)未満(ULN=0.51mmol/Lまたは44mg/L)である患者の割合は52%であった。したがって、この医薬で治療した患者の中には、尿中シュウ酸塩レベルが非常に低いかまたは結晶形成がないレベルに達しない人もいた。患者は、正しいEMAルマシラン治療スケジュール(すなわち、成人の場合、1か月間隔で4回投与し、その後3か月ごとに1回投与する)に従って6か月間ルマシランで治療した後、登録対象とみなした。6か月後にルマシラン治療の主要な終点に到達しない場合は、患者にこの観察研究への参加を求めた。ルマシラン治療の主要な終点は、24時間尿中シュウ酸塩排泄量が正常上限(ULN)の約1.5倍、すなわち68mg/24時間未満に達することである。患者(n=5)を、例えば約1000mg/日の元素ランタンであるsdcLCで追加的に治療した。治療は徐々に約2000mg/日まで元素ランタンまで増やすことができる。サンプリングは、実施例5の臨床検証試験で説明した要件と同一である。
PH患者の第2グループも、ルマシランとsdcLCとの併用治療の候補であり、すなわち透析中の末期腎不全で腎移植が必要なPH患者である。このタイプの患者の体内に存在するシュウ酸塩負荷を大幅に減少させるためには、強力で集中的な除去治療が必要である。この治療は、少なくとも2~4か月間の頻繁な透析と組み合わせたルマシラン治療とsdcLCとの組み合わせで構成されてもよい。患者は有意な腎機能を有していないため、血漿中のシュウ酸塩レベルの追跡は必須である。sdcLC治療およびサンプリングは、実施例5の臨床検証試験で説明した要件と同一である。
原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症および腎機能障害に罹患した患者に投与されたsdcLCの効果の臨床検証
原発性高シュウ酸尿症および慢性腎臓病(CKD3-5)に罹患した患者は、組織内にシュウ酸カルシウムが著しく蓄積しており、血清から回腸および結腸への分泌を介してシュウ酸カルシウムの大部分を可溶化して除去する治療を受ける必要があるため、sdcLCカプセルによる治療の候補となる。
さらに、PHおよび末期CKDまたは腎機能障害(eGFR<40ml/分)に罹患し、透析を受けており、腎臓および肝臓の移植を必要とする患者も、sdcLCカプセルによる治療の候補となる。ルマシランは肝臓におけるシュウ酸塩の生成を大幅に抑制することができるため、数年前から、医師は移植を腎臓移植に限定しようとしてきた。ルマシランは常に満足のいく効果を発揮するとは限らず、血清レベルが腎臓移植を安全に行うには高すぎるままになる可能性があるため、分泌されたシュウ酸塩をキレート化し、腸から排除する能力が高いsdcLC治療は非常に興味深いものである。疑義を避けるために、移植される腎臓は、腎臓移植後に尿形成が再開したときに結晶形成を防ぐため、尿中シュウ酸塩濃度が44mg/L未満の環境に置く必要がある。
sdcLCによる治療が必要な患者のさらなるグループは、中等度の腎不全を伴う続発性高シュウ酸尿症の患者である。
比較例:コーティングされていない炭酸ランタンのヒトへの投与
コーティングされていない炭酸ランタンカプセルと本発明の例となるコーティングされている炭酸ランタンカプセル(実施例1および図3参照)とのシュウ酸塩尿、カルシウム塩尿およびリン酸塩尿に対する効果を比較するために、健常なヒトボランティアにFosrenol(Shire Pharmaceuticals)、すなわち炭酸ランタンそのものを、500mg/日の元素ランタン(2×250mg元素ランタン)の用量で経口投与した。健常なヒトボランティア(男性、74歳、eGFR73ml/分/1.73m)は、腎機能が健康で、糖尿病はなく、血圧も正常で、その他の病状もなかった。図9は、Fosrenolを経口摂取した健常なボランティアの(A)尿中シュウ酸塩濃度(mg/gクレアチニン、濃い灰色のバー)および尿中カルシウム(Ca)濃度(mmol/gクレアチニン、薄い灰色のバー)、または(B)尿中リン酸(P)濃度(mmol/L、灰色のバー)および血清中のリン酸(P)濃度(mmol/L、黒色のバー)を示すグラフである。この図から、この短い臨床試験の間、コーティングされていない炭酸ランタンの投与によって尿中リン酸塩濃度(図9B)が低下したが、血清リン酸塩濃度(図9B)や尿中シュウ酸塩濃度(図9A)には効果が見られなかったことが分かる。これらの結果は、対照値と比較して尿中シュウ酸塩が40%以上減少した本発明の例となる医薬剤形(実施例1、図3)の投与後に得られた結果とは対照的である(図3参照)。リン酸塩尿およびカルシウム尿に対する明らかな効果は見られなかった(図3参照)。コーティングされていない炭酸ランタンの投与により、尿中リン酸塩が減少したが、シュウ酸塩尿にはほとんど効果がなかったことから、シュウ酸塩よりもリン酸が優先的にキレート化されることが示唆され(食品中のリン酸/シュウ酸塩比10/1)、それにより、腎機能が損なわれていないか比較的保たれている対象(eGFR>40ml/分/1.73m)に炭酸ランタンを投与すると、時間の経過とともにリン酸が欠乏し、骨軟化症等の重篤な合併症が起こることが確認された。

Claims (17)

  1. ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む経口投与可能な医薬剤形であって、前記ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物がヒト対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上に標的送達されるように構成されている、前記医薬剤形。
  2. 前記ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物がヒト対象の回腸、盲腸または上行結腸の1つ以上に標的送達されるように構成されている、請求項1に記載の医薬剤形。
  3. 固体剤形または半固体剤形である、請求項1または2に記載の医薬剤形。
  4. 前記ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物が充填されたカプセル等のカプセルまたは錠剤であり、好ましくは前記ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物が粉末状である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬剤形。
  5. 前記医薬剤形またはカプセルが、前記ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物がヒト対象の回腸、盲腸または結腸の1つ以上に標的送達されるように構成されたコーティングを含み、好ましくは該コーティングが、pH感受性ポリマー、生分解性ポリマー、多糖類またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬剤形。
  6. 前記医薬剤形またはコーティングが、メタクリル酸とメタクリル酸のC1-4アルキルエステルとの共重合体;好ましくはメタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体;より好ましくはメタクリル酸とメチルメタクリレートとの1:2の比率の共重合体を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬剤形。
  7. 前記カプセルが、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ゼラチン、プルラン、デンプン、水溶性ポリビニル誘導体、ポリエチレングリコールおよび(メタ)アクリル酸のC1-4アルキルエステルと(メタ)アクリル酸との共重合体からなる群から選択される1種以上の材料から作製される、請求項4~6のいずれか一項に記載の医薬剤形。
  8. 前記医薬剤形またはカプセルが少なくとも3層のコーティングを含み、好ましくは前記カプセルが少なくとも4層のコーティングを含み;かつ/または前記コーティングの厚さが少なくとも20.0μm、例えば少なくとも25.0μm、少なくとも30.0μmまたは少なくとも35.0μmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬剤形。
  9. 前記ランタンの薬学的に許容可能な塩または酸化物が炭酸ランタンまたは酸化ランタンであり;好ましくは前記医薬剤形が炭酸ランタンを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬剤形。
  10. 前記医薬剤形が100mg~4000mgの元素ランタンを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬剤形。
  11. 前記ランタンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは酸化物を含む組成物が充填され、メタクリル酸とメタクリル酸のC1-4アルキルエステルとの共重合体でコーティングされたカプセルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬剤形。
  12. ヒト対象における高シュウ酸尿症の治療において使用され、任意に前記高シュウ酸尿症が原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬剤形。
  13. ヒト対象における腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上の治療に使用される、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬剤形。
  14. 前記医薬剤形が、
    -1日1回または2回;
    -1回の投与あたり100mg~2000mgの量のランタン;
    -1日あたり100mg~4000mgの量のランタン;かつ/または
    -少なくとも1か月間;例えば少なくとも2か月間
    投与される、請求項12または13に記載の使用のための医薬剤形
  15. 治療を必要とするヒト対象における高シュウ酸尿症、腎結石症、腎石灰化症またはシュウ酸症の1つ以上を治療する方法であって、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬剤形の治療有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  16. 前記高シュウ酸尿症が原発性高シュウ酸尿症または続発性高シュウ酸尿症である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記医薬剤形が、
    -1日1回または2回;
    -1回の投与あたり100mg~2000mgの量のランタン;
    -1日あたり100mg~4000mgの量のランタン;かつ/または
    -少なくとも1か月間;例えば少なくとも2か月間
    投与される、請求項15または16に記載の方法。
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